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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電気化学デバイスの評価方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 11/06 20130101AFI20240219BHJP
   H01G 11/56 20130101ALI20240219BHJP
   H01G 11/32 20130101ALI20240219BHJP
   H01G 11/24 20130101ALI20240219BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20240219BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20240219BHJP
   H01M 4/96 20060101ALI20240219BHJP
   H01M 8/10 20160101ALI20240219BHJP
   H01G 13/00 20130101ALN20240219BHJP
【FI】
H01G11/06
H01G11/56
H01G11/32
H01G11/24
H01G11/86
H01M4/86 M
H01M4/96 M
H01M8/10 101
H01G13/00 381
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020517075
(86)(22)【出願日】2019-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2019018073
(87)【国際公開番号】W WO2019212056
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2022-04-26
(31)【優先権主張番号】P 2018088733
(32)【優先日】2018-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】515295968
【氏名又は名称】株式会社カワノラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】松井 浩志
(72)【発明者】
【氏名】今井 隆之
(72)【発明者】
【氏名】河野 誠
(72)【発明者】
【氏名】森 清香
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-277503(JP,A)
【文献】特開2017-091739(JP,A)
【文献】国際公開第2017/069260(WO,A1)
【文献】特開平11-040170(JP,A)
【文献】河野誠,磁化率を利用した新しい粒子分析装置MAIty,on-line,2014年07月25日,https://shingi.jst.go.jp/pdf/2014/1418_osaka11.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 11/06
H01G 11/56
H01G 11/32
H01G 11/24
H01G 11/86
H01M 4/86
H01M 4/96
H01M 8/10
H01G 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学デバイスの特性を評価する評価方法であって、
前記電気化学デバイスの電極部材は、担持体と、前記担持体に担持された電解材料とを含み、
前記担持体は、複数の第1粒子を含み、
前記複数の第1粒子の各々は、細孔を有し、
前記評価方法は、
前記担持体から前記第1粒子を採取する工程と、
前記第1粒子を磁気泳動させる工程と、
前記第1粒子の磁気泳動速度と、前記第1粒子の粒子径とに基づいて、前記第1粒子の体積磁化率を測定する工程と、
前記体積磁化率に対する前記第1粒子の数の割合を示すグラフを作成する工程と、
前記グラフにピーク波形が含まれるか否かを判定する工程と、
前記グラフに前記ピーク波形が含まれる場合、前記ピーク波形の半値幅とピーク値との比の値が特定の範囲に含まれるか否かに基づいて、前記電気化学デバイスの特性を評価する工程と
前記第1粒子の体積磁化率から前記第1粒子の空隙率を測定する工程と、
前記第1粒子の空隙率に基づいて前記電気化学デバイスの特性を評価する工程と
を包含
前記第1粒子の空隙率を測定する工程は、
前記第1粒子と同じ種類の粒子であって、前記電解材料を担持していない第2粒子を磁気泳動させる工程と
前記第2粒子の磁気泳動速度と、前記第2粒子の粒子径とに基づいて、前記第2粒子の体積磁化率を測定する工程と、
前記第1粒子の体積磁化率と、前記第2粒子の体積磁化率とに基づいて、前記第1粒子の空隙率を測定する工程と
を包含する、電気化学デバイスの評価方法。
【請求項2】
前記電解材料は、リチウムイオンを含む、請求項1に記載の電気化学デバイスの評価方法。
【請求項3】
前記担持体は、アルカリ金属成分を担持する、請求項に記載の電気化学デバイスの評価方法。
【請求項4】
前記担持体は、触媒を担持する、請求項1に記載の電気化学デバイスの評価方法。
【請求項5】
前記担持体は、界面活性剤を担持する、請求項に記載の電気化学デバイスの評価方法。
【請求項6】
前記電解材料は、アイオノマーを含む、請求項又は請求項に記載の電気化学デバイスの評価方法。
【請求項7】
前記担持体は、炭素材料を含む、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の電気化学デバイスの評価方法。
【請求項8】
前記担持体は、活性炭を含む、請求項に記載の電気化学デバイスの評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体、電気化学デバイス、及び構造体の評価支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学デバイスとして、リチウムイオンキャパシタ、電気二重層キャパシタ、及び燃料電池が知られている。
【0003】
リチウムイオンキャパシタは、通常、正極として、活性炭を含む電極を備え、負極として、リチウムイオン電池の負極と同様のリチウム吸蔵炭素材料を備える。リチウムイオンキャパシタは、正極でイオンを吸脱着し、負極でリチウムイオンを吸蔵放出することで充放電を行う(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
電気二重層キャパシタは、通常、正極及び負極として、活性炭を含む電極を備える。電気二重層キャパシタでは、電解質イオンの物理的な吸脱着により充放電が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
リチウムイオンキャパシタ及び電気二重層キャパシタは、電極と電解液との接触面積が大きいほど静電容量が高くなる。活性炭は多孔質であり、活性炭の表面には多くの細孔が形成されている。したがって、活性炭の比表面積は大きく、電極の材料に活性炭を使用することで静電容量を高めることができる。換言すると、電極の材料に多孔質性材料を使用することで、リチウムイオンキャパシタ及び電気二重層キャパシタの性能を高めることができる。
【0006】
燃料電池は、電解質の種類や電極の種類等により種々のタイプに分類される。代表的なものとして、アルカリ型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、及び固体高分子型(PEFC)がある。
【0007】
例えば、固体高分子型燃料電池は、膜-電極接合体(MEA)を備える。膜-電極接合体は、高分子電解質膜、カソード側電極、及びアノード側電極によって構成される。カソード側電極及びアノード側電極は、高分子電解質膜の両面に形成される。カソード側電極及びアノード側電極は、電極触媒層とガス拡散層とを備え、電極触媒層は、通常、カーボンブラックを有する。カーボンブラックは、白金等の触媒を担持している。また、カーボンブラックは、アイオノマー(イオン交換性高分子)を担持している(例えば、特許文献2、3参照。)。
【0008】
固体高分子型燃料電池は、触媒層内におけるアイオノマーと触媒との接触面積が大きいほど電流密度が高くなる。カーボンブラック(2次粒子)は多孔質であり、カーボンブラックの表面には多くの細孔が形成されている。したがって、カーボンブラックの比表面積は大きく、触媒担持体にカーボンブラックを使用することで、アイオノマー及び触媒の担持量を増やして電流密度を高めることができる。換言すると、触媒担持体に多孔質性材料を使用して細孔内にアイオノマー及び触媒を担持させることで、固体高分子型燃料電池の性能を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2017-168832号公報
【文献】特開2016-085894号公報
【文献】特開2006-004662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、電気化学デバイスの電極の材料に多孔質性材料を使用する場合であっても、細孔内に入り込む電解液又はアイオノマーのような電解材料の量が少なければ、電気化学デバイスの特性を向上させることができない。
【0011】
本発明者は、電気化学デバイスについて鋭意検討し、本発明を完成させた。本発明の目的は、電気化学デバイスの性能を向上させる構造体、及びその構造体を備えた電気化学デバイス、並びに構造体の評価支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る構造体は、電解材料と、前記電解材料を担持する担持体とを備える。前記担持体は、複数の粒子を含み、前記複数の粒子の各々は、細孔を有している。また、体積磁化率に対する前記粒子の数の割合を示すグラフが、ピーク波形を含み、前記ピーク波形の半値幅とピーク値との比の値が、1.0×10-6未満を示す。
【0013】
ある実施形態において、前記ピーク波形の半値幅とピーク値との比の値は、0.3×10-6以下を示す。
【0014】
ある実施形態において、前記ピーク波形の半値幅とピーク値との比の値は、0.1×10-6以下を示す。
【0015】
ある実施形態において、前記粒子の空隙率は、75以上を示す。
【0016】
ある実施形態において、前記粒子の空隙率は、80以上を示す。
【0017】
ある実施形態において、前記粒子の空隙率は、85以上を示す。
【0018】
ある実施形態において、前記電解材料は、リチウムイオンを含む。
【0019】
ある実施形態において、前記担持体は、アルカリ金属成分を担持する。
【0020】
ある実施形態において、前記担持体は、触媒を担持する。
【0021】
ある実施形態において、前記担持体は、界面活性剤を担持する。
【0022】
ある実施形態において、前記電解材料は、アイオノマーを含む。
【0023】
ある実施形態において、前記担持体は、炭素材料を含む。
【0024】
ある実施形態において、前記担持体は、活性炭を含む。
【0025】
本発明に係る電気化学デバイスは、上記の構造体を備える。
【0026】
本発明に係る評価支援方法は、構造体を評価する作業を支援する。前記構造体は、電解材料と、前記電解材料を担持する担持体とを備える。前記担持体は、複数の粒子を含み、前記複数の粒子の各々は、細孔を有している。前記評価支援方法は、前記担持体から前記粒子を採取する工程と、前記粒子の体積磁化率を測定する工程と、前記体積磁化率に対する前記粒子の数の割合を示すグラフを作成する工程とを包含する。
【0027】
ある実施形態において、構造体の評価支援方法は、前記粒子の体積磁化率から前記粒子の空隙率を測定する工程を更に包含する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、電気化学デバイスの性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】(a)は、本発明の実施形態に係るリチウムイオンキャパシタの構成を示す図である。(b)は、本発明の実施形態に係る燃料電池の構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る分析装置の模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る粒子の動きを示す図である。
図4】本発明の実施形態に係る分析装置の構成を示す図である。
図5】本発明の実施形態に係る構造体の評価支援方法を示すフローチャートである。
図6】実施例1の棒グラフを示す図である。
図7】実施例2の棒グラフを示す図である。
図8】比較例1の棒グラフを示す図である。
図9】実施例1の粒子数グラフを示す図である。
図10】実施例2の粒子数グラフを示す図である。
図11】比較例1の粒子数グラフを示す図である。
図12】実施例3及び比較例2の粒子数グラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明に係る構造体、電気化学デバイス及び評価支援方法の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0031】
[構造体]
本実施形態に係る構造体は、電解材料と、担持体とを備える。電解材料は、典型的には、電解液又はアイオノマーである。本実施形態に係る構造体は、リチウムイオンキャパシタの正極、又は電気二重層キャパシタの正極及び負極に使用される。あるいは、本実施形態に係る構造体は、燃料電池の触媒層に使用される。
【0032】
本実施形態に係る担持体は、複数の粒子を含み、複数の粒子の各々は、細孔を有している。具体的には、本実施形態に係る構造体が、リチウムイオンキャパシタの正極、又は電気二重層キャパシタの正極及び負極に使用される場合、担持体は、例えば活性炭のような多孔質の炭素材料を含む。また、本実施形態に係る構造体が燃料電池の触媒層に使用される場合、担持体は、例えばカーボンブラック(2次粒子)のような多孔質の炭素材料を含む。
【0033】
本実施形態に係る担持体は、電解材料を担持する。詳しくは、担持体に含まれる各粒子の表面に形成された細孔や、担持体に含まれる各粒子間の隙間に電解材料が入り込むことにより、担持体が電解材料を担持する。また、担持体に含まれる各粒子の表面を電解材料が覆うことにより、担持体が電解材料を担持する。
【0034】
本実施形態に係る構造体は、担持体から採取した各粒子の体積磁化率を測定した場合、体積磁化率に対する粒子の数の割合を示すグラフが、有意なピーク波形を含む。更に、ピーク波形の半値幅とピーク値との比の値が、1.0×10-6未満を示す。以下、体積磁化率に対する粒子の数の割合を示すグラフを「粒子数グラフ」と記載する場合がある。また、ピーク波形の半値幅とピーク値との比の値を「ピーク波形の比の値」と記載する場合がある。ピーク波形の比の値は、以下の式(1)によって算出される。
比の値=半値幅/ピーク値・・・(1)
【0035】
ピーク波形の比の値が特定の範囲に含まれることは、担持体から採取した粒子に担持されている電解材料の量がまんべんなく多いことを示す。詳しくは、担持されている電解材料の量が少ない場合、粒子数グラフは、有意なピーク波形を含まず、体積磁化率のばらつき、すなわち電解材料の担持量のばらつきに起因するブロードな波形となる。体積磁化率のばらつきは、粒子径のばらつきにも依存する。これに対し、ピーク波形の比の値が特定の範囲に含まれること、すなわち粒子数グラフが有意なピーク波形を含むことは、体積磁化率のばらつきが少ないこと、すなわち電解材料の担持量のばらつきが少ないことを示す。これは、担持されている電解材料の量が多い場合、粒子の体積磁化率に対して電解材料の体積磁化率が寄与する割合が高くなることに起因する。
【0036】
本実施形態に係る構造体によれば、ピーク波形の半値幅とピーク値との比の値が、1.0×10-6未満を示す。このことは、担持体が担持する電解材料の量がまんべんなく多いことを示す。したがって、本実施形態に係る構造体は、電気化学デバイスの特性を向上させることができる。具体的には、本実施形態に係る構造体をリチウムイオンキャパシタの正極に使用した場合、リチウムイオンキャパシタの静電容量を高めることができる。同様に、本実施形態に係る構造体を電気二重層キャパシタの正極及び負極に使用した場合、電気二重層キャパシタの静電容量を高めることができる。また、本実施形態に係る構造体を燃料電池の触媒層に使用した場合、燃料電池の電流密度を高めることができる。
【0037】
なお、ピーク波形の比の値は、0.3×10-6以下を示すことが好ましく、0.1×10-6以下を示すことが更に好ましい。ピーク波形の比の値が0.3×10-6以下であることは、体積磁化率のばらつきがより小さいことを示し、ピーク波形の比の値が0.1×10-6以下であることは、体積磁化率のばらつきが更に小さいことを示す。体積磁化率のばらつきが小さいほど、担持体が担持する電解材料の量が多くなり、電気化学デバイスの特性をより向上させることができる。
【0038】
更に、本実施形態に係る構造体において、担持体から採取した各粒子の空隙率は、75以上を示すことが好ましい。空隙率が75以上を示す場合、電解材料の担持量が多くなる可能性が高くなる。なお、空隙率は、80以上を示すことがより好ましく、85以上を示すことが更に好ましい。空隙率が高いほど、電解材料の担持量が多くなる可能性がより高くなる。
【0039】
空隙率は、担持体から採取した各粒子を溶媒のような媒体に分散させて測定する。具体的には、空隙率は、担持体から採取した各粒子に入り込んでいた電解材料の体積(%)と、空隙率の測定時に各粒子に入り込んだ媒体の体積(%)との合計の平均値を示す。電解材料の体積(%)は、粒子の体積に対する電解材料の体積(粒子に入り込んだ電解材料の体積)の割合を示す。媒体の体積(%)は、粒子の体積に対する媒体の体積(粒子に入り込んだ媒体の体積)の割合を示す。電解材料の体積と媒体の体積との合計体積は、粒子の細孔に入り込んだ電解材料及び媒体の体積を含む。粒子が凝集体である場合、電解材料の体積と媒体の体積との合計体積は、凝集体を構成する各粒子の細孔に入り込んだ電解材料及び媒体の体積と、凝集体を構成する各粒子間に入り込んだ電解材料及び媒体の体積とを含む。
【0040】
空隙率Pは以下の式に基づいて算出される。
P=(Vc+Vm)/Vp=(Vc+Vm)/(Vb+Vc+Vm)
【0041】
上記の式において、Vcは電解材料の体積を示し、Vmは媒体の体積を示し、Vpは粒子の体積を示し、Vbは粒子の本体部分の体積を示す。粒子の本体部分の体積Vbは、電解材料及び媒体が入り込んでいない粒子の体積を示す。測定対象の粒子が凝集体である場合、粒子の本体部分の体積Vbは、凝集体を構成する各粒子の本体部分の体積の合計値を示す。
【0042】
あるいは、空隙率Pは、電解材料と媒体とが同じ材料である場合、電解材料の体積Vcは媒体の体積Vmに含まれているものとして、以下の式に基づいて算出されてもよい。換言すると、空隙率Pとして、媒体の体積(%)を使用してもよい。
P=Vm/Vp
【0043】
[電気化学デバイス]
続いて図1(a)及び図1(b)を参照して、本実施形態に係る電気化学デバイスについて、リチウムイオンキャパシタ、及び燃料電池を例に説明する。なお、電気二重層キャパシタは、リチウムイオンキャパシタと比べて負極の構造が異なるが、他の部分の構造はリチウムイオンキャパシタと同様である上、電気二重層キャパシタの負極の構造は、リチウムイオンキャパシタの正極の構造と同様である。したがって、電気二重層キャパシタの説明は割愛する。
【0044】
[リチウムイオンキャパシタ]
図1(a)は、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタ10の構成を示す図である。図1(a)に示すように、リチウムイオンキャパシタ10は、正極20、負極30、及びセパレータ40を備える。
【0045】
正極20は、集電体21と、電極層22とを備える。電極層22は、集電体21の表面に形成される。電極層22は、多孔質の炭素材料を含み、アニオン及びカチオンを吸脱着する。炭素材料は、多孔質である限り特に制限されず、例えば、活性炭、カーボン繊維、グラフェン又はカーボンナノチューブ等であり得る。詳しくは、電極層22は、炭素材料、結着剤、及び導電助剤等を含み得る。電極層22は、炭素材料、結着剤、及び導電助剤等を混合して調製したペーストを集電体21の表面に塗工して、集電体21の表面に形成する。
【0046】
負極30は、集電体31と、電極層32とを備える。電極層32は、集電体31の表面に形成される。電極層32は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出できる電極活物質を含む。詳しくは、電極層32は、電極活物質、結着剤、及び導電助剤等を含み得る。電極活物質には、炭素材料を使用することが好ましい。電極層32は、電極活物質、結着剤、及び導電助剤等を混合して調製したペーストを集電体31の表面に塗工した後、プレドープ工程によって電極活物質にリチウムイオンを担持させることにより、集電体31の表面に形成される。
【0047】
セパレータ40は、正極20と負極30との間に配置される。一般的に、セパレータ40は、正極20の電極層22及び負極30の電極層32に隣接する。リチウムイオンキャパシタ10は、正極20、負極30及びセパレータ40が電解液に浸漬された構成を有する。電解液は、リチウムイオンを含む限り特に限定されないが、リチウム塩を溶解した非水系有機電解液が好ましい。
【0048】
正極20の電極層22が、アルカリ賦活法によって製造された活性炭を含む場合、電極層22の炭素材料(担持体)は、アルカリ金属成分を更に担持してもよい。例えば、賦活処理に水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムが使用された場合、カリウムイオン又はナトリウムイオンが電極層22の炭素材料(担持体)によって担持され得る。
【0049】
本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタ10において、正極20の電極層22は、本発明の構造体の一例であり、正極20の電極層22の炭素材料は、本発明の担持体の一例である。詳しくは、電極層22の炭素材料は多孔質であり、細孔内に入り込んだ電解液が、炭素材料によって担持される。また、電極層22に含まれる各炭素材料間に入り込んだ電解液が、炭素材料によって担持される。
【0050】
[燃料電池]
図1(b)は、本実施形態に係る燃料電池50の構成を示す図である。詳しくは、図1(b)は、本実施形態に係る固体高分子型燃料電池の構成を示す。図1(b)に示すように、燃料電池50は、セパレータ51、ガス拡散層52、アノード電極触媒層53(燃料極)、固体高分子電解質膜54、及びカソード電極触媒層55(空気極)を備える。
【0051】
触媒層53、55は、アイオノマー及び触媒を担持させた炭素材料を含む。炭素材料は、多孔質である限り特に制限されず、例えば、アセチレンブラックのようなカーボンブラック、活性炭、カーボン繊維、グラフェン又はカーボンナノチューブ等であり得る。触媒は、燃料電池の燃料極及び空気極において電池反応を起こさせるものであれば特に限定されないが、白金又は遷移金属が好ましい。
【0052】
本実施形態において、触媒層53、55の炭素材料は、電解材料として、アイオノマーを担持する。アイオノマーは、炭素材料の表面を覆い、導電パスとして機能する。
【0053】
触媒層53、55の炭素材料は、界面活性剤を更に担持してもよい。炭素材料が界面活性剤を担持することにより、アイオノマー及び触媒が炭素材料の細孔内に入り込み易くなる。界面活性剤は、特に制限されず、例えば、エステル型やエーテル型、エステル・エーテル型等の種々の非イオン系界面活性剤を使用し得る。
【0054】
本実施形態に係る燃料電池50において、触媒層53、55は本発明の構造体の一例であり、触媒層53、55の炭素材料は、本発明の担持体の一例である。詳しくは、触媒層53、55の炭素材料は多孔質であり、細孔内に入り込んだアイオノマーが、炭素材料によって担持される。また、炭素材料の表面を覆うアイオノマーが、炭素材料によって担持される。
【0055】
なお、本実施形態に係る構造体は、リチウムイオンキャパシタの正極、電気二重層キャパシタの正極及び負極、並びに燃料電池の触媒層にのみ使用されるものではなく、細孔を有する複数の粒子(担持体)が電解材料を担持する構造である限り、種々の電極部材に使用し得る。
【0056】
[分析装置]
続いて図2図4を参照して、本実施形態に係る分析装置100について説明する。本実施形態に係る分析装置100は、個々の粒子の体積磁化率及び空隙率を測定する。
【0057】
図2は、本実施形態に係る分析装置100の模式図である。本実施形態において、分析装置100は、電気化学デバイスの電極部材から採取した粒子の個々の体積磁化率及び空隙率を測定する。分析装置100は、磁場生成部200と、観察部300と、情報処理部400とを備える。磁場生成部200の近傍にセル201が配置される。
【0058】
磁場生成部200は、磁場を生成してセル201内の粒子pを磁気泳動させる。観察部300は、セル201内の粒子pを観察する。情報処理部400は、観察部300による観察の結果から、粒子pの粒子径及び磁気泳動速度を測定し、測定した粒子径及び磁気泳動速度に基づいて、粒子pの体積磁化率を測定する。また、情報処理部400は、粒子pの体積磁化率に基づいて、粒子pの空隙率を測定する。更に、情報処理部400は、体積磁化率に対する粒子の数の割合を示すグラフ(粒子数グラフ)を作成する。以下、分析装置100について更に詳細に説明する。
【0059】
磁場生成部200は、磁場勾配(磁束密度の勾配)を生成して、セル201内の粒子pに磁気力を作用させる。この結果、粒子pが磁気泳動する。本実施形態において、磁場生成部200は、磁場勾配を生成する一対の永久磁石を備える。一対の永久磁石を構成する2つの永久磁石は、例えば100μm以上500μm以下の一定距離の空隙を空けて配置される。セル201は、2つの永久磁石の間の空隙に配置される。
【0060】
本実施形態において、セル201はキャピラリー管である。セル201の材質は、可視光あるいはレーザー光を透過し得る材質であれば特に限定されない。例えば、セル201は、ガラス製あるいはプラスチック製であり得る。
【0061】
粒子pは、媒体m中に存在する。媒体m中に1つの粒子pが存在してもよいし、媒体m中に複数の粒子pが存在してもよい。媒体m中に複数の粒子pが存在する場合、複数の粒子pは、媒体m中で分散していてもよいし、媒体m中で偏在していてもよい。媒体mは、液体であってもよく、気体であってもよい。媒体mは、例えば、プロピレンカーボネート又はアセトニトリルであり得る。あるいは、媒体mは、例えば空気であり得る。なお、媒体mは、電解材料の成分、すなわちアイオノマーの成分又は電解液の成分を含んでもよいし、含まなくてもよい。
【0062】
粒子pは、例えばマイクロシリンジ、マイクロポンプ、又はオートサンプラーにより、媒体mと共にセル201に導入される。あるいは、粒子pは、サイフォンの原理に基づいて、媒体mと共にセル201に導入され得る。あるいは、粒子pを含む液滴を毛細管現象によってセル201(キャピラリー管)に導入してもよい。粒子pを含む液滴がキャピラリー管の一方端に滴下されると、毛細管現象によって液滴がキャピラリー管を流れる。
【0063】
観察部300は、セル201内の粒子pを観察して、観察結果を示す信号を生成する。情報処理部400は、観察部300が生成する信号に基づいて、粒子pの粒子径及び磁気泳動速度を測定する。情報処理部400は、記憶装置401と、処理装置402と、表示装置403とを備える。情報処理部400は、典型的には、パーソナルコンピューターのような汎用コンピューターである。
【0064】
記憶装置401は、プログラム及び設定情報などを記憶する。記憶装置401は、例えば、ストレージデバイス及び半導体メモリーによって構成され得る。ストレージデバイスは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)である。記憶装置401は、半導体メモリーとして、例えば、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を有し得る。
【0065】
処理装置402は、記憶装置401に記憶されたプログラムを実行することによって、数値計算や情報処理、機器制御のような様々な処理を行う。処理装置402は、例えばCPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーによって構成される。
【0066】
表示装置403は、例えば液晶ディスプレー又は有機ELディスプレーのようなディスプレーを含む。表示装置403は、処理装置402によって制御されて、各種の画像及び各種の画面を表示する。本実施形態において、表示装置403は、粒子数グラフを表示する。
【0067】
処理装置402は、観察部300の観察結果から、セル201内における粒子pの位置の時間的な変化を取得する。例えば、処理装置402は、所定の時間間隔ごとに、セル201内における粒子pの位置を測定する。換言すると、異なる時刻の粒子pの位置を測定する。処理装置402は、粒子pの位置の時間的な変化から、粒子pの磁気泳動速度を測定する。
【0068】
また、処理装置402は、観察部300が生成する信号から、粒子pの粒子径を測定する。処理装置402は、更に、粒子pの粒子径及び磁気泳動速度に基づいて、粒子pの体積磁化率を測定する。
【0069】
例えば、処理装置402は、以下の式(2)に基づいて、粒子pの体積磁化率を算出する。
v={2(χp-χm)r2/9ημo}B(dB/dx)・・・(2)
【0070】
式(2)において、vは粒子pの磁気泳動速度であり、χpは粒子pの体積磁化率であり、χmは媒体mの体積磁化率であり、rは粒子pの半径であり、ηは媒体mの粘性率であり、μoは真空の透磁率であり、Bは磁束密度であり、dB/dxは磁場勾配(磁束密度の勾配)である。なお、式(2)は、セル201(キャピラリー管)の軸方向(x方向)において粒子p及び媒体mが受ける磁気力の差と、粘性抵抗力とがほぼ等しいことから導かれる。
【0071】
なお、粒子pの磁気泳動速度v及び体積磁化率χpは、処理装置402が測定した測定値である。粒子pの半径rは、例えば、処理装置402が、測定した粒子pの粒子径から算出する。媒体mの体積磁化率χm、媒体mの粘性率η、真空の透磁率μo、磁束密度B、及び磁場勾配dB/dxは、記憶装置401に予め記憶されている。例えば、分析者は、キーボード、マウス又はタッチディスプレイのような入力装置を操作して、媒体mの体積磁化率χm、媒体mの粘性率η、真空の透磁率μo、磁束密度B、及び磁場勾配dB/dxを記憶装置401に記憶させることができる。媒体mの体積磁化率χm、媒体mの粘性率η、真空の透磁率μoは、例えば文献値である。磁束密度B、及び磁場勾配dB/dxは、例えば測定値である。
【0072】
処理装置402は、電気化学デバイスの電極部材から採取した粒子の個々の体積磁化率を測定すると、測定結果を示すデータを記憶装置401に記憶させる。処理装置402は、測定結果を示すデータに基づいて、粒子数グラフを作成し、表示装置403に表示させる。
【0073】
処理装置402は、更に、電気化学デバイスの電極部材から採取した粒子の個々の空隙率を測定する。具体的には、電気化学デバイスの電極部材から採取した粒子は、電解材料を担持している。空隙率を測定する場合、電気化学デバイスの電極部材から採取した粒子と同じ種類の粒子を用意する。換言すると、電解材料を担持していない粒子を用意する。そして、電気化学デバイスの電極部材から採取した粒子の体積磁化率及び粒子径の測定に加えて、電解材料を担持していない粒子の体積磁化率及び粒子径の測定を行う。
【0074】
多孔質の粒子p、すなわち細孔を有する粒子pは、電解材料を担持していない場合、本体部分bと、空隙部分s1とに分けることができる。この場合、空隙部分s1の体積(%)は、以下の式(3)で表すことができる。
P1=Vs1/Vp=Vs1/(Vb+Vs1)・・・(3)
【0075】
式(3)において、P1は粒子pの空隙部分s1の体積(%)であり、Vs1は粒子pの空隙部分s1の体積であり、Vpは粒子pの体積であり、Vbは粒子pの本体部分bの体積である。粒子pの体積Vpは、以下の式(4)に示すように、粒子pの本体部分bの体積と、粒子pの空隙部分s1の体積との和で表すことができる。なお、粒子pが凝集体である場合、粒子pの空隙部分s1の体積Vs1は、凝集体を構成する各粒子に形成されている細孔の体積の合計値と、凝集体を構成する各粒子間の隙間の体積とを合計した値を示す。
Vp=Vb+Vs1・・・(4)
【0076】
粒子pの空隙部分s1に媒体mが充填されている場合、体積磁化率と体積との積の関係は、以下の式(5)の関係を示す。
χpVp=χbVb+χmVs1・・・(5)
【0077】
式(5)において、χpは粒子pの体積磁化率であり、χbは粒子pの本体部分bの体積磁化率であり、χmは媒体mの体積磁化率である。なお、粒子pが凝集体である場合、粒子pの本体部分の体積磁化率は、凝集体を構成する粒子の本体部分の体積磁化率を示す。
【0078】
上記の式(3)~式(5)に基づき、式(3)は、以下の式(6)に変換することができる。本実施形態において、処理装置402は、以下の式(6)に基づき、粒子pの空隙部分s1の体積(%)を測定する。換言すると、処理装置402は、粒子pに入り込んだ媒体の体積(%)を測定する。処理装置402は、粒子pの空隙部分s1の体積(%)を測定すると、測定結果を示すデータを記憶装置401に記憶させる。
P1=(χp-χb)/(χm-χb)・・・(6)
【0079】
なお、粒子pの体積磁化率χpは、処理装置402が測定した測定値である。粒子pの本体部分bの体積磁化率χb、及び媒体mの体積磁化率χmは、記憶装置401に予め記憶されている。例えば、分析者は、入力装置を操作して、粒子pの本体部分bの体積磁化率χb、及び媒体mの体積磁化率χmを記憶装置401に記憶させることができる。粒子pの本体部分bの体積磁化率χb、及び媒体mの体積磁化率χmは、例えば文献値である。
【0080】
また、上記式(3)より、粒子pの空隙部分s1の体積Vs1、すなわち粒子pに入り込んだ媒体mの体積Vm1は、以下の式(7)で表すことができる。
Vm1=Vs1=P1×Vp・・・(7)
【0081】
したがって、上記式(4)は、以下の式(8)に変換することができる。
Vp=Vb+Vs1=Vb+P1×Vp・・・(8)
【0082】
よって、粒子pの本体部分bの体積Vbは、以下の式(9)で表すことができる。
Vb=Vp-Vs1=Vp-P1×Vp・・・(9)
【0083】
処理装置402は、上記式(9)に基づいて、粒子pの本体部分bの体積Vbを測定し、測定結果を示すデータを記憶装置401に記憶させる。あるいは、分析者が、上記式(9)に基づいて、粒子pの本体部分bの体積Vbを算出する。この場合、分析者は、入力装置を操作して、算出した体積Vbを示すデータを記憶装置401に記憶させる。なお、粒子pの体積Vpは、処理装置402によって測定された粒子pの粒子径から、分析者が算出することができる。この場合、分析者が入力装置を操作して、算出した体積Vpを示すデータを記憶装置401に記憶させる。あるいは、処理装置402が、粒子pの粒子径に基づいて粒子pの体積Vpを測定してもよい。この場合、処理装置402が、測定結果を示すデータを記憶装置401に記憶させる。
【0084】
一方、多孔質の粒子pが電解材料を担持している場合、粒子pは、本体部分bと、空隙部分s2と、担持された電解材料とに分けることができる。この場合、空隙部分s2の体積(%)は、以下の式(10)で表すことができる。
P2=Vs2/Vp=Vs2/(Vb+Vs2+Vc)・・・(10)
【0085】
式(10)において、P2は粒子pの空隙部分s2の体積(%)であり、Vs2は粒子pの空隙部分s2の体積であり、Vpは粒子pの体積であり、Vbは粒子pの本体部分bの体積であり、Vcは粒子pに担持された電解材料の体積である。粒子pの体積Vpは、以下の式(11)に示すように、粒子pの本体部分bの体積と、粒子pの空隙部分s2の体積と、粒子pに担持された電解材料の体積との和で表すことができる。なお、粒子pが凝集体である場合、粒子pの空隙部分s2の体積Vsは、凝集体を構成する各粒子に形成されている細孔の体積の合計値と、凝集体を構成する各粒子間の隙間の体積とを合計した値を示す。
Vp=Vb+Vs2+Vc・・・(11)
【0086】
粒子pの空隙部分s2に媒体mが充填されている場合、体積磁化率と体積との積の関係は、以下の式(12)の関係を示す。
χpVp=χbVb+χmVs2+χcVc・・・(12)
【0087】
式(12)において、χpは粒子pの体積磁化率であり、χbは粒子pの本体部分bの体積磁化率であり、χmは媒体mの体積磁化率であり、χcは電解材料の体積磁化率である。なお、粒子pが凝集体である場合、粒子pの本体部分の体積磁化率は、凝集体を構成する粒子の本体部分の体積磁化率を示す。
【0088】
上記の式(10)~式(12)に基づき、式(10)は、以下の式(13)に変換することができる。本実施形態において、処理装置402は、以下の式(13)に基づき、粒子pの空隙部分s2の体積(%)を測定する。換言すると、処理装置402は、粒子pに入り込んだ媒体の体積(%)を測定する。
P2=(χc-χp)/(χc-χm)-(χc-χb)×Vb/((χc-χm)×Vp)・・・(13)
【0089】
なお、粒子pの体積磁化率χpは、処理装置402が測定した測定値である。電解材料の体積磁化率χc、媒体mの体積磁化率χm、及び粒子pの本体部分bの体積磁化率χbは、記憶装置401に予め記憶されている。例えば、分析者は、入力装置を操作して、電解材料の体積磁化率χc、媒体mの体積磁化率χm、及び粒子pの本体部分bの体積磁化率χbを記憶装置401に記憶させることができる。電解材料の体積磁化率χc、媒体mの体積磁化率χm、及び粒子pの本体部分bの体積磁化率χbは、例えば文献値である。粒子pの本体部分の体積Vbは、上記式(9)に基づいて測定又は算出された値であり、記憶装置401に記憶されている。粒子pの体積Vpは、処理装置402によって測定された粒子pの粒子径から、分析者が算出することができる。この場合、分析者が入力装置を操作して、算出した体積Vpを示すデータを記憶装置401に記憶させる。あるいは、処理装置402が、粒子pの粒子径に基づいて粒子pの体積Vpを測定してもよい。この場合、処理装置402が、測定結果を示すデータを記憶装置401に記憶させる。
【0090】
また、上記式(10)より、粒子pの空隙部分s2の体積Vs2、すなわち粒子pに入り込んだ媒体の体積Vm2は、以下の式(14)で表すことができる。処理装置402は、以下の式(14)に基づいて、媒体の体積Vm2を測定し、測定結果を示すデータを記憶装置401に記憶させる。あるいは、分析者が、以下の式(14)に基づいて、媒体の体積Vm2を算出してもよい。この場合、分析者は、入力装置を操作して、算出した体積Vm2を示すデータを記憶装置401に記憶させる。
Vm2=Vs2=P2×Vp・・・(14)
【0091】
また、上記式(11)は、上記式(14)に基づき、以下の式(15)に変換することができる。
Vp=Vb+Vs2+Vc=Vb+P2×Vp+Vc・・・(15)
【0092】
よって、粒子pに担持された電解材料の体積Vcは、以下の式(16)で表すことができる。
Vc=Vp-Vb-Vs2=Vp-Vb-P2×Vp・・・(16)
【0093】
処理装置402は、上記式(16)に基づいて、粒子pに担持された電解材料の体積Vcを測定し、測定結果を示すデータを記憶装置401に記憶させる。あるいは、分析者が、上記式(16)に基づいて、粒子pに担持された電解材料の体積Vcを算出してもよい。この場合、分析者は、入力装置を操作して、算出した体積Vcを示すデータを記憶装置401に記憶させる。
【0094】
処理装置402は、記憶装置401に記憶された粒子pの体積Vp(電気化学デバイスの電極部材から採取した粒子の体積)、媒体の体積Vm2、及び電解材料の体積Vcを用いて、以下の式(17)に基づき、空隙率Pを測定する。
P=(Vc+Vm2)/Vp・・・(17)
【0095】
処理装置402は、空隙率Pを測定すると、測定結果を示すデータを記憶装置401に記憶させる。処理装置402は、測定結果を示すデータに基づいて、空隙率Pを示すデータを表示装置403に表示させる。
【0096】
なお、電解材料と媒体とが同じ材料である場合、処理装置402は、電気化学デバイスの電極部材から採取した各粒子から測定した体積磁化率を参照して、上記式(6)に基づき、空隙率P(媒体の体積(%))を測定してもよい。
【0097】
続いて図3(a)及び図3(b)を参照して、粒子pの動きを説明する。図3(a)及び図3(b)は、粒子pの動きを示す図である。詳しくは、図3(a)及び図3(b)は、粒子p及び媒体mの体積磁化率と粒子pの移動方向との関係を示す。図3(a)及び図3(b)に示すように、磁場生成部200は、磁極がN極の永久磁石200aと、磁極がS極の永久磁石200bとを備える。2つの永久磁石200a、200bは、セル201を挟んで対向する。
【0098】
図3(a)に示すように、粒子pの体積磁化率が媒体mの体積磁化率よりも小さい場合、粒子pは磁場(磁場生成部200)から遠ざかる方向に移動する。一方、図3(b)に示すように、粒子pの体積磁化率が媒体mの体積磁化率よりも大きい場合、粒子pは磁場(磁場生成部200)に近づく方向に移動する。
【0099】
図3(a)及び図3(b)に示すように、粒子pの動きは、粒子p及び媒体mの体積磁化率に応じて決定される。なお、粒子pは永久磁石200a、200bの端部の近傍において力を受ける。例えば、粒子pは永久磁石200a、200bの端部の近傍から±200μm程度の範囲で力を受ける。
【0100】
続いて図4を参照して、分析装置100について更に説明する。図4は、分析装置100の構成を示す図である。図4に示すように、分析装置100は、光源500を更に備える。また、観察部300は、拡大部301及び撮像部302を備える。
【0101】
光源500は、可視光成分を含む比較的高い強度の光を出射する。光源500は、セル201に光を照射する。この結果、粒子pに光が照射される。光源500から出射される光の波長スペクトルは比較的ブロードであってもよい。光源500として、例えば、ハロゲンランプが好適に用いられる。
【0102】
セル201に導入された粒子pは、拡大部301によって適当な倍率で拡大されて、撮像部302で撮像される。撮像部302の撮像結果(撮像部302が撮像した画像)から、粒子pの位置を特定できる。例えば、拡大部301は対物レンズを含み、撮像部302は電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)を含む。あるいは、撮像部302の各画素は、フォトダイオード又は光電子倍増管で構成されてもよい。撮像部302は、例えば、所定の時間間隔ごとに粒子pを撮像する。なお、撮像部302は、光源500から出射されてセル201を透過した光を撮像してもよいし、光源500から出射されて粒子pによって散乱された光を撮像してもよい。
【0103】
情報処理部400(処理装置402)は、撮像部302の撮像結果から、粒子pの位置の時間的な変化を取得し、粒子pの位置の時間的な変化から粒子pの磁気泳動速度を測定する。
【0104】
また、情報処理部400(処理装置402)は、粒子pの撮像結果から粒子pの粒子径を測定する。例えば、情報処理部400(処理装置402)は、以下の処理を実行する。即ち、まず、撮像部302によって撮像された画像をモノクロ化し、その輝度を数値化する。次に、輝度値の微分値をしきい値と比較して粒子pの境界を設定する。次に、設定した境界から粒子pの面積を検出し、その面積に対応する円の半径から粒子径を求める。あるいは、粒子pの中心を規定し、粒子pの中心を通過する複数の直線を引き、各直線において粒子pの境界と交わる2つの点の間の距離の平均を求める。
【0105】
[評価支援方法]
続いて図5を参照して、本実施形態に係る構造体の評価支援方法について説明する。図5は、本実施形態に係る構造体の評価支援方法を示すフローチャートである。本実施形態に係る評価支援方法は、図2図4を参照して説明した分析装置100を使用して実行し得る。
【0106】
図5に示すように、まず、構造体の担持体から粒子p1を採取する(ステップS1)。具体的には、電気化学デバイスの電極部材から粒子p1を採取する。詳しくは、電極部材の一部を削り取り、削り取った電極部材の一部を粉砕して粒子p1を取得する。例えば、電気化学デバイスがリチウムイオンキャパシタである場合、正極の電極層から粒子p1を採取する。電気化学デバイスが電気二重層キャパシタである場合、正極の電極層又は負極の電極層から粒子p1を採取する。電気化学デバイスが燃料電池である場合、触媒層から粒子p1を採取する。
【0107】
次に、磁気泳動する粒子p1を観察して、観察結果から粒子p1の磁気泳動速度及び粒子径を測定する(ステップS2)。次に、測定した粒子p1の磁気泳動速度及び粒子径に基づいて粒子p1の体積磁化率を測定する(ステップS3)。
【0108】
次に、測定した粒子p1の体積磁化率に基づいて粒子p1の空隙率を測定する(ステップS4)。例えば、粒子p1と同じ種類の粒子p2を用意し、ステップS2及びステップS3と同様に、粒子p2の粒子径及び体積磁化率を測定する。次に、測定した粒子p2の体積磁化率及び粒子径に基づいて、粒子p2の本体部分の体積を測定する。更に、粒子p1の体積磁化率、粒子p1の粒子径、及び粒子p2の本体部分の体積に基づいて、粒子p1の体積、粒子p1に担持されている電解材料の体積、及び粒子p1に入り込んだ媒体の体積を測定する。次に、粒子p1の体積、電解材料の体積及び媒体の体積を参照して、粒子p1の空隙率Pを測定する。
【0109】
次に、測定した粒子p1の体積磁化率に基づいて、体積磁化率に対する粒子p1の数の割合を示すグラフ(粒子数グラフ)を作成する(ステップS5)。
【0110】
分析者は、作成された粒子数グラフに有意なピーク波形が含まれるか否かを判定する。分析者は、有意なピーク波形がグラフに含まれる場合、グラフから、ピーク波形の半値幅とピーク値との比の値(ピーク波形の比の値)を求める。そして、分析者は、ピーク波形の比の値が特定の範囲に含まれるか否かにより、構造体を評価する。
【0111】
なお、本実施形態では、空隙率の測定後に粒子数グラフを作成したが、空隙率の測定前に粒子数グラフを作成してもよい。また、本実施形態では、分析者がピーク波形の比の値を求めたが、情報処理部400が、粒子数グラフに有意なピーク波形が含まれるか否かを判定し、有意なピーク波形がグラフに含まれる場合に、ピーク波形の比の値を算出して、その算出結果を表示装置403に表示させてもよい。更に、情報処理部400が、ピーク波形の比の値が特定の範囲に含まれるか否かを判定し、その判定結果を表示装置403に表示させてもよい。
【0112】
以上、本発明の実施形態について図面(図1図5)を参照しながら説明した。本実施形態によれば、電気化学デバイスの特性を向上させることができる。なお、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【0113】
例えば、本発明の実施形態では、粒子数グラフを表示装置403に表示させたが、粒子数グラフを印刷してもよい。同様に、空隙率の測定結果を印刷してもよい。
【0114】
また、本発明の実施形態では、空隙率を測定したが、空隙率の測定は省略され得る。
【0115】
また、本発明の実施形態では、磁場生成部200が一対の永久磁石200a、200bを備えたが、磁場生成部200は、磁場勾配を生成するために一対の磁極片(ポールピース)を備えてもよい。あるいは、磁場生成部200は、磁場勾配を生成するために、電磁石、磁気回路、又は超電導磁石を備えてもよい。磁場生成部200が一対の磁極片を備える場合、一対の磁極片を構成する2つの磁極片は、例えば100μm以上500μm以下の一定距離の空隙を空けて配置される。セル201は、2つの磁極片の間の空隙に配置される。磁極片は、例えば、磁化された鉄片であり得る。鉄片は、例えば永久磁石、電磁石、磁気回路、又は超電導磁石によって磁化し得る。
【0116】
また、本発明の実施形態では、セル201がキャピラリー管であったが、セル201は、ガラスセル又はプラスチックセルであってもよい。ガラスセル及びプラスチックセルは、粒子pを含む媒体mを保持する凹部を有する。あるいは、ガラスセル及びプラスチックセルは、粒子pを含む媒体mが流れる流路を有する。セル201が、マイクロ流路を有するガラスセル又はプラスチックセルである場合、粒子pを含む液滴がマイクロ流路の一方端に滴下されると、毛細管現象によって液滴がマイクロ流路を流れる。
【0117】
また、本発明の実施形態では、分析装置100が光源500を備えたが、分析装置100は、光源500に替えてレーザーを備えてもよいし、光源500に加えてレーザーを更に備えてもよい。分析装置100が光源500とレーザーとを備える場合、光源500から光を出射する際には、レーザーからのレーザー光の出射を停止させ、レーザーからレーザー光を出射する際には、光源500からの光の出射を停止させる。レーザーを使用する場合、セル201に導入された粒子pにレーザー光を照射する。撮像部302は、粒子pによって散乱されたレーザー光(散乱光)を、拡大部301を介して撮像する。
【0118】
レーザー光を粒子pに照射する場合、キャピラリー管は、その軸方向に直交する断面形状が正方形の正方形型キャピラリーであることが好ましい。正方形型キャピラリーを使用することにより、セル201の側面のうちレーザー光が照射される面を鏡面仕上げにすることが容易になる。
【0119】
また、本発明の実施形態では、画像解析によって粒子pの粒子径を取得したが、粒子pのブラウン運動を解析して、粒子pの粒子径を測定してもよい。具体的には、キャピラリー管の軸方向(x方向)に直交する方向(y方向)における粒子pの位置の変化(変位)の分散から拡散係数を求め、この拡散係数から粒子pの粒子径を求めることができる。あるいは、レーザーを使用して、例えば動的光散乱法又は静的光散乱法に基づいて粒子pの粒子径を取得してもよい。
【0120】
また、本発明の実施形態では、情報処理部400(処理装置402)が粒子pの粒子径を測定したが、撮像部302が撮像した画像を表示装置403に表示させ、表示装置403に表示された画像から、分析者が粒子pの粒子径を測定してもよい。あるいは、撮像部302が撮像した画像を印刷して、印刷した画像から、分析者が粒子pの粒子径を測定してもよい。
【0121】
また、本発明の実施形態では、撮像部302が所定の時間間隔ごとに粒子pを撮像することにより、粒子pの磁気泳動速度を取得したが、レーザーを使用して、例えばレーザードップラー法に基づいて粒子pの磁気泳動速度を測定してもよい。
【0122】
また、本発明の実施形態では、磁気泳動速度の測定値に基づいて粒子pの体積磁化率を取得したが、SQUID素子、又は磁気天秤などを用いて粒子pの体積磁化率を取得してもよい。
【0123】
また、本発明の実施形態では、情報処理部400が粒子径を測定したが、粒子pの粒子径に文献値を利用してもよい。
【実施例
【0124】
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下で説明する実施例に限定されるものではない。
【0125】
[実施例1、2及び比較例1]
本実施例では、3種類の活性炭を用意して、3種類の試料を作製した。具体的には、活性炭、結着剤、及び導電助剤を主成分とするペースト状の試料を調製した。次に、ペースト状の試料を板状部材の表面に塗工して電極板を作製し、電解液の簡易的な代用品であるプロピレンカーボネートに電極板を浸漬させた。板状部材には、複数の貫通孔を有するアルミ箔を使用した。結着剤には、アクリルポリマ系バインダを使用した。導電助剤には、アセチレンブラックを使用した。その後、プロピレンカーボネートから電極板を取り出して、試料の一部を削り取り、削り取った試料の一部を乳鉢内で粉末状にした。そして、粉末状の試料を媒体(プロピレンカーボネート)中に分散させ、試料を分散させた媒体の一部を分取してセルに導入し、粒子個々の体積磁化率及び空隙率(媒体の体積(%))を測定した。更に、体積磁化率ごとに粒子の数を測定して、体積磁化率に対する粒子の数の割合(粒子数%)を示す棒グラフを作成し、棒グラフから粒子数グラフを作成した。なお、3種類の試料のうちの1つは比較例1である。
【0126】
測定時に印加した磁場の最大値は2.7Tであった。N極の永久磁石とS極の永久磁石との間隔は0.4mmであった。セルには、ガラス製の角形チューブ状セルを使用した。詳しくは、セルは、その軸方向に直交する方向の断面形状が、100μm×100μmの正方形であった。媒体には、プロピレンカーボネート(体積磁化率:-7.50×10-6)を使用した。
【0127】
表1に、実施例1の体積磁化率及び空隙率の測定結果を示す。
【表1】
【0128】
表2に、実施例2の体積磁化率及び空隙率の測定結果を示す。
【表2】
【0129】
表3に、比較例1の体積磁化率及び空隙率の測定結果を示す。
【表3】
【0130】
表1及び表2から明らかなように、実施例1の空隙率は85以上であった。また、実施例2の空隙率は80以上であった。一方、比較例1の空隙率は75以上ではなかった。
【0131】
図6は、実施例1の棒グラフを示す図である。図7は、実施例2の棒グラフを示す図である。図8は、比較例1の棒グラフを示す図である。また、図9は、実施例1の粒子数グラフを示す図である。図10は、実施例2の粒子数グラフを示す図である。図11は、比較例1の粒子数グラフを示す図である。図6図11において、縦軸は粒子数(%)を示し、横軸は体積磁化率を示す。詳しくは、図9に示す粒子数グラフは、図6に示す各棒グラフの頂点を線分で結び、それらの線分をスムージング処理して得た。同様に、図7図8に示す棒グラフから図10図11に示す粒子数グラフを得た。
【0132】
表4に、実施例1、実施例2、及び比較例1のそれぞれの半値幅、粒子数のピーク値(%)、及びピーク波形の比の値(半値幅とピーク値との比の値)の測定結果を示す。
【表4】
【0133】
図9に示すように、実施例1の粒子数グラフは有意なピーク波形を含み、表4に示すように、ピーク波形の比の値は、およそ0.06×10-6となった。また、図10に示すように、実施例2の粒子数グラフも有意なピーク波形を含み、表4に示すように、ピーク波形の比の値は、およそ0.33×10-6となった。したがって、実施例1のピーク波形の比の値は、1.0×10-6未満の範囲内に含まれていた。同様に、実施例2のピーク波形の比の値は、0.3×10-6以下の範囲内に含まれていた。一方、比較例1の粒子数グラフは、図11に示すように、ブロードな波形となり、表4に示すように、ピーク波形の比の値は、およそ1.17×10-6となった。
【0134】
また、実施例1の試料が塗工された電極板を用いてリチウムイオンキャパシタを製造した結果、単位重量当たりの静電容量は78[F]であった。同様に、実施例2の試料が塗工された電極板を用いてリチウムイオンキャパシタを製造した結果、単位重量当たりの静電容量は56[F]であった。比較例1の試料が塗工された電極板を用いてリチウムイオンキャパシタを製造した結果、単位重量当たりの静電容量は53[F]であった。よって、ピーク波形の比の値が1.0×10-6未満である実施例1、2は、比較例1と比べて、リチウムイオンキャパシタの性能を向上させた。
【0135】
[実施例3及び比較例2]
実施例3では、カーボンブラックに対してアイオノマーを0.3質量%複合化させた試料を用いた。比較例2では、試料として、カーボンブラックを用いた。実施例1、2及び比較例1と同様に、粉末状の試料を媒体中に分散させ、試料を分散させた媒体の一部を分取してセルに導入し、粒子個々の体積磁化率を測定した。但し、実施例1、2及び比較例1と異なり、媒体には水を使用した。更に、体積磁化率ごとに粒子の数を測定して、体積磁化率に対する粒子の数の割合(粒子数%)を示す棒グラフを作成し、棒グラフから粒子数グラフを作成した。
【0136】
表5に、実施例3及び比較例2のそれぞれの半値幅、粒子数のピーク値(%)、及びピーク波形の比の値(半値幅とピーク値との比の値)の測定結果を示す。
【表5】
【0137】
図12は、実施例3及び比較例2の粒子数グラフを示す図である。図12において、縦軸は粒子数(%)を示し、横軸は体積磁化率を示す。図12に示すように、実施例3の粒子数グラフは有意なピーク波形を含み、表5に示すように、ピーク波形の比の値は、およそ0.12×10-6となった。したがって、実施例3のピーク波形の比の値は、0.3×10-6以下の範囲内に含まれていた。一方、比較例2の粒子数グラフは、図12に示すように、ブロードな波形となり、表5に示すように、ピーク波形の比の値は、およそ1.0×10-6となった。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明は、電気化学デバイスに有用である。
【符号の説明】
【0139】
10 リチウムイオンキャパシタ
20 正極
21 集電体
22 電極層
30 負極
31 集電体
32 電極層
40 セパレータ
50 燃料電池
51 セパレータ
52 ガス拡散層
53 アノード電極触媒層
54 固体高分子電解質膜
55 カソード電極触媒層
100 分析装置
200 磁場生成部
201 セル
300 観察部
301 拡大部
302 撮像部
400 情報処理部
m 媒体
p 粒子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12