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特許7438561電気外科用発電機と電気外科用器具を相互接続するためのインタフェースジョイント
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電気外科用発電機と電気外科用器具を相互接続するためのインタフェースジョイント
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
A61B18/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021525800
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019081735
(87)【国際公開番号】W WO2020104419
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】1818869.8
(32)【優先日】2018-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】ゲオゲガン,レイフ
(72)【発明者】
【氏名】モニコ,ローハン
(72)【発明者】
【氏名】モリス,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】グリフォード,クレイグ
(72)【発明者】
【氏名】ホプキンズ,ヒュー
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,ルイス
(72)【発明者】
【氏名】プルータ,ロブ
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-500958(JP,A)
【文献】米国特許第05431673(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12-18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用発電機と電気外科用器具とを相互接続するためのインタフェースジョイントであって、
ハウジングであって、
前記電気外科用発電機から電磁エネルギーを受け取るための入口と、
出口と、
を有する、前記ハウジングと、
前記ハウジング上のスライド可能なトリガーであって、前記出口を通って前記ハウジングから外へ延びるプッシュロッドに取り付けられている、前記スライド可能なトリガーと、
前記出口を前記電気外科用器具に接続するためのシングルケーブルアセンブリであって、前記プッシュロッドを運ぶフレキシブルスリーブと前記入口に接続されている同軸ケーブルとを含む、前記シングルケーブルアセンブリと、
前記プッシュロッドの第1の部分に結合されて前記第1の部分を曲げに対して補強するための補強構造であって、前記第1の部分は部分的または完全に前記ハウジングの内側に配置されている、前記補強構造と、
を含む、前記インタフェースジョイント。
【請求項2】
前記補強構造が前記第1の部分に固定されて前記補強構造と前記第1の部分との間の相対的な動きを防止する、請求項1に記載のインタフェースジョイント。
【請求項3】
前記補強構造が前記第1の部分を取り囲むサポートチューブである、請求項1または2に記載のインタフェースジョイント。
【請求項4】
前記フレキシブルスリーブが、前記プッシュロッドの第2の部分を取り囲む内部チューブを含み、前記内部チューブは前記プッシュロッドに対して自由にスライドする、請求項1から3のいずれか1項に記載のインタフェースジョイント。
【請求項5】
前記内部チューブがシングルルーメンチューブである、請求項4に記載のインタフェースジョイント。
【請求項6】
前記プッシュロッドに結合され、前記プッシュロッド上の前記内部チューブの最大スライド距離を制限するように構成されたスライド制限機構をさらに含む、請求項4または5に記載のインタフェースジョイント。
【請求項7】
前記スライド制限機構が、前記内部チューブの遠位側で前記プッシュロッドの外面に固定された第1のストッパー要素を含み、前記第1のストッパー要素は、前記内部チューブが前記第1のストッパー要素を通過してスライドするのを防止するように構成されている、請求項6に記載のインタフェースジョイント。
【請求項8】
前記スライド制限機構が、前記内部チューブの近位側で前記プッシュロッドの前記外面に固定された第2のストッパー要素を含み、前記第2のストッパー要素は、前記内部チューブが前記第2のストッパー要素を通過してスライドするのを防止するように構成されている、請求項7に記載のインタフェースジョイント。
【請求項9】
前記第2のストッパー要素が、前記プッシュロッドの遠位端から間隔をあけられている、請求項8に記載のインタフェースジョイント。
【請求項10】
前記第1のストッパー要素及び前記第2のストッパー要素が、前記プッシュロッド上の前記内部チューブの前記最大スライド距離が4mmから10mmであるように互いに対して配置される、請求項8または9に記載のインタフェースジョイント。
【請求項11】
前記補強構造が前記第2のストッパー要素を含む、請求項2に直接的または間接的に依存する場合の、請求項8から10のいずれか1項に記載のインタフェースジョイント。
【請求項12】
前記ハウジングが、上部バレル部分と、前記上部バレル部分の近位端から離れて延びる下部隣接部分とを有するピストルのような形状を有し、
前記上部バレル部分は、その外面にスロットを含み、前記スライド可能なトリガーは、前記スロット内でスライド可能であるように前記上部バレル部分にスライド可能に固定され、前記スライド可能なトリガーは、前記ハウジングの外側の一体型のボタン部分と、前記ハウジング内部の一体型の細長い部分とを有し、前記ボタン部分は前記細長い部分よりも長さが短く、
前記スロットは、前記上部バレル部分の前記近位端に向かって配置され、前記ボタン部分は、前記細長い部分の近位端に向かって配置されている、
請求項1から11のいずれか1項に記載のインタフェースジョイント。
【請求項13】
前記上部バレル部分が、115mmから125mmの間の長さを有し、前記下部隣接部分が、100mmから110mmの間の長さを有する、請求項12に記載のインタフェースジョイント。
【請求項14】
前記スロットが、54mmから58mmの間の長さ、及び1.0mmから1.6mmの間の幅を有する、請求項12または13に記載のインタフェースジョイント。
【請求項15】
前記フレキシブルスリーブが、半径方向内側のポリマー層と半径方向外側のポリマー層との間にラップマウントされた編組チューブを含み、前記編組チューブは、ラップマウントされた編組ワイヤの2つ以上の半径方向に間隔をあけられた層を含む、請求項1から14のいずれか1項に記載のインタフェースジョイント。
【請求項16】
前記ラップマウントされた編組ワイヤの隣接する層は、反対のラッピング方向を有する、請求項15に記載のインタフェースジョイント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気外科用発電機と電気外科用器具を相互接続するためのインタフェースジョイントに関する。電気外科用器具は、組織を切断するため、及び/または止血のために(すなわち、血液凝固を促進するために)、電磁エネルギー(例えば、高周波及び/またはマイクロ波エネルギー)を生体組織に送達するためのものであり得る。
【背景技術】
【0002】
外科的切除は、人体または動物の体内から器官の一部を取り除く手段である。そのような器官は非常に脈管性である可能性がある。組織が切られる(分割または切断される)と、細動脈と呼ばれる小さな血管が損傷または断裂する。初期出血に続いて凝固カスケードが起こり、出血点を塞ぐために血液が凝血塊に変わる。手術中、患者が失う血液をできるだけ少なくすることが望ましいので、無血切断を提供するために様々な装置が開発されてきた。内視鏡手術の場合、出血も望ましくなく、血流が操作者の視界を覆い隠し、それが手術を長引かせ、手術を終了する必要が生じ、代わりに別の方法、例えば開腹手術を使用する可能性があるため、適切な方法で対処する必要がある。
【0003】
電気外科用発電機は、病院の手術室で普及しており、開腹及び腹腔鏡手術で使用されることが多く、外科用スコーピングデバイス、例えば内視鏡などでますます使用されている。内視鏡手術では、電気外科用アクセサリは通常、内視鏡内のルーメンを通して挿入される。腹腔鏡手術の同等のアクセスチャネルと比較すると、このようなルーメンは口径が比較的狭く、長さが長くなっている。
【0004】
鋭い刃の代わりに、高周波(RF)エネルギーを使用して生体組織を切断することが知られている。RFエネルギーを使用して切断する方法は、電流が(細胞のイオン含有量と細胞間電解質によって支援されて)組織マトリックスを通過するときに、組織を横切る電子の流れに対するインピーダンスが熱を生成するという原理を使用して動作する。実際には、組織の含水量を気化させるために細胞内で熱を発生させるのに十分なRF電圧を組織マトリックス全体に印加するように器具が配置されている。しかしながら、この乾燥の増大の結果として、特に器具のRF放出領域(組織を通る電流経路の最も高い電流密度を有する)に隣接して、組織と器具との間の直接の物理的接触が失われる可能性がある。印加された電圧は、この小さなボイド全体の電圧降下として現れ、これにより、ボイド内でイオン化が生じて、プラズマが発生する。プラズマは、組織と比較して非常に高い体積抵抗率を有している。器具に供給されるエネルギーはプラズマを維持し、つまり、器具と組織の間に電気回路を完成させる。プラズマに入る揮発性物質は気化することができ、したがって知覚は組織を切開しているプラズマについてのものである。
【0005】
GB2523246は、生体組織にRF電磁エネルギー及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを印加するための電気外科用器具を記載している。この器具は、外科用スコーピングデバイスの器具チャネルを通して挿入可能なシャフトを含む。シャフトの遠位端には、その反対側の表面に第1及び第2の導電層を有する第1の誘電体材料のシートから形成された平面伝送線路を含む器具先端がある。平面伝送線路は、シャフトによって運ばれる同軸ケーブルに接続されている。同軸ケーブルは、マイクロ波またはRFエネルギーのいずれかを平面伝送線路に供給するように配置されている。同軸ケーブルは、内部導体、内部導体と同軸の外部導体、及び外部導体と内部導体を分離する第2の誘電体材料を含み、内部導体と外部導体は、接続界面で第2の誘電体を超えて延在し、伝送線路の反対側の表面と重なり、それぞれ、第1の導電層及び第2の導電層に電気的に接触する。器具はさらに、平面伝送線路とは反対側を向く滑らかな輪郭の凸状下面を備えた保護外殻を含む。下面は、その中に形成された長手方向に延びる凹んだチャネルを含む。引き込み式の針が器具内に取り付けられ、器具の遠位端から突き出るように凹んだチャネルを通って延びるように動作可能である。針は、RFまたはマイクロ波エネルギーが印加される前に治療ゾーンに流体を注入するために使用できる。
【0006】
GB2523246は、(i)流体供給、(ii)針移動機構、及び(iii)エネルギー供給(例えば、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを供給するケーブル)のすべてをシングルケーブルアセンブリに統合するためのインタフェースジョイントについても説明している。ケーブルアセンブリは、従来の内視鏡の器具チャネルを通って適合するサイズにすることができる。より具体的には、インタフェースジョイントは、電気絶縁材料で作られたハウジングであって、電気外科用発電機から無線周波数(RF)電磁(EM)エネルギー及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを受け取るための第1の入口と、流体を受け取るための第2の入口と、出口と、を有する、ハウジングと、出口を電気外科用器具に接続するためのシングルケーブルアセンブリであって、第2の入口と流体連結している流体流路を画定し、第1の入口に接続された同軸ケーブルを運ぶフレキシブルスリーブを含むシングルケーブルアセンブリと、を含んでいる。また、インタフェースジョイントは、ハウジング上にスライド可能なトリガーを含むことができ、スライド可能なトリガーは、出口を通ってハウジングから外に延びるプッシュロッドに取り付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
最も一般的には、本発明は、GB2523246で論じられているインタフェースジョイントの概念の発展を提供する。発展は、プッシュロッドの補強を含み得る。このようにして、プッシュロッドの損傷及びその結果としての誤動作の可能性を減らすことができる。
【0008】
さらに、フレキシブルスリーブは、プッシュロッドを取り囲み、プッシュロッドに対して自由にスライドする内部チューブを含むことができる。発展には、プッシュロッドにわたる内部チューブの最大スライド距離を制限することが含まれ得る。このようにして、内部チューブの損傷とその結果としての誤動作の可能性を減らすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、電気外科用発電機と電気外科用器具とを相互接続するためのインタフェースジョイントを提供し、インタフェースジョイントは、電気外科用発電機から電磁エネルギーを受け取るための入口と、出口とを有する、ハウジングと、ハウジング上のスライド可能なトリガーであって、出口を通ってハウジングから外へ延びるプッシュロッドに取り付けられている、スライド可能なトリガーと、出口を電気外科用器具に接続するためのシングルケーブルアセンブリであって、プッシュロッドを運ぶフレキシブルスリーブと入口に接続されている同軸ケーブルとを含む、シングルケーブルアセンブリとを含む。
【0010】
インタフェースジョイントはまた、流体を受け取るための第2の入口を含むことができる。また、フレキシブルスリーブは、第2の入口と流体連結している流体流路を画定することができる。したがって、電磁エネルギーを受け取るための前述の入口は、「第1の」入口と呼ぶことができる。
【0011】
電磁エネルギーは、無線周波数(RF)エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを含むことができる。電気外科用発電機は、生体組織の治療のためにRF EMエネルギーまたはマイクロ波周波数EMエネルギーを送達することができる任意のデバイスであり得る。例えば、WO2012/076844に記載されている発電機を使用することができる。
【0012】
電気外科用器具は、使用中に生体組織の治療のためにRF EMエネルギーまたはマイクロ波周波数EMエネルギーを使用するように準備されている任意のデバイスであり得る。電気外科用器具は、切除、凝固、及び焼灼のいずれかまたはすべてのために、RF EMエネルギー及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを使用することができる。例えば、器具は、本明細書に開示されるような切除デバイスであり得るが、代わりに、マイクロ波鉗子の対、マイクロ波エネルギーを放射及び/またはRFエネルギーを結合するスネア、ならびにアルゴンビーム凝固器のいずれかであってもよい。
【0013】
インタフェースジョイントは、プッシュロッドの第1の部分に結合されてその第1の部分を補強するための補強要素(または構造)を含み得る。第1の部分は、部分的または完全にハウジングの内側に配置することができる。さらに、第1の部分は、部分的に(i)出口の内側、(ii)シングルケーブルアセンブリの内側、または(iii)両方の内側にあってもよい。例えば、プッシュロッドを完全に引き込むためにスライド可能なトリガーが作動されるとき、補強要素は、例えば出口またはシングルケーブルアセンブリ(またはフレキシブルスリーブ)の内部ではなく、ハウジングの内側だけに配置することができる。追加的または代替的に、スライド可能なトリガーがプッシュロッドを完全に伸ばすように作動されるとき、補強要素は、ハウジング及び出口、そして場合によってはシングルケーブルアセンブリ(及びフレキシブルスリーブ)の内側に配置されてもよい。このようにして、プッシュロッドは、ハウジングの自由空間に配置されている間、強化され、支持され得る。次に、プッシュロッドを伸ばしたり縮めたりする際のスライド可能なトリガーの動作は、プッシュロッドが曲げやその他の損傷を受けにくいため、信頼性が向上する。その結果、プッシュロッドを操作する際のスライド可能なトリガーの動作がより一貫したものになり、それにより、ユーザによる制御が容易になる。例えば、補強要素は、第1の部分を取り囲むサポートチューブである。サポートチューブはステンレス鋼でできていてもよい。また、サポートチューブを第1の部分に固定して、サポートチューブと第1の部分との間の相対的な動きを防ぐことができる。一実施形態では、サポートチューブは、機械的圧着及び/または接着剤(例えば、紫外線接着剤)によって第1の部分に固定されている。追加的または代替的に、サポートチューブは第1の部分にレーザー溶接されてもよい。
【0014】
フレキシブルスリーブは、プッシュロッドの第2の部分を取り囲む内部チューブを含み、内部チューブは、プッシュロッドに対して自由にスライドする。第2の部分は、補強要素の遠位側であり得る。第2の部分は、シングルケーブルアセンブリの内部に部分的または完全に配置され得る。さらに、第2の部分は、部分的に(i)ハウジングの内側、(ii)出口の内側、または(iii)両方の内側にあってもよい。例えば、スライド可能なトリガーがプッシュロッドを完全に伸ばすように作動される場合、内部チューブは、例えば出口やハウジングの内部ではなく、シングルケーブルアセンブリ(及びフレキシブルスリーブ)内だけに配置することができる。追加的または代替的に、プッシュロッドを完全に引き込めるようにスライド可能なトリガーが作動されるとき、内部チューブは、シングルケーブルアセンブリ及び出口、そして場合によってはハウジングの内側に配置されてもよい。内部チューブは、複数の異なる用途のための単一のチャネルを画定することができるシングルルーメンチューブであり得る。例えば、シングルルーメンチューブはプッシュロッドを担持することができる。また、インタフェースジョイントが流体を受け取るための第2の入口を含む場合、シングルルーメンチューブは、器具とインタフェースジョイントとの間に流体流路を提供するための流体供給導管を担持することができる。追加的または代替的に、シングルルーメンチューブは、器具とインタフェースジョイントとの間に流体流路を提供するための開放部分を有することができ、すなわち、別個の流体導管は必要とされない。このように、流体流路は内部空洞をあふれさせる可能性があり、プッシュロッドは流体に浸される可能性がある。したがって、シングルルーメンチューブの機能は、プッシュロッドに潤滑性を提供することであり得る。しかしながら、別の実施形態では、内部チューブは、マルチルーメンチューブ、または複数のチャネル(例えば、2つ、3つ、またはそれ以上)を画定する押し出されたセパレータ要素を有するシングルルーメンチューブであってもよい。例えば、別個のルーメン/チャネルは、流体流路及びプッシュロッドのうち1つ以上を担持することができる。
【0015】
インタフェースジョイントは、プッシュロッドに結合され、プッシュロッド上の内部チューブの最大スライド距離を制限するように構成されたスライド制限機構を含み得る。このようにして、チューブが損傷したり、他のコンポーネントに損傷を与えたりするのを避けるように、内部チューブの動きが制限される。しかしながら、スライド制限機構は、内部チューブの一定量の移動を可能にするので、内部チューブは、プッシュロッドに対して(制限された方法で)移動することができるために、内部チューブへの損傷(例えば、摩擦による)は低減される。スライド制限機構は、内部チューブの遠位側でプッシュロッドの外面に固定された第1のストッパー要素(または構造)を含むことができ、第1のストッパー要素は、内部チューブが第1のストッパー要素を通過してスライドするのを防止するように構成される(例えば、寸法決め及び/または成形される)。さらに、スライド制限機構は、内部チューブの近位側でプッシュロッドの外面に固定された第2のストッパー要素(または構造)を含むことができ、第2のストッパー要素は、内部チューブが第2のストッパー要素を通過してスライドするのを防止するように構成される(例えば、寸法決め及び/または成形される)。このように、第1及び第2のストッパー要素は、内部チューブのスライド運動を制限する。例えば、第1及び第2のストッパー要素は、プッシュロッド上の内部チューブの最大スライド距離が4mmから10mm、好ましくは5mmに制限されるように、プッシュロッド上で離間されていてもよい。第2のストッパー要素は、プッシュロッドの遠位端から、例えば、3mmから7mm、好ましくは5mmだけ離間されていてもよい。第1のストッパー要素は、接着剤(例えば、UV接着剤)の小塊、粒、ビーズ、またはボールを含み得る。第1及び第2のストッパー要素は、プッシュロッドの円周の全部または一部のみを取り囲むことができる。第2のストッパー要素は、サポートチューブ(例えば、サポートチューブの遠位端)によって提供され得る。
【0016】
ハウジングは、電気絶縁材料でできていてもよい。ハウジングは、操作者に二重の絶縁バリアを提供することができ、つまり、ハウジングは、さまざまな入力が中でシングルケーブルアセンブリに統合される分岐通路(第2レベルの絶縁)を封入する外側ケーシング(第1レベルの絶縁)を含むことができる。分岐通路は、第2の入口(存在する場合)と出口との間の流体流路を画定し、同軸ケーブルを受け入れるための第1の入口に隣接する第1のポートを有する水密容積を提供し得る。この実施形態では、外側ケーシングは、UV封入を導くことができる。
【0017】
使用中、インタフェースジョイントは、器具での治療のための流体が導入される場所であり得る。インタフェースジョイントの操作者は、第2の入口(存在する場合)に取り付けられた注射器または他の流体導入機構を介して流体の導入を制御することができる。インタフェースジョイントはまた、電気外科用器具での流体送達を指示または制御するように作用する流体送達展開機構を含むことができる。例えば、上記のように、インタフェースジョイントは、ハウジング上にスライド可能なトリガーを含み、スライド可能なトリガーは、出口を通ってハウジングから外に延びるプッシュロッドに取り付けられている。プッシュロッドは、フレキシブルシャフトを通って電気外科用器具まで延びることができ、そこで流体送達構造を制御することができる。例えば、電気外科用器具は、プッシュロッドを前後にスライドさせることによって、フレキシブルシャフト内の流体流路との流体連結を行ったりやめたりするように切り替え可能な引き込み式針を含んでもよい。
【0018】
この配置では、分岐通路は、プッシュロッドを受け入れるためのスライド可能なトリガーに隣接する第2のポートを含み得る。
【0019】
第1のポート及び第2のポートの両方は、それぞれ同軸ケーブル及びプッシュロッドのための水密通路を画定するシーリング栓を含み得る。シーリング栓は、弾性変形可能な材料、例えば、シリコーンゴムから形成することができ、それによって同軸ケーブルとプッシュロッドは、材料を通過するときに材料に封入される。この方法で第1及び第2のポートをシーリングすることは、インタフェースジョイントからの流体の唯一の経路が、フレキシブルスリーブの流体流路に沿って出口を通るということを意味する。
【0020】
分岐した通路は、任意の適切な構成を有することができる。一実施形態では、それは、出口に整列する第1の長さ、第1の長さの側から第1の長さに斜めの角度で延びる第2の長さ、及び第2の長さの側から延びる第3の長さを画定するために互いに接続された、一対のY字型導管から形成されている。Y字型導管の一方または両方は、ポリカーボネートまたはアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)でできている。第1の長さは、それを通って延びるプッシュロッドを有することができ、そしてシーリング栓のその近位端で終端し得る。第2の長さは、それを通って延びる同軸ケーブルを有することができ、そしてシーリング栓のその近位端で終端し得る。第3の長さは、流体を受け取るための第2のポートで終端することができる。この配置では、ハウジングはピストルのような形状をとることができる。しかしながら、別の実施形態では、分岐通路は、通路の異なる長さが互いに実質的に平行に走る、よりコンパクトな構成を有することができる。この配置では、ハウジングは、操作者の手に収まるサイズの細長いカプセルであり得る。
【0021】
ハウジングがピストルのような形状を有する場合、この形状は、上部バレル部分と、上部バレル部分の近位端から離れて延びる下部隣接部分とを有し得る。例えば、上部バレル部分は、ハウジングの遠位端(すなわち、出口の近位端)から上部バレル部分の近位端まで測定して、115mmから125mmの間、好ましくは120mmの長さを有する。また、下部隣接部分は、ハウジングの遠位端(すなわち、出口の近位端)から下部隣接部分の近位端まで測定して、100mmから110mmの間、好ましくは105mmの長さを有する。
【0022】
また、ハウジング(例えば、上部バレル部分)は、その外面にスロットを含むことができ、スライド可能なトリガーは、スロット内でスライド可能であるように、ハウジング(例えば、上部バレル部分)にスライド可能に固定され、スライド可能なトリガーは、ハウジングの外側の一体型のボタン部分と、ハウジングの内側の一体型の細長い部分とを有し、ボタン部分は、細長い部分よりも長さが小さい(すなわち短い)。一実施形態では、スロットは、上部バレル部分の近位端に向かって配置され、ボタン部分は、細長い部分の近位端に向かって配置される。このようにして、ボタンは、スライド可能なトリガーがユーザにより容易にアクセス可能であり、それによりユーザによりより制御可能であるように、上部バレル部分の近位端に向かって配置することができる。例えば、スロットは、54mmから58mmの間、好ましくは56.2mmの間の長さ、及び1.0mmから1.6mmの間、好ましくは1.3mmの間の幅を有する。別の実施形態では、スロットは、25mmから31mm、好ましくは28mmの長さ、及び1.1mmから1.8mm、好ましくは1.4mmの幅を有する。スロット及びボタン部分を近位端に向けて配置すると、ボタン部分がユーザにとってより容易にアクセス可能であるため、制御が容易になり、すなわち、ユーザは、ボタン部分をスロットの全長に沿って動かすために手をあまり伸ばす必要がない。また、この構成では、ボタンのスライド距離を最大化して、プルロッドを移動できる距離を最大化することができる。次に、この追加のスライド距離により、スライド可能なトリガーがプッシュロッドの直線位置と湾曲位置との間の差を補償できるようになり、追加の力を提供して針フェルールがタイトな構成のときに摩擦を克服することができる。
【0023】
インタフェースジョイントは、複数の入力を、内視鏡の器具チャネルを通して挿入される前にシングルケーブルアセンブリに集めるのに特に適しているものであり得る。これを達成するために、ケーブルアセンブリは、フレキシブルビデオ結腸内視鏡の場合は9mm以下の外径、例えば2.8mm以下の外径を有し得る。
【0024】
内視鏡の器具チャネルの遠位端での器具の操作を容易にするために、フレキシブルスリーブは、その中に縦の編組を備えていることができ、トルクの伝達を補助して、すなわち、ケーブルアセンブリの近位端でのねじり運動をケーブルアセンブリの遠位端に伝達することができ、そこでそのねじり運動は、器具がケーブルアセンブリに取り付けられているため、器具の2方向回転を生じさせることができる。フレキシブルスリーブは、内側チューブ及び外側チューブを含むことができ、これらは、その間の金属化された編組のチューブと一緒に結合されるかまたは他の方法で取り付けられる。内側チューブまたは外側チューブは、ポリエーテルブロックアミドまたはPEBA(例えば、PEBAX(商標))などの熱可塑性エラストマーなどのポリマーから作製することができる。また、編組チューブは、2つ以上(例えば、3つ)の、ラップマウントされた編組ワイヤの半径方向に間隔をあけた層を含み得る。各層または各ラップは、複数のワイヤ、例えば6本のワイヤから成ることができる。一実施形態では、各ワイヤは、実質的に平坦な断面を有し得る。さらに、編組ワイヤの隣接する層は、反対の巻き付け方向を有し得る。編組のピッチは、ケーブルアセンブリの長さに沿って可変であり得る。例えば、ある領域、例えば柔軟性が重要なケーブルの遠位部分でピッチを広くすると有用な場合がある。金属化された編組が器具のRF場またはマイクロ波場と干渉するのを防ぐために、編組が存在しないフレキシブルスリーブの遠位部分が提供され得る。遠位部分は、別個に製造され、編組部分に取り付ける(例えば、結合または溶接する)ことができる。遠位部分は「ソフトチップ」と呼ばれ、使用中、内視鏡とともに移動できるよりフレキシブルな部分を形成することによってデバイスの操作を容易にすることができる。遠位部分はまた、器具の先端をフレキシブルスリーブに結合するように機能し得る。
【0025】
ハウジングは、出口に取り付けられ、フレキシブルスリーブを取り囲むストレインリリーフ要素をさらに含み得る。ストレインリリーフ要素の機能は、この位置でのスリーブの動きを制限して、内部コンポーネントに損傷を与える可能性のある過度の屈曲を防ぐことである。
【0026】
プッシュロッドの遠位端は、針がその遠位端にクランプされている針フェルールの近位端に接続することができる。フェルールは中空とすることができ、その外壁に1つ以上の開口部があり、それにより、その内部がフレキシブルスリーブを通る流体流路と流体連結している。フェルールの遠位端は、遠位端に取り付けられた針が流体流路と流体連結するように開いていてもよい。フェルールの近位端は、プッシュロッドによってシーリングすることができる。
【0027】
インタフェースジョイントは、インタフェース接続を介して第1の入口に取り付けられた同軸ケーブルを含むことができ、インタフェース接続は、同軸ケーブルに対するインタフェースジョイントの相対的な回転を可能にするように構成されている。
【0028】
本明細書において、無線周波数(RF)は、10kHzから300MHzの範囲の安定した固定周波数を意味することができ、マイクロ波周波数は、300MHzから100GHzの範囲の安定した固定周波数を意味することができる。RFエネルギーは、エネルギーが神経刺激を引き起こすのを防ぐのに十分高く、かつエネルギーが組織のブランチングもしくは不必要な熱マージンまたは組織構造への損傷を引き起こすのを防ぐのに十分低い周波数を有するべきである。RFエネルギーのための好ましいスポット周波数には、100kHz、250kHz、400kHz、500kHz、1MHz、5MHzのいずれか1つ以上が含まれる。マイクロ波エネルギーの好ましいスポット周波数には、915MHz、2.45GHz、5.8GHz、14.5GHz、24GHzが含まれる。
【0029】
本発明を具体化する実施例は、添付の図面を参照して以下に詳細に述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明が適用される完全な電気外科システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態であるインタフェースジョイントの断面図である。
図3図2に示すインタフェースジョイントの断面斜視図である。
図4A図2に示されるインタフェースジョイントで使用されるY字型コネクタの斜視図である。
図4B図4Aに示されるY字型コネクタを通る断面図である。
図5A図2に示されるインタフェースジョイントで使用されるストッパーの斜視図である。
図5B図5Aに示されるストッパーを通る断面図である。
図6】電気外科デバイス用の遠位端アセンブリの分解図である。
図7A】組み立てられた状態の図6の遠位端アセンブリの上面斜視図である。
図7B】組み立てられた状態の図6の遠位端アセンブリの底面斜視図である。
図8】一実施形態によるケーブルアセンブリの断面図である。
図9図2のインタフェースジョイントの特定の内部部品の概略図である。
図10A図9の詳細に描写された領域Aにおいて線X-Xに沿って取られた拡大断面図である。
図10B図9の詳細に描写された領域Aにおいて線X-Xに沿って取られた拡大断面図である。
図10C図9の詳細に描写された領域Aにおいて線X-Xに沿って取られた拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の様々な態様は、マイクロ波及びRFエネルギーの両方の制御された送達を通じてポリープ及び悪性腫瘍の除去のための内視鏡手術で使用するための電気外科侵襲器具を提供する電気外科システムの文脈で以下に提示される。しかしながら、本明細書に提示される本発明の態様は、この特定の用途に限定される必要はないことを理解されたい。それらは、RFエネルギーのみが必要とされる実施形態、またはRFエネルギー及び流体送達のみが必要とされる実施形態において等しく適用可能であり得る。
【0032】
図1は、侵襲性電気外科用器具の遠位端に、RFエネルギー、マイクロ波エネルギー、及び流体、例えば生理食塩水またはヒアルロン酸、のいずれかまたはすべてを選択的に供給することができる完全な電気外科システム100の概略図である。システム100は、制御可能な供給電磁(EM)エネルギーのための発電機102を含む。本実施形態では、EMエネルギーは、RF EMエネルギー及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーを含む。この目的のための適切な発電機は、参照により本明細書に組み込まれるWO2012/076844に記載されている。
【0033】
発電機102は、インタフェースケーブル104によってインタフェースジョイント106に接続されている。インタフェースジョイント106はまた、注射器などの流体送達デバイス108から流体供給107を受け取るように接続されている。インタフェースジョイント106は、トリガー110をスライドさせることによって動作可能な針移動機構を収容する。インタフェースジョイント106の機能は、発電機102、流体送達デバイス108及び針移動機構からの入力を単一のフレキシブルシャフト112に結合することであり、これは、インタフェースジョイント106の遠位端から延びる。シャフト112は、インタフェースジョイント106の一部を形成し得ることを理解されたい。インタフェースジョイント106の内部構成は、以下でより詳細に論じられる。
【0034】
フレキシブルシャフト112は、外科用スコーピングデバイス114の器具(作業)チャネルの全長を通して挿入可能である。トルク伝達ユニット116は、インタフェースジョイント106と外科用スコーピングデバイス114との間のシャフト112の近位の長さに取り付けられる。トルク伝達ユニット116は、シャフトと係合して、外科用スコーピングデバイス114の器具チャネル内でシャフトを回転させることができる。
【0035】
フレキシブルシャフト112は、外科用スコーピングデバイス114の器具チャネルを通過し、内視鏡のチューブの遠位端で突出する(例えば、患者の内部)ように形作られた電気外科用器具先端118を有する。器具先端には、RF EMエネルギー及び/またはマイクロ波EMエネルギーを生体組織に送達するためのアクティブチップと、流体を送達するための引き込み式皮下注射針が含まれている。これらの組み合わされた技術は、不要な組織を切断及び破壊するための独自のソリューションと、ターゲット領域の周囲の血管をシーリングする能力を提供する。引き込み式の皮下注射針を使用することにより、外科医は、治療される病変の位置を膨張させてマークするために、組織層間にマーカー染料を添加した生理食塩水及び/またはヒアルロン酸を注入することができる。この方法での液体の注入は、組織層を持ち上げて分離し、病変の周囲と粘膜下層を通る平面の両方を容易に切除し、腸壁の穿孔及び筋層への不必要な熱損傷のリスクを低減する。
【0036】
以下でより詳細に論じられるように、器具先端118は、組織プレーニングタイプの切除動作を支援するためにアクティブチップの下に配置された保護外殻をさらに含み、不注意な穿孔から保護し、残りの組織の生存能力を確実にするのを再び助け、それが次に迅速な治癒と術後の回復を容易にする。
【0037】
以下で論じる器具先端の構造は、内径が少なくとも3.3mmであり、チャネル長が60cmから170cmの間の作業チャネルを有する従来の操縦可能なフレキシブル内視鏡で使用するために特に設計することができる。こうして、比較的小さい直径(3mm未満)の器具の大部分は、はるかに大きく、主にポリマー絶縁のデバイス、すなわち、通常は11mmから13mmの外径を有するフレキシブル内視鏡チャネルのルーメン内に収容される。実際には、視野を遮ったり、カメラの焦点合わせに悪影響を与えたりしないように、遠位アセンブリの15mmから25mmだけが内視鏡チャネルの遠位端から突き出ている。遠位アセンブリの突出部分は、患者と直接接触する器具の唯一の部分である。
【0038】
通常、患者から50cmから80cmに保持される内視鏡作業チャネルの近位端で、フレキシブルシャフト112は、作業チャネルポートから出て、インタフェースジョイント106までさらに30cmから100cm延びる。使用中、インタフェースジョイント106は、通常、手術全体を通して手袋をはめたアシスタントによって保持される。インタフェースジョイント106は、拡張されたクリープ距離及びクリアランス距離を備えた一次及び二次電気絶縁を提供するような方法で、ポリマー材料から設計及び製造されている。インタフェースケーブル104は、時計回りまたは反時計回りの連続回転を可能にするように設計されたQMAタイプの同軸インタフェースを使用して発電機102に接続されている。これにより、インタフェースジョイント106は、ユーザの制御下でトルク伝達ユニット116と共に回転することができる。アシスタントは、交感神経器具の回転、針の制御、及び流体の注入でユーザを支援するために、手術全体を通してインタフェースジョイント106を支持する。
【0039】
図2及び図3は、本発明の実施形態であるインタフェースジョイント120の構造を示している。インタフェースジョイントは、いくつかの内部コンポーネントを包むハウジングまたは硬質プラスチックシェル122を含む。図2及び図3では、シェル122の半分が取り除かれて、ジョイントの内部が示されている。シェル122は、ピストルの形状であり、すなわち、それは、上部バレル部分121と、上部バレル部分の近位端から斜めの角度で離れて延びる下部隣接部分123とを有する。上部バレル部分121は針移動機構を含み、一方で下部隣接部分123は流体及びエネルギー供給のための接続を含む。一実施形態では、上部バレル部分は約120mmの長さを有し、下部隣接部分は約105mmの長さを有する。
【0040】
インタフェースジョイント120のコアは、1対のY字型導管124、126であり、これらは、互いに嵌合されて、分岐した通路を画定する。Y字型導管は、ポリカーボネートまたは他の適切な硬質プラスチック(例えば、ABS)から作製することができ、図4A及び図4Bにより詳細に示されている。
【0041】
図4A及び図4Bは、分岐通路が形成されるY字型導管250を示している。各Y字型導管は、第1の入口252と出口254との間にメインの直線チャネルを有し、第2のチャネルは、メインの直線チャネルに対して斜めの角度であり、第2のチャネルは、第2の入口256を有し、メインの直線チャネルにその長さに沿って約半分結合している。第1の入口252及び第2の入口256のそれぞれは、回転式ルアーロックフィッティング258を有する。
【0042】
図2及び図3に戻ると、分岐通路の第1の長さ128は、シェル122の上部バレル部分121に取り付けられ、それに沿った状態にある。第1の長さ128は、その近位端で、引き込み式針の展開を制御するためのプッシュロッド130を受ける。プッシュロッド130は、曲がった近位端132を有し、これは、スライド可能なトリガー135に、例えば、ヒートステーキングで、取り付けられている。スライド可能なトリガー135は、シェル122の内側に配置された一体型の細長い部分134と、シェル122の外側に配置された一体型のボタン部分136とを含む。プッシュロッド130は、細長い部分134の近位端に固定することができる。ボタン部分は、スライド可能なトリガー135の構造の大部分がシェル122内に配置されるように、細長い部分134よりも長さが短くすることができる。
【0043】
スライド可能トリガー135をより詳細に考慮すると、上部バレル部分121は、その外面にスロット137を含み、スライド可能なトリガー135は、スロット137内でスライド可能となるように上部バレル部分121にスライド可能に固定される。例えば、スライド可能なトリガー135は、スライド可能なトリガー135がスロット137の側面に沿ってスライドできるように、それぞれがスロット137の異なる側端を受け入れる側溝を伴って形成され得る。一実施形態では、スロットは、約56.2mmの長さ、及び約1.3mmの幅を有する。ボタン部分136は、インタフェースジョイント120のシェル122から突出し、その結果、ユーザの親指は、ボタン部分136を前後に動かすことができ、これにより、以下でより詳細に説明するように、プッシュロッド130と針フェルールのスライド運動を介して、針が遠位アセンブリにスライドして出入りする。一実施形態では、スロット137は、上部バレル部分121の近位端に向かって配置され、ボタン部分136は、細長い部分134の近位端に向かって配置される。スロット137及びボタン部分136を近位端に向かって配置すると、ボタン部分136が使用中のユーザにより容易にアクセス可能であるため、制御がより容易になる。すなわち、この構成は、例えば、シェル122の遠位端を保持するよりも人間の手にとってより快適であるため、ユーザは、インタフェースジョイントをその近位端に向かって保持する可能性が高い。また、シェル122の近位端を保持することによって、ボタン部分136のスライド距離を最大化して、プルロッド130が内側及び外側に移動できる距離(すなわち、その最大スライド移動距離)を最大化することが可能である。追加のスライド距離により、スライド可能なトリガー135がプッシュロッド130の直線位置と湾曲位置との間の差を補償できるようになり、追加の力を提供して針フェルールがタイトな構成のときに摩擦を克服することができる。さらに、追加のスライド距離は、曲がりくねった内視鏡の位置で針を伸ばすことを都合よく可能にすることができる。このような利点は、インタフェースジョイントを一般的に大きくすることで利用できる可能性があるが、これによりデバイスのかさばりが増し、したがって、取り扱いと制御が容易でなくなる。したがって、上記のようにスロット及びボタン部分を配置することにより、インタフェースジョイントの全体的なかさばりを増加させる必要なしに同じ利点が可能になる。
【0044】
第1の長さ128の近位端は、シリコーン栓138によってシーリングされており、これは、図5A及び図5Bにより詳細に示されている。図5A及び図5Bは、それぞれ、分岐通路の第1の長さの近位端をシーリングする栓138の斜視図及び断面図である。栓は、回転式ルアーロックフィッティング246及び、例えば、弾力性のある変形可能なゴム製の一体型のシーリングダイアフラム248を含む。
【0045】
図2及び図3に戻って、分岐通路の第2の長さ140は、下部隣接部分123に取り付けられ、それに沿った状態、すなわち第1の長さ128に対して斜めの角度をなす状態にある。第2の長さ140は、同軸ケーブル142を近位のQMAのタイプコネクタ144から第1の長さ128の近位端に運び、そこで同軸ケーブル142はプッシュロッド130に接触し、遠位出口146を通ってインタフェースジョイント120から出る。QMAタイプのコネクタ144は、発電機からのインタフェースケーブルに接続される。同軸ケーブル142は、パリレンCの30μm層でコーティングされたSucoform047同軸ケーブルとすることができる。同軸ケーブル142は、第2の長さ140の近位端にあるシリコーンシーリングプラグ148を通過することができる。
【0046】
分岐通路の第3の長さ150は、第2の長さ140から出て、外向きの流体受容ポート152を提供する。流体受容ポート152は、適切な注射器などとの係合をシーリングするためのねじ付きルアーロックフィッティングであり得る。シーリングプラグ148及び栓138は、分岐通路が水密にシーリングされるようにし、それにより、流体受容ポート152に導入された流体は、遠位出口146を通ってインタフェースジョイント120からのみ出ることができる。
【0047】
インタフェースジョイントの遠位出口146は、それを介して、内視鏡の器具チャネルに導かれるフレキシブルシャフト154の近位部分を受け入れる。フレキシブルシャフトは、以下で論じられるように、流体、プッシュロッド130、及び同軸ケーブル142を運ぶ。フレキシブルシャフト154の近位端は、分岐通路に直接結合され、その結果、上部バレル部分121に沿っていくらかの重なりが存在する。この結合された接合部は、引き伸ばされた手袋のようにフィットし、所定の位置に結合されるカバー156(例えば、シリコーンゴム)によってマスクされる。カバー156は、ストレインリリーフ要素として機能し、シャフトのフレキシブルベンドリストリクタの端部としても機能する。
【0048】
インタフェースジョイント120の主なユーザは、内視鏡医のアシスタントであり得る。使用中、操作者は通常、器具の遠位先端をフレキシブル内視鏡の作業チャネルに挿入するために内視鏡医に提供し、インタフェースジョイント120とインタフェースケーブル(発電機に接続されている)との間の電気接続を行い、次いで、手術全体を通して、インタフェースジョイント120自体を支持する。手術の間、操作者は、流体受容ポート152に取り付けられた5から20mLの注射器を介して必要に応じて膨張/マーカー流体を注入し、内視鏡医の指示に従って針スライダー134を操作することができる。
【0049】
フレキシブルシャフト154は、同軸ケーブル142、プッシュロッド130、及び流体を含む外側カニューレチューブを含む。フレキシブルシャフトの特定の内部構造については、図8を参照して以下で説明する。遠位アセンブリは、チューブに加えられた回転が遠位アセンブリに渡されることになる方法で、外側カニューレチューブに固定される。したがって、遠位アセンブリの回転可能な操作を可能にするために、トルク伝達ユニット(例えば、図1の116)は、その回転を容易にするために、フレキシブルシャフトに取り付けられる。
【0050】
スライド可能なトリガー135は、図2及び図3に示される実施形態のように、自由な相互運動を有し得る。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、ラッチ機構(図示せず)を提供して、スライド可能なトリガー135を完全に引き込まれた針の位置にロックして置いておくことができる。あるいは、スライド可能なトリガー135は、機構を引き込まれた状態にバイアスするバネ式の作用を有し得る。スプリングロードオプションを使用すると、ユーザ(アシスタント)は、流体を注入する間、スプリングに対してスライダーを前方に保持する必要がある。
【0051】
図6図7A及び図7Bは、一実施形態による、インタフェースジョイントと共に使用することができるアクティブチップを含む例示的な遠位アセンブリ214の詳細を示す。図6は、遠位アセンブリ214を形成する構成要素の分解図を示す。遠位アセンブリ214は、上で論じたフレキシブルシャフト154の外側カニューレチューブ216の遠位端に取り付けられている。トルク伝達関数を提供するために、外側カニューレチューブ216の大部分は、編組チューブ、例えば、半径方向内側のポリマー層と半径方向外側のポリマー層との間にラップマウントされた編組ワイヤ(例えば、ステンレス鋼)を含む編組チューブで形成されている。内側ポリマー層または外側ポリマー層は、ポリエーテルブロックアミドまたはPEBA(例えば、PEBAX(商標))などの熱可塑性エラストマーから作製され得る。また、編組チューブは、ラップマウントされた編組ワイヤの2つ以上(例えば、3つ)の半径方向に間隔をあけた層を含み得る。各ラップまたは各層は、複数のワイヤ、例えば6本のワイヤで構成することができる。また、ワイヤは平坦な断面を有することができる。さらに、編組ワイヤの隣接する層は、反対の巻き付け方向を有し得る。例えば、編組チューブは5つの層を有し得、半径方向に最も内側の層は反時計回りの巻き付け方向で巻き付けられ、その後の各層は次の巻き付け方向、つまり、時計回り、反時計回り、時計回り、及び反時計回りで巻き付けられ得る。しかしながら、編組材料がRF及び/またはマイクロ波周波数EMエネルギーの遠位アセンブリへの送達を妨害することを回避するために、外側カニューレチューブ216の遠位部分218は、純粋にポリマー層から、すなわち内部編組なしで作られる。
【0052】
外側カニューレ層216の遠位部分218は、保護外殻222の対応する近位部分220に適合する。保護外殻222は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)または他の任意の適切なエンジニアリングプラスチックから形成され、多くの機能、すなわち
- 遠位アセンブリのフレキシブルシャフトへの取り付け、
- アクティブチップのための保護下面の提供、
- 針のための保護ハウジングの提供、
- 同軸ケーブルに対するアクティブチップの位置決め、
を実行する。
【0053】
遠位アセンブリ214はアクティブチップ224を含み、これはその上面及び下面に導電層(例えば、金)を有する誘電体(例えば、アルミナ)の平面片である。アクティブチップ224の遠位端は湾曲している。導電層は、フレキシブルシャフト216によって搬送される同軸ケーブル142の内部及び外部導体に電気的に接続されている。同軸ケーブル142の遠位端で、その外部シースが取り除かれて、外部導体226の長さを露出させる。同軸ケーブルの内部導体228は、外部導体226の遠位端を超えて延びる。同軸ケーブル142及びアクティブチップ224は、内部導体228の突出部分がアクティブチップの第1の導電層上にあるように、互いに対して取り付けられ、一方、外部導体226は、導電性アダプタ要素230によって第2の導電層と電気的に接続されている。第1の導電層は、外部導体226から分離され、第2の導電層は、内部導体228から分離されている。
【0054】
組み立てる際に、図7A及び図7Bに示されるように、アクティブチップ224及び同軸ケーブル142は、外部導体から突出する内部導体228の部分にエポキシ接着剤を塗布することによって、互いにかつ外殻222に結合される。このエポキシ接着剤は、外側のカニューレチューブのためのエンドプラグを形成するのにも役立ち、つまり、インタフェースジョイントで導かれる流体の唯一の出口が針を通してであることを意味する液密シールである。
【0055】
外殻222は、例えばポリイミド製の針ガイドチューブ232を保持するためのくぼみを含む。使用中、遠位アセンブリ214は患者と密接に接触する。針234は、アクティブチップ224の遠位端を超えて伸ばされ、インタフェースジョイント上のスライダー機構の制御を介してガイドチューブ232の内側の位置に引き込むことができる。その伸ばされた位置で、針は、組織を局所的に膨張させてマーキングする目的で流体を注入するために内視鏡医によって使用される。アクティブチップ224上の導電層は、RF及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを送達するためのバイポーラ電極を形成する。
【0056】
針ガイド232は、遠位アセンブリの内側及び近位に後方に延在し、拡張されたクリープクリアランスを提供して、RF/マイクロ波活性化がアクティブチップ224の遠位先端領域全体でのみ発生することを確実にする。
【0057】
同様に、導電層236は、アクティブチップ224の遠位チップ領域の後ろに隠されていることが分かる。これは、アクティブチップの近位端での追跡/クリープ距離を増加させるために、上面及び下面の両方で行われ、RF/マイクロ波エネルギーがチップの遠位端と意図的なアクティブ要素に集中することをさらに確実にする。
【0058】
図8は、一実施形態による、インタフェースジョイントの一部を形成し得るフレキシブルシャフト154の典型的な断面を示している。上述のように、フレキシブルシャフトは、遠位アセンブリ214をインタフェースジョイントの他の部分に接続することができる。フレキシブルシャフト154は、2.3mまたは1.75mで、例えばインタフェースジョイントを遠位アセンブリに接続する器具の全長で動作することができる。使用中、このシャフトの長さの大部分は、フレキシブル内視鏡の作業チャネル内にある。フレキシブルシャフト154は、流体密カニューレ237及びユーザ/患者間の電気的バリアを形成する外側カニューレチューブ216(すなわち、上述の編組チューブ)と、それ自体がさらに絶縁されている同軸Sucoformケーブル142とを含む。外側カニューレチューブ216はまた、流体経路がカニューレの全長に沿って常に維持されることを保証しながら、プッシュロッド130のための低摩擦経路及び構造への安定性/支持を提供する内部チューブ238を収容する。一実施形態では、内部チューブ238は、シングルルーメンのPTFEチューブである。図8の実施形態では、プッシュロッドは、内部チューブ238内に含まれる流体に浸漬されている。
【0059】
フレキシブルシャフト154の長さを通して、同軸ケーブル142(例えば、Sucofolm047ケーブル)は、フレキシブル保護器具シャフトを形成する編組及び二重絶縁された外側カニューレチューブ216との複合構造の1つのルーメンを形成する。使用中にもたらされる潜在的な熱リスクを管理するために、発電機によるマイクロ波エネルギーの使用にアクティブ化制御を課すことができる。例えば、最初の印加段階では、アクティブ化は20秒(連続出力)に制限され、その後、遠位アセンブリの近位端への平均電力入射は4Wに制限することができる。この制御は、内視鏡医とは独立して、例えば発電機ソフトウェアを介して課すことができる。この制御を適切に行うと、インタフェースジョイントのすぐ遠位にある計器シャフトのポリマー表面で20秒間連続して活性化した後、40℃の温度が観察された。20秒後、内視鏡医によるさらなる継続的なマイクロ波のアクティブ化が発電機ソフトウェアによって自動的に中断されるため、続いて温度が低下する。最大限の20秒のアクティブ化能力は、240秒(12×20秒)が経過するまで防止することができる。
【0060】
実際には、先端での灌流が懸念され、腸壁に壁全体の厚さの損傷が生じる可能性があるため、凝固機能を10秒より長くアクティブにする必要がない場合がある。
【0061】
図9図10A図10B及び図10Cは、プッシュロッド130から針234への移行経路を示している。明確にするために、図9図10A図10B及び図10Cは、フレキシブルチューブ154、同軸ケーブル142、シェル122、または出口146などの上記の構成要素の多くを示していないことを理解されたい。それにもかかわらず、これらの構成要素は存在しており、それらはわかりやすくするために図9図10A図10B、及び図10Cの概略図には示されていないだけである。また、図2及び図3を参照して上記で説明したように、プッシュロッド130の近位端は、スライド可能なトリガー135に固定されていることも理解されたい。
【0062】
図9図10A図10B及び図10Cを考慮すると、針フェルール240は、その近位端でプッシュロッド130に接続され、その遠位端で針234に接続されている。針フェルール240の外面にある一組の穴242は、針234から外への送達のためにフレキシブルシャフトからの流体が入るのを可能にする。図10Aに示されるように、プッシュロッド130の遠位端はフェルール240の近位端に(例えば、溶接によって)固定される。ストッパー要素244は、プッシュロッド130の外面にプッシュロッドの遠位端に向かって固定されている。一実施形態では、ストッパー要素244は、遠位端(及び針フェルール240)から、約2mmから6mmの間隔をあけて配置されている。前述の内部チューブ238は、ストッパー要素244の近位側であるプッシュロッド130の一部を取り囲んでいる。サポートチューブ248は、内部チューブ238の近位側であるプッシュロッド130の別の部分を取り囲んでいる。さらに、プッシュロッド130の一部は、サポートチューブ248の近位端を超えて突出し得る。あるいは、図示されていないが、プッシュロッド130及びサポートチューブ248の近位端は、同じポイントで終端することができ、すなわち、どちらも他方を超えて突出しないようにできる。
【0063】
サポートチューブ248は、シェル122の内側に位置するプッシュロッドの一部を補強するように、プッシュロッド130に結合する補強要素を提供する。サポートチューブ248は、プッシュロッド130が完全に引き込まれているときにインタフェースジョイントのシェル122内に配置されるが、プッシュロッド130が完全に伸ばされると、サポートチューブ248の遠位端は、出口146及びフレキシブルシャフト154内に突出し得る。サポートチューブ248は、ステンレス鋼から製造することができる。また、サポートチューブ248は、サポートチューブ248と、サポートチューブ248が取り囲むプッシュロッド130の部分との間の相対的な動きを防ぐために、プッシュロッド130に固定することができる。例えば、サポートチューブ248は、機械的圧着または接着剤(例えば、UV接着剤)の一方または両方を介してプッシュロッド130に固定することができる。例えば、機械的圧着を最初に適用し、次に接着剤でシーリングすることができる。また、レーザー溶接を使用して、プッシュロッド130とサポートチューブ248を接合することができる。
【0064】
補強要素の機能は、シェル122の自由空間または空洞内に位置するプッシュロッド130の部分を強化することである。この部分は自由空間に位置するので、曲げ及び屈曲の影響を受けやすく、これは次に、針234の収縮及び伸長に影響を及ぼし得る。例えば、ユーザがスライド可能なトリガー135をスライドさせるとき、スライド力は、シェル122内のプッシュロッド130の一部を、軸方向にスライドする代わりに、または軸方向にスライドするのに加えて、さらに半径方向に曲げさせることができる。この曲げの結果、トリガーに加えられるスライドの量を考慮すると、端での針の動きが予想または所望よりも少なくなり得る。針の操作は繊細な外科的手術に関連しているため、曲げの影響は長期にわたる外科的手術になる可能性がある。したがって、補強要素の導入は、プッシュロッドが曲がる可能性を減らすようにプッシュロッドを強化する。次に、インタフェースジョイントとより広い電気外科システムの操作が改善される。
【0065】
いくつかの他の実施形態では、補強要素は、サポートチューブ248とは異なる形態をとることができることを理解されたい。例えば、別の実施形態では、補強要素は、シェル122の内側に配置されたプッシュロッド130の一部と平行であり、それに固定されている細長い構造とすることができる。細長い構造は、中実または部分的に中空であってもよい。細長い構造は、円形または長方形の断面を有してもよい。細長い構造は、プッシュロッド130と平行であり得るが、同軸ではなく、そして1つ以上の機械的固定具によってプッシュロッド130に固定することができる。この形態の補強要素は、細長い構造がプッシュロッド130に追加の強度を提供し、それによりシェル122内でのプッシュロッド130の曲げが回避されるという点で、前述のサポートチューブと同じように動作する。
【0066】
図9図10A図10B及び図10Cの実施形態に戻ると、内部チューブ238は、シェル122及び出口146の外側にあるプッシュロッド130の一部を取り囲んでいる。また、内部チューブ238は、サポートチューブ248の遠位側であるプッシュロッド130の一部を取り囲んでいる。一実施形態では、プッシュロッド130が完全に伸ばされているとき、内部チューブ238は、フレキシブルスリーブ154内で、出口146及びシェル122の外側に配置することができる。しかしながら、内部チューブ238の近位端は、プッシュロッド130が完全に引き込まれた状態になると、出口146及びシェル122内に突出し得る。内部チューブ238は、1つ以上のルーメンまたはチャネルを有することができる。しかしながら、示される実施形態では、内部チューブ238は、シングルルーメンチューブである。内部チューブ238は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)から作製することができる。内部チューブ238は、プッシュロッド130を搬送し、プッシュロッド130に対して自由にスライドする。すなわち、内部チューブ238の内径は、図8及び図10Bに明確に見られるように、プッシュロッド130の外径よりも大きい。しかしながら、インタフェースジョイントはまた、内部チューブ238がプッシュロッド130上をスライドできる量を制限するスライド制限機構を含む。一実施形態では、スライド制限機構は、内部チューブ238の遠位側でプッシュロッド130の外面に固定されるストッパー要素244を含む。ストッパー要素244は、内部チューブが第1のストッパー要素を越えてスライドするのを防ぐように構成される。例えば、ストッパー要素244は、内部チューブ238がその上をスライドするのを防ぐようなサイズ及び/または形状にすることができる。ストッパー要素244は、接着剤(例えば、UV接着剤)の小塊、粒、ビーズ、またはボールであり得る。したがって、ストッパー要素244は、プッシュロッド130の円周の一部のみを取り囲むことができる。あるいは、ストッパー要素244は、プッシュロッド130の円周を囲む小さな管状部分であってもよい。また、スライド制限機構は、内部チューブ238の近位側でプッシュロッド130の外面に固定された別のストッパー要素を含む。前と同様に、この、他のストッパー要素は、内部チューブ238がそれをすり抜けてスライドするのを防ぐように構成される。本実施形態では、他のストッパー要素は、サポートチューブ248の遠位端によって提供される。上記のように、サポートチューブ248は、プッシュロッド130に固定され、したがって、近位方向への内部チューブのスライドを制限する。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、専用の第2のストッパー要素が、内部チューブ238の近位端とサポートチューブ248の遠位端との間に含まれ得ることを理解されたい。例えば、第2のストッパー要素は、ストッパー要素244のようなものでもよい。
【0067】
スライド制限機構(例えば、ストッパー要素244及びサポートチューブ248の遠位端)の機能は、プッシュロッド130上の内部チューブ238の最大スライド距離を制限することである。例えば、最大スライド距離は、4mmから10mmの間に制限され得る。すなわち、内部チューブ238が2000mmの長さを有する場合、スライド制限機構の2つのストッパー要素は、2004mmから2010mmの間の分離距離でプッシュロッド130に固定され得る。このようにして、内部チューブ238は、4mmから10mmの間でスライドすることができる。したがって、内部チューブ238は、拘束された方法でプッシュロッド130上をスライドすることができる。拘束されていないスライドと比較した拘束されたスライドの利点は、内部チューブ238が針フェルール240で座屈し、引っ掛かり、または裂けることになりにくく、針の性能に問題を引き起こす可能性が低いことである。また、内部チューブ238は、プッシュロッド130と共に移動することができるため、内部チューブ238は、プッシュロッド130上であまり浮かず、そのことにより、プッシュロッド130に沿った摩擦による摩耗が低減される(すなわち、摩擦性能が向上する)。加えて、内部チューブ238への損傷の可能性が低減されるので、損傷した内部チューブ238の結果としてのシステムの他の部分への損傷の可能性も低減される。
【0068】
本発明の様々な実施形態は、例えば腸のポリープを除去するため、すなわち内視鏡的粘膜切除術または内視鏡的粘膜下層剥離術のための、下部及び上部消化管に関連する胃腸(GI)手術において特に適切であり得ることが理解されよう。本発明はまた、他の手術、例えば、一般外科または腹腔鏡手術に向いているものであり得る。本発明は、耳、鼻及び喉の手術及び肝臓切除において使用することができる。本発明はまた、膵臓に関連する手術に対処するために使用することができ、例えば、門脈または膵管に近接した腫瘍または異常を切除または除去することができる。
【0069】
前述の説明において、または以下の請求項において、または、それらの特定の形態で、あるいは、開示された機能を実行するための手段もしくは、開示された結果を取得する方法かプロセスに関して、適切に表される添付図面において、開示された特徴は、別個に、または、このような特徴の任意の組合せで、その多様な形態において本発明を実現するために利用することができる。
【0070】
本発明は、上記の例示的な実施形態と併せて説明されてきたが、本開示が与えられた場合、多くの同等の修正及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、上記の本発明の例示的な実施形態は、例示的であり、限定的ではないと見なされる。記載された実施形態に対する様々な変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【0071】
誤解を避けるために、本明細書で提供される理論的な説明は、読者の理解を向上させる目的で提供されている。本発明者らは、これらの理論的説明のいずれにも拘束されることを望まない。
【0072】
本明細書で使用されているセクションの見出しは、編成的な目的のみであり、説明されている主題を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0073】
以下の特許請求の範囲を含む本明細書全体を通して、文脈上別段の定めがない限り、「有する」、「含む(comprise)」、及び「含む(include)」という言葉、ならびに「有している」、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」及び「含んでいる(including)」などの変形は、指定された整数またはステップまたは整数もしくはステップのグループを含むことを意味すると理解されるが、他の整数またはステップまたは整数もしくはステップのグループを除外することはない。
【0074】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。範囲は、本明細書では、「約」1つの特定の値から、及び/または、「約」別の特定の値まで、として表すことができる。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から、及び/または他の特定の値まで、を含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行詞「約」を使用することにより、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。数値に関連する「約」という用語はオプションであり、例えば+/-10%を意味する。
【0075】
本明細書で使用される「好ましい」及び「好ましくは」という言葉は、いくつかの状況下で特定の利点を提供し得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同じまたは異なる状況下で他の実施形態もまた好ましい場合があることを理解されたい。したがって、1つ以上の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用ではないことを意味または暗示するものではなく、他の実施形態を本開示の範囲または特許請求の範囲から除外することを意図するものではない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C