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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
F16K31/04 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022029546
(22)【出願日】2022-02-28
(65)【公開番号】P2023125446
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小城 力樹
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 威
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 秀
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-148280(JP,A)
【文献】特開2012-052578(JP,A)
【文献】特開2002-350006(JP,A)
【文献】特開2003-148835(JP,A)
【文献】特開2018-179133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体を収容する弁室を含む弁本体と、
前記弁本体に連結されるキャンと、
モータのロータを回転自在に支持する支持軸と、
前記ロータの回転角度に応じて、前記弁体及び前記支持軸を軸線方向に変位させる変換機構と、
前記ロータの回転を減速して前記変換機構に伝達する減速機構と、
前記キャンに対して、前記支持軸を少なくとも軸線方向に移動可能に支持する軸支持部と、
軸線方向に沿って前記支持軸の端部と前記キャンとの間に配置される緩衝部と、を有し、
通常の使用範囲を超えて前記支持軸が変位したときに、前記支持軸が前記緩衝部に当接し、前記減速機構により増幅された軸力が前記支持軸から前記緩衝部に伝達される、
ことを特徴とする電動弁。
【請求項2】
前記軸支持部及び前記緩衝部は一つの部材として構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項3】
前記軸支持部は、前記支持軸を少なくとも軸線方向に移動可能に支持する貫通孔を備え、前記軸支持部とは別体の前記緩衝部により、前記貫通孔を遮蔽する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動弁。
【請求項4】
前記弁体が上昇したときに、前記支持軸の端部と前記緩衝部とが最先に当接する、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項5】
前記緩衝部の前記キャンに対する当接面積は、前記支持軸の軸線直交方向断面積よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の電動弁。
【請求項6】
前記減速機構は、遊星歯車減速機構である、
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電動弁は、例えば流体の配管系統の途中に組み付けられて、流体の流路の開閉や流量制御を行うために使用されている。例えば、特許文献1に示すような電動弁においては、遊星歯車減速機構を用いて、弁本体に装着されたステッピングモータのトルクを減速して弁体に伝達することで、精度良い流量制御と閉弁時の密封性を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-148280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動弁において、ロータ及び太陽歯車を回転自在に支持する支持軸が、弁体の開閉動作のため、ロータの回転に応じて上下動する構成となっている。支持軸の上端は、キャンの内側に取り付けられた支持部材の中央開口に対して、軸線方向に摺動可能に嵌合している。該中央開口は、支持部材を貫通している。
【0005】
ここで、特許文献1の電動弁において、弁体の通常使用されるストローク範囲内では、キャンに対して支持軸の上端が当接することはない。しかしながら、例えば電動弁を制御する制御装置において脱調などが生じた場合、通常使用されるストローク範囲を超えて支持軸が移動し、支持軸がキャンに当接することがある。
【0006】
このような当接が一時的なものであれば、支持軸もキャンも金属で形成されているため、直ちに破損が生じることはない。しかしながら、長期間の使用にわたって支持軸がキャンに頻繁に当接したときには、摩耗や変形等が懸念される。また、減速比が比較的高い遊星歯車機構などを用いて弁体を駆動するタイプの電動弁の場合、支持軸とキャンとの当接部の面圧が高まるため、両者に生じる摩耗や変形等が生じやすくなる
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、コストを抑えつつ信頼性を確保できる電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電動弁は、
弁体を収容する弁室を含む弁本体と、
前記弁本体に連結されるキャンと、
モータのロータを回転自在に支持する支持軸と、
前記ロータの回転角度に応じて、前記弁体及び前記支持軸を軸線方向に変位させる変換機構と、
前記ロータの回転を減速して前記変換機構に伝達する減速機構と、
前記キャンに対して、前記支持軸を少なくとも軸線方向に移動可能に支持する軸支持部と、
軸線方向に沿って前記支持軸の端部と前記キャンとの間に配置される緩衝部と、を有し、
通常の使用範囲を超えて前記支持軸が変位したときに、前記支持軸が前記緩衝部に当接し、前記減速機構により増幅された軸力が前記支持軸から前記緩衝部に伝達される、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コストを抑えつつ信頼性を確保できる電動弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る電動弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る電動弁の開弁状態を示す縦断面図である。
図3図3は、第1の実施形態の変形例に係る電動弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
図4図4は、第2の実施形態に係る電動弁の閉弁状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電動弁の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書では、ロータ側を上方として説明し、弁体側を下方として説明する。不思議遊星歯車減速機構は、遊星歯車減速機構の一タイプであるとする。
【0012】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動弁1の閉弁状態を示す縦断面図であり、図2は、第1の実施形態に係る電動弁1の開弁状態を示す縦断面図であるが、キャンの外側に配置されるステータは省略する。本実施形態の電動弁1は、例えば冷凍サイクルにおいて冷媒流量を調整するために用いられる。電動弁1の軸線をLとする。
【0013】
本実施形態の電動弁1は、弁室VCの内部に形成された弁座15を有する弁本体2と、ベースプレート31を介して弁本体2に固着された金属製で有頂円筒形状のキャン3と、キャン3の外部に装備されるステータ(不図示)及びキャン3の内部に装備されるロータ57からなるステッピングモータと、ロータ57の回転トルクを減速して伝達する減速機構6と、前記弁座15に接離して流体の通過量を制御する弁体4と、減速機構6の出力ギヤの回転運動をねじ送り機構(変換機構)27を介して直線運動に変換して弁体4を駆動するねじ駆動部材22と、から構成される。
【0014】
弁本体2には、弁室VCに連通する弁口16が軸線Lに沿って形成されるとともに、その弁口16側に第1配管T1がロウ付け等により接続され、弁室VCの側面に形成された開口18に連通するように第2配管T2がロウ付け等により接続されている。第2配管T2の軸線をOとする。軸線Oは、軸線Lと直交する。
【0015】
また、弁本体2の弁室VCの上部には、中央下端側に雌ねじ部13aが形成されたねじ軸受部材13が嵌挿され、圧入等により弁本体2に固定されている。
【0016】
キャン3の上端内側に、樹脂製の軸支持部81が取り付けられている。より具体的に、軸支持部81は、上端面をキャン3の下面に当接させた円筒部81aと、円筒部81aの周囲に配置されキャン3の内周に外周を当接させたフランジ部81bとを連設してなり、円筒部81aの下面中央には、上端が閉じた袋孔81cが軸線Lと同軸に形成されている。袋孔81cの内径は、支持軸8の外径に略等しい。キャン3に当接する円筒部81aの上端面の外径(当接面積)は、袋孔81cの外径(軸線直交方向断面積)より大きく、例えば3倍以上の径であると好ましい。袋孔81cの底面と円筒部81aの上端面との距離は、キャン3の厚みの2倍以上であると好ましい。軸支持部81とロータ支持部材56との間には、コイルばね82が配置され、ロータ支持部材56を下方に付勢している。本実施形態では、軸支持部81が緩衝部を兼ねており、すなわち軸支持部81と緩衝部とが一つの部材として構成されている。
【0017】
減速機構6は、同軸に配置され直列に接続された、第1段減速部61と、第2段減速部62とを有する。第1段減速部61は、ロータ57の内周側において、ロータ支持部材56に一体に形成された太陽歯車611と、弁本体2の上部に固着され上方に延在する薄肉筒状体64を介して固定された固定リング歯車612の上部と、太陽歯車611と固定リング歯車612との間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車613と、遊星歯車613を回転自在に支持するキャリア614とを有し、これらにより第1遊星歯車減速機構を構成する。
【0018】
第2段減速部62は、キャリア614と一体であって支持軸8に対して回転可能に支持された太陽歯車621と、固定リング歯車612の下部と、太陽歯車621と固定リング歯車612との間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車623と、遊星歯車623を回転自在に支持するキャリア624と、遊星歯車623に歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材625とを有し、これらにより不思議遊星歯車減速機構(第2遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車612の歯数は、出力歯車部材625の歯数とは異なるように設定されている。
【0019】
金属製の支持軸8は、ロータ支持部材56及び太陽歯車621を貫通して、これらと共に回転可能に保持されている。支持軸8の上端は、キャン3に取り付けられた軸支持部81の袋孔81cに嵌合し、回転方向及び軸線L方向に移動可能に支持されている。
【0020】
出力歯車部材625の底部中央には、ねじ駆動部材(出力軸)22の上部に形成された段付き円筒形状の出力軸部29の上部が圧入されている。この出力軸部29の上部開口には、支持軸8の下端が圧入により嵌合し、出力歯車部材625と支持軸8と出力軸部29とは一体的に回転するように構成されている。
【0021】
ねじ軸受部材13の雌ねじ部13aには、ねじ駆動部材22の下部に形成された雄ねじ部22aが螺合されている。出力歯車部材625(すなわち、ロータ57)の回転運動は、雄ねじ部22aと雌ねじ部13aとからなるねじ送り機構(変換機構)27により、軸線Lに沿って直線運動に変換される。
【0022】
出力歯車部材625は、ねじ駆動部材22に一体に連結され、出力歯車部材625(ロータ57)が回転すれば、出力歯車部材625とねじ駆動部材22は一体となって回転するとともに、弁本体2に対して軸線Lに沿って直線運動する。出力歯車部材625の昇降に応じて、出力歯車部材625の底面上に載置されたキャリア624及び遊星歯車623も支持軸8と一体となって昇降する。
【0023】
ボール23とボール受座24とからなるボール状継手25の下端が、弁体4の上端に同軸に圧入された円筒状のばね支持部材28の上端に当接している。弁体4及びばね支持部材28の周囲に配置された筒状のばねケース19は、拡径部19aと、縮径部19bと、拡径部19aの上端から径方向外側に延在する上端フランジ部19cとを連設してなる。上端フランジ部19cが弁本体2の内周段部に係合し、ねじ軸受部材13により固定保持されている。縮径部19bは、弁体4の外周を摺動可能に保持している。
【0024】
圧縮コイルばね26が、拡径部19aと縮径部19bの間の段部に下端を当接させ、ばね支持部材28に上端を係合させて、圧縮した状態で配置されており、それにより弁体4を常時開弁方向に付勢している。
【0025】
ねじ駆動部材22の直線運動は、ボール状継手25及びばね支持部材28を介して軸状の弁体4に伝達され、それにより弁体4は、ばねケース19により案内されて、軸線L方向に移動する。弁体4の下端は膨径した円盤状となっており、その下面にテーパ状の円錐面4aを形成している。
【0026】
弁体4が上昇したときに、互いに当接する可能性のある個所は、軸支持部81における袋孔81cの底面と支持軸8の上端、軸支持部81の下面とロータ支持部材56の上面、及び固定リング歯車612の下面と出力歯車部材625の上面である。
【0027】
図1に示す閉弁状態において、軸支持部81における袋孔81cの底面と支持軸8の上端との軸線方向最小間隔をAとし、軸支持部81の下面とロータ支持部材56の上面との軸線方向最小間隔をBとし、固定リング歯車612の下面と出力歯車部材625の上面との軸線方向最小間隔をCとしたときに、以下の関係式が成立する。
A<C (1)
A<B (2)
B≦C (3)
【0028】
関係式(1)を満たすことで、弁体4が上昇したときに、固定リング歯車612と出力歯車部材625とが当接する前に、袋孔81cの底面に支持軸8の上端が底付きする。このため、過大なトルクで固定リング歯車612と出力歯車部材625とが当接し合うことが阻止され、部材同士の噛み込みなどを抑制できる。
【0029】
関係式(2)を満たすことで、弁体4が上昇したときに、軸支持部81の下面とロータ支持部材56の上面とが当接する前に、袋孔81cの底面に支持軸8の上端が底付きする。このため、軸支持部81とロータ支持部材56とが当接し合うことが阻止され、当接部の摩耗などを抑制できる。
【0030】
関係式(3)を満たすことで、弁体4が上昇したときに、固定リング歯車612と出力歯車部材625とが当接すると同時、またはその前に軸支持部81とロータ支持部材56とが当接する。このため、過大なトルクで固定リング歯車612と出力歯車部材625とが当接し合うことが阻止され、部材同士の噛み込みなどを抑制できる。すなわち、本実施形態においては、弁体4が上昇したときに、軸支持部81における袋孔81cの底面と支持軸8の上端とが最先に当接する構成である。
【0031】
(電動弁の動作)
図1に示す閉弁状態では、弁体4の円錐面4aが弁座15に着座しており、弁室VCから流体が弁口16へと向かうことが阻止される。このため第2配管T2と第1配管T1との間における流体の移動が制限される。
【0032】
閉弁状態から、ステータに給電することにより、ステッピングモータのロータ57を回転駆動させると、ロータ57の回転トルクがロータ支持部材56を介して第1段減速部61の太陽歯車611に伝達され、第1の減速比で減速された回転トルクがキャリア614から出力される。
【0033】
さらに、キャリア614の受けた回転トルクが、第2段減速部62の太陽歯車621に伝達され、第2の減速比で減速された回転トルクが出力歯車部材625から出力される。出力歯車部材625の回転トルクは、出力軸部29に伝達される。
【0034】
出力軸部29の回転運動は、ねじ送り機構27により直線運動に変換され、それにより出力軸部29は弁体4と共に軸線方向に上昇し、円錐面4aが弁座15から離間して、図2に示す開弁状態となる。開弁状態では、円錐面4aと弁座15の隙間に応じた流量により、弁室VCから弁口16に向かって流体が流れる。このため第2配管T2と第1配管T1との間における流体の移動が許容される。
【0035】
開弁状態から、ステータに逆特性の給電を行うことにより、ロータ57が逆方向に回転するため、上述とは逆の動作で弁体4を下降させ、弁体4の円錐面4aを弁座15に着座させることにより閉弁状態とすることができる。
【0036】
仮に、制御装置の脱調などにより、通常の使用範囲を超えて弁体4が上昇した場合、上記関係式(1)~(3)に従い、固定リング歯車612と出力歯車部材625とが当接する前、および軸支持部81の下面とロータ支持部材56の上面とが当接する前に、袋孔81cの底面に支持軸8の上端が底付きすることとなる。袋孔81cの底面に支持軸8の上端が底付きした場合、その押圧力が軸支持部81を介してキャン3に伝達される。特に、電動弁1は第1段減速部及び第2段減速部により大きな減速比を有するため、支持軸8が相手部材に付与する力は過大となる。
【0037】
本実施形態によれば、キャン3に当接する円筒部81aの外径が、支持軸8の外径よりも大きいため、たとえ袋孔81cの底面に支持軸8の上端が底付きして過大な力を付与した場合でも、キャン3との当接面の面圧が大幅に低下することからキャン3の変形や破損を抑制でき、それによりコストを抑えつつ電動弁1のフェイルセーフ機能を確保できる。さらに、軸支持部81が樹脂製であることから、金属製であるキャン3及び支持軸8のいずれに対しても緩衝機能を発揮でき、破損などの不具合を回避できる。
【0038】
(変形例)
図3は、第1の実施形態の変形例に係る電動弁1Aの閉弁状態を示す縦断面図であり、同様にキャンの外側に配置されるステータは省略する。図3に示すように、本変形例においても、軸支持部81Aは、円筒部81Aaと、円筒部81Aaの周囲に配置されキャン3の内周に外周を当接させたフランジ部81Abとを連設してなる。ただし、円筒部81Aaを上下方向に貫通する貫通孔81Acが形成されている点が、第1実施形態と異なる。
【0039】
また、キャン3の下面と軸支持部81Aの上端との間には、緩衝部83Aが軸支持部81Aとは別体として、貫通孔81Acを遮蔽するように配設されている。緩衝部83Aは、キャン3の下面と軸支持部81の上面との間に挟持される円盤部83Aaと、円盤部83Aaに同軸に植設された短円筒部83Abとを連設してなり、短円筒部83Abは貫通孔81Acの上部に嵌挿されている。円盤部83Aaの外径(当接面積)は、支持軸8及び短円筒部83Abの外径(軸線直交方向断面積)よりも大きく、例えば3倍以上の径であると好ましい。また、短円筒部83Abの長さは、円盤部83Aaの厚みの2倍以上であると好ましい。軸支持部81A及び緩衝部83A以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0040】
本変形例においても、通常の使用範囲を超えて弁体4が上昇した場合、固定リング歯車612と出力歯車部材625とが当接する前、および軸支持部81の下面とロータ支持部材56の上面とが当接する前に、貫通孔81Acの内部において支持軸8の上端が短円筒部83Abに突き当たるため、キャン3の変形や破損を抑制できる。
【0041】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態の変形例に係る電動弁1Bの閉弁状態を示す縦断面図であり、同様にキャンの外側に配置されるステータは省略する。本実施形態においては、単一の遊星歯車減速機構を設けている。
【0042】
より具体的に、減速機構6Bは、第1段減速部61Bのみを有する。第1段減速部61Bは、ロータ57の内周側において、ロータ支持部材56Bに一体に形成された太陽歯車611Bと、薄肉筒状体64を介して弁本体2に固定された固定リング歯車612Bと、太陽歯車611Bと固定リング歯車612Bとの間に配置されてそれぞれに歯合する遊星歯車613Bと、遊星歯車613Bを回転自在に支持するキャリア614Bと、遊星歯車613Bに歯合する歯を内周に備えた有底筒状の出力歯車部材615Bとを有し、これらにより第1の減速比を有する不思議遊星歯車減速機構(第1遊星歯車減速機構)を構成する。固定リング歯車612Bの歯数は、出力歯車部材615Bの歯数とは異なるように設定されている。出力歯車部材615Bは、出力軸部29に連結され一体的に回転する。減速機構6B以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0043】
本実施形態においても、不図示のステータに給電することにより、ステッピングモータのロータ57を回転駆動させると、ロータ57の回転トルクがロータ支持部材56Bを介して第1段減速部61Bの太陽歯車611Bに伝達され、第1の減速比で減速された回転トルクが出力歯車部材615Bから出力される。出力歯車部材615Bの回転トルクは、出力軸部29に伝達される。
【0044】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されない。本発明の範囲内において、上述の実施形態の任意の構成要素の変形が可能である。また、上述の実施形態において任意の構成要素の追加または省略が可能である。例えば遊星歯車減速機構の代わりに、歯車対からなる減速機構を設けてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1、1A、1B 電動弁
2 弁本体部
3 キャン
4 弁体
6、6B 減速機構
8 支持軸
81、81A 軸支持部
83A 緩衝部
VC 弁室
T1 第1配管
T2 第2配管

図1
図2
図3
図4