(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】代掻き作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 35/04 20060101AFI20240219BHJP
A01B 33/12 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A01B35/04 B
A01B33/12 B
(21)【出願番号】P 2022205021
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2020035233の分割
【原出願日】2020-03-02
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000171746
【氏名又は名称】株式会社ササキコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100086184
【氏名又は名称】安原 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100167634
【氏名又は名称】扇田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】戸舘 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓未
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-099351(JP,A)
【文献】特開2007-151503(JP,A)
【文献】特開2019-170239(JP,A)
【文献】特開2009-219440(JP,A)
【文献】実公昭52-112407(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00 - 31/00
35/00 - 49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能な耕耘爪によって土壌を砕土する砕土部と、前記砕土部の後方で進行方向と直交する方向を軸にして回動可能に設け土壌を整地する整地部と、該整地部を回動方向に付勢する調圧部と、を備え、
該調圧部は、前記整地部と同方向に回動自在に一端側を支持されるとともに、他端側を前記整地部に設けた保持部材によって軸方向に摺動自在に保持されるロッドと、
前記整地部を整地面に近づくように付勢し、前記ロッドと同軸に設けた第1弾性体と、
前記整地部を整地面から遠ざけるようにし、前記ロッドと同軸に設けた第2弾性体と、
前記整地部と同方向に回動自在に一端側を支持されるとともに、前記保持部材を摺動させる長孔部を他端側に設け、前記ロッドを覆う回動規制部材と、
前記ロッドの軸方向を摺動可能に設け、前記第1弾性体の一端側を当接させることで伸縮を規制する規制体と、
を備えたことを特徴とする代掻き作業機。
【請求項2】
規制体が固定状態と固定解除状態を選択することが可能なことを特徴とする請求項1に記載の代掻き作業機。
【請求項3】
前記規制体を前記ロッドの軸方向に移動させるために前記回動規制部材に回動自在に設けた切換アームと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の代掻き作業機。
【請求項4】
前記切換アームは、回動を固定する固定手段と、
前記第1弾性体の付勢力を強める方向に前記規制体を移動させるように前記切換アームを付勢する第3弾性体と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の代掻き作業機。
【請求項5】
ロッドは、整地部よりも上部に設置した、
ことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の代掻き作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、代掻き作業機に係る。更に詳細には、代掻き作業機における折り畳み機構、あるいは整地部の連結機構にかかる。
【背景技術】
【0002】
代掻き作業機を用いて、代掻き作業機が有する整地部による整地作業においては、整地部に適正な圧力をかけて土壌に接地させることで、整地性能が向上する。作業圃場である泥水は軟弱圃場であるため、整地部が接地したときは、円滑に上方側に回動させる必要がある。円滑な上方回動により圃場面を抉ることなく整地部を接地させている。
【0003】
また、作業効率向上のため、作業幅は可能な限り広い方が良いが、使用する作業者の使用環境に合わせ、作業幅にバリエーションを持たせている。
作業幅を拡大させるとともに、作業以外の移動時の取扱性を向上させるものとしては、特許文献1「折畳み代掻き装置」記載の折畳み代掻き装置によって開示されている。この折畳み代掻き装置において、延長耕耘作業体を展開させて作業幅を拡大するときは、中央作業機の整地部と、延長耕耘作業体の整地部を連結させる機構を採用している。
延長作業体を側方に展開させて作業幅を拡大させた場合、中央作業体と延長作業体にそれぞれに設けた整地部が連結されて、一体となって上下回動することで、整地性能を発揮する。
【0004】
また、特許文献2「耕耘装置」記載の耕耘装置は、整地部である後部カバーの上方の弾下ロッドの後端に当たりが配置されている。この当たりによって、後部カバーの下方側への回動を規制するとされる。
また、同様に、整地体に連結するとともに、この整地体の上方に位置する加圧ロッドを備えたロータリ作業機が、特許文献3「ロータリ作業機のリヤカバーロック装置」によって開示されている。この装置は、ロッド端部の座金によってリヤカバーの回動を固定するものである。
加圧機構と減圧機構を共に具備した農作業機が、特許文献4「農作業機」で開示されている。この農作業機は、整地板を上方に付勢する第1ガススプリング、整地板を下方に付勢する第2ガススプリングを有していて、整地部を圃場面に対する加圧あるいは減圧が可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2007-061033号公報
【文献】特開2009―219440号公報
【文献】特開平9-135601号公報
【文献】特開2013―230129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2「耕耘装置」において、整地部である後部カバーの下方側への揺動を規制する当たりが、後部カバーの上方の弾下ロッドの後端に配置されている。代掻き作業に関し、整地部が圃場面である泥水上に設置したときにスムーズに上方に回動しないと、垂れ下がった整地部で圃場面を掘ってしまう問題があるため、この整地部を上方に付勢する減圧機構が必要である。この付勢部材を当たりと支持孔の間に配置するのが、容易な方法である。
【0007】
しかし、特許文献2「耕耘装置」の方法を特許文献1「折畳み代掻き装置」に採用する場合、整地部の連結は、整地部が下方側に回動した状態で行う。この時、減圧機構による揺動によって、整地部が上下揺動して整地部の連結に不都合が生じる。また、作業幅のバリエーションによって整地部の幅を変更した場合、減圧機構にも調整機構を付加する必要が出てくる。
特許文献2「耕耘装置」の当たりに調整機構をつけると、作業者が容易に取扱える取扱性と、整地部の揺動を規制する強度を両立する必要が出てくるため、この部分が過剰に複雑化かつ大型化することが懸念されている。特許文献3「ロータリ作業機のリヤカバーロック装置」においても同様のことが言える。
【0008】
特許文献4「農作業機」において、整地板を下方に加圧する第2ガススプリングは、整地部である整地板の回動支点より前方に大きく突出して配置することになる。すると、整地部の調圧に係る部材の占有面積が大きくなり、調圧部がコンパクトに配置できない問題がある。また、調圧部がコンパクト化、且つ、単純化できれば、空いたスペースに他の部品を配置が可能にできたり、部品の組み立て及びメンテナンスの容易化が可能となったりする。
【0009】
従来から、代掻き作業機において、ロッドとばねは備わっていた。更に、従来は、代掻き作業機の下部にあるカバー体で、整地体の回動規制をしていた。例えば、従来は、整地体の回動規制をする回動規制部材は、整地体の内側に設けていた。しかし、それでは、整地体の内側は圃場に面しており、圃場から跳ね上げた土壌等ごみが付きやすい。整地体の内側にごみ等が付着すると、整地体の上下動の位置がずれ、延長作業体が中央作業体の側方に位置する展開状態となるとき、互いの整地体の位置が揃わずスムーズな連結がしにくい課題を有した。
また、整地体が接地を開始する時において、整地体は圃場を整地しなければならないのに、寧ろ圃場の泥水に突き刺さってしまう現象も避けねばならない。
【0010】
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、調圧部を簡易構成としながらも、接地部の回動方向に対する両側への付勢力を付加可能な代掻き作業機を提供することを目的とする。
本発明では、整地体よりも上部に設置したロッドと、弾性体とを用いて、ロッドの回動規制をして、整地体の上下動を規制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、
回転可能な耕耘爪によって土壌を砕土する砕土部と、前記砕土部の後方で進行方向と直交する方向を軸にして回動可能に設け土壌を整地する整地部と、該整地部を回動方向に付勢する調圧部と、を備え、
該調圧部は、前記整地部と同方向に回動自在に一端側を支持されるとともに、他端側を前記整地部に設けた保持部材によって軸方向に摺動自在に保持されるロッドと、
前記整地部を整地面に近づくように付勢し、前記ロッドと同軸に設けた第1弾性体と、
前記整地部を整地面から遠ざけるようにし、前記ロッドと同軸に設けた第2弾性体と、
前記整地部と同方向に回動自在に一端側を支持されるとともに、前記保持部材を摺動させる長孔部を他端側に設け、前記ロッドを覆う回動規制部材と、
前記ロッドの軸方向を摺動可能に設け、前記第1弾性体の一端側を当接させることで伸縮を規制する規制体と、
を備えたことを特徴とする代掻き作業機、
に係る。
【0012】
この発明は、更に、
規制体が固定状態と固定解除状態を選択することが可能なことを特徴とする代掻き作業機、
に係る。
【0013】
この発明は、更に、
前記規制体を前記ロッドの軸方向に移動させるために前記回動規制部材に回動自在に設けた切換アームと、
をさらに備えたことを特徴とする代掻き作業機に係る。
【0014】
この発明は、更に、
前記切換アームは、回動を固定する固定手段と、
前記第1弾性体の付勢力を強める方向に前記規制体を移動させるように前記切換アームを付勢する第3弾性体と、
をさらに備えたことを特徴とする代掻き作業機、に係る。
【0015】
この発明は、更に、
ロッドは、整地部よりも上部に設置した、
ことを特徴とする代掻き作業機、に係る。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記課題に着眼してなされたものであり、整地部の回動方向の規制位置を安定させながら、整地部の回動方向に対する両側への付勢力を付加可能な代掻き作業機を提供する。
本発明では、整地体よりも上部に設置したロッドと、弾性体とを用いて、ロッドの回動規制をして、整地体の上下動を規制する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の実施例に係る機体の進行方向左側から見た全体の側面図である。
【
図2】この発明の実施例に係る機体の平面図である。
【
図3】この発明の実施例に係る機体の全体の進行方向後方側からみた正面図である。
【
図4】この発明の実施例に係る機体の調圧部を拡大した側面図であって、第1弾性体の付勢力を強める「強位置」で切換アームが固定状態であり、整地体が最下方への回動が、第1長孔部によって規制された状態をあらわす。
【
図5】この発明の実施例に係る機体のロッド軸方向からみた切換アームの
図4aa線概念断面図である。
【
図6】この発明の実施例に係る機体のロッド軸方向から見た保持部材の断面図である。
【
図7】この発明の実施例に係る機体のロッドの軸方向で切断した断面図であって、第1弾性体の付勢力を強める「強位置」で切換アームが固定状態であり、整地体が最下方への回動が、第1長孔部によって規制された状態をあらわす。
【
図8】この発明の実施例に係る機体のロッドの軸方向で切断した断面図であって、第1弾性体の付勢力を強める「強位置」で切換アームが固定状態であり、更に、整地体が上方に回動した状態をあらわす。
【
図9】この発明の実施例に係る機体のロッドの軸方向で切断した断面図であって、切換アームが固定解除状態であり、整地体の最下方への回動が、第1長孔部によって規制された状態をあらわす。
【
図10】この発明の実施例に係る機体のロッドの軸方向で切断した断面図であって、切換アームが固定解除状態であり、整地体が上方へ回動した状態をあらわす。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1は、この発明の実施例に係る代掻き作業機である。
11は、代掻き作業機1の中央作業体、11Lは、同左側の延長作業体、11Rは、同右側の延長作業体である。中央作業体11は、作業機1の中央部を構成する。延長作業体11Lは、作業機1の左側を構成し、中央作業体11の左側に設ける。延長作業体11Rは、作業機1の右側を構成し、中央作業体11の右側に設ける。
【0019】
2は、フレームである。フレーム2は、走行機体(図示せず)に装着可能な装着部20を有する。
212は、トップマストである。213は、ロワプレートである。ロワプレート213は、2個からなる。201は、トップリンクピンである。トップリンクピン201は、装着部20のトップマスト212先端に設ける。202は、ロアリンクピンである。ロアリンクピン202は、装着部20のロワプレート213先端に設ける。
トップマスト212に設けたトップリンクピン201と、2個のロワプレート213にそれぞれ設けたロアリンクピン202とで、代掻き作業機1を走行機体(図示せず)に装着する。
【0020】
21は、入力ケースである。211は、入力軸である。走行機体(図示せず)のPTO軸から、入力軸211を介して、入力ケース21に駆動力を導入する。
22は、パイプフレームである。パイプフレーム22は、入力ケース21の左右にそれぞれ取付ける。入力ケース21からの駆動力は、ベベルギヤを介して分配し、パイプフレーム22先端側にそれぞれ伝動する。
【0021】
23は、伝動ケースである。伝動ケース23は、パイプフレーム22先端側にそれぞれ取り付ける。
24は、サポートフレームである。サポートフレーム24は、伝動ケース23に連結する。
25は、支点部である。支点部25は、代掻き作業機1の中央作業体11と、左右の延長作業体11L、延長作業体11Rを、それぞれ回動自在に取り付ける。
【0022】
3は、砕土部である。砕土部3は、フレーム2に回転可能に支持されて土壌を砕土する。
3L(図示せず)は、左側の延長砕土部である。延長砕土部3Lは、砕土部3の左側部分に設け、延長作業体11L下部に設置する。
3R(図示せず)は、右側の延長砕土部である。延長砕土部3Rは、砕土部3の右側部分に設け、延長作業体11R下部に設置する。
【0023】
31は、ロータ軸である。ロータ軸31は、中央作業体11、延長作業体11L、延長作業体11Rに設け、入力ケース21からの駆動力により駆動する。
32は、耕耘爪である。耕耘爪32は、ロータ軸31周囲に突設させて設け、ロータ軸31の回動に伴い回動して、圃場を耕耘する。
【0024】
4は、カバー体である。カバー体4は、中央作業体11の砕土部3の上部を被覆するように設置する。
4Lは、カバー体である。カバー体4Lは、左側の延長作業体11Lの延長砕土部3Lの上部を被覆するように設置する。
4Rは、カバー体である。カバー体4Rは、右側の延長作業体11Rの延長砕土部3Rの上部を被覆するように設置する。
【0025】
41Lは、左支点フレームである。左支点フレーム41Lは、パイプフレーム22の延長砕土部3L側の支点部25に取り付ける。
41Rは、右支点フレームである。右支点フレーム41Rは、パイプフレーム22の延長砕土部3R側の支点部25に取り付ける。
【0026】
42は、第1土寄せ体である。第1土寄せ体42は、中央作業体11の左右のロアリンクピン202下部に設け、耕耘爪32で耕耘する前の土を機体幅の中央側に掻き集める。
42bは、第1土寄せ体支持部である。第1土寄せ体支持部42bは、第1土寄せ体42を中央作業体11の前部に取り付ける。
【0027】
43は、第2土寄せ体である。第2土寄せ体43は、第1土寄せ体42の外側の中央作業体11に取り付け、耕耘爪32で耕耘する前の土を、第1土寄せ体42の外側で機体幅の中央側に掻き集める。
43bは、第2土寄せ体支持部である。第2土寄せ体支持部43bは、第2土寄せ体43を中央作業体11の前部に取り付ける。
【0028】
44は、第3土寄せ体である。第3土寄せ体44は、第2土寄せ体43の外側の中央作業体11に取り付け、耕耘爪32で耕耘する前の土を、第2土寄せ体43の外側で機体幅の中央側に掻き集める。
45は、前部カバーである。前部カバー45は、カバー体4及びカバー体左4L及びカバー体右4Rの前端より前側に位置させている。さらに、前部カバー45の下端部はカバー体4及びカバー体左4L及びカバー体右4Rの前端より下方に位置させている。実施例において、前部カバー45はカバー体4の前方に配置している。前部カバー45はカバー体4と圃場面の間から前方に飛散する泥土等の飛散を防止する。
【0029】
46は、スタンドブラケットである。
スタンドブラケット46は、保管時に代掻き機を単独で接地させるためのスタンド(図示せず)を取り付けるための保持部材である。実施例の場合、伝動ケース23及びサポートフレーム24の前方部のカバー体4端部に設置することで、安定性を確保している。
【0030】
47は、後部土寄せ体である。後部土寄せ体47は、板状部材であり、ロータ軸31及び延長側ロータ軸左31L及び延長側ロータ軸右31Rのより進行方向の後方側に位置させるとともに、カバー体左4L又はカバー体4Rに取り付けられている。
後部土寄せ体47は代掻き作業機1の進行方向後部で、代掻き作業機1の進行に伴い、土寄せ作業を行う。
【0031】
5は、整地部(整地体)である。整地部(整地体)5は、砕土部3の後方且つカバー体4の後部で進行方向と直交する方向を軸にして回動可能に設け、砕土部3側の面を土壌に接触させることで、砕土部3が圃場を砕土した土壌を整地する。
51は、第1整地体である。第1整地体51は、中央作業体11に取り付ける。
5Lは、左整地体である。51Lは、左第1整地体である。左整地体5L、左第1整地体51Lは、延長作業体11Lに取り付ける。
5Rは、右整地体である。51Rは、右第1整地体である。右整地体5R、右第1整地体51Rは、延長作業体11Rに取り付ける。
【0032】
図1に図示する512は、支点軸である。支点軸512は、整地部(整地体)5を、砕土部3の後方で進行方向と直交する方向を軸にして回動可能に代掻き作業機1に取り付ける。
52は、ヒンジである。ヒンジ52によって、支点軸512に整地部(整地体)5を取り付け、上下方向へ回動自在に支持する。
53は、保持部材である。保持部材53は、整地部(整地体)5から起立させた2つの板によって、支点軸512と平行な回転軸で回動自在に保持されている。保持部材53は自身の回転軸と直交方向に孔532を有していて、この孔532に後述するロッド61を挿入する。
【0033】
図4、
図6に図示する531は、突出部である。突出部531は、保持部材53から支点軸512と平行な横方向に突設し、後述する回動規制部材64に設けられた第1長孔部641に係止する。
56は、第2整地体である。56Lは、左第2整地体である。左第2整地体56Lは、延長作業体11Lに取り付ける。
56Rは、右第2整地体である。右第2整地体56Rは、延長作業体11Lに取り付ける。
562は、回動支点である。回動支点562は、第2整地体56及び左第2整地体56L及び右第2整地体56Rの機体幅方向と平行な回動軸であって、第2整地体56及び左2整地体56L及び右第2整地体56Rを、この回動支点562を軸にして上下に回動可能にする。
【0034】
6は、調圧部である。調圧部6は、整地部(整地体5)を回動方向に付勢する。調圧部6は、ロッド61、第1弾性体62、第2弾性体63、回動規制部材64、規制体65、切換アーム66、固定手段67、第3弾性体68を有する。
611は、ロッド回動支点軸である。ロッド回動支点軸611は、回動規制部材64のフレーム2の近傍である一端側で整地部(整地体)5と同方向に、ロッド61を回動自在に支持する。
ロッド61は、他端側を前記整地部(整地体)5に設けた保持部材53によってロッド61の軸方向に摺動自在に保持される。保持部材53は、第1整地体51及び左第1整地体51L及び右第1整地体51Rの上下回動に伴って、ロッド61の軸方向に摺動する。
実施例において、ロッド61は丸棒状の部材で示したが、筒状部材を用いてもよく、また、断面形状は丸形に限らない。
【0035】
62は、第1弾性体である。第1弾性体62は、ロッド61と同軸にロッド61の周囲に巻き付けるように設け、ロッド回動支点軸611と保持部材53の間に位置させる。第1弾性体62は第1整地体51あるいは左第1整地体51Lあるいは右第1整地体51Rを砕土体3側に付勢することが可能である。砕土体3側に回動するように第1整地体51を付勢することで、第1整地体51を整地面に対する押圧力を増加させて、整地性能を向上させることができる。左第1整地体51L及び右第1整地体51Rも同様である。
65は、規制体である。規制体65は、ロッド61の軸方向を摺動可能に設け、かつ、ロッド回動支点軸611と第1弾性体62の間に設ける。規制体65を第1弾性体62のロッド回動支点軸611側の一端側を当接させることで、第1弾性体62の伸縮を規制する。規制体65をロッド61に対して相対的に動かすことで、第1弾性体62の伸縮を規制する位置を変えることができる。
第1弾性体62は、規制体65と保持部材53との間に挟んで設置する。規制体65の作動は切換アーム66によって行われる。切換アーム66が固定状態を取ると、第1弾性体62は、保持部材53を、ロッド61の他端側の先端方向に付勢する。
第1弾性体62は、保持部材53をロッド61先端方向に移動させることで、整地部(整地体)5を整地面に近づくように付勢する。規制体65は、ロッド61直交する方向に突出部651を設け、この突出部651を切換アーム66に連結することで、規制体65の規制位置を変更できる。規制体65の規制位置および切換アーム66の詳細構造は後述する。
【0036】
63は、第2弾性体である。第2弾性体63は、ロッド61と同軸に、保持部材53よりロッド61の他端側に、ロッド61の周囲に巻き付けるように設ける。
631は、係止部材である。係止部材631は、ロッド61のロッド回動支点軸611とは反対端であるロッド61の他端部に突設して設ける。
係止部材631は、図示するように、ロッド61先端側で、第2弾性体63のそれ以上のロッド61先端側への移動を阻止する。そのため、第2弾性体63は、ロッド回動支点軸611端側に、保持部材53を付勢する。
第2弾性体63は、保持部材53をロッド回動支点軸611方向に移動させるように付勢することで、整地部(整地体)5を整地面から遠ざけるように付勢する。
【0037】
第2弾性体63は、整地体5が回動方向の最下端位置から上方に回動する場合において、整地体5を上方に付勢する。これにより、整地体5が泥水状態の圃場面に接地した時において、整地体5が圃場面に突き刺さることなく、速やかに上方に回動させる効果がある。
この実施例では、第1弾性体62および、第2弾性体63をそれぞれ、ロッド61と同軸に設ける。そのため、保持部材53をロッド61の他端方向に移動させることで整地部(整地体)5を整地面に近づくように付勢する第1弾性体62と、保持部材53をロッド回動支点軸611方向に移動させることで整地部(整地体)5を整地面から遠ざけるように付勢する第2弾性体63とを併せて、限られたスペースの中で、設置することができる。
【0038】
64は、回動規制部材である。回動規制部材64は、ロッド61を覆うように設け、作業体の外側に位置して設けている。そのため、ロッド61に土壌や夾雑物等の異物の付着を防ぎ、整地体5の回動規制位置のずれを解消できる。
回動規制部材64は、フレーム2の近傍で整地部(整地体)5と同方向に回動自在に一端側をロッド回動支点軸611で、支持する。
【0039】
641は、第1長孔部である。642は、第2長孔部である。回動規制部材64の側部の前後2か所に長孔状に長孔部である第1長孔部641、第2長孔部642を設ける。第2長孔部642は、回動規制部材64のフレーム2の近傍で回動自在に支持されるロッド回動支点軸611寄りの一端寄りに設け、第2長孔部642の回動規制部材64他端である先端寄りに第1長孔部641を設ける。
規制体65は、突出部651を第2長孔部642の長孔に沿わせてロッド61を摺動する。突出部651と第2長孔部642により、規制体65がロッド61の軸周りに回動することなく、ロッド61を摺動できる。
【0040】
第1長孔部641、第2長孔部642はロッド61の軸方向に長く、且つ、ロッド61と平行に設ける。
突出部651、突出部531の径に応じて、第1長孔部641の方が、第2長孔部642よりも径が大きい。整地部(整地体)5の回動規制は、第1長孔部641の端部に突出部531が当接することによって行われる。特に下方側への回動規制は、整地部(整地体)5の自重が第1長孔部641の端部にかかる。この時、接触時の面圧を低下させるために、第1長孔部641と突出部531の接触面積を増加させる必要がある。このため、第1長孔部641の径を大きくしている。
643は、回動固定用孔である。回動固定用孔643は、回動規制部材64に複数設けられ、切換アーム66の回動を固定する。
【0041】
保持部材53は、突出部531が第1長孔部641の長孔に沿ってロッド61を摺動する。
後方側(自由端側)の第1長孔部641は、保持部材53の左右両端からピン状に突出した突出部531を案内する。整地体5(第1整地体)が上下に回動に伴うロッド61の摺動と共に、突出部531は第1長孔部641の内周側を移動する。突出部531と第1長孔部641により、第1整地体51あるいは左第1整地体51Lあるいは右第1整地体51Rは、第1長孔部641の範囲内で回動することができる。
651は、突出部である。突出部651は、規制体65の左右両端からピン状に突出する。
【0042】
前方側の第2長孔部642は、規制体65の左右両端からピン状に突出した突出部651を案内する。ロッド61に対して軸方向に摺動可能な規制体65は、第2長孔部642の範囲内において自由に移動可能である。また、突出部65と第2長孔部642によって、規制体65がロッド軸周りに回動することを防ぐ。
規制体65を長孔に沿って摺動させる第2長孔部642と、保持部材53を長孔に沿って摺動させる第1長孔部641を、別個に回動規制部材64の長手方向に設け、且つ、回動支点軸611側であるロッド61の一端側に第2長孔部642、ロッド61の他端側に第1長孔部641を設けることで、切替アーム66の作動と保持部材53の作動を円滑に行うことができる。
【0043】
図4、
図7乃至
図10に図示するように、ロッド61の一端側をフレーム22側の近傍で回動自在とすることで、ロッド61は、寝せる(水平状態とする)ことが可能である。
整地体5の回動によってロッド61が、ロッド61の自由端である先端が、上下方向に出たり入ったり出没することがないので、延長作業体11L,11Rが折畳状態でもロッド61が干渉する等の不都合がない。
【0044】
ロッド61は、更に、ロッド61の回動支点軸611をカバー体4ではなくフレーム22側に設けることで、作業によるカバー体4の変形によって支点位置が変動することがなく、整地体5の下方側の回動規制位置が安定する。
図4、
図7乃至
図10に図示するように、実施形態のロッド61の一端側は、フレーム22の後部から後方に突出させた部材に回動自在に設けているが、整地体5の回動に連動してロッド61が回動できれば取付位置に限定はない。例えば、カバー体4の剛性及び強度を向上させて、砕土部3を覆うカバー体4上でロッド61の一端側を回動自在に設けてもよい。
【0045】
ロッド61は、
図6に図示するように保持部材53に設けた孔532内をロッド61の軸方向に摺動する。すなわち、整地体5(第1整地体)が上下に回動に伴い、ロッド61の軸方向に保持部材53が摺動する。
【0046】
従来から、代掻き作業機1において、ロッドとばねは備わっていた。更に、従来は、代掻き作業機1の下部にあるカバー体4で、整地体5の回動規制をしていた。
例えば、従来は、整地体5の回動規制をする回動規制部材64は、
図4に図示する第1整地体51の内側に設けていた。しかし、それでは、第1整地体51の内側は圃場に面しており、圃場から跳ね上げた土壌等ごみが付きやすい。第1整地体51の内側にごみ等が付着すると、整地体5の上下動の位置がずれ、延長作業体11L,11Rが中央作業体11の左右側方に位置する展開状態となるとき、互いの整地体5の位置が揃わずスムーズな連結がしにくい課題を有した。また、整地体5が接地を開始する時において、整地体は圃場を整地しなければならないのに、寧ろ圃場の泥水に突き刺さってしまう現象も避けねばならない。
【0047】
この発明の実施例では、整地体5よりも上部に設置したロッド61と、第1弾性体62と、第2弾性体63とを用いて、ロッド61の回動規制をして、整地体5の上下動を規制する。
第1弾性体62は、整地部(整地体)5を整地面に近づくように付勢するとともに、第2弾性体63は、整地部(整地体)5を整地面から遠ざけるように付勢している。このため、回動方向における一端側から他端側に回動する場合、付勢方向の切り替えが、スムーズに移行できる。このため、整地体5の回動による整地面への押圧力は回動角度に比例するように変化させることができる。整地体5の砕土体3とは異なる側である、整地板5の上方に回動規制部材64を設けることで、整地面上のごみが詰まることはなく、安定した整地体5の回動規制が実現できる。また、回動規制部材64によって整地体5の上下回動を規制するので、ロッド61および第1弾性体62および第2弾性体63に依存することなく、この回動規制部材64だけで安定した回動規制が実現できる。
【0048】
ロッド61上で摺動可能な規制体65は、整地体5を加圧する第1弾性体62のみを任意の位置に固定することで調整ができる。
66は、切換アームである。切換アーム66は、回動規制部材64を跨ぐように、回動規制部材64の両側に、規制体65を前記ロッド61の軸方向に移動させるために回動自在に設ける。
【0049】
661は、回動支点軸である。回動支点軸661は、切換アーム66が回動する支点軸であり、切換アーム66を前後方向に回動自在にさせる。
662は、把持部である。把持部662は、切換アーム66の上端側に、両側の切換アーム66を連結するとともに、作業者が把持して操作する部材である。
【0050】
663は、長孔部である。長孔部663は、切換アーム66の一端部の把持部662と回動支点軸661を挟んだ反対端側に切換アーム66の長手方向に長孔状に設ける。長孔部663内周側には、規制体65の突出部651が位置する。切換アーム66の回動規制部材64に対する相対的な回動によって、長孔部663は突出部651を案内し、ロッド61に位置する規制体65を移動させることができる。
67は、固定手段である。固定手段67は、切換アーム66に設け、切換アーム66の回動を固定する。
664は、孔である。孔664は、切換アーム66に設ける、切換アーム66の回動を固定するための孔である。回動規制部材64に複数設けた回動固定用孔643のうちいずれか1か所の孔を選択し、孔664に合わせて、固定手段67を通すことで、切換アーム66の回動、規制体65の移動を固定状態にできる。実施例を示す
図4、
図7、
図8において、回動固定用孔643は2か所であり、整地板を整地面側に不勢する強の位置と弱の位置であり、強の位置で回動を固定した状態である。また、回動固定用孔643は2か所に限られるものではない。
【0051】
孔664、回動固定用孔643の孔の選択を、固定手段67を排除して解除することで、切換アーム66、規制体65の固定状態を解除する。孔664、回動固定用孔643の孔の選択の解除をすることで、規制体65は、ロッド61を自由に移動できる状態になる。
68は、第3弾性体である。第3弾性体68は、第1弾性体に接触可能な規制体65をロッド61の他端側に付勢する。
【0052】
第3弾性体68は、フレーム2と切換アーム66に掛け渡すように設け、第1弾性体62の付勢力を強める方向である、前記規制体65を第1弾性体62とともにロッド61の他端側に移動させる方向に切換アーム66を付勢する。
【0053】
切換アーム66を設けることで、作業者がリンク機構で作動する規制体65を、より容易に移動させることができる。
切換アーム66を固定する回動固定用孔643は、1個以上設けられることによって、回動の固定と解除が可能である。
また回動固定用孔643を複数向けた場合は、ロッド61に対する規制体65の位置を段階的な切り替えが可能となる。
【0054】
第3弾性体68は、切換アーム66の回動によって第1弾性体62を圧縮する方向(弾性力を蓄える方向)に付勢する。第3弾性体68は、規制体65および第1弾性体62を保持部材53に押圧する方向に付勢して規制体65および第1弾性体62の振動を防止する。これにより、ロッド61に位置する規制体65および第1弾性体62が振動し異音や異常摩耗の発生を抑制する。第3弾性体68は、第1弾性体62より弱く設定しているため、第1弾性体62が整地体5を付勢する作用に影響はしない。
【0055】
第3弾性体68は、第1弾性体62より弱く設定しているため、第1弾性体62および規制体65の異音や摩耗を抑制しながら、第1弾性体62の整地板への付勢作用を阻害しない。
【0056】
この発明の実施形態では、調圧部6は、折畳可能な作業体11L、11Rを有した代掻き作業機の中央作業体11の整地体5に設けているが、左右それぞれの延長整地体5L、5Rに設けてもよい。また、折畳機構を有しない代掻き作業機1に設置することも可能である。さらに、例示の調圧部6は、2か所に設けた場合を示したが、個数に限定はない。
【0057】
切換アーム66が回動規制部材64で回動自在状態である非固定時において、規制体65は、整地体5(第1整地体)が上下に回動に伴う第1弾性体62に押されてロッド61の軸方向に摺動する。第2長孔部642によって、移動が止まると、ロッド61に対する規制体65の動きは止まるので、規制体65と保持部材53に挟まれた第1弾性体62の弾性体は弾性力を蓄える。第1弾性体62は整地体5を下方に付勢可能な状態となる。
【0058】
切換アーム66は回動規制部材64上で回動可能な回動支点軸661によって回動可能である。切換アーム66は、一端側に作業者が把持して操作する把持部662と、他端側に規制体65を移動可能又は移動を固定する長孔部663を設ける。長孔部663は、切換アーム66の回動によって、規制体65の左右の突出部651を第2長孔部642でガイドさせながら、ロッド61の軸方向に移動させることができる。
【0059】
また、切換アーム66は回動を固定するための孔664を設け、回動規制部材64に複数設けた回動固定用孔643のうちいずれか1か所の孔を選択し固定手段67を通すことで、回動を固定状態にできる。切換アーム66の回動が固定状態のとき、規制体65はロッド61に対する移動も固定状態となるので、規制体65がロッド61に対して相対的に固定された位置と、ロッド61に対して相対的に移動可能な保持部材53と、の間に位置する第1弾性体62は、反発力を蓄えることができる。
【0060】
この発明の実施形態において、回動固定用孔643は2か所で設けてあるが、これより少なくても、多くてもよい。多い場合は、より細かな調整が可能になるし、少ない場合は、選択肢が減る分、よりシンプルになり、操作する作業者にとってわかりやすいものとなる。
【0061】
この発明の実施例の作動について説明する。
図4に図示する調圧部6の拡大側面図、ロッド61の軸方向で切断した断面図である
図7に図示する図では、第1弾性体62による整地体5の整地面側への付勢力を強める「強位置」で、切換アーム66が固定状態であり、整地体5は最下方への回動が、第1長孔部641によって規制された状態をとっている。
固定手段67は、回動規制部材64に複数設けた回動固定用孔643のうちいずれか1か所の回動固定用孔643と孔664に嵌っているため、切換アーム66が固定状態であり、規制体65は、回動規制部材64中央部付近に位置する。
【0062】
図4および
図7に示す切換アーム66は、回動支点軸661を回動支点として回動していないため、規制体65の突出部651は、第2長孔部642の先端側に位置し、第3弾性体68は縮状態を取る。
保持部材の53の突出部531は、第1長孔部641の先端側すなわちロッド61の他端側に位置して、整地体5の最下方への回動を、第1長孔部641によって規制している。
第1弾性体62は、保持部材53と規制体65の間で最大長を取る。第2弾性体63は、係止部材631と保持部材53に位置して、整地体5を上方側に付勢する付勢力を最大にしている。
【0063】
突出部531は、第1長孔部641の先端側に位置する。
第1弾性体62の両端は、保持部材53と規制体65とに接することが可能である。第2弾性体63は、保持部材53に接触している。切換アーム66が固定状態であるため、第3弾性体68は、縮状態を取る。
回動固定用孔643で切換アーム66を固定しているため、
図4、
図7に図示する状態のように、ロッド回動支点軸611と規制体65の相対位置を維持する。
【0064】
図8では、第1弾性体63の付勢力を強める「強位置」で、固定手段67によって切換アーム66が固定状態であり、更に、整地体5が上方に回動した途中の状態をとる。
切換アーム66が、回動支点軸661を回動支点として回動していないため、規制体65およびこの突出部651は、第2長孔部642の先端側すなわちロッド61の他端側に位置した状態を維持している。
【0065】
整地体5が上方に回動した状態をとるため、保持部材53の突出部531は、第1長孔部641の中間部に位置する。切換アーム66は固定状態であるのでロッド61と規制体65の相対位置は変化していない。そのため、保持部材53と規制体65の相対距離が縮まり、第1弾性体62のばねは、保持部材53に押されて、規制体65と挟まれ縮状態を取る。
第2弾性体63は、保持部材53から離れていて伸状態をとる。切換アーム66が、回動支点軸661を回動支点として回動していないため、第3弾性体68は、縮状態を維持している。
回動固定用孔643で切換アーム66を固定して、
図8に図示する状態を維持する。
なお、保持部材53の突出部531が、第1長孔部641のロッド61の一端側の端部に接触するまで、整地板5は上方に回動可能である。
【0066】
図9では、切換アーム66を図示するように、固定手段67を排除して切換アーム66を固定解除状態とし、整地体5は最下方への回動が、第1長孔部641によって規制された状態となる。第1弾性体62は、規制体65が自由に移動可能な状態であるため、ばねは伸状態すなわち自由長状態をとる。第2弾性体63は、保持部材53と係止部材631に接触し縮状態をとる。第3弾性体68は、切換アーム66が固定解除状態を取り、かつ、第1弾性体62に押された規制体65によって、図中やや右回転し、やや伸状態となる。
【0067】
切換アーム66が、回動支点軸661を回動支点として回動する。このため、切換アーム66先端の長孔部663に位置する突出部651は、整地板5の上方への回動に伴ってロッド61を移動する保持部材53と、これに押される第1弾性体62を介して規制体65を移動させ、切換アーム66を回動させる。
規制体65は、切換アーム66が固定解除状態をとるため、回動規制部材64中央部からロッド回動支点軸611よりに、第2長孔部642の中間部に位置する。
突出部531は、第1長孔部641の先端側であるロッド61の一端側に位置するまで、移動可能である。すなわち、整地板5は、第1長孔部641内で保持部材53が移動できる範囲内で回動が可能である。
【0068】
図10では、固定手段67の排除により切換アーム66が固定解除状態であり、整地体5が上方へ回動した途中の状態である。
切換アーム66が固定解除状態であるため、第3弾性体68は、規制体の65移動に伴って伸縮する。
切換アーム66が、回動支点軸661を回動支点として回動するため、切換アーム66先端に位置する突出部651は、第2長孔部642のロッド回動支点軸611寄りに位置する。
【0069】
規制体65は、整地板5の回動に伴って回動規制部材64のロッド回動支点軸611に近づくように移動する。
整地板5は、突出部531が案内される第1長孔部641の範囲内で回動が可能である。また、第1弾性体62のばねは保持部材53に押されて接触しているが、固定解除状態の切換アーム66によって、規制体65はロッド61を移動自在であるので、第1弾性体62は伸状態を取る。整地板5の上方側への回動をさらに続け、第1弾性体62が規制体65を押し上げて、第2長孔部642内の移動範囲限界に達すると、規制体65の移動が止まる。その後、さらに整地板5を回動させると、第1弾性体62は縮状態への変形を開始し、整地板5の下方への付勢をする。
第2弾性体63は、保持部材53から離れていて伸状態をとり、整地板5への付勢はしない。
第3弾性体は、回動自在状態の切換アーム66を介して規制体65および第1弾性体62を保持部材53側に押し付けて、これらの不要な振動や異音等の発生を抑止している。
【0070】
この発明の実施例では、係止部材631は1か所に設けているが、ロッドへの固定孔を複数設けることで、第2弾性体の付勢力を調整可能である。
整地部の回動方向の規制位置を安定させながら、整地部の回動方向に対する両側への付勢力を付加可能な代掻き作業機を提供する。
本発明の実施例では、整地体5よりも上部に設置したロッド61と、回動規制部材64を用いて、整地体5の上下動を規制するとともに、第1弾性体62、第2弾性体63、規制体65を用いて、整地板の回動方向への付勢力を調整できる。
【符号の説明】
【0071】
1 代掻き作業機
2 フレーム
20 装着部
3 砕土部
4 カバー体
5 整地部(整地体)
6 調圧部
53 保持部材
61 ロッド
62 第1弾性体
63 第2弾性体
64 回動規制部材
641 長孔部(第1長孔部)
642 長孔部(第2長孔部)
65 規制体
66 切換アーム
67 固定手段
68 第3弾性体