(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器、及び容器組立体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
B65D1/02 232
(21)【出願番号】P 2019122251
(22)【出願日】2019-06-28
【審査請求日】2022-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-301372(JP,A)
【文献】特開2012-116516(JP,A)
【文献】実開平02-023397(JP,U)
【文献】特開2011-230817(JP,A)
【文献】特開2016-141420(JP,A)
【文献】特開2011-073756(JP,A)
【文献】特開2003-341639(JP,A)
【文献】特開2014-208546(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を注出する筒状の口部と、該口部の下方に連なり内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備える合成樹脂製容器であって、
前記口部は、該口部の外周壁に形成されたねじ係合部を有し、
前記底部は前記収容空間の下端を画定する底壁と、該底壁から下方に垂下するリブとを備え、該リブの側面には略水平方向に凹む凹部、又は略水平方向に突出する凸部が設けられており、
前記リブは、底面視において中心軸線を通る直線上を径方向外側に向かって延びており、
前記凹部又は凸部は、複数の凹部又は複数の凸部から構成され、該複数の凹部又は該複数の凸部の1つの凹部又は凸部は、他の1つの凹部又は凸部を中心軸線周りに180度回転させた位置に配置されており、
前記リブは
、前記合成樹脂製容器の正立姿勢において、前記底壁から下方
に同一高さまで垂下していることを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記底部は、前記胴部の下端部から下方に向かって延びる脚部を更に備え、該脚部の下端部は、前記リブの下端部よりも下方まで延在している、請求項
1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記底部は、前記脚部の下端部から該脚部に沿って前記胴部の下端部まで戻ると共に前記底壁に連なる折り返し部を更に備える、請求項
2に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
合成樹脂製容器の口部にキャップを装着した容器組立体の製造方法であって、
前記合成樹脂製容器は、
内容物を注出する筒状の前記口部と、該口部の下方に連なり内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備え、
前記口部は、該口部の外周壁に形成されたねじ係合部を有し、
前記底部は前記収容空間の下端を画定する底壁と、該底壁から下方に垂下するリブとを備え、該リブの側面には略水平方向に凹む凹部、又は略水平方向に突出する凸部が設けられており、
前記リブは、底面視において中心軸線を通る直線上を径方向外側に向かって延びており、
前記凹部又は凸部は、複数の凹部又は複数の凸部から構成され、該複数の凹部又は該複数の凸部の1つの凹部又は凸部は、他の1つの凹部又は凸部を中心軸線周りに180度回転させた位置に配置されており、
前記リブの側面に回転抑止冶具の突き当て部を当接させるステップと、
前記ねじ係合部に適合するキャップを周方向に回転させて前記口部に装着するステップと
を含み、
前記リブは
、前記合成樹脂製容器の正立姿勢において、前記底壁から下方
に同一高さまで垂下している、容器組立体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、筒状の口部と、内容物の収容空間を形成する胴部と、胴部の下端を閉塞する底部とを備えた合成樹脂製容器、及び合成樹脂製容器にキャップを装着した容器組立体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料や飲料等の内容物を収容可能な合成樹脂製容器としては、例えば特許文献1に示すような、筒状の口部と内容物の収容空間を形成する胴部を備えた合成樹脂製容器が知られている。この種の合成樹脂製容器では、例えば特許文献2に示すように、環境問題への配慮やコスト低減を目的として、胴部や底部を薄肉化することにより樹脂量を削減する取り組みが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-211607号公報
【文献】特開2003-104343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような合成樹脂製容器では、一般にキャップ装着時の気密性確保等の観点から口部の肉厚を最も厚く形成している。そのため、従来の合成樹脂製容器は、口部の更なる軽量化という点で未だ改善の余地があった。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、口部の軽量化が可能な合成樹脂製容器、及び合成樹脂製容器にキャップを装着した容器組立体の製造方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の合成樹脂製容器は、
内容物を注出する筒状の口部と、該口部の下方に連なり内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備える合成樹脂製容器であって、
前記口部は、該口部の外周壁に形成されたねじ係合部を有し、
前記底部は前記収容空間の下端を画定する底壁と、該底壁から下方に垂下するリブとを備え、該リブの側面には略水平方向に凹む凹部、又は略水平方向に突出する凸部が設けられており、
前記リブは、底面視において中心軸線を通る直線上を径方向外側に向かって延びており、
前記凹部又は凸部は、複数の凹部又は複数の凸部から構成され、該複数の凹部又は該複数の凸部の1つの凹部又は凸部は、他の1つの凹部又は凸部を中心軸線周りに180度回転させた位置に配置されており、
前記リブは、前記合成樹脂製容器の正立姿勢において、前記底壁から下方に同一高さまで垂下していることを特徴とする。
【0008】
また、本開示の合成樹脂製容器は、上記構成において、前記底部は、前記胴部の下端部から下方に向かって延びる脚部を更に備え、該脚部の下端部は、前記リブの下端部よりも下方まで延在していることが好ましい。
【0009】
また、本開示の合成樹脂製容器は、上記構成において、前記底部は、前記脚部の下端部から該脚部に沿って前記胴部の下端部まで戻ると共に前記底壁に連なる折り返し部を更に備えることが好ましい。
【0010】
また、本開示の容器組立体は、
合成樹脂製容器の口部にキャップを装着した容器組立体の製造方法であって、
前記合成樹脂製容器は、
内容物を注出する筒状の前記口部と、該口部の下方に連なり内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端を閉塞する底部とを備え、
前記口部は、該口部の外周壁に形成されたねじ係合部を有し、
前記底部は前記収容空間の下端を画定する底壁と、該底壁から下方に垂下するリブとを備え、該リブの側面には略水平方向に凹む凹部、又は略水平方向に突出する凸部が設けられており、
前記リブは、底面視において中心軸線を通る直線上を径方向外側に向かって延びており、
前記凹部又は凸部は、複数の凹部又は複数の凸部から構成され、該複数の凹部又は該複数の凸部の1つの凹部又は凸部は、他の1つの凹部又は凸部を中心軸線周りに180度回転させた位置に配置されており、
前記リブの側面に回転抑止冶具の突き当て部を当接させるステップと、
前記ねじ係合部に適合するキャップを周方向に回転させて前記口部に装着するステップと
を含み、
前記リブは、前記合成樹脂製容器の正立姿勢において、前記底壁から下方に同一高さまで垂下していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、口部の軽量化が可能な合成樹脂製容器、及び合成樹脂製容器にキャップを装着した容器組立体の製造方法を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る合成樹脂製容器の正面一部断面図である。
【
図2】
図1におけるA-A断面による拡大断面図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る合成樹脂製容器の底面図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る合成樹脂製容器の右側面一部断面図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る合成樹脂製容器(ブロー成形直後)の正面図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る合成樹脂製容器(ブロー成形直後)の右側面図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る容器組立体の製造方法の実施手順を示すフローチャートである。
【
図8】本開示の一実施形態に係る合成樹脂製容器を回転抑止冶具に装着し、キャップを装着している状態を示す正面一部断面図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る合成樹脂製容器を回転抑止冶具に装着し、キャップを装着している状態を示す右側面拡大断面図である。
【
図12】
図8において、キャップ装着の際に口部に下方向の荷重がかかったときの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本開示をより具体的に説明する。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態である合成樹脂製容器100を示す。合成樹脂製容器100は、化粧料、食品等の内容物を注出する口部10と、口部10の下方に連なり内容物の収容空間Sを形成する胴部20と、胴部20の下端を閉塞する底部30とを備えている。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、口部10が位置する側を上方(
図1における上側)とし、底部30が位置する側を下方(
図1における下側)とする。また、径方向外側とは、
図1における合成樹脂製容器100の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って外側に向かう方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。また、
図1における紙面に垂直な方向が合成樹脂製容器100の前後方向、
図1における左右方向が合成樹脂製容器100の左右方向とする。また、口部10の外周壁11は、係合部である雄ねじ部11aが形成された筒状の部位を指すものとする。
【0015】
本実施形態において、合成樹脂製容器100は、例えば、合成樹脂素材により形成されたパリソンに対し押出しブロー成形を行うことによって形作ることができる。また、合成樹脂製容器100は、射出成形、圧縮成形、押出成形等の手段により形成されたプリフォームに対して二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成することもできる。ここで、プリフォームの材料には、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレンテレフタレート(PET)等の加熱により延伸性が発現する合成樹脂材料を用いることができる。
【0016】
本実施形態において、合成樹脂製容器100の口部10は、平面視で略円形状を有する筒状体である。口部10に設けられている雄ねじ部11aは、キャップ41(
図8参照)又はキャップ41付きの吐出具等をねじ係合により口部10に装着するための係合部であり、口部10の外周壁11に一体形成されている。なお、係合部として、雄ねじ部11aと打栓係合のための係合突部の双方が設けられ、装着物に応じて両者を使い分けるようにしてもよい。
【0017】
本実施形態では、口部10は、外周壁11の外面にねじ係合部である雄ねじ部11aを備える他は、ネックリングなど他の機能部を設けていない。これは、口部10の構造を極力簡素化することで口部10の高さを抑制すると共に薄肉化することで、口部10に用いる樹脂量を削減するためである。
【0018】
口部10の下方には、口部10の下端部に肩部を介して連なり略円筒形状を備えた胴部20が設けられている。胴部20の内側は、内容物の収容空間Sを形成しており、胴部20の押圧(スクイズ)により収容空間S内の内容物を加圧してから注出させることができる。
【0019】
胴部20の下端部は、底部30により閉塞されている。本実施形態では、底部30は、内容物の収容空間Sの下端を画定する底壁31と、底壁31から下方に垂下するリブ35と、胴部20の下端部から下方に向かって延びる脚部32と、脚部32の下端部34から脚部32に沿って胴部20の下端部まで戻ると共に底壁31に連なる折り返し部33とを備えている。
【0020】
本実施形態において、底壁31は、径方向内側に向かって下方に傾斜する傾斜面として構成され、径方向中央部には、下方に凹み平坦な底面を備えた中央凹部31aが設けられている。このような構成によって、収容空間S内の内容物の残量が少なくなった場合でも、この中央凹部31aに溜められた内容物を後述するパイプ43経由でポンプ42で吸い上げて使用することができる。
【0021】
リブ35は、
図1から
図4に示すように、底壁31から下方に垂下すると共に、底面視において中心軸線Oを通り径方向外側(
図1の左右方向)に向かって延びる板状の部位である。リブ35には、左右端下部の角部にR面取りが施されている(
図1参照)。また、前後端下部の角部にも面取りが施されている(
図2等参照)。これによって、利用者が直接リブ35に手を触れたりリブ35が他の物に当たったときの傷等の発生を抑制することができる。
【0022】
図2及び
図3に示すように、リブ35の左右に延びる側面35a(前側)には、前方から後方に向かって水平方向に凹む凹部36aが形成されている。また、対向する側面35a(後側)には、後方から前方に向かって水平方向に凹む凹部36aが形成されている。
図1及び
図3から分かるように、一対の凹部36aは、中心軸線Oに関して対向し、中心軸線Oから略同一距離に配置されている。また、一方の凹部36aを中心軸線O周りに180度回転させることで他方の凹部36aと重なるように配置されている(
図1から
図3参照)。すなわち、一対の凹部36aは、底面視において中心軸線Oに関して点対称の位置関係にある。各凹部36aには、奥に向かって上下左右方向に僅かに幅及び高さが狭くなるようにテーパが形成されている。
【0023】
このような構成を有するリブ35は、例えば合成樹脂製容器100を押出しブロー成形により形成する場合に、ブロー成形用金型によって一部が食い切られるピンチオフ部に形成することができる。
【0024】
底部30には、
図1に示すように、胴部20の下端部から下方に向かって径方向外側に傾斜する脚部32が設けられている。また、脚部32の下端部34には、脚部32に沿って胴部20の下端部まで戻る折り返し部33が連なっている。そして、折り返し部33の上端部は、底壁31の外周端に連なっている。すなわち、胴部20、脚部32、折り返し部33及び底壁31は、連続した薄肉部材により形成されている。
【0025】
本実施形態において、脚部32の下端部34は、リブ35の下端部よりも下方まで延在している。このような構成によって、合成樹脂製容器100を机等の上に正立姿勢で置いたとき、脚部32の下端部34が設置面に当接し、リブ35が設置面に触れることがない。従って、合成樹脂製容器100を安定して設置することができる。
【0026】
また、脚部32が胴部20の下端部から下方に向かって径方向外側に傾斜するように構成することで、合成樹脂製容器100の正立姿勢をより安定化させることができる。
【0027】
ここで、上述の脚部32及び折り返し部33の形成方法について説明する。
【0028】
図5及び
図6は、押出ブロー成形等によって形成された直後の合成樹脂製容器100の正面図及び右側面図である。ここでは、
図1及び
図4とは形状が異なっている折り返し部33近傍の構成に絞って説明する。
【0029】
底部30には、
図5及び
図6に示すように、胴部20の下端部から下方に向かって径方向外側に傾斜する脚部32が設けられている。また、脚部32の下端部34から下方に向かって径方向内側に傾斜する折り返し部33が脚部32に連なって設けられている。折り返し部33の下端部には、上方に凸形状を有する小径の屈曲部33aが設けられており、屈曲部33aを介して底壁31が連なっている。
【0030】
図5及び
図6のような構成を有する合成樹脂製容器100に対して、折り返し部33を上方に押し上げると、折り返し部33が下端部34を回転中心として反転し、脚部32に沿って径方向内側に向かって上方に方向付けられる。このとき、屈曲部33aが上向きに突出するように大きく屈曲することで、底壁31は、ほぼそのままの形状、姿勢を維持したまま上方に移動し、
図1及び
図4に示す上げ底状の底部30が形成される。
【0031】
次に、
図1から
図4に示す合成樹脂製容器100の口部10にキャップ41を取り付けて容器組立体101を製造する手順について、
図7から
図12を用いて説明する。
【0032】
容器組立体101を製造するに際しては、まず
図5及び
図6に示すリブ35及び凹部36aを設けた合成樹脂製容器100を押出しブロー成形等の手段で形成し、底部30の折り返し部33を上方に押し上げて
図1から
図4に示す上げ底状とする(
図7のステップS101)。
【0033】
次に、ステップS101で製造した合成樹脂製容器100を、
図8から
図11に示すように、回転抑止冶具50にセットする。回転抑止冶具50へのセットは、まず、冶具ベース53の上面に合成樹脂製容器100の脚部32の下端部34が当接するように置く。次に回転抑止冶具50の冶具ベース53から立設された2つの突き当て部51がそれぞれ合成樹脂製容器100のリブ35の側面35a(
図10及び
図11参照)に当接するように配置する。このとき、突き当て部51から水平方向に突出する突出部52がリブ35の凹部36aに挿入する(
図10参照)ようにする(
図7のステップS102)。これによって、後述するように合成樹脂製容器100を回転抑止冶具50にセットした状態で、口部10にキャップ41をねじ係合により装着する際に、口部10に加えられた回転トルクにより中心軸線O周りに回転しようとするリブ35の側面35aを突き当て部51が押し返すことにより、合成樹脂製容器100が回転するのを抑止することができる。
【0034】
なお、本実施形態では、合成樹脂製容器100に対して回転を抑止するトルク以外の力を作用させないようにするため、一対の突き当て部51及び突出部52は、
図8及び
図11に示すように、底面視において中心軸線Oに関して点対称の位置関係にあるように構成されている。
【0035】
ステップS102において、合成樹脂製容器100を回転抑止冶具50にセットした後、作業者又はセット機は、
図8に示すように、雄ねじ部11aに適合する雌ねじ部を備えたキャップ41を中心軸線O周りに回転させることにより口部10に装着する(
図7のステップS103)。本実施形態では、
図8に示すように、キャップ41は、合成樹脂製容器100の収容空間S内に収容された内容物を吸引・圧送するポンプ42と、ポンプ42に内容物を導くパイプ43と、押圧によりポンプ42を作動させるポンプヘッド44と、圧送された内容物を噴出するノズル45とを備えたポンプ組立体40の一部材である。
【0036】
なお、本実施形態では、
図8に示すように、ポンプ42に収容空間S内の内容物を導くパイプ43の下端部は、底部30における中央凹部31aの近傍まで延びるように構成されている。従って、口部10にキャップ41を装着する際に、回転トルク以外の例えば下向きの荷重が口部10に加わった場合でも、
図12に示すように、パイプ43の下端部が底部30に当接して口部10が更に下方に変位するのを抑制する。従って、口部10をネックリング等により支持しないでキャップ41の装着を行っても、合成樹脂製容器100の座屈等の損傷を抑制することができる。
【0037】
本実施形態では、合成樹脂製容器100の底部30がリブ35及び凹部36aを備え、リブ35の側面35aに回転抑止冶具50の突き当て部51を当接させると共に、リブ35に設けた凹部36aに突き当て部51から突出する突出部52を挿入するように構成したが、この態様には限定されない。例えば、合成樹脂製容器100の底部30がリブ35に加えてリブ35の側面35aから略水平方向に突出する凸部を備え、当該凸部が突き当て部51に設けられた水平方向に凹む挿入部に挿入されるように構成してもよい。
【0038】
また、容器組立体101の製造に用いる合成樹脂製容器100は、底部30にリブ35を備えるものの凹部36aを備えていない構成としてもよい。この場合、回転抑止冶具50の突き当て部51は突出部52を備えていないことが好ましい。
【0039】
以上述べたように、本実施形態に係る合成樹脂製容器100は、内容物を注出する筒状の口部10と、口部10の下方に連なり内容物の収容空間Sを形成する胴部20と、胴部20の下端を閉塞する底部30とを備える合成樹脂製容器100であって、口部10は、口部10の外周壁11に形成されたねじ係合部(雄ねじ部11a)を有し、底部30は収容空間Sの下端を画定する底壁31と、底壁31から下方に垂下するリブ35とを備え、リブ35の側面35aには略水平方向に凹む凹部36aが設けられるように構成した。このような構成の採用によって、合成樹脂製容器100にキャップ41を装着する際に、従来口部10のネックリングを支持していた代わりに、底部30のリブ35を用いて合成樹脂製容器100を周方向に固定しながらキャップ41を装着することができる。すなわち、リブ35の側面35aに回転抑止冶具50の突き当て部51を当接させることで合成樹脂製容器100の中心軸線O周りの回転を抑制した状態で、キャップ41を周方向に回転させることでキャップ41を口部10に装着することができるので、口部10を固定するネックリング等が不要となる。従って、口部10の高さを低くすること等により口部10に用いる樹脂量を削減することができる。一方、底部30に設けたリブ35は、従来から押出しブロー成形の際に金型により一部が食い切られるピンチオフ部として形成しているので、リブ35を形成するために新たに必要となる樹脂量は、口部10における樹脂の削減量よりも少ない。従って、合成樹脂製容器100全体に用いる樹脂量も削減することができる。
【0040】
また、上述の形態では、リブ35の側面35aに回転抑止冶具50の突き当て部51を当接させる際に、リブ35の側面35aに設けられた凹部36aに突き当て部51から突出する突出部52を挿入させることができる。従って、キャップ41を口部10に装着する際に、合成樹脂製容器100の回転を抑制するためのトルクによりリブ35が回転抑止冶具50から滑って外れてしまうことを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、リブ35は、底面視において中心軸線Oを通る直線上を径方向外側に向かって延びており、凹部36aは、複数の凹部36aから構成され、複数の凹部36aの1つの凹部36aは、他の1つの凹部36aを中心軸線O周りに180度回転させた位置に配置されるように構成した。このような構成の採用によって、回転抑止冶具50から合成樹脂製容器100に対して回転を抑止するトルク以外の力が作用するのを抑制することができる。
【0042】
また、本実施形態では、底部30は、胴部20の下端部から下方に向かって延びる脚部32を更に備え、脚部32の下端部34は、リブ35の下端部よりも下方まで延在するように構成した。このような構成の採用によって、合成樹脂製容器100を机等の上に正立姿勢で置いたとき、脚部32の下端部34が設置面に当接し、リブ35が設置面に触れることがない。従って、合成樹脂製容器100を安定して設置することができる。
【0043】
また、本実施形態では、底部30は、脚部32の下端部34から脚部32に沿って胴部20の下端部まで戻ると共に底壁31に連なる折り返し部33を更に備えるように構成した。このような構成の採用によって、折り返し部33を従来のブロー成形で形成して反転させることで上げ底状として底壁31から更に下方に延在する脚部32を形成することができる。従って、脚部32の形成を容易化することができる。また、脚部32と折り返し部33の二重構造となるため、合成樹脂製容器100の台座を強固なものとし、合成樹脂製容器100を安定して設置することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る容器組立体101は、合成樹脂製容器100の口部10にキャップ41を装着した容器組立体101の製造方法であって、合成樹脂製容器100は、内容物を注出する筒状の口部10と、口部10の下方に連なり内容物の収容空間Sを形成する胴部20と、胴部20の下端を閉塞する底部30とを備え、口部10は、口部10の外周壁11に形成されたねじ係合部(雄ねじ部11a)を有し、底部30は収容空間Sの下端を画定する底壁31と、底壁31から下方に垂下するリブ35とを備え、リブ35の側面35aに回転抑止冶具50の突き当て部51を当接させるステップと、ねじ係合部に適合するキャップ41を周方向に回転させて口部10に装着するステップとを含むように構成した。このような構成の採用によって、合成樹脂製容器100にキャップ41を装着する際に、従来口部10のネックリングを支持していた代わりに、底部30のリブ35を用いて合成樹脂製容器100を周方向に固定しながらキャップ41を装着することができる。すなわち、リブ35の側面35aに回転抑止冶具50の突き当て部51を当接させることで合成樹脂製容器100の中心軸線O周りの回転を抑制した状態で、キャップ41を周方向に回転させることでキャップ41を口部10に装着することができるので、口部10を固定するネックリング等が不要となる。従って、口部10の高さを低くすること等により口部10に用いる樹脂量を削減することができる。一方、底部30に設けたリブ35は、従来から押出しブロー成形の際に一部が金型により食い切られるピンチオフ部として形成しているので、リブ35を形成するために新たに必要となる樹脂量は、口部10における樹脂の削減量よりも少ない。従って、合成樹脂製容器100全体に用いる樹脂量も削減することができる。
【0045】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0046】
例えば、本実施形態では、リブ35は、底面視において中心軸線Oを通る直線上を径方向外側に向かって延びており、凹部36aは、2つの凹部36aから構成され、2つの凹部36aの一方の凹部36aは、他方の凹部36aを中心軸線O周りに180度回転させた位置に配置されるように構成したが、この態様には限定されない。リブ35は、必ずしも底面視において中心軸線Oを通る直線上に配置されていなくてもよい。また、凹部36aは、必ずしも底面視において中心軸線Oに関して点対称の位置になくてもよい。本実施形態の合成樹脂製容器100では、凹部36aは少なくとも1箇所に設けられていればよい。また、本実施形態の容器組立体101の製造方法を実行するに際しては、凹部36aは必ずしも設けられていなくてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、底部30は、胴部20の下端部から下方に向かって延びる脚部32を更に備え、脚部32の下端部34は、リブ35の下端部よりも下方まで延在するように構成したが、この態様には限定されず、脚部32は必ずしも設けられていなくてもよい。合成樹脂製容器100は自立して正立姿勢を取れることが好ましいが、自立して正立姿勢を取ることができない構成であってもよい。
【0048】
また、本実施形態では、底部30は、脚部32の下端部34から脚部32に沿って胴部20の下端部まで戻ると共に底壁31に連なる折り返し部33を更に備えるように構成したが、この態様には限定されない。例えば、脚部32は、胴部20とは別部品として構成されていてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、キャップ41とポンプ42が別部品として構成され、これらを組み立てた状態で合成樹脂製容器100に装着するように構成したが、この態様には限定されない。キャップ41とポンプ42等が一体形成された構成であってもよい。本実施形態のキャップ41は、合成樹脂製容器100の口部10にねじ係合により装着できるあらゆる装着物を含むものとして理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本開示によれば、口部10の軽量化が可能な合成樹脂製容器100を提案することが可能となる。
【符号の説明】
【0051】
10 口部
11 外周壁
11a 雄ねじ部
20 胴部
30 底部
31 底壁
31a 中央凹部
32 脚部
33 折り返し部
33a 屈曲部
34 下端部
35 リブ
35a 側面
36a 凹部
40 ポンプ組立体
41 キャップ
42 ポンプ
43 パイプ
44 ポンプヘッド
45 ノズル
50 回転抑止冶具
51 突き当て部
52 突出部
53 冶具ベース
100 合成樹脂製容器
101 容器組立体
O 中心軸線
S 収容空間