IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 新明和工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-荷受台昇降装置 図1
  • 特許-荷受台昇降装置 図2
  • 特許-荷受台昇降装置 図3
  • 特許-荷受台昇降装置 図4
  • 特許-荷受台昇降装置 図5
  • 特許-荷受台昇降装置 図6
  • 特許-荷受台昇降装置 図7
  • 特許-荷受台昇降装置 図8
  • 特許-荷受台昇降装置 図9
  • 特許-荷受台昇降装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
B60P1/44 J
B60P1/44 B
B60P1/44 E
B60P1/44 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020062832
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160473
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】石井 一成
(72)【発明者】
【氏名】古川 威
(72)【発明者】
【氏名】堀之内 良和
(72)【発明者】
【氏名】遠山 祥敬
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-272989(JP,A)
【文献】特開2019-163115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0293611(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102008028434(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置において、
前記荷受台を駆動するパワーユニットと、
前記荷受台の動作を指示する複数の操作端末と、
前記複数の操作端末からの操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
一の操作端末から操作信号が入力された際、他の操作端末から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいて前記パワーユニットを制御し、
二以上の操作端末から操作信号が入力された場合、他の操作信号の入力の有無に関わらず最先の操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力し、
最先の操作信号の入力停止後、前記複数の操作端末の全てから操作信号が入力されない操作端末の無操作状態が設定時間継続したことを条件として、新たな最先の操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置において、
前記荷受台を駆動するパワーユニットと、
前記荷受台の動作を指示する操作端末と、
前記操作端末からの操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
一の操作端末から操作信号が入力された際、他の操作端末から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいて前記パワーユニットを制御し、
前記一の操作端末から操作信号が入力されている間、前記他の操作端末から入力された操作信号が前記一の操作端末から入力されている操作信号と同じ動作を指示する場合、前記一の操作端末からの操作信号の入力停止時に前記他の操作端末からの操作信号が継続して入力されているとき、前記パワーユニットへの指令信号の出力を継続する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項2の荷受台昇降装置において、
前記一の操作端末から操作信号が入力されている間、前記他の操作端末から入力された操作信号が前記一の操作端末から入力されている操作信号と異なる動作を指示する場合、前記パワーユニットへの指令信号の出力を停止する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置において、
前記荷受台を駆動するパワーユニットと、
前記荷受台の動作を指示する操作端末と、
前記操作端末からの操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力する制御装置とを備え、
前記制御装置は、
一の操作端末から操作信号が入力された際、他の操作端末から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいて前記パワーユニットを制御し、
前記一の操作端末から操作信号が入力されている間に前記他の操作端末から操作信号が入力された場合、前記他の操作端末から入力された操作信号が前記一の操作端末から入力されている操作信号と同じ動作を指示するか異なる動作を指示するかに関わらず、前記パワーユニットへの指令信号の出力を停止する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台を昇降させて車両の荷台に対する荷役作業を支援する荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置とは、車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させ、車両の荷台に対する荷物等の積み卸し作業を支援する装置である。この種の荷受台昇降装置には、有線式操作端末と無線式操作端末といったように複数の操作端末が備えられる場合がある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-217824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
同一の荷受台昇降装置に複数の操作端末がある場合、異なるユーザA,Bが荷受台昇降装置を同時に操作する可能性がある。例えばユーザA,Bが互いに気付かず同じタイミングで荷受台の上げ操作を開始した場合、ユーザBの上げ操作が続いていれば、ユーザAが操作を止めても荷受台が継続して上昇する。また、ユーザAによる上げ操作中にユーザBが下げ操作をした場合、ユーザAが操作を止めた際にユーザBが操作をしていれば、荷受台の動作が上昇から急に下降に切り換わってしまう。いずれもユーザAにとっては意図しない動作となり、また荷物の上げ下ろし中に荷受台の動作方向が急に切り変わると荷崩れが生じ兼ねない。こうした事象は、同一の荷受台昇降装置に設けられた操作端末による場合に限られず、異なる荷受台昇降装置が近辺にある場合にその装置に備わった操作端末が操作された際にも生じることも考えられる。
【0005】
本発明の目的は、複数の操作端末が同時に操作された場合の動作を合理化することができる荷受台昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置において、前記荷受台を駆動するパワーユニットと、前記荷受台の動作を指示する複数の操作端末と、前記複数の操作端末からの操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力する制御装置とを備え、前記制御装置は、一の操作端末から操作信号が入力された際、他の操作端末から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいて前記パワーユニットを制御し、二以上の操作端末から操作信号が入力された場合、他の操作信号の入力の有無に関わらず最先の操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力し、最先の操作信号の入力停止後、前記複数の操作端末の全てから操作信号が入力されない操作端末の無操作状態が設定時間継続したことを条件として、新たな最先の操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力するする荷受台昇降装置を提供する。なお、操作端末に関し、「一の操作端末」は当該荷受台昇降装置が備えるものを指すが、「他の操作端末」は当該荷受台昇降装置に備わったものに限定されず、他の荷受台昇降装置に備わったものも含み得る。
また、本発明は、車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置において、前記荷受台を駆動するパワーユニットと、前記荷受台の動作を指示する操作端末と、前記操作端末からの操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力する制御装置とを備え、前記制御装置は、一の操作端末から操作信号が入力された際、他の操作端末から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいて前記パワーユニットを制御し、前記一の操作端末から操作信号が入力されている間、前記他の操作端末から入力された操作信号が前記一の操作端末から入力されている操作信号と同じ動作を指示する場合、前記一の操作端末からの操作信号の入力停止時に前記他の操作端末からの操作信号が継続して入力されているとき、前記パワーユニットへの指令信号の出力を継続する荷受台昇降装置を提供する。
また、本発明は、車両の荷台の床面の高さと地面の高さとの間で荷受台を昇降させる荷受台昇降装置において、前記荷受台を駆動するパワーユニットと、前記荷受台の動作を指示する操作端末と、前記操作端末からの操作信号に応じて前記パワーユニットに指令信号を出力する制御装置とを備え、前記制御装置は、一の操作端末から操作信号が入力された際、他の操作端末から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいて前記パワーユニットを制御し、前記一の操作端末から操作信号が入力されている間に前記他の操作端末から操作信号が入力された場合、前記他の操作端末から入力された操作信号が前記一の操作端末から入力されている操作信号と同じ動作を指示するか異なる動作を指示するかに関わらず、前記パワーユニットへの指令信号の出力を停止する荷受台昇降装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の操作端末が同時に操作された場合の荷受台昇降装置の動作を合理化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図
図2】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を拡大して表す側面図
図3】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられたパワーユニットの一構成例を表す油圧回路図
図4】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図
図5】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置による指令出力手順を表したフローチャート
図6】操作入力に対して図5の制御下でなされる指令出力の例を表すタイミングチャート
図7】本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置による指令出力手順を表したフローチャート
図8】操作入力に対して図7の制御下でなされる指令出力の例を表すタイミングチャート
図9】本発明の第3実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置による指令出力手順を表したフローチャート
図10】操作入力に対して図9の制御下でなされる指令出力の例を表すタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0010】
(第1実施形態)
-荷受台昇降装置-
図1は本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図、図2図1の荷受台昇降装置を拡大して表す側面図である。本願明細書においては、図1及び図2における左右を荷受台昇降装置の前後とする。本実施形態では荷受台昇降装置を車両の後部に積載して荷受台を車両の後側に引き出す場合を例示しており、荷受台昇降装置の前後方向が車両の前後方向に一致している。但し、車両の側部に荷受台を引き出すように荷受台昇降装置を積載する場合もある。その場合には、荷受台昇降装置の前後方向は車両の前後方向に直交する。
【0011】
図1に示した車両は、車枠Fと、車枠Fの前方に設けた運転室Cを備えている。車枠Fの上部には荷台Lが搭載される。荷箱も荷台の一種である。本実施形態では、車枠Fの後部下側に荷受台昇降装置1が積載されている。この荷受台昇降装置1は、例えば車両の走行時には荷受台(プラットフォーム)20を折り畳み、車枠Fの下側に引き込んで格納する。一方で荷役作業(荷台に対する荷物の積卸作業)時には、荷受台20を車枠Fの外側(本実施形態では後方)に引き出して展開し、荷台の床面高さと地面高さとの間で昇降させる(図1)。
【0012】
図2に示したように、荷受台昇降装置1は、荷受台20、スライダユニット(不図示)、リフタユニット40及びパワーユニット50(図3)を含んで構成されている。スライダユニットは荷受台20等を前後方向に移動させるアクチュエータを含むユニットである。リフタユニット40は荷受台20を昇降させるアクチュエータを含むユニットである。パワーユニット50はスライダユニット及びリフタユニット40を駆動して荷受台20を駆動するシステムである。スライダユニット、リフタユニット40、荷受台20及びパワーユニット50について順次説明する。
【0013】
-スライダユニット-
スライダユニットは、左右のガイドレール31、スライダ(不図示)及びスライドシリンダ33(図3)を備えている。左右のガイドレール31は、車枠Fの後部下側に取り付けられており、互いに平行に前後に延びている。スライダは左右のガイドレール31にスライド可能に支持され、ガイドレール31に沿って前後に移動可能である。スライドシリンダ33は複動式の油圧シリンダであり、ガイドレール31及びスライダに適宜支持部材を介して両端が固定されている。スライドシリンダ33の伸縮動作によりガイドレール31に沿ってスライダが前後に移動し、リフタユニット40を介してスライダに支持された荷受台20が前後に移動する。
【0014】
-リフタユニット-
リフタユニット40は、チルトアーム(不図示)、リフトアーム42、コンプレッションアーム43及びリフトシリンダ44を左右一組ずつ備えている。チルトアームはスライダに対して上部がピンを介して連結され、下部が前後に回動する。リフトアーム42は、前端部がチルトアームに、後端部が荷受台20に、左右に延びる軸を介してそれぞれ回動可能に連結されていて、スライダに対して上下に回動する。コンプレッションアーム43は、前端部がスライダに、後端部が荷受台20に、左右に延びる軸を介してそれぞれ回動可能に連結されている。リフトシリンダ44は単動式油圧シリンダ(複動式でも良い)であり、本実施形態ではロッド側がチルトアームの下部に、ボトム側がリフトアーム42に、それぞれ回動可能に連結されている。リフトアーム42及びコンプレッションアーム43は、スライダに対して荷受台20を昇降可能に連結する平行リンクを形成する。この平行リンクがリフトシリンダ44の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで、荷受台20が水平姿勢を保って昇降する(図1)。
【0015】
-荷受台-
荷受台20は荷物等を受けて昇降する台であり、リフトアーム42及びコンプレッションアーム43の先端に連結された基端側荷受台21、基端側荷受台21の後部にヒンジ(不図示)を介して回動可能に連結された先端側荷受台22を備えている。先端側荷受台22は、ヒンジを支点に回動し、展開姿勢(図1の二点鎖線)から左側面視で反時計回りに反転(180度回動)して基端側荷受台21の上側に折り重ねられる(図2)。折り畳んだ状態の荷受台20の後端面はバンパを構成する。荷受台20の左右の幅は例えば荷台Lの幅と同程度であり、左右の車枠Fの外法寸法よりも広い。本実施形態の先端側荷受台22は非折り畳み式である。つまり、荷受台20は先端側荷受台22を1枚のみ含んだ2枚折れ構造である。また、荷受台20の下部には左右一対のスチフナ24が設けられている。スチフナ24は基端側荷受台21及び先端側荷受台22に設けられており、荷受台20が展開すると基端側荷受台21に設けたものと先端側荷受台22に設けたものが連なり、左右から見ると基端から先端(後方)に向かって薄くなる三角形状になる。
【0016】
-パワーユニット-
図3はパワーユニット50の一構成例を表す油圧回路図である。同図に示したパワーユニット50は、電動モータM、油圧ポンプP、オイルタンクOT及び切換弁V1-V4及び制御装置60(図4)含んで構成されている。油圧ポンプPは電動モータMによって駆動され、オイルタンクOTから吸い込んだ作動油を圧油としてポンプラインPLに吐出する。油圧ポンプPから吐出された圧油は油圧配管L1を介してリフトシリンダ44に供給される。油圧配管L1には上昇動作用の切換弁V1が設けられており、ソレノイドS1に入力される信号によって切換弁V1が開閉して油圧配管L1が開通又は遮断される。ポンプラインPLと切換弁V1の間で油圧配管L1から油圧配管L2が分岐し、タンクラインTLを介してオイルタンクOTに接続している。油圧配管L2には下降動作用の切換弁V2が設けられており、ソレノイドS2に入力される信号によって切換弁V2が開閉して油圧配管L2が開通又は遮断される。油圧配管L2には切換弁V2の下流側に流量制御弁V9が設けられている。また、ポンプラインPLにはメインリリーフ弁V6が設けられており、メインリリーフ弁V6によってポンプラインPLの圧力の最大値が規定されている。電動モータMとバッテリBT(図4)との間には、コンタクタリレーCTが備えられている。
【0017】
ポンプラインPLはまた、油圧配管L3を介してスライドシリンダ33のロッドポートに接続している。油圧配管L3には絞り弁V8が設けられている。油圧配管L3からは油圧配管L4が分岐しており、油圧配管L4がスライドシリンダ33のボトムポートに接続している。油圧配管L4には引出動作用の切換弁V3が設けられており、ソレノイドS3に入力される信号によって切換弁V3が開閉して油圧配管L4が開通又は遮断される。切換弁V3の下流側で油圧配管L4から油圧配管L5が分岐し、タンクラインTLを介してオイルタンクOTに接続している。油圧配管L5には引込動作用の切換弁V4が設けられており、ソレノイドS4に入力される信号によって切換弁V4が開閉して油圧配管L5が開通又は遮断される。
【0018】
本実施形態においては、メインリリーフ弁V6と切換弁V3,V4との間でポンプラインPLからバイパスラインBLが分岐してタンクラインTLに接続している。このバイパスラインBLには、サブリリーフ弁V7と切換弁V5とが設けられている。切換弁V5は、そのソレノイドS5に対する指令信号によって切り換えポジションが開通位置(図中上側の位置)又は遮断位置(図中下側の位置)に切り換わる。切換弁V5の切り換えポジションによってサブリリーフ弁V7への圧油の流れが開通又は遮断される。切換弁V5はサブリリーフ弁V7の上流側に設けられているが、下流側に設けても良い。サブリリーフ弁V7のリリーフ圧(例えば6MPa程度)は、メインリリーフ弁V6のリリーフ圧(例えば20MPa程度)よりも低く設定してある。切換弁V5が開通位置に切り換わってポンプラインPLにサブリリーフ弁V7が接続した際には、ポンプラインPLの圧油の最大値がメインリリーフ弁V6のリリーフ圧よりも低い値に切り換わる。
【0019】
-制御装置-
図4は制御装置60の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。図4に示した制御装置60は、車両側(又はパワーユニット50内)に設けられている。この制御装置60は、荷受台昇降装置1の電源(バッテリ)BTに電源スイッチSWを介して接続しており、電源スイッチSWによって電源が入り切りされる。電源スイッチSWは、例えば車両の運転室C内やパワーユニット50等に設置することができる。荷受台昇降装置1には、荷受台20の動作を指示する複数(本例では2つ)の操作端末A,B(後述)が備わっている。制御装置60には、操作端末A,Bの他、操作端末Cからも操作信号が入力され得る。操作端末Cは例えば所定のアプリケーションをインストールしたスマートフォンその他のモバイル端末であり、所定のアプリケーションを起動することで荷受台昇降装置1を操作するリモコンとして機能する。
【0020】
操作端末Aは制御装置60に有線接続された操作装置であり、例えば、押しボタン式の上スイッチSU及び下スイッチSDを備えている。この操作端末Aは、上スイッチSU又は下スイッチSDの操作に応じた操作信号を制御装置60にケーブル経由で出力する。
【0021】
操作端末Bは無線接続された操作装置であり、上スイッチSU、下スイッチSD及び送信部B1を備えている。上スイッチSU及び下スイッチSDは押しボタン式のスイッチである。送信部B1は、上スイッチSU又は下スイッチSDのON・OFF状態等のシリアルデータを生成し、このシリアルデータを操作信号(無線信号)として制御装置60に送信する。操作端末Bはオペレータが携帯することもできるが、不使用時には、例えば荷受台昇降装置1の道具箱(不図示)や運転室C、荷台Lの中に保管される。
【0022】
制御装置60は、操作端末A-Cからの操作信号に応じてパワーユニット50に指令信号を出力する制御コンピュータであり、入力部61,受信部62、記憶部(メモリ)63、演算部(CPU)64、出力部65及びタイマ66を含んで構成されている。入力部61には、荷受台昇降装置1に搭載された動作制御用の各種センサからの検出信号、操作端末Aからの操作信号が入力される。操作端末B,Cからの操作信号は受信部62で受信される。記憶部63には、荷受台昇降装置1の制御プログラムや制御に必要なデータが記憶されている。演算部64は、記憶部63に記憶された制御プログラムに従って演算処理を実行しリフトシリンダ44やスライドシリンダ33の動作について指令値を演算する。演算部64で演算された指令値は、出力部65で電気的な指令信号に変換されて各制御弁V1-V5のソレノイドS1-S5やコンタクタリレーCTに出力される。タイマ66は計時手段である。
【0023】
なお、本実施形態に係る荷受台昇降装置1とは別の荷受台昇降装置が荷受台昇降装置1の近くにある場合、その別の荷受台昇降装置に備わった無線式の操作端末からの操作信号が受信部62で受信されることも生じ得る。
【0024】
-基本動作-
図3において、切換弁V1-V5はいずれもノーマルクローズタイプの切換弁であり、消磁状態では閉じている。この状態を基準として、制御装置60からの電気信号によりコンタクタリレーCTが励磁されるとバッテリBTからの給電により電動モータM及び油圧ポンプPが駆動される。制御装置60からの電気信号により油圧ポンプPが駆動されると同時にソレノイドS3が励磁されると、切換弁V3が開いて油圧ポンプPからスライドシリンダ33のロッドポート及びボトムポートに圧油が供給される。これにより受圧面積差でスライドシリンダ33が伸長し、荷受台20が後進する(車枠Fの下部から引き出される)。
【0025】
制御装置60からの電気信号により油圧ポンプPが駆動されると同時にソレノイドS4が励磁されると、切換弁V4が開いて油圧ポンプPからスライドシリンダ33のロッドポートに圧油が供給される。これによりスライドシリンダ33が収縮し、荷受台20が前進する(車枠Fの下部に引き込まれる)。
【0026】
油圧ポンプPが停止された状態で制御装置60からの電気信号によりソレノイドS2が励磁されると、切換弁V2が開いてリフトシリンダ44のボトムポートがオイルタンクOTに接続する。これにより荷受台20等の重量でリフトシリンダ44が収縮し荷受台20が下降する。
【0027】
制御装置60からの電気信号により油圧ポンプPが駆動されると同時にソレノイドS1が励磁されると、切換弁V1が開いて油圧ポンプPからリフトシリンダ44のボトムポートに圧油が供給される。これによりリフトシリンダ44が伸長し荷受台20が上昇する。
【0028】
-複数の操作端末が同時操作された場合の動作-
操作端末A-Cのうちの一の操作端末(例えば操作端末A)から操作信号が入力された際、制御装置60は他の操作端末(例えば操作端末B,C)から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいてパワーユニット50を制御する。このとき、二以上の操作端末から操作信号が入力された場合、制御装置60は、他の操作信号の入力の有無に関わらず、入力中の操作信号のうち最先の操作信号に応じてパワーユニット50に指令信号を出力し荷受台20を駆動する。最先の操作信号が継続して入力されている間、制御装置60は、他の操作信号を受け付けず、無視して最先の操作信号に応じて指令信号を出力する。荷受台20の動作停止後はインターロックがかかる。最先の操作信号の入力停止後、全ての操作端末の無操作状態(つまり一切の操作信号が入力されない状態)が設定時間継続したことを条件として、制御装置60はインターロックを解除し、新たな最先の操作信号に応じてパワーユニット50に指令信号を出力する。この先押し優先制御に関し制御装置60による荷受台20の動作制御手順について次に説明する。
【0029】
図5は制御装置60による指令出力手順を表したフローチャート、図6は操作入力に対して図5の制御下でなされる指令出力の例を表すタイミングチャートである。電源スイッチSWが入り状態になって電力が供給され始めたら、制御装置60は記憶部63に格納されたプログラムに従って演算部64で以下の手順を開始する。
【0030】
[ステップS11]
図5の処理を開始すると、まずステップS11において、制御装置60は、操作端末A-Cからの操作信号の入力があるかを確認する。操作端末A-Cのいずれも操作されておらず、操作信号が一切入力されていなければ、制御装置60はステップS11からステップS18に手順を移す。操作端末A-Cの少なくとも1つが操作されており、少なくとも1つの操作信号が入力されていれば、制御装置60はステップS11からステップS12に手順を移す。
【0031】
[ステップS12]
ステップS12に手順を移した場合、制御装置60はステップS11で確認された操作信号が単数であるか(単独操作であるか)を判定する。例えば操作端末A,Bでそれぞれ上スイッチSUが偶然同時に押されて2つの操作信号が入力されている場合等、複数の操作信号が入力されていれば、ステップS12の判定は満たされない。仮に同一の操作端末から複数の操作信号が同時に出力され得る構成である場合、同一の端末(例えば操作端末A)から複数の操作信号(上スイッチSUと下スイッチSDの操作により出力される各操作信号)が入力されたときもステップS12の判定は満たされない。ステップS12の判定が満たされない場合には、制御装置60は全ての操作信号についてインターロックをかけ、ステップS12からステップS16、つまりインターロックの解除条件の判定に手順を移す。
【0032】
例えば操作端末B,Cが操作されていない状態で操作端末Aにおいて上スイッチSUのみが押された場合等、入力されている操作信号が1つであれば、ステップS12の判定が満たされる。この場合、制御装置60はステップS12からステップS13に手順を移す。
【0033】
[ステップS13]
ステップS13に手順を移した場合、制御装置60はステップS11で確認された操作信号に応じてパワーユニット50に指令信号を出力する。例えば荷受台20の上げ動作を指令する操作信号が入力されていれば、制御装置60は切換弁V1及び電動モータMを駆動するための指令信号を生成し、ソレノイドS1及びコンタクタリレーCTに出力して荷受台20を上昇させる。
【0034】
[ステップS14]
続くステップS14で、制御装置60は、ステップS11で確認された操作信号の入力が停止したかを判定する。操作信号の入力が停止していなければ、制御装置60はステップS13に手順を戻して指令信号の出力を継続する。つまりユーザによる操作が継続しステップS11で確認された操作信号の入力が続く間、制御装置60は、他の操作信号の入力の有無に関係なく、ステップS11で確認された操作信号に応じた指令信号を出力し続ける。これにより最初に受信した操作信号が優先され、その操作信号の受信中に後から異なる操作信号が入力されても、後から入力された操作信号は無視される。優先された操作をユーザが止めてステップS11で確認した操作信号の入力が停止したら、制御装置60はステップS14からステップS15に手順を移す。
【0035】
[ステップS15]
ステップS15に手順を移した場合、制御装置60は、指令信号の出力を停止して荷受台20の動作を止め、全ての操作信号についてインターロックをかけ、ステップS16、つまりインターロックの解除条件の判定に手順を移す。
【0036】
[ステップS16]
ステップS16に手順を移したら、制御装置60は操作端末A-Cから何等かの操作信号の入力がないかを判定する。操作端末A-Cの少なくとも1つが操作されており、少なくとも1つの操作信号が入力されていれば、制御装置60はステップS16の手順を再度実行する。つまり無操作状態にならない限りステップS16の手順が継続的に繰り返し実行される。操作端末A-Cのいずれも操作されておらず操作信号が一切入力されていなければ、制御装置60はステップS16からステップS17に手順を移す。
【0037】
[ステップS17]
ステップS17に手順を移すと、制御装置60は無操作状態の継続時間T(ステップS16の判定が継続して満たされている時間)が規定の設定時間T1に到達したか(T=T1)を判定する。無操作時間の継続時間Tが設定時間T1に満たなければ(T<T1)、制御装置60はステップS17からステップS16に手順を戻す。つまり設定時間T1だけ無操作状態が継続しない限りインターロックの解除条件は満たされず、インターロックの解除条件の判定が繰り返される。インターロックの解除条件の判定が継続している間、操作信号に応じて指令信号が出力されて荷受台20が動作することはなく、全ての操作信号についてインターロックがかかった状態が継続する。無操作時間Tが設定時間T1に到達すれば(T=T1)、制御装置60はステップS18に手順を移す。
【0038】
[ステップS18]
ステップS18に手順を移すと、制御装置60は電源スイッチSWが切り状態になったかを判定する。電源オンのままであれば、制御装置60はステップS18からステップS11に手順を戻して以上の処理を繰り返す。電源がオフになっていれば、制御装置60は終了処理を実行して図5の手順を終了する。
【0039】
図6に示した例では、時刻t1-t5に操作端末Aの上スイッチSUが、時刻t6-t8に操作端末Aの下スイッチSDが操作されている。操作端末Bについては、時刻t2-t9、時刻t10-t11にそれぞれ上スイッチSUが操作されている。操作端末Bについては、他の荷受台昇降装置に備わった無線式の操作装置が近く(無線信号の授受可能な距離)で操作されている場合、その操作装置に置き換えて考えても良い(後述する図8図10についても同様である)。操作端末Cについては、時刻t3-t4、時刻t5-t7にそれぞれ上スイッチSUが操作されている。同図にハッチングを施した時間は、操作に応じて指令信号が出力されている時間を表している。
【0040】
図6の例において、図5のフローによる制御下では、最初にされた時刻t1における操作端末Aの上げ操作が優先権を得て、その操作が終わる時刻t5まで操作端末Aの操作に応じて荷受台20が上昇する。この間にされた操作端末B,Cの操作は受け付けられない。操作端末Aによる上げ操作が終わった時刻t5にインターロックが働くため、時刻t5に操作端末B,Cが、時刻t6には再び操作端末Aが操作されているが、これら操作も受け付けられない。その後、時刻t9-t10に無操作状態が設定時間T1以上継続してインターロックが解除され、それから最初にされた時刻t10における操作端末Bの上げ操作が優先権を得て、操作端末Bの操作に応じて荷受台20が上昇する。
【0041】
-効果-
(1)本実施形態においては、一の操作端末から操作信号が入力された際、他の操作端末から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいてパワーユニット50を制御する。複数の操作信号が入力されているかを積極的に判定することで、複数の操作端末が同時に操作される場面に望ましい荷受台昇降装置1の動作プログラムを組むことができる。これにより複数の操作端末が同時に操作された場合の荷受台20の動作を合理化することができる。
【0042】
(2)本実施形態においては、二以上の操作端末から操作信号が入力された場合、他の操作信号の入力の有無に関わらず最先の操作信号に応じてパワーユニット50に指令信号が出力され、荷受台20は優先操作に応じて動作する。これにより後から操作したユーザは、他のユーザの操作中であることを把握することができる。特に、優先操作の継続中は他の操作信号の入力の有無に関わらず荷受台20の動作が継続するので、他の操作信号に邪魔されずに荷受台20を動かせて作業効率が良い。
【0043】
(3)最先の操作信号の入力停止後はインターロックがかかり、無操作状態が設定時間T1だけ継続しない限り操作が受け付けられない。これにより例えば荷受台20が上昇動作直後に下降するような動作方向の急変を防ぐことができ、荷崩れ防止等の効果もある。また、例えば操作端末Aによる荷受台20の上げ操作の終了時、操作端末Bで上げ操作がされていても、優先権を得ている操作端末Aの操作(操作停止)が優先されて荷受台20が停止する。操作端末Aを使用していたユーザが操作を止めた途端に荷受台20が意図しない動作をするようなこともない。
【0044】
(第2実施形態)
本実施形態が第1実施形態と相違する点は、複数の操作信号が同時に入力された場合の荷受台20の動作にあり、荷受台昇降装置のハード構成は第1実施形態と同様である。
【0045】
一の操作端末(例えば操作端末A)から操作信号が入力された際、他の操作端末(例えば操作端末B,C)から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいてパワーユニット50を制御する点で、本実施形態は第1実施形態と共通する。しかし、一の操作端末から操作信号が入力されている間、他の操作端末から入力された操作信号が一の操作端末から入力されている操作信号と同じ動作を指示するものである場合、荷受台20の動作は第1実施形態と相違し得る。本実施形態では、一の操作端末からの操作信号の入力停止時に他の操作端末からの操作信号が継続して入力されているとき、制御装置60はパワーユニット50への指令信号の出力を継続する。具体例としては、操作端末Aの上スイッチSUの操作中に操作端末Bの上スイッチSUが操作され、操作端末Aの上スイッチSUの操作が終わった時点で操作端末Bの上スイッチSUの操作が継続している場合である。この場合、第1実施形態では操作端末Aの上スイッチSUの操作が終わった時点でインターロックがかかるが、本実施形態では操作端末Aの上スイッチSUの操作が終わっても操作端末Bの上スイッチの操作により荷受台20の上昇が継続する。
【0046】
また、本実施形態では、一の操作端末から操作信号が入力されている間、他の操作端末から入力された操作信号が一の操作端末から入力されている操作信号と異なる動作を指示する場合、制御装置60はパワーユニット50への指令信号の出力を停止する。具体例としては、操作端末Aの上スイッチSUの操作中に操作端末Bの下スイッチSDが操作された場合である。この場合、第1実施形態では操作端末Aによる上げ操作が優先されて操作端末Bで下げ操作がされても荷受台20は上昇を続けるが、本実施形態では操作端末Aの上げ操作の継続中でも操作端末Bで下げ操作がされた時点で荷受台20は停止する。
【0047】
本実施形態の制御装置60による荷受台20の動作制御手順についてフローチャートを用いて次に説明する。
【0048】
図7は本発明の第2実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置による指令出力手順を表したフローチャート、図8は操作入力に対して図7の制御下でなされる指令出力の例を表すタイミングチャートである。図7及び図8は第1実施形態の図5及び図6に対応している。第1実施形態と同様、電源スイッチSWが入り状態になって電力が供給され始めたら、制御装置60は記憶部63に格納されたプログラムに従って演算部64で以下の手順を開始する。
【0049】
[ステップS21]
図7の処理を開始すると、まずステップS21において、制御装置60は、操作端末A-Cからの操作信号の入力があるかを確認する。この手順は第1実施形態のステップS11と同様である。操作信号が一切入力されていなければ、制御装置60はステップS21からステップS29に手順を移す。少なくとも1つの操作信号が入力されていれば、制御装置60はステップS21からステップS22に手順を移す。
【0050】
[ステップS22]
ステップS22に手順を移した場合、制御装置60はステップS21で確認された操作信号が互いに異なる動作を指示する複数の異種操作信号を含んでいなかを判定する。例えば操作端末Aの上スイッチSUと操作端末Bの下スイッチSDが偶然同時に押されて異種操作信号が入力されている場合、ステップS22の判定は満たされない。仮に同一の操作端末から複数の操作信号が同時に出力され得る構成である場合、同一の端末(例えば操作端末A)で上スイッチSUと下スイッチSDが同時操作された場合も同様である。ステップS22の判定が満たされない場合には、制御装置60は全ての操作信号についてインターロックをかけ、ステップS22からステップS27、つまりインターロックの解除条件の判定に手順を移す。
【0051】
ステップS11で確認された操作信号が単一である場合の他、複数の操作信号であってもそれぞれが同じ動作を指示する同種操作信号である場合には、ステップS22の判定が満たされる。動作操作信号が入力され得る場面は、例えば操作端末A,Bでそれぞれ同じ上スイッチSUが同時に押され場合等である。ステップS22の判定が満たされた場合、制御装置60はステップS22からステップS23に手順を移す。
【0052】
[ステップS23]
ステップS23に手順を移した場合、制御装置60はステップS21で確認された操作信号に応じてパワーユニット50に指令信号を出力する。この手順は第1実施形態のステップS13と同様である。
【0053】
[ステップS24]
続くステップS24において、制御装置60は現在の荷受台20の動作とは異なる異種操作信号が新たに入力されていないかを判定する。この判定はステップS22と実質同一の処理であり、異種操作信号が新たに入力されていれば、制御装置60はステップS24からステップS26に手順を移す。異種操作信号が新たに入力されていない場合(新たに操作信号が入力されてもそれが同種操作信号である場合を含む)、制御装置60はステップS24からステップS25に手順を移す。本実施形態では指令信号の出力中も他の操作信号の入力の有無が判定され、この点も第1実施形態と相違する点である。
【0054】
[ステップS25]
ステップS25に手順を移したら、制御装置60は、ステップS21,S24で確認された操作信号の入力が停止したかを判定する。操作信号の入力が停止していなければ、制御装置60はステップS23に手順を戻して指令信号の出力を継続する。つまりステップS21で確認された操作信号の入力が続く間、又はステップS21で確認された操作信号の入力が停止しても同種操作信号が入力されている間、制御装置60は、異種操作信号が入力されていないことを条件として指令信号の出力を継続する。ステップS21で確認された操作信号の入力が停止し、かつステップS24で同種操作信号の新たな入力も確認できない場合、制御装置60はステップS25からステップS26に手順を移す。
【0055】
[ステップS26]
ステップS26に手順を移したら、制御装置60は、指令信号の出力を停止して荷受台20の動作を止め、全ての操作信号についてインターロックをかけ、ステップS27、つまりインターロックの解除条件の判定に手順を移す。第1実施形態のステップS15と同様である。
【0056】
[ステップS27]
ステップS27に手順を移したら、制御装置60は操作端末A-Cから何等かの操作信号の入力がないかを判定する。第1実施形態のステップS16と同様である。制御装置60は、少なくとも1つの操作信号が入力されていればステップS27の手順を再度実行し、操作信号が一切入力されていなければステップS27からステップS28に手順を移す。
【0057】
[ステップS28]
ステップS28に手順を移すと、制御装置60は無操作状態の継続時間Tが規定の設定時間T1に到達したかを判定する。第1実施形態のステップS17と同様である。制御装置60は、T<T1であればステップS28からステップS27に手順を戻し、T=T1であればステップS28からステップS29に手順を移す。これによりインターロックが解除される。
【0058】
[ステップS29]
ステップS29に手順を移すと、制御装置60は電源スイッチSWが切り状態になったかを判定する。第1実施形態のステップS18と同様である。制御装置60は、電源オンのままであればステップS29からステップS21に手順を戻し、電源がオフになっていれば図7の手順を終了する。
【0059】
図8に示した例では、第1実施形態の説明に使用した図6と同じ操作タイミングを表している。同一の操作を行っても、操作端末Aの上げ操作が終わった時刻t5で第1実施形態(図6)では荷受台20が停止するのに対し、本実施形態では図8に示したように操作端末Bの上スイッチSUが操作されていることで荷受台20の上昇動作が継続する。操作端末Bの上スイッチSUの操作はその後も継続するが、操作端末Aの下スイッチSDが操作された(つまり異種操作信号が入力された)時刻t6に荷受台20は停止する。その後、第1実施形態と同様、時刻t9から設定時間T1後にインターロックが解除され、時刻t10に操作端末Bの上げ操作に応じて荷受台20が上昇する。
【0060】
本実施形態においても、同時操作判定により、複数の操作端末が同時に操作された場合の荷受台20の動作を合理化することができる。第1実施形態と同様、荷受台20の動作方向の急変も防ぐことができる。
【0061】
(第3実施形態)
本実施形態が前2つの実施形態と相違する点は、複数の操作信号が同時に入力された場合の荷受台20の動作にあり、荷受台昇降装置のハード構成は第1実施形態及び第2実施形態と同様である。
【0062】
一の操作端末(例えば操作端末A)から操作信号が入力された際、他の操作端末(例えば操作端末B,C)から操作信号が入力されているかを判定し、この判定に基づいてパワーユニット50を制御する点で、本実施形態は前2つの実施形態と共通する。しかし、一の操作端末(例えば操作端末A)から操作信号が入力されている間、他の操作端末(例えば操作端末B,C)から操作信号が入力された場合、制御装置60はパワーユニット50への指令信号の出力を停止する。第2実施形態では追って入力された操作信号が同種操作信号であれば荷受台20の動作が継続したのに対し、本実施形態では操作信号の種類は判断されない。つまり、他の操作端末(例えば操作端末B,C)から追って入力された操作信号が一の操作端末(例えば操作端末A)から入力されている操作信号と同じ動作を指示するか異なる動作を指示するかに関わらず、荷受台20は停止する。
【0063】
本実施形態の制御装置60による荷受台20の動作制御手順についてフローチャートを用いて次に説明する。
【0064】
図9は本発明の第3実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置による指令出力手順を表したフローチャート、図10は操作入力に対して図9の制御下でなされる指令出力の例を表すタイミングチャートである。図9及び図10は第1実施形態の図5及び図6、第2実施形態の図7及び図8に対応している。第前2つの実施形態と同様、電源スイッチSWが入り状態になって電力が供給され始めたら、制御装置60は記憶部63に格納されたプログラムに従って演算部64で以下の手順を開始する。
【0065】
[ステップS31]
図9の処理を開始すると、まずステップS31において、制御装置60は、操作端末A-Cからの操作信号の入力があるかを確認する。この手順は第1実施形態のステップS11、第2実施形態のステップS21と同様である。操作信号が一切入力されていなければ、制御装置60はステップS31からステップS39に手順を移す。少なくとも1つの操作信号が入力されていれば、制御装置60はステップS31からステップS32に手順を移す。
【0066】
[ステップS32]
ステップS32に手順を移した場合、制御装置60はステップS31で確認された操作信号が単数であるか(単独操作であるか)を判定する。この手順は第1実施形態のステップS12と同様である。制御装置60は、複数の操作信号が入力されていればインターロックをかけてステップS32からステップS37、つまりインターロックの解除条件の判定に手順を移し、入力されている操作信号が1つであればステップS32からステップS33に手順を移す。
【0067】
[ステップS33]
ステップS33に手順を移した場合、制御装置60はステップS31で確認された操作信号に応じてパワーユニット50に指令信号を出力する。この手順は第1実施形態のステップS13、第2実施形態のステップS23と同様である。
【0068】
[ステップS34]
続くステップS34において、制御装置60は新たに別の操作信号が入力されていないかを判定する。ここで判定される別の操作信号は、同種操作信号か異種操作信号かは問われない。制御装置60は、新たな操作信号が入力されていればステップS34からステップS36に手順を移し、新たな操作信号が入力されていなければステップS34からステップS35に手順を移す。本実施形態でも、第2実施形態と同じく、指令信号の出力中に他の操作信号の入力の有無が判定される。
【0069】
[ステップS35]
ステップS35に手順を移したら、制御装置60は、ステップS31で確認された操作信号の入力が停止したかを判定する。第1実施形態のステップS14や第2実施形態のステップS25に対応する手順である。制御装置60は、操作信号の入力が続いていればステップS35からステップS33に手順を戻し、停止していればステップS35からステップS36に手順を移す。
【0070】
[ステップS36]
ステップS36に手順を移したら、制御装置60は、指令信号の出力を停止して荷受台20の動作を止め、全ての操作信号についてインターロックをかけ、ステップS37、つまりインターロックの解除条件の判定に手順を移す。第1実施形態のステップS15や第2実施形態のステップS26と同様である。
【0071】
[ステップS37]
ステップS37に手順を移したら、制御装置60は操作端末A-Cから何等かの操作信号の入力がないかを判定する。第1実施形態のステップS16や第2実施形態のステップS27と同様である。制御装置60は、少なくとも1つの操作信号が入力されていればステップS37の手順を再度実行し、操作信号が一切入力されていなければステップS37からステップS38に手順を移す。
【0072】
[ステップS38]
ステップS38に手順を移すと、制御装置60は無操作状態の継続時間Tが規定の設定時間T1に到達したかを判定する。第1実施形態のステップS17や第2実施形態のステップS28と同様である。制御装置60は、T<T1であればステップS38からステップS37に手順を戻し、T=T1であればステップS38からステップS39に手順を移す。これによりインターロックが解除される。
【0073】
[ステップS39]
ステップS39に手順を移すと、制御装置60は電源スイッチSWが切り状態になったかを判定する。第1実施形態のステップS18や第2実施形態のステップS29と同様である。制御装置60は、電源オンのままであればステップS39からステップS31に手順を戻し、電源がオフになっていれば図9の手順を終了する。
【0074】
図10に示した例では、前掲の図6及び図8と同じ操作タイミングを表している。前2つの実施形態では、操作端末Aの上げ操作が終わる時刻t5より前に荷受台20が停止することがなかったのに対し、本実施形態では図10に示したように操作端末Bの上スイッチSUが新たに操作された時刻t2で荷受台20が停止する。第2実施形態では操作端末Bからの同種操作信号の入力(時刻t2)で荷受台20の動作は中断されなかったのに対し、本実施形態において信号種別は加味されず新たな操作信号が同種操作信号であっても荷受台20が停止する点が特有である。その後、前2つの実施形態と同様、時刻t9から設定時間T1後にインターロックが解除され、時刻t10に操作端末Bの上げ操作に応じて荷受台20が上昇する。
【0075】
本実施形態においても、同時操作判定により、複数の操作端末が同時に操作された場合の荷受台20の動作を合理化することができる。第1実施形態と同様、荷受台20の動作方向の急変も防ぐことができる。
【0076】
(変形例)
上記実施形態では、複数の操作端末A,Bを備えた荷受台昇降装置1を例に挙げて説明したが、複数の操作端末が同時に操作された場合に荷受台昇降装置1をどのように動作させるかが発明の本質である。他の荷受台昇降装置が無線信号を授受可能な程度の近くにある場合、他の荷受台昇降装置に備わった無線式の操作端末の操作信号も荷受台昇降装置1で受信され得る。つまり、無線操作機能を備えている場合には、荷受台昇降装置1に1つしか操作端末が備わっていなくても複数の操作信号が同時に入力されることが生じ得る。従って、操作端末を1つのみ備えた荷受台昇降装置1にも本発明は適用され得る。
【0077】
また、先端側荷受台22を1枚として荷受台20が1箇所で折れる構造を例示したが、先端側荷受台22を前後複数枚の荷受台で構成することで、荷受台20が2カ所以上で折れる構造としても良い。このような荷受台を採用した荷受台昇降装置にも本発明は適用可能である。
【0078】
加えて、例えば地面と荷台との間で荷受台を昇降させて荷役作業を支援する荷受台昇降装置であれば、他の種の荷受台昇降装置にも本発明は適用可能である。例えば、荷箱の内部に荷受台を収納する荷受台昇降装置(例えば特開2010-155600号公報、特開2005-289150号公報)にも本発明は適用可能である。荷受台をスライドさせずに車枠の下部に格納する回転格納式荷受台昇降装置(特開2010-52569号公報参照)にも本発明は適用可能である。また、荷台の後部で荷受台を起立させて格納する各種の荷受台昇降装置(例えば特開2008-189189号公報、特開2007-331631号公報、特開2004-224082号公報)にも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1…荷受台昇降装置、50…パワーユニット、60…制御装置、A-C…操作端末、L…荷台
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10