(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】パウダー容器
(51)【国際特許分類】
A45D 33/00 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
A45D33/00 615F
(21)【出願番号】P 2020084078
(22)【出願日】2020-05-12
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光夫
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-064718(JP,U)
【文献】特開2010-253244(JP,A)
【文献】実開平02-119432(JP,U)
【文献】実開昭60-070210(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周壁と前記周壁の下端に連なる底壁とを備える容器本体と、
前記周壁に着脱可能な蓋と、
前記周壁に取り付けられ、前記底壁との間にパウダーを収容するパウダー収容空間を区画し、且つ、前記蓋との間に塗布具を収容する塗布具収容空間を区画し、更に、前記パウダー収容空間と前記塗布具収容空間とを連通させる少なくとも1個の開口を備える中栓と、
前記底壁の貫通穴を閉塞するとともに、前記底壁の外面側からの回転操作により前記貫通穴を中心に前記底壁に対して相対回転可能な回転部材と、を有し、
前記回転部材が、前記回転操作により前記パウダー収容空間内で前記容器本体及び前記中栓の少なくとも一方の表面上を摺動可能なワイパ部を有
し、
前記蓋が、前記周壁に対する相対回転によって前記周壁に着脱可能であり、
前記蓋が、前記相対回転によって前記塗布具を前記蓋と共回りさせるように前記塗布具に食い込む突出部を有し、
前記中栓が、前記塗布具の下面における前記少なくとも1個の開口の直上に位置する部分上を前記相対回転により摺動可能な摺動凸部を有することを特徴とするパウダー容器。
【請求項2】
前記ワイパ部が、前記回転操作により前記パウダー収容空間内で前記中栓の前記表面上を前記少なくとも1個の開口を横切るように摺動可能である、請求項1に記載のパウダー容器。
【請求項3】
前記ワイパ部が、前記底壁に沿って延びる底壁摺動部と、前記周壁に沿って延びる周壁摺動部と、前記中栓に沿って延びる
中栓摺動部と、で形成されるU字形状をなす枠状部を有する、請求項1または2に記載のパウダー容器。
【請求項4】
前記ワイパ部が、前記回転操作により前記パウダー収容空間内で前記周壁の表面上を摺動可能であり、
前記周壁が透明性を有する、請求項1~3の何れか1項に記載のパウダー容器。
【請求項5】
前記回転部材が、前記貫通穴を通して前記ワイパ部に連なるとともに前記底壁の前記外面に相対回転可能に連結される操作体を有する、請求項1~4の何れか1項に記載のパウダー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウダー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
ルースパウダー、ベビーパウダー等のパウダーを収容する一般的なパウダー容器として、周壁と底壁とを備える容器本体と、周壁に着脱可能な蓋と、周壁に取り付けられるとともに、容器本体の底壁との間にパウダーを収容するパウダー収容空間を区画し、且つ、蓋との間にパフ等の塗布具を収容する塗布具収容空間を区画し、更に、パウダー収容空間と塗布具収容空間とを連通させる開口群を備える中栓とを有するものが知られている(例えば、特許文献1の
図9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来のパウダー容器は、パウダー収容空間内でパウダーが容器本体及び中栓の表面に付着して使い残し(残量)が多くなってしまう場合があった。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、パウダーの使い残しを低減することができるパウダー容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のパウダー容器は、周壁と前記周壁の下端に連なる底壁とを備える容器本体と、前記周壁に着脱可能な蓋と、前記周壁に取り付けられ、前記底壁との間にパウダーを収容するパウダー収容空間を区画し、且つ、前記蓋との間に塗布具を収容する塗布具収容空間を区画し、更に、前記パウダー収容空間と前記塗布具収容空間とを連通させる少なくとも1個の開口を備える中栓と、前記底壁の貫通穴を閉塞するとともに、前記底壁の外面側からの回転操作により前記貫通穴を中心に前記底壁に対して相対回転可能な回転部材と、を有し、前記回転部材が、前記回転操作により前記パウダー収容空間内で前記容器本体及び前記中栓の少なくとも一方の表面上を摺動可能なワイパ部を有し、前記蓋が、前記周壁に対する相対回転によって前記周壁に着脱可能であり、前記蓋が、前記相対回転によって前記塗布具を前記蓋と共回りさせるように前記塗布具に食い込む突出部を有し、前記中栓が、前記塗布具の下面における前記少なくとも1個の開口の直上に位置する部分上を前記相対回転により摺動可能な摺動凸部を有することを特徴とする。
【0007】
本発明のパウダー容器は、上記構成において、前記ワイパ部が、前記回転操作により前記パウダー収容空間内で前記中栓の前記表面上を前記少なくとも1個の開口を横切るように摺動可能であるのが好ましい。
【0008】
本発明のパウダー容器は、上記構成において、前記ワイパ部が、前記底壁に沿って延びる底壁摺動部と、前記周壁に沿って延びる周壁摺動部と、前記中栓に沿って延びる中栓摺動部と、で形成されるU字形状をなす枠状部を有するのが好ましい。
【0009】
本発明のパウダー容器は、上記構成において、前記ワイパ部が、前記回転操作により前記パウダー収容空間内で前記周壁の表面上を摺動可能であり、前記周壁が透明性を有するのが好ましい。
【0010】
本発明のパウダー容器は、上記構成において、前記回転部材が、前記貫通穴を通して前記ワイパ部に連なるとともに前記底壁の前記外面に相対回転可能に連結される操作体を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パウダーの使い残しを低減することができるパウダー容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施の形態であるパウダー容器を示す一部断面側面図である。
【
図6】
図1に示すワイパ部材の一部断面側面図である。
【
図7】
図6と90°異なる角度から視たワイパ部材の側面図である。
【
図10】
図1に示す操作部材の一部断面側面図である。
【
図11】
図1に示す操作部材の変形例を示す一部断面側面図である。
【
図13】
図1に示すパウダー容器を倒立姿勢にして操作体を回転操作している時の状態を示す説明図である。
【
図14】
図13に示す状態からパウダー容器を正立姿勢に戻し、蓋を容器本体に対して取り外し方向に相対回転させている時の状態を示す説明図である。
【
図15】
図13に示す状態からパウダー容器を正立姿勢に戻した時の塗布具の状態を示す説明図である。
【
図16】
図14に示す状態から蓋を取り外した時の塗布具の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施の形態であるパウダー容器1を例示説明する。
【0015】
なお、以下に説明する実施形態において、上下方向とは容器本体2の周壁2aの中心軸線Oに沿う方向を意味しており、上方とは容器本体2の底壁2bから蓋3の天壁3aに向かう方向を意味しており、下方とはその反対方向を意味しており、周方向とは中心軸線Oを周回する方向を意味しており、径方向とは中心軸線Oに直交する直線に沿う方向を意味している。
【0016】
図1及び
図2に示す本発明の一実施の形態であるパウダー容器1は、容器本体2、蓋3、中栓4及び回転部材5を有している。また、回転部材5は、ワイパ部6aを備えるワイパ部材6と、操作体7aを備える操作部材7と、で構成されている。
【0017】
容器本体2、蓋3、中栓4、ワイパ部材6及び操作部材7はそれぞれ、合成樹脂の射出成形によって形成されている。なお、これら部材の材料及び形成方法はこれに限らない。例えば、容器本体2及び蓋3を合成樹脂に代えて、例えばガラスまたは金属等で形成してもよい。
【0018】
容器本体2は、内部を透視可能とする透明性を有している。ここで「透明性」とは、無色透明、有色透明及び半透明のいずれであってもよい。なお、容器本体2は透明性を有するものに限らず、不透明であってもよい。
【0019】
容器本体2は、中心軸線Oを中心として全周に亘って延びる周壁2aと、周壁2aの下端に連なる底壁2bとを有している。
【0020】
周壁2aは、ねじ部10を介して蓋3を着脱可能な口部8と、口部8の下端に連なる胴部9とを有している。口部8は中心軸線Oを中心とする円筒状をなしており、その外周面には、ねじ部10を構成する雄ねじ10aが設けられている。胴部9は、中心軸線Oを中心とする円筒内周面状の内周面を有している。なお、胴部9の外周面は、口部8よりも径が大きい円筒外周面状をなしている。
【0021】
胴部9の下端には底壁2bが連なっている。底壁2bは、中心軸線Oを中心とする円板状をなしており、その中央部には底壁2bを貫通する貫通穴2cが設けられている。貫通穴2cは、中心軸線Oを中心とする底面視円形状をなしている。底壁2bの下面における外周縁部には、中心軸線Oを中心とする円環状をなす環状凸部2dが設けられている。
【0022】
蓋3は、容器本体2に対する中心軸線Oを中心とする相対回転によって周壁2aに着脱可能である。また、蓋3は、中心軸線Oを中心とする円板状の天壁3aと、天壁3aの外周縁から垂下するとともに天壁3aと同心の円筒状をなす筒壁3bとを有している。
【0023】
天壁3aの内面(下面)には、下方に突出する複数の突起で構成された突出部3cが設けられている。突出部3cは、後述する塗布具12に食い込んでおり、これにより、周壁2aに対する蓋3の取り外し方向への相対回転によって塗布具12を蓋3と共回りさせることができる。なお、突出部3cは、複数の突起で構成されるものに限らない。すなわち、突出部3cは、周壁2aに対する蓋3の取り外し方向への相対回転によって塗布具12を蓋3と共回りさせるように塗布具12に食い込むものである限り、その形状及び配置を適宜変更可能である。
【0024】
筒壁3bの内周面には、ねじ部10を構成する雌ねじ10bが設けられている。蓋3を周壁2aに対して相対回転させることによって雌ねじ10bと雄ねじ10aとを螺合或いは螺脱させ、それにより蓋3を口部8に着脱することができる。
【0025】
図1、
図3及び
図4に示すように、中栓4は、周壁2aに取り付けられ、容器本体2の底壁2bとの間にパウダー11を収容するパウダー収容空間S1を区画し、且つ、蓋3との間に塗布具12としてのパフを収容する塗布具収容空間S2を区画し、更に、パウダー収容空間S1と塗布具収容空間S2とを連通させる複数(本実施の形態では50個)の開口13aからなる開口群13を有している。なお、
図1、
図3、
図4、
図11及び
図12においては、1個のみの開口13aに符号を付している。本実施の形態では、中心軸線Oを中心とする5つの円周上に開口群13が配置されている。パウダー11は例えば、ルースパウダー、ベビーパウダー等である。なお、塗布具12はパフに限らない。
【0026】
開口群13は、中栓4の中央部に位置するとともに中心軸線Oを中心とする円板状をなす中央壁4aに設けられている。中央壁4aの上面には、塗布具12の下面における開口群13の直上に位置する部分であるパウダー付着面12a上を、周壁2aに対する蓋3の取り外し方向への相対回転により摺動可能な摺動凸部4bが設けられている。摺動凸部4bは、上面視で中央壁4aを横断する一文字形状をなすように径方向に延びる横リブ状をなしている。なお、摺動凸部4bは、径方向に延びていれば一文字形状に限らず、例えばY字形状、十文字形状、波形形状など、その形状を種々変更可能である。
【0027】
中央壁4aの外周縁には、摺動凸部4bと同じ高さまで上方に突出するとともに周方向に全周に亘って延びる環状段部4cが設けられている。また、中栓4における中央壁4aよりも径方向外側に位置する部分である周縁部4dは、周壁2aに取り付けられている。
【0028】
中栓4の周縁部4dは、内周縁が環状段部4cを形成する円環板状をなすとともに塗布具12の下面を支持する塗布具載置壁4eと、塗布具載置壁4eの外周縁から上方に延びるとともに中心軸線Oを中心とする円環状をなし、上端部において口部8に嵌合によって固定される嵌合壁4fと、を有している。嵌合壁4fは、口部8に嵌合によって固定されている。
【0029】
また、中栓4の周縁部4dは、塗布具載置壁4eよりも下方において中央壁4aの外周縁から径方向外側に延びるとともに外周縁が胴部9の内周面に密接する外周下壁4gを有している。なお、塗布具載置壁4eと外周下壁4gとの間には上下方向に隙間が形成されている。また、外周下壁4gは、径方向外側に向けて下方に僅かに傾斜する円錐状をなしており、外周縁部がその傾斜角度を拡大されることで胴部9の内周面に弾性的に接触するリップ部4hを形成している。
【0030】
中央壁4aの下面と外周下壁4gの下面とで、中栓4の下面が形成されている。
【0031】
図1に示すように、回転部材5は、底壁2bの貫通穴2cを閉塞するとともに、底壁2bの外面(下面)側からの回転操作により貫通穴2cを中心に底壁2bに対して相対回転可能である。回転部材5のワイパ部材6のワイパ部6aは、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で容器本体2及び中栓4の表面上を摺動可能である。
【0032】
より具体的に、ワイパ部6aは、
図1及び
図5~
図8に示すように、底壁2bの上面に沿って径方向に延びる底壁摺動部6bと、周壁2aの内周面に沿って上下方向に延びる周壁摺動部6cと、中栓4の下面に沿って径方向に延びる中栓摺動部6dと、で形成されるU字形状をそれぞれなす2つの枠状部6eを有している。2つの枠状部6eの底壁摺動部6bはそれぞれ、中心軸線Oを中心とする有頂円筒状の回転軸6fに連なっている。また、2つの枠状部6eの中栓摺動部6dは、中心軸線O上で互いに連なっている。2つの枠状部6eは全体として上面視一文字形状をなしている。
【0033】
しかし、枠状部6eの数及び配置はこれに限らない。例えば、ワイパ部6aは、全体として上面視Y字形状をなすように配置された3つの枠状部6eを有してもよいし、全体として上面視十文字形状をなすように配置された4つの枠状部6eを有してもよい。
【0034】
回転軸6fの下端部は底壁2bの貫通穴2c内に挿入されており、その外周面が貫通穴2cの内周面に密接することで、貫通穴2cが閉塞されている。なお、本実施の形態では、貫通穴2cの内周面に設けられた中心軸線Oを中心とする円環状をなすシール突起2eに回転軸6fの下端部の外周面が密接しているが、これに限らない。
【0035】
回転軸6fの上面と、2つの枠状部6eの中栓摺動部6dとは、中心軸線Oを中心とする支柱6gにより連結されており、これによりワイパ部6aが補強されている。
【0036】
各々の底壁摺動部6bは、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で底壁2bの表面(上面)上を摺動可能である。各々の周壁摺動部6cは、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で周壁2aの表面(内周面)上を摺動可能である。各々の中栓摺動部6dは、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で中栓4の表面(下面)上を摺動可能である。また、各々の中栓摺動部6dは、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で中栓4の中央壁4aの表面(下面)上を開口群13を横切るように摺動可能な中央壁摺動部6d1と、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で中栓4の外周下壁4gの表面(下面)上を摺動可能な外周下壁摺動部6d2と、を有している。
【0037】
各々の枠状部6eは、枠体6hと、枠体6hから突出するとともにパウダー収容空間S1内で容器本体2及び中栓4の表面上を摺動可能な板状体6iとで構成されている。各々の枠状部6eの板状体6iには、開口群13が配置された5つの円周をそれぞれ径方向に挟むように間欠部6jが設けられている。また、各々の枠状部6eの板状体6iには、中栓摺動部6dと周壁摺動部6cとの間の部分と、底壁摺動部6bと回転軸6fとの間の部分にも、間欠部6jが設けられている。
【0038】
図1、
図2、
図9及び
図10に示すように、操作部材7の操作体7aは、底壁2bの貫通穴2cを通してワイパ部6aに連なるとともに底壁2bの外面に相対回転可能に連結されている。
【0039】
操作体7aは、前記回転操作を受ける円形貫通穴状の1つの指掛け部7bを有する中心軸線Oを中心とする円板状をなしており、その外周面に設けられた突起状の被係止部7cが底壁2bの環状凸部2dの内周面に設けられた円環溝状の係止部2fに係止されることで、底壁2bの外面に相対回転可能に連結されている。なお、被係止部7cを円環溝状とし、係止部2fを突起状としてもよい。指掛け部7bは、操作体7aの回転中心、つまり中心軸線Oと操作体7aの外周縁との間の部分に設けられている。
【0040】
なお、指掛け部7bは円形以外の貫通穴状をなしていてもよい。また、指掛け部7bは、
図11及び
図12に示す変形例のように、複数個設けてもよいし、凹状をなしていてもよい。本変形例では、周方向に等しい間隔を空けて4つの指掛け部7bが設けられており、各々の指掛け部7bは径方向外側に向けて拡幅する略三角形状をなしている。なお、
図11及び
図12においては、
図9及び
図10に示す要素に対応する要素に同一の符号を付している。
【0041】
操作部材7は、操作体7aの上面から突出する中心軸線Oを中心とする円筒状の軸体7dを有している。軸体7dは、その外周面とワイパ部材6の回転軸6fの内周面との間に設けられたスプライン部14を介してワイパ部材6に連結しており、これにより、ワイパ部材6に対して回り止めされている。つまり、操作体7aは、底壁2bの貫通穴2c内を通して軸体7d及び回転軸6fを介してワイパ部6aに連なっており、ワイパ部6aを中心軸線Oを中心に共回りさせることができる。
【0042】
パウダー容器1の使用時には、まず、パウダー容器1を倒立姿勢にして、
図13に示すように、回転部材5の操作体7aを指掛け部7bに指を掛けて中心軸線Oを中心として回転操作することで、回転部材5のワイパ部6aを操作体7aと共回りさせることができる。そして、このワイパ部6aの共回りにより、各々の枠状部6eをパウダー収容空間S1内で容器本体2及び中栓4の表面上で摺動させて、当該表面に付着したパウダー11を掻き取ることができるので、パウダー11の使い残しを低減することができる。
【0043】
またこのとき、各々の枠状部6eが枠体6hと板状体6iとで構成されていることから、板状体6iが容器本体2及び中栓4の表面上を摺動する際に適宜撓ることができ、これにより当該表面に付着したパウダー11を効率的に操作性良く掻き取ることができる。
【0044】
またこのとき、各々の中栓摺動部6dが中央壁摺動部6d1を有していることから、中央壁摺動部6d1でパウダー11を開口群13に送り込むことができ、これにより、パウダー11を塗布具12のパウダー付着面12aに容易に付着させることができる。
【0045】
このように操作体7aを回転操作してパウダー11を塗布具12に付着させた後は、パウダー容器1を正立姿勢に戻し、
図14に示すように、蓋3を容器本体2に対して取り外し方向に相対回転させる。このとき、蓋3が突出部3c有していることから、塗布具12を蓋3と共回りさせて、塗布具12のパウダー付着面12aに付着したパウダー11を中栓4の摺動凸部4bで馴染ませることができる。すなわち、
図15に示すように開口群13の配置に従って斑点状に付着したパウダー11を、
図16に示すようにパウダー付着面12a全体に広げることができる。
【0046】
したがって、蓋3を容器本体2から取り外して塗布具12を取り出すだけで、さらにパウダー付着面12aを指で撫でるなどしてパウダー11を馴染ませる必要なしに、そのまま使用することができるので、使い勝手が良い。勿論、塗布具12を指で撫でたり揉んだりしてパウダー11をさらに馴染ませてから使用することも可能である。
【0047】
また、ワイパ部6aが操作体7aと共回りした時には、各々の枠状部6eに設けられた周壁摺動部6cがパウダー収容空間S1内で周壁2aの胴部9の表面に付着したパウダー11を掻き取っているので、透明性を有する周壁2aの胴部9を通して外部からパウダー11の残量を容易に視認することができる。
【0048】
本発明は前記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0049】
したがって、前記実施の形態であるパウダー容器1は、例えば以下に述べるような種々の変更が可能である。
【0050】
パウダー容器1は、容器本体2、蓋3、中栓4及び回転部材5を有する限り、種々の変更が可能である。容器本体2は、周壁2aと周壁2aの下端に連なる底壁2bとを有する限り、種々の変更が可能である。蓋3は、周壁2aに着脱可能である限り、種々の変更が可能である。中栓4は、周壁2aに取り付けられ、底壁2bとの間にパウダー11を収容するパウダー収容空間S1を区画し、且つ、蓋3との間に塗布具12を収容する塗布具収容空間S2を区画し、更に、パウダー収容空間S1と塗布具収容空間S2とを連通させる少なくとも1個の開口13aを備える限り、種々の変更が可能である。回転部材5は、底壁2bの貫通穴2cを閉塞するとともに、底壁2bの外面側からの回転操作により貫通穴2cを中心に底壁2bに対して相対回転可能であり、ワイパ部6aを有する限り、種々の変更が可能である。ワイパ部6aは、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で容器本体2及び中栓4の少なくとも一方の表面上を摺動可能である限り、種々の変更が可能である。
【0051】
しかし、パウダー容器1は、ワイパ部6aが、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で中栓4の表面上を少なくとも1個の開口13aを横切るように摺動可能であるのが好ましい。
【0052】
また、パウダー容器1は、ワイパ部6aが、底壁2bに沿って延びる底壁摺動部6bと、周壁2aに沿って延びる周壁摺動部6cと、中栓4に沿って延びる中栓摺動部6dと、で形成されるU字形状をなす枠状部6eを有するのが好ましい。枠状部6eは、枠体6hと、枠体6hから突出するとともにパウダー収容空間S1内で容器本体2及び中栓4の表面上を摺動可能な板状体6iとで構成されるのが好ましい。
【0053】
また、パウダー容器1は、ワイパ部6aが、前記回転操作によりパウダー収容空間S1内で周壁2aの表面上を摺動可能であり、周壁2aが透明性を有するのが好ましい。
【0054】
また、パウダー容器1は、回転部材5が、貫通穴2cを通してワイパ部6aに連なるとともに底壁2bの外面に相対回転可能に連結される操作体7aを有するのが好ましい。操作体7aは、前記回転操作のための指掛け部7bを有するのが好ましい。
【0055】
また、パウダー容器1は、蓋3が、周壁2aに対する相対回転によって周壁2aに着脱可能であり、蓋3が、前記相対回転によって塗布具12を蓋3と共回りさせるように塗布具12に食い込む突出部3cを有し、中栓4が、塗布具12の下面における少なくとも1個の開口13aの直上に位置する部分上を相対回転により摺動可能な摺動凸部4bを有するのが好ましい。
【0056】
また、胴部9の内周面の形状は、円筒内周面状など、周方向に平坦な形状であるのが好ましい。また、底壁2bの内面(上面)の形状は、平面状、円錐状など、周方向に平坦な形状であるのが好ましい。
【符号の説明】
【0057】
1 パウダー容器
2 容器本体
2a 周壁
2b 底壁
2c 貫通穴
2d 環状凸部
2e シール突起
2f 係止部
3 蓋
3a 天壁
3b 筒壁
3c 突出部
4 中栓
4a 中央壁
4b 摺動凸部
4c 環状段部
4d 周縁部
4e 塗布具載置壁
4f 嵌合壁
4g 外周下壁
4h リップ部
5 回転部材
6 ワイパ部材
6a ワイパ部
6b 底壁摺動部
6c 周壁摺動部
6d 中栓摺動部
6d1 中央壁摺動部
6d2 外周下壁摺動部
6e 枠状部
6f 回転軸
6g 支柱
6h 枠体
6i 板状体
6j 間欠部
7 操作部材
7a 操作体
7b 指掛け部
7c 被係止部
7d 軸体
8 口部
9 胴部
10 ねじ部
10a 雄ねじ
10b 雌ねじ
11 パウダー
12 塗布具
12a パウダー付着面
13 開口群
13a 開口
14 スプライン部
O 中心軸線
S1 パウダー収容空間
S2 塗布具収容空間