(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】容量制御弁
(51)【国際特許分類】
F04B 27/18 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
F04B27/18 B
F04B27/18 A
(21)【出願番号】P 2021512306
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 JP2020015181
(87)【国際公開番号】W WO2020204136
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2019071635
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】葉山 真弘
(72)【発明者】
【氏名】福留 康平
(72)【発明者】
【氏名】江島 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 渉
(72)【発明者】
【氏名】白藤 啓吾
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-002384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 27/18
F16K 11/10
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポート、吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポートおよび制御圧力の制御流体が通過する制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
ソレノイドにより駆動されるロッドと、
主弁座と主弁体とにより構成され前記ロッドの移動により前記吐出ポートと前記制御ポートとの連通を開閉する主弁と、
を備える容量制御弁であって、
前記制御ポートと前記吸入ポートとの間には、前記主弁の開放により前記吐出ポートから前記制御ポートに向かって流れる流体の動圧により制御されるCS弁が設けられて
おり、
前記CS弁は、円筒状のCS弁体と、前記CS弁体を開弁方向に付勢するスプリングと、を有している容量制御弁。
【請求項2】
前記制御ポートは、常時前記主弁と連通可能状態となっている請求項1に記載の容量制御弁。
【請求項3】
前記CS弁体は、径方向に延びる受け面を有する請求項
1または2に記載の容量制御弁。
【請求項4】
前記CS弁体は、CS弁座と接離する端面部を有し、前記CS弁の開弁方向に付勢されたときに前記端面部の軸方向反対側の端面部が前記バルブハウジングの内面に当接する請求項
3に記載の容量制御弁。
【請求項5】
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポート、吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポートおよび制御圧力の制御流体が通過する制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
ソレノイドにより駆動されるロッドと、
主弁座と主弁体とにより構成され前記ロッドの移動により前記吐出ポートと前記制御ポートとの連通を開閉する主弁と、
を備える容量制御弁であって、
前記制御ポートと前記吸入ポートとの間には、前記主弁の開放により前記吐出ポートから前記制御ポートに向かって流れる流体の動圧により制御されるCS弁が設けられており、
前記CS弁は、吸入圧力と制御圧力との差圧弁を兼ねている容量制御弁。
【請求項6】
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポート、吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポートおよび制御圧力の制御流体が通過する制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
ソレノイドにより駆動されるロッドと、
主弁座と主弁体とにより構成され前記ロッドの移動により前記吐出ポートと前記制御ポートとの連通を開閉する主弁と、
前記吸入圧力により開閉する圧力駆動弁
と、
を備える容量制御弁であって、
前記制御ポートと前記吸入ポートとの間には、前記主弁の開放により前記吐出ポートから前記制御ポートに向かって流れる流体の動圧により制御されるCS弁が設けられており、
前記主弁体には、前記圧力駆動弁の開閉により前記制御ポートと前記吸入ポートとを連通させることが可能な中間連通路が形成されている容量制御弁。
【請求項7】
前記バルブハウジングには、前記圧力駆動弁により開閉される流路を構成する前記吸入ポートとは異なる吸入ポートが設けられている請求項
6に記載の容量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作動流体の容量を可変制御する容量制御弁に関し、例えば、自動車の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機の吐出量を圧力に応じて制御する容量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機は、エンジンにより回転駆動される回転軸、回転軸に対して傾斜角度を可変に連結された斜板、斜板に連結された圧縮用のピストン等を備え、斜板の傾斜角度を変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて流体の吐出量を制御するものである。この斜板の傾斜角度は、電磁力により開閉駆動される容量制御弁を用いて、流体を吸入する吸入室の吸入圧力Ps、ピストンにより加圧された流体を吐出する吐出室の吐出圧力Pd、斜板を収容した制御室の制御圧力Pcを利用しつつ、制御室内の圧力を適宜制御することで連続的に変化させ得るようになっている。
【0003】
容量可変型圧縮機の連続駆動時(以下、単に「連続駆動時」と表記することもある)において、容量制御弁は、制御コンピュータにより通電制御され、ソレノイドで発生する電磁力により主弁体を軸方向に移動させ、主弁を開閉して制御室の制御圧力Pcを調整する通常制御を行っている。
【0004】
容量制御弁の通常制御時においては、容量可変型圧縮機における制御室の圧力が適宜制御されており、回転軸に対する斜板の傾斜角度を連続的に変化させることにより、ピストンのストローク量を変化させて吐出室に対する流体の吐出量を制御し、空調システムが所望の冷却能力となるように調整している。
【0005】
このような容量可変型圧縮機は、容量可変型圧縮機が停止した後、長時間停止状態に放置されると、吸入圧力Ps、吐出圧力Pdおよび制御圧力Pcが均圧となり、制御圧力Pcおよび吸入圧力Psは連続駆動時における制御圧力Pcおよび吸入圧力Psよりもはるかに高い状態となり、制御室内の流体の一部で液化が起こることがある。この状態から容量可変型圧縮機の起動する際には、制御圧力Pcは連続駆動時よりもはるかに高い状態にあるとともに、液化した流体により制御室が最大容量となり難いため、吐出量を目標値に制御するまでに長い時間を要していた。このことから、容量可変型圧縮機の起動時に、容量可変型圧縮機の制御室内から液化した流体を短時間で排出するようにした容量制御弁がある。
【0006】
特許文献1に示される容量制御弁は、主弁座である第1弁座が形成される第1弁室と容量可変型圧縮機の吐出室とを連通する吐出ポートである第1連通路と、第2弁座が形成される第2弁室と容量可変型圧縮機の吸入室とを連通する吸入ポートである第2連通路と、第1弁室を基準として第2弁室と軸方向反対側に形成された感圧室である第3弁室と容量可変型圧縮機の制御室とを連通する制御ポートである第3連通路と、を備えるバルブハウジングと、第1弁室にて第1弁座と接離し吐出室と制御室との連通を開閉する第1弁部と、第2弁室にて第2弁座と接離し制御室と吸入室との連通を開閉する第2弁部とを一体的に有し、その往復動により互いに逆向きの開閉動作を行う主弁体と、第2弁室と第3弁室とを連通させる中間連通路と、第3弁室内に配置され周囲の流体圧に応じて主弁体に主弁の開弁方向への付勢力を付与する感圧体と、感圧体の伸縮方向の自由端に主弁体に一体に設けられる感圧弁座と接離し第3弁室と中間連通路との連通を開閉する環状のシール面を有するアダプタと、主弁体に駆動力を及ぼすソレノイドと、を備えている。
【0007】
容量可変型圧縮機の起動時に、容量制御弁のソレノイドに通電され主弁体が軸方向に移動すると、第1弁部が主弁を閉塞すると同時に第2弁部が第2弁を開放する。さらに、連続駆動時よりもはるかに高い状態にある制御圧力Pcおよび吸入圧力Psにより感圧体が収縮し、感圧弁を開放することで、中間連通路によってバルブハウジング内に第3弁室から第2弁室にかけて連通する流路が形成される。また、容量可変型圧縮機の起動に伴って吸入室の吸入圧力Psは低下するため、制御室の高圧状態にある液化した流体が吸入室との圧力差により移動し、バルブハウジング内に形成された流路を通って短時間で排出される。さらに、主弁体に中間連通路と第3弁室とを連通する補助連通路を設けることで、容量可変型圧縮機の起動時に制御室の流体を吸入室に排出させやすくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5167121号公報(段落0052、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1にあっては、補助連通路を設けることで吸入ポートである第2連通路と制御ポートである第3連通路とは常時連通されており、容量制御弁の通常制御時において、主弁を開放した際に、主弁を通って第3弁室に流れる流体の一部は、補助連通路、中間連通路、第2連通路を通って、吸入室に排出されるため、制御圧力Pcの制御性およびエネルギー効率が悪いと言う問題があった。
【0010】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、通常制御時の制御精度が高く、かつエネルギー効率に優れる容量制御弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の容量制御弁は、
吐出圧力の吐出流体が通過する吐出ポート、吸入圧力の吸入流体が通過する吸入ポートおよび制御圧力の制御流体が通過する制御ポートが形成されたバルブハウジングと、
ソレノイドにより駆動されるロッドと、
主弁座と主弁体とにより構成され前記ロッドの移動により前記吐出ポートと前記制御ポートとの連通を開閉する主弁と、
を備える容量制御弁であって、
前記制御ポートと前記吸入ポートとの間には、前記主弁の開放により前記吐出ポートから前記制御ポートに向かって流れる流体の動圧により制御されるCS弁が設けられている。
これによれば、容量可変型圧縮機の起動後の通常運転時において、主弁を開放した際には、CS弁は主弁を通って制御ポートに向かって流れる吐出流体の動圧によって制御され、制御圧力の制御流体が吸入ポートから排出されないので、通常制御時の制御精度が高くかつエネルギー効率に優れる。
【0012】
前記制御ポートは、常時前記主弁と連通可能状態となっていてもよい。
これによれば、非通電時に主弁が開放された際に吐出ポートと制御ポートが連通状態となるため、吐出室と制御室とを確実に連通させることができる。
【0013】
前記CS弁は、円筒状のCS弁体と、前記CS弁体を開弁方向に付勢するスプリングと、を有していてもよい。
これによれば、CS弁を有する容量制御弁をコンパクトに構成することができる。加えて、主弁が閉塞されている際に、制御圧力と吸入圧力を同圧に維持することができるため、最大容量の状態を維持して運転効率を高めることができる。
【0014】
前記CS弁体は、径方向に延びる受け面を有するものであってよい。
これによれば、受け面は吐出流体の流れ方向に交差するので、主弁の開放時に制御ポートに向かって流れる吐出流体によって動圧を生じさせやすい。
【0015】
前記CS弁体は、CS弁座と接離する端面部を有し、前記CS弁の開弁方向に付勢されたときに前記端面部の軸方向反対側の端面部が前記バルブハウジングの内面に当接するものであってもよい。
これによれば、CS弁の最大開口面積をバルブハウジングの内面へのCS弁体の当接により設定することができるため、CS弁の構造を単純化できる。
【0016】
前記CS弁は、吸入圧力と制御圧力との差圧弁を兼ねていてもよい。
これによれば、主弁の開放時に、CS弁は吐出流体の流れにより生じる動圧に加えて差圧が作用するので、確実に動作する。
【0017】
前記吸入圧力により開閉する圧力駆動弁を備え、
前記主弁体には、前記圧力駆動弁の開閉により前記制御ポートと前記吸入ポートとを連通させることが可能な中間連通路が形成されてもよい。
これによれば、吸入圧力が高いときに圧力駆動弁が開放し、制御ポートは中間連通路を介して吸入ポートに連通しているので、起動時に迅速に制御室の液冷媒を吸入室に排出させることができる。これにより容量可変型圧縮機の起動時の応答性に優れる。
【0018】
前記バルブハウジングには、前記圧力駆動弁により開閉される流路を構成し前記吸入ポートとは異なる吸入ポートが設けられていてもよい。
これによれば、圧力駆動弁により開閉される流路を構成する吸入ポートと、CS弁により開閉される流路を構成する吸入ポートとが個別に設けられることにより、バルブハウジングの構造を単純化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る実施例1の容量制御弁が組み込まれる斜板式容量可変型圧縮機を示す概略構成図である。
【
図2】実施例1の容量制御弁の通電状態(通常制御時)において主弁が閉塞され、CS弁が開放された様子を示す断面図である。
【
図3】実施例1の容量制御弁の通電状態(通常制御時)において主弁が閉塞され、CS弁が開放された様子を示す
図2の拡大断面図である。
【
図4】実施例1の容量制御弁の非通電状態において主弁が開放され、CS弁が閉塞された様子を示す拡大断面図である。
【
図5】本発明に係る実施例2の容量制御弁の通電状態(通常制御時)において主弁が閉塞され、CS弁が開放された様子を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る容量制御弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1に係る容量制御弁につき、
図1から
図4を参照して説明する。以下、
図2の正面側から見て左右側を容量制御弁の左右側として説明する。
【0022】
本発明の容量制御弁Vは、自動車等の空調システムに用いられる容量可変型圧縮機Mに組み込まれ、冷媒である作動流体(以下、単に「流体」と表記する)の圧力を可変制御することにより、容量可変型圧縮機Mの吐出量を制御し空調システムを所望の冷却能力となるように調整している。
【0023】
先ず、容量可変型圧縮機Mについて説明する。
図1に示されるように、容量可変型圧縮機Mは、吐出室2と、吸入室3と、制御室4と、複数のシリンダ4aと、を備えるケーシング1を有している。尚、容量可変型圧縮機Mには、制御室4と吸入室3とを直接連通する図示しない連通路が設けられており、この連通路には吸入室3と制御室4との圧力を平衡調整させるための固定オリフィスが設けられている。
【0024】
また、容量可変型圧縮機Mは、ケーシング1の外部に設置される図示しないエンジンにより回転駆動される回転軸5と、制御室4内において回転軸5に対してヒンジ機構8により偏心状態で連結される斜板6と、斜板6に連結され各々のシリンダ4a内において往復動自在に嵌合された複数のピストン7と、を備え、電磁力により開閉駆動される容量制御弁Vを用いて、流体を吸入する吸入室3の吸入圧力Ps、ピストン7により加圧された流体を吐出する吐出室2の吐出圧力Pd、斜板6を収容した制御室4の制御圧力Pcを利用しつつ、制御室4内の圧力を適宜制御することで斜板6の傾斜角度を連続的に変化させることにより、ピストン7のストローク量を変化させて流体の吐出量を制御している。尚、説明の便宜上、
図1においては、容量可変型圧縮機Mに組み込まれる容量制御弁Vの図示を省略している。
【0025】
具体的には、制御室4内の制御圧力Pcが高圧であるほど、回転軸5に対する斜板6の傾斜角度は小さくなりピストン7のストローク量が減少するが、一定以上の圧力となると、回転軸5に対して斜板6が略垂直状態、すなわち垂直よりわずかに傾斜した状態となる。このとき、ピストン7のストローク量は最小となり、ピストン7によるシリンダ4a内の流体に対する加圧が最小となることで、吐出室2への流体の吐出量が減少し、空調システムの冷却能力は最小となる。一方で、制御室4内の制御圧力Pcが低圧であるほど、回転軸5に対する斜板6の傾斜角度は大きくなりピストン7のストローク量が増加するが、一定以下の圧力となると、回転軸5に対して斜板6が最大傾斜角度となる。このとき、ピストン7のストローク量は最大となり、ピストン7によるシリンダ4a内の流体に対する加圧が最大となることで、吐出室2への流体の吐出量が増加し、空調システムの冷却能力は最大となる。
【0026】
図2に示されるように、容量可変型圧縮機Mに組み込まれる容量制御弁Vは、ソレノイド80を構成するコイル86に通電する電流を調整し、容量制御弁Vにおける主弁50の開閉制御を行うとともに、中間連通路55における吸入圧力Psにより感圧体61を動作させて圧力駆動弁としての感圧弁54の開閉制御を行い、制御室4内に流入する、または制御室4から流出する流体を制御することで制御室4内の制御圧力Pcを可変制御している。尚、中間連通路55は、主弁体としての主副弁体51と感圧弁部材52の内部に形成される中空孔が接続されることにより軸方向に亘って貫通しており、液冷媒排出用の流路を構成している。詳しくは、容量可変型圧縮機Mが停止状態で長時間放置されることにより制御室4で高圧となった流体が液化することがあるが、容量可変型圧縮機Mを起動するとともに容量制御弁Vを通電状態とすることにより、主弁50が閉塞されるとともに副弁53が開放され、さらに中間連通路55における高い吸入圧力Psにより、感圧体61が収縮して感圧弁54が開弁されることにより、制御室4の液冷媒を中間連通路55を介して吸入室3に短時間で排出できるようになっている。
【0027】
本実施例において、主弁50は、主副弁体51とバルブハウジング10の内周面に形成された主弁座10aとにより構成されており、主副弁体51の軸方向左端51aが主弁座10aに接離することで、主弁50が開閉するようになっている。副弁53は、主副弁体51とセンタポスト82の開口端面である軸方向左端面の内径側に形成される副弁座82aとにより構成されており、主副弁体51の軸方向右端51bが副弁座82aに接離することで、副弁53が開閉するようになっている。感圧弁54は、感圧体61を構成するキャップ70と感圧弁部材52の軸方向左端に形成される感圧弁座52aとにより構成されており、キャップ70の軸方向右端の外径側に形成されるシール面70aが感圧弁座52aに接離することで、感圧弁54が開閉するようになっている。
【0028】
次いで、容量制御弁Vの構造について説明する。
図2に示されるように、容量制御弁Vは、金属材料または樹脂材料により形成されたバルブハウジング10と、バルブハウジング10内に軸方向に往復動自在に配置された主副弁体51、感圧弁部材52、CS弁体57と、中間連通路55における吸入圧力Psに応じて主副弁体51、感圧弁部材52に軸方向右方への付勢力を付与する感圧体61と、バルブハウジング10に接続され主副弁体51、感圧弁部材52に駆動力を及ぼすソレノイド80と、から主に構成されている。また、容量制御弁Vは、CS弁体57を備え、主弁50の開弁時において主弁50を通って流れる流体の動圧によりCS弁56(
図3および
図4参照)を閉塞させることができる。
【0029】
本実施例において、CS弁56は、CS弁体57とバルブハウジング10に取り付けられる仕切調整部材11の軸方向右端面に形成されるCS弁座11a(
図3および
図4参照)とにより構成されており、CS弁体57の軸方向左端に形成される端面部57aがCS弁座11aに接離することで、CS弁56が開閉するようになっている。
【0030】
図2に示されるように、ソレノイド80は、軸方向左方に開放する開口部81aを有するケーシング81と、ケーシング81の開口部81aに対して軸方向左方から挿入されケーシング81の内径側に固定される略円筒形状のセンタポスト82と、センタポスト82に挿通され軸方向に往復動自在、かつその軸方向左端部が主副弁体51に挿嵌・固定されるロッドとしての駆動ロッド83と、駆動ロッド83の軸方向右端部が挿嵌・固定される可動鉄心84と、センタポスト82と可動鉄心84との間に設けられ可動鉄心84を主弁50の開弁方向である軸方向右方に付勢するコイルスプリング85と、センタポスト82の外側にボビンを介して巻き付けられた励磁用のコイル86と、から主に構成されている。
【0031】
ケーシング81には、軸方向左端の内径側が軸方向右方に凹む凹部81bが形成されており、この凹部81bに対してバルブハウジング10の軸方向右端部が略密封状に挿嵌・固定されている。
【0032】
センタポスト82は、鉄やケイ素鋼等の磁性材料である剛体から形成され、軸方向に延び駆動ロッド83が挿通される挿通孔82cが形成される円筒部82bと、円筒部82bの軸方向左端部の外周面から外径方向に延びる環状のフランジ部82dとを備え、センタポスト82の開口端面の内径側、すなわち円筒部82bの軸方向左端面には副弁座82aが形成されている。
【0033】
また、センタポスト82は、フランジ部82dの軸方向右端面をケーシング81の凹部81bの底面に軸方向左方から当接させた状態で、ケーシング81の凹部81bに対して挿嵌・固定されるバルブハウジング10の軸方向右端の内径側において軸方向左方に凹む凹部10bに対して略密封状に挿嵌・固定されている。
【0034】
図2に示されるように、バルブハウジング10には、容量可変型圧縮機Mの吐出室2と連通する吐出ポートとしてのPdポート12と、容量可変型圧縮機Mの制御室4と連通する制御ポートとしてのPcポート13と、容量可変型圧縮機Mの吸入室3と連通する吸入ポートとしての第1Psポート14と、Pdポート12の軸方向右方に隣接し容量可変型圧縮機Mの吸入室3と連通する第2Psポート15と、が形成されている。
【0035】
バルブハウジング10は、その軸方向左端部に仕切調整部材11が略密封状に圧入されることにより有底略円筒形状を成している。尚、仕切調整部材11は、バルブハウジング10の軸方向における設置位置を調整することで、感圧体61の付勢力および後述するCS弁56のコイルスプリング58の付勢力を調整できるようになっている。
【0036】
バルブハウジング10の内部には、Pdポート12と連通され主副弁体51の軸方向左端51a側が配置される第1弁室20と、第2Psポート15と連通され主副弁体51の背圧側、すなわち軸方向右端51b側が配置される第2弁室30と、Pcポート13および第1Psポート14と連通されCS弁体57および感圧体61が配置される感圧室60と、が形成されている。
【0037】
また、バルブハウジング10の内部には、主副弁体51およびこの主副弁体51に挿嵌・固定された感圧弁部材52が軸方向に往復動自在に配置され、バルブハウジング10の内周面には、軸方向右端部に主副弁体51の外周面が略密封状態で摺接可能な小径のガイド孔10cが形成されている。さらに、バルブハウジング10の内部において、第1弁室20と第2弁室30は、主副弁体51の外周面とガイド孔10cの内周面により仕切られている。尚、ガイド孔10cの内周面と主副弁体51の外周面との間は、径方向に僅かに離間することにより微小な隙間が形成されており、主副弁体51は、バルブハウジング10に対して軸方向に円滑に相対移動可能となっている。
【0038】
また、バルブハウジング10の内部には、感圧室60内にCS弁体57が軸方向に往復動自在に配置され、バルブハウジング10の内周面には、軸方向左端部にCS弁体57の外周面が略密封状態で摺動可能な小径のガイド孔10dが形成されている。
【0039】
図2に示されるように、主副弁体51は、略円筒形状に構成され、その軸方向左端部には、段付き円筒形状かつ側面視略砲台形状に構成される別体の感圧弁部材52が略密封状に挿嵌・固定されるとともに、その軸方向右端部には、駆動ロッド83が略密封状に挿嵌・固定されており、これらは共に軸方向に移動可能となっている。
【0040】
また、主副弁体51の外周面に形成されるシール部としての環状の溝51cのラビリンス効果により、第1弁室20から第2弁室30への流体の漏れを抑制することができるため、吐出室2からPdポート12を介して第1弁室20に供給される吐出流体の吐出圧力Pdが維持されている。
【0041】
図3および
図4に示されるように、感圧弁部材52は、感圧弁座52aが形成される大径部52bと、大径部52bの軸方向右側において大径部52bよりも小径に形成される中径部52cと、中径部52cの軸方向右側において中径部52cよりも小径に形成され略円筒形状に構成される主副弁体51が略密封状に外嵌される小径部52dと、から段付き略円筒形状に構成されている。
【0042】
図2に示されるように、感圧体61は、コイルスプリング63が内蔵されるベローズコア62と、ベローズコア62の軸方向右端に設けられる円板状のキャップ70と、から主に構成され、ベローズコア62の軸方向左端は、仕切調整部材11に固定されている。
【0043】
また、感圧体61は、感圧室60内に配置されており、コイルスプリング63とベローズコア62によりキャップ70を軸方向右方に移動させる付勢力によりキャップ70のシール面70aを感圧弁部材52の感圧弁座52aに着座させるようになっている。また、キャップ70は、中間連通路55における吸入圧力Psに応じてキャップ70を軸方向左方に移動させる力が付与されるようになっている。
【0044】
図3および
図4に示されるように、CS弁体57は、略円筒形状に構成されており、感圧室60内において感圧体61の外径側に同心状に配置されている。また、CS弁体57の軸方向左端部に形成される取付部57cには、スプリングとしてのコイルスプリング58が内嵌され、コイルスプリング58の軸方向左端は、仕切調整部材11の軸方向右端面に当接し、コイルスプリング58の軸方向右端は、取付部57cの軸方向右端の径方向に延びる側面57gに当接している。
【0045】
詳しくは、CS弁体57は、略円筒形状の基部57bと、基部57bの軸方向左端部に形成され内径側が環状に切り欠かれた形状の取付部57cと、基部57bの軸方向右端部に形成され径方向に貫通する貫通孔57dと、貫通孔57dの軸方向右側において基部57bの内周面から内径方向に突出する環状凸部57eと、を有し、取付部57cに内嵌されるコイルスプリング58によりCS弁56の開弁方向である軸方向右方に付勢されている。尚、貫通孔57dは、バルブハウジング10に形成されるPcポート13と略同開口面積であり、かつ軸方向位置が対応するように配置されている。
【0046】
また、CS弁体57には、取付部57cの軸方向左端に仕切調整部材11の軸方向右端面に形成されるCS弁座11aと接離する端面部57aが形成されている。さらに、端面部57aの軸方向反対側、すなわち基部57bの軸方向右端には、CS弁56の開弁時においてバルブハウジング10における感圧室60の内面に当接可能な端面部57fが形成されている。
【0047】
また、CS弁体57の環状凸部57eは、バルブハウジング10におけるPdポート12とPcポート13との間の位置に形成され、その軸方向右端面が径方向に延びる受け面57hを形成している。尚、環状凸部57eの内径は、感圧弁部材52の大径部52bの外径よりも小さく、中径部52cの外径よりも大きく形成されている。
【0048】
また、容量制御弁Vは、バルブハウジング10の軸方向左端から感圧室60に感圧体61とCS弁体57およびコイルスプリング58を挿入した後、仕切調整部材11を圧入して固定する構造であるため、組み立てが簡単である。
【0049】
次いで、容量制御弁Vの動作、主に主弁50およびCS弁56の開閉動作について説明する。
【0050】
先ず、容量制御弁Vの通電状態について説明する。
図2および
図3に示されるように、容量制御弁Vは、通電状態(すなわち通常制御時、いわゆるデューティ制御時)において、ソレノイド80に電流が印加されることにより発生する電磁力により可動鉄心84がセンタポスト82側、すなわち軸方向左側に引き寄せられ、可動鉄心84に固定された駆動ロッド83、主副弁体51、感圧弁部材52が軸方向左方へ共に移動し、感圧体61が軸方向左方に押圧されて収縮することにより、主副弁体51の軸方向右端51bが副弁座82aから離間して副弁53が開放するとともに、主副弁体51の軸方向左端51aが主弁座10aに着座し、主弁50が閉塞されている。
【0051】
また、容量制御弁Vは、通電状態において、CS弁体57は、コイルスプリング58により軸方向右方に付勢され、CS弁体57の端面部57aが仕切調整部材11のCS弁座11aから離間し、CS弁56が開放されている。
【0052】
次に、容量制御弁Vの非通電状態について説明する。
図4に示されるように、容量制御弁Vは、非通電状態において、可動鉄心84がコイルスプリング85の付勢力やコイルスプリング63とベローズコア62の付勢力により軸方向右方へと押圧されることで、駆動ロッド83、主副弁体51、感圧弁部材52が軸方向右方へ移動し、主副弁体51の軸方向右端51bが副弁座82aに着座するとともに、主副弁体51の軸方向左端51aが主弁座10aから離間し、主弁50が開放されている。
【0053】
このように、容量制御弁Vの非通電状態において、容量可変型圧縮機Mの吐出室2内の流体は、主弁50が開放されることで、吐出室2から容量制御弁Vを経由して制御室4に流入していく。これは、吐出圧力Pdが制御圧力Pcより高い圧力であるためである。
【0054】
また、容量制御弁Vの非通電状態において、CS弁体57は、主弁50を通ってPcポート13に向かって流れる吐出流体の流れ(
図4において実線の矢印で図示)を受け面57hが受けることにより生じる動圧により、軸方向左方へと押圧されることで、CS弁体57の端面部57aが仕切調整部材11のCS弁座11aに着座し、CS弁56が閉塞されている。尚、CS弁56は、CS弁体57の端面部57aと仕切調整部材11のCS弁座11aとの間を完全に閉塞するものに限らず、Pcポート13から第1Psポート14に向かう流体の流れを絞るように構成されるものであってもよい。
【0055】
また、説明の便宜上、図示を省略するが、容量制御弁Vの非通電状態に限らず、容量制御弁Vの通常制御時における中間制御域において主弁50が僅かに開放された状態においても、主弁50を通ってPcポート13に向かって流れる吐出流体の動圧によってCS弁56が閉塞されるように構成されていてもよい。
【0056】
これによれば、本実施例の容量制御弁Vは、容量可変型圧縮機Mの起動後の通常運転時において、主弁50を開放した際には、CS弁56は主弁50を通ってPcポート13に向かって流れる吐出流体の動圧によって、コイルスプリング58の付勢力に抗してCS弁体57を軸方向左方へ移動させる力(
図4において白矢印で図示)が作用し、CS弁56が閉塞されることとなり、感圧室60内から制御圧力Pcの制御流体が第1Psポート14から排出されないので、通常制御時の制御圧力Pcの制御精度が高くかつエネルギー効率に優れる。
【0057】
また、Pcポート13は、CS弁体57に設けられる貫通孔57dにより常時主弁50と連通可能状態となっており、容量制御弁Vの非通電状態において、主弁50が開放された際にPdポート12とPcポート13が連通状態となるため、吐出室2と制御室4とを確実に連通させることができる。
【0058】
また、CS弁56は、略円筒状のCS弁体57と、CS弁体57を開弁方向に付勢するコイルスプリング58と、から構成されているため、CS弁56を有する容量制御弁Vをコンパクトに構成することができる。
【0059】
加えて、
図3に示されるように、主弁50が閉塞されている際に、CS弁56が開放されることにより、制御圧力Pcと吸入圧力Psを同圧に維持することができるため、制御室4が最大容量の状態を維持して運転効率を高めることができる。また、容量制御弁V側で吸入室3と制御室4との圧力を平衡調整させることができるため、容量可変型圧縮機Mにおける制御室4と吸入室3とを直接連通する連通路や固定オリフィスを排除することができる。
【0060】
また、CS弁体57は、吐出流体の流れ方向に交差するように径方向に延びる受け面57hを有しているため、主弁50の開放時に主弁50を通ってPcポート13に向かって流れる吐出流体によって動圧を生じさせやすい。
【0061】
また、CS弁体57は、環状凸部57eの内径が段付き円筒形状の感圧弁部材52の大径部52bの外径よりも小さく、中径部52cの外径よりも大きく形成されることにより、受け面57hの面積を大きくしながら、環状凸部57eの内周面と感圧弁部材52の中径部52cの外周面との間を通ってPcポート13に向かって流れる吐出流体の流路断面積を十分に確保することができる。
【0062】
また、CS弁体57は、仕切調整部材11のCS弁座11aと接離する端面部57aを有し、CS弁56の開弁方向に付勢されたときに端面部57aの軸方向反対側の端面部57fがバルブハウジング10の内面に当接することにより、CS弁56の最大開口面積をバルブハウジング10の内面へのCS弁体57の当接により設定することができるため、CS弁56の構造を単純化できる。
【0063】
また、CS弁体57は、その外周面をバルブハウジング10のガイド孔10dの内周面にガイドされることにより、CS弁56の開閉動作を安定して行うことができるため、CS弁56の構造をさらに単純化できる。
【0064】
また、容量制御弁Vは、吸入圧力Psにより開閉する感圧弁54を備え、主副弁体51および感圧弁部材52には、感圧弁54の開閉によりPcポート13と第2Psポート15とを連通させることが可能な中間連通路55が形成されているため、中間連通路55における吸入圧力Psが高いときに感圧弁54が開放し、Pcポート13は中間連通路55を介して第2Psポート15に連通しているので、容量可変型圧縮機Mの起動時に迅速に制御室4の液冷媒を吸入室3に排出させることができる。これにより容量可変型圧縮機Mの起動時の応答性に優れる。
【0065】
また、バルブハウジング10には、CS弁56により開閉される流路(
図3において実線の矢印で図示)を構成する第1Psポート14と、感圧弁54により開閉される流路(図示略)を構成する第2Psポート15とが個別に設けられることにより、バルブハウジング10の構造を単純化できる。
【実施例2】
【0066】
次に、実施例2に係る容量制御弁につき、
図5を参照して説明する。尚、前記実施例に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0067】
実施例2における容量制御弁Vについて説明する。
図5に示されるように、CS弁体157は、略円筒形状に構成されており、感圧室60内において感圧体61の外径側に同心状に配置されている。また、CS弁体157の軸方向左端部に形成される小径の取付部157cには、スプリングとしてのコイルスプリング158が外嵌されている。
【0068】
次いで、CS弁156の差圧弁としての開閉機構について説明する。制御室4の制御圧力Pcと吸入室3の吸入圧力Psとの圧力が平衡し均圧となることにより、感圧室60内に配置されるCS弁体157に対して軸方向両側から作用する圧力が均衡した状態では、CS弁156の開弁方向である軸方向右方と閉弁方向である軸方向左方とに作用する圧力の受圧面積は略同一に構成されているため、CS弁体157に対して軸方向両側から作用する圧力の影響がキャンセルされ、CS弁体157はコイルスプリング158の付勢力を受けて軸方向右方へ移動し、CS弁体157の端面部157aが仕切調整部材11のCS弁座11aから離間し、CS弁156は開放されている。尚、本実施例においては制御圧力Pcと吸入圧力Psの差圧に多少の圧力幅があってもよい。
【0069】
一方、制御室4の制御圧力Pcよりも吸入室3の吸入圧力Psの圧力が低い状態では、制御圧力Pcと吸入圧力Psの圧力差によりCS弁体157の軸方向に差圧が発生し、CS弁体157に軸方向左方から作用する圧力は、軸方向右方から作用する圧力より小さくなり、CS弁体157に軸方向左方へ移動させる力が作用する。
【0070】
これによれば、本実施例の容量制御弁Vは、CS弁156が吸入圧力Psと制御圧力Pcとの差圧弁を兼ねているため、主弁50を開放した際には、CS弁156は主弁50を通ってPcポート13に向かって流れる吐出流体の動圧に加えて、制御圧力Pcと吸入圧力Psとの差圧がCS弁156の閉弁方向に作用するため、CS弁156を確実に動作させることができる。
【0071】
さらに、本実施例の容量制御弁Vは、制御室4が最大容量の状態において、主弁50が閉塞され、CS弁156が開放されることにより、CS弁体157に対して軸方向両側から作用する制御圧力Pcと吸入圧力Psを均衡させ、CS弁体157に対して軸方向両側から作用する圧力の影響がキャンセルしてCS弁156を開放させやすい状態とすることができるため、制御室4が最大容量の状態を維持しやすくして運転効率を高めることができる。
【0072】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0073】
例えば、前記実施例では、感圧体61および感圧弁部材52から構成される感圧弁54は設けなくともよく、この場合、中間連通路55を構成する主副弁体51の内部の中空孔やバルブハウジング10の第2Psポート15は必要ではない。
【0074】
また、前記実施例では、Pcポート13は、CS弁体に設けられる貫通孔により常時主弁50と連通可能状態となっている態様について説明したが、これに限らず、CS弁体に貫通孔を設けず、例えばCS弁体の動作によりPcポート13と主弁50との連通が開閉されるようになっていてもよい。
【0075】
また、前記実施例では、副弁53は設けなくともよく、主副弁体51の軸方向右端51bは、軸方向の荷重を受ける支持部材として機能すればよく、必ずしも密閉機能は必要ではない。
【0076】
また、CS弁およびPcポート13は、第2弁室30内に設けられてもよい。
【0077】
また、第2弁室30はソレノイド80と軸方向反対側に設けられるとともに感圧室60はソレノイド80側に設けられていてもよい。
【0078】
また、コイルスプリング58,158は、圧縮バネに限らず、引張バネでもよく、コイル形状以外であってもよい。
【0079】
また、感圧体61は、内部にコイルスプリングを使用しないものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 ケーシング
2 吐出室
3 吸入室
4 制御室
10 バルブハウジング
10a 主弁座
11 仕切調整部材
11a CS弁座
12 Pdポート(吐出ポート)
13 Pcポート(制御ポート)
14 第1Psポート(吸入ポート)
15 第2Psポート(前記吸入ポートとは異なる吸入ポート)
20 第1弁室
30 第2弁室
50 主弁
51 主副弁体(主弁体)
51a 軸方向左端
51b 軸方向右端
52 感圧弁体
52a 感圧弁座
53 副弁
54 感圧弁(圧力駆動弁)
55 中間連通路
56 CS弁
57 CS弁体
57a 端面部
57f 端面部
57h 受け面
58 コイルスプリング(スプリング)
60 感圧室
61 感圧体
62 ベローズコア
63 コイルスプリング
70 キャップ
70a シール面
80 ソレノイド
82 センタポスト
82a 副弁座
83 駆動ロッド(ロッド)
156 CS弁
157 CS弁体
157a 端面部
157c 取付部
158 コイルスプリング(スプリング)
Pc 制御圧力
Pd 吐出圧力
Ps 吸入圧力
V 容量制御弁