(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】気象解析装置、気象解析方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01W 1/00 20060101AFI20240219BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240219BHJP
【FI】
G01W1/00 C
G06N20/00 130
(21)【出願番号】P 2018107730
(22)【出願日】2018-06-05
【審査請求日】2021-03-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木田 智史
(72)【発明者】
【氏名】吉見 和紘
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 淳史
(72)【発明者】
【氏名】水谷 文彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 哲也
【合議体】
【審判長】樋口 宗彦
【審判官】渡▲辺▼ 純也
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-244068(JP,A)
【文献】国際公開第2017/122408(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107703564(CN,A)
【文献】国際公開第2018/065045(WO,A1)
【文献】Emmanouil N.Anagnostou、”A convective/stratiform precipitation classification algorithm for volume scanning weather radar observations”、Meteorological Applications、2004年、VOL.11、No.4、pp.291-300
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01W1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーダ装置により観測される観測空間に対して、降水強度、風向、および風速が対応付けられた気象観測データを取得する取得部と、
前記気象観測データが入力されると、降水システムの種
類を示す情報を出力するように学習された分類器に対して、前記取得部により取得された前記気象観測データを入力することで、前記レーダ装置の観測対象である前記降水システムの種類を判定する判定部と、
前記判定部によって判定された前記降水システムの種類が対応付けられた前記気象観測データを外部装置に提供する提供部と、
前記降水強度、風向、および風速を含む前記気象観測データの一部に対して、前記
降水システムの種類を示す情報が対応付けられた教師データに基づいて、前記分類器を学習する学習処理部と、を備え、
前記気象観測データの一部は、前記観測空間におけるコア領域の気象観測データを含む、
気象解析装置。
【請求項2】
前記降水システムの種類は、積乱雲、積雲、巻雲、層雲、線状降水帯、または前線性降水帯のうち少なくともともいずれか1つを含む、
請求項
1に記載の気象解析装置。
【請求項3】
線状降水帯は、バックビルディング型線状降水帯、バックアンドサイドビルディング型線状降水帯、またはスコールライン型線状降水帯のうち少なくともともいずれか1つを含む、
請求項
2に記載の気象解析装置。
【請求項4】
前記提供部は、前記
降水システムの種類が対応付けられた前記気象観測データに基づいて画像を生成し、前記生成した画像を前記外部装置に提供する、
請求項1から
3のうちいずれか1項に記載の気象解析装置。
【請求項5】
前記提供部は、前記
降水システムの種類に応じて表示態様を異ならせた画像を生成する、
請求項
4に記載の気象解析装置。
【請求項6】
前記分類器には、再帰型のニューラルネットワークが含まれる、
請求項1から
5のうちいずれか1項に記載の気象解析装置。
【請求項7】
コンピュータが、
レーダ装置により観測される観測空間に対して、降水強度、風向、および風速が対応付けられた気象観測データを取得し、
前記気象観測データが入力されると、降水システムの種
類を示す情報を出力するように、前記降水強度、風向、および風速を含む前記気象観測データの一部に対して、前記
降水システムの種類を示す情報が対応付けられた教師データに基づいて、学習された分類器に対して、前記取得した前記気象観測データを入力することで、前記レーダ装置の観測対象である前記降水システムの種類を判定し、
前記判定した前記降水システムの種類が対応付けられた前記気象観測データを外部装置に提供し、
前記気象観測データの一部は、前記観測空間におけるコア領域の気象観測データを含む、
気象解析方法。
【請求項8】
コンピュータに、
レーダ装置により観測される観測空間に対して、降水強度、風向、および風速が対応付けられた気象観測データを取得する処理と、
前記気象観測データが入力されると、降水システムの種
類を示す情報を出力するように、前記降水強度、風向、および風速を含む前記気象観測データの一部に対して、前記
降水システムの種類を示す情報が対応付けられた教師データに基づいて、学習された分類器に対して、前記取得した前記気象観測データを入力することで、前記レーダ装置の観測対象である前記降水システムの種類を判定する処理と、
前記判定した前記降水システムの種類が対応付けられた前記気象観測データを外部装置に提供する処理と、を実行させ、
前記気象観測データの一部は、前記観測空間におけるコア領域の気象観測データを含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、気象解析装置、気象解析方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、河川の氾濫や大規模な斜面崩壊によって甚大な被害をもたらす豪雨災害が生じている。このような災害は、線状降水帯が一定の地点に長時間に亘って停滞することにより引き起こされていると云われている。一方で、ニューラルネットワークなどの人工知能を利用して、気象を解析することが試みられている。
【0003】
しかしながら、従来の技術では、人工知能を利用して、観測した雲が災害をもたらすような雨雲であるのかを精度良く判別することができない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、雲の種類を精度良く判別することができる気象解析装置、気象解析方法、およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の気象解析装置は、取得部と、判定部と、提供部とを持つ。取得部は、レーダ装置によって得られた気象観測データを取得する。判定部は、前記気象観測データが入力されると、雲の種類を示す情報を出力するように学習された分類器に対して、前記取得部により取得された前記気象観測データを入力することで、前記レーダ装置の観測対象である雲の種類を判定する。提供部は、前記判定部によって判定された前記雲の種類が対応付けられた前記気象観測データを外部装置に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態における気象解析装置100の構成の一例を示す図。
【
図3】第1の実施形態における制御部110による一連の処理の一例を示すフローチャート。
【
図4】観測空間を仮想的に分割したメッシュ領域M
iの一例を示す図。
【
図6】分類器200の処理内容を時間経過に応じて並列に展開した図。
【
図7】降水システムの種類が対応付けられた気象画像の一例を示す図。
【
図8】気象観測データ132または解析データ134から一部データを抽出する処理を模式的に示す図。
【
図9】実施形態の気象解析装置100のハードウェア構成の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態の気象解析装置、気象解析方法、およびプログラムを、図面を参照して説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態における気象解析装置100の構成の一例を示す図である。第1の実施形態における気象解析装置100は、気象レーダ装置10から出力される気象観測データに基づいて、気象レーダ装置10の観測対象である雲の種類を判定(決定)する。
【0010】
気象レーダ装置10によって観測される雲には、例えば、積乱雲、積雲、巻雲、層雲などが含まれる。また、気象レーダ装置10によって観測される雲には、梅雨前線などに伴って発達した複数の積乱雲などが線状に列を成すことで形成される線状降水帯などが含まれてもよい。
【0011】
気象解析装置100は、雲の種類を判定(決定)すると、その判定した雲の種類を気象観測データに対応付けて出力する。上述した複数の雲の種類のうち、積乱雲や線状降水帯などは、地上に豪雨や豪雪、ひょう、あられなどの気象災害をもたらす傾向にある。特に、線状降水帯は、しばしば上空に停滞するため、河川の氾濫や大規模な斜面崩壊などの甚大な被害をもたらしやすい。そのため、雲の種類を精度良く判別することにより、気象災害の危険度を高精度に推測することができる。
【0012】
気象レーダ装置10は、例えば、フェーズドアレイアンテナを含む。気象レーダ装置10は、フェーズドアレイアンテナを構成するアレイ状のアンテナ素子に入力する信号、またはアンテナ素子が出力する信号の位相を制御することによって、指向角を電子的に変動させる。気象レーダ装置10は、アンテナの指向角を変動させながら電波を送受信する。例えば、気象レーダ装置10は、電気的な位相制御によって、エレベーション方向(垂直方向)における指向角を、一定の角度範囲(例えば90度)内で変動させる。また、気象レーダ装置10は、アジマス方向(水平方向)における指向角を、図示しない駆動機構によって機械的に変動させる。また、気象レーダ装置10は、アジマス方向とエレベーション方向との双方において、電気的な位相制御によって指向角を変動させてもよい。
【0013】
気象レーダ装置10は、受信した電波を電気信号に変換して、復調や信号強度の増幅、周波数変換等の信号処理を行う。そして、気象レーダ装置10は、信号処理を行った信号(以下、処理済み信号と称する)を気象観測データとして気象解析装置100に送信する。
【0014】
例えば、気象レーダ装置10は、所定の探索周期(例えば30秒周期)の間において生成した複数の処理済み信号を1つの気象観測データとして気象解析装置100に送信する。気象観測データは、例えば、メッシュ領域Miごとに、電波に基づく物理量が対応付けられているボリュームデータである。メッシュ領域Miとは、電波が照射された3次元の観測空間が、距離方向、水平方向、および鉛直方向のそれぞれについて所定幅で分割された3次元の空間領域である。なお、気象レーダ装置10の観測対象(観測空間)は気象レーダ装置10から十分に遠いものとし、以下の説明では、一例として、メッシュ領域Miは立方体であるものとする。
【0015】
また、気象レーダ装置10は、二重偏波レーダ装置(マルチパラメータレーダ装置)であってもよい。二重偏波レーダ装置は、水平偏波と垂直偏波の2種類の電波を送受信するレーダ装置である。
【0016】
また、気象レーダ装置10は、上述したフェーズドアレイアンテナの他、パラボラアンテナや、パッチアンテナ、ポールアンテナ、シャントフィードアンテナ、スロットアンテナなどを含んでもよい。例えば、パラボラアンテナを含む場合、気象レーダ装置10は、図示しない駆動機構によってアンテナの指向角を機械的に変更しながら電波を送受信してよい。
【0017】
以下、気象解析装置100の構成について説明する。気象解析装置100は、通信部102と、制御部110と、記憶部130とを備える。通信部102は、「取得部」の一例である。
【0018】
通信部102は、例えば、NIC(Network Interface Card)などの通信インターフェースを含む。通信部102は、ネットワークNWを介して気象レーダ装置10と通信し、気象レーダ装置10から気象観測データ132を受信する。ネットワークNWは、例えば、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、専用回線、無線基地局、プロバイダなどを含む。通信部102により受信された気象観測データ132は、記憶部130に記憶される。また、通信部102は、制御部110による制御を受けて、ネットワークNWを介して接続された外部装置に情報を送信してもよい。外部装置とは、例えば、ユーザが操作するスマートフォンやタブレット端末等の表示装置を兼ねる携帯型の端末装置や据え置き型の端末装置であってよい。また、外部装置は、天気図などを天気予報のコンテンツとして配信するサーバ装置や、その他装置であってもよい。
【0019】
制御部110は、例えば、降水強度導出部112と、風向風速導出部114と、コア特徴量導出部116と、判定部118と、学習処理部120と、提供部122とを備える。これらの構成要素は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェアプロセッサ(あるいはプロセッサ回路)が、記憶部130に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの複数の構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア(回路部:circuitry)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。また、上記のプログラムは、予め記憶部130に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体が気象解析装置100のドライブ装置に装着されることで記憶媒体から記憶部130にインストールされてもよい。
【0020】
記憶部130は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、レジスタ等の記憶装置によって実現される。フラッシュメモリやHDD、SSDなどは、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置等のネットワークNWを介して接続される他の記憶装置によって実現されてもよい。記憶部130には、例えば、気象観測データ132や、解析データ134、分類器情報136などが格納される。これらについては後述する。
【0021】
図2は、気象観測データ132の一例を示す図である。例えば、気象観測データ132は、上空の観測空間を仮想的に分割したメッシュ領域M
iごとに、レーダ反射因子Z
iと、ドップラー速度D
iとが対応付けられたデータである。
【0022】
レーダ反射因子Ziは、電波を反射する粒子の粒径に応じて変動するパラメータである。電波を反射する粒子は、例えば、雲を構成する粒子(以下、雲粒と称する)である。雲粒には、例えば、水滴や氷晶等が含まれてよい。例えば、レーダ反射因子Ziは、気象レーダ装置10が電波を受信した際の受信電力と、気象レーダ装置10から電波を反射した雲粒までの距離とに基づいて算出される。なお、気象観測データ132は、レーダ反射因子Ziの代わりに、レーダ反射強度(=10log10Zi)が対応付けられていてもよい。
【0023】
ドップラー速度Diは、メッシュ領域Mi内の雲粒の移動方向および移動速度を表すパラメータであり、気象レーダ装置10が電波を送信した際の送信周波数と、電波を受信した際の受信周波数との差に基づいて算出される。ドップラー速度Diは、各メッシュ領域Miの風向および風速に算出する際に用いられるパラメータである。これらのパラメータは、気象レーダ装置10において信号処理の結果として算出されてもよいし、気象解析装置100において算出されてもよい。
【0024】
メッシュ領域Miの大きさは、気象レーダ装置10の時間分解能および空間分解能に応じて変更されてよい。また、各メッシュ領域Miには、気象レーダ装置10の位置を原点とする直交座標系の位置座標が対応付けられてもよいし、極座標系や他の座標系であってもよい。例えば、気象レーダ装置10が標高の高い高台や山頂等に設置されている場合、メッシュ領域Miの位置座標は高度方向においてマイナスの値をとってよい。
【0025】
また、気象レーダ装置10が二重偏波レーダ装置である場合、気象観測データ132は、各メッシュ領域Miに、水平偏波に関するレーダ反射因子、垂直偏波に関するレーダ反射因子、レーダ反射因子差、偏波間位相差、伝搬位相差変化率、偏波間相関係数といった二重偏波パラメータが対応付けられたデータであってもよい。レーダ反射因子差は、例えば、水平偏波に関するレーダ反射因子を垂直偏波に関するレーダ反射因子で除算した値の対数値であり、粒子の縦横径の比に依存するパラメータである。
【0026】
以下、制御部110による一連の処理についてフローチャートを用いて説明する。
図3は、第1の実施形態における制御部110による一連の処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、所定の周期で繰り返し行われてよい。
【0027】
まず、降水強度導出部112は、通信部102により、気象レーダ装置10から一回の探索周期分の気象観測データ132が取得されるまで待機し(ステップS100)、一回の探索周期分の気象観測データ132が取得されると、この気象観測データ132のメッシュ領域Miごとに、降水強度Riを導出する(ステップS102)。
【0028】
例えば、降水強度導出部112は、メッシュ領域Miごとのレーダ反射因子Ziを数式(1)に代入することにより降水強度Riを導出する。なお、降水強度Riは、他の方法で導出されてもよい。
【0029】
【0030】
上記数式(1)におけるBおよびβは、例えば、雨量計による観測値から決定される定数であり、雲粒が水滴の場合、Bが200程度、βが1.6程度に設定され、雲粒が氷晶の場合はBが500から2000程度、βが2.0程度に設定される。なお、定数Bおよびβのそれぞれには、全メッシュ領域Miにおいて同じ値が設定されてもよいし、メッシュ領域Miごとに異なる値が設定されてもよい。
【0031】
次に、風向風速導出部114は、メッシュ領域Miごとのレーダ反射因子Ziとドップラー速度Diに基づいて、メッシュ領域Miごとに風向および風速を導出する(ステップS104)。例えば、風向風速導出部114は、VAD(Velocity Azimuth Display))法や、VVP(Volume Velocity Processing)法、Gal-Chen法、Dual-Doppler法等の3次元風解析手法を用いて、メッシュ領域Miごとに風向および風速を導出する。なお、風向風速導出部114は、風向および風速を導出できないメッシュ領域Miについては、例えば、他のメッシュ領域Miにおける風向および風速の代表値を代用してもよい。代表値は、例えば、平均値であってもよいし、中央値であってもよいし、他の統計量であってもよい。
【0032】
図4は、観測空間を仮想的に分割したメッシュ領域M
iの一例を示す図である。図中Z軸は、鉛直方向を、X軸およびY軸は、水平方向に含まれる直交成分を示す。図示の例では、観測空間(3次元空間)のうち、あるXZ平面の断面のみを表している。各メッシュ領域M
iには、解析結果として、降水強度導出部112により導出された降水強度R
iと、風向風速導出部114により導出された風向風速を示すベクトル(矢印V
i)とが対応付けられる。なお、図中では、降水強度R
iは、X軸およびZ軸に対応した降水強度Rを示すために、Rxzで表現している。矢印Viで示すベクトルの向きは、風向を示し、ベクトルの大きさは、風速を示している。このような、観測空間を仮想的に表したメッシュ領域M
iごとに、降水強度R
iおよび風向および風速を示すベクトル矢印V
iが対応付けられた情報は、解析データ134として記憶部130に記憶される。
【0033】
次に、コア特徴量導出部116は、解析データ134を参照して、複数のメッシュ領域Miに分割された観測空間においてコア領域CRを導出し、そのコア領域CRの特徴量を導出する(ステップS106)。コア領域CRとは、降水強度Riが同程度のメッシュ領域Miを互いに結合した領域である。
【0034】
コア特徴量導出部116は、コア領域CRを導出すると、コア領域CRの特徴量を導出する。コア領域CRの特徴量は、例えば、コア領域CRの重心、体積の中心、平均高度、最大高度、最小高度、平均幅、最大幅、最小幅、平均降水強度Ri、最大降水強度Ri、最小降水強度Ri、といった種々の特徴量を含む。
【0035】
次に、判定部118は、少なくとも解析データ134に基づいて、観測空間に含まれる雨雲(以下、降水システムと称する)の種類(カテゴリ)を判定する(ステップS108)。
【0036】
例えば、判定部118は、分類器情報136に基づいて分類器200を生成し(構築し)、その分類器200に従って、降水システムの種類を判定する。
【0037】
分類器情報136は、分類器200を定義した情報(プログラムまたはデータ構造)である。例えば、分類器200は、プロセッサが分類器情報136を実行することによって、判定部118の一つの機能として実現されてよい。分類器200は、例えば、コンボリューショナルニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)や、リカレントネットワーク(Reccurent Neural Network:RNN)などの種々のニューラルネットワークのいずれか、または複数のニューラルネットワークの組み合わせによって実現される。
【0038】
分類器情報136には、例えば、各DNNを構成する入力層、一以上の中間層(隠れ層)、出力層の其々に含まれるニューロン(ユニット)が互いにどのように結合されるのかという結合情報や、結合されたニューロン間で入出力されるデータに付与される結合係数がいくつであるのかという重み情報などが含まれる。結合情報は、例えば、各層に含まれるニューロン数や、各ニューロンの結合先のニューロンの種類を指定する情報、各ニューロンを実現する活性化関数、隠れ層のニューロン間に設けられたゲートなどの情報を含む。ニューロンを実現する活性化関数は、例えば、正規化線形関数(ReLU関数)であってもよいし、シグモイド関数や、ステップ関数、ハイパポリックタンジェント関数などのその他の関数であってもよい。ゲートは、例えば、活性化関数によって返される値(例えば1または0)に応じて、ニューロン間で伝達されるデータを選択的に通過させたり、重み付けたりする。結合係数は、活性化関数のパラメータであり、例えば、ニューラルネットワークの隠れ層において、ある層のニューロンから、より深い層のニューロンにデータが出力される際に、出力データに対して付与される重みを含む。また、結合係数は、各層の固有のバイアス成分などを含んでもよい。
【0039】
図5は、分類器200を模式的に示す図である。例えば、分類器200は、入力層と、一以上の中間層と、出力層とを含むニューラルネットワークによって実現されてよい。例えば、入力層には、気象観測データ132(解析データ134)と、コア領域CRの特徴量とのうち、少なくとも気象観測データ132(解析データ134)が入力データとして入力される。より具体的には、入力層の各ニューロンに、各メッシュ領域M
iに対応付けられた降水強度R
iおよび風向風速が入力される。また、入力層の各ニューロンには、更に、各コア領域CRの特徴量が入力されてもよい。
【0040】
また、気象レーダ装置10が二重偏波レーダ装置である場合、入力層の各ニューロンには、各メッシュ領域Miに対応付けられた、水平偏波に関するレーダ反射因子、垂直偏波に関するレーダ反射因子、レーダ反射因子差、偏波間位相差、伝搬位相差変化率、偏波間相関係数といった二重偏波パラメータが入力されてもよい。以下、入力層に入力される入力データを、降水強度Ri(レーダ反射因子Zi)、風向風速(ドップラー速度Di)、二重偏波パラメータ、コア領域CRの特徴量(重心や平均高度など)といった複数のパラメータを含む多次元パラメータθであるものとして説明する。
【0041】
また、多次元パラメータθには、雲粒の粒子の扁平の度合、雲粒の粒径の形状、鉛直シアー、温度、湿度といった他のパラメータが更に含まれていてもよい。雲粒の粒子の扁平の度合や粒径などの形状は、二重偏波パラメータに含まれるレーダ反射因子差や伝搬位相差変化率などに基づいて導出されてよい。
【0042】
また、多次元パラメータθには、観測した雲が発生した地点(地上の位置)の標高や、地形、土壌、地質、植生、土地利用といった自然的要素(自然環境の特性を示す要素)を表すパラメータが含まれていてもよい。例えば、自然的要素を表すパラメータは、国や公共機関、民営機関などが測量して得た標高のデータや、土地分類図のデータなどに含まれていてよい。このようなデータは、予め記憶部130に記憶されていてもよいし、通信部102を介して外部のサーバ等から最新版が取得されてもよい。これによって、例えば、観測した雲の発生地点が山の斜面であるのか、平野であるのか、河川であるのか、といったことを考慮して降水システムの種類を判定することができる。
【0043】
分類器200は、予め学習処理部120によって学習される。例えば、学習処理部120は、教師データを用いて、分類器200を学習する。教師データは、多次元パラメータθに対して教師ラベルが対応付けられたデータである。教師ラベルは、多次元パラメータθに含まれる気象観測データ132が観測対象とする降水システム(雨雲)が、どういった種類の降水システムであるのかを識別した情報である。
【0044】
教師ラベルとして識別される降水システムの種類には、例えば、積乱雲、積雲、巻雲、層雲、線状降水帯、前線性降水帯などが含まれる。線状降水帯は、更に、バックビルディング型線状降水帯、バックアンドサイドビルディング型線状降水帯、およびスコールライン型線状降水帯といった種類に分類されてもよい。また、教師ラベルとして識別される降水システムの種類には、単に、大きな雨雲、小さな雨雲、連なった雨雲といったような気象学的な用語でない名称の種類が含まれていてもよい。また、これらの降水システムの種類は一例であり、一部が他の種類に置き換わってもよいし、他の種類が追加されてもよい。教師ラベルとして識別される降水システムの種類は、例えば、多次元パラメータθを基にして、気象予報士によって決定されてもよいし、高精度な気象解析モデルによるシミュレーションによって決定されてもよい。
【0045】
より具体的には、学習処理部120は、教師ラベルが対応付けられた多次元パラメータθを分類器200の入力層に入力し、その結果として出力層から出力された降水システムの種類の分類結果が、教師ラベルとして示された降水システムの種類に近づくように、分類器200のパラメータ(例えば、カーネル関数の係数など)を誤差逆伝搬(勾配法)や確率論によって学習させる。例えば、出力層の各ニューロンから、降水システムの種類の確からしさ(尤もらしさ)がスコアとして出力される場合、学習処理部120は、そのスコアの値と、教師ラベルとして示された降水システムの種類のスコアの値との差分が閾値以下となるまで、分類器200のパラメータを学習させることを繰り返す。
【0046】
判定部118は、学習処理部120によって学習された分類器200に対して、教師ラベルが対応付けられていない多次元パラメータθ、すなわち、降水システムの種類が未分類である多次元パラメータθを学習データとして入力する。
【0047】
例えば、図示のように、入力層に、NE1からNEnまでのn個のニューロンが含まれている場合、判定部118は、入力層のあるニューロンNE1には、あるメッシュ領域M1に対応付けられた解析データ134(気象観測データ132)と、コア領域CRの特徴量とを含む多次元パラメータθ1を入力する。また、判定部118は、ニューロンNEkには、あるメッシュ領域Mkに対応付けられた解析データ134(気象観測データ132)と、コア領域CRの特徴量とを含む多次元パラメータθkを入力する。また、判定部118は、ニューロンNEnには、あるメッシュ領域Mnに対応付けられた解析データ134(気象観測データ132)と、コア領域CRの特徴量とを含む多次元パラメータθnを入力する。これを受けて、分類器200の出力層は、各種類のスコアを要素値とする多次元のベクトル(1階テンソル)を出力する。各種類のスコアを要素値とする多次元のベクトルは、「雲の種類を示す情報」の一例である。
【0048】
例えば、出力層のあるニューロンNE1は、降水システムの種類が、ある種類「CAT1」であることの確からしさをスコアとして出力するように学習される。また、出力層のあるニューロンNEkは、降水システムの種類が、ある種類「CATk」であることの確からしさをスコアとして出力するように学習される。また、出力層のあるニューロンNEmは、降水システムの種類が、ある種類「CATm」であることの確からしさをスコアとして出力するように学習される。より具体的には、雲の種類を(CAT1、CAT2、CAT3)の3種類とした場合、各種類のスコアを要素値とする多次元のベクトルは、{スコア1、スコア2、スコア3}といったベクトルで表されてよい。この場合、スコア1は、「CAT1」という種類の雲の確からしさを表し、スコア2は、「CAT2」という種類の雲の確からしさを表し、スコア3は、「CAT3」という種類の雲の確からしさを表している。このように、分類器200の出力層からは、降水システムの各種類に対応したスコアを要素として含むm次元のベクトルが出力される。
【0049】
判定部118は、分類器200の入力層に多次元パラメータθを入力して、出力層の複数のニューロンNE1~NEmの其々からスコアが出力されると、すなわち、m次元のベクトルが出力されると、そのベクトルの要素である複数のスコアのうち、最も値が大きいスコアの種類を、降水システムの種類とする。これによって、解析データ134(気象観測データ132)の解析対象(観測対象)である降水システムの種類が判定される。
【0050】
なお、上述した分類器200は、過去の演算結果を基に再帰的に処理を繰り返すRNNによって実現されてもよい。例えば、RNNは、ネットワークの中間層がLSTM(Long short-term memory)であり、多次元パラメータθが入力されると、その多次元パラメータθに含まれる解析データ134(気象観測データ132)の解析対象である降水システムの分類先とする種類のスコアを、再帰的に処理を繰り返す度に出力するように学習されたニューラルネットワークである。
【0051】
図6は、分類器200の処理内容を時間経過に応じて並列に展開した図である。例えば、初回の処理周期t1では、分類器200(RNN)は、多次元パラメータθ
t1が入力され、出力ベクトルCAT
t1を出力する。出力ベクトルCAT
t1は、上述したように、降水システムの各種類に対応したスコアを要素として含むm次元のベクトルである。
【0052】
次の処理周期t2では、分類器200は、前回の処理周期t1の出力ベクトルCATt1と、今回の処理周期t2に新たに取得された多次元パラメータθt2と、前回の処理周期t1に計算された中間層の演算結果を示すベクトルst1とに基づいて、出力ベクトルCATt2を出力する。前回の中間層の演算結果を示すベクトルst1は、LSTMのメモリーセルと呼ばれる記憶領域(LSTMブロック)に格納される。
【0053】
次の処理周期t3では、分類器200は、前回の処理周期t2の出力ベクトルCATt2と、今回の処理周期t3に新たに取得された多次元パラメータθt3と、前回の処理周期t2に計算された中間層の演算結果を示すベクトルst2とに基づいて、出力ベクトルCATt3を出力する。この際、分類器200は、出力ベクトルCATt3を出力する際に、LSTMのメモリーセルに格納されたベクトルst2を、今回の処理周期t3に計算した中間層の演算結果を示すベクトルst3に書き換える。
【0054】
このように、分類器200は、前回求めた降水システムの種類の分類結果を基に再帰処理を繰り返すため、降水システムが時間経過に応じて発達した場合であっても、降水システムの種類を精度良く分類することができる。例えば、観測空間内において降水強度Riが閾値以上となるコア領域CRが出現してから、そのコア領域CRが線状に発達してきたという過程が存在する場合、その過程が出力ベクトルCATtkとして次回の再帰処理に反映されるため、降水システムが線状降水帯であるという確からしさ(スコア)がより大きくなる。このように、RNNを分類器200として利用することで、これまでのコア領域CRの成長度合いなどに応じて、現在の降水システムの種類を判定することができる。
【0055】
図3に戻り、次に、提供部122は、気象観測データ132(解析データ134)に基づいて、気象画像を生成する(ステップS110)。例えば、提供部122は、各メッシュ領域M
iを画素とした3次元画像を気象画像として生成する。この際、提供部122は、各メッシュ領域M
iに対応付けられたレーダ反射因子Z
iまたは降水強度R
iを、輝度値などの画素値に変換する。
【0056】
次に、提供部122は、生成した気象画像に対して、判定部118により判定された降水システムの種類を対応付け、この気象画像を、通信部102を介して外部装置に送信する(ステップS112)。これによって、例えば、外部装置の画面には気象画像が表示される。
【0057】
図7は、降水システムの種類が対応付けられた気象画像の一例を示す図である。図示の例では、3次元画像である気象画像の一断面(X-Y平面)を表しており、「バックビルディング型線状降水帯」という種類に分類された降水システム(雨雲)と、「積雲」という種類に分類された降水システム(雨雲)とが気象画像内に表示されている。この際、提供部122は、気象画像において、降水システムの種類に応じて、色や文字などの表示態様を異ならせてよい。例えば、提供部122は、各降水システム内のコア領域CRを、降水強度R
iに応じて段階的に色分けしてよい。また、提供部122は、気象画像において、各降水システムの種類に応じた危険度を表示してもよい。例えば、積雲、巻雲、層雲といった種類の降水システムに比べて、線状降水帯や前線性降水帯といった種類の降水システムの方が地上にもたらす被害が大きく、より危険であることが知られている。従って、提供部122は、各降水システムの種類に応じて危険度を決定し、その危険度を文字や色などで気象画像に表示させてよい。
【0058】
以上説明した第1の実施形態によれば、気象レーダ装置10によって得られた気象観測データ132を受信する通信部102と、気象観測データ132、或いは気象観測データ132から得られる解析データ134を含む多次元パラメータθが入力されると、降水システムの種類に、その種類の確からしさを表すスコアが要素値として対応付けられたベクトルCATを出力するように学習された分類器200に対して、多次元パラメータθを入力することで、気象レーダ装置10の観測対象である降水システムの種類を判定する判定部118と、判定部118によって判定された降水システムの種類が対応付けられた気象観測データ132を3次元画像として外部装置に提供する提供部122とを備えることにより、降水システム(雲)の種類を精度良く判別することができる。この結果、気象予報士などは、観測された現在の気象現象を理解した上で、更に将来の気象状態を精度良く予測することができる。
【0059】
また、上述した第1の実施形態によれば、ニューラルネットワークによって実現される分類器200を、コア領域CRの特徴量を含む多次元パラメータθを入力データとして学習させるため、現時点において、コア領域CRの形状が小さかったり、コア領域CRの降水強度Riが小さかったりした場合であっても、分類器200が、降水システムが将来どのように成長するのかということを学習しているため、将来の成長を見越したうえで降水システム(雲)の種類を精度良く判別することができる。
【0060】
また、上述した第1の実施形態によれば、気象レーダ装置10にフェーズドアレイアンテナを適用した場合、高頻度で隙間無く観測された気象観測データを用いることができる。これにより、短周期で、その時点における風向および風速分布を3元方向に連続的に解析することが可能となり、降水強度Ri、風向風速、コア領域CRの特徴量などを組み合わせることで、線状降水帯などの降水システムの特徴を高頻度かつ高確度に判別することができる。
【0061】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、気象観測データ132または解析データ134の全データを多次元パラメータθとするのではなく、気象観測データ132または解析データ134の一部データを多次元パラメータθとする点で上述した第1の実施形態と相違する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明し、第1の実施形態と共通する点については説明を省略する。なお、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と同じ部分については同一符号を付して説明する。
【0062】
第2の実施形態における学習処理部120は、分類器200を学習する際に、気象観測データ132または解析データ134から一部データを抽出し、その抽出したデータとコア領域CRの特徴量とを含むデータの集合を、多次元パラメータθとする。
【0063】
図8は、気象観測データ132または解析データ134から一部データを抽出する処理を模式的に示す図である。図示の例では、複数のメッシュ領域M
iに区切られた3次元の観測空間のX-Y平面を表している。例えば、X-Y平面の観測空間内において、CR1、CR2、CR3の3つのコア領域が存在する場合、学習処理部120は、そのコア領域が存在する部分空間に対して任意の識別情報をラベリングする。図示の例では、コア領域CR1が存在する部分空間には、ID1という識別情報がラベリングされ、コア領域CR2が存在する部分空間には、ID2という識別情報がラベリングされ、コア領域CR3が存在する部分空間には、ID3という識別情報がラベリングされている。学習処理部120は、気象観測データ132または解析データ134が示す観測空間から、識別情報をラベリングした部分空間を抽出し(切り出し)、抽出した部分空間を含む多次元パラメータθを教師データとして分類器200を学習させる。これによって、観測空間の全体を学習するときよりも、より低負荷で、且つより高精度に降水システム(雲)の種類を判別することができる。
【0064】
(ハードウェア構成)
上述した実施形態の気象解析装置100は、例えば、
図9に示すようなハードウェア構成により実現される。
図9は、実施形態の気象解析装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0065】
気象解析装置100は、NIC100-1、CPU100-2、RAM100-3、ROM100-4、フラッシュメモリやHDDなどの二次記憶装置100-5、およびドライブ装置100-6が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。ドライブ装置100-6には、光ディスクなどの可搬型記憶媒体が装着される。二次記憶装置100-5、またはドライブ装置100-6に装着された可搬型記憶媒体に格納されたプログラムがDMAコントローラ(不図示)などによってRAM100-3に展開され、CPU100-2によって実行されることで、制御部110が実現される。制御部110が参照するプログラムは、ネットワークNWを介して他の装置からダウンロードされてもよい。
【0066】
上記実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを格納するストレージと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
レーダ装置によって得られた気象観測データを取得し、
前記気象観測データが入力されると、雲の種類を示す情報を出力するように学習された分類器に対して、前記取得した前記気象観測データを入力することで、前記レーダ装置の観測対象である雲の種類を判定し、
前記判定した雲の種類が対応付けられた前記気象観測データを外部装置に提供する、
ように構成されている気象解析装置。
【0067】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、気象レーダ装置10によって得られた気象観測データ132を受信する通信部102と、気象観測データ132、或いは気象観測データ132から得られる解析データ134を含む多次元パラメータθが入力されると、降水システムの種類に、その種類の確からしさを表すスコアが要素値として対応付けられたベクトルCATを出力するように学習された分類器200に対して、多次元パラメータθを入力することで、気象レーダ装置10の観測対象である降水システムの種類を判定する判定部118と、判定部118によって判定された降水システムの種類が対応付けられた気象観測データ132を3次元画像として外部装置に提供する提供部122とを備えることにより、降水システム(雲)の種類を精度良く判別することができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
10…気象レーダ装置、100…気象解析装置、102…通信部、110…制御部、112…降水強度導出部、114…風向風速導出部、116…コア特徴量導出部、118…判定部、120…学習処理部、122…提供部、130…記憶部、200…分類器