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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】シート搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20240219BHJP
   B65H 5/36 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B65H5/00 A
B65H5/36
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019008083
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020117328
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 祐史
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-093940(JP,A)
【文献】特開2004-277102(JP,A)
【文献】特開2013-112486(JP,A)
【文献】特開2007-302439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
B65H 5/36
B65H 5/38
B65H 29/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが搬送されるシート搬送路を構成し、シートを案内するガイド面を備えた、樹脂製の搬送ガイドと、
前記シート搬送路上にてシートを搬送すると共に、金属製の軸部を備えた搬送ローラと、
前記シート搬送路を搬送されるシートを検知するシート検知センサと、
前記搬送ローラの金属製の軸部をアースするアース部材と、を備え、
前記シート検知センサと前記搬送ローラの軸部とは、記搬送ガイドの前記ガイド面に備えられた同じ穴部によって、前記シート搬送路に露出される、
ことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
前記軸部は、前記シート検知センサとはシート搬送方向において異なる位置にて前記シート搬送路に露出しており、
前記軸部が前記穴部から露出している軸方向の幅は、前記シート検知センサが前記穴部から露出している軸方向の幅以上である、
ことを特徴とする請求項1記載のシート搬送装置。
【請求項3】
前記シート検知センサ及び前記軸部は、シート搬送方向に対して垂直な方向において、前記穴部のシート搬送方向上流側端部よりも低くなるように配設されている、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のシート搬送装置。
【請求項4】
前記軸部は、前記シート検知センサよりもシート搬送方向下流側にて、前記シート搬送路に露出するように配設されており、
シート搬送方向に対して垂直な方向に関し、前記穴部のシート搬送方向上流側端部、前記シート検知センサの上部、前記軸部の上部、前記穴部のシート搬送方向下流側端部の順序で高さが低くなるように構成された、
ことを特徴とする請求項3記載のシート搬送装置。
【請求項5】
前記軸部は、前記シート検知センサよりもシート搬送方向上流側にて、前記シート搬送路に露出するように配設されており、
シート搬送方向に対して垂直な方向に関し、前記穴部のシート搬送方向上流側端部、前記軸部の上部、前記シート検知センサの上部、前記穴部のシート搬送方向下流側端部の順序で高さが低くなるように構成された、
ことを特徴とする請求項3記載のシート搬送装置。
【請求項6】
シート搬送方向に対して垂直な方向において、前記穴部のシート搬送方向下流側端部は、周囲の前記搬送ガイドのガイド面より下方に位置しており、
前記搬送ガイドは、シート搬送方向下流側に向かうに従って、前記穴部のシート搬送方向下流側端部から前記周囲のガイド面に近づくように傾斜した傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項7】
前記搬送ローラは、前記軸部に支持されたローラ部を備え、
前記ガイド面は、他の穴部を備え、
前記ローラ部は、シートを搬送するために前記他の穴部を介して前記シート搬送路に露出する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項8】
前記シート検知センサは、前記シート搬送路に向かって検知波を照射すると共に、シートに反射された前記検知波を検出することによって、シートを検知するセンサである、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【請求項9】
前記シート搬送路上を搬送されるシートの画像を読み取る画像読取手段を備えた、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のシート搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送するシート搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、複写機、プリンタ等の画像形成装置では、1枚ずつ搬送されて来たシートに対して、画像形成部でトナー像の転写・定着または、インクの吹付け等により成果物を作成する。また、近年の複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、原稿サイズより大きな面積を有するプラテンガラス上に載置した原稿を画像読取部が走査することで画像を読取ることができる画像読取装置を備えていることが多い。更に、この画像読取装置においては、上述した固定読み方式の他に、Auto Document Feeder(自動原稿搬送装置:ADF)により原稿を1枚ずつ搬送し、搬送途中において原稿の画像を読取る流し読み方式が、併用されていることも多い。
【0003】
ここで、原稿を搬送する際に、原稿が後続の原稿または装置の搬送ガイドに擦れると、静電気が発生する。この静電気により搬送中の原稿のみならず、後続の原稿や、それらを載置するトレイ等が帯電する。このように帯電した原稿を搬送すると原稿はその搬送経路上の様々な部位に静電気を放出する。また、通常、原稿の搬送経路上には、原稿を検出するためのセンサが配置されており、このようなセンサは、ケース内に電子回路基板を備えている。
【0004】
一般的に、電子回路基板に静電気を帯びたものを近づけるのは好ましくない。なぜなら、基板にプリントされている銅箔膜およびIC等の素子は静電気を導きやすい物性であるために、静電気がそれらに対して放電される可能性が生じるためである。この場合、非常に薄くプリントされている銅箔膜の欠落や、IC等の損傷により電子回路が正常に機能しなくなるリスクとなる。
【0005】
そのため、原稿の搬送経路上にセンサを配置する際には、上記不具合を回避する対策を要する。例えば、特許文献1では、給紙トレイ上の原稿の有無検出用の電子回路基板をアース板によって覆うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005‐162342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述したような原稿を検出するセンサは、原稿搬送の生産性や搬送性能に大きな影響を与えるため、その最適配置構成に自由度が少ないのが一般的である。更に、近年の装置は小型、高密度化がなされているため、性能を満たすためにローラに最大限隣接してセンサを配置しようとすると、センサ周辺に上述したアース板のような導電性部材を配置することができない場合があった。
そこで、本発明は、シートを検出するシート検知センサを静電気から保護することができるシート搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、シートが搬送されるシート搬送路を構成し、シートを案内するガイド面を備えた、樹脂製の搬送ガイドと、前記シート搬送路上にてシートを搬送すると共に、金属製の軸部を備えた搬送ローラと、前記シート搬送路を搬送されるシートを検知するシート検知センサと、前記搬送ローラの金属製の軸部をアースするアース部材と、を備え、前記シート検知センサと前記搬送ローラの軸部とは、記搬送ガイドの前記ガイド面に備えられた同じ穴部によって、前記シート搬送路に露出される、ことを特徴とするシート搬送装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シートを検出するシート検知センサを静電気から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施の形態に係る画像形成装置を示す模式図である。
図2】ADFおよび画像読取装置の流し読み時の断面図である。
図3】ADFおよび画像読取装置の固定読み時の断面図である。
図4】第1の実施の形態における搬送ガイドと周辺部品の上面図である。
図5図4におけるDTA部の拡大図である。
図6図5におけるB‐B断面図である。
図7】第1の実施形態におけるガイド断面の模式図である。
図8】第2の実施形態におけるガイド断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本実施の形態に係るシート搬送装置を備えた画像形成装置について説明をする。なお、本実施の形態においては、複写機のADFに設けられたシート搬送装置を例に取って説明をするが、このシート搬送装置は、複写機の他にも、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの機能を備えた複合機などの画像形成装置に設けられても良い。また、以下の説明において、シートとは、普通紙の他にも、コート紙等の特殊紙、封筒やインデックス紙等の特殊形状からなる記録材、及びオーバーヘッドプロジェクタ用のプラスチックフィルムや布などを含むものである。加えて、原稿もシートの概念に含まれるものであり、原稿は、白紙でも、片面又は両面に画像が形成されていても良いものとする。更に、以下の説明においては、ユーザーと対向する画像形成装置の面を前面、この前面とは反対側の面を背面といい、これら画像形成装置の前後に向かう方向を前奥方向という。また、この前奥方向と直交する方向を幅方向という。
【0012】
<第1の実施の形態>
(画像形成装置の概略構成)
図1は第1の実施の形態に係る画像形成装置としての複写機500の断面概略図である。複写機500は、画像形成装置本体としてのプリンタ部40の上方に原稿の画像を読取る画像読取装置20が設けられて構成されており、画像読取装置20の上部には、ADF10が設けられている。
【0013】
プリンタ部40は、その内部に、シートを搬送するシート搬送部405と、シート搬送部405から搬送されたシートに対して画像の形成を行う電子写真方式の画像形成部402と、を備えている。また、画像形成部402にて転写された未定着トナー像を加熱及び加圧してシートに対して定着させる定着部403と、プリンタ部40を制御するプリンタ制御部404と、を備えている。
【0014】
画像読取装置20は、原稿を載置するための原稿載置手段としての原稿載置台201と、この原稿載置台201の内側に設けられ、原稿載置台201に載置された原稿の画像を読取る画像読取手段30と、を備えている。また、画像読取装置20を制御する制御手段としての画像読取装置制御部202を備えている。
【0015】
上記複写機500を使用して原稿のコピーを取る場合、まず、原稿載置台201上に原稿が載置され、ユーザーによってコピーボタン(不図示)が押圧される。そして、このコピーボタンが操作されると、上述した画像読取手段30が副走査方向X(本実施の形態では幅方向)に移動しながら、原稿の画像を読取る。画像読取手段30によって読み取られた画像情報は、画像読取装置制御部202を介してプリンタ制御部404へと通信され、この画像情報に基づいて画像形成部402においてトナー像が形成される。そして、このトナー像がシート搬送部405から搬送されて来たシートに対して転写され、シートに転写された未定着トナー像が定着部403において加熱及び加圧されることによって、シートに対して定着される。定着部403によって画像が定着されたシートは機外へと排出され、これにより原稿のコピーが完了する。
【0016】
また、複数枚の原稿のコピーが取られる場合には、ADF10によって原稿が一枚ずつ搬送され、この搬送されている原稿の画像が所定の読取位置に位置している画像読取手段4によって読み取られる。なお、原稿載置台201に載置された原稿の画像を画像読取手段30が副走査方向に移動しながら読取る方式を固定読みというのに対して、停止した画像読取手段30がADF10によって搬送されている原稿の画像を読取る方式を流し読みという。
【0017】
(画像読取装置の構成概略)
ついで、画像読取装置20の構成について、図2及び図3に基づいて説明をする。図2に示すように、画像読取装置20は、原稿載置台201の内部空間内を画像読取手段30が移動可能に構成されており、この画像読取手段30は、読取光学箱(スキャナ)30aを備えている。読取光学箱30aは、原稿の画像面に光を照射する照明310と、この照明310により照射された原稿からの反射散乱光を結像レンズ304に導くミラー301、302、303及び電荷結合素子305等を備えて構成されている。また、読取光学箱30aは図示しないタイミングベルトにより図示しないモータに結合されていて、図3のX方向に往復移動可能となっている。
【0018】
固定読み方式での原稿の読取りは、固定読みガラス203上に載置された原稿に対して初期待機位置Aで待機している読取光学箱30aを、例えばA4サイズ原稿であれば図3のBの位置までX方向に一定速度で動作させ原稿を読取ることで行われる。
【0019】
流し読み方式での原稿の読取りは、読取光学箱30aを読取り位置Cに待機させ、ADF10により読取り部において原稿を一定速度で搬送した際の原稿を読取ることで行われる。
【0020】
(ADFの構成概略)
ついで、ADF10の構成について図2及び図3に基づいて説明をする。図2に示すように、ADF10は、原稿載置トレイ121、ピックアップローラ101、分離ローラ102、捌きローラ103、引抜きローラ対104、レジストローラ対105を備えている。また、搬送ローラ対106,108、プラテンローラ107,109、排出ローラ対111、原稿排出トレイ123、裏面読取りガラス205、裏面読取光学箱30b等を備えている。
【0021】
ADF10により流し読み方式で原稿スキャンを行う際、ユーザーは原稿載置トレイ121上に表面を上向きとして原稿を載置する。原稿載置トレイ121には図示しない原稿サイズ検知センサが取り付けられており、原稿の縦横サイズを認識することができるように構成されている。そして、認識した原稿サイズに応じたシーケンスにより原稿の画像読取りが行われる。
【0022】
より詳しくは、ADF10を用いて流し読みが行われる場合、原稿載置トレイ121上に載置された任意の枚数の原稿がピックアップローラ101により給送され、分離ローラ102及び捌きローラ103によって形成された分離ニップ部に送り込まれる。捌きローラ103は、トルクリミッタにより所定のトルクがかからないと搬送方向に回転しない構成であり、この捌きローラ103に所定の加圧力で当接された分離ローラ102が搬送方向に回転することで、原稿が1枚ずつ分離される。
【0023】
1枚ずつ分離された原稿は、引抜きローラ対104のニップ部まで搬送される。このニップ到達時点では、引抜きローラ対104を静止した状態としておくことで、原稿先端がそのニップ部で停止し、搬送方向上流側の分離ローラ102により原稿後端が所定量押し込まれることで原稿に湾曲を生じさせる。その湾曲によるシートのこしで、原稿の先端が引抜きローラ対104のニップ線にならい、原稿の斜行補正を行う。その後、引抜きローラ対104により分離ニップ部から原稿を引き抜くように搬送し、レジストローラ対105のニップ部まで搬送される。そしてこのレジストローラ対105においても上述の引抜きローラ対104で実施したのと同様に斜行補正を行う。このように2段階で補正を行うことで原稿の斜行をより強く補正することが可能となっている。
【0024】
上記補正の後、レジストローラ対105による原稿搬送が開始され、搬送ローラ対106を通過し、原稿の表面を流し読みガラス204上で所定の一定速度で読取る。表面読取りの後、裏面も読み取るオペレーションを実行した場合は、続けて裏面読取りガラス205上の読取り位置にて画像読取手段としての裏面読取光学箱30bにより原稿裏面の読取りが行われる。その後、排出ローラ対111により原稿排出トレイ123に原稿が排出される。なお、本実施の形態において、裏面読取光学箱30bは、シート搬送路上を搬送されるシートの画像を読み取る画像読取手段を構成している。
【0025】
(センサ保護用金属軸の配置)
ついで、センサ保護用の金属軸の配置構成について説明をする。図2及び3に示すように、引抜きローラ対104周辺からレジストローラ対105周辺に跨って、原稿の下面は、搬送ガイド12によって案内されるように構成されている。この搬送ガイド12は、樹脂製であり、上記シート搬送路150を構成している。
【0026】
図4は、装置上側から搬送ガイド12とその周辺部品を表した図である。ここでシートを案内する搬送ガイド12のガイド面12Fには複数の角穴121a~121dが設けられており、これらの穴からはそれぞれシート検知センサ14がシート搬送路150(図2参照)に対して露出されるよう配置されている。シート検知センサ14はこの穴を通してシート搬送路側へと赤外光を発光していて、センサの上を原稿が通った時に原稿がこの赤外光をセンサ側に反射し、その反射光をシート検知センサ14の受光素子が感知することで原稿の有無を検知するセンサである。なお、シート検知センサ14は、必ずしも検知波として赤外光を使用する必要はなく、例えば、超音波などを検知波として使用するものであっても良い。即ち、シート検知センサ14はシート搬送路150に向かって検知波を照射すると共に、シートに反射された検知波を検出することによって、シートを検知するセンサであれば良い。
【0027】
装置におけるこのセンサの働きとしては、第一に原稿(シート)のJAMを検知し、原稿や装置により大きなダメージを与えることなく装置を止めることである。例えば、上流のセンサの検知から一定の時間が経過しても下流側のセンサで原稿検知できない遅延JAMや、一定の時間が経過しても原稿の検知が継続されている滞留JAMなどを検知する。また、第二には、搬送される原稿間の距離を検知することがある。搬送効率のばらつき等の理由によりその距離がある一定より広くなっていると判断される場合に、上流側のローラ速度を上昇させることで、安定した搬送間隔を確保した上で装置としての生産性をより高めることができる。
【0028】
また、搬送ガイド12には、上記シート検知センサ14を露出させるための穴以外にも、引抜きローラ対104の下側ローラ(以下、単に引き抜きローラという)104aのローラ部1041をシート搬送路150に露出させるための穴122が設けられている。このローラ部1041は、金属製の回転軸1042によって支持されており、上記ローラ部1041が回転して原稿を搬送することによって、引き抜きローラ104aは、シートを搬送するシート搬送ローラとなっている。
【0029】
図5は、図4中のDTA部を拡大した図である。また、図6は、図5におけるB-B断面図である。以下の説明においては、これら図5及び図6に基づいて、角穴121bにおけるセンサ周りの構成を説明する。なお、シート搬送路150の搬送中心に設けられた引き抜きローラ104aのローラ部1041を挟んで反対側の角穴121cにおけるセンサ周りの構成については、上記角穴121bにおけるセンサ周りの構成と同様であるため、その説明を省略する。
【0030】
図5に示すように、角穴121bは、通紙方向(以下、シート搬送方向ともいう)に関してシート検知センサ14の露出部分の幅よりも広く構成されている。そして、角穴121bのシート検知センサ14より下流側空間部には、引抜きローラ104aの軸部1042が位置しており、センサ14と同様に角穴121bを介してシート搬送路へと露出している。
【0031】
この引抜きローラ104aの軸部1042は、金属製であり、金属軸1042は装置奥側において金属軸受602と、それを支える板金で形成されたフレーム601を介してアースへと接続されている。そして、本実施の形態において、これら金属軸受602及びフレーム601が金属軸1042をアースするアース部材600を構成している。
【0032】
このように、角穴121bにおいては、シート検知センサ14の近傍にアースされた金属軸1042がシート検知センサ14の近傍に配置されている。このため、原稿がシート検知センサ14上を通る際に、原稿に帯電した静電気が放電されたとしても、その静電気は、シート検知センサ14ではなく、金属軸1042に対して放出され、シート検知センサ14の静電気破壊を防止することができる。
【0033】
また、金属軸1042とシート検知センサ14とを近接した別々の穴から露出させても良いが、本実施の形態のように、これら金属軸1042及びシート検知センサ14を同一の穴から露出させていることが望ましい。こうすることによって、金属軸1042とシート検知センサ14とをより一層、近接配置させることができ、また、金属軸1042とシート検知センサ14の間に遮蔽物もないために、金属軸1042の静電気放電誘導性も優れている。
【0034】
即ち、本実施の形態では、シートを案内するガイド面12Fに、搬送ローラ104bの軸部1042をシート搬送路150に露出させる穴部121bを備えている。特に、本実施の形態では、上記穴部121bは、搬送ローラ104bの軸部1042のみならず、シート検知センサ14もシート搬送路150に露出させている。このため、帯電したシートが搬送されて来た場合であっても、上記シート検知センサ14ではなく、アースされた金属製の軸部1042に静電気が放電され、これにより、シート検知センサ14を静電気から保護することができる。
【0035】
さらに放電の誘導性を高めるためには、角穴121bから露出する金属軸1042の軸方向の幅は図5に示されている通り、シート検知センサ14の幅と同等かそれより広い幅になっているとより好ましい。そのように露出していることで、センサの配置されている位置より、金属軸1042の軸方向手前側または奥側から放電された場合でもより確実に金属軸1042へと放電を導くことができる。
【0036】
また、図6に示す通り、センサが配置されている主走査断面を見ると、シート検知センサ14と金属軸1042は、穴121bのシート搬送方向上流側端部12aよりも下に奥まった位置に配置されている。このように配置することで、搬送ガイド12に穴を開けてシート検知センサ14と金属軸1042を搬送路に露出させた場合であっても原稿先端がそれらにひっかかることを防ぐことができる。
【0037】
ここで、図6を模式的に表した図7を参照してさらに好ましい構成に関して記載する。搬送ガイド12のシート検知センサ14より下流側では斜面部12cが設けられている。即ち、シート搬送方向に対して垂直な方向において、穴部121bのシート搬送方向下流側端部12bは、周囲の搬送ガイド12のガイド面12Fより下方に位置している。そして、上記斜面部12cは、シート搬送方向下流側に向かうに従って、穴部121bのシート搬送方向下流側端部12bから周囲のガイド面12Fに近づくように傾斜した傾斜面となっている。このように傾斜面を設けることで、原稿先端がシート検知センサ14や金属軸1042に擦りながら進入してきた場合でも、原稿先端はガイド12の下流側端部12bにひっかかることなくすくい上げることができる。
【0038】
更に、シート搬送方向に垂直で、下流側端部12bを0基準とした上側を正とする軸を定義する。そして、搬送ガイド12の上流側端部12aをh、シート検知センサ14の上部をh、金属軸1042の上部をhとしたときに、上記この軸基準において、高さの関係がh>h>h>0となっていると更に良好な搬送性を得ることができる。
【0039】
上述したように、本実施の形態では、シートを案内するガイド面12Fに、搬送ローラ104bの軸部1042をシート搬送路150に露出させる穴部121bを備えている。特に、本実施の形態では、上記穴部121bは、搬送ローラ104bの軸部1042のみならず、シート検知センサ14もシート搬送路150に露出させている。このため、帯電したシートが搬送されて来た場合であっても、上記シート検知センサ14ではなく、アースされた金属製の軸部1042に静電気が放電される。これにより、シート検知センサ14を静電気から保護することができる。
【0040】
また、上記軸部1042は、シート検知センサ14とはシート搬送方向において異なる位置(本実施の形態ではシート搬送方向下流側)にてシート搬送路に露出している。そして、軸部1042が穴部121bから露出している軸方向の幅は、シート検知センサ14が穴部121bから露出している軸方向の幅以上となっている。このため、上記軸方向においてシート検知センサ14を軸部1042がその全域でカバーすることができ、効果的に静電気からシート検知センサ14を保護することができる。
【0041】
更に、シート検知センサ14及び軸部1042は、シート搬送方向に対して垂直な方向において、穴部121bのシート搬送方向上流側端部12aよりも低くなるように配設されている。このため、シート検知センサ14及び軸部1042に搬送されて来たシートの搬送が阻害されることを防止することができる。特に、本実施の形態では、軸部1042は、シート検知センサ14よりもシート搬送方向下流側にて、シート搬送路150に露出するように配設されている。そして、引き抜きローラ対140のニップ部におけるシート搬送方向に対して垂直な方向に関し、穴部121bのシート搬送方向上流側端部12a、シート検知センサ14の上部、軸部1042の上部、穴部121bのシート搬送方向下流側端部12bの順序で高さが低くなるように構成されている。このため、より確実にシートの搬送が阻害されることを防止することができる。
【0042】
<第2の実施の形態>
ついで、第2の実施の形態について、図8に基づいて説明をする。本実施の形態では、上述した第1の実施の形態と、金属軸1042がシート検知センサ14よりもシート搬送方向上流側に配置された点について異なっている。このように、第1の実施の形態において、シート検知センサ14と金属軸1042の位置を入れ換えても、第1の実施の形態と同等のセンサ保護効果を得ることができる。
【0043】
なお、この場合、静電気が蓄積された原稿がセンサに近接する際に、センサより金属軸1042の方がより近い位置にあるために、さらに確実なセンサ保護効果を得ることができる。また、より良好な搬送性を得るためには、搬送ガイド12の上流側端部12aをh、金属軸1042の上部をh、シート検知センサ14の上部をh、としたときに、h>h>h>0とすると良い。
【0044】
即ち、本実施の形態においては、軸部1042が、シート検知センサ14よりもシート搬送方向上流側にて、シート搬送路150に露出するように配設されている。そして、この場合、シート搬送方向に対して垂直な方向に関し、穴部121bのシート搬送方向上流側端部12a、軸部1042の上部、シート検知センサ14の上部、穴部121bのシート搬送方向下流側端部12bの順序で高さが低くなるように構成されることが望ましい。
【0045】
なお上述した実施の形態では、上述した金属軸1042とシート検知センサ14の構成がADF10にて適用された例を用いて説明をしたが、その効果はADFに限定されるものではない。例えば、プリンタ部40内部でシートを搬送するシート搬送部405のような画像形成装置等のシート搬送装置に適用されても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0046】
1:シート搬送装置、12:搬送ガイド、12a:上流側端部、12b:下流側端部、12c:傾斜面、12F:ガイド面、14:シート検知センサ、104b:搬送ローラ、121b:穴部、150:シート搬送路、600:アース部材、1042:軸部

図1
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図8