(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電力供給システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240219BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240219BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240219BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240219BHJP
H02J 3/46 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H02J7/35 K
H02J7/00 B
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 170
H02J3/46
(21)【出願番号】P 2019053686
(22)【出願日】2019-03-20
【審査請求日】2022-03-03
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】西田 竜太
(72)【発明者】
【氏名】門脇 昌作
(72)【発明者】
【氏名】村上 伸太郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 卓也
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-126339(JP,A)
【文献】特開2014-233144(JP,A)
【文献】特開2016-134990(JP,A)
【文献】特開2015-186427(JP,A)
【文献】特開2013-090436(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015225(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J3/00-5/00
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統電源と負荷との間に設けられ、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、
前記系統電源と前記負荷との間に設けられ、前記発電部からの電力を充放電可能な蓄電池と、
前記発電部及び前記蓄電池よりも前記系統電源からの電力供給方向における下流側で前記負荷に接続された燃料電池と、
前記発電部及び前記蓄電池よりも前記系統電源からの電力供給方向における上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な第一検出部と、
前記発電部及び前記蓄電池よりも前記下流側、かつ、前記負荷及び前記燃料電池よりも前記上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な第二検出部と、
を具備し、
前記蓄電池は、
前記系統電源からの電力及び前記燃料電池からの電力を充電不可能な第一モードに設定され、
蓄電残量が第一の値以下まで減少した場合、前記系統電源からの電力及び前記燃料電池からの電力を充電可能な第二モードに設定されるものであり、
当該蓄電池が前記第一モードに設定されているときに前記蓄電残量が前記第一の値よりも大きい第二の値以下まで減少した場合、放電不可能に設定される、
電力供給システム。
【請求項2】
系統電源と負荷との間に設けられ、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、
前記系統電源と前記負荷との間に設けられ、前記発電部からの電力を充放電可能な蓄電池と、
前記発電部及び前記蓄電池よりも前記系統電源からの電力供給方向における下流側で前記負荷に接続された燃料電池と、
前記発電部及び前記蓄電池よりも前記系統電源からの電力供給方向における上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な第一検出部と、
前記発電部及び前記蓄電池よりも前記下流側、かつ、前記負荷及び前記燃料電池よりも前記上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な第二検出部と、
前記発電部と前記蓄電池とを互いに接続するとともに、前記発電部からの電力及び前記蓄電池からの電力を前記系統電源と前記負荷とをつなぐ配電線に出力可能であって、かつ、前記発電部からの電力及び前記配電線を流れる電力を前記蓄電池に出力可能なハイブリッドパワコンと、
前記第一検出部よりも前記下流側、かつ、前記第二検出部よりも前記上流側で、前記配電線と前記ハイブリッドパワコンとを接続する第一電路に設けられた第一開閉器と、
前記第二検出部よりも前記下流側、かつ、前記負荷及び前記燃料電池よりも前記上流側で前記配電線と前記ハイブリッドパワコンとを接続する第二電路に設けられた第二開閉器と、
前記第一開閉器及び前記第二開閉器の動作を制御するとともに、前記ハイブリッドパワコンを介して前記蓄電池の動作を制御する制御部と、
を具備し、
前記蓄電池は、
前記系統電源からの電力及び前記燃料電池からの電力を充電不可能な第一モードに設定され、
蓄電残量が第一の値以下まで減少した場合、前記系統電源からの電力及び前記燃料電池からの電力を充電可能な第二モードに設定されるものであり
、
前記制御部は、
前記蓄電池が前記第一モードに設定されているときに前記蓄電池の前記蓄電残量が前記第一の値以上の値である第三の値以下まで減少した場合、前記第一開閉器を開状態とし、前記第二開閉器を閉状態とするとともに、前記ハイブリッドパワコンを介して前記蓄電池へ充電指示を行う、
電力供給システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記充電指示によって前記蓄電池の前記蓄電残量が前記第三の値よりも大きい第四の値まで増加した場合、前記第一開閉器を閉状態とし、前記第二開閉器を開状態とするとともに、前記充電指示を停止する、
請求項2に記載の電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力を負荷に供給する電力供給システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力を負荷に供給する電力供給システムの技術は公知となっている。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0003】
特許文献1には、太陽光を利用して発電する太陽電池と、水素等の燃料を用いて発電する燃料電池と、電力を充放電可能な蓄電池を具備する電力供給システムが記載されている。当該電力供給システムにおいては、太陽電池及び蓄電池よりも下流側に、分電盤を介して燃料電池が配置されている。
【0004】
ここで、太陽光発電装置から系統電源へ逆潮流される電力(売電される電力)の売電単価と、燃料電池から系統電源へ逆潮流される電力の売電単価とは異なるため、各電力の売電量を区別して把握することが望まれる。各電力の売電量を区別して把握するためには、商用電源(系統電源)と蓄電池との間及び蓄電池と分電盤との間それぞれに売電メーターを配置することが考えられる。
【0005】
しかしながら、蓄電池が燃料電池の上流側(系統電源側)に配置されているため、蓄電池が系統電源からの電力を充電しているときに、燃料電池から電力が逆潮流されている場合、蓄電池は燃料電池からの電力も充電してしまう。そうすると、蓄電池と分電盤との間の売電メーターの検出結果によれば燃料電池から系統電源へ売電されていると認識される場合であっても、実際には売電されておらず(蓄電池に充電されており)、売電メーターの検出結果と実際の状況とが相違することとなる。このような相違により、各売電量を正確に把握することができないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部からの売電量と燃料電池からの売電量とを正確に把握することができる電力供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、系統電源と負荷との間に設けられ、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、前記系統電源と前記負荷との間に設けられ、前記発電部からの電力を充放電可能な蓄電池と、前記発電部及び前記蓄電池よりも前記系統電源からの電力供給方向における下流側で前記負荷に接続された燃料電池と、前記発電部及び前記蓄電池よりも前記系統電源からの電力供給方向における上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な第一検出部と、前記発電部及び前記蓄電池よりも前記下流側、かつ、前記負荷及び前記燃料電池よりも前記上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な第二検出部と、を具備し、前記蓄電池は、前記系統電源からの電力及び前記燃料電池からの電力を充電不可能な第一モードに設定され、蓄電残量が第一の値以下まで減少した場合、前記系統電源からの電力及び前記燃料電池からの電力を充電可能な第二モードに設定されるものであり、当該蓄電池が前記第一モードに設定されているときに前記蓄電残量が前記第一の値よりも大きい第二の値以下まで減少した場合、放電不可能に設定されるものである。
【0010】
請求項2においては、系統電源と負荷との間に設けられ、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部と、前記系統電源と前記負荷との間に設けられ、前記発電部からの電力を充放電可能な蓄電池と、前記発電部及び前記蓄電池よりも前記系統電源からの電力供給方向における下流側で前記負荷に接続された燃料電池と、前記発電部及び前記蓄電池よりも前記系統電源からの電力供給方向における上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な第一検出部と、前記発電部及び前記蓄電池よりも前記下流側、かつ、前記負荷及び前記燃料電池よりも前記上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な第二検出部と、前記発電部と前記蓄電池とを互いに接続するとともに、前記発電部からの電力及び前記蓄電池からの電力を前記系統電源と前記負荷とをつなぐ配電線に出力可能であって、かつ、前記発電部からの電力及び前記配電線を流れる電力を前記蓄電池に出力可能なハイブリッドパワコンと、前記第一検出部よりも前記下流側、かつ、前記第二検出部よりも前記上流側で、前記配電線と前記ハイブリッドパワコンとを接続する第一電路に設けられた第一開閉器と、前記第二検出部よりも前記下流側、かつ、前記負荷及び前記燃料電池よりも前記上流側で前記配電線と前記ハイブリッドパワコンとを接続する第二電路に設けられた第二開閉器と、前記第一開閉器及び前記第二開閉器の動作を制御するとともに、前記ハイブリッドパワコンを介して前記蓄電池の動作を制御する制御部と、を具備し、前記蓄電池は、前記系統電源からの電力及び前記燃料電池からの電力を充電不可能な第一モードに設定され、蓄電残量が第一の値以下まで減少した場合、前記系統電源からの電力及び前記燃料電池からの電力を充電可能な第二モードに設定されるものであり、前記制御部は、前記蓄電池が前記第一モードに設定されているときに前記蓄電池の前記蓄電残量が前記第一の値以上の値である第三の値以下まで減少した場合、前記第一開閉器を開状態とし、前記第二開閉器を閉状態とするとともに、前記ハイブリッドパワコンを介して前記蓄電池へ充電指示を行うものである。
【0012】
請求項3においては、前記制御部は、前記充電指示によって前記蓄電池の前記蓄電残量が前記第三の値よりも大きい第四の値まで増加した場合、前記第一開閉器を閉状態とし、前記第二開閉器を開状態とするとともに、前記充電指示を停止するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0014】
請求項1においては、燃料電池から系統電源側へと流れる電力を蓄電池が充電することがないため、第一検出部及び第二検出部の検出結果によって、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部からの売電量及び燃料電池からの売電量を正確に把握することができる。また、蓄電池が第二モードに切り替わり難くなるため、燃料電池から系統電源側へと流れる電力を蓄電池が充電することを抑制することができる。
【0015】
請求項2においては、燃料電池から系統電源側へと流れる電力を蓄電池が充電することがないため、第一検出部及び第二検出部の検出結果によって、自然エネルギーを利用して発電可能な発電部からの売電量及び燃料電池からの売電量を正確に把握することができる。また、燃料電池から系統電源側へと流れる電力を蓄電池が充電しても、この電力が第二検出部によって検出されてしまうのを防止することができる。このため、発電部からの売電量と燃料電池からの売電量とを正確に把握することができる。
【0017】
請求項3においては、発電部から系統電源へと逆潮流される電力が第二検出部によって検出されてしまうのを防止することができる。このため、発電部からの売電量と燃料電池からの売電量とを正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
【
図2】第一実施形態におけるエコモードの電力の供給態様の一例を示したブロック図。
【
図3】第一実施形態における補充電モードの電力の供給態様の一例を示したブロック図。
【
図4】本発明の第二実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
【
図5】第二実施形態におけるエコモードの電力の供給態様の一例を示したブロック図。
【
図6】第二実施形態における充電指示モードの電力の供給態様の一例を示したブロック図。
【
図7】本発明の第三実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
【
図8】第三実施形態におけるエコモードの電力の供給態様の一例を示したブロック図。
【
図9】第三実施形態における充電指示モードの電力の供給態様の一例を示したブロック図。
【
図10】本発明の第四実施形態に係る電力供給システムの構成を示したブロック図。
【
図11】第四実施形態におけるエコモードの電力の供給態様の一例を示したブロック図。
【
図12】第四実施形態における充電指示モードの電力の供給態様の一例を示したブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、
図1を用いて、本発明の一実施形態に係る電力供給システム1について説明する。なお、本明細書においては、「上流側」及び「下流側」とは、系統電源Kからの電力供給方向を基準とするものとする。
【0020】
図1に示す電力供給システム1は、系統電源Kからの電力や、発電された電力を負荷Hへと供給するものである。電力供給システム1は、住宅等の建物に設けられ、当該建物の負荷H(例えば、住宅の機器等)へと電力を供給する。電力供給システム1は、主として蓄電システム10、分電盤20、燃料電池30、センサ40、売買電メーター50及び売電メーター60を具備する。
【0021】
蓄電システム10は、電力を蓄電したり、負荷Hへと供給するものである。蓄電システム10は、系統電源Kと負荷Hとの間に設けられる。蓄電システム10は、太陽光発電部11、蓄電池12及びハイブリッドパワコン13を具備する。
【0022】
太陽光発電部11は、太陽光を利用して発電する装置である。太陽光発電部11は、太陽電池パネル等により構成される。太陽光発電部11は、例えば、住宅の屋根の上等の日当たりの良い場所に設置される。
【0023】
蓄電池12は、電力を充電可能に構成されるものである。蓄電池12は、例えば、リチウムイオン電池により構成される。蓄電池12は、後述するハイブリッドパワコン13を介して太陽光発電部11と接続される。
【0024】
ハイブリッドパワコン13は、電力を適宜変換するもの(ハイブリッドパワーコンディショナ)である。ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11で発電された電力及び蓄電池12から放電された電力を配電線L(負荷H)に出力可能であると共に、配電線Lを流れる電力(系統電源Kからの電力及び燃料電池で発電された電力)を蓄電池12に出力可能に構成される。また、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11及び蓄電池12の性能や運転状態に関する情報を取得可能に構成される。ハイブリッドパワコン13は、系統電源Kと負荷H(分電盤20)とを繋ぐ配電線Lの中途部(接続点P)に対して、電路A1を介して接続される。蓄電システム10のハイブリッドパワコン13は、後述するセンサ40の検出結果等に基づいて、放電(出力)する電力を調整する負荷追従運転を行うことができる。
【0025】
分電盤20は、負荷Hへと電力を分配するものである。分電盤20は、蓄電システム10(接続点P)よりも下流側に設けられ、各負荷Hと接続される。なお、
図1においては1つの負荷Hしか示していないが、分電盤20は複数の負荷に接続され、各負荷に電力を分配する。分電盤20は、系統電源Kからの電力、蓄電池12から放電された電力及び後述する燃料電池30からの電力を負荷Hへと供給する。
【0026】
燃料電池30は、水素等のガス燃料を用いて発電する装置である。燃料電池30は、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)や制御部等により構成される。燃料電池30は、電路A2を介して分電盤20に接続され、分電盤20を介して負荷Hに接続される。
【0027】
センサ40は、配電線Lの中途部に設けられる。より詳細には、センサ40は、蓄電システム10(接続点P)よりも上流側(接続点Pの直ぐ上流側)に設けられる。センサ40は、当該センサ40が設けられた箇所を流れる電力(上流側へと流れる電力及び下流側へと流れる電力)の電圧(供給電圧)及び電流(供給電流)を検出する。
【0028】
売買電メーター50は、当該売買電メーター50が設けられた箇所(配電線Lの中途部)において上流側へ流れる電力の量、すなわち系統電源K(電力会社)への売電量を計測するものである。また、売買電メーター50は、当該売買電メーター50が設けられた箇所において下流側へと流れる電力の量、すなわち系統電源Kからの買電量を計測するものである。売買電メーター50は、蓄電システム10よりも上流側に設けられる。より詳細には、売買電メーター50は、系統電源Kとセンサ40との間に設けられる。
【0029】
このように配置された売買電メーター50によって、蓄電システム10から系統電源Kへと逆潮流される電力の量(太陽光発電部11からの売電量)と、燃料電池30から系統電源Kへと逆潮流される電力の量(燃料電池30からの売電量)との合計の電力量(売電量)を計測することができる。
【0030】
売電メーター60は、当該売電メーター60が設けられた箇所(配電線Lの中途部)において上流側へと流れる電力の量を計測するものである。売電メーター60は、蓄電システム10よりも下流側、かつ、負荷H及び燃料電池30よりも上流側に設けられる。より詳細には、売電メーター60は、蓄電システム10(接続点P)と分電盤20との間に設けられる。
【0031】
このように配置された売電メーター60によって、燃料電池30から系統電源Kへと逆潮流される電力の量(燃料電池30からの売電量)を計測することができる。また、売買電メーター50の検出値と売電メーター60の検出値との差分により、蓄電システム10(太陽光発電部11)からの売電量を算出することができる。但し、燃料電池30から上流側(系統電源K側)へと流れる電力を蓄電池12が充電した場合には、売電メーター60の検出値は、燃料電池30からの売電量を示すものとはならない。この点について詳細は後述する。
【0032】
次に、電力供給システム1における電力の供給態様(モード)について説明する。
【0033】
電力供給システム1は、電力の供給態様(モード)としてエコモード(第一モード)及び補充電モード(第二モード)を有する。
【0034】
エコモードは、太陽光発電部11で発電した電力の負荷Hでの消費(負荷Hで消費することで省エネ効果を得ること)を目的としたモードである。エコモードにおいては、ハイブリッドパワコン13は、センサ40の検出結果に基づいて、負荷追従運転による蓄電池12の充放電を行う。
【0035】
具体的には、ハイブリッドパワコン13は、センサ40が下流側(分電盤20側)へ流れる電力を検出した場合に、当該検出結果に基づいて蓄電池12の放電を行う。また、ハイブリッドパワコン13は、センサ40が上流側(系統電源K側)へ流れる電力を検出した場合に、当該検出結果に基づいて蓄電池12の充電を行う。ハイブリッドパワコン13は、センサ40が下流側(分電盤20側)及び上流側(系統電源K側)へ流れる電力を検出しなかった場合には、蓄電池12の充放電を行わない(待機する)。
【0036】
こうして、蓄電システム10において、センサ40が下流側(分電盤20側)へ流れる電力を検出した場合には、当該検出結果に基づいて、蓄電池12から放電された電力が配電線Lへと流される。この場合、太陽光発電部11で発電された電力があれば、当該電力も配電線Lへと流される。こうして、配電線Lへ流された電力は負荷H側へ流れる。
【0037】
また、センサ40が上流側(系統電源K側)へ流れる電力を検出すると、当該検出結果に基づいて、太陽光発電部11で発電された電力が蓄電池12に充電される。このとき、ハイブリッドパワコン13は、配電線Lを流れる電力を蓄電池12に充電することはない。すなわち、ハイブリッドパワコン13は、系統電源Kからの電力を蓄電池12に充電することはなく、また燃料電池30から上流側(系統電源K側)へ流れる電力を蓄電池12に充電することもない。太陽光発電部11で発電された電力のうち、蓄電池12で充電しきれなかった電力は、系統電源Kに逆潮流される。
【0038】
補充電モードは、蓄電池12の性能維持等を目的としたモードである。補充電モードにおいては、蓄電池12の蓄電残量が所定値x1(第一の値)以下まで減少した場合、ハイブリッドパワコン13は、蓄電池12に充電を行う。ここで、「蓄電残量」とは、蓄電池12に蓄電された電力の残量を示すものであり、本明細書においては、蓄電池12の最大容量に対する蓄電量の割合で表すものとする。また、「所定値x1」は、適宜の値に設定され、例えば5%に設定される。
【0039】
補充電モードにおいて、蓄電池12は所定の充電電力(例えば最大充電電力)で充電を行う。ここで、「最大充電電力」とは、蓄電池12が単位時間当たりに充電可能な最大の電力量を指す。本実施形態において、蓄電池12の最大充電電力は2000Wであるものとする。
【0040】
補充電モードにおいては、ハイブリッドパワコン13は、太陽光発電部11、系統電源K及び燃料電池30のいずれからも、蓄電池12に充電することができる。太陽光発電部11で発電された電力があれば、ハイブリッドパワコン13は、当該電力を蓄電池12に充電する。それでもなお最大充電電力(2000W)に満たない場合、燃料電池30で発電された電力があれば、ハイブリッドパワコン13は、当該電力を蓄電池12に充電する。それでもなお最大充電電力(2000W)に満たない場合、ハイブリッドパワコン13は、系統電源Kからの電力を蓄電池12に充電する。
【0041】
本実施形態に係る電力供給システム1において、蓄電池12(ハイブリッドパワコン13)のモードは、エコモードしか当該システムのユーザーによって選択できないように設定されている。そして、蓄電池12の蓄電残量が所定値x1(5%)以下となった場合にのみ、モードが強制的に補充電モードに切り替えられる。補充電モードにおいて、蓄電池12の蓄電残量が所定値(例えば30%)まで増加すると、蓄電池12のモードは再びエコモードに切り替えられる。
【0042】
以下では、
図2を用いて、蓄電池12がエコモードに設定されている場合における、電力供給システム1による電力の供給態様について具体的に説明する。
【0043】
図2においては、負荷Hの消費電力の合計が500W、太陽光発電部11の発電電力が0W(発電していない状態)、燃料電池30の発電電力が700Wであるとする。
【0044】
このとき、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの一部の電力(500W)は、分電盤20を介して負荷Hに供給される。そして、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの残りの電力(200W)は、蓄電池12に充電されることなく、系統電源Kへと逆潮流される。この電力は、売電メーター60及び売買電メーター50を通過する。よって、売電メーター60の検出値及び売買電メーター50の検出値は、それぞれ200W(売電)となる。
【0045】
よって、売電メーター60の検出値により、燃料電池30からの売電量は200Wであることを把握することができる。また、売買電メーター50の検出値により、太陽光発電部11からの売電量と燃料電池30からの売電量との合計の売電量が200Wであることを把握することができる。したがって、売買電メーター50の検出値(200W)と売電メーター60の検出値(200W)との差分により、太陽光発電部11からの売電量は0Wであることを算出(把握)することができる。
【0046】
このように、エコモードにおいては、燃料電池30から上流側(系統電源K側)へと流れる電力が蓄電池12によって充電されることがない。このため、売電メーター60の検出値によれば燃料電池30から系統電源Kへと売電されていると認識される場合であっても、実際には売電されていない(蓄電池12に充電されている)といった事態が生じない。このため、売買電メーター50及び売電メーター60の検出結果によって太陽光発電装置からの売電量及び燃料電池からの売電量を正確に把握することができる。
【0047】
次に、
図3を用いて、蓄電池12が補充電モードに設定されている場合における、電力供給システム1による電力の供給態様について具体的に説明する。
【0048】
図3においては、負荷Hの消費電力の合計が500W、太陽光発電部11の発電電力が0W(発電していない状態)、燃料電池30の発電電力が700W、蓄電池12の充電電力が2000Wであるとする。
【0049】
このとき、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの一部の電力(500W)は、分電盤20を介して負荷Hに供給される。そして、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの残りの電力(200W)は、上流側(系統電源K側)へと流される。
【0050】
蓄電池12は、この燃料電池30からの電力(200W)を充電する。それでもなお最大充電電力(2000W)には満たないので、蓄電池12は、最大充電電力(2000W)に対する不足分の電力(1800W)を系統電源Kから購入し、当該電力を充電する。
【0051】
このとき、売買電メーター50の検出値は1800W(買電)となり、実際の状況と一致する。一方、売電メーター60の検出値は200W(売電)となるが、実際には、燃料電池30からの電力(200W)は、系統電源Kへと逆潮流されておらず(売電されておらず)、蓄電池12に充電されている。
【0052】
このように、補充電モードにおいては、売電メーター60の検出結果と実際の状況とが相違することとなる。このような相違により、各売電量を正確に把握することができないおそれがある。
【0053】
そこで、本実施形態に係る電力供給システム1においては、蓄電池12がエコモードに設定されているときに、蓄電残量が所定値x2(第二の値)以下まで減少した場合、蓄電池12は放電ができなくなるように設定される。ここで、「所定値x2」は、所定値x1(エコモードから補充電モードに切り替わる際の閾値)よりも大きい適宜の値に設定され、例えば30%に設定される。
【0054】
これにより、蓄電池12の蓄電残量の減少を抑制することができるため、蓄電残量が所定値x1(5%)以下となるのを抑制することができ、ひいては、蓄電池12がエコモードから補充電モードに切り替わり難くなる。エコモードでは、燃料電池30から上流側(系統電源K側)へと流れる電力が蓄電池12によって充電されることがないため、売買電メーター50及び売電メーター60の検出結果と実際の状況(電力の流れ)との相違が生じることを防止することができる。
【0055】
以上の如く、本実施形態に係る電力供給システム1は、系統電源Kと負荷Hとの間に設けられ、自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部11(発電部)と、前記系統電源Kと前記負荷Hとの間に設けられ、前記太陽光発電部11からの電力を充放電可能な蓄電池12と、前記太陽光発電部11及び前記蓄電池12よりも前記系統電源Kからの電力供給方向における下流側で前記負荷Hに接続された燃料電池30と、前記太陽光発電部11及び前記蓄電池12よりも前記系統電源Kからの電力供給方向における上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な売買電メーター50(第一検出部)と、前記太陽光発電部11及び前記蓄電池12よりも前記下流側、かつ、前記負荷H及び前記燃料電池30よりも前記上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な売電メーター60(第二検出部)と、を具備し、前記蓄電池12は、前記系統電源Kからの電力及び前記燃料電池30からの電力を充電不可能なエコモード(第一モード)に設定されるものである。
このように構成することにより、燃料電池30から系統電源K側へと流れる電力を蓄電池12が充電することがないため、売買電メーター50及び売電メーター60の検出結果によって太陽光発電部11からの売電量及び燃料電池30からの売電量を正確に把握することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る電力供給システム1は、系統電源Kと負荷Hとの間に設けられ、自然エネルギーを利用して発電可能な太陽光発電部11(発電部)と、前記系統電源Kと前記負荷Hとの間に設けられ、前記太陽光発電部11からの電力を充放電可能な蓄電池12と、前記太陽光発電部11及び前記蓄電池12よりも前記系統電源Kからの電力供給方向における下流側に設けられ、前記負荷Hへと電力を分配する分電盤20と、前記太陽光発電部11及び前記蓄電池12よりも前記下流側で前記分電盤20に接続された燃料電池30と、前記太陽光発電部11及び前記蓄電池12よりも前記系統電源Kからの電力供給方向における上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な売買電メーター50(第一検出部)と、前記太陽光発電部11及び前記蓄電池12よりも前記下流側、かつ、前記分電盤20及び前記燃料電池30よりも前記上流側に設けられ、少なくとも前記上流側へと流れる電力を検出可能な売電メーター60(第二検出部)と、を具備し、前記蓄電池12は、前記系統電源Kからの電力及び前記燃料電池30からの電力を充電不可能なエコモード(第一モード)に設定されるものである。
このように構成することにより、燃料電池30から系統電源K側へと流れる電力を蓄電池12が充電することがないため、売買電メーター50及び売電メーター60の検出結果によって太陽光発電部11からの売電量及び燃料電池30からの売電量を正確に把握することができる。
【0057】
また、前記蓄電池12は、蓄電残量が所定値x1(第一の値、例えば5%)以下まで減少した場合、前記系統電源Kからの電力及び前記燃料電池30からの電力を充電可能な補充電モード(第二モード)に設定されるものであり、当該蓄電池12が前記エコモードに設定されているときに前記蓄電残量が前記所定値x1よりも大きい所定値x2(第二の値、例えば30%)以下まで減少した場合、放電不可能に設定されるものである。
このように構成することにより、蓄電池12が補充電モードに切り替わり難くなるため、燃料電池30から系統電源K側へと流れる電力を蓄電池12が充電することを抑制することができる。
【0058】
なお、本実施形態に係る太陽光発電部11は、発電部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る売買電メーター50は、第一検出部の実施の一形態である。
また、本実施形態に係る売電メーター60は、第二検出部の実施の一形態である。
【0059】
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0060】
例えば、本実施形態においては、発電部は太陽光を利用して発電するもの(太陽光発電部11)としたが、他の自然エネルギー(例えば、水力や風力)を利用して発電するものであってもよい。
【0061】
また、本実施形態においては、第一検出部として売買電メーター50を用いるものとしたが、第一検出部は、上流側(系統電源K側)へと流れる電力の量(売電量)を検出可能であればよく、下流側(負荷H側)へと流れる電力の量(買電量)については検出可能でなくてもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、第二検出部として売電メーター60を用いるものとしたが、第二検出部は、上流側(系統電源K側)へと流れる電力の量(売電量)に加えて、下流側(負荷H側)へと流れる電力の量(買電量)も検出可能なもの(売買電メーター)であってもよい。
【0063】
また、本実施形態においては、太陽光発電部11及び蓄電池12はともにハイブリッドパワコン13を介して配電線Lに接続されるものとしたが、太陽光発電部11及び蓄電池12それぞれが別のパワコンを介して配電線Lに接続されるものであってもよい。
【0064】
次に、
図4を用いて、本発明の第二実施形態に係る電力供給システム2について説明する。
【0065】
第二実施形態に係る電力供給システム2が、第一実施形態に係る電力供給システム1と異なる主な点は、さらに第一開閉器70、電路A3、第二開閉器80及びEMS90を具備する点である。よって以下では、第二実施形態に係る電力供給システム2のうち第一実施形態に係る電力供給システム1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0066】
第一開閉器70は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第一開閉器70は、センサ40と売電メーター60との間で配電線Lとハイブリッドパワコン13とを接続する電路A1に設けられる。
【0067】
電路A3は、売電メーター60よりも下流側、かつ、負荷H及び燃料電池30よりも上流側で配電線Lとハイブリッドパワコン13とを接続するように形成される。より詳細には、電路A3の一端は分電盤20に接続され、電路A3の他端は第一開閉器70とハイブリッドパワコン13との間で電路A1に接続される。
【0068】
第二開閉器80は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第二開閉器80は、電路A3に設けられる。
【0069】
EMS90は、電力供給システム1の動作を管理するエネルギーマネジメントシステム(Energy Management System)である。EMS90は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部や、タッチパネル等の入出力部等を具備する。EMS90の記憶部には、電力供給システム1の動作を制御する際に用いられる種々の情報やプログラム等が予め記憶される。EMS90の演算処理部は、前記プログラムを実行して前記種々の情報を用いた所定の演算処理等を行うことで、電力供給システム1を動作させることができる。
【0070】
EMS90は、ハイブリッドパワコン13と電気的に接続される。EMS90は、所定の信号をハイブリッドパワコン13に送信し、蓄電池12の運転(例えば、蓄電池12の充放電等)を制御することができる。また、EMS90は、ハイブリッドパワコン13から所定の信号が入力可能に構成され、蓄電池12の蓄電残量を取得することができる。
【0071】
また、EMS90は、第一開閉器70及び第二開閉器80と電気的に接続される。EMS90は、第一開閉器70及び第二開閉器80の動作(開閉)を制御することができる。
【0072】
エコモードにおいては、EMS90は、第一開閉器70を閉状態とし、第二開閉器80を開状態とする(
図4参照)。これにより、電路A1においては電力の流通が可能となり、電路A3においては電力の流通は不可能となる。
【0073】
第二実施形態に係る電力供給システム2は、電力の供給態様(モード)としてエコモード及び補充電モードに加えて、充電指示モードを有する。
【0074】
充電指示モードは、補充電モードに切り替わる前に、EMS90からの充電指示により蓄電池12に充電を行うモードである。
【0075】
蓄電池12がエコ一モードに設定されているときに、蓄電池12の蓄電残量が所定値x3(第三の値)以下まで減少した場合、蓄電池12のモードはエコモードから充電指示モードに切り替えられる。充電指示モードにおいて、EMS90は、第一開閉器70を開状態に切り替え、第二開閉器80を閉状態に切り替える。ここで、「所定値x3」は、所定値x1(エコモードから補充電モードに切り替わる際の閾値)以上の適宜の値に設定され、例えば10%に設定される。そして、EMS90は、ハイブリッドパワコン13を介して蓄電池12へ充電指示を行う。充電指示を受けた蓄電池12は、最大充電電力(2000W)で充電を行う。
【0076】
充電指示によって蓄電池12の蓄電残量が所定値x4(第四の値)まで増加した場合、蓄電池12のモードは充電指示モードからエコモードに切り替えられる。エコモードにおいて、EMS90は、第一開閉器70を閉状態に切り替え、第二開閉器80を開状態に切り替える。そして、EMS90は、前記充電指示を停止する。ここで、「所定値x4」は、所定値x3(エコモードから充電指示モードに切り替わる際の閾値)よりも大きい適宜の値に設定され、例えば30%に設定される。
【0077】
以下では、
図5を用いて、蓄電池12がエコモードに設定されている場合における、電力供給システム2による電力の供給態様について具体的に説明する。
【0078】
図5においては、負荷Hの消費電力の合計が500W、太陽光発電部11の発電電力が0W(発電していない状態)、燃料電池30の発電電力が700Wであるとする。
【0079】
上述の如く、エコモードにおいては、電路A1においては電力の流通が可能であり、電路A3においては電力の流通は不可能となっている。したがって、電力の流れは第一実施形態と変わることはない。すなわち、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの一部の電力(500W)は、分電盤20を介して負荷Hに供給される。そして、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの残りの電力(200W)は、蓄電池12に充電されることなく、系統電源Kへと逆潮流される。
【0080】
負荷Hの消費電力が一時的に増加する等の理由により、蓄電池12の蓄電残量が所定値x3(10%)以下となった場合、蓄電池12のモードはエコモードから充電指示モードに切り替えられる。
【0081】
以下では、
図6を用いて、蓄電池12が充電指示モードに設定されている場合における、電力供給システム2による電力の供給態様について具体的に説明する。
【0082】
図6においては、負荷Hの消費電力の合計が500W、太陽光発電部11の発電電力が0W(発電していない状態)、燃料電池30の発電電力が700W、蓄電池12の充電電力が2000Wであるとする。
【0083】
充電指示モードにおいて、EMS90は、第一開閉器70を開状態に切り替え、第二開閉器80を閉状態に切り替える。そして、EMS90は、ハイブリッドパワコン13を介して蓄電池12へ充電指示を行う。
【0084】
充電指示を受けた蓄電池12は、最大充電電力(2000W)で充電を行う。
図6に示すように、蓄電池12は、燃料電池30からの電力(200W)を充電する。それでもなお最大充電電力(2000W)には満たないので、蓄電池12は、最大充電電力(2000W)に対する不足分の電力(1800W)を系統電源Kから購入し、当該電力を充電する。
【0085】
このとき、第一開閉器70が開状態、第二開閉器80が閉状態であるので、燃料電池30からの電力(200W)及び系統電源Kからの電力(1800W)は、電路A3を介して蓄電池12に供給される。このため、燃料電池30からの電力(200W)は、売電メーター60を通過することなく、蓄電池12に充電される。このため、売電メーター60の検出値は、0Wとなり、実際の状況と一致する。
【0086】
このように、蓄電池12の蓄電残量が所定値x3(10%)以下となると、第一開閉器70及び第二開閉器80を切り替え、蓄電池12へ充電指示を行うことにより、エコモードから補充電モードに切り替えられるのを防止することができる。また、充電指示により、燃料電池30から上流側(系統電源K側)へと流れる電力を蓄電池12が充電しても、この電力は売電メーター60によって検出されない。つまり、燃料電池30からの電力が実際に系統電源Kに逆潮流された場合にのみ、売電メーター60が売電を検知する。このため、燃料電池30からの売電量を正確に把握することができる。
【0087】
充電指示モードにおいて、充電指示によって蓄電池12の蓄電残量が所定値x4(30%)まで増加すると、蓄電池12のモードは充電指示モードからエコモードに切り替えられる。エコモードにおいて、EMS90は、第一開閉器70を閉状態に切り替え、第二開閉器80を開状態に切り替える(
図5の状態に戻す)。そして、EMS90は、前記充電指示を停止する。
【0088】
これにより、太陽光発電部11から系統電源Kへと逆潮流される電力がある場合、当該電力が売電メーター60によって検出されてしまうのを防ぐことができる。より詳細には、充電指示を停止する際、第一開閉器70が開状態、第二開閉器80が閉状態(
図6に示す状態)のままであると、太陽光発電部11から系統電源Kへと逆潮流される電力は、電路A3を介して系統電源Kへと流れるため、売電メーター60によって検出されてしまう。売電メーター60は燃料電池30からの電力の売電量を検出するものであるため、太陽光発電部11からの売電量も検知しまうと、各電力の正確な売電量が把握できなくなる。
【0089】
これに対して、本実施形態においては、充電指示を停止する際、第一開閉器70を閉状態、第二開閉器80を開状態に戻す。このため、太陽光発電部11から系統電源Kへと逆潮流される電力は、電路A1を介して系統電源Kへと流れ、売電メーター60によって検出されることはない。したがって、太陽光発電部11からの売電量と燃料電池30からの売電量とを正確に把握することができる。
【0090】
以上の如く、第二実施形態に係る電力供給システム2において、前記蓄電池12は、蓄電残量が所定値x1(第一の値、例えば5%)以下まで減少した場合、前記系統電源Kからの電力及び前記燃料電池30からの電力を充電可能な補充電モード(第二モード)に設定されるものであり、前記電力供給システム2は、前記太陽光発電部11と前記蓄電池12とを互いに接続するとともに、前記太陽光発電部11からの電力及び前記蓄電池12からの電力を前記系統電源Kと前記負荷Hとをつなぐ配電線Lに出力可能であって、かつ、前記太陽光発電部11からの電力及び前記配電線Lを流れる電力を前記蓄電池12に出力可能なハイブリッドパワコン13と、前記売買電メーター50よりも前記下流側、かつ、前記売電メーター60よりも前記上流側で、前記配電線Lと前記ハイブリッドパワコン13とを接続する電路A1(第一電路)に設けられた第一開閉器70と、前記売買電メーターよりも前記下流側、かつ、前記負荷H及び前記燃料電池30よりも前記上流側で前記配電線Lと前記ハイブリッドパワコン13とを接続する電路A3(第二電路)に設けられた第二開閉器80と、前記第一開閉器70及び前記第二開閉器80の動作を制御するとともに、前記ハイブリッドパワコン13を介して前記蓄電池12の動作を制御するEMS90(制御部)と、を具備し、前記EMS90は、前記蓄電池12が前記エコモードに設定されているときに前記蓄電池12の前記蓄電残量が前記所定値x1(5%)以上の値である所定値x3(第三の値、例えば10%)以下まで減少した場合、前記第一開閉器70を開状態とし、前記第二開閉器80を閉状態とするとともに、前記ハイブリッドパワコン13を介して前記蓄電池12へ充電指示を行うものである。
このように構成することにより、燃料電池30から系統電源K側へと流れる電力を蓄電池12が充電しても、この電力が売電メーター60によって検出されてしまうのを防止することができる。このため、太陽光発電部11からの売電量と燃料電池30からの売電量とを正確に把握することができる。
【0091】
また、前記EMS90は、前記充電指示によって前記蓄電池12の前記蓄電残量が前記第三の値よりも大きい所定値x4(第四の値、例えば30%)まで増加した場合、前記第一開閉器70を閉状態とし、前記第二開閉器80を開状態とするとともに、前記充電指示を停止するものである。
このように構成することにより、太陽光発電部11から系統電源Kへと逆潮流される電力が売電メーター60によって検出されてしまうのを防止することができる。このため、太陽光発電部11からの売電量と燃料電池30からの売電量とを正確に把握することができる。
【0092】
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0093】
例えば、第二実施形態においては、EMS90による充電指示があった場合、蓄電池12は最大充電電力で充電を行うものとしたが、充電電力(単位時間当たりの充電量)は任意の値とすることができる(後述する第三実施形態及び第四実施形態も同様)。
【0094】
次に、
図7を用いて、本発明の第三実施形態に係る電力供給システム3について説明する。
【0095】
第三実施形態に係る電力供給システム3が、第一実施形態に係る電力供給システム1と異なる主な点は、さらに第一開閉器100及びEMS90を具備する点である。よって以下では、第三実施形態に係る電力供給システム3のうち第一実施形態に係る電力供給システム1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0096】
第一開閉器100は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第一開閉器100は、分電盤20と燃料電池30とを接続する電路A2に設けられる。
【0097】
EMS90の構成や機能については、第二実施形態で説明したとおりである。EMS90は、第一開閉器100と電気的に接続される。EMS90は、第一開閉器100の動作(開閉)を制御することができる。
【0098】
エコモードにおいては、EMS90は、第一開閉器100を閉状態とする(
図7参照)。これにより、電路A2において電力の流通が可能となる。
【0099】
第三実施形態に係る電力供給システム3は、第二実施形態と同様に、電力の供給態様(モード)としてエコモード及び補充電モードに加えて、充電指示モードを有する。
【0100】
蓄電池12がエコ一モードに設定されているときに、蓄電池12の蓄電残量が所定値x5(第五の値)以下まで減少した場合、蓄電池12のモードはエコモードから充電指示モードに切り替えられる。充電指示モードにおいて、EMS90は、第一開閉器100を開状態に切り替える。ここで、「所定値x5」は、所定値x1(エコモードから補充電モードに切り替わる際の閾値)以上の適宜の値に設定され、例えば10%に設定される。そして、EMS90は、ハイブリッドパワコン13を介して蓄電池12へ充電指示を行う。充電指示を受けた蓄電池12は、最大充電電力(2000W)で充電を行う。
【0101】
充電指示によって蓄電池12の蓄電残量が所定値x6(第六の値)まで増加した場合、蓄電池12のモードは充電指示モードからエコモードに切り替えられる。エコモードにおいて、EMS90は、第一開閉器100を閉状態に切り替える。そして、EMS90は、前記充電指示を停止する。ここで、「所定値x6」は、所定値x5(エコモードから充電指示モードに切り替わる際の閾値)よりも大きい適宜の値に設定され、例えば30%に設定される。
【0102】
以下では、
図8を用いて、蓄電池12がエコモードに設定されている場合における、電力供給システム3による電力の供給態様について具体的に説明する。
【0103】
図8においては、負荷Hの消費電力の合計が500W、太陽光発電部11の発電電力が0W(発電していない状態)、燃料電池30の発電電力が700Wであるとする。
【0104】
上述の如く、エコモードにおいては、電路A2においては電力の流通が可能となっている。したがって、電力の流れは第一実施形態と変わることはない。すなわち、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの一部の電力(500W)は、分電盤20を介して負荷Hに供給される。そして、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの残りの電力(200W)は、蓄電池12に充電されることなく、系統電源Kへと逆潮流される。
【0105】
負荷Hの消費電力が一時的に増加する等の理由により、蓄電池12の蓄電残量が所定値x5(10%)以下となった場合、蓄電池12のモードはエコモードから充電指示モードに切り替えられる。
【0106】
以下では、
図9を用いて、蓄電池12が充電指示モードに設定されている場合における、電力供給システム3による電力の供給態様について具体的に説明する。
【0107】
図9においては、負荷Hの消費電力の合計が500W、太陽光発電部11の発電電力が0W(発電していない状態)、燃料電池30の発電電力が700W、蓄電池12の充電電力が2000Wであるとする。
【0108】
充電指示モードにおいて、EMS90は、第一開閉器100を開状態に切り替える。そして、EMS90は、ハイブリッドパワコン13を介して蓄電池12へ充電指示を行う。
【0109】
第一開閉器100が開状態であることにより、電路A2においては電力の流通が不可能となっている。このため、蓄電池12が充電指示を受けたとしても、燃料電池30からの電力が系統電源Kに逆潮流されることはない。また、燃料電池30からの電力は売電メーター60を通過しないため、売電メーター60の検出値は0Wとなる。よって、売電メーター60の検出値(0W)は、売電量が0であるという実際の状況と一致する。
図9に示すように、蓄電池12は、系統電源Kからの電力(2000W)を充電する。また、系統電源Kからの電力(500W)が負荷Hに供給される。
【0110】
このように、蓄電池12の蓄電残量が所定値x5(10%)以下となると、第一開閉器100を切り替え、蓄電池12へ充電指示を行うことにより、エコモードから補充電モードに切り替えられるのを防止することができる。また、充電指示により、蓄電池12が充電指示を受けても、第一開閉器100が開状態とされることにより、燃料電池30からの電力は上流側(系統電源K側)へと流れることはない。よって、燃料電池30から上流側(系統電源K側)へと流れる電力が売電メーター60によって検出されることもない。したがって、売電メーター60の検出結果と実際の状況との相違が生じることを防止できる。
【0111】
充電指示モードにおいて、充電指示によって蓄電池12の蓄電残量が所定値x6(30%)まで増加すると、蓄電池12のモードは充電指示モードからエコモードに切り替えられる。エコモードにおいて、EMS90は、第一開閉器100を閉状態に切り替える(
図8の状態に戻す)。そして、EMS90は、前記充電指示を停止する。
【0112】
以上の如く、第三実施形態に係る電力供給システム3において、前記蓄電池12は、蓄電残量が所定値x1(第一の値、例えば5%)以下まで減少した場合、前記系統電源Kからの電力及び前記燃料電池30からの電力を充電可能な補充電モード(第二モード)に設定されるものであり、前記電力供給システム3は、前記太陽光発電部11と前記蓄電池12とを互いに接続するとともに、前記太陽光発電部11からの電力及び前記蓄電池12からの電力を前記系統電源Kと前記負荷Hとをつなぐ配電線Lに出力可能であって、かつ、前記太陽光発電部11からの電力及び前記配電線Lを流れる電力を前記蓄電池12に出力可能なハイブリッドパワコン13と、前記分電盤20と前記燃料電池30とを接続する電路A2(第一電路)に設けられた第一開閉器100と、前記第一開閉器100の動作を制御するとともに、前記ハイブリッドパワコン13を介して前記蓄電池12の動作を制御するEMS90(制御部)と、を具備し、前記EMS90は、前記蓄電池12が前記エコモードに設定されている場合、前記第一開閉器100を閉状態とし、前記蓄電池12が前記エコモードに設定されているときに前記蓄電池12の前記蓄電残量が前記所定値x1以上の値である所定値x5(第五の値、例えば10%)以下まで減少した場合、前記第一開閉器100を開状態とするとともに、前記ハイブリッドパワコン13を介して前記蓄電池12へ充電指示を行うものである。
このように構成することにより、 燃料電池30から系統電源K側へと電力が流れることはないため、蓄電池12は充電を行っても燃料電池30からの電力を充電を行うことはない。このため、太陽光発電部11からの売電量及び燃料電池30からの売電量を正確に把握することができる。
【0113】
次に、
図10を用いて、本発明の第四実施形態に係る電力供給システム4について説明する。
【0114】
第四実施形態に係る電力供給システム4が、第三実施形態に係る電力供給システム3と異なる主な点は、さらに第一特定回路110、第二特定回路120、停電時回路130、電路A4、第二開閉器140、電路A5及び第三開閉器150を具備する点である。よって以下では、第四実施形態に係る電力供給システム4のうち第三実施形態に係る電力供給システム3と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0115】
第一特定回路110は、適宜の電気製品等(電力負荷)へと電力を供給するものである。第一特定回路110はハイブリッドパワコン13に接続され、当該ハイブリッドパワコン13を介して供給される電力を受け取る。第一特定回路110には、住宅等の建物に設けられた電力負荷のうち、停電発生時においても電力が供給されることが好ましいもの(重要負荷、例えば冷蔵庫、リビングのコンセント等)が接続される。
【0116】
第二特定回路120は、適宜の電気製品等(電力負荷)へと電力を供給するものである。第二特定回路120はハイブリッドパワコン13に接続され、当該ハイブリッドパワコン13を介して供給される電力を受け取る。第二特定回路120には、住宅等の建物に設けられた電力負荷のうち、停電発生時においても電力が供給されることが好ましいものが接続される。
【0117】
第一特定回路110及び第二特定回路120は、ともにハイブリッドパワコン13を介して分電盤20に接続される。通常時(非停電時)には、分電盤20及びハイブリッドパワコン13を介して系統電源Kからの電力を第一特定回路110及び第二特定回路120に供給可能である。負荷を第一特定回路110又は第二特定回路120のいずれに分類するかは、適宜の基準(例えば消費電力)によって行われる。
【0118】
停電時回路130は、適宜の電気製品等(電力負荷)へと電力を供給するものである。停電時回路130は燃料電池30に接続され、当該燃料電池30を介して供給される電力を受け取る。停電時回路130には、住宅等の建物に設けられた電力負荷のうち、停電発生時において電力が供給されることが好ましいもの(コンセント等)が接続される。停電時回路130は、分電盤20には接続されていない。
【0119】
第四実施形態においては、第一特定回路110とハイブリッドパワコン13とを接続するように電路A4が配置される。
【0120】
第二開閉器140は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第二開閉器140は、電路A4に設けられる。
【0121】
第四実施形態においては、第一特定回路110と燃料電池30とを接続するように電路A5が配置される。より詳細には、電路A5の一端は燃料電池30に接続され、電路A5の他端は第二開閉器140と第一特定回路110との間で電路A4に接続される。
【0122】
第三開閉器150は、電力の流通の可否を切り替えるものである。第三開閉器150は、電路A5に設けられる。
【0123】
第四実施形態において、EMS90は、第一開閉器100、第二開閉器140及び第三開閉器150と電気的に接続される。EMS90は、第一開閉器100、第二開閉器140及び第三開閉器150の動作(開閉)を制御することができる。
【0124】
第四実施形態において、燃料電池30は、運転モードとして、連系運転モード及び自立運転モードを有する。
【0125】
連系運転モードは、系統電源Kと連系して運転を行うモードである。燃料電池30は、通常(非停電時)、連系運転モードに設定される。連系運転モードにおいて、燃料電池30は、電路A2を介して電力を出力することができる。
【0126】
自立運転モードは、停電発生時に系統電源Kから独立して自立運転可能なモードである。燃料電池30は、停電の発生を検知した場合、自立運転モードに設定される。自立運転モードにおいて、燃料電池30は、電路A5を介して電力を出力することができる。
【0127】
第四実施形態において、蓄電池12がエコモードに設定されている場合、EMS90は、第一開閉器100を閉状態とし、第二開閉器140を閉状態とし、第三開閉器150を開状態とする(
図10参照)。これにより、電路A2及び電路A4においては電力の流通が可能となり、電路A5においては電力の流通は不可能となる。
【0128】
第四実施形態に係る電力供給システム4は、第二実施形態及び第三実施形態と同様に、電力の供給態様(モード)としてエコモード及び補充電モードに加えて、充電指示モードを有する。
【0129】
第三実施形態と同様に、蓄電池12がエコモードに設定されているときに、蓄電池12の蓄電残量が所定値x5(10%)以下まで減少した場合、蓄電池12のモードはエコモードから充電指示モードに切り替えられる。充電指示モードにおいて、EMS90は、第一開閉器100を開状態、第二開閉器140を開状態、第三開閉器150を閉状態に切り替える。そして、EMS90は、ハイブリッドパワコン13を介して蓄電池12へ充電指示を行う。充電指示を受けた蓄電池12は、最大充電電力(2000W)で充電を行う。
【0130】
充電指示によって蓄電池12の蓄電残量が所定値x6(30%)まで増加した場合、蓄電池12のモードは充電指示モードからエコモードに切り替えられる。エコモードにおいて、EMS90は、第一開閉器100を閉状態、第二開閉器140を閉状態、第三開閉器150を開状態に切り替える。そして、EMS90は、前記充電指示を停止する。
【0131】
以下では、
図11を用いて、蓄電池12がエコモードに設定されている場合における、電力供給システム4による電力の供給態様について具体的に説明する。
【0132】
図11においては、負荷Hの消費電力の合計が400W、第一特定回路110の消費電力が100W、第二特定回路120の消費電力が0W、太陽光発電部11の発電電力が0W(発電していない状態)、燃料電池30の発電電力が700Wであるとする。
【0133】
上述の如く、エコモードにおいては、電路A2においては電力の流通が可能となっている。したがって、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの一部の電力(400W)は、分電盤20を介して負荷Hに供給される。また、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの一部の電力(100W)は、分電盤20、ハイブリッドパワコン13及び電路A4を介して第一特定回路110に供給される。そして、燃料電池30の発電電力(700W)のうちの残りの電力(200W)は、蓄電池12に充電されることなく、系統電源Kへと逆潮流される。
【0134】
負荷Hの消費電力が一時的に増加する等の理由により、蓄電池12の蓄電残量が所定値x5(10%)以下となった場合、蓄電池12のモードはエコモードから充電指示モードに切り替えられる。
【0135】
以下では、
図12を用いて、蓄電池12が充電指示モードに設定されている場合における、電力供給システム4による電力の供給態様について具体的に説明する。
【0136】
図12においては、負荷Hの消費電力の合計が400W、第一特定回路110の消費電力が100W、第二特定回路120の消費電力が0W、太陽光発電部11の発電電力が0W(発電していない状態)、燃料電池30の発電電力が100W、蓄電池12の充電電力が2000Wであるとする。
【0137】
充電指示モードにおいて、EMS90は、第一開閉器100を開状態、第二開閉器140を開状態、第三開閉器150を閉状態に切り替える。そして、EMS90は、ハイブリッドパワコン13を介して蓄電池12へ充電指示を行う。
【0138】
第一開閉器100が開状態であることにより、電路A2においては電力の流通が不可能となっている。このため、蓄電池12が充電指示を受けたとしても、燃料電池30からの電力が系統電源Kに逆潮流されることはない。また、燃料電池30からの電力は売電メーター60を通過しないため、売電メーター60の検出値は0Wとなる。よって、売電メーター60の検出値(0W)は、売電量が0であるという実際の状況と一致する。
図12に示すように、蓄電池12は、系統電源Kからの電力(2000W)を充電する。また、系統電源Kからの電力(400W)が負荷Hに供給される。
【0139】
また、第一開閉器100が開状態となることにより、燃料電池30は擬似的に停電状態となる。よって、燃料電池30の運転モードは、連系モードから自立運転モードに切り替えられる。
【0140】
このとき、第二開閉器140が開状態、第三開閉器150が閉状態であるので、燃料電池30の自立運転により発電された電力(100W)は、電路A4及びハイブリッドパワコン13を介して蓄電池12に供給されることはなく、電路A5を介して第一特定回路110に供給される。よって、燃料電池30によって発電された電力を無駄にしてしまうのを防止することができる。
【0141】
以上の如く、第四実施形態に係る電力供給システム4は、停電発生時であっても前記蓄電池12から電力を供給可能な第一特定回路110(重要負荷)と前記ハイブリッドパワコン13とを接続する電路A4(第二電路)に設けられた第二開閉器140と、前記第一特定回路110と前記燃料電池30とを接続する電路A5(第三電路)に設けられた第三開閉器150と、を具備し、前記燃料電池30は、前記系統電源Kと連系して運転を行う連系運転モードと、停電発生時に前記系統電源Kから独立して自立運転可能な自立運転モードと、を有し、前記蓄電池12が前記エコモードに設定されているときに前記蓄電池12の前記蓄電残量が前記所定値x1(第一の値、例えば5%)よりも大きい所定値x5(第五の値、例えば10%)以下まで減少した場合、前記燃料電池30は、前記第一開閉器100が開状態となって擬似的に停電が発生した状態となることにより、前記自立運転モードに切り替えられ、前記EMS90は、前記第二開閉器140を開状態とし、第三開閉器150を閉状態とするものである。
このように構成することにより、燃料電池30によって発電された電力を系統電源Kへと逆潮流する代わりに第一特定回路110に供給することができる。よって、燃料電池30によって発電された電力を無駄にしてしまうのを防止することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 電力供給システム
10 蓄電システム
20 分電盤
30 燃料電池
50 売買電メーター
60 売電メーター
70 第一開閉器
80 第二開閉器
90 EMS
100 第一開閉器
110 第一特定回路
140 第二開閉器
150 第三開閉器