(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】サスペンションストローク増加のための多層PZT電極構成
(51)【国際特許分類】
H10N 30/50 20230101AFI20240219BHJP
H10N 30/20 20230101ALI20240219BHJP
H10N 30/853 20230101ALI20240219BHJP
G11B 5/60 20060101ALI20240219BHJP
G11B 21/21 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H10N30/50
H10N30/20
H10N30/853
G11B5/60 P
G11B21/21 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019167400
(22)【出願日】2019-09-13
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517151084
【氏名又は名称】マグネコンプ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】MAGNECOMPCORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】ロン ジャン
(72)【発明者】
【氏名】クエン チー イー
(72)【発明者】
【氏名】ダビッド グライス
(72)【発明者】
【氏名】ピーター ハーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン フー
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-289933(JP,A)
【文献】特開2004-014951(JP,A)
【文献】特開2000-255060(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0133045(US,A1)
【文献】特開2018-006684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 30/50
G11B 21/21
G11B 5/60
H10N 30/20
H10N 30/853
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部及び第2端部を有する圧電アクチュエータアセンブリであって、
単一活性圧電層を含むとともに、上面及び底面を含む第1層と、
単一活性圧電層を含むとともに、上面及び底面を有し、該底面が前記第1層の上面の上方に配置された第2層と、
単一活性圧電層を含むとともに、上面及び底面を有し、該底面が前記第2層の上面の上方に配置された第3層と、
前記第1層の底面の少なくとも一部上に配置された第1電極と、
前記第1層及び前記第2層の間の少なくとも一部に配置された第2電極と、
前記第2層及び前記第3層の間の少なくとも一部に配置された第3電極と、
前記第3層の上面の少なくとも一部上に配置された第4電極とを含み、
前記第2層及び前記第3層の活性圧電層の長さが、前記第1層の活性圧電層の長さよりも短くなるように、前記第3電極が前記第2電極よりも短く構成されており、
前記第1層の不活性部の長さは、前記第2層及び前記第3層の不活性部の長さよりも短く構成されており、
前記第2層及び前記第3層は、PZT伸長モード下で前記第1層よりも短い伸長を有し、それにより、前記圧電アクチュエータアセンブリは凹形状に湾曲し、ストロークが増加し、
前記第2層及び前記第3層は、PZT収縮モード下で前記第1層よりも短い収縮を有し、それにより、前記圧電アクチュエータアセンブリは凸形状に湾曲し、ストロークが増加する、ことを特徴とする、圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項2】
前記第3電極が前記第2電極よりも0.05~0.15mm短くなるように構成されている、請求項1に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項3】
前記第3電極が前記第2電極よりも0.12mm短くなるように構成されている、請求項2に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項4】
前記第3電極よりも0.10~0.30mm短くなるように構成された前記第4電極をさらに含む、請求項1に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項5】
前記第4電極が前記第3電極よりも0.20mm短くなるように構成されている、請求項4に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項6】
前記第1層の単一活性圧電層と前記第2層の単一活性圧電層が、前記第3層の単一活性圧電層よりも0.10~0.30mm長い活性長を有する、請求項4に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項7】
前記第1層の単一活性圧電層と前記第2層の単一活性圧電層が、前記第3層の単一活性圧電層よりも0.20mm長い活性長を有する、請求項6に記載の圧電アクチュエータアセンブリ。
【請求項8】
マイクロアクチュエータであって、
単一活性圧電層を含むとともに、上面及び底面を含む第1層と、
単一活性圧電層を含むとともに、上面及び底面を有し、該底面が第1層の上面の上方に配置された第2層と、
単一活性圧電層を含むとともに、上面及び底面を有し、該底面が第2層の上面の上方に配置された第3層と、
前記第1層の底面の少なくとも一部上に配置された第1電極と、
前記第1層及び前記第2層の間の少なくとも一部に配置された第2電極と、
前記第2層及び前記第3層の間の少なくとも一部に配置された第3電極と、
前記第3層の上面の少なくとも一部上に配置された第4電極とを含み、
前記第2層及び前記第3層の活性圧電層の長さが、前記第1層の活性圧電層の長さよりも短くなるように、前記第3電極が前記第2電極よりも短く構成されており、
前記第1層の不活性部の長さは、前記第2層及び前記第3層の不活性部の長さよりも短く構成されており、
前記第2層及び前記第3層は、PZT伸長モード下で前記第1層よりも短い伸長を有し、それにより、前記マイクロアクチュエータは凹形状に湾曲し、ストロークが増加し、
前記第2層及び前記第3層は、PZT収縮モード下で前記第1層よりも短い収縮を有し、それにより、前記マイクロアクチュエータは凸形状に湾曲し、ストロークが増加する、ことを特徴とする、マイクロアクチュエータ。
【請求項9】
前記第3電極が前記第2電極よりも0.05~0.15mm短く構成されている、請求項8に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項10】
前記第3電極が前記第2電極よりも0.12mm短くなるように構成されている、請求項8に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項11】
前記第3電極よりも0.10~0.30mm短くなるように構成された前記第4電極をさらに含む、請求項8に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項12】
前記第4電極が前記第3電極よりも0.20mm短くなるように構成されている、請求項11に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項13】
前記第1層の単一活性圧電層及び前記第2層の単一活性圧電層が前記第3層の単一活性圧電層よりも0.10~0.30mm長い活性長を有する、請求項11に記載のマイクロアクチュエータ。
【請求項14】
前記第1層の単一活性圧電層及び前記第2層の単一活性圧電層が前記第3層の単一活性圧電層よりも0.20mm長い活性長を有する、請求項11に記載のマイクロアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本願は2018年9月13日に出願された米国仮出願番号62/730979からの優先権を主張するものであり、その全ては参照として本願明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本発明の実施形態は、ディスクドライブ用サスペンションの分野に関する。より具体的には、ディスクデバイス用サスペンションのためのマイクロアクチュエータの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的なディスクドライブユニットは、ディスクドライブ上に記憶されたデータを構成する1と0の磁気記録パターンを含んだ回転磁気ディスクを含んでいる。磁気ディスクは、駆動モータによって駆動される。ディスクドライブユニットは、磁気読み取り/書き込みがロードビームの遠位端部に近接して取り付けられたディスクドライブサスペンションをさらに含んでいる。サスペンションまたはロードビームにおける「近位」端部は、支持された端部であり、すなわちアクチュエータアームに据え込み加工された、または取り付けられたベースプレートに最も近い端部である。サスペンションまたはロードビームにおける「遠位」端部は、近位端部の反対側の端部であり、すなわち「遠位」端部は片持ち端部である。
【0004】
サスペンションはアクチュエータアームに連結され、ヘッドスライダをデータディスクの適切なデータトラックの上方に配置させるためにサスペンションを円弧状に動かすボイスコイルモータに連結されている。ヘッドスライダは、そのスライダを前後左右に揺らすジンバルに搭載され、それにより、ヘッドスライダは、ディスクの振動、バンピング等の慣性事象、及びディスク表面の不規則性など、様々な変動を許容してディスクの適切なデータトラックに追従するようになっている。
【0005】
1段作動式ディスクドライブサスペンションと2段作動式(DSA)サスペンションとが知られている。1段作動式サスペンションでは、ボイスコイルモータのみがサスペンションを動かすようになっている。
【0006】
DSAサスペンションにおいて、サスペンション上に配置される小さなアクチュエータは、ヘッドスライダを適切なデータトラックの上方に配置させるために、ヘッドスライダを動かす。アクチュエータは、ボイスコイルモータよりもヘッドスライダの微細な位置決め及び高いサーボ帯域幅を提供する。アクチュエータは、特定のDSAサスペンション設計によってサスペンション上の様々なところに配置されてもよい。一般に、左右両側のアクチュエータは、ロードビームまたはロードビームの遠位端部を回転させるためにプッシュプル方式で作用する。初期のDSAサスペンションのいくつかは、アクチュエータをベースプレート上に配置させ、圧電マイクロアクチュエータ(PZTs)の動作でロードビーム全体を回転させる。DSAサスペンションで使用されるアクチュエータは、ミリアクチュエータまたはマイクロアクチュエータと呼ばれる。データトラック幅が縮小し続けるにつれ、近年、DSAサスペンションは一般的になっている。
【発明の概要】
【0007】
圧電アクチュエータアセンブリが記載される。前記アセンブリは、単一の活性圧電層を含む第1層を含んでおり、第1層は上面と底面とを含んでいる。アセンブリは、単一の活性圧電層として第2層も含んでおり、第2層は上面と底面とを有し、第2層の底面は第1層の上面の上方に配置されている。前記アセンブリは、単一の活性圧電層として第3層を含んでおり、第3層は上面と底面とを有し、第3層の底面は第2層の上面の上方に配置されている。第1電極は、第1層の底面の少なくとも一部上に配置されている。第2電極は、第1層と第2層との間の少なくとも一部に配置され、第3電極は、第2層と第3層の間の少なくとも一部に配置され、第4電極は、第3層の上面の少なくとも一部上に配置されている。第2層と第3層の活性PZTの長さが、第1層の活性PZTの長さよりも短くなるように、第3電極は第2電極よりも短く構成されている。
【0008】
上述の概要は、本開示の各実施形態またはすべての態様を表すことを意図するものではない。さらに、前記の概要は、本明細書に示す新規の様態及び特徴のいくつかの例として単に提供しているに過ぎない。本開示の上記と他の特徴及び利点は、添付された図面及び特許請求の範囲と関連するとき、本発明を実施するための実施形態及び様態の詳細な説明によって容易に明らかである。
【0009】
本開示の利点及び特徴が得られる方法で説明するために、本開示の実施形態が、添付された図面に示された特定の実施例を参照することによってなされる。これらの図面は、本開示の単なる例示的様態を示し、従ってその範囲を限定するとみなされるものではない。それらの原理は、以下の図面を用いることで追加の特定及び詳細と共に示され、説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、従来のDSAサスペンションとマイクロアクチュエータアセン ブリの断面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1の従来のDSAサスペンションの伸張モードを示す。
【
図3】
図3は、
図1の従来のDSAサスペンションの収縮モードを示す。
【
図4A】
図4Aは、本開示の一実施形態に係るDSAサスペンションとマイク ロアクチュエータアセンブリの断面図を示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示の一実施形態に係るDSAサスペンションの伸張モ ードと収縮モードを示す。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態に係る
図4の従来のDSAサスペンション とマイクロアクチュエータアセンブリの変形例を示す。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係る2層を有するマイクロアクチュエー タアセンブリ60の断面図を示す。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に係る4層を有するマイクロアクチュエー タアセンブリ70の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、添付された図面を参照して説明され、図面を通して類似または同等の要素を示すために同一の符号が用いられる。図面は、寸法通りに示されておらず、例示的説明として提供される。本実施形態のいくつかの様態は、例の適用を参照して以下に説明され、本開示の範囲に限定することを意図するものではない。多くの特定の詳細、関係及び方法は、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために示されることが理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本発明が1つ以上の特定の詳細なく、または他の方法を用いて実施され得ることを容易に認識するであろう。他の例において、周知の構造または操作は、本発明の実施形態を不明瞭にすることを避けるために詳細に示されない。本発明の実施形態は、いくつかの行為が異なる順序で起こり得る及び/または他の行為若しくは事象と同時に起こり得るため、説明された行為または事象の順序に限定されない。さらに、全ての説明された行為または事象が、本発明の実施形態に係る方法を行うのに必要というわけではない。
【0012】
図1は、従来のDSAサスペンション10とマイクロアクチュエータアセンブリ9の断面図を示す。静電アクチュエータ及び他のタイプのマイクロアクチュエータモータが提案され、使用されているが、圧電素子がしばしばマイクロアクチュエータモータとして使用される。他の圧電材料も知られ、使用されているが、一般に圧電材料はチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が使用される。以下の説明及び特許請求の範囲では、簡略化のために、マイクロアクチュエータはしばしば省略形で「PZT」として言及されるが、圧電材料がチタン酸ジルコン酸鉛である必要はないことが認められる。従って、本明細書で使用される「PZT」という用語は、任意の圧電材料または任意の圧電材料からなる任意の圧電デバイスを示すことができる。
【0013】
マイクロアクチュエータアセンブリ9は、第1PZT層11、第2PZT層12及び第3PZT層13を含み得る。第1PZT層11は、マイクロアクチュエータアセンブリ9の底層であってもよい。第1PZT層11は、活性PZT11A及び不活性PZT11Bを有し得る。第2PZT層12は、マイクロアクチュエータアセンブリ9の中間層であってもよい。第2PZT層12は、活性PZT12A及び不活性PZT12Bを有し得る。第1PZT層11は、第2PZT層12の下側に接着され得る。第3PZT層13は、マイクロアクチュエータアセンブリ9の上層であってもよい。第3PZT層13は、活性PZT13A及び不活性PZT13Bを有し得る。第3PZT層13は、第2PZT層12の上面上で第2PZT層12に接着され得る。
【0014】
マイクロアクチュエータアセンブリ9は、導電性接着剤(ECA)14を用いて、DSAサスペンション10のトレースジンバル歪み部15と連結される。いくつかの実施形態では、トレースジンバル歪み部15及びECA14は、金層によって分離され得る。金層は耐腐食性を与え、トレースジンバル歪み部15に対し導電性を向上させ得る。
【0015】
一般に、従来のマイクロアクチュエータアセンブリ9がDSAサスペンション10として使用されるとき、3層全てのPZT電極はより高いストロークを目指し極大化される。第1PZT層11は、トレースジンバル歪み部15に接合されているため、第2PZT層12及び第3PZT層13よりも長い不活性PZT部を有する。
図1は、第1PZT層11の活性長Aが第2PZT層12の活性長B及び第3PZT層13の活性長Cよりも短いことを示す。
【0016】
図2は、伸張モードにおける従来のDSAアセンブリ10を示す。
図1に関して記載されているように、活性長C及びBが活性長Aよりも長いため、第3PZT層13及び第2PZT層12は、第1PZT層11よりも長く伸張すると想定される。しかしながら、それらの層は互いに接着されているため、
図2に示されるように3つのPZT層間の不均衡な伸張がPZTを凸形状に湾曲させる。さらに、第1PZT層11が、近位及び遠位端部でトレースジンバル歪み部15に接合されることで、第1PZT層11の伸張はさらに抑制され、凸形状の湾曲がさらに増大し、そしてPZT伸張モード下で、総ストロークを低減させるために負のストローク変位δ1がもたらされる。
【0017】
図3は、収縮モードにおける従来のDSAアセンブリ10を示す。活性長C及びBが活性長Aよりも長いため、第3PZT層13及び第2PZT層12は第1PZT層11よりも長く収縮すると想定される。しかしながら、それらの層は互いに接着しているため、
図3に示されるように、3つのPZT層間の不均衡な収縮がPZTを凹形状に湾曲させる。さらに、第1PZT層11が近位及び遠位端部でトレースジンバル歪み部15に接合されることで、第1PZT層11の伸張をさらに抑制し、凹形状の湾曲がさらに増大し、そしてPZT収縮モード下で、総ストロークを低減させるために正のストローク変位δ2がもたらされる。従って、PZT層における電極長構成により、従来のマイクロアクチュエータアセンブリ9は、PZT伸張モード及び収縮モード下で低いストロークを有している。本願は、ストローク低減の問題を解決し、サスペンションストロークを増加させるために、マイクロアクチュエータアセンブリ9の新規構成を提供する。
【0018】
図4Aは、本開示の一実施形態に係るDSAサスペンション40とマイクロアクチュエータアセンブリ39の断面図を示す。マイクロアクチュエータアセンブリ39は、第1PZT層41、第2PZT層42及び第3PZT層43を含み得る。第1PZT層41は、活性PZT41A及び不活性PZT41Bを有し得る。第2PZT層42は、活性PZT42A及び不活性PZT42Bを有し得る。第3PZT層43は、活性PZT43A及び不活性PZT43Bを有し得る。
【0019】
第1PZT層41は、マイクロアクチュエータアセンブリ39の底層になり得る。第2PZT層42は、マイクロアクチュエータアセンブリ39の中間層になり得る。第1PZT層41は、第2PZT層42の下側に接着され得る。第3PZT層43は、マイクロアクチュエータアセンブリ39の上層になり得る。第3PZT層43は、第2PZT層42の上面上で第2PZT層42に接着され得る。マイクロアクチュエータアセンブリ39は、導電性接着剤(ECA)44を介してトレースジンバル歪み部45を含むDSAサスペンション40と電気的に連結される。いくつかの実施形態において、トレースジンバル歪み部45及びECA44は、金層によって切り離され得る。金層は耐腐食性を与え、トレースジンバル歪み部45に対し導電性を向上させ得る。
【0020】
図4Aに示されるように、種々の層の活性PZTの長さとそれらの層との間にあるPZT電極46の長さが異なっている。第2PZT層42の活性長4B及び第3PZT層43の活性長4Cが第1PZT層41の活性長4Aよりも短くなるように、第2PZT層42と第3PZT層43との間にあるPZT電極(46B)は短くされ得る。第2PZT層42及び第3PZT層43が、第1PZT層41の活性長4Aよりも短い活性長4B及び4Cを有するため、第2PZT層42及び第3PZT層43は、PZT伸張モード下で第1PZT層41よりも短い伸張を有し、それにより、マイクロアクチュエータ39は、
図4Bの上図に示されるような凹形状に湾曲し、総ストロークを増加させるために、伸張モード下で正のストローク変位δ4aが生じる。逆に、PZT収縮モードでは、第2PZT層42及び第3PZT層43は、第1PZT層41の活性長4Aよりも短い活性長4B及び4Cを有するため、PZT収縮モード下で、第2PZT層42及び第3PZT層43は、第1PZT層41よりも短い収縮を有し、それにより、マイクロアクチュエータ39は、
図4Bの下図に示されるような凸形状に湾曲し、総ストロークを増加させるために、PZT収縮モード下で負のストローク変位δ4bが生じる。いくつかの実施形態において、第2PZT層42と第3PZT層43との間にあるPZT電極46Bは、第1PZT層41上に配置されたPZT電極46Dよりも0.05mm~0.15mm短くなり得、マイクロアクチュエータアセンブリ39のストロークは、5~10%増加し得る。いくつかの実施形態では、第2PZT層42と第3PZT層43との間にあるPZT電極46Bは、第1PZT層41上に配置されるPZT電極46Dよりも0.12mm短くなり得、マイクロアクチュエータアセンブリ39のストロークは7.3%増加し得る。
【0021】
図5は、DSAサスペンション40の一部としてマイクロアクチュエータアセンブリ39の他の実施形態を示す。
図5に示されるように、種々の層の活性PZTの長さとPZT電極46の長さが異なっている。第3PZT層43の活性長5Cが、第2PZT層42の活性長5B及び第1PZT層41の活性長5Aよりも短くなるように、第3PZT層43の活性PZT43A上に配置されるPZT電極46Aは短くなっている。いくつかの実施形態では、第3PZT層43の活性PZT43A上に配置されるPZT電極46Aは、第1PZT層41の活性PZT41A上に配置されるPZT電極46Cよりも0.10~0.30mm短くなり得る。第3PZT層43の活性PZT43A上に配置されるPZT電極46Aがこの範囲内で短いとき、マイクロアクチュエータアセンブリ39のストロークは15~25%増加し得る。いくつかの実施形態によると、第3PZT層43の活性PZT43A上に配置されるPZT電極46Aは、第1PZT層41の活性PZT41A上に配置されるPZT電極46Cよりも0.2mm短くなり得、マイクロアクチュエータアセンブリ39のストロークは18.6%増加し得る。
【0022】
図6は、本開示の一実施形態に係る2層を有するマイクロアクチュエータアセンブリ60の断面図を示す。マイクロアクチュエータアセンブリ60は、第1PZT層61及び第2PZT層62を含む。第1PZT層61は、活性PZT61A及び不活性PZT61Bを有するように構成されている。第2PZT層62は、活性PZT62A及び不活性PZT62Bを有するように構成されている。
【0023】
図6に示されるように、種々の層の活性PZTの長さとそれらの層との間にあるPZT電極66の長さが異なっている。第1PZT層61と第2PZT層62との間にあるPZT電極(66B)は、第2PZT層62の活性長68Aが第1PZT層61の活性長68Bよりも短くなるように構成されている。この結果、本明細書に記載されたように、PZT伸張モードでは凹形状のような有益な湾曲プロファイルを可能とする。逆に、PZT収縮モード下でのマイクロアクチュエータ60は、本明細書の記載と同様に、総ストロークを増加させるために凸形状に湾曲するように構成されている。マイクロアクチュエータ60の実施形態は、本明細書に記載された技術を用いて構成されるPZT層及びPZT電極を含む。
【0024】
図7は、本開示の一実施形態に係る4層を有するマイクロアクチュエータアセンブリ70の断面図を示す。マイクロアクチュエータアセンブリ70は、第1PZT層71、第2PZT層72、第3PZT層73及び第4PZT層74を含む。第1PZT層71は、活性PZT71A及び不活性PZT71Bを有するように構成されている。第2PZT層72は、活性PZT72A及び不活性PZT72Bを有するように構成されている。第3PZT層73は、活性PZT73A及び不活性PZT73Bを有するように構成されている。第4PZT層74は、活性PZT74A及び不活性PZT74Bを有するように構成されている。
【0025】
図7に示されるように、種々の層の活性PZTの長さとそれらの層との間にあるPZT電極76の長さが異なっている。PZT電極76は、第4PZT層74の活性長78Bが第1PZT層71の活性長78Cよりも短くなるように構成されている。PZT電極76はさらに、第4PZT層74の活性長78Bが、第2PZT層72の活性長78Aよりも短くなるように構成されている。PZT電極76はさらに、第4PZT層74の活性長78Bが第3PZT層73の活性長78Dよりも短くなるように構成されている。この結果、本明細書に記載されたように、PZT伸張モード下では凹形状のような有益な湾曲プロファイルを可能とする。逆に、マイクロアクチュエータアセンブリ70は、PZT収縮モード下で、総ストロークを増加させるために凸形状に湾曲するように構成されている。マイクロアクチュエータ70の実施形態は、本明細書に記載された技術を用いて構成されたPZT層及びPZT電極を含む。
【0026】
本明細書に記載された実施形態は、低いストロークを生み出し得る、従来の多層PZT電極構成によって問題を解決する。それらの構成は、伸張モードではPZTが凸形状に変形し、収縮モードではPZTが凹形状に変形し得ることで、低い総ストロークをもたらす。逆に、本発明は総ストロークを増加させるために、伸張モードではPZTが凹形状に変形し、収縮モードではPZTが凸形状に変形し得る。
【0027】
本開示の上記説明は、当業者が本開示の作製または使用を可能とするために提供される。本開示の種々の改変は、当業者には容易に明らかとなり、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱しない範囲で他の変更に適用され得る。従って、本開示は、本明細書で述べられた実施例及びデザインに限定することを意図するものではないが、本明細書で開示された原理及び新規の特徴に矛盾しない最も広い範囲に一致する。