(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】シート収納箱
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20240219BHJP
B65D 5/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D5/00
(21)【出願番号】P 2019180847
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 宏彦
(72)【発明者】
【氏名】森本 将二
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 穣
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-162623(JP,A)
【文献】特開平09-028613(JP,A)
【文献】特開2009-190795(JP,A)
【文献】特開2007-261617(JP,A)
【文献】実開昭63-144492(JP,U)
【文献】特開2010-042821(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0257903(US,A1)
【文献】特開昭51-118568(JP,A)
【文献】特開2008-162624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 5/00-5/72
B65D 25/52
A47K 10/20-10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚のシートを収容する箱体と、
前記箱体の天面に開口し、前記天面の長手方向に延びる取出口とを有する、シート収納箱であって、
前記箱体は、前記天面の短手方向に対向する一対の側面と、長手方向に対向する一対の妻面を有し、
前記取出口の周縁の前記箱体の前記側面側のみに形成され、前記短手方向に離間して対向する一対の第1フラップを有し、
前記第1フラップの基端に沿って、前記天面を貫通するスリットが断続的に設けられて
おり、
前記スリットの全体が、前記第1フラップの基端上に設けられており、
スリットのタイカット比が、0.1以上1.5以下である、
シート収納箱。
【請求項2】
前記スリットが、前記取出口の外側に向かって凸となるV字状である、請求項
1に記載のシート収納箱。
【請求項3】
前記第1フラップの基端が、谷折りの折り筋で形成されている、請求項1
または2に記載のシート収納箱。
【請求項4】
前記第1フラップの基端が直線状である、請求項1乃至
3のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【請求項5】
前記第1フラップが、前記長手方向の中央で分割された分割フラップで構成されている、請求項1乃至
4のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【請求項6】
前記取出口の両端部に形成され、前記長手方向に対向する一対の第2フラップを有し、
前記第2フラップの基端に沿って、前記天面を貫通するスリットが断続的に設けられている、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【請求項7】
第2フラップは、先端が前記長手方向の前記取出口の外側に向かって湾曲する、請求項
6に記載のシート収納箱。
【請求項8】
前記取出口を覆い、破断用切目線を介して前記天面に接続する蓋部が形成され、
前記第2フラップの先端が、前記蓋部の開封端を構成する、請求項
7に記載のシート収納箱。
【請求項9】
前記取出口を覆い、破断用切目線を介して前記天面に接続する蓋部が形成され、
前記蓋部の前記第2フラップ寄りに開封口が設けられている、請求項
6乃至
8のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【請求項10】
前記取出口を覆い、破断用切目線を介して前記天面に接続する蓋部が形成され、
前記破断用切目線は、前記長手方向の中央に形成されて前記蓋部を分割するように前記短手方向に延びる分割用切目線を含み、
前記分割用切目線寄りに開封口が設けられている、請求項1乃至
9のいずれか1項に記載のシート収納箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシート収納箱は、ティシューペーパーなどのシートが、厚紙等で作られた箱(いわゆるカートン)に収納され、該箱の天面に開口する取出口から引き出される。このようなシート収納箱では、取出口に樹脂製のフィルム(いわゆる窓貼フィルム)が設けられており、該フィルムに形成されたスリットを通じてシートが引き出されるようになっている(例えば、特許第4142238号公報参照)。
【0003】
また、近年のCO2排出に伴う地球温暖化対策として化石燃料の使用削減やマイクロプラスチック等の海洋汚染を抑制する観点から、プラスチックの使用を抑制する動きがある。これに対して、従来から樹脂製のフィルムを使用しないシート収納箱(いわゆるフィルムレスカートン)が知られている(例えば、特許第6554284号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4142238号公報
【文献】特許第6554284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、樹脂フィルムを使用しないシート収納箱では、引き出されるシートが取出口の周縁に引っ掛かり、シートが引き出しにくい場合がある。また、引き出されるシートが取出口の周縁に擦れて、不快な音が生じる場合がある。
【0006】
本発明の課題は、樹脂フィルムを用いなくても、シートをスムーズに引き出すことができるシート収納箱を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る第1の態様は、積層された複数枚のシートを収容する箱体と、前記箱体の天面に開口し、前記天面の長手方向に延びる取出口とを有する、シート収納箱であって、前記取出口の周縁に形成され、前記天面の短手方向に対向する一対の第1フラップを有し、前記第1フラップの基端に沿って、前記天面を貫通するスリットが断続的に設けられている、シート収納箱を提供する。
【0008】
第1の態様では、箱体の天面の短手方向に対向する一対の第1フラップを取出口の周縁に形成し、天面を貫通するスリットを第1フラップの基端に沿って断続的に設けることにより、第1フラップが基端に沿って上方に傾斜可能となる。これにより、第1の態様では、第1フラップを上方に傾斜させることができる。
【0009】
このように傾斜させた第1フラップは、引き出されるシートに対して滑らかに接触するため、引き出されるシートに対して取出口の周縁が抵抗になりにくい。そのため、引き出されるシートが取出口の周縁に引っ掛かりにくく、シートが引き出しやすい。また、引き出されるシートが取出口の周縁に擦れても、不快な音が生じにくい。第1の態様によれば、樹脂フィルムを用いなくても、シートをスムーズに引き出すことができる。
【0010】
また、第1の態様では、天面を貫通するスリットが第1フラップの基端に沿って断続的に設けられているため、基端を起点として第1フラップが折れ曲がりやすくなる。そのため、第1フラップを上方に傾斜させる作業が容易である。また、第1フラップが基端に沿って折れ曲がりやすくなることで、第1フラップを傾斜させる際に、第1フラップが撓んだり、予期せぬ部分で折れ曲がることを抑制することができる。
【0011】
本発明に係る第2の態様は、前記スリットが、前記第1フラップの基端上に設けられている、シート収納箱を提供する。第2の態様では、第1フラップの基端上にスリットを設けることで、基端を起点として第1フラップがより折れ曲がりやすくなる。これにより、第1フラップを上方に傾斜させる作業がより容易になり、第1フラップを傾斜させる際の第1フラップの撓み又は予期せぬ部分の折れ曲がりをより抑制することができる。
【0012】
本発明に係る第3の態様は、前記スリットが、前記取出口の外側に向かって凸となるV字状である、シート収納箱を提供する。第3の態様では、取出口の外側に向かって凸となるV字状のスリットを第1フラップの基端に沿って設けることで、基端を起点として第1フラップが折れ曲がりやすくなる。また、スリットの形状をこのようなV字状のスリットにすることで、スリットが設けられた基端に沿って第1フラップが破断しにくくなる。
【0013】
本発明に係る第4の態様は、前記スリットのタイカット比が、0.1以上2.5以下である、シート収納箱を提供する。第4の態様では、タイカット比が0.1以上2.5以下のスリットを設けることで、基端を起点として第1フラップが折れ曲がりやすく、しかもスリットが設けられた基端に沿って破断しにくい第1フラップを構成することができる。
【0014】
本発明に係る第5の態様は、前記第1フラップの基端が、谷折りの折り筋で形成されている、シート収納箱を提供する。第5の態様では、第1フラップの基端を谷折りの折り筋で形成することで、基端を起点として第1フラップがさらに折れ曲がりやすくなる。これにより、第1フラップを傾斜させる作業がさらに容易になり、第1フラップを傾斜させる際の第1フラップの撓み又は予期せぬ部分の折れ曲がりをさらに抑制することができる。
【0015】
本発明に係る第6の態様は、前記第1フラップの基端が直線状である、シート収納箱を提供する。第6の態様では、第1フラップの基端を直線状にすることで、第1フラップが基端を軸として回転しやすくなる。これにより、基端を起点として第1フラップがさらに折れ曲がりやすくなり、第1フラップを傾斜させる作業がさらに容易になる。そのため、第1フラップを傾斜させる際の第1フラップの撓み又は予期せぬ部分の折れ曲がりをさらに抑制することができる。
【0016】
また、第6の態様では、第1フラップが基端を軸として回転することで、シートが接触したときに第1フラップが上方に傾斜しやすくなり、シートが引き出される際に取出口の周縁にかかる力は各第1フラップに吸収されやすくなる。そのため、シートをよりスムーズに引き出すことができる。
【0017】
本発明に係る第7の態様は、前記第1フラップが、前記長手方向の中央で分割された分割フラップで構成されている、シート収納箱を提供する。第7の態様では、天面の短手方向に対向する一対の第1フラップが、天面の長手方向の中央で分割された分割フラップでそれぞれ構成されているため、各分割フラップが天面に対して上方に傾斜可能となる。
【0018】
これにより、第7の態様では、各分割フラップを上方に傾斜させることができる。このように傾斜させた各分割フラップは、引き出されるシートに対して滑らかに接触するため、引き出されるシートに対して取出口の周縁が抵抗になりにくい。また、シートが引き出される際に取出口の周縁にかかる力は、各分割フラップに分散される。
【0019】
そのため、第7の態様では、引き出されるシートが取出口の周縁に引っ掛かりにくく、シートがさらに引き出しやすい。また、引き出されるシートが取出口の周縁に擦れても、不快な音がさらに生じにくい。これにより、樹脂フィルムを用いなくても、シートをさらにスムーズに引き出すことができる。
【0020】
本発明に係る第8の態様は、前記取出口の両端部に形成され、前記長手方向に対向する一対の第2フラップを有し、前記第2フラップの基端に沿って、前記天面を貫通するスリットが断続的に設けられている、シート収納箱を提供する。第8の態様では、長手方向に対向する一対の第2フラップを取出口の両端部に形成し、天面を貫通するスリットを各第2フラップの基端に沿って断続的に設けることにより、第2フラップが基端に沿って上方に傾斜可能となる。
【0021】
これにより、第8の態様では、第2フラップを上方に傾斜させることができるので、傾斜させた第2フラップは引き出されるシートに対して滑らかに接触することができる。そのため、引き出されるシートに対して取出口の両端部が抵抗になりにくい。また、上方に傾斜させた第2フラップは、シートの引き出しを妨げずに、シートを保持することができる。そのため、第8の態様によれば、シートの落込みを抑制することができる。
【0022】
また、第8の態様では、天面を貫通するスリットが第2フラップの基端に沿って断続的に設けられているため、基端を起点として第2フラップが折れ曲がりやすくなる。そのため、第2フラップを上方に傾斜させる作業が容易である。また、第2フラップが基端に沿って折れ曲がりやすくなることで、第2フラップを傾斜させる際に、第2フラップが撓んだり、予期せぬ部分で折れ曲がることを抑制することができる。
【0023】
本発明に係る第9の態様は、第2フラップは、先端が前記長手方向の前記取出口の外側に向かって湾曲する、シート収納箱を提供する。第9の態様では、第2フラップの先端を天面の長手方向における取出口の外側に向かって湾曲させることで、シートの引き出しをより妨げずに、シートが取出口に保持されやすくなる。そのため、第9の態様によれば、シートの落込みをさらに防ぐことができる。
【0024】
本発明に係る第10の態様は、前記取出口を覆い、破断用切目線を介して前記天面に接続する蓋部が形成され、前記第2フラップの先端が、前記蓋部の開封端を構成する、シート収納箱を提供する。第10の態様では、取出口を覆う蓋部が破断用切目線を介して天面に接続することで、シート収納箱の使用前は取出口を封鎖することができ、シート収納箱の使用時は破断用切目線を開裂することで取出口を開封することができる。
【0025】
また、第10の態様では、第2フラップの先端が蓋部の開封端を構成することで、蓋部の開封端を取出口の長手方向の外側に向かって湾曲させることができる。これにより、取出口を開封する際に蓋部の開封端に指が掛けやすくなり、取出口の両端部をトリガーとして蓋部の開裂させることができる。そのため、第10の態様では、取出口の開封が容易である。
【0026】
本発明に係る第11の態様は、前記取出口を覆い、破断用切目線を介して前記天面に接続する蓋部が形成され、前記蓋部の前記第2フラップ寄りに開封口が設けられている、シート収納箱である。第11の態様でも、取出口を覆う蓋部が破断用切目線を介して天面に接続することで、シート収納箱の使用前は取出口を封鎖することができ、シート収納箱の使用時は破断用切目線を開裂することで取出口を開封することができる。
【0027】
また、第11の態様では、蓋部の第2フラップ寄りに開封口を設けることで、取出口を開封する際に蓋部の開封口に指が掛けやすくなり、この開封口をトリガーとして蓋部の開裂させることができる。そのため、第11の態様でも、取出口の開封が容易である。
【0028】
本発明に係る第12の態様は、前記取出口を覆い、破断用切目線を介して前記天面に接続する蓋部が形成され、前記破断用切目線は、前記長手方向の中央に形成されて前記蓋部を分割するように前記短手方向に延びる分割用切目線を含み、前記分割用切目線寄りに開封口が設けられている、シート収納箱である。第12の態様でも、取出口を覆う蓋部が破断用切目線を介して天面に接続することで、シート収納箱の使用前は取出口を封鎖することができ、シート収納箱の使用時は破断用切目線を開裂することで取出口を開封することができる。
【0029】
また、第12の態様では、破断用切目線の一部が、天面の長手方向の中央に形成されて蓋部を分割するように天面の短手方向に延びる分割用切目線蓋部を構成し、該分割用切目線蓋部の近傍に開封口が設けられている。これにより、取出口を開封する際に蓋部の開封口に指が掛けやすくなり、天面の長手方向の中央で短手方向に拡がる取出口の開口部分をトリガーとして蓋部の開裂させることができる。そのため、第12の態様でも、取出口の開封が容易である。
【0030】
また、天面の長手方向の中央で短手方向に拡がる取出口の開口部分は、取出口の両端部に比べて、短手方向の幅が広い。そのため、蓋部の分割用切目線寄りは、開封口の形成が容易である。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一態様によれば、樹脂フィルムを用いなくても、シートをスムーズに引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るシート収納箱を示す図である。
【
図3】第1実施形態において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。
【
図4】
図2において、シートが引き出される状態を示す図である。
【
図5】
図4をシート収納箱の側面側から見た図である。
【
図6】
図4をシート収納箱の妻面側から見た図である。
【
図7】第2実施形態において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。
【
図8】第3実施形態において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。
【
図9】第4実施形態において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。
【
図10】第5実施形態に係るシート収納箱を天面側から見た図である。
【
図11】参考例において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。
【
図12】フィルムを用いたシート収納箱(従来のシート収納箱)を示す図である。
【
図14】フィルムを用いないシート収納箱を天面側から見た図(
図8においてフィルムを取り除いた図)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、理解を容易にするため、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、本明細書では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、シート収納箱の長手方向をX方向とし、短手方向(奥行き方向)をY方向とし、高さ方向をZ方向とする。
【0034】
図1は、本発明の第1実施形態に係るシート収納箱を示す図であり、
図2は、
図1を天面側から見た図であり、
図3は、第1実施形態において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。また、
図4は、
図2において、シートが引き出される状態を示す図であり、
図5は、
図4をシート収納箱の側面側から見た図であり、
図6は、
図4をシート収納箱の妻面側から見た図である。なお、本実施形態は、シート収納箱にシートが収納された態様である。
【0035】
本実施形態に係るシート収納箱100は、
図1、
図2に示すように、略直方体(立方体を含む)状に形成された箱体Bで構成されている。箱体Bは、天面10、底面20、一対の側面30、および一対の妻面40を有する。なお、天面10と底面20は、高さ方向(Z方向)に対向し、一対の側面30は各側面31、32が短手方向(Y方向)に対向し、一対の妻面40は各妻面41、42が長手方向(X方向)に対向する。
【0036】
箱体Bの材質は、限定されず、例えば、バージンパルプ、古紙パルプなどを原料とするコートボール紙などが挙げられる。
【0037】
シート収納箱100を構成する箱体Bの寸法は、限定されず、収納されるシートSの量や寸法などにより決定することができる。例えば、箱体Bの長手方向(X方向)の長さは、100~250mmにすることができ、好ましくは200~250mmである。また、短手方向(奥行き)の長さは、100~150mmにすることができ、好ましくは100~130mmである。さらに高さ方向(Z方向)の高さは、30~150mmにすることができ、好ましくは40~80mmである。
【0038】
箱体Bの坪量は、限定されないが、使用に耐えうる十分な強度を確保する観点から、好ましくは250~450g/m2であり、より好ましくは300~400g/m2である。なお、本明細書において、坪量とは、JIS P 8124(1998)の坪量測定方法に準じて測定したものである。
【0039】
シート収納箱100を構成する箱体Bには、積層された複数枚のシートSが収納されている。本実施形態では、シートSの積層体(以下シート積層体という)として、積層方向が高さ方向(Z方向)となるように複数枚の薄葉紙(ティシューペーパー)が箱体Bに収容されている。なお、シートSは、ティシューペーパーに限定されるものではなく、キッチンペーパー、トイレットペーパー、ペーパータオル、ベビー用または介護用の紙おむつ、生理用ナプキン等の物品を収容することができる。
【0040】
シートSは、積層されたシートSを1組ずつ引き出す観点から、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体)であることが好ましい。また、シート積層体の形態は、ポップアップ式に引き出せるものに限定されず、複数枚のシートSが単に積層されたもの、各シートSが折り畳まれた状態で積層されたものでもよい。
【0041】
シート収納箱100内に収容されるシートSの寸法は、例えば、ティシューペーパーの場合、上面および底面の寸法が60~130mm×150~250mm、高さが20~110mmである。また、プライ数は、1プライ以上が好ましく、2プライがより好ましい。また、1プライ当たりの坪量は、好ましくは9.0~25.0g/m2、より好ましくは10.0~16.0g/m2である。また、紙厚は、2プライで100~250μmであり、より好ましくは120~200μmである。
【0042】
なお、紙厚は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用いて、2プライの状態で測定することができる。具体的には、プランジャーと測定台との間にゴミやチリなどがないことを確認して、プランジャーを測定台に設置する。その後、ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させて、ゼロ点を合わせる。次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろし、そのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は、金属製で直径10mm程度の円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにする。この紙厚の測定時の荷重は、約70gfである。なお、紙厚は、測定を10回行って得られる平均値とする。
【0043】
シート収納箱100は、箱体Bの天面10に開口する取出口50を有する。取出口50は、箱体Bに収容されているシートSを天面10側から引き出さすことができる形状になっている。取出口50は、箱体Bの長手方向(X方向)に延びる輪郭形状を有する。具体的には、天面10の短手方向(Y方向)の中央10aに形成され、X方向に沿う方向が長手方向となる略長方形状または略楕円形状の開口を構成する。
【0044】
本実施形態では、シート収納箱100の使用時に、取出口50を通じて、箱体Bに収容されているシートSが外部へ取り出される(
図4~
図6参照)。なお、取出口50の長手方向(X方向)の長さや短手方向(Y方向)の幅は、シートSの寸法等に基づいて適宜定めることができる。また、本実施形態では、取出口50は、シート収納箱100の天面10の短手方向(Y方向)の中央10aに長手方向(X方向)に沿って略長方形状または略楕円形状に形成されているが、これに限定されず、シートSを取り出すことができれば、他の形状でもよい。
【0045】
シート収納箱100は、使用前の段階では、取出口50を覆う蓋部90が、破断用切目線91を介して天面10に接続されている。使用時には、蓋部90を破断用切目線91に沿って切り離し、天面10に開口する取出口50を形成する。これにより、箱体B内のシートSは、取出口50から上方に取り出すことができる。なお、破断用切目線91は、使用時において蓋部90を切り離すためのミシン目等からなる切り取り線を示す(
図1、
図2参照)。
【0046】
シート収納箱100では、このように取出口50を覆う蓋部90が破断用切目線91を介して天面に接続することで、シート収納箱100の使用前は取出口50を封鎖することができる。また、シート収納箱100の使用時は、蓋部90の破断用切目線91を開裂することで取出口50を開封することができる(
図1、
図2、
図4参照)。
【0047】
本実施形態に係るシート収納箱100は、天面10の短手方向(Y方向)に対向する一対の第1フラップ60を有する。一対の第1フラップ60は、取出口50の周縁50aに形成されている。一対の第1フラップ60は、取出口50の側面31側に形成された第1フラップ61と、取出口50の側面32側に形成された第1フラップ62とで構成されている(
図1、2参照)。
【0048】
シート収納箱100は、さらに、天面10を貫通するスリット80を有する。スリット80は、第1フラップ61の基端61aに沿って断続的に設けられたスリット81と、第1フラップ62の基端62aに沿って設けられたスリット82とで構成されている。本明細書において、フラップの基端とは、フラップが回転する起点として取出口の周縁50aに接続する端部を示す(
図1~
図6参照)。
【0049】
また、スリットが基端に沿って設けられているとは、スリットが基端と重なる位置または基端の近傍に配置されていることを示す。本実施形態では、スリット81が、第1フラップ61の基端61aに沿って延びている。また、スリット82は、第1フラップ62の基端62aに沿って延びている(
図1~
図3参照)。
【0050】
また、スリットが断続的に設けられるとは、スリットが1つ以上のカットされた部分(以下カットという)と、カットされていない部分(以下タイという)とで構成されていることを示す。本実施形態では、スリットが複数のカットCで構成され、隣り合う2つのカットC間に構成されたタイTとカットCとが図配置された構造になっている(
図1~
図3参照)。なお、スリットの構造は、本実施形態の構造に限定されない。
【0051】
なお、第1フラップ60(第1フラップ61、62)の基端61a、62aに沿って断続的に設けられたスリット80(スリット81、82)は、取出口50を開封するためのスリットではなく、上述の破断用切目線91とは別個に設けられている。
【0052】
本実施形態に係るシート収納箱100では、スリット81は、第1フラップ61の基端61a上に設けられている。また、スリット82は、第1フラップ62の基端62a上に設けられている(
図1、
図2参照)。
【0053】
本明細書において、スリットが基端上に設けられているとは、スリットの全部または一部がフラップの基端と重なるようにスリットが配置されていることを示す。本実施形態では、スリット80(スリット81、82)の全部が第1フラップ60(第1フラップ61、62)の基端61a、62aと重っている(
図1~
図3参照)。
【0054】
なお、シート収納箱100において、スリット80(スリット81、82)のタイカット比は、特に限定されない。例えば、スリット80(スリット81、82)のタイカット比は、0.1以上2.5以下にすることができ、好ましくは0.15以上2以下、より好ましくは0.2以上1.5以下である。第1実施形態では、スリット80において、タイTの長さL1とカットCの長さL2との比L1/L2(タイカット比)が約0.25になっている(
図3参照)。
【0055】
また、第1フラップ61、62の基端61a、62a(タイTの部分)は、谷折りの折り筋Fで形成されている(
図2~
図6参照)。ここで、折り筋は、フラップを折りやすくするために筋または折り目を示す。また、谷折りとは、フラップを折るときに、折り目が内側になるように折ることを示す。なお、
図3では、第1フラップ61の基端61aがタイTで構成され、タイTに沿って折り筋F(
図3の点線で示された部分)が設けられている。
【0056】
シート収納箱100において、第1フラップ61、62の基端61a、62aの形状は、限定されないが、直線状であることが好ましい。ここで、基端が直線状であるとは、フラップが回転する起点が直線状であることを示す(
図1~
図6参照)。
【0057】
シート収納箱100では、第1フラップ61は、さらに分割フラップ63、65で構成されている。分割フラップ63、65は、天面10の長手方向(X方向)の中央10bで第1フラップ61が分割された構成になっている。また、第1フラップ62は、分割フラップ64、66で構成されている。分割フラップ64、66は、長手方向(X方向)の中央10bで分割された構成になっている。
【0058】
本実施形態では、第1フラップ61は、天面10の長手方向(X方向)の中央10bの部分51が短手方向(Y方向)の取出口50の外側に向かって湾曲している。また、第1フラップ62は、天面10の長手方向(X方向)の中央10bの部分52が短手方向(Y方向)の取出口50の外側に向かって湾曲している。ここで、湾曲するとは、天面10の短手方向(Y方向)の取出口50の外側に向かって凸状に取出口50の一部が拡がることを示す(
図1、
図2、
図4参照)。
【0059】
シート収納箱100では、第1フラップ61の中央10bの部分51が、蓋部90の開封端91aを構成する。また、第1フラップ62の中央10bの部分52が、蓋部90の開封端91bを構成する。開封端91a、81bは、蓋部90の破断用切目線91の一部を構成し、開封端91a、81bに指等を引っ掛けることで破断用切目線91の一部が開裂し、取出口50を開封することができる(
図1、
図2、
図4参照)。
【0060】
シート収納箱100において、分割フラップ63、64、65、66は、基端63a、64a、65a、66aが直線状になっている。本明細書において、基端とは、フラップが回転する起点として取出口の周縁50aに接続する端部を示す(
図1~
図6参照)。
【0061】
また、分割フラップ63、64、65、66の基端63a、64a、65a、66aは、谷折りの折り筋Fで形成されている(
図2~
図6参照)。本実施形態では、基端63a、64a、65a、66aの各折り筋Fを谷折りすることで、分割フラップ63、64、65、66を上方に傾斜させることができる。
【0062】
シート収納箱100では、分割フラップ63、64、65、66が、取出口50の内側に向かってテーパー状に形成されている(
図2参照)。具体的には、分割フラップ63は、基端63aと先端63bと側端63c、63dで囲まれた部分が、基端63aから先端63bに向かって先細りとなっている。また、分割フラップ64は、基端64aと先端64bと側端64c、64dで囲まれた部分が、基端64aから先端64bに向かって先細りとなっている。また、分割フラップ65は、基端65aと先端65bと側端65c、65dで囲まれた部分が、基端65aから先端65bに向かって先細りとなっている。そして、分割フラップ66は、基端66aと先端66bと側端66c、66dで囲まれた部分が、基端66aから先端66bに向かって先細りとなっている(
図1~
図4参照)。
【0063】
なお、分割フラップ63では、基端63aの側端63d寄りにスリット81の一部を設けるのが好ましい。また、分割フラップ64では、基端64aの側端64d寄りにスリット82の一部を設けるのが好ましい。また、分割フラップ65では、基端65aの側端65c寄りにスリット81の一部を設けるのが好ましい。さらに、分割フラップ66では、基端66aの側端66c寄りにスリット82の一部を設けるのが好ましい。
【0064】
これにより、各分割フラップ63、64、65、66は、傾斜しにくい基端63aの側端63d寄り、基端64aの側端64d寄り、基端65aの側端65c寄り、基端66aの側端66c寄りでも、容易に傾斜させることができる。
【0065】
また、分割フラップ63、64、65、66は、先端63b、64b、65b、66bの中央10b寄りの部分が角部67a、67b、68a、68bを形成し、角部67a、67b、68a、68bが曲線状になっている。具体的には、角部67a、67b、68a、68bが円弧状になっている(
図2参照)。
【0066】
なお、本実施形態では、第1フラップ61、62において、それぞれ2つずつ(合計4つ)の分割フラップに分割されているが、分割フラップの数は限定されない。例えば、第1フラップ61、62の少なくともいずれかを、3つ以上の分割フラップに分解してもよい。また、本実施形態では、第1フラップ61、62(分割フラップ63、64、65、66)を傾斜させてシートを取出しているが(
図4~
図6参照)、第1フラップ(分割フラップ)を傾斜させなくても、シートの取出しは可能である。
【0067】
本実施形態のシート収納箱100は、天面10の長手方向(X方向)に対向する一対の第2フラップ70を有する。一対の第2フラップ70は、取出口50の両端部53、54に形成されている。一対の第2フラップ70は、取出口50の妻面41側の端部53に形成された第2フラップ71と、取出口50の妻面42側の端部54に形成された第2フラップ72とで構成されている(
図1、2参照)。
【0068】
シート収納箱100では、第2フラップ71、72の基端71a、72aに沿って、天面10を貫通するスリット80(スリット83、84)が断続的に設けられている(
図1~
図6参照)。スリット80(スリット83、84)は、スリットが複数のカットCで構成され、隣り合う2つのカットC間に構成されたタイTとカットCとが交互に配置された構造になっている(
図1~
図3参照)。なお、スリットの構造は、本実施形態の構造に限定されない。
【0069】
なお、第2フラップ70(第2フラップ71、72)の基端71a、72aに沿って断続的に設けられたスリット80(スリット83、84)は、取出口50を開封するためのスリットでは、上述の破断用切目線91とは別個に設けられている。
【0070】
また、スリットは、1つ以上のカットされた部分(以下カットという)と、カットされていない部分(以下タイという)とで構成されている。本実施形態では、スリットが複数のカットCで構成され、隣り合う2つのカットC間に構成されたタイTとカットCとが交互に配置された構造になっている(
図1~
図3参照)。なお、スリットの構造は、本実施形態の構造に限定されない。
【0071】
なお、スリット83、84の態様は、特に限定されない。本実施形態では、スリット83、84が、第2フラップ71、72の基端71a、72a上に設けられている(
図1~
図3参照)。また、スリット83、84は、第2フラップ71、72の基端71a、72aに沿って延びている(
図1~
図3参照)。また、第2フラップ71、72の基端71a、72aは、谷折りの折り筋Fで形成されている(
図2~
図6参照)。さらに、第2フラップ71、72の基端71a、72aの形状は、直線状になっている。
【0072】
なお、シート収納箱100において、スリット80(スリット83、84)のタイカット比は、特に限定されない。例えば、スリット80(スリット83、84)のタイカット比は、0.1以上2.5以下にすることができ、好ましくは0.15以上2以下、より好ましくは0.2以上1.5以下である。第1実施形態では、スリット80(スリット83、84)において、タイTの長さL1とカットCの長さL2との比L1/L2(タイカット比)が約0.25になっている(
図3参照)。なお、第1実施形態では、スリット80(スリット81~84)は全て同じタイカット比になっているが、スリット81~84においてそれぞれ異なるタイカット比を採用してもよい。
【0073】
シート収納箱100では、一対の第2フラップ70を構成する第2フラップ71、72が、取出口50の内側に向かってテーパー状に形成されている(
図2参照)。具体的には、第2フラップ71は、基端71aと先端71bと側端71c、71dで囲まれた部分が、基端71aから先端71bに向かって先細りとなっている。また、第2フラップ72は、基端72aと先端72bと側端72c、72dで囲まれた部分が、基端72aから先端72bに向かって先細りとなっている(
図1、
図2、
図4参照)。
【0074】
なお、第2フラップ71の側端71cは、分割フラップ63の側端63cに沿って延び、第2フラップ71の側端71dは、分割フラップ64の側端64cに沿って延びている。また、第2フラップ72の側端72cは、分割フラップ65の側端65dに沿って延び、第2フラップ72の側端72dは、分割フラップ66の側端66dに沿って延びている(
図2参照)。
【0075】
また、第2フラップ71の側端71cは、分割フラップ63の側端63cと略同じ寸法になっており、第2フラップ71の側端71dは、分割フラップ64の側端64cと略同じ寸法になっている。また、第2フラップ72の側端72cは、分割フラップ65の側端65dと略同じ寸法になっており、第2フラップ72の側端72dは、分割フラップ66の側端66dと略同じ寸法になっている(
図2参照)。
【0076】
また、一対の第2フラップ70のうち第2フラップ71は、先端71bが天面10の長手方向(X方向)の取出口50の外側(妻面41側)に向かって湾曲している。また、第2フラップ72は、先端72bが天面10の長手方向(X方向)の取出口50の外側(妻面42側)に向かって湾曲している。ここで、湾曲するとは、天面10の長手方向(X方向)において取出口50の外側に向かって凸状に取出口50の一部が拡がることを示す(
図1、
図2、
図4参照)。
【0077】
シート収納箱100では、第2フラップ71の先端71bが、蓋部90の開封端91cを構成する。また、第2フラップ71の先端72bが、蓋部90の開封端91dを構成する。開封端91c、91dは、蓋部90の破断用切目線91の一部を構成し、開封端91c、91dに指等を引っ掛けることで破断用切目線91の一部が開裂し、取出口50を開封することができる(
図1、
図2、
図4参照)。
【0078】
また、シート収納箱100では、取出口50を覆う蓋部90の第2フラップ71寄りに開封口92を設けてもよい。また、蓋部90の第2フラップ72寄りに開封口93を設けてもよい。開封口92、93は、一部が不連続のミシン目等で構成することができる。そして、このミシン目等を破断することにより、破断片の一部が蓋部90に接続した状態で、蓋部90に輪郭形状が矩形状の開口が形成される(
図1、2参照)。
【0079】
なお、開封口の形態は、ミシン目に限定されず、蓋部90に最初から開口しているものでもよい。また、開封口の輪郭形状は、この形状に限定されず、円形、楕円形、三角形、台形等の輪郭形状でもよい。
【0080】
第1実施形態では、上述のように、箱体Bの手方向(Y方向)に対向する一対の第1フラップ60(第1フラップ61、62)を取出口50の周縁50aに形成し、天面10を貫通するスリット80(スリット81、82)を各第1フラップ61、62の基端61a、62aに沿って断続的に設けることにより、第1フラップ61、62が基端61a、62aに沿って上方に傾斜可能となる。
【0081】
ここで、フラップが上方に傾斜するとは、フラップが天面に対して斜めに立ち上がった状態で、取出口50の周縁50aに形成されていること示す(
図4~
図6参照)。また、傾斜可能とは、分割フラップが傾斜していない状態から傾斜した状態に変化し得ることを示す(
図1~
図6参照)。これにより、各第1フラップ61、62を上方に傾斜させることができる。
【0082】
なお、各第1フラップ61、62を傾斜させる角度(以下、傾斜角度という)は、特に限定されないが、取出口50の開口面に対して鋭角であることが好ましい。具体的には、各第1フラップ61、62の傾斜角度は、取出口50の開口面に対して10°以上80°以下であり、好ましくは20°以上70°以下であり、より好ましくは30°以上60°以下である。なお、各第1フラップ61、62の傾斜角度は、同じ角度でもよく、異なる角度でもよい。
【0083】
本実施形態では、傾斜させた第1フラップ61、62が、取出口50から引き出されるシートSに対して滑らかに接触することができる。そのため、引き出されるシートSに対して取出口50の周縁50aが抵抗になりにくい。
【0084】
そのため、引き出されるシートSが取出口50の周縁50aに引っ掛かりにくく、シートSが引き出しやすい。また、引き出されるシートSが取出口50の周縁50aに擦れても、不快な音が生じにくい。そのため、本実施形態によれば、樹脂フィルム(いわゆる窓貼フィルム)を用いなくても(いわゆるフィルムレスカートンであっても)、シートSをスムーズに引き出すことができる。
【0085】
また、本実施形態では、天面10を貫通するスリット80(スリット81、82)が第1フラップ61、62の基端61a、62aに沿って断続的に設けられているため、基端61a、62aを起点として第1フラップ61、62が折れ曲がりやすくなる。そのため、第1フラップ61、62を上方に傾斜させる作業が容易である。また、第1フラップ61、62が基端61a、62aに沿って折れ曲がりやすくなることで、第1フラップ61、62を傾斜させる際に、第1フラップ61、62が撓んだり、予期せぬ部分で折れ曲がることを抑制することができる。
【0086】
また、本実施形態では、上述のように、第1フラップ61、62の基端61a、62a上にスリット80(スリット81、82)を設けることで、基端61a、62aを起点として第1フラップ61、62がより折れ曲がりやすくなる。これにより、第1フラップ61、62を上方に傾斜させる作業がより容易になり、第1フラップ61、62を傾斜させる際の第1フラップ61、62の撓み又は予期せぬ部分の折れ曲がりをより抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態では、タイカット比が0.1以上2.5以下のスリット80(スリット81、82)を設けることで、基端61a、62aを起点として第1フラップ61、62が折れ曲がりやすくなる。また、第1フラップ61、62の基端61a、62aにスリット80(スリット81、82)が設けられている場合でも、上述の破断用切目線91に沿って取出口50を開封したり第1フラップ61、62を傾斜させる際に、第1フラップ61、62が基端61a、62aに沿って破断するのを抑制することができる。
【0088】
また、本実施形態では、第1フラップ61、62の基端61a、62aを谷折りの折り筋Fで形成することで、基端61a、62aを起点として第1フラップ61、62がさらに折れ曲がりやすくなる。これにより、第1フラップ61、62を傾斜させる作業がさらに容易になり、第1フラップ61、62を傾斜させる際の第1フラップ61、62の撓み又は予期せぬ部分の折れ曲がりをさらに抑制することができる。
【0089】
本実施形態では、上述のように、第1フラップ61、62の基端61a、62aを直線状にすることで、第1フラップ61、62が基端61a、62aを軸として回転しやすくなる。これにより、シートSが接触したときに第1フラップ61、62が上方に傾斜しやすくなり、シートSが引き出される際に取出口50の周縁50aにかかる力は各第1フラップ61、62に吸収されやすくなる。そのため、シートSをよりスムーズに引き出すことができる。
【0090】
また、第1フラップ61、62が基端61a、62aを軸として回転することで、基端61a、62aを起点として第1フラップ61、62がさらに折れ曲がりやすくなり、第1フラップ61、62を傾斜させる作業がさらに容易になる。そのため、本実施形態では、第1フラップ61、62を傾斜させる際の第1フラップ61、62の撓み又は予期せぬ部分の折れ曲がりをさらに抑制することができる。
【0091】
本実施形態では、上述のように、箱体Bの手方向(Y方向)に対向する一対の第1フラップ60(第1フラップ61、62)が、天面10の長手方向(X方向)の中央10bで分割された分割フラップ63、64、65、66でそれぞれ構成されているため、各分割フラップ63、64、65、66が天面10に対して上方に傾斜可能となる。これにより、各分割フラップ63、64、65、66を上方に傾斜させることができる。
【0092】
なお、各分割フラップ63、64、65、66傾斜角度は、特に限定されないが、取出口50の開口面に対して鋭角であることが好ましい。具体的には、各分割フラップ63、64、65、66の傾斜角度は、取出口50の開口面に対して10°以上80°以下であり、好ましくは20°以上70°以下であり、より好ましくは30°以上60°以下である。なお、各分割フラップ63、64、65、66の傾斜角度は、同じ角度でもよく、異なる角度でもよい。
【0093】
本実施形態では、傾斜させた分割フラップ63、64、65、66が、取出口50から引き出されるシートSに対して滑らかに接触することができる。そのため、引き出されるシートSに対して取出口50の周縁50aがより抵抗になりにくい。また、シートSが引き出される際に取出口50の周縁50aにかかる力は、各分割フラップ63、64、65、66に分散される。
【0094】
そのため、本実施形態では、引き出されるシートSが取出口50の周縁50aに引っ掛かりにくく、シートSがさらに引き出しやすい。また、引き出されるシートSが取出口50の周縁50aに擦れても、不快な音がさらに生じにくい。これにより、樹脂フィルムを用いなくても、シートSをよりスムーズに引き出すことができる。
【0095】
本実施形態では、第1フラップ61、62が、天面10の長手方向(X方向)の中央10bで天面10の短手方向(Y方向)の取出口50の外側に向かって湾曲することで、取出口50の開口部分(凹部67、68)を天面10の短手方向(Y方向)に拡げることができる。これにより、第1フラップ61、62を構成する分割フラップ63、64、65、66の形成がさらに容易である。また、天面10の長手方向(X方向)の中央10bで短手方向(Y方向)に拡がる取出口50の開口部分(凹部67、68)に指が入れやすくなるため、シートSの引き出しがさらに容易である(
図1、
図2、
図4参照)。
【0096】
本実施形態では、分割フラップ63、64、65、66の基端63a、64a、65a、66aをこのような直線状にすることで、分割フラップ63、64、65、66が基端63a、64a、65a、66aを軸として回転しやすくなる。そのため、シートSが接触したときに分割フラップ63、64、65、66が上方に傾斜させやすくなり、各分割フラップ63、64、65、66はシートSが引き出される際に取出口50の周縁50aにかかる力をより吸収することができる。そのため、本実施形態によれば、シートSをよりスムーズに引き出すことができる(
図4~
図6参照)。
【0097】
本実施形態では、分割フラップ63、64、65、66の基端63a、64a、65a、66aをこのような谷折りの折り筋Fで形成することで、シートSが接触したときに分割フラップ63、64、65、66が折り筋Fを起点として上方にさらに傾斜させやすくなる。そのため、本実施形態によれば、シートSをさらにスムーズに引き出すことができる。
【0098】
本実施形態では、分割フラップ63、64、65、66をこのようなテーパー状に形成することで、分割フラップ63、64、65、66の先端63b、64b、65b、66bにシートSが引っ掛かり、シートSが取出口50で保持されやすくなる。そのため、本実施形態によれば、シートSの落込みを防ぐことができる(
図1~
図4参照)。
【0099】
本実施形態では、分割フラップ63、64、65、66の先端63b、64b、65b、66bを、天面10の長手方向(X方向)の中央10b寄りで曲線状にすることで、引き出されるシートSが分割フラップ63、64、65、66の先端63b、64b、65b、66bの角部67a、67b、68a、68bに引っ掛かって破れるのを防ぐことができる。また、天面10の長手方向(X方向)の中央10bで取出口50の開口部分(凹部67、68)に指を入れる場合に、分割フラップ63、64、65、66の先端63b、64b、65b、66bの角部67a、67b、68a、68bで指を痛めることを防ぐことができる(
図1~
図4参照)。
【0100】
また、本実施形態では、上述のように、第1フラップ61、62の中央10bの部分51、52が蓋部90の開封端91a、81bを構成することで、蓋部90の開封端91aを取出口50の短手方向(Y方向)の外側に向かって湾曲させることができる。これにより、取出口50を開封する際に蓋部90の開封端91a、81bに指が掛けやすくなり、天面の長手方向の中央で短手方向に拡がる取出口50の開口部分(凹部67、68)をトリガーとして蓋部90の開裂させることができる。そのため、本実施形態では、取出口50の開封が容易である(
図1、
図2、
図4参照)。
【0101】
本実施形態では、上述のように、長手方向(X方向)に対向する一対の第2フラップ70を取出口50の両端部53、54に形成し、天面10を貫通するスリット80(スリット81、82)を各第2フラップ71、72の基端71a、72aに沿って断続的に設けることにより、第2フラップ71、72が基端71a、72aに沿って上方に傾斜可能となる。これにより、第2フラップ71、72を上方に傾斜させることができる。
【0102】
なお、各第2フラップ71、72の傾斜角度は、特に限定されないが、取出口50の開口面に対して鋭角であることが好ましい。具体的には、各第2フラップ71、72の傾斜角度は、取出口50の開口面に対して10°以上80°以下であり、好ましくは20°以上70°以下であり、より好ましくは30°以上60°以下である。なお、第2フラップ71、72の傾斜角度は、同じ角度でもよく、異なる角度でもよい。また、第2フラップ71、72の傾斜角度は、第1フラップ61、62の傾斜角度と同じ角度でもよく、また異なる角度でもよい。
【0103】
本実施形態では、取出口50の両端部53、54で上方に傾斜させた第2フラップ71、72は、取出口50から引き出されるシートSに対して滑らかに接触することができる。そのため、引き出されるシートSに対して取出口50の両端部53、54が抵抗になりにくい。また、上方に傾斜させた第2フラップ71、72は、シートSの引き出しを妨げずに、シートSを保持することができる。そのため、本実施形態によれば、シートSの落込みをさらに防ぐことができる(
図4~
図6参照)。
【0104】
また、天面10を貫通するスリット80(スリット83、84)が第2フラップ71、72の基端71a、72aに沿って断続的に設けられているため、基端71a、72aを起点として第2フラップ71、72が折れ曲がりやすくなる。そのため、第2フラップ71、72を上方に傾斜させる作業が容易である。また、第2フラップ71、72が基端71a、72aに沿って折れ曲がりやすくなることで、第2フラップ71、72を傾斜させる際に、第2フラップ71、72が撓んだり、予期せぬ部分で折れ曲がることを抑制することができる。
【0105】
また、上述のように、一対の第2フラップ70を取出口50の内側に向かってテーパー状に形成することで、第2フラップ71、72の先端71b、72bにシートSが引っ掛かりやすくなる。これにより、シートSが取出口50で保持されやすくなり、シートSの落込みをさらに防ぐことができる。また、本実施形態では、テーパー状の第2フラップ71、72が、近接する第1フラップ61、62と干渉しにくくなり、各フラップ60、70の機能低下を防ぐことができる(
図4~
図6参照)。
【0106】
本実施形態では、上述のように、第2フラップ71、72の先端71b、72bを天面10の長手方向(X方向)における取出口50の外側に向かって湾曲させることで、シートSの引き出しをより妨げずに、シートSが取出口50に保持されやすくなる。そのため、本実施形態によれば、シートSの落込みをさらに防ぐことができる。
【0107】
本実施形態では、第2フラップ71、72の先端71b、72bが蓋部90の開封端91c、91dを構成することで、蓋部90の開封端91c、91dを取出口50の長手方向(X方向)の外側に向かって湾曲させることができる。これにより、取出口50を開封する際に蓋部90の開封端91c、91dに指が掛けやすくなり、取出口50の長手方向(X方向)の両端部53、54をトリガーとして蓋部90の開裂させることができる。そのため、本実施形態では、取出口50の開封が容易である(
図1、
図2、
図4参照)。
【0108】
本実施形態では、蓋部90の第2フラップ71寄りに開封口92を設け、蓋部90の第2フラップ72寄りに開封口93を設けることで、取出口50を開封する際に蓋部90の開封口92、93に指が掛けやすくなり、この開封口92、93をトリガーとして蓋部90の開裂させることができる。そのため、本実施形態では、取出口50の開封が容易である(
図1、
図2参照)。
【0109】
なお、本実施形態では、第2フラップ71、72の先端71b、72bが蓋部90の開封端81aを構成し、さらに、蓋部90の第2フラップ71、72寄りに開封口92、93が設けられている。これにより、取出口50を開封する際に、蓋部90の開封端81a(第2フラップ71、72の先端71b、72b)および蓋部90の開封口92、93のいずれからでも、蓋部90を切り離すことができる(
図1、
図2、
図4参照)。
【0110】
図7は、第2実施形態において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。第2実施形態では、第1実施形態に比べてスリット80(スリット81~84)のタイカット比が大きくなっている。すなわち、第2実施形態では、カットCに対するタイTの比率を増加させている(
図7参照)。
【0111】
具体的には、スリット80において、タイTの長さL1とカットCの長さL2との比L1/L2(タイカット比)が0.2以上1.5以下になっている。より具体的には、スリット80において、タイTの長さL1とカットCの長さL2との比L1/L2(タイカット比)が約1になっている。すなわち、タイTの長さL1とカットCの長さL2とは、略同じ長さになっている(
図7参照)。
【0112】
第2実施形態では、タイカット比が0.1以上2.5以下の範囲であるため、第1フラップ61、62の折り曲げやすさは殆ど低下しない。また、タイカット比が0.1以上2.5以下の範囲でタイカット比が大きくなるようにスリット80を設けることで、基端61a、62aに沿ってより破断しにくい第1フラップ61、62を構成することができる。
【0113】
図8は、第3実施形態において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。第3実施形態では、第1実施形態と比べて、第1フラップ61、62の基端61a、62aおよび第2フラップ71、72の基端71a、72aのいずれにも、折り筋Fは設けられていない。すなわち、第1フラップ61、62の基端61a、62aに沿って、スリット80(スリット81、82)のみが設けられ、第2フラップ71、72の基端71a、72aに沿っては、スリット80(スリット83、84)のみが設けられている(
図8参照)。
【0114】
第3実施形態では、各フラップ60、70の基端に沿って天面10を貫通するスリット80が断続的に設けられていることで、各フラップ60、70の基端に折り筋を設けなくても、第1フラップ61、62が基端61a、62aに沿って上方に傾斜可能となり、第2フラップ71、72が基端71a、72aに沿って上方に傾斜可能となる。そのため、第3実施形態でも、樹脂フィルムを用いずに、シートSをスムーズに引き出すことができる。また、各フラップ60、70を傾斜させる際に、各フラップ60、70が撓んだり、予期せぬ部分で折れ曲がることを抑制することができる
【0115】
図9は、第4実施形態において、第1フラップの基端の一部を拡大した図である。第4実施形態では、スリット80が、取出口50の外側に向かって凸となるV字状になっている。具体的には、各スリット80は、V字状のカットCの両端C1、C2が各フラップ60、70の基端(例えば、分割フラップ63の基端63a)上に配置され、V字状のカットCの頂部C3が取出口50の外側に配置されている(
図9参照)。
【0116】
第4実施形態では、取出口50の外側に向かって凸となるV字状のスリット80(スリット81、82)を第1フラップ61、62の基端61a、62aに沿って設けることで、基端61a、62aを起点とする第1フラップ61、62の折れ曲がりやすさを維持することができる。第1フラップ61、62の基端61a、62aにスリット80(スリット81、82)が設けられている場合でも、上述の破断用切目線91に沿って取出口50を開封したり第1フラップ61、62を傾斜させる際に、第1フラップ61、62が基端61a、62aに沿って破断するのをさらに抑制することができる。
【0117】
図10は、本発明の第5実施形態に係るシート収納箱を天面側から見た図である。第5実施形態のシート収納箱100では、第1実施形態のシート収納箱において、蓋部90の破断用切目線91が天面10の長手方向(X方向)の中央10b(蓋部90の中央)に形成された分割用切目線94を含んでいる。分割用切目線94は、蓋部90を蓋部90aと蓋部90bに分割するように天面10の短手方向(Y方向)に延びている。
【0118】
また、蓋部90の蓋部90aの分割用切目線94寄りには、開封口95が設けられ、蓋部90の蓋部90bの分割用切目線94寄りには、開封口96が設けられている。開封口95、96は、一部が不連続のミシン目等で構成されている。そして、このミシン目等を破断することにより、破断片の一部が蓋部90(蓋部90a、90b)にそれぞれ接続した状態で、蓋部90に輪郭形状が略半円状の開口が形成される(
図10参照)。
【0119】
第4実施形態では、破断用切目線91の一部が、天面10の長手方向(X方向)の中央10bに形成されて蓋部90を2つの蓋部90a、90bに分割するように天面10の短手方向(Y方向)に延びる分割用切目線94を構成し、さらに分割用切目線94の近傍に開封口95、96が設けられている。これにより、取出口50を開封する際に蓋部90(蓋部90a、90b)の開封口95、96に指が掛けやすくなり、天面10の長手方向(X方向)の中央10bで短手方向(Y方向)に拡がる取出口50の開口部分(蓋部90の中央)をトリガーとして蓋部90(蓋部90a、90b)の開裂させることができる。そのため、第5実施形態では、取出口50の開封が容易である(
図10参照)。
【0120】
また、天面10の長手方向(X方向)の中央10bで短手方向(Y方向)に拡がる取出口の開口部分(蓋部90の中央)は、取出口50の両端部53、54に比べて、短手方向(Y方向)の幅が広い。そのため、蓋部90(蓋部90a、90b)の分割用切目線94寄りは、開封口95、96の形成が容易である(
図10参照)。
【実施例】
【0121】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0122】
<シート収納箱(試験体)>
試験体として、原紙が坪量310g/m
2の裏ネズコートボール紙であり、寸法が高さ約44mm、幅約229mm、奥行き約110mmの箱体Bを作製した。
図1、
図2、
図12、
図13、
図14に示すように、箱体Bの天面10の短手方向(Y方向)の中央10aに、天面10の長手方向(X方向)に延びる取出口50を形成した。取出口50の輪郭形状は、略長方形状または略楕円形状とした。取出口50の寸法は、長手方向(X方向)の寸法を約175mm、長手方向(X方向)の中央10bにおける短手方向(Y方向)の寸法を約45mm、取出口50の両端部53、54における短手方向(Y方向)の寸法を約25mmとした。
【0123】
<シート(ティシューペーパー)>
シートSは、交互に折り畳まれてポップアップ式に1組ずつ引き出せるように積層されたティシューペーパー(坪量:10.7g/m
2、紙厚:110μm、プライ数:2プライ、組数:150組(300枚)、寸法:嵩(高さ)約40mm、縦幅約197mm、横幅約207mmを用いた。また、シートSは、積層方向がシート収納箱100の高さ方向(Z方向)となるように箱体Bに収容した(
図1、
図2、
図4~
図6、
図12~
図14参照)。
【0124】
[折り曲げ性]
シート収納箱100におけるフラップの折り曲げ性を評価した。折り曲げ性の評価では、フラップ60(フラップ62)に目玉クリップ(コクヨ株式会社製、「クリ-17」)をフラップ62の基端62aに沿って装着し、シート収納箱100の箱体Bを側面32が天面となるよう反転し、目玉クリップの持ち手部分の一方の穴にプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、デジタルフォースゲージZ2-20N)のフックを通し、0.4~0.6秒の時間をかけて一定速度で、側面32に対して垂直方向に目玉クリップを引き上げたときの抵抗値(単位:kgf)を測定した。なお、折り曲げ性の評価基準は、抵抗値を計4回測定したときの平均値が0.2gf以下の場合は良好(フラップが折り曲げやすい)ものとし、0.2kgfを超える場合は良好でない(フラップが折り曲げにくい)ものとした。
【0125】
[取出性]
シート収納箱100の初期の取出性を評価した。取出性の評価では、シート収納箱100の箱体Bに収容されたシートSの積層体から、天面10に形成された取出口50親指と人差し指を挿入して1組のシートSを摘んだときの摘まみ易さを確認した。取出性の評価は、以下の基準で行った。なお、取出性の評価基準は、取出性が3以上の場合は良好である(シートSが取出しやすい)ものとし、3未満の場合は良好でない(シートSが取り出しにくい)ものとした。
5:指が取出口に触れずに最初の1組がつまめる
4:指が取出口にわずかに触れるが最初の1組がつまめる
3:指が取出口に触れるが最初の1組がつまめる
2:指が取出口に触れて最初の1組がつまみにくい
1:最初の1組がつまめない
【0126】
[引出し抵抗値]
シート収納箱100の引出し抵抗値を評価した。引出し抵抗値の評価では、試験体(シート収納箱100)を平坦な載置面上に置き、箱体Bの取出口5から1組目のティシュペーパー(シートS)を約40mm引出し、引き出したシートSの上方側の先端(シートSの端部の中央)をダブルクリップ(プラス株式会社製、「CP-103」、挟持部分の寸法約32mm)で挟んだ。ダブルクリップの持手部分の片側にプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、デジタルフォースゲージZ2-20N)のフックを引っ掛け、0.4~0.6秒の時間をかけて一定速度で、箱体Bの天面10に対して垂直方向にシートSを引き出したときの抵抗値(単位:kgf)を測定した。なお、引出し抵抗値の評価基準は、シートSの5組目を引き出したときの抵抗値が0.13kgf以下の場合は良好である(シートSが取出しやすい)ものとし、0.13kgfを超える場合は良好でない(シートSが取り出しにくい)ものとした。
【0127】
[取出し時の音]
シート収納箱100におけるシートSの取出時の音を評価し、耳障り(または不快)に感じる音域を確認した。音の評価は、半無響室(室内温度23.8℃、湿度60%rh、幅75cm×奥行75cm×高さ75cm)の中央部に木製の台を設置し、台の中央に試験体(シート収納箱100)を設置した。マイクロフォンは、取出し音が発生する上方斜め45度で台から高さ70cmの位置に設置した。右手の中指、人差し指、親指でティシューペーパーの端部の中央を掴み、1組あたり1秒の速さで垂直方向に1組目から15組目まで連続で取り出すときの音(dB)を録音した。なお、取出し時の音の評価基準は、4000Hzにおける音(dB)が50dB以下の場合は良好である(不快な音ではない)ものとし、50dBを超える場合は良好でない(不快な音である)ものとした。
【0128】
[ラウドネス]
シート収納箱100のシートSの取出時のラウドネスを評価した。ラウドネスの評価は、上述した取出時の音から、ラウドネス指数(人が感じる音の大きさ)を算出した。ラウドネス指数は、単位がsoneで示され、音圧レベルが40dBの1000Hzの音の大きさは1soneと定義される。例えば、人の感じる音の大きさが2倍になれば2Sone、半分になれば0.5soneとなる。なお、ラウドネスの評価基準は、8Sone以下の場合は良好である(大きな音に感じない)ものとし、8soneを超える場合は良好でない(大きな音に感じる)ものとした。
【0129】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0130】
[実施例1]
図1に示すように、試験体(シート収納箱100)において、天面10の短手方向(Y方向)に対向する一対の第1フラップ60(第1フラップ61、62)を取出口50の周縁50aに形成した。第1フラップ61は、長手方向(X方向)の中央10bの部分51(中央凹部)を短手方向(Y方向)の取出口50の外側に向かって湾曲するように切り欠いて、天面10に対して上方に傾斜可能な分割フラップ63、65に分割した。第1フラップ62は、長手方向(X方向)の中央10bの部分52(中央凹部)を短手方向(Y方向)の取出口50の外側に向かって湾曲するように切り欠いて、天面10に対して上方に傾斜可能な分割フラップ64、66に分割した。分割フラップ63、64、65、66は、天面10に対して上方に傾斜するように、基端63a、64a、65a、66aを谷折りの折り筋Fで直線状に形成した。また、分割フラップ63、64、65、66は、取出口50の内側に向かってテーパー状に形成し、先端63b、64b、65b、66bの中央10b寄りの部分(角部67a、67b、68a、68b)を曲線状に形成した。さらに、長手方向(X方向)に対向する一対の第2フラップ70(側端フラップ)を取出口50の両端部53、54に形成した。一対の第2フラップ70を構成する第2フラップ71、72は、天面10に対して上方に傾斜するように、基端71a、72aを谷折りの折り筋Fで直線状に形成した。第2フラップ71、72は、取出口50の内側に向かってテーパー状に形成し、先端71b、72bが天面10の長手方向(X方向)の取出口50の外側に向かって湾曲するように形成した(
図1、
図2参照)。さらに、第1フラップ61、62の基端61a、62aに沿って断続的に延びるスリット80(スリット81、82)を基端61a、62a上に設け、第2フラップ71、72の基端71a、72aに沿って断続的に延びるスリット80(スリット83、84)を基端71a、72a上に設けた。また、スリット80(スリット81~84)のタイカット比(タイTの長さL1とカットCの長さL2との比L1/L2)は、いずれも約0.25とした(
図3参照)。なお、分割フラップ63、64、65、66および第2フラップ71、72は、いずれも取出口50の開口面に対して鋭角になるように、天面10に対して上方に傾斜させた状態にした。この試験体について、折り曲げ性、取出性、引出し抵抗値、取出し時の音、およびラウドネスを評価した。結果を表1に示す。
【0131】
[実施例2]
図7に示すように、スリット80(スリット81~84)のタイカット比をいずれも約1とした以外は、実施例1と同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、折り曲げ性を評価した。結果を表1に示す。
【0132】
[実施例3]
図8に示すように、第1フラップ61、62の基端61a、62aおよび第2フラップ71、72の基端71a、72aのいずれにも折り筋Fを設けなかった以外は、実施例1と同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、折り曲げ性を評価した。結果を表1に示す。
【0133】
[実施例4]
図9に示すように、スリット80(スリット81~84)を取出口50の外側に向かって凸となるV字状にした以外は、実施例1と同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、折り曲げ性を評価した。結果を表1に示す。
【0134】
[参考例1]
図11に示すように、スリット80(スリット81~84)を設けなかった以外は、実施例1と同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、折り曲げ性を評価した。結果を表1に示す。
【0135】
[比較例1]
図12、
図13に示すように、第1フラップ60、第2フラップ70のいずれも設けず、天面10の裏側(底面20側)から取出口50を覆う樹脂製のフィルムR(いわゆる窓貼フィルム)を天面10の裏側に貼り付け、フィルムRに取出口50の長手方向(X方向)に延びるスリットP(開裂することでシートSが引き出される)を設けた以外は、実施例1と同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、取出性、引出し抵抗値、取出し時の音、およびラウドネスを評価した。結果を表1に示す。
【0136】
[比較例2]
図14に示すように、樹脂製のフィルムR(窓貼フィルム)を取り除いた以外は、比較例1と同様に試験体(シート収納箱100)を作製し、評価した。結果を表1に示す。
【0137】
[比較例3]
市販のシート収納箱(特許文献2に開示されたシート収納箱)について、実施例1と同様に、評価した。結果を表1に示す。
【0138】
【0139】
表1より、スリット80が各フラップ60,70の基端に沿って断続的に設けられた構成では、折り曲げ性が良好であった(実施例1~4)。
【0140】
さらに、第1フラップ61、62において長手方向(X方向)の中央10bの部分51、52が短手方向(Y方向)の取出口50の外側に向かって湾曲するように切り欠かれ、分割フラップ63、64、65、66が構成され、分割フラップ63、64、65、66の基端63a、64a、65a、66aが谷折りの折り筋Fで直線状に形成され、分割フラップ63、64、65、66が取出口50の内側に向かってテーパー状に形成され、先端63b、64b、65b、66bの中央10b寄り角部67a、67b、68a、68bが曲線状に形成され、取出口50の両端部53、54に形成され長手方向(X方向)に対向する一対の第2フラップ70(第2フラップ71、72)が天面10に対して上方に傾斜可能に基端71a、72aが谷折りの折り筋Fで直線状に形成され、第2フラップ71、72が取出口50の内側に向かってテーパー状に形成され、先端71b、72bが天面10の長手方向(X方向)の取出口50の外側に向かって湾曲するように形成された構成では、取出性、引出し抵抗値、取出し時の音、およびラウドネスが良好であった(実施例1)。
【0141】
これに対して、スリット80が設けられていない構成では、折り曲げ性が良好でなかった(参考例1、比較例1~3)。また、分割フラップが設けられていない構成では、取出性、引出し抵抗値、取出し時の音、ラウドネスの少なくともいずれかが良好でなかった(比較例1~3)。
【0142】
これらの結果から、箱体の天面の長手方向に延びる取出口の周縁に形成され、箱体の天面の短手方向に対向する一対の第1フラップの基端に沿って、天面を貫通するスリットが断続的に設けられたシート収納箱は、第1フラップを傾斜させる際に、第1フラップが撓んだり、予期せぬ部分で折れ曲がることを抑制することが判る。また、樹脂フィルムを用いなくても、シートをスムーズに引き出せることが判る。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0144】
100 シート収納箱
B 箱体
S シート(ティシューペーパー)
10 天面
10b 中央
20 底面
30、31、32 側面
40、41、42 妻面
50 取出口
50a 周縁
51、52 中央の部分
53、54 端部
60、61、62 第1フラップ
63、64、65、66 分割フラップ
61a、62a、63a、64a、65a、66a 基端
61b、62b、63b、64b、65b、66b 先端
63c、63d、64c、64d、65c、65d、66c、66d 側端
67、68 凹部
67a、67b、68a、68b 角部
70、71、72 第2フラップ
71a、72a 基端
71b、72b 先端
71c、71d、72c、72d 側端
80、81、82、83、84 スリット
C カット
T タイ
F 折り筋
90 蓋部
91 破断用切目線
91a、91b、91c、91d 開封端
92、93 開封口
R フィルム
P スリット