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特許7438710シート給送装置、画像読取装置、画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】シート給送装置、画像読取装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/68 20060101AFI20240219BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20240219BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240219BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B65H3/68
B65H3/52 330D
G03G15/00 107
H04N1/00 519
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019188305
(22)【出願日】2019-10-15
(65)【公開番号】P2021062951
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】謝 建勲
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-082049(JP,A)
【文献】特開2015-098371(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/00-3/68
G03G 15/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ートを給送する給送部材と、
前記給送部材に圧接してニップ部を形成し、該ニップ部において前記給送部材により給送されるシートを一枚ずつに分離する分離部材と、
前記分離部材を着脱可能に保持する保持部材と、
前記分離部材の少なくとも一部を覆う第1位置と、前記分離部材を露出させる第2位置とに移動可能なカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、前記第1位置に位置する状態で前記分離部材が前記保持部材から取り外される方向に移動される際に、前記分離部材に当接して前記第1位置から前記第2位置に移動することを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記分離部材は、前記給送部材に圧接して前記ニップ部を形成する分離ローラと、前記分離ローラの回転軸と、前記分離部材を把持するための把持部と、を含むことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記保持部材は、前記回転軸が嵌合する装着部を含み、
前記カバー部材は、前記第1位置において前記装着部を覆うことを特徴とする請求項2に記載のシート給送装置。
【請求項4】
記カバー部材は、前記第1位置に位置する状態で前記分離部材が前記保持部材から取り外される方向に移動される際に、前記把持部と当接し、前記第1位置から前記第2位置に移動することを特徴とする請求項2又は3に記載のシート給送装置。
【請求項5】
シートが積載される積載部と、
前記積載部に積載されたシートを前記給送部材へ給送するピックローラと、
前記積載部に積載されたシートと前記ピックローラとが離間する第3位置と、前記積載部に積載されたシートと前記ピックローラとが当接する第4位置とに、前記積載部を移動させる移動部と、を備え、
前記カバー部材は、前記第2位置に位置する状態で前記積載部が前記第3位置から前記第4位置に移動することで、前記積載部の一部と当接し、前記第2位置から前記第1位置に移動することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記カバー部材が前記第1位置と前記第2位置の間の位置に位置する時、前記カバー部材を前記第1位置又は前記第2位置のいずれか一方に向かって付勢する付勢部材を備えることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記カバー部材は、前記カバー部材が前記第1位置に位置する状態でシートを前記ニップ部へ案内するガイド面を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記カバー部材は、回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項9】
シートの画像を読み取る画像読取部と、
前記画像読取部に向けてシートを給送する請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に向けてシートを給送する請求項1乃至のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いてシートに画像を形成する電子写真複写機、レーザビームプリンタなどの画像形成装置や、スキャナなどの画像読取装置に好適なシート給送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートを自動的に給送してシートの画像を読み取る画像読取装置は、画像を読み取る画像読取部に向けてシートを給送するシート給送装置を搭載する。シート給送装置においては、シートを給送する給送ローラと、給送ローラに圧接して給送ローラと共にニップ部を形成し、ニップ部において給送ローラにより給送されるシートを一枚ずつに分離する分離ローラを備える構成が知られている。
【0003】
この構成のシート給送装置を継続的に使用する場合、シートから発生する紙粉が分離ローラに付着することや、分離ローラの摩耗に伴い、分離ローラの交換作業が必要となる。これに関して特許文献1では、分離ローラを通過するシートの移動を案内するカバー部材を、分離ローラが装着される装着部を覆う位置から露出させる位置へ移動させた後、分離ローラを取り外して交換する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-113940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した通り、特許文献1に記載の構成では、分離ローラを交換する際に、交換を行う作業者によりカバー部材を移動させる操作が必要となる。しかしながら、分離ローラの交換性を向上させるためには、分離ローラの交換時に必要となる操作がなるべく少ない方が好ましい。
【0006】
そこで本発明はこのような現状に鑑み、分離ローラの交換性の向上を図ることができるシート給送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係るシート給送装置の代表的な構成は、ートを給送する給送部材と、前記給送部材に圧接してニップ部を形成し、該ニップ部において前記給送部材により給送されるシートを一枚ずつに分離する分離部材と、前記分離部材を着脱可能に保持する保持部材と、前記分離部材の少なくとも一部を覆う第1位置と、前記分離部材を露出させる第2位置とに移動可能なカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、前記第1位置に位置する状態で前記分離部材が前記保持部材から取り外される方向に移動される際に、前記分離部材に当接して前記第1位置から前記第2位置に移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、シート給送装置において、分離ローラの交換性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像読取装置の断面概略図である。
図2】画像読取装置の断面概略図である。
図3】分離ローラの周囲の斜視図である。
図4】分離ローラの周囲の斜視図である。
図5】分離ローラの周囲の平面図である。
図6】分離ローラの周囲の斜視図である。
図7】分離ローラの周囲の平面図である。
図8】分離ローラの周囲の斜視図である。
図9】分離ローラの周囲の断面図である。
図10】分離ローラの交換時のADFの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<画像読取装置>
以下、まず本発明に係るシート給送装置を備える画像読取装置の全体構成について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
図1図2は、画像読取装置Aの断面概略図である。ここで図1は、原稿トレイ6が待機位置に位置し、開閉カバー2が閉位置に位置する状態を示す。図2(a)は、原稿トレイ6が給送位置に位置する状態を示す。図2(b)は、開閉カバー2が開位置に位置する状態を示す。原稿トレイ6や開閉カバー2の詳しい位置に関しては後述する。
【0012】
図1図2に示す様に、画像読取装置Aは、リーダ200と、ADF100から構成される。ADF100は、シートSを自動で搬送しながらシートSの画像を読み取る装置である。ADF100は、リーダ200に対して不図示のヒンジにより回動自在に支持されている。
【0013】
リーダ200は、原稿であるシートSの画像を読み取る第一スキャナユニット202と、シートSを載置する第一ガラス板201と、第一ガラス板201と副走査方向に並んで配置された原稿台ガラス209を有する。第一スキャナユニット202は、不図示のモータの駆動力により駆動することで、第一ガラス板201の下方の位置と原稿台ガラス209の下方の位置との間を移動する。
【0014】
リーダ200で画像を読み取る際は、まず原稿台ガラス209上にシートSを載置する。次に、第一スキャナユニット202が移動しながら原稿台ガラス209を介してシートSの画像読取面に光を走査し、反射光をイメージセンサで受光してシートSの画像データを読み取る。なお、原稿台ガラス209へのアクセスは、ADF100を回動させて上方に開放することで可能となる。
【0015】
ADF100は、第一スキャナユニット202(画像読取部)よりもシートSが搬送される搬送パスHの下流側でシートSの画像を読み取る第二スキャナユニット205(画像読取部)を備える。第二スキャナユニット205は、シートSの画像読取面に光を走査し、反射光をイメージセンサで受光してシートSの画像データを読み取る。ADF100は、シートSの表面を第一スキャナユニット202で読み取り、シートSの裏面を第二スキャナユニット205で読み取る。
【0016】
またADF100は、シートSを積載する原稿トレイ6(積載部)と、原稿トレイ6に積載されたシートSをピックアップするピックローラ41と、ピックローラ41によってピックアップされたシートSを給送する給送ローラ42を備える。また給送ローラ42によって給送されたシートSを搬送する搬送ローラ4(4a~4d)を備える。
【0017】
またADF100は、給送ローラ42に圧接して分離ニップ部に形成し、分離ニップ部において給送ローラ42に給送されるシートSを一枚ずつに分離する分離ローラ5を備える。分離ローラ5には、不図示のトルクリミッタが取り付けられている。従って、二枚のシートSが分離ニップ部に進入する場合、二枚のシートSの間で滑りが生じて給送ローラ42のトルクが逃げ、分離ローラ5に所定以上のトルクが付与されずに、トルクリミッタの負荷により分離ローラ5の回転が規制される。これにより分離ローラ5に接触するシートSは、給送ローラ42に接触するシートSから分離され、シートSが一枚ずつに分離される。
【0018】
また一枚のシートSが分離ニップ部に進入する場合、給送ローラ42に入力されたトルクがシートSの摩擦力を介して分離ローラ5に伝達され、分離ローラ5に所定以上のトルクが付与される。これにより分離ローラ5とトルクリミッタとのトルクの伝達が遮断され、分離ローラ5は給送ローラ42の回転に従動してシートSの給送方向に回転し、シートSが給送される。なお、本実施形態では、分離ローラ5にシートSの給送方向の所定以上のトルクが付与されない場合、分離ローラ5は停止する構成である。しかしながら、分離ローラ5をシートSの給送方向と反対方向に回転させる駆動部を設け、分離ローラ5にシートSの給送方向の所定以上のトルクが付与されない場合、分離ローラ5をシートSの給送方向と反対方向に回転させる構成としてもよい。
【0019】
またADF100は、分離ローラ5を通過するシートSの移動を案内する分離カバー3(カバー部材)を備える。分離カバー3の詳しい構成については後述する。これらの原稿トレイ6、ピックローラ41、給送ローラ42、分離ローラ5、分離カバー3は、第一スキャナユニット202や第二スキャナユニット205に向けてシートSを給送するシート給送装置300の一部である。
【0020】
原稿トレイ6は、トレイ支持軸6aに回動自在に支持されている。また原稿トレイ6の下方には、リフタ駆動軸63aに軸支されたリフタ63(移動部)が設けられている。不図示のモータの駆動力によってリフタ63がリフタ駆動軸63aを中心に回動すると、リフタ63が原稿トレイ6に当接する。その後、リフタ63がさらに回動すると、原稿トレイ6がトレイ支持軸6aを中心に回動し、原稿トレイ6の先端部が上昇する。これにより原稿トレイ6に積載されたシートSとピックローラ41とが当接し、ピックローラ41によるシートSの給送が可能となる。このように原稿トレイ6は、原稿トレイ6に積載されたシートSとピックローラ41とが離間する待機位置(第3位置)と、原稿トレイ6に積載されたシートSをピックローラ41に当接させる給送位置(第4位置)との間を回動する。
【0021】
ピックローラ41は、ピックアーム46に支持されている。ピックアーム46は、給送ローラ42の回転軸45に対して回動可能に支持されており、不図示のカムの回転によって回動位置が制御されている。原稿トレイ6が待機位置から給送位置に移動する際、不図示のカムが回転し、ピックアーム46はピックローラ41が下降する方向に回動する。またピックアーム46を支持する回転軸45は、開閉カバー2に支持されている。つまり開閉カバー2は、ピックアーム46や回転軸45を介して、ピックローラ41や給送ローラ42を支持している。またピックアーム46は、不図示のバネによって下方へ付勢されており、これによりピックローラ41は原稿トレイ6上のシートSに圧接する。
【0022】
開閉カバー2は、ADF100の支持軸2aに対して回動自在に支持されており、ADF100の装置本体に対して開いた開位置と、閉じた閉位置との間を回動する。開閉カバー2は、開位置に位置する時に搬送パスHを開放し、閉位置に位置する時に搬送パスHを形成する。また開閉カバー2が開位置に位置する時、分離カバー3や分離ローラ5は露出する。
【0023】
ADF100によりシートSの画像を読み取る際は、まず原稿トレイ6に積載されたシートSをピックローラ41によりピックアップし、分離ローラ5によって一枚に分離させながら、給送ローラ42により搬送パスHに給送する。搬送パスHに給送されたシートSは、上ガイド9と下ガイド7によって移動を案内されながら、搬送ローラ4a~4cによって第一ガラス板201上に搬送される。
【0024】
次に、第一スキャナユニット202が第一ガラス板201を介してシートSに光を照射し、シートSの表面の画像を読み取る。その後、ユーザからシートSの裏面を読み取る指示がされている場合、第二スキャナユニット205はシートSの裏面の画像を読み取る。その後、シートSは、排出ローラ17によって排出部99に排出される。
【0025】
<分離ローラの交換について>
分離ローラ5には、給送ローラ42によるシートSの給送方向の力と、不図示のトルクリミッタによるシートSの給送方向と反対方向の力が作用する。従って、シートSの給送方向の力のみ作用する給送ローラ42などと比較して摩耗しやすく、ADF100の製品寿命より短い期間で新品への交換が必要となる場合が多い。そこで次に、分離ローラ5の交換するための構成について説明する。
【0026】
図3は、分離ローラ5の周囲の斜視図である。図4は、分離ローラ5の周囲の斜視図であり、図3から搬送ガイド24の一部を省略した図である。図5は、図4を分離ローラ5の回転軸線方向から見た平面図である。
【0027】
図3図5に示す様に、シート給送装置300は、分離ローラ5を保持する分離ホルダ19(保持部材)を備える。分離ホルダ19には、分離ローラ5の回転軸5aが装着される装着溝19a(装着部)が形成されており、分離ローラ5の回転軸5aが装着溝19aに嵌合して装着されることで、分離ローラ5が分離ホルダ19に保持される(図9参照)。また分離ホルダ19は、フレーム23のバネ掛け部23bと分離ホルダ19のバネ掛け部19bに張設されたバネ20により付勢されており、この付勢力によって分離ローラ5が給送ローラ42に圧接する(図9参照)。また分離ローラ5の回転軸5aの一端部には、分離ローラ5の回転軸5aを装着溝19aに装着する際に把持する把手18(把持部)が取り付けられている。
【0028】
またシート給送装置300は、そのフレーム23に対してねじ95で固定され、分離ホルダ19を回動可能に支持する支持部材22と、フレーム23に固定され、シートSの搬送路を形成する搬送ガイド24を有する。搬送ガイド24の一部は切り欠かれており、この切り欠かれた部分に分離カバー3のガイド面3aが配置される。分離カバー3のガイド面3aは、シートSの給送方向における分離ローラ5の上流側と、分離ローラ5の回転軸線方向における分離ローラ5の両端部の周囲に配置され、分離ローラ5を通過するシートSの移動を案内する。
【0029】
また分離カバー3は、フレーム23に対して回動可能に支持されている。具体的には、分離カバー3に形成された支持孔3cに対して、フレーム23に形成された支軸部23aが挿入されている。分離カバー3は、支軸部23aを中心に回動することで、分離ローラ5の回転軸5aが装着される分離ホルダ19の装着溝19aを露出させる退避位置(第1位置)と、分離ホルダ19の装着溝19aを覆うカバー位置(第2位置)との間を移動可能に構成される。分離カバー3がカバー位置に位置し、分離ホルダ19に分離ローラ5が保持されている時、分離カバー3は分離ローラ5の回転軸5aや把手18の少なくても一部を上方から覆う。分離カバー3は、画像の読み取り時などの通常時はカバー位置に位置している。
【0030】
また分離カバー3と搬送ガイド24との間には引っ張りバネであるトグル式のバネ25(付勢部材)が張設されている。バネ25は、分離カバー3のバネ掛け部3bと搬送ガイド24のバネ掛け部24aに取り付けられている。分離カバー3のバネ掛け部3bは、分離カバー3の回動中心であるフレーム23の支軸部23aの下方に位置し、搬送ガイド24のバネ掛け部24aは支軸部23aの上方に位置し、両者は分離カバー3の回転軸線に対して直交する平面上に位置する。
【0031】
シートSの給送方向に関して、バネ掛け部3bがフレーム23の支軸部23aより上流側に位置する時、バネ25の付勢力は、分離カバー3をカバー位置に向かって付勢する力として作用する。またバネ掛け部3bがフレーム23の支軸部23aより下流側に位置する時、バネ25の付勢力は、分離カバー3を退避位置に向かって付勢する力として作用する。このようにバネ25は、分離カバー3が退避位置とカバー位置との間の位置に位置する時、分離カバー3を退避位置又はカバー位置のいずれか一方に向かって付勢し、分離カバー3を退避位置又はカバー位置の間のいずれかの位置に位置させる。
【0032】
次に、分離ローラ5の交換動作について説明する。図6は、分離カバー3が退避位置に位置する時の分離ローラ5の周囲の斜視図である。図7は、図6を分離ローラ5の回転軸線方向から見た平面図である。図6図7に示す様に、分離ローラ5を交換する際、交換を行う作業者は、まず開閉カバー2を閉位置から開位置に移動させた後、分離カバー3に形成された把持面3dを把持し、分離カバー3をカバー位置から退避位置に移動させる。把持面3dは、分離カバー3のガイド面3aから下方に延びた部分である。これにより分離ローラ5の回転軸5aが装着される分離ホルダ19の装着溝19aが露出する。
【0033】
次に作業者は、分離ローラ5の回転軸5aに取り付けられた把手18を把持して上方に持ち上げる。これにより分離ローラ5の回転軸5aが分離ホルダ19の装着溝19aから外れ、分離ローラ5が分離ホルダ19から取り外される。次に作業者は、新たな分離ローラ5を分離ホルダ19の装着溝19aに装着し、分離カバー3を退避位置からカバー位置に移動させた後、開閉カバー2を開位置から閉位置へ移動させる。これにより分離ローラ5の交換作業が終了する。
【0034】
また本実施形態では、以下に説明する方法により分離ローラ5の交換することも可能である。図8に示す様に、作業者は、分離カバー3がカバー位置に位置する状態で、分離ローラ5の把手18を把持し、分離ローラ5を分離ホルダ19の装着溝19aから取り外す方向である上方に移動させる。これにより分離ローラ5の把手18は、分離カバー3のガイド面3aの裏面と当接する。その後、作業者がそのまま分離ローラ5を移動させると、把手18によって分離カバー3が押し上げられ、分離カバー3はカバー位置から退避位置へと移動する。このように分離ローラ5が分離ホルダ19から取り外される。なお、図9は、図8において把手18と分離カバー3との当接位置を切断した断面図である。
【0035】
このように本実施形態の構成によれば、分離ローラ5の交換を行う作業者が、分離カバー3をカバー位置から退避位置に移動させる動作を行うことなく、分離ローラ5を取り外すことができる。従って、分離ローラ5の交換を行う際に作業者に必要となる操作が減るため、分離ローラ5の交換性を向上させることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、分離ローラ5の把手18と分離カバー3とが当接し、分離カバー3が押し上げられてカバー位置から退避位置へ移動する構成について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、分離ローラ5の回転軸5aと分離カバー3とが当接する構成など、分離ローラ5の一部と分離カバー3とが当接し、分離カバー3が押し上げられてカバー位置から退避位置へ移動する構成とすることで、上記同様の効果を得ることができる。
【0037】
<分離カバーと原稿トレイ>
分離カバー3を交換した後、分離カバー3を退避位置からカバー位置に移動させ忘れる場合が想定される。そこで本実施形態では、原稿トレイ6が待機位置から給送位置に移動する動作に連動して、退避位置に位置する分離カバー3をカバー位置に移動させる。以下、この動作について説明する。
【0038】
図10は、ADF100の断面図であり、原稿トレイ6が待機位置から給送位置に移動する動作に連動して、退避位置に位置する分離カバー3がカバー位置に移動する動作を図10(a)~図10(c)の順に示した図である。
【0039】
まず、図10(a)に示す様に、分離カバー3が退避位置に位置する状態で、不図示のモータの駆動力によりリフタ63が回動すると、原稿トレイ6の待機位置から給送位置への移動が開始され、原稿トレイ6の先端部が上昇する。これにより原稿トレイ6の先端部が分離カバー3に当接する。
【0040】
次に、図10(b)に示す様に、原稿トレイ6の先端部がさらに上昇すると、原稿トレイ6によって分離カバー3が上方に向かって押圧され、分離カバー3が退避位置からカバー位置に回動し始める。次に、図10(c)に示す様に、原稿トレイ6の先端部がさらに上昇すると、分離カバー3もさらに回動し、最終的にはバネ25の付勢力によりカバー位置まで移動する。なお、バネ25の付勢力を用いず、原稿トレイ6により分離カバー3をカバー位置まで押圧する構成としてもよい。このような構成により、原稿トレイ6の待機位置から給送位置への移動に連動して、退避位置に位置する分離カバー3をカバー位置させることができる。従って、分離カバー3を閉じ忘れたことに起因するシートSのジャムを抑制することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、画像読取装置AのADF100において、画像読取部である第一スキャナユニット202や第二スキャナユニット205に向けてシートSを給送するシート給送装置300について説明したものの、本発明はこれに限られるものではない。即ち、画像形成装置において、画像を形成する画像形成部に向けてシートを給送するシート給送装置に本実施形態の構成を適用しても上記同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0042】
3…分離カバー(カバー部材)
5…分離ローラ
6…原稿トレイ(積載部)
18…把手(把持部)
19…分離ホルダ(保持部材)
19a…装着溝(装着部)
42…給送ローラ
63…リフタ(移動部)
202…第一スキャナユニット(画像読取部)
205…第二スキャナユニット(画像読取部)
300…シート給送装置
A…画像読取装置
S…シート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10