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特許7438726付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置
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  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図1
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図2
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図3
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図4
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図5
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図6
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図7a
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図7b
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図7c
  • 特許-付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】付加製造技術を用いて物体を製造する装置の調整方法およびその方法のための装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/393 20170101AFI20240219BHJP
   B29C 64/135 20170101ALI20240219BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20240219BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20240219BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240219BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240219BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240219BHJP
【FI】
B29C64/393
B29C64/135
B29C64/268
B29C64/295
B33Y50/02
B33Y30/00
B33Y10/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019212600
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2020082737
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-01
(31)【優先権主張番号】18208436.8
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517182527
【氏名又は名称】アディティブ インダストリーズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴェース、マーク ヘルマン エルス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ハンデル、ロブ ピーター アルバート
(72)【発明者】
【氏名】ヴェイン、エルヴィン
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-519760(JP,A)
【文献】特表2017-536484(JP,A)
【文献】特開2005-336547(JP,A)
【文献】特表2016-532586(JP,A)
【文献】特開2018-080393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 10/00-12/90
B29C 64/00-64/40
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造技術を用いて物体を製造する装置を調整する方法であって、
前記装置は、
-電磁放射にさらすことで凝固可能な材料の槽を受けるためのプロセスチェンバーと、
-前記物体を前記材料の槽の表面レベルに関して配置するための支持具と、
-電磁放射を用いて、前記材料の選択された層部分を前記表面レベル上で凝固させるための凝固デバイスと、と備え、
前記方法は、
前記支持具上にまたは前記支持具の近くに、前記凝固デバイスに対向して調整マーカーを与えるステップと、
前記支持具の方を向くことのできる画像化デバイスを備えた調整システムを与えるステップと、を備え、
前記画像化デバイスは、前記装置を使用中の前記画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、前記凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成され、
前記方法はさらに、
a)前記画像化デバイスを用いて、前記調整マーカーの位置の尺度を決定するステップと、
b)前記調整マーカーに関連する凝固マーカーを生成するように、前記凝固デバイスを制御するステップと、
c)前記画像化デバイスを用いて、前記凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップと、
d)前記調整システムを用いて、前記調整マーカーと当該調整マーカーに関連する凝固マーカーの位置とに基づいて、少なくとも1つの修正ベクトルを決定するステップと、
を備え、
前記調整マーカーの位置の尺度を決定するステップは、
-前記調整マーカーの予想位置を決定するステップと、
-前記予想位置に基づいて前記装置を制御し、前記調整マーカーの実際の位置である結果設置位置を決定するステップと、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記調整マーカーの前記予想位置と前記結果設置位置との差で定義される調整マーカー差ベクトルを決定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップは、
-前記調整マーカーの予想位置を決定するステップと、
-前記予想位置に基づいて前記装置を制御し、前記調整マーカーの実際の位置である結果設置位置を決定するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記凝固マーカーと前記結果設置位置との差で定義される凝固マーカー差ベクトルを決定するステップをさらに備えることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記付加製造技術を用いて物体を製造する装置は、さらなる凝固デバイスを備え、
前記方法は、
-前記調整マーカーに関連するさらなる凝固マーカーを生成するように、前記さらなる凝固デバイスを制御するステップと、
-前記調整システムを用いて、前記さらなる凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップと、
-前記調整システムを用いて、前記調整マーカーと当該調整マーカーに関連する前記さらなる凝固マーカーの両方の位置に基づいて、少なくとも1つのさらなる修正ベクトルを決定するステップと、
をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記調整システムは、少なくとも1つのさらなる画像化デバイスを備え、
当該さらなる画像化デバイスは、前記調整マーカーの画像および/または前記さらなる凝固マーカーの画像を取得するために使われることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記さらなる画像化デバイスは、前記装置を使用中の前記さらなる画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、前記さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成されることを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つのさらなる調整マーカーが与えられ、
当該少なくとも1つのさらなる調整マーカーのために、前記方法の少なくとも一部が少なくとも1回繰り返されることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
付加製造技術を用いて物体を製造する装置であって、
-電磁放射にさらすことで凝固可能な材料の槽を受けるためのプロセスチェンバーと、
-前記物体を前記材料の槽の表面レベルに関して配置するための支持具と、
-電磁放射を用いて、前記材料の選択された層部分を前記表面レベル上で凝固させるための凝固デバイスと、
-前記支持具の方を向くことのできる画像化デバイスを備えた調整システムと、を備え、
前記画像化デバイスは、前記装置を使用中の前記画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、前記凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成され、
前記調整システムは、
a)前記画像化デバイスを用いて、調整マーカーの位置の尺度を決定し、
b)前記調整マーカーに関連する凝固マーカーを生成するように、前記凝固デバイスを制御し、
c)前記画像化デバイスを用いて、前記凝固マーカーの位置の尺度を決定し、
d)前記調整マーカーと当該調整マーカーに関連する凝固マーカーの位置とに基づいて、少なくとも1つの修正ベクトルを決定するように構成され
前記調整マーカーは、前記支持具上にまたは前記支持具の近くに、前記凝固デバイスに対向して与えられることを特徴とする装置。
【請求項10】
前記画像化デバイスを熱調節するための熱調節部をさらに備えることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記電磁放射を屈折させるための屈折ユニットをさらに備え、
前記熱調節部は、前記屈折ユニットと、前記画像化デバイスを前記屈折ユニットに接続する部分とを、熱調節するように構成されることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
さらなる凝固デバイスをさらに備え、
前記調整システムは、
-前記調整マーカーに関連するさらなる凝固マーカーを生成するように、前記さらなる凝固デバイスを制御し、
-前記調整システムを用いて、前記さらなる凝固マーカーの位置の尺度を決定し、
-前記調整マーカーと当該調整マーカーに関連する前記さらなる凝固マーカーの両方の位置に基づいて、少なくとも1つのさらなる修正ベクトルを決定する
ように構成されることを特徴とする請求項9から11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記調整システムは、前記調整マーカーの画像および/または前記さらなる凝固マーカーの画像を取得するための、少なくとも1つのさらなる画像化デバイスを備えることを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
前記さらなる画像化デバイスは、前記装置を使用中の前記さらなる画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、前記さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成されることを特徴とする請求項13に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付加製造技術を用いて物体を製造する装置を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3Dプリンティングまたは付加製造技術は、3次元物体の製造のための任意の様々なプロセスに関する。インジェクション成形のような従来の技術は、例えば高分子製品を大量生産するときに、より安価にすることができる。これに対し、3次元物体を比較的少量生産するときは、3Dプリンティングまたは付加製造技術は、より高速に、より柔軟に、そしてより安価にすることができる。
【0003】
製品開発の分野においては、常に高い製品品質を保ちながらより経済的な製造を実現するだけでなく、時間とコストの節約についても企業に対する競争圧力が高まる中、付加製造技術が将来一層重要となることが予想される。製品寿命はますます短くなっている。
製品の成功のためには、製品の品質とコストに加えて、市場導入のタイミングがますます重要になってきている。
【0004】
3次元物体は、3次元(3D)物体製造のための層的方法により、粉末、紙またはシートの材料を選択的に凝固させることにより、製造することができる。特に、所望のデザインを層ごとに形成するために、複数の層を連続的に凝固させることが可能なコンピュータ制御された付加製造技術装置を使うことができる。主として、付加的プロセスが使われる。ここではコンピュータ制御の下で、材料の連続層が積層される。これらの物体は、3Dモデルその他の電子データソースから製造され、ほぼ任意の形または形状にすることができる。
【0005】
3次元物体をプリントするためには、コンピュータデザインパッケージや3Dスキャナーなどにより、プリント可能なモデルを作成する必要がある。通常、入力はSTLファイル、STEPファイルまたはIGSファイルなどの3D-CADファイルである。CADファイルから物体をプリントする前に、ファイルは、モデルを一連の薄い層に変換するソフトウェアで処理される必要がある。さらに、それに続く各層の作成を制御するために、装置設定とベクトルが生成される。
【0006】
連続する断面から3D物体を形成するため、材料の連続層を凝固させるために、コンピュータ制御された付加製造技術装置に備えられたレーザーが、これらの装置設定とベクトルの後に続く。最終的な3D物体を生成するために、これらの層(これらは、CADモデルから得られる仮想的な断面に相当する)は、このプロセス中、同時に結合または融合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
3次元物体の製造(特に、金属物体の付加製造)における課題の1つは、層の選択部分をいかに正確に凝固するかにある。
【0008】
米国特許5,832,415は、レーザービームの偏向制御を調整する方法を開示する。この方法は、レーザービームのテストパターンを生成するステップを備える。デジタル化されたテストパターン上のレーザービームの実際の位置が、所定の望ましい座標と比較される。この情報は、較正テーブルを生成するために使われる。その後較正テーブルは、レーザービームの偏向を制御するために使われる。
【0009】
既知の方法から得られる調整の精度と速度は、付加製造技術における現在の要求を満足しない。
【0010】
従って、本発明の目的は、付加製造技術を用いた物体製造装置の精度を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために本発明は、付加製造技術を用いて物体を製造する装置を調整する方法を与える。
この方法において、装置は、
-電磁放射にさらすことで凝固可能な材料の槽を受けるためのプロセスチェンバーと、
-物体を材料の槽の表面レベルに関して配置するための支持具と、
-電磁放射を用いて、材料の選択された層部分を表面レベル上で凝固させるための凝固デバイスと、と備える。
【0012】
本発明に係る方法は、支持具上にまたは支持具の近くに、凝固デバイスに対向して調整マーカーを与えるステップと、支持具の方を向くことのできる画像化デバイスを備えた調整システムを与えるステップと、を備える。
【0013】
本発明に係る方法はさらに、
a)画像化デバイスを用いて、調整マーカーの位置の尺度を決定するステップと、
b)調整マーカーに関連する凝固マーカーを生成するように、凝固デバイスを制御するステップと、
c)画像化デバイスを用いて、凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップと、
d)調整システムを用いて、調整マーカーと当該調整マーカーに関連する凝固マーカーの位置とに基づいて、少なくとも1つの修正ベクトルを決定するステップと、
を備える。
【0014】
本発明によれば、支持具または支持具に近くに調整マーカーが与えられる。調整マーカーが与えられると、調整システムは、調整マーカーの位置の尺度を決定するように制御される。調整マーカーの位置の尺度は、画像化デバイスを用いて決定される。従ってこの尺度は、画像化デバイスが動作する座標システムに関する。次にこの座標システムは、センサ座標システムとも呼ばれるだろう。調整マーカーの位置が決められると、凝固デバイスは、当該調整マーカーに関連する凝固マーカーを生成するように制御されてよい。その後、結果としての凝固マーカーの位置は、同じ画像化デバイスを用いて決定されてよい。画像化デバイスは前記センサ座標システム内で動作するため、凝固マーカーの位置もまたセンサ座標システムに関連する。これにより、調整マーカーと凝固マーカーの両方の位置に基づいて修正ベクトルを決定することができる。これにより前記凝固デバイスは修正され、装置の精度を向上させることができる。例えば、凝固デバイスが所望の想定位置で動作するように、調整システムによって得られた修正ベクトルは凝固デバイス内にプログラムされてよい。これにより、本発明の目的が達成される。
【0015】
凝固マーカーは、以下の1つ以上のものに関連してよい。
-マーカーを生成中の凝固デバイスの電磁放射、すなわち調整ボディ上に一時的に存在するレーザー光からの。
-溶解プールからの放射方向、すなわち溶融材料からの放射光。および/または
-凝固デバイスからの物理的インプリント、すなわちレーザーが調整ボディの材料を溶融または除去した後のもの。
【0016】
さらなる利点が以下で説明される。
【0017】
本発明に係る方法では、調整システムが使われる。この調整システムは、少なくとも1つの画像化デバイスを備える。この方法のある実施の形態では、画像化デバイスは、調整マーカーの位置を決定するために、および/または、凝固マーカーの位置を決定するために使われてよい。この実施の形態では、画像化デバイスは、調整マーカーおよび/または凝固マーカーの画像を取得するために使われる。画像化デバイスにより、効率的でコスト効果の高い仕方で、調整マーカーの画像と(直接的にまたは別々に)凝固マーカーの画像とが生成される。こうして、調整マーカーおよび凝固マーカーの単一の画像が生成されてよく、あるいは調整マーカーおよび凝固マーカーの別々の画像が生成されてもよい。別々の画像が生成される場合は、画像デバイスの同じ位置すなわち同じ視野が使われ、両画像を互いに関連付けられると有利である。
【0018】
ある実施の形態では、凝固デバイスは、調整マーカー自体の上にマーカーを生成するために使われる。しかしながらこれは、限られた時間のために調整マーカーだけが使われてもよいことを意味する。これは特に、凝固デバイスが、物理的マークが調整マーカー上に生成されるように制御される場合に顕著である。代替的な実施の形態では、調整マーカーは、凝固デバイスを制御する前に除去される。これにより、調整マーカーが損傷を受けるリスクが低減される。しかしながらいずれの場合も、凝固デバイスにより与えられたマークは、調整マーカーの位置に関連する。
【0019】
ある実施の形態では、調整マーカーの位置の尺度を決定するステップは、調整マーカーの予想位置を決定するステップを備える。調整マーカーは、与えられると、ある既知の位置に置かれる。この位置は、絶対位置であっても相対位置であってもよく、不正確さを含んでいてもよい。この実施の形態では、この方法は、前記予想位置に基づいて前記装置を制御し、結果設置位置を決定するステップをさらに備える。特に画像化デバイスは、予想位置を向くように制御される。こうして画像化デバイスは、結果設置位置に設定されるだろう。結果設置位置は、予想位置からずれていてもよい。これを補償するための修正が行われてもよい。
【0020】
ある実施の形態では、この方法は、前記調整マーカーの前記予想位置と前記結果設置位置との差で定義される調整マーカー差ベクトルを決定するステップをさらに備える。これは、装置の精度をさらに向上させる。
【0021】
この装置は、画像の中心が予想位置の方を向くように制御されてよい。しかしながら、画像の中心は、予想位置に沿っておらず、ずれていてもよい。装置の精度を向上させるために、この差が、調整マーカー差ベクトルを決定するために使われてよい。ある実施の形態では、凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップは、調整マーカーの予想位置を決定するステップと、予想位置に基づいて装置を制御し、結果設置位置を決定するステップとを備える。こうして、凝固マークを調整マーカー位置の上に生成するために、装置は調整マーカーの予想位置に基づいて操作される。前述のように、実際の調整マーカーは、存在してもしなくてもよいことに注意する。画像化デバイスを使用することにより、実際の調整マーカーが存在しなくても、装置はセンサ座標システム内で動作することができる。いずれにしても、画像化デバイスは予想位置の方を向き、画像化デバイスは凝固マークの位置を決定するために使われる。その後、凝固マークの実際の位置が、調整マーカーの予想位置および/または装置の結果設置位置と関連付けられる。
【0022】
ある実施の形態では、この方法は、凝固マーカーと結果設置位置との差で定義される凝固マーカー差ベクトルを決定するステップをさらに備える。特に結果設置位置は、画像化デバイスの設置位置である。
【0023】
凝固マーカー差ベクトルおよび調整マーカー差ベクトルに基づいて、修正ベクトル(Vsc)が決定されてもよい。この修正ベクトルにより、凝固マーカーは、調整マーカーと正確に相互調整することができる。
【0024】
ある実施の形態では、画像化デバイスは、結果設置位置を決定するために使われる。前述のように、画像化デバイスの中心は、結果設置位置に関連する。
【0025】
ある実施の形態では、画像化デバイスは、装置を使用中の当該画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成される。これにより、非常に正確な修正が可能となる。なぜなら、不正確さのフィードバックが直接与えられることにより、画像化デバイスは凝固デバイスと完全に相互調整されるからである。
【0026】
さらに、画像化デバイスの光路が、凝固デバイスの電磁放射の光路と少なくとも部分的に一致すると、画像化デバイスの視野は比較的小さくなる。その結果、比較的高い空間分解能が得られ、比較的正確な調整が可能となる。
【0027】
さらに、画像化デバイスの光路が、凝固デバイスの電磁放射の光路と少なくとも部分的に一致すると、画像化デバイスを、例えば当該画像化デバイスにより得られた画像の歪みに関しては調整することが不要となる。歪みは例えば、画像化デバイスの光学部品によるものであってもよい。これは、調整マーカーおよび/または凝固マーカーが画像化デバイス中心の近く(これは画像化デバイスの視野の中心を意味する)に位置する場合、特に有利である。これにより、画像化デバイスの歪みの影響が回避され(または少なくとも著しく減少し)、比較的正確な調整が可能となる。
【0028】
画像化デバイスの光路が、凝固デバイスの電磁放射の光路と少なくとも部分的に一致することのさらなる利点は、比較的正確な調整が可能な一方、比較的少数の画像ピクセルを持つ画像化デバイスが使えることにある。これはコスト効果の高い調整システムを実現する上で有利である。
【0029】
調整マーカーの位置の尺度を決定するステップを実行中に、および/または、凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップを実行中に、支持具上の(または支持具の近くの)画像化デバイスの視野の表面領域と、支持具上の(または支持具の近くの)調整マーカーの表面領域との比が1から1000の範囲にあると、好ましくは10から1000の範囲にあると、より好ましくは10から100の範囲にあると、有利である。この範囲の比を持つことは、比較的高い空間分解能を実現する上で有利である。これにより、比較的正確な調整が実現される。
【0030】
ある実施の形態では、付加製造技術を用いて物体を製造する装置は、さらなる凝固デバイスを備える。この方法は、さらに以下のステップを備える。
-前記調整マーカーに関連するさらなる凝固マーカーを生成するように、前記さらなる凝固デバイスを制御するステップ
-前記調整システムを用いて、前記さらなる凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップ
-前記調整システムを用いて、前記調整マーカーと当該調整マーカーに関連する前記さらなる凝固マーカーの両方の位置に基づいて、少なくとも1つのさらなる修正ベクトルを決定するステップ。
【0031】
この実施の形態によれば、最初の凝固デバイスに関して説明した調整方法は、さらなる凝固デバイスに関しても繰り返される。ここで、さらなるマークが、さらなる凝固デバイスを用いて生成される。このマークの位置は、調整マーカーの位置と比較される。この点で、最初の凝固デバイスのために決定された調整マーカーの位置が利用できること、あるいは調整マーカーの位置を再び決定することが考えられる。いずれにしても、前記凝固デバイスおよび前記さらなる凝固デバイスを位置調整するために同じ調整マーカーを使うことにより、複数の凝固デバイスを同じ座標システムに関して調整することができる。これにより、例えば複数のレーザーを用いた非常に正確で迅速な製造が可能となる。
【0032】
さらなる凝固デバイスの位置の尺度が、前述の画像化デバイスを用いて決定できれば有利である。
【0033】
ある実施の形態では、調整システムは、少なくとも1つのさらなる画像化デバイスを備え、当該さらなる画像化デバイスは、前記調整マーカーの画像および/または前記さらなる凝固マーカーの画像を取得するために使われる。この実施の形態では、さらなる画像化デバイスは、さらなる凝固デバイスに割り当てられてもよい。これにより、複数の凝固デバイスを同時に調整できるので、調整速度が向上する。さらに、複数の画像化デバイスを使うことにより、調整の精度を向上させることができる。なぜなら、全体の調整可能性に影響を与えることなく、各画像化デバイスの空間分解能が向上するからである。
【0034】
ある実施の形態では、さらなる画像化デバイスは、装置を使用中のさらなる画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成される。前述のように、これは有利である。なぜなら、これにより、さらなる画像化デバイスは、さらなる凝固デバイスに対して完全に位置調整され、不正確さのフィードバックが直接与えられるからである。
【0035】
さらに、さらなる画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と一致すると、さらなる画像化デバイスの視野は比較的小さくなる。その結果、比較的高い空間分解能が得られ、比較的正確な調整が可能となる。
【0036】
さらに、さらなる画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と一致すると、さらなる画像化デバイスを、例えば当該さらなる画像化デバイスにより得られた画像の歪みに関しては調整することが不要となる。歪みは例えば、さらなる画像化デバイスの光学部品によるものであってもよい。これは、調整マーカーおよび/またはさらなる凝固マーカーがさらなる画像化デバイス中心の近く(これはさらなる画像化デバイスの視野の中心を意味する)に位置する場合、特に有利である。これにより、さらなる画像化デバイスの歪みの影響が回避され(または少なくとも著しく減少し)、比較的正確な調整が可能となる。
【0037】
さらなる画像化デバイスの光路が、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と少なくとも部分的に一致することのさらなる利点は、比較的正確な調整が可能な一方、比較的少数の画像ピクセルを持つさらなる画像化デバイスが使えることにある。これはコスト効果の高い調整システムを実現する上で有利である。
【0038】
調整マーカーの位置の尺度を決定するステップを実行中に、および/または、さらなる凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップを実行中に、支持具上の(または支持具の近くの)さらなる画像化デバイスの視野の表面領域と、支持具上の(または支持具の近くの)調整マーカーの表面領域との比が1から1000の範囲にあると、好ましくは10から1000の範囲にあると、より好ましくは10から100の範囲にあると、有利である。この範囲の比を持つことは、比較的高い空間分解能を実現する上で有利である。
これにより、比較的正確な調整が実現される。
【0039】
ある実施の形態では、少なくとも1つのさらなる調整マーカーが与えられ、当該さらなる調整マーカーのために、前記方法の少なくとも一部が少なくとも1回繰り返される。さらなる調整マーカーを与えることにより、所定の複数の点にわたって、装置を調整することができる。例えば、調整マーカーのグリッドが与えられると、当該グリッドにより決定された領域全体にわたって装置の調整をすることができる。このグリッドは、規則的なグリッドでも不規則なグリッドでもよく、例えば長方形のグリッドであってもよい。装置の精度を口上させるために、このグリッド上への調整は、調整結果を補完するステップをさらに含んでもよい。
【0040】
ある実施の形態では、この方法は、調整ボディを与えるステップと、この調整ボディを支持具上に配置するステップと、を備えてもよい。この調整ボディの上に調整マーカーが与えられ、調整マーカーは凝固デバイスの方を向く。特に調整ボディは、平板状のボディであってもよく、この平板状の調整ボディに上に1つ以上の調整マーカーが与えられる。前述のように調整マーカーの調整グリッドを使う場合、この調整グリッドは調整ボディの上に与えられてよい。これにより、特に調整ボディが非常に正確である場合、正確で再現可能な調整が可能となる。ここで調整は、後に、例えば同じ装置のために再現可能である点に注意することが重要である。しかしながら、複数の装置が互いに相互調整されるように、調整ボディがこれらの装置を調整するために使われてもよい。
【0041】
ある実施の形態では、付加製造技術を用いて物体を製造する装置は、画像化デバイスを熱調節するための熱調節部をさらに備える。このときこの方法は、この熱調節部を用いて画像化デバイスを熱調節するステップをさらに備える。画像化デバイスを熱調節することは、画像化デバイスの熱的条件の変化に起因する調整精度の相対的な低下を回避できる(または、少なくとも低減できる)点で有利である。
【0042】
この点で、付加製造技術を用いて物体を製造する装置は、前述の電磁放射を屈折させるための屈折ユニットをさらに備え、熱調節部は、この屈折ユニットと、画像化デバイスをこの屈折ユニットに接続する部分とを、熱調節するようにさらに構成される。このときこの方法は、以下のステップをさらに備える。-熱調節部を用いて、屈折ユニットと、画像化デバイスと、画像化デバイスを屈折ユニットに接続する部分とを、熱調節するステップ。これは、画像化デバイスの視野を前述の電磁放射に関して比較的安定的に維持する点で有利である。これにより、比較的正確な調整を実現することができる。
【0043】
この方法は、以下のステップを備えると有利である。
-熱調節部を用いて、前述のさらなる画像化デバイスを熱調節するステップ。
さらなる画像化デバイスを熱調節することは、さらなる画像化デバイスの熱的条件の変化に起因する調整精度の相対的な低下を回避できる(または、少なくとも低減できる)点で有利である。
【0044】
この点で、装置が前述のさらなる凝固デバイスの電磁放射を屈折させるためのさらなる屈折ユニットを備えると有利である。このとき熱調節部は、このさらなる屈折ユニットと、さらなる画像化デバイスをこのさらなる屈折ユニットに接続するさらなる部分とを、熱調節するようにさらに構成される。このときこの方法は、以下のステップを備える。-熱調節部を用いて、さらなる屈折ユニットと、さらなる画像化デバイスと、さらなる画像化デバイスをさらなる屈折ユニットに接続するさらなる部分とを、熱調節するステップ。これは、さらなる画像化デバイスの視野を前述の電磁放射に関して比較的安定的に維持する点で有利である。これにより、比較的正確な調整を実現することができる。
【0045】
ある態様では、本発明は、付加製造技術を用いて物体を製造する装置を与える。この装置は、以下を備える。
-電磁放射にさらすことで凝固可能な材料の槽を受けるためのプロセスチェンバー
-物体を材料の槽の表面レベルに関して配置するための支持具
-電磁放射を用いて、材料の選択された層部分を表面レベル上で凝固させるための凝固デバイス
-支持具の方を向くことのできる画像化デバイス。
画像化デバイスは、装置を使用中の画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成される。
調整システムは、
a)画像化デバイスを用いて、調整マーカーの位置の尺度を決定し、
b)調整マーカーに関連する凝固マーカーを生成するように、凝固デバイスを制御し、
c)画像化デバイスを用いて、凝固マーカーの位置の尺度を決定し、
d)調整マーカーと当該調整マーカーに関連する凝固マーカーの位置とに基づいて、少なくとも1つの修正ベクトルを決定するように構成される。
【0046】
調整システムを備える装置により、装置の効率的で再現可能な調整が可能となる。さらに、装置が調整システムを備えるので、調整はいつ実行されてもよい。例えば、調整は一定の時間間隔をおいて実行されてもよい。これにより、装置の精度が向上する。装置のさらなる利点は、前述の方法に関して説明した通りである。
【0047】
ある実施の形態では、画像化デバイスは、調整マーカーの画像および/または凝固マーカーの画像を取得するように構成される。前述のように、画像化デバイスは、装置を使用中の画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成されてよい。
【0048】
さらに、画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、凝固デバイスの電磁放射の光路と一致すると、画像化デバイスの視野は比較的小さくなる。その結果、比較的高い空間分解能が得られ、比較的正確な調整が可能となる。
【0049】
さらに、画像化デバイスの光路が、凝固デバイスの電磁放射の光路と少なくとも部分的に一致すると、画像化デバイスを、例えば当該画像化デバイスにより得られた画像の歪みに関しては調整することが不要となる。歪みは例えば、画像化デバイスの光学部品によるものであってもよい。これは、調整マーカーおよび/または凝固マーカーが画像化デバイス中心の近く(これは画像化デバイスの視野の中心を意味する)に位置する場合、特に有利である。これにより、画像化デバイスの歪みの影響が回避され(または少なくとも著しく減少し)、比較的正確な調整が可能となる。
【0050】
画像化デバイスの光路が、凝固デバイスの電磁放射の光路と少なくとも部分的に一致することのさらなる利点は、比較的正確な調整が可能な一方、比較的少数の画像ピクセルを持つ画像化デバイスが使えることにある。これはコスト効果の高い調整システムを実現する上で有利である。
【0051】
調整マーカーの位置の尺度を決定するステップを実行中に、および/または、凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップを実行中に、支持具上の(または支持具の近くの)画像化デバイスの視野の表面領域と、支持具上の(または支持具の近くの)調整マーカーの表面領域との比が1から1000の範囲にあると、好ましくは10から1000の範囲にあると、より好ましくは10から100の範囲にあると、有利である。この範囲の比を持つことは、比較的高い空間分解能を実現する上で有利である。これにより、比較的正確な調整が実現される。
【0052】
装置が画像化デバイスを熱調節するための熱調節部を備えると有利である。画像化デバイスを熱調節することは、画像化デバイスの熱的条件の変化に起因する調整精度の相対的な低下を回避できる(または、少なくとも低減できる)点で有利である。
【0053】
この点で、この装置が前述の電磁放射を屈折させるための屈折ユニットを備えると有利である。このとき熱調節部は、屈折ユニットと、画像化デバイスをこの屈折ユニットに接続する部分とを、熱調節するようにさらに構成される。屈折ユニットと、画像化デバイスと、画像化デバイスを屈折ユニットに接続する部分とを、熱調節することは、画像化デバイスの視野を前述の電磁放射に関して比較的安定的に維持する点で有利である。これにより、比較的正確な調整を実現することができる。
【0054】
熱調節部がさらなる画像化デバイスを熱調節するように構成されると有利である。さらなる画像化デバイスを熱調節することは、さらなる画像化デバイスの熱的条件の変化に起因する調整精度の相対的な低下を回避できる(または、少なくとも低減できる)点で有利である。
【0055】
この点で、装置が前述のさらなる凝固デバイスの電磁放射を屈折させるためのさらなる屈折ユニットを備えると有利である。このとき熱調節部は、このさらなる屈折ユニットと、さらなる画像化デバイスをこのさらなる屈折ユニットに接続するさらなる部分とを、熱調節するようにさらに構成される。熱調節部が、さらなる屈折ユニットと、さらなる画像化デバイスをさらなる屈折ユニットに接続するさらなる部分とを熱調節することは、さらなる画像化デバイスの視野を前述の電磁放射に関して比較的安定的に維持する点で有利である。これにより、比較的正確な調整を実現することができる。
【0056】
ある実施の形態では、装置はさらなる凝固デバイスを備える。調整システムは、以下のように構成される。
-調整マーカーに関連するさらなる凝固マーカーを生成するように、さらなる凝固デバイスを制御し、
-調整システムを用いて、さらなる凝固マーカーの位置の尺度を決定し、
-調整マーカーと当該調整マーカーに関連するさらなる凝固マーカーの両方の位置に基づいて、少なくとも1つのさらなる修正ベクトルを決定する。
【0057】
この実施の形態では、外部の調整サービスを必要とすることなく、相互凝固装置を調整することができる。これは、例えば一定の時間間隔おいて実行されてもよい。
【0058】
ある実施の形態では、調整システムは、調整マーカーの画像および/またはさらなる凝固マーカーの画像を取得するための、少なくとも1つのさらなる画像化デバイスを備える。このさらなる画像化デバイスは、装置を使用中のさらなる画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成されてよい。
【0059】
さらに、さらなる画像化デバイスの光路が、少なくとも部分的に、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と一致すると、画像化デバイスの視野は比較的小さくなる。その結果、比較的高い空間分解能が得られ、比較的正確な調整が可能となる。これにより、装置の精度が向上する。
【0060】
さらに、さらなる画像化デバイスの光路が、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と少なくとも部分的に一致すると、画像化デバイスを、例えば当該画像化デバイスにより得られた画像の歪みに関しては調整することが不要となる。歪みは例えば、さらなる画像化デバイスの光学部品によるものであってもよい。これは、調整マーカーおよび/またはさらなる凝固マーカーがさらなる画像化デバイス中心の近く(これは画像化デバイスの視野の中心を意味する)に位置する場合、特に有利である。これにより、さらなる画像化デバイスの歪みの影響が回避され(または少なくとも著しく減少し)、比較的正確な調整が可能となる。
【0061】
さらなる画像化デバイスの光路が、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と少なくとも部分的に一致することのさらなる利点は、比較的正確な調整が可能な一方、比較的少数の画像ピクセルを持つさらなる画像化デバイスが使えることにある。これはコスト効果の高い調整システムを実現する上で有利である。
【0062】
調整マーカーの位置の尺度を決定するステップを実行中に、および/または、さらなる凝固マーカーの位置の尺度を決定するステップを実行中に、支持具上の(または支持具の近くの)さらなる画像化デバイスの視野の表面領域と、支持具上の(または支持具の近くの)調整マーカーの表面領域との比が1から1000の範囲にあると、好ましくは10から1000の範囲にあると、より好ましくは10から100の範囲にあると、有利である。この範囲の比を持つことは、比較的高い空間分解能を実現する上で有利である。
これにより、比較的正確な調整が実現される。
【0063】
ある実施の形態では、装置は調整ボディを備える。この調整ボディの上に調整マーカーが与えられる。この調整ボディの利点は、前述で説明した通りである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
次に、以下の添付の図面を用いて本発明を説明する。
図1】本発明に係る、付加製造技術を用いて物体を製造するように構成された装置の外観を示す模式図である。
図2】本発明に係る装置の代替的な実施の形態の外観を示す模式図である。
図3】本発明に係る装置のさらなる代替的な実施の形態の外観を示す模式図である。
図4】本発明に係る装置のさらなる代替的な実施の形態の外観を示す模式図である。
図5】本発明に係る方法に使うことのできる調整ボディの実施の形態を示す図である。
図6図5の調整ボディに与えることのできる歪みマーカーの上面図である。
図7a】本発明に係る方法の実施の形態のステップを示す図である。
図7b】本発明に係る方法の実施の形態のステップを示す図である。
図7c】本発明に係る方法の実施の形態のステップを示す図である。
図8】複数の凝固デバイスを互いに調整するために、本発明の方法がどのように使われるかを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1は、付加製造技術を用いて物体2を製造する装置1の概観を示す。装置1は、複数のフレーム部品11、12、13から作られる。この装置は、凝固可能な材料4の槽を受けるプロセスチェンバー3を備える。下側のフレーム部品11内には、シャフト50が形成される。シャフト内には、物体2(または複数の物体)を材料の槽4の表面レベルLに関して配置する支持具5が与えられる。支持具5は、シャフト内に動作可能に与えられる。これにより、ある層が凝固された後、支持具5が下げられ、さらなる材料の層が、すでに形成された物体2の頂部で凝固されることができる。装置1の頂部13の内部に、材料の選択された部分を凝固させるために、凝固デバイス7が与えられる。図示された実施形態では、凝固デバイス7はレーザーデバイスである。このレーザーデバイスは、支持具に与えられた粉末材料を溶解させる目的で、レーザー光の形で電磁放射を生成するように配置される。その後この粉末材料は冷却され、製造される物体2の凝固部分を形成する。しかしながら本発明は、上記のタイプの凝固デバイスに限定されない。図示されるように、レーザーデバイス7から照射される電磁放射71は、屈折ユニットを用いて屈折される。この屈折ユニットは、照射された放射71を、材料4の層の表面Lに向けて導くために、回転可能な光学要素を使用する。屈折ユニット75の位置に応じて、放射は例えば放射線軸72、73に沿って放射されてよい。
【0066】
装置1はさらに、材料の槽4の表面レベルLに沿ってずらすことのできるリコート装置(図示せず)を備えてよい。このようなリコート装置は、それ自体当業者に既知である。
【0067】
本発明に係る装置1は、画像化デバイス81を備えた調整システム8を備える。この調整システム8と画像化デバイス81の詳細は、図7を参照して本発明に係る方法を説明するときに明らかになるだろう。
【0068】
装置1はさらに、熱調節部77を備える。熱調節部77は、画像化デバイス81、屈折ユニット75、および画像化デバイス81を屈折ユニット75に接続する部分を熱調節する。熱調節部77は、画像化デバイス81、屈折ユニット75、および画像化デバイス81を屈折ユニット75に接続する部分のための筐体を与える。このときこの筐体内の温度は、所定の温度レベルに保たれてよい。筐体内の相対的な安定温度は、相対的な正確な調整の実現と維持に役立つ。
【0069】
図2は、付加製造技術を用いて物体2を製造する装置1の代替的な実施の形態を示す。簡単のため、図1を参照して説明した部品と類似の部品は、同じ符号を付し説明を省く。この実施の形態に係る装置1は、装置の調整に使われる画像化デバイス81を備えた調整システム8を備える。この実施の形態に係る装置はさらに、ライン93を用いて画像化デバイス81に接続された制御ユニット91を備える。この目的のため、制御ユニット91は、ライン92を用いて凝固デバイスに接続されてよく、および/またはライン94を用いて屈折ユニット75に接続されてよい。
【0070】
図2に示されるように、画像化デバイス(特に光学画像化デバイス)は、カメラユニット81によって形成される。カメラユニットは、支持具5に(またはその近くに)与えられた調整マーカー82の1つ以上の画像を生成するために配置される。支持具5は、例えば図示されるように、下側のフレーム部品11に接続される。画像家装置によって得られた1つ以上の調整マーカー82の1つ以上の画像は、調整システム8によって処理される。例えばこうした画像は、処理を受けるために制御ユニット91に供給される。
【0071】
特に調整システムは、画像化デバイス81と制御ユニット91とを備え、画像化デバイス81を用いて、調整マーカー82の位置のための尺度を決定するように構成される。さらに調整システムは、調整マーカーに関するマーカーを生成するための凝固デバイス7を制御するように構成される。調整システム8は、画像化デバイス81を用いて、凝固マーカーの位置のための尺度を決定してもよい。調整システムは、調整マーカーと当該調整マーカーに関する凝固マーカーの両方の位置に基づいて、少なくとも1つの修正ベクトルを決定するように構成される。本発明に係るこれらのステップは、図7を用いて後述でより詳細に説明する。
【0072】
図3は、本発明に係る方法のために使われるのに適した装置1のさらなる実施の形態を示す。装置1は、大部分は図2に示される装置に相当する。簡単のため、主に相違点を説明する。熱調節部は、図3には示されない。図3に示される通り、主な違いは、画像化デバイス81の位置が図2に示される実施の形態と異なる点にある。図1-4では、画像化デバイス81は、画像化デバイス81を使用中の画像化デバイス81の光路83が、少なくとも部分的に、凝固デバイス7を使用中の凝固デバイス7によって生成される電磁放射の光路71と一致するように配置される。この点で、画像化デバイス81と凝固デバイス7とは、同時に操作される必要がないことは明確に理解されなければならない(これは当然理解されるだろうが)。例えばある実施の形態では、登凝固デバイスが電磁放射を行っていないときは、特性が登録されるだけである(その登録される特性が電磁放射そのものであり得るとしても)。図3に示される実施の形態では、半透明ミラーや一眼レフ構成のような光学装置が使われる。これは、屈折ユニット75を介して画像化デバイス81を使い調整領域の画像を取得できるようにすることと、材料槽の表面レベルL上の電磁放射の位置を制御する目的で屈折ユニット75および/または凝固デバイス7を調整または制御するために、画像化デバイス81によって得られた情報を使えるようにすることを目的とする。このような装置を用いた本発明に係る方法は、以下でさらに説明する。
【0073】
図4は、本発明のさらなる実施の形態に従い、付加製造技術を用いて物体2を製造する装置1の概要を示す。前述の実施の形態と同様に、電磁放射を用いて材料の選択部分を凝固させるための第1の凝固デバイス7が与えられる。装置1の頂部13はまた、電磁放射を用いて材料の選択部分を凝固させるためのさらなる凝固デバイス7を備える。図示される通り、さらなるレーザーデバイス7'によって放射された電磁放射71'は、放射された放射71'が材料4の層の表面レベルLに向けて導かれるように、回転可能な屈折ユニット75'によって屈折する。
【0074】
図示された実施の形態では、凝固デバイス7およびさらなる凝固デバイス7'は、レーザーデバイスである。これらは、支持具上で粉末材料を溶解する(溶解した材料は、冷却後、製造される物体の凝固部分を形成する)ために、レーザー光の形で電磁放射を生成するように構成される。しかしながら、本発明はこのタイプの凝固デバイスに限定されず、電磁放射を使用する一凝固デバイス一般を含む。さらに、複数の凝固デバイスから放射される電磁放射のタイプは、それぞれの凝固デバイスの間で同じであってもよい。しかしながら、複数の凝固デバイスから放射される電磁放射のタイプは、少なくとも2つの凝固デバイスの間で異なることも考えられる。
【0075】
さらに図4から、複数の屈折ユニット75、75'が、物体作業領域Lで定義される平面に垂直なラインCの近くに配置されることが理解できる。さらにこのラインCは、物体作業領域Lの重心を通る。言い換えれば、屈折ユニット75、75'は、物体作業領域Lの実質的に中心部の上に与えられる。これにより、複数の凝固デバイスの各々は、物体作業領域の実質的に全体に簡単に到達することができる。これにより、例えば、1つの物体の異なる部分を同時に凝固させることができる。
【0076】
明確さと読みやすさを目的に、図4では、画像化デバイスが凝固デバイス7、7'の各々に与えられ得ることは示されていない。さらに、熱調節部も図4には示されていない。しかし、図2および図3と同様に、凝固デバイスの各々に画像化デバイス81が与えられてもよい。特に1つ以上の画像化デバイス81が配置されてよく、これにより、画像化デバイス81を使用中のそれぞれの画像化デバイス81の光路83が、少なくとも部分的に、対応する凝固デバイス7、7'によって生成された電磁放射の光路71と一致してもよい。従って、これらの1つ以上の画像化デバイスは、調整システム8の一部をなす。特に本発明に係る方法は、こうした装置を調整する点、特に複数の凝固デバイスを互いに位置調整する点で非常に有利である。原理的に本発明は、使用される凝固デバイスの数や使用される画像化デバイスの数に限定されない。
【0077】
図4に戻ると、装置1はさらに、複数の凝固デバイス7、7'を制御するように構成された制御ユニット74を備えることが理解できる。ここで制御手段は、物体作業領域Lの異なる部分で、複数の凝固デバイス7、7'を同時に制御できるように構成される。
【0078】
従って図4に示される装置では、複数の凝固デバイス7、7'は、物体作業領域Lの実質的に全体で動作するように制御されてよい。これにより、1つの物体2の異なる部分を同時に凝固することができる。1つの物体の異なる部分を同時に凝固することにより、この物体をより高速に製造することができ、当該物体の総製造時間を短縮することができる。
【0079】
図5は、本発明に係る方法に使うことのできる調整ボディ31の実施の形態を示す。調整ボディ31は、少なくとも1つの調整マーカーMcを備える。図示される実施の形態では、規則的に間隔をおかれた調整マーカーMcのグリッドが使われる。ここでは全部で9個調整マーカーが使われるが、調整マーカーの数はこれより多くても少なくてもよいことは当業者に理解されるだろう。より良好には図5の拡大図に示されるように、調整マーカーMcは、全部で3個の円またはドット36、37を備える。これらのドットは、仮想的な正三角形Tの頂点に与えられる。円またはドットの1つ37は、他の2つのドット36より大きい。これにより、調整マーカーが見えたときに、調整ボディ31の方向に関する情報を取得することができる。
【0080】
この実施の形態では、調整ボディはまた、少なくとも1つの歪みマーカーMdを備える。歪みマーカーMdは、少なくとも複数の同心円35a―35dを備える。特に歪みマーカーMdは、少なくとも1つの画像化デバイスを備える装置で使われる。図5に示される調整ボディは、全部で4個の歪みマーカーMdを備える。これは、各々が画像化デバイスを備えた4個の凝固デバイスを備える装置で使われることを想定することによる。
【0081】
図6は、画像化デバイスによって得られた歪みマーカーMdの画像Iを示す。ここから、図5に示される元のマーカーの画像に比べて、いくらかの歪みが発生していることが見て取れる。画像家デバイスによって、同心円は同心楕円として画像化されている。この画像に基づいて、得られた画像に修正因子を適用することができる。特に、水平方向および垂直方向の強度(ピクセル/mm)を決定することができる。これは、ある画像化デバイスが使われたとき、装置の任意のさらなる調整に使うのに有用である。
【0082】
図7aから7cは、本発明に係る方法の実施の形態のいくつかのステップを示す。本発明に係る方法は、支持具(またはその近く)に、凝固デバイスに対向して調整マーカー与えるステップを備える。特に、凝固デバイスに対向した調整マーカーMcに関しては、複数の調整マーカーMcを備えた調整ボディ31が支持具上に配置されてよい。これは、装置1における調整ボディ31の絶対配置が達成されるようになされてよい。このような調整ボディ31の絶対配置の場合、各調整マーカーの予想位置は既知である。これにより、以下のように、この各調整マーカーの予想位置をそれぞれの設置位置と比較することで、調整が可能となる。絶対配置は、例えば、調整ボディを支持具に接続するために3点支持具が使われるとき可能となる。絶対配置を得るための他の方法も考えられる。
【0083】
図7aに示されるように、1つの調整マーカーMcの位置の尺度を決定するために、画像化デバイスが使われる。この調整方法が調整ボディ上に与えられた各調整マーカーで繰り返されてもよいことは明白である。さらにこの調整方法は、1つ以上の調整ボディに関して装置が調整された後に、1つ以上の調整マーカーで繰り返されてもよい。これにより、1つの調整マーカーに関し、調整を複数回実行することができる。
【0084】
一般に本発明に係る調整は、以下のように行われる。
【0085】
最初に装置は、画像化デバイスの画像中心Icが、調整マーカーMcの中心の予想位置に導かれるように制御される。従って画像化デバイスは、結果設置位置を決定するために使われる。この予想位置が結果設置位置と相互調整されていないことは、図7aから明らかである。結果設置位置(これは図7aの画像中心Icと一致する)は、調整マーカーMcの中心と異なる。予想位置と結果設置位置との差は、調整マーカー差ベクトルVcで表現することができる。調整マーカー差ベクトルVcは、調整マーカーMcの予想位置と結果設置位置Icとの差で定義される。
【0086】
次に図7bに示されるように、調整ボディ31が除去され、凝固デバイスが調整マーカーに関連する凝固マーカーを生成するように制御される。特に凝固デバイスは、調整マーカーの位置と相互調整される凝固マーカーを生成するように制御される。結果としての凝固マーカーが調整マーカーと相互調整された場合、装置は、それぞれの調整マーカー位置に関して正しく調整されたことになる。図7bは、画像化デバイスが結果設置位置(図7aと同じ位置)に置かれたことを示す。ここでも、装置は予想位置に基づいて制御され、結果設置位置Icが決定される。結果設置位置Icでは、凝固マーカーMsが観測される。この画像によって、凝固マーカーMsの位置の尺度を決定することができる。ここで、凝固マーカー差ベクトルVsを決定することもできる。凝固マーカー差ベクトルVsは、凝固マーカーMsと結果設置位置Icとの差で定義される。
【0087】
図7cは、調整マーカーと当該調整マーカーに関連する凝固マーカーの両方の位置に基づいて、修正ベクトルVscを生成することができることを示す。この修正ベクトルにより、凝固マーカーを調整マーカーの位置と正確に相互調整することができる。こうして、特定の所望の位置にマークを生成するように装置が制御されるとき、当該特定の所望の位置に到達したことを確定するために、修正ベクトルが使われてよい。
【0088】
要約すると、図7aは、調整マーカーMcが与えられ、調整マーカーMcの位置の尺度が決定されることを示す。図7bは、凝固デバイスが調整マーカーMcに関連する凝固マーカーMsを生成するように制御され、凝固マーカーMsの位置の尺度が決定されることを示す。図7cは、調整マーカーMcと当該調整マーカーMcに関連する凝固マーカーMsの両方の位置に基づいて、少なくとも1つの修正ベクトルVscが決定されることを示す。
【0089】
図8は、付加製造技術を用いて物体2を製造する装置(この装置は、凝固デバイスと、少なくとも1つのさらなる凝固デバイスとを備える)を調整するために、本発明に係る方法(この方法の実施の形態は、図7a-7cを参照して説明した)がどのように使われるかを示す。図7a-7cを参照して説明したように、第1の凝固デバイスのために、第1の修正ベクトルVsc1が取得されてよい。同様に、第2の凝固デバイスのために、第2の修正ベクトルVsc2が取得されてよい。この点で、修正ベクトルVsc1およびVsc2を決定するために、単一の画像化デバイスを使うことができることに注意する。代替的に、各凝固デバイスは、それぞれの画像化デバイスを与えられてもよい。調整マーカーは絶対位置を持つという事実から、2つの修正ベクトルVsc1およびVsc2は、これらが凝固デバイスの位置を同じ絶対参照点に向けて修正するように決定されてもよい。このようにして、凝固マーカーMs1の位置は、調整マーカーMcの絶対位置と相互調整するように修正されてよい。さらなる凝固マーカーMs2の位置は、調整マーカーMcの同じ絶対位置と相互調整するように修正されてよい。
【0090】
実際にはこの実施の形態に係る方法は、調整マーカーMcに関連するさらなる凝固マーカーMs2を生成するようにさらなる凝固デバイスを制御するステップと、さらなる凝固マーカーMs2の位置の尺度を決定するステップと、修正マーカーMcと当該修正マーカーに関連するさらなる凝固マーカーMs2の両方の位置に基づいて、少なくとも1つの修正ベクトルVsc2を決定するステップと、をさらに備える。
【0091】
図8に示されるように、単一の画像化デバイスを使うことができる。代替的に、付加製造技術を用いて物体を製造する装置は、調整マーカーの位置の尺度を決定するために、および/または、さらなる凝固マーカーの位置の尺度を決定するために、少なくとも1つのさらなる画像化デバイスを備えてもよい。さらなる画像化デバイスを使用することにより、調整の精度が向上する。なぜならこれにより、凝固マーカー(特に単一の調整マーカーに関連する凝固マーカー)の各々のための専用の画像化デバイスがもたらされるからである。さらなる画像化デバイスは、さらなる画像化デバイスの光路が、装置を使用中に、少なくとも部分的に、さらなる凝固デバイスの電磁放射の光路と一致するように構成されてもよい。
【0092】
望まれる保護は、添付の請求項で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図8