(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ダム管理システム、ガイド装置、およびガイド報知方法
(51)【国際特許分類】
G08B 25/00 20060101AFI20240219BHJP
E02B 7/00 20060101ALI20240219BHJP
G08B 21/18 20060101ALI20240219BHJP
G06Q 50/08 20120101ALI20240219BHJP
G08B 23/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G08B25/00 510B
E02B7/00 Z
G08B21/18
G06Q50/08
G08B23/00 510D
(21)【出願番号】P 2019217286
(22)【出願日】2019-11-29
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴山 茜
(72)【発明者】
【氏名】下平 興二
(72)【発明者】
【氏名】下里 康一
(72)【発明者】
【氏名】添田 淳哉
(72)【発明者】
【氏名】太田 亘
(72)【発明者】
【氏名】江幡 享
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-254364(JP,A)
【文献】特開2005-346655(JP,A)
【文献】特開2003-050622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B7/00
G05B23/00-23/02
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B19/00-31/00
G16Z99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダムの運用に係る情報を登録したデータベースと、
前記データベース
を用いて発生した障害への対処をガイドするガイド装置とを具備し、
前記データベースは、
障害に伴う警報ごとに、対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、
前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶し、 前記ガイド装置は、
前記警報を受信する受信部と、
前記受信された警報の発生要因を分析し、前記アラーム管理テーブルを参照して、
前記警報の参照頻度を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する分析部と、
前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する取得部と、
前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で
報知する報知部とを具備する、
ダム管理システム。
【請求項2】
ダムの運用に係る情報を登録したデータベースと、
前記データベースを用いて発生した障害への対処をガイドするガイド装置とを具備し、
前記データベースは、
障害に伴う警報ごとに、対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、
前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶し、 前記ガイド装置は、
前記警報を受信する受信部と、
前記受信された警報の発生要因を分析し、前記アラーム管理テーブルを参照して、前記警報の発生頻度を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する分析部と、
前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する取得部と、
前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で報知する報知部とを具備する、
ダム管理システム。
【請求項3】
ダムの運用に係る情報を登録したデータベースと、
前記データベースを用いて発生した障害への対処をガイドするガイド装置とを具備し、
前記データベースは、
障害に伴う警報ごとに、対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、
前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶し、 前記ガイド装置は、
前記警報を受信する受信部と、
前記受信された警報の発生要因を分析し、前記アラーム管理テーブルを参照して、前記警報の発生時刻を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する分析部と、
前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する取得部と、
前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で報知する報知部とを具備する、
ダム管理システム。
【請求項4】
前記ダム管理システムは、前記取得されたガイド内容を視覚的に表示する表示装置をさらに具備し、
前記ガイド装置の前記報知部は、前記ガイド内容を前記優先度に基づいて並べ替えて配列したガイドウインドウを前記表示装置に表示する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダム管理システム。
【請求項5】
前記ダム管理システムは、前記取得されたガイド内容を視覚的に表示する表示装置をさらに具備し、
前記ガイド装置は、前記ガイド内容テーブルに登録されたガイド内容を編集するためのダイアログウインドウを前記表示装置に表示する編集部をさらに具備する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のダム管理システム。
【請求項6】
障害に伴う警報ごとに対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶するデータベースを用いて発生した前記障害への対処をガイドするガイド装置であって、
前記警報を受信する受信部と、
前記受信された警報の発生要因を分析し、前記アラーム管理テーブルを参照して、前記警報の参照頻度を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する分析部と、
前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する取得部と、
前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で報知する報知部と、
を具備するガイド装置。
【請求項7】
障害に伴う警報ごとに対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶するデータベース
を用いて発生した前記障害への対処をガイドするガイド装置であって、
前記警報を受信する受信部と、
前記受信された警報の発生要因を分析し、
前記アラーム管理テーブルを参照して、前記警報の発生頻度を基準として該発生要因に応じた優先度を設定する分析部と、
前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する取得部と、
前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で報知する報知部と
、
を具備するガイド装置。
【請求項8】
障害に伴う警報ごとに対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶するデータベースを用いて発生した前記障害への対処をガイドするガイド装置であって、
前記警報を受信する受信部と、
前記受信された警報の発生要因を分析し、前記アラーム管理テーブルを参照して、前記警報の発生時刻を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する分析部と、
前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する取得部と、
前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で報知する報知部と、
を具備するガイド装置。
【請求項9】
ガイド装置により、ダムの運用に係る情報を登録したデータベースを用いて、発生した障害に伴う対処をガイドするガイド報知方法であって、
前記ガイド装置が、前記データベースに対して、障害に伴う警報ごとに対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶する過程と、
前記ガイド装置が、前記警報を受信する過程と、
前記ガイド装置が、前記受信された警報の発生要因を分析し、前記アラーム管理テーブルを参照して、前記警報の参照頻度を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する過程と、
前記ガイド装置が、前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する過程と、
前記ガイド装置が、前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で報知する過程と、
を具備するガイド報知方法。
【請求項10】
ガイド装置により、ダムの運用に係る情報を登録したデータベースを用いて、発生した障害に伴う対処をガイドするガイド報知方法であって、
前記ガイド装置が、前記データベースに対して、障害に伴う警報ごとに対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶する過程と、
前記ガイド装置が、前記警報を受信する過程と、
前記ガイド装置が、前記受信された警報の発生要因を分析し、前記アラーム管理テーブルを参照して、前記警報の発生頻度を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する過程と、
前記ガイド装置が、前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する過程と、
前記ガイド装置が、前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で報知する過程と、
を具備するガイド報知方法。
【請求項11】
ガイド装置により、ダムの運用に係る情報を登録したデータベースを用いて、発生した障害に伴う対処をガイドするガイド報知方法であって、
前記ガイド装置が、前記データベースに対して、障害に伴う警報ごとに対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、前記障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶する過程と、
前記ガイド装置が、前記警報を受信する過程と、
前記ガイド装置が、前記受信された警報の発生要因を分析し、前記アラーム管理テーブルを参照して、前記警報の発生時刻を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する過程と、
前記ガイド装置が、前記障害への対処についてのガイド内容を前記発生要因に基づいて前記ガイド内容テーブルから取得する過程と、
前記ガイド装置が、前記取得されたガイド内容を、前記設定された優先度で報知する過程と、
を具備するガイド報知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ダム管理システム、ガイド装置、およびガイド報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洪水調節、かんがい、水道、農業用水、あるいは観光放流などを目的として、多数のダムが建設されている。多くのダムにダム管理用制御処理システム(ダムコンとも称される)が設けられている。国土交通省発行の非特許文献1に、ダムコンの標準設計仕様書が詳しく記載されており、これからのダムコンはこの仕様書に沿って設計されることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-13596号公報
【文献】特開平8-77260号公報
【文献】特開2014-146185号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】国土交通省「ダム管理用制御処理設備 標準設計仕様書・同解説(平成28年8月)」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ダムコンのユーザは、標準仕様書の枠を超えて、多様なサービスを求めている。例えば、複数の障害が発生した場合に対策の優先度をシステム側で判断し、ユーザに明示することができれば、既存のシステムよりも一層、迅速かつ的確な対応を取れることが期待される。
【0006】
そこで、目的は、障害対応に係るガイド機能を充実させたダム管理システム、ガイド装置、およびガイド報知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、ダム管理システムは、ダムの運用に係る情報を登録したデータベースと、このデータベースを用いて発生した障害への対処をガイドするガイド装置とを具備する。データベースは、障害に伴う警報ごとに、対処の優先度を対応付けて管理するためのアラーム管理テーブルと、障害への対処に関するガイド内容を予め登録したガイド内容テーブルとを記憶する。ガイド装置は、受信部と、分析部と、取得部と、報知部とを具備する。受信部は、警報を受信する。分析部は、受信された警報の発生要因を分析し、アラーム管理テーブルを参照して、警報の参照頻度を基準として当該発生要因に応じた優先度を設定する。取得部は、障害への対処についてのガイド内容を発生要因に基づいてガイド内容テーブルから取得する。報知部は、取得されたガイド内容を、設定された優先度で報知する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図。
【
図2】障害対応ガイド装置60の一例を示す機能ブロック図。
【
図3】実施形態に係わる障害対応ガイド装置60の処理手順の一例を示すフローチャート。
【
図5】応急ガイドウインドウに表示される項目の一例を示す図。
【
図9】応急ガイド追加/編集ダイアログウインドウの一例を示す図。
【
図10】応急ガイド情報ダイアログウインドウの一例を示す図。
【
図11】保守業者情報ダイアログウインドウの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係わるダム管理システムの一例を示す機能ブロック図である。このダム管理システムは、情報入力・提供装置10、および表示制御装置20を備え、これらは情報系LAN(Local Area Network)に接続される。また、ダム管理システムは、放流操作装置50、および障害対応ガイド装置60を備え、これらは情報系LANと、制御系LANとに接続される。制御系LANには、入出力装置80、および、遠方手動操作装置90が接続され、ダムの各種設備を遠隔から制御可能となっている。
【0010】
情報入力・提供装置10は、ダム管理システムに各種の情報を入力したり、各種の情報を提供するために用いられる。表示制御装置20は、各種の情報を液晶パネルディスプレイ(表示装置)などに表示するための制御を行う。放流操作装置50は、ダムの放流ゲートを開閉するための制御を行う。
【0011】
障害対応ガイド装置60は、例えば工場用コンピュータ(Factory Automation PC:FA-PC)として実現される。障害対応ガイド装置60は、応急ガイドデータベース70にアクセスし、応急ガイドデータベース70に格納される各種の情報に基づいて、実施形態に係わる応急対策ガイド機能を実現する。応急ガイドデータベース70の実態は、例えばHDD(ハードディスクドライブ)やSSD(ソリッドステートドライブ)等の記録メディアにおける、所定の記憶領域である。
【0012】
障害対応ガイド装置60により参照されるガイド内容(異常種別、要因、対処内容)は、リレーショナルデータベース(関係データベース)として、応急ガイドデータベース70に格納される。また、障害に係わる警報情報と発生頻度、参照頻度はテーブル化され(アラーム管理テーブル)として、応急ガイドデータベース70に格納される。
【0013】
入出力装置80、および、遠方手動操作装置90は、ダムの各種設備を遠隔から制御するための装置であり、例えばPLC(Programmable Logic Controller)として実現可能である。
【0014】
図2は、障害対応ガイド装置60の一例を示す機能ブロック図である。コンピュータとしての障害対応ガイド装置60は、障害への対処についてのガイド内容を視覚的に表示する表示装置61、ユーザインタフェースとしての入出力部62、情報系LAN、制御系LANに接続されるLANインタフェース(I/F)63を備える。また、障害対応ガイド装置60は、メモリ64、およびプロセッサ65を備える。メモリ64に記憶されたプログラム64aに含まれる命令をプロセッサ65が実行することで、実施形態に係わる各機能が実現される。
【0015】
また、実施形態では、障害対応ガイド装置60が、応急ガイドデータベース70を記憶する。応急ガイドデータベース70は、ダムの運用に係る情報を登録したデータベースであって、実施形態では、ガイド内容テーブル70a、およびアラーム管理テーブル70bを記憶する。
【0016】
ガイド内容テーブル70aは、障害対応ガイド装置60により参照される、異常種別、要因、対処内容などのガイド内容を管理するためのテーブルである。すなわちガイド内容テーブル70aは、障害への対処に関するガイド内容を予め登録したテーブルである。
【0017】
アラーム管理テーブル70bは、障害に係わる警報情報と発生頻度、参照頻度を管理するためのテーブル(アラーム-発生頻度-参照頻度テーブル)である。すなわちアラーム管理テーブル70bは、障害に伴う警報ごとに、対処の優先度を対応付けて管理するためのテーブルである。
【0018】
ところで、プロセッサ65は、実施形態に係わる処理機能として、受信部65a、分析部65b、取得部65c、報知部65d、および、編集部65eを備える。
受信部65aは、ダムに係わる障害が発生したことに伴って発生した警報(アラーム通知)を受信する。すなわち、受信部65aは、警報発報時、警報発報を各装置に通知するための「アラームイベント」を受信する。受信部65aは、受信したアラームイベントについて、アラーム管理テーブル70bに記録される発報警報の「発生回数」を更新(カウントアップ)する。
【0019】
分析部65bは、受信部65aにより受信された警報の発生要因を分析し、当該発生要因に応じた優先度を、アラーム管理テーブル70bを参照して設定する。また、分析部65bは、警報発報時、警報一覧画面から操作者により応急ガイドダイアログを展開した警報について、アラーム管理テーブル70bにおける該当警報の「参照回数」を更新(カウントアップ)する。
【0020】
取得部65cは、障害への対処についてのガイド内容を、分析部65bにより分析された発生要因に基づいて、ガイド内容テーブル70aから取得する。
報知部65dは、取得部65cにより取得されたガイド内容を、分析部65bにより設定された優先度でユーザに報知する。特に、報知部65dは、ガイド内容テーブル70aから取得されたガイド内容を視覚的に表示するための応急ガイドウインドウを、表示装置61に表示する。また、報知部65dは、応急ガイドウインドウにおいて、優先度に基づいてガイド内容を並べ替えて配列する。
【0021】
編集部65eは、ガイド内容テーブル70aに登録されたガイド内容を編集するためのダイアログウインドウを、表示装置61に表示する。
【0022】
さらに、分析部65bは、警報の発生頻度、および、操作者のガイド参照頻度を累積し、アラーム管理テーブル70bに登録する。これにより、警報の発生頻度、および、操作者のガイド参照頻度が表示装置61の表示内容にフィードバックされる。すなわち、警報の発生頻度、および、操作者のガイド参照頻度が、ガイド表示の優先度の設定に際して参照される。
【0023】
図3は、実施形態に係わる障害対応ガイド装置60の処理手順の一例を示すフローチャートである。障害対応ガイド装置60において実行されるプロセスのうち、実施形態において、<現在値管理プロセス>、<要因分析プロセス>、および<監視画面プロセス>に着目する。<現在値管理プロセス>は、例えばプログラム64aに追加されるアラーム用プラグインを含む。
【0024】
図3において、障害対応ガイド装置60は、サービスまたはデーモン(daemon)としてバックグラウンドで実行される現在値処理機能により、現在のアラーム発生状況を常時監視している(ステップS1)。警報(アラームイベント)が受信されると(ステップS2)、アラーム用プラグインによりそのことが検知され、アラームの発生の有無が判定される(ステップS3)。アラームの発生でなければ(No)、アラーム用プラグインの処理は終了(ステップS5)してメインルーチンに戻る。アラームの発生であれば(Yes)、TCP/IPなどのプロトコルにより、アラームイベントの発生したことが監視画面プロセスに通知される(ステップS4)。
【0025】
障害対応ガイド装置60は、監視画面プロセスによりアラームイベント情報を受信すると(ステップS21)、応急ガイドウインドウが表示中であるか否かを確認し(ステップS22)、表示中であれば(Yes)、表示内容を更新して(ステップS25)プロセスを抜ける(ステップS26)。
【0026】
一方、ステップS22で応急ガイドウインドウが表示されていなければ(No)、障害対応ガイド装置60は、当該アラームが、ガイド内容を表示する対象として登録されているか否かを判定する(ステップS23)。アラーム管理テーブル70bにおいて、ガイド内容を表示することが登録されていれば(Yes)、障害対応ガイド装置60は
図4の応急ガイドウインドウを表示する(ステップS24)。表示すべき具体的な内容は、<要因分析プロセス>から渡される。なお、ステップS23でNoであれば、プロセスを抜ける(ステップS26)。
【0027】
図4は、応急ガイドウインドウの一例を示す図である。応急ガイドウインドウは、表示装置61(あるいは、表示制御装置20のディスプレイ)に表示され、警報の発生要因および対処内容を操作者(ユーザ)に示す。
図4によれば、テンダーゲートに関する警報レベル(AB)のアラームが発生し、3つの要因の可能性が示唆される。
【0028】
図3に戻って説明を続ける。
図3の<要因分析プロセス>において、現在値処理機能からの通知によりアラームイベントが受信されると(ステップS11)、アラーム情報(警報情報)が抽出される(ステップS12)。これにより得られたアラーム発生頻度、および分析結果は、アラーム管理テーブル70bに記録される(ステップS15)。
【0029】
一方、<監視画面プロセス>のステップS24で応急ガイドウインドウに表示された警報一覧画面操作情報(応急ガイド参照回数など)は、<要因分析プロセス>に渡され(ステップS13)、アラーム情報(警報情報)の抽出に供される(ステップS14)。ここで得られた分析結果(応急ガイド参照頻度など)も、アラーム管理テーブル70bに記録される(ステップS15)。
【0030】
また、ステップS23で、ガイド対象アラームであることが登録されていれば(Yes)、障害対応ガイド装置60は、応急ガイドウインドウへの表示に先立ち、当該警報に関連するガイド内容を検索し、取得したガイド情報を並べ替える(ステップS17)。その際、ガイド内容テーブル70aが参照される。
【0031】
ここで、複数の障害が同時に発生しているとする。従って応急ガイドウインドウも複数表示されることになる。そこで障害対応ガイド装置60は、それぞれの応急ガイドウインドウに優先度を設定し、設定された優先度に従って、応急ガイドウインドウの表示の順序を並べ替える(ステップS18)その際、障害対応ガイド装置60は、ステップS15で分析されたアラーム発生頻度、ガイド参照頻度の分析結果に基づいて、応急ガイドウインドウごとの優先度を設定する。
【0032】
このようにして、優先度付きの複数の応急ガイドウインドウ(応急ガイドウインドウ群)が作成される(ステップS19)。応急ガイドウインドウ群は<監視画面プロセス>に渡され、ステップS24で応急ガイドウインドウが表示装置61に表示される。
【0033】
図5は、応急ガイドウインドウの表示項目の一例を示す図である。障害対応ガイド装置60の報知部65dは、応急ガイドウインドウに、例えば[警報情報]、[要因]、[対処内容]、および、[ガイドレベル]といった項目を表示する。
【0034】
[警報情報] 受信部65aから渡された警報情報を表示する。表示項目はシステムアラームウインドウと同じ項目とする。
[要因] 受信部65aから渡されたガイド情報の要因(FACTOR)を表示する。この項目での表示件数は、通知されたアラームの警報情報に紐づけられたガイド情報の件数とする。例えば最大で3件とする。
[対処内容] 受信部65aから渡されたガイド情報の対処内容(SUPPORT)を表示する。この項目での表示件数は、通知されたアラームの警報情報に紐づけられたガイド情報の件数とする。例えば最大で3件とする。
[ガイドレベル] 受信部65aから渡されたガイド情報のガイドレベル番号(5,4,3,2,1)に対応する文字色でガイド情報を表示する。文字色としては、ガイドレベル番号ごとに、例えば以下の例が挙げられる。
【0035】
5 : 濃い赤色(dr:deep red)
4 : 赤色(r:red)
3 : 橙色(o:orange)
2 : 黄色(y:yellow)
1 : 黒色(br:black)
図6は、警報一覧画面の一例を示す図である。障害対応ガイド装置60の報知部65dは、現時点で発報されている警報の一覧を、
図6に示されるような帳票形式で表示装置61に表示する。表示される内容は、警報の発生の状況に応じて更新される。
【0036】
図6において、[並び替え]ボタンがクリックされると、警報の表示の順序が既定の基準に基づいて変更(ソート)され、並び替えられた順序で表示内容が更新される。ソーティングの基準には、例えば「対処優先度」、「警報発生頻度」、および「発生時刻」などの項目があり、いずれの基準に基づいてソートするかは分析部65bにより設定される。「対処優先度」に基づけば、優先度が高い順、または低い順にソートされる。「警報発生頻度」に基づけば、発生頻度が高い順、または低い順にソートされる。「発生時刻」に基づけば、警報の発生時刻の古い順、または新しい順でソートされる。
【0037】
すなわち分析部65bは、警報の参照頻度を基準として優先度を設定する。または、分析部65bは、警報の発生頻度を基準として優先度を設定する。あるいは、分析部65bは、警報の発生時刻を基準として優先度を設定する。
【0038】
図7は、応急ガイドダイアログの一例を示す図である。ユーザにより、
図6の警報表示行をカーソルで選択し、[ガイド表示]ボタンがクリックされると、障害対応ガイド装置60は
図7の応急ガイドダイアログを表示装置61に表示する。応急ガイドダイアログにより、任意の警報についての詳細な応急ガイドを参照することができる。
【0039】
図8は、応急ガイド編集画面の一例を示す図である。ユーザ操作に応じて、障害対応ガイド装置60の編集部65eは、応急ガイド編集画面を表示装置61に表示する。応急ガイド編集画面を用いて、ガイド内容テーブル70aに登録されるガイド情報の追加/編集/削除を行うことができる。
【0040】
応急ガイド編集機能画面の「CSV保存」ボタンがクリックされると、現在発報中の警報、及び応急ガイドの情報をCSV(comma separated value)形式の任意のファイル名で保存することができる。
【0041】
図8のウインドウの「追加」ボタンがクリックされた場合、または、任意の警報表示行をカーソルで選択して「編集」ボタンがクリックされると、編集部65eは、応急ガイド追加/編集ダイアログウインドウを表示する。
【0042】
図9は、応急ガイド追加/編集ダイアログウインドウの一例を示す図である。応急ガイド追加/編集ダイアログウインドウは、ガイド内容テーブル70aに登録されたガイド内容を編集するためのダイアログウインドウの一例である。この応急ガイド追加/編集ダイアログウインドウ上で、予め設定した警報情報について、あらかじめ設定した「ガイド名称」と「保守会社」等の情報を設定する。また、警報に対するガイドの重要度を示す「ガイドレベル」を設定する。ガイドレベルは、
図5に対応して例えば1~5までの数字で設定される。数字が大きいほど、当該名称のガイドの重要度が高くなる。
【0043】
図8のウインドウの「ガイド編集」ボタンがクリックされると、応急ガイド情報ダイアログウインドウが表示される。
図10は、応急ガイド情報ダイアログウインドウの一例を示す図である。応急ガイド情報ダイアログウインドウも、ガイド内容テーブル70aに登録されたガイド内容を編集するためのダイアログウインドウの一例である。応急ガイド情報ダイアログウインドウ上で、「ガイド名称」と、「要因」、「対処内容」、「影響」の各項目を設定することができる。
【0044】
図8のウインドウの「業者編集」ボタンがクリックされると、保守業者情報ダイアログウインドウが表示される。
図11は、保守業者情報ダイアログウインドウの一例を示す図である。保守業者情報ダイアログウインドウも、ガイド内容テーブル70aに登録されたガイド内容を編集するためのダイアログウインドウの一例である。保守業者情報ダイアログウインドウ上で、「保守業者名」と、「TEL(電話番号)」、「FAX(電話番号)」、「E-mail(メールアドレス)」、「住所」の各項目を設定することができる。
【0045】
以上説明したように、実施形態に係わる障害対応ガイド装置60は、警報発報時、発報した警報について、アラーム管理テーブル70bを参照し、発生頻度が高く、参照頻度が高い警報を「対処優先度が高い」警報とし、該当する警報の応急ガイドウインドウを最前面に表示する。
【0046】
一つの警報に対して複数のガイド情報が設定されている場合、あらかじめ設定されているガイドレベルの数字の大きい順に、ガイド情報をソートして表示する。ガイドレベルの数字に合わせて文字色を変え、視覚的に重要度を判断できるように表示する。
【0047】
非特許文献1には、実際に障害が発生した場合の障害対策をガイドする機能が記載されているが、障害が複数発生した場合の対策優先度については明記されていない。また、既存のシステムでは、障害の発生時刻が早いものから表示されるようになっているので、障害の本質や原因をユーザ自身が判断する必要があった
これに対し実施形態によれば、ダムコン障害時に、対処の優先度という観点からの操作をシステムで判断し、ユーザに明示することができる。これによりユーザの迅速な対応を促すことができる。
【0048】
また実施形態では、警報情報表示、警報要因表示、警報対処内容表示の標準機能に加えて、過去障害のフィードバック機能(発生頻度、参照頻度)を障害対応ガイド装置60に実装した。
また実施形態では、1障害についてのガイド項目を複数表示するとともに、フィードバックしたデータを累積し、対策項目の優先度高さについて順位付けを行うようにした。
また実施形態では、順位付けした優先度をユーザに視覚的に明示すべく、例えば対策候補一覧の上部に表示したり、文字に赤色等の目立つ色を採用するようにした。
【0049】
このようにしたので、障害発生時の対策(応急ガイド)候補をリストアップし、対策候補内の実行優先度をユーザに明示することができる。また、過去障害時に発報した警報について、警報情報や画面操作内容を記録し、警報別の発生頻度やガイド参照頻度を、次回警報発報時にフィードバックすることができる。さらに、障害対策のガイド表示内容には、具体的な対策方法の他、「発生場所」、「対策実行優先度」を明記するようにした。これにより、ユーザに、より的確な対策内容を提示することができる。
【0050】
これらのことから、実施形態によれば、障害対応に係るガイド機能を充実させたダム管理システム、ガイド装置、およびガイド報知方法を提供することが可能となる。
【0051】
なお、この発明は上記実施の形態に限定されるものではない。例えば
図2において、応急ガイドデータベース70を障害対応ガイド装置60に実装する形態を説明した。これに限らず、ネットワークに応急ガイドデータベース70を構築することももちろん可能である。例えば、データセンタやクラウドコンピューティングシステムに応急ガイドデータベース70を設ける形態が考えられる。あるいは、
図1の情報系LANにサーバを接続し、このサーバに応急ガイドデータベース70を記憶させても良い。要するに、障害対応ガイド装置60からアクセスすることが可能であれば、応急ガイドデータベース70の形態は問われない。
【0052】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10…情報入力・提供装置、20…表示制御装置、50…放流操作装置、60…障害対応ガイド装置、61…表示装置、62…入出力部、63…LANインタフェース、64…メモリ、64a…プログラム、65…プロセッサ、65a…受信部、65b…分析部、65c…取得部、65d…報知部、65e…編集部、70…応急ガイドデータベース、70a…ガイド内容テーブル、70b…アラーム管理テーブル、80…入出力装置、90…遠方手動操作装置。