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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/12 20060101AFI20240219BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20240219BHJP
   G06T 7/593 20170101ALI20240219BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240219BHJP
   G01J 5/48 20220101ALI20240219BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G08B17/12 A
G08B17/00 C
G06T7/593
G01C3/06 110V
G01J5/48 A
G08B25/00 510M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019223388
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021092987
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504158881
【氏名又は名称】東京地下鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 耕輔
(72)【発明者】
【氏名】星子 遼
(72)【発明者】
【氏名】相葉 貴光
(72)【発明者】
【氏名】宮島 康行
(72)【発明者】
【氏名】田坂 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 創
【審査官】山岸 登
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-304249(JP,A)
【文献】特開2000-076568(JP,A)
【文献】特開2002-204445(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C3/00-3/32
G01J5/00-5/90
G06T7/00-7/90
G06V10/00-20/90
30/418
40/16
40/20
G08B17/00-17/12
23/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の可視光画像を取得する第1の可視光カメラインターフェースと、
前記第1の可視光画像に対応する第2の可視光画像を取得する第2の可視光カメラインターフェースと、
前記第1の可視光画像及び前記第2の可視光画像の解像度よりも低い解像度であって、前記第1の可視光画像に対応する赤外線画像を取得する赤外線カメラインターフェースと、
ここで、前記第1の可視光画像、前記第2の可視光画像及び前記赤外線画像は、走行する車両から進行方向を撮影した画像であり、
前記第1の可視光画像と前記第2の可視光画像とに基づいて、前記第1の可視光画像の各座標における距離を特定し、
前記赤外線画像に基づいて、前記第1の可視光画像の各座標における温度を特定し、
前記第1の可視光画像の各座標の温度に基づいて、火災を検知し、
前記車両の建築限界を設定し、
前記火災までの距離および前記建築限界に基づいて、火災を検知したことを示す通知を出力する、
プロセッサと、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第1の可視光画像の座標を前記赤外線画像の座標に変換するテーブルを用いて、前記第1の可視光画像の各座標における温度を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記火災の規模にさらに基づいて、前記通知を出力する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1の可視光画像から所定の火災温度を超える温度の火災領域を特定し、
前記火災領域の温度と、前記火災領域の面積と、前記建築限界と前記火災との距離と、に基づいて前記通知を出力する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1の可視光画像を撮影する第1の可視光カメラと、
前記第2の可視光画像を撮影する第2の可視光カメラと、
前記赤外線画像を撮影する赤外線カメラと、
を備える、
請求項1乃至の何れか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電車などの車両の自動運転に用いる監視装置(情報処理装置)には、前方の火災を検知するものがある。そのような監視装置は、赤外線カメラなどを用いて撮影された画像から高温の領域を特定することで、火災を検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-16249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した監視装置は、車両の運行に影響がない遠方の火災を検知してしまうおそれがある。そこで、このような課題を解決するため、赤外線カメラで撮影した各部までの距離を詳細に測定することができる情報処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、情報処理装置は、第1の可視光カメラインターフェースと、第2の可視光カメラインターフェースと、赤外線カメラインターフェースと、プロセッサと、を備える。第1の可視光カメラインターフェースは、第1の可視光画像を取得する。第2の可視光カメラインターフェースは、前記第1の可視光画像に対応する第2の可視光画像を取得する。赤外線カメラインターフェースは、前記第1の可視光画像及び前記第2の可視光画像の解像度よりも低い解像度であって、前記第1の可視光画像に対応する赤外線画像を取得する。プロセッサは、前記第1の可視光画像と前記第2の可視光画像とに基づいて、前記第1の可視光画像の各座標における距離を特定し、前記赤外線画像に基づいて、前記第1の可視光画像の各座標における温度を特定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、実施形態に係る運行システムの構成例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る監視装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る監視装置の動作例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る監視装置の動作例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る監視装置の動作例を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る監視装置の動作例を示す図である。
図7図7は、実施形態に係る監視装置の動作例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る監視装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
実施形態に係る運行システムは、電車(車両)の運行を制御する。運行システムは、電車に搭載されるカメラを用い、電車の運行に支障を来すおそれのある火災を検知する。なお、運行システムは、自動運転で走行する電車の運行を制御するものであってもよく、また、有人運転で走行する電車の運行を制御するものであってもよい。
【0008】
図1は、実施形態に係る運行システム100の構成例を示す。図1が示すように、運行システム100は、車両1、司令室2及び信号機3などで構成される。ここで、司令室2は、車両1及び信号機3と無線通信路や有線通信路を介して通信する。また、車両1は、信号機3と通信可能に接続する。また、運行システム100は、火災4を検知するものである。
【0009】
なお、運行システム100は、図1が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0010】
車両1は、所定の線路上を走行する電車である。車両1は、司令室2からの指令又は信号機3の表示状態などに基づいて走行する。また、車両1は、火災4を検知する。車両1は、火災4を検知すると、司令室2に火災を検知したことを通知する。
【0011】
車両1は、自動運転で走行するものであってもよい。また、車両1は、有人運転で走行するものであってもよい。
【0012】
車両1については、後に詳述する。
【0013】
司令室2は、運行システム100全体を制御する。司令室2は、車両1からの信号、線路状況、天候などに基づいて、車両1の運行を制御する。例えば、司令室2は、車両1へ進行又は停止の指示を送信する。司令室2は、有人よって車両1の運行を制御するものであってもよい。また、司令室2は、自動で車両1の運行を制御するものであってもよい。
【0014】
信号機3は、司令室2からの制御に従って、進行の可否を表示する。例えば、信号機3は、進行の可否を示すランプを点灯する。また、信号機3は、制限速度を表示してもよい。信号機3は、車両1の運転者が目視可能な位置、例えば線路際、に設置される。
【0015】
また、信号機3は、有線又は無線で、進行の可否又は制限速度を示す信号情報を車両1へ送信する。例えば、信号機3は、信号機3に差し掛かる車両1に対して、進行の可否又は制限速度を示す信号情報を送信する。
【0016】
次に、車両1について説明する。
図1が示すように、車両1は、監視装置10、通信装置20、案内装置30、運転装置40、信号装置50及び制御装置60などを備える。監視装置10は、通信装置20、案内装置30、運転装置40及び制御装置60などと接続する。また、制御装置60は、運転装置40及び信号装置50などと接続する。
【0017】
なお、車両1は、図1が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0018】
監視装置10(情報処理装置)は、車両1の運行に支障を来す恐れのある障害物や火災などを検知する。監視装置10については、後に詳述する。
【0019】
通信装置20は、司令室2と通信するための有線又は無線のインターフェースである。
【0020】
案内装置30は、車両1の乗客に対して、音声アナウンス、警告音又は画像などの案内を出力する。案内装置30は、監視装置10からの信号に従って案内を出力する。また、案内装置30は、車掌又は運転手などの制御に従って案内を出力する。
【0021】
運転装置40は、監視装置10や信号装置50からの信号などに基づいて、加速、減速又は惰行などを指示する信号を制御装置60に送信する。例えば、運転装置40は、ATO(Automatic Train Operation)装置などである。
【0022】
信号装置50は、信号機3から信号情報を受信する。信号装置50は、受信した信号情報を運転手などに提示する。また、信号装置50は、信号情報に基づいて、停止又は減速を指示する信号を制御装置60に送信する。例えば、信号装置50は、車両1の速度が、信号情報が示す制限速度を超えている場合、減速を指示する信号を制御装置60に送信する。例えば、信号装置50は、ATC(Automatic Train Control)装置又はCBTC(Communication-Based Train Control)装置などである。
【0023】
制御装置60は、監視装置10、運転装置40及び信号装置50などからの信号などに基づいて、車両1を加速、減速又は停止させる。制御装置60は、駆動装置及びブレーキ装置などを制御し、車両1を加速、減速又は停止させる。
【0024】
次に、監視装置10について説明する。
図2は、監視装置10の構成例を示す。図2が示すように、監視装置10は、プロセッサ11は、メモリ12、通信部13、操作部14、表示部15、第1の可視光カメラインターフェース16、第1の赤外線カメラインターフェース17、第2の可視光カメラインターフェース18、第2の赤外線カメラインターフェース19、第1の可視光カメラ101、第1の赤外線カメラ102、第2の可視光カメラ103及び第2の赤外線カメラ104などを備える。プロセッサ11と、メモリ12、通信部13、操作部14、表示部15、第1の可視光カメラインターフェース16、第1の赤外線カメラインターフェース17、第2の可視光カメラインターフェース18及び第2の赤外線カメラインターフェース19と、は、互いに通信可能に接続する。第1の可視光カメラインターフェース16と第1の可視光カメラ101とは、互いに通信可能に接続する。第1の赤外線カメラインターフェース17と第1の赤外線カメラ102とは、互いに通信可能に接続する。第2の可視光カメラインターフェース18と第2の可視光カメラ103とは、互いに通信可能に接続する。第2の赤外線カメラインターフェース19と第2の赤外線カメラ104とは、互いに通信可能に接続する。
【0025】
なお、監視装置10は、図2が示すような構成の他に必要に応じた構成を具備したり、特定の構成が除外されたりしてもよい。
【0026】
プロセッサ11は、監視装置10全体の動作を制御する機能を有する。プロセッサ11は、内部キャッシュ及び各種のインターフェースなどを備えてもよい。プロセッサ11は、内部メモリ又はメモリ12が予め記憶するプログラムを実行することにより種々の処理を実現する。
【0027】
なお、プロセッサ11がプログラムを実行することにより実現する各種の機能のうちの一部は、ハードウエア回路により実現されるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、ハードウエア回路により実行される機能を制御する。
【0028】
メモリ12は、種々のデータを格納する。例えば、メモリ12は、ROM、RAM及びNVMとして機能する。
例えば、メモリ12は、制御プログラム及び制御データなどを記憶する。制御プログラム及び制御データは、監視装置10の仕様に応じて予め組み込まれる。例えば、制御プログラムは、監視装置10で実現する機能をサポートするプログラムなどである。
【0029】
また、メモリ12は、プロセッサ11の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、メモリ12は、アプリケーションプログラムの実行に必要なデータ及びアプリケーションプログラムの実行結果などを格納してもよい。
【0030】
通信部13は、他の装置とデータを送受信するためのインターフェースである。例えば、通信部13は、通信装置20、案内装置30、運転装置40及び制御装置60などと接続する。
【0031】
操作部14は、オペレータから種々の操作の入力を受け付け、入力された操作を示す信号をプロセッサ11へ送信する。操作部14は、タッチパネルから構成されてもよい。
【0032】
表示部15は、プロセッサ11からの画像データを表示する。例えば、表示部15は、液晶モニタから構成される。操作部14がタッチパネルから構成される場合、表示部15は、操作部14と一体的に形成されてもよい。
【0033】
第1の可視光カメラインターフェース16は、第1の可視光カメラ101とデータを送受信するためのインターフェースである。例えば、第1の可視光カメラインターフェース16は、有線で第1の可視光カメラ101と接続する。第1の可視光カメラインターフェース16は、画像を撮影させる信号を第1の可視光カメラ101に送信する。また、第1の可視光カメラインターフェース16は、第1の可視光カメラ101からの撮影画像をプロセッサ11に送信する。また、第1の可視光カメラインターフェース16は、第1の可視光カメラ101に電力を供給するものであってもよい。
【0034】
第1の赤外線カメラインターフェース17は、第1の赤外線カメラ102とデータを送受信するためのインターフェースである。第1の赤外線カメラインターフェース17の構成は、第1の可視光カメラインターフェース16の構成と同様であるため説明を省略する。
【0035】
第2の可視光カメラインターフェース18は、第2の可視光カメラ103とデータを送受信するためのインターフェースである。第2の可視光カメラインターフェース18の構成は、第1の可視光カメラインターフェース16の構成と同様であるため説明を省略する。
【0036】
第2の赤外線カメラインターフェース19は、第2の赤外線カメラ104とデータを送受信するためのインターフェースである。第2の赤外線カメラインターフェース19の構成は、第1の可視光カメラインターフェース16の構成と同様であるため説明を省略する。
【0037】
第1の可視光カメラ101は、車両1の進行方向を撮影するカメラである。例えば、第1の可視光カメラ101は、車両1の前面に進行方向を向いた状態で設置される。第1の可視光カメラ101は、可視光で画像(第1の可視光画像)を撮影する。第1の可視光カメラ101は、第1の可視光カメラインターフェース16を通じて、撮影した第1の可視光画像をプロセッサ11に送信する。例えば、第1の可視光カメラ101は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Sensor)カメラなどである。
【0038】
第1の赤外線カメラ102は、車両1の進行方向を撮影するカメラである。例えば、第1の赤外線カメラ102は、車両1の前面に進行方向を向いた状態で第1の可視光カメラ101の近傍に設置される。第1の赤外線カメラ102は、赤外線で画像(第1の赤外線画像)を撮影する。第1の赤外線カメラ102は、第1の赤外線カメラインターフェース17を通じて、撮影した第1の赤外線画像をプロセッサ11に送信する。
【0039】
第1の赤外線画像の解像度は、第1の可視光画像の解像度よりも低い。即ち、第1の赤外線画像の画素数は、第1の可視光画像の画素数よりも少ない。
【0040】
第2の可視光カメラ103は、第1の可視光カメラ101の位置とは異なる位置から車両1の進行方向を撮影するカメラである。例えば、第2の可視光カメラ103は、車両1の前面に進行方向を向いた状態で第1の可視光カメラ101と異なる位置に設置される。第2の可視光カメラ103は、第2の可視光カメラインターフェース18を通じて、撮影した画像(第2の可視光画像)をプロセッサ11に送信する。第2の可視光カメラ103の構成は、第1の可視光カメラ101の構成と同様であるため説明を省略する。
【0041】
第2の赤外線カメラ104は、車両1の進行方向を撮影するカメラである。例えば、第2の赤外線カメラ104は、車両1の前面に進行方向を向いた状態で第2の可視光カメラ103の近傍に設置される。第2の赤外線カメラ104は、赤外線で画像(第2の赤外線画像)を撮影する。第2の赤外線カメラ104は、第2の赤外線カメラインターフェース19を通じて、撮影した画像をプロセッサ11に送信する。第2の赤外線カメラ104の構成は、第1の赤外線カメラ102の構成と同様であるため説明を省略する。
【0042】
監視装置10は、パーソナルコンピュータやプログラマブルコントローラなどから構成されるものであってもよい。また、監視装置10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)から構成されるものであってもよい。また、監視装置10は、FPGA(Field Programmable Gate Array)から構成されるものであってもよい。監視装置10の構成は、特定の構成に限定されるものではない。
【0043】
次に、監視装置10が実現する機能について説明する。監視装置10が実現する機能は、プロセッサ11がメモリ12などに格納されるプログラムを実行することで実現される。
【0044】
まず、プロセッサ11は、第1の可視光画像、第1の赤外線画像、第2の可視光画像及び第2の赤外線画像を取得する機能を有する。
【0045】
例えば、プロセッサ11は、所定の間隔(例えば、0.1秒)で、第1の可視光カメラ101、第1の赤外線カメラ102、第2の可視光カメラ103及び第2の赤外線カメラ104からそれぞれ第1の可視光画像、第1の赤外線画像、第2の可視光画像及び第2の赤外線画像を取得する。即ち、第2の可視光画像、第1の赤外線画像及び第2の赤外線画像は、第1の可視光画像に対応する。例えば、第2の可視光画像、第1の赤外線画像及び第2の赤外線画像は、第1の可視光画像が撮影されるタイミングに対応するタイミングで撮影される。
【0046】
また、プロセッサ11は、第1の赤外線画像に基づいて、第1の可視光画像の各座標における温度を特定する。即ち、プロセッサ11は、第1の赤外線画像に基づいて、第1の可視光画像の各座標に写る画素に写る対象物の温度を特定する。
【0047】
図3は、プロセッサ11が第1の赤外線画像に基づいて、第1の可視光画像の各座標における温度を特定する動作例を示す。
【0048】
ここでは、温度(u,v)は、第1の赤外線画像における座標(u,v)の温度を示す。温度(u,v)は、プロセッサ11が座標(u,v)の画素において検知された赤外線の強度又は周波数などに基づいて算出される温度である。
【0049】
プロセッサ11は、第1の可視光画像の座標(x,y)を第1の赤外線画像の座標(u,v)に変換する座標変換テーブルMAP(X,Y)を取得する。座標変換テーブルMAP(x,y)は、第1の可視光画像の座標(x,y)に対応する第1の赤外線画像の座標(u,v)を返す関数である。即ち、座標変換テーブルMAPは、第1の可視光画像の座標を入力すると、第1の赤外線画像において当該座標の対象物と同一の対象物が写る座標を出力する。
【0050】
座標変換テーブルMAPは、第1の可視光カメラ101と第1の赤外線カメラ102との位置関係及び両カメラの画角などに基づいて生成される。座標変換テーブルMAPは、予めメモリ12などに格納されてもよい。
【0051】
図3が示すように、第1の赤外線画像のドットは、第1の可視光画像のドットよりも大きい。即ち、第1の赤外線画像の1ドットは、第1の可視光画像の複数のドットに対応する。
【0052】
プロセッサ11は、第1の可視光画像の所定の座標を座標変換テーブルMAPに入力することで、当該所定の座標に対応する第1の赤外線画像の座標を取得する。当該所定の座標に対応する第1の赤外線画像の座標を取得すると、プロセッサ11は、第1の赤外線画像に基づいて、取得した座標における温度を取得する。温度を取得すると、プロセッサ11は、当該温度を、第1の可視光画像における当該所定の座標の温度として、特定する。
プロセッサ11は、同様に、第1の可視光画像の各座標において温度を特定する。プロセッサ11は、第1の可視光座標の各座標における温度を示す温度(x,y)を取得する。
【0053】
また、プロセッサ11は、第2の赤外線画像に基づいて、第2の可視光画像の各座標における温度を特定するが、第2の可視光画像の各画素における温度を特定する動作は、第1の可視光画像の各画像における温度を特定する動作と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
また、プロセッサ11は、第1の可視光画像(又は、第2の可視光画像)の各座標における距離を算出する。
【0055】
即ち、プロセッサ11は、基準点又は基準面からの第1の可視光画像の各座標における画素に写る対象物までの距離を算出する。
【0056】
プロセッサ11は、第1の可視光画像と第2の可視光画像との視差に基づいて各座標の画素に写る対象物との距離を算出する。プロセッサ11は、第1の可視光座標の各座標における距離を示す距離(x,y)を取得する。
【0057】
また、プロセッサ11は、車両1の前方方向に建築限界を設定する。建築限界は、障害物が存在すると車両1と衝突するおそれがある領域である。
【0058】
図4及び図5は、プロセッサ11が建築限界を設定する動作例を示す。
【0059】
プロセッサ11は、車両1が進行する経路を特定する。例えば、プロセッサ11は、第1の可視光画像(又は第2の可視光画像)から、車両1が走行する線路を分岐させる転轍機70を特定する。転轍機70を特定すると、プロセッサ11は、転轍機70の画像に基づいて、転轍機70の開通状態を認識する。転轍機70の開通状態を認識すると、プロセッサ11は、認識結果に基づいて、車両1が進行する経路を特定する。
【0060】
車両1が進行する経路を特定すると、プロセッサ11は、特定した経路上において車両1から進行方向に所定の距離離れた複数の位置における建築限界を設定する。
【0061】
図4及び図5が示す例では、プロセッサ11は、建築限界80(80a、80b、…)を設定する。建築限界80(80a、80b、…)は、車両1の前面から進行方向に向って距離L(La、Lb…)離れた位置に設定される建築限界である。
【0062】
また、プロセッサ11は、火災4の規模及び車両1から火災4までの距離に基づいて火災を検知したことを示す通知を出力する機能を有する。
【0063】
図4及び図5は、プロセッサ11が火災を検知したことを示す通知を出力する動作例を示す。
【0064】
プロセッサ11は、第1の赤外線画像(又は第2の赤外線画像)に基づいて算出された温度が対応付けられた第1の可視光画像(又は、第2の可視光画像)から、火災4を検知する。例えば、プロセッサ11は、第1の可視光画像(又は、第2の可視光画像)から所定の閾値(火災4を検出するための温度(火災温度))を超える温度の領域(火災4が写る火災領域90)を検出する。即ち、プロセッサ11は、温度(x,y)>火災温度となる座標(x,y)が存在するか判定する。プロセッサ11は、温度(x,y)>火災温度となる座標(x,y)が存在する場合、火災4を検知する。
【0065】
火災4を検知した場合、プロセッサ11は、第1の可視光画像における火災4の規模を算出する。ここでは、プロセッサ11は、温度が所定の閾値を超える各座標において温度×面積(ドットの大きさ)を算出し、各値を加算した評価値(規模評価値)を算出する。
【0066】
規模評価値を算出すると、プロセッサ11は、規模評価値が所定の閾値(火災規模規定値)以上であるか判定する。
【0067】
規模評価値が火災規模規定値以上であると判定すると、プロセッサ11は、前述の通り建築限界を設定する。
【0068】
建築限界を設定すると、プロセッサ11は、3次元空間において、所定の点を原点として各建築限界80の中心座標を算出する。
【0069】
各建築限界80の中心の座標を算出すると、プロセッサ11は、第1の可視光画像の距離(x,y)などに基づいて、各建築限界80の中心座標から火災4(火災領域90)までの距離K(Ka、Kb…)を算出する。
【0070】
例えば、プロセッサ11は、車両1の前面から各建築限界80までの距離(水平方向の距離)と、車両1の前面から火災領域90までの距離(水平方向の距離)との差を、各建築限界80の中心座標から火災4までの距離として算出する。
【0071】
各距離を算出すると、プロセッサ11は、1つの建築限界80(例えば、建築限界80a)に基づく危険度を算出する。例えば、プロセッサ11は、火災領域90の各座標において温度×面積(ドットの大きさ)/距離(例えば、距離Ka)を算出し、算出した各値を加算した危険度(例えば、危険度a)を算出する。例えば、プロセッサ11は、規模評価値を距離で減算した値を危険度として算出してもよい。
【0072】
なお、プロセッサ11は、3次元空間における各建築限界80の中心座標から火災領域90の各座標までの距離を算出し、火災領域90の各座標において温度×面積(ドットの大きさ)/距離を算出し、算出した各値を加算した危険度を算出してもよい。
【0073】
また、プロセッサ11は、第1の可視光画像において、建築限界80と火災領域90とが少なくとも一部が重なる場合、当該建築限界80の危険度を算出してもよい。プロセッサ11は、建築限界80と火災領域90とが重ならない場合、当該建築限界80の危険度を「0」と算出してもよい。
【0074】
プロセッサ11は、各建築限界80(80a、80b…)に基づいて各危険度(危険度a、危険度b…)を算出する。
【0075】
各危険度を算出すると、プロセッサ11は、各危険度に基づいて、車両1の運行に支障が生じる程度を示す支障度を算出する。例えば、プロセッサ11は、各危険度を加算した値を支障度として算出する。また、プロセッサ11は、各危険度に重みを付けて加算した値を支障度して算出してもよい。例えば、プロセッサ11は、車両1から近距離に設定される建築限界80の危険度に大きな重みを付けてもよい。プロセッサ11が支障度を算出する方法は、特定の方法に限定されるものではない。
【0076】
支障度を算出すると、プロセッサ11は、支障度に基づいて、火災を検知したことを示す通知を出力する。例えば、プロセッサ11は、支障度が所定の閾値(支障判定規定値)以上である場合、当該通知を出力する。なお、プロセッサ11は、支障度が増加傾向である場合に、当該通知を出力してもよい。プロセッサ11が当該通知を出力する条件は、特定の構成に限定されるものではない。
【0077】
また、プロセッサ11は、通信装置20を通じて、当該通知を司令室2に送信する。また、プロセッサ11は、案内装置30、運転装置40及び制御装置60に送信する。また、プロセッサ11は、他の車両に対して当該通知を送信してもよい。プロセッサ11が当該通知を出力する出力先は、特定の構成に限定されるものではない。
【0078】
図4及び図5が示す例では、プロセッサ11は、火災領域90が大きく写っているため、火災4の規模評価値を比較的高く算出する。しかしながら、図5が示すように、各建築限界80から火災4までの距離(Ka、Kb、…)は、比較的遠い。そのため、プロセッサ11は、支障度を低く算出する。その結果、プロセッサ11は、火災を検知したことを示す通知を出力しない。
【0079】
図6及び図7は、火災4の他の例を示す。図6及び図7が示す例では、プロセッサ11は、火災領域90が小さく写っているため、火災4の規模評価値を比較的小さく算出する。しかしながら、図7が示すように、各建築限界80から火災4までの距離(Ka、Kb、…)は、比較的近い。そのため、プロセッサ11は、支障度を高く算出する。その結果、プロセッサ11は、火災を検知したことを示す通知を出力する。
【0080】
また、プロセッサ11は、第1の可視光画像において、各建築限界80内に障害物を検知すると、通信装置20を通じて司令室2に障害物を検知したことを示す通知を送信してもよい。また、監視装置10は、障害物を検知すると、停止することを指示する信号を運転装置40に送信してもよい。
【0081】
次に、監視装置10の動作例について説明する。
図8は、監視装置10の動作例について説明するためのフローチャートである。
【0082】
まず、監視装置10のプロセッサ11は、メモリ、タイマ又は入出力などを初期化する(S11)。メモリ、タイマ又は入出力などを初期化すると、プロセッサ11は、第1の可視光画像及び第2の可視光画像の各座標における温度を特定する(S12)。
【0083】
第1の可視光画像の各座標における温度を特定すると、プロセッサ11は、第1の可視光画像又は第2の可視光画像から火災領域を検出する(S13)。
【0084】
第1の可視光画像から火災領域を検出すると(S14、YES)、プロセッサ11は、規模評価値を算出する(S15)。規模評価値を算出すると、プロセッサ11は、規模評価値が火災規模規定値以上であるか判定する(S16)。
【0085】
規模評価値が火災規模規定値以上であると判定すると(S16、YES)、プロセッサ11は、第1の可視光画像の各座標における距離を算出する(S17)。第1の可視光画像の各座標における距離を算出すると、プロセッサ11は、建築限界を設定する(S18)。
【0086】
建築限界を設定すると、プロセッサ11は、建築限界と火災領域までの距離とに基づいて、支障度を算出する(S19)。支障度を算出すると、プロセッサ11は、支障度が支障判定規定値以上であるか判定する(S20)。
【0087】
支障度が支障判定規定値以上であると判定すると(S20、YES)、プロセッサ11は、火災を検知したことを示す通知を出力する(S21)。
【0088】
第1の可視光画像に火災領域がない場合(S14、NO)、又は、規模評価値が火災規模規定値以上でないと判定した場合(S16、NO)、支障度が支障判定規定値以上でないと判定した場合(S20、NO)、又は、火災を検知したことを示す通知を出力した場合(S21)、プロセッサ11は、S12に戻る。なお、プロセッサ11は、所定の時間待機してからS12に戻ってもよい。
【0089】
プロセッサ11は、操作部14などを通じて、所定の操作の入力を受け付けるまで上記の動作を繰り返す。
【0090】
次に、プロセッサ11が第1の可視光画像及び第2の可視光画像の各座標における温度を特定する動作例(S12)について説明する。
【0091】
図9は、プロセッサ11が第1の可視光画像及び第2の可視光画像の各座標における温度を特定する動作例(S12)について説明するためのフローチャートである。
【0092】
まず、プロセッサ11は、第1の赤外線カメラ102を用いて第1の赤外線画像を取得する(S31)。第1の赤外線画像を取得すると、プロセッサ11は、第1の可視光カメラ101を用いて第1の可視光画像を取得する(S32)。
【0093】
第1の可視光画像を取得すると、プロセッサ11は、第1の赤外線画像に基づいて、第1の可視光画像における所定の座標の温度を特定する(S33)。第1の可視光画像における所定の座標の温度を特定すると、プロセッサ11は、第1の可視光画像における各座標の温度の特定を完了したか判定する(S34)。
【0094】
第1の可視光画像における各座標の温度の特定を完了していないと判定すると(S34、NO)、プロセッサ11は、S33に戻る。
【0095】
第1の可視光画像における各座標の温度の特定を完了したと判定すると(S34、YES)、プロセッサ11は、第2の赤外線カメラ104を用いて第2の赤外線画像を取得する(S35)。第2の赤外線画像を取得すると、プロセッサ11は、第2の可視光カメラ103を用いて第2の可視光画像を取得する(S36)。
【0096】
第2の可視光画像を取得すると、プロセッサ11は、第2の赤外線画像に基づいて、第2の可視光画像における所定の座標の温度を特定する(S37)。第2の可視光画像における所定の座標の温度を特定すると、プロセッサ11は、第2の可視光画像における各座標の温度の特定を完了したか判定する(S38)。
【0097】
第2の可視光画像における各座標の温度の特定を完了していないと判定すると(S38、NO)、プロセッサ11は、S37に戻る。第2の可視光画像における各座標の温度の特定を完了したと判定すると(S38、YES)、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0098】
次に、プロセッサ11が建築限界を設定する動作例(S18)について説明する。図10は、プロセッサ11が建築限界を設定する動作例(S18)について説明するためのフローチャートである。
【0099】
まず、プロセッサ11は、第1の可視光画像(又は、第2の可視光画像)から、転轍機70の開通状態などを認識する(S41)。転轍機70の開通状態などを認識すると、プロセッサ11は、車両1が走行する経路を特定する(S42)。
【0100】
経路を特定すると、プロセッサ11は、Lに初期値を代入する(S43)。Lに初期値を代入すると、プロセッサ11は、車両1から進行方向にL離れた位置における建築限界を設定する(S44)。
【0101】
車両1から進行方向にL離れた位置における建築限界を設定すると、プロセッサ11は、Lに所定の値(ΔL)を加算する(S45)。Lに所定の値(ΔL)を加算すると、プロセッサ11は、Lが所定の閾値を超えたか判定する(S46)。
【0102】
Lが所定の閾値以下であると判定すると(S46、NO)、プロセッサ11は、S44に戻る。
Lが所定の閾値を超えたと判定すると(S46、YES)、プロセッサ11は、動作を終了する。
【0103】
なお、監視装置10は、1つの赤外線カメラを備えるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、1つの赤外線画像に基づいて、第1の可視光画像及び第2の可視光画像の各座標の温度を特定してもよい。また、プロセッサ11は、1つの赤外線画像に基づいて、第1の可視光画像又は第2の可視光画像の各座標の温度を特定してもよい。また、監視装置10は、第2の可視光画像の各座標の温度を特定しなくともよい。
【0104】
また、監視装置10は、1つの可視光カメラを備えるものであってもよい。この場合、プロセッサ11は、1つの可視光画像に基づいて、当該可視光画像の各座標における距離を測定してもよい。
【0105】
また、監視装置10は、距離センサなどを用いて、各部との距離を測定してもよい。この場合、監視装置10は、赤外線画像に基づいて、距離を測定した各部の温度を測定してもよい。
【0106】
また、監視装置10は、車、飛行機又は船舶などに設置されるものであってもよい。また、監視装置10は、所定の場所に設置されてもよい。監視装置10が設置される場所は、特定の構成に限定されるものではない。
【0107】
以上のように構成された監視装置は、2つの可視光カメラを用いて、可視光画像の各座標における対象物との距離を測定する。また、監視装置は、赤外線カメラを用いて、赤外線画像の各座標における対象物の温度を測定する。監視装置は、可視光画像と赤外線画像とのキャリブレーションにより、可視光画像の各座標における温度を特定する。その結果、監視装置は、可視光画像の各座標において、距離及び温度を特定することができる。
【0108】
通常、赤外線カメラの解像度は、可視光カメラの解像度よりも低い。そのため、2つの赤外線カメラを用いた距離の測定は、2つの可視光カメラを用いた距離の測定よりも精度が低い。
【0109】
監視装置は、上記の構成により、可視光画像を用いることで各座標における距離を高精度に測定しつつ、各座標における温度を測定することができる。
【0110】
また、監視装置は、火災との距離に基づいて、火災を検知したことを示す通知を出力する。その結果、監視装置は、電車の運行に支障を来すおそれのある火災を検知した場合に、当該通知を出力することができる。
【0111】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0112】
1…車両、2…司令室、3…信号機、4…火災、10…監視装置、11…プロセッサ、12…メモリ、13…通信部、14…操作部、15…表示部、16…第1の可視光カメラインターフェース、17…第1の赤外線カメラインターフェース、18…第2の可視光カメラインターフェース、19…第2の赤外線カメラインターフェース、20…通信装置、30…案内装置、40…運転装置、50…信号装置、60…制御装置、70…転轍機、80…建築限界、80a…建築限界、90…火災領域、100…運行システム、101…第1の可視光カメラ、102…第1の赤外線カメラ、103…第2の可視光カメラ、104…第2の赤外線カメラ、L…距離。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10