(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】保守管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20240219BHJP
【FI】
G06Q10/20
(21)【出願番号】P 2019233061
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 航大
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-095103(JP,A)
【文献】特開2012-173868(JP,A)
【文献】特開平09-016823(JP,A)
【文献】特開2017-228271(JP,A)
【文献】特開2018-072736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守員の携帯端末と、保守員が保守を行う保守対象機器とを備える保守管理システムであって、
前記保守対象機器は、
表示部に対してタッチされた位置を検出するセンサと、
前記センサの信号に基づいて、保守員の保守作業を検出する検出手段と、
保守内容の各工程の正しい保守作業のログである第1ログと、前記検出手段が検出した保守作業のログである第2ログとを比較する比較手段と、
前記比較手段が比較した比較結果を送信する送信手段と、
を備え、
前記携帯端末は、
前記比較結果を受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記比較結果に基づいて、前記工程の保守作業を表示させる表示制御手段と、
を備える保守管理システム。
【請求項2】
前記保守対象機器は、
前記第2ログに基づいた前記第1ログを生成する生成手段と、
保守内容ごとに前記第1ログを記憶する記憶部に、前記生成手段が生成した前記第1ログを登録する登録手段とを更に備える、
請求項1に記載の保守管理システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第1ログと前記第2ログとが不一致であることを前記比較結果が示している場合に、保守作業が示された画面に、正しい保守作業の内容を表示させる、
請求項1又は2に記載の保守管理システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第1ログと前記第2ログとが一致であることを前記比較結果が示している場合に、保守作業が示された画面に、次の工程の保守作業を表示させる、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の保守管理システム。
【請求項5】
前記送信手段は、可視光通信により前記比較結果を送信する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の保守管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、保守管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、保守対象機器の保守員は、保守の手順が示された手順書や、自身の経験則に則って保守作業を行っている。ところが、保守員は、勘違いや、作業ミス等により正しい保守作業とは異なった保守作業を行ってしまう場合がある。
【0003】
このような場合、保守員は、保守作業に想定よりも長い時間をかけてしまったり、保守作業を正常に終了することができなくなってしまったりする。そのため、正しい手順で保守作業を行うことが可能な技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、正しい手順での保守作業を支援することができる保守管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の保守管理システムは、保守員の携帯端末と、保守員が保守を行う保守対象機器とを備える。前記保守対象機器は、センサと、検出手段と、比較手段と、送信手段とを備える。前記センサは、表示部に対してタッチされた位置を検出する。前記検出手段は、前記センサの信号に基づいて、保守員の保守作業を検出する。前記比較手段は、保守内容の各工程の正しい保守作業のログである第1ログと、前記検出手段が検出した保守作業のログである第2ログとを比較する。前記送信手段は、前記比較手段が比較した比較結果を送信する。前記携帯端末は、受信手段と、表示制御手段とを備える。前記受信手段は、前記比較結果を受信する。前記表示制御手段は、前記受信手段が受信した前記比較結果に基づいて、前記工程の保守作業を表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る保守管理システムの一例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、管理サーバのハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、携帯端末のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、POS端末のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、保守管理システムの各装置が有する特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、本実施形態の保守管理システムが実行する記録処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、本実施形態の保守管理システムが実行する保守支援処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照して、保守管理システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、保守管理システムの一実施形態であって、その構成や仕様等を限定するものではない。
【0008】
図1は、本実施形態に係る保守管理システム1の一例を示す説明図である。保守管理システム1は、保守対象機器への保守作業を支援するシステムである。保守管理システム1は、管理サーバ10と、複数の携帯端末20と、複数のPOS(Point Of Sales)端末30とを備える。管理サーバ10と、複数のPOS端末30とは、ネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0009】
管理サーバ10は、保守管理システム1を管理するサーバ装置である。管理サーバ10は、POS端末30に対する正しい保守作業に関する情報を記憶する。そして、管理サーバ10は、POS端末30の要求に応じて、各種情報を提供する。なお、管理サーバ10は、一台のサーバ装置に限らず、複数台のサーバ装置により構成されていてもよい。
【0010】
携帯端末20は、各保守員が所持する携帯可能な端末である。例えば、携帯端末20は、スマートフォンや、タブレット端末等の端末である。携帯端末20は、保守作業に関する各種情報を表示することで保守作業を支援する。また、携帯端末20は、POS端末30から可視光通信により送信された情報に基づいて、正しい保守作業を行っているか否かを表示する。具体的には、正しい保守作業を行っている場合には、携帯端末20は、次の工程の保守作業について表示する。一方、間違った保守作業を行っている場合には、携帯端末20は、正しい保守作業の内容を表示する。
【0011】
POS端末30は、本実施形態における保守対象機器である。なお、本実施形態では、保守対象機器がPOS端末30の場合について説明する。しかしながら、保守対象機器は、POS端末30に限らず、他の装置であってもよい。また、POS端末30は、販売対象の商品を登録する商品登録処理と、商品登録処理により登録された商品の会計処理とを実行する装置である。
【0012】
POS端末30は、POS端末30の各部に設けられたセンサにより、保守員が行っている保守作業を検出する。また、POS端末30は、管理サーバ10から提供された情報と、検出した保守作業とを比較して、保守員が正しい保守作業を行っているか否かを判定する。そして、POS端末30は、可視光通信により比較結果を送信する。これにより、POS端末30は、保守員が間違った保守作業を行っている場合に、携帯端末20に正しい保守作業の内容を表示させる。
【0013】
このように、保守管理システム1は、保守員が間違った保守作業を行っている場合に、正しい保守作業の内容を表示することにより保守作業を支援する。
【0014】
次に、保守管理システム1が備える各種装置のハードウェア構成について説明する。
【0015】
図2は、管理サーバ10のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。管理サーバ10は、制御部101と、記憶部102と、通信インタフェース103と、表示部104と、操作部105とを備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス107を介して相互に接続している。
【0016】
制御部101は、管理サーバ10の全体の動作を制御し、管理サーバ10が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを備える。CPUは、管理サーバ10の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部102等に格納されたプログラムを実行する。
【0017】
記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの記憶装置である。記憶部102は、制御プログラム108、正解ログテーブル109を記憶する。正解ログテーブル109は、管理サーバ10に限らず、他の装置に記憶されていてもよい。また、正解ログテーブル109は、一台の装置に限らず、複数の装置に分散して記憶されていてもよい。
【0018】
制御プログラム108は、オペレーティングシステムや、管理サーバ10が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム108には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0019】
正解ログテーブル109は、保守内容ごとに、正しい保守作業を正しい手順で行った場合にPOS端末30が検出するログを有する情報テーブルである。正解ログテーブル109には、保守内容コードと、正解ログと、正解ログの順番とが関連付けられている。保守内容コードは、保守内容を識別可能な識別情報である。正解ログは、正しい保守作業を行った場合に検出されるログである。正解ログの順番は、正解ログが検出される順番である。
【0020】
通信インタフェース103は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信インタフェース103は、POS端末30と通信するためのインタフェースである。
【0021】
表示部104は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。操作部105は、例えばキーボードやマウス等の入力装置である。
【0022】
図3は、携帯端末20のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。携帯端末20は、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、表示部204と、操作部205と、撮像部206とを備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス207を介して相互に接続している。
【0023】
制御部201は、携帯端末20の全体の動作を制御し、携帯端末20が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部201は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、携帯端末20の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部202等に格納されたプログラムを実行する。
【0024】
記憶部202は、フラッシュメモリなどの記憶装置である。記憶部202は、制御プログラム208を記憶する。制御プログラム208は、オペレーティングシステムや、携帯端末20が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム208には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0025】
通信部203は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信部203は、管理サーバ10と通信するためのインタフェースである。
【0026】
表示部204は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。操作部205は、表示部204の画面上のタッチ箇所を検出することで各種操作を受け付けるタッチパッド等の入力装置である。なお、操作部205は、ハードウェアボタン等であってもよい。
【0027】
撮像部206は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子を備えたカメラである。また、撮像部206は、POS端末30の表示部304を撮像することで、POS端末30が可視光通信により送信した情報を受信する。
【0028】
ここで、保守員は、POS端末30が設置された店舗のネットワークに携帯端末20を接続させるためには、店舗の許可を得る必要がある。しかし、携帯端末20は、POS端末30から可視光通信により情報を受信する場合には、店舗のネットワークに接続しない。よって、保守員は、可視光通信の場合、店舗の許可を得る必要がない。
【0029】
図4は、POS端末30のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。POS端末30は、制御部301と、記憶部302と、通信部303と、表示部304と、操作部305と、スキャナ306と、入出金部307と、カードリーダ308と、印字部309と、第2センサ310とを備える。これら各部は、データバスやアドレスバス等のシステムバス311を介して相互に接続している。
【0030】
制御部301は、POS端末30の全体の動作を制御し、POS端末30が有する各種の機能を実現するコンピュータである。制御部301は、CPUと、ROMと、RAMとを備える。CPUは、POS端末30の動作を統括的に制御する。ROMは、各種プログラムやデータを記憶する記憶媒体である。RAMは、各種プログラムや各種データを一時的に記憶する記憶媒体である。そして、CPUは、RAMをワークエリア(作業領域)としてROM又は記憶部302等に格納されたプログラムを実行する。
【0031】
記憶部302は、HDDやSSDなどの記憶装置である。記憶部302は、制御プログラム312を記憶する。制御プログラム312は、オペレーティングシステムや、POS端末30が備えている機能を発揮させるためのプログラムである。制御プログラム312には、本実施形態に係る特徴的な機能を発揮させるプログラムが含まれる。
【0032】
通信部303は、ネットワークを介して、他の装置と通信するためのインタフェースである。例えば、通信部303は、POS端末30が設置された店舗内のネットワークに接続された装置との通信を実行する。
【0033】
表示部304は、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置である。表示部304は、液晶の背面から照らすバックライト313と、第1センサ314とを備えている。バックライト313は、LED(Light Emitting Diode)等の発光装置である。そして、表示部304のバックライト313は、可視光通信により各種情報を送信する。ここで、可視光通信とは、情報を含む可視光を放射することにより情報を送信する通信である。なお、本実施形態では、表示部304のバックライト313が、各種情報を含む可視光を放射する場合を例に説明する。しかしながら、POS端末30は、表示部304以外に設けられたLEDから各種情報を含む可視光を放射してもよいし、POS端末30以外の発光装置から各種情報を含む可視光を放射してもよい。
【0034】
第1センサ314は、表示部304に対して保守員がタッチしたタッチ位置を検出するセンサである。
【0035】
操作部305は、表示部304の画面上のタッチ箇所を検出することで各種操作を受け付けるタッチパッド等の入力装置である。なお、操作部305は、ハードウェアボタン等であってもよい。
【0036】
スキャナ306は、商品に付されたバーコードを読み取ることで、商品を識別可能な商品コードを取得する。
【0037】
入出金部307は、会計処理等の処理において、貨幣の入金と出金とを実行する自動釣銭機である。入出金部307は、入金口から入金された硬貨や紙幣等の貨幣を収納部に収納する。また、入出金部307は、釣銭として硬貨や紙幣等の貨幣を収納部から出金口に出金する。
【0038】
カードリーダ308は、クレジットカード等のカードを読み取る。
【0039】
印字部309は、各種情報を印刷するプリンタである。
【0040】
第2センサ310は、POS端末30の各部に設けられたセンサである。例えば、第2センサ310は、POS端末30に設けられたカバー等の開閉を検出するセンサである。
【0041】
次に、保守管理システム1の各装置が有する特徴的な機能について説明する。ここで、
図5は、保守管理システム1の各装置が有する特徴的な機能構成を示すブロック図である。
【0042】
管理サーバ10の制御部101は、記憶部102に記憶された制御プログラム108をRAMに展開し、制御プログラム108に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、管理サーバ10の制御部101は、機能部として、通信制御部1001、正解ログ生成部1002、及び正解ログ管理部1003を備える。
【0043】
通信制御部1001は、通信インタフェース103を制御して、POS端末30との通信を実行する。例えば、通信制御部1001は、正解ログを要求する正解ログ要求をPOS端末30から受信する。具体的には、通信制御部1001は、正解ログテーブル109に登録する正解ログの基になる保守内容コードと、検出ログと、検出ログを生成した順番とを管理サーバ10から受信する。また、通信制御部1001は、正解ログ要求の応答として正解ログをPOS端末30に送信する。
【0044】
正解ログ生成部1002は、通信制御部1001が受信した保守内容コードと、検出ログと、検出ログの順番とに基づいて、正解ログを生成する。例えば、正解ログ生成部1002は、検出ログに含まれる情報のうち不要な情報を削除したり、信号検出のマージンを付加したりすることで正解ログを生成する。
【0045】
正解ログ管理部1003は、正解ログを管理する。例えば、正解ログ管理部1003は、正解ログ生成部1002が正解ログを生成した場合に、生成した正解ログを正解ログテーブル109に登録する。また、正解ログ管理部1003は、通信制御部1001が正解ログを要求する正解ログ要求を受信した場合に、正解ログ要求に含まれる保守内容コードにより特定される正解ログ及び順番を正解ログテーブル109から抽出する。そして、正解ログ管理部1003は、抽出した正解ログ及び順番を通信制御部1001に送信させる。
【0046】
携帯端末20の制御部201は、記憶部202に記憶された制御プログラム208をRAMに展開し、制御プログラム208に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、携帯端末20の制御部201は、機能部として、通信制御部2001、可視光通信受信部2002、及び表示制御部2003を備える。
【0047】
通信制御部2001は、通信部203を制御して、通信を実行する。例えば、通信制御部2001は、保守作業の手順や、チェックリストや、保守作業の具体的な内容を示す画面等の保守に関する情報を受信する。通信制御部2001は、保守に関する情報を管理サーバ10から受信してもよいし、他の装置から受信してもよい。
【0048】
可視光通信受信部2002は、POS端末30から放射された可視光を受光する撮像部206を制御して、可視光通信により送信された情報を受信する。更に詳しくは、可視光通信受信部2002は、保守内容の各工程の正しい保守作業のログである正解ログと、POS端末30が検出した保守員の保守作業のログである検出ログとの比較結果を受信する。すなわち、可視光通信受信部2002は、正解ログと、検出ログとが一致していることを示す比較結果、又は正解ログと、検出ログとが不一致であることを示す比較結果を受信する。
【0049】
表示制御部2003は、表示部204を制御して、各種画面を表示させる。更に詳しくは、表示制御部2003は、保守に関する情報を有する画面を表示する。具体的には、表示制御部2003は、保守作業に応じて行うべき作業内容を示すメッセージや、画像等を表示する。これにより、表示制御部2003は、保守員の保守作業を支援する。
【0050】
また、表示制御部2003は、可視光通信受信部2002受信した比較結果に基づいて、保守内容の各工程の保守作業を表示させる。表示制御部2003は、正解ログと、検出ログとが不一致であることを比較結果が示している場合に、保守作業が示された画面に、正しい保守作業の内容を表示させる。例えば、表示制御部2003は、保守員が行った保守作業が間違っていることと、正しい保守作業を示すメッセージや画像を表示させる。表示制御部2003は、正解ログと、検出ログとが一致であることを比較結果が示している場合に、保守作業が示された画面に、次の工程の保守作業を表示させる。これにより、保守員は、次の工程で行うべき保守作業の内容を把握することができる。
【0051】
POS端末30の制御部301は、記憶部302に記憶された制御プログラム312をRAMに展開し、制御プログラム312に従って動作することで、各機能部をRAMに生成する。具体的には、POS端末30の制御部301は、機能部として、通信制御部3001、操作制御部3002、モード制御部3003、作業検出部3004、ログ生成部3005、正解ログ登録要求部3006、ログ比較部3007、表示制御部3008、及び可視光通信送信部3009を備える。
【0052】
通信制御部3001は、通信部303を制御して、管理サーバ10との通信を実行する。例えば、通信制御部3001は、保守内容コードと、検出ログと、検出ログを生成した順番とを送信して、正解ログテーブル109に正解ログとして登録することを要求する登録要求を管理サーバ10に送信する。また、通信制御部3001は、正解ログを要求する正解ログ要求を管理サーバ10に送信する。通信制御部3001は、正解ログ要求の応答として正解ログを管理サーバ10から受信する。
【0053】
操作制御部3002は、操作部305を制御して、各種操作を受け付ける。
【0054】
モード制御部3003は、POS端末30のモード変更を制御する。POS端末30のモードには、通常モードと保守モードとが有る。通常モードは、販売対象の商品を登録する商品登録処理と、商品登録処理により登録された商品の会計処理とを実行するモードである。保守モードは、保守員が保守を実行する場合に設定されるモードである。モード制御部3003は、保守員コード、及び保守員コードに対応したパスワード等が入力された場合に、通常モードから保守モードに変更する。ここで、保守員コード、及びパスワードは、操作部305が入力を受け付けたてもよいし、カードリーダ308がカードを読み取ることで入力を受け付けても、他の方法により入力されてもよい。また、モード制御部3003は、保守モードにおいて保守を終了する操作が入力された場合に、保守モードから通常モードに変更する。
【0055】
また、保守モードには、正解記録モードと、保守支援モードとがある。正解記録モードは、正解ログを生成するためのモードである。POS端末30は、正解記録モードの場合に、一連の保守作業の検出ログを記憶部302等に記憶する。保守支援モードは、保守員を支援するモードである。POS端末30は、保守支援モードの場合に、検出ログと生成ログとを比較して、正しい保守作業が行われているかを判定する。そして、POS端末30は、可視光通信により比較結果を携帯端末20に送信する。比較結果を受信した携帯端末20は比較結果に応じた画面を表示する。これにより、POS端末30は、保守支援モードにおいて保守作業を支援する。
【0056】
作業検出部3004は、操作部305、第1センサ314、及び第2センサ310の信号に基づいて、保守員が行った保守作業を検出する。例えば、作業検出部3004は、第1センサ314が検出した保守員のタッチ位置と、タッチ時に表示部304が表示していた画面とに基づいて、表示部304に対する操作内容を保守作業として検出する。また、作業検出部3004は、第2センサ310により検出に基づいて、保守員によるPOS端末30のカバーの開閉等を保守作業として検出する。
【0057】
ログ生成部3005は、作業検出部3004の検出結果に基づいて、検出ログを生成する。また、ログ生成部3005は、検出ログを生成時に行われている保守内容を示す保守内容コードと、生成した検出ログと、検出ログを生成した順番とを関連付ける。
【0058】
正解ログ登録要求部3006は、保守内容ごとに正解ログを記憶する正解ログテーブル109に、ログ生成部3005が生成した検出ログを登録する。すなわち、正解ログ登録要求部3006は、ログ生成部3005が生成した検出ログを正解ログとして登録することを要求する登録要求を通信制御部3001に送信させる。登録要求には、ログ生成部3005が関連付けた保守内容コードと、検出ログと、検出ログを生成した順番とが含まれている。
【0059】
ログ比較部3007は、保守内容の各工程の正しい保守作業のログである正解ログと、作業検出部3004が検出した保守作業のログである検出ログとを比較する。すなわち、ログ比較部3007は、正解ログと、ログ生成部3005が生成した検出ログとを比較する。ログ比較部3007は、正解ログと検出ログとが一致しているか、または不一致であるかを示す比較結果を生成する。
【0060】
表示制御部3008は、表示部304を制御して各種画面を表示させる。例えば、表示制御部3008は、保守モードの場合に、正解記録モードと、保守支援モードとの何れかであるかを示す画面を表示させる。また、表示制御部3008は、可視光通信により比較結果を送信する場合に、可視光通信により比較結果を送信中であることを示す画面を表示させる。これにより、保守員は、POS端末30の表示部304に携帯端末20をかざすタイミングを把握することができる。
【0061】
可視光通信送信部3009は、表示部304のバックライト313を制御して、可視光通信により情報を送信する。すなわち、可視光通信送信部3009は、表示部304のバックライト313を高速で点滅させることにより情報を送信する。例えば、可視光通信送信部3009は、ログ比較部3007による正解ログと検出ログとの比較結果を送信する。
【0062】
次に、保守管理システム1の動作について説明する。
【0063】
図6は、本実施形態の保守管理システム1が実行する記録処理の一例を示すフローチャートである。記録処理は、保守作業の理想的な手順を記録する処理である。
【0064】
POS端末30の操作制御部3002は、初期設定を受け付ける(ステップS1)。具体的には、操作制御部3002は、正解記録モードに設定する。また、操作制御部3002は、記録処理の対象となる保守内容を示す保守内容コード等の設定を受け付ける。
【0065】
操作制御部3002は、記録開始を指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS2)。記録開始を指示する操作を受け付けていない場合に(ステップS2;No)、操作制御部3002は、待機する。
【0066】
記録開始を指示する操作を受け付けた場合に(ステップS2;Yes)、ログ生成部3005は、記録開始を指示する操作後に、作業検出部3004が検出した保守作業のログである検出ログを生成する(ステップS3)。
【0067】
操作制御部3002は、記録終了を指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS4)。記録終了を指示する操作を受け付けていない場合に(ステップS4;No)、ログ生成部3005は、待機する。すなわち、ログ生成部3005は、作業検出部3004が保守作業を検出したことを条件に検出ログを生成する。
【0068】
記録終了を指示する操作を受け付けた場合に(ステップS4;Yes)、通信制御部3001は、保守内容コードと、検出ログと、検出ログを生成した順番とを関連付けて管理サーバ10に送信する(ステップS5)。すなわち、通信制御部3001は、検出ログに基づいた正解ログを正解ログテーブル109に登録させる登録要求を送信する。
【0069】
管理サーバ10の正解ログ生成部1002は、通信制御部1001が受信した検出ログに基づいて、正解ログを生成する(ステップS6)。
【0070】
正解ログ管理部1003は、正解ログ生成部1002が生成した正解ログと、順番と、保守内容コードとを関連付けて正解ログテーブル109に登録する(ステップS7)。
【0071】
以上により、保守管理システム1は、記録処理を終了する。
【0072】
図7は、本実施形態の保守管理システム1が実行する保守支援処理の一例を示すフローチャートである。保守支援処理は、理想的な手順の保守作業を支援する処理である。
【0073】
携帯端末20の表示制御部2003は、ある工程の保守作業が示された案内画面を表示部204に表示する(ステップS21)。
【0074】
POS端末30の操作制御部3002は、初期設定を受け付ける(ステップS22)。具体的には、操作制御部3002は、保守支援モードに設定する。また、操作制御部3002は、保守支援処理の対象となる保守内容を示す保守内容コード等の設定を受け付ける。
【0075】
通信制御部3001は、保守支援処理の対象となる保守内容の正解ログを要求する正解ログ要求を管理サーバ10に送信する(ステップS23)。
【0076】
管理サーバ10の正解ログ管理部1003は、通信制御部1001が受信した正解ログ要求に含まれる保守内容コードの正解ログを正解ログテーブル109から抽出する(ステップS24)。
【0077】
通信制御部1001は、正解ログ管理部1003が抽出した正解ログをPOS端末30に送信する(ステップS25)。
【0078】
操作制御部3002は、保守開始を指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS26)。保守開始を指示する操作を受け付けていない場合に(ステップS26;No)、操作制御部3002は、待機する。
【0079】
保守開始を指示する操作を受け付けた場合に(ステップS26;Yes)、ログ生成部3005は、記録開始を指示する操作後に、作業検出部3004が検出した保守作業のログである検出ログを生成する(ステップS27)。
【0080】
ログ比較部3007は、ログ生成部3005が生成した検出ログと、正解ログとを比較する(ステップS28)。すなわち、ログ比較部3007は、適切な保守作業が、適切な順番で行われているか否かを判定する。
【0081】
可視光通信送信部3009は、ログ比較部3007が比較した比較結果を携帯端末20に送信する(ステップS29)。
【0082】
携帯端末20の表示制御部2003は、可視光通信受信部2002が受信した比較結果が保守作業の正解を示しているか否かを判定する(ステップS30)。比較結果が保守作業の正解を示している場合に(ステップS30;Yes)、表示制御部2003は、表示対象として次の工程の画面を選択する(ステップS31)。そして、表示制御部2003は、ステップS21において、次の工程の保守作業が示された案内画面を表示させる。
【0083】
比較結果が保守作業の不一致を示している場合に(ステップS30;No)、表示制御部2003は、不適切な保守作業を行っていることを示すエラー画面を表示させる(ステップS32)。また、エラー画面には、適切な保守作業を示す情報が含まれている。そして、表示制御部2003は、エラー画面を消去した場合に、ステップS21において、案内画面を表示させる。
【0084】
ステップS33において、POS端末30の操作制御部3002は、保守終了を指示する操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS33)。保守終了を指示する操作を受け付けていない場合に(ステップS33;No)、ステップS27において、ログ生成部3005は、作業検出部3004が検出した保守作業のログである検出ログを生成する。
【0085】
保守終了を指示する操作を受け付けた場合に(ステップS33;Yes)、POS端末30は、保守支援処理を終了する。
【0086】
以上により、保守管理システム1は、保守支援処理を終了する。
【0087】
以上のように、本実施形態に係る保守管理システム1によれば、POS端末30は、第1センサ314や、第2センサ310等により保守員の保守作業を検出する。POS端末30は、正しい保守作業のログである正解ログと、検出した保守作業のログである検出ログとを比較する。そして、POS端末30は、保守員の携帯端末20に比較結果を送信する。保守員の携帯端末20は、受信した比較結果に基づいて、保守内容の各工程の保守作業を表示する。例えば、携帯端末20は、比較結果が一致している場合には、次の工程の保守作業を表示する。一方、携帯端末20は、比較結果が不一致の場合には、正しい保守作業を表示する。よって、保守管理システム1は、正しい手順での保守作業を支援することができる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0089】
また、上記実施形態では、携帯端末20の撮像部206が可視光通信を受信すると説明した。しかしながら、可視光通信は、他の装置が受信してもよい。そして、可視光通信を受信した他の装置が、携帯端末20に受信内容を送信してもよい。具体的には、監視カメラが可視光通信を受信してもよい。そして、監視カメラに接続された装置が、携帯端末20に受信内容を送信してもよい。
【0090】
上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムは、各装置が備える記憶媒体(ROM又は記憶部)に予め組み込んで提供するものとするが、これに限らないものとする。例えば、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。さらに、記憶媒体は、コンピュータ或いは組み込みシステムと独立した媒体に限らず、LANやインターネット等により伝達されたプログラムをダウンロードして記憶又は一時記憶した記憶媒体も含まれる。
【0091】
また、上記実施形態や変形例の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよいし、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 保守管理システム
10 管理サーバ
20 携帯端末
30 POS端末
109 正解ログテーブル
206 撮像部
310 第2センサ
313 バックライト
314 第1センサ
1001、2001、3001 通信制御部
1002 正解ログ生成部
1003 正解ログ管理部
2002 可視光通信受信部
2003 3008 表示制御部
3002 操作制御部
3003 モード制御部
3004 作業検出部
3005 ログ生成部
3006 正解ログ登録要求部
3007 ログ比較部
3009 可視光通信送信部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【文献】特開2016-015601号公報
【文献】特開2013-029881号公報