(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】通信装置、通信システム、及び通信方法
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240219BHJP
H04W 64/00 20090101ALI20240219BHJP
H04W 74/02 20090101ALI20240219BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20240219BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20240219BHJP
【FI】
H04L12/28 203
H04W64/00 110
H04W74/02
H04W84/10
H04W4/38
(21)【出願番号】P 2019236535
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和則
【審査官】羽岡 さやか
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-101658(JP,A)
【文献】国際公開第2007/139863(WO,A2)
【文献】特開平08-288946(JP,A)
【文献】特表2019-519755(JP,A)
【文献】特開2007-144142(JP,A)
【文献】国際公開第2017/187551(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04W 64/00
H04W 74/02
H04W 84/10
H04W 4/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信する第1の通信部と、
前記ユーザ端末から前記転送データを受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部と、前記第2の通信部とを制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末から前記報知信号を受信する第1の処理と、
前記第2の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末のうちの特定の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、
受信した前記報知信号に含まれる前記要求情報に基づいて、前記ユーザ端末から前記転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる前記識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて前記第2の通信部を制御することで、当該転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される前記ユーザ端末に対して前記第2の処理を逐次実行
し、
前記第2の処理において、一以上の前記ユーザ端末から受信する前記転送データのサイズを、前記ユーザ端末毎に特定サイズに制限し、
前記特定サイズの前記転送データを受信した前記ユーザ端末を識別する前記識別情報を、前記転送管理情報から削除し、前記転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される、当該ユーザ端末以外の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する、
通信装置。
【請求項2】
前記制御部は、受信した前記報知信号に応じて当該報知信号を送信した前記ユーザ端末の位置を推定する、
請求項1記載の通信装置。
【請求項3】
前記第2の通信部が受信する前記転送データのサイズは、前記第1の通信部が受信する前記報知信号のデータのサイズよりも大きく、
前記制御部は、前記第2の処理により前記第2の通信部が占有されている間、並行して前記第1の処理を実行することにより、前記第2の処理により前記転送データを受信している前記ユーザ端末以外の他の前記ユーザ端末から前記報知信号を受信可能とする、
請求項1又は請求項2に記載の通信装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1の処理において、前記ユーザ端末により送信された前記報知信号を受信する期間であるスキャン期間の間、前記報知信号を待ち受け、当該スキャン期間の間に受信した前記報知信号に含まれる前記識別情報を、転送管理情報に記録する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記スキャン期間は、前記ユーザ端末における前記報知信号の送信間隔よりも長く設定されている、
請求項4に記載の通信装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記転送管理情報に前記識別情報が記録された複数の前記ユーザ端末に対して、前記第2の処理を実行する契機を時間的に均等に割り当てる、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信する第1の通信部と、
前記ユーザ端末から前記転送データを受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部と、前記第2の通信部とを制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末から前記報知信号を受信する第1の処理と、
前記第2の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末のうちの特定の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、
受信した前記報知信号に含まれる前記要求情報に基づいて、前記ユーザ端末から前記転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる前記識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて前記第2の通信部を制御することで、当該転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される前記ユーザ端末に対して前記第2の処理を逐次実行し、
前記第2の処理において、前記報知信号を受信した順番に前記報知信号に含まれる前記識別情報を並べて前記転送管理情報に追加し、当該転送管理情報に記録された前記識別情報を順番に読み取り、読み取った前記識別情報によって識別される前記ユーザ端末からの前記転送データの受信を繰り返す、
通信装置。
【請求項8】
ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信する第1の通信部と、
前記ユーザ端末から前記転送データを受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部と、前記第2の通信部とを制御可能な制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末から前記報知信号を受信する第1の処理と、
前記第2の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末のうちの特定の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、
受信した前記報知信号に含まれる前記要求情報に基づいて、前記ユーザ端末から前記転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる前記識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて前記第2の通信部を制御することで、当該転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される前記ユーザ端末に対して前記第2の処理を逐次実行し、
前記第1の処理において、前記ユーザ端末により送信された前記報知信号を受信する期間であるスキャン期間の間、前記報知信号を待ち受け、当該スキャン期間の間に受信した前記報知信号に含まれる前記識別情報を、転送管理情報に記録し、
前記スキャン期間の間に受信した報知信号に含まれる前記識別情報が記録された前記転送管理情報を、当該スキャン期間よりも後の前記スキャン期間の間に受信した報知信号に含まれる前記識別情報により上書きする、
通信装置。
【請求項9】
通信回線を介して他の装置にデータを転送可能な第3の通信部を更に備え、
前記制御部は、前記第3の通信部を制御することにより、前記第1の通信部によって受信された前記報知信号に含まれる前記識別情報と、前記第2の通信部によって受信された前記転送データとを、前記他の装置に転送する、
請求項1から請求項
8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信する第1の通信部と、
前記ユーザ端末から前記転送データを受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部と、前記第2の通信部とを制御可能な制御部と、
通信回線を介して他の装置にデータを転送可能な第3の通信部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末から前記報知信号を受信する第1の処理と、
前記第2の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末のうちの特定の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、
受信した前記報知信号に含まれる前記要求情報に基づいて、前記ユーザ端末から前記転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる前記識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて前記第2の通信部を制御することで、当該転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される前記ユーザ端末に対して前記第2の処理を逐次実行し、
前記第3の通信部を制御することにより、前記第1の通信部によって受信された前記報知信号に含まれる前記識別情報と、前記第2の通信部によって受信された前記転送データとを、前記他の装置に転送し、
前記ユーザ端末から受信した前記報知信号に当該ユーザ端末に関する緊急度が高いことを示す情報が含まれている場合、前記第3の通信部を制御することで、当該ユーザ端末から受信した前記報知信号に含まれる識別情報を、前記他の装置に優先的に転送する、
通信装置。
【請求項11】
ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信する第1の通信部と、
前記ユーザ端末から前記転送データを受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部と、前記第2の通信部とを制御可能な制御部と、
通信回線を介して他の装置にデータを転送可能な第3の通信部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末から前記報知信号を受信する第1の処理と、
前記第2の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末のうちの特定の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、
受信した前記報知信号に含まれる前記要求情報に基づいて、前記ユーザ端末から前記転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる前記識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて前記第2の通信部を制御することで、当該転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される前記ユーザ端末に対して前記第2の処理を逐次実行し、
前記第3の通信部を制御することにより、前記第1の通信部によって受信された前記報知信号に含まれる前記識別情報と、前記第2の通信部によって受信された前記転送データとを、前記他の装置に転送し、
前記ユーザ端末から受信した前記報知信号に基づいて、前記ユーザ端末と、自装置との間の位置関係を推定し、前記ユーザ端末から前記報知信号を受信したタイミングと、当該ユーザ端末と自装置との間の位置関係とを示すデータを、前記第3の通信部を制御することにより、前記他の装置に転送する、
通信装置。
【請求項12】
前記第1の通信部及び前記第2の通信部は、それぞれ無線通信回線を介して前記ユーザ端末と通信可能に接続され、
前記制御部は、前記第1の通信部が前記無線通信回線を介して、前記ユーザ端末から前記報知信号を受信した際の無線通信回線の信号強度に応じて、前記ユーザ端末と、自装置との間の距離を特定する、
請求項
11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記信号強度と既定の閾値を比較することにより前記距離を特定する、
請求項
12に記載の通信装置。
【請求項14】
請求項1から請求項
13のいずれか1項に記載の通信装置と、
複数の前記ユーザ端末と、
を備える通信システム。
【請求項15】
前記通信装置は、当該通信装置と、複数の前記ユーザ端末との間の位置関係に応じて、複数の前記ユーザ端末のうち、いずれの前記ユーザ端末から前記転送データを受信するか決定する、
請求項
14に記載の通信システム。
【請求項16】
複数の通信装置と、複数のユーザ端末と、を備える通信システムであって、
前記通信装置は、
ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信する第1の通信部と、
前記ユーザ端末から前記転送データを受信する第2の通信部と、
前記第1の通信部と、前記第2の通信部とを制御可能な制御部と、
通信回線を介して他の装置にデータを転送可能な第3の通信部とを備え、
前記制御部は、
前記第1の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末から前記報知信号を受信する第1の処理と、
前記第2の通信部を制御して一以上の前記ユーザ端末のうちの特定の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、
受信した前記報知信号に含まれる前記要求情報に基づいて、前記ユーザ端末から前記転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる前記識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて前記第2の通信部を制御することで、当該転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される前記ユーザ端末に対して前記第2の処理を逐次実行し、
前記通信装置は、当該通信装置と、複数の前記ユーザ端末との間の位置関係に応じて、複数の前記ユーザ端末のうち、いずれの前記ユーザ端末から前記転送データを受信するか決定し、
前記複数の通信装置のうちのそれぞれの前記通信装置が、複数の前記通信装置と前記ユーザ端末との間の位置関係を推定した情報を共有し、
それぞれの前記通信装置は、共有した前記情報を基に当該通信装置以外の前記通信装置よりも当該通信装置に近い前記ユーザ端末を特定し、特定した前記ユーザ端末から前記転送データを受信する、
通信システム。
【請求項17】
通信装置によって実行される通信方法であって、
ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信し、
前記ユーザ端末から前記転送データを受信し、
一以上の前記ユーザ端末から前記報知信号を受信する第1の処理と、一以上の前記ユーザ端末のうちの特定の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、
受信した前記報知信号に含まれる前記要求情報に基づいて、前記ユーザ端末から前記転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる前記識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて前記転送データの受信を制御することで、当該転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される前記ユーザ端末に対して前記第2の処理を逐次実行
し、
前記第2の処理において、一以上の前記ユーザ端末から受信する前記転送データのサイズを、前記ユーザ端末毎に特定サイズに制限し、
前記特定サイズの前記転送データを受信した前記ユーザ端末を識別する前記識別情報を、前記転送管理情報から削除し、前記転送管理情報に記録された前記識別情報によって識別される、当該ユーザ端末以外の前記ユーザ端末から、前記転送データを受信する、
通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態の一側面は、通信装置、通信システム、及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のセンサノード等の端末装置からデータを収集するゲートウェイ装置が知られている(下記特許文献1参照。)。例えば、下記特許文献1に開示されたゲートウェイ装置は複数の無線通信部を有し、ゲートウェイノードに接続しようとするセンサノードが、無線通信部に到達する経路のうち通信品質が良好である経路を選択してデータを送信している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のデータ通信技術においては、複数の端末装置からデータを収集する際に、端末装置とゲートウェイ装置との間の通信が競合しやすい傾向にある。そのため、複数の端末装置から効率的にデータを収集することができない場合があった。このような課題は、例えば、複数の端末装置のそれぞれにおいて継続的に生成される傾向にあるデータ(例えば、生体情報など)を収集しようとする場合に顕著である。
【0005】
そこで、実施形態は、端末装置から効率よくデータを収集することが可能な通信装置、通信システム、あるいは、通信方法を提供すること、をその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の一形態の通信装置は、ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信する第1の通信部と、ユーザ端末から転送データを受信する第2の通信部と、第1の通信部と、第2の通信部とを制御可能な制御部と、を備え、制御部は、第1の通信部を制御して一以上のユーザ端末から報知信号を受信する第1の処理と、第2の通信部を制御して一以上のユーザ端末のうちの特定のユーザ端末から、転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、受信した報知信号に含まれる要求情報に基づいて、ユーザ端末から転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて第2の通信部を制御することで、当該転送管理情報に記録された識別情報によって識別されるユーザ端末に対して第2の処理を逐次実行する。
【0007】
或いは、他の形態の通信方法は、通信装置によって実行される通信方法であって、ユーザ端末から、当該ユーザ端末を識別可能な識別情報と、当該ユーザ端末の使用者に関する生体情報を少なくとも含む転送データの受信の要求の有無を示す要求情報と、を少なくとも含む報知信号を受信し、ユーザ端末から転送データを受信し、一以上のユーザ端末から報知信号を受信する第1の処理と、一以上のユーザ端末のうちの特定のユーザ端末から、転送データを受信する第2の処理と、を並行して実行し、受信した報知信号に含まれる要求情報に基づいて、ユーザ端末から転送データを受信すると判断した場合、当該報知信号に含まれる識別情報を転送管理情報として記録し、当該転送管理情報に応じて転送データの受信を制御することで、当該転送管理情報に記録された識別情報によって識別されるユーザ端末に対して第2の処理を逐次実行する。
【0008】
或いは、他の形態の通信システムは、上記の通信装置と、複数のユーザ端末と、を備える。
【0009】
上記形態の通信装置、通信方法、あるいは、通信システムによれば、一以上のユーザ端末から識別情報と要求情報とを含む報知信号を受信する第1の処理と特定のユーザ端末から生体情報を含む転送データを受信する第2の処理とが並行して実行され、その際に、報知信号に含まれる要求情報に基づいてユーザ端末から転送データを受信すると判断した場合に、当該報知信号に含まれる識別情報が転送管理情報として記録され、記録された識別情報によって識別されるユーザ端末から転送データが逐次受信される。これにより、報知信号を送信した一以上のユーザ端末のうち、生体情報の収集の必要なユーザ端末から効率的に生体情報を含むデータを収集することができる。
【発明の効果】
【0010】
実施形態によると、端末装置から効率よくデータを収集することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る通信システム100の構成図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る端末装置1の外観図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るゲートウェイ装置2の外観図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る端末装置1の本体部11のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る端末装置1の機能構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、端末装置1の送信する報知用通信パケットのデータフォーマットの一例を示す。
【
図7】
図7は、実施形態に係るゲートウェイ装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係るゲートウェイ装置2の機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係るゲートウェイ装置2の他の機能構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係るゲートウェイ装置2によって記録された転送管理データのデータ構成の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、ゲートウェイ装置2の通信制御部64によって制御された第1の受信処理及び第2の受信処理のタイミングを示すタイミングチャートである。
【
図12】
図12は、通信システム100における第1の受信処理及びそれに伴う転送処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、通信システム100における第2の受信処理及びそれに伴う転送処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照しながら実施形態について説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0013】
図1に、本実施形態に係る通信システム100の構成を例示する。通信システム100は、ユーザの生体情報を収集する1以上の装置により構成される。
図1に例示するシステム100は、ユーザが使用するユーザ端末である端末装置1と、通信装置である複数のゲートウェイ装置2と、生体情報を管理するサーバ装置3と含む。システム100には、複数の端末装置1が含まれてもよい。まず、端末装置1及びゲートウェイ装置2の構成について説明する。
【0014】
図2は、本実施形態に関わる端末装置1の一形態を例示する外観図である。端末装置1は、本体部11と、装着部12とを有して構成される。一例として、端末装置1は、後述する生体情報などが測定される対象者、すなわち端末装置1を装着したユーザ(使用者)の前腕の手首に装着して使用されるリストバンド型のウェアラブル機器である。なお、
図2に例示する形態は、端末装置1を実現する一つの具体例である。端末装置1は、例えば、ユーザが装着する部位等に応じて適切な形態を採用可能である。
【0015】
装着部12は、本体部11の長手方向両端部に取り付けられる2本のバンド12a,12bから構成される。2本のバンド12a,12bは、それぞれ細長い帯状に形成され、先端に留め具13,14を有している。装着部12は、2本のバンド12a,12bをユーザの前腕に巻き付けるようにしてユーザの前腕に装着される。ユーザは、本体部11を前腕の外側(手の甲側)に配置し、2本のバンド12a,12bをそれぞれ前腕の内側(手のひら側)に回し、留め具13,14同士を係止させて前腕に装着する。
【0016】
また、
図2には図示していないが、端末装置1には、操作ボタンと表示器がユーザインターフェースとして設けられていてもよい。
【0017】
図3は、本実施形態に関わるゲートウェイ装置2の一形態を例示する外観図である。ゲートウェイ装置2は、端末装置1と通信可能に構成された通信装置である。ゲートウェイ装置2は、特定の場所に設置可能な据え置き型の通信装置であってもよく、可搬型の通信装置であってもよい。
【0018】
図3に示す具体例の場合、ゲートウェイ装置2の本体部21には、発光ダイオード(以下、LEDという)からなる表示ランプ部22と、操作ボタン23とが設けられている。ゲートウェイ装置2は、例えば、
図3に例示するように、略楕円状に形成されてもよい。
【0019】
ゲートウェイ装置2は、1又は2以上の建物などのエリア内で、端末装置1を装着したユーザが行動する範囲内に配置される。例えば、複数のゲートウェイ装置2が、個人住宅、集合住宅、病院、老人介護施設などの1又は2以上の建物内で、ユーザが行動する範囲内に設置されてもよい。
【0020】
図4は、本実施形態に関わる端末装置1の本体部11のハードウェア構成を示すブロック図である。端末装置1の本体部11は、制御部31と、メモリ32と、無線通信部33と、時計部34と、ユーザインターフェースとしての操作表示部35と、各種センサを含むセンサ部36と、バッテリ37とを有する。
【0021】
制御部31は、中央処理装置(以下、CPUという)31a、ROM(Read Only Memory)31b、RAM(Random Access Memory)31c、及び図示しない各種インターフェース(以下、I/Fと略す)を有している。
【0022】
制御部31のROM31bは、データを記憶可能な記憶装置(記憶デバイス)であり、例えば、端末装置1の各種機能を実現可能なソフトウエアプログラム及びデータ等が記録されている。各種機能には、各種センサなどの出力信号から所望のデータを算出する機能、その算出されたデータをゲートウェイ装置2へ送信するための通信機能、等々が含まれる。なお、ROM31bは、フラッシュメモリなどの、書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0023】
メモリ32は、データを記憶可能な記憶装置(記憶デバイス)であり、少なくとも各種センサにより検出されたデータを格納可能な記憶部として機能する。メモリ32は、例えば、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリであってもよい。
【0024】
無線通信部33は、所定の距離内でゲートウェイ装置2と通信を行うための無線通信のための回路である。無線通信部33が無線通信において通信可能な距離は、係る無線通信の規格等に応じて適宜定められてよい。無線通信部33が無線通信において通信可能な距離は、例えば100m以下の距離であってもよい。
【0025】
本実施形態において、無線通信部33は、近距離無線通信に用いられる回路を含んでもよい。この場合、無線通信部33は、例えば、制御部31により制御され、ゲートウェイ装置2と近距離無線通信を行ってもよい。具体的には、本実施形態においては、無線通信部33は、一例としてブルートゥース(登録商標)規格に沿った無線通信に用いられる回路を含んでもよい。この場合、端末装置1と、ゲートウェイ装置2とは、ブルートゥース(登録商標)規格に応じた近距離無線通信により、相互に通信可能に接続されている。
【0026】
時計部34は、時刻情報を生成し出力する回路である。時計部34の時刻情報を含む出力信号は、図示しないI/Fを介して制御部31に入力され、CPU31aは、時計部34から、例えば、年月日及び時間の時刻情報を取得することができる。なお、時計部34は時刻情報として、ある特定のタイミングからの経過時間(あるいは経過クロックのカウント)を出力してもよい。後述するように、センサ部36によって取得される測定データは、時計部34の時刻情報と共にメモリ32に格納され、ゲートウェイ装置2へ送信される。
【0027】
操作表示部35は、発光ダイオード(以下、LEDという)などの表示器35aと、ユーザの操作を検出する部材である操作ボタン35bを有している。操作ボタン35bによって検出された結果は図示しないI/Fを介して制御部31に入力される。なお、操作表示部35の表示器35aと操作ボタン35bは、例えば、タッチパネル付きの表示装置でもよい。
【0028】
センサ部36は、複数のセンサと測定回路とを含む。ここでは、センサ部36は、加速度センサ36a、温度センサ36b、脈波センサ36c、紫外線センサ36d及びバッテリ電圧測定回路36eを含む。
【0029】
加速度センサ36aは、例えば、1軸以上の加速度を計測可能なセンサである。本実施形態における加速度センサ36aは、例えば、互いに直交する3軸方向の加速度を検出するセンサであってもよい。加速度センサ36aは、端末装置1を装着したユーザの腕の動きを検出することによって、ユーザの歩数と消費カロリとを、ユーザの体をセンシングして得られる情報である生体情報として検出する。
【0030】
温度センサ36bは、温度を検出可能なセンサである。本実施形態における温度センサ36bは、例えば、端末装置1を装着したユーザの体表温度を生体情報として検出するよう構成された温度センサであってよい。温度センサ36bは、端末装置1がユーザの腕に装着されたときに、本体部11において腕の温度を検出できる位置に設けられる。
【0031】
脈波センサ36cは、端末装置1を装着したユーザの脈拍を検出可能なセンサである。本実施形態における脈波センサ36cは、例えば、ユーザの脈拍を生体情報として検出することが可能である。脈波センサ36cも、端末装置1がユーザの腕に装着されたときに、本体部11においてユーザの脈波を検出できる位置に設けられる。脈波センサ36cは、例えば、光学式のセンサであってもよく、圧脈波を検出可能な圧電素子であってもよく、脈音を検出可能な音響センサであってもよい。
【0032】
紫外線センサ36dは、紫外線の量を検出可能なセンサである。紫外線センサ36dは、例えば、端末装置1に当たる紫外線量を検出するよう構成されてもよい。紫外線センサ36dは、端末装置1がユーザの腕に装着されたときに、本体部11において外部からの紫外線を検出できる位置に設けられる。本体部11には、例えば、紫外線センサ36dが検出可能な位置に紫外線を含む光線を導入する導入部(例えば、開口や透過窓等)が設けられてもよい。
【0033】
バッテリ電圧測定回路36eは、バッテリ37に接続され、バッテリ37の出力電圧を測定可能な回路である。
【0034】
センサ部36の各センサの出力信号は、図示しないI/Fを介して制御部31に入力される。バッテリ電圧測定回路36eの出力信号も図示しないI/Fを介して制御部31に入力される。
【0035】
バッテリ37は、例えば二次電池などであり、端末装置1の各種回路へ電力を供給する電源である。
【0036】
図5は、端末装置1の各種機能を実現するためのソフトウエア構成を示すブロック図である。
【0037】
図5に示すように、端末装置1のソフトウエア51は、端末装置1の全体的な動作を制御する制御統括部52と、データ提供部53と、ユーザインターフェース(以下、UIと略す)部54と、データ測定部55とを含む。制御統括部52、データ提供部53、UI部54及びデータ測定部55は、ROM31bに格納されたソフトウエアプログラムであり、例えば、CPU31aがROM31bからこれらのプログラムを読み出して実行することにより各機能が実現される。
【0038】
センサ部36の各センサの出力信号は、制御部31に入力されて、デジタルデータに変換される。バッテリ電圧測定回路36eの出力信号、及び時計部34の出力信号も、制御部31に入力されて、デジタルデータに変換される。
【0039】
制御統括部52は、初期化部52aと動作設定部52bを含む。初期化部52aは、端末装置1の電源がオンされたときに端末装置1の初期化を行うためのプログラムである。動作設定部52bは、端末装置1の動作状態に応じて各種処理を実行するために各種動作に関する設定を行うためのプログラムである。すなわち、制御統括部52は、端末装置1全体の動作の制御を行う。
【0040】
データ提供部53は、管理部53a、測定データ記録部53b及び通信制御部53cを含む。
【0041】
管理部53aは、データ提供部53におけるデータの記録と通信の制御処理の実行を管理する。具体的には、管理部53aは、制御統括部52の制御の下、測定データ記録部53bと通信制御部53cの動作を制御する。
【0042】
測定データ記録部53bは、センサ部36の各センサの測定データをメモリ32に記録する処理を行う。通信制御部53cは、無線通信部33によりゲートウェイ装置2と無線通信を行うための制御処理を行う。例えば、通信制御部53cは、ブルートゥース(登録商標)の通信規格による近距離無線通信の制御を行う。すなわち、通信制御部53cは、ゲートウェイ装置2からの近距離無線通信を介した送信要求を受けたタイミングで、メモリ32に記憶された生体情報を少なくとも含む測定データを転送データとして無線通信を利用してゲートウェイ装置2に送信するように制御する。
【0043】
また、通信制御部53cは、無線通信部33を制御して、ゲートウェイ装置2へ自己の存在を報知するための処理を行う機能を有する。本実施形態では、一例として、通信制御部53cが、ブルートゥース(登録商標)ローエナジー(ブルートゥース(登録商標)の4.0以降の規格)の通信規格のアドバタイジングパケットの送信を行うことによって、無線通信可能範囲内の他のブルートゥース(登録商標)の機器に、自己の存在を報知する処理を行ってもよい。
【0044】
アドバタイジングパケットは、ブルートゥース(登録商標)の通信規格において規定された存在報知信号であり、間欠的にブロードキャスト方式で送信される。アドバタイジングパケットは、言い換えれば、ビーコン信号である。端末装置1は、例えば、存在報知信号としてのアドバタイジングパケットを間欠的に(例えば、2秒間隔で)無線通信によりブロードキャスト方式で送信してもよい。
【0045】
図6は、このアドバタイジングパケットと一体に送信される報知用通信パケット(報知信号)のデータフォーマットの一例を示す。
図6に例示するように、アドバタイジングパケットを含む報知用通信パケットには、例えば、識別情報IDと、SOSフラグと、アップロード要求フラグ(要求情報)と、コネクションフラグと、が含まれてもよい。
【0046】
識別情報IDは、アドバタイジングパケットの送信元である端末装置1を識別可能な情報を表す。識別情報IDは、例えば、端末装置1を一意に識別可能な、数字、文字、記号などの組み合わせであってもよい。
【0047】
SOSフラグは、後述するボタン制御部54cが検出した操作に応じた緊急度の高低を示す情報である。SOSフラグは、例えば、緊急度を数値により表してもよく、バイナリデータ(0または1)として表してもよい。
【0048】
アップロード要求フラグ(要求情報)は、後述する転送データのアップロード(受信)の要求の有無を示す情報である。アップロード要求フラグは、例えば、アップロード要求を数値により表してもよく、バイナリデータ(0または1)として表してもよい。
【0049】
コネクションフラグは、例えば、端末装置1において転送データが送信中であって無線通信部33のデータ通信機能が占有されているか否かを示す情報である。コネクションフラグは、例えば、無線通信部33のデータ通信機能が占有状態を数値により表してもよく、バイナリデータ(0または1)として表してもよい。
【0050】
具体例として、識別情報IDは、例えば、端末装置1のMACアドレスであってもよく、報知用通信パケットのパケットヘッダーに設定されうる。SOSフラグは、後述するボタン制御部54cの検出結果であるSOS信号に応じてオン(例えば”1”)/オフ(例えば”0”)が設定されてもよい。アップロード要求フラグは、メモリ32に記憶された未送信の測定データの有無(あるいは、所定データ量に達したか否か)に応じてオン/オフが設定されてもよい。コネクションフラグは、通信制御部53cによる制御状態に応じてオン/オフが設定されてもよい。
【0051】
図5に戻って、UI部54は、UI制御部54a、LED表示制御部54b及びボタン制御部54cを含む。UI制御部54aは、操作表示部35に関する処理を行う。UI制御部54aは、LED表示制御部54b及びボタン制御部54cを制御可能である。すなわち、UI制御部54aは、制御統括部52の制御の下、LED表示制御部54bとボタン制御部54cの動作を制御する。
【0052】
LED表示制御部54bは、UI制御部54aの指示に応じて、表示器35aの表示状態を変更する制御を行う。
【0053】
ボタン制御部54cは、ユーザにより操作ボタン35bに対して行われた操作を検出し、UI制御部54aに操作情報を供給する。例えば、ボタン制御部54cは、ユーザによる緊急度が高いことを知らせる操作を検出した場合には、UI制御部54aにSOS信号を供給する。なお、SOS信号は、ユーザの操作を検出することによって生成されることには限定されず、下記のデータ測定部55により、センサ部36の各センサの出力信号に応じて算出された緊急度の高低に基づいて生成されてもよい。
【0054】
データ測定部55は、活動量算出部55a、脈波センサ利得制御部55b、脈拍算出部55c、バッテリ残量算出部55d、紫外線量算出部55e及び体表温度算出部55fを含む。データ測定部55によって測定された測定データは、その都度、測定データ記録部53bによってメモリ32に記録される。
【0055】
活動量算出部55aは、加速度センサ36aの出力信号から、ユーザの歩数と消費カロリを生体情報として算出する。脈波センサ利得制御部55bは、例えば、脈波センサ36cの利得を制御可能である。
【0056】
脈拍算出部55cは、脈波センサ36cの出力信号から脈拍を生体情報として算出する。バッテリ残量算出部55dは、例えば、バッテリ電圧測定回路36eの測定したバッテリ37の出力電圧のデータからバッテリ37のバッテリ残量を算出する。
【0057】
紫外線量算出部55eは、紫外線センサ36dの出力信号から紫外線量を算出する。体表温度算出部55fは、温度センサ36bの出力信号からユーザの体表温度を生体情報として算出する。
【0058】
上記のように、データ測定部55は、各センサ及び回路の出力信号から生体情報を含む測定データを算出する。
【0059】
図7は、本実施形態に関わるゲートウェイ装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。ゲートウェイ装置2は、制御部41と、メモリ42と、無線通信部43a,43bと、転送部44と、ユーザインターフェースとしての操作表示部45と、バッテリ46とを有する。
【0060】
制御部41は、CPU41a、ROM41b、RAM41c、及び図示しない各種インターフェース(以下、I/Fと略す)を有している。
【0061】
制御部41のROM41bには、ゲートウェイ装置2の各種機能を実現可能なソフトウエアプログラム及びデータ等が記録されている。各種機能には、端末装置1との通信、及びサーバ装置3との通信などの機能が含まれる。なお、ROM41bは、フラッシュメモリなどの、書き換え可能な不揮発性メモリでもよい。
【0062】
メモリ42は、各通信のための各種情報を格納可能な記憶装置(記憶デバイス)である。メモリ42は、例えば、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリであってもよい。端末装置1からのデータは、メモリ42あるいはRAM41cに格納される。
【0063】
無線通信部43a,43bは、それぞれ、所定の距離内で端末装置1と通信を行うための無線通信を実現可能な回路である。ここでは、それぞれの無線通信部43a,43bは、ブルートゥース(登録商標)規格に沿った無線通信のための回路を含んでいる。それぞれの無線通信部43a,43bは、制御部41の制御の下で動作して、端末装置1と無線通信を行う。ゲートウェイ装置2は、一方の無線通信部43aを利用したブルートゥース(登録商標)通信により端末装置1からの上述したアドバタイジングパケットを含む報知用通信パケットを受信可能である。また、ゲートウェイ装置2は、他方の無線通信部43bを利用して、上記ブルートゥ―ス(登録商標)通信により端末装置1から上述した転送データも受信可能である。このような構成により、ゲートウェイ装置2は、報知用通信パケットの受信と転送データの受信とを並行して行うことが可能に構成される。
【0064】
転送部44は、後述するサーバ装置3との、有線通信、無線通信あるいはそれらの組み合わせによるデータ通信に用いられる回路である。転送部44は、例えば、携帯電話等に用いられているセルラー方式の無線通信に用いられる回路であってもよく、無線LAN(Local Area Network)や有線LAN等の構内回線通信に用いられる回路であってもよい。転送部44は、制御部41の制御の下で動作して、サーバ装置3との通信を行う。サーバ装置3との通信方式に無線通信方式を採用する場合、転送部44は、例えば、近くの無線基地局を介してコンピュータ通信網であるインターネットに接続して、サーバ装置3と通信する回路を含んでもよい。
【0065】
ゲートウェイ装置2は、転送部44を利用したデータ通信により、端末装置1から受信した報知用通信パケットに含まれる識別情報IDを含むユーザデータをサーバ装置3に転送する。また、ゲートウェイ装置2は、上記データ通信により、端末装置1から受信した転送データをサーバ装置3に転送する。
【0066】
操作表示部45は、
図2に示した、表示ランプ部22と、ユーザが操作する操作ボタン23を含む。バッテリ46は、例えば二次電池などであり、ゲートウェイ装置2の各種回路へ電力を供給する電源である。
【0067】
次に、
図8及び
図9を参照し、ゲートウェイ装置2の機能構成について述べる。
図9は、ゲートウェイ装置2の他の機能構成を示すブロック図である。
図8は、ゲートウェイ装置2の機能構成を示す他のブロック図である。本実施形態に係るゲートウェイ装置2は
図8に例示する構成により実現されてもよく、
図9に例示する構成により実現されてもよい。
図8、
図9に例示するゲートウェイ装置2の機能的な構成は、例えば、CPU41aがROM41bに格納されたソフトウエアプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0068】
図9に示されるように、ゲートウェイ装置2は、第1通信部(第1の通信部)61、第2通信部(第2の通信部)62、及び通信制御部64を含む。
図8に例示する構成を採用する場合、ゲートウェイ装置2は、第3通信部(第3の通信部)63及びデータ格納部65を更に備えてもよい。データ格納部65は、第1通信部61、第2通信部62、第3通信部63、及び通信制御部64による各種処理に利用されるデータおよび各種処理によって取得されるデータを格納する記憶装置である。
【0069】
以下、本実施形態の代表例として、
図8に例示するゲートウェイ装置2の構成について説明する。なお、
図9に例示する構成を採用する場合、ゲートウェイ装置2は、端末装置1から受信したデータ(例えば、報知用通信パケット、転送データ等)を自装置において記憶してもよく、適切な方法により他の通信装置に適宜転送してもよい。
【0070】
第1通信部61は、無線通信部43aの通信機能を動作させることにより端末装置1と無線通信を介して通信可能に接続される。第1通信部61は、端末装置1からの報知用通信パケットを、無線通信を介して受信することにより、無線通信の可能な距離内に存在する一以上の端末装置1を探索する。第1通信部61は、端末装置1から受信した報知用通信パケットに含まれる識別情報IDを取得する。第1通信部61は、無線通信を介して報知用通信パケットを受信した際の無線通信の電波強度(信号強度)を取得する。そして、第1通信部61は、取得した識別情報IDと電波強度の情報を通信制御部64に提供する。
【0071】
第2通信部62は、無線通信部43bの通信機能を動作させることにより、端末装置1と無線通信を介して通信可能に接続される。第2通信部62は、無線通信を介して端末装置1に対して送信要求を送信し、それに応じて端末装置1から転送データを受信する。この際、第2通信部62は、ゲートウェイ装置2から端末装置1に対して無線通信の通信接続を要求してその通信接続が確立された際、当該端末装置1に対して送信要求を送信する。第2通信部62は、複数の端末装置1のそれぞれについて、1回に受信する転送データのサイズを、ある特定のサイズに設定してもよい。この転送データのサイズは、報知用通信パケットに含まれるデータのサイズよりも大きくてもよい。
【0072】
第3通信部63は、転送部44の通信機能を動作させることにより、後述するユーザデータ及び転送データをサーバ装置3に転送する。この際、第3通信部63は、データ格納部65からユーザデータ及び転送データを読み出す。
【0073】
通信制御部64は、第1通信部61、第2通信部62の動作を制御する。また、通信制御部64は、更に、第3通信部63の動作を制御してもよい。具体的には、通信制御部64は、第1通信部61による報知用通信パケットの受信処理(第1の受信処理)と、第2通信部62による転送データの受信処理(第2の受信処理)とを並行して実行させる。以下、通信制御部64による第1及び第2の受信処理の制御の詳細について説明する。
【0074】
通信制御部64は、報知用通信パケットを受信する期間である所定のスキャン期間(例えば、10秒から20秒までの間の所定期間)で周期的に報知用通信パケットを待ち受けるように第1通信部61を制御する。これにより、第1通信部61は、複数の端末装置1を探索する。この所定のスキャン期間は、端末装置1における報知用通信パケットの送信間隔(例えば、2秒間隔)よりも長くなるように予め設定されていてもよい。その際、通信制御部64は、スキャン期間内に一度探索された端末装置1からの報知用通信パケットは検出しないように動作してもよい。また、通信制御部64は、第1通信部61によって取得された電波強度に応じて探索された端末装置1とゲートウェイ装置2との位置関係を推定することにより、端末装置1のゲートウェイ装置2との位置関係を示す位置データ(例えば、端末装置1の存在エリアを示すデータ)を生成する。例えば、通信制御部64は、電波強度を予め設定された複数の閾値と比較することにより端末装置1とゲートウェイ装置2との間の距離を特定し、その特定結果を利用して存在エリアを示すデータを生成してもよい。
【0075】
そして、通信制御部64は、端末装置1の識別情報IDと、当該端末装置が探索された際に報知用通信パケットを受信したタイミング(時刻)を示す探索時刻データとを関連付けたユーザデータを、データ格納部65に格納する。なお、通信制御部64は、ユーザデータに、当該端末装置1の位置データを更に含めてもよい。さらに、通信制御部64は、第3通信部63を制御して、データ格納部65に格納したユーザデータをサーバ装置3に転送する。通信制御部64は、ユーザデータがデータ格納部65に格納される都度、そのユーザデータをサーバ装置3に転送してもよい。上記に限定されず、通信制御部64は、例えば、データ格納部65に格納されたユーザデータを、ある特定のタイミング(例えば、定期的なタイミング等)でサーバ装置3に転送してもよい。通信制御部64は、例えば、データ格納部65に格納されたユーザデータのサイズが特定の閾値を超えた際に、ユーザデータをサーバ装置3に転送してもよい。
【0076】
ここで、通信制御部64は、端末装置1を探索した際に受信した報知用通信パケットに含まれるSOSフラグが“オン”に設定されている場合、つまり、当該端末装置1のユーザから緊急度が高いことが示されている場合には、当該端末装置1に対応するユーザデータを、サーバ装置3に対して優先的に(他のデータの送信処理に優先して)転送してもよい。
【0077】
通信制御部64は、あるスキャン期間の間に探索された一以上の端末装置1から受信した報知用通信パケットに含まれるアップロード要求フラグに、要求“有り”を示す情報が設定されているか否かを判定する。アップロード要求フラグに、要求“有り”を示す情報が設定されていた場合、通信制御部64は、当該報知用通信パケットに含まれる識別情報IDを、データ格納部65内の転送管理データ(転送管理情報)に追加して記録する。このような転送管理データへの識別情報IDの追加は、例えば、報知用通信パケットの受信の順番に行われてもよい。この場合、ある一のスキャン期間における探索により記録された転送管理データは、その一のスキャン期間の後のスキャン期間における探索の際に記録された転送管理データにより上書きされてもよい。
【0078】
図10は、通信制御部64によって記録された転送管理データのデータ構成の一例を示している。このように、転送管理データには、例えば、スキャン期間の間に探索された順番を示す番号と、識別情報IDとを含むデータレコードが、報知用通信パケットを受信した順番に並べて追加して記録されてもよい。なお、
図10に示すデータ構成は一つの具体例であり、転送管理データの構成としては、テーブル、リスト、データベース等適切な形式が適宜採用されてよい。
【0079】
通信制御部64は、例えば、スキャン期間毎に、転送管理データに記録されたデータレコードを識別情報IDとともにデータ格納部65から探索の順番に読み取る。通信制御部64は、読み取ったデータレコードに含まれる識別情報IDによって識別される端末装置1に対して、第2の受信処理を実行するように第2通信部62を制御する。通信制御部64は、例えば、上記の第2の受信処理を、転送管理データに含まれるデータレコードを“番号”の順番に読み取ることにより繰り返すよう制御してもよい。
【0080】
通信制御部64は、第2の受信処理により端末装置1からの転送データの受信が正常に完了した場合には、転送管理データから当該端末装置1に対応する識別情報IDを含むデータレコードを削除してもよい。通信制御部64は、削除したデータレコードの次の番号のデータレコードに含まれる識別情報IDによって識別される、当該端末装置1以外の端末装置1に関して第2の受信処理を実行するように、第2通信部62を制御してもよい。
【0081】
一方、通信制御部64は、例えば、転送データの受信が通信エラー、タイムアウト等により正常に完了しなかった場合には、リトライすることなく(あるいは、所定回数リトライした後に)、次の端末装置1に関して第2の受信処理を実行するように制御してもよい。これにより、転送管理データに識別情報IDが記録された端末装置1に対して、第2の受信処理を実行する契機を時間的に均等に割り当てることができる。そして、通信制御部64は、第2の受信処理によって受信された転送データを、端末装置1に識別情報IDに関連付けてデータ格納部65に格納する。
【0082】
さらに、通信制御部64は、第3通信部63を制御して、スキャン期間ごとにデータ格納部65に格納した転送データを、端末装置1の識別情報IDと関連付けてサーバ装置3に転送する。ここで、通信制御部64は、端末装置1を探索した際に受信した報知用通信パケットに含まれるSOSフラグが“オン”に設定されている場合、つまり、当該端末装置1のユーザから緊急度が高いことが示されている場合には、当該端末装置1に対応する転送データを、サーバ装置3に優先的に(他のデータの送信処理に優先して)転送してもよい。
【0083】
図11は、通信制御部64によって制御された第1の受信処理及び第2の受信処理のタイミングを示すタイミングチャートである。このように、第1の受信処理により、所定の期間ΔT
Sが設定されたスキャン期間W
Sの間において、報知用通信パケットを所定の送信間隔ΔT
BのタイミングT
B1,T
B2,T
B3で送信する端末装置1が複数探索(検出)される。探索された端末装置1毎に、ゲートウェイ装置2は、最初に受信した報知用通信パケットを取得し、それに応じて生成されたユーザデータの転送処理を実行する。なお、ゲートウェイ装置2は、ある特定のスキャン期間W
Sに、同一の端末装置1から最初の報知用通信パケットの後に送信された報知用通信パケットを破棄してもよい。
【0084】
また、ゲートウェイ装置2は、あるスキャン期間WSの後の期間TDにおいて、当該スキャン期間WSにおいて探索された複数の端末装置1に関する第2の受信処理、及び、それらの複数の端末装置に関する転送データの転送処理を実行することが可能である。
【0085】
上記した通信制御部64の制御により、第2の受信処理により第2通信部62が占有されている間、並行して第1通信部61による第1の受信処理が実行される。これにより、ゲートウェイ装置2は、第2の受信処理により転送データを受信している端末装置1以外の複数の端末装置1からの報知用通信パケットの受信、及びそれに応じたユーザデータの転送が可能である。
【0086】
このように構成された通信システム100の処理について説明するとともに、本実施形態に係る通信方法について詳述する。
図12は、通信システム100のゲートウェイ装置2における第1の受信処理及びそれに伴う転送処理を示すフローチャートであり、
図13は、通信システム100のゲートウェイ装置2における第2の受信処理及びそれに伴う転送処理を示すフローチャートである。なお、
図12、
図13に例示されるフローチャートは、一つの具体例であり、本実施形態に係る技術はこれに限定されない。処理の結果に影響しない範囲において、各フローチャートを構成する処理(ステップ)の少なくとも一部が並行して実行されてもよく、少なくとも一部のステップの実行順序が入れ替えられてもよい。
【0087】
図12に示される処理は、例えば、複数の端末装置1に対して繰り返し実行されてもよい。ゲートウェイ装置2は、端末装置1からの報知用通信パケットを受信することにより、ゲートウェイ装置2の近くの端末装置1を探索する(ステップS101)。ゲートウェイ装置2は、受信した報知用通信パケットに含まれる識別情報ID、及び、受信時の電波強度の情報を取得する(ステップS102)。
【0088】
ゲートウェイ装置2は、第2の受信処理による転送データの受信が実行中であるか否を判定する(ステップS103)。判定の結果、第2の受信処理が実行されていないと判定された場合(ステップS103:No)、ゲートウェイ装置2は、それぞれのスキャン期間の終了のタイミングに合わせて第2の受信処理を開始する(ステップS104)。
【0089】
ゲートウェイ装置2は、取得した識別情報ID及び電波強度の情報を基に、ユーザデータを生成する(ステップS105)。ゲートウェイ装置2は、生成したユーザデータをサーバ装置3に転送(アップロード)する(ステップS106)。ゲートウェイ装置2は、例えば、ユーザデータを生成する都度、サーバ装置3に当該ユーザデータを転送してもよい。
【0090】
ゲートウェイ装置2は、他の端末装置1の探索を繰り返し実行してよい(ステップS101)。
【0091】
図13を参照して、第2の受信処理について説明する。
【0092】
ゲートウェイ装置2は、スキャン期間において探索された一以上の端末装置1の識別情報IDを基に転送管理データを作成する(ステップS201)。
【0093】
ゲートウェイ装置2は、作成した転送管理データからデータレコードを順番に読み取り、読み取ったデータレコードによって特定された端末装置1から転送データを受信する(ステップS202)。
【0094】
ゲートウェイ装置2は、端末装置1から受信した転送データと、識別情報IDとを関連付け、サーバ装置3に転送する(ステップS203)。ゲートウェイ装置2は、転送データの受信及び転送が正常に完了したか否かを判定する。転送データの受信及び転送が正常に完了した場合、ゲートウェイ装置2は、当該転送データの送信元の端末装置1に関するデータレコードを削除してもよい(ステップS204)。これにより、転送管理データが更新される。
【0095】
ゲートウェイ装置2は、転送管理データ中の全てのデータレコードに関する第2の受信処理が終了したか否かが判断する(ステップS205)。全てのデータレコードに関する第2の受信処理が終了していない場合には(ステップS205;No)、ゲートウェイ装置2は、ステップS202から処理を再開してもよい。全てのデータレコードに関する第2の受信処理が終了している場合には(ステップS205;Yes)、ゲートウェイ装置2は、第2の受信処理を終了してもよい。
【0096】
上記のように構成された本実施形態のゲートウェイ装置2は、報知信号を送信した複数の端末装置1のうち、生体情報の収集の必要な複数の端末装置1から、生体情報を継続的に漏れなく収集することができる。その結果、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1から効率的に生体情報を含むデータを収集することができる。
【0097】
係るゲートウェイ装置2は、一以上の端末装置1から識別情報IDとアップロード要求フラグとを含む報知用通信パケットを受信する第1の処理と、端末装置1から生体情報を含む転送データを受信する第2の処理とを並行して実行可能である。また、ゲートウェイ装置2は、報知用通信パケットに含まれるアップロード要求フラグに、要求“有り”を示す情報が設定されている場合に、当該報知用通信パケットに含まれる識別情報IDを転送管理データとして記録する。ゲートウェイ装置2は、記録された識別情報IDによって識別される複数の端末装置1から、転送データを逐次受信する。これにより、ゲートウェイ装置2は、報知用通信パケットを送信した複数の端末装置1のうち、生体情報の収集の必要な複数の端末装置1から、生体情報を継続的に漏れなく収集することができる。その結果、複数の端末装置1から効率的に生体情報を含むデータを収集することができる。
【0098】
本実施形態では、ゲートウェイ装置2の通信制御部64は、受信した報知用通信パケットに応じて当該通信パケットを送信した端末装置1の位置を推定している。かかる構成により、ゲートウェイ装置2において端末装置1の位置を推定したデータを収集することができる。
【0099】
また、ゲートウェイ装置2(通信制御部64)は、第2の受信処理により第2通信部62が占有されている間、並行して第1の受信処理を実行することが可能である。例えば、第2通信部62が受信する転送データのサイズを、第1通信部61が受信する報知用通信パケットのデータのサイズよりも大きく設定した場合等、ある端末装置1に対する第2の受信処理により第2通信部62が占有されている間であっても、ゲートウェイ装置2は、他の端末装置1から報知用通信パケットを受信可能である。即ち、係る構成を備えたゲートウェイ装置2は、転送データを収集している間に報知用通信パケットを受信できるので、生体情報の収集の必要な複数の端末装置1から効率的かつ継続的にデータを収集することが可能である。
【0100】
また、ゲートウェイ装置2(通信制御部64)は、第1の受信処理において、端末装置1により送信された報知用通信パケットを受信する期間であるスキャン期間の間、報知用通信パケットを待ち受ける。ゲートウェイ装置2は、当該スキャン期間の間に受信した報知用通信パケットに含まれる識別情報IDを、転送管理データに記録する。かかる構成により、ゲートウェイ装置2は、第2の受信処理の対象とする端末装置1を定期的に探索することができ、転送データのサイズ及び更新期間に応じて一以上の端末装置1から効率的にデータを収集することができる。
【0101】
また、スキャン期間は、端末装置1における報知用通信パケットの送信間隔よりも長く設定されてもよい。このような設定により、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1からさらに効率的にデータを収集できる。
【0102】
また、ゲートウェイ装置2(通信制御部64)は、転送管理データに識別情報IDが記録された複数の端末装置1に対して、第2の受信処理を実行する契機を時間的に均等に割り当てることができる。このような構成により、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1から漏れ無くデータを収集できる。
【0103】
また、ゲートウェイ装置2(通信制御部64)は、第2の受信処理において、複数の端末装置1から受信する転送データのサイズを、端末装置1毎に特定のサイズに設定することができる。換言すると、ゲートウェイ装置2は、端末装置1毎に、転送データのサイズを制限することができる。これにより、ゲートウェイ装置2は、ある一の端末装置1からの転送データの受信による、他の端末装置1からの転送データの受信の遅延を低減することができる。これにより、ゲートウェイ装置2は、例えば、複数の端末装置1から漏れ無くタイムリーにデータを収集できる。
【0104】
また、ゲートウェイ装置2(通信制御部64)は、特定サイズの転送データを受信した端末装置1を識別する識別情報IDを、転送管理データから削除してもよい。そして、ゲートウェイ装置2は、転送管理データに記録された識別情報IDによって識別される、当該端末装置1以外の端末装置1から転送データを受信してもよい。かかる構成により、ゲートウェイ装置2は、転送データの収集対象の端末装置1を、生体情報を収集する必要がある複数の端末装置1の中から重複することなく変更することができる。この場合、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1から無駄なく(偏りなく)データを収集できる。
【0105】
また、ゲートウェイ装置2(通信制御部64)は、第2の受信処理において、報知用通信パケットを受信した順番に報知用通信パケットに含まれる識別情報IDを並べて転送管理データに追加してもよい。そして、ゲートウェイ装置2は、当該転送管理データに記録された識別情報IDを順番に読み取り、読み取った識別情報IDによって識別される端末装置1から転送データを受信する処理を繰り返してもよい。かかる構成により、ゲートウェイ装置2は、転送データが収集される端末装置1を、生体情報を収集する必要がある複数の端末装置1の中から、順次変更することができる。これにより、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1から漏れ無くデータを収集できる。
【0106】
また、ゲートウェイ装置2(通信制御部64)は、スキャン期間の間に受信した報知用通信パケットに含まれる識別情報IDが記録された転送管理データを、当該スキャン期間よりも後のスキャン期間の間に受信した報知用通信パケットに含まれる識別情報IDにより上書きしてもよい。これにより、ゲートウェイ装置2は、生体情報を収集する必要がある複数の端末装置1に対して、スキャン期間毎に転送データの収集処理を繰り返し実行可能である。この場合、ゲートウェイ装置2は、転送データのサイズ及び更新期間に応じて複数の端末装置1から効率的にデータを収集できる。
【0107】
また、上記実施形態に係るゲートウェイ装置2は、上記したように、通信回線を介してサーバ装置3にデータを転送可能な第3通信部63を更に備えてもよい。ゲートウェイ装置2において、通信制御部64は、第3通信部63を制御することにより、第1通信部61によって受信された報知用通信パケットに含まれる識別情報IDと、第2通信部62によって受信された転送データとを、サーバ装置3に転送する。かかる構成により、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1から収集した転送データを、それぞれの端末装置1の識別情報IDとともにサーバ装置3に転送することができる。ゲートウェイ装置2は、これにより、当該サーバ装置3が複数の端末装置1に対応する生体情報を継続的に漏れなく収集することを可能とする。
【0108】
また、端末装置1から受信した報知用通信パケットに、当該端末装置1に関する緊急度が高いことを示す情報が含まれている場合、ゲートウェイ装置2は、当該端末装置1から受信した報知用通信パケットに含まれる識別情報IDを、サーバ装置3に優先的に転送する。具体的には、ゲートウェイ装置2における通信制御部64が、第3通信部63を制御することにより、係る優先的な転送を実行する。係る構成により、ゲートウェイ装置2は、緊急度が高いユーザの端末装置1を識別する情報を、サーバ装置3に優先的に取得させることができる。
【0109】
また、ゲートウェイ装置2(通信制御部64)は、端末装置1から受信した報知用通信パケットに基づいて、端末装置1とゲートウェイ装置2との間の位置関係を推定する。そして、ゲートウェイ装置2は、端末装置1から報知用通信パケットを受信したタイミングと、推定した位置関係とを示すデータとを、サーバ装置3に転送する。このような構成により、ゲートウェイ装置2は、推定した端末装置1の位置関係を示すデータと、時刻情報を表すデータ(この場合はパケット受信タイミング)とを、ともにサーバ装置3に転送することができる。この場合、サーバ装置3は、例えば、各タイミングにおける複数の端末装置1の位置を把握することができる。
【0110】
また、ゲートウェイ装置2における第1通信部61及び第2通信部62は、それぞれ無線通信回線を介して端末装置1と通信可能に接続される。ゲートウェイ装置2における通信制御部64は、第1通信部61が無線通信回線を介して、端末装置1から報知用通信パケットを受信した際の無線通信回線の電波強度に応じて、端末装置1とゲートウェイ装置2との間の距離を特定することができる。具体的には、ゲートウェイ装置2における通信制御部64は、例えば、電波強度と既定の閾値を比較することにより、係る距離を特定することができる。かかる構成により、ゲートウェイ装置2は、端末装置1の位置を簡便に推定することができる。
【0111】
なお、上述した実施形態は、上述した形態に限定されるものではなく、種々の変形及び機能の追加が可能である。
【0112】
例えば、ゲートウェイ装置2の通信制御部64は、端末装置1からの転送データの受信が正常に完了した場合に、転送管理データにおける当該端末装置1に対応するデータレコードを最後の順番のデータレコードに変更するように動作してもよい。あるいは、通信制御部64は、端末装置1からの転送データの受信が正常に完了した場合に、転送管理データのデータレコードを循環して(ラウンドロビン方式で)読み出しながら第2の受信処理を繰り返すように動作してもよい。このようにしても、複数の端末装置1に対する第2の受信処理の契機を時間的に均等に割り当てることができる。
【0113】
また、通信制御部64は、端末装置1から受信した報知用通信パケット等から、受信すべき転送データのデータ量が予測できる場合には、データ量が少ない転送データから先に受信するように制御してもよい。このように制御すれば、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1からの転送データの収集および転送の効率を改善できる。
【0114】
また、転送データに含まれる生体情報の種類ごとに予め優先度を設定が設定されてもよい。この場合、ゲートウェイ装置2における通信制御部64が、端末装置1から受信した報知用通信パケット等から優先度の高い生体情報を記録している端末装置1を特定してもよい。そして、ゲートウェイ装置2は、特定した端末装置1から先に転送データを受信してもよい。このような制御により、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1からの優先度の高い転送データを効率的かつ効果的に収集することができる。
【0115】
また、ゲートウェイ装置2における通信制御部64は、ゲートウェイ装置2と、複数の端末装置1との間の位置関係に応じて、複数の端末装置1のうち、いずれの端末装置1から転送データを受信するか決定してもよい。例えば、通信制御部64は、特定したゲートウェイ装置2と端末装置1との間の距離が所定値以下である端末装置1から転送データを受信するように決定してもよい。ゲートウェイ装置2は、無線通信回線により端末装置1から転送データを受信することから、データ転送速度、エラー発生率などは、ゲートウェイ装置2と、端末装置1との間の距離に影響される可能性がある。即ち、ある状況においては、相対的に距離が近い端末装置1から転送データを受信したほうが、相対的に距離が遠い端末装置から転送データを受信するよりも、効率がよい可能性がある。上記のような構成により、ゲートウェイ装置2は、複数の端末装置1との位置関係に応じて転送データを受信する端末装置1を決定することから、複数の端末装置1から効率的に転送データを収集できる。
【0116】
また、上記実施形態の通信システム100においては、複数のゲートウェイ装置2の間で複数の端末装置1に関する位置データを共有してもよい。この場合、それぞれのゲートウェイ装置2が、共有した位置データを基に当該ゲートウェイ装置2以外のゲートウェイ装置2よりも当該ゲートウェイ装置2に近い端末装置1を特定することができる。各ゲートウェイ装置2は、このように特定した端末装置1から転送データを受信してもよい。位置データの共有は、複数のゲートウェイ装置2間で通信回線を介して直接的に位置データを交換することによって行われてもよいし、サーバ装置3等の他の装置が位置データを複数のゲートウェイ装置2から取集することによって行われてもよい。このような構成により、端末装置1に近いゲートウェイ装置2が当該端末装置1から転送データを受信するので、通信システム100は、複数の端末装置1から効率的に転送データを収集することができる。
【0117】
また、上記実施形態により説明した端末装置1、及びゲートウェイ装置2のハードウェア構成は、上記説明した
図4、
図7に例示する構成には限定されない。即ち、端末装置1、ゲートウェイ装置2は、それぞれ、一以上の専用のハードウェア装置(集積回路等)の組み合わせにより実現されてもよく、汎用のハードウェア装置及びソフトウエアプログラムの組み合わせにより実現されてもよい。係るソフトウエアプログラムは、通信ネットワーク、あるいは、各種の記録媒体(光学記録媒体、磁気記録媒体、フラッシュメモリ等)を介して、端末装置1、ゲートウェイ装置2に導入されてもよい。
【0118】
以上、本開示に係る技術について、上述した各実施形態を用いて説明した。本開示に係る技術は、上記説明した各実施形態及びそのバリエーションに限定されるものではなく、その技術思想の範囲における種々の変形及び改良が可能である。また、上記説明した各実施形態及びバリエーションの組み合わせ、及び、それらの変形あるいは改良形態の組み合わせも、本開示に係る技術の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0119】
1…端末装置(ユーザ端末)、2…ゲートウェイ装置(通信装置)、3…サーバ装置、61…第1通信部、62…第2通信部、63…第3通信部、64…通信制御部、100…通信システム、WS…スキャン期間、ΔTB…送信間隔。