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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/58 20110101AFI20240219BHJP
   H05K 7/12 20060101ALI20240219BHJP
   H01R 13/533 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01R12/58
H05K7/12 A
H01R13/533 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020000861
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021057328
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】P 2019177100
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000220033
【氏名又は名称】東京コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福嶌 肇
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-151064(JP,A)
【文献】実開平01-119170(JP,U)
【文献】実開昭61-172471(JP,U)
【文献】特開2000-174459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/51,12/58
H05K 1/18, 7/12
H01R 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と当該電子部品を収容するケースとを備えた電子機器であって、
前記電子部品は、
電子部品本体と、
前記電子部品本体から所定方向に延在し、抜け止め部を有する端子と、
前記端子に電気的に接するように外嵌し、かつ、前記抜け止め部に抜け止めされるコイルバネと、
を備え、
前記コイルバネは、圧縮された状態でプリント基板に電気的に接し、
前記プリント基板は、前記所定方向を深さ方向とする嵌合穴を有し、前記端子が前記嵌合穴に嵌合するように前記ケースに装着され、
前記ケースは、前記所定方向を深さ方向とする係合溝を有し、
前記電子部品は、被係合部を有し、前記被係合部が前記係合溝に係合するように前記ケースに収容される、
電子機器
【請求項2】
前記端子は、前記嵌合穴に緩く嵌合している、
請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
前記コイルバネは、導電性を有する被膜を備える、
請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
電子部品と当該電子部品を収容するケースとを備えた電子機器であって、
前記電子部品は、
電子部品本体と、
前記電子部品本体から所定方向に延在し、抜け止め部を有する端子と、
前記端子に電気的に接するように外嵌し、かつ、前記抜け止め部に抜け止めされるコイルバネと
を備え、
前記コイルバネは、圧縮された状態でプリント基板に電気的に接し、
前記プリント基板は、前記所定方向を深さ方向とする嵌合穴を有し、前記コイルバネの前記所定方向の端部が前記嵌合穴に嵌合するように前記ケースに装着される、
電子機器。
【請求項5】
前記コイルバネの前記所定方向の端部は、前記コイルバネの材料であるバネ線がU字状に折り返された折り返し部を有する、
請求項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記折り返し部のバネ線は、前記嵌合穴の径方向において互いに対向するように配置される、
請求項に記載の電子機器。
【請求項7】
電子部品と当該電子部品を収容するケースとを備えた電子機器であって、
前記電子部品は、
電子部品本体と、
前記電子部品本体から所定方向に延在し、抜け止め部を有する端子と、
前記端子に電気的に接するように外嵌し、かつ、前記抜け止め部に抜け止めされるコイルバネと、
を備え、
前記コイルバネは、圧縮された状態でプリント基板に電気的に接し、
前記プリント基板は、被係止部を有し、
前記電子部品本体は、当該電子部品本体が前記プリント基板に取り付けられるように前記被係止部に係止するフック部を有し、
前記プリント基板および当該プリント基板に取り付けられた前記電子部品本体は、前記ケースに装着され、
前記フック部は、前記端子の両側に配置される、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品の端子とプリント基板とを接続するために、半田付けが行われることが知られている。
【0003】
半田付けが半田ロボットにより行われる場合には、設備コストが嵩む。また、半田付けが作業者により行われる場合には、半田付け作業の工数がかかる。以上により、組立コストが嵩むという問題がある。
【0004】
また、特許文献1には、互いに対向配置される二つの接点部材と、二つの接点部材間に配置されるコイルバネとを備え、コイルバネの両端部が二つの接点部材に導電性接着材によって溶接される電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-243167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載された電子機器においては、コイルバネの端部が接点部材に導電性接着材によって溶接される場合、コイルバネを例えば治具で所定の位置に保持した上で溶接が行われるため、半田付け作業と同じように、作業工数がかかる。これにより、組立コストが嵩むという問題がある。
【0007】
また、例えば、電子部品に衝撃などが加わった場合、半田付けによる接続部や、導電性接着材によって溶接された接続部へ負荷がかかるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、組立コストを低減するとともに、接続部への負荷を軽減することが可能な電子部品および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明における電子機器は、
電子部品と当該電子部品を収容するケースとを備えた電子機器であって、
前記電子部品は、
電子部品本体と、
前記電子部品本体から所定方向に延在し、抜け止め部を有する端子と、
前記端子に電気的に接するように外嵌し、かつ、前記抜け止め部に抜け止めされるコイルバネと、
を備え、
前記コイルバネは、圧縮された状態でプリント基板に電気的に接し、
前記プリント基板は、前記所定方向を深さ方向とする嵌合穴を有し、前記端子が前記嵌合穴に嵌合するように前記ケースに装着され、
前記ケースは、前記所定方向を深さ方向とする係合溝を有し、
前記電子部品は、被係合部を有し、前記被係合部が前記係合溝に係合するように前記ケースに収容される。
本発明における電子機器は、
電子部品と当該電子部品を収容するケースとを備えた電子機器であって、
前記電子部品は、
電子部品本体と、
前記電子部品本体から所定方向に延在し、抜け止め部を有する端子と、
前記端子に電気的に接するように外嵌し、かつ、前記抜け止め部に抜け止めされるコイルバネと
を備え、
前記コイルバネは、圧縮された状態でプリント基板に電気的に接し、
前記プリント基板は、前記所定方向を深さ方向とする嵌合穴を有し、前記コイルバネの前記所定方向の端部が前記嵌合穴に嵌合するように前記ケースに装着される。
本発明における電子機器は、
電子部品と当該電子部品を収容するケースとを備えた電子機器であって、
前記電子部品は、
電子部品本体と、
前記電子部品本体から所定方向に延在し、抜け止め部を有する端子と、
前記端子に電気的に接するように外嵌し、かつ、前記抜け止め部に抜け止めされるコイルバネと、
を備え、
前記コイルバネは、圧縮された状態でプリント基板に電気的に接し、
前記プリント基板は、被係止部を有し、
前記電子部品本体は、当該電子部品本体が前記プリント基板に取り付けられるように前記被係止部に係止するフック部を有し、
前記プリント基板および当該プリント基板に取り付けられた前記電子部品本体は、前記ケースに装着され、
前記フック部は、前記端子の両側に配置される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子部品によれば、組立コストを低減するとともに、接続部への負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態における電子機器の一部を概略的に示す図である。
図2図2は、図1のA-A線断面図である。
図3図3は、端子の部分拡大図である。
図4図4は、端子に外嵌するコイルバネを示す図である。
図5図5は、変形例1において、圧縮された状態でプリント基板に接するコイルバネを示す図である。
図6図6は、変形例2における電子機器の一部を概略的に示す図である。
図7図7は、図6の部分拡大図である。
図8図8は、変形例3における電子機器の一部を概略的に示す図である。
図9図9は、図8のB-B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態における電子機器の一部を概略的に示す図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図1にはX軸、Y軸、および、Z軸が描かれている。図1において上下方向を、X方向又は長尺方向といい、上方向を「+X方向」、下方向を「-X方向」という。また、図1において左右方向をY方向といい、右方向を「+Y方向」、左方向を「-Y方向」という。また、図1において紙面に直交する奥行き方向をZ方向又は短尺方向といい、手前方向を「+Z方向」、奥方向を「-Z方向」という。
【0014】
図1および図2に電子機器100の一部を示す。電子機器100は、電子部品1と、ケース2と、プリント基板3と、を備える。なお、本実施の形態において、電子部品1とは、入力軸の回転の機械的変位量に応じた電圧を出力するポテンショメータや、入力軸の回転の機械的変位量をデジタル量に変換するロータリーエンコーダである。
【0015】
電子部品1は、電子部品本体12と、端子14と、コイルバネ16とを備える。なお、図1および図2では、電子部品本体12の内部を省略して示す。
【0016】
電子部品本体12は、+Y方向に延在する軸受部13(本発明の「被係合部」に対応する)を有する。軸受部13に入力軸15が回転可能に支持される。
【0017】
図2に示すように、3本の端子14がZ方向に並ぶように配置されている。端子14は、電子部品本体12から-X方向に延在している。
【0018】
図3は、端子14の部分拡大図である。図1から図3に示すように、端子14は、例えば、X方向を長尺方向とし、Y方向を板厚方向とし、Z方向を短尺方向とする平型端子である。端子14は、基端部14a(+X方向端部)と先端部14b(-X方向端部)とを有する。短尺方向(Z方向)の幅において、基端部14aは先端部14bよりも広い。基端部14aは、抜け止め部17を有する。図3に、抜け止め部17を強調して示す。また、図3に示すように、基端部14aは、基端部14aの中でZ方向の幅が最も広い+X方向端14cを有している。
【0019】
抜け止め部17は、基端部14aの+Z方向側縁から+Z方向に突出する凸部18を有している。また、抜け止め部17は、基端部14aの-Z方向側縁から-Z方向に突出する凸部19を有している。図3に凸部18,19間の距離Lを示す。
【0020】
凸部18の-X側縁18aは、+Z方向に対して+X方向に傾斜している。凸部18の+X側縁18bは、基端部14aの+Z方向側縁から+Z方向に延在している。凸部19の-X側縁19aは、-Z方向に対して+X方向に傾斜している。凸部19の+X側縁19bは、基端部14aの-Z方向側縁から-Z方向に延在している。
【0021】
図4は、端子14に外嵌するコイルバネ16を示す図である。コイルバネ16は、導電性を有している。具体的には、コイルバネ16は、導電性を有する材料(バネ線)により成形される。ここで、導電性を有する材料としては、例えば、ステンレス、ピアノ線、リン青銅およびそれらの合金などが含まれる。コイルバネ16の内径は、端子14の基端部14aの短尺方向(Z方向)幅よりも大きく、凸部18,19間の距離L(図3を参照)よりも小さい。コイルバネ16は、端子14に電気的に接するように外嵌している。コイルバネ16は、抜け止め部17に抜け止めされる。具体的には、コイルバネ16の+X方向端部16aは、凸部18,19に係止される。+X方向端部16aは、コイルバネ16の固定端である。
【0022】
図4に示すように、コイルバネ16の自由長さは、コイルバネ16が圧縮された場合(図2を参照)の長さよりも長い。コイルバネ16が抜け止め部17に抜け止めされている場合、コイルバネ16の-X方向端部16bは、端子14の先端部14bの位置に延在している。-X方向端部16bは、コイルバネ16の自由端である。
【0023】
図1および図2に電子機器100の一部を示す。図1および図2に示すように、ケース2は、底壁部22および周壁部24を有する。ケース2は、下方向(-X方向)に開かれた開口部26を有している。
【0024】
底壁部22は、上下方向(X方向)に対して直交する平面において所定の領域を有している。周壁部24は、底壁部22の周縁から下方向(-X方向)に延在する。周壁部24の-X方向端縁が開口部26の周縁である。周壁部24は、係合溝25を有している。係合溝25は、X方向を深さ方向とする溝である。係合溝25の溝口は、下方向(-X方向)に開かれている。係合溝25の溝幅は、軸受部13の外径に対応している。
【0025】
プリント基板3は、上下方向(X方向)でケース2と対向配置される。プリント基板3は、ケース2の周壁部24に複数のネジ(不図示)により装着される。プリント基板3にはネジの下穴(不図示)が設けられる。下穴は、ケース2の周壁部24に設けられた複数のネジ溝(不図示)の位置のそれぞれと対応する位置に配置されている。プリント基板3は、上面32を+X方向(上方向)に向け、開口部26を塞ぐように装着される。
【0026】
図1および図2に示すように、プリント基板3は嵌合穴34を有している。嵌合穴34は、端子14に対応する位置には配置されている。嵌合穴34は、X方向を深さ方向とする丸穴である。嵌合穴34は、例えば、プリント基板3の上面32から下面33に貫通する貫通穴である。
【0027】
プリント基板3の上面32において、嵌合穴34の周縁部には導体(不図示)が配線されている。嵌合穴34の内径は、端子14の先端部14bの短尺方向(Z方向)の幅よりも大きい。なお、嵌合穴34の内径は、図1に示すように、端子14の先端部14bの板厚よりも大きい。
【0028】
次に、コイルバネ16を電子部品1の端子14に外嵌する場合について図3および図4を参照して説明する。
【0029】
コイルバネ16の+X方向端部16aを、端子14の先端部14bに外嵌する。さらに、+X方向端部16aを、凸部18の-X側縁18a(傾斜縁)および凸部19の-X側縁19a(傾斜縁)を超えるまで、+X方向に移動する。+X方向端部16aが傾斜縁に沿って移動する際、+X方向端部16aの内径が復元力に抗して拡がる。+X方向端部16aが傾斜縁を超えたとき、+X方向端部16aの内径が復元力により縮まる。その結果、+X方向端部16aの内径が凸部18,19間の距離Lより小さくなるため、+X方向端部16aが凸部18の+X側縁18bおよび凸部19の+X側縁19bに係止する。これにより、コイルバネ16が凸部18,19に抜け止めされる。
【0030】
次に、電子部品1、ケース2およびプリント基板3を組み付ける場合について図1および図2を参照して説明する。
【0031】
電子部品1をケース2に収容する。具体的には、電子部品1の軸受部13をケース2の係合溝25に係合する。これにより、電子部品1がケース2に対して位置決めされる。コイルバネ16は、凸部18,19で抜け止めされているため、例えば、電子部品1の端子14を下方向(-X方向)に向けても、落下しない。これにより、コイルバネ16は端子14に外嵌した状態に保持される。コイルバネ16が端子14に外嵌した状態においては、コイルバネ16の+X方向端部16aは、+X方向端14cに電気的に接する。なお、コイルバネ16は、端子14に外嵌した状態で、端子14のいずれかの箇所に電気的に接すればよい。
【0032】
次に、プリント基板3をケース2に組み付ける。具体的には、プリント基板3の嵌合穴34の位置と端子14の先端部14bの位置とを互いにX方向で合わせる。嵌合穴34に端子14の先端部14bが嵌合するように、ケース2とプリント基板3とをX方向で相互に近づける。端子14の先端部14bは嵌合穴34に緩く嵌合する。これにより、プリント基板3は、嵌合穴34に端子14の先端部14bが嵌合している状態で、ケース2に対してY方向およびZ方向に位置調整可能となる。端子14の先端部14bと嵌合穴34との間に多少の位置ずれがある場合であっても、プリント基板3をケース2に対して位置調整することで、プリント基板3側の下穴とケース2側のネジ溝とを位置合わせすることができるため、プリント基板3をケース2の周壁部24にネジ止めすることが可能となる。
【0033】
プリント基板3をケース2に組み付ける場合、コイルバネ16の-X方向端部16b(自由端)が嵌合穴34の周縁部に電気的に接する。コイルバネ16が嵌合穴34の周縁部に接することで、コイルバネ16が復元力に抗して撓む。これにより、コイルバネ16は、圧縮された状態でプリント基板3と電子部品本体12との間に配置される。なお、コイルバネ16のバネ荷重は、コイルバネ16とプリント基板3とが安定して接続されるように設定される。
【0034】
上記実施の形態における電子部品1は、電子部品本体12と、電子部品本体12からX方向に延在し、抜け止め部17を有する端子14と、端子14に電気的に接するように外嵌し、かつ、抜け止め部17に抜け止めされるコイルバネ16と、を備え、コイルバネ16は、圧縮された状態でプリント基板3に電気的に接する。
【0035】
上記構成によれば、コイルバネ16が端子14に電気的に接するように外嵌し、さらに、コイルバネ16がプリント基板3に電気的に接するため、端子14をプリント基板3に接続するための半田付け作業や溶接作業が不要となる。これにより、組立コストを低減することが可能となる。また、コイルバネ16が抜け止め部により抜け止めされ、端子14に外嵌した状態に保持されるため、電子部品本体12とコイルバネ16を一体的に扱うことができ、この点からも、組立コストを低減することが可能となる。
【0036】
また、プリント基板3に半田ランドを設ける必要がないため、配線の自由を上げることが可能となる。また、接続部がコイルバネ16とプリント基板3とが接触することで構成されるため、電子部品に衝撃など加わった場合、コイルバネ16が復元力に抗して撓むことや、コイルバネ16とプリント基板3とが摩擦抵抗力に抗して相対的に移動することで、衝撃を吸収できるため、接続部への負荷を軽減することが可能となる。
【0037】
また、上記実施の形態では、電子機器100は、電子部品1を収容するケース2を備え、プリント基板3は、X方向を深さ方向とする嵌合穴34を有し、端子14が嵌合穴34に嵌合するようにケース2に装着される。プリント基板3をケース2に装着する場合に、端子14が嵌合穴34に嵌合することで、嵌合穴34がプリント基板3の位置決め用の穴となるため、この点から、プリント基板3を容易に組み付けることが可能となる。
【0038】
また、コイルバネ16が端子14に外嵌することで、コイルバネ16のYZ平面上における移動が制限されるため、Z方向で隣接するコイルバネ16同士が互いに接触することを防止することが可能となる。
【0039】
また、上記実施の形態では、端子14を嵌合穴34に緩く嵌合する。これにより、プリント基板3は、嵌合穴34に端子14の先端部14bが嵌合している状態で、ケース2に対してY方向およびZ方向に位置調整可能となるため、ケース2とプリント基板3との位置合わせが容易となる。この点から、組立コストを低減することが可能となる。
【0040】
その他、上記実施の形態は、何れも本発明の実施をするにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0041】
<変形例1>
図5を参照して、本実施の形態の変形例1について説明する。変形例1の説明においては、主に上記実施の形態と異なる構成について説明し、同じ構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
上記実施の形態では、嵌合穴34は、プリント基板3の上面32から下面33に貫通する貫通穴である(図2を参照)。
【0043】
これに対して、変形例1では、図5に示すように、嵌合穴34はハトメ35で閉塞した貫通穴である。プリント基板3をケース2に組み付ける場合、コイルバネ16の-X方向端部16b(自由端)がハトメ35に電気的に接する。コイルバネ16がハトメ35に接することで、コイルバネ16が復元力に抗して撓む。これにより、コイルバネ16は、圧縮された状態でプリント基板3と電子部品本体12(図2を参照)との間に配置される。
【0044】
なお、上記実施の形態では、抜け止め部17は、凸部18,19(図4を参照)であるが、本発明はこれに限らず、例えば凹部でもよい。具体的に、凹部は、端子14の基端部14aの+Z方向側縁から-Z方向に凹入し、また、基端部14aの-Z方向側縁から+Z方向に凹入する。抜け止め部17が凹部である場合、コイルバネ16の+X方向端部16aの内径を基端部14aの短尺方向(Z方向)幅よりも小さくする。コイルバネ16を基端部14aに嵌め込む場合、コイルバネ16の+X方向端部16aの内径を復元力に抗して広げ、コイルバネ16の+X方向端部16aを凹部の位置に移動した場合、復元力により凹部に係止する。
【0045】
また、上記実施の形態においては、コイルバネ16は、導電性を有する材料により成形されるが、本発明はこれに限らず、例えば、導電性を有する被膜を備えてもよい。被膜は、コイルバネ16の素材に例えばめっき処理を施すことにより設けられる。なお、コイルバネ16の素材と導電性被膜とは、コイルバネ16とプリント基板3とを安定して電気的に接続させるものであればよい。
【0046】
<変形例2>
図6および図7を参照して、本実施の形態の変形例2について説明する。図6は変形例2における電子機器の一部を概略的に示す図である。図7は、図6の部分拡大断面図である。変形例2の説明においては、主に上記実施の形態と異なる構成について説明し、同じ構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0047】
上記実施の形態では、プリント基板3は、端子14が嵌合穴34に嵌合するようにケース2(図1を参照)に装着される。
【0048】
これに対して、変形例2では、図6および図7に示すように、コイルバネ16の-X方向端部16bは-X方向に延在する延在部16cを有する。換言すれば、コイルバネ16は、延在部16cと、延在部16cよりも上側である、端子14に外嵌するコイル部16dとを有する。プリント基板3は、延在部16cが嵌合穴34に嵌合するようにケース2に装着される。嵌合穴34は、導電性を有する被膜を有している。つまり、嵌合穴34には、延在部16cが嵌合しており、端子14は嵌合していない。
【0049】
延在部16cは、コイルバネ16の材料であるバネ線がU字状に折り返された折り返し部16eを有する。
【0050】
延在部16cが嵌合穴34に嵌合している状態では、折り返し部16eのバネ線は、嵌合穴34の径方向において互いに対向するように配置される。図7に示すように、折り返し部16eのバネ線は、嵌合穴34の周壁に当接、または、近接している。
【0051】
例えば、電子機器100の落下や、電子機器100にかかる振動などによって、電子部品1がプリント基板3に対し+Y方向の衝撃力を受けた場合、コイル部16dが端子14に外嵌しているため、コイルバネ16は端子14と共に+Y方向へ移動する。一方で、折り返し部16eのバネ線が嵌合穴34の周壁に当接又は近接しているため、折り返し部16eは、+Y方向へ移動することなく、嵌合穴34の周壁から-Y方向の反力を受ける。これにより、コイルバネ16は、コイル部16dから折り返し部16eにわたって変形し、変形することにより、衝撃を緩和する。
【0052】
変形例2における電子機器100においては、プリント基板3は、X方向を深さ方向とする嵌合穴34を有し、コイルバネ16の折り返し部16eが嵌合穴34に嵌合するようにケース2に装着される。これにより、コイルバネ16は、電子部品1がプリント基板3に対し+Y方向の衝撃力を受けた場合、変形することにより衝撃を緩和する緩衝機能を有する。また、コイルバネ16が変形した場合であっても、折り返し部16eが嵌合穴34に嵌合する状態を維持しているため、コイル部16dの+Y方向の移動を制限する。また、端子14が嵌合穴34に嵌合していないため、衝撃時に端子14が嵌合穴34の周壁に当接することはない。これにより、端子14の損傷を防止することができる。
【0053】
<変形例3>
図8および図9を参照して、本実施の形態の変形例3について説明する。図8は変形例3における電子機器の一部を概略的に示す図である。図9は、図8のB-B線断面図である。変形例3の説明においては、主に上記実施の形態と異なる構成について説明し、同じ構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0054】
上記実施の形態における電子機器100の組付手順としては、先ず、電子部品1とケース2とを組み付ける。次に、ケース2とプリント基板3とを組み付ける。
【0055】
これに対して、変形例3における電子機器100の組付手順としては、先ず、電子部品1とプリント基板3とを組み付ける(サブアッセンブリ)。次に、サブアッセンブリ品を、ケース2に組み付ける。
【0056】
以下に、変形例3における電子機器100の組付手順を可能にする構成について説明する。
【0057】
電子部品本体12は、図9に示すように、2つのフック部12aを有する。フック部12aは、電子部品本体12の下面(-X方向端面)の左端部および右端部に配置される。フック部12aは、3つの端子14の左右方向(Z方向)両側に配置される。
【0058】
フック部12aは、電子部品本体12の下面から-X方向に延在する軸部12bと、軸部12bの-X方向端に配置される突起部12cと、を有する。左側(+Z方向)のフック部12aの突起部12cは、-X方向に対して左方向(+Z方向)に傾斜する傾斜面12dを有している。右側(-Z方向)のフック部12aの突起部12cは、-X方向に対して右方向(-Z方向)に傾斜する傾斜面12dを有している。左右の突起部12c間のピッチP1は、左右の被係止穴36(後述する)間のピッチP2よりも短く設定されている。
【0059】
プリント基板3は、図9に示すように、左右2つの被係止穴36(被係止部)を有する。被係止穴36は、突起部12cが通過可能な大きさを有している。
【0060】
電子部品1とプリント基板3とを組み付ける場合、左側の突起部12cと左側の被係止穴36とを対応させ、右側の突起部12cと右側の被係止穴36とを対応させる。次に、電子部品1を、コイルバネ16の復元力に抗してプリント基板3に対して下方向(-X方向)に相対移動する。これにより、左側の突起部12cの傾斜面12dが左側の被係止穴36の上側穴縁に当接し、また、右側の突起部12cの傾斜面12dが右側の被係止穴36の上側穴縁に当接して、左側のフック部12aの軸部12bが復元力に抗して左方向に撓み、また、右側のフック部12aの軸部12bが復元力に抗して右方向に撓む。これにより、左右の突起部12c間のピッチP1は、広がって、左右の被係止穴36間のピッチP2と等しくなる。その結果、左側の突起部12cが左側の被係止穴36を通過し、右側の突起部12cが右側の被係止穴36を通過する。
【0061】
左右の突起部12cが左右の被係止穴36を通過した場合、左右のフック部12aの軸部12bが復元し、左右の突起部12c間のピッチP1は、再び、左右の被係止穴36間のピッチP2よりも短くなる。これにより、左側の突起部12cは、左側の被係止穴36の下側穴縁に係止し、右側の突起部12cは、右側の被係止穴36の下側穴縁に係止する。これにより、電子部品1のプリント基板3に対する上方向(+X方向)の移動が制限される。また、電子部品1のプリント基板3に対する下方向(-X方向)の移動は、コイルバネ16の復元力により制限される。その結果、電子部品1とプリント基板3とが組み付けられる(サブアッセンブリ)。
【0062】
変形例3における電子機器100においては、プリント基板3は、被係止穴36を有し、電子部品本体12は、電子部品本体12がプリント基板3に取り付けられるように被係止穴36に係止するフック部12aを有し、プリント基板3およびプリント基板3に取り付けられた電子部品本体12は、ケース2に装着される。これにより、電子部品1をプリント基板3に取り付けてから、ケース2に組み付けることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、組立コストを低減するとともに、接続部への負荷を軽減することが要求される電子部品を備えた電子機器に好適に利用される。
【符号の説明】
【0064】
1 電子部品
2 ケース
3 プリント基板
12 電子部品本体
12a フック部
12b 軸部
12c 突起部
12d 傾斜面
13 軸受部
14 端子
14a 基端部
14b 先端部
14c +X方向端
15 入力軸
16 コイルバネ
16a +X方向端部
16b -X方向端部
16c 延在部
16d コイル部
16e 折り返し部
17 抜け止め部
18,19 凸部
18a,19a -X側縁
18b,19b +X側縁
22 底壁部
24 周壁部
25 係合溝
26 開口部
32 上面
33 下面
34 嵌合穴
35 ハトメ
36 被係止穴
100 電子機器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9