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特許7438763空き家判定装置、空き家判定方法および空き家判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】空き家判定装置、空き家判定方法および空き家判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20240219BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240219BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G06Q50/163
G06Q30/0601 308
H02J13/00 301A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020009329
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021117602
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】加藤 駿昌
(72)【発明者】
【氏名】片岡 宏海
【審査官】西村 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207558(JP,A)
【文献】特開2017-084202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住所と、当該住所に対する少なくとも電力供給有無情報及び廃止方法情報とを含む廃止情報を記憶する記憶部と、
住所情報の入力を受け付ける受付部と、
前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所への電力の供給の有無及び電力の供給がない場合の電力の供給の廃止方法を、前記廃止情報を用いて特定する特定部と、
前記特定部による特定結果に基づいて、前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所が空き家であるか否かを推定する推定部と、
前記推定部による推定結果を出力する出力部と、
を備える空き家判定装置。
【請求項2】
記廃止方法情報は、(1)ブレーカーのスイッチをオフにする、(2)開閉器をオフにする、(3)2次側処理による電力供給のオフにする、(4)電柱からの配線切断する、(5)電力設備の撤去する、のいずれかを示す情報であり、
前記推定部は、前記特定部が特定した電力の供給の廃止方法が、前記(1)~(5)の順に昇順で、空き家である確率が高くなるように、空き家である可能性を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の空き家判定装置。
【請求項3】
前記廃止情報は廃止日情報を含み、前記推定部は、前記住所への電力の供給を廃止してからの日数が長ければ長いほど、前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所が空き家である可能性が高いと推定する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空き家判定装置。
【請求項4】
前記空き家判定装置は、前記受付部が受け付けた住所情報で示す住所毎に、前記住所情報を受け付けた回数を、前記記憶部に記録する記録部を備え、
前記推定部は、前記受付部で受け付けた住所に対応付けられている前記受付部が受け付けた住所情報の回数が多いほど、前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所が空き家である可能性が高いと推定する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空き家判定装置。
【請求項5】
前記廃止情報は、前記住所に対する電力の供給の廃止が、集合住宅の中の1住宅への電力の供給の廃止であるか、戸建ての住宅への電力の供給の廃止であるか、の情報を含み、
前記推定部は、前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所の家屋が、戸建てである場合に、集合住宅の中の1住宅である場合に比して、空き家である可能性が高いと推定する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の空き家判定装置。
【請求項6】
前記廃止情報は、前記住所の周辺の住所に対する電力の供給の廃止状況を示す情報を含み、
前記推定部は、前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所の周辺の住所に対する電力の供給が廃止されている個数が多いほど、空き家である可能性が高いと推定する ことを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の空き家判定装置。
【請求項7】
前記廃止情報は、前記住所を含む所定の領域の属性であって、前記所定の領域に含まれる公営住宅の多寡に関する情報を含み、
前記推定部は、前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所を含む所定の領域に含まれる公営住宅が多いほど、空き家である可能性が高いと推定する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の空き家判定装置。
【請求項8】
前記廃止情報は、前記住所の敷地面積に関する情報を含み、
前記推定部は、前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所の敷地面積が広いほど、空き家である可能性が高いと推定する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の空き家判定装置。
【請求項9】
前記廃止情報は、前記住所に設けられた家屋の築年数に関する情報を含み、
前記推定部は、前記受付部で受け付けた住所情報で示される前記住所に設けられた家屋の築年数が長いほど、空き家である可能性が高いと推定する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の空き家判定装置。
【請求項10】
前記記憶部は、前記廃止情報に含まれる各情報に対して、空き家である可能性が高いか否かを示す点数対応付けて記憶しており
前記推定部は、前記受付部で受け付けた住所情報で示される住所に対する前記点数の総合値が所定の閾値を超える場合に、前記受付部で受け付けた住所情報で示される住所が空き家であると判定する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の空き家判定装置。
【請求項11】
住所と、当該住所に対する少なくとも電力供給有無情報及び廃止方法情報とを含む廃止情報を記憶するメモリを有する空き家判定装置が実行する空き家判定方法であって、
住所情報の入力を受け付ける受付ステップと、
前記受付ステップで受け付けた住所情報で示される前記住所への電力の供給の有無及び電力の供給がない場合の電力の供給の廃止方法を、前記廃止情報を用いて特定する特定ステップと、
前記特定ステップにおける特定結果に基づいて、前記受付ステップで受け付けた前記住所情報で示される前記住所が空き家であるか否かを推定する推定ステップと、
前記推定ステップによる推定結果を出力する出力ステップと、
を含む空き家判定方法。
【請求項12】
住所と、当該住所に対する少なくとも電力供給有無情報及び廃止方法情報とを含む廃止情報を記憶するメモリにアクセス可能なコンピュータに、
住所情報の入力を受け付ける受付機能と、
前記受付機能で受け付けた住所情報で示される前記住所への電力の供給の有無及び電力の供給がない場合の電力の供給の廃止方法を、前記廃止情報を用いて特定する特定機能と、
前記特定機能による特定結果に基づいて、前記受付機能で受け付けた住所情報で示される前記住所が空き家であるか否かを推定する推定機能と、
前記推定機能による推定結果を出力する出力機能と、
を実現させる空き家判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住所に基づいて空き家であるかを判定する空き家判定装置、空き家判定方法および空き家判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非対面での金融取引を行うEコマース事業者は、顧客からのアカウント開設依頼に際し、本人認証を行う。特許文献1には、本人認証を用いた口座開設支援を行う口座開設支援方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5922194号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、そのようなEコマース事業者による本人認証の一手法として、ユーザから住所の入力を受け付けて、その住所に対して実際に、認証情報を記した書面を送付し、ユーザは、その書面に記載されている認証情報をウェブサイトに入力することで、本人認証を行うものがある。しかしながら、このときに、実在する住所であるものの、ユーザ本人のものではない単なる書面の受け取り先としての虚偽の住所を登録し、その住所前で書面を受け取って認証を行ってユーザ登録を行われる可能性があるという問題があった。そして、この場合に、そのユーザが悪質な取引を行ったとしても、後から、そのユーザ本人の元にたどり着けない可能性があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて成されたものであり、住所の情報を受け付けて、その住所が空き家かどうかを判定する空き家判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る空き家判定装置は、住所と、当該住所に対する少なくとも電力の供給の廃止状態に関する情報とを含む廃止情報を記憶する記憶部と、住所情報の入力を受け付ける受付部と、住所情報で示される住所情報に対応付けられている廃止状態を、廃止情報を用いて特定する特定部と、特定した廃止状態に基づいて、住所情報で示される住所が空き家であるか否かを推定する推定部と、推定部による推定結果を出力する出力部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る空き家判定方法は、住所と、当該住所に対する少なくとも電力の供給の廃止状態に関する情報とを含む廃止情報を記憶するメモリを有する空き家判定装置が実行する空き家判定方法であって、住所情報の入力を受け付ける受付ステップと、住所情報で示される住所情報に対応付けられている廃止状態を、廃止情報を用いて特定する特定ステップと、特定した廃止状態に基づいて、住所情報で示される住所が空き家であるか否かを推定する推定ステップと、推定ステップによる推定結果を出力する出力ステップと、を含む。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る空き家判定プログラムは、住所と、当該住所に対する少なくとも電力の供給の廃止状態に関する情報とを含む廃止情報を記憶するメモリにアクセス可能なコンピュータに、住所情報の入力を受け付ける受付機能と、住所情報で示される住所情報に対応付けられている廃止状態を、廃止情報を用いて特定する特定機能と、特定した廃止状態に基づいて、住所情報で示される住所が空き家であるか否かを推定する推定機能と、推定機能による推定結果を出力する出力機能と、を実現させる。
【0009】
上記装置において、廃止状態に関する情報は、住所への電力の供給の廃止方法を示す廃止方法情報を含み、廃止方法情報は、(1)ブレーカーのスイッチをオフにする、(2)開閉器をオフにする、(3)2次側処理による電力供給のオフにする、(4)電柱からの配線切断する、(5)電力設備の撤去する、のいずれかを示す情報であり、推定部は、特定部が特定した電力の供給の廃止方法が、(1)~(5)の順に昇順で、空き家である確率が高くなるように、空き家である可能性を推定することとしてもよい。
【0010】
上記装置において、推定部は、廃止状態が、住所への電力の供給を廃止してからの日数が長ければ長いほど、受付部で受け付けた住所情報で示される住所が空き家である可能性が高いと推定することとしてもよい。
【0011】
上記装置において、空き家判定装置は、受付部が受け付けた住所情報で示す住所毎に、住所情報を受け付けた回数を、記憶部に記録する記録部を備え、推定部は、受付部で受け付けた住所に対応付けられている受付部が受け付けた住所情報の回数が多いほど、受付部で受け付けた住所情報で示される住所が空き家である可能性が高いと推定することとしてもよい。
【0012】
上記装置において、廃止情報は、住所に対する電力の供給の廃止が、集合住宅の中の1住宅への電力の供給の廃止であるか、戸建ての住宅への電力の供給の廃止であるか、の情報を含み、推定部は、受付部で受け付けた住所情報で示される住所の家屋が、戸建てである場合に、集合住宅の中の1住宅である場合に比して、空き家である可能性が高いと推定することとしてもよい。
【0013】
上記装置において、廃止情報は、住所の周辺の住所に対する電力の供給の廃止状況を示す情報を含み、推定部は、受付部で受け付けた住所情報で示される住所の周辺の住所に対する電力の供給が廃止されている個数が多いほど、空き家である可能性が高いと推定することとしてもよい。
【0014】
上記装置において、廃止情報は、住所を含む所定の領域の属性であって、所定の領域に含まれる公営住宅の多寡に関する情報を含み、推定部は、受付部で受け付けた住所情報で示される住所を含む所定の領域に含まれる公営住宅が多いほど、空き家である可能性が高いと推定することとしてもよい。
【0015】
上記装置において、廃止情報は、住所の敷地面積に関する情報を含み、推定部は、受付部で受け付けた住所情報で示される住所の敷地面積が広いほど、空き家である可能性が高いと推定することとしてもよい。
【0016】
上記装置において、廃止情報は、住所に設けられた家屋の築年数に関する情報を含み、推定部は、受付部で受け付けた住所情報で示される住所に設けられた家屋の築年数が長いほど、空き家である可能性が高いと推定することとしてもよい。
【0017】
上記装置において、廃止情報において、廃止状態各々に対して、空き家である可能性が高いか否かを示す点数が対応付けられ、推定部は、受付部で受け付けた住所情報で示される住所に対する廃止状態の点数の総合値が所定の閾値を超える場合に、受付部で受け付けた住所情報で示される住所が空き家であると判定することとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一態様に係る空き家判定装置は、住所情報の入力を受け付けて、その住所の家屋に対する電力の廃止方法を特定し、特定した廃止方法から、空き家である可能性を推定する。したがって、空き家判定装置は、住所の情報からだけで空き家である可能性の情報を出力することができるので、例えば、本人確認をする際の一つの判断基準となる情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、通信システムの構成例を示すシステム図である。
図2図2は、空き家判定装置の構成例を示すブロック図である。
図3図3は、廃止情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図4図4(a)~図4(d)は、警戒ポイント情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図5図5(a)~図5(c)は、警戒ポイントから空き家確率を算出するための空き家基準情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図6図6は、通信システムに係る各装置間のやり取りの例を示すシーケンス図である。
図7図7は、空き家判定装置の動作を示すフローチャートである。
図8図8は、廃止情報の他の例を示すデータ概念図である。
図9図9は、警戒ポイント情報の他の例を示すデータ概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施態様に係る空き家判定装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
<実施の形態>
<概要>
図1は、本発明に係る通信システム1の構成例を示す図である。図1に示すように、本発明に係る通信システム1においては、空き家判定装置100は、ネットワーク300に接続されている。また、ネットワーク300には、オペレータ20の端末装置200も接続されている。空き家判定装置100は、端末装置200からネットワーク300を介して、問合せ情報10を受信する。問合せ情報10は、一つの住所の情報を含み、その住所が空き家かどうかを問い合わせる情報である。
【0022】
空き家判定装置100は、受信した問合せ情報10で示される住所の情報に基づいて、その住所が空き家かどうかを判定する。空き家判定装置100は、その住所に対する電力の供給の廃止の態様、例えば、どのように電力の供給が停止されたのか、停止されてからどれぐらいの日数が経過しているのかなどの情報に基づいて判定する。そして、空き家判定装置100は、判定の結果を示す空き家情報11を、端末装置200に送信する。
【0023】
これにより、端末装置200では、空き家情報11を表示したりすることにより、オペレータ20はそれを確認して、問い合わせた住所が空き家かどうかを認識することができる。
【0024】
なお、オペレータ20は、一例として、ECサイトの運営者であったり、銀行などのオペレータであったりしてよい。また、端末装置200は、一般のユーザからユーザ登録の申請を受け付けた場合に、自動的に、住所を含む問合せ情報10を、空き家判定装置100に送信する構成を備えてもよい。
【0025】
また、ネットワーク300は、各種の機器との間を相互に接続させるためのネットワークであり、例えば、無線ネットワークや有線ネットワークである。具体的には、ネットワークは、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)、LTE-Advanced、第4世代(4G)、第5世代(5G)、CDMA(code division multiple access)、WCDMA(登録商標)、イーサネット(登録商標)などである。また、ネットワークは、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth Low Energy)、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線、衛星通信網などであってもよく、どのようなネットワークであってもよい。ネットワークは、ユーザの住居に備えられる場合には、ホームネットワークと呼称されることもある。また、ネットワークは、例えば、NB-IoT(Narrow Band IoT)や、eMTC(enhanced Machine Type Communication)であってもよい。なお、NB-IoTやeMTCは、IoT向けの無線通信方式であり、低コスト、低消費電力で長距離通信が可能なネットワークである。また、ネットワークは、これらの組み合わせであってもよい。また、ネットワークは、これらの例を組み合わせた複数の異なるネットワークを含むものであってもよい。例えば、ネットワークは、LTEによる無線ネットワークと、閉域網であるイントラネットなどの有線ネットワークとを含むものであってもよい。
以下、詳細に説明する。
【0026】
<構成>
空き家判定装置100は、PC、サーバ装置などにより実現されるコンピュータ装置である。図2は、空き家判定装置100の構成例を示すブロック図である。図2に示すように、空き家判定装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。また、空き家判定装置100は、入力部140や表示部150を備えることとしてもよい。空き家判定装置100の各部(通信部110、記憶部120、制御部130、入力部140、表示部150は、互いに通信可能にバスBを介して接続されている。
【0027】
通信部110は、ネットワーク300を介して、他の装置と通信を実行する機能を有する通信インターフェースである。通信部110は、他の装置と通信が実行できれば、有線、無線による通信を問うものではなく、有線、無線のいずれか、あるいは、その双方による通信を実行してよい。また、通信部110は、他の装置と通信が実行できれば、通信に用いる通信規格も何を用いてもよい。本実施の形態においては、通信部110は、問合せ情報10を端末装置200から受信して、制御部130に伝達する。また、通信部110は、制御部130からの指示にしたがって、問合せ情報10を送信してきた端末装置200に、空き家であるか否かを推定可能な空き家情報11を送信する。
【0028】
記憶部120は、空き家判定装置100が動作上必要とする各種プログラム、データを記憶する機能を有する記憶媒体である。記憶部120は、一例として、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリなど、各種の記憶媒体により実現することができるが、これらに限定するものではない。記憶部120が記憶しているプログラムとしては、住所から、その住所に対して電力を供給しているか、あるいは、電力を供給していない場合には、電力の供給を停止(廃止)の方法を特定するための廃止方法特定プログラムや、特定した電力の供給の停止(廃止)方法から、問合せがあった住所に対応する家屋が空き家であるかを推定するための推定プログラムなどがある。また、記憶部120は、住所から電力の供給の廃止方法を特定するための廃止情報121と、電力の供給の廃止方法から警戒ポイントを特定するための警戒ポイント情報122a-122dと、警戒ポイントから空き家である確率を特定するための空き家基準情報123とを記憶している。廃止情報121と、警戒ポイント情報122a-122dと、空き家基準情報123と、の詳細については、後述する。
【0029】
制御部130は、記憶部120に記憶されている各種のプログラムを実行することにより、空き家判定装置100として実現すべき各種の機能を実現するプロセッサである。制御部130は、通信部110から伝達された問合せ情報から住所の情報を抽出し、抽出した住所の情報を特定部131に伝達する。制御部130は、特定部131と、推定部132と、出力制御部133と、を備える。
【0030】
特定部131は、伝達された住所の情報から、廃止情報121を参照して、対応する電力の供給の有無、電力の供給がない場合の電力の供給の廃止方法を特定する。そして、特定部131は、特定した電力の供給の廃止方法を、推定部132に伝達する。
【0031】
推定部132は、特定部131から伝達された電力の供給の廃止方法に基づいて、警戒ポイント情報122a-122dを参照して、対応する警戒ポイントを特定する。警戒ポイントは、対応する住所の家屋が空き家であるか否かを推定するために用いられるポイントである。推定部132は、電力の供給の廃止の態様を示す情報に基づいて、警戒ポイント情報122aを参照して、電力の供給の廃止の態様に対する警戒ポイントを特定する。そして、推定部132は、特定した警戒ポイントに基づいて、空き家基準情報123を参照して、住所に対応する家屋が空き家である可能性を推定し、その可能性の情報を出力制御部133に伝達する。
【0032】
出力制御部133は、推定部132が推定した空き家である可能性に基づいて空き家情報を生成し、生成した空き家情報を、通信部110を介して、問合せ情報を送信してきた端末装置200に送信する。
【0033】
なお、図示していないが、制御部130は、警戒ポイントに応じて空き家かどうかを判定するための空き家基準情報123における警戒ポイントに対する閾値の入力を空き家判定装置100のオペレータ等から受け付けて設定・変更する設定部を備えていてもよい。
【0034】
入力部140は、空き家判定装置100のオペレータからの入力を受け付ける機能を有するインターフェースである。入力部140は、一例として、キーボードや、表示部150と併せてタッチパネル等により、実現することができるが、これらに限定するものではない。入力部140は、例えば、空き家判定装置100のオペレータが、電話等により端末装置200のオペレータ20から住所の連絡を受けた場合に、その住所の入力を受け付けて、制御部130に伝達することができる。また、あるいは、入力部140は、住所に対応する家屋が空き家であるかどうかを判定するための規準となる閾値の設定の入力を受け付けて制御部130に伝達することとしてもよい。
【0035】
表示部150は、制御部130から指示されたデータを表示する機能を有するモニターである。表示部150は、例えば、出力制御部133が生成する空き家情報を、テキストあるいは画像により、表示することとしてもよい。
【0036】
以上が、空き家判定装置100の構成である。
【0037】
なお、問い合わせを行うオペレータ20の端末装置200は、一般的に知られるPC、タブレット端末、スマートフォン等に代表される情報処理装置であればよく、一般的な端末と構成が同様であればよいので詳細な構成の説明については省略する。
【0038】
<データ>
ここから、空き家判定装置100が利用する各種のデータについて説明する。
【0039】
図3は、廃止情報121のデータ構成例を示すデータ概念図である。図3に示すように、廃止情報121は、住所情報301と、廃止情報302とが、対応付けられた情報である。また、廃止情報302は、対応する住所においての電力供給有無321と、廃止方法322と、廃止日323と、問合せ回数324と、住宅態様325と、を含む。廃止情報121は、逐次、空き家判定装置100のオペレータにより更新される。もしくは、空き家判定装置100は、電力の供給を停止する電気工事を行った事業者等から電力の供給の停止に関する各種情報の入力を受け付けて、廃止情報121を更新する更新部を備えてもよい。
【0040】
電力供給有無321は、対応する住所で示される家屋(集合住宅の中の1住宅や、企業等の社屋、商業施設などを含む)に対して、現在、電力の供給を行っているか否かを示す情報である。電力供給有無321が、「有」となっている場合には電力の供給が行われていることになるので、その住所が空き家かどうか問い合わせに対する回答としての空き家情報11としては、空き家ではないという情報を示すことになる。一方で、電力供給有無321が、「無」となっている場合には、推定部132による空き家かどうかの推定処理を行うことになる。
【0041】
廃止方法322は、電力の供給を停止している場合に、その電力の停止を、どのような態様で行ったかを示す情報である。廃止方法322としては、(1)ブレーカーオフ、(2)開閉器オフ、(3)2次側処理オフ、(4)切断、(5)撤去の5種類がある。(1)~(5)の順番で、昇順に、空き家である確率が高くなる。これは、後者の方が、再び電力の供給をするにあたって、より多くの労力を伴うため、人が住む可能性が低いことを示しているからである。よって、廃止方法322を用いることで、住所の家屋が空き家である可能性を推定することができる。
【0042】
ブレーカーオフとは、一般に認識されるいわゆるブレーカーのスイッチをオフにする処理のことを言う。ブレーカーは一般的には、一定量以上の電力を使用したり、異常電流が流れたりすると回路を自動的に遮断する装置のことであるが、ブレーカーがオフになっている状態では、その住宅では電力の使用ができない状態にすることができる。最も手軽な電力の供給を停止する手法であるといえる。
【0043】
開閉器オフとは、スマートメータ等などの計量装置内の電路(電気の流路)を開閉する機器である開閉器(開閉ユニット等)のスイッチをオフすることをいう。開閉器は、ブレーカーと、電力の供給元(高圧交流を家庭用の電力に変圧する変圧器)との間に設けられ、開閉器をオフにすると、ブレーカーまで電力が届かない状態にすることができる。
【0044】
2次側処理オフとは、計量装置に接続している家屋側配線を計量器から物理的に切り離し、電気の供給を切断する処理のことである。
【0045】
切断とは、電力を供給していた家屋に対して、その近くの電柱等からの配線を物理的に切断することをいう。一般的には、電柱からの配線を切断するので、柱上切と呼称されることもある。
【0046】
撤去とは、電力を供給していた家屋から、電力設備そのものを撤去することをいう。切断の場合は、配線さえすれば、電力の復旧が可能であるが、撤去の場合は、電力設備の再配置などより多くの工程が必要になるので、そのような住所に対する電力の供給を行う可能性は低いことから、空き家であると推定できる可能性が高くなると言える。
【0047】
廃止日323は、電力の供給を停止した日付けを示す情報である。廃止日323は、廃止日から現在までの経過日数の長短に応じて、空き家であるか否かを判定するのに用いられる。電力供給を停止してからの経過日数が長いほど空き家である可能性は高くなる。よって、電力の供給を停止してからの日数を算出可能な廃止日323を用いることで、住所の家屋が空き家であるか否かを推定することができる。
【0048】
問合せ回数324は、その住所で示される住所が、空き家であるか否かの問い合わせに用いられた回数を示す情報である。問合せ回数324は、現在までの問い合わせの回数の累計であってもよいし、現在から過去にさかのぼって所定期間(例えば、10年)の問合せ回数の合計であってもよい。問合せ回数は、一般的に、そこまで多くなることはないものの、何らかの理由で悪用されている場合には、その住所が通常よりも多く使われる可能性がある。よって、問合せ回数324を用いることで、住所に対する家屋が空き家であるか否か、より正確には、その住所が悪用されている可能性があるか否かを推定することができる。
【0049】
住宅態様325は、対応する家屋の態様が、集合住宅の1つの家屋であるのか、あるいは、戸建てであるのかを示す情報である。人が住まなくなって久しい戸建ての方が、上述したような、荷物の受け取り等に用いやすいといえる。したがって、そのような場合を想定すると、他人に見られる可能性の高い集合住宅よりも戸建ての方が、問合せの住所に対応する家屋が空き家である確率は高いといえるので、住宅態様325を用いることで、住所に対応する家屋が空き家であるか否かを推定することができる。
【0050】
図3に示す例では、一例として、住所情報301が、「大阪府泉佐野市…」となっている家屋に対しては、電力供給有無321に示されるように、電力の供給は、「無」となっており、廃止方法322は、「開閉器オフ」、廃止日323は、「2019年6月23日」であり、問合せ回数324は、「15回」、住宅態様325が「戸建て」であることが理解できる。
【0051】
図4は、警戒ポイント情報122(122a~122d)のデータ構成例を示すデータ概念図である。図4(a)は、電力の供給の廃止方法に対する警戒ポイント情報122aを示し、図4(b)は、廃止日からの経過日数に対する警戒ポイント情報122bを示し、図4(c)は、住所に対する問い合わせ回数に対する警戒ポイント情報122cを示し、図4(d)は、住宅態様に対する警戒ポイント情報122dを示している。即ち、各警戒ポイント情報122は、それぞれが示す情報の、空き家である可能性を推定するための警戒ポイントを数値で示す情報である。
【0052】
図4(a)に示すように、警戒ポイント情報122aは、廃止方法411に、警戒ポイント412を対応付けた情報である。
【0053】
廃止方法411は、電力の供給を停止している場合に、その電力の停止を、どのような態様で行ったかを示す情報であり、上述した廃止方法322と同様の情報である。
【0054】
警戒ポイント412は、対応する廃止方法411による電力供給の停止が実行されていた場合に、その住所に対して設定する第1の警戒ポイントP1を示す情報である。
【0055】
問合せ情報10で示される住所が対応する廃止方法322を特定し、廃止方法322が該当する廃止方法411に対応付けられている警戒ポイントが第1の警戒ポイントP1となる。
【0056】
図4(a)に示す例では、一例として、廃止方法411が、「開閉器オフ」である場合に、その警戒ポイント412は、「2」であることが理解できる。
【0057】
図4(b)に示す警戒ポイント情報122bは、廃止日421と、警戒ポイント422とが対応付けられた情報である。
【0058】
廃止日421は、電力の供給を停止した期間を示す情報であって、問い合わせがあった日から見て、電力の供給を停止した日付けが、どの期間内であるかを特定するための情報である。
【0059】
警戒ポイント422は、問合せのあった住所に対する電力の供給の停止日が、廃止日421の期間に該当する場合の、第2の警戒ポイントP2を示す情報である。
【0060】
問合せ情報10で示される住所に対して、電力の供給が断たれた廃止日323を特定し、廃止日323が該当する期間を、廃止日421から特定し、特定した廃止日421に対応付けられている警戒ポイントが第2の警戒ポイントP2となる。
【0061】
図4(b)に示す例では、一例として、廃止日421が、「1年以上2年未満」、即ち、電力の供給が停止してから、1年は経過しているけど、2年は経過していない場合の、警戒ポイント422が、「3」であることが理解できる。
【0062】
次に、図4(c)に示す警戒ポイント情報122cは、照合回数431と、警戒ポイント432とが対応付けられた情報である。
【0063】
照合回数431は、過去に、住所で示される家屋が空き家かどうかの問い合わせがあった回数を示す情報である。照合回数431は、上述した問合せ回数324に相当する。
【0064】
警戒ポイント432は、対応する照合回数431の第3の警戒ポイントP3を示す情報である。
【0065】
図4(c)に示す例では、一例として、照合回数が、「2~5」回であれば、警戒ポイントは、「2」であることが理解できる。
【0066】
図4(d)に示す警戒ポイント情報122dは、住宅態様441と、警戒ポイント442とが、対応付けられた情報である。
【0067】
住宅態様441は、問合せ情報10が示す住所の家屋の態様を示す情報であり、集合住宅であるか、戸建てであるかの情報を示す。住宅態様441は、上述した、住宅態様325に相当する情報である。
【0068】
警戒ポイント442は、対応する住宅態様441に応じた、第4の警戒ポイントP4を示す情報である。
【0069】
図4(d)に示す例では、一例として、住宅態様が、「集合住宅」であれば、警戒ポイント442が、「1」であることが理解できる。
【0070】
図4に示す各警戒ポイント情報122a~122dを保持していることにより、空き家判定装置100は、電力供給の廃止状態に応じた警戒ポイントを特定することができる。
【0071】
図5は、空き家基準情報123のデータ構成例を示すデータ概念図である。図5に示す空き家基準情報123は、推定部132が、算出された警戒ポイントに基づいて、空き家である可能性を推定するために用いる情報である。
【0072】
図5(a)は、空き家基準情報123の一構成例を示すデータ概念図である。図5(b)は、図5(a)とは異なる態様で構成した空き家基準情報123の一構成例を示すデータ概念図である。図5(c)は、図5(a)や図5(b)とは異なる態様で構成した空き家基準情報123の一構成例を示すデータ概念図である。
【0073】
図5(a)に示す空き家基準情報123aは、警戒ポイント総計501と、空き家確率502aとが対応付けられた情報である。
【0074】
警戒ポイント総計501は、住所から導出される廃止情報に対応付けられた状態により求まる警戒ポイントの総計と比較するための警戒ポイント総計の範囲を示す情報である。
【0075】
空き家確率502は、算出された警戒ポイント総計が、対応する警戒ポイント総計501の範囲に入る場合の、空き家である確率を高中低の表現で示した情報である。
【0076】
図5(a)の例で言えば、警戒ポイント総計が「4」であれば、「0~6」の範囲に入るので、空き家確率は「低」ということになる。
【0077】
図5(b)に示す空き家基準情報123bは、警戒ポイント総計511と、空き家確率512とが対応付けられた情報である。
【0078】
警戒ポイント総計511は、住所から導出される廃止情報に対応付けられた状態により求まる警戒ポイントの総計と比較するための警戒ポイント総計の範囲を示す情報である。
【0079】
空き家確率512は、算出された警戒ポイント総計が、対応する警戒ポイント総計511の範囲に入る場合の、空き家である確率を、パーセンテージ表現で示した情報である。
【0080】
図5(b)の例で言えば、警戒ポイント総計が「4」であれば、「4~6」の範囲に入るので、空き家確率は、「20%」ということになる。
【0081】
図5(c)に示す空き家基準情報123cは、警戒ポイント総計521と、空き家確率522とが対応付けられた情報である。
【0082】
警戒ポイント総計521は、住所から導出される廃止呪お方に対応付けられた状態により求まる警戒ポイントの総計と比較するための警戒ポイント総計の範囲を示す情報である。
【0083】
空き家確率522は、算出された警戒ポイント総計が、対応する警戒ポイント総計521の範囲に入る場合の、空き家である可能性を、その有無で表現した情報である。
【0084】
図5(c)の例で言えば、警戒ポイント総計が「4」であれば、「0~7」の範囲に入るので、空き家確率は、「無し」であることが理解できる。
【0085】
空き家判定装置100は、図5(a)~図5(c)に示す空き家基準情報123のいずれかを記憶し、記憶している空き家基準情報123を参照して、空き家であるか、あるいは、空き家である可能性を示す情報を、問い合わせをした端末装置200に送信することができる。なお、空き家判定装置100は、全ての空き家基準情報123を記憶し、適宜、使用する空き家基準情報を選択する構成としてもよい。また、警戒ポイント総計の範囲は、算出するのに用いる廃止情報の種類や数に応じて、適宜適切な範囲となるように、変更することとしてよい。
【0086】
<動作>
以下、空き家判定装置100の動作について説明する。図6は、通信システム1における空き家判定装置100と、問合せを行う端末装置200との間のやり取りの例を示すシーケンス図である。
【0087】
図6に示すように、オペレータ20は、自身の端末装置200を用いて、住所を含む問合せ情報10を、空き家判定装置100に送信する(ステップS601)。オペレータ20は、例えば、一般のユーザからのサービスへのユーザ登録要求を受け付けた場合などに、その一般ユーザから伝達された住所を、端末装置200に入力する。そして、端末装置200は、オペレータ20からの入力にしたがって、端末装置200に入力された住所を含ませた問合せ情報10を、空き家判定装置100に送信する。
【0088】
空き家判定装置100は、受信した問合せ情報10に含まれる住所に基づいて、警戒ポイントを算出する(ステップS602)。そして、空き家判定装置100は、算出した警戒ポイントに基づいて、問合せ情報10に含まれる住所の家屋が、空き家である可能性を示す空き家確率を特定する(ステップS603)。空き家判定装置100は、特定した空き家確率を、問合せ情報10を送信した端末装置200に送信する(ステップS604)。
【0089】
端末装置200は、空き家判定装置100から送信された空き家確率を含む情報を受信し、空き家確率を示す情報を表示して(ステップS605)、処理を終了する。
【0090】
次に、通信システム1における空き家判定装置100の動作例を、図7を用いて説明する。図7は、図6に示すやり取りを実現するための空き家判定装置100の動作を示すフローチャートである。
【0091】
図7に示すように、空き家判定装置100の通信部110は、端末装置200から送信された問合せ情報10を受信する(ステップS701)。通信部110は、受信した問合せ情報10を、制御部130に伝達する。
【0092】
制御部130は、伝達された問合せ情報10から、住所の情報を抽出する。そして、抽出した住所で示される家屋に対して、電力が供給されているか否かを、廃止情報121の電力供給有無321を参照して、判定する(ステップS702)。
【0093】
制御部130が、問合せ情報で示される住所の家屋に対して、電力が供給されていないと判定した場合には(ステップS702のNO)、制御部130の特定部131は、問合せ情報10の住所に対応する、廃止方法を、廃止情報121の廃止方法322から特定する(ステップS703)。そして、特定した廃止方法から、警戒ポイント情報122aを参照して、対応する警戒ポイントP1を特定する(ステップS704)。
【0094】
次に、特定部131は、問合せ情報10の住所で示される家屋に対する電力の供給を停止した廃止日を、廃止情報121の廃止日323から特定する。そして、特定した廃止日が現在から何日以内であるかを特定する。そして、特定した廃止日が現在からの日数が何日以内かを、警戒ポイント情報122bの廃止日421を参照して特定する。(ステップS705)。そして、特定部131は、特定した廃止日421から対応する警戒ポイントP2を特定する(ステップS706)。
【0095】
次に、特定部131は、問合せ情報10の住所に対応する問合せ回数を、廃止情報121の問合せ回数324から特定する(ステップS707)。そして、特定した問合せ回数から警戒ポイント情報122cの、照合回数431で示される範囲のいずれに含まれるかを特定し、対応する警戒ポイントP3を特定する(ステップS708)。
【0096】
また、特定部131は、問合せ情報10の住所で示される家屋の住宅態様を、廃止情報121の住宅態様325から特定する(ステップS709)。
【0097】
そして、特定した住宅態様から、警戒ポイント情報122dを三趣オして、警戒ポイントP4を特定する(ステップS710)。
【0098】
推定部132は、特定部が特定した各警戒ポイントP1~P4を総計する(ステップS711)。そして、推定部132は、総計した警戒ポイント総計が、空き家基準情報123のどの警戒ポイント総計の範囲に当てはまるかを特定する。そして、特定した範囲に対応付けられた空き家確率502を特定する(ステップS712)。推定部132は、特定した空き家確率を住所が空き家である可能性を示す情報として出力制御部133に伝達する。
【0099】
出力制御部133は、伝達された空き家である可能性を示す情報に基づいて、空き家情報11を生成し、通信部110を介して、生成した空き家情報11を端末装置200に送信して(ステップS713)、処理を終了する。
【0100】
一方、制御部130が、問合せ情報で示される住所の家屋に対して、電力が供給されていると判定した場合には(ステップS702のYES)、制御部130の特定部131は、住所に対応する家屋に住人がいることになるので、空き家確率を無し、即ち0とする(ステップS714)。特定部131は、特定した空き家確率を、出力制御部133に伝達する。出力制御部133は、伝達された空き家確率に基づいて、空き家であるか可能性が0であることを示す空き家情報11を生成し、通信部110を介して、生成した空き家情報11を端末装置200に送信して(ステップS715)処理を終了する。
【0101】
なお、図7に示す処理において、ステップS703とS704との組、ステップS705とS706との組、ステップS707とS708との組、ステップS709とステップS710との組で示される処理は、その実行順序を、図7に示す順から変更することができ、また、並列に実行することとしてもよい。例えば、ステップS703からS710の処理について、S705-S706、S709-S710、S703-S704、S707-S708の順に処理を実行することとしてもよい。
【0102】
<まとめ>
上記実施形態に示したように、空き家判定装置100は、住所の情報を受け付けて、その住所に対応する家屋が空き家かどうかを、その家屋に対する電力の供給の廃止方法から特定する。電力の供給が断たれている場合に、その廃止方法によって、今後人が住む可能性が高いのかどうかを推定することができることから、空き家である可能性を推定する根拠とすることができる。そして、空き家判定装置100が空き家である可能性を示す空き家情報11を出力することで、端末装置200では、例えば、端末装置200がEコマース事業者のウェブサーバなどであった場合に、ユーザを登録するかどうかの判断材料とすることができ、悪質なユーザの登録を防止できる可能性を向上させることができる。
【0103】
<補足>
上記実施の形態に係る装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0104】
(1)上記実施の形態においては、空き家判定装置100は、廃止情報121、警戒ポイント情報122a~警戒ポイント情報122d、空き家基準情報123、を参照して、問合せ情報で示される住所が空き家であるか否かを判定することとした。しかしながら、問合せ情報で示される住所が空き家であるか否かを判定する手法は、上記実施の形態に示した手法に限るものではない。以下のような手法によっても実現することができる。
【0105】
例えば、空き家判定装置100は、図3図5に示す情報に代えて、住所に対応する電力の供給の廃止の態様を示す各情報(廃止方法、廃止日、照合回数、住宅態様)と、空き家であるかどうかと、の対応関係を学習した学習モデルを記憶部120に保持していてもよい。そして、推定部132は、当該学習モデルに対して、問合せ情報10で示される住所を入力として、空き家である可能性の情報を取得し、出力制御部133に伝達するように構成されてもよい。
【0106】
学習モデルは、電力の供給の廃止の態様を示す情報として、廃止方法、廃止日、照合回数、住宅態様の少なくともいずれか1つの情報と、その場合の空き家であるか否かを示す情報と、を対応付けた情報を教師データとして、学習させることにより構築することができる。学習モデルのアルゴリズムとしては、既存のアルゴリズムの中から適切なものを選択して使用すればよい。このように、推定部132は、深層学習を利用した推定を行う構成であってもよい。
【0107】
(2)上記実施の形態において、空き家判定装置100は、更に、空き家基準情報123(123a-123c)における警戒ポイントの範囲を定める閾値を学習して、自動的に設定変更する学習部を備えることとしてもよい。学習部は、例えば、空き家判定装置100の推定部132が推定した結果に対して実際に空き家であったかどうかを示すフィードバック情報を受け付けて、受け付けたフィードバック情報に基づく、閾値の変更を行うこととしてもよい。
【0108】
例えば、算出された警戒ポイント総計が「7」である結果に対して、図5(a)に示す空き家基準情報123を用いて判定すると、空き家確率502は、「中」となる。一方で、フィードバック情報を蓄積していった結果、警戒ポイント総計「7」である場合に空き家であるというフィードバック情報が所定数蓄積された場合や、警戒ポイント総計「7」である場合に空き家であるというフィードバック情報が警戒ポイント総計「7」である場合に空き家ではないというフィードバック情報よりも所定数以上多くなった場合など、定性的に、警戒ポイント総計「7」は空き家であると推定に足るだけの情報が蓄積された場合に、学習部は、空き家基準情報123aの空き家確率502が「低」であるための対応する警戒ポイント総計の範囲を、「0~6」から「0~7」に変更し、空き家確率502の「中」に対応する警戒ポイント総計の範囲を、「7~10」から「8~10」に変更することとしてもよい。
【0109】
このような学習部を備えることで、空き家判定装置100は、逐次、適切な警戒ポイント総計の範囲を設定して、空き家確率を特定することができるようになる。なお、学習部による変更のタイミングは、定期的に実行されてもよいし、所定の条件(例えば、上述の例で言えば、警戒ポイント総計「7」であるフィードバック情報であって空き家であるというフィードバック情報が、警戒ポイント総計「7」であるフィードバック情報であって空き家でないというフィードバック情報の個数を超えたタイミングなど)を満たした場合に実行されることとしてよい。
【0110】
(3) 上記実施の形態においては、推定部132は、特定した各警戒ポイントP1~P4を総計して、即ち、P1+P2+P3+P4を、警戒ポイント総計としていたが、これはその限りではない。各警戒ポイントに対しては、所定の係数を乗じることとしてもよい。即ち、空き家であるかどうかの判定に寄与している可能性の高いポイントに対しては、比較的高い係数を乗じ、寄与している可能性の低いポイントに対しては、それよりも低い係数を乗じて、警戒ポイント総計を算出することとしてもよい。即ち、推定部132は、αP1+βP2+γP3+δP4を、警戒ポイント総計として算出することとしてよい。ここで、α、β、γ、δは、0以上の値を有する係数であり、空き家判定装置100のオペレータ等により適宜設定されることとしてよい。
【0111】
更には、空き家判定装置100は、これらの係数α、β、γ、δとして適切な値が設定できるように、その値の適性を判定して再設定する係数学習部を備えることとしてもよい。係数学習部は、例えば、上記補足(2)に示すようなフィードバック情報を受け付けて、全てのフィードバック情報が、それらのフィードバック情報で示される結果になるように、係数を調整して、学習することとしてよい。
【0112】
(4) 上記実施の形態においては、廃止情報の一例として、電力供給の廃止方法、廃止日からの経過日数、住所が空き家であるか否かの問合せ回数、住宅態様などを用いる例を示したが、廃止情報は、これらに限定するものではない。その他の情報を、用いることとしてもよい。以下、詳細に説明する。
【0113】
図8は、廃止情報の他の例を示す図である。図8に示すように、廃止情報121は、周辺廃止状況326と、エリア属性327と、敷地面積328と、築年数329とが各住所毎に記憶された情報であってよい。廃止情報121は、図3に示す情報並びに図8に示す情報全てを包含してもよいし、それらのうちの一部のみを保持していてもよい。また、全てを包含している場合であっても、空き家判定装置100が適宜必要な情報を選択できるように構成されていてもよいし、空き家判定装置100のオペレータが必要な情報を適宜設定できるように構成されていてもよい。
【0114】
周辺廃止状況326は、対応する住所の周囲の住所に対する家屋に対して、電力の供給が廃止されているかどうかの多寡を示す情報である。図8に示す例では、周辺廃止状況326は、「廃止無し」、「廃止少ない」、「廃止多い」の3段階で規定する例を示しているが、電力の供給の廃止戸数で表現されてもよい。また、周囲の住所とは、対象の住所の周囲に存在する住所であればよく、対応する住所の隣家のみであってもよいし、隣家の他、向い3件を含んでもよい。また、あるいは、周囲の住所とは、対象の住所から、所定距離内に存在する家屋の住所であってもよい。
【0115】
エリア属性327とは、対象となる住所に、府営住宅、市営住宅といった公営の住宅の多寡を示す情報である。エリア属性327は、一例として、公営住宅が、「少ない」、「普通」、「多い」の3段階で規定する例を示しているが、公営住宅の数で表現されてもよい。
【0116】
敷地面積328は、対応する住所の敷地面積を示している。敷地面積から、住居の家屋の態様(例えば、戸建てであるのか、そうでないのか等)を特定し得るので、その内容から、空き家である可能性を推定することができる。
【0117】
築年数329は、対応する住所が建築されてから経過した年数を示す情報である。
【0118】
これらの情報を用いて、図9に示す警戒ポイント情報を利用することで、各住所の警戒ポイントを算出することができる。図9(a)は、対象となる住所周辺の電力の供給を廃止しているかを示す周辺廃止状況451に、警戒ポイント452を対応付けた警戒ポイント情報122eを示している。
【0119】
周辺廃止状況451は、対象となる住所の周辺の廃止状況を示す情報である。そして、警戒ポイント452は、問い合わせのあった住所の周辺の廃止状況が周辺廃止状況451のいずれかに該当する場合の第5の警戒ポイントP5を示す情報である。
【0120】
図9(a)に示す例では、一例として、周辺廃止状況451が、「廃止少ない」である場合の、警戒ポイントが、「2」であることが理解できる。周辺の住居に対して電力の供給が廃止されている場合には、周囲が無人である可能性が高く、他者に見られることなく対象の住所での手紙や荷物等の受け取りができるようになる可能性が高くなるといえるので、その分だけ警戒ポイントを高く設定する。
【0121】
図9(b)に示す警戒ポイント情報122fは、対象となる住所を含むエリア属性461と、警戒ポイント462とが対応付けられた情報である。
【0122】
対象となる住所を含むエリア属性461とは、ここでは、住所を含む所定の領域内に、公営の住宅の多寡を示す情報である。ここで、所定の領域とは、予め定められた所定の範囲内であってもよいし、対象となる住所を中心とする所定範囲内の領域のことであってもよい。予め定めた所定の範囲は、一例として、行政区などであってもよい。そして、警戒ポイント462は、問合せのあった住所のエリア属性に応じた、第6の警戒ポイントP6を示す情報である。
【0123】
図9(b)に示す例では、一例として、エリア属性461が、「公営住宅が多い」場合に、警戒ポイントが「3」であることが理解できる。なお、エリア属性に応じた警戒ポイントは、地域によって定められてもよく、例えば、ある地域では、公営住宅が多いエリアでも警戒ポイントを低く設定し、他の地域では公営住宅が多い場合に警戒ポイントを高く設定することとしてもよい。これは、例えば、公営住宅が取り壊し予定で残されたままになっている地域だと、空き家になっている可能性が高いので、警戒ポイントを高く設定し、人気のある公営住宅であれば人が多いので空き家になっている可能性が低いので、警戒ポイントを低く設定する。
【0124】
図9(c)に示す警戒ポイント情報122gは、対象となる住所の敷地面積471と、警戒ポイント472とが対応付けられた情報である。対象となる敷地面積が広いほど戸建てである可能性が高くなるので、その第7の警戒ポイントP7が高くなるように設定されている。図9(c)に示す例では、一例として、敷地面積471が、「20~30m」である場合に、その警戒ポイントが「4」であることが理解できる。
【0125】
図9(d)に示す警戒ポイント情報122hは、対象となる住所にある住居の築年数481と、その警戒ポイント482とが対応付けられた情報である。対象となる住所の住居の築年数が長くなるほど、古い住居であることになり、その分、空き家になってくる確率が高くなる。したがって、対象となる築年数が長いほど、その大8の警戒ポイントP8が高くなるように警戒ポイント情報122hは設定されている。図9(d)に示す例では、一例として、築年数が、「5年以上10年未満」である場合に、その警戒ポイントが「3」であることが理解できる。
【0126】
図8図9に示す情報を用いて、特定部131は、各廃止情報に応じた警戒ポイントを特定することができるとともに、推定部132は、図7に示すフローチャートを用いて説明したのと同様に、その特定した警戒ポイントに基づいて、対象となる住所が空き家であるかどうかを推定することができる。
【0127】
(5) 上記実施の形態においては、空き家判定装置における住所に対応する家屋が空き家であるか否かを推定する手法として、装置のプロセッサが上述の特定プログラム、推定プログラム等を実行することにより、住所に対応する家屋が空き家であるかを推定することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0128】
また、上記プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。本発明は、上記歩行教示プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0129】
なお、上記プログラムは、例えば、C言語等のコンパイル言語、C++、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できるが、これらの言語に限るものではない。
【0130】
(6)上記実施の形態及び補足に記載の各種の実施形態は、適宜、組み合わせて使用してもよい。
【符号の説明】
【0131】
100 空き家判定装置
110 通信部
120 記憶部
130 制御部
131 特定部
132 推定部
133 出力制御部
140 入力部
150 表示部
200 端末装置
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9