(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】製造発注支援装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240219BHJP
G06Q 30/08 20120101ALI20240219BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q30/08
(21)【出願番号】P 2020020036
(22)【出願日】2020-02-07
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】赤堀 英明
(72)【発明者】
【氏名】北 佑二郎
(72)【発明者】
【氏名】山川 和浩
【審査官】石坂 博明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/035133(WO,A1)
【文献】特開2021-056972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品メーカが使用する第1の端末装置および複数の部品メーカが使用する複数の第2の端末装置との間でネットワークを介してそれぞれデータ伝送が可能な製造発注支援装置であって、
前記第1の端末装置から製品の設計情報を取得する取得部と、
取得された前記設計情報から前記製品を構成する部品に関する情報を認識し、認識された前記部品に関する情報に基づいて部品別に当該部品を製造するために必要な製造指示書情報を生成する製造指示書情報生成部と、
前記第2の端末装置から、前記部品メーカが有する製造能力に関する製造能力情報を取得する製造能力情報取得部と、
前記第1の端末装置から前記部品の入札条件を指定する情報を取得し、取得された前記入札条件を指定する情報および
前記製造能力情報に基づいて
、前記複数の部品メーカの中から前記入札条件を満たす製造能力を有する部品メーカを選択する選択部と、
前記部品ごとに、前記製造指示書情報と前記入札条件を指定する情報とに基づいて、入札に関する複数の項目を含む入札案件情報を生成し、生成された前記入札案件情報を
前記選択部により選択された部品メーカに対応する前記第2の端末装置から閲覧可能な状態に公開する入札案件処理部と
を具備し、
前記入札案件処理部は、前記入札案件情報を前記複数の項目のうちの少なくとも1つの項目についてソート処理可能なデータファイルとして編集する、製造発注支援装置。
【請求項2】
前記入札案件処理部は、前記入札案件情報を前記複数の項目のうちの少なくとも1つの項目について、情報の並べ替え処理またはフィルタリング処理を行うことが可能なデータファイルとして編集する、請求項1に記載の製造発注支援装置。
【請求項3】
前記入札案件処理部は、
前記選択部により選択された前記部品メーカの第2の端末装置に対し前記入札の告示メッセージを配信する、
請求項1に記載の製造発注支援装置。
【請求項4】
製品メーカが使用する第1の端末装置および複数の部品メーカが使用する複数の第2の端末装置との間でネットワークを介してそれぞれデータ伝送が可能な製造発注支援装置が実行する製造発注支援方法であって、
前記第1の端末装置から製品の設計情報を取得する過程と、
取得された前記設計情報から前記製品を構成する部品に関する情報を認識し、認識された前記部品に関する情報に基づいて部品別に当該部品を製造するために必要な製造指示書情報を生成する過程と、
前記第2の端末装置から、前記部品メーカが有する製造能力に関する製造能力情報を取得する過程と、
前記第1の端末装置から前記部品の入
札条件を指定する情報を取得し、取得された前記入
札条件を指定する情報および
前記製造能力情報に基づいて
、前記複数の部品メーカの中から前記入札条件を満たす製造能力を有する部品メーカを選択する選択過程と、
前記部品ごとに、前記製造指示書情報と前記入札条件を指定する情報とに基づいて入札に関する複数の項目を含む入札案件情報を生成し、生成された前記入札案件情報を
前記選択過程により選択された部品メーカに対応する前記複数の第2の端末装置から閲覧可能な状態に公開する過程と
を具備し、
前記公開する過程は、前記入札案件情報を前記複数の項目のうちの少なくとも1つの項目についてソート処理可能なデータファイルとして編集する、製造発注支援方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の製造発注支援装置が具備する前記各部の処理を、前記製造発注支援装置が備えるハードウェアプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば、製品メーカによる部品等の発注に係る業務を支援する製造発注支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工業製品を製造する場合、メーカは一般に設計者が、製品および当該製品で使用する部品の設計図をCAD(Computer Aided Design)等を使用した設計システムにより作成すると共に、作成された設計図面をもとに部品表と各部品の製造に必要な詳細な仕様情報および製造指示内容を含む製造指示書を別の書類として手作業で作成する。そして、作成された上記部品表および製造指示書に基づいて、調達担当者が部品ごとにその加工業者を選定し部品の製造を発注するようにしている(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の部品発注業務では、一般に製品メーカの調達担当者が経験や過去の発注実績等をもとに部品メーカを選定し、部品メーカとの間で価格や納期の交渉、詳細な入札条件のすり合わせ等を行った上で発注するようにしている。このため、発注業務に多くの工数と時間を要し、製品メーカの負荷が非常に高かった。また、部品メーカにとっては、製品メーカから選定されなければ見積の提示等の交渉の機会が得られないため、対応可能な製造リソースを有しているにもかかわらず受注することができなかった。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、部品発注業務を効率化して部品発注に係る製品メーカの負荷を軽減し、かつ部品メーカの入札機会を増やすと共に希望する入札案件を簡単かつ正確に選択できるようにした技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明に係る製造発注支援装置または方法の一態様は、製品メーカが使用する第1の端末装置および複数の部品メーカが使用する複数の第2の端末装置との間でネットワークを介してデータ伝送が可能な製造発注支援装置において、前記第1の端末装置から製品の設計情報を取得し、取得された前記設計情報から前記製品を構成する部品に関する情報を認識して、認識された前記部品に関する情報に基づいて部品別に当該部品を製造するために必要な製造指示書情報を生成する。またそれと共に、前記第2の端末装置から、前記部品メーカが有する製造能力に関する製造能力情報を取得すると共に、前記第1の端末装置から前記部品の入札条件を指定する情報を取得し、取得された前記入札条件を指定する情報および前記製造能力情報に基づいて、前記複数の部品メーカの中から前記入札条件を満たす製造能力を有する部品メーカを選択する。そして、前記部品ごとに、前記製造指示書情報と前記入札条件を指定する情報とに基づいて、入札に関する複数の項目を含む入札案件情報を生成し、生成された前記入札案件情報を前記選択部により選択された部品メーカに対応する前記複数の第2の端末装置から閲覧可能な状態に公開するようにし、かつ前記入札案件情報を前記複数の項目のうちの少なくとも1つの項目についてソート処理可能なデータファイルとして編集するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の一態様によれば、生成された入札案件情報が、複数の部品メーカを対象として公開するようにしている。このため、製品メーカは、複数の部品メーカの中から、発注先となる部品メーカを比較的短期間に高い確率で見つけることが可能となる。一方、部品メーカにとっては、複数の入札案件情報を閲覧し入札する機会を得ることができる。
【0008】
さらに、入札案件情報を公開する際に、生成された複数の入札案件情報を、その複数の項目のうちの少なくとも1つの項目についてソート処理可能な公開用データファイルとして編集するようにしている。このため、部品メーカの担当者は、入札案件情報の所望の項目に対し並べ替え処理やフィルタリング処理等のソート処理を行うことができ、これにより自社が製造可能な部品または入札条件に対応する入札案件情報を効率良く見つけて、入札することが可能となる。
【0009】
すなわちこの発明の一態様によれば、部品発注業務を効率化して部品発注に係る製品メーカの負荷を軽減し、かつ部品メーカの入札機会を増やすと共に希望する入札案件を簡単かつ正確に選択できるようにした技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、この発明の第1の実施形態に係る製造発注支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。
【
図2】
図2は、この発明の第1の実施形態に係る製造発注支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、この発明の第1の実施形態に係る製造発注支援装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示した製造発注支援装置による製造発注支援処理の全体の処理手順と処理内容の概要を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、
図4に示した製造発注支援処理のうち部品の発注に必要な情報の登録および入札案件の公開処理の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、
図5に示した発注に必要な情報の登録および入札案件の公開処理のうち設計情報の取得から発注部品のグループ化までの動作例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図5に示した発注に必要な情報の登録および入札案件の公開処理のうち入札案件の公開処理の動作例を示す図である。
【
図8】
図8は、この発明の第2の実施形態における入札案件情報の公開処理の動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の第1の実施形態に係る製造発注支援装置を含むシステム全体の構成を示す図である。
この例では、システムは製造発注支援装置として動作するサーバコンピュータ(以後サーバ装置と称する)SVを備える。そして、サーバ装置SVが、各製品メーカ(セットメーカとも云う)がそれぞれ使用する第1の端末装置MA1~MAnと、各部品メーカ(部品製造業者または加工業者とも云う)がそれぞれ使用する第2の端末装置MB1~MBmとの間で、それぞれネットワークNWを介してデータ伝送を行えるようにしたものである。
【0013】
第1の端末装置MA1~MAnは、例えばCAD設計システムまたは発注管理用のパーソナルコンピュータからなる。第1の端末装置MA1~MAnは、主として製品メーカ(セットメーカ)の調達担当者が使用するもので、設計担当者が作成した製品の組立図を含む設計情報、上記製品を構成する複数の部品の製造に必要な部品製造情報を上記サーバ装置SVへ送信すると共に、部品の発注に係る等を上記サーバ装置SVへ送信するために使用される。
【0014】
第2の端末装置MB1~MBmは、受注管理用のパーソナルコンピュータからなり、部品メーカ(加工業者)の例えば営業担当者が、部品メーカの企業情報と製造能力を表す製造リソース情報をサーバ装置SVへ送信したり、サーバ装置SV上で公開された入札案件情報を閲覧するために使用される。なお、企業情報は製造リソース情報に含まれるようにしてもよい。
【0015】
なお、ネットワークNWは、例えば、インターネットを中核とする広域網と、この広域網にアクセスするためのアクセス網とを備える。アクセス網としては、例えば有線および無線の公衆ネットワーク、有線および無線のLAN(Local Area Network)、CATV(Cable Television)ネットワークが使用される。
【0016】
(2)装置
図2および
図3は、それぞれサーバ装置SVのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
サーバ装置SVは、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを有する制御部1を備え、この制御部1に対しバス5を介して、プログラム記憶部2およびデータ記憶部3を有する記憶ユニットと、通信インタフェース(通信I/F)4を接続したものとなっている。
【0017】
通信I/F4は、制御部1の制御の下、ネットワークNWを介して上記第1の端末装置MA1~MAnおよび第2の端末装置MB1~MBmとの間でデータ伝送を行うもので、例えば有線ネットワーク用のインタフェースにより構成される。
【0018】
プログラム記憶部2は、例えば、記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリとを組み合わせて構成したもので、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の第1の実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムを格納する。
【0019】
データ記憶部3は、例えば、記憶媒体として、HDDまたはSSD等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリと、RAM(Random Access Memory)等の揮発性メモリと組み合わせたもので、この発明の第1の実施形態を実施するために必要な主たる記憶領域として、設計情報記憶部31と、部品表記憶部32と、部品製造情報記憶部33と、製造指示書記憶部34と、発注グループ情報記憶部35と、製造リソース情報記憶部36と、加工業者リスト記憶部37と、入札案件情報記憶部38とを備えている。
【0020】
設計情報記憶部31は、製品メーカの第1の端末装置MA1~MAnからアップロードされた設計情報を記憶するために使用される。設計情報には、例えば製品毎または当該製品を構成するモジュールごとに作成された組立図のデータが含まれる。組立図のデータは、例えばPDF(Portable Document Format)データ、二次元(2D)CADデータまたは三次元(3D)CADデータからなる。
【0021】
部品表記憶部32は、後述する制御部1により生成される、上記製品を構成する複数の部品のリストを表す部品表情報を、製品の識別情報(製品ID)と紐づけた状態で記憶するために使用される。
【0022】
部品製造情報記憶部33は、上記部品表情報に記載された部品の製造に必要な情報を、部品の識別情報(部品ID)および製品IDと紐づけた状態で記憶するために使用される。部品の製造に必要な情報は、製造指示内容および仕様を指定する情報を含み、製品メーカの第1の端末装置MA1~MAnから送られる。
【0023】
製造指示書記憶部34は、部品メーカ(加工業者)に部品の製造を指示するために必要なすべての情報を含む部品製造指示書情報を、部品IDおよび製品IDと紐づけて記憶するために使用される。部品製造指示書情報は、後述する制御部1により生成される。
【0024】
発注グループ情報記憶部35は、発注部品のグループを表す情報を記憶するために使用される。この発注部品のグループを表す情報も、後述する制御部1により生成される。
【0025】
入札案件情報記憶部38は、上記部品の入札を上記発注グループ単位または部品単位で行うために必要な情報を含む入札案件情報を記憶するために使用される。この入札案件情報も後述する制御部1により生成される。
【0026】
制御部1は、この発明の第1の実施形態に係る処理機能として、設計情報取得処理部11と、部品表生成処理部12と、部品製造情報取得処理部13と、製造指示書生成処理部14と、発注グループ化処理部15と、製造リソース情報取得処理部16と、加工業者リスト生成処理部17と、入札案件処理部として機能する入札案件情報生成・公開処理部18とを備えている。これらの処理部11~18は、何れもプログラム記憶部2に格納されたプログラムを制御部1のハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0027】
設計情報取得処理部11は、製品メーカの第1の端末装置MA1~MAnからアップロードされた製品の設計情報を通信I/F4を介して受信する。そして設計情報取得処理部11は、受信された上記設計情報を製品IDと紐づけて上記設計情報記憶部31に記憶させる処理を行う。なお、設計情報には、依頼元の製品メーカ(セットメーカ)の識別情報を紐づけるようにしてもよい。
【0028】
部品表生成処理部12は、上記設計情報記憶部31から製品毎または当該製品を構成するモジュールごとに組立図のデータを読み込み、当該組立図のデータから構成部品を認識する。構成部品の認識は、例えば、予め記憶されている各部品のソリッド形状と寸法(サイズ)等をもとに行われる。そして部品表生成処理部12は、認識された上記部品ごとに、部品名、部品区分、部品数量および型番(例えば付番)を記載した部品のリストを表す部品表情報を生成し、生成された部品表情報を対応する製品の識別情報と紐づけて部品表記憶部32に記憶させる処理を行う。
【0029】
部品製造情報取得処理部13は、上記部品表情報に記載された各部品について、製造に必要な情報の提供を要求するリクエストを依頼元となる製品メーカの第1の端末装置MA1~MAnへ送信する。そして部品製造情報取得処理部13は、上記リクエストに対し第1の端末装置MA1~MAnから送られる製造に必要な情報を受信し、受信された部品の製造に必要な情報を部品の識別情報と紐づけて部品製造情報記憶部33に記憶させる処理を行う。部品の製造に必要な情報には、例えば製造指示内容および仕様情報が含まれる。製造指示内容は、例えば加工方法や加工工程を指定する情報を含む。仕様情報は、材質、仕上げレベルおよび品質等を指定する情報を含む。
【0030】
製造指示書生成処理部14は、データ記憶部3に記憶されている製造指示書フォーマットに、部品ごとに、上記部品製造情報記憶部33に記憶された製造指示内容および仕様情報を記載し、さらに部品の3D図面データおよび2D図面データのファイルを添付すると共に、加工工程に係る留意事項を表すデータを追加することにより、各部品の製造指示書情報を生成する。そして、生成された上記製造指示書情報を、部品IDおよび製品IDと紐づけて製造指示書記憶部34に記憶させる処理を行う。
【0031】
発注グループ化処理部15は、上記製造指示書記憶部34に記憶された製造指示書情報に基づいて、部品の共通度合いを判定するための所定の条件、例えば部品の材質、外形形状とその寸法および加工方法が同一または所定の範囲で類似する部品を判別する。そして発注グループ化処理部15は、製品を構成するすべての部品を、上記判別結果に基づいて上記条件が同一または類似するもの同士でグループ化し、グループ化された部品群を発注グループとして発注グループ情報記憶部35に記憶させる処理を行う。
【0032】
製造リソース情報取得処理部16は、部品メーカ(加工業者)の第2の端末装置MB1~MBmから送信される、部品メーカの企業情報および製造リソース情報を受信し、受信された上記企業情報および製造リソース情報を部品メーカの識別情報(部品メーカID)と紐づけて製造リソース情報記憶部36に記憶させる処理を行う。
【0033】
加工業者リスト生成処理部17は、製品メーカ(セットメーカ)の第1の端末装置MA1~MAnから送信される入札条件を指定する情報を受信する。そして、受信された上記入札条件を指定する情報と、上記製造リソース情報記憶部36に記憶されている製造リソース情報とに基づいて、上記入札条件を満たす製造能力を有する部品メーカ(加工業者)を選択してそのリストを生成し、生成された加工業者のリストを部品IDまたは発注グループIDと紐づけて加工業者リスト記憶部37に記憶させる処理を行う。
【0034】
入札案件情報生成・公開処理部18は、部品ごとにまたは発注グループに含まれる部品群ごとに当該部品の入札案件情報をそれぞれ生成し、部品IDまたは発注グループIDと紐づけて入札案件情報記憶部38に記憶させる処理を行う。各入札案件情報は、例えば上記製造指示書記憶部34に記憶された製造指示書情報から部品メーカに開示すべき情報を抽出し、抽出された上記情報にさらに製品メーカ(セットメーカ)から指定される入札条件および発注情報を加えることにより生成される。入札案件情報は複数の項目により構成される。項目としては、例えば、部品名、部品区分、加工方法、材質、希望数量、希望製造費、希望納期、入札必須条件および入札希望条件を表す情報がある。
【0035】
また入札案件情報生成・公開処理部18は、上記入札案件情報記憶部38に記憶された各入札案件情報を、その項目ごとに部品メーカ(加工業者)の担当者がソート、検索および選択操作が可能な状態に設定する。これは、例えば、部品ごとまたは発注グループごとに生成された複数の入札案件情報を、項目ごとのデータの並べ替えやフィルタリング等のソート機能を有するアプリケーションプログラムにより実行可能なデータファイルとして編集することにより実現できる。
【0036】
そして入札案件情報生成・公開処理部18は、部品メーカ(加工業者)の第2の端末装置MB1~MBmからの要求に応じて、上記入札案件情報を部品メーカの担当者による閲覧を可能にする。閲覧処理には、上記したように、入札案件情報を項目ごとにそのデータを並べ替える処理や、項目ごとに所定の条件を満たす入札案件情報を抽出するフィルタリング等が含まれる。
【0037】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ装置SVの動作例を説明する。
(I)製造発注支援処理の全体の動作
図4は、サーバ装置SVによる製造発注支援処理の全体の処理手順と処理内容の概要を示すフローチャートである。
サーバ装置SVは、時系列上で、製品設計、購買依頼S1、見積、発注、加工、納品および支払の順にそれぞれその支援動作を行う。なお、この実施形態では、サーバ装置SVは購買依頼、見積、発注、納品、支払に対してのみ支援動作を行う場合を例にとって説明するが、製品設計および加工に対してもサーバ装置SVが支援動作を行うようにしてもよい。
【0038】
購買依頼S1の支援動作では、製品メーカ(セットメーカ)の第1の端末装置MA1~MAnから送られる設計情報、部品製造情報、入札条件および発注情報を受け取って、これら発注に係る情報を一元登録・管理する処理と、上記各情報をもとに入札案件情報を生成して部品メーカ(加工業者)に公開する処理が行われる。上記情報の一元登録・管理処理では、発注部品をグループ化する処理も行われる。上記発注に係る情報の一元登録・管理、発注部品のグループ化処理、および入札案件情報の公開処理については、後に具体例を用いて詳しく説明する。
【0039】
見積の支援動作では、部品メーカ(加工業者)に対し公開した上記入札案件情報に対する加工業者からの入札情報を受け取り、この入札情報を製品メーカ(セットメーカ)に提示して、以後部品メーカと製品メーカとの間の価格や納期等の交渉を支援するための処理が行われる。
【0040】
発注の支援動作では、製品メーカ(セットメーカ)から発注先の確定情報を受け取り、上記購買依頼S1の支援において生成された入札案件情報と、上記見積の支援において合意された価格や納期を表す見積結果とに基づいて発注書を生成する処理が行われる。そして、生成された上記発注書の情報、および上記購買依頼の支援において生成された製造指示書の情報を、部品メーカ(加工業者)に通知する処理が行われる。
【0041】
納品の支援動作では、部品メーカ(加工業者)から製品メーカ(セットメーカ)に対し部品の納品が行われ、製品メーカから納品受入通知を受け取った場合に、部品の受領書および検収完了書を生成して、これらを部品メーカに通知する処理が行われる。
【0042】
支払いの支援動作では、上記製品メーカ(セットメーカ)から支払通知を受け取った場合に、手数料を計算すると共に、売上明細書を生成して部品メーカ(加工業者)に対し代金を振り込む処理が行われる。
【0043】
(II)発注に係る情報の一元登録・管理と発注部品のグループ化
図5は、サーバ装置SVによる購買依頼S1に対する支援動作の処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
図6は上記購買依頼S1における設計情報の取得から発注部品のグループ化までの動作例を示す図、
図7は上記発注グループ化処理に続く製造リソース情報の取得から入札案件情報の生成および公開までの動作例を示す図である。
【0044】
(1)設計情報の取得と部品表の生成
製品メーカ(セットメーカ)では、例えば設計担当者がCADシステムにより製品の組立図を作成する。組立図は、例えば3Dデータとして作成されるが、2Dデータであってもよく、またその両方を作成するようにしてもよい。また製品メーカでは、設計担当者により上記製品を構成する各部品の製造に必要な情報も生成される。製造に必要な情報は、例えば製造指示内容を指定する情報と、仕様を指定する情報からなる。製造指示内容を指定する情報は、例えば加工方法および加工工程を指定する。また、仕様を指定する情報は、例えば材質、仕上げレベルおよび品質等を指定する。
【0045】
製品メーカ(セットメーカ)は、上記設計した製品を構成する部品の発注を依頼する場合に、例えば調達担当者が第1の端末装置MA1を用いて、サーバ装置SVに対し先ず設計情報の送信要求を送り、続いて上記組立図のデータを製品の属性情報と共にサーバ装置SVへ送信(アップロード)する。
【0046】
(1-1)設計情報の取得
サーバ装置SVは、設計情報取得処理部11の制御の下、ステップS10において上記送信要求を監視している。この状態で製品メーカ(セットメーカ)の第1の端末装置MA1から上記送信要求が到来すると、設計情報取得処理部11はステップS11において、上記第1の端末装置MA1から続いて送信される設計情報および製品の属性情報を通信I/F4を介して受信し、受信された設計情報を、同時に受信された属性情報に含まれる依頼元となる製品メーカの識別情報(製品メーカID)および製品の識別情報(製品ID)と紐づけて設計情報記憶部31に記憶させる。
【0047】
なお、製品メーカ(セットメーカ)によっては、使用しているCADシステムのアプリケーションの種類やバージョンが異なる場合がある。このため、サーバ装置SVは製品メーカに対し、組立図のデータを中間ファイルの形式で送信するように要求するとよい。
【0048】
(1-2)部品表情報の生成
サーバ装置SVは、続いて部品表生成処理部12の制御の下、上記設計情報から以下のように部品表情報を生成する。
すなわち、部品表生成処理部12は、ステップS12において、上記設計情報記憶部31から設計情報を読み込み、先ず当該設計情報に含まれる組立図のデータに基づいて、構成部品ごとのソリッド形状を例えばパターンマッチングを用いて認識する。そして部品表生成処理部12は、認識された上記ソリッド形状から構成部品を分別する。なお、設計情報に含まれる組立図データが2DのCAD図面データだった場合、部品表生成処理部12は2DのCAD図形データを3DのCAD図面データに変換した後、上記構成部品の認識処理を行う。
【0049】
部品表生成処理部12は、次にステップS13において、分別された上記各構成部品をそれぞれ部品IDと紐づけることでリスト化し、リスト化された部品表を表す情報を製品IDと紐づけて部品表記憶部32に記憶させる。
【0050】
(2)部品製造指示書の生成
(2-1)部品の製造に必要な情報の取得
サーバ装置SVは、次に部品製造情報取得処理部13の制御の下、ステップS14において、上記部品表記憶部32に記憶された部品表情報をもとに、各構成部品について製造に必要な情報を要求するリクエストを、通信I/F4から依頼元の製品メーカ(セットメーカ)の第1の端末装置MA1へ送信する。
【0051】
なお、このとき部品製造情報取得処理部13は、すべての構成部品についてリクエストを送信してもよいが、例えば設計情報として取得した3DCAD図面データに製造指示書情報および仕様情報が付記されている場合には、製造に必要な情報が不足している部品を選別し、選別された部品についてのみリクエストを送信するようにしてもよい。例えば、凸面形状の外形寸法等は3DCAD図面データには付記されていないことがあるので、このような部品を選別してリクエストを送信する。
【0052】
これに対し、例えば製品メーカ(セットメーカ)の調達担当者は、上記リクエストに応じて、各構成部品の製造に必要な情報、例えば加工方法および加工工程を指定する製造指示内容を示す情報と、材質、要求される仕上げレベルおよび品質を指定する仕様情報を、第1の端末装置MA1から送信する。
【0053】
サーバ装置SVは、部品製造情報取得処理部13の制御の下、ステップS15において、上記第1の端末装置MA1から送信された、部品の製造指示内容を示す情報および仕様情報を通信I/D4を介して受信し、受信された部品の製造指示内容を示す情報および仕様情報を、部品IDと紐づけて部品製造情報記憶部33に一旦記憶させる。
【0054】
(2-2)部品の製造指示書の生成
サーバ装置SVは、続いて製造指示書生成処理部14の制御の下、ステップS16において、例えばデータ記憶部3に記憶されている製造指示書フォーマットに、部品毎に、取得された上記製造指示内容を示す情報および仕様情報を記載する。またそれと共に、上記部品毎にその3D画像(必要に応じて2D画像も加える)のファイルを添付し、さらに加工に係る留意事項を示すデータを追加することにより製造指示書情報を生成する。そして製造指示書生成処理部14は、生成された上記製造指示書情報を、製品IDと紐づけて製造指示書記憶部34に記憶させる。
【0055】
製造指示書情報には、例えば、部品名、品番、部品数量、材質、外形寸法、幾何公差、穴規格、曲げ角度公差、加工方法、加工工程をそれぞれ示すデータと、二次元画像データ、三次元画像データ、品質要求および加工に関する留意事項を表すデータが含まれる。
【0056】
(3)発注部品のグループ化
(3-1)部品の判別
サーバ装置SVは、次に発注グループ化処理部15の制御の下、ステップS17において、上記製造指示書記憶部34に記憶された製造指示書情報をもとに、製品を構成する全部品について、その材質、外形形状と外形寸法および加工方法が同一または所定の範囲内で類似する部品があるか否かを判別する。
【0057】
(3-2)発注グループの生成
発注グループ化処理部15は、続いてステップS18において、上記判別結果をもとに、上記製品を構成する全部品を、材質、外形形状と外形寸法および加工方法が同一または所定の範囲内で類似するもの同士でグループ化する。そして、グループ化された各部品群を部品の発注グループとして、グループIDを付して発注グループ情報記憶部35に記憶させる。
【0058】
なお、製品が複数のモジュールを含んでいる場合には、これら複数のモジュールを構成する全部品を対象として発注部品のグループ化を行ってもよく、またモジュール単位でグループ化するようにしてもよい。
【0059】
(III)入札案件情報の生成および公開
(4)製造リソース情報の取得
サーバ装置SVは、取得部16の制御の下、ステップS18において、先ず部品メーカ(加工業者)の第2の端末装置MB1~MBmから部品メーカの企業情報および製造リソース情報を受信する。そして取得部16は、受信された企業情報および製造リソース情報を、部品メーカIDと紐づけて記憶部36に記憶させる。製造リソース情報には、加工業者が持つ加工技術、つまり保有する設備とその性能、ISO9000の取得状況が含まれる。
【0060】
なお、製造リソース情報等の取得方法としては、例えば、発注先となり得るすべての部品メーカ(加工業者)を対象にサーバ装置SVからリクエストを送り、このリクエストに応答する形で部品メーカの第2の端末装置MB1~MBmから送信される企業情報および製造リソース情報を取得する方法が考えられる。
【0061】
(5)加工業者リスト
加工業者リスト生成処理部17は、製品メーカ(セットメーカ)の第1の端末装置MA1~MAnから部品メーカ(加工業者)に対する入札条件を表す情報を受信する。入札条件には、例えば、製品メーカから見た企業の評価(ランク)、取引実績数、ISO9000の取得の有無が、入札必須条件またはあれば好ましい条件として含まれている。
【0062】
そして、加工業者リスト生成処理部17は、部品ごとまたは発注グループに含まれる部品群ごとに、部品メーカ(加工業者)から取得された製造リソース情報と、製品メーカ(セットメーカ)から指定された上記入札条件を表す情報とに基づいて、上記入札条件を満たす製造能力を有する部品メーカを抽出してそのリストを生成し、生成された加工業者のリストを部品IDまたは発注グループIDと紐づけて加工業者リスト記憶部37に記憶させる。
【0063】
例えば、上記入札条件に「ISO9000取得の有無」が入札必須条件として含まれている場合には、製造リソース情報に「ISO9000取得済」と記載された部品メーカ(加工業者)を抽出してこれをリストにする。
【0064】
(6)入札案件情報の生成と公開
(6-1)入札案件情報の生成
サーバ装置SVは、入札案件情報生成・公開処理部18の制御の下、先ず製品メーカ(セットメーカ)の第1の端末装置MA1~MAnから発注情報を取得する。発注情報には、希望数量、希望製造費、希望納期および開示期間が含まれている。
【0065】
入札案件情報生成・公開処理部18は、続いてステップS20において、部品ごと或いは発注グループに含まれる部品群ごとに、例えば上記製造指示書記憶部34に記憶された製造指示書情報から部品メーカに開示すべき情報を抽出し、抽出された情報を、上記製品メーカ(セットメーカ)から指定される入札条件および発注情報と合成することにより、上記部品または部品群に対応する入札案件情報を生成する。この結果、例えば、部品名、部品区分、加工方法、材質、希望数量、希望製造費、希望納期、入札必須条件および入札希望条件を表す情報を含む入札案件情報が生成される。
【0066】
(6-2)入札案件情報の公開
サーバ装置SVは、入札案件情報生成・公開処理部18の制御の下、上記入札案件情報記憶部38に記憶された入札案件情報を、上記加工業者リスト記憶部37に記憶された加工業者リストに基づいて、当該加工業者リストに記載された部品メーカ(加工業者)が閲覧可能な状態に公開する。その際、入札案件情報生成・公開処理部18は、部品ごとまたは発注グループに含まれる部品群ごとに生成されたすべての入札案件情報を、その項目ごとに部品メーカの担当者によるソート処理が可能な状態に設定する。
【0067】
例えば、データの並べ替え処理やフィルタリング処理等のソート処理機能を有する汎用のアプリケーションプログラムを利用し、上記各入札案件情報を上記アプリケーションプログラムにより実行可能なデータファイルとして編集する。
【0068】
そしてサーバ装置SVは、上記入札案件情報の公開用データファイルが生成されると、入札案件情報生成・公開処理部18の制御の下、上記加工業者リスト記憶部37から上記部品または発注グループに対応する加工業者リストを読み出す。そして、加工業者リストに記載された部品メーカ(加工業者)の第2の端末装置MB1~MBmに向けて、例えば上記入札案件情報の記憶場所を示すURL(Uniform Resource Locator)が記載されたメールを送信する。すなわち、入札案件情報のレコメンドを行う。
【0069】
この状態で、上記メールを受信した部品メーカ(加工業者)がURLにアクセスすると、サーバ装置SVは上記URLに対するアクセスに応じて、上記入札案件情報の公開用データファイルをアクセス元の部品メーカの第2の端末装置MB1~MBmへダウンロードする。このとき、上記入札案件情報の公開用データファイルは並べ替え処理やフィルタリング処理等のソート処理が可能なデータファイルとなっている。このため、部品メーカ(加工業者)の担当者は、上記入札案件情報の所望の項目に対し適宜ソート操作を行うことで、自社が製造可能な部品または部品群に対応する入札案件情報を比較的容易に見つけて、入札することが可能となる。
【0070】
例えば、入札案件情報の項目のうち例えば部品名またはその種別についてフィルタリング処理を行って所望の部品に対応する入札案件情報を選択し、さらに加工方法についてフィルタリング処理を行って自社の製造設備で加工可能な加工方法に対応する入札案件情報を選択する。そして、選択された入札案件情報に対し入札を行う。
【0071】
(作用・効果)
以上述べたように第1の実施形態では、サーバ装置SVにおいて、部品ごとに生成された製造指示書情報と、製品メーカ(セットメーカ)から指定される入札条件および発注情報とに基づいて、部品ごとまたは発注グループに含まれる部品群ごとに入札案件情報を生成し、生成された入札案件情報を複数の部品メーカ(加工業者)に公開するようにしている。
【0072】
従って、サーバ装置SVにおいて入札案件情報が自動生成され、この入札案件情報が複数の部品メーカ(加工業者)に公開されることになる。このため、製品メーカ(セットメーカ)にとっては自ら入札案件情報を生成する必要がなくなり、これにより部品発注業務に係る負荷を軽減することが可能となる。また、入札案件情報が複数の部品メーカに公開されることになるため、発注先となる部品メーカを比較的短期間に高い確率で見つけることが可能となる。一方、部品メーカにとっては、複数の入札案件情報を閲覧し入札する機会を得ることができる。
【0073】
また第1の実施形態では、部品ごとまたは発注グループに含まれる部品群ごとに生成された複数の入札案件情報を項目ごとにソート処理可能なデータファイルにより編集し、部品メーカ(加工業者)に対し公開するようにしている。このため、部品メーカの担当者は、多数の入札案件情報が公開されても、これらの入札案件情報の中から自社が製造可能な入札案件情報を効率良く見つけることが可能となる。
【0074】
さらに第1の実施形態では、複数の部品メーカ(加工業者)から事前に製造リソース情報を取得し、取得された製造リソース情報と、製品メーカ(セットメーカ)から指定された入札必須条件とに基づいて、上記複数の部品メーカから入札必須条件を満たす部品メーカを選択して加工業者リストを生成している。例えば、入札必須条件として「ISO9000取得済」が指定されていれば、「ISO9000取得済」の部品メーカを選択して加工業者リストを生成する。そして、生成された加工業者リストに記載された部品メーカに対して入札案件情報を公開するようにしている。
【0075】
従って、部品製造の発注先となる部品メーカ(加工業者)を、少なくとも入札必須条件を満たすメーカに事前に絞り込むことが可能となる。このため、製品メーカの調達担当者は、入札を行った複数の部品メーカから最適な加工業者を選択する作業を、効率良く行うことが可能となる。
【0076】
[第2の実施形態]
図8は、この発明の第2の実施形態に係る入札案件情報の公開処理動作を説明するための図である。なお、第2の実施形態における発注に係る情報の一元登録・管理処理については、第1の実施形態において
図6により説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0077】
プラットフォームとして動作するサーバ装置SVは、(5)において、製品メーカ(セットメーカ)の第1の端末装置MA1~MAnから入札条件を取得する。入札条件には、例えば、製品メーカから見た企業の評価(ランク)、取引実績数、ISO9000の取得の有無が、入札必須条件またはあれば好ましい条件として含まれている。
【0078】
サーバ装置SVは、次に入札案件処理部として機能する入札案件情報生成・公開処理部18の制御の下、(6)において、先ず製品メーカ(セットメーカ)の第1の端末装置MA1~MAnから発注情報を取得する。発注情報には、希望数量、希望製造費、希望納期および開示期間が含まれている。
【0079】
入札案件情報生成・公開処理部18は、続いてステップS20において、部品ごとまたは発注グループに含まれる部品群ごとに、例えば上記製造指示書記憶部34に記憶された製造指示書情報から部品メーカに開示すべき情報を抽出し、抽出された情報を、上記製品メーカ(セットメーカ)から指定される入札条件および発注情報と合成することにより、上記部品または部品群に対応する入札案件情報を生成する。この結果、項目として、例えば部品名、部品区分、加工方法、材質、希望数量、希望製造費、希望納期、入札必須条件および入札希望条件を表す情報を含む入札案件情報が生成される。
【0080】
また入札案件情報生成・公開処理部18は、生成されたすべての入札案件情報を、その項目ごとに部品メーカ(加工業者)の担当者がソート処理することが可能な状態に設定する。例えば、データの並べ替え処理やフィルタリング処理等のソート機能を有する汎用のアプリケーションプログラムを利用し、上記各入札案件情報を上記アプリケーションプログラムにより実行可能な公開用データファイルとして編集する。
【0081】
サーバ装置SVは、次に入札案件情報生成・公開処理部18の制御の下、上記入札案件情報記憶部38に記憶された入札案件情報を、不特定多数の部品メーカ(加工業者)を対象として公開する。公開方法としては、例えば、広告媒体を使用する方法や、各部品メーカから事前に第2の端末装置MB1~MBmのアドレス情報を取得している場合には、当該アドレス情報を用いて第2の端末装置MB1~MBm宛てに入札の告示メッセージを送信する方法が用いられる。
【0082】
この状態で、例えば上記広告または告示メッセージを見た部品メーカ(加工業者)の担当者が、指定されたURLに対しアクセスすると、サーバ装置SVは上記アクセスに応じて、上記入札案件情報の公開用データファイルをアクセス元の部品メーカの第2の端末装置MB1~MBmへダウンロードする。
【0083】
このとき、上記入札案件情報の公開用データファイルは、先に述べたように並べ替え処理やフィルタリング処理等のソート処理が可能なデータファイルとなっている。このため、部品メーカ(加工業者)の担当者は、公開用データファイルに多数の入札案件情報が含まれていても、これらの入札案件情報の中から自社が製造可能な入札案件情報を効率良く見つけることが可能となる。
【0084】
以上述べたように第2の実施形態では、部品ごとまたは発注グループに含まれる部品群ごとに生成された入札案件情報を、不特定多数の部品メーカ(加工業者)を対象として公開するようにしている。このため、製品メーカ(セットメーカ)は、多数の部品メーカの中から、発注先となる部品メーカを比較的短期間に高い確率で見つけることが可能となる。一方、部品メーカにとっては、複数の入札案件情報を閲覧し入札する機会を得ることができる。
【0085】
さらに第2の実施形態では、入札案件情報を公開する際に、部品ごとまたは発注グループに含まれる部品群ごとに生成された複数の入札案件情報を、ソート処理可能な公開用データファイルに編集するようにしている。このため、部品メーカ(加工業者)の担当者は、入札案件情報の所望の項目に対し並べ替え処理やフィルタリング処理等のソート処理を行うことで、自社が製造可能な部品または入札条件に対応する入札案件情報を効率良く見つけて、入札することが可能となる。
【0086】
[その他の実施形態]
(1)前記第1の実施形態では、入札条件を満たす加工業者のリストを生成し、この加工業者リストに基づいて上記入札条件を満たす加工業者に対してのみ入札案件情報を公開するようにした。しかし、この発明はそれに限るものではなく、入札情報に加えて製造リソース情報により定義される製造可能要件も考慮して、入札条件および製造可能要件の両方を満たす部品メーカ(加工業者)を選択してリスト化し、リスト化された部品メーカを対象として入札案件情報を公開するようにしてもよい。
【0087】
(2)前記第1の実施形態では、入札案件情報を公開する際に、公開対象となる各部品メーカ(加工業者)の第2の端末装置MB1~MBmに対し、上記入札案件情報のアクセス先となるURLを記載したメールを送信し、当該URLに対しアクセスすることで部品メーカが公開案件情報を閲覧できるようにした。しかし、この発明はこれに限定されるものではなく、入札案件情報を公開する旨を広告媒体を介して不特定多数の部品メーカに告知するようにしてもよい。
【0088】
(3)その他、製造発注支援装置の構成や設置場所や、製品の設計情報および部品製造に必要な情報の取得処理、部品表および製造指示書情報の生成処理、発注部品のグループ化処理、製造リソース情報の取得処理、加工業者リストの生成処理、入札案件情報の生成処理、入札案件情報の公開処理のそれぞれの処理内容と処理手順についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、入札案件情報の公開用データファイルが備えるソート機能の種類等も、如何なるものであってもよい。
【0089】
以上、本発明の実施形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0090】
要するにこの発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0091】
SV…サーバ装置
MA1~MAn…製品メーカの第1の端末装置
MB1~MBm…部品メーカの第2の端末装置
NW…ネットワーク
1…制御部
2…プログラム記憶部
3…データ記憶部
4…通信インタフェース(通信I/F)
5…バス
11…設計情報取得処理部
12…部品表生成処理部
13…部品製造情報取得処理部
14…製造指示書生成処理部
15…発注グループ化処理部
16…製造リソース情報取得処理部
17…加工業者リスト生成処理部
18…入札案件情報生成・公開処理部
31…設計情報記憶部
32…部品表記憶部
33…部品製造情報記憶部
34…製造指示書記憶部
35…発注グループ情報記憶部
36…製造リソース情報記憶部
37…加工業者リスト記憶部
38…入札案件情報記憶部