IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社国際電気通信基礎技術研究所の特許一覧

特許7438778可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム
<>
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図1
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図2
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図3
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図4
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図5
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図6
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図7
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図8
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図9
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図10
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図11
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図12
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図13
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図14
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図15
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図16
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図17
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図18
  • 特許-可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム 図19
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/38 20180101AFI20240219BHJP
   H04W 24/08 20090101ALI20240219BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20240219BHJP
【FI】
H04W4/38
H04W24/08
G06F3/048
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020021183
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021128401
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-11-09
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成31年度、支出負担行為担当官、総務省大臣官房会計課企画官、研究テーマ「狭空間における周波数稠密利用のための周波数有効利用技術の研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】393031586
【氏名又は名称】株式会社国際電気通信基礎技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(72)【発明者】
【氏名】玉井 森彦
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 晃朗
(72)【発明者】
【氏名】横山 浩之
【審査官】永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-030599(JP,A)
【文献】特開2019-161290(JP,A)
【文献】特表2009-509478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/01
3/048-3/04895
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置により取得されるデータを可視化するための可視化データ処理方法であり、記憶部を備えるシステムを用いて実行される可視化データ処理方法であって、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータを取得し、当該データを前記記憶部に記憶するセンサノードデータ記憶ステップと、
前記記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を実行し、データ数削減処理後のデータを前記記憶部に記憶するデータ数削減処理ステップと、
表示期間についての情報を含む要求信号と、データを表示させるときの表示性能を示すデータである表示性能指標データとに基づいて、前記記憶部から当該表示期間のデータを読み出し、読み出したデータを可視化データとして取得する可視化データ取得ステップと、
前記可視化データ取得ステップにより取得した前記可視化データを出力する出力ステップと、
を備え、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータは、時系列において、矩形を特定することが可能なデータ構造を有するデータである、矩形データであり、
前記センサノードデータ記憶ステップは、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータを、前記矩形データの集合データとして、前記記憶部に記憶し、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータの前記矩形データの集合データを集合データLとし、前記集合データLの要素である前記矩形データの矩形の最小の幅を規定する最小矩形幅を最小矩形幅w(L)とすると、
前記データ数削減処理ステップは、
前記集合データLに含まれる前記矩形データに対して、前記集合データLの前記最小矩形幅w(L)よりも大きな矩形幅である矩形幅w(L)を設定し、前記要求信号に含まれる表示期間の開始時点をtとしたときに、前記集合データLに含まれる矩形データr(L0)の開始時点r(L0).tと、矩形データr(L0)の終了時点r(L0).tとが、前記開始時点tを基準として、前記矩形幅w(L)の整数倍の時刻となるように調整することで、調整後の矩形データr(L1)を取得し、取得した調整後の矩形データr(L1)の開始時点r(L1).tと、取得した調整後の矩形データr(L1)の終了時点r(L1).tとが同一時刻でない場合、前記集合データLのデータ数削減処理後の集合データLに、前記調整後の矩形データr(L1)を追加することで、前記データ数削減処理を実行する、
可視化データ処理方法。
【請求項2】
通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置により取得されるデータを可視化するための可視化データ処理方法であり、記憶部を備えるシステムを用いて実行される可視化データ処理方法であって、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータを取得し、当該データを前記記憶部に記憶するセンサノードデータ記憶ステップと、
前記記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を実行し、データ数削減処理後のデータを前記記憶部に記憶するデータ数削減処理ステップと、
表示期間についての情報を含む要求信号と、データを表示させるときの表示性能を示すデータである表示性能指標データとに基づいて、前記記憶部から当該表示期間のデータを読み出し、読み出したデータを可視化データとして取得する可視化データ取得ステップと、
前記可視化データ取得ステップにより取得した前記可視化データを出力する出力ステップと、
を備え、
前記データ数削減処理ステップは、
前記記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を繰り返し実行することで、データ数削減処理のデータ数が異なる複数のデータを取得し、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータは、時系列において、矩形を特定することが可能なデータ構造を有するデータである、矩形データであり、
前記センサノードデータ記憶ステップは、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータを、前記矩形データの集合データとして、前記記憶部に記憶し、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータの前記矩形データの集合データを集合データLとし、前記集合データLの要素である前記矩形データの矩形の最小の幅を規定する最小矩形幅を最小矩形幅w(L)とすると、
前記データ数削減処理ステップは、
前記集合データLに含まれる前記矩形データに対して、前記集合データLの前記最小矩形幅w(L)よりも大きな矩形幅である矩形幅w(L)を設定し、前記要求信号に含まれる表示期間の開始時点をtとしたときに、前記集合データLに含まれる矩形データr(L0)の開始時点r(L0).tと、矩形データr(L0)の終了時点r(L0).tとが、前記開始時点tを基準として、前記矩形幅w(L)の整数倍の時刻となるように調整することで、調整後の矩形データr(L1)を取得し、取得した調整後の矩形データr(L1)の開始時点r(L1).tと、取得した調整後の矩形データr(L1)の終了時点r(L1).tとが同一時刻でない場合、前記集合データLのデータ数削減処理後の集合データLに、前記調整後の矩形データr(L1)を追加することで、前記データ数削減処理を実行する、
視化データ処理方法。
【請求項3】
前記データ数削減処理ステップは、
前記データ数削減処理を実行することで取得される集合データL(i:整数)に含まれる前記矩形データに対して、前記集合データLの最小矩形幅w(L)よりも大きな矩形幅である矩形幅w(L)を設定し、前記要求信号に含まれる表示期間の開始時点をtとしたときに、前記集合データLに含まれる矩形データr(Li)の開始時点r(Li).tと、矩形データr(Li)の終了時点r(Li).tとが、前記開始時点tを基準として、前記矩形幅w(L)の整数倍の時刻となるように調整することで、調整後の矩形データr(Li)を取得し、取得した調整後の矩形データr(Li)の開始時点r(Li).tと、取得した調整後の矩形データr(Li)の終了時点r(Li).tとが同一時刻でない場合、前記集合データLのデータ数削減処理後の集合データLi+1に、前記調整後の矩形データr(Li)を追加することで、前記データ数削減処理を実行する、
請求項1または2に記載の可視化データ処理方法。
【請求項4】
前記要求信号で設定されている表示期間が開始時点tから終了時点tまでの期間[t:t]である場合であって、前記要求信号が要求する条件を満たす前記集合データが集合データLである場合、
前記可視化データ取得ステップは、
(1)前記集合データLの期間[t:t]よりも前の期間のデータ、および/または、
(2)前記集合データLの期間[t:t]よりも後の期間のデータ、
をプリフェッチ用データとして、前記記憶部から取得する、
請求項3に記載の可視化データ処理方法。
【請求項5】
前記要求信号で設定されている表示期間が開始時点tから終了時点tまでの期間[t:t]である場合であって、前記要求信号が要求する条件を満たす前記集合データが集合データLである場合、
前記可視化データ取得ステップは、
(1)前記集合データLi+1の期間[t:t]を含む期間のデータ、および/または、
(2)前記集合データLi-1の期間[t:t]の平均時刻t(=(t+t)/2)を含む期間のデータ、
をプリフェッチ用データとして、前記記憶部から取得する、
請求項3または4に記載の可視化データ処理方法。
【請求項6】
前記記憶部を備えるサーバと、前記サーバに対して、可視化データを要求するユーザー端末装置とを備えるシステムに用いられる可視化データ処理方法であって、
前記センサノードデータ記憶ステップと、前記データ数削減処理ステップと、前記可視化データ取得ステップと、前記出力ステップと、は、前記サーバにより実行され、
前記ユーザー端末装置が、前記サーバに対して、前記要求信号を送信する送信ステップと、
前記サーバは、前記ユーザー端末装置からの前記要求信号に基づいて、前記可視化データ取得ステップを実行することで、前記要求信号により要求されている前記可視化データを取得し、取得した前記可視化データを含む、前記要求信号に対する応答信号を生成する応答ステップと、
前記ユーザー端末装置が、前記サーバから、前記要求信号により要求した前記可視化データを含む前記応答信号を受信する受信ステップと、
前記ユーザー端末装置が、前記応答信号から前記可視化データを取得し、取得した当該可視化データを表示する表示ステップと、
をさらに備える請求項3に記載の可視化データ処理方法。
【請求項7】
前記ユーザー端末装置は、プリフェッチ用データを記憶する端末側プリフェッチ用記憶部を備え、
前記ユーザー端末装置が、期間[t:t]の前記可視化データに対して表示処理を行っている場合において、
前記ユーザー端末装置が、前記サーバに対して、
(1)前記集合データLの期間[t:t]よりも前の期間のデータ、および/または、
(2)前記集合データLの期間[t:t]よりも後の期間のデータ、
であるプリフェッチ用データを要求する前記要求信号を送信するプリフェッチ用データ要求ステップと、
前記ユーザー端末装置が、前記サーバから、前記要求信号に対する応答信号を受信するプリフェッチ用データ応答ステップと、
前記ユーザー端末装置が、前記応答信号に含まれる前記プリフェッチ用データを取得し、取得した当該プリフェッチ用データを前記端末側プリフェッチ用記憶部に記憶するプリフェッチ用データ記憶ステップと、
をさらに備える、
請求項6に記載の可視化データ処理方法。
【請求項8】
前記ユーザー端末装置は、プリフェッチ用データを記憶する端末側プリフェッチ用記憶部を備え、
前記ユーザー端末装置が、期間[t:t]の前記可視化データに対して表示処理を行っている場合において、
前記ユーザー端末装置が、前記サーバに対して、
(1)前記集合データLi+1の期間[t:t]を含む期間のデータ、および/または、
(2)前記集合データLi-1の期間[t:t]の平均時刻t(=(t+t)/2)を含む期間のデータ、
であるプリフェッチ用データを要求する前記要求信号を送信するプリフェッチ用データ要求ステップと、
前記ユーザー端末装置が、前記サーバから、前記要求信号に対する応答信号を受信するプリフェッチ用データ応答ステップと、
前記ユーザー端末装置が、前記応答信号に含まれる前記プリフェッチ用データを取得し、取得した当該プリフェッチ用データを前記端末側プリフェッチ用記憶部に記憶するプリフェッチ用データ記憶ステップと、
をさらに備える、
請求項6または7に記載の可視化データ処理方法。
【請求項9】
前記ユーザー端末装置が、表示対象データが前記端末側プリフェッチ用記憶部に記憶されているか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて、表示対象データが前記端末側プリフェッチ用記憶部に記憶されていると判定された場合、前記表示対象データを前記端末側プリフェッチ用記憶部から取得するプリフェッチ用データ取得ステップと、
をさらに備える請求項7または8に記載の可視化データ処理方法。
【請求項10】
通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置により取得されるデータを可視化するための可視化データ処理システムであって、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータを取得し、当該データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を実行し、データ数削減処理後のデータを前記記憶部に記憶するデータ数削減処理部と、
表示期間についての情報を含む要求信号と、データを表示させるときの表示性能を示すデータである表示性能指標データとに基づいて、前記記憶部から当該表示期間のデータを読み出し、読み出したデータを可視化データとして取得する可視化データ取得処理部と、
を備え、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータは、時系列において、矩形を特定することが可能なデータ構造を有するデータである、矩形データであり、
前記記憶部は、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータを、前記矩形データの集合データとして、記憶し、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータの前記矩形データの集合データを集合データLとし、前記集合データLの要素である前記矩形データの矩形の最小の幅を規定する最小矩形幅を最小矩形幅w(L)とすると、
前記データ数削減処理部は、
前記集合データLに含まれる前記矩形データに対して、前記集合データLの前記最小矩形幅w(L)よりも大きな矩形幅である矩形幅w(L)を設定し、前記要求信号に含まれる表示期間の開始時点をtとしたときに、前記集合データLに含まれる矩形データr(L0)の開始時点r(L0).tと、矩形データr(L0)の終了時点r(L0).tとが、前記開始時点tを基準として、前記矩形幅w(L)の整数倍の時刻となるように調整することで、調整後の矩形データr(L1)を取得し、取得した調整後の矩形データr(L1)の開始時点r(L1).tと、取得した調整後の矩形データr(L1)の終了時点r(L1).tとが同一時刻でない場合、前記集合データLのデータ数削減処理後の集合データLに、前記調整後の矩形データr(L1)を追加することで、前記データ数削減処理を実行する、
可視化データ処理システム。
【請求項11】
通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置により取得されるデータを可視化するための可視化データ処理システムであって、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータを取得し、当該データを記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を実行し、データ数削減処理後のデータを前記記憶部に記憶するデータ数削減処理部と、
表示期間についての情報を含む要求信号と、データを表示させるときの表示性能を示すデータである表示性能指標データとに基づいて、前記記憶部から当該表示期間のデータを読み出し、読み出したデータを可視化データとして取得する可視化データ取得処理部と、
を備え、
前記データ数削減処理部は、
前記記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を繰り返し実行することで、データ数削減処理のデータ数が異なる複数のデータを取得し、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータは、時系列において、矩形を特定することが可能なデータ構造を有するデータである、矩形データであり、
前記記憶部は、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータを、前記矩形データの集合データとして、前記記憶部に記憶し、
前記センサ装置が前記通信環境下で取得したデータの前記矩形データの集合データを集合データLとし、前記集合データLの要素である前記矩形データの矩形の最小の幅を規定する最小矩形幅を最小矩形幅w(L)とすると、
前記データ数削減処理部は、
前記集合データLに含まれる前記矩形データに対して、前記集合データLの前記最小矩形幅w(L)よりも大きな矩形幅である矩形幅w(L)を設定し、前記要求信号に含まれる表示期間の開始時点をtとしたときに、前記集合データLに含まれる矩形データr(L0)の開始時点r(L0).tと、矩形データr(L0)の終了時点r(L0).tとが、前記開始時点tを基準として、前記矩形幅w(L)の整数倍の時刻となるように調整することで、調整後の矩形データr(L1)を取得し、取得した調整後の矩形データr(L1)の開始時点r(L1).tと、取得した調整後の矩形データr(L1)の終了時点r(L1).tとが同一時刻でない場合、前記集合データLのデータ数削減処理後の集合データLに、前記調整後の矩形データr(L1)を追加することで、前記データ数削減処理を実行する、
視化データ処理システム。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載の可視化データ処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信環境(例えば、無線通信環境)における通信品質の状態(現状)を把握するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な機器の稼働状況の把握、制御などを目的として、工場、病院、商業施設などの屋内環境へのIoT(Internet of Things)デバイスの導入が進んでいる。
【0003】
例えば工場のような環境下で製造システムの状態管理や制御のために無線通信が使用されている場合、電波の減衰や干渉などの影響により通信断が生じてしまうと、製造工程の遅延や停止につながる場合もある。このため、無線通信に対し特に高い品質が求められる。
【0004】
無線品質の悪化を防ぐためには、ネットワーク管理者は、まず対象環境における現状の無線品質がどうなっているかを把握することが求められる。対象環境における現状の無線品質がどうなっているかを把握するために、例えば、対象環境下に複数のセンサノード(センサ装置)を設置し、当該複数のセンサノード(センサ装置)において無線品質に関するデータを取得し、取得したデータを解析することが考えられる。複数のセンサノード(センサ装置)により取得される無線品質に関するデータは、その種類が多様であり、かつ、その量が膨大であるため、効率良くデータ解析を行い、解析結果を示すデータを可視化できる方法が求められている。例えば、特許文献1には、データを可視化する処理と、データを抽出する処理と、データを解析する処理とを連携させて、作業性を向上させる技術の開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-159406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線品質に関するデータの可視化を行うにあたって、ネットワーク管理者(ユーザー)は、センサノードによって取得されたデータ全体の内、表示対象となる時間範囲(表示時間範囲)を様々に変更しながら表示したいという要求がある。その一方で、センサノードにより取得されるデータ量は膨大なため、表示時間範囲が大きくなるにつれ、より多くのデータを画面上に表示する必要があるため、描画処理に時間を要し操作性が失われるという問題がある。例えば、特許文献1の技術では、データの表示範囲の指定があった後に集約処理を行うため、集約処理に時間を要し、データの表示を行うまでに遅延が生じるおそれがあり、その結果、データが描画されるまでに時間を要し操作性が失われるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、処理対象のデータ量が膨大である場合であっても、データ表示までの時間遅延を適切に抑制でき、操作性に優れた可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、第1の発明は、通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置により取得されるデータを可視化するための可視化データ処理方法であり、記憶部を備えるシステムを用いて実行される可視化データ処理方法である。可視化データ処理方法は、センサノードデータ記憶ステップと、データ数削減処理ステップと、可視化データ取得ステップと、出力ステップと、を備える。
【0009】
センサノードデータ記憶ステップは、センサ装置が通信環境下で取得したデータを取得し、当該データを記憶部に記憶する。
【0010】
データ数削減処理ステップは、記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を実行し、データ数削減処理後のデータを記憶部に記憶する。
【0011】
可視化データ取得ステップは、表示期間についての情報を含む要求信号と、データを表示させるときの表示性能を示すデータである表示性能指標データとに基づいて、記憶部から当該表示期間のデータを読み出し、読み出したデータを可視化データとして取得する。
【0012】
出力ステップは、可視化データ取得ステップにより取得した可視化データを出力する。
【0013】
この可視化データ処理方法では、予め、データ数削減処理ステップにより、記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を実行し、データ数削減処理後のデータを記憶部に記憶しておくことができる。このため、この可視化データ処理方法では、可視化データの要求があったときに、当該要求の条件を満たすデータを記憶部から読み出し、出力するだけなので、可視化データの要求があったときから、当該要求に対応する可視化データを出力するまでの時間を短くすることができる。
【0014】
したがって、この可視化データ処理方法では、処理対象のデータ量が膨大である場合であっても、データ表示までの時間遅延を適切に抑制でき、操作性に優れた可視化データ処理方法を実現することができる。
【0015】
なお、「表示性能指標データ」とは、データを表示させるときの表示性能を示すデータであり、例えば、所定の時間内に描画できる所定のオブジェクト(例えば、矩形)の数に基づく数量により特定されるデータである。また、「所定の時間」とは、例えば、リアルタイムOS等で実時間タスクが許容される実行時間(処理開始から処理終了までの時間)(リアルタイム処理を実行するときに許容される実行時間)に基づいて規定される時間である。
【0016】
第2の発明は、第1の発明であって、データ数削減処理ステップは、記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を繰り返し実行することで、データ数削減処理のデータ数が異なる複数のデータを取得する。
【0017】
これにより、この可視化データ処理方法では、データ数の削減数(データ数の削減率)が異なる複数のデータ(階層データ)を取得することができる。
【0018】
第3の発明は、第1または第2の発明であって、センサ装置が通信環境下で取得したデータは、時系列において、矩形を特定することが可能なデータ構造を有するデータである、矩形データであり、センサノードデータ記憶ステップは、センサ装置が通信環境下で取得したデータを、矩形データの集合データとして、記憶部に記憶する。
【0019】
これにより、この可視化データ処理方法では、矩形データを用いて処理を実行することができる。なお、矩形データの描画処理機能を有するAPIが多いため、この可視化データ処理方法で生成したデータは、特殊なソフトウェア等を用いることなく、描画処理が可能となる。
【0020】
なお、「矩形データ」とは、時間軸において、矩形を描画することを可能にするデータであり、例えば、開始時点、終了時点(あるいは継続時間)、および、Y軸値(信号値)を含むデータである。
【0021】
第4の発明は、第3の発明であって、センサ装置が通信環境下で取得したデータの矩形データの集合データを集合データLとし、集合データLの要素である矩形データの矩形の最小の幅を規定する最小矩形幅を最小矩形幅w(L)とすると、データ数削減処理ステップは、以下の処理を行う。
【0022】
データ数削減処理ステップは、集合データLに含まれる矩形データに対して、集合データLの最小矩形幅w(L)よりも大きな矩形幅である矩形幅w(L)を設定し、要求信号に含まれる表示期間の開始時点をtとしたときに、集合データLに含まれる矩形データr(L0)の開始時点r(L0).tと、矩形データr(L0)の終了時点r(L0).tとが、開始時点tを基準として、矩形幅w(L)の整数倍の時刻となるように調整することで、調整後の矩形データr(L1)を取得する。
【0023】
そして、データ数削減処理ステップは、取得した調整後の矩形データr(L1)の開始時点r(L1).tと、取得した調整後の矩形データr(L1)の終了時点r(L1).tとが同一時刻でない場合、集合データLのデータ数削減処理後の集合データLに、調整後の矩形データr(L1)を追加することで、データ数削減処理を実行する。
【0024】
これにより、この可視化データ処理方法では、矩形データの集合データのデータ数を簡単なアルゴリズム(上記操作)により、削減する処理を実行することができる。
【0025】
第5の発明は、第3または第4の発明であって、データ数削減処理ステップは、データ数削減処理を実行することで取得される集合データL(i:整数)に含まれる矩形データに対して、集合データLの最小矩形幅w(L)よりも大きな矩形幅である矩形幅w(L)を設定し、要求信号に含まれる表示期間の開始時点をtとしたときに、集合データLに含まれる矩形データr(Li)の開始時点r(Li).tと、矩形データr(Li)の終了時点r(Li).tとが、開始時点tを基準として、矩形幅w(L)の整数倍の時刻となるように調整することで、調整後の矩形データr(Li)を取得する。そして、データ数削減処理ステップは、取得した調整後の矩形データr(Li)の開始時点r(Li).tと、取得した調整後の矩形データr(Li)の終了時点r(Li).tとが同一時刻でない場合、集合データLのデータ数削減処理後の集合データLi+1に、調整後の矩形データr(Li)を追加することで、データ数削減処理を実行する。
【0026】
これにより、この可視化データ処理方法では、矩形データの集合データのデータ数を簡単なアルゴリズム(上記操作)により、削減する処理を実行でき、データ数について、階層的なデータとして、矩形データの集合データLを生成することができる。
【0027】
第6の発明は、第5の発明であって、要求信号で設定されている表示期間が開始時点tから終了時点tまでの期間[t:t]である場合であって、要求信号が要求する条件を満たす集合データが集合データLである場合、
可視化データ取得ステップは、
(1)集合データLの期間[t:t]よりも前の期間のデータ、および/または、
(2)集合データLの期間[t:t]よりも後の期間のデータ、
をプリフェッチ用データとして、記憶部から取得する。
【0028】
これにより、この可視化データ処理方法では、同一階層の集合データLにおいて、時間を前後させた(時間を前後にシフトさせた)矩形データの集合データをプリフェッチ用データとして取得できる。
【0029】
第7の発明は、第5または第6の発明であって、要求信号で設定されている表示期間が開始時点tから終了時点tまでの期間[t:t]である場合であって、要求信号が要求する条件を満たす集合データが集合データLである場合、
可視化データ取得ステップは、
(1)集合データLi+1の期間[t:t]を含む期間のデータ、および/または、
(2)集合データLi-1の期間[t:t]の平均時刻t(=(t+t)/2)を含む期間のデータ、
をプリフェッチ用データとして、記憶部から取得する。
【0030】
これにより、この可視化データ処理方法では、異なる階層の集合データLi+1、または、集合データLi-1のデータにおいて、集合データLの表示期間と重複する部分を有する、矩形データの集合データをプリフェッチ用データとして取得できる。
【0031】
第8の発明は、第5の発明であって、記憶部を備えるサーバと、サーバに対して、可視化データを要求するユーザー端末装置とを備えるシステムに用いられる可視化データ処理方法であって、送信ステップと、応答ステップと、受信ステップと、表示ステップと、をさらに備える。
【0032】
センサノードデータ記憶ステップと、データ数削減処理ステップと、可視化データ取得ステップと、出力ステップと、は、サーバにより実行される。
【0033】
送信ステップでは、ユーザー端末装置が、サーバに対して、要求信号を送信する。
【0034】
応答ステップでは、サーバは、ユーザー端末装置からの要求信号に基づいて、可視化データ取得ステップを実行することで、要求信号により要求されている可視化データを取得し、取得した可視化データを含む、要求信号に対する応答信号を生成する。
【0035】
受信ステップでは、ユーザー端末装置が、サーバから、要求信号により要求した可視化データを含む応答信号を受信する。
【0036】
表示ステップでは、ユーザー端末装置が、応答信号から可視化データを取得し、取得した当該可視化データを表示する。
【0037】
これにより、この可視化データ処理方法では、サーバとユーザー端末装置とを用いて、可視化データ処理を実行することができる。つまり、この可視化データ処理方法では、ユーザー端末装置が、サーバに対して、可視化データを要求し、当該要求に基づくデータをサーバから受信し、受信したデータにより可視化処理を行うことができる。
【0038】
第9の発明は、第8の発明であって、プリフェッチ用データ要求ステップと、プリフェッチ用データ応答ステップと、プリフェッチ用データ記憶ステップと、をさらに備える。
【0039】
ユーザー端末装置は、プリフェッチ用データを記憶する端末側プリフェッチ用記憶部を備える。
【0040】
プリフェッチ用データ要求ステップでは、ユーザー端末装置が、期間[t:t]の可視化データに対して表示処理を行っている場合において、
ユーザー端末装置が、サーバに対して、
(1)集合データLの期間[t:t]よりも前の期間のデータ、および/または、
(2)集合データLの期間[t:t]よりも後の期間のデータ、
であるプリフェッチ用データを要求する要求信号を送信する。
【0041】
プリフェッチ用データ応答ステップでは、ユーザー端末装置が、サーバから、要求信号に対する応答信号を受信する。
【0042】
プリフェッチ用データ記憶ステップでは、ユーザー端末装置が、応答信号に含まれるプリフェッチ用データを取得し、取得した当該プリフェッチ用データを端末側プリフェッチ用記憶部に記憶する。
【0043】
これにより、この可視化データ処理方法では、同一階層の集合データLにおいて、時間を前後させた(時間を前後にシフトさせた)矩形データの集合データをプリフェッチ用データとして取得し、取得したプリフェッチ用データを端末側プリフェッチ用記憶部に記憶することができる。
【0044】
第10の発明は、第8または第9の発明であって、プリフェッチ用データ要求ステップと、プリフェッチ用データ応答ステップと、プリフェッチ用データ記憶ステップと、をさらに備える。
【0045】
ユーザー端末装置は、プリフェッチ用データを記憶する端末側プリフェッチ用記憶部を備える。
【0046】
プリフェッチ用データ要求ステップでは、ユーザー端末装置が、期間[t:t]の可視化データに対して表示処理を行っている場合において、
ユーザー端末装置が、サーバに対して、
(1)集合データLi+1の期間[t:t]を含む期間のデータ、および/または、
(2)集合データLi-1の期間[t:t]の平均時刻t(=(t+t)/2)を含む期間のデータ、
であるプリフェッチ用データを要求する要求信号を送信する。
【0047】
プリフェッチ用データ応答ステップでは、ユーザー端末装置が、サーバから、要求信号に対する応答信号を受信する。
【0048】
プリフェッチ用データ記憶ステップでは、ユーザー端末装置が、応答信号に含まれるプリフェッチ用データを取得し、取得した当該プリフェッチ用データを端末側プリフェッチ用記憶部に記憶する。
【0049】
これにより、この可視化データ処理方法では、異なる階層の集合データLi+1、または、集合データLi-1のデータにおいて、集合データLの表示期間と重複する部分を有する、矩形データの集合データをプリフェッチ用データとして取得し、取得したプリフェッチ用データを端末側プリフェッチ用記憶部に記憶することができる。
【0050】
第11の発明は、第9または第10の発明であって、判定ステップと、プリフェッチ用データ取得ステップと、をさらに備える。
【0051】
判定ステップでは、ユーザー端末装置が、表示対象データが端末側プリフェッチ用記憶部に記憶されているか否かを判定する。
【0052】
プリフェッチ用データ取得ステップは、判定ステップにおいて、表示対象データが端末側プリフェッチ用記憶部に記憶されていると判定された場合、表示対象データを端末側プリフェッチ用記憶部から取得する。
【0053】
これにより、この可視化データ処理方法では、表示対象のデータが端末側プリフェッチ用記憶部に記憶されている場合、表示対象のデータを端末側プリフェッチ用記憶部から読み出せばよいので、表示対象のデータをサーバに要求する処理を行う必要がなく、その結果、表示対象のデータの表示処理(可視化処理)を完了させるまでの時間を短くすることができる。
【0054】
第12の発明は、通信環境下に設置され、通信品質に関するデータを取得できるセンサ装置により取得されるデータを可視化するための可視化データ処理システムであって、記憶部と、データ数削減処理部と、可視化データ取得処理部と、を備える。
【0055】
記憶部は、センサ装置が通信環境下で取得したデータを取得し、当該データを記憶する。
【0056】
データ数削減処理部は、記憶部に記憶されているデータに対して、データ数削減処理を実行し、データ数削減処理後のデータを記憶部に記憶する。
【0057】
可視化データ取得処理部は、表示期間についての情報を含む要求信号と、データを表示させるときの表示性能を示すデータである表示性能指標データとに基づいて、記憶部から当該表示期間のデータを読み出し、読み出したデータを可視化データとして取得する。
【0058】
これにより、第1の発明と同様の効果を奏する可視化データ処理システムを実現することができる。
【0059】
第13の発明は、第1から11のいずれかの発明である可視化データ処理方法をコンピュータで実行させるためのプログラムである。
【0060】
これにより、第1から第11の発明と同様の効果を奏するデータ取得方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを実現することができる。
【発明の効果】
【0061】
本発明によれば、処理対象のデータ量が膨大である場合であっても、データ表示までの時間遅延を適切に抑制でき、操作性に優れた可視化データ処理方法、可視化データ処理システム、および、プログラムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1】第1実施形態に係る無線品質データ可視化システム1000の概略構成図。
図2】第1実施形態に係る無線品質データサーバ1およびユーザー端末2の概略構成図。
図3】無線品質データ可視化システム1000で実行される処理を説明するための図(シーケンス図)。
図4】包絡線データの図式表現について説明するための図。
図5】ヘッダデータの図式表現について説明するための図。
図6】無線品質データ可視化システム1000で実行される処理のフローチャート。
図7】無線品質データ可視化システム1000で実行される処理のフローチャート。
図8】データ数削減処理を説明するための図。
図9】データ数削減処理を説明するための図。
図10】矩形データの集合データの表示例(描画例)を示す図。
図11】第1実施形態の第1変形例に係る無線品質データ可視化システム1000Aの概略構成図。
図12】第1実施形態の第1変形例に係る無線品質データサーバ1Aおよびユーザー端末2の概略構成図。
図13】無線品質データ可視化システム1000Aで実行される処理を説明するための図(シーケンス図)。
図14】プリフェッチするデータを説明するための図。
図15】第1実施形態の第2変形例に係る無線品質データ可視化システム1000Bの概略構成図。
図16】第1実施形態の第2変形例に係る無線品質データサーバ1およびユーザー端末2Aの概略構成図。
図17】無線品質データ可視化システム1000Bで実行される処理を説明するための図(シーケンス図)。
図18】プリフェッチするデータを説明するための図。
図19】CPUバス構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0063】
[第1実施形態]
第1実施形態について、図面を参照しながら、以下、説明する。
【0064】
<1.1:無線品質データ可視化システムの構成>
図1は、第1実施形態に係る無線品質データ可視化システム1000の概略構成図である。
【0065】
図2は、第1実施形態に係る無線品質データサーバ1およびユーザー端末2の概略構成図である。
【0066】
無線品質データ可視化システム1000は、図1に示すように、無線品質データサーバ1と、ユーザー端末2と、1または複数のセンサ装置(図1では、センサ装置S_node1、センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3)と、1または複数の通信機器(図1では、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtC)とを備える。
【0067】
なお、説明便宜のため、図1に示すように、無線品質データ可視化システム1000に、センサ装置S_node1、センサ装置S_node2、および、センサ装置S_node3の3つセンサ装置が含まれ、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCの3つの通信機器が含まれる場合について、以下説明する。
【0068】
通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCは、例えば、狭空間内(例えば、工場内)に設置される。そして、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtCは、例えば、IEEE802.11a、b、g、n、ac等の無線LAN規格に従い、互いに無線通信を行うことができる。通信機器RbtA、通信機器RbtB、および/または、通信機器RbtCは、例えば、無線通信機能付きの工作機械である。
【0069】
無線品質データサーバ1と、1または複数のセンサ装置とは、無線または有線で接続されており、互いに通信することができる。
【0070】
また、無線品質データサーバ1とユーザー端末2とは、無線または有線で接続されており、互いに通信することができる。
【0071】
(1.1.1:無線品質データサーバ)
無線品質データサーバ1は、図2に示すように、第1通信インターフェース11と、第1通信処理部12と、記憶部DB1と、データ数削減処理部13と、可視化データ取得処理部14と、サーバ側通信インターフェース15と、を備える。
【0072】
第1通信インターフェース11は、例えば、有線または無線のネットワークを介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。第1通信インターフェース11は、ネットワークを介してデータDin(例えば、センサ装置からのデータDin)を受信する。なお、センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)から受信したデータをデータDin(S_nodek)と表記する。なお、本実施形態では、kは3以下の自然数として説明するが、これに限定されることはなく、kは他の自然数であってもよい。
【0073】
第1通信インターフェース11は、受信したデータDinを、第1通信処理部12が処理できるデータDa1にして、当該データDa1を第1通信処理部12に出力する。なお、Din(S_nodek)から取得されるデータDa1をDa1(S_nodek)と表記する。
【0074】
第1通信処理部12は、第1通信インターフェース11からデータDa1を入力する。第1通信処理部12は、入力したデータDa1を、記憶部DB1に記憶できる形式のデータDa2にして、当該データDa2を記憶部DB1に記憶させる。なお、Da1(S_nodek)から取得されるデータDa2をDa2(S_nodek)と表記する。
【0075】
記憶部DB1は、第1通信処理部12からのデータ書き込み指令に従い、第1通信処理部12から出力されるデータDa2を記憶する。また、記憶部DB1は、データ数削減処理部13からのデータ読み出し指令に従い、当該データ読み出し指令で指定されているデータを、データDa3として読み出し、当該データDa3をデータ数削減処理部13に出力する。また、記憶部DB1は、データ数削減処理部13からのデータ書き込み指令に従い、データ数削減処理部13から出力されるデータDa4を記憶する。また、記憶部DB1は、可視化データ取得処理部14からのデータ読み出し指令に従い、当該データ読み出し指令で指定されているデータを、データDa5として読み出し、当該データDa5を可視化データ取得処理部14に出力する。記憶部DB1は、例えば、データベース機能を有する記憶装置により実現される。
【0076】
データ数削減処理部13は、データ読み出し指令を記憶部DB1に出力し、記憶部DB1に記憶されているデータを、データDa3として記憶部DB1から読み出す。そして、データ数削減処理部13は、読み出したデータDa3に対して、データ数削減処理を実行し、データ数削減処理処理後のデータをデータDa4として、記憶部DB1に書き込む(記憶させる)。
【0077】
可視化データ取得処理部14は、サーバ側通信インターフェース15から出力される要求信号Req1を入力する。また、可視化データ取得処理部14は、データ読み出し指令を記憶部DB1に出力し、記憶部DB1に記憶されているデータを、データDa5として記憶部DB1から読み出す。可視化データ取得処理部14は、サーバ側通信インターフェース15から出力される要求信号Req1を入力すると、当該要求信号Req1で指定されている内容に従い、記憶部DBからデータをデータDa5として読み出す。そして、可視化データ取得処理部14は、当該データDa5を含む、要求信号Req1に対する応答信号Res1を生成し、当該応答信号Res1をサーバ側通信インターフェース15に出力する。
【0078】
サーバ側通信インターフェース15は、例えば、有線または無線のネットワークを介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。サーバ側通信インターフェース15は、ネットワークを介して、ユーザー端末2から送信されるデータDo(Req1)を受信する。そして、サーバ側通信インターフェース15は、受信したデータDo(Req1)から要求信号Req1を取得し、取得した当該要求信号Req1を可視化データ取得処理部14に出力する。また、サーバ側通信インターフェース15は、可視化データ取得処理部14から出力される応答信号Res1を入力する。そして、サーバ側通信インターフェース15は、応答信号Res1を含む送信データDo(Res1)を生成し、生成した送信データDo(Res1)を、ネットワークを介して、ユーザー端末2に送信する。
【0079】
(1.1.2:ユーザー端末)
ユーザー端末2は、図2に示すように、端末側通信インターフェース21と、可視化処理部22とを備える。
【0080】
端末側通信インターフェース21は、例えば、有線または無線のネットワークを介して、外部の装置とデータ送受信を行うための通信インターフェースである。端末側通信インターフェース21は、可視化処理部22から出力される要求信号Req1を入力し、当該要求信号Req1を含む送信信号Do(Req1)を生成する。そして、端末側通信インターフェース21は、生成した送信データDo(Res1)を、ネットワークを介して、無線品質データサーバ1に送信する。
【0081】
また、端末側通信インターフェース21は、ネットワークを介して、無線品質データサーバ1から送信されるデータDo(Res1)を受信する。そして、端末側通信インターフェース21は、受信したデータDo(Res1)から応答信号Res1を取得し、取得した当該応答信号Res1を可視化処理部22に出力する。
【0082】
可視化処理部22は、要求信号Req1を生成し、生成した要求信号Req1を端末側通信インターフェース21に出力する。また、可視化処理部22は、端末側通信インターフェース21から応答信号Res1を入力し、当該応答信号Res1に基づいて、無線品質データサーバから取得したデータの可視化処理を行う(詳細については後述)。また、可視化処理部22は、ユーザーからの指示内容を示す制御信号Usr_ctlを入力し、当該制御信号Usr_ctlに基づいて、可視化処理についての所定の制御、要求信号Req1の生成等を行う(詳細については後述)。
【0083】
(1.1.3:センサ装置)
センサ装置S_nodek(k:自然数、本実施形態の場合、1≦k≦3)は、無線通信機能を有しており、無線通信環境下に設置される(例えば、通信機器(例えば、無線通信機能付き工作機械)の周辺に設置される)。センサ装置S_nodekで、設置された無線通信環境下において、外部(自装置外)から放射(送信)された電波(無線信号)を受信し、受信した無線信号に対して所定の処理を行うことで、例えば、(1)受信した無線信号の信号強度に関するデータ、(2)受信した無線信号に含まれるヘッダに関する情報(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報)等を取得する。そして、センサ装置S_nodekは、取得したデータ、および/または、情報を含むデータをデータDin(S_nodek)として、無線品質データサーバ1に送信する。
【0084】
<1.2:無線品質データ可視化システムの動作>
以上のように構成された無線品質データ可視化システム1000の動作について、以下、図面を参照しながら説明する。
【0085】
図3は、無線品質データ可視化システム1000で実行される処理を説明するための図(シーケンス図)である。
【0086】
図4は、包絡線データの図式表現について説明するための図である。
【0087】
図5は、ヘッダデータの図式表現について説明するための図である。
【0088】
図6図7は、無線品質データ可視化システム1000で実行される処理のフローチャートである。
【0089】
図8図9は、データ数削減処理を説明するための図である。具体的には、図8は、時刻tから時刻tまでの期間において、レイヤーiの矩形データの集合データLから、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1を生成するときのデータ数削減処理を説明するための図である。図9は、時刻tから時刻tまでの期間において、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1から、レイヤーi+2の矩形データの集合データLi+2を生成するときのデータ数削減処理を説明するための図である。
【0090】
以下では、説明便宜のため、狭空間(例えば、工場内)に、通信機器RbtA、通信機器RbtB、および、通信機器RbtC、並びに、センサ装置S_node1~S_node3が設置されている場合(一例)について説明する。そして、センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、それぞれ、継続的に、自装置で受信した無線信号から取得したデータDin(S_nodek)を無線品質データサーバ1に送信するものとして、以下、説明する。
【0091】
図1図3に示すように、センサ装置S_node1~S_node3は、それぞれ、設置された無線通信環境下において、外部(自装置外)から放射(送信)された電波(無線信号)を受信し、受信した無線信号に対して所定の処理を行うことで、例えば、(1)受信した無線信号の信号強度に関するデータ、(2)受信した無線信号に含まれるヘッダに関する情報(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報)等を取得する。
【0092】
センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、例えば、図4に示すように、受信した無線信号(例えば、図4の上図の無線信号Sig0)に対して所定の処理(例えば、包絡線検波処理)を行うことで、受信した無線信号の信号強度に関するデータを取得する。センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、例えば、図4に示すように、矩形で表現されたデータ(矩形データ(例えば、図4のデータD1_env))として、受信した無線信号の信号強度に関するデータを取得する。なお、この矩形データを取得するために、例えば、特開2019-161290号に開示されている方法を用いてもよい。
【0093】
「矩形データ」は、矩形を特定するデータを含むものであればよく、例えば、(1)開始時点、終了時点、Y軸値(図4の場合、信号強度値に対応する値)を含むデータや、(2)開始時点、継続時間、Y軸値(図4の場合、信号強度値に対応する値)を含むデータである。
【0094】
また、センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、例えば、図5に示すように、受信した無線信号に対して所定の処理(例えば、無線信号の復調処理、無線フレームのヘッダ解析処理)を行うことで、受信した無線信号に含まれるヘッダ(無線信号を復調して取得される無線フレームのヘッダ)に関する情報(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報)を取得する。
【0095】
図5の上図は、センサ装置S_nodekで受信した無線信号に対して復調処理を行い取得した信号Sig0(例えば、ベースバンドOFDM信号)の一例をしており、横軸が時間であり、縦軸が振幅(信号値)である。図5の下図は、図5の上図と時間軸を一致させて、無線信号から取得した各フレームを矩形で表現した図である。なお、図5の下図において、1つの矩形が同一のヘッダデータを有しているフレームを表している。
【0096】
フレームのヘッダ部分から抽出可能な代表的な情報として、以下のような情報がある。
(1)送信元MACアドレス
(2)受信先MACアドレス
(3)フレーム長(バイト数)
(4)フレームの種類(Beacon、Data、Ackなど)
(5)再送フラグ
(6)シーケンス番号
(7)データレート(6Mbps,54Mbpsなど)
したがって、センサ装置S_nodek(k:自然数、1≦k≦3)は、フレームのヘッダを解析する処理を行い、例えば、フレームの開始時点、継続時間、送信元、送信先を含むデータを取得し、取得した当該データに対応する矩形データを取得する。このようにして取得される矩形データの一例を図5に示す。
【0097】
例えば、センサ装置S_nodekは、図5の下図の各矩形に対応するヘッダデータを、以下の形式のデータとして取得する。
(tk,dk,hk)
tk:フレームの開始時刻
dk:フレームの継続時間
hk:フレームのヘッダ部分から抽出した情報(送信元MACアドレス等)
そして、センサ装置S_nodekは、処理対象としている期間に含まれる複数のヘッダデータをヘッダデータD1_headとして、以下の形式で取得する。
D1_head={(t1,d1,h1),(t1,d2,h2),(t3,d3,h3),・・・}
なお、ヘッダ情報hkにより、例えば、図5の「ヘッダ内容」の欄に模式的表現で示すように、図5の1番目と2番目のフレームがノードAからノードBへのデータ(Data(A->B)と表記)であり、図5の3番目のフレームがノードBからノードAへのACK(Ack(B->A)と表記)であることが分かる。
【0098】
センサ装置S_nodekは、上記のようにしてヘッダデータD1_headを取得する。
【0099】
そして、センサ装置S_nodekは、上記処理により取得した、(1)受信した無線信号の信号強度に関するデータD1_env、および/または、(2)受信した無線信号に含まれるヘッダに関する情報(例えば、IEEE802.11a等の仕様に基づく各フレームのヘッダ部分の情報)を示すデータD1_headを含むデータをデータDin(S_nodek)として、無線品質データサーバ1に送信する。
【0100】
≪A1:センサ装置S_node1からのデータ受信処理(期間t11~t13)≫
図3に示す、時刻t11~t12の期間において、センサ装置S_node1は、無線品質データサーバ1へ、データDin(S_node1)を送信する。そして、無線品質データサーバ1は、第1通信インターフェース11により、センサ装置S_node1からのデータDin(S_node1)を受信する。そして、無線品質データサーバ1の第1通信インターフェース11は、受信したデータDin(S_node1)を、第1通信処理部12が処理できるデータDa1(S_node1)にして、当該データDa1(S_node1)を第1通信処理部12に出力する。
【0101】
第1通信処理部12は、第1通信インターフェース11からのデータDa1(S_node1)を、記憶部DB1に記憶できる形式のデータDa2(S_node1)にして、当該データDa2(S_node1)を記憶部DB1に記憶させる。
【0102】
記憶部DB1は、第1通信処理部12からのデータ書き込み指令に従い、第1通信処理部12から出力されるデータDa2(S_node1)を記憶する(図3の時刻t12~t13の期間の処理(図3において、「WR」で示した処理(データ書き込み処理))を行う)。
【0103】
≪A2:センサ装置S_node2からのデータ受信処理(期間t21~t23)≫
図3に示す、時刻t21~t22の期間において、センサ装置S_node2は、無線品質データサーバ1へ、データDin(S_node2)を送信する。そして、無線品質データサーバ1は、第1通信インターフェース11により、センサ装置S_node2からのデータDin(S_node2)を受信する。そして、無線品質データサーバ1の第1通信インターフェース11は、受信したデータDin(S_node2)を、第1通信処理部12が処理できるデータDa1(S_node2)にして、当該データDa1(S_node2)を第1通信処理部12に出力する。
【0104】
第1通信処理部12は、第1通信インターフェース11からのデータDa1(S_node2)を、記憶部DB1に記憶できる形式のデータDa2(S_node2)にして、当該データDa2(S_node2)を記憶部DB1に記憶させる。
【0105】
記憶部DB1は、第1通信処理部12からのデータ書き込み指令に従い、第1通信処理部12から出力されるデータDa2(S_node2)を記憶する(図3の時刻t22~t23の期間の処理(図3において、「WR」で示した処理(データ書き込み処理))を行う)。
【0106】
≪A3:センサ装置S_node3からのデータ受信処理(期間t31~t33)≫
図3に示す、時刻t31~t32の期間において、センサ装置S_node3は、無線品質データサーバ1へ、データDin(S_node3)を送信する。そして、無線品質データサーバ1は、第1通信インターフェース11により、センサ装置S_node3からのデータDin(S_node3)を受信する。そして、無線品質データサーバ1の第1通信インターフェース11は、受信したデータDin(S_node3)を、第1通信処理部12が処理できるデータDa1(S_node3)にして、当該データDa1(S_node3)を第1通信処理部12に出力する。
【0107】
第1通信処理部12は、第1通信インターフェース11からのデータDa1(S_node3)を、記憶部DB1に記憶できる形式のデータDa2(S_node3)にして、当該データDa2(S_node3)を記憶部DB1に記憶させる。
【0108】
記憶部DB1は、第1通信処理部12からのデータ書き込み指令に従い、第1通信処理部12から出力されるデータDa2(S_node3)を記憶する(図3の時刻t32~t33の期間の処理(図3において、「WR」で示した処理(データ書き込み処理))を行う)。
【0109】
無線品質データ可視化システム1000では、センサ装置S_nodekから無線品質データサーバ1へのデータ送信処理(上記の処理A1~処理A3)が継続的に実行される。つまり、センサ装置S_nodekで取得されたデータDin(S_nodek)が、無線品質データサーバ1に送信され、記憶部DB1に時系列データとして継続的に記憶されるため、記憶部DB1に記憶されるデータ量は膨大となる。このため、記憶部DB1に記憶されている時系列データをそのまま出力し、表示させようとすると、膨大なデータ量のデータに対して表示処理を行う必要があり、その結果、データ表示までの時間時間が長くなり、操作性に優れたデータ可視化処理を実現することができない。
【0110】
そこで、無線品質データ可視化システム1000では、無線品質データサーバ1のデータ数削減処理部13により、センサ装置S_nodekから収集し、記憶部DB1に記憶しているデータのデータ数削減処理を実行する。このデータ数削減処理について、説明する。
【0111】
≪B1:データ数削減処理(期間tr11~tr14)≫
図3に示す、時刻t11~t14の期間において、無線品質データサーバ1のデータ数削減処理部13は、データ削減処理を実行する。データ削減処理について、図6図7のフローチャートを参照しながら説明する。
【0112】
(ステップS1、S2):
データ数削減処理部13は、データ削減処理の対象とする時系列データを記憶部DB1から読み出す。なお、説明便宜のため、データ削減処理の対象とする時系列データを、センサ装置S_node1から無線品質データサーバ1に送信され、記憶部DB1に記憶されたデータDa2(S_node1)に含まれる、センサ装置S_node1が受信した無線信号の信号強度に関するデータであるものとし、当該データは、矩形データの集合として構成されているものとして、以下、説明する。
【0113】
データ数削減処理部13は、記憶部DB1から読み出した、データ削減処理の対象とする時系列データ、すなわち、センサ装置S_node1が受信した無線信号の信号強度に関するデータの矩形データの集合を、集合データL(データ数削減処理前のオリジナルデータの矩形データの集合データ)に設定する(ステップS1)。
【0114】
ステップS2において、データ数削減処理部13は、初期矩形幅決定用変数jminと、最終矩形幅決定用変数jmaxとを、それぞれ、所定の値に設定する。例えば、集合データL(データ数削減処理前のオリジナルデータの矩形データの集合データ)の最小矩形幅を512μsとするときの初期矩形幅決定用変数jminが「10」(1024μsに相当する値)であり、最大矩形幅を8192μsとする場合、データ数削減処理部13は、
min=10
max=13
に設定する。なお、単位矩形幅を2により表現するものとし、j=10のとき、単位矩形幅は、210(=1024)であり、このとき単位矩形幅に相当する時間は1024μsであり、j=13のとき、単位矩形幅は、213(=8192)であり、このとき単位矩形幅に相当する時間は8192μsである。
【0115】
(ステップS3):
ステップS3において、ループ処理(ループ1)が開始される。当該ループ処理は、i、jを変数とし、j=jminから開始され、jを1ずつインクリメントしていき、j≦jmaxを満たす限り、繰り返される。なお、jが1インクリメントされるとともに(j=j+1)、iも1インクリメントされる(i=i+1)。
【0116】
(ステップS4):
ステップS4において、レイヤーi+1の矩形データ生成処理が実行される。具体的には、以下のように処理が実行される。
【0117】
(ステップS41):
ステップS41において、データ数削減処理部13は、単位矩形幅wの設定を行う。具体的には、データ数削減処理部13は、単位矩形幅w=2に設定する。
【0118】
(ステップS42):
ステップS42において、データ数削減処理部13は、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1を空集合に設定する(集合データLi+1の初期化処理)。
【0119】
(ステップS43):
ステップS43において、ループ処理(ループA)が開始される。当該ループ処理は、レイヤーiの矩形データの集合データLに含まれる矩形データrの全てについて、実行される(For r∈L、r:矩形データ)。なお、レイヤーiの矩形データの集合データLに含まれる矩形データrをr(Li)と表記する。
【0120】
例えば、図8の場合、L={r (Li),r (Li),r (Li),r (Li),・・・,r (Li)}であり、全ての矩形データ(矩形データr (Li)~r (Li)のそれぞれ)について、ループ処理(ループA)が実行される。なお、矩形データr (Li)(m:整数、図8の上図の場合、1≦m≦9)は、矩形を特定することができるデータを含んでおり、矩形データr (Li)の開始時点(開始時刻)をr (Li).tと表記し、矩形データr (Li)の終了時点(終了時刻)をr (Li).tと表記する。また、集合データLに含まれる各矩形データを他の矩形データと区別しない場合、添え字mを省略し、矩形データr(Li)と表記し、矩形データr(Li)の開始時点(開始時刻)をr(Li).tと表記し、矩形データr(Li)の終了時点(終了時刻)をr(Li).tと表記する。
【0121】
(ステップS44~S47):
ステップS44において、データ数削減処理部13は、矩形データ調整処理を実行する。具体的には、データ数削減処理部13は、
(Li+1).t=r(Li).t-(r(Li).t % w)
(Li+1).t=r(Li).t-(r(Li).t % w)
に相当する処理を実行し、レイヤーi+1の矩形データr(Li+1)の開始時点r(Li+1).tと、レイヤーi+1の矩形データr(Li+1)の終了時点r(Li+1).tと、を取得する。なお、「x % y」は、xをyで除算したときの余り(剰余)を表す。
【0122】
また、データ数削減処理部13は、
(Li+1).y=r(Li).y
とすることで、レイヤーi+1の矩形データr(Li+1)のY軸値を、レイヤーiの矩形データr(Li)のY軸値とする(Y軸値を同一の値として保持する)。なお、r(Li).yは、レイヤーiの矩形データr(Li)のY軸値を表す。
【0123】
上記処理について、図8図9を用いて説明する。なお、説明便宜のため、図8の上図がi=0であり、処理対象の期間が時刻tから時刻tまでの期間であり、図8の上図に示すように、集合データL(i=0)は、
={r (Li),r (Li),r (Li),r (Li),r (Li),r (Li),r (Li),r (Li),r (Li)
|L|=9(|x|は、集合xの位数(要素の数)を示す。)
であり、各矩形データr (Li)のY軸値(例えば、信号強度)は、図8の上図に示すものであるとする。
【0124】
そして、
min=10
(Lの矩形幅w)=2=512(時間で512μsに相当する値)
=0(tの実際の時刻に対応させた値)
=w×NL0=2×32=512×32(tの実際の時刻に対応させた値)
L0=(t-t)/w=(t-t)/2(=32)
とする。
【0125】
図8の中段の図は、図8の上図と時間軸を一致させて、さらに、単位矩形幅w=2=2jmin=210(集合データL(i=0)の矩形幅の2倍の矩形幅)にして、集合データL(i=0)の矩形データr (Li)(i=0)を表示した図である。
【0126】
データ数削減処理部13が、
(Li+1).t=r(Li).t-(r(Li).t % w)
(Li+1).t=r(Li).t-(r(Li).t % w)
に相当する処理を実行することで、矩形データの開始時点r(Li).tと、矩形データの終了時点r(Li).tと、を、wの整数倍となるように調整することができる。図8の中段の図から分かるように、矩形データの終了時点がwの整数倍ではない時点は、
(Li).t
(Li).t
(Li).t
(Li).t
(Li).t
である。そして、データ数削減処理部13が、上記数式に相当する処理を実行することで、矩形データの終了時点がwの整数倍ではない時点を、wの整数倍となる時点に調整することができる(矩形データの終了時点を、単位矩形幅wの半分に相当する時間分だけ先の時間に変更することができる)。つまり、矩形データの終了時点が左側(時間が早い方向)にシフトされることで、矩形データの幅が減少する。
【0127】
また、矩形データの開始時点がwの整数倍でない時点は、
(Li).t
(Li).t
(Li).t
(Li).t
である。そして、データ数削減処理部13が、上記数式に相当する処理を実行することで、矩形データの開始時点がwの整数倍ではない時点を、wの整数倍となる時点に調整することができる(矩形データの開始時点を、単位矩形幅wの半分に相当する時間分だけ先の時間に変更することができる)。つまり、矩形データの開始時点が左側(時間が早い方向)にシフトされることで、矩形データの幅が増加する。
【0128】
上記のように矩形データ調整処理を実行した後、ステップS45において、データ数削減処理部13は、矩形データ調整処理後の矩形データの終了時点r(Li+1).tと、開始時点r(Li+1).tと、を比較する。そして、r(Li+1).t-r(Li+1).t>0である場合、調整処理後の矩形データr(Li+1)を、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1に追加し(ステップS46)、処理をステップS47に進め、さらにループ処理(ループA)を実行する(ステップS47)。一方、r(Li+1).t-r(Li+1).t>0ではない場合、処理をステップS47に進め、さらに、ループ処理(ループA)を実行する(ステップS47)。
【0129】
このように処理することで、図8の下図に示すように、各矩形データの開始時点と終了時点とがwの整数倍になるように調整された、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1が取得される。つまり、図8の場合、図8の下図に示すように、
i+1={r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1)
|Li+1|=7
として、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1が取得される。図8の場合、レイヤーiの矩形データの集合データLの要素数が「9」であり、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1の要素数が「7」であるので、上記処理により、データ数を削減できることが分かる。
【0130】
上記処理(ループ処理(ループA))が、レイヤーiの矩形データの集合データLに含まれる矩形データrの全てについて、実行された後、処理をステップS5に進める。
【0131】
(ステップS5):
ステップS5において、データ数削減処理部13は、ループ処理(ループ1)が終了条件を満たしているか否かを判定し、終了条件を満たしていると判定した場合、データ数削減処理を終了させ、終了条件を満たしていないと判定したときは、処理をステップS3に戻し、データ数削減処理を実行する。この場合、i、jを、それぞれ、1だけインクリメントし、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1の生成処理が実行される。例えば、図8に示した場合の処理(レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1の生成処理)が終了したら、引き続いて、図9に示す処理(レイヤーi+2の矩形データの集合データLi+2の生成処理)が実行される。
【0132】
ここで、図9の場合のレイヤーi+1の矩形データ生成処理(図8の場合(i=0)の次に実行される矩形データ生成処理)について、説明する。
【0133】
ステップS44において、データ数削減処理部13は、矩形データ調整処理を実行する。具体的には、データ数削減処理部13は、
(Li+1).t=r(Li).t-(r(Li).t % w)
(Li+1).t=r(Li).t-(r(Li).t % w)
に相当する処理を実行し、レイヤーi+1の矩形データr(Li+1)の開始時点r(Li+1).tと、レイヤーi+1の矩形データr(Li+1)の終了時点r(Li+1).tと、を取得する。なお、「x % y」は、xをyで除算したときの余り(剰余)を表す。
【0134】
また、データ数削減処理部13は、
(Li+1).y=r(Li).y
とすることで、レイヤーi+1の矩形データr(Li+1)のY軸値を、レイヤーiの矩形データr(Li)のY軸値とする(Y軸値を同一の値として保持する)。なお、r(Li).yは、レイヤーiの矩形データr(Li)のY軸値を表す。
【0135】
上記処理について、図8図9を用いて説明する。なお、説明便宜のため、
図9の上図は、レイヤーi+1(i=0)の矩形データの集合データLi+1(=L)を示しており、
i+1={r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1),r (Li+1)
|Li+1|=7
である。
【0136】
図9の場合、ループ1の処理の2回目の処理なので、
j=11
(Lの矩形幅w)=210=1024(時間で1024μsに相当する値)
=0(tの実際の時刻に対応させた値)
=w×NL0=210×16=1024×16(tの実際の時刻に対応させた値)
L1=(t-t)/w=(t-t)/210(=16)
である。
【0137】
図9の中段の図は、図9の上図と時間軸を一致させて、さらに、単位矩形幅w=211(集合データLi+1(i=0)の矩形幅の2倍の矩形幅)にして、集合データLi+1(i=0)の矩形データr (Li+1)(i=0)を表示した図である。
【0138】
データ数削減処理部13が、
(Li+2).t=r(Li+1).t-(r(Li+1).t % w)
(Li+2).t=r(Li+1).t-(r(Li+1).t % w)
に相当する処理を実行することで、矩形データの開始時点r(Li+1).tと、矩形データの終了時点r(Li+1).tと、を、wの整数倍となるように調整することができる。図9の中段の図から分かるように、矩形データの終了時点がwの整数倍ではない時点は、
(Li+1).t
(Li+1).t
(Li+1).t
(Li+1).t
である。そして、データ数削減処理部13が、上記数式に相当する処理を実行することで、矩形データの終了時点がwの整数倍ではない時点を、wの整数倍となる時点に調整することができる(矩形データの終了時点を、単位矩形幅wの半分に相当する時間分だけ先の時間に変更することができる)。つまり、矩形データの終了時点が左側(時間が早い方向)にシフトされることで、矩形データの幅が減少する。
【0139】
また、矩形データの開始時点がwの整数倍でない時点は、
(Li).t
(Li).t
である。そして、データ数削減処理部13が、上記数式に相当する処理を実行することで、矩形データの開始時点がwの整数倍ではない時点を、wの整数倍となる時点に調整することができる(矩形データの開始時点を、単位矩形幅wの半分に相当する時間分だけ先の時間に変更することができる)。つまり、矩形データの開始時点が左側(時間が早い方向)にシフトされることで、矩形データの幅が増加する。
【0140】
上記のように矩形データ調整処理を実行した後、ステップS45において、データ数削減処理部13は、矩形データ調整処理後の矩形データの終了時点r(Li+2).tと、開始時点r(Li+2).tと、を比較する。そして、r(Li+2).t-r(Li+2).t>0である場合、調整処理後の矩形データr(Li+2)を、レイヤーi+2の矩形データの集合データLi+2に追加し(ステップS46)、処理をステップS47に進め、さらにループ処理(ループA)を実行する(ステップS47)。一方、r(Li+2).t-r(Li+2).t>0ではない場合、処理をステップS47に進め、さらに、ループ処理(ループA)を実行する(ステップS47)。
【0141】
このように処理することで、図9の下図に示すように、各矩形データの開始時点と終了時点とがwの整数倍になるように調整された、レイヤーi+2の矩形データの集合データLi+2が取得される。つまり、図9の場合、図9の下図に示すように、
i+2={r (Li+2),r (Li+2),r (Li+2),r (Li+2)
|Li+2|=4
として、レイヤーi+2の矩形データの集合データLi+2が取得される。図9の場合、レイヤーi+1の矩形データの集合データLi+1の要素数が「7」であり、レイヤーi+2の矩形データの集合データLi+2の要素数が「4」であるので、上記処理により、データ数を削減できることが分かる。
【0142】
このように、データ数削減処理部13がデータ数削減処理を実行することで、レイヤーの番号が大きい程、よりデータ数が削減された(よりデータ数の少ない)矩形データの集合データを生成することができる。
【0143】
上記の場合、
min=10
max=13
であるので、集合データL(データ数削減処理前のオリジナルデータの矩形データの集合データ)(単位矩形幅w=2(=512μs))から、
(1)レイヤー1の矩形データの集合データL(単位矩形幅w=210(=1024μs))
(2)レイヤー2の矩形データの集合データL(単位矩形幅w=211(=2048μs))
(3)レイヤー3の矩形データの集合データL(単位矩形幅w=212(=4096μs))
(4)レイヤー4の矩形データの集合データL(単位矩形幅w=213(=8192μs))
が取得される。
【0144】
そして、データ数削減処理部13は、上記処理により取得した複数のレイヤーの矩形データの集合データLを、データDa4として、記憶部DB1に記憶する。
【0145】
なお、上記では、データ数削減処理の処理対象を、センサ装置S_node1が受信した無線信号の信号強度に関するデータの矩形データの集合としたが、データ数削減処理部13は、他のデータについても同様の処理を行い、データ数削減処理を実行して、複数のレイヤーの矩形データの集合データLを取得する。
【0146】
つまり、データ数削減処理部13は、下記データをデータ数削減処理の対象して、複数のレイヤーの矩形データの集合データを取得し、取得した集合データを、記憶部DB1に記憶する。
(1A)センサ装置S_node1が取得した無線信号の信号強度に関するデータを処理対象として、データ数削減処理を実行して取得される矩形データの集合データ:Li(S_node1,Env)
(1B)センサ装置S_node1が取得した無線信号のヘッダデータを処理対象として、データ数削減処理を実行して取得される矩形データの集合データ:Li(S_node1,Head)
(2A)センサ装置S_node2が取得した無線信号の信号強度に関するデータを処理対象として、データ数削減処理を実行して取得される矩形データの集合データ:Li(S_node2,Env)
(2B)センサ装置S_node2が取得した無線信号のヘッダデータを処理対象として、データ数削減処理を実行して取得される矩形データの集合データ:Li(S_node2,Head)
(3A)センサ装置S_node3が取得した無線信号の信号強度に関するデータを処理対象として、データ数削減処理を実行して取得される矩形データの集合データ:Li(S_node3,Env)
(3B)センサ装置S_node1が取得した無線信号のヘッダデータを処理対象として、データ数削減処理を実行して取得される矩形データの集合データ:Li(S_node3,Head)
なお、データ数削減処理部13は、上記データを、センサ装置S_nodekで取得された時刻が分かる情報を付加して、記憶部DB1に記憶する。これにより、2つの時刻により、期間を指定することで、当該期間の矩形データを、記憶部DB1から読み出すことが可能となる。
【0147】
また、上記のデータ(データ数削減処理の対象とするデータ)は、一例であり、上記に限定されることはなく、他の種類のデータをデータ数削減処理の対象とするデータとして、データ数削減処理を実行し、取得したデータを記憶部DB1に記憶するようにしてもよい。
【0148】
また、図3において、データ数削減処理を、記憶部DB1からのデータ読み出し処理(RD)と、データ数削減処理(実質処理)と、データ数削減処理後のデータの記憶部DB1への書き込み処理(WR)とが、時系列で分離されて実行されるように示しているが、これに限定されることはなく、逐次、記憶部DB1からのデータ読み出し処理(RD)と、データ数削減処理(実質処理)と、データ数削減処理後のデータの記憶部DB1への書き込み処理(WR)とを実行するようにしてもよい。すなわち、記憶部DB1からのデータ読み出し処理(RD)と、データ数削減処理後のデータの記憶部DB1への書き込み処理(WR)とは、一括処理(あるいはバッチ処理)で行ってもよいし、逐次処理により行ってもよい。
【0149】
≪B2:データ数削減処理(期間tr21~tr24)≫
図3に示す、時刻t21~t24の期間において、無線品質データサーバ1のデータ数削減処理部13は、データ削減処理を実行する。データ削減処理について、期間tr11~tr14で実行された処理と同様である。
【0150】
≪B3:データ数削減処理(期間tr31~tr34)≫
図3に示す、時刻t31~t34の期間において、無線品質データサーバ1のデータ数削減処理部13は、データ削減処理を実行する。データ削減処理について、期間tr31~tr34で実行された処理と同様である。
【0151】
このように、無線品質データ可視化システム1000では、無線品質データサーバ1により、データ数削減処理が、他の処理(タスク)とは独立して、繰り返し実行される(例えば、所定の周期で実行される)。このため、無線品質データ可視化システム1000では、各センサ装置S_nodekにより取得されたデータであって、無線品質データサーバ1の記憶部DB1に記憶されたデータを用いて、複数レイヤーの矩形データを予め生成しておくことができる。そして、データの要求があったときに、即座に、表示に最適なデータ数の矩形データを取得することができる。これについて、図3の時刻tv11~t15の期間の処理を一例として説明する。
【0152】
≪C:可視化データ取得処理、可視化処理(期間tv11~tv15)≫
図3に示す、時刻t11~t12の期間において、ユーザー端末2は、無線品質データサーバ1に対して、期間[T,T](時刻Tから時刻Tの期間)のデータ(矩形データ)を要求する要求信号Req1を生成し、当該要求信号Req1を無線品質データサーバ1に送信する。具体的には、ユーザー端末2の可視化処理部22が要求信号Req1を生成し、端末側通信インターフェース21が当該要求信号Req1を含むデータDo(Res1)を無線品質データサーバ1に送信する。なお、要求信号Req1には、ユーザー端末2の描画性能を示すデータを含める。例えば、要求信号Req1に、ユーザー端末2において描画処理が所定の時間内に完了させることができる矩形データの数を示すデータN(UE1)を含める。なお、上記の「所定の時間」は、例えば、ユーザー端末2において、N(UE1)個の矩形データを描画するときに、ユーザーにストレスを感じさせないであろうと想定される時間であり、ユーザー端末2の描画性能に基づいて、設定する値であってもよいし、ユーザーにより設定される値であってもよい。
【0153】
無線品質データサーバ1のサーバ側通信インターフェース15は、データDo(Res1)を受信し、要求信号Req1を取り出し、当該要求信号Req1を可視化データ取得処理部14に出力する。
【0154】
可視化データ取得処理部14は、要求信号Req1から、ユーザー端末2が要求しているデータの期間[T,T]と、ユーザー端末2が要求している矩形データ数N(UE1)とを抽出する。
【0155】
そして、可視化データ取得処理部14は、レイヤーiの矩形データの集合のうち、期間[T,T]の範囲に該当するものの矩形データの数をn(T,T)とすると、n(T,T)≦N(UE1)を満たすiの中で、最小のiとなるレイヤーの矩形データの集合データLを、記憶部DB1から読み出す(データDa5として読み出す)。つまり、レイヤーの番号iは、その数が大きい程、データ数が少ないので(削減されたデータ数が多いので)、n(T,T)≦N(UE1)を満たすiの中で、最小のiとなるレイヤーは、矩形データの数がN(UE1)以下で、最も多くの矩形データを含むレイヤーである。
【0156】
そして、可視化データ取得処理部14は、上記により特定したレイヤーのデータであって、期間[T,T]のデータを、要求信号Req1に対する応答信号Res1に含める。なお、上記により特定したレイヤーのデータ(矩形データの集合データ)をデータDset(L)と表記し、データDset(L)の矩形データが含まれる期間が[T,T]であることを、Dset(L).term=[T,T]と表記することとする。つまり、可視化データ取得処理部14は、データDset(L)を含む応答信号Res1を生成する(可視化データ取得処理(図3の時刻tv12~tv13に実行される処理))。
【0157】
そして、可視化データ取得処理部14は、生成した応答信号Res1をサーバ側通信インターフェース15に出力し、サーバ側通信インターフェース15は、応答信号Res1を含む送信データDo(Res1)を生成し、当該送信データDo(Res1)をユーザー端末2に送信する。
【0158】
ユーザー端末2の端末側通信インターフェース21は、無線品質データサーバ1からの送信データDo(Res1)を受信し、当該受信データから応答信号Res1を取得し、当該応答信号Res1を可視化処理部22に出力する。
【0159】
可視化処理部22は、応答信号Res1に含まれるデータDset(L)(Dset(L).term=[T,T])を抽出し、当該データDset(L)に含まれる期間[T,T]の矩形データを取得する。そして、可視化処理部22は、取得した矩形データに基づいて、描画処理を行うことで、無線品質データを、例えば、表示画面に表示させる。これにより、ユーザー端末2の可視化処理部22は、無線品質データの矩形による可視化処理を行うことができる(可視化処理(図3の時刻tv14~tv15に実行される処理))。そして、この可視化処理で描画される矩形の数は、ユーザー端末2の描画性能に基づいて設定されたN(UE1)以下の数であるため、ユーザー端末2における可視化処理(描画処理)が操作性のよいものとなることが保証される(ユーザーにストレスを感じさせないレベルの可視化処理(描画処理)が保証される)。
【0160】
例えば、ユーザー端末2からの要求信号Req1が、(1)センサ装置S_node1により取得された無線信号の強度のデータを要求するものであり、かつ、(2)[T,T]=[ts,te]の期間のデータを要求するものであり、かつ、(3)N(UE1)を指定するものである場合、無線品質データサーバ1は、当該要求信号Req1に基づいて、矩形データの数n(T,T)(=n(ts,te))とすると、n(T,T)≦N(UE1)を満たすiの中で、最小のiとなるレイヤーの矩形データの集合データLを、上記要求信号Req1に対する応答信号Res1に含めるデータとする。この場合、i=0、すなわち、集合データLを上記要求信号Req1に対する応答信号Res1に含めるデータであると決定されたとすると、無線品質データサーバ1は、図10の下段に示すような矩形データの集合データL(=L(S_node1,Eev))を記憶部DB1から読み出し、当該集合データL(S_node1,Eev)を含む応答信号Res1を生成し、当該応答信号Res1をユーザー端末2に送信する。ユーザー端末2は、上記応答信号Res1を受信し、当該応答信号Res1から、集合データL(S_node1,Eev)を取得し、当該集合データL(S_node1,Eev)により、矩形データを描画し、図10の下段に示すような表示(矩形による表示)を行う。
【0161】
また、ユーザー端末2において、例えば、ユーザーからの指示により、表示範囲を期間[ts,te]とした場合(図10の中段の図の場合(図10の下段の図を拡大表示する場合))、ユーザーからの当該指示内容を示す制御信号Usr_ctlが可視化データ取得処理部14に入力され、可視化データ取得処理部14は、当該制御信号Usr_ctlに従い、(1)センサ装置S_node1により取得された無線信号の強度のデータを要求し、かつ、(2)[T,T]=[ts,te]の期間のデータを要求し、かつ、(3)N(UE1)を指定する要求信号Req1を生成する。そして、ユーザー端末2は、当該要求信号 Req1を無線品質データサーバ1に送信する。無線品質データサーバ1は、当該要求信号Req1に基づいて、矩形データの数n(T,T)(=n(ts,te))とすると、n(T,T)≦N(UE1)を満たすiの中で、最小のiとなるレイヤーの矩形データの集合データLを、上記要求信号Req1に対する応答信号Res1に含めるデータとする。この場合、i=3、すなわち、集合データLを上記要求信号Req1に対する応答信号Res1に含めるデータであると決定されたとすると、無線品質データサーバ1は、図10の中段に示すような矩形データの集合データL(=L(S_node3,Eev))を記憶部DB1から読み出し、当該集合データL(S_node3,Eev)を含む応答信号Res1を生成し、当該応答信号Res1をユーザー端末2に送信する。ユーザー端末2は、上記応答信号Res1を受信し、当該応答信号Res1から、集合データL(S_node3,Eev)を取得し、当該集合データL(S_node3,Eev)により、矩形データを描画し、図10の中段に示すような表示(矩形による表示)を行う。
【0162】
また、ユーザー端末2において、例えば、ユーザーからの指示により、表示範囲を期間[ts,te]とした場合(図10の上段の図の場合(図10の中段の図を拡大表示する場合))、ユーザーからの当該指示内容を示す制御信号Usr_ctlが可視化データ取得処理部14に入力され、可視化データ取得処理部14は、当該制御信号Usr_ctlに従い、(1)センサ装置S_node1により取得された無線信号の強度のデータを要求し、かつ、(2)[T,T]=[ts,te]の期間のデータを要求し、かつ、(3)N(UE1)を指定する要求信号Req1を生成する。そして、ユーザー端末2は、当該要求信号 Req1を無線品質データサーバ1に送信する。無線品質データサーバ1は、当該要求信号Req1に基づいて、矩形データの数n(T,T)(=n(ts,te))とすると、n(T,T)≦N(UE1)を満たすiの中で、最小のiとなるレイヤーの矩形データの集合データLを、上記要求信号Req1に対する応答信号Res1に含めるデータとする。この場合、i=3、すなわち、集合データLを上記要求信号Req1に対する応答信号Res1に含めるデータであると決定されたとすると、無線品質データサーバ1は、図10の上段に示すような矩形データの集合データL(=L(S_node5,Eev))を記憶部DB1から読み出し、当該集合データL(S_node5,Eev)を含む応答信号Res1を生成し、当該応答信号Res1をユーザー端末2に送信する。ユーザー端末2は、上記応答信号Res1を受信し、当該応答信号Res1から、集合データL(S_node5,Eev)を取得し、当該集合データL(S_node5,Eev)により、矩形データを描画し、図10の上段に示すような表示(矩形による表示)を行う。
【0163】
このように、無線品質データ可視化システム1000では、無線品質データサーバ1が、ユーザー端末2からの要求信号Req1を受信すると、当該要求信号Req1で要求されている条件を満たすデータ(矩形データの集合データL)を記憶部DB1から読み出し、読み出したデータ(矩形データの集合データL)を含む応答信号Res1をユーザー端末2に送信する。そして、ユーザー端末2は、受信した応答信号Res1に含まれるデータ(矩形データの集合データL)により、矩形データの可視化処理(例えば、描画処理)を実行する。したがって、無線品質データ可視化システム1000では、処理対象のデータ量が膨大である場合であっても、データ表示までの時間遅延を適切に抑制でき、操作性に優れた可視化データ処理方法を実現することができる。つまり、無線品質データ可視化システム1000では、センサ装置S_nodekから取得し、記憶部DB1に記憶されているデータから、データ数削減処理を行うことで、複数のレイヤーの矩形データの集合データLを予め生成し、生成した複数のレイヤーの矩形データの集合データLも記憶部DB1で記憶保持しており、ユーザー端末2から要求信号Req1を受信したときに、当該要求信号Req1が要求する条件を満たすデータを、記憶部DB1から読み出すだけで取得できる。このため、無線品質データ可視化システム1000では、従来技術のように、データを要求されてから、要求された条件を満たすデータを生成する(集約処理を実行する)ことが不要なので、ユーザー端末2から要求信号Req1を受信してから、当該要求信号の要求する条件を満たす応答信号Res1を生成し、当該応答信号Res1をユーザー端末2に返信するまでの時間を短くすることができる。その結果、ユーザー端末2が、要求信号Req1を無線品質データサーバ1に送信してから、応答信号Res1を受信し、当該応答信号Res1に基づいて、データ表示(矩形データの描画処理)を完了させるまでの時間を短くすることができる。
【0164】
したがって、無線品質データ可視化システム1000では、処理対象のデータ量が膨大である場合であっても、データ表示までの時間遅延を適切に抑制でき、操作性に優れた可視化データ処理方法を実現することができる。
【0165】
≪第1変形例≫
次に、第1実施形態の第1変形例について、説明する。なお、上記実施形態と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0166】
図11は、第1実施形態の第1変形例に係る無線品質データ可視化システム1000Aの概略構成図である。
【0167】
図12は、第1実施形態の第1変形例に係る無線品質データサーバ1Aおよびユーザー端末2の概略構成図である。
【0168】
本変形例の無線品質データ可視化システム1000Aは、第1実施形態の無線品質データ可視化システム1000において、無線品質データサーバ1を無線品質データサーバ1Aに置換した構成を有している。
【0169】
本変形例の無線品質データサーバ1Aは、図12に示すように、第1実施形態の無線品質データサーバ1において、可視化データ取得処理部14を可視化データ取得処理部14Aに置換し、さらに、第2記憶部16を追加した構成を有している。それ以外については、本変形例の無線品質データサーバ1Aは、無線品質データサーバ1と同様である。
【0170】
可視化データ取得処理部14Aは、可視化データ取得処理部14の機能に加えて、プリフェッチ用データを記憶部DB1から読み出し、読み出したプリフェッチ用データを第2記憶部16に記憶する(データ書き込みする)。また、可視化データ取得処理部14Aは、サーバ側通信インターフェース15から入力される要求信号Req1を解析し、当該要求信号Req1が要求しているデータが、第2記憶部16に記憶したプリフェッチ用データに含まれるデータであるかいなかの判定処理を行う。そして、可視化データ取得処理部14は、要求信号Req1が要求しているデータが、第2記憶部16に記憶したプリフェッチ用データに含まれるデータであると判定した場合、第2記憶部16からデータを読み出し、要求信号Req1が要求する条件を満たすデータを含む応答信号Res1を生成し、当該応答信号Res1をサーバ側通信インターフェース15に出力する。
【0171】
一方、可視化データ取得処理部14は、要求信号Req1が要求しているデータが、第2記憶部16に記憶したプリフェッチ用データ(詳細については後述)に含まれるデータではないと判定した場合、第1実施形態と同様に、記憶部DB1からデータを読み出し、要求信号Req1が要求する条件を満たすデータを含む応答信号Res1を生成し、当該応答信号Res1をサーバ側通信インターフェース15に出力する。
【0172】
第2記憶部16は、記憶部DB1よりも高速にデータの読み出し処理/書き込み処理ができる記憶部であり、例えば、キャッシュメモリ等を用いて実現される。第2記憶部16は、プリフェッチ用データを記憶するための記憶部であり、可視化データ取得処理部14からの書き込み指令に従い、データの書き込み処理を行い、また、可視化データ取得処理部14からの読み出し指令に従い、データの読み出し処理を行う。
【0173】
以上のように構成された無線品質データ可視化システム1000Aの動作について、以下説明する。
【0174】
図13は、無線品質データ可視化システム1000Aで実行される処理を説明するための図(シーケンス図)である。
【0175】
図14は、プリフェッチするデータを説明するための図である。
【0176】
本変形例の無線品質データ可視化システム1000Aでは、ユーザー端末2が無線品質データサーバ1Aから、要求信号Req1により、取得したデータ(矩形データの集合データL)を表示している場合において、当該表示対象としているデータの近傍のデータを、無線品質データサーバ1において、予め取得するプリフェッチ処理を実行する点が、第1実施形態とは異なる。これについて、以下説明する。
【0177】
例えば、図14に示すように、ユーザー端末2において、現在、レイヤーiが「2」である矩形データの集合データL(=L)の時刻t~tまでの期間のデータ(図14のD_nowで示したデータ)が表示処理(描画処理)の対象となっている場合、ユーザーが、ユーザー端末2において、次に表示処理(描画処理)の対象にしたいと考える可能性が高いデータは以下のものである。
(1)レイヤーが同一のデータであって、現在表示中のデータ(データD_now)よりも前のデータ(図14において、Ds_pftch_beforeで示したデータ)(表示範囲(表示期間)を前にシフトさせる処理に対応)
(2)レイヤーが同一のデータであって、現在表示中のデータ(データD_now)よりも後のデータ(図14において、Ds_pftch_afterで示したデータ)(表示範囲(表示期間)を後ろにシフトさせる処理に対応)
(3)現在表示中のデータ(データD_now)のレイヤーよりも1つ上の階層のレイヤー(図14の場合、レイヤー3(L))であって、現在表示中のデータ(データD_now)の表示期間[t:t]を含むデータ(図14において、DH_pftchで示したデータ)(表示範囲(表示期間)を広げる処理に対応)
(4)現在表示中のデータ(データD_now)のレイヤーよりも1つ下の階層のレイヤー(図14の場合、レイヤー1(L))であって、現在表示中のデータ(データD_now)の表示期間[t:t]の中心の時刻tを含むデータ(図14において、DL_pftchで示したデータ)(表示範囲(表示期間)を狭める処理(詳細部分を表示する処理)に対応)
無線品質データサーバ1Aは、上記のような次にユーザー端末2から要求される可能性が高いデータをプリフェッチ用データとして、記憶部DB1から読み出す。そして、記憶部DB1から読み出したプリフェッチ用データを高速でデータの読み出し処理/書き込み処理を実行できる第2記憶部16に記憶しておく。
【0178】
図13に示すように、無線品質データサーバ1Aの可視化データ取得処理部14Aは、時刻tv11~tv12の期間において、要求信号Req1を受信したときに、当該要求信号Req1が要求しているデータの近傍のデータ(上記(1)~(4)に相当するデータ)をプリフェッチ用データとして、記憶部DB1から取得する処理(プリフェッチ処理(図13の時刻tv11~tv12の期間において実行される処理))を、通常の可視化データ取得処理(第1実施形態と同様の可視化データ取得処理)と並行して実行する。なお、プリフェッチ用データ(上記(1)~(4)に相当するデータ)は、要求信号Req1で指定されているN(UE1)以下となる数とすることが好ましい。
【0179】
そして、可視化データ取得処理部14Aは、次に、ユーザー端末2から要求信号Req1を受信したときに、当該要求信号Req1を解析し、当該要求信号Req1が要求しているデータが、第2記憶部16に記憶したプリフェッチ用データに含まれるデータであるかいなかの判定処理を行う。そして、可視化データ取得処理部14は、要求信号Req1が要求しているデータが、第2記憶部16に記憶したプリフェッチ用データに含まれるデータであると判定した場合、第2記憶部16からデータを読み出し、要求信号Req1が要求する条件を満たすデータを含む応答信号Res1を生成する(図13の時刻t22~t23の可視化データ取得処理)。
【0180】
そして、可視化データ取得処理部14Aは、生成した応答信号Res1をサーバ側通信インターフェース15に出力し、ユーザー端末2に送信する。
【0181】
ユーザー端末2は、無線品質データサーバ1Aから受信した応答信号Res1を用いて、第1実施形態と同様の可視化処理を実行し、データ表示処理(データ描画処理)を実行する。
【0182】
図13から分かるように、プリフェッチ用データを用いて可視化データ取得処理が実行される場合、プリフェッチ用データは、高速で読み出すことができる第2記憶部16から読み出されるため、通常の可視化データ取得処理(第1実施形態の可視化データ取得処理、図13の時刻t12~t13の可視化データ取得処理)よりも短い時間で処理を完了させることができる。その結果、ユーザー端末2が要求信号Req1を無線品質データサーバ1Aに送信してから、応答信号Res1を受信するまでの時間が短くなり、可視化処理を完了させるまでの時間を短くすることができる。
【0183】
以上のように、本変形例の無線品質データ可視化システム1000Aでは、プリフェッチ処理を行うので、可視化処理を完了させるまでの時間をさらに短くすることができる。したがって、本変形例の無線品質データ可視化システム1000Aでは、処理対象のデータ量が膨大である場合であっても、データ表示までの時間遅延を適切に抑制でき、操作性に優れた可視化データ処理方法を実現することができる。
【0184】
≪第2変形例≫
次に、第1実施形態の第2変形例について、説明する。なお、上記実施形態、上記変形例と同様の部分については、同一符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0185】
図15は、第1実施形態の第2変形例に係る無線品質データ可視化システム1000Bの概略構成図である。
【0186】
図16は、第1実施形態の第2変形例に係る無線品質データサーバ1およびユーザー端末2Aの概略構成図である。
【0187】
本変形例の無線品質データ可視化システム1000Bは、第1実施形態の無線品質データ可視化システム1000において、ユーザー端末2をユーザー端末2Aに置換した構成を有している。
【0188】
本変形例のユーザー端末2Aは、図16に示すように、第1実施形態のユーザー端末2において、端末側通信インターフェース21を端末側通信インターフェース21Aに置換し、可視化処理部22を可視化処理部22Aに置換し、さらに、プリフェッチ処理部23と、端末側プリフェッチ用記憶部24とを追加した構成を有している。それ以外については、本変形例のユーザー端末2Aは、ユーザー端末2と同様である。
【0189】
端末側通信インターフェース21Aは、第1実施形態の端末側通信インターフェース21の機能に加えて、以下の機能を有する。端末側通信インターフェース21Aは、プリフェッチ処理部23から出力される要求信号Req2を入力し、当該要求信号Req2を含むデータDo(Req2)を無線品質データサーバ1に送信する。また、端末側通信インターフェース21Aは、無線品質データサーバ1から、要求信号Req2に対応する応答信号Res2を含むデータDo(Res2)を受信し、当該データDo(Res2)から応答信号Res2を取得し、取得して応答信号Res2をプリフェッチ処理部23に出力する。
【0190】
可視化処理部22Aは、可視化処理部22の機能に加えて、以下の機能を有している。可視化処理部22Aは、現在、描画処理の対象となっているデータを特定するための情報(例えば、表示範囲、または、表示期間を特定するための情報)をデータInfo_nowとしてプリフェッチ処理部23に出力する。
【0191】
また、ユーザーからの指示内容を示す制御信号Usr_ctlに従い、現在ユーザー端末2Aにおいて表示されているデータの表示範囲を変更する場合、可視化処理部22Aは、当該表示範囲のデータ(表示対象のデータ)が、端末側プリフェッチ用記憶部24に記憶されているか否かを判定する。そして、可視化処理部22Aは、表示対象のデータが端末側プリフェッチ用記憶部24に記憶されていると判定した場合、表示対象のデータを読み出す指令信号R_cmdを端末側プリフェッチ用記憶部24に出力し、端末側プリフェッチ用記憶部24から、読み出し指令信号R_cmdで要求したデータをデータD2_preとして読み出す(取得する)。そして、可視化処理部22Aは、取得したデータD2_preを描画する処理を実行する。
【0192】
一方、可視化処理部22Aは、表示対象のデータが端末側プリフェッチ用記憶部24に記憶されていないと判定した場合、第1実施形態と同様の処理を行い、当該表示データを、無線品質データサーバ1に対して要求する処理を行う。
【0193】
プリフェッチ処理部23は、可視化処理部22Aから現在、描画処理の対象となっているデータを特定するための情報を含むデータInfo_nowを入力する。そして、プリフェッチ処理部23は、データInfo_nowに基づいて、現在、描画処理の対象となっているデータの近傍データであるプリフェッチ用データを要求する要求信号Req2を生成し、生成した当該要求信号Req2を端末側通信インターフェース21Aに出力する。また、プリフェッチ処理部23は、要求信号Req2に対応する応答信号Res2を端末側通信インターフェース21Aから入力し、当該応答信号Res2に含まれるデータを取り出し、当該データをデータD1_preとして、端末側プリフェッチ用記憶部24に記憶する。
【0194】
端末側プリフェッチ用記憶部24は、データの読み出し処理/書き込み処理ができる記憶部である。端末側プリフェッチ用記憶部24は、プリフェッチ処理部23からのデータ書き込み指令に従い、プリフェッチ処理部23から出力されるデータD1_preを記憶する(データ書き込み処理を行う)。また、可視化処理部22Aからのデータ読み出し指令R_cmdに従い、データ読み出し指令R_cmdで指示されたデータをデータD2_preとして読み出し、当該データD2_preを可視化処理部22Aに出力する。
【0195】
以上のように構成された無線品質データ可視化システム1000Bの動作について、以下説明する。
【0196】
図17は、無線品質データ可視化システム1000Bで実行される処理を説明するための図(シーケンス図)である。
【0197】
図18は、プリフェッチするデータを説明するための図である。
【0198】
本変形例の無線品質データ可視化システム1000Bでは、ユーザー端末2が無線品質データサーバ1Aから、要求信号Req1により、取得したデータ(矩形データの集合データL)を表示している場合において、当該表示対象としているデータの近傍のデータを、無線品質データサーバ1において、予め取得するプリフェッチ処理を実行する点が、第1実施形態とは異なる。第1変形例の無線品質データ可視化システム1000Aでは、プリフェッチ処理により取得したデータを無線品質データサーバ1側で記憶保持していたが、第2変形例の無線品質データ可視化システム1000Bでは、ユーザー端末2が表示処理(描画処理)を実行しているのと並行して、表示対象としているデータの近傍のデータを無線品質データサーバ1から取得し、取得したデータをユーザー端末2A側で記憶保持する。
【0199】
以下、無線品質データ可視化システム1000Bの動作について、説明する。
【0200】
例えば、図18に示すように、ユーザー端末2において、現在、レイヤーiが「2」である矩形データの集合データL(=L)の時刻t~tまでの期間のデータ(図18のD_nowで示したデータ)が表示処理(描画処理)の対象となっている場合、ユーザーが、ユーザー端末2において、次に表示処理(描画処理)の対象にしたいと考える可能性が高いデータは以下のものである。
(1)レイヤーが同一のデータであって、現在表示中のデータ(データD_now)よりも前のデータ(図18において、Ds_pftch_beforeで示したデータ)(表示範囲(表示期間)を前にシフトさせる処理に対応)
(2)レイヤーが同一のデータであって、現在表示中のデータ(データD_now)よりも後のデータ(図18において、Ds_pftch_afterで示したデータ)(表示範囲(表示期間)を後ろにシフトさせる処理に対応)
(3)現在表示中のデータ(データD_now)のレイヤーよりも1つ上の階層のレイヤー(図18の場合、レイヤー3(L))であって、現在表示中のデータ(データD_now)の表示期間[t:t]を含むデータ(図18において、DH_pftchで示したデータ)(表示範囲(表示期間)を広げる処理に対応)
(4)現在表示中のデータ(データD_now)のレイヤーよりも1つ下の階層のレイヤー(図18の場合、レイヤー1(L))であって、現在表示中のデータ(データD_now)の表示期間[t:t]の中心の時刻tを含むデータ(図18において、DL_pftchで示したデータ)(表示範囲(表示期間)を狭める処理(詳細部分を表示する処理)に対応)
無線品質データサーバ1Aは、上記のような次にユーザー端末2から要求される可能性が高いデータをプリフェッチ用データとして、記憶部DB1から読み出す。そして、記憶部DB1から読み出したプリフェッチ用データを高速でデータの読み出し処理/書き込み処理を実行できる第2記憶部16に記憶しておく。
【0201】
ユーザー端末2Aの可視化処理部22Aは、現在、描画処理の対象がデータD_nowである場合、当該データD_nowの可視化処理を実行するとともに、現在、描画処理の対象がデータD_nowを特定するためのデータInfo_nowを生成し、当該データInfo_nowをプリフェッチ処理部23に出力する。
【0202】
プリフェッチ処理部23は、データInfo_nowに基づいて、現在、描画処理の対象となっているデータD_nowの近傍データであるプリフェッチ用データ(上記の(1)~(4)のデータの少なくとも1つを含むデータ)を要求する要求信号Req2を生成する。
【0203】
そして、ユーザー端末2Aは、端末側通信インターフェース21Aを介して、要求信号Req2を含む送信データDo(Req2)を無線品質データサーバ1に送信し、無線品質データサーバ1は、当該送信データDo(Req2)を受信する(図17の時刻tb11~tb12の処理)。
【0204】
無線品質データサーバ1は、第1実施形態と同様の処理により、送信データDo(Req2)から要求信号Req2を取り出し、当該要求信号Req2が要求している条件を満たすデータを取得し、当該データを含めた応答信号Res2を生成する(図17の時刻tb12~tb13の処理)。そして、無線品質データサーバ1は、当該応答信号Res2を含む送信データDo(Res2)をユーザー端末2Aに送信し、ユーザー端末2Aは、当該送信データDo(Res2)を受信する(図17の時刻tb13~tb14の処理)。
【0205】
端末側通信インターフェース21Aは、受信データDo(Res2)から応答信号Res2を取り出し、当該応答信号Res2をプリフェッチ処理部23に出力する。
【0206】
プリフェッチ処理部23は、要求信号Req2に対応する応答信号Res2を端末側通信インターフェース21Aから入力し、当該応答信号Res2に含まれるデータ(プリフェッチ用データ)を取り出し、当該データ(プリフェッチ用データ)をデータD1_preとして、端末側プリフェッチ用記憶部24に記憶する(図17の時刻tb14~tb15の処理)。
【0207】
そして、例えば、図17の時刻tv16において、現在ユーザー端末2Aにおいて表示されているデータD_nowの表示範囲を変更することを指示する制御信号Usr_ctlが、可視化処理部22Aに入力されたとする。この場合、可視化処理部22Aは、変更後の表示範囲のデータ(表示対象のデータ)が、端末側プリフェッチ用記憶部24に記憶されているか否かを判定する。そして、可視化処理部22Aは、表示対象のデータが端末側プリフェッチ用記憶部24に記憶されていると判定した場合、表示対象のデータを読み出す指令信号R_cmdを端末側プリフェッチ用記憶部24に出力し、端末側プリフェッチ用記憶部24から、読み出し指令信号R_cmdで要求したデータをデータD2_preとして読み出す(取得する)。
【0208】
図17の場合において、変更後の表示範囲のデータが、時刻tb15までに、端末側プリフェッチ用記憶部24に記憶されたプリフェッチ用データに含まれるデータであるとすると、可視化処理部22Aは、変更後の表示範囲のデータを端末側プリフェッチ用記憶部24から読み出す(図17の時刻tv16~tv17の処理)。
【0209】
そして、可視化処理部22Aは、端末側プリフェッチ用記憶部24から読み出したデータ(データD2_pre)を可視化する処理(描画処理)を実行する(図17の時刻tv17~tv18の処理)。
【0210】
このように、現在ユーザー端末2Aにおいて表示されているデータD_nowの表示範囲を変更するときに、変更後の表示範囲のデータを端末側プリフェッチ用記憶部24から取得できる場合、ユーザー端末2Aは、無線品質データサーバ1に要求信号を送信することなく、端末側プリフェッチ用記憶部24から該当するデータを読み出すだけでよいので、可視化処理を完了させるまでの時間をさらに短くすることができる。
【0211】
以上のように、本変形例の無線品質データ可視化システム1000Bでは、プリフェッチ処理を行うので、可視化処理を完了させるまでの時間をさらに短くすることができる。したがって、本変形例の無線品質データ可視化システム1000Bでは、処理対象のデータ量が膨大である場合であっても、データ表示までの時間遅延を適切に抑制でき、操作性に優れた可視化データ処理方法を実現することができる。
【0212】
[他の実施形態]
上記実施形態(変形例を含む)では、無線品質データ可視化システム1000、1000Aが図1図11の構成の場合を例に説明したが、無線品質データ可視化システムの構成は、上記(図1図11等)に限定されるものではなく、センサ装置の位置、数等は、上記以外のものであってもよい。また、上記では、センサ装置が、通信機器とは別個に存在している場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、通信機器がセンサ装置を含む、あるいは、付加されたものであってもよい。また、無線品質データサーバ1、1Aと、ユーザー端末2とは、同一装置により実現されるものであってもよい。
【0213】
また、上記実施形態(変形例を含む)では、無線品質データ可視化システム1000、1000Aにおいて、ユーザー端末2が要求信号Req1に、ユーザー端末2の描画処理性能の指標となるデータN(UE1)(ユーザー端末2において描画処理が所定の時間内に完了させることができる矩形データの数を示すデータN(UE1))を含めて送信することで、データN(UE1)を、ユーザー端末2から無線品質データサーバ1、1Aに通知する場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、ユーザー端末2から無線品質データサーバ1、1Aに事前にデータN(UE1)を通知する、あるいは、所定の周期で、所定の通信パケットにより、ユーザー端末2から無線品質データサーバ1、1Aに事前にデータN(UE1)を通知するようにしてもよい。
【0214】
また、上記実施形態(変形例を含む)で説明した無線品質データ可視化システム、無線品質データサーバ、ユーザー端末において、各ブロックは、LSIなどの半導体装置により個別に1チップ化されても良いし、一部又は全部を含むように1チップ化されても良い。
【0215】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0216】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサーを利用しても良い。
【0217】
また、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、プログラムにより実現されるものであってもよい。そして、上記各実施形態の各機能ブロックの処理の一部または全部は、コンピュータにおいて、中央演算装置(CPU)により行われる。また、それぞれの処理を行うためのプログラムは、ハードディスク、ROMなどの記憶装置に格納されており、ROMにおいて、あるいはRAMに読み出されて実行される。
【0218】
また、上記実施形態の各処理をハードウェアにより実現してもよいし、ソフトウェア(OS(オペレーティングシステム)、ミドルウェア、あるいは、所定のライブラリとともに実現される場合を含む。)により実現してもよい。さらに、ソフトウェアおよびハードウェアの混在処理により実現しても良い。
【0219】
また、例えば、上記実施形態(変形例を含む)の各機能部を、ソフトウェアにより実現する場合、図19に示したハードウェア構成(例えば、CPU、ROM、RAM、入力部、出力部等をバスBusにより接続したハードウェア構成)を用いて、各機能部をソフトウェア処理により実現するようにしてもよい。
【0220】
また、上記実施形態における処理方法の実行順序は、必ずしも、上記実施形態の記載に制限されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で、実行順序を入れ替えることができるものである。
【0221】
前述した方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、本発明の範囲に含まれる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-ROM、MO、DVD、DVD-ROM、DVD-RAM、大容量DVD、次世代DVD、半導体メモリを挙げることができる。
【0222】
上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【0223】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【符号の説明】
【0224】
1000、1000A、1000B 無線品質データ可視化システム
1、1A 無線品質データサーバ
2、2A ユーザー端末
S_node1~S_node3 センサ装置
13 データ数削減処理部
14、14A 可視化データ取得処理部
DB1 記憶部
16 第2記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19