IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ブルーブックスの特許一覧

特許7438784医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法
<>
  • 特許-医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法 図1
  • 特許-医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法 図2
  • 特許-医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法 図3
  • 特許-医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法 図4
  • 特許-医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法 図5
  • 特許-医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/00 20180101AFI20240219BHJP
【FI】
G16H10/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020025888
(22)【出願日】2020-02-19
(65)【公開番号】P2021131656
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-10-07
(73)【特許権者】
【識別番号】508014464
【氏名又は名称】株式会社ブルーブックス
(74)【代理人】
【識別番号】100135781
【弁理士】
【氏名又は名称】西原 広徳
(72)【発明者】
【氏名】志茂 英之
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-204378(JP,A)
【文献】特開2011-164670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の医療データを記憶する記憶手段と、
抽出したい前記医療データの抽出条件の指定を受け付ける抽出条件指定受付手段と、
前記抽出条件に該当するデータを前記医療データから抽出する該当データ抽出手段と、
前記該当データ抽出手段により抽出した抽出データを加工する加工手段と、
前記加工手段で加工した加工後データを出力する出力手段とを備え
前記抽出条件指定受付手段は、
男性と女性で適正値が異なる抽出項目について、男性の抽出条件を指定する男性抽出条件指定部と女性の抽出条件を指定する女性抽出条件指定部を備えている
医療データ提供システム。
【請求項2】
前記加工手段は、
前記加工後データにおいて所定人数以下になる少人数項目が存在した場合に当該少人数項目については人数を表示せずに代わりの印を表示する構成である
請求項1記載の医療データ提供システム。
【請求項3】
コンピュータを、
人の医療データを記憶する記憶手段と、
抽出したい前記医療データの抽出条件の指定を受け付ける抽出条件指定受付手段と、
前記抽出条件に該当するデータを前記医療データから抽出する該当データ抽出手段と、
前記該当データ抽出手段により抽出した抽出データを加工する加工手段と、
前記加工手段で加工した加工後データを出力する出力手段として機能させ
前記抽出条件指定受付手段は、
男性と女性で適正値が異なる抽出項目について、男性の抽出条件を指定する男性抽出条件指定部と女性の抽出条件を指定する女性抽出条件指定部を備えている
医療データ提供プログラム。
【請求項4】
人の医療データを記憶手段に記憶し、
抽出したい前記医療データの抽出条件の指定を抽出条件指定受付手段により受け付け、
前記抽出条件に該当するデータを前記医療データから該当データ抽出手段により抽出し、
前記該当データ抽出手段により抽出した抽出データを加工手段により加工し、
前記加工手段で加工した加工後データを出力手段により出力する
前記抽出条件指定受付手段は、
男性と女性で適正値が異なる抽出項目について、男性の抽出条件を指定する男性抽出条件指定部と女性の抽出条件を指定する女性抽出条件指定部を備えている
医療データ提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、健康診断または/及び診察等の検査により得られた検査データを利用するような医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関において健康診断や診察等、様々な検査が行われ、検査データが取得されている。これらの検査データは、患者である被験者の個人データと共に電子カルテ等によって管理され、医療機関内で必要に応じて利用される。
このような検査データを利用するシステムとして、例えば、複数の医療機関端末から取得した電子カルテ上の採用薬剤に関する情報を、医療機関の所在地の属する地域と関連付けて、採用薬剤データベースとし、地域別の採用薬剤に関する統計情報を事業者に提供するシステムが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、このシステムは、地域別の採用薬剤を統計できるにすぎず、それ以外の様々な分析に利用できるようなものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-081529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明は、上述の問題に鑑みて、多人数の検査データを様々な観点で分析できる医療データ提供システム、医療データ提供プログラム、および医療データ提供方法を提供し、検査データの利用者の満足度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、人の医療データを記憶する記憶手段と、抽出したい前記医療データの抽出条件の指定を受け付ける抽出条件指定受付手段と、前記抽出条件に該当するデータを前記医療データから抽出する該当データ抽出手段と、前記該当データ抽出手段により抽出した抽出データを加工する加工手段と、前記加工手段で加工した加工後データを出力する出力手段とを備えた医療データ提供システムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
この発明により、多人数の検査データを様々な観点で分析でき、検査データの利用者の満足度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】医療データ提供システムのシステム構成を示すブロック図。
図2】各種データのデータ構成を説明する説明図。
図3】検索対象フィルタ画面の画面構成図。
図4】検索結果フォーマット選択画面と検査項目と条件設定画面の説明図。
図5】検査項目選択画面と検索結果テーブル形式表示画面の説明図。
図6】検索結果ヒストグラム形式表示画面の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、医療データ提供システム1のシステム構成を示すブロック図である。
医療データ提供システム1は、個人データサーバ10と、データ提供用サーバ20と、複数のデータ収集用端末30と、複数のデータ利用端末40がインターネット3に通信可能に接続されて構成されている。
【0009】
個人データサーバ10、データ提供用サーバ20、データ収集用端末30、およびデータ利用端末40は、CPUとROMとRAMを備えて各種の演算処理および制御処理を実行する制御部11,21,31,41と、キーボードとマウス等で構成されて操作者の入力を受け付ける入力部12,22,32,42と、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイ等のディスプレイで構成されて各種の表示を行う表示部13,23,33,43と、LANボードまたは無線LANカード等の通信機器によって構成されて図示省略するルータ等を通じたインターネット3との無線または有線の通信を行う通信部14,24,34,44、各種のプログラムおよびデータを記憶するハードディスクまたは不揮発性メモリ等で構成される記憶部15,25,35,45を有している。
【0010】
個人データサーバ10の記憶部15は、個人データを管理する個人データ管理用プログラム16と、医療データ17が記憶されている。
データ提供用サーバ20の記憶部25は、医療データ17を加工した提供用医療データ27と、この提供用医療データ27への加工や要求された条件に該当する提供用医療データ27の提供を行うデータ提供用プログラム26が記憶されている。
【0011】
このデータ提供用プログラム26は、検索条件(抽出条件)の指定と出力形式(テーブル形式かヒストグラム形式か)の指定を受け付けるとともに、検索結果(抽出結果)を出力する前に、個人を特定し得る特異診断値を有する人物のデータが含まれていた場合に、当該データの少なくとも前記特異診断値を除外する構成となっている。具体的には、検索条件として指定された地域および性別の範囲内における最大身長所持者、最小身長所持者、最大体重所持者、最小体重所持者、および最大年齢所持者を少なくとも前記特異診断値として除外する構成となっている。
【0012】
複数のデータ収集用端末30の記憶部35は、診察結果や検査結果から検査データを収集する検査データ収集用プログラム36と、一時的に収集した検査データ37が記憶されている。
【0013】
複数のデータ利用端末40の記憶部45は、データ提供用サーバ20にアクセスして提供用医療データを抽出するデータ閲覧用プログラムが記憶されている。
【0014】
図2は、各種データのデータ構成を説明する説明図である。図2(A)は、提供用医療データ27の項目を示すデータ構成図であり、図2(B)は、データ提供用プログラム26が利用する個人データのデータ構成図であり、図2(C)は、データ提供用プログラム26が利用する施設データのデータ構成図であり、図2(D)は、データ提供用プログラム26が利用する変換用データのデータ構成図である。
【0015】
図2(A)に示す提供用医療データ27は、データナンバー、データ取得日、被験者識別コード、施設識別コード、地域、生年月日、性別、height、weight、Waist circumference、Waist circumference(navel)、ALT(GPT)、AST(GOT)、Creatinine、Diastolic blood pressure (1st)、Diastolic blood pressure (2nd)、Diastolic blood pressure (average)、eGFR、Fasting blood sugar、Gamma GTP、Inspection method of Gamma GTP、HbA1c(JDS)、HbA1c(NGSP)、HDL cholesterol、LDL cholesterol、Postprandial blood sugar、Syotolic blood pressure (1st)、Syotolic blood pressure (2nd)、Syotolic blood pressure (average)、Trigliceride、Trigliceride(fasting)、Trigliceride(Postprandial)、uric acid、Urinary occult blood、Urine protein、Urine sugar、Medication 1(blood pressure)、Medication 2(blood sugar)、Medication 3(lipid)、ECG findings、ECG findings / Presence、Past Medical history 1 (stroke)、Past Medical history 2 (heart disease)、Past Medical history 3 (kidney disease)、Health guidance level、Hope for health guidance、Drinking、Alcohol consumption、How to eat 1 (fast eating)、およびHow to eat 2 (before sleep)の各項目を有している。
【0016】
これらの各項目は、メジャーや体重計等での測定によって得られる測定データ、血液検査によって得られる血液検査データ、尿検査によって得られる尿検査データ、エコー診断やMRIやレントゲン等の検査装置によって得られる検査装置データ等、様々な方法によって得られるデータが含まれている。
【0017】
この提供用医療データ27により、何歳の男性または女性がいつどこで検査をしたデータか、およびそのときの検査値がどうであったかというデータを利用できる。また、個人の氏名や住所といった個人情報が削除されているため、匿名化された検査データとして利用できる。
【0018】
図2(B)に示す個人データは、被験者ナンバー、被験者識別コード、氏名、住所、電話番号、Eメールアドレス、生年月日、および性別の各項目を有している。これにより、検査データと個人データを被験者識別コードで紐づけ、特定の検査データを有する個人に連絡を取る必要等がある場合に、その個人にアクセスすることが可能となる。なお、個人データと提供用医療データ27の連結(紐づけ)は、被験者識別コードによる方法に限らず、暗号化等を用いた適宜の方法で実施することができる。
【0019】
図2(C)に示す施設データは、施設ナンバー、施設識別コード、施設名、および施設住所の各項目を有している。これにより、提供用医療データ27の各データについて、どの施設で取得されたものかを施設ナンバーから特定することが可能となる。したがって、ある検査データを取得した施設(医療機関)にアクセスしたい場合に、アクセスすることが可能となる。
【0020】
図2(D)に示す変換用データは、データナンバー、施設識別コード、施設個別項目、および対応共通項目の各項目を有している。これにより、検査データとしては同じ項目であるが、施設毎に異なる名称(施設個別項目)で管理されているような場合に、この名称を共通名称(共通項目)に変換することができる。このように共通化したデータで提供用医療データ27を構成することで、多数の医療機関による多種多様なデータを共通化して便利に利用することができる。
【0021】
図3は、検索対象フィルタ画面101の画面構成図である。
検索対象フィルタ画面101は、地域を選択する地域選択部と、医療データソースを健康診断または/および病院から選択する医療データソース選択部と、特定健康診断、一般健康診断、特殊健康診断、および学童検診から健診コースを選択する検診コース選択部と、年度または期間(範囲)を指定する期間指定部と、性別を男性、女性、または両方から選択する性別選択部と、年齢を10歳単位の世代別か年齢範囲で指定する年齢範囲指定部を有している。
【0022】
また、検索対象フィルタ画面101は、検索条件解除ボタン102と、次の画面へ進む次へボタン103を備えている。
【0023】
図4(A)は、検索結果フォーマット選択画面110の画面構成図である。
検索結果フォーマット選択画面110は、検索結果をテーブル形式で表示するかヒストグラム形式で表示するかを選択する表示形式選択部と、前の画面へ戻るための戻るボタン111と、次の画面へ進む次へボタン112を備えている。
【0024】
図4(B)は、検査項目と条件設定画面120の画面構成図である。
検査項目と条件設定画面120は、検査項目リスト選択部121と、検査項目リスト選択部121で選択された検査項目を選択済み検査項目一覧表示部へ追加する検査項目追加ボタン122と、選択済み検査項目一覧表示部と、戻るボタン128と、次へボタン129を備えている。
【0025】
選択済み検査項目一覧表示部は、選択済み検査項目の左側に設けられた選択チェックボックス123と、各検査項目に設けられた下限指定部124および上限指定部125と、選択済み検査項目が多い場合に表示内容を上下へ移動させるスクロールバー126を有している。
【0026】
ここで、適正な値が男女共通の検査項目(例えば、AST(GOT)など)は、1つの欄で構成し、適正な値が男女で異なる検査項目(例えば、AST(GPT)など)は、男性用の欄と女性用の欄で2段に構成する。すなわち、検索対象追加ボタン122が1回押下された際に、選択済み検査項目一覧表示部において、適正値が男女共通の検索項目は1段追加し、適正値が男女で異なる検査項目は男性用と女性用で2段追加する。
【0027】
また、この例では、weight(1)、weight(2)、weight(3)のように、同じ検査項目が3つ追加されている。このように同じ検査項目が追加された場合には番号を振って追加される。同じ検査項目については、上限値と下限値をそれぞれ異ならせることで、例えば、体重であれば40kg以下、41kg~70kg、71kg以上といったように、範囲で分けてデータを見れるように設定できる。
【0028】
図5(A)は、検査項目選択画面130の画面構成図である。
検査項目選択画面130は、検査項目選択部131と、スクロールバー132と、戻るボタン138と、次へボタン139を有している。
検査項目選択部131は、検査項目が一覧表示されており、左側の選択ボタンによって選択および選択解除を指定できる構成となっている。
【0029】
図5(B)は、検索結果テーブル形式表示画面140の画面構成図である。
検索結果テーブル形式表示画面140は、共通情報表示部141と、検索条件表示部142と、詳細結果表示部143を有している。
【0030】
共通情報表示部141は、システム名称とバージョン、検索実施日時、およびIDと名称等の検索実行情報を表示する。これによりいつの何の検索であるかを特定できるようにしている。
【0031】
検索条件表示部142は、都道府県名、医療データソース、および検診コースといったように、検索対象フィルタ画面101で指定された内容を表示する。
【0032】
詳細結果表示部143は、検索条件表示部142で指定された検索条件に該当する提供用医療データ27について、検査項目と条件設定画面120で指定された各項目とその値をテーブル形式で一覧表示する。また、値が所定人数以下(例えば10名以下、若しくは5名以下など)になる場合は、人数の代わりに人数非表示マーク143aを表示する。この人数非表示マーク143aは、「*」や「〇」など適宜の表示とすることができる。
【0033】
図6(A)は、検索結果ヒストグラム形式表示画面150の画面構成図である。
検索結果ヒストグラム形式表示画面150は、共通情報表示部151と、検索条件表示部152と、詳細結果表示部153を有している。
【0034】
共通情報表示部151と、検索条件表示部152は、共通情報表示部141と、検索条件表示部142と同じであるからその詳細な説明を省略する。図示の例では、都道府県名、医療データソース、健診コース、年度、性別、年齢、および検査項目と条件値を表示している。
【0035】
詳細結果表示部153は、検索結果をヒストグラム形式で表示する。図示の例では、体重について、40kgから100kgまでの間を10kg単位で棒グラフとし、各範囲の人数を棒グラフの高さとして表示している。
【0036】
図6(B)~図6(E)は、上述した詳細結果表示部153に表示するヒストグラムの他の例である。
図6(B)は、検診受信者年齢を縦棒グラフ形式で表示した例であり、図6(C)は、検診受信者年齢を横棒グラフ形式で表示した例であり、図6(D)は、クレアチニンの分布を縦棒グラフ形式で表示した例であり、図6(E)は、クレアチニンの分布を横棒グラフ形式で表示した例である。
【0037】
以上の構成および動作により、多人数の検査データを様々な観点で分析でき、検査データの利用者の満足度を向上させることができる。
【0038】
データは匿名化されているため、検査データを利用する利用者(例えば研究者や医療従事者など)は、個人情報の取り扱いのリスクを持つことなく多人数の検査データを自由に分析することができる。
【0039】
男性と女性とで適正範囲の異なる検査項目は、男女別々に上限や下限を指定できるため、男女それぞれについて適切な分析を行うことができる。
【0040】
また、個人を特定し得る特異診断値を有する人物の検査データは、少なくともその特異診断値が除外されるか特定できないように表示されるため、検査データから個人が特定されてしまうことを防止できる。すなわち、例えば、その地域で最大身長の人物が検索条件内にヒットしている場合に、その最大身長の人物のデータが1件としてヒストグラムやテーブルに表示されると、最大身長者の1件のデータであることからその人物のデータであることがわかり、特に最大身長者の他のデータを調べるといったことを防止できる。
【0041】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
この発明は、人物の健康診断や医療における検査等にて得られた検査データを分析等に利用する産業に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1…医療データ提供システム

図1
図2
図3
図4
図5
図6