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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】成形用金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/38 20060101AFI20240219BHJP
   B29C 33/42 20060101ALI20240219BHJP
   G02B 5/12 20060101ALI20240219BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240219BHJP
   B29L 11/00 20060101ALN20240219BHJP
【FI】
B29C33/38
B29C33/42
G02B5/12
F21V7/00 100
B29L11:00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020028594
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021133508
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】皆川 敬
(72)【発明者】
【氏名】及川 進
(72)【発明者】
【氏名】河波 英明
(72)【発明者】
【氏名】千葉 一義
(72)【発明者】
【氏名】橋本 佳拡
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-231010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/38
B29C 33/42
G02B 5/12
F21V 7/00
B29L 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再帰反射板を成形する成形用金型において、
第1の金型部材と、
第2の金型部材と、
を有し、
前記第1の金型部材と第2の金型部材とを接触させることにより、前記再帰反射板を成形する転写面には再帰反射可能な反射面を成形用の凹部が成形され
前記第1の金型部材は、第1の面と第2の面とを有し、
前記第2の金型部材は、第3の面を有し、
前記第1の金型部材と第2の金型部材とを接触させることにより、前記第1の面と、前記第2の面と、前記第3の面により、前記凹部が成形され、
前記第1の金型部材は、板状であって、第1の基板面と、前記第1の基板面とは反対の第2の基板面とを有しており、
前記第2の金型部材は、板状であって、第1の基板面と、前記第1の基板面とは反対の第2の基板面とを有しており、
前記第1の金型部材の前記第2の基板面と、前記第2の金型部材の第2の基板面とを接触させることにより、前記第1の面と、前記第2の面と、前記第3の面により、前記凹部が成形され、
複数の前記第1の金型部材及び前記第2の金型部材を有し、
2つの前記第1の金型部材の前記第1の基板面同士は接触しており、
2つの前記第2の金型部材の前記第1の基板面同士は接触している
ことを特徴とする成形用金型。
【請求項2】
再帰反射板を成形する成形用金型において、
第1の金型部材と、
第2の金型部材と、
を有し、
前記第1の金型部材と第2の金型部材とを接触させることにより、前記再帰反射板を成形する転写面には再帰反射可能な反射面を成形用の凹部が成形され、
前記第1の金型部材は、複数の第1の面と、複数の第2の面とを有しており、
前記第1の金型部材と前記第2の金型部材とを接触させることにより、複数の前記凹部が成形され、
前記第1の金型部材は、板状であって、第1の基板面と、前記第1の基板面とは反対の第2の基板面とを有しており、
前記第2の金型部材は、板状であって、第1の基板面と、前記第1の基板面とは反対の第2の基板面とを有しており、
前記第2の金型部材は、複数の第3の面を有し、
前記第1の金型部材の前記第2の基板面と、前記第2の金型部材の第2の基板面とを接触させることにより、前記第1の面と、前記第2の面と、前記第3の面により、前記凹部が成形され、
複数の前記第1の金型部材及び前記第2の金型部材を有し、
2つの前記第1の金型部材の前記第1の基板面同士は接触しており、
2つの前記第2の金型部材の前記第1の基板面同士は接触している
ことを特徴とする成形用金型。
【請求項3】
前記第1の金型部材において、前記第1の面及び前記第2の面が成形されている部分は、前記第1の金型部材の前記第2の基板面よりも外側に出っ張っており、
前記第1の金型部材において、前記第1の金型部材の前記第2の基板面よりも外側に出張っている部分には、前記第2の金型部材の前記第3の面と接触する傾斜面が設けられ
ていることを特徴とする請求項1または2に記載の成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形用金型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラスチック等の材料により再帰反射板を成形する際には成形用金型が用いられる。このような成形用金型は、成形用金型を成形するための元となる型を成形し、この型に電鋳工程により金属層を成形することにより成形用金型を作製し、このような成形用金型を用いて、射出成形等により再帰反射板が作製される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4287241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、電鋳工程により元となる型を転写して、反転した形状の成形用金型を作製されるが、成形用金型の内部応力により転写面となる表面の形状に歪みが生じる場合がある。また、成形用金型が転写することにより成形されるため、成形用金型の転写面の平らな部分において平坦性が低下する場合がある。このように、転写面の平らな部分の平坦性が低下した成形用金型を用いて作製された再帰反射板では、所望の再帰反射効率を得ることができない場合がある。
【0005】
このため、より高い再帰反射効率が得られる再帰反射板を成形するための成形用金型が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施の形態の一観点によれば、再帰反射板を成形する成形用金型において、第1の金型部材と、第2の金型部材と、を有し、前記第1の金型部材と第2の金型部材とを接触させることにより、前記再帰反射板を成形する転写面には再帰反射可能な反射面を成形用の凹部が成形されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
開示の成形用金型によれば、成形される再帰反射板の再帰反射効率を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】再帰反射板の説明図
図2】再帰反射板の構造の説明図
図3】再帰反射板による光の反射の説明図(1)
図4】再帰反射板による光の反射の説明図(2)
図5】電鋳により成形される成形用金型を用いた再帰反射板の製造方法の工程図(1)
図6】電鋳により成形される成形用金型を用いた再帰反射板の製造方法の工程図(2)
図7】電鋳により成形される成形用金型を用いた再帰反射板の製造方法の工程図(3)
図8】電鋳により成形される成形用金型を用いた再帰反射板の製造方法の工程図(4)
図9】電鋳により成形される成形用金型を用いた再帰反射板の製造方法の工程図(5)
図10】第1の実施の形態における成形用金型の斜視図
図11】第1の実施の形態における成形用金型の第1の金型部材の斜視図
図12】第1の実施の形態における成形用金型の第1の金型部材の断面図
図13】第1の実施の形態における成形用金型の第1の金型部材の平面図
図14】2枚の第1の金型部材の第1の基板面同士を接触させた状態の断面図
図15】第1の実施の形態における成形用金型の第2の金型部材の斜視図
図16】第1の実施の形態における成形用金型の第2の金型部材の断面図
図17】第1の実施の形態における成形用金型の第2の金型部材の平面図
図18】2枚の第2の金型部材の第1の基板面同士を接触させた状態の断面図
図19】第1の実施の形態における成形用金型の分解斜視図
図20】第1の実施の形態における成形用金型の断面図
図21】第1の実施の形態における成形用金型の説明図
図22】第1の実施の形態における成形用金型を用いた再帰反射板の製造方法の工程図(1)
図23】第1の実施の形態における成形用金型を用いた再帰反射板の製造方法の工程図(2)
図24】第2の実施の形態における成形用金型の断面図
図25】第2の実施の形態における成形用金型の斜視図
図26】第2の実施の形態における成形用金型の変形例の断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。尚、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。また、本願においては、X1-X2方向、Y1-Y2方向、Z1-Z2方向を相互に直交する方向とする。また、X1-X2方向及びY1-Y2方向を含む面をXY面と記載し、Y1-Y2方向及びZ1-Z2方向を含む面をYZ面と記載し、Z1-Z2方向及びX1-X2方向を含む面をZX面と記載する。
【0010】
〔第1の実施の形態〕
最初に、再帰反射板について説明する。再帰反射板は、複数の凹部を有していて、この凹部により光が反射される。再帰反射板の成形用金型を作製するにあたり、前述した凹部に対応する箇所は金属ブロックを切削するのではなく、別途、電鋳工程によって作成された金属部材を取り付けることで作製される。つまり、凹部形状を転写した形状の部材が作製され、この部材に対して電鋳を行い、部材の表面に沿って成形された金属層を分離する。この金属層が前述の金属部材となる。
【0011】
図1に示されるように、再帰反射板10とは、光源20より出射された光が照射されると、照射された光源20に向かって光が反射される反射板である。具体的には、図2に示されるように、再帰反射板10の反射面には、互いに直交する第1の面11、第2の面12、第3の面13が成形されている。例えば、図3に示されるように、再帰反射板10の第1の面11に入射した入射光は、再帰反射板10の第1の面11で反射され、更に、第2の面12において反射され、反射光として反射される。再帰反射板10では、第1の面11と第2の面12は、直角であるため、入射光と反射光とは平行になる。また、図4に示されるように、再帰反射板10の第2の面12に入射した入射光は、再帰反射板10の第2の面12で反射され、更に、第3の面13において反射され、反射光として反射される。よって、どのような方向から入射した入射光であっても、入射光と平行であって反対方向に反射光が反射される。
【0012】
次に、このような再帰反射板10を射出成形により成形する一般的な製造方法について説明する。
【0013】
最初に、図5に示されるように、成形用金型を作製するためのマスターとなる型50を作製する。型50は、上述した第1の面11、第2の面12、第3の面13からなる複数の凹部の形状を転写した形状になっている。即ち、成形用金型で射出成形される再帰反射板10と同じ形状になっている。
【0014】
次に、図6に示されるように、マスターとなる型50の電鋳面50aに電鋳を行い、金属層を成形する。この工程を電鋳工程という。
【0015】
次に、図7に示されるように、マスターとなる型50から電鋳工程で成形した金属層(金属部材)を剥がす。この金属部材が成形用金型60となる。このように成形される成形用金型60の転写面60aには、マスターとなる型50の電鋳面50aの形状を反転した形状が成形される。
【0016】
次に、図8に示されるように、射出成形により成形用金型60の転写面60aに樹脂材料を供給し、硬化させることにより、成形用金型60の転写面60aの形状を転写する。これにより、再帰反射板10を成形する。なお、図示していないが、実際に射出成形をする時には、成形用金型60と対になる成形用金型が成形用金型60の転写面60a側を覆うように配置される。また、電鋳工程よって成形されたプレート状の成形用金型60単品で用いられることはほぼなく、成形用金型60の裏面を金属ブロックなどで補強し、成形用金型の入れ子として使用されることが多い。
【0017】
次に、図9に示されるように、樹脂材料により成形された再帰反射板10を成形用金型60の転写面60aより剥がす。このように作製された再帰反射板10の反射面10aには、成形用金型60の転写面60aの形状を反転した形状が成形される。
【0018】
従って、マスターとなる型50を作製した後、マスターとなる型50を転写することにより成形用金型60を作製し、成形用金型60を転写することにより再帰反射板10を作製している。このため、上記の製造方法では、再帰反射板10を作製する際には、2回転写が行われる。
【0019】
上記の製造方法では、成形用金型60が電鋳により成形されるため、内部応力により成形用金型60に歪みが生じる場合があり、また、成形用金型60の転写面60aにおける平らな部分の平坦性が低下する場合がある。このような成形用金型60を用いて、射出成形により再帰反射板10を作製した場合、再帰反射板10の反射面10aにおける平らな部分の平坦性が低下するため、再帰反射板10における再帰反射効率が低下する。
【0020】
このため、高い再帰反射効率を得ることのできる再帰反射板が求められている。
【0021】
尚、上記のように、再帰反射板10を作製するための成形用金型60を電鋳により作製しているのは以下のような理由からである。再帰反射板10のミラー面を成形する凸部10bの先端10cや凸部10bの各平面の境目となる稜線部分を尖らせるためである。再帰反射板10の凸部10bの先端10cおよび稜線部分が丸まっていると、その分、平面部の面積が小さくなり再帰反射効率が低下してしまう。
【0022】
マスターとなる型50を用いずに成形用金型を作成する場合には、図7に示す凹部60bを切削加工で成形しなければならない。凹部60bの大きさが小さくなるにしたがって、切削工具で凹部60bの最も深い部分60cや凹部60bを成形する各平面の境目となる谷底部分の形状が丸まらないように加工するのは困難になる。これは、切削工具が深い部分60cや谷底部分まで挿入できなくなるためである。また、切削工具を小さくして挿入できたとしても、加工途中に切削工具が頻繁に破損してしまうことが予想される。
【0023】
このため、一般的にはマスターとなる型50を電鋳により転写して成形用金型60を成形することにより、成形用金型60の転写面60aの凹部60bの最も深い部分60cや谷底部分が丸まらないようにしている。即ち、マスターとなる型50の電鋳面50aの凸部50bの先端50cや稜線部は、切削工具による加工でも容易に狙いの形状に成形することができる。このため、マスターとなる型50を転写することにより作製される成形用金型60では、マスターとなる型50の電鋳面50aの凸部50bの先端50cに対応した成形用金型60の転写面60aの凹部60bの最も深い部分60cを尖らせて成形することができる。
【0024】
(成形用金型)
次に、本実施の形態における成形用金型について説明する。図10に示されるように、本実施の形態における成形用金型100は、電鋳を行うことなく作製されるものであり、複数の板状の第1の金型部材110と第2の金型部材120とを組み合わせることにより成形されている。
【0025】
第1の金型部材110は、図11図13に示されるように、略四角形の形状のZX面に略平行な板状の部材であり、第1の基板面110aと、第1の基板面110aとは反対側の第2の基板面110bとを有している。また、第1の金型部材110のZ1側の端には、金型面となる第1の面111及び第2の面112が、X1-X2方向に沿って交互に成形されている。なお、金型面とは、射出成形の際に成形樹脂が流し込まれる空間に露出する面である。このように成形される第1の金型部材110の第1の面111及び第2の面112は、研磨により鏡面となっている。尚、図11は、第1の金型部材110の斜視図であり、図12は断面図であり、図13は平面図である。
【0026】
以下、図11においてY2方向側に配置された第1の金型部材110を参考に説明する。第1の金型部材110のZ1側の端の第1の面111及び第2の面112が交互に成形されている部分においては、第2の基板面110bよりも外側となるY2側に出っ張った突起部115が成形されている。図12に示すように、突起部115はYZ平面で切った断面が略三角形状に成形されている。なお、断面のY2側に突出した頂部は略直角である。前述の頂部を挟んで突起部115のZ2側には、第2の基板面110bに対し傾斜した傾斜面113が成形されている。また、前述のY2側に突出した頂部を挟んで突起部115のZ1側には、第1の面111及び第2の面112がX1-X2方向に交互に並んで成形されている。ある第1の面111と、ある第1の面111とX1側で隣り合う第2の面112と、は境界線を挟んで谷形状を成すように配置され、ある第1の面111と、ある第1の面111とX2側で隣り合う第2の面112と、は境界線を挟んで山形状を成すように配置されている。なお、傾斜面113の法面方向から見たときに、隣り合う第1の面111と第2の面112とは互いに直交するように配置されている。また、傾斜面113に対して第1の面111及び第2の面112はそれぞれ直交するように配置されている。なお、本実施の形態においては、図14に示されるように、2つの第1の金型部材110を逆向きにして、第1の金型部材110の第1の基板面110a同士を接触させた状態で用いる。
【0027】
第2の金型部材120は、図15図17に示されるように、略四角形の形状のZX面に略平行な板状の部材であり、第1の基板面120aと、第1の基板面120aとは反対側の第2の基板面120bとを有している。また、第2の金型部材120のZ1側の端には、金型面となる第3の面121が成形されている。このように成形される第2の金型部材120の第3の面121は、研磨により鏡面となっている。尚、図15は、第2の金型部材120の斜視図であり、図16は断面図であり、図17は平面図である。
【0028】
第2の金型部材120のZ2の端の中央部分には、切り欠き部124が設けられている。本実施の形態においては、図18に示されるように、2つの第2の金型部材120を逆向きにして、第2の金型部材120の第1の基板面120a同士を接触させた状態で用いる。
【0029】
本実施の形態においては、図19に示されるように、2つの第1の金型部材110の第1の基板面110a同士を対向させたものと、2つの第2の金型部材120の第1の基板面120a同士を対向させたものとを交互に配置し、第1の金型部材110の第2の基板面110bと第2の金型部材120の第2の基板面110bとを対向させた状態で、重ね合わせる。これにより、図10に示される本実施の形態における成形用金型を作製することができる。 このように成形された成形用金型100は、図20に示されるように、第1の金型部材110の傾斜面113と第2の金型部材120の第3の面121の一部とが接触しており、転写面101の凸部の先端101aの高さが揃っている。本実施の形態における成形用金型100では、2つの第1の金型部材110を逆向きにして、第1の基板面110a同士を接触させることにより成形されており、転写面101の凸部の先端101aは尖っている。また、2つの第2の金型部材120を逆向きにして、第1の基板面120a同士を接触させることにより成形されており、転写面101の凸部の先端101bは尖っている。また、転写面101の凹部の最も深い部分101cは、第1の金型部材110の第2の基板面110bと、第2の金型部材120の第2の基板面120bとを接触させて配置れ、第1の金型部材110の第1の面111及び第2の面112と、第2の金型部材120の第3の面121と、の組み合わせによって転写面101の凹部は成形されている。その為、転写面101の凹部の最も深い部分101cおよび第1の面111、第2の面112、第3の面121境界線部は、角が丸まることなく成形されている。
【0030】
尚、本実施の形態における成形用金型100では、転写面101の凸部の先端101aは、同一平面上に存在している。転写面101の凸部の先端101bは、同一平面上に存在している。転写面101の凹部の最も深い部分101cは、同一平面上に存在している。
【0031】
尚、本実施の形態における成形用金型100は、図21に示されるように、成形用金型100の転写面101には、第1の金型部材110の第1の面111及び第2の面112、と第2の金型部材120の第3の面121により凹部102が成形される。凹部102においては、第1の金型部材110の第1の面111と第2の面112とのなす角は90°であり、第1の金型部材110の第1の面111と第2の金型部材120の第3の面121とのなす角は90°であり、第1の金型部材110の第2の面112と第2の金型部材120の第3の面121とのなす角は90°である。
【0032】
次に、本実施の形態における成形用金型100を用いて、再帰反射板を射出成形により成形する製造方法について説明する。
【0033】
最初に、図11等に示される第1の金型部材110、図15等に示される第2の金型部材120を組み合わせることにより、図10及び図20に示される成形用金型100を作製する。尚、成形用金型100と示しているが、実際に使用の際は、成形用金型100は射出成形用金型の入れ子として使用される。
【0034】
次に、この成形用金型100を用いて射出成形により再帰反射板130を成形する。具体的には、図22に示されるように、成形用金型100の転写面101を含む空間内に溶融した樹脂材料を充填し、樹脂材料を硬化させる。この後、図23に示されるように、樹脂材料により成形された再帰反射板130を成形用金型100の転写面101より剥がす。このように作製された再帰反射板130の反射面130aには、成形用金型100の転写面101の形状を反転した形状が成形される。即ち、成形用金型100のZ1側の第1の面111、第2の面112、第3の面121を反転した形状の反射面130aを有する再帰反射板130が成形される。
【0035】
本実施の形態においては、成形用金型100の転写面101の凹部は、第1の金型部材110と第2の金型部材120とを組み合わせることで初めて成形される構成である。言い換えると、転写面101の凹部を構成する第1の面111及び第2の面112と、第3の面121と、は分割して成形されている。第1の面111及び第2の面112は一体の部品(第1の金型部材110)に成形されているが、第1の面111と第2の面112により成形される谷形状部は、第1の面111と第2の面112の境界線に平行な方向は解放された形状である。そのため、谷形状部への切削工具の挿入が容易であり、第1の面111と第2の面112とが繋がる角部が丸まることなく、目論見通りの形状に加工すること、および第1の面111と第2の面112を鏡面加工することが容易になる。また、第1の金型部材110の傾斜面113も目論見通りの形状に容易に加工が可能となる。一方、第3の面121も目論見通りの形状に容易に鏡面加工が可能となる。また、傾斜面113および第3の面121が精度良く加工されているため、第1の金型部材110と第2の金型部材120とを組み合わせることで成形される第1の面111および第2の面112と、第3の面121と、の角部も丸まることなく、目論見どおりの形状に成形することができる。よって、本実施の形態における成形用金型100を用いて射出成形により成形される再帰反射板130は、再帰反射効率を向上させることができる。
【0036】
また、本実施の形態においては、再帰反射板130は、成形用金型100を用いて1回の転写により作製することができる。従って、本実施の形態における成形用金型100を用いて作製される再帰反射板130の反射面130aは、図5図9に示されるように電鋳により成形用金型を成形し、更に、この成形用金型を用いて転写する場合に比べて、反射面の平らな部分の平坦性を向上させることができる。
【0037】
更には、電鋳により成形された成形用金型では、内部応力により成形用金型の転写面の形状に歪みが生じる場合があるが、本実施の形態における成形用金型は、電鋳工程を行うことなく作製されるため、内部応力がなく、成形用金型の転写面の形状に歪みが生じることはない。よって、再帰反射効率を向上させることができる。
【0038】
また、本実施の形態においては、時間を要する電鋳工程が不要となるため、短時間で成形することができ、再帰反射板を低コストで製造することができる。
【0039】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態における成形用金型について説明する。本実施の形態における成形用金型は、反射面が全体的に傾斜している再帰反射板を成形するためのものである。具体的には、図24及び図25に示されるように、第1の金型部材110の第1の基板面110a同士が接触している部分をZ1-Z2方向にずらし、第2の金型部材120の第1の基板面120a同士が接触している部分をZ1-Z2方向にずらしたものである。なお、この様にずらしたとしても、凹部102は成形されているので再帰反射は可能である。具体的には、第1の基板面110a同士が接触している2つの第1の金型部材110のうち、Y1側の第1の金型部材110をY2側の第1の金型部材110よりもZ1側にずらす。また、第1の基板面120a同士が接触している2つの第2の金型部材120のうち、Y1側の第2の金型部材120をY2側の第2の金型部材120よりもZ1側にずらす。
【0040】
これにより、成形される成形用金型は、Y1側からY2側に向かって、Z1側の先端が、徐々にZ2側に向かって低くなる傾斜した形状の成形用金型となる。
【0041】
本実施の形態は、図26に示されるように、Y2側からY1側に向かって、徐々にずらす量を大きくすることにより、第1の金型部材110のZ1側の先端101aを結ぶ面が曲面となるように成形してもよい。
【0042】
尚、上記以外の内容については、第1の実施の形態と同様である。
【0043】
以上、実施の形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
100 成形用金型
101 転写面
101a、101b 凸部の先端
101c 凹部の最も深い部分
102 凹部
110 第1の金型部材
110a 第1の基板面
110b 第2の基板面
111 第1の面
112 第2の面
113 傾斜面
120 第2の金型部材
120a 第1の基板面
120b 第2の基板面
121 第3の面
130 再帰反射板
130a 反射面
131 凸部の先端
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