(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】データ設定装置
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20240219BHJP
G01H 11/08 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01H11/08 Z
(21)【出願番号】P 2020055754
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】山岸 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋幸
【審査官】瓦井 秀憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-202587(JP,A)
【文献】特開2017-220081(JP,A)
【文献】特開2011-199540(JP,A)
【文献】特開2017-190983(JP,A)
【文献】特表2016-500807(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G01H 11/00-11/08
G01H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱に取り付けられた情報板へ加速度センサを設置して、
前記加速度センサにより計測される加速度情報に基づいて
傾き角を算出し、前記傾き角に基づき前記情報板の
傾きを検出する中継処理装置を備えた情報板の疲労検出システムに対して、設定を行うデータ設定装置であって、
前記加速度情報に影響を与える前記加速度センサ自体の前記支柱に対する設置位置、設置姿勢、設置時の誤差情報を含む加速度センサ自体の要因である加速度センサの
姿勢情報に関して、操作者による入力設定を受け付ける入力部と、
前記入力部を介して取得した
前記姿勢情報を、
前記中継処理装置に対して送信することで、情報設定を行う通信制御部と、
を備え、
前記通信制御部は、
前記中継処理装置に設けられたメンテナンスポートを介して、
前記中継処理装置と1対1で接続されることで、
前記中継処理装置との間で相互通信し、
前記情報設定を可能とする
データ設定装置。
【請求項2】
前記通信制御部は、
設置工事中において
前記加速度センサが
前記支柱に設置された状態で、
前記加速度センサにより計測された直流加速度情報を、1対1で接続された
前記中継処理装置から取得し、
前記直流加速度情報に基づいて、
前記支柱の軸と
前記加速度センサのセンサ軸との回転角の誤差を算出し、算出結果に基づいて
前記加速度センサの姿勢情報を更新し、更新後の
前記加速度センサの姿勢情報を、1対1で接続された
前記中継処理装置に対して送信することで、
前記加速度センサの姿勢情報を更新する
請求項1に記載のデータ設定装置。
【請求項3】
支柱に取り付けられた情報板へ加速度センサを設置して、前記加速度センサにより計測される加速度情報に基づいて応力集中部に発生する応力を算出し、前記応力に基づき前記情報板の蓄積疲労を検出する中継処理装置を備えた情報板の疲労検出システムに対して、設定を行うデータ設定装置であって、
前記応力を推定する際に必要な変換パラメータに影響を与える前記支柱の材料、前記応力集中部の位置を含む構造物自体の要因である構造物情報に関して、操作者による入力設定を受け付ける入力部と、
前記入力部を介して取得した前記構造物情報を、前記中継処理装置に対して送信することで、情報設定を行う通信制御部と、
を備え、
前記通信制御部は、前記中継処理装置に設けられたメンテナンスポートを介して、前記中継処理装置と1対1で接続されることで、前記中継処理装置との間で相互通信し、前記情報設定を可能とする
データ設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報板の蓄積疲労を検出する疲労検出システムに対して、必要な情報の設定を行うデータ設定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
支柱に設置された情報板の取付状態を検査する方法としては、検査員による定期検査により、目視あるいは何らかの計器を用いて行われることが主流であった。また、取付状態の異常診断対象である情報板に経年的に発生する亀裂に関して、定量的な検査を、簡単かつ迅速に行う従来技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1では、紫外線または青色系可視光などの励起光によって発光する蛍光色素を、異常診断対象である情報板にあらかじめ混入させている。そして、この情報板に、紫外線または青色系可視光などを発光する光源からの照射を行い、目視あるいはCCDカメラ等による撮像画像の解析処理により、亀裂の発生を定量的に判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術には、以下のような課題がある。
特許文献1では、取付状態の定量的な異常診断を可能にしてはいるものの、あくまでも、検査員による定期検査を基本としている。さらに、特許文献1は、異常診断対象の情報板に対して、蛍光色素をあらかじめ混入させておく必要があった。
【0006】
一方、近年では、情報板の取付状態の異常診断を定期検査よりも短い周期で、検査員を介さずに無人で行うことのできる異常診断システムが望まれている。また、支柱に設置された情報板の取付状態の劣化を、定量的に長期間にわたって診断する必要性も高まっている。さらに、新規の情報板だけでなく、既存の情報板に対しても、容易に対応できることが望まれる。
【0007】
また、道路上の情報板などに代表される構造物の蓄積疲労をモニタリングする疲労検出システムを考えると、診断対象である構造物は、道路上に数多く広く点在している。それぞれの構造物に取り付けられたセンサから収集されたセンサデータを、ネットワーク経由で上位のデータ処理装置へ集めるためには、それぞれの構造物ごとに設けられる疲労検出システムに関して、初期設定として、ネットワーク設定を行うことが必要である。
【0008】
また、個々のセンサデータを較正するためには、構造物に対するセンサの設置位置、姿勢、設置時の誤差情報、構造物の材料などをそれぞれの疲労検出システムに設定しておく必要がある。すなわち、それぞれの疲労検出システムに初期設定として入力すべき情報が、多く存在することとなる。また、入力すべき情報は、初期設定情報に限られず、疲労検出システムの運用を開始した後の更新設定情報も考慮することが重要である。
【0009】
上述したように、診断対象となる情報板は、道路上に数多く広く点在しているため、それぞれの構造物ごとに設けられた個々の疲労検出システムに関する設定操作を簡素化することが、強く望まれている。
【0010】
本発明は、のような課題を解決するためになされたものであり、疲労検出システムの設定操作を簡素化することのできるデータ設定装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るデータ設定装置は、支柱に取り付けられた情報板へ加速度センサを設置して、加速度センサにより計測される加速度情報に基づいて傾き角を算出し、傾き角に基づき情報板の傾きを検出する中継処理装置を備えた情報板の疲労検出システムに対して、設定を行うデータ設定装置であって、加速度情報に影響を与える加速度センサ自体の支柱に対する設置位置、設置姿勢、設置時の誤差情報を含む加速度センサ自体の要因である加速度センサの姿勢情報に関して、操作者による入力設定を受け付ける入力部と、入力部を介して取得した姿勢情報を、中継処理装置に対して送信することで、初期情報の設定を行う通信制御部と、を備え、通信制御部は、中継処理装置に設けられたメンテナンスポートを介して、中継処理装置と1対1で接続されることで、中継処理装置との間で相互通信し、初期情報の設定を可能とするものである。
また、本発明に係るデータ設定装置は、支柱に取り付けられた情報板へ加速度センサを設置して、加速度センサにより計測される加速度情報に基づいて応力集中部に発生する応力を算出し、応力に基づき情報板の蓄積疲労を検出する中継処理装置を備えた情報板の疲労検出システムに対して、設定を行うデータ設定装置であって、応力を推定する際に必要な変換パラメータに影響を与える支柱の材料、応力集中部の位置を含む構造物自体の要因である構造物情報に関して、操作者による入力設定を受け付ける入力部と、入力部を介して取得した構造物情報を、中継処理装置に対して送信することで、情報設定を行う通信制御部と、を備え、通信制御部は、中継処理装置に設けられたメンテナンスポートを介して、中継処理装置と1対1で接続されることで、中継処理装置との間で相互通信し、情報設定を可能とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、疲労検出システムの設定操作を簡素化することのできるデータ設定装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態1において、異常診断対象である構造物を示した説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係るデータ設定装置が適用される情報板の異常検出システムの全体構成図である。
【
図3】本発明の実施の形態1に係るデータ設定装置を用いた操作者による一連処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のデータ設定装置の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本発明に係るデータ設定装置は、上位装置にネットワーク接続されている複数の疲労検出システムのそれぞれについて、必要な情報を設定するための作業効率を改善することのできる通信構成を備えていることを技術的特徴としている。
【0015】
実施の形態1.
本発明に係るデータ設定装置の説明をする前に、データ設定の対象となる「情報板の疲労検出システム」、および複数の「情報板の疲労検出システム」がネットワーク経由で上位のデータ処理装置と接続されて構成された「情報板の異常検出システム」に関して、概要を説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1において、異常診断対象である構造物を示した説明図であり、(A)が正面図、(B)が上面図、(C)が側面図である。この
図1において、取付状態の診断対象である構造物は、情報板1が支柱2の上方部分に取り付けられることで構成されている。情報板1としては、例えば、道路に設置された道路情報板が挙げられ、歩行者あるいはドライバは、道路情報板を視認することで、必要な情報を取得することができる。
【0017】
支柱2の上部に設置された情報板1は、上部荷重を持つこととなる。従って、
図1(A)における左右方向の両矢印、
図1(B)における上下方向の両矢印、および
図1(C)における左右方向の両矢印として例示したように、外力による繰り返し応力の加振が情報板1に加わる。そして、継続的にこのような加振が情報板1に加わることにより、情報板1の疲労が進行し、損傷に至る場合がある。また、継続的にこのような加振が情報板1に加わることにより、支柱2の固定用ボルトの緩みなどによる支持力の低下が発生する。
【0018】
本実施の形態1に係るデータ設定装置が適用される情報板の疲労検出システムは、このような情報板1の損傷、劣化を、情報板1の姿勢を観測することで、長期間に渡って高精度に診断することができる。
【0019】
具体例として、情報板の疲労検出システムは、支柱2の頭頂部に設置された加速度センサ20を用いて、情報板1の面内方向の傾きおよび面外方向の傾きを観測することで、情報板1の損傷、劣化を長期間に渡って高精度に検出する。
【0020】
さらに、情報板の疲労検出システムは、支柱2の頭頂部に設置された加速度センサ20を用いて、情報板への加速度の印加履歴から応力の印加履歴を推定または算出することで、支柱2の蓄積疲労を長期間に渡って高精度に検出する。
【0021】
ここで、面内方向とは、情報板1の表示面に沿ってお辞儀する方向のことであり、
図1(A)に示した両矢印の方向に相当する。また、面外方向とは、情報板1が表示面に垂直な向きに旗振りをする方向のことであり、
図1(B)あるいは
図1(C)に示した両矢印の方向に相当する。
【0022】
傾きを観測するために、支柱2の頭頂部には、直流加速度を測定可能な加速度センサ20が設置されている。加速度センサ20は、直流加速度として重力加速度を観測することができる。また、中継処理装置30は、加速度センサ20から得られる加速度情報に基づいて、情報板1の面外方向、および面内方向の2方向の傾き角を算出することができる。
図1においては、中継処理装置30が支柱2に設置されている状態を例示している。
【0023】
次に、本実施の形態1に係るデータ設定装置が適用される情報板の疲労検出システムが、ネットワーク40を介して、上位のデータ処理装置に複数接続されて構成される情報板の異常検出システムについて、
図2を用いて説明する。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態1に係るデータ設定装置が適用される情報板の異常検出システムの全体構成図である。本実施の形態1における情報板の異常検出システムは、1台のデータ処理装置10、およびL個(Lは、2以上の整数)の疲労検出システム100(1)~100(L)が、ネットワーク40を介して相互接続されて構成されている。
【0025】
また、L個の疲労検出システム100(1)~100(L)のそれぞれは、N個(Nは、2以上の整数)の加速度センサ20(1)~20(N)、および1台の中継処理装置30を備えて構成されている。さらに、中継処理装置30は、記憶部31およびメンテナンスポート32を備えている。
【0026】
また、
図2においては、疲労検出システム100(1)内の中継処理装置30に備えられたメンテナンスポート32に通信ケーブル60を介して接続されるデータ設定装置50が示されている。換言すると、本実施の形態1に係るデータ設定装置50は、中継処理装置30と1対1で通信を行い、中継処理装置30と必要な情報の送受信を行うことができる通信構成を備えている。
【0027】
より具体的には、データ設定装置50と中継処理装置30とは、ネットワーク40を介さずに、ピアツーピア接続されており、相互に必要な情報の送受信を直接行うことができる構成となっている。
【0028】
ここで、L個の疲労検出システム100(1)~100(L)内のそれぞれの中継処理装置30に設けられているメンテナンスポート32は、すべての中継処理装置で同一の固定値としてのIPアドレスがアクセス情報として設定されている。従って、アクセス情報であるIPアドレスの設定を行うことなしに、データ設定装置50を、L個の疲労検出システム100(1)~100(L)内のいずれの中継処理装置30に対しても接続することが可能である。
【0029】
L個の疲労検出システム100(1)~100(L)のそれぞれに設けられた中継処理装置30の機能は、いずれも同一である。そこで、以下の説明では、それぞれの疲労検出システム100(1)~100(L)を区別する必要がない場合には、(1)~(L)の添字を用いずに、単に疲労検出システム100と記載する。また、
図2においては、疲労検出システム100(L)の内部構成の図示は、省略している。
【0030】
また、1台の中継処理装置30に対しては、最低限、1個の加速度センサ20を設けておけば、それぞれの情報板1の取付状態に関する異常判定を実施することが可能である。また、複数用いる場合のN個の加速度センサのそれぞれの機能は、全て共通である。また、N個の値は、L個の疲労検出システム100(1)~100(L)のそれぞれに対応する情報板1ごとに個別の数とすることができる。そこで、以下の説明では、それぞれのセンサを区別する必要がない場合には、(1)~(N)の添字を用いずに、単に加速度センサ20と記載する。
【0031】
N個の加速度センサ20のそれぞれは、センサ部21と、加速度情報出力部22とを有しており、診断対象物の異なる位置に設置されている。このような
図2の構成を備えた異常検出システムによって、長期にわたって診断対象物の取付状態の異常判定が行われることとなる。
【0032】
センサ部21は、例えば、薄膜の水晶振動子を用いる3軸加速度センサであり、かつ直流加速度を測定可能な加速度センサである。また、加速度情報出力部22は、センサの設置箇所における情報板の3軸の加速度に関するアナログ信号を、所定のサンプリングレート(例えば、50Hzのサンプリングレート)でデジタル信号に変換し、加速度情報として中継処理装置30へ送信する。
【0033】
中継処理装置30は、
図1に示したように、支柱2に取り付けられている。そして、中継処理装置30は、支柱2に取り付けられたそれぞれのセンサ20内の加速度情報出力部22から受信した加速度情報に基づいて、支柱2の傾きを測定することができる。
【0034】
一例として、さらに、中継処理装置30は、この支柱2の傾き角から、情報板1の面外方向、および面内方向の2方向の傾き角を算出し、その2方向の傾き角から、異常診断に有効な特徴量に相当する最大傾き角を、情報板の蓄積疲労の指標値として求めることができる。
【0035】
ここで、センサ20から出力される加速度情報は、センサ20自体の支柱2に対する設置位置、設置姿勢、設置時の誤差情報、などの影響により、変化してしまう。また、支柱2自体の材料および応力集中部の位置により、加速度情報を用いて応力集中部に発生する応力を推定する際に必要な変換パラメータに影響を与えてしまう。
【0036】
なお、以下の説明では、加速度情報に影響を与える設置位置、設置姿勢、設置時の誤差情報等の加速度センサ20自体の要因の総称を、「姿勢情報」と称し、変換パラメータに影響を与える支柱2の材料、応力集中部の位置等の構造物自体の要因の総称を、「構造物情報」と称することとする。
【0037】
中継処理装置30によって、加速度情報に基づいて情報板1の面外方向および面内方向の2方向の傾き角を正確に算出するためには、姿勢情報および構造物情報を考慮した補正が不可欠である。姿勢情報および構造物情報は、設計値としてあらかじめ中継処理装置30内の記憶部31に設定しておくことが考えられる。
【0038】
しかしながら、例えば、実際の設置環境により、設計時の計画とは異なる設置方法を余儀なくされる場合が考えられる。また、設置時の誤差情報は、現場で疲労検出システム100を設置した後に、設定しなければならない。
【0039】
また、「姿勢情報」自体が多くの項目を有しているとともに、複数の疲労検出システムが道路上に数多く広く点在しているため、それぞれの疲労検出システム100に対して姿勢情報および構造物情報を設置現場にて設定する作業性を改善することが望まれる。
【0040】
そこで、本実施の形態1では、
図2に示したようなデータ設定装置50を用いることで、設置現場での姿勢情報および構造物情報の初期設定等の設定(以下、初期設定の場合として説明する)に関して、作業性の改善を図っている。
【0041】
なお、姿勢情報および構造物情報の初期設定以外に、中継処理装置30に設定すべき要素としては、「ネットワーク情報」が挙げられる。この「ネットワーク情報」とは、中堅処理装置30をネットワーク40に接続し、ネットワーク40上の他の機器との通信を行うために必要な通信設定情報に相当する。具体的には、IPアドレス、サブネットマスク、NTPサーバアドレス等が挙げられる。そして、本実施の形態1に係るデータ設定装置50を用いることで、このようなネットワーク情報も容易に設定することを可能としている。
【0042】
次に、本実施の形態1に係るデータ設定装置50について、詳細に説明する。
図2に示したように、データ設定装置50は、入力部51および通信制御部52を備えて構成されている。
【0043】
入力部51は、設置現場における操作者により実行される、加速度センサ20の姿勢情報および構造物情報に関する入力設定を受け付けるための入力インターフェースである。
【0044】
なお、
図2に示したように、L個の疲労検出システム100(1)~100(L)のそれぞれをネットワーク40上で識別可能とするためには、上述したように、IPアドレス(Internet Protocol Address)等のネットワーク情報を、それぞれの疲労検出システム100(1)~100(L)に対して設定する必要がある。そこで、入力部51は、操作者による入力設定により、ネットワーク情報に関する入力設定も受け付ける機能も備えている。
【0045】
通信制御部52は、中継処理装置30に設けられたメンテナンスポート32を介して中継処理装置30と1対1で接続され、相互に必要な情報を送受信することができる。
【0046】
このような構成を備えることで、本実施の形態1に係るデータ設定装置50は、いずれかの疲労検出システム100内の中継処理装置30に設けられたメンテナンスポート32を介して、1台の中継処理装置30と1対1に接続されることで、必要な設定情報を相互通信することができる。
【0047】
この結果、操作者は、本実施の形態1に係るデータ設定装置50を用いることで、中継処理装置30が必要とする姿勢情報、構造物情報、およびネットワーク情報を容易に設定することができ、作業効率の改善を図ることができる。
【0048】
以上の内容を踏まえ、操作者による一連の手順を、
図3に基づいて以下に説明する。
図3は、本発明の実施の形態1に係るデータ設定装置50を用いた操作者による一連処理を示したフローチャートである。
【0049】
まず始めに、ステップS301において、操作者は、通信ケーブル60を用いて、データ設定装置50を、各要素の設定を行いたい中継処理装置30に設けられたメンテナンスポート32に接続する。
【0050】
次に、ステップS302において、操作者は、中継処理装置30とデータ設定装置50とのコネクションを確立する。
【0051】
次に、ステップS303において、操作者は、入力部51を介して、疲労検出システム100(1)に含まれている加速度センサ20の数量Nを入力するとともに、それぞれの加速度センサ20に対応する姿勢情報を入力する。
【0052】
次に、ステップS304において、操作者は、入力部51を介して、IPアドレス、サブネットマスク、NTPサーバアドレス等に相当するネットワーク情報を入力する。
【0053】
次に、ステップS305において、操作者は、入力部51を介して、構造物の材質情報、構造物の応力集中部の位置情報等に相当する構造物情報を入力する。
【0054】
次に、ステップS306において、操作者は、データ設定装置50の画面上で、ステップS303~ステップS305で入力した各要素の設定情報の内容を確認する。そして、操作者は、必要に応じて、設定情報を変更した後、ステップS307の処理に進む。
【0055】
次に、ステップS307において、操作者は、入力部51を介して、データ設定装置50から中継処理装置30へ設定情報を転送する操作を行う。この結果、各要素の設定情報が、通信制御部52、通信ケーブル60、およびメンテナンスポート32を介して、データ設定装置50から中継処理装置30へ転送される。
【0056】
このようにして、疲労検出システム100(1)内の中継処理装置30に対して、データ設定装置50から転送された設定データにより、姿勢情報、構造物情報、およびネットワーク情報に関する各要素の初期設定が行われる。
【0057】
次に、ステップS308において、操作者は、中継処理装置30とデータ設定装置50とのコネクションを解除する。
【0058】
最後に、ステップS309において、操作者は、通信ケーブル60を取り外し、データ設定装置50をメンテナンスポート32から切り離し、一連処理を終了させる。
【0059】
なお、
図3のフローチャートでは記載を省略しているが、データ設定装置50を用いて、加速度センサ20による計測結果に基づいて、姿勢情報の更新処理を行うことも可能である。
【0060】
具体的には、通信制御部52は、設置工事中あるいは更新作業中において、支柱2に設置された状態の加速度センサにより計測された直流加速度情報を、メンテナンスポート32を経由して、中継処理装置30から直接取得する。さらに、通信制御部52は、直流加速度情報に基づいて、支柱2の軸と加速度センサ20のセンサ軸との回転角の誤差を算出し、算出結果に基づいて加速度センサ20の姿勢情報を新たに生成する。
【0061】
この結果、データ設定装置50は、新たに生成した加速度センサ20の姿勢情報を、メンテナンスポート32を介して中継処理装置30に対して直接返送することで、加速度センサ20の姿勢情報を更新することができる。
【0062】
以上のように、実施の形態1によるデータ設定装置は、中継処理装置と1対1で接続され、疲労検出システム内の中継処理装置に対して姿勢情報等の初期情報に関する設定処理を行うことができる機能を備えている。この結果、疲労検出システムの初期設定操作を簡素化することができる。
【0063】
さらに、実施の形態1によるデータ設定装置は、加速度センサにより計測された直流加速度情報を中継処理装置から取得して加速度センサの姿勢情報を算出し、算出結果を中継処理装置に返送することで、姿勢情報の更新処理を行うこともできる。
【0064】
なお、このような更新処理を行う場合には、ネットワーク40を介して通信可能な他の中継処理装置に関しても、更新処理を行うことができる。例えば、
図2の例では、疲労検出システム100(1)内の中継処理装置30に接続されたデータ設定装置50を用いて、ネットワーク40を介して相互接続された状態の疲労検出システム100(L)内の中継処理装置30に関して、姿勢情報の更新処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0065】
1 情報板、2 支柱、10 データ処理装置、11 診断部、20 センサ(加速度センサ)、21 センサ部、22 加速度情報出力部、30 中継処理装置、31 記憶部、32 メンテナンスポート、40 ネットワーク、50 データ設定装置、51 入力部、52 通信制御部、60 通信ケーブル。