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  • 特許-スプリンクラーヘッド付属品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】スプリンクラーヘッド付属品
(51)【国際特許分類】
   A62C 31/28 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
A62C31/28
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020073220
(22)【出願日】2020-04-16
(65)【公開番号】P2021168812
(43)【公開日】2021-10-28
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000199186
【氏名又は名称】千住スプリンクラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】小岩 康明
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06484809(US,B1)
【文献】中国実用新案第203777562(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプリンクラーヘッドに設置される付属品であり、
スプリンクラーヘッドに取付けインナーリングと、
前記スプリンクラーヘッドが貫通する天井板の穴の縁を隠すアウターリングとを有しており、
前記インナーリングは、平面と、前記平面の外縁に設けた周壁部と、前記周壁部よりも前記インナーリングの中心側に配置された仕切部と、前記平面の内縁に設けた前記スプリンクラーヘッドを設置する穴とを有しており
前記アウターリングは前記インナーリングを内部に収容する筒部と、該筒部の端から前記天井板の平面に沿って拡張された皿部有しており
前記仕切部と前記筒部の間には、開口を有しており
前記開口には前記皿部から離れる方向に延出された通路を有する
スプリンクラーヘッド付属品。
【請求項2】
前記通路は前記周壁部に隣接する前記仕切部と前記筒部により構成される
請求項1記載のスプリンクラーヘッド付属品
【請求項3】
前記仕切部の先端を前記筒部の方向に傾けて構成した
請求項または請求項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項4】
スプリンクラーヘッドに設置される付属品であり、
スプリンクラーヘッドに取付けるインナーリングと、
前記スプリンクラーヘッドが貫通する天井板の穴の縁を隠すアウターリングとを有しており、
前記インナーリングは、平面と、前記平面の外縁に設けた周壁部と、前記平面の内縁に設けた前記スプリンクラーヘッドを設置する穴とを有しており、
前記アウターリングは、前記インナーリングを内部に収容する筒部と、該筒部の端から前記天井板の平面に沿って拡張された皿部とを有しており、
前記インナーリングと前記アウターリングとの間には、開口を有しており、
前記開口には、前記皿部から離れる方向に延出することで前記天井板の室内側から前記天井板の裏側へ通じる通路を有する
スプリンクラーヘッド付属品。
【請求項5】
前記通路は前記筒部に設置されている縦溝である
請求項1~請求項4何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項6】
前記通路は、少なくとも1箇所設置されている
請求項1~請求項5何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項7】
前記筒部の筒軸方向に沿う前記通路の長さは、前記周壁部の前記筒軸方向に沿う長さの半分以上である
請求項1~請求項6何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項8】
前記開口は前記インナーリングの前記外縁に沿った円弧状である
請求項1~請求項7何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項9】
前記インナーリングにおいて、前記開口よりも中心側に筒を設置して、該筒と前記筒部の間を前記通路として構成した
請求項1~請求項何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項10】
前記穴の縁は、前記スプリンクラーヘッドの配管接続ネジと螺合する
請求項1~請求項9記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項11】
前記インナーリングは、前記筒部の上端側と下端側との間に配置される
請求項1~請求項10何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項12】
前記インナーリングは、前記アウターリングの前記筒部に嵌合する
請求項1~請求項11何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項13】
前記周壁部は、前記筒部を押圧することにより前記アウターリングと係止する
請求項1~請求項12何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【請求項14】
前記筒部は、その下端から前記スプリンクラーヘッドが室内側に突出して配置可能な長さを有する
請求項1~請求項13何れか1項記載のスプリンクラーヘッド付属品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に設置されるスプリンクラーヘッドの付属品に関する。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラー設備は建物内に設置されており、火災の熱を感知して自動的に作動して水を撒き消火を行う。スプリンクラーヘッドは内部にノズルを有しており、ノズルは給水源に続く配管と接続されている。常時においてノズルは感熱作動部により支持された弁により閉じた状態にある。火災が発生すると、その熱により感熱作動部が作動して弁の閉止状態が解除され、配管内に充填された水がノズルから放出される。スプリンクラーヘッドはノズルの出口の延長上に水を四方に飛散させるデフレクターを備えており、デフレクターに衝突した水が所定の範囲に散布され火災を鎮圧・消火する。
【0003】
室内に設置されるスプリンクラーヘッドは、配管が天井板によって隠蔽されており、デフレクターは天井板を貫いて室内側に配置される。そのため天井板にはスプリンクラーヘッドを通すための穴があけられている。この穴を隠すためにシーリングプレートやエスカッション等の付属品が設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図6において、スプリンクラーヘッド63が挿通された天井板Cの穴Hを隠すために、穴Hよりも大径である皿部61を有するアウターリング62と、スプリンクラーヘッド63に取り付けられたインナーリング64が設置されている。皿部61の内縁から天井裏に延出された筒部65にインナーリング64を嵌め合わせて天井板Cの穴Hを隠している。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7185567号明細書 FIG.5
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のスプリンクラーヘッドにおいて、インナーリングやアウターリングに天井裏へ通じる穴を設置すると、火災時の熱気流が穴を通過して天井裏へ連続的に流れるのでスプリンクラーヘッドの作動が促進される。しかしながら、上記の穴によって意匠性が低減するデメリットがある。
【0007】
そこで本発明では、上記問題に鑑み、意匠性を考慮するとともにスプリンクラーヘッドの作動が促進されるスプリンクラーヘッド付属品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は以下のスプリンクラーヘッド付属品を提供する。すなわち、スプリンクラーヘッドに設置される付属品であり、スプリンクラーヘッドに取付けられたインナーリングと、前記スプリンクラーヘッドが貫通された天井板の穴の縁を隠すアウターリングとを有しており、インナーリングの平面の外縁には周壁部が設置され、アウターリングはインナーリングを内部に収容する筒部と、筒部の端から天井面に沿って拡張された皿部とを備え、前記周壁部と前記筒部の間に設置された開口と、前記開口には前記皿部から離れる方向に延出された通路を設置した。
【0009】
これによれば、周壁部と筒部の間に設置された開口により火災時の熱気流の天井裏への排出を促して連続的に熱気流をスプリンクラーヘッドの感熱作動部に供給させ、スプリンクラーヘッドの作動を促すことができる。具体的には、開口に設置した通路により、熱気流はインナーリングの平面から離れた位置で天井裏の空間に拡散される。これによってインナーリングの背面側に熱気流が停滞するのを防止するので、通路の内側と外側との温度差が維持されて熱気流を継続して天井裏へ排出可能となる。
【0010】
前記本発明については、周壁部に通路を設置して構成可能である。または筒部に通路を設置して構成してもよい。開口を周壁部と筒部の間に設置すると、開口の縁に設置された周壁部と筒部が通路として作用する。さらに開口が目立たないので意匠性を損なうことなく構成可能である。
【0011】
開口は少なくとも1箇所設置され、好ましくは3箇所から6箇所設置する。通路は所定以上の長さを有しており、その長さは周壁部の長さの半分以上とし、より好ましくは周壁部の長さ以上となるように構成できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、火災による熱気流を継続的にスプリンクラーヘッドの感熱作動部に供給できるのでスプリンクラーヘッドの作動を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】天井板に設置されたスプリンクラーヘッド付属品を示す図。
図2図1に示すII-II線の断面図。
図3図1のインナーリングの斜視図。
図4】第1実施形態の変形例を示す図。
図5図4のインナーリングの斜視図。
図6】従来のスプリンクラーヘッド付属品の断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のスプリンクラーヘッド付属品A1は、図1および図2に示すようにインナーリング10とアウターリング20から構成される。これらは金属製であり具体的には鋼板から構成される。
【0015】
インナーリング10は円盤状の平面11と、平面11の縁から立設された周壁部12を有する。平面11の中心にはスプリンクラーヘッド50を設置するための穴13が設置されている、穴13の縁はスプリンクラーヘッド50の配管接続ネジ51のネジ山に沿って湾曲しており、穴13を配管接続ネジ51に螺入可能となっている。
【0016】
周壁部12はアウターリング20の筒部21の内周と嵌合される。周壁部12は平面11の縁に均等間隔で配置されており、本実施形態では5箇所設置されている。図1に示すように周壁部12はそれよりも中心側に立設された仕切部14を有している。図1において周壁部12の両隣は仕切部14となっている。
【0017】
アウターリング20は筒部21と皿部22を有する。筒部21は前述のとおり内部にインナーリング10が嵌合される。皿部22は筒部21の一方の端から天井面に沿って拡張されている。皿部22の外径は天井板Cに穿設された穴Hの内径よりも大きい。
【0018】
図1および図2に示すように、インナーリング10はアウターリング20の筒部21内に嵌合されており、周壁部12が筒部21を押圧してアウターリング20を係止している。周壁部12よりも中心側に配置された仕切部14は筒部21から離間しており、開口30が形成されている。開口30は平面11の縁に沿った円弧状に形成されている。
【0019】
図2において、開口30から図中上方に向かって筒部21と仕切部14によって通路31が形成されている。通路31は周壁部12に隣接して設置された仕切部14により構成され、2つの周壁部12、12の間に設置されている。
【0020】
火災時において加熱された空気は上昇して天井板Cの下に滞留する。このとき火災が発生している室内と天井板Cで仕切られている天井裏の空間との間には温度差が生じており、天井板Cの下に滞留している加熱された空気の一部が、筒部22内に流入して通路31を通り抜けて天井裏に排出される。通路31を通過した空気はインナーリング10から離れた位置で排出・拡散されるので平面11の裏面空間の温度上昇が抑えられる。これによりインナーリング10を境とした室内側と天井裏側との温度差が維持され、室内の加熱された空気が開口30から通路31を通過して屋根裏へ排出する状態が連続して行われる。この連続した気流によって、スプリンクラーヘッド50の感熱作動部52に気流から熱が伝播され、スプリンクラーヘッド50の作動を促進できる。
【0021】
仮に、仕切部14を設けないと開口30を通過した空気は筒部21の内部を通過して天井裏の空間に排出されるが、筒部21の内部に加熱された空気が流れ込みインナーリング10の室内側と天井裏側との温度差が時間の経過とともに小さくなる。温度差が小さくなると空気の流れが滞り、スプリンクラーヘッド50の周囲の空気の動きが停滞して仕切部14を設けた場合と比較して感熱作動部52に熱が伝播されにくい状態となる。
【0022】
また、インナーリング10が皿部22に近い位置に配置された場合、インナーリング10の背面と筒部21の内側の空間の深さが大きくなり、この空間に空気が停滞しやすい構造となるが、仕切部14により空気が通路31を通過することで気流が上向きに整流化され筒部21の外部に向けて排出を促す効果がある。
【0023】
開口30は、ある程度大きく設けた方がよいが、意匠性を考慮した場合にはなるべく小さく目立たないように構成することが望ましい。一方、アウターリング20との係合安定性を重視した実施例を図4に示す。図4図1図3の実施形態の変形例であり、構成が同じ箇所には同符号を付して説明は省略する。図4では仕切部14の両隣は周壁部12となっており、前述の実施形態と比較して仕切部14と筒部21の間隔が広いので開口35が目立つ。しかしながら、開口35の円弧の長さが短く筒部21を押圧する周壁部12の占める割合が多いので筒部21との係合安定性が増加する。
【0024】
続いて、上記以外の実施形態について説明する。先に説明した実施形態では仕切部14が平面11の縁を折り曲げて構成されているが、これに限るものではなく、例えばインナーリング10において開口30よりも中心側に筒を設置して、該筒と筒部21の間を通路31として構成できる。
【0025】
また、通路31は筒部21に設置することも可能であり、具体的には筒部21の一部に縦溝を設置して構成することもできる。
【0026】
一方、図2に示す実施形態において仕切部14は筒部21と略平行に設置されているが、仕切部14の先端を筒部21の方向に傾けて構成すると、開口30から流入した気流は仕切部14に沿って筒部21に向かって進み、通路31から排出された後、筒部21の内周に沿って外部に排出させることができる。
【符号の説明】
【0027】
10 インナーリング
11 平面
12 周壁部
13 穴
14 仕切部
20 アウターリング
21 筒部
22 皿部
30、35 開口
31 通路
C 天井板
H 穴
50 スプリンクラーヘッド
51 配管接続ネジ
52 感熱作動部

図1
図2
図3
図4
図5
図6