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特許7438843ホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法
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  • 特許-ホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法 図1
  • 特許-ホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法 図2
  • 特許-ホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20240219BHJP
   E01F 1/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B61B1/02
E01F1/00
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020079213
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021172270
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】518337876
【氏名又は名称】三菱重工交通・建設エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】向井 祐二
(72)【発明者】
【氏名】日▲高▼ 晴太郎
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0170401(US,A1)
【文献】特開2012-245841(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
E01F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホームに設置されるホーム柵と、
前記プラットホーム上において前記ホーム柵よりも前記プラットホームの縁部側に敷設され前記ホーム柵と接続される電気ケーブルと、
前記プラットホーム上において前記プラットホームの縁部に沿って設置され、前記電気ケーブルを収容可能なカバー部材と、
を備え
前記カバー部材は、前記ホーム柵よりも前記プラットホームの前記縁部側において前記電気ケーブルを収容するホーム柵システム。
【請求項2】
前記カバー部材は、前記ホーム柵の開口部に設置される請求項1に記載のホーム柵システム。
【請求項3】
前記カバー部材は、前記プラットホームの内側から縁部にかけて上昇する傾斜部が設けられている請求項1又は2に記載のホーム柵システム。
【請求項4】
前記カバー部材の前記プラットホームの前記縁部側の高さは、前記プラットホームに停止する車両の車両床の高さとの差が、前記プラットホームの床面高さと前記車両床の高さとの差よりも低減するように設定されている請求項1からのいずれか1項に記載のホーム柵システム。
【請求項5】
ホーム柵と接続される電気ケーブルをプラットホーム上において前記ホーム柵よりも前記プラットホームの縁部側に敷設するステップと、
前記プラットホーム上に敷設された前記電気ケーブルを前記ホーム柵よりも前記プラットホームの前記縁部側において収容するように、前記プラットホーム上において前記プラットホームの縁部に沿ってカバー部材を設置するステップと、
を備えるホーム柵システムのケーブル敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客の転落などを防止するためにプラットホームに設置されるホーム柵、例えばホームドア装置は、戸袋部とドア部を有し、電源ケーブルや信号ケーブル等の電気ケーブルと接続されて、ドア部の駆動や制御等を行う。
【0003】
従来、ホームドア装置の戸袋部に接続される電気ケーブルは、プラットホームの下部に吊り下げられたケーブルラックに敷設されたダクト内、又はケーブルラック上に敷設されている。そして、プラットホームに貫通穴が設けられ、電気ケーブルは、貫通穴内に配線されて、戸袋部に導かれる。
【0004】
なお、特許文献1には、各種ケーブルをケーブルラックに布設せず、ホームにおける電気工事を極力少なくする技術が開示され、電源ケーブル及び制御・表示ケーブルが、ホームドアの上方に設けられた案内盤内に布設される例が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-43044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したとおり、電気ケーブルがプラットホームの下部に吊り下げられたケーブルラックに敷設される場合、線路上又はプラットホーム下でのケーブルラック及び電気ケーブルの敷設工事が必要である。また、敷設工事では、プラットホームを貫通する貫通穴を設けるため、ダイヤモンドカッター等によるコア抜き作業も行う必要がある。更に、線路上へアクセスしたり、プラットホームの下へ潜り込んだりする作業が発生するため、敷設工事やホームドア装置のメンテナンス作業は、事前に許可申請が必要となる。
【0007】
また、プラットホームの下で電気ケーブルを配線する場合の敷設工事は、ホームドア装置をプラットホーム上に設置する前に実施しておく。そして、ホームドア装置をプラットホームに設置した後、電気ケーブルをホーム下よりプラットホーム上に貫通穴から配線しホームドア装置に接続する。そのため、ケーブル敷設からホームドア装置設置完了までの工期が長期化する傾向がある。
【0008】
上記特許文献1の技術では、各種ケーブルを布設するため案内盤が必要であることから、ホームドア本体のサイズが大きくなりかつ重くなる。また、ホームドアの上方まで配線が必要であるため、配線が複雑になったり、乗務員や駅係員がプラットホームにおける列車や乗客を視認しづらくなったりするという問題がある。
【0009】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、電気ケーブルの敷設工事やホーム柵システムのメンテナンス作業の際に、作業が容易になり、かつ安全性を向上させることが可能なホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示のホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示に係るホーム柵システムは、プラットホームに設置されるホーム柵と、前記プラットホーム上において前記ホーム柵よりも前記プラットホームの縁部側に敷設され前記ホーム柵と接続される電気ケーブルと、前記プラットホーム上において前記プラットホームの縁部に沿って設置され、前記電気ケーブルを収容可能なカバー部材とを備え、前記カバー部材は、前記ホーム柵よりも前記プラットホームの前記縁部側において前記電気ケーブルを収容する
【0011】
本開示に係るホーム柵システムのケーブル敷設方法は、ホーム柵と接続される電気ケーブルをプラットホーム上において前記ホーム柵よりも前記プラットホームの縁部側に敷設するステップと、前記プラットホーム上に敷設された前記電気ケーブルを前記ホーム柵よりも前記プラットホームの前記縁部側において収容するように、前記プラットホーム上において前記プラットホームの縁部に沿ってカバー部材を設置するステップとを備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、電気ケーブルの敷設工事やホーム柵システムのメンテナンス作業の際に、作業が容易になり、かつ安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の一実施形態に係るプラットホームドアシステムを示す平面図である。
図2】本開示の一実施形態に係るプラットホームドアシステムを示す部分拡大平面図である。
図3図2のIII-III線で切断した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
以下、本開示の一実施形態に係るホームドアシステム1について、図1から図3を用いて説明する。なお、ホームドアシステム1は、ホーム柵システムの一例である。
【0015】
ホームドアシステム1は、図1に示すように、戸袋部3及びドア部4からなるホームドア装置2と、図2及び図3に示すように、プラットホーム60の縁部に沿って配置されるカバー部材10などを備える。カバー部材10には、ホームドア装置2に電気的に接続される電気ケーブル70等が収容される。ホームドア装置2は、プラットホーム60上に設置され、プラットホーム60からの乗客の転落や車両50との接触などを防止する。
【0016】
ホームドア装置2は、例えば腰高式であり、プラットホーム60上の設置面から天板上端まで約1.3m~1.4mの高さを有する。ドア部4は、電力によって駆動するモータ、モータによって動作するベルト等の伝動機構によって、筐体を有する戸袋部3に対して出入し、開口部5を開閉する。開口部5は、プラットホーム60に停車する列車の車両50の車両扉51に対応する位置に設けられる。
【0017】
なお、本実施形態では、ホーム柵の一例として、戸袋部3を有するホームドア装置2について説明するが、本開示はこの例に限定されない。たとえば、ドア部4が戸袋部3のような筐体に設置されるのではなく、筐体の代わりに柵のみが設置され、柵の近傍で柵とは別の支持部によってドア部4が支持されてもよい。そして、ドア部4は、柵に沿って移動し、開口部5を開閉する。また、本開示は、ドア部4を備えるホーム柵に限定されず、ロープ又はバーが設けられた昇降式タイプにも適用可能である。また、本開示は、ドアがスライド式ではなく、開き戸であるホーム柵にも適用可能である。
【0018】
具体的には、開き戸を有するホーム柵では、プラットホーム60の縁部に沿って設けられた複数の第1固定柵と、第1固定柵よりもプラットホーム60の内側、又は、第1固定柵と同一面上に設けられた第2固定柵が設けられる。複数の第1固定柵は、プラットホーム60に停止する車両50の車両扉51に対応する位置に所定の間隔をあけて設置され、第2固定柵は、車両扉51に対応する位置において隣り合う第1固定柵間に設置される。また、乗降客が通過可能な開口部が第2固定柵において設けられ、開き戸が開口部に設置される。列車の乗降客は、第2固定柵の開口部を通過して、車両に対して乗り降りする。開き戸の閉鎖時には第2固定柵の開口部が塞がれ、開放時には開口部が開かれる。
【0019】
電気ケーブル70は、例えば電源ケーブル71、信号ケーブル72等であり、ホームドア装置2と接続される。電源ケーブル71は、ホームドア装置2の外部の電源と接続され、例えば戸袋部3に内蔵されたモータや制御盤等へ電力を供給する。また、信号ケーブル72は、例えば戸袋部3に内蔵された制御盤と外部の制御盤とを結び、信号ケーブル72によってドア部4の開閉に関する制御信号等が送受信される。電気ケーブル70は、プラットホーム60上に敷設され、カバー部材10の内部に収容される。
【0020】
カバー部材10は、例えば金属製の板状部材が成形されたものであり、プラットホーム60上においてプラットホーム60の縁部に沿って設置される。カバー部材10は、電気ケーブル70を内部に収容する。カバー部材10は、プラットホーム60の縁部に沿って長い長尺状部材である。カバー部材10は、プラットホーム60の形状に応じて、長手方向に沿って直線形状を有したり、湾曲形状を有したりする。
【0021】
複数のカバー部材10が、プラットホーム60の縁部に沿って隣接して配置されることによって、所定の領域にわたって電気ケーブル70がカバー部材10によって覆われる。なお、プラットホーム60上で乗降客が電気ケーブル70と接触するおそれがない領域では、必ずしもカバー部材10が設置されなくてもよく、電気ケーブル70が露出していてもよい。
【0022】
カバー部材10は、特に、ホームドア装置2の開口部5、すなわち、隣接する戸袋部3間に形成される開口部5に設置される。ホームドア装置2の開口部5では、プラットホーム60に停止する車両50を乗降する乗降客が通行する。したがって、カバー部材10は、乗降客の足場としても用いられる。この場合、カバー部材10は、想定される乗降客の荷重に耐え得る剛性を有する。また、カバー部材10の上面には、乗降客が通行する際に滑りにくいように、適切な加工が施されたり、合成ゴムなどの別の材料が設置されたりする。
【0023】
カバー部材10には、傾斜部11が設けられている。傾斜部11は、カバー部材10がプラットホーム60に設置されたとき、プラットホーム60の内側から縁部にかけて上昇する方向に傾いている。
【0024】
例えば、傾斜のないフラットなプラットホーム60上において、電気ケーブル70が敷設され、その上に傾斜部11が設けられたカバー部材10が設置される。これにより、段差部のないカバー部材10の上を乗降客が通行可能となり、つまずきにくく、かつ、車椅子の通行がスムーズな通路とすることができる。
【0025】
また、図3に示すように、既設のプラットホーム60の床面と車両50の車両床52の高さの差が、路線によって50mmから70mmと大きい場合がある。このような場合、本開示を適用する際、カバー部材10における収容部12側の高さ、すなわち、プラットホーム60縁部側の高さは、プラットホーム60に停止する車両50の車両床52の高さとの差が、プラットホーム60の床面高さと車両床52との差よりも低減するように設定されている。例えば、カバー部材10のプラットホーム60縁部側の高さは、車両床52の高さと同一面上に揃うようにする、又は、車両床52との高さの差が少なくするように設定される。併せて、傾斜部11の高さや長さも調整される。これにより、乗降客、車椅子、ベビーカー等の乗降において、利用者の負担が少なくなり、よりスムーズに行うことができる。なお、本開示は、図3に示すように、カバー部材10のプラットホーム60縁部側が、車両床52と同一面上に揃う例に限定されず、車両床52との間で段差がある例も含まれる。
【0026】
また、カバー部材10は、ホームドア装置2よりもプラットホーム60の縁部側の収容部12において電気ケーブル70を収容する。収容部12は、カバー部材10がプラットホーム60に設置されたとき、傾斜部11よりもプラットホーム60の縁部側である。電気ケーブル70は、ホームドア装置2よりもプラットホーム60の縁部側で敷設され、かつ、その位置で敷設された電気ケーブル70がカバー部材10によって収容される。
【0027】
カバー部材10は、プラットホーム60に対して着脱可能な構成で取り付けられることが望ましい。これにより、電気ケーブル70に関するメンテナンス性が向上する。
【0028】
カバー部材10の内部では、図3に示すように、通常、電源ケーブル71と信号ケーブル72が分けて配設される。カバー部材10の内部には、電気ケーブル70が敷設されるラック13が設置されてもよいし、ラック13には、電源ケーブル71と信号ケーブル72を仕切る仕切材14が設置されてもよい。
【0029】
以上、本実施形態によれば、ホームドア装置2と接続される電気ケーブル70、例えば電源ケーブル71、信号ケーブル72等が、カバー部材10に収容される。なお、カバー部材10には、ホームドア装置2に設置されるデジタルサイネージ用の電源ケーブルや通信ケーブル等が収容されてもよい。カバー部材10は、プラットホーム60上においてプラットホーム60の縁部に沿って設置される。また、カバー部材10に収容される電気ケーブル70は、プラットホーム60上に敷設される。これにより、電気ケーブル70の敷設工事やホームドアシステム1のメンテナンス作業の際に、線路上やプラットホーム60下へ降りる必要が無く、作業が容易になり、安全性が向上する。さらに、電気ケーブルがプラットホームの下で敷設される場合に比べて、敷設工事費が低減し、ケーブル敷設工事とホームドア装置工事を連続して施工できるため工期を短縮することができる。
【0030】
以下、プラットホーム60にて、本実施形態のホームドアシステム1の電気ケーブル70を敷設する方法について説明する。
【0031】
既設のプラットホーム60に対してホームドア装置2を設置し電気ケーブル70を敷設する場合、ホームドア装置2の設置に合わせて、プラットホーム60上に電気ケーブル70を敷設する。電気ケーブル70を敷設するタイミングは、ホームドア装置2の設置前でもよいし、設置と同時でもよいし、設置後でもよい。
【0032】
このとき、電気ケーブル70を敷設するために、プラットホーム60の形状を変更する工事を行う必要がなく、プラットホーム60の上面がフラットな状態のままでよい。
【0033】
なお、ラック13が用いられる場合、電気ケーブル70を敷設する前にラック13がプラットホーム60の縁部に沿って設置される。ラック13が設置された後、プラットホーム60の縁部に沿ってラック13上に電気ケーブル70が配置される。
【0034】
そして、電気ケーブル70がプラットホーム60上に敷設された後、プラットホーム60上に敷設された電気ケーブル70を収容するように、プラットホーム60上においてプラットホーム60の縁部に沿ってカバー部材10が設置される。カバー部材10は電気ケーブル70を覆う必要がある領域の長さに応じて、複数のカバー部材10が隣接して配置される。
【0035】
上述した敷設方法によれば、カバー部材10に収容される電気ケーブル70は、プラットホーム60上に敷設される。したがって、従来の電気ケーブルの敷設方法と異なり、電気ケーブル70の敷設工事やホームドアシステム1のメンテナンス作業の際に、線路上やプラットホーム60下へ降りる必要が無く、作業が容易になり、安全性が向上する。また、線路上等の建築限界に入り込む必要がないため、事前に必要な許可申請を省略でき、工事計画を柔軟に立てられる。さらに、ホームドアシステム1の設置工事において、ケーブル敷設工事とホームドア装置工事を連続して施工できるため工期を短縮することができる。
【0036】
また、電気ケーブル70の敷設工事では、プラットホーム60を貫通する貫通穴を設けるためのコア抜き作業を行う必要がなく、工期の短縮化が可能である。さらに、カバー部材10及び電気ケーブル70がプラットホーム60上に敷設されることから、特許文献1のようにホームドア装置2の上方で配線されないため、乗務員や駅係員のプラットホーム60における視認性を妨げることがない。
【0037】
以上説明した各実施形態に記載のホーム柵システム及びホーム柵システムのケーブル敷設方法は例えば以下のように把握される。
本開示に係るホーム柵システム(1)は、プラットホーム(60)に設置されるホーム柵(2)と、前記プラットホーム上において前記プラットホームの縁部に沿って設置され、前記プラットホーム上に敷設され前記ホーム柵と接続される電気ケーブル(70)を収容可能なカバー部材(10)とを備える。
【0038】
この構成によれば、ホーム柵と接続される電気ケーブル、例えば電源ケーブル、信号ケーブル等が、カバー部材に収容される。カバー部材は、プラットホーム上においてプラットホームの縁部に沿って設置される。また、カバー部材に収容される電気ケーブルは、プラットホーム上に敷設される。これにより、電気ケーブルの敷設工事やホーム柵システムのメンテナンス作業の際に、線路上やプラットホーム下へ降りる必要が無く、作業が容易になり、安全性が向上する。さらに、従来に比べ、敷設工事費が低減し、工期を短縮することができる。
【0039】
本開示に係るホーム柵システムにおいて、前記カバー部材は、前記ホーム柵の開口部(5)に設置されてもよい。
【0040】
この構成によれば、ホーム柵の開口部、すなわち、プラットホームに停止する車両を乗降する乗降客が通行する開口部にカバー部材が設置され、カバー部材は、乗降客の足場としても用いられる。
【0041】
本開示に係るホーム柵システムにおいて、前記カバー部材は、前記プラットホームの内側から縁部にかけて上昇する傾斜部(11)が設けられてもよい。
【0042】
この構成によれば、カバー部材には傾斜部が設けられており、傾斜部は、プラットホームの内側から縁部にかけて上昇している。例えば、傾斜のないフラットなプラットホームにおいて、電気ケーブルが敷設され、その上に傾斜部が設けられたカバー部材が設置される。これにより、段差部のないカバー部材の上を乗降客が通行可能となり、つまずきにくく、かつ、車椅子の通行がスムーズな通路とすることができる。
【0043】
本開示に係るホーム柵システムにおいて、前記カバー部材は、前記ホーム柵よりも前記プラットホームの前記縁部側において前記電気ケーブルを収容してもよい。
【0044】
この構成によれば、電気ケーブルがホーム柵よりもプラットホームの縁部側で敷設され、かつ、その位置で敷設された電気ケーブルがカバー部材によって収容される。
【0045】
本開示に係るホーム柵システムにおいて、前記カバー部材の前記プラットホームの前記縁部側の高さは、前記プラットホームに停止する車両(50)の車両床(52)の高さとの差が、前記プラットホームの床面高さと前記車両床の高さとの差よりも低減するように設定されてもよい。
【0046】
この構成によれば、カバー部材が設置されることによって、既設のプラットホームの床面高さと車両床の高さとの差に比べて、カバー部材のプラットホームの縁部側の高さと車両床の高さとの差が低減され、利用者の負担が少なくなる。
【0047】
本開示に係るホーム柵システムのケーブル敷設方法は、ホーム柵と接続される電気ケーブルをプラットホーム上に敷設するステップと、前記プラットホーム上に敷設された前記電気ケーブルを収容するように、前記プラットホーム上において前記プラットホームの縁部に沿ってカバー部材を設置するステップとを備える。
【0048】
この構成によれば、ホーム柵と接続される電気ケーブル、例えば電源ケーブル、信号ケーブル等が、カバー部材に収容される。カバー部材は、プラットホーム上においてプラットホームの縁部に沿って設置される。また、カバー部材に収容される電気ケーブルは、プラットホーム上に敷設される。これにより、電気ケーブルの敷設工事やホーム柵システムのメンテナンス作業の際に、線路上やプラットホーム下へ降りる必要が無く、作業が容易になり、安全性が向上する。さらに、ホームドアシステム1の設置工事において、ケーブル敷設工事とホームドア装置工事を連続して施工できるため工期を短縮することができる。
【符号の説明】
【0049】
1 :ホームドアシステム(ホーム柵システム)
2 :ホームドア装置(ホーム柵)
3 :戸袋部
4 :ドア部
5 :開口部
10 :カバー部材
11 :傾斜部
12 :収容部
13 :ラック
14 :仕切材
50 :車両
51 :車両扉
60 :プラットホーム
70 :電気ケーブル
71 :電源ケーブル
72 :信号ケーブル
図1
図2
図3