(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】タッチパネル入力装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20240219BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G06F3/041 522
G06F3/044 120
G06F3/041 512
(21)【出願番号】P 2020098539
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 晃一
【審査官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0168635(US,A1)
【文献】特表2018-537769(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0147741(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0181787(US,A1)
【文献】特開2014-052997(JP,A)
【文献】特開2006-039823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ面を備えるタッチパネル入力装置であって、
前記タッチ面の第1の端部から第1方向に対向する第2の端部に向けて伸びて配置される複数の第1電極線と、
前記タッチ面の第3の端部から第2方向に対向する第4の端部に向けて伸びて、前記複数の第1電極線と複数の交点で交差して配置される、複数の第2電極線と、
前記複数の第1電極線の各々のうちの奇数ラインの電極線である奇数第1電極線に対して前記第1の端部側から第1ドライブ信号を入力する第1ドライブ回路と、
前記複数の第1電極線の各々のうちの偶数ラインの電極線である偶数第1電極線に対して前記第2の端部側から第2ドライブ信号を入力する第2ドライブ回路と、
前記第1ドライブ回路と、前記第2ドライブ回路を制御するドライブ制御部と、
前記複数の第2電極線の各々に対して出力信号を検出する受信回路と、
前記受信回路により検出される前記出力信号の変化に基づいて、前記タッチ面に対するタッチを検出するタッチ検出部と
を備え、
前記ドライブ制御部は、
駆動モードを設定する駆動モード設定部を備え、
前記駆動モード設定部は、前記駆動モードを、
前記第1ドライブ回路が、前記奇数第1電極線に対して、前記第3の端部側のラインから前記第4の端部側のラインまで配列順に従って順次信号を入力する第1ドライブ制御と、
前記第2ドライブ回路が、前記偶数第1電極線に対して、前記第3の端部側のラインから前記第4の端部側のラインまで配列順に従って順次信号を入力する第2ドライブ制御と
を交互に実行するインタレース駆動モードと、
前記第1ドライブ回路および前記第2ドライブ回路が、前記複数の第1電極線の各々のうちの全ての電極線に対して、前記第3の端部側のラインから前記第4の端部側のラインまで配列順に従って順次信号を入力するノンインタレース駆動モードと
のいずれかに設定し、
前記駆動モード設定部は、
前記タッチ面へのタッチ入力のタッチ面内での移動速度が所定速度以上であるか否かを判定し、
前記移動速度が所定速度以上であると前記駆動モード設定部により判定された場合に、前記駆動モードを前記インタレース駆動モードに設定し、
前記移動速度が所定速度以上でないと前記駆動モード設定部により判定された場合に、前記駆動モードを前記ノンインタレース駆動モードに設定する、タッチパネル入力装置。
【請求項2】
前記タッチ検出部は、1つのタッチのタッチ信号強度を、前記受信回路により検出された、前記1つのタッチに対応する複数の前記交点に対応する前記出力信号の信号強度
を平均化することにより算出する、請求項1に記載のタッチパネル入力装置。
【請求項3】
前記タッチ検出部は、
隣接する、前記奇数第1電極線に対応する前記交点に対応する前記出力信号の信号強度と、前記偶数第1電極線に対応する前記交点に対応する前記出力信号の信号強度とを平均化することより、前記1つのタッチに対するタッチ信号強度を算出する、請求項2に記載のタッチパネル入力装置。
【請求項4】
前記駆動モード設定部は、
前記タッチパネル入力装置が信号待機状態のとき、前記駆動モードを前記インタレース駆動モードに設定する、請求項
1から3のいずれか1項に記載のタッチパネル入力装置。
【請求項5】
前記奇数第1電極線のグランド状態と非グランド状態とを切り替える第1グランド状態切り替え回路と、
前記偶数第1電極線のグランド状態と非グランド状態とを切り替える第2グランド状態切り替え回路と
をさらに備え、
前記ドライブ制御部は、
前記第1グランド状態切り替え回路により、前記奇数第1電極線の電極線が非グランド状態とされ、かつ、前記第2グランド状態切り替え回路により、前記偶数第1電極線の電極線がグランド状態とされた状態で、第1ドライブ回路が、前記奇数第1電極線に対して前記第1ドライブ信号を入力し、
前記第1グランド状態切り替え回路により、前記奇数第1電極線の電極線がグランド状態とされ、かつ、前記第2グランド状態切り替え回路により、前記偶数第1電極線の電極線が非グランド状態とされた状態で、第2ドライブ回路が、前記偶数第1電極線に対して前記第2ドライブ信号を入力するように、制御を行う請求項1から
4のいずれか1項に記載のタッチパネル入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のタッチパネル入力装置は、タッチパネルと、交流信号源と、インダクタンス素子と、検出回路とを備える。タッチパネルは、電極線を有する。電極線は、第1電極線と第2電極線とを有する。交流信号源は、交流信号を第1電極線に入力する。インダクタンス素子は、交流信号源と第1電極線との間に電気的に直列接続される。検出回路は、検出対象物がタッチパネルにタッチした際の第1電極線と第2電極線との間の静電容量の変化を少なくとも第2電極線から出力される信号の変化により検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、第1電極線に入力されるドライブ信号の強度は、入力された箇所から遠くなるにしたがって弱くなる。したがって、タッチ面の位置によってドライブ信号の強度に偏りが生じる可能性がある。その結果、タッチ面の位置による検出精度のバラツキが生じる可能性がある。その結果、タッチ位置の判定精度が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的はタッチ位置の判定精度が低下することを抑制できるタッチパネル入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面によれば、タッチパネル入力装置は、タッチ面を備える。前記タッチパネル入力装置は、複数の第1電極線と、複数の第2電極線と、第1ドライブ回路と、第2ドライブ回路と、ドライブ制御部と、受信回路と、タッチ検出部とを備える。前記複数の第1電極線は、前記タッチ面の第1の端部から第1方向に対向する第2の端部に向けて伸びて配置される。前記複数の第2電極線は、前記タッチ面の第3の端部から第2方向に対向する第4の端部に向けて伸びて、前記複数の第1電極線と複数の交点で交差して配置される。前記第1ドライブ回路は、前記複数の第1電極線の各々のうちの奇数ラインの電極線である奇数第1電極線に対して前記第1の端部側から第1ドライブ信号を入力する。前記第2ドライブ回路は、前記複数の第1電極線の各々のうちの偶数ラインの電極線である偶数第1電極線に対して前記第2の端部側から第2ドライブ信号を入力する。前記ドライブ制御部は、前記第1ドライブ回路と、前記第2ドライブ回路を制御する。前記受信回路は、前記複数の第2電極線の各々に対して出力信号を検出する。前記タッチ検出部は、前記受信回路により検出される前記出力信号の変化に基づいて、前記タッチ面に対するタッチを検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のタッチパネル入力装置は、タッチ位置の判定精度が低下することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るタッチパネル入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】タッチパネル入力装置に設けられたタッチパネルの構成を示す模式図である。
【
図3】タッチパネルの概略構成を示す説明図である。
【
図6】駆動モード設定部の駆動モードの設定処理を示すフロー図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係るタッチパネル入力装置の構成を示すブロック図である。
【
図8】第1グランド状態切り替え回路および第2グランド状態切り替え回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
[第1実施形態]
図1~
図3を参照して、本発明の第1実施形態に係るタッチパネル入力装置100について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るタッチパネル入力装置100の構成を示すブロック図である。
図2は、タッチパネル入力装置100に設けられたタッチパネル20の構成を示す模式図である。
図3は、タッチパネル20の概略構成を示す説明図である。
【0011】
図1から
図3に示すように、タッチパネル入力装置100は、ディスプレイ10と、タッチパネル20と、タッチ位置判定回路30とを備える。
【0012】
ディスプレイ10は、画像を表示する表示パネル(例えば、液晶パネル)を有する。なお、タッチパネル入力装置100は、ディスプレイ10を備えていなくてもよく、少なくとも、タッチパネル20と、タッチ位置判定回路30とを備えていればよい。すなわち、タッチパネル入力装置100は、少なくとも、タッチパネル機能を有していればよく、タッチパネル20上に画像を表示する画像表示機能を有していなくてもよい。
【0013】
タッチパネル20は、タッチ面21と、複数の第1電極線と、複数の第2電極線と、複数の静電容量とを有する。複数の第1電極線は、第1電極線HL1~第1電極線HLM(Ach)を含む。複数の第2電極線は、第2電極線VL1~第2電極線VLM(Bch)を含む。複数の静電容量は、静電容量C11~静電容量CMMを含む。
【0014】
タッチ面21は、タッチ操作を受け付ける。タッチ面21は、例えば、電子黒板のタッチ面でもよく、または、スマートフォンおよびタブレットPC(Personal Computer)のような端末のタッチ面でもよい。
【0015】
第1電極線HL1~第1電極線HLM、および第2電極線VL1~第2電極線VLMの各々は、タッチ面21の裏側に配置される。第1電極線HL1~第1電極線HLMは、タッチ面21の第1の端部P11~P1Mからタッチ面21の第2の端部P21~P2Mに向けて第1方向に沿って伸びており、第1方向に沿って互いに平行に配置される。第2の端部P21~P2Mは、第1の端部P11~P1Mに対して、第1方向に対向する。本実施形態では、第1の端部P11~P1Mは、タッチ面21の右側に位置する。また、第2の端部P21~P2Mは、タッチ面21の左側に位置する。第2電極線VL1~第2電極線VLMは、タッチ面21の第3の端部P31~P3Mからタッチ面21の第4の端部P41~P4Mに向けて第1方向に対して垂直な第2方向に沿って伸びており、第2方向に沿って互いに平行に配置される。第3の端部P31~P3Mは、第4の端部P41~P4Mに対して、第2方向に対向する。本実施形態では、第3の端部P31~P3Mは、タッチ面21の上側に位置する。また、第4の端部P41~P4Mは、タッチ面21の下側に位置する。第2電極線VL1~第2電極線VLMは、第1電極線HL1~第1電極線HLMと複数の交点D11~交点DMMで交差して配置される。静電容量C11~静電容量CMMは、第1電極線HL1~第1電極線HLMと第2電極線VL1~第2電極線VLMとの交点D11~交点DMMにそれぞれ形成される。
【0016】
以下では、第1電極線HL1~第1電極線HLMを第1電極線群Hと記載し、第2電極線VL1~第2電極線VLMを第2電極線群Vと記載することがある。また、第1電極線HL1~第1電極線HLM、および第2電極線VL1~第2電極線VLMを総称して、電極線と記載することがある。また、交点D11~交点DMMを総称して、交点と記載することがある。
【0017】
第1電極線群Hおよび第2電極線群Vを含むタッチパネル20はディスプレイ10もしくは、図示しない保護ガラスに貼合されて固定される。第2電極線群Vは、第1電極線群Hよりもディスプレイ10に近い側に配置される。なお、第1電極線群Hが第2電極線群Vよりもディスプレイ10に近い側に配置されてもよい。なお、実際には、第1電極線群H、第2電極線群Vおよびディスプレイ10の間には、PETフィルムが設けられているが、
図3の説明では省略している。
【0018】
タッチ位置判定回路30は、例えば、半導体素子(CPU、メモリ等)、抵抗、コンデンサ、コイル等で構成される。タッチ位置判定回路30は、タッチパネル20上の第1電極線HL1~第1電極線HLMと第2電極線VL1~第2電極線VLMとの交点D11~交点DMMにそれぞれ形成される静電容量C11~静電容量CMMの値の分布を検出して、タッチ面21上のタッチされた位置を表すタッチ位置を判定する。
【0019】
タッチ面21上においてタッチ操作が行われると、交点D11~交点DMMのうち、タッチ操作が行われた場所の周辺に位置する交点の静電容量が変化する。その結果、タッチ位置判定回路30は、静電容量の変化に基づいてタッチ面21上のタッチ位置を判定する。
【0020】
タッチ位置判定回路30は、ドライブ回路31と、受信回路32と、AD変換器33と、タイミングジェネレータ34と、検出部35と、記録部38と、タッチ位置判定部39とを有する。なお、タイミングジェネレータ34は、「ドライブ制御部」の一例に相当する。また、タッチ位置判定部39は、「タッチ検出部」の一例に相当する。
【0021】
ドライブ回路31は、第1ドライブ回路311と、第2ドライブ回路312とを含む。ドライブ回路31は、第1電極線HL1~第1電極線HLMに接続される。
【0022】
第1ドライブ回路311は、第1電極線HL1~第1電極線HLMの各々のうちの奇数第1電極線に接続される。奇数第1電極線は、第1電極線HL1~第1電極線HLMのうちの奇数ラインの第1電極線である。奇数第1電極線は、第1電極線HL1、第1電極線HL3、…、第1電極線HLM-1を含む。第1ドライブ回路311は、奇数ドライブラインを介して、奇数第1電極線の第1の端部P11~P1M-1側に接続される。奇数ドライブラインは、ドライブラインDL1、DL3~DLM-1を含む。
【0023】
第2ドライブ回路312は、第1電極線HL1~第1電極線HLMの各々のうちの偶数第1電極線に接続される。偶数第1電極線は、第1電極線HL1~第1電極線HLMのうちの偶数ラインの第1電極線である。偶数第1電極線は、第1電極線HL2、第1電極線HL4、…、第1電極線HLMを含む。第2ドライブ回路312は、偶数ドライブラインを介して、偶数第1電極線の第2の端部P22~P2M側に接続される。偶数ドライブラインは、ドライブラインDL2、DL4~DLMを含む。第2ドライブ回路312は、偶数ドライブラインを介して、偶数第1電極線に対して第2の端部P22~P2M側から第1ドライブ信号を入力する。
【0024】
ドライブ回路31は、第1電極線HL1~第1電極線HLMに電圧を印加することで、ドライブ信号を生成し、第1電極線HL1~第1電極線HLMの各々に対してドライブ信号を入力する。詳しくは、第1ドライブ回路311は、第1ドライブ信号を生成する。そして、第1ドライブ回路311は、奇数ドライブラインを介して、奇数第1電極線に対して第1の端部P11~P1M-1側から第1ドライブ信号を入力する。また、第2ドライブ回路312は、第2ドライブ信号を生成する。そして、第2ドライブ回路312は、偶数ドライブラインを介して、偶数第1電極線に対して第2の端部P22~P2M側から第2ドライブ信号を入力する。
【0025】
受信回路32は、センスラインSL1~SLMを介して、第2電極線VL1~第2電極線VLMに接続される。受信回路32は、第2電極線VL1~第2電極線VLMの各々に対して出力信号を検出する。受信回路32は、第2電極線VL1~第2電極線VLMからの出力信号を検出することで、各静電容量(静電容量C11~静電容量CMMの各々)に対応する電荷の線形和を示す情報(静電容量情報)を読み出す。そして、受信回路32は、読み出した静電容量情報を、AD変換器33に送信する。その結果、AD変換器33が、静電容量情報を取得する。
【0026】
AD変換器33は、受信回路32から取得した静電容量情報をAD変換して検出部35に送信する。その結果、検出部35が、AD変換された静電容量情報を取得する。
【0027】
タイミングジェネレータ34は、第1ドライブ回路311と、第2ドライブ回路312とを制御する。詳しくは、タイミングジェネレータ34は、ドライブ回路31(第1ドライブ回路311および第2ドライブ回路312)の動作を規定する信号と、受信回路32の動作を規定する信号と、AD変換器33の動作を規定する信号とを生成して、ドライブ回路31、受信回路32、およびAD変換器33に送信する。タイミングジェネレータ34は、駆動モード設定部341を備える。駆動モード設定部341は、駆動モードを設定する。
【0028】
検出部35は、AD変換器33から取得した静電容量情報と符号系列とに基づいて、タッチ面21上の静電容量分布を計算する。すなわち、検出部35は、複数の第1電極線(第1電極線HL1~第1電極線HLM)と、複数の第2電極線(第2電極線VL1~第2電極線VLM)によって形成される各交点(交点D11~交点DMMの各々)における静電容量(静電容量C11~静電容量CMM)の変化に基づく検出値(静電容量の変化)を検出する。
【0029】
検出部35は、検出値(静電容量分布を示す情報)を、タッチ位置判定部39に送信する。その結果、タッチ位置判定部39が、検出部35の検出値を取得する。
【0030】
記録部38は、判定条件を記録する。判定条件は、タッチ位置判定部39がタッチ面21上のタッチ位置を判定するために用いる情報を示す。
【0031】
タッチ位置判定部39は、AD変換器33および検出部35を介して、受信回路32に電気的に接続されている。タッチ位置判定部39は、交点D11~交点DMMにおける静電容量の変化に起因した受信回路32により検出される出力信号の変化に基づいて、タッチ面21に対するタッチを検出する。例えば、タッチ位置判定部39は、検出部35によって検出された複数の交点(交点D11~交点DMM)の座標に対する検出値の分布、および記録部38に記録される判定条件に基づいてタッチ面21におけるタッチ位置を判定する。
【0032】
一般的に、第1電極線に入力されるドライブ信号の強度は、入力された箇所から遠くなるにしたがって弱くなる。例えば、第1の端部P11~P1M側から第1電極線に入力されたドライブ信号の強度は、第2の端部P21~P2M側にいくほど弱くなる。また、第2の端部P21~P2M側から第1電極線に入力されたドライブ信号の強度は、第1の端部P11~P1M側にいくほど弱くなる。したがって、一般的に、タッチ面の位置によってドライブ信号の強度に偏りが生じる可能性がある。
【0033】
本実施形態では、第1ドライブ回路311は、複数の第1電極線の各々のうちの奇数ラインの電極線である奇数第1電極線に対して第1の端部P11~P1M側から第1ドライブ信号を入力する。一方、第2ドライブ回路312は、複数の第1電極線の各々のうちの偶数ラインの電極線である偶数第1電極線に対して第2の端部P21~P2M側から第2ドライブ信号を入力する。このため、タッチ面21の位置によってドライブ信号の偏りが生じることを緩和することができる。したがって、タッチ面21の位置による検出精度のバラツキを抑制することができる。その結果、タッチ位置の判定精度が低下することを抑制できる。
【0034】
タッチ位置判定部39は、1つのタッチのタッチ信号強度を、受信回路32により検出された、1つのタッチに対応する複数の交点(交点D11~交点DMM)に対応する出力信号の信号強度に基づき算出する。詳しくは、タッチ位置判定部39は、奇数第1電極線に対応する交点に対応する出力信号の信号強度と、偶数第1電極線に対応する交点に対応する出力信号の信号強度とを平均化することより、1つのタッチに対するタッチ信号強度を算出する。すなわち、タッチ位置判定部39は、隣接する奇数第1電極線と偶数第1電極線との信号強度を平均化することによって、1つのタッチに対するタッチ信号強度を算出する。したがって、タッチ面21の位置によってドライブ信号の強度の偏りが生じることを緩和することができる。したがって、タッチ面21の位置による検出精度のバラツキを抑制することができる。その結果、タッチ位置の判定精度が低下することを抑制できる。
【0035】
次に、
図1および
図4を参照して、タイミングジェネレータ34が実行する駆動制御の一例について説明する。
図4は、タッチパネル20を示す模式図である。理解を容易にするために、
図4では、第1電極線HLの本数は、10本にしている。
【0036】
タイミングジェネレータ34は、第1ドライブ制御と、第2ドライブ制御とを交互に実行するインタレース駆動制御を行う。
【0037】
第1ドライブ制御は、第1ドライブ回路311が、奇数第1電極線(第1電極線HL1、HL3、…、HL9)に対して、第3の端部P31~P3M側のラインから第4の端部P41~P4M側のラインまで配列順に従って順次信号を入力する制御である。本実施形態では、第1ドライブ制御は、奇数第1電極線(第1電極線HL1、HL3、…、HL9)に対して、上側から下側に向かって配列順に順次信号を入力する制御である。
図4に示すように、第1ドライブ制御は、ステップS1~ステップS5の順に、第1ドライブ回路311が、ドライブライン(ドライブラインDL1、DL3、…、DL9)を介して、奇数第1電極線に対して、第1ドライブ信号を入力する制御である。このように、第1ドライブ制御では、第1電極線HLに対して、1つおきにドライブ信号が入力される制御である。
【0038】
第2ドライブ制御は、第2ドライブ回路312が、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HL10)に対して、第3の端部P31~P3M側のラインから第4の端部P41~P4M側のラインまで配列順に従って順次信号を入力する制御である。本実施形態では、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HL10)に対して、上側から下側に向かって配列順に順次信号を入力する制御である。
図4に示すように、第2ドライブ制御は、ステップS6~ステップS10の順に、第2ドライブ回路312が、ドライブライン(ドライブラインDL2、DL4、…、DL10)を介して、第2ドライブ信号を入力する制御である。このように、第2ドライブ制御では、第1電極線HLに対して、1つおきにドライブ信号が入力される制御である。
【0039】
以上、
図1および
図4を参照して説明したように、ドライブ制御部(タイミングジェネレータ34)は、第1ドライブ制御と、第2ドライブ制御とを交互に実行するインタレース駆動制御を行う。このため、複数の第1電極線(第1電極線HL1~第1電極線HLM)には、1つおきにドライブ信号が入力される。したがって、クロストークを抑制することができる。その結果、タッチ位置の判定精度が低下することを抑制できる。
【0040】
次に、
図1および
図5を参照して、タイミングジェネレータ34が実行する駆動制御の一例について説明する。
図5は、タッチパネル20を示す模式図である。理解を容易にするために、
図5では、第1電極線HLの本数は、10本にしている。
【0041】
タイミングジェネレータ34は、ノンインタレース駆動制御を行ってもよい。ノンインタレース駆動制御は、第1ドライブ回路311および第2ドライブ回路312が、複数の第1電極線の(第1電極線HL1~第1電極線HLM)各々のうちの全ての電極線に対して、第3の端部P31~P3M側のラインから第4の端部P41~P4M側のラインまで配列順に従って順次信号を入力する駆動制御である。
図5に示すように、ノンインタレース駆動制御は、ステップS1~ステップS10の順に、第1ドライブ回路311が、ドライブラインを介して、第1ドライブ信号を入力する制御と、第2ドライブ回路312が、ドライブラインを介して、第2ドライブ信号を入力する制御とが、交互に行われる。
【0042】
なお、駆動モード設定部341は、駆動モードを、インタレース駆動モードと、ノンインタレース駆動モードとのいずれかに設定してもよい。インタレース駆動モードは、
図4に示すように、タイミングジェネレータ34がインタレース駆動制御を行う駆動モードである。ノンインタレース駆動モードは、
図5に示すように、タイミングジェネレータ34がノンインタレース駆動制御を行う駆動モードである。駆動モード設定部341は、例えば、ユーザーによって設定された駆動モードに応じて、駆動モードを、インタレース駆動モードと、ノンインタレース駆動モードとのいずれかに設定してもよい。
【0043】
なお、駆動モード設定部341は、タッチ面21へのタッチ入力のタッチ面内での移動速度に応じて、駆動モードを設定してもよい。
【0044】
図1および
図6を参照して、駆動モード設定部341の駆動モードの設定処理について説明する。
図6は、駆動モード設定部341の駆動モードの設定処理を示すフロー図である。
【0045】
図6に示すように、ステップS102において、タッチ位置判定部39は、検出部35の検出値に基づいて、タッチ面21に対するタッチ操作が行われたか否かを判定する。
【0046】
検出部35により複数の交点(交点D11~交点DMMの各々)のうちの少なくとも1つの交点で静電容量の変化が検出されると、タッチ位置判定部39は、タッチ操作が行われたと判定する(ステップS102で、Yes)。この場合、処理がステップS104に移行する。
【0047】
これに対し、検出部35により複数の交点のうちの少なくとも1つの交点で静電容量の変化が検出されないと、タッチ位置判定部39は、タッチ操作が行われていないと判定する(ステップS102で、No)。この場合、ステップS102に示す処理が繰り返される。
【0048】
ステップS104において、駆動モード設定部341は、タッチ面21へのタッチ入力のタッチ面内での移動速度が所定速度以上であるか否かを判定する。移動速度が所定速度以上であると駆動モード設定部により判定された場合(ステップS104で、Yes)に、処理がステップS106に移行する。移動速度が所定速度以上でないと駆動モード設定部により判定された場合(ステップS104で、No)に、処理がステップS108に移行する。
【0049】
ステップS106において、駆動モード設定部341は、駆動モードをインタレース駆動モードに設定する。その結果、処理が終了する。
【0050】
ステップS108において、駆動モード設定部341は、駆動モードをノンインタレース駆動モードに設定する。その結果、処理が終了する。
【0051】
以上、
図1および
図6を参照して説明したように、駆動モード設定部341は、タッチ入力の移動速度が所定速度以上であると駆動モード設定部341により判定された場合に、駆動モードをインタレース駆動モードに設定する。一方、駆動モード設定部341は、タッチ入力の移動速度が所定速度以上でないと駆動モード設定部341により判定された場合に、駆動モードをノンインタレース駆動モードに設定する。このため、タッチ入力の移動速度が速い場合には、インタレース駆動モードに設定されることによって、複数の第1電極線(第1電極線HL1~第1電極線HLM)には、1つおきにドライブ信号が入力される。したがって、タッチの検出速度を倍速化することができる。その結果、タッチ入力の移動速度が速い場合であっても、タッチ位置の判定精度が低下することを抑制できる。
【0052】
なお、駆動モード設定部341は、タッチパネル入力装置100が信号待機状態のとき、駆動モードをインタレース駆動モードに設定してもよい。その結果、消費電力を低減することができる。
【0053】
[第2実施形態]
図7および
図8を参照して、本発明の第2実施形態に係るタッチパネル入力装置100について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るタッチパネル入力装置100の構成を示すブロック図である。
図8は、第1グランド状態切り替え回路361および第2グランド状態切り替え回路362を示す図である。タッチ位置判定回路30が、第1グランド状態切り替え回路361と、第2グランド状態切り替え回路362とをさらに有する点で、実施形態2に係るタッチパネル入力装置100は、実施形態1に係るタッチパネル入力装置100と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。
【0054】
図7に示すように、タッチ位置判定回路30は、ドライブ回路31と、受信回路32と、AD変換器33と、タイミングジェネレータ34と、検出部35と、記録部38と、タッチ位置判定部39とに加えて、第1グランド状態切り替え回路361と、第2グランド状態切り替え回路362とをさらに有する。
【0055】
第1ドライブ回路311は、第1グランド状態切り替え回路361を介して、奇数第1電極線(第1電極線HL1、HL3、…、HLM-1)に接続される。第1ドライブ回路311は、奇数ドライブラインDL1、DL3、…、DLM-1を介して、第1グランド状態切り替え回路361に接続される。
【0056】
第2ドライブ回路312は、第2グランド状態切り替え回路362を介して、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HLM)に接続される。第2ドライブ回路312は、偶数ドライブラインDL2、DL4、…、DLMを介して、第2グランド状態切り替え回路362に接続される。
【0057】
図8に示すように、第1グランド状態切り替え回路361には、ドライブラインDL1、DL3、…、DLM-1、コントロールラインCLa、グランドGNDおよび奇数第1電極線(第1電極線HL1、Hl3、…、HLM-1)が接続される。第1グランド状態切り替え回路361は、奇数第1電極線(第1電極線HL1、HL3、…、HLM-1)のグランド状態と非グランド状態とを切り替える。
【0058】
第2グランド状態切り替え回路362には、ドライブラインDL2、DL4、…、DLM、コントロールラインCLb、グランドGNDおよび偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HLM)が接続される。第2グランド状態切り替え回路362は、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HLM)のグランド状態と非グランド状態とを切り替える。
【0059】
タイミングジェネレータ34は、第1駆動制御と第2駆動制御とを実行する。タイミングジェネレータ34は、第1駆動制御と第2駆動制御とを交互に実行することが好ましい。
【0060】
第1駆動制御は、第1グランド状態切り替え回路361により、奇数第1電極線(第1電極線HL1、HL3、…、HLM-1)の電極線が非グランド状態とされ、かつ、第2グランド状態切り替え回路362により、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HLM)の電極線がグランド状態とされた状態で、第1ドライブ回路311が、奇数第1電極線に(第1電極線HL1、HL3、…、HLM-1)対して第1ドライブ信号を入力する制御を示す。
【0061】
第2駆動制御は、第1グランド状態切り替え回路361により、奇数第1電極線(第1電極線HL1、HL3、…、HLM-1)の電極線がグランド状態とされ、かつ、第2グランド状態切り替え回路362により、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HLM)の電極線が非グランド状態とされた状態で、第2ドライブ回路312が、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HLM)に対して第2ドライブ信号を入力する制御を示す。
【0062】
このように、タイミングジェネレータ34は、奇数第1電極線(第1電極線HL1、HL3、…、HLM-1)を駆動する場合(非グランド状態とする場合)、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HLM)がグランド状態になるように制御する。一方、タイミングジェネレータ34は、偶数第1電極線(第1電極線HL2、HL4、…、HLM)を駆動する場合(非グランド状態とする場合)、奇数第1電極線(第1電極線HL1、HL3、…、HLM-1)がグランド状態になるように制御する。このため、クロストークを抑制することができる。したがって、ノイズを低減することができる。その結果、タッチ位置の判定精度が低下することを抑制できる。
【0063】
以上、図面(
図1~
図8)を参照しながら本発明の実施形態について説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で実施することが可能である(例えば、(1))。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0064】
(1)第1実施形態および第2実施形態において、タッチパネル入力装置100は、第1電極線HL1~第1電極線HLMにドライブ信号を入力し、第2電極線VL1~第2電極線VLMからの出力信号を検出する。しかし、本発明はこれに限定されない。タッチパネル入力装置100は、第1電極線HL1~第1電極線HLMにドライブ信号を入力し、第2電極線VL1~第2電極線VLMからの出力信号を検出する処理と、第2電極線VL1~第2電極線VLMにドライブ信号を入力し、第1電極線HL1~第1電極線HLMからの出力信号を検出する処理とを交互に行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、タッチパネル入力装置の分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0066】
20 タッチパネル
21 タッチ面
31 ドライブ回路
32 受信回路
34 タイミングジェネレータ(ドライブ制御部)
39 タッチ位置判定部(タッチ検出部)
100 タッチパネル入力装置
311 第1ドライブ回路
312 第2ドライブ回路
341 駆動モード設定部
361 第1グランド状態切り替え回路
362 第2グランド状態切り替え回路
HL1~HLM 第1電極線
VL1~VLM 第2電極線
P11~P1M 第1の端部
P21~P2M 第2の端部
P31~P3M 第3の端部
P41~P4M 第4の端部