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特許7438862身体支持装置およびファンユニットバッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】身体支持装置およびファンユニットバッグ
(51)【国際特許分類】
   A47C 1/00 20060101AFI20240219BHJP
   A47D 13/02 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A47C1/00
A47D13/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020106374
(22)【出願日】2020-06-19
(65)【公開番号】P2022001101
(43)【公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-04-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 信義
(72)【発明者】
【氏名】中村 緑
【審査官】望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3184440(JP,U)
【文献】特開2001-327363(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0083480(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/00
A47D 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体支持部を備えた身体支持装置において、
前記身体支持部の後方に着脱可能に取り付けられるファンユニットバッグを備え、
前記ファンユニットバッグは、
前記身体支持部から空気を吸気するファンユニットと、
低通気性のシートであって、前記ファンユニットが前記身体支持部に臨むように前記ファンユニットを支持するファンベースと、
前記ファンベースを前記身体支持部に対して着脱可能に取り付ける固定部であって、前記ファンユニットを囲むように配置された前記固定部とを備える
身体支持装置。
【請求項2】
前記身体支持部は、背もたれ部を備え、
前記背もたれ部は、前記ファンユニットバッグよりも身体に近い位置に配置されるインナーシートを備え、
前記インナーシートは、
背中または頭部を支持するクッション部と、
前記クッション部を覆うカバー部とを備える
請求項1に記載の身体支持装置。
【請求項3】
前記カバー部は、前記身体に近い側のシートが通気性シートで構成され、
前記ファンユニットバッグに近い側のシートが低通気性シートで構成され、
前記低通気性シートの中の一部の領域は、前記低通気性シートよりも通気性の高い通気部を備え、
前記ファンユニットは、前記背もたれ部に前記ファンユニットバッグが取り付けられた状態において、前記通気部と対向する位置に配置される
請求項2に記載の身体支持装置。
【請求項4】
前記背もたれ部は、座部に対して前記身体支持装置の後方に設けられるとともに、肩ベルトを備え、
前記背もたれ部に前記ファンユニットバッグが取り付けられた状態において、前記ファンユニットは、前記背もたれ部の下側部分と、前記肩ベルトの引き出し位置との間に配置されている
請求項3に記載の身体支持装置。
【請求項5】
前記背もたれ部は、座部に対して前記身体支持装置の後方に設けられるとともに、肩ベルトを備え、
前記通気部は、前記背もたれ部の下側部分と、前記肩ベルトの引き出し位置との間に配置されている
請求項3に記載の身体支持装置。
【請求項6】
前記ファンベースは、
ベース部と、
前記ファンユニットが取り付けられるファン取付部とを備え、
前記ファン取付部は、前記ファンユニットが取り付けられた状態で前記ベース部の方向に折り畳まれ、前記ベース部に対して固定される
請求項1ないし5のうち何れか1項に記載の身体支持装置。
【請求項7】
前記ファン取付部は、前記ベース部との境界に位置する折曲部を除く周囲に、前記ベース部に対して固定するためのファン固定部を備える
請求項6に記載の身体支持装置。
【請求項8】
前記ファンベースは、
前記身体支持部の方向を向く面における外周縁部と前記身体支持部の方向を向く面における一対の縦縁部を跨ぐ中間部とに前記固定部を備える
請求項1ないし7のうち何れか1項に記載の身体支持装置。
【請求項9】
前記身体支持部は、前記身体支持部を構成するためのフレームに取り付けられるベースシートを備え、
前記ベースシートは、通気性シートであって、
前記ファンユニットバッグは、前記ファンベースが前記ベースシートに対して隣接するように取り付けられる
請求項1ないし8のうち何れか1項に記載の身体支持装置。
【請求項10】
前記背もたれ部は、前記身体支持部を構成するためのフレームに取り付けられるベースシートを備え、
前記インナーシートは、前記ベースシートに対して前記身体側に配置され、
前記ファンユニットバッグは、前記インナーシートに対して連結されるとともに、前記ベースシートに対して連結される
請求項2に記載の身体支持装置。
【請求項11】
前記ファンユニットは、平坦部と、前記平坦部に対して反対側に突出する突出部とを備え、
前記ファンユニットは、前記身体支持部に前記ファンユニットバッグが取り付けられた状態において、前記身体支持部の方向に前記平坦部が向いている
請求項1ないし10のうち何れか1項に記載の身体支持装置。
【請求項12】
身体支持装置の身体支持部に取り付けられるファンユニットバッグであって、
前記身体支持部から空気を吸気するファンユニットと、
低通気性のシートであって、前記ファンユニットが前記身体支持部に臨むように前記ファンユニットを支持するファンベースと、
前記ファンベースを前記身体支持部に対して着脱可能に取り付ける固定部であって、前記ファンユニットを囲むように配置された前記固定部とを備える
ファンユニットバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファンユニットが着脱可能な身体支持装置およびファンユニットバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
身体支持装置としてのベビーカーは、乳幼児などの乗車者が乗車する身体支持部である座席部が路面から近く、夏季などは、座席部が暑くなる。このため、ベビーカーは、小型ファンユニットなどをユーザが座席部に別途設置して使用されることがある。一方で、夏季以外の季節において、ファンユニットは使用されないことが多い。なお、衣服には、ファンユニットを取り付けたものがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6568611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ファンユニットは、使用時においては、ベビーカーを操作する操作者の気付かないうちに外れたり、風向きが変わったりしないように、ベビーカーに安定した姿勢で取り付けられることが必要である一方で、ベビーカーから容易に取外可能であることが望まれる。
【0005】
また、椅子、ソファ、車いすなどの身体支持装置でも、ファンユニットが使用者の気付かないうちに外れたり、風向きが変わったりしないように、安定した姿勢で取り付けられることが必要である一方で、容易に取外可能であることが望まれる。
【0006】
本発明は、身体支持部に対して、ファンユニットを安定した状態で取付可能としながら容易な着脱を可能とした身体支持装置およびファンユニットバッグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上のような課題を解決する身体支持装置は、身体支持部を備えた身体支持装置において、前記身体支持部の後方に取り付けられるファンユニットバッグを備える。前記ファンユニットバッグは、前記身体支持部から空気を吸気するファンユニットと、低通気性のシートであって、前記ファンユニットが前記身体支持部に臨むように前記ファンユニットを支持するファンベースと、前記ファンベースを前記身体支持部に対して着脱可能に取り付ける固定部であって、前記ファンユニットを囲むように配置された前記固定部とを備える。
【0008】
上記構成によれば、ファンユニットを囲むようにファンベースに固定部で固定されたファンユニットを駆動し、身体支持部に滞留した湿気や熱気を帯びた空気を排気する。ファンユニットは、ファンユニットバッグを通じて身体支持装置に取り付けられることで、取付状態が安定したものとなる。また、ファンユニットバッグは、固定部によって、身体支持部に対して着脱が容易である。
【0009】
上記身体支持装置において、前記身体支持部は、例えば背もたれ部である。前記背もたれ部は、前記ファンユニットバッグよりも身体に近い位置に配置されるインナーシートを備えるようにしてもよい。この場合、前記インナーシートは、背中または頭部を支持するクッション部と、前記クッション部を覆うカバー部を備えることが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、クッション部を備えたインナーシートを背もたれ部に設けることで、乗り心地を向上させることができる。クッション部に滞留した湿気や熱気を帯びた空気は、ファンユニットバッグによって排気できる。
【0011】
上記身体支持装置において、前記カバー部は、前記身体に近い側のシートが通気性シートで構成され、前記ファンユニットバッグに近い側のシートが低通気性シートで構成され、前記低通気性シートの中の一部の領域は、前記低通気性シートよりも通気性の高い通気部を備え、前記ファンユニットは、前記背もたれ部に前記ファンユニットバッグが取り付けられた状態において、前記通気部と対向する位置に配置されるようにすることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、背もたれ部に、インナーシートを配置した場合でも、ファンユニットを駆動することで、クッション部全体の空気を通気部を通じて効率的に排出することができる。
【0013】
上記身体支持装置において、前記背もたれ部は、座部に対して前記身体支持装置の後方に設けられるとともに、肩ベルトを備えるようにしてもよい。この場合、前記背もたれ部に前記ファンユニットバッグが取り付けられた状態において、前記ファンユニットは、前記背もたれ部の下側部分と、前記肩ベルトの引き出し位置との間に配置されているようにすることが好ましい。
【0014】
座部と前記背もたれ部の下側部分と肩ベルトの引き出し位置との間の位置は、身長などの身体の大きさにかかわらず、背中の少なくとも一部が接する位置である。上記構成によれば、ファンユニットがこのような位置に配置されることで、クッション部内の湿気や熱気を帯びた空気を効率的に排気できる。
【0015】
上記身体支持装置において、前記背もたれ部は、座部に対して前記身体支持装置の後方に設けられるとともに、肩ベルトを備えるようにしてもよい。この場合、前記通気部は、前記背もたれ部の下側部分と、前記肩ベルトの引き出し位置との間に配置されているようにすることが好ましい。上記構成によれば、通気部が背もたれ部の下側部分と、肩ベルトの引き出し位置との間に配置されることで、クッション部内の湿気や熱気を帯びた空気を効率的に排気できる。
【0016】
上記身体支持装置において、前記ファンベースは、ベース部と、前記ファンユニットが取り付けられるファン取付部とを備えるようにしてもよい。この場合、前記ファン取付部は、前記ファンユニットが取り付けられた状態で前記ベース部の方向に折り畳まれ、前記ベース部に対して固定されるようにすることが好ましい。上記構成によれば、所定位置にファンユニットが位置するように、ファンユニットを容易にファンベースに取り付けることができる。
【0017】
上記身体支持装置において、前記ファン取付部は、前記ベース部との境界に位置する折曲部を除く周囲に、前記ベース部に対して固定するためのファン固定部を備えるようにしてもよい。上記構成によれば、ファン取付部の周囲においても密閉性が高められ、一層の効率的な排気が可能となる。
【0018】
上記身体支持装置において、前記ファンベースは、前記身体支持部の方向を向く面における外周縁部と前記身体支持部の方向を向く面における一対の縦縁部を跨ぐ中間部とに前記固定部を備えることが好ましい。上記構成によれば、ファンユニットバッグは、背もたれ部によりしっかりと取り付けられるとともに、ファンユニットの周囲の気密性をより高めることができる。
【0019】
上記身体支持装置において、前記身体支持部は、前記身体支持部を構成するためのフレームに取り付けられるベースシートを備え、前記ベースシートは、通気性シートであって、前記ファンユニットバッグは、前記ファンベースが前記ベースシートに対して隣接するように取り付けられることが好ましい。上記構成によれば、ファンユニットバッグが取り付けられるベビーカーのインナーシートが通気性を有していたとしても、ファンベースが低通気性シートで構成されているので、ファンユニットから背もたれ部に滞留した湿気や熱気を帯びた空気を効率的に排気することができる。
【0020】
上記身体支持装置において、前記背もたれ部は、前記身体支持部を構成するためのフレームに取り付けられるベースシートを備えるようにしてもよい。この場合、前記インナーシートは、前記ベースシートに対して前記身体側に配置され、前記ファンユニットバッグは、前記インナーシートに対して連結されるとともに、前記ベースシートに対して連結されるようにすることが好ましい。上記構成によれば、ファンユニットバッグがインナーシートおよびベースシートに連結されることで、背もたれ部から外れにくくなる。
【0021】
上記身体支持装置において、前記ファンユニットは、平坦部と、前記平坦部に対して反対側に突出する突出部とを備えるようにしてもよい。この場合、前記ファンユニットは、前記身体支持部に前記ファンユニットバッグが取り付けられた状態において、前記身体支持部の方向に前記平坦部が向いているようにすることが好ましい。上記構成によれば、ファンユニットの身体支持部に支持されている身体に対する当たりが抑えられ、座り心地、寝心地、乗り心地などの低下を抑制できる。
【0022】
以上のような課題を解決するファンユニットバッグは、身体支持装置の前記背もたれ部の後方側に取り付けられるファンユニットバッグであって、前記身体支持部から空気を吸気するファンユニットと、低通気性のシートであって、前記ファンユニットが前記背もたれ部に臨むように前記ファンユニットを支持するファンベースと、前記ファンベースを前記背もたれ部に対して着脱可能に取り付ける固定部であって、前記ファンユニットを囲むように配置された前記固定部とを備える。
【0023】
上記構成によれば、身体支持部に対して、ファンユニットを安定した状態で取付可能としながら身体支持部に対して容易に着脱できる。また、身体支持部が通気性を有しており、そこにファンユニットバッグが取り付けられても、ファンベースが低通気性のシートであるため、背もたれ部に滞留した湿気や熱気を帯びた空気を効率的に排気することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、身体支持部に対して、ファンユニットを安定した状態で取付可能としながら身体支持部に対して容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】ベビーカーを前方から見た斜視図。
図2】ファンユニットバッグの取付状態を示す要部斜視図。
図3】ファンユニットをファン取付部に取り付ける状態をファンユニットバッグの表面側から見た斜視図。
図4】ファンユニットをファン取付部に取り付ける状態をファンユニットバッグの裏面側から見た斜視図。
図5】ファンユニットがファン取付部に取り付けられた状態をファンユニットバッグの裏面側から見た背面図。
図6】ファン取付部をベース部に折り畳んだ状態をファンユニットバッグの裏面側から見た背面図。
図7】ファンユニットバッグを背もたれ部に取り付ける状態を示す要部斜視図。
図8】ファンユニットバッグをインナーシートおよびベースシートに連結する状態を示す要部斜視図。
図9】ファンユニットバッグの冷却動作を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図1図9を参照して、本発明が適用された身体支持装置およびファンユニットバッグを説明する。
図1は、身体支持装置の一例である、乳幼児などを乗せて使用するための一人乗りの折り畳み式のベビーカー1である。ベビーカー1は、乳幼児などの乗車者を寝かせた姿勢や座らせた姿勢で使用する。また、図1は、ベースシートなどのクッション部および幌をフレームに取り付けた状態を示している。図1に示すベビーカー1の状態は、ハンドル19がベビーカー1の後方に位置し、後方からベビーカー1を操作する背面押しの状態を示している。以下の説明では、背面押しの状態を基準にして、進行方向を「前方」と定義し、進行方向に対して反対方向を後方(背面)と定義し、さらに進行方向に対して左右方向を左右(幅)方向と定義し、進行方向に対して上下方向を上下と定義する。
【0027】
図1に示すベビーカー1は、ファンユニット41をベビーカー1に取り付けるための図2に示すファンユニットバッグ2とを備えている。ファンユニットバッグ2は、ベビーカー1に対して着脱可能である。
【0028】
〔ベビーカー〕
図1に示すように、このベビーカー1は、一対の前脚フレーム11と、一対の後脚フレーム12と、乳幼児などの乗車者を寝かせた姿勢や座らせた姿勢で乗車させる座席部13とを備えている。座席部13は、様々な姿勢の乗車者の身体を支持する身体支持部である。各前脚フレーム11は、若干湾曲した形状を有しており、その下端部には、キャスター付きの前輪11aが配置されている。各後脚フレーム12は、直線的形状を有しており、その下端部には、キャスター付きの後輪12aが配置されている。一対の前脚フレーム11は、左右方向に横断する前ステー14によって連結されている。前ステー14には、着座している乗車者が足を掛けるステップ16が配置されている。座席部13の下側の空間には、収納ネットが前脚フレーム11および後脚フレーム12に対して張架されており、小物を収納するための収納部15が構成されている。
【0029】
一対の前脚フレーム11において、上端部は、アームレスト17に回動可能に支持されている。一対の後脚フレーム12もまた、上端部は、アームレスト17に回動可能に支持されている。座席部13は、一対の前脚フレーム11と一対の後脚フレーム12との間に構成され、座部13aと背もたれ部13bとで構成されている。
【0030】
座部13aは、前輪11aおよび後輪12aとアームレスト17との間の中間の高さ位置に構成されている。具体的に、座部13aは、前脚フレーム11と後脚フレーム12の間において、前後方向に側部フレームが配置され、ベースシート31が側部フレームに張架されることで構成されている。背もたれ部13bは、背もたれ部13bを構成するためのフレームが後脚フレーム12や側部フレームなどと連携するように設けられている。背もたれ部13bを構成するためのフレームには、ベースシート31が張架されている。すなわち、ベースシート31は、座部13aおよび背もたれ部13bに配置されるシートである。そして、このようなベースシート31上には、インナーシート32が配置されている。
【0031】
背もたれ部13bからは、ベースシート31に基端部が固定された肩ベルト21が延出されている。インナーシート32は、背もたれ部13bの上下方向における複数の高さに肩ベルト21を延出するためのスリット22を備えている。肩ベルト21の先端は、座部13aから延出した腰ベルト23および股ベルト24と共にバックル25に結合される。バックル25は、股ベルト24の先端部に設けられている。
【0032】
アームレスト17の先端部には、フロントガード18が着脱可能に取り付けられる。また、アームレスト17の幅方向における外側には、ベビーカー1を押して操作するハンドル19が配置されている。ハンドル19は、全体が逆U字形状を有している。さらに、座席部13の上部には、ハンドル19に支持された幌26が設けられている。
【0033】
側部フレーム、前脚フレーム11、後脚フレーム12、アームレスト17、背もたれ部13bのフレーム、および、ハンドル19は連携しており、ベビーカー1は、展開状態と折畳状態とに遷移される。なお、図1は展開状態を示している。
【0034】
上述したように、座席部13は、ベースシート31と、インナーシート32とを備えている。ベースシート31は、座部13aおよび座部13aの上側であって背もたれ部13bのフレームに囲まれた領域に張架された状態で配置されている。ベースシート31は、伸縮性に優れた伸縮性シートである。また、ベースシート31は、メッシュシートなどの通気性シートである。
【0035】
インナーシート32は、座部シート部33と、背もたれシート部34とを備えている。座部シート部33は、クッション部と、クッション部を収容するカバー部とを備えている。クッション部は、一例として、弾性を有する合成樹脂繊維を交絡させた通気性を有する高反発クッションである。このようなクッション部は、メッシュシートが袋状に縫製されてなるカバー部に収容されている。
【0036】
背もたれシート部34も、クッション部35と、クッション部35を包むカバー部36とを備えている(図9参照)。クッション部35は、座部シート部33のクッション部とは別体である。カバー部36は、座部シート部33のカバー部と一連であってもよいし、別々に構成され、座部シート部33と一連のカバー部となるように縫い合わされていてもよい。この場合、座部シート部33と背もたれシート部34は、表裏のシートを縫い合わせることによって区画されている。
【0037】
背もたれシート部34のクッション部35も、一例として、上述の高反発クッションである。高反発クッションは、通常の不織布で構成された通常のクッションよりも高反発な分、内部に空隙部も多く、通気性が高いものとなっている。カバー部36は、乗車者と接する面は、メッシュシートなど通気性シート36aで構成され、ベースシート31側の面は、通気性が通気性シート36aより低い低通気性シート36bで構成されている。低通気シートとしては、ここでは一例としてナイロンシートが用いられている。そして、低通気性シート36bは、肩ベルト21の引き出し位置、すなわち最も下側のスリット22より下側であって、背もたれシート部34の下側部分より上側の位置に通気部37を備えている。すなわち、通気部37は、最も下側のスリット22と、背もたれシート部34の座部シート部33に近接する下側部分との間に設けられている。通気部37は、例えばメッシュシートやネットで構成されている。
【0038】
座席部13を構成している座部13aは、ベースシート31の側部フレームに張架された部分と、インナーシート32の座部シート部33とで構成されている。また、背もたれ部13bは、ベースシート31の背もたれ部13bを構成するフレームに張架された部分と、インナーシート32の背もたれシート部34とで構成されている。背もたれシート部34は、乗車者の背中だけでなく、頭部も支持する。
【0039】
〔ファンユニットバッグ〕
図2に示すように、背もたれ部13bの後方には、ファンユニットバッグ2が背もたれ部13bに対して着脱可能に取り付けられる。ファンユニットバッグ2は、ファンユニット41と、ファンユニット41を支持するシートで構成されたファンベース42とを備えている。さらに、ファンユニットバッグ2は、ファンユニット41に電力を供給するバッテリパック43と、ファンユニット41とバッテリパック43とを電気的に接続する出力ケーブル44とを備えている。ファンユニットバッグ2は、ベビーカー1の後方を向く表面40aと、ベースシート31側を向く裏面40bとを備えている。
【0040】
ファンユニット41は、ここでは2つ備え、ファンベース42における下方に2つ横に並べて配置される。各ファンユニット41は、ケース内に、モータおよびファンを備えている。各ファンユニット41は、一方の面が平坦部41aで構成され、反対側の面が突出部41bで構成されている(図3参照)。ここでのファンユニット41は、平坦部41aから吸気し、突出部41bから排気するように動作する。
【0041】
バッテリパック43は、外形形状が直方体形状を有している。バッテリパック43は、例えばリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池などの二次電池パックとファンユニット41の操作部を備えている。操作部は、ファンユニット41の駆動をオンオフする電源ボタン、ファンの強弱を設定するモード選択ボタン、バッテリの残量表示部、現在のモードを示すモード表示部などで構成されている。ファンユニット41とバッテリパック43とは、出力ケーブル44を通じて電気的に接続される。バッテリパック43は、ファンユニット41の駆動制御、二次電池パックの充電制御などの制御を行う制御ユニットを備え、制御ユニットは、操作部からの入力に応じてファンユニット41を駆動制御する。ファンユニット41は、制御ユニットに制御されることで、強モード、中モード、弱モード、ターボモードなどのモードで駆動される。
【0042】
図3に示すように、ファンベース42は、ベース部46と、ファン取付部47とを備えている。ベース部46とファン取付部47とは、矩形形状をした一連のシートであって、ベースシート31のメッシュを塞ぐため可撓性を有した低通気性シートで構成されている。低通気シートとしては、塩化ビニルなどのシートでもよいが、ここでは一例としてナイロンシートが用いられている。ファンベース42は、長手方向において、上から3/4程度がベース部46であり、残りの1/4程度がファン取付部47である。
【0043】
ベース部46は、背もたれ部13bとほぼ同じ大きさをした矩形形状の領域である。ベース部46の一方の面である第1面46aは、ファンユニットバッグ2の表面40aを構成する面である。第1面46aは、長手方向における中程であって、幅方向が一方に偏倚した位置にバッテリパック43を収容するポケット48を備えている。ポケット48は、挿入口を開閉する蓋体48aを備えている。蓋体48aは、透明な防水シートで構成されている。蓋体48aは、バッテリパック43を収容した状態で閉じられ、雨水がバッテリパック43にかからないようにしている。また、バッテリパック43は、ポケット48に対して、操作部が上を向くように挿入され、蓋体48aは、挿入口を閉じた状態でも操作部や表示を視認でき、挿入口を開けた状態でさらに操作部を操作可能とする。
【0044】
ベース部46の第1面46aにおいて、ファン取付部47との境界部からポケット48との間には、収納カバー49を備えている。収納カバー49は、ファン取付部47とほぼ同じ大きさである。収納カバー49は、通気性に優れたネットが用いられている。収納カバー49は、その内側にファンユニット41が配置され、排気側となる突出部41bが位置することになる。収納カバー49は、ネットで構成されることで排気の妨げにならないようにしている。収納カバー49は、第1面46aに対して縫い付けられており、コードカバー45の下側に位置する上側角部に、第1面46aに対して縫着されていない部分を備えている。この収納カバー49が縫着されていない部分は、ファンユニット41からの出力ケーブル44を導出する取出口49aとなっている。
【0045】
収納カバー49の下側は、ファン取付部47である。ファン取付部47において、ベース部46の第1面46aと連続する面は、ファンユニットバッグ2が背もたれ部13bに取り付けられた状態において、ベースシート31と対向する面である。ファン取付部47は、収納カバー49とほぼ同じ大きさの矩形領域である。ファン取付部47と収納カバー49との境界は、ファン取付部47を収納カバー49の方向に折り畳む際の折曲部50となる。
【0046】
ファン取付部47は、2つのファンユニット41を取り付けるための取付孔51を備えている。各取付孔51は、円形の貫通孔であって、幅方向に並んで設けられている。図3において、ファンユニット41は、突出部41bを挿入端として、取付孔51に挿入される。
【0047】
なお、上側コーナ部には、ループ58が設けられる。ループ58には、インナーシート32における背もたれシート部34の上側コーナ部に設けられた連結ベルト59が通される。第1面46aにおいて、上側コーナ部には、連結ベルト59のホックが結合される固定ボタン54が設けられている。また、ベース部46の両側からは、ベースシート31のループ60aに通されるベース連結ベルト60が設けられている。また、固定ボタン54の近くには、幌の面ファスナが結合される幌用面ファスナ55が設けられている。
【0048】
図4は、ファンユニットバッグ2の裏面40bから見た図である。ベース部46の他方の面である第2面46bからは、ファンユニット41の突出部41bが突出される。第2面46bからは、リング部材52が取り付けられる。リング部材52は、取付孔51の周縁部を突出部41bの周囲とで挟み込み、突出部41bの周囲に固定される。これにより、ファンユニット41は、平坦部41aがベース部46の第1面46aに臨み(図3参照)、突出部41bが第2面46bに臨むことになる(図4参照)。
【0049】
図5に示すように、取付孔51に取り付けられたファンユニット41の上側は、出力ケーブル44の端子が接続されるジャックが位置する。出力ケーブル44は、端子がジャックに接続されると、収納カバー49の領域に延在され、さらにバッテリパック43に接続するためのコネクタ44aが取出口49aから引き出される。第1面46aは、取出口49aの上側に、出力ケーブル44を保持するコードカバー45を備えている。
【0050】
ファン取付部47は、ファンユニット41が取り付けられると、折曲部50を介してベース部46の第2面46b側に折り曲げられる。収納カバー49の上縁部は、ファン取付部47の先端部が位置する。収納カバー49の上縁部は、折曲部50で折り曲げられたファン取付部47の先端部を覆う覆い部53を備えている。覆い部53は、下方が開口端となっており、ファン取付部47の先端部が挿入可能に構成されている。
【0051】
ファン取付部47の折曲部50を除く周囲には、ファン固定部を構成する雄または雌型の面ファスナ54aが設けられている。これに対応して、収納カバー49の周囲にも、折曲部50を除く周囲に面ファスナ54aに対応する面ファスナ54bが設けられている。なお、面ファスナ54bは、覆い部53の内側にも設けられている。
【0052】
図6に示すように、ファン取付部47は、折曲部50を介してベース部46の第2面46b側に折り曲げられると、ファン取付部47の先端部は、覆い部53の内側に押し込まれる。これにより、面ファスナ54aと面ファスナ54bとが結合される。かくして、背もたれ部13bに取り付ける前のファンユニットバッグ2が構成され、ファンユニットバッグ2は、この状態から背もたれ部13bの後方の面に取り付けられる。
【0053】
ベース部46の第2面46bにおいて、外周縁部を構成する4辺には、固定部を構成する雄または雌型の面ファスナ57aが設けられている。さらに、面ファスナ57aは、覆い部53の表面にも設けられている。面ファスナ57aは、ベースシート31に設けられた面ファスナ57aに対応する面ファスナ57bと結合される。すなわち、面ファスナ57aは、裏面40bにおいて、ファンユニット41が支持されている第1領域(ファン取付部47と収納カバー49の重なった領域)を囲む4辺と、第1領域以外の第2領域(第1領域の上側の領域)を囲む4辺に設けられることになる。換言すると、面ファスナ57aは、裏面40bの外周縁部(4辺)と、裏面40bにおける一対の縦縁部を跨ぐ中間部(ここでは覆い部53の位置)とに設けられることになる。
【0054】
さらに、第2面46bにおいて、上側コーナ部には、ベースシート31のホックボタン56bに結合するためのベース固定ボタン56aが設けられている。
図7に示すように、背もたれ部13bにおいて、ベースシート31の背面には、その外周の4辺に面ファスナ57aに対応する面ファスナ57bが設けられている。また、ベースシート31の背面における上側コーナ部には、ベース固定ボタン56aに対応するホックボタン56bが設けられている。ハンドル19の縦フレームから延びるリクライニングベルト61のバックルを外した状態において、ファンユニットバッグ2は、裏面40bをベースシート31に対向させる。そして、面ファスナ57a,57bを結合するとともに、ベース固定ボタン56aとホックボタン56bとを結合する。これにより、ファンユニットバッグ2のファンベース42は、ベースシート31に対して隣接される。
【0055】
図8に示すように、ループ58には、インナーシート32の連結ベルト59が通され連結ベルト59のホックが固定ボタン54に結合される。また、ベース連結ベルト60は、ベースシート31のループ60aに通されベース連結ベルト60が結合される。さらに、取出口49aから引き出された出力ケーブル44は、取出口49aとポケット48に収納されたバッテリパック43の間においてコードカバー45に保持され、コネクタ44aがバッテリパック43側からのケーブルと接続される。コードカバー45は、出力ケーブル44を被覆するようにしてベース部46の縁部に結合される。かくして、ファンユニットバッグ2は、背もたれ部13bの後方に着脱可能であって、かつ、姿勢が安定した状態で取り付けられる。この状態では、2つのファンユニット41の平坦部41aは、ベースシート31に臨み、ベースシート31を介してインナーシート32の通気部37と対向して位置する。
【0056】
次に、以上のように構成されたベビーカー1およびファンユニットバッグ2の作用について説明する。
ベビーカー1は、座席部13に乗車者が着座した状態で使用される。背もたれ部13bには、乗車者の身長にかかわらず背中が背もたれ部13bのインナーシート32に接することになる。この状態が継続すると、次第に、背もたれ部13bのクッション部35は、乗車者の背中や頭部の湿気や熱気を帯びた空気が滞留し、乗り心地が徐々に悪化していく。
【0057】
図9に示すように、背もたれ部13bにファンユニットバッグ2が取り付けられると、ファンユニット41は、平坦部41aが背もたれ部13bの方を向き、ベースシート31を介してインナーシート32の背もたれシート部34における通気部37に対向される。この状態で、ファンユニット41が駆動されると、ファンユニット41は、平坦部41a側から吸気し、突出部41b側から排気するように動作する。すると、乗車者の背中や頭部から放射された湿気や熱気を帯びた空気は、カバー部36の通気性シート36aを通じてクッション部35に取り込まれる。そして、クッション部35内の湿気や熱気を帯びた空気は、ファンユニット41によって低通気性シート36bの中の通気部37および通気性を有したベースシート31を介して通じてベビーカー1の後方に排気される。
【0058】
以上のようなベビーカー1によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)ファンユニットバッグ2は、背もたれ部13bに対して、着脱可能に容易に取り付けることができる。すなわち、夏季などファンユニットバッグ2が必要となる時期に、ファンユニットバッグ2を背もたれ部13bに容易に取り付けることができる。そして、それ以外の時期には、ファンユニットバッグ2を背もたれ部13bから容易に取り外すことができる。そして、ファンユニットバッグ2が背もたれ部13bに取り付けられている状態では、背もたれ部13bに滞留した湿気や熱気を帯びた空気をファンユニット41を駆動することで排気することができる。これにより、乗車者の身体の冷却を行うことができる。
【0059】
(2)ベビーカー1には、ファンユニットバッグ2を取り付けるだけで、ファンユニット41を安定した姿勢で取り付けることができる。すなわち、走行中の振動や乗車者との接触などで送風方向が変わったりたり、ファンユニットが外れたりすることを防ぐことができる。したがって、乗車者を確実に冷却できる。
【0060】
(3)ファンユニットバッグ2は、基材となるファンベース42がファンユニット41の取付位置を除いて低通気性シートで構成されている。したがって、ファンユニット41から空気を効率的に排気することができる。
【0061】
(4)ファンユニットバッグ2は、裏面40bの外周縁部において、固定部となる面ファスナ57a,57bによってベースシート31と結合される。これにより、ベースシート31とファンユニットバッグ2との間であってファンユニット41の平坦部41aを囲む空間は、気密性が高められ、ファンユニット41を通じての排気効率を高めることができる。
【0062】
(5)ファンユニットバッグ2は、面ファスナ57a,57bによってベースシート31と結合される。したがって、ファンユニットバッグ2は、ボタンやフックなどでベースシート31と結合する場合よりも気密性を高めることができる。
【0063】
(6)インナーシート32の背もたれシート部34は、クッション部35が高反発クッションである。高反発クッションは、通常の不織布で構成された通常のクッションよりも高反発な分、内部に空隙部も多く、通気性が高いものとなっている。したがって、背もたれシート部34の下方に位置する通気部37で吸気を行っても、通気部37から比較的離れた乗車者の頭部周辺の空気も通気部37の方向へ導くことができる。
【0064】
(7)クッション部35を備えたインナーシート32を背もたれ部13bに設けることで、乗り心地を向上させることができる。そして、クッション部35に滞留した湿気や熱気を帯びた空気は、ファンユニットバッグ2によって排気できる。
【0065】
(8)クッション部35を覆うカバー部36において、ベースシート31側の面は、低通気性シート36bで構成され、その一部に、ファンユニット41が配設される通気部37が設けられている。したがって、クッション部35の空気を通気部37を通じて効率的に排出することができる。また、ベースシート31側の面は、通気部37を除いて、低通気性シート36bなので、ファンユニットバッグ2を取り外している冬季などの寒い時期における座席部13の保温性の低下を抑制できる。
【0066】
(9)背もたれ部13bの下側部分と肩ベルト21の引き出し位置である最下段のスリット22との間の位置は、乗車者の身長などの大きさにかかわらず、乗車者の背中の少なくとも一部が接する位置である。そして、このような位置にファンユニット41が配設される。したがって、クッション部35内の空気をファンユニット41で効率的に排気できる。
【0067】
(10)低通気性シート36bの中の一部に設けられた通気部37が背もたれ部13bの下側部分と、肩ベルト21の引き出し位置との間に配置されることで、クッション部35内の空気を効率的に排気できる。
【0068】
(11)ファン取付部47にファンユニット41を取り付け、ベース部46の方向に折曲するだけで、通気部37の位置にファンユニット41が位置するように、ファンユニット41を容易にファンベース42に取り付けることができる。
【0069】
(12)ファン取付部47とベース部46との間もファン固定部となる面ファスナ54a,54bによって結合される。これにより、ベースシート31とファンユニットバッグ2との間であってファンユニット41の平坦部41aを囲む空間の気密性が高められ、ファンユニット41を通じての排気効率を高めることができる。
【0070】
(13)ファン取付部47は、面ファスナ54a,54bによってベース部46と結合される。したがって、ファン取付部47は、ボタンやフックなどでベース部46と結合する場合よりも気密性を高めることができる。
【0071】
(14)面ファスナ57a,57bは、裏面40bの外周縁部だけでなく、裏面40bにおける一対の縦縁部を跨ぐ中間部である覆い部53にも設けられる。したがって、ファンユニットバッグ2は、背もたれ部13bによりしっかりと取り付けられるとともに、ファンユニット41の周囲の気密性をより高めることができる。
【0072】
(15)ベースシート31とファンユニットバッグ2とは、面ファスナ57a,57bの他に、ベース固定ボタン56aとホックボタン56b、および、ベース連結ベルト60をループ60aに通すことによって連結される。さらに、ファンユニットバッグ2とインナーシート32とは、ループ58に連結ベルト59が通されて連結される。このように、ファンユニットバッグ2は、ベースシート31およびインナーシート32の両方と連結される。すなわち、ファンユニットバッグ2は、2つの部材と連結されることになる。したがって、ファンユニットバッグ2は、仮にベースシート31との連結が外れても、インナーシート32との連結が維持され、また、インナーシート32との連結が外れても、ベースシート31との連結が維持されることになり、背もたれ部13bから外れにくくなる。
【0073】
(16)ファンユニットバッグ2が取り付けられるベビーカー1が背もたれ部13bにおいてベースシート31およびインナーシート32が通気性を有するベビーカーであったとしても、ファンベース42が低通気性シートで構成されているので、ファンユニット41から背もたれ部13bに滞留した湿気や熱気を帯びた空気を効率的に排気することができる。すなわち、ベースシート31が通気性を有し、かつ、インナーシート32のカバー部(乗車者と接する面とベースシート31側の面)が通気性を有するベビーカーであっても、ファンユニットバッグ2は、背もたれ部13bに滞留した空気を効率的に排気することができる。
【0074】
(17)ファンユニット41とバッテリパック43が近い位置に配置されることで出力ケーブル44の配線も容易である。また、コードカバー45によって、ベビーカー1の操作を阻害しないように出力ケーブル44を保持することができる。
【0075】
(18)ファンユニット41は、背もたれ部13b側が平坦部41aとなる。したがって、ベビーカー1の走行時における振動などでファンユニット41が座席部13に乗車している乗車者の背中に当たることがあっても、突出部41bではなく平坦部41aが当たるだけなので、乗り心地が低下することを抑制できる。
【0076】
なお、上記ベビーカーは、以下のように変更してもよい。
・ファンユニットバッグ2に取り付けられるファンの数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0077】
・ファンユニット41の取り付ける向きは、突出部41bを背もたれ部13bの方向に向けて取り付けるようにしてもよい。
・ファンユニット41の形状は特に限定されるものではない。例えば、ファンユニット41は、両面が突出部41bで構成されていてもよいし、両面が平坦部41aで構成されていてもよい。
【0078】
・バッテリパック43は、ポケット48に収納されるようにしなくてもよい。ポケット48を備えない場合は、バッテリパック43を座席部13の下側の収納部15に収納してもよいし、操縦者が持っていたり、ハンドル19などに掛けているカバンなどに収納してもよい。
【0079】
・ベースシート31は、座部13aと背もたれ部13bとで一連のシートでもよいし、座部13aと背もたれ部13bとが別体のシートであってもよい。さらに、座部13aを座板などの板材で構成した場合、ベースシート31は、背もたれ部13bだけとなる。
【0080】
・ファンユニットバッグ2は、ベースシート31だけに連結されてもよいし、インナーシート32だけに連結されていてもよい。さらに、ファンユニットバッグ2は、背もたれ部13bのフレームと直接連結されてもよい。
【0081】
・ベースシート31としては、通気性を有していれば、伸縮性を備えていなくてもよい。また、ベースシート31において、ファンユニット41と対向する位置だけ通気性を有するようにし、それ以外の領域は低通気性であってもよい。
【0082】
・ファン取付部47は、面ファスナ54a,54bを用いることなくボタンやフックなどでベース部46と結合してもよいし、面ファスナ54a,54bと併用してもよい。また、面ファスナ54a,54bの代わりに、線ファスナを使用してもよい。
【0083】
・ファン取付部47は、ベース部46の第2面46b側に折り曲げるのではなく、第1面46a側に折り曲げる構成としてもよい。
・ファン取付部47は省略してもよい。この場合、ベース部46において、収納カバー49の領域を低通気性領域で構成し、ここに取付孔51を設けてファンユニット41を取り付けるようにしてもよい。これにより、ファンユニット41の突出部41bは、むき出しとなるが、ファンユニットバッグ2の構成を簡素化できる。
【0084】
・インナーシート32において、通気部37の位置は、最下段のスリット22より下側の背もたれシート部34であれば、特に限定されるものではない。通気部37は、背もたれシート部34において、座部シート部33と近接する位置に設けてもよいし、座部シート部33と間を空けた位置に設けてもよい。
【0085】
・ファンユニット41の位置は、最下段のスリット22より下側の背もたれシート部34であれば、特に限定されるものではない。ファンユニット41の位置は、背もたれシート部34において、座部シート部33と近接する位置に設けてもよいし、座部シート部33と間を空けた位置に設けてもよい。
【0086】
・インナーシート32において、ファンユニットバッグ2やベースシート31に近い側のシートも乗車者に近い側のシートと同様に、通気性シートで構成してもよい。この場合、ファンユニットバッグ2のファンベース42が低通気性シートで構成されているので、インナーシート32のカバー部36の全体が通気性シートで構成され、ベースシート31も通気性シートで構成されていてもよい。すなわち、インナーシート32の低通気性シート36bの部分も通気性シートで構成してもよい。
【0087】
・通気部37の周囲とベース部46に取り付けられたファンユニット41の平坦部41aの周囲とを繋ぐ筒状部を設けるようにしてもよい。例えば、筒状部は、ファンユニットバッグ2の裏面40b(ベース部46の第2面46b)に、2つのファンユニット41の周囲を囲むように設けられる。そして、ファンユニットバッグ2が背もたれ部13bの後方に取り付けられると、筒状部の先端部は、ベースシート31を介して通気部37の周囲に突き当てられるようにする。これにより、吸気する空気の流れを整流でき、一層効率的に、クッション部35内の空気をファンユニット41の駆動によって排気できる。筒状部は、弾性を有する構成とすることで、ベースシート31や通気部37の周囲の低通気性シート36bとの密着性が高めることができ、また、乗車者の背中に対する当たりを緩和することができる。
【0088】
・ファンユニットバッグ2をベースシート31に取り付けるための面ファスナ57a,57bは、覆い部53の表面の面ファスナ57aおよびこれに対応する面ファスナ57bを覆い部53に対して上方に偏倚させた位置に設けてもよい。また、裏面40bにおける一対の縦縁部を跨ぐ中間部に設けられる面ファスナ57aをおよびこれに対応する面ファスナ57bを省略してもよい。
【0089】
・ファンユニットバッグ2は、面ファスナ57a,57bを用いることなく、ボタンやフックなどでベース部46と結合してもよいし、面ファスナ57a,57bと併用してもよい。また、面ファスナ57a,57bの代わりに、線ファスナを使用してもよい。
【0090】
・面ファスナ57a,57bは、ファンユニット41を囲むように設けられるのであれば、その配置パターンは上述の例に限定されるものではないが、ベースシート31が背もたれ部13bから垂れないように配置されるのが好ましい。
【0091】
・収納カバー49は、通気性を有していれば、ネットの他に、メッシュシートであってもよい。また、収納カバー49は、省略してもよい。
・ベビーカー1において、ファンユニットバッグ2は、座部13aの下側の面に配置するようにしてもよい。この場合、インナーシート32の座部シート部33は、表裏のシートを通気性シートで構成してもよい。またベースシート31側のシートを低通気性シートで構成しファンユニット41と対向する位置に通気性の高い通気部37を設けるようにしてもよい。そして、ベビーカー1は、背もたれ部13bに背もたれ用のファンユニットバッグ2を取付可能とし、座部13aにも、座部13aの大きさ位に合わせたファンユニットバッグを取付可能としてもよい。
【0092】
・使用者としては、乳幼児だけでなく、大人であってもよく、身体支持装置としては、乳幼児や大人が使用する折り畳み可能または折り畳み不能な椅子、ソファ、車いす、乗り物用シート、各種ベッド、マットレスなどであってもよい。また、犬猫などのペットを乗車させるペット用押し車にも適用可能である。
【0093】
椅子、ソファ、車いすなどは、これらが備える背もたれ部に対してファンユニットバッグを取り付けるようにすればよい。また、各種ベッド、マットレスなどは、使用者が寝た姿勢になるので、寝た状態の身体の下側となる位置にファンユニットバッグを取り付けるようにすればよい。
【0094】
さらに、ペット用押し車では、ペットが乗車する身体支持部の床面の裏側などに、ファンユニットバッグを取り付けるようにすればよい。
【符号の説明】
【0095】
1…ベビーカー
2…ファンユニットバッグ
13…座席部
13a…座部
13b…背もたれ部
31…ベースシート
32…インナーシート
35…クッション部
36…カバー部
36a…通気性シート
36b…低通気性シート
37…通気部
41…ファンユニット
41a…平坦部
41b…突出部
42…ファンベース
47…ファン取付部
50…折曲部
54a,54b…面ファスナ
57a,57b…面ファスナ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9