(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】グリル
(51)【国際特許分類】
A47J 37/06 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
A47J37/06 366
(21)【出願番号】P 2020126630
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】横川 貴啓
(72)【発明者】
【氏名】町田 義典
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-46943(JP,A)
【文献】特開2009-77964(JP,A)
【文献】特開2005-230162(JP,A)
【文献】特開2003-70656(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06-37/08
F24C 15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端に排気用開口部を備える形態で前後方向に伸びる筒状に形成され且つ調理物載置部に載置した調理物を加熱するガス燃焼式の加熱部を備えた加熱室と、
前記排気用開口部からの調理排気を上方の排気出口に案内する排気路を形成する状態で前記加熱室の後端から上方に向かう姿勢で設けられる排気用筒部と、
前記調理排気が通過する形態で前記排気用筒部の内部に設置される消炎部材と、が設けられたグリルであって、
前記消炎部材を構成する上下姿勢の四角筒状の排気用筒体が、前面部を前記排気用開口部における前記調理物載置部に対応する位置又は前記調理物載置部の下方位置から前記排気用開口部の上端よりも上方側に位置させかつ当該前面部の上端の一部を前記排気用筒部の前側面部の上端よりも下方側に位置させる形態で、後面部を前記排気用筒部の後側面部によって形成する形態で、横面部の上端を前記排気用筒部の上端と同等な高さとする形態で設けられ、
前記排気用筒体の内部に、前記調理排気が上方に向けて流動する内部通路が形成されているグリル。
【請求項2】
前記排気用筒体が、上端側ほど後方側に位置する後傾姿勢で設けられている請求項1に記載のグリル。
【請求項3】
前記排気用筒部が、上側形成部分と下側形成部分とに分割した状態で形成され、
前記排気用筒体の全部又は一部が、前記上側形成部分と一体的に形成されている請求項1又は2に記載のグリル。
【請求項4】
前記加熱室の後壁部が、前記加熱室の底壁側から前記調理物載置部よりも高くかつ前記排気用開口部の上端よりも低い高さで起立する左右の側部と、それら左右の側部よりも低い高さで左右の側部の間に位置する中央部とを備える形態に構成され、
前記下側形成部分が、前記中央部の上端部から上向き傾斜状に伸びる下方底壁部、左右の前記側部の加熱室内方側端部と前記下方底壁部の左右の両端部との間に前後方向に伸びる姿勢で配置される左右の下方側壁部、及び、左右の前記側部の上端部と左右の前記下方側壁部の上端部との間に水平方向に延びる姿勢で配置される左右の下方上壁部を備える形態に構成され、
前記排気用筒体が、前記前面部の下端側部分を左右の前記下方側壁部の間に挿入させる形態で配置されている請求項3に記載のグリル。
【請求項5】
前記下側形成部分に、前記加熱室から出る調理排気の温度を検出する温度検出部が設けられている請求項3又は4に記載のグリル。
【請求項6】
前記内部通路が、前記排気出口から落下する落下物を前記加熱室の底部側に移動させる落下物用通過路として形成されている請求項1~5のいずれか1項に記載のグリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後端に排気用開口部を備える形態で前後方向に伸びる筒状に形成され且つ調理物載置部に載置した調理物を加熱するガス燃焼式の加熱部を備えた加熱室と、
前記排気用開口部からの調理排気を上方の排気出口に案内する排気路を形成する状態で前記加熱室の後端から上方に向かう姿勢で設けられる排気用筒部と、
前記調理排気が通過する形態で前記排気用筒部の内部に設置される消炎部材と、が設けられたグリルに関する。
【背景技術】
【0002】
かかるグリルは、主として、ガスコンロに装備して使用されるものであり、焼き網等の調理物載置部に載置された調理物を、ガス燃焼式の加熱部にて加熱調理することになる。
ちなみに、ガス燃焼式の加熱部としては、一般に、調理物載置部に載置された調理物を上方側から加熱する上部バーナと、調理物載置部に載置された調理物を下方側から加熱する下部バーナとが設けられることが多い。
【0003】
そして、加熱調理中においては、ガス燃焼式の加熱部の燃焼排ガスや加熱された調理物から発生する水蒸気等を含む調理排気が、排気用開口部から排出され、その調理排気が、排気路を通して排気用筒部の排気出口に案内されて外部に排出されることになる。
また、調理物載置部に載置された調理物が燃焼する等により、万が一加熱室に火炎が生じても、多孔状部を備える消炎部材によって消火されることになるため、火炎が排気用筒部の排気出口を通して外部に溢れ出ることを抑制されることになる。
【0004】
かかるグリルの従来例として、キッチンカウンターの開口部に挿入されるビルトインタイプのガスコンロに装備されるグリルにおいて、消炎部材としてのラス網とそのラス網の下端から下方に延出される傾斜案内板とが、排気用開口部における調理物載置部に対応する位置から排気用開口部の上端よりも上方側に位置される状態で、かつ、ラス網の上端を排気用筒部の前側面に密着させる状態で設けられたものがある(例えば、特許文献1(
図3)参照。)。
【0005】
また、別の従来例として、コンロ台等の上部に載置される、いわゆるテーブル式のガスコンロに装備されるグリルにおいて、消炎部材を構成する上下姿勢の四角筒状の排気用筒体が、排気用開口部における調理物載置部に対応する位置から排気路の排気出口に亘って上下姿勢で配置される形態で、かつ、後面部と排気用筒部の後側面部との間に調理排気が流動する後部通路を形成する形態で設けられ、そして、排気用筒体の前面部が多孔状に形成され、また、排気用筒体の内部に、多孔状の前面部を通過した調理排気が上方に向けて流動する内部通路が形成されたものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-194372号公報
【文献】特許第6584238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のグリルは、加熱室の排気用開口部における調理物載置部の上方側部分から排出される調理排気を、傾斜案内板にてラス網に案内しながら、ラス網を通過させて流動させることにより、調理物載置部に載置された調理物が燃焼する等により、万が一加熱室に火炎が生じても、ラス網の冷却作用により、火炎を消炎できる。
【0008】
そして、焼き網等の調理物載置部の下方に配置される受け皿に溜まった油が燃焼する等により、調理物載置部の下方箇所で、万が一加熱室に火炎が発生した場合には、その火炎は、傾斜案内板やラス網と排気用筒部の後側面部との間の通路を通して上昇しながら、傾斜案内板や排気用筒部の後側面部との接触により冷却されて消炎されることになるが、傾斜案内板が排気路の下方側箇所にしか存在しないため、火炎の冷却作用の向上が望まれるものであった。
【0009】
特許文献2のグリルは、加熱室の排気用開口部における調理物載置部の上方側部分から排出される調理排気を、排気用筒体の多孔状部を形成する前面部を通過して内部通路に流動させて排出するものであり、調理物載置部に載置された調理物が燃焼する等により、万が一加熱室に火炎が生じた場合には、その火炎が、排気用筒体の多孔状部を形成する前面部を通過して内部通路に流動する際に、前面部の冷却作用により、火炎を消炎できる。
【0010】
そして、焼き網等の調理物載置部の下方に配置される受け皿に溜まった油が燃焼する等により、調理物載置部の下方箇所で、万が一加熱室に火炎が発生した場合には、その火炎が、排気用筒体の後面部と排気用筒部の後側面部との間の通路を通して上昇する際に、排気用筒体の後面部や排気用筒部の後側面部との接触により冷却する作用により、火炎を消炎できる。
【0011】
つまり、排気用筒体の後面部や排気用筒部の後側面部は、排気用開口部における調理物載置部に対応する位置から排気路の排気出口に亘る長さを備えるものであるから、排気用筒体の後面部と排気用筒部の後側面部との間の通路を通して火炎が上昇する際に、排気用筒体の後面部や排気用筒部の後側面部との接触により火炎を冷却させて消炎することができる。
【0012】
しかしながら、四角筒状の排気用筒体を排気用筒部の内部に配置する構成は、二重筒状になる複雑な構成となる不利があり、しかも、排気用筒体の前面部を多孔状部に形成するものであるから、前面部を、パンチメタルを用いて構成する等に起因して、排気用筒体が高価となる不利があった。
【0013】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、構成の簡素化及び低廉化を図り、且つ、排気性能を向上させながらも、排気路において消炎作用を的確に発揮させることができるグリルを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明のグリルは、後端に排気用開口部を備える形態で前後方向に伸びる筒状に形成され且つ調理物載置部に載置した調理物を加熱するガス燃焼式の加熱部を備えた加熱室と、
前記排気用開口部からの調理排気を上方の排気出口に案内する排気路を形成する状態で前記加熱室の後端から上方に向かう姿勢で設けられる排気用筒部と、
前記調理排気が通過する形態で前記排気用筒部の内部に設置される消炎部材と、が設けられたものであって、その特徴構成は、
前記消炎部材を構成する上下姿勢の四角筒状の排気用筒体が、前面部を前記排気用開口部における前記調理物載置部に対応する位置又は前記調理物載置部の下方位置から前記排気用開口部の上端よりも上方側に位置させかつ当該前面部の上端の一部を前記排気用筒部の前側面の上端よりも下方側に位置させる形態で、後面部を前記排気用筒部の後側面部によって形成する形態で、横面部の上端を前記排気用筒部の上端と同等な高さとする形態で設けられ、
前記排気用筒体の内部に、前記調理排気が上方に向けて流動する内部通路が形成されている点にある。
【0015】
尚、この記載において、排気用筒体の前面部、後面部、横面部の夫々は、非多孔状の板状部として構成されることを意味する。
また、「当該前面部の上端の一部を前記排気用筒部の前側面部の上端よりも下方側に位置させる形態」との記載は、前面部の上端が両端部を残して中央側部分を前側面部の上端よりも下方側に位置させる形態、前面部の上端が横幅方向の複数箇所において前側面部の上端よりも下方側に位置させる形態等を意味する。
また、「横面部の上端を前記排気用筒部の上端と同等な高さとする形態」との記載は、横面部の上端と排気用筒部の上端とが同じ高さになる場合、横面部の上端が排気用筒部の上端よりも少し高くなる場合、横面部の上端が排気用筒部の上端よりも少し低くなる場合を含むことを意味する。
【0016】
すなわち、加熱室の排気用開口部における調理物載置部の下方側部分から排出される調理排気が、排気用筒体の内部通路を通して上昇流動して、排気出口から排出されることになる。
また、加熱室の排気用開口部における調理物載置部の上方側部分から排出される調理排気が、排気用筒体の前面部と排気用筒部の前面側部との間の空間を通して上昇流動し、その後、排気出口から排出されることになるが、少なくとも一部の調理排気が、前面部の上端から排気用筒体の内部通路に向けて流動して、内部通路を流動する調理排気と合流しながら排出されることになる。
【0017】
ちなみに、排気用筒体の前面部の上端の一部を排気用筒部の前側面部の上端よりも下方側に位置させる形態として、排気用筒体の前面部と排気用筒部の前面側部との間の空間を通して上昇流動する調理排気の少なくとも一部を、排気用筒体の内部通路を流動する調理排気と合流しながら排出させるものであるから、デザイン性の向上等のため、排気出口の前後幅が狭く構成される場合においても、調理物載置部の上方側部分から排出される調理排気を、排気出口を通して適切に排出することができる。
【0018】
また、排気用筒体の横面部の上端を排気用筒部の上端と同等な高さとする形態にするものであるから、排気用筒体の内部通路を流動する調理排気が、排気用筒体の上端側箇所において横方向に不必要に広がることを抑制しながら、排気出口を通して調理排気を適切に排出することができる。
【0019】
そして、調理物載置部に載置された調理物が燃焼する等により、万が一加熱室に火炎が生じた場合には、その火炎が、排気用筒体の前面部と排気用筒部の前面側部との間の空間を通して流動する際に、排気用筒体の前面部及び排気用筒部の前面側部との接触により冷却されて、的確に消炎されることになる。
【0020】
また、焼き網等の調理物載置部の下方に配置される受け皿に溜まった油が燃焼する等により、調理物載置部の下方箇所で、万が一加熱室に火炎が発生した場合には、その火炎が、排気用筒体の内部通路を通して流動する際に、排気用筒体の後面部、前面部、横面部との接触により冷却されて、的確に消炎されることになる。
【0021】
そして、本特徴構成においては、排気用筒体を非多孔状の板状部を用いて構成できるものであるから、排気用筒体の低廉化を図ることができ、さらには、排気用筒体の後面部を、排気用筒部の後側面部を用いて形成するものであるから、排気路において消炎作用を発揮させる構成の一層の簡素化及び低廉化を図ることができる。
【0022】
要するに、本発明のグリルによれば、構成の簡素化及び低廉化を図り、且つ、排気性能を向上させながらも、排気路において消炎作用を的確に発揮させることができる。
【0023】
また、本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記排気用筒体が、上端側ほど後方側に位置する後傾姿勢で設けられている点にある。
【0024】
すなわち、排気用筒体が、上端側ほど後方側に位置する後傾姿勢で上方に延びる状態で設けられているから、排気用筒体を後傾姿勢にすることにより、排気用筒部の縦寸法(上下長さ)を有効利用しながら、排気用筒体の長さを極力長くすることができる。
【0025】
したがって、排気用筒体の長さを極力長くすることにより、排気用筒体が調理排気から回収する熱を極力増加させるようにしながら、調理排気を強い上昇流(ドラフト)を形成する状態で一層適切に流動させることができる。
【0026】
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、調理排気を強い上昇流(ドラフト)を形成しながら適切に流動させることができる。
【0027】
また、本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記排気用筒部が、上側形成部分と下側形成部分とに分割した状態で形成され、
前記排気用筒体の全部又は一部が、前記上側形成部分と一体的に形成されている点にある。
【0028】
すなわち、排気用筒部を加熱室の後部に組付ける際に、下側形成部分を予め加熱室の後部に組付け、その後、上側形成部分を下側形成部分に対して組付ける手順にて行うことにより、加熱室に対する排気用筒部の組付けを良好に行うことができる。
しかも、排気用筒体の全部又は一部が、上側形成部分と一体的に形成されているから、排気用筒体の装着を上側形成部分の組付けを利用しながら行うことができるため、消炎機能を備える排気路を形成する構成部材の組付け作業の簡素化を図ることができる。
【0029】
つまり、排気用筒体の全部又は一部を、上側形成部分と一体的に形成しない場合には、先ず、排気用筒体の全ての構成部材を下側形成部分に組付け、その状態において、上側形成部分を下側形成部分に対して組付ける作業を順次行うことになるが、排気用筒体の全部又は一部が、上側形成部分と一体的に形成されている場合には、組付け作業の簡素化を図ることができるのである。
【0030】
ちなみに、グリルがビルトインタイプのガスコンロに装備される形態において、ガスコンロの下方側箇所にオーブンが設置される場合においては、上側形成部分を外した状態にして、オーブンから上方に延設されるオーブン排気筒を下側形成部分の後方側箇所を通して配置し、その後、上側形成部分を装着する作業が行われることになる。
その際、排気用筒体の全部又は一部が、上側形成部分と一体的に形成されている場合においては、排気用筒体を構成する部材のうちで、オーブン排気筒を下側形成部分の後方側箇所を通して配置するときに邪魔になる部材を、下側形成部分に装着させない状態にできるものとなり、ガスコンロの下方側箇所にオーブンを設置する作業を良好に行うことができる。
【0031】
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、消炎機能を備える排気路を形成する構成部材の組付け作業の簡素化を図ることができる。
【0032】
また、本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記加熱室の後壁部が、前記加熱室の底壁側から前記調理物載置部よりも高くかつ前記排気用開口部の上端よりも低い高さで起立する左右の側部と、それら左右の側部よりも低い高さで左右の側部の間に位置する中央部とを備える形態に構成され、
前記下側形成部分が、前記中央部の上端部から上向き傾斜状に伸びる下方底壁部、左右の前記側部の加熱室内方側端部と前記下方底壁部の左右の両端部との間に前後方向に伸びる姿勢で配置される左右の下方側壁部、及び、左右の前記側部の上端部と左右の前記下方側壁部の上端部との間に水平方向に伸びる姿勢で配置される左右の下方上壁部を備える形態に構成され、
前記排気用筒体が、前記前面部の下端側部分を左右の前記下方側壁部の間に挿入させる形態で配置されている点にある。
【0033】
すなわち、排気用筒部が、下側形成部分と上側形成部分とから構成され、そして、下側形成部分が、後壁部の中央部の上端部から上向き傾斜状に伸びる下方底壁部を備え、しかも、排気用筒体における前面部の下端側部分が、左右の下方側壁部の間に挿入させる形態で配置されているから、調理物載置部よりも下方で発生する調理排気を、下側形成部分の下方底壁部と排気用筒体における前面部の下端側部分との間を通して流動させながら、排気用筒体の内部通路に良好に流動させることができる。
【0034】
つまり、例えば、調理物載置部よりも下方側に、ガス燃焼式の加熱部として、下バーナが設置される場合において、その下バーナの燃焼排ガスを含む調理排気を、下方底壁部と排気用筒体における前面部の下端側部分との間を通して流動させながら、排気用筒体の内部通路に良好に流動させることができる。
【0035】
そして、左右の下方上壁部の下方側空間を、例えば、ガス燃焼式の加熱部としての下バーナに対してガス燃料を供給する供給部を設置する空間に利用して下バーナを適切に配置しながら、調理排気を適切に排気することができる。
【0036】
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、ガス燃焼式の加熱部としての下バーナを適切に配置しながら、調理排気を適切に排気することができる。
【0037】
また、本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記下側形成部分に、前記加熱室から出る調理排気の温度を検出する温度検出部が設けられている点にある。
【0038】
すなわち、排気用筒部にて形成される排気路のうちの下側形成部分に対応する箇所を流動する調理排気の温度が温度検出部にて検出されることになるから、温度検出部の検出温度に基づいて、ガス燃焼式の加熱部の燃焼を制御しながら自動調理運転を行うことができる。
【0039】
つまり、排気路のうちの下側形成部分に対応する箇所を流動する調理排気の温度は、加熱室から排出された直後の調理排気の温度であるから、加熱室内の温度に近い温度となるため、温度検出部にて検出される温度に基づいて、調理物載置部に載置した調理物の温度を推定しながらガス燃焼式の加熱部の燃焼を制御する等、調理物を加熱調理する自動調理運転を良好に行うことができる。
【0040】
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、調理物を加熱調理する自動調理運転を良好に行うことができる。
【0041】
また、本発明のグリルの更なる特徴構成は、前記内部通路が、前記排気出口から落下する落下物を前記加熱室の底部側に移動させる落下物用通過路として形成されている点にある。
【0042】
すなわち、一般に、排気用筒部の排気出口の上方には、異物の落下を抑制する多孔状の蓋体が設けられることになるから、大きな異物が内部通路に落下することが抑制されるものの、多孔状の蓋体を通過する小さな異物が内部通路の内部に落下する虞がある。
【0043】
そして、内部通路の内部に落下した小さな異物が、その内部通路にて形成される落下物用通過路を通して、加熱室の底部側に移動することになるから、万が一、小さな異物が内部通路の内部に落下しても、その異物が加熱室の内部に移動することになるため、内部通路が異物にて閉塞されることを回避し、かつ、落下した異物を良好に回収することができる。
【0044】
要するに、本発明のグリルの更なる特徴構成によれば、内部通路が異物にて閉塞されることを回避し、かつ、落下した異物を良好に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図7】排気用筒部の前側面部を外したグリル後部の斜視図である。
【
図9】オーブン排気筒の装着状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0047】
(ガスコンロの全体構成)
図1に示すように、ガスコンロ本体Hの上面部の左右両側及び奥側にコンロバーナ1を備え、ガスコンロ本体Hの内部にグリルG(
図3参照)を備えるガスコンロが構成されている。
このガスコンロは、キッチンカウンター等に挿入される形態で設置される、いわゆるビルトイン式のガスコンロとして構成されるものであって、ガスコンロ本体Hの上部の周縁部には、載置用の鍔部2が装備されている。
【0048】
ガスコンロ本体Hの天板3には、コンロバーナ1にて加熱される鍋等の被加熱物を載置するための五徳4が、左右両側及び奥側のコンロバーナ1の夫々に対応して設けられている。
また、天板3の後部側箇所には、グリルGの調理排気を排出するためのグリル排気口5が形成され、そのグリル排気口5には、多孔状の蓋体6が着脱自在に装着されている。
【0049】
ガスコンロ本体Hの前面部には、3つのコンロバーナ1の夫々に対する3つのコンロ用操作部7及びグリル用操作部8が設けられている。そして、コンロ用操作部7によって、コンロバーナ1に対する点火及び消火の操作並びに火力調節操作を行うように構成され、また、グリル用操作部8によって、グリルGに装備したガス燃焼式の加熱部としてのグリルバーナB(
図3参照)に対する点火及び消火の操作並びに火力調節操作を行うように構成されている。
【0050】
(グリルの構成)
グリルGには、
図2及び
図3に示すように、前端に調理物を出し入れする調理用開口部9を備えかつ後端に排気用開口部10を備える形態で前後方向に延びる筒状に形成された加熱室Kが備えられている。
加熱室Kの内部には、調理物載置部としての受け網11が設けられ、この受け網11の下方側には、汁受け皿12が設けられている。
【0051】
つまり、汁受け皿12が、加熱室Kの底部側箇所に、調理用開口部9を通して、加熱室Kに対して出退自在に設けられ、受け網11を支持する支持枠11Aが、汁受け皿12に載置支持されている。
ちなみに、
図1に示すように、グリルGには、加熱室Kの調理用開口部9を開閉する扉13が設けられるが、
図2においては、扉13の記載を省略している。
【0052】
グリルバーナBは、受け網11に載置した魚等の調理物を加熱するものであって、本実施形態においては、
図3及び
図6に示すように、グリルバーナBとして、加熱室Kの天井部に配置される上バーナ14と、受け網11よりも下方側の左右両側部に配置される一対の下バーナ15とが設けられている。
【0053】
上バーナ14は、下向きの平板状の火炎を形成する輻射式バーナとして構成されるものであって、
図6に示すように、板状本体部14Aと、その板状本体部14Aに接続される上バーナ用混合管部14Bとを備えている。
そして、燃料ガスが上バーナ用混合管部14Bの端部に噴出供給される際に、一次空気がエジェクタ作用によって上バーナ用混合管部14Bの内部に供給されることにより、一次空気と燃料ガスとの混合ガスが生成され、その混合ガスが板状本体部14Aの下面部にて一次燃焼され、かつ、加熱室Kの底部等に形成した空気孔(図示せず)等から加熱室Kの内部に取り入れられた外気を二次空気として用いながら、混合ガスが二次燃焼される、いわゆるブンゼン式バーナとして構成されている。
【0054】
下バーナ15は、
図2に示すように、円筒状本体部15Aと、その円筒状本体部15Aに接続される下バーナ用混合管部15Bとを備える形態に構成されている。
そして、燃料ガスが下バーナ用混合管部15Bの端部に噴出供給される際に、一次空気がエジェクタ作用によって下バーナ用混合管部15Bの内部に供給されることにより、一次空気と燃料ガスとの混合ガスが生成され、その混合ガスが円筒状本体部15Aの周部に形成した炎孔から噴出して一次燃焼され、かつ、加熱室Kの底部等に形成した空気孔(図示せず)等から加熱室Kの内部に取り入れられた外気を二次空気として用いながら、混合ガスが二次燃焼させる、いわゆるブンゼン式バーナとして構成されている。
【0055】
加熱室Kの後部の排気用開口部10からは、グリルバーナBの燃焼ガスや加熱される調理物から排出される水蒸気等からなる調理排気が排出されることになり、
図3及び
図4に示すように、調理排気を上方の排気出口16に案内する排気路Eを形成する排気用筒部Dが、加熱室Kの後端から上方に向かう姿勢で設けられている。
排気用筒部Dは、上側形成部分DUと下側形成部分DSとに分割した状態で形成されており、その詳細は後述する。
ちなみに、上側形成部分DUの上部には、天板3を受止め支持する天板支持枠Jが装着されている。
【0056】
また、排気用筒部Dの内部には、調理排気が通過する形態で消炎部材Fが配置されている。
具体的には、消炎部材Fを構成する上下姿勢の四角筒状の排気用筒体17が、排気用筒部Dの内部に、上端側ほど後方側に位置する傾斜姿勢で設けられており、その詳細は後述する。
【0057】
(排気用開口部の詳細)
図6及び
図7に示すように、加熱室Kの後部の排気用開口部10が、加熱室Kの下側部分においては加熱室横幅方向の中央側部分を開口し、かつ、加熱室Kの上側部分においては加熱室横幅方向の全幅に亘って開口する形態に形成され、排気用筒部Dが、排気路Eを排気用開口部10に連通させる形態で形成するように構成されている。
【0058】
説明を加えると、
図5及び
図6に示すように、加熱室Kの後壁部18が、受け網11よりも高くかつ排気用開口部10の上端よりも低い高さで加熱室Kの底壁側から起立する左右の側部18aと、それら左右の側部18aよりも低い高さで左右の側部18aの間に位置する中央部18bを備える形態に構成されている。
したがって、加熱室Kの前後方向視にて、加熱室Kの後部における下側部分には、後壁部18の左右の側部18aの間に位置する開口部分が加熱室Kの底壁部Ktの上方側に位置する状態で形成され、加熱室Kの後部における上側部分には、加熱室Kの左右の側壁部Ks及び加熱室Kの上部壁Kuにて囲まれた開口部分が形成されている。
【0059】
つまり、排気用開口部10が、加熱室Kの後部の下側部分において、後壁部18の左右の側部18aの間に位置する開口部分と、加熱室Kの後部の上側部分において、加熱室Kの左右の側壁部Ks及び加熱室Kの上部壁Kuにて囲まれた状態で位置する開口部分とを合わせた開口として構成されている。
【0060】
(排気用筒部の具体構成)
排気用筒部Dが、上述の如く、加熱室Kの後部に接続される下側形成部分DSと、下側形成部分DSに接続される上側形成部分DUとを備える形態に構成されている。
【0061】
下側形成部分DSは、複数の部材を組み付けて形成されるものであって、その組付状態においては、
図5及び
図7に示すように、後壁部18の左右の側部18aの間に位置する中央部18bの上端部から上向き傾斜状に延びる下方底壁部d1、後壁部18の左右の側部18aの加熱室内方側端部と下方底壁部d1の左右の両端部との間に前後方向に延びる姿勢で配置される側面視形状三角状の左右の下方側壁部d2、及び、後壁部18の左右の側部18aの上端部と左右の下方側壁部d2の上端部との間に水平方向に延びる姿勢で配置される左右の下方上壁部d3を備える形態に構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、下方底壁部d1及び下方上壁部d3が、上側形成部分DUの接続用延長部を後方側端部から後方側に延設する状態に備えている。
【0062】
また、上側形成部分DUは、複数の部材を組み付けて形成されるものであって、その組付状態においては、
図4~
図7に示すように、下側形成部分DSにおける下方底壁部d1の上端部及び左右の下方上壁部d3の後端部に接続されかつ後端部において上方側に屈曲する姿勢の上方後壁部d4、下側形成部分DSの左右の下方上壁部d3の横外方側端部に接続されかつ上方側に屈曲するL字状の左右の上方側壁部d5、及び、上方側壁部d5の上縁部に沿って後端部において上方側に屈曲する状態に形成される上方上壁部d6を備えるように構成されている。
【0063】
ちなみに、後端部において上方側に屈曲する状態に形成される上方上壁部d6は、排気用筒部Dの前側面部Dfを構成することになる。
また、下方底壁部d1及び上方後壁部d4が、排気用筒部Dの後側面部Drを構成することになる。
さらに、上方側壁部d5が、排気用筒部Dの横側面部Dyを構成することになる。
【0064】
ちなみに、
図5及び
図6に示すように、排気用筒部Dの下側形成部分DSにおける下方底壁部d1に、加熱室Kからでる調理排気の温度を検出する温度検出部としての排気温度センサ19が設けられている。この排気温度センサ19の検出情報は、ガスコンロの運転を制御する運転制御部(図示せず)に入力されて、グリルバーナBの燃焼を制御して各種の自動調理運転を実行するための情報として用いられることになり、また、排気温度センサ19の検出温度が異常な高温のときには、運転制御部(図示せず)がグリルバーナBの燃焼を停止する制御を実行するように構成されている。
【0065】
(消炎部材の詳細)
消炎部材Fを構成する四角筒状の排気用筒体17が、
図4及び
図8に示すように、前面部17fを排気用開口部10における受け網11の下方位置から排気用開口部10の上端よりも上方側に位置させかつ当該前面部17fの上端の一部を排気用筒部Dの前側面部Dfの上端よりも下方側に位置させる形態で、後面部17rを排気用筒部Dの後側面部Drによって形成する形態で、
図8に示すように、横面部17yの上端を排気用筒部Dの上端と同等な高さとする形態で設けられている。
【0066】
本実施形態では、
図7に示すように、前面部17fの上端の一部として、横幅方向の中央側部分が、排気用筒部Dの前側面部Dfの上端よりも下方側に位置されている。
また、上記実施形態では、排気用筒体17の前面部17fの上端部が、排気用筒部Dの前側面部Dfに密接する状態に形成されている。
【0067】
説明を加えると、
図7及び
図8に示すように、排気用筒体17の前面部17fの上方側部分及び排気用筒体17の左右の横面部17yを形成する第1筒体形成部材Lが、排気用筒部Dの後側面部Dr(上方後壁部d4)に止着されている。
また、
図5及び
図7に示すように、排気用筒体17の前面部17fの下方側部分を形成する第2筒体形成部材Mが、排気用筒部Dの下側形成部分DSにおける左右の下方側壁部d2の間に挿入され、かつ、左右両端部の張出し部Maを下方上壁部d3に載置して止着する形態で設けられている。
つまり、排気用筒体17が、前面部17fの下端側部分(第2筒体形成部材M)を左右の下方側壁部d2の間に挿入させる形態で配置されている。
【0068】
そして、排気用筒体17の内部に、調理排気が上方に向けて流動する内部通路E1が形成されている。
従って、
図4に示すように、排気用筒部Dの内部には、排気用筒体17の内部の内部通路E1、排気用筒部Dの前側面部Dfと排気用筒体17の前面部17fとの間の空間によって形成される前側通路E2が、排気路Eとして形成されることになる。
ちなみに、排気用筒体17の前面部17fの上方側部分(第1筒体形成部材L)と前面部17fの下端側部分(第2筒体形成部材M)とが同じ傾斜姿勢で一連に連なる状態となり、調理排気を適切に案内流動させることができる。
【0069】
また、排気用筒体17における前面部17fの下方側部分(第2筒体形成部材M)を除いた一部(大部分)が、排気用筒部Dの上側形成部分DUと一体的に形成されて、上側形成部分DUを下側形成部分DSに装着する際に、排気用筒体17における前面部17fの下方側部分(第2筒体形成部材M)を除いた一部(大部分)が、排気用筒部Dの内部に装着されるように構成されている。
【0070】
ちなみに、本実施形態においては、
図7に示すように、排気用筒部Dの横側面部Dyと排気用筒体17の横面部17yとの間に、後壁部18の左右の側部18aの上方側箇所を通して流動する調理排気を排気出口16に導く横側通路E3が形成されることになる。
ただし、この横側通路E3には、後壁部18の左右の側部18aが受け網11よりも高く存在することによって、加熱室Kの内部に発生した火炎の流動を抑制している。
【0071】
尚、本実施形態では、排気用筒体17の前面部17fと排気用筒部Dの前側面部Dfとの間隔を上方に向けて漸次狭くし、かつ、前面部17fの上端側部分を排気用筒部Dの前側面部Dfに近接させるようにして、万が一、加熱室Kで発生した火炎が前側通路E2を通して流動した際に、火炎と排気用筒体17の前面部17fや排気用筒部Dの前側面部Dfとを的確に接触させるようにして、冷却により火炎を消炎できるように構成されている。
【0072】
ちなみに、排気用筒体17が四角筒状であるとは、排気用筒体17の横断面形状が四角状であることを意味するものであり、そして、本実施形態においては、排気用筒体17の横幅及び前後幅が、排気用筒体17の長さ方向の全体に亘って同じになるように構成されている。
【0073】
また、排気用筒体17が、上端側ほど後方側に位置する後傾姿勢でかつ排気用筒部Dの排気出口16に対応する高さまで上方に延びる状態で設けられており、排気用筒体17の上下長さを極力長くするように構成されている。
【0074】
また、本実施形態においては、排気用筒体17の横幅が、下側形成部分DSにおける一対の下方側壁部d2の間隔に相当する長さに形成されて、上述の如く、排気用筒体17の前面部17fの下端側部分(第2筒体形成部材M)が左右の下方側壁部d2の間に挿入させる形態で配置されている。
【0075】
また、排気用筒体17の内部の内部通路E1が、排気出口16から落下する落下物を加熱室Kの底部側に移動させる落下物用通過路として形成されている。
つまり、排気出口16から落下した落下物は、排気用筒部Dの後側面部Dr(つまり、上側形成部分DUの上方後壁部d4及び下側形成部分DSの下方底壁部d1)にて受止め案内されながら、落下物用通過路(内部通路E1)を通して加熱室Kの底部側に移動するように構成されている。
【0076】
つまり、排気用筒部Dの排気出口16が、ガスコンロ本体Hの天板3に形成したグリル排気口5の下方に位置し、かつ、グリル排気口5には、多孔状の蓋体6が装着されているため、内部通路E1には大きな異物が落下することはないものの、小さな異物が、多孔状の蓋体6を通して内部通路E1に落下する虞があるが、そのように落下した小さな落下物を加熱室Kの底部側に移行させて、内部通路E1が落下物のために詰まることを抑制できるように構成されている。
【0077】
(オーブン排気筒の装着)
ビルトイン式のガスコンロの下方箇所にオーブンが設置される場合があり、このような場合には、
図9に示すように、オーブン排気筒Nが、ガスコンロ本体Hの上下に貫通する状態で配置されて、オーブン排気筒Nからの排気がグリル排気口5を通して外部に排出されることになる。
【0078】
具体的には、オーブン排気筒Nは、ガスコンロ本体Hにおける排気用筒部Dの後方側箇所を通して配設されることになる。つまり、排気用筒部Dとオーブン排気筒Nとが前後に並ぶ状態に、オーブン排気筒Nが装着されることになる。
そして、オーブン排気筒Nを装着する際には、排気用筒部Dの上側形成部分DUを下側形成部分DSから外して、
図9に示すように、オーブン排気筒Nの装着箇所を大きく露出させる状態にし、オーブン排気筒Nの装着後において、排気用筒部Dの上側形成部分DUを下側形成部分DSに装着させるようにする。
【0079】
ちなみに、排気用筒部Dの上側形成部分DUを下側形成部分DSから外した状態においても、排気用筒体17の前面部17fの下側部分を形成する第2筒体形成部材Mは、下側形成部分DSに装着され続けられるため、オーブン排気筒Nの装着後において、排気用筒部Dの上側形成部分DUを下側形成部分DSに装着する作業が行い易いものとなる。
【0080】
つまり、排気用筒部Dの上側形成部分DUに、第1筒体形成部材Lに加えて第2筒体形成部材Mが一体的に形成されていると、第2筒体形成部材Mが上側形成部分DUから前方側に大きく突出する状態となるため、下側形成部分DSにおける左右の下方側壁部d2の間に第2筒体形成部材Mを挿入しながら、排気用筒部Dの上側形成部分DUを下側形成部分DSに装着する作業が行い難いものとなるが、排気用筒部Dの上側形成部分DUには第2筒体形成部材Mが設けられていないため、オーブン排気筒Nの装着後において、排気用筒部Dの上側形成部分DUを下側形成部分DSに装着する作業が行い易いものとなる。
【0081】
(実施形態のまとめ)
本実施形態によれば、加熱室Kの排気用開口部10における受け網11の上方側部分から排出される調理排気を、主として、排気用筒部Dの前側面部Dfと排気用筒体17の前面部17fとの間の空間によって形成される前側通路E2を通して排気し、加熱室Kの排気用開口部10における受け網11の下方側部分から排出される調理排気を、主として、排気用筒体17の内部の内部通路E1を通して排気することになる。
【0082】
そして、加熱室Kの受け網11の上方箇所にて、万が一火炎が発生した場合には、その火炎が前側通路E2を通して流動するときに、排気用筒部Dの前側面部Dfやと排気用筒体17の前面部17fとの接触により冷却されて、的確に消炎されることになる。
また、加熱室Kの受け網11の上方箇所にて、万が一火炎が発生した場合には、その火炎が排気用筒体17の内部の内部通路E1を通して流動するときに、排気用筒部Dの後側面部Drやと排気用筒体17の前面部17fとの接触により冷却されて、的確に消炎されることになる。
【0083】
また、排気用筒部Dの上側形成部分DUには、排気用筒体17の前面部17fの下側部分を形成する第2筒体形成部材Mが一体的に形成されていないため、オーブン排気筒Nの装着後において、排気用筒部Dの上側形成部分DUを下側形成部分DSに装着する作業が行い易いものとなる。
【0084】
さらに、排気用筒体17の内部の内部通路E1が、排気出口16から落下する落下物を加熱室Kの底部側に移動させる落下物用通過路として形成されているから、多孔状の蓋体6を通して小さな異物が内部通路E1に落下しても、そのように落下した小さな落下物を加熱室Kの底部側に移行させて、内部通路E1が落下物のために詰まることを抑制できることになる。
【0085】
〔別実施形態〕
次に、別実施形態を列記する。
(1)上記実施形態では、調理物載置部として、受け網11を例示したが、受け網11に代えてグリル皿を設ける等、調理物載置部の具体構成は各種変更できる。
【0086】
(2)上記実施形態では、排気用筒体17の前面部17fを、受け網11よりも下方位置から排気用開口部10の上方側に位置させるように構成する場合を例示したが、排気用筒体17の前面部17fを、受け網11に対応する位置から排気用開口部10の上方側に位置させるように構成する形態で実施してもよい。
尚、受け網11に対応する位置とは、受け網11と同じ高さ位置、受け網11よりも少し低い高さ位置、及び、受け網11よりも少し高い高さ位置を含む。
【0087】
(3)上記実施形態では、排気用筒体17の一部が、排気用筒部Dの上側形成部分DUと一体的に形成される場合を例示したが、排気用筒体17の全部を、排気用筒部Dの上側形成部分DUと一体的に形成する形態で実施してもよい。
【0088】
(4)上記実施形態では、加熱室Kの後壁部18が、加熱室Kの底壁側から受け網11よりも高くかつ排気用開口部10の上端よりも低い高さで起立する左右の側部18aと、それら左右の側部18aよりも低い高さで左右の側部18aの間に位置する中央部18bとを備える形態に構成されて、排気用筒部Dの下側形成部分DSの下方底壁部d1が、中央部18bの上端に接続される場合を例示したが、加熱室Kの後壁部18が、横幅方向全体に亘って、中央部18bの高さに相当する高さに形成される場合においても、本発明は適用できるものである。
【0089】
この場合においては、例えば、傾斜姿勢の下方底壁部d1を、加熱室Kの横幅方向の全幅に亘る状態で設けて、下方底壁部d1の上方箇所に、排気路Eを形成するように構成するとよい。
【0090】
(5)上記実施形態では、排気用筒体17の前面部17fの上端における横幅方向中央側部分を、排気用筒部Dの前側面部Dfの上端よりも下方側に位置させるようにしたが、例えば、前面部17fの上端における横幅方向両端側部分を、排気用筒部Dの前側面部Dfの上端よりも下方側に位置させるようにする、又は、前面部17fの上端における横幅方向の複数箇所部分を、排気用筒部Dの前側面部Dfの上端よりも下方側に位置させるようにする等、排気用筒体17の前面部17fの上端における一部を排気用筒部Dの前側面部Dfの上端よりも下方側に位置させるようにする形態は種々変更できる。
【0091】
(6)上記実施形態では、排気用筒体17の前面部17fの上端部が、排気用筒部Dの前側面部Dfに密接する状態に形成される場合を例示したが、排気用筒体17の前面部17fの上端部が、排気用筒部Dの前側面部Dfに対して前後方向に間隔を隔てている状態に形成する形態で実施してもよい。
【0092】
(7)上記実施形態では、グリルGが、ガスコンロに装備される場合を例示したが、本発明のグリルGは、グリル専用機を構成する場合にも適用できるものである。
【0093】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【符号の説明】
【0094】
10 排気用開口部
11 調理物載置部
16 排気出口
17 排気用筒体
17f 前面部
17r 後面部
17y 横面部
18 後壁部
18a 側部
18b 中央部
19 温度検出部
B 加熱部
D 排気用筒部
DS 下側形成部分
DU 上側形成部分
d1 下方底壁部
d2 下方側壁部
d3 下方上壁部
E 排気路
E1 内部通路
F 消炎部材
K 加熱室