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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/66 20060101AFI20240219BHJP
   B65D 5/43 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
B65D5/66 311G
B65D5/43
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020141596
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037452
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】永長 朗
(72)【発明者】
【氏名】原 早弥香
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-001718(JP,A)
【文献】特開2019-137441(JP,A)
【文献】特開2007-238148(JP,A)
【文献】実開昭57-088717(JP,U)
【文献】米国特許第05803267(US,A)
【文献】特開2021-059346(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00- 5/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物(M)を包装する包装箱(1)であって、
第1壁(10)と、
前記第1壁に前記被包装物の収容空間を挟んで対向配置される第2壁(16)と、
前記第1壁に対して折り曲げられる内壁(11)と、
前記第2壁に対して折り曲げられ、前記内壁に覆設される外壁(17)と、
前記外壁に対して折り曲げられ、前記第1壁と前記内壁との境界線(L1)に沿って切り込まれた差込口(25)に差し込まれる差込片(18)と、を備え、
前記差込片には、前記外壁との境界から先端側に離れた位置に係止穴(32)が穿設され、
前記第1壁および前記内壁には、前記差込口を跨ぐように係止片(26)が設けられ、
前記係止片は、前記差込口の縁部から前記内壁の側にずれた位置で係止折線(L7)を介して連設され、前記係止折線の両端から前記第1壁にかけて切り込むことで形成され、
前記係止片の先端は、切断可能線(27)を介して前記第1壁に連設され、
前記係止片は、前記内壁の折り曲げに伴って前記係止折線と前記切断可能線とで折れて先端を前記第1壁に向けた傾斜姿勢となり、
傾斜姿勢となった前記係止片の先端部は、前記差込口に差し込まれる前記差込片によって前記切断可能線で切断されて前記第1壁から引き離され、前記差込片が前記差込口に差し込まれた状態で前記係止折線周りの反発力によって前記差込片の前記係止穴に係合し、前記差込口からの前記差込片の引き抜きを規制することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記差込口の縁部からの前記係止折線のずれ量は、前記差込片の厚みの1倍以上、2倍以下の範囲で設定されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記第2壁と前記外壁との境界と、前記外壁と前記差込片との境界と、前記外壁との少なくとも何れか1つには、開封用の開封切断線(30)が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋フラップの連接された差し込み片が箱胴部の側面板に差し入れられ、側面板に折り起こし可能に設けられた係止片が差し込み片の係止口に差し入れられる包装箱が知られている(特許文献1)。係止片は、差し入れ部と、その先端で折り返される第二係止片とを有している。差し込み片には、係止口の箱内方側に折り入れられる受け片を有している。受け片は、第二係止片を受けて第二係止片の先端を係止口下位の部分に対応させ、係止片の抜き戻しを不能にしている。蓋フラップに設けた捲り予定部がミシン目で分断されなければ、係止片と差し込み片とを係止解除できないため、不正開封が抑止されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-8262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した包装箱では、差し入れ部に対して第二係止片を折り返し、二枚重ねにした係止片を係止口に差し込む必要があり、係止片の差し込み作業が煩雑で容易であるとは言えなかった。また、差し入れ部に対して第二係止片を折り返す方向を間違えた場合、受け片は第二係止片を受けることができず、係止片の抜き戻しが可能になるため、不正開封を抑止することができない場合も想定された。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、差込片の引き抜きを規制することができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被包装物を包装する包装箱であって、第1壁と、前記第1壁に前記被包装物の収容空間を挟んで対向配置される第2壁と、前記第1壁に対して折り曲げられる内壁と、前記第2壁に対して折り曲げられ、前記内壁に覆設される外壁と、前記外壁に対して折り曲げられ、前記第1壁と前記内壁との境界線に沿って切り込まれた差込口に差し込まれる差込片と、を備え、前記差込片には、前記外壁との境界から先端側に離れた位置に係止穴が穿設され、前記第1壁および前記内壁には、前記差込口を跨ぐように係止片が設けられ、前記係止片は、前記差込口の縁部から前記内壁の側にずれた位置で係止折線を介して連設され、前記係止折線の両端から前記第1壁にかけて切り込むことで形成され、前記内壁の折り曲げに伴って前記係止折線で折れて先端を前記第1壁に向けた傾斜姿勢となり、傾斜姿勢となった前記係止片の先端部は、前記差込口に差し込まれる前記差込片によって前記第1壁から引き離され、前記差込片が前記差込口に差し込まれた状態で前記係止折線周りの反発力によって前記差込片の前記係止穴に係合し、前記差込口からの前記差込片の引き抜きを規制する。
【0007】
この場合、前記係止片の先端は、切断可能線を介して前記第1壁に連設され、前記係止片は、前記内壁の折り曲げに伴って前記係止折線と前記切断可能線とで折れて傾斜姿勢となり、前記係止片の先端は、前記差込口に差し込まれる前記差込片によって前記切断可能線で切断されて前記第1壁から引き離されてもよい。
【0008】
この場合、前記差込口の縁部からの前記係止折線のずれ量は、前記差込片の厚みの1倍以上、2倍以下の範囲で設定されてもよい。
【0009】
この場合、前記第2壁と前記外壁との境界と、前記外壁と前記差込片との境界と、前記外壁との少なくとも何れか1つには、開封用の開封切断線が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、差込片の引き抜きを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る包装箱の組立途中を示す斜視図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る包装箱の内側であって、差込口等を拡大して示す斜視図である。
図4B】本発明の一実施形態に係る包装箱の外側であって、差込口等を拡大して示す斜視図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る包装箱の差込片を差込口に差し込む途中を示す断面図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る包装箱の差込片を差込口に差し込んだ状態を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る包装箱の差込片を差込口に差し込んだ状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てた状態での方向や位置を基準にしている。
【0013】
[包装箱の概要]
図1および図2を参照して、包装箱1について説明する。図1は包装箱1を示す斜視図である。図2は包装箱1のブランク1Aを示す平面図である。
【0014】
図1に示すように、包装箱1は、例えば、被包装物M(図5A等参照)を包装した状態で郵便箱に投函することができるように扁平に形成された箱である。包装箱1は、上面を開口させた箱本体2と、箱本体2の上面に覆設される蓋体3と、を有している。箱本体2はトレイ状に形成され、箱本体2の内部には被包装物Mが収容される。蓋体3は、箱本体2の後上端に回動可能に連設されている。
【0015】
包装箱1は、図2に示すブランク1Aを組み立てることで形成される。ブランク1Aは、1枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、例えば、波状の中しん9Aに表ライナ9Bと裏ライナ9C(図3参照)とを貼り合せた両面段ボールシートである。なお、図2は、表ライナ9B側(包装箱1の外面)を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0016】
[ブランク]
図2に示すように、ブランク1Aは、底壁10と、一対の側内壁11と、一対の側内フラップ12と、前壁13と、前フラップ14と、後壁15と、蓋壁16と、一対の側外壁17と、一対の差込片18と、を備えている。底壁10、側内壁11、側内フラップ12、前壁13、前フラップ14および後壁15が箱本体2を構成する。蓋壁16、側外壁17および差込片18が蓋体3を構成する。なお、一対の側内壁11、一対の側内フラップ12、一対の側外壁17および一対の差込片18は、それぞれ、図2において左右対称となる形状であるため、本明細書では、一対であることを明記した場合を除き、1つの部位に着目して説明する。
【0017】
<底壁、側内壁、側内フラップ>
第1壁の一例としての底壁10は、段方向に長い略長方形状に形成されている。内壁の一例としての一対の側内壁11は、第1折曲線L1を介して底壁10の段方向の両端に連設されている。一対の側内フラップ12は、第2折曲線L2を介して一対の側内壁11の段方向の先端に連設されている。側内壁11および側内フラップ12は、それぞれ、段方向に短く、流れ方向に細長い長方形状に形成されている。側内壁11の流れ方向の両端には、第3折曲線L3を介して一対の折込片20が連設されている。側内フラップ12の流れ方向の一側(前側)には、段方向の先端から基端に向かって側方切欠き部21が切り欠かれている。
【0018】
(差込口)
底壁10の段方向の両端、且つ流れ方向の中央領域には、一対の差込口25が形成されている。各々の差込口25は、底壁10と側内壁11との境界線(第1折曲線L1)に沿って切り込まれたスリットである。各々の差込口25は、第1折曲線L1から側内壁11の側に僅かに突出した略台形状に切り込まれている。第1折曲線L1からの差込口25の突出量(S1)は、後述する差込片18(段ボールシート)の厚みよりも僅かに大きく(長く)設定されている。なお、第1折曲線L1は、差込口25の流れ方向の両端から両外側に延設されている。
【0019】
(係止片)
また、底壁10および側内壁11には、差込口25の流れ方向の中央付近において、差込口25を跨ぐ(横切る)ように係止片26が設けられている。各々の係止片26は、差込口25の縁部から側内壁11の側(上方)にずれた位置で係止折線L7を介して連設され、係止折線L7の両端から底壁10にかけて切り込むことで形成されている。詳細には、係止折線L7は、差込口25の縁部のうち側内壁11の側に最も突き出した位置から更に側内壁11の段方向の先端側(上方)にずれた位置に第1折曲線L1と略平行に形成されている。差込口25の縁部からの係止折線L7のずれ量(S2)は、後述する差込片18(段ボールシート)の厚みの約2倍に設定されている。
【0020】
係止片26は、係止折線L7の流れ方向の両端から底壁10に食い込むように略平行に延びた一対の切目によって略長方形状に区画されている。係止片26は差込口25を二等分するように設けられているため、係止片26には差込口25や第1折曲線L1は形成されていない。係止片26の先端は、切断可能線27を介して底壁10に連設されている。切断可能線27は、第1折曲線L1(係止折線L7)と略平行に形成されている。切断可能線27は、直線状の切目を流れ方向に等間隔で並設したミシン目線であって、係止片26を底壁10から分断する機能を有している。また、係止片26は、第1折曲線L1から係止折線L7までの長さよりも、第1折曲線L1から切断可能線27までの長さの方が長く形成されている。
【0021】
<前壁>
前壁13は、第3折曲線L3を介して底壁10の流れ方向の一端(前端)に連設されている。前壁13は略長方形に形成され、前壁13の流れ方向の寸法(延出寸法)は側内壁11の段方向の寸法と略同一である。
【0022】
<前フラップ>
前フラップ14は、第4折曲線L4を介して前壁13の先端に連設されている。前フラップ14は略長方形状に形成され、前フラップ14の流れ方向の寸法(延出寸法)は前壁13の延出寸法よりも長く(約3倍)設定されている。前フラップ14には、段方向の両端から内側に向かって一対の前方切欠き部22が切り欠かれている。前フラップ14には、一対の前方切欠き部22の最深部の近傍から前フラップ14の流れ方向の先端に向かって互いに接近するように傾斜した一対の補助折線L8が形成されている。前フラップ14の両角部には、一対の補助折線L8に区画された一対の前方係合片23が形成されている。
【0023】
<後壁>
後壁15は、第3折曲線L3を介して底壁10の流れ方向の他端(後端)に連設されている。後壁15は、前壁13と略同一形状に形成されている。
【0024】
<蓋壁>
第2壁の一例としての蓋壁16は、第5折曲線L5を介して後壁15の先端(上端)に連設されている。蓋壁16は略長方形状に形成され、蓋壁16の流れ方向の寸法は底壁10の流れ方向の寸法よりも短く設定されている。
【0025】
<側外壁>
外壁の一例としての一対の側外壁17は、開封切断線30を介して蓋壁16の段方向の両端に連設されている。一対の側外壁17は、蓋壁16の流れ方向の先端側に寄った位置に設けられている。側外壁17は、蓋壁16から離れるに従って流れ方向に幅狭くなる略台形状(正確には略六角形状)に形成されている。開封切断線30は、包装箱1の開封用であり、蓋壁16と側外壁17との境界に形成されている。詳細には、開封切断線30は、屈曲した切目を流れ方向に等間隔で並設したジッパーである。開封切断線30は、一対の側外壁17に対して蓋壁16を前方から後方に向かって切断する機能を有している。
【0026】
<差込片>
差込片18は、第6折曲線L6を介して側外壁17の段方向の先端に連設されている。差込片18は、側外壁17よりも小さな略台形状(正確には略六角形状)に形成されている。差込片18と側外壁17との境界には、流れ方向の両端から内側に向かって一対の差込スリット31が切り込まれ、一対の差込スリット31の間には第6折曲線L6が形成されている。差込片18には、側外壁17との境界(第6折曲線L6)から先端側に離れた位置に係止穴32が穿設されている。係止穴32は、差込片18の略中央領域に開口している。係止穴32は略長方形状に形成され、係止穴32の流れ方向の寸法は係止片26の流れ方向の寸法よりも僅かに大きく設定されている。
【0027】
なお、第1~第6折曲線L1~L6、係止折線L7および補助折線L8は、段ボールシートを裏ライナ9C側から厚み方向に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有している。第1~第6折曲線L1~L6、係止折線L7および補助折線L8は、汎用罫線に限らず、汎用罫線上にミシン目を形成したリード罫線等、段ボールシートを折り曲げるための構造であれば如何なるものでもよい。
【0028】
[包装箱の組立]
次に、図1図3図4A図4B図5A図5Bおよび図6を参照して、包装箱1の組立工程について説明する。図3は包装箱1の組立途中を示す斜視図である。図4Aおよび図4Bは差込口25等を拡大して示す斜視図である。図5Aは差込片18を差込口25に差し込む途中を示す断面図である。図5Bは差込片18を差込口25に差し込んだ状態を示す断面図である。図6は差込片18を差込口25に差し込んだ状態を示す斜視図である。ここでは、一例として、作業者が手作業で包装箱1を組み立てる場合について説明する。なお、以下の説明でも引き続き、一対設けられた部位については、一対であることを明記した場合を除き、1つの部位に着目して説明する。
【0029】
図3に示すように、作業者は、ブランク1Aの裏ライナ9Cを上方に向けた状態とし、一対の側内壁11を第1折曲線L1に沿って上方に折り曲げる。一対の側内壁11は、底壁10に対して折り曲げられ、底壁10の左右両端に立設される。側内壁11を折り曲げると、図4Aおよび図4Bに示すように、側内壁11の下端部には、差込口25に沿って段ボールシートの厚み程度の隙間(差込口25の突出量(S1)に対応した隙間)が形成される。係止片26は、側内壁11の折り曲げに伴って係止折線L7と切断可能線27とで折れて側内壁11から延びた先端を底壁10に向けた傾斜姿勢となる。係止片26は、側内壁11から内側に向かって下り勾配となり、側内壁11と底壁10とに斜めに架け渡される。
【0030】
図3に示すように、作業者は、一対の側内フラップ12を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げ、4つの折込片20を第3折曲線L3に沿って内側に折り曲げる。次に、作業者は、前壁13を第3折曲線L3に沿って折り曲げ、前フラップ14を第4折曲線L4に沿って後方に折り曲げる。また、作業者は、前フラップ14の一対の前方係合片23(図2参照)を補助折線L8(図2参照)に沿って下方に軽く折り曲げ、一対の側内フラップ12の側方切欠き部21に挿入する。すると、前フラップ14の一対の前方切欠き部22が一対の側方切欠き部21に噛み合うため、前フラップ14が一対の側内フラップ12に固定される。この状態で、前壁13は、底壁10の前端に立設され、前方の折込片20の外面に覆設される。また、前方係合片23を除く前フラップ14は、一対の側内フラップ12上に覆設される。
【0031】
以上によって、箱本体2の大部分が構成されたことになる。作業者は、底壁10上に被包装物M(図5A等参照)を載置する。
【0032】
次に、作業者は、後壁15を第3折曲線L3に沿って上方に折り曲げる。これにより、上面を開放したトレイ状の箱本体2が完成する。続けて、図1に示すように、作業者は、蓋壁16を第5折曲線L5に沿って前方に折り曲げる。蓋壁16は、底壁10に被包装物Mの収容空間を挟んで対向配置される。蓋壁16の先端側(前側)は、前フラップ14の後側にオーバーラップしている。
【0033】
次に、作業者は、側外壁17を開封切断線30に沿って下方に折り曲げながら、差込片18を第6折曲線L6に沿って内側に折り曲げて側内壁11に開口した差込口25に差し込む(図5A参照)。差込片18が、側外壁17に対して折り曲げられ、差込口25に差し込まれると、差込片18の先端は、傾斜姿勢となった係止片26の下面に接触する。差込片18の差し込みが進行すると、差込片18の先端は係止片26と底壁10との接続部分(切断可能線27)に押し付けられる。そして、図5Aに示すように、傾斜姿勢となった係止片26の先端は、差込口25に差し込まれる差込片18によって切断可能線27で切断されて底壁10から引き離される(持ち上げられる)。
【0034】
図5Bおよび図6に示すように、差込片18が差込口25に差し込まれた状態(差し込みが完了した状態)で、係止片26の先端は、係止折線L7周りの反発力(復元力)によって差込片18の係止穴32に係合する(落ち込む)。なお、差込片18の差し込みが完了した状態で、側外壁17は、蓋壁16に対して折り曲げられ、側内壁11に覆設される(図1および図5B参照)。
【0035】
以上によって、蓋体3が箱本体2に覆設された状態になり、包装箱1の組み立てが完了する。つまり、包装箱1が封緘された状態になる(図1参照)。封緘された包装箱1において差込片18を引き抜こうとすると、図5Bに示すように、係止片26の先端が、係止穴32の先端側内面に当接し、差込口25からの差込片18の引き抜きを規制する。したがって、破壊することなく差込片18を引き抜くことができないため、包装箱1の不正開封の有無を正確に判断することができる。なお、蓋壁16と前フラップ14とに亘って粘着テープや配送伝票等を貼付し、蓋壁16を前フラップ14に固定してもよい(図示せず)。
【0036】
なお、図示は省略するが、正規のユーザが包装箱1を開封する場合、ユーザは、蓋壁16の先端部を把持し、蓋壁16を引き上げる。蓋壁16は、一対の開封切断線30に沿って切断され、一対の側外壁17から分離する。すると、箱本体2の上面が開放され、ユーザは被包装物Mを取り出すことができる。このように、蓋壁16を一対の側外壁17から分離することで、包装箱1を簡単に開封することができる。なお、包装箱1を開封した後も、各々の差込片18は差込口25に差し込まれた状態であり、各々の側外壁17は差込片18を介して箱本体2に繋がっている。
【0037】
以上説明した本実施形態に係る包装箱1では、係止片26が、差込口25の縁部から上方にずれた位置で係止折線L7を介して連設され、側内壁11から底壁10に向かって斜めに延設されていた(図4A等参照)。そして、傾斜した係止片26の先端部が、係止折線L7周りの反発力(復元力)によって差込口25に差し込まれた差込片18の係止穴32に係合する構成とした(図5B等参照)。この構成によれば、作業者が差込片18を差込口25に差し込むだけで、自動的に係止片26を差込片18の係止穴32に係合させることができる。これにより、容易に差込片18の引き抜きを規制することができる。また、傾斜した係止片26の先端部は、差込口25に差し込まれる差込片18によって持ち上げられる構成とした。すなわち、差込口25に差し込まれる差込片18の先端は、最初に係止片26に接触する構成とした(図5A等参照)。この構成によれば、差込片18を差込口25に差し込む際に、差込片18の先端が被包装物Mに干渉し難くなるため、被包装物Mの損傷を抑制することができる。
【0038】
ところで、仮に、係止片26の先端が底壁10に繋がっていない場合、係止片26が底壁10から抜け出し、底壁10には開口が形成されることになる。仮に、被包装物Mが小さな物である場合、封緘前(差込口25に差込片18を差し込む前)の状態で、包装箱1に収容した被包装物Mが底壁10にできた開口から落下することが考えられる。これに対し、本実施形態に係る包装箱1によれば、封緘前の状態では、側内壁11から延設された係止片26の先端が底壁10に繋がっているため(図4A等参照)、係止片26が底壁10から抜け出して底壁10に開口が形成されることがない。これにより、被包装物Mが小さな物であった場合でも、被包装物Mが底壁10にできた開口から落下することを予防することができる。なお、差込片18が差込口25に差し込まれた状態では、差込片18が底壁10にできた開口を略塞ぐことになるため、被包装物Mの落下の心配はない。
【0039】
また、本実施形態に係る包装箱1では、差込口25の縁部からの係止折線L7のずれ量(S2)が差込片18(段ボールシート)の厚みの約2倍に設定されていた。この構成によれば、係止片26を、差込片18(底壁10)と平行に近い角度とすることができる。これにより、係止片26(の先端)が差込片18と平行に近い姿勢で係止穴32に係合し、差込片18を引き抜く方向への力に有効に対抗することができる。
【0040】
なお、以上説明した本実施形態に係る包装箱1では、箱本体2の左右両側に一対の差込口25と一対の係止片26とが設けられ、蓋壁16の左右両側に一対の側外壁17と一対の差込片18とが設けられていたが、本発明はこれに限定されない。差込口25、係止片26、側外壁17および差込片18は、少なくとも1つ設けられていればよい。例えば、第1変形例として、1つの差込口25が底壁10と前壁13(内壁の他の例)との境界線に沿って形成され、1つの係止片26が底壁10および前壁13に形成され、1つの側外壁17が蓋壁16の前端に連設され、その側外壁17の先端に1つの差込片18が連設されてもよい(図示せず)。
【0041】
また、本実施形態に係る包装箱1では、底壁10と蓋壁16とが上下に対向配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2変形例として、上下両面を開口した角筒状の箱本体において、第1壁と第2壁とが互いに対向する側面を構成し、側内壁11が第1壁の上端に連設され、側外壁17が第2壁の上端に連設され、差込片18が側外壁17の先端に連設されてもよい(図示せず)。この場合、側内壁11と側外壁17とが折り重なって箱本体の上面開口を閉塞する蓋となる。また、差込口25が第1壁と側内壁11との境界線に形成され、係止片26が第1壁および側内壁11に形成される。なお、側内壁11、側外壁17、差込口25、係止片26および差込片18は、箱本体(第1壁、第2壁)の上端に代えて/加えて、箱本体の下端に設けられてもよい(図示せず)。
【0042】
また、本実施形態(第1~第2変形例を含む。以下同じ。)に係る包装箱1では、係止片26の先端が切断可能線27を介して底壁10に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。ブランク1Aの状態において、係止片26の先端は底壁10から完全に切断されていてもよい(図示せず)。
【0043】
また、本実施形態に係る包装箱1では、差込口25の縁部からの係止折線L7のずれ量(S2)が差込片18の厚みの約2倍に設定されていたが、本発明はこれに限定されない。当該ずれ量(S2)は、差込片18の厚み半分以上、3倍以下の範囲で設定されてもよい。好ましくは、当該ずれ量(S2)は、差込片18の厚みの1倍以上、2倍以下の範囲で設定されるとよい。出願人は、当該ずれ量(S2)を上記範囲内で設定することで、有効な差込片18の引き抜き規制効果を得られることを確認している。
【0044】
また、本実施形態に係る包装箱1では、開封用の開封切断線30が蓋壁16(第1壁)と側外壁17との境界に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、開封切断線30は、側外壁17と差込片18との境界に形成されてもよいし、側外壁17を分断するように側外壁17のみに形成されてもよい(図示せず)。また、例えば、開封切断線30は、蓋壁16(第1壁)と側外壁17との境界と、側外壁17と差込片18との境界との両方に形成されてもよいし、上記2つの境界のいずれか一方と側外壁17とに形成されてもよいし、上記2つの境界と側外壁17との全てに形成されてもよい(図示せず)。つまり、開封切断線30は、蓋壁16(第1壁)と側外壁17との境界と、側外壁17と差込片18との境界と、側外壁17との少なくとも何れか1つに形成されていればよい。また、開封切断線30は省略されてもよく、側外壁17は汎用罫線等を介して蓋壁16に連設されてもよい(図示せず)。
【0045】
また、本実施形態に係る包装箱1では、切断可能線27がミシン目線であり、開封切断線30がジッパーであったが、本発明はこれに限定されない。切断可能線27は、例えば、段ボールシートに厚みの半分程度の切目をいれた半切線等、段ボールシートを切断(分断)するための構造であれば如何なるものでもよい。これと同様に、開封切断線30は、例えば、ミシン目線や半切線等、段ボールシートを切断(分断)するための構造であれば如何なるものでもよい。
【0046】
また、本実施形態に係る包装箱1では、係止片26や係止穴32が略長方形状に形成されていたが、これに限らず、例えば、台形状、四角形以外の多角形状、楕円形状等に形成されてもよい(図示せず)。また、側外壁17および差込片18が略台形状(略六角形状)に形成されていたが、これに限らず、例えば、長方形状、半円形状等に形成されてもよい(図示せず)。
【0047】
また、本実施形態に係る包装箱1では、蓋壁16が前フラップ14の一部を覆っていたが、前フラップ14の全部を覆ってもよい(図示せず)。また、側内フラップ12や前フラップ14が設けられていたが、これらの何れか一方または両方が省略されてもよい(図示せず)。
【0048】
また、本実施形態に係る包装箱1は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、片面段ボールシートや複両面段ボールシート、または厚紙、若しくは樹脂製の板(シート)等で形成されていてもよい。また、包装箱1は、略直方体状に形成されていたが、これに限らず、直方体の角稜線部に隅切面を設けてもよい(図示せず)。つまり、包装箱1は、平面または側面から見て六角形や八角形等の多角形に形成されてもよい。また、包装箱1の各部の寸法(幅、奥行き、高さ)や形状、段ボールシートの厚みや中しん9Aが延びる方向等は自由に変更してもよい。
【0049】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0050】
1 包装箱
10 底壁(第1壁)
11 側内壁(内壁)
16 蓋壁(第2壁)
17 側外壁(外壁)
18 差込片
25 差込口
26 係止片
27 切断可能線
30 開封切断線
32 係止穴
L1 第1折曲線(境界線)
L7 係止折線
M 被包装物
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6