(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20240219BHJP
B29C 59/02 20060101ALI20240219BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240219BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 B
H01L21/88 B
(21)【出願番号】P 2020156421
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高畑 和宏
(72)【発明者】
【氏名】小向 敏章
(72)【発明者】
【氏名】金井 秀樹
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-188668(JP,A)
【文献】特表2011-508459(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
B29C 59/02
H01L 21/3205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の第1の面に転写用パターンを有するテンプレートであって、
前記転写用パターンは、
前記第1の面から第1の高さに突出し、前記第1の面に沿
って延びる第1の突出部と、
前記第1の面から前記第1の高さより高い第2の高さに突出し、前記第1の面に沿
って延びる第2の突出部と、
前記第1の突出部と重なる位置に配置され、前記第1の面からの高さが前記第2の高さよりも高い第3の高さの上面を有する第1の柱状部と、
前記第2の突出部と重なる位置に配置され、前記第1の面からの高さが
前記第1の柱状部の上面高さと同じく前記第3の高さの上面を有する第2の柱状部と、を有
し、
前記第1の面に沿うとともに前記第1の突出部の延伸方向と交差する第1の方向における前記第1の突出部の幅である第1の幅は、前記第1の面に沿うとともに前記第2の突出部の延伸方向と交差する第2の方向における前記第2の突出部の幅である第2の幅よりも狭い、
テンプレート。
【請求項2】
前記第1の柱状部の径は、前記第1の突出部の
前記第1の幅よりも大き
く、
前記第2の柱状部の径は、前記第2の突出部の前記第2の幅よりも小さい、
請求項
1に記載のテンプレート。
【請求項3】
前記第1の柱状部の高さ方向と直交する断面の面積と前記第2の柱状部の高さ方向と直交する断面の面積とは実質的に等しい、
請求項1または請求項2に記載のテンプレート。
【請求項4】
前記第1の突出部の延伸方向の一端部と前記第2の突出部の延伸方向の一端部とは接続部により接続されている、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のテンプレート。
【請求項5】
前記接続部の前記第1の面からの高さは前記第2の高さであり、
前記接続部の前記第1の方向の幅は前記第1の幅である、
請求項4に記載のテンプレート。
【請求項6】
基板を加工して、前記基板の第1の面を上面とする第1の柱状部および前記第1の面を上面とする第2の柱状部を形成し、前記第1の柱状部および前記第2の柱状部を除く領域に前記基板の第2の面を露出させ、
前記第1の柱状部の上面高さ及び前記第2の柱状部の上面高さを維持したまま、前記第2の面を加工して、前記第2の面に沿う第1の方向に延び、前記第2の面を上面とする第1の突出部を前記第1の柱状部と重なる位置に形成し、前記第2の面に沿う第2の方向に延び、前記第2の面を上面とする第2の突出部を前記第2の柱状部と重なる位置に形成し、前記第1の柱状部、前記第2の柱状部、前記第1の突出部、及び前記第2の突出部を除く領域に前記基板の第3の面を露出させ、
前記第1の柱状部の上面高さ、前記第2の柱状部の上面高さ、及び前記第2の突出部の上面高さを維持したまま、前記第1の突出部を加工して、前記第2の面より低く、前記第3の面より高い第4の面を前記第1の突出部の上面に露出させる、
テンプレートの製造方法。
【請求項7】
基板の上方に被加工膜を形成し、被加工膜の上方に第1の膜を形成し、
前記第1の膜にテンプレートを押し当てて、前記テンプレートの転写用パターンを転写し、
前記第1の膜の前記パターンを前記被加工膜に転写して、
前記被加工膜の第1の深さに底面を有し、前記被加工膜に沿う第1の方向に延びる第1の溝と、
前記被加工膜の前記第1の深さより深い第2の深さに底面を有し、前記被加工膜に沿う第2の方向に延びる第2の溝と、
前記第1の溝と重なる位置に配置され、前記被加工膜の前記第2の深さよりも深い第3の深さに底面を有する第1の孔と、
前記第2の溝と重なる位置に配置され、前記被加工膜の前記第3の深さに底面を有する第2の孔と、を有するパターンを前記被加工膜に形成する、
半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、テンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程において、下層構造に接続されるビアと、ビアに接続される上層配線とを一括して形成するデュアルダマシン法が用いられることがある。
【0003】
また、デュアルダマシン法によるビア及び上層配線の形成に、インプリント法の技術が用いられることがある。インプリント法では、被加工膜上にレジストを形成し、パターンが形成されたテンプレートをレジストに押し当てて、テンプレートのパターンをレジストに転写する。
【0004】
半導体装置の微細化に伴って、インプリント技術で形成可能なビアサイズ及び上層配線のサイズ等について、より複雑な要求が生じてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、所望のビアサイズ及び上層配線のサイズに対応可能なテンプレート、テンプレートの製造方法、及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のテンプレートは、基板の第1の面に転写用パターンを有するテンプレートであって、前記転写用パターンは、前記第1の面から第1の高さに突出し、前記第1の面に沿って延びる第1の突出部と、前記第1の面から前記第1の高さより高い第2の高さに突出し、前記第1の面に沿って延びる第2の突出部と、前記第1の突出部と重なる位置に配置され、前記第1の面からの高さが前記第2の高さよりも高い第3の高さの上面を有する第1の柱状部と、前記第2の突出部と重なる位置に配置され、前記第1の面からの高さが前記第1の柱状部の上面高さと同じく前記第3の高さの上面を有する第2の柱状部と、を有し、前記第1の面に沿うとともに前記第1の突出部の延伸方向と交差する第1の方向における前記第1の突出部の幅である第1の幅は、前記第1の面に沿うとともに前記第2の突出部の延伸方向と交差する第2の方向における前記第2の突出部の幅である第2の幅よりも狭い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるインプリント技術を用いたデュアルダマシン法による配線およびビアの形成フローの概要を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるテンプレートの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態にかかるテンプレートの製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態にかかる半導体装置の製造方法の手順の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態にかかる半導体装置が備えるデュアルダマシンパターンを示す斜透視図である。
【
図13】
図13は、実施形態の変形例にかかるテンプレートの構成の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
(インプリント法によるデュアルダマシンの概要)
図1は、実施形態にかかるインプリント技術を用いたデュアルダマシン法による配線およびビアの形成フローの概要を示す模式図である。なお、
図1に示す各図は簡素化された図であって、必ずしも各構成を正確に表したものではない。
【0011】
図1(a)に示すように、テンプレート10は、石英等の基板11に、突出部12及び柱状部13を含む転写用パターン14を備える。柱状部13は突出部12と重なる位置に配置されている。
【0012】
図1(b)に示すように、製造工程中の半導体装置20は、テンプレート10の転写用パターン14が転写される対象となるSiO
2等の被加工膜21を備える。被加工膜21上には、炭素含有膜としてのカーボン(SOC:Spin On Carbon)膜30が形成される。カーボン膜30上にはレジスト膜40が形成される。
【0013】
このレジスト膜40に、テンプレート10の転写用パターン14を押し付ける。これにより、レジスト膜40には、溝42及び溝42と重なる位置に配置される孔43を含むパターン44が形成される。そして、レジスト膜40のパターン44にしたがってカーボン膜30を加工して、レジスト膜40のパターン44をカーボン膜30に転写する。更に、カーボン膜30の図示しないパターンにしたがって、半導体装置20の被加工膜21を加工する。
【0014】
図1(c)に示すように、カーボン膜30を介してレジスト膜40のパターン44が転写されることにより、被加工膜21には、溝22及び溝22と重なる位置に配置される孔23を含むパターン24が形成される。
【0015】
図1(d)に示すように、被加工膜21のパターン24に導電材を充填する。これにより、溝22に導電材が充填された配線52と、孔23に導電材が充填されたビア53とを含むデュアルダマシンパターン54が、被加工膜21に形成される。
【0016】
(テンプレートの構成例)
次に、
図2を用いて、実施形態のテンプレート10の詳細の構成例について説明する。
【0017】
図2は、実施形態にかかるテンプレート10の構成の一例を示す図である。
図2(a)はテンプレート10の全体構成を示す斜視図であり、
図2(b)はテンプレート10の領域ARの平面図であり、
図2(c)はテンプレート10の領域ARの断面図である。
【0018】
また、
図2においては、説明の便宜上、テンプレート10の一方の主面である面11aに沿うX方向、及びX方向に直交し、テンプレート10の面11aに沿うY方向を定める。
【0019】
図2に示すように、テンプレート10は、ガラスや石英等の透明部材から構成される平板状の基板11を備える。基板11は、2つの主面を備え、そのうちの一方である面11aに転写用パターン14を備える。
【0020】
転写用パターン14は、複数の突出部12a,12b及び複数の柱状部13a,13bを有する。
【0021】
複数の突出部12aはY方向に並んでX方向に延び、それぞれが、略平坦な上面と、上面のY方向両側に配置される側面とを有する。なお、複数の突出部12aのうちの一部が、Y方向等のX方向以外の方向に延びていてもよい。
【0022】
複数の突出部12bはY方向に並んでX方向に延び、それぞれが、略平坦な上面と、上面のY方向両側に配置される側面とを有する。基板11の面11aからの突出部12bの上面高さは、基板11の面11aからの突出部12aの上面高さよりも高い。また、突出部12bのY方向の幅は、突出部12aのY方向の幅よりも広い。なお、複数の突出部12bのうちの一部が、Y方向等のX方向以外の方向に延びていてもよい。
【0023】
また、領域ARに配置される突出部12a,12bのように、一部の突出部12bは、一部の突出部12aと接続されていてもよい。この場合、突出部12a,12bは、接続部12jを介して接続される。
【0024】
基板11の面11aからの接続部12jの上面高さは、基板11の面11aからの突出部12bの上面高さと略等しい。接続部12jのY方向の幅は、突出部12aのY方向の幅と略等しい。ただし、基板11の面11aからの接続部12jの上面高さが、基板11の面11aからの突出部12aの上面高さと略等しく、接続部12jのY方向の幅が、突出部12bのY方向の幅と略等しくなるよう、接続部12jが構成されていてもよい。
【0025】
複数の柱状部13aは、いずれかの突出部12aと重なる位置に配置され、それぞれが、突出部12a,12bの上面より高く、略平坦な上面を有する。柱状部13aの高さ方向と直交する断面は、例えば円形、楕円形、または小判型であり、柱状部13aのY方向の径は、突出部12aのY方向の幅よりも大きく、突出部12bのY方向の幅よりも小さい。これにより、柱状部13aの基部は、突出部12aを分断するように、突出部12aのY方向の幅からはみ出して配置されている。
【0026】
複数の柱状部13bは、いずれかの突出部12bと重なる位置に配置され、それぞれが、突出部12a,12bの上面より高く、略平坦な上面を有する。基板11の面11aからの柱状部13bの上面高さは、基板11の面11aからの柱状部13aの上面高さと略等しい。柱状部13bの高さ方向と直交する断面の形状は柱状部13aの断面の形状と同一であり、柱状部13bの径は柱状部13aの径と略等しい。これにより、柱状部13bは突出部12bの上面のY方向の幅に収まるように配置されている。
【0027】
ここで、上述の構成の一例として、基板11の面11aからの突出部12aの上面高さは例えば20nmであり、基板11の面11aからの突出部12bの上面高さは例えば40nmである。また、突出部12aの上面からの柱状部13aの上面高さは例えば70nmであり、突出部12bの上面からの柱状部13bの上面高さは例えば50nmである。したがって、基板11の面11aからの柱状部13aの上面高さ、及び基板11の面11aからの柱状部13aの上面高さは共に90nmである。
【0028】
なお、上記に示すテンプレート10の転写用パターン14はあくまで一例であり、半導体装置20に形成する所望のデュアルダマシンパターン54に応じて、転写用パターン14を種々のデザインとすることができる。例えば、テンプレート10の突出部12aと柱状部13aとの数および組み合わせは任意であり、1つの突出部12aに複数の柱状部13aが配置されていてもよい。また例えば、テンプレート10の突出部12bと柱状部13bとの数および組み合わせは任意であり、1つの突出部12bに複数の柱状部13bが配置されていてもよい。
【0029】
(テンプレートの製造方法)
次に、
図3~
図9を用いて、実施形態のテンプレート10の製造方法について説明する。実施形態のテンプレート10の製造方法は、テンプレート10の基板11に転写用パターン14を形成するパターン形成方法でもある。
【0030】
図3~
図9は、実施形態にかかるテンプレート10の製造方法の手順の一例を示す図である。
図3~
図10の(A)及び(B)は、順次、処理が進んでいく様子を示している。
図3~
図10の(A)及び(B)にaが付された図は、その処理におけるテンプレート10の領域ARの平面図である。
図3~
図10の(A)及び(B)にbが付された図は、その処理におけるテンプレート10の領域ARの断面図である。
【0031】
このように、
図3~
図9においては、テンプレート10の領域ARにおける突出部12a,12b及び柱状部13a,13bの形成手順が示される。テンプレート10の他の領域における突出部12a,12b及び柱状部13a,13bも、これらと同様の手順で形成される。
【0032】
図3(A)に示すように、ガラスや石英等の基板11の面11d上に、Cr等から構成されるハードマスク膜61を形成し、ハードマスク膜61上にEB(Electron Beam)描画用のレジスト膜71を形成する。基板11の面11dは、テンプレート10への加工を開始する前の基板11が備える2つの主面のうちの一方の面であって、転写用パターン14の形成対象面である。基板11を平板状に加工する際の手法により、面11dは、削り出し面または圧延面等であり得る。基板11の面11dをテンプレート10への加工開始前の初期状態の面とも呼ぶ。
【0033】
例えばEB描画により、レジスト膜71にパターン71pを形成する。パターン71pは、基板11に柱状部13a,13bを形成するためのパターンであり、上面視で柱状部13a,13bと同じ形状、及び同じ径を有する。
【0034】
図3(B)に示すように、レジスト膜71のパターン71pをハードマスク膜61に転写してパターン61pを形成する。
【0035】
図4(A)に示すように、レジスト膜71及びハードマスク膜61で一部を保護しつつ、基板11の面11dを基板11の厚さ方向の所定深さまで除去して、基板11の面11cを露出させる。基板11の面11dが所定深さまで除去されることで、基板11は未加工の基板11よりも薄くなり、面11cが基板11の新たな主面となる。
【0036】
また、これにより、基板11の初期状態の面11dを上面とする複数の柱状部13bが形成される。ただし、これらのうち一部の柱状部13bは、後に更に加工されて柱状部13aとなる。
【0037】
図4(B)に示すように、O
2プラズマによるアッシング処理等により、レジスト膜71を除去する。
【0038】
図5(A)に示すように、基板11の全面にハードマスク膜62を新たに形成する。ハードマスク62は、ハードマスク61と同じ材質であってもよく、異なる材質であってもよい。ハードマスク62の材質をハードマスク61と異ならせる場合には、ハードマスク62のエッチングレートが、ハードマスク61のエッチングレート以上となる材質であることが望ましい。これにより、ハードマスク膜62は、ハードマスク膜61のパターン61p上にも形成され、上面視でパターン61pと略一致する形状のパターン62pとなる。
【0039】
図5(B)に示すように、基板11の全面にEB描画用のレジスト膜72を新たに形成し、例えばEB描画により、レジスト膜72にパターン72a,72b,72pを形成する。
【0040】
パターン72aは基板11に突出部12aを形成するためのパターンであり、ハードマスク膜62上を例えばX方向に延び、後に柱状部13aとなる複数の柱状部13bと重なる位置に形成される。パターン72bは基板11に突出部12bを形成するためのパターンであり、ハードマスク膜62上を例えばX方向に延び、上記以外の柱状部13bと重なる位置に形成される。パターン72bのY方向の幅は、パターン72aのY方向の幅よりも広い。パターン72pは、柱状部13b及びハードマスク膜61,62のパターン61p,62pを保護するためのパターンであり、これらと略一致する位置に形成される。
【0041】
図6(A)に示すように、レジスト膜72のパターン72a,72b,72pをハードマスク膜62に転写してパターン62a,62b,62pを形成する。
【0042】
図6(B)に示すように、レジスト膜72及びハードマスク膜62で一部を保護しつつ、基板11の面11cを基板11の厚さ方向の所定深さまで除去して、基板11の面11aを露出させる。基板11の面11cが所定深さまで除去されることで、基板11は更に薄くなり、面11aが基板11の新たな主面となる。
【0043】
また、これにより、基板11の面11cを上面とする突出部12a、及び基板11の面11cを上面とし、突出部12aよりもY方向の幅が広い突出部12bが形成される。ただし、この時点では、突出部12aは未だ突出部12bと同様の上面高さを有している。
【0044】
図7(A)に示すように、O
2プラズマによるアッシング処理等により、レジスト膜72を除去する。
【0045】
図7(B)に示すように、基板11の全面にカバーレジスト膜81を新たに形成する。カバーレジスト膜81は、基板11上の領域に応じて異なる膜厚を有する。具体的には、カバーレジスト膜81は、突出部12aを含む領域で薄く、突出部12bを含む領域で厚く形成される。
【0046】
ただし、領域ARのように突出部12a,12bが接続された部分では、カバーレジスト膜81は、突出部12bに隣接する突出部12aの一部領域においても厚く形成される。あるいは、領域ARのように突出部12a,12bが接続された部分において、カバーレジスト膜81が、上記とは逆に、突出部12aに隣接する突出部12bの一部領域において薄く形成されてもよい。
【0047】
このように、膜厚差のあるカバーレジスト膜81は、例えばインプリント技術により形成することができる。すなわち、突出部12aに対応する領域に浅い凹部を有し、突出部12bに対応する領域に深い凹部を有するテンプレートを用いて、これらの凹部のパターンをカバーレジスト膜81に転写することにより、領域ごとに膜厚の異なるカバーレジスト膜81が形成される。この場合、カバーレジスト膜81には、例えば光硬化性を有するインプリント用のレジスト材を用いることができる。
【0048】
上述したカバーレジスト膜81の膜厚の境界と、突出部12a,12bの接続部分との不一致は、例えばカバーレジスト膜81を形成するためのテンプレートの寸法ずれや、基板11上に形成済みの突出部12a,12b等とテンプレートのパターンとの位置合わせずれにより生じ得る。
【0049】
図8(A)に示すように、カバーレジスト膜81を全面的にエッチバックして、ハードマスク膜62のうち、突出部12a上のパターン62a及び突出部12aに配置された柱状部13b上のパターン62pを露出させる。
【0050】
このとき、突出部12bを含む領域では、カバーレジスト膜81が元々厚いので、ハードマスク膜62のパターン62b,62pを含め、突出部12b及び突出部12bに配置された柱状部13bは露出することなく、カバーレジスト膜81に覆われたままである。
【0051】
なお、カバーレジスト膜81は、突出部12bに隣接する突出部12aの一部領域においても厚く形成されているので、突出部12bに隣接する突出部12a上のパターン62aの一部領域も、カバーレジスト膜81に覆われたままとなる。
【0052】
あるいは、上述のように、カバーレジスト膜81を、突出部12aに隣接する突出部12bの一部領域において薄く形成した場合には、上記とは逆に、突出部12aに隣接する突出部12b上のパターン62bの一部領域が露出することとなる。
【0053】
図8(B)に示すように、カバーレジスト膜81から露出したハードマスク膜62のパターン62a,62pを除去する。これにより、突出部12aの上面が露出するとともに、突出部12aに配置された柱状部13b上のパターン61pが露出する。柱状部13b上のパターン61pは、この後実施される基板11の加工において柱状部13bを保護するマスクとして機能する。したがって、パターン61p上のパターン62pを除去する際には、充分な膜厚のパターン61pが残るようにエッチング時間を調整する。ハードマスク62をハードマスク61よりもエッチングレートの高い材質とした場合には、パターン61p,62p間で選択比を取りながら、パターン62pを除去するようにしてもよい。
【0054】
図9(A)に示すように、ハードマスク膜62のパターン62aが除去されて露出した突出部12aの上面である基板11の面11cを、基板11の厚さ方向の所定深さまで除去して、基板11の面11bを露出させる。これにより、基板11の面11aより高く、基板11の面11cよりも低い、基板11の面11bを上面とする突出部12aが形成される。
【0055】
このとき、突出部12aに配置された柱状部13bの上面である基板11の面11dは、ハードマスク膜61のパターン61pで保護されており、そのままの高さで維持される。これにより、基板11の面11aからの高さが維持された柱状部13aが形成される。
【0056】
また、このとき、厚膜のカバーレジスト膜81で保護されて、除去されずに残ったハードマスク膜62のパターン62aの下方に、基板11の面11cを上面とし、突出部12bよりもY方向の幅が狭い接続部12jが形成される。ただし、上述のように、カバーレジスト膜81を、突出部12aに隣接する突出部12bの一部領域において薄く形成した場合には、これとは逆に、基板11の面11bを上面とし、Y方向の幅が突出部12bと同等の接続部12jが形成されることとなる。
【0057】
図9(B)に示すように、O
2プラズマによるアッシング処理等により、カバーレジスト膜81を除去する。
【0058】
その後、残ったハードマスク膜61,62を除去する。これにより、基板11の面11a上に、基板11の面11bを上面とする突出部12a、基板11の面11cを上面とする突出部12b、突出部12aと重なる位置に配置され、基板11の面11dを上面とする柱状部13a、及び突出部12bと重なる位置に配置され、基板11の面11dを上面とする柱状部13bが形成される。
【0059】
以上により、実施形態のテンプレート10が製造される。
【0060】
(半導体装置の製造方法)
次に、
図10~
図12を用いて、実施形態の半導体装置20にデュアルダマシンパターン54を形成する方法について説明する。半導体装置20へのデュアルダマシンパターン54の形成は、実施形態の半導体装置20の製造方法の一環として実施される。
【0061】
図10及び
図11は、実施形態にかかる半導体装置20の製造方法の手順の一例を示す図である。
図10及び
図11の(A)及び(B)は、順次、処理が進んでいく様子を示している。
図10及び
図11の(A)及び(B)にaが付された図は、その処理におけるテンプレート10の領域ARに対応する半導体装置20の領域の平面図である。
図10及び
図11の(A)及び(B)にbが付された図は、その処理におけるテンプレート10の領域ARに対応する半導体装置20の領域の断面図である。
【0062】
図10(A)に示すように、製造工程中における半導体装置20は、デュアルダマシンパターン54の形成対象となる被加工膜21を有する。被加工膜21は、例えばSiO
2、SiN、SiON等の絶縁膜である。
【0063】
被加工膜21の下層には、下層配線等の図示しない構成が形成済みである。被加工膜21上にはカーボン膜30が形成され、カーボン膜30上にはレジスト膜40が形成される。レジスト膜40は、例えば光硬化性を有するインプリント用のレジスト膜である。
【0064】
このレジスト膜40に、上述のテンプレート10の転写用パターン14が形成された面11aを対向させる。そして、テンプレート10の転写用パターン14をレジスト膜40に押し付け、その状態で、紫外線等の光をレジスト膜40に照射し、レジスト膜40を硬化させる。その後、テンプレート10の転写用パターン14をレジスト膜40から離型する。これにより、テンプレート10の転写用パターン14がレジスト膜40に転写される。
【0065】
すなわち、テンプレート10の突出部12a,12bが転写されることにより、レジスト膜40に、溝パターン42a、及び溝パターン42aよりも底面深さが深く、Y方向の幅が広い溝パターン42bが形成される。また、テンプレート10の柱状部13a,13bが転写されることにより、レジスト膜40に、溝パターン42aと重なる位置に配置される孔43a、及び溝パターン42bと重なる位置に配置され、孔43aの底面深さと同じ底面深さを有する孔43bが形成される。また、テンプレート10の接続部12jが転写されることにより、レジスト膜40の溝パターン42a,42bの接続部分に接続パターン42jが形成される。
【0066】
なお、テンプレート10をレジスト膜40に押し付ける際、テンプレート10と半導体装置20の被加工膜21等が接触しないよう、テンプレート10の転写用パターン14がレジスト膜40を貫通しない程度の距離をとる。このため、転写用パターン14の中で、最も高さのある柱状部13a,13bがレジスト膜40に転写された孔パターン43a,43bの底部には、レジスト残膜RLTが残る。
【0067】
図10(B)に示すように、レジスト膜40の全体をエッチバックして、孔パターン43a,43b底部のレジスト残膜RLTを除去する。
【0068】
図11(A)に示すように、レジスト膜40の溝パターン42a,42b、孔パターン43a,43b、及び接続パターン42jを下層のカーボン膜30に転写して、カーボン膜30に、溝パターン32a,32b、孔パターン33a,33b、及び接続パターン32jを形成する。これにより、レジスト膜40は略消失する。
【0069】
図11(B)に示すように、カーボン膜30の溝パターン32a,32b、孔パターン33a,33b、及び接続パターン32jを下層の被加工膜21に転写して、被加工膜21に、溝22a,22b、孔23a,23b、及び接続部22jを有するパターン24を形成する。これにより、孔23a,23bは、被加工膜21を貫通して、下層の図示しない下層配線等に到達する。
【0070】
この後、O2プラズマによるアッシング処理等により、残ったカーボン膜30を除去する。また、被加工膜21のパターン24にCu、Ru、Co、W等のいずれかの金属単体または合金である導電材を充填する。また、導電材の充填に先駆けて、TiN等のバリアメタル層を形成することで、パターン24内を複数層で充填してもよい。パターン24の溝22a,22bに導電材が充填されることで配線となり、孔23a,23bに導電材が充填されることで、上記の配線と図示しない下層配線とを接続するビアとなる。
【0071】
以上により、
図12に示すデュアルダマシンパターン54が被加工膜21に形成される。
【0072】
図12は、実施形態にかかる半導体装置20が備えるデュアルダマシンパターン54を示す斜透視図である。より具体的には、
図12は、半導体装置20のデュアルダマシンパターン54を、被加工膜21の上方から、被加工膜21を透かして見降ろした状態を表している。
図12においても、上述の
図2と一致するX方向およびY方向を便宜的に定める。
【0073】
図12に示すように、半導体層20の被加工膜21には、デュアルダマシンパターン54が形成されている。デュアルダマシンパターン54は、複数の配線52a,52b及び複数のビア53a,53bを有する。
【0074】
複数の配線52aはY方向に並んでX方向に延びる。なお、複数の配線52aのうちの一部が、Y方向等のX方向以外の方向に延びていてもよい。
【0075】
複数の配線52bはY方向に並んでX方向に延びる。被加工膜21の上面からの配線52bの底面深さ、つまり、配線52bの厚さは、配線52aよりも厚い。また、配線52bのY方向の幅は、配線52aのY方向の幅よりも広い。なお、複数の配線52bのうちの一部が、Y方向等のX方向以外の方向に延びていてもよい。
【0076】
また、一部の配線52bは、一部の配線52aと接続されていてもよい。この場合、配線52a,52bは、接続部52jを介して接続される。
【0077】
接続部52jの厚さは配線52bの厚さと略等しい。接続部52jのY方向の幅は、配線52aのY方向の幅と略等しい。ただし、接続部52jの厚さが配線52aの厚さと略等しく、接続部52jのY方向の幅が配線52bのY方向の幅と略等しくなるよう、接続部52jが構成されていてもよい。
【0078】
複数のビア53aは、いずれかの配線52aと重なる位置に配置され、それぞれが、配線52a,52bの到達深さより深く、略平坦な底面を有する。ビア53aの深さ方向と直交する断面は、例えば円形、楕円形、または小判型であり、ビア53aのY方向の径は、配線52aのY方向の幅よりも大きく、配線52bのY方向の幅よりも小さい。これにより、ビア53aの上端部は、配線52aを分断するように、配線52aのY方向の幅からはみ出して配置されている。
【0079】
複数のビア53bは、いずれかの配線52bと重なる位置に配置され、それぞれが、配線52a,52bの到達深さより深く、略平坦な底面を有する。被加工膜21の上面からのビア53bの底面深さは、被加工膜21の上面からのビア53aの底面深さと略等しい。ビア53aの深さ方向と直交する断面の形状はビア53aの断面の形状と同一であり、ビア53bの径はビア53aの径と略等しい。これにより、ビア53bは配線52bの下面のY方向の幅に収まるように配置されている。
【0080】
複数のビア53a,53bの底面は、被加工膜21の下層にある図示しない下層配線等に接続されている。これにより、複数のビア53a,53bは、図示しない下層配線と、配線52a,52bとを電気的に接続する。
【0081】
(概括)
半導体装置の製造工程において、上層配線と下層配線とを接続するビアと、上層配線とを一括して形成するデュアルダマシン法が用いられることがある。半導体装置の微細化が進むにつれて、このような上層配線とビアとを含むデュアルダマシンパターンをインプリント技術により形成するニーズが高まっている。
【0082】
また、デュアルダマシンパターンが、線幅の異なる複数種類の配線を含む場合がある。この場合、線幅の太い配線には、その配線を流れる電流の密度を抑えたいという意図があるものと考えられる。
【0083】
本発明者らは、これまでのフォトリソグラフィ技術を用いたデュアルダマシンパターンの形成では、同一階層に配置される配線同士は同じ厚さでしか形成することができなかったため、必然的に配線同士の線幅を異ならせることのみで電流密度を下げるという設計が行われているのではないかと考えた。
【0084】
つまり、本発明者らは、電流密度を下げるため、配線の線幅を太くするとともに、厚さも増やして配線の断面積を増大させたいという設計上の潜在的な要求があるのではないかと考えたのである。
【0085】
本発明者らは、鋭意研究の結果、線幅および厚さの異なる配線と、底面深さの揃ったビアとを形成可能なテンプレート及びテンプレートの製造方法を構築するに至った。
【0086】
実施形態のテンプレート10によれば、突出部12aと、突出部12aよりも厚く、かつ、Y方向の幅が広い突出部12bと、突出部12aと重なる位置に配置される柱状部13aと、突出部12bと重なる位置に配置され、基板11の面aからの上面高さが柱状部13aと略等しい柱状部13bとを含む転写用パターン14を有する。これにより、所望のビアサイズ及び上層配線のサイズに対応可能である。
【0087】
実施形態のテンプレート10の製造方法によれば、基板11の面11dを上面とする柱状部12bを形成し、基板11の面11cを上面とする突出部12a,12bを柱状部12bと重なる位置に形成し、基板11の面11bを突出部12aの上面に露出させる。これにより、所望のビアサイズ及び上層配線のサイズに対応可能なテンプレート10を製造することができる。
【0088】
実施形態の半導体装置20の製造方法によれば、テンプレート10の転写用パターン14をレジスト膜40に転写し、レジスト膜40の溝パターン42a,42b、及び孔パターン43a,43bを被加工膜21に転写して、溝22a,22b、及び孔23a,23bを有するパターン24を被加工膜21に形成する。これにより、所望のビアサイズ及び上層配線のサイズにデュアルダマシンパターン54を形成することができる。
【0089】
(変形例)
上述の実施形態では、線幅および厚さの異なる配線52a,52bを含むデュアルダマシンパターン54を形成するために、線幅および厚さの異なる突出部12a,12bをテンプレート10に形成することとした。しかし、線幅が等しく厚さの異なる突出部をテンプレートに形成して、線幅が等しく厚さの異なる配線を含むデュアルダマシンパターンを形成してもよい。
【0090】
図13は、実施形態の変形例にかかるテンプレート10aの構成の一例を示す斜視図である。
【0091】
図13に示すように、変形例のテンプレート10aは、上述の実施形態のテンプレート10と同様に構成された突出部12a,12b及び柱状部13a,13bに加え、突出部12c及び柱状部13cを含む転写用パターン14aを有する。
【0092】
突出部12cは、他の突出部12a,12bに対してY方向に並んでX方向に延び、略平坦な上面と、上面のY方向両側に配置される側面とを有する。基板11の面11aからの突出部12cの上面高さは、基板11の面11aからの突出部12aの上面高さと略等しい。突出部12cのY方向の幅は突出部12bのY方向の幅と略等しい。なお、突出部12cが、Y方向等のX方向以外の方向に延びていてもよい。また、突出部12cは、例えば突出部12b等と接続されていてもよい。
【0093】
柱状部13cは、突出部12cと重なる位置に配置され、突出部12a,12b,12cの上面より高く、略平坦な上面を有する。基板11の面11aからの柱状部13cの上面高さは、基板11の面11aからの柱状部13a,12bの上面高さと略等しい。柱状部13cの高さ方向と直交する断面の形状は柱状部13a,13bの断面の形状と同一であり、柱状部13cの径は柱状部13a,13bの径と略等しい。これにより、柱状部13cは突出部12cの上面のY方向の幅に収まるように配置されている。
【0094】
このようなテンプレート10aは、例えば上述の実施形態のテンプレート10と同様の製造方法により製造することができる。ただし、突出部12b,12cとの接続部分には、上述の接続部12jのような構成は形成されない。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0096】
10…テンプレート、11…基板、11a,11b,11c,11d…面、12a,12b,12c…突出部、13a,13b,13c…柱状部、14…転写用パターン、20…半導体装置、21…被加工膜、22a,22b…溝、23a,23b…孔、24…パターン、52a,52b…配線、53a,53b…ビア、54…デュアルダマシンパターン。