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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電装品
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
H01R13/52 301F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020158286
(22)【出願日】2020-09-23
(65)【公開番号】P2022052100
(43)【公開日】2022-04-04
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】梶浦 佑介
【審査官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-079226(JP,A)
【文献】特開2005-005269(JP,A)
【文献】特開平10-189180(JP,A)
【文献】実開昭56-169589(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0020131(US,A1)
【文献】特開2006-066624(JP,A)
【文献】特開2012-212630(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0126234(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0201620(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/00-13/533
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、
前記回路基板に実装され、開口が形成される基体及び端子を備えるコネクタと、
前記コネクタに挿入され、電極部を備えるハーネスと、
前記ハーネスが挿入された前記コネクタの内部に充填される非導電性の樹脂コーティング部材と、
を備え
前記コネクタは、前記開口を開閉可能な、前記ハーネスを挟む可動部を備え、
前記コネクタ及び前記ハーネスが接続された状態で、前記基体及び前記可動部と前記ハーネスとの間、並びに、前記基体の内部の前記端子及び前記電極部の周囲に隙間が生じ、
前記樹脂コーティング部材は、少なくとも前記可動部の内側に配置され、前記コネクタの前記端子及び前記ハーネスの前記電極部が接触する箇所、前記基体の端部及び閉位置の前記可動部の端部の間に形成される開口、並びに、前記隙間を覆う、電装品。
【請求項2】
前記樹脂コーティング部材は、前記コネクタの前記開口を覆う、請求項1に記載の電装品。
【請求項3】
前記ハーネスは、FPC、FFC、リボンケーブル又はフラットケーブルである、請求項1又は請求項2に記載の電装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、電装品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電装品にケーブルとコネクタを用いる技術が知られている。また、水や異物の侵入を防ぐ防水コネクタや防塵コネクタも知られている。また、ケーブルとしてFPC等のフレキシブル基板を用い、そして、コネクタとしてフレキシブル基板用コネクタを用いる技術が知られている。このようなコネクタは、内部に金属粉が存在すると、ケーブル及びコネクタを接続したときに、コネクタ内部でショートする虞がある。このため、電装品は、出荷前の出荷検査等によりショートを検査する。しかしながら、金属粉がコネクタ内部に存在すると、金属粉が移動し、ショート検査後にショートする虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平04-259767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、ショート検査後にショートすることを防止できる電装品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の電装品は、回路基板と、コネクタと、ハーネスと、樹脂コーティング部材と、を備える。コネクタは、前記回路基板に実装され、開口が形成される基体及び端子を備える。ハーネスは、前記コネクタに挿入され、電極部を備える。樹脂コーティング部材は、前記ハーネスが挿入された前記コネクタの内部に充填される。樹脂コーティング部材は、非導電性である。前記コネクタは、前記開口を開閉可能な、前記ハーネスを挟む可動部を備える。前記コネクタ及び前記ハーネスが接続された状態で、前記基体及び前記可動部と前記ハーネスとの間、並びに、前記基体の内部の前記端子及び前記電極部の周囲に隙間が生じる。前記樹脂コーティング部材は、少なくとも前記可動部の内側に配置され、前記コネクタの前記端子及び前記ハーネスの前記電極部が接触する箇所、前記基体の端部及び閉位置の前記可動部の端部の間に形成される開口、並びに、前記隙間を覆う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1の実施形態に係る電装品の構成を模式的に示す斜視図。
図2】同電装品の要部構成を示す斜視図。
図3】同電装品の要部構成を示す断面図。
図4】同電装品の製造方法の一例を示す流れ図。
図5】第2の実施形態に係る電装品の要部構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(第1の実施形態)
以下に、第1の実施形態に係る電装品1の構成について、図1乃至図4を参照して説明する。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示す。図1は実施形態に係る電装品1の構成を模式的に示す説明図であり、図2は電装品1のコネクタ12及びフレキシブルケーブル13の構成を拡大して示す斜視図である。図3は、電装品1のコネクタ12、フレキシブルケーブル13及び樹脂コーティング部材14の構成を拡大して示す断面図である。図4は、電装品1の製造方法の一例を示す流れ図である。なお、図1及び図2においては、樹脂コーティング部材14を省略して示し、図3においては、回路基板11を省略して示す。図2においてはコネクタ12及びフレキシブルケーブル13を分解して示す。
【0008】
図1乃至図3に示すように、電装品1は、回路基板11と、コネクタ12と、フレキシブルケーブル13と、樹脂コーティング部材14と、を備える。ここで、電装品1は、例えば、インクジェットヘッド装置、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、POS(Point of Sale)端末等の装置、又は、これら装置に用いられる制御基板等が挙げられる。また、電装品1は、これら装置や制御基板に限定されず、種々の電装品に適用可能である。
【0009】
回路基板11は、例えば、配線パターンを有する。図1及び図2に示すように、回路基板11には、各種電子部品及びコネクタ12が実装される。
【0010】
図2及び図3に示すように、コネクタ12は、開口1211を有する基体121と、開口1211に挿入されたフレキシブルケーブル13の一端を保持する保持部122と、内部に設けられた端子部123と、を備える。コネクタ12は、保持部122によりフレキシブルケーブル13を固定し、フレキシブルケーブル13を端子部123に接続する。
【0011】
基体121の内部には、端子部123が配置される。開口1211は、フレキシブルケーブル13の一端が挿入される。開口1211は、基体121の一部に設けられる。開口1211は、フレキシブルケーブル13の端部を挿入可能に、フレキシブルケーブル13の端部と同じ幅を有する。
【0012】
保持部122は、開口1211から挿入されたフレキシブルケーブル13を保持する。例えば、保持部122は、基体121内に設けられた支持部1221と、支持部1221に回動可能に支持される可動部1222と、を有する。支持部1221は、例えば、基体121に一体に設けられる。支持部1221は、開口1211内の基体121の内面に設けられる。
【0013】
可動部1222は、支持部1221に回動可能に支持される回動軸1223を有する。可動部1222は、開位置及び閉位置の間で、回動軸1223周りに回動可能に支持部1221に支持される。図3中、実線で閉位置に位置する可動部1222を示し、二点鎖線で開位置に位置する可動部1222を示す。
【0014】
可動部1222は、開位置において、フレキシブルケーブル13を開口1211から基体121内に挿入可能に、開口1211を開く。そして、可動部1222は、閉位置において、開口1211を閉じ、基体121内に挿入されたフレキシブルケーブル13を保持する。具体例として、可動部1222は、閉位置において、端子部123と対向し、且つ、端子部123に接触したフレキシブルケーブル13の後述する電極部132と当接する押圧部1224を有する。押圧部1224は、可動部1222が閉位置にあるときに、フレキシブルケーブル13の電極部132を端子部123に向かって押圧し、フレキシブルケーブル13を保持する。
【0015】
このような、可動部1222は、押圧部1224によって電極部132が保持されたフレキシブルケーブル13を配置可能な隙間を、基体121との間に形成する。
【0016】
端子部123は、複数の端子1231を有する。端子部123は、開口1211内に配置され、フレキシブルケーブル13の電極部132と当接する。
【0017】
フレキシブルケーブル13は、ハーネスである。例えば、フレキシブルケーブル13は、フレキシブル基板である。具体例として、フレキシブルケーブル13としては、FPC(Flexible Printed Circuits)、FFC(Flexible Flat Cable)、COF(Chip on Film)、リボンケーブル又はフラットケーブル等が挙げられる。
【0018】
フレキシブルケーブル13は、ケーブル部131と、ケーブル部131の一端又は両端に設けられた端子部としての電極部132と、を有する。
【0019】
ケーブル部131は、例えば、ポリイミド等により形成され、屈曲率が高い薄い絶縁体と、絶縁体に形成された導電箔により構成される回路部と、を備える。
【0020】
電極部132は、端子部である。電極部132は、コネクタ12の端子部123の各端子1231に接続される複数の電極を有する。
【0021】
このようなコネクタ12及びフレキシブルケーブル13は、開口1211にフレキシブルケーブル13の一端側が挿入され、端子部123及び電極部132が接触し、フレキシブルケーブル13がコネクタ12に保持された状態で、フレキシブルケーブル13とコネクタ12との間に隙間が生じる。具体例として、コネクタ12及びフレキシブルケーブル13が接続された状態で、基体121の端部及び可動部1222の端部の間に開口が生じる。また、基体121及び可動部1222とフレキシブルケーブル13との間に隙間が生じる。さらに、コネクタ12(基体121)の内部の端子部123及び電極部132の周囲に隙間が生じる。
【0022】
樹脂コーティング部材14は、非導電性の材料で形成される。樹脂コーティング部材14は、流動性のある液状、粘液状、又はジェル状等の樹脂コーティング剤が硬化することで形成される。具体例として、樹脂コーティング部材14を形成する樹脂コーティング剤は、粘度が200mPa・s~300mPa・sであることが望ましい。樹脂コーティング剤は、熱や光等により硬化する1液タイプか、又は、混合することで効果する2液タイプである。好適には、熱処理により硬化する樹脂コーティング剤が製造の観点上好ましい。
【0023】
樹脂コーティング部材14は、フレキシブルケーブル13の電極部132が挿入されたコネクタ12の内部に設けられる。樹脂コーティング部材14は、少なくとも、コネクタ12の端子部123及びフレキシブルケーブル13の電極部132の周囲を覆う。具体例として、樹脂コーティング部材14は、フレキシブルケーブル13の電極部132が挿入されたコネクタ12の内部に充填される。
【0024】
より具体的な例として、図3に示すように、樹脂コーティング部材14は、基体121及び可動部1222とフレキシブルケーブル13との隙間、及び、基体121内の端子部123及び電極部132の周囲の内面間に生じる隙間に配置される。また、樹脂コーティング部材14は、基体121の端部及び閉位置の可動部1222の端部の間に形成された開口に配置され、該開口を塞ぐ。
【0025】
即ち、樹脂コーティング部材14は、可動部1222が閉位置にあるときに基体121の端部及び可動部1222の端部の間に生じるコネクタ12の開口を覆う。また、樹脂コーティング部材14は、可動部1222の内側の隙間としての、基体121及び可動部1222とフレキシブルケーブル13との間の隙間に配置される。また、樹脂コーティング部材14は、基体121内に生じる接触する電極部132及び端子部123の周囲の空間に配置され、該空間内に露出する電極部132及び端子部123の外面を覆う。
【0026】
次に、このように構成された電装品1の製造方法の一例について、図4の流れ図を用いて説明する。なお、以下に説明する電装品1の製造方法の各工程は、作業者により行われてもよく、また、製造装置により行われてもよく、また、一部の工程が作業者により行われ、そして、他の工程が製造装置により行われてもよい。
【0027】
先ず、電装品1の製造方法の第1工程として、組み立て工程が行われる。作業者は、回路基板11に実装されたコネクタ12の可動部1222を開位置に回動する(ACT11)。可動部1222が開位置に位置することで、基体121の開口1211が開く。作業者は、フレキシブルケーブル13の一端に設けられた電極部132を基体121の開口1211から基体121内に挿入する(ACT12)。このとき、フレキシブルケーブル13は、基体121内の、電極部132が基体121内に配置された端子部123に接触する位置まで挿入される。
【0028】
次に、作業者は、可動部1222を閉位置に回動する(ACT13)。可動部1222が閉位置に位置すると、フレキシブルケーブル13の電極部132は、可動部1222の押圧部1224によって端子部123に向かって押圧される。これにより、電極部132は、コネクタ12に保持される(ACT14)。次に、作業者は、図1に例示するように、樹脂コーティング剤が充填されたシリンジ100によって、コネクタ12内に樹脂コーティング剤を充填する(ACT15)。例えば、樹脂コーティング剤は、フレキシブルケーブル13の一方の主面側、又は、両方の主面側からコネクタ12内に充填される。なお、充填コーティング剤の充填位置はこれに限定されず、コネクタ12内に充填可能であれば、適宜設定可能である。
【0029】
次に、作業者は、熱処理装置により、樹脂コーティング剤を加熱し、樹脂コーティング剤を硬化させる(ACT16)。なお、ここでは、一例として、熱効果性の樹脂コーティング剤の例を説明した。樹脂コーティング剤が光により硬化する場合には、ACT16において、樹脂コーティング剤に光を照射する。また、樹脂コーティング剤が2液タイプであり、2液混合によって硬化される場合には、ACT15においてシリンジに樹脂コーティング剤としての2液を充填し、ACT16において、硬化までの時間放置すればよい。ACT16の工程により、樹脂コーティング剤が硬化されることで樹脂コーティング部材14が形成される。これらの工程によって、電装品1が組み立てられる。
【0030】
次に、電装品の製造方法の第2工程として、検査工程が行われる。具体例として、作業者は組み立てた電装品1のショート検査を行う(ACT17)。ショート検査としては、少なくとも、コネクタ12及びフレキシブルケーブル13のショートの有無により、製品としての良否判定を行う。電装品1がショートしている場合には、不適合品とする。電装品1がショートしていない場合には、適合品とする。なお、第2工程としての検査工程は、ショート検査以外に、電装品1の性能検査等の検査工程を含んでいても良く、また、他の検査工程を含んでいても良い。これらの工程により、電装品1の製造が行われる。
【0031】
このように構成された電装品1によれば、少なくとも、コネクタ12内に存在する電極部132及び端子部123が非導電性の樹脂コーティング部材14により覆われる。これにより、電装品1の製造後に、電極部132の複数の電極や端子部123の複数の端子1231に液滴や金属粉が付着し、電極部132及び端子部123がショートすることを防止できる。
【0032】
また、樹脂コーティング部材14の形成前に電極部132及び端子部123に金属粉が存していても、樹脂コーティング部材14が形成されると、金属粉が樹脂コーティング部材14に固定される。よって、樹脂コーティング部材14が硬化することで、電装品1の製造後に金属粉が移動することが防止できる。即ち、製造後の電装品1が移動したときに、製造前又は製造時から既にコネクタ12内に存在する金属粉が移動することがない。このため、電装品1は、製造後において電極部132及び端子部123がショートすることを防止できる。
【0033】
これらのことから、電装品1を製造し、出荷前にショート検査を行うと、以後、電極部132及び端子部123がショートすることを防止できる。なお、製造した電装品1がコネクタ12内に存在する金属粉により既にショートしていれば、樹脂コーティング部材14が金属粉を固定することから、ショート検査で確実にショートが検出できる。このように、実施形態の電装品1は、ショート検査後に電装品1がショートすること、及び、ショートした電装品1が流通することを防止できる。このような電装品1は、製造時にネジを用いた固定等の工程によって金属粉が生じる製品に特に好適である。
【0034】
また、電装品1は、電極部132及び端子部123の周囲に加え、基体121及び可動部1222とフレキシブルケーブル13との隙間や基体121内部の隙間、コネクタ12の開口に樹脂コーティング部材14を有する。この構成により、該隙間や開口に設けられた樹脂コーティング部材14は、コネクタ12内に液滴や金属粉等の異物が侵入することをさらに防止できる。また、該隙間や開口に設けられた樹脂コーティング部材14は、コネクタ12に設けられたフレキシブルケーブル13を支持することから、フレキシブルケーブル13の曲げや断線を防止できるとともに、フレキシブルケーブル13がコネクタ12から抜けることを防止できる。
【0035】
また、樹脂コーティング部材14を形成する樹脂コーティング剤には、粘度が200mPa・s~300mPa・sを用いる。これにより、樹脂コーティング剤をコネクタ12内に充填するときの流動性が好適であり、且つ、コネクタ12外への樹脂コーティング剤の漏洩を抑制できる。
【0036】
上述したように、本実施形態に係る電装品1によれば、樹脂コーティング部材14により電極部132及び端子部123を覆うことで、ショート検査後にショートすることを防止できる。
【0037】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る電装品1の構成について、図5を用いて説明する。図5は、電装品1のコネクタ21、フレキシブルケーブル13及び樹脂コーティング部材14の構成を拡大して示す断面図である。なお、第2の実施形態に係る電装品1は、コネクタ21が、第1の実施形態に係る電装品1のコネクタ12と異なる構成であり、それ以外の構成は第1の実施形態と同様の構成であるため、同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0038】
電装品1は、回路基板11と、コネクタ21と、フレキシブルケーブル13と、樹脂コーティング部材14と、を備える。
【0039】
図5に示すように、コネクタ21は、開口2111を有する基体211と、基体211の内部に設けられた端子部123と、を含む。
【0040】
基体211は、内部にフレキシブルケーブル13の電極部132を配置する隙間(空間)を有する。また、基体211は、端子部123に接触したフレキシブルケーブル13を保持する保持部2112を有する。基体211は、例えば、端子部123と対向する内面の一部に保持部2112が一体に形成される。
【0041】
開口2111は、フレキシブルケーブル13の一端が挿入される。開口2111は、基体211の一部に設けられる。開口2111は、フレキシブルケーブル13の端部を挿入可能に、フレキシブルケーブル13の端部と同じ幅を有する。
【0042】
保持部2112は、開口2111から挿入されたフレキシブルケーブル13を端子部123に押圧する。保持部2112は、フレキシブルケーブル13を端子部123とともに保持する。例えば、保持部2112は、基体211の内面に設けられた突起である。
【0043】
このようなコネクタ21は、保持部2112及び端子部123によりフレキシブルケーブル13を固定し、端子部123がフレキシブルケーブル13の電極部132と接続される。
【0044】
このようなコネクタ21及びフレキシブルケーブル13は、開口2111にフレキシブルケーブル13の一端側が挿入され、端子部123及び電極部132が接触する。コネクタ21は、フレキシブルケーブル13がコネクタ21に保持された状態で、フレキシブルケーブル13と基体211の内面との間に隙間が生じる。
【0045】
具体例として、コネクタ21及びフレキシブルケーブル13が接続された状態で、基体211の開口2111及びフレキシブルケーブル13の端部の間、並びに、基体211の内面とフレキシブルケーブル13との間に隙間が生じる。さらに、コネクタ21(基体211)の内部の端子部123及び電極部132の周囲に隙間が生じる。
【0046】
樹脂コーティング部材14は、第1の実施形態の電装品1の樹脂コーティング部材14を形成する樹脂コーティング剤と同じ材料が用いられる。樹脂コーティング部材14は、フレキシブルケーブル13の電極部132が挿入されたコネクタ21の内部に設けられる。樹脂コーティング部材14は、少なくとも、コネクタ21の端子部123及びフレキシブルケーブル13の電極部132の周囲を覆う。具体例として、樹脂コーティング部材14は、フレキシブルケーブル13の電極部132が挿入されたコネクタ21の内部に充填される。
【0047】
より具体的な例として、図5に示すように、樹脂コーティング部材14は、基体211の内面とフレキシブルケーブル13との間の隙間、及び、基体211内の端子部123及び電極部132の周囲に生じる隙間により形成される空間に配置される。また、樹脂コーティング部材14は、基体211の開口2111に配置され、該開口2111を塞ぐ。そして、樹脂コーティング部材14は、該空間内に露出する電極部132及び端子部123の外面を覆う。
【0048】
このように構成された第2の実施形態に係る電装品1は、上述した第1の実施形態に係る電装品1と同様に、少なくとも、コネクタ21内に存在する電極部132及び端子部123が非導電性の樹脂コーティング部材14により覆われる。これにより、電装品1の製造後に、電極部132の複数の電極や端子部123の複数の端子1231に液滴や金属粉が付着し、電極部132及び端子部123がショートすることを防止できる。
【0049】
また、樹脂コーティング部材14の形成前に電極部132及び端子部123に金属粉が存していても、樹脂コーティング部材14が形成されると、金属粉が樹脂コーティング部材14に固定される。よって、樹脂コーティング部材14が硬化することで、電装品1の製造後に金属粉が移動することを防止できる。即ち、製造後の電装品1が移動したときに、製造前又は製造時から既にコネクタ21内に存在する金属粉が移動することがない。このため、電装品1は、製造後において電極部132及び端子部123がショートすることを防止できる。
【0050】
これらのことから、電装品1を製造し、出荷前にショート検査を行うと、以後、電極部132及び端子部123がショートすることを防止できる。なお、製造した電装品1がコネクタ21内に存在する金属粉により既にショートしていれば、樹脂コーティング部材14が金属粉を固定することから、ショート検査で確実にショートが検出できる。このように、実施形態の電装品1は、ショート検査後に電装品1がショートすること、及び、ショートした電装品1が流通することを防止できる。このような電装品1は、製造時にネジを用いた固定等の工程によって金属粉が生じる製品に特に好適である。
【0051】
また、電装品1は、電極部132及び端子部123の周囲に加え、基体211の内面とフレキシブルケーブル13との隙間や基体211内部の隙間、コネクタ21の開口2111に樹脂コーティング部材14を有する。この構成により、該隙間や開口に設けられた樹脂コーティング部材14は、コネクタ21内に液滴や金属粉等の異物が侵入することをより防止できる。また、該隙間や開口に設けられた樹脂コーティング部材14は、コネクタ21に設けられたフレキシブルケーブル13を支持することから、フレキシブルケーブル13の曲げや断線を防止できるとともに、フレキシブルケーブル13がコネクタ21から抜けることを防止できる。特に、本実施形態のコネクタ21のように、端子部123に向かって電極部132を押圧する可動部1222を有さず、基体211の内面に突出する保持部2112を有する構成においては、フレキシブルケーブル13が抜ける虞がある。しかしながら、樹脂コーティング部材14がフレキシブルケーブル13を固定するため、フレキシブルケーブル13がコネクタ21から抜けることを防止することに対して、樹脂コーティング部材14は効果的である。
【0052】
なお、本実施形態のコネクタ21は、可動部1222を有さない構成であることから、本実施形態の電装品1の製造方法は、図4の流れ図に示すACT11及びACT13が省略される。
【0053】
上述したように、本実施形態に係る電装品1によれば、樹脂コーティング部材14により電極部132及び端子部123を覆うことで、ショート検査後にショートすることを防止できる。
【0054】
なお、実施形態は、上述した各実施形態に限られるものではない。例えば、上述した例では、フレキシブルケーブル13の例をいくつか説明したが、フレキシブルケーブル13は、上述した構成に限定されない。
【0055】
また、同様に、電装品1の例をいくつか説明したが、電装品1は上述した構成に限定されない。即ち、フレキシブルケーブル13がコネクタ12、21に接続される構成であって、且つ、少なくとも樹脂コーティング部材14によって電極部132及び端子部123が覆われる構成であれば、種々の電装品1に適用できる。
【0056】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の電装品によれば、樹脂コーティング部材により電極部及び端子部を覆うことで、ショート検査後にショートすることを防止できる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明と同等の記載を付記する。
[1] 回路基板と、
前記回路基板に実装され、開口部及び端子を備えるコネクタと、
前記コネクタに挿入され、電極部を備えるハーネスと、
前記ハーネスが挿入された前記コネクタの内部に充填される非導電性の樹脂コーティング部材と、
を備える、電装品。
[2] 前記樹脂コーティング部材は、前記コネクタの前記端子及び前記ハーネスの前記電極部が接触する箇所を少なくとも覆う、[1]に記載の電装品。
[3] 前記コネクタは、前記ハーネスを挟む可動部を備え、
前記樹脂コーティング部材は、少なくとも前記可動部の内側に配置される、
[1]又は[2]に記載の電装品。
[4] 前記樹脂コーティング部材は、前記コネクタの前記開口部を覆う、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の電装品。
[5] 前記ハーネスは、FPC、FFC、リボンケーブル又はフラットケーブルである、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の電装品。
【符号の説明】
【0058】
1…電装品、11…回路基板、12…コネクタ、13…フレキシブルケーブル、14…樹脂コーティング部材、21…コネクタ、100…シリンジ、121…基体、122…保持部、123…端子部、131…ケーブル部、132…電極部、211…基体、1211…開口、1221…支持部、1222…可動部、1223…回動軸、1224…押圧部、1231…端子、2111…開口、2112…保持部。
図1
図2
図3
図4
図5