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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】車両用電力供給制御装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240219BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240219BHJP
【FI】
B60L3/00 J
B60K1/04 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020159588
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053015
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】谷口 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】小和田 稔
(72)【発明者】
【氏名】波間 惇
(72)【発明者】
【氏名】岡添 勇大
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-143806(JP,A)
【文献】特開2016-058173(JP,A)
【文献】特開2011-015579(JP,A)
【文献】特開2014-069593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 3/00
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車に搭載され、車載電池から電子機器への電力の供給を制御する車両用電力供給制御装置であって、
前記電子機器のケースの開放又は前記電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するためのインターロック回路と、
前記インターロック回路からの入力信号に基づいて、前記開放又は前記分離を検出するインターロック検出部と、
前記電気自動車の車速を検出する車速検出部と、
前記電気自動車の周りを撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像画像に基づいて、作業者が前記電気自動車に対して整備作業を行っているか否かを認識する整備作業認識部と、
前記インターロック検出部によって前記開放又は前記分離が検出された後、前記車速検出部によって検出された車速が0であり、且つ前記整備作業認識部で前記整備作業が行われていると認識された場合、前記車載電池から前記電子機器への電力の供給を遮断する電力供給制御部と、を備える車両用電力供給制御装置。
【請求項2】
電気自動車に搭載され、車載電池から電子機器への電力の供給を制御する車両用電力供給制御装置であって、
前記電子機器のケースの開放又は前記電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するためのインターロック回路と、
前記インターロック回路からの入力信号に基づいて、前記開放又は前記分離を検出するインターロック検出部と、
前記電気自動車の車速を検出する車速検出部と、
前記電気自動車の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報取得部で取得された前記位置情報及び地図情報に基づいて、前記電気自動車が退避スペース又は駐車スペースに停車しているか否かを判定する停車位置判定部と、
前記インターロック検出部によって前記開放又は前記分離が検出された後、前記車速検出部によって検出された車速が0であり、且つ前記停車位置判定部によって前記退避スペース又は前記駐車スペースに停車していると判定された場合、前記車載電池から前記電子機器への電力の供給を遮断する電力供給制御部と、を備える車両用電力供給制御装置。
【請求項3】
電気自動車に搭載され、車載電池から電子機器への電力の供給を制御する車両用電力供給制御装置であって、
前記電子機器のケースの開放又は前記電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するためのインターロック回路と、
前記インターロック回路からの入力信号に基づいて、前記開放又は前記分離を検出するインターロック検出部と、
前記電気自動車の車速を検出する車速検出部と、
前記電気自動車に対して作業者が整備作業を行っていることを示す整備作業情報を取得する整備作業情報取得部と、
前記インターロック検出部によって前記開放又は前記分離が検出された後、前記車速検出部によって検出された車速が0であり、且つ前記整備作業情報取得部によって前記整備作業情報が取得されている場合、前記車載電池から前記電子機器への電力の供給を遮断する電力供給制御部と、を備え
前記電気自動車の運行を管理する運行管理会社のシステムには、前記電気自動車が整備中である場合には整備中である旨の情報が設定されており、
前記整備作業情報取得部は、前記システムに設定された前記情報を前記整備作業情報として取得する、車両用電力供給制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電力供給制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電気自動車には、高電圧電池、及び駆動源となるモータ等の各種の高電圧の電子機器が搭載されている。このような電気自動車では、整備作業の際に作業者が感電しないようにするため、高電圧の電子機器のケースに設けられたインターロック回路によってケースの開放が検出されたときに、高電圧機器への電力供給を遮断することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-058173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した装置は、インターロック回路に設けられたインターロックスイッチの接触不良や断線が生じた場合、高電圧の電子機器のケースが開けられたと誤検出することがある。例えば、電気自動車の走行中にケースが開けられたと誤検出された場合、作業者が電子機器にアクセスして整備作業を実施できる状況ではないにも関わらず電力供給が遮断され、走行車線上で停車してしまうことが考えられる。このように、インターロック回路によってケースの開放が検出されたとしても、すぐに電力の供給を遮断することが適切でないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、電子機器のケースの開放等が検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断可能な車両用電力供給制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、電気自動車に搭載され、車載電池から電子機器への電力の供給を制御する車両用電力供給制御装置であって、電子機器のケースの開放又は電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するためのインターロック回路と、インターロック回路からの入力信号に基づいて、開放又は分離を検出するインターロック検出部と、電気自動車の車速を検出する車速検出部と、インターロック検出部によって開放又は分離が検出された後、車速検出部によって検出された車速が0の状態の継続時間が予め定められた停車時間を超えた場合、車載電池から電子機器への電力の供給を遮断する電力供給制御部と、を備える。
【0007】
この車両用電力供給制御装置では、インターロック検出部によってケースの開放等が検出された場合であっても、車速が0の状態の継続時間が予め定められた停車時間を超えるまでは、車載電池から電子機器への電力の供給が遮断されない。つまり、例えば、インターロック回路の不具合等によってケースの開放等が生じたとインターロック検出部が誤検出した場合であっても、走行中であるため又は停車からの経過時間が短いために作業者が電子機器にアクセスできない状況では電力の供給の遮断がすぐには行われず、できるだけ電子機器を機能させた状態が維持される。このように、車両用電力供給制御装置は、電子機器のケースの開放等が検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0008】
車両用電力供給制御装置において、電子機器は、第1電子機器と、第2電子機器とを含み、インターロック回路は、第1電子機器のケースの開放又は第1電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するための第1インターロック回路と、第2電子機器のケースの開放又は第2電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するための第2インターロック回路とを含み、インターロック検出部は、第1インターロック回路からの入力信号に基づいて第1電子機器について開放又は分離を検出する第1インターロック検出部と、第2インターロック回路からの入力信号に基づいて第2電子機器について開放又は分離を検出する第2インターロック検出部とを含み、停車時間は、第1電子機器及び第2電子機器のそれぞれに対して予め定められると共に、第1電子機器に対して第1停車時間が予め定められ且つ第2電子機器に対して第2停車時間が予め定められており、電力供給制御部は、第1インターロック検出部によって第1電子機器について開放又は分離が検出された後、車速検出部によって検出された車速が0の状態の継続時間が予め定められた第1停車時間を超えた場合、車載電池から第1電子機器及び第2電子機器への電力の供給を遮断し、第2インターロック検出部によって第2電子機器について開放又は分離が検出された後、車速検出部によって検出された車速が0の状態の継続時間が予め定められた第2停車時間を超えた場合、車載電池から第1電子機器及び第2電子機器への電力の供給を遮断してもよい。この場合、車両用電力供給制御装置は、第1電子機器及び第2電子機器のうちケースの開放等が生じたと検出された電子機器に応じて、車速が0となってから電力の供給を遮断するまでの時間を制御できる。このように、車両用電力供給制御装置は、ケースの開放等が生じたと検出された電子機器に応じた適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0009】
車両用電力供給制御装置において、停車時間は、電気自動車が停車してから電子機器に作業者がアクセスするまでに要する最短の時間であることが好ましい。この場合、電気自動車が停車した直後に整備作業のために作業者が電子機器へのアクセス作業を開始したとしても、作業者が電子機器にアクセスした時には電子機器への電力の供給が遮断されている。このように車両用電力供給制御装置は、できるだけ電力の供給の遮断を遅くして電子機器の機能を維持しつつ、適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0010】
車両用電力供給制御装置において、第1停車時間は、電気自動車が停車してから第1電子機器に作業者がアクセスするまでに要する最短の時間であること好ましく、第2停車時間は、電気自動車が停車してから第2電子機器に作業者がアクセスするまでに要する最短の時間であることが好ましい。この場合、第1電子機器について開放又は分離が検出され、電気自動車が停車した直後に整備作業のために作業者が第1電子機器へのアクセス作業を開始したとしても、作業者が第1電子機器にアクセスした時には第1電子機器への電力の供給が遮断されている。また、第2電子機器について開放又は分離が検出され、電気自動車が停車した直後に整備作業のために作業者が第2電子機器へのアクセス作業を開始したとしても、作業者が第2電子機器にアクセスした時には第2電子機器への電力の供給が遮断されている。このように車両用電力供給制御装置は、できるだけ電力の供給の遮断を遅くして第1電子機器及び第2電子機器の機能を維持しつつ、適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0011】
本発明の第2の態様は、電気自動車に搭載され、車載電池から電子機器への電力の供給を制御する車両用電力供給制御装置であって、電子機器のケースの開放又は電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するためのインターロック回路と、インターロック回路からの入力信号に基づいて、開放又は分離を検出するインターロック検出部と、電気自動車の車速を検出する車速検出部と、電気自動車の周りを撮像する撮像部と、撮像部の撮像画像に基づいて、作業者が電気自動車に対して整備作業を行っているか否かを認識する整備作業認識部と、インターロック検出部によって開放又は分離が検出された後、車速検出部によって検出された車速が0であり、且つ整備作業認識部で整備作業が行われていると認識された場合、車載電池から電子機器への電力の供給を遮断する電力供給制御部と、を備える。
【0012】
この車両用電力供給制御装置では、インターロック検出部によってケースの開放等が検出された場合であっても、車速が0であり且つ整備作業認識部で整備作業が行われていると認識されるまでは、車載電池から電子機器への電力の供給が遮断されない。つまり、ケースの開放等が生じたとインターロック検出部によって検出された場合であっても、作業者が整備作業を開始したことが撮像画像に基づいて認識されるまでは電力の供給の遮断がすぐには行われず、できるだけ電子機器を機能させた状態が維持される。一方、電力供給制御部は、整備作業認識部において作業者が整備作業を行っていると認識されたとき、つまり実際に作業者が整備作業を行っているときには、電力の供給を遮断する。このように、車両用電力供給制御装置は、電子機器のケースの開放等が検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0013】
本発明の第3の態様は、電気自動車に搭載され、車載電池から電子機器への電力の供給を制御する車両用電力供給制御装置であって、電子機器のケースの開放又は電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するためのインターロック回路と、インターロック回路からの入力信号に基づいて、開放又は分離を検出するインターロック検出部と、電気自動車の車速を検出する車速検出部と、電気自動車の位置情報を取得する位置情報取得部と、位置情報取得部で取得された位置情報及び地図情報に基づいて、電気自動車が退避スペース又は駐車スペースに停車しているか否かを判定する停車位置判定部と、インターロック検出部によって開放又は分離が検出された後、車速検出部によって検出された車速が0であり、且つ停車位置判定部によって退避スペース又は駐車スペースに停車していると判定された場合、車載電池から電子機器への電力の供給を遮断する電力供給制御部と、を備える。
【0014】
この車両用電力供給制御装置では、インターロック検出部によってケースの開放等が検出された場合であっても、車速が0であり且つ停車位置判定部によって退避スペース又は駐車スペースに停車していると判定されるまでは、車載電池から電子機器への電力の供給が遮断されない。つまり、ケースの開放等が生じたとインターロック検出部によって検出された場合であっても、作業者による整備作業が可能な退避スペース又は駐車スペースに停車していると判定されるまでは電力の供給の遮断がすぐには行われず、できるだけ電子機器を機能させた状態が維持される。一方、電力供給制御部は、電気自動車が退避スペース又は駐車スペースに停車しており作業者による整備作業が可能な状態であるときには、電力の供給を遮断する。このように、車両用電力供給制御装置は、電子機器のケースの開放等が検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0015】
本発明の第4の態様は、電気自動車に搭載され、車載電池から電子機器への電力の供給を制御する車両用電力供給制御装置であって、電子機器のケースの開放又は電子機器からの電源ハーネスの分離を検出するためのインターロック回路と、インターロック回路からの入力信号に基づいて、開放又は分離を検出するインターロック検出部と、電気自動車の車速を検出する車速検出部と、電気自動車に対して作業者が整備作業を行っていることを示す整備作業情報を取得する整備作業情報取得部と、インターロック検出部によって開放又は分離が検出された後、車速検出部によって検出された車速が0であり、且つ整備作業情報取得部によって整備作業情報が取得されている場合、車載電池から電子機器への電力の供給を遮断する電力供給制御部と、を備える。
【0016】
この車両用電力供給制御装置では、インターロック検出部によってケースの開放等が検出された場合であっても、車速が0であり且つ電気自動車に対して作業者が整備作業を行っていることを示す整備作業情報が取得されるまでは、車載電池から電子機器への電力の供給が遮断されない。つまり、ケースの開放等が生じたとインターロック検出部によって検出された場合であっても、整備作業情報が取得されるまでは電力の供給の遮断がすぐには行われず、できるだけ電子機器を機能させた状態が維持される。一方、電力供給制御部は、整備作業情報が取得されて作業者による整備作業が行われているときには、電力の供給を遮断する。このように、車両用電力供給制御装置は、電子機器のケースの開放等が検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の種々の態様によれば、電子機器のケースの開放等が検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係る車両用電力供給制御装置が搭載された電気自動車の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、インターロックが検出された場合の各部の状態を示すタイムチャートである。
図3図3は、インターロックが検出された場合の電力の供給の遮断処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、第2実施形態に係る車両用電力供給制御装置が搭載された電気自動車の概略構成を示すブロック図である。
図5図5は、インターロックが検出された場合の電力の供給の遮断処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
(第1実施形態)
まず、車両用電力供給制御装置の第1実施形態について説明する。図1に示されるように、車両用電力供給制御装置1は、電気自動車Vに搭載されている。電気自動車Vは、駆動源として電動モータを備えている。電気自動車Vは、駆動源として電動モータのみを搭載する車両であってもよく、電動モータに加えてエンジンを搭載する車両(いわゆるハイブリッド車)であってもよい。
【0021】
電気自動車Vには、第1電子機器(電子機器)6、第2電子機器(電子機器)7、及び高電圧電池(車載電池)8が搭載されている。第1電子機器6及び第2電子機器7は、高電圧機器である。本実施形態では、一例として電気自動車Vに第1電子機器6及び第2電子機器7の2つの電子機器が搭載されている場合について説明する。第1電子機器6及び第2電子機器7は、それぞれ、例えば、電気自動車Vの駆動源となる電動モータ、インバーター回路、電動エアコン、電動ウォーターポンプ等のいずれかであってもよい。第1電子機器6及び第2電子機器7は、電源ハーネスLによって高電圧電池8に対して電気的に接続され、高電圧電池8の電力によって作動する。
【0022】
車両用電力供給制御装置1は、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を制御する。車両用電力供給制御装置1は、供給制御ECU(Electronic Control Unit)2、第1インターロック回路(インターロック回路)3、第2インターロック回路(インターロック回路)4、及び遮断回路5を備えている。
【0023】
第1インターロック回路3は、第1電子機器6に対して設けられている。ここで、第1電子機器6は、第1電子機器本体部61と、第1ケース(ケース)62とを備えている。第1電子機器本体部61は高電圧電池8の電力によって作動する機器である。第1ケース62は、外部から第1電子機器本体部61を直接触れることができないように、第1電子機器本体部61を収容している。第1ケース62は、内部に第1電子機器本体部61を収容すると共に開口部を有する第1ケース本体部62aと、第1ケース本体部62aの開口部を覆う第1蓋62bとを備えている。第1蓋62bは、第1ケース本体部62aの開口部を開閉可能に第1ケース本体部62aに対して設けられている。すなわち、第1蓋62bを開くことにより、第1ケース62を開放(第1ケース本体部62aの開口部を開放)することができる。第1ケース62が開放した状態において、作業者は、第1電子機器6の第1電子機器本体部61に対して直接アクセスする(直接触れる)ことができる。
【0024】
第1インターロック回路3は、第1電子機器6の第1ケース62の開放又は第1電子機器6からの電源ハーネスLの分離(第1電子機器6から電源ハーネスLが外れた状態)を検出するための回路である。本実施形態において、第1インターロック回路3は、第1インターロックスイッチ31、及び第1インターロック配線32を備えている。
【0025】
第1インターロックスイッチ31は、第1ケース本体部62aに対して第1蓋62bが開けられた状態(第1ケース62の開放)、又は第1電子機器6からの電源ハーネスLの分離を検出するためのスイッチである。第1インターロックスイッチ31としては、周知の種々の種類のスイッチを用いることができる。第1インターロック配線32は、第1インターロックスイッチ31と供給制御ECU2とを接続する。
【0026】
第2インターロック回路4は、第2電子機器7に対して設けられている。ここで、第2電子機器7は、第2電子機器本体部71と、第2ケース(ケース)72とを備えている。第2電子機器本体部71は高電圧電池8の電力によって作動する機器である。第2ケース72は、外部から第2電子機器本体部71を直接触れることができないように、第2電子機器本体部71を収容している。第2ケース72は、内部に第2電子機器本体部71を収容すると共に開口部を有する第2ケース本体部72aと、第2ケース本体部72aの開口部を覆う第2蓋72bとを備えている。第2蓋72bは、第2ケース本体部72aの開口部を開閉可能に第2ケース本体部72aに対して設けられている。すなわち、第2蓋72bを開くことにより、第2ケース72を開放(第2ケース本体部72aの開口部を開放)することができる。第2ケース72が開放した状態において、作業者は、第2電子機器7の第2電子機器本体部71に対して直接アクセスすることができる。
【0027】
第2インターロック回路4は、第2電子機器7の第2ケース72の開放又は第2電子機器7からの電源ハーネスLの分離(第2電子機器7から電源ハーネスLが外れた状態)を検出するための回路である。本実施形態において、第2インターロック回路4は、第2インターロックスイッチ41、及び第2インターロック配線42を備えている。
【0028】
第2インターロックスイッチ41は、第2ケース本体部72aに対して第2蓋72bが開けられた状態(第2ケース72の開放)、又は第2電子機器7からの電源ハーネスLの分離を検出するためのスイッチである。第2インターロックスイッチ41としては、周知の種々の種類のスイッチを用いることができる。第2インターロック配線42は、第2インターロックスイッチ41と供給制御ECU2とを接続する。
【0029】
このように、第1電子機器6及び第2電子機器7に対して第1インターロック回路3及び第2インターロック回路4がそれぞれ個別に設けられている。これにより、供給制御ECU2は、第1電子機器6側及び第2電子機器7側のいずれにおいてケースの開放等が生じたかを判定することができる。
【0030】
遮断回路5は、電源ハーネスLに対して設けられている。遮断回路5は、供給制御ECU2からの指示に基づいて、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する回路である。遮断回路5は、例えば、回路を遮断するためのリレー等の機器を備えていてもよい。
【0031】
供給制御ECU2は、車両用電力供給制御装置1における各種の動作を制御する。供給制御ECU2は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及び、RAM(Random Access Memory)等を備える電子制御ユニットである。供給制御ECU2は、機能的には、インターロック検出部21、車速検出部22、及び電力供給制御部23を備えている。
【0032】
インターロック検出部21は、インターロックの有無を検出する。具体的には、インターロック検出部21は、インターロックとして、第1ケース62の開放、第2ケース72の開放、第1電子機器6からの電源ハーネスLの分離、及び第2電子機器7からの電源ハーネスLの分離を検出する。インターロック検出部21は、第1インターロック検出部21a、及び第2インターロック検出部21bを含んでいる。
【0033】
第1インターロック検出部21aは、第1インターロック回路3からの入力信号に基づいて、第1ケース62の開放、及び第1電子機器6からの電源ハーネスLの分離の有無を検出する。第2インターロック検出部21bは、第2インターロック回路4からの入力信号に基づいて、第2ケース72の開放、及び第2電子機器7からの電源ハーネスLの分離の有無を検出する。
【0034】
ここで、第1インターロック検出部21aは、第1インターロック回路3に不具合(第1インターロックスイッチ31の接触不良、第1インターロック配線32の断線等)が生じた場合にも、第1ケース62の開放、又は第1電子機器6からの電源ハーネスLの分離が生じたと検出することがある。同様に、第2インターロック検出部21bは、第2インターロック回路4に不具合(第2インターロックスイッチ41の接触不良、第2インターロック配線42の断線等)が生じた場合にも、第2ケース72の開放、又は第2電子機器7からの電源ハーネスLの分離が生じたと検出することがある。
【0035】
車速検出部22は、電気自動車Vの車速を検出する。ここで、電気自動車Vは、車速を検出するための車速センサ9を備えている。この場合、車速検出部22は、車速センサ9の出力信号に基づいて電気自動車Vの車速を検出してもよい。また、車速検出部22は、車速センサ9の出力信号を用いて車速を検出することに限定されず、電気自動車Vの走行を制御する走行制御ECU等から取得した信号に基づいて車速を検出(取得)してもよい。
【0036】
電力供給制御部23は、インターロック検出部21で検出されたインターロックの有無及び車速検出部22で検出された車速に基づいて遮断回路5を制御することにより、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する。
【0037】
具体的には、電力供給制御部23は、第1インターロック検出部21aによって第1電子機器6について開放又は分離(インターロック)が検出された後、車速検出部22によって検出された車速が0の状態の継続時間が予め定められた第1停車時間(停車時間)を超えた場合、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する。すなわち、電力供給制御部23は、電気自動車Vの走行中に第1電子機器6についてインターロックが検出された場合、インターロックの検出後に電気自動車Vが停車し、停車した状態が第1停車時間を超えたときに、電力供給を遮断する。また、電力供給制御部23は、電気自動車Vの停車中に第1電子機器6についてインターロックが検出された場合、電気自動車Vが停車してからの経過時間(停車状態の継続時間)が第1停車時間を超えたときに、電力供給を遮断する。本実施形態において電力供給制御部23は、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給が遮断されるように、遮断回路5の動作を制御する。
【0038】
ここで、第1停車時間は、第1電子機器6に対して予め定められている。具体的には、第1停車時間は、電気自動車Vが停車してから第1電子機器6に作業者がアクセスするまでに要する最短の時間である。これにより、例えば、第1電子機器6について第1ケース62の開放等が検出され、電気自動車Vが停車した直後に整備作業のために作業者が第1電子機器6へのアクセス作業を開始したとしても、作業者が第1電子機器6にアクセスした時には第1電子機器6への電力の供給が遮断されている。
【0039】
また、電力供給制御部23は、第2インターロック検出部21bによって第2電子機器7について開放又は分離(インターロック)が検出された後、車速検出部22によって検出された車速が0の状態の継続時間が予め定められた第2停車時間(停車時間)を超えた場合、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する。すなわち、電力供給制御部23は、電気自動車Vの走行中に第2電子機器7についてインターロックが検出された場合、インターロックの検出後に電気自動車Vが停車し、停車した状態が第2停車時間を超えたときに、電力供給を遮断する。また、電力供給制御部23は、電気自動車Vの停車中に第2電子機器7についてインターロックが検出された場合、電気自動車Vが停車してからの経過時間(停車状態の継続時間)が第2停車時間を超えたときに、電力供給を遮断する。本実施形態において電力供給制御部23は、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給が遮断されるように、遮断回路5の動作を制御する。
【0040】
ここで、第2停車時間は、第2電子機器7に対して予め定められている。具体的には、第2停車時間は、電気自動車Vが停車してから第2電子機器7に作業者がアクセスするまでに要する最短の時間である。これにより、例えば、第2電子機器7について第2ケース72の開放等が検出され、電気自動車Vが停車した直後に整備作業のために作業者が第2電子機器7へのアクセス作業を開始したとしても、作業者が第2電子機器7にアクセスした時には第2電子機器7への電力の供給が遮断されている。
【0041】
次に、インターロック検出部21によってインターロックが検出された場合の各部の状態の一例について説明する。ここでは、インターロック検出部21によって、電気自動車Vの走行中に第1電子機器6についてインターロックが検出された場合を例に説明する。図2に示されるように、電気自動車Vの走行中の時刻t1において、第1インターロック検出部21aは、第1インターロック回路3からの入力信号に基づいて第1電子機器6についてインターロックが生じたと検出する。
【0042】
その後、電気自動車Vが減速し、時刻t2において車速が0となる。車速が0となった後、電力供給制御部23は、車速検出部22によって検出された車速が0の状態の継続時間が予め定められた第1停車時間T1を超えるか否かを判定する。車速が0の状態の継続時間が第1停車時間T1を超えた時刻t3において、電力供給制御部23は、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する。電力の供給が遮断された後、時刻t4において、作業者による第1電子機器6の第1ケース62の開放又は電源ハーネスLの分離等が行われる。上述したように、第1停車時間T1は、電気自動車Vが停車してから第1電子機器6に作業者がアクセスするまでに要する最短の時間である。このため、電気自動車Vが停車してから作業者が第1電子機器6にアクセスした時刻t4の時点では、既に第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給が遮断されている。
【0043】
一方、例えば、時刻t2において電気自動車Vが停車した後、第1停車時間T1が経過する前に電気自動車Vが発車した場合(図2の車速のグラフにおいて破線Xで示される状態)、作業者による第1電子機器6に対する整備作業が行われないため、電力の供給の遮断も行われない。この状況としては、例えば、信号等で電気自動車Vが一時停止した場合が挙げられる。
【0044】
次に、インターロックが検出された場合の電力の供給の遮断処理の流れについて説明する。なお、図3に示されるフローチャートは、電気自動車Vの走行開始と共に実行が開始される。
【0045】
図3に示されるように、インターロック検出部21は、第1電子機器6及び第2電子機器7におけるインターロックの発生の有無を検出する(S101)。インターロックが検出されない場合(S101:NO)、インターロック検出部21は、インターロックが検出されるまでS101の処理を繰り返す。
【0046】
インターロックが生じた場合、インターロック検出部21は、第1電子機器6及び第2電子機器7のいずれの側でインターロックが生じたかを検出する。具体的には、インターロック検出部21は、第1インターロック検出部21aによってインターロックが検出された場合、第1電子機器6においてインターロックが生じたと検出する。一方、インターロック検出部21は、第2インターロック検出部21bによってインターロックが検出された場合、第2電子機器7においてインターロックが生じたと検出する。
【0047】
インターロック検出部21においてインターロックが検出された場合(S101:YES)、電力供給制御部23は、車速検出部22によって検出された車速が0であるか否かを判定する(S102)。車速が0の場合(S102:YES)、電力供給制御部23は、電気自動車Vが停車してからの停車の継続時間(車速が0の状態の継続時間)が、予め定められた停車時間を超えたか否かを判定する(S103)。ここでは、電力供給制御部23は、予め定められた停車時間として、第1電子機器6及び第2電子機器7のうちS101においてインターロックが生じたと判定された電子機器に対して予め設定された停車時間(第1停車時間又は第2停車時間)を用いる。
【0048】
車速が0の状態の継続時間が予め定められた停車時間を超えた場合(S103:YES)、電力供給制御部23は、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する(S104)。一方、車速が0の状態の継続時間が予め定められた停車時間を超えていない場合(S103:NO)、電力供給制御部23は、S102の処理へ戻り上述した処理を行う。
【0049】
また、S102において車速が0でないと判定された場合(S102:NO)、電力供給制御部23は、車速が0の状態の継続時間のカウントをリセットする(S105)。
【0050】
以上のように、車両用電力供給制御装置1では、インターロック検出部21によって第1ケース62の開放等のインターロックの発生が検出された場合であっても、車速が0の状態の継続時間が予め定められた停車時間を超えるまでは、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給が遮断されない。つまり、例えば、第1インターロック回路3又は第2インターロック回路4の不具合等によって第1ケース62の開放等のインターロックが生じたとインターロック検出部21が誤検出した場合であっても、走行中であるため又は停車からの経過時間が短いために作業者が第1電子機器6等にアクセスできない状況では電力の供給の遮断がすぐには行われず、できるだけ第1電子機器6等を機能させた状態が維持される。そして、第1電子機器6等の機能ができるだけ維持されることにより、電力の供給が遮断されるまでは電気自動車Vの走行等が可能となる。このように、車両用電力供給制御装置1は、第1電子機器6及び第2電子機器7についてインターロックの発生が検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0051】
車速が0の状態となってから電力の供給を遮断するまでの停車時間として、第1電子機器6に対して予め第1停車時間が定められ、第2電子機器7に対して予め第2停車時間が定められている。この場合、車両用電力供給制御装置1は、第1電子機器6及び第2電子機器7のうちインターロックが生じたと検出された電子機器に応じて、車速が0となってから電力の供給を遮断するまでの時間を制御できる。このように、車両用電力供給制御装置1は、インターロックが生じたと検出された電子機器に応じた適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0052】
第1電子機器6に対して設定される第1停車時間は、電気自動車Vが停車してから第1電子機器6に作業者がアクセスするまでに要する最短の時間である。また、第2電子機器7に対して設定される第2停車時間は、電気自動車Vが停車してから第2電子機器7に作業者がアクセスするまでに要する最短の時間である。この場合、第1電子機器6についてインターロックの発生が検出され、電気自動車Vが停車した直後に整備作業のために作業者が第1電子機器6へのアクセス作業を開始したとしても、作業者が第1電子機器6にアクセスした時には第1電子機器6への電力の供給が遮断されている。また、第2電子機器7についてインターロックの発生が検出され、電気自動車Vが停車した直後に整備作業のために作業者が第2電子機器7へのアクセス作業を開始したとしても、作業者が第2電子機器7にアクセスした時には第2電子機器7への電力の供給が遮断されている。このように車両用電力供給制御装置1は、できるだけ電力の供給の遮断を遅くして第1電子機器6及び第2電子機器7の機能を維持しつつ、適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0053】
例えば、電気自動車Vが大型車又は商用車である場合、第1電子機器6及び第2電子機器7の整備作業を行うためには架装の下に潜り込んで第1電子機器6等にアクセスしたり、キャブを開けて(キャブをチルトさせて)第1電子機器6等にアクセスする必要があり、第1電子機器6等にアクセスするために時間を要する。このような場合、第1停車時間及び第2停車時間が長くなり、車速が0となってから電力の供給が遮断されるまでの時間が長くなる。このため、車両用電力供給制御装置1は、第1電子機器6等にアクセスするまでに要する最短の時間を用いることにより、電力の供給の遮断を遅くして第1電子機器6及び第2電子機器7の機能をできるだけ長く維持しつつ、作業者が第1電子機器6等にアクセスしたときには電力の供給が遮断された状態とすることできる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、車両用電力供給制御装置の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の車両用電力供給制御装置の各部の説明において、第1実施形態の車両用電力供給制御装置1の各部と同様の構成要素については同一符号を付し、詳細な説明を省略する。以下、第1実施形態の車両用電力供給制御装置1との相違点を中心に説明する。
【0055】
図4に示されるように、第2実施形態に係る車両用電力供給制御装置1Aは、電気自動車Vに搭載されている。車両用電力供給制御装置1Aは、供給制御ECU2A、第1インターロック回路3、第2インターロック回路4、遮断回路5、撮像部10を備えている。
【0056】
撮像部10は、電気自動車Vの周りを撮像する撮像機器である。撮像部10は、例えば、ドライブレコーダ、電気自動車Vの運転支援を行うためのカメラ(一例としてアラウンドビューモニタ用のカメラ)等であってもよい。撮像部10は、少なくとも、電気自動車Vに対して整備作業を行う作業者を撮像可能となっている。
【0057】
供給制御ECU2Aは、インターロック検出部21、車速検出部22、電力供給制御部23A、整備作業認識部24、位置情報取得部25、停車位置判定部26、及び整備作業情報取得部27を備えている。
【0058】
整備作業認識部24は、撮像部10によって撮像された撮像画像に基づいて、作業者が電気自動車Vの第1電子機器6及び第2電子機器7の少なくともいずれかに対して整備作業を行っているか否かを認識する。ここでは、整備作業認識部24は、周知の画像認識技術に基づいて、作業者が整備作業を行っているか否かを撮像画像から認識することができる。
【0059】
位置情報取得部25は、電気自動車Vの現在の位置情報を取得する。例えば、電気自動車VがGPS(Global Positioning System)受信部11を搭載している場合、GPS受信部11で取得された信号に基づいて電気自動車Vの位置情報を取得してもよい。位置情報取得部25は、GPS受信部11以外にも、周知の方法によって電気自動車Vの位置情報を取得してもよい。
【0060】
停車位置判定部26は、電気自動車Vが停車した場合、位置情報取得部25で取得された位置情報及び地図情報に基づいて、電気自動車Vが退避スペース又は駐車スペースに停車しているか否かを判定する。例えば、停車位置判定部26は、地図情報として、電気自動車Vに搭載された地図記憶部12が記憶する地図情報を用いることができる。なお、地図記憶部12は、退避スペース又は駐車スペース等の種々の地図に関する情報が含まれた地図情報を記憶している。また、退避スペースとは、走行車線の側方に設けられたスペース等、電気自動車Vが停車可能なスペースである。また、駐車スペースとは、電気自動車Vが駐車可能なスペースであり、整備工場等の各種の施設に設けられた駐車スペース及び整備のためのスペースを含む。
【0061】
整備作業情報取得部27は、電気自動車Vに対して作業者が整備作業を行っていることを示す整備作業情報を取得する。ここで、整備作業情報取得部27は、例えば、電気自動車Vの運行を管理する運行管理会社のシステムにおいて当該電気自動車Vが整備中である旨の情報が設定されている場合、当該情報を整備作業情報として取得してもよい。整備作業情報取得部27は、例えば、電気自動車Vに搭載された通信部13を介して整備作業情報を取得することができる。整備作業情報は、整備作業を行う作業者が車両用電力供給制御装置1Aに対して直接入力した情報であってもよい。
【0062】
電力供給制御部23Aは、予め定められた遮断条件が成立した場合、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する。この遮断条件には、次の第1遮断条件、第2遮断条件、及び第3遮断条件が含まれている。遮断条件が成立した場合とは、次の第1遮断条件、第2遮断条件、及び第3遮断条件の少なくともいずれかが成立した場合である。
【0063】
(第1遮断条件)
まず、第1遮断条件について説明する。電力供給制御部23Aは、インターロック検出部21によってインターロックが検出された後、車速検出部22によって検出された車速が0であり、且つ整備作業認識部24において作業者による整備作業が行われていると認識されたか否かを第1遮断条件として用いる。第1遮断条件が成立した場合、電力供給制御部23Aは、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する。
【0064】
(第2遮断条件)
次に、第2遮断条件について説明する。電力供給制御部23Aは、インターロック検出部21によってインターロックが検出された後、車速検出部22によって検出された車速が0であり、且つ停車位置判定部26によって退避スペース又は駐車スペースに電気自動車Vが停車していると判定されたか否かを第2遮断条件として用いる。電力供給制御部23Aは、第2遮断条件が成立した場合、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する。
【0065】
(第3遮断条件)
次に、第3遮断条件について説明する。インターロック検出部21によってインターロックが検出された後、車速検出部22によって検出された車速が0であり、且つ整備作業情報取得部27によって整備作業情報が取得されているか否かを第3遮断条件として用いる。電力供給制御部23Aは、第3遮断条件が成立した場合、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する。
【0066】
このように、電力供給制御部23Aは、第1遮断条件~第3遮断条件の少なくともいずれかが成立した場合に電力の供給を遮断することにより、インターロックが検出された後、作業者が整備作業を行っている時には電力の供給が遮断された状態とすることができる。
【0067】
次に、インターロックが検出された場合の電力の供給の遮断処理の流れについて説明する。なお、図5に示されるフローチャートは、電気自動車Vの走行開始と共に実行が開始される。
【0068】
図5に示されるように、インターロック検出部21は、第1電子機器6及び第2電子機器7におけるインターロックの発生の有無を検出する(S201)。インターロックが検出されない場合(S201:NO)、インターロック検出部21は、インターロックが検出されるまでS201の処理を繰り返す。
【0069】
インターロック検出部21においてインターロックが検出された場合(S201:YES)、電力供給制御部23は、車速検出部22によって検出された車速が0であるか否かを判定する(S202)。車速が0の場合(S202:YES)、電力供給制御部23Aは、遮断条件が成立したか否かを判定する(S203)。電力供給制御部23Aは、上述した第1遮断条件~第3遮断条件の少なくともいずれかが成立した場合に、遮断条件が成立したと判定する。
【0070】
遮断条件が成立したと判定された場合(S203:YES)、電力供給制御部23Aは、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給を遮断する(S204)。一方、遮断条件が成立していない場合(S203:NO)、電力供給制御部23Aは、S202の処理へ戻り上述した処理を行う。
【0071】
また、S202において車速が0でないと判定された場合(S202:NO)、電力供給制御部23Aは、S202の処理へ戻り上述した処理を行う。
【0072】
以上のように、この車両用電力供給制御装置1Aでは、インターロックが検出された後、電力供給制御部23Aにおいて第1遮断条件が成立したと判定された場合、電力の供給が遮断される。これにより、インターロック検出部21によってインターロックが検出された場合であっても、車速が0であり且つ整備作業認識部24において作業者による整備作業が行われていると認識されるまでは、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給が遮断されない。つまり、インターロックが生じたとインターロック検出部21によって検出された場合であっても、作業者が整備作業を開始したことが撮像画像に基づいて認識されるまでは電力の供給の遮断がすぐには行われず、できるだけ第1電子機器6及び第2電子機器7を機能させた状態が維持される。このように、第1電子機器6等の機能ができるだけ維持されることにより、電力の供給が遮断されるまでは電気自動車Vの走行等が可能となる。一方、電力供給制御部23Aは、整備作業認識部24において作業者が整備作業を行っていると認識されたとき、つまり実際に作業者が整備作業を行っているときには、電力の供給を遮断する。このように、車両用電力供給制御装置1Aは、第1電子機器6及び第2電子機器7についてインターロックが検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0073】
また、車両用電力供給制御装置1Aでは、インターロックが検出された後、電力供給制御部23Aにおいて第2遮断条件が成立したと判定された場合、電力の供給が遮断される。これにより、インターロック検出部21によってインターロックが検出された場合であっても、車速が0であり且つ停車位置判定部26によって退避スペース又は駐車スペースに電気自動車Vが停車していると判定されるまでは、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給が遮断されない。つまり、インターロックが生じたとインターロック検出部21によって検出された場合であっても、作業者による整備作業が可能な退避スペース又は駐車スペースに停車していると判定されるまでは電力の供給の遮断がすぐには行われず、できるだけ第1電子機器6及び第2電子機器7を機能させた状態が維持される。このように、第1電子機器6等の機能ができるだけ維持されることにより、電力の供給が遮断されるまでは電気自動車Vの走行等が可能となる。一方、電力供給制御部23Aは、電気自動車Vが退避スペース又は駐車スペースに停車しており作業者による整備作業が可能な状態であるときには、電力の供給を遮断する。このように、車両用電力供給制御装置1Aは、第1電子機器6及び第2電子機器7についてインターロックが検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0074】
また、車両用電力供給制御装置1Aでは、インターロックが検出された後、電力供給制御部23Aにおいて第3遮断条件が成立したと判定された場合、電力の供給が遮断される。これにより、インターロック検出部21によってインターロックが検出された場合であっても、車速が0であり且つ電気自動車Vに対して作業者が整備作業を行っていることを示す整備作業情報が取得されるまでは、高電圧電池8から第1電子機器6及び第2電子機器7への電力の供給が遮断されない。つまり、インターロックが生じたとインターロック検出部21によって検出された場合であっても、整備作業情報が取得されるまでは電力の供給の遮断がすぐには行われず、できるだけ第1電子機器6及び第2電子機器7を機能させた状態が維持される。このように、第1電子機器6等の機能ができるだけ維持されることにより、電力の供給が遮断されるまでは電気自動車Vの走行等が可能となる。一方、電力供給制御部23Aは、整備作業情報が取得されて作業者による整備作業が行われているときには、電力の供給を遮断する。このように、車両用電力供給制御装置1Aは、第1電子機器6及び第2電子機器7についてインターロックが検出された場合、より適切なタイミングで電力の供給を遮断できる。
【0075】
また、電力供給制御部23Aは、第1遮断条件~第3遮断条件のうち、2以上の条件が成立した場合に電力の供給を遮断することにより、作業者が整備作業を行う時点においてより確実に電力の供給が遮断された状態とすることができる。
【0076】
また、第1実施形態における車両用電力供給制御装置1及び第2実施形態における車両用電力供給制御装置1Aは、電気自動車Vのシフトレバーの位置を用いずに、電力の供給を遮断する。例えば、電気自動車Vが駐車している状態であっても、外部環境(寒冷地であるか否か等)や、運転者の癖等によってシフトレバーの位置が特定の位置にセットされていない場合がある。このような状況において、シフトレバーの位置に基づいて電力の供給を遮断しようとすると、適切に遮断できないことがある。これに対し、車両用電力供給制御装置1及び1Aは、電気自動車Vのシフトレバーの位置を用いないため、より適切に電力の供給を遮断できる。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、電気自動車Vには、第1電子機器6及び第2電子機器7の2つの高電圧機器が搭載されていたが、電気自動車Vに搭載される電子機器の数は2つに限定されない。例えば、電気自動車Vには、高電圧機器として1つの電子機器のみが搭載されていてもよく、3つ以上の電子機器が搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1,1A…車両用電力供給制御装置、3…第1インターロック回路(インターロック回路)、4…第2インターロック回路(インターロック回路)、6…第1電子機器(電子機器)、7…第2電子機器(電子機器)、8…高電圧電池(車載電池)、10…撮像部、21…インターロック検出部、21a…第1インターロック検出部、21b…第2インターロック検出部、22…車速検出部、23,23A…電力供給制御部、24…整備作業認識部、25…位置情報取得部、26…停車位置判定部、27…整備作業情報取得部、62…第1ケース(ケース)、72…第2ケース(ケース)、L…電源ハーネス、V…電気自動車。
図1
図2
図3
図4
図5