(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-03-01
(54)【発明の名称】低電力センサメモリ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/26 20060101AFI20240219BHJP
G01N 27/416 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G01N27/26 351J
G01N27/26 391Z
G01N27/416 302M
(21)【出願番号】P 2020199877
(22)【出願日】2020-12-01
【審査請求日】2023-11-24
(32)【優先日】2019-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ショーン・イー.・ドリス
(72)【発明者】
【氏名】ケント・エヴェンス
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特公昭50-13097(JP,B1)
【文献】特公昭50-13095(JP,B1)
【文献】実公昭57-025188(JP,Y1)
【文献】実公昭54-11900(JP,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0076413(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0332141(US,A1)
【文献】特表2005-510886(JP,A)
【文献】特開平3-78662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26
G01N 27/416
G01R 22/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラメータを測定するように構成されたセンサと、
前記パラメータが所定の範囲外であるときの1つ以上の発生を記録するように構成されたメモリであって、
ワイヤと、
対電極と、
電解質と、を備える、メモリと、を備え、
前記ワイヤ及び前記対電極が、前記センサから電圧を受け取るように構成され、
前記電圧が、前記ワイヤと前記対電極との間に電流を生成し、
前記電流は、前記パラメータが前記所定の範囲外であるとき、前記ワイヤ、前記対電極、又はそれらの両方において電気化学反応を引き起こし、
前記電気化学反応が、前記ワイヤの腐食を引き起こし、それが、前記ワイヤのコンダクタンスを減少させる、センサシステム。
【請求項2】
前記メモリが、前記パラメータの値を記録しない、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記パラメータが前記所定の範囲外であるときに前記ワイヤの特性を変化させる前記電気化学反応を起こすように構成されている導体を含み、
前記対電極は、前記パラメータが前記所定の範囲外であるときに酸化される、還元される、又はそれらの両方であるように構成されている酸化還元活性物質を含み、
前記電解質が、溶解塩を有する水、溶解塩を有する有機溶媒、溶解塩を有するポリマー、イオン伝導性無機固体、又はイオン性液体を含む、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記ワイヤと前記対電極との間に少なくとも部分的に位置付けされた膜を更に備え、前記膜が、前記電解質の2つの領域間のイオンの流れを許容し、前記膜が、イオン選択性膜、イオン伝導性ガラス、又はポリマー膜を含む、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記電解質から前記ワイヤの一部分を、前記電解質から前記対電極の一部分を、又はそれらの両方を絶縁するように構成されている誘電体層を更に備え、前記誘電体層が、テープ、ポリマーコーティング、又はプラスチック積層体を含む、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記センサが、前記パラメータに少なくとも部分的に基づいている前記電圧を出力し、前記電気化学反応が、前記ワイヤの特性を変化させる、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記電気化学反応が、前記ワイヤの酸化を含む、前記ワイヤにおける半反応を含む、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記電気化学反応が、前記ワイヤ内のキャリア移動度の不可逆的変化をもたらす酸化又は還元を含む、前記ワイヤにおける半反応を含む、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項9】
前記電気化学反応が、前記ワイヤを機械的に損傷し、前記ワイヤの前記特性を低下させる気泡を生成する、前記ワイヤにおける半反応を含み、前記特性が導電率を含む、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項10】
前記電気化学反応が、前記ワイヤの前記特性を変化させる電気めっき反応又は電着反応を含む、前記ワイヤにおける半反応を含む、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項11】
前記電気化学反応が、還元反応を含む、前記対電極における半反応を含む、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項12】
前記電気化学反応が、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)の還元と、それに続く、還元されたPEDOTと酸素との実質的に不可逆的反応を含む、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項13】
前記特性の前記変化が、実質的に不可逆である、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項14】
前記特性の前記変化が、少なくとも部分的に可逆である、請求項6に記載のセンサシステム。
【請求項15】
前記特性が、前記コンダクタンスを含み、前記コンダクタンスは、前記パラメータが前記所定の範囲外である第1の発生に応答して、第1の値から第2の値へ減少し、前記コンダクタンスが、その後、前記メモリへの電圧の印加に応答して、前記第1の値と前記第2の値との間にある第3の値へ増加するように構成されている、請求項14に記載のセンサシステム。
【請求項16】
パラメータを測定し、前記パラメータの関数である電圧を出力するように構成されたセンサであって、前記パラメータが、温度、圧力、湿度、水分、振動、衝撃、光、酸素、濃度、pH、及び塩分からなる群から選択される、センサと、
前記センサに接続されたメモリであって、
金属又は半導体を含むワイヤと、
酸化還元活性物質を含む対電極と、
前記ワイヤ及び前記対電極と接触している電解質と、を備える、メモリと、備え、
前記ワイヤ及び前記対電極が、前記センサから前記電圧を受け取るように構成され、
前記電圧が、前記ワイヤと前記対電極との間に電流を生成し、
前記電流は、前記パラメータが所定の範囲外であるとき、前記ワイヤ、前記対電極、又はそれらの両方において電気化学反応を引き起こし、
前記電気化学反応が、前記ワイヤの腐食を引き起こし、それが、前記ワイヤの特性を変化させ、
前記特性が、抵抗、コンダクタンス、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス、及び色からなる群から選択される、センサシステム。
【請求項17】
変化した前記コンダクタンスは、前記パラメータが前記所定の範囲外であったときの1つ以上の現在又は過去の発生を示す、請求項16に記載のセンサシステム。
【請求項18】
前記コンダクタンスの値は、前記パラメータが前記所定の範囲外であったときの前記発生の数に対応する、請求項17に記載のセンサシステム。
【請求項19】
パラメータを測定し、前記パラメータの関数である電圧を出力するように構成されたセンサと、
前記センサに接続されたメモリであって、前記メモリが電気化学セルを含み、前記メモリが、前記パラメータの値は記録せずに、前記パラメータが所定の範囲外であるときの1つ以上の過去の発生を記録するように構成されており、前記メモリが、
銀を含むワイヤと、
ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸を含む対電極と、
硝酸ナトリウムを含む電解質であって、前記電解質が前記ワイヤ及び前記対電極と接触している、電解質と、
前記ワイヤと前記対電極との間の膜であって、前記膜が、前記電解質の2つの別個の領域間のイオンの流れを許容する、膜と、
前記ワイヤ又は前記対電極の少なくとも一部を前記電解質から絶縁するように構成された誘電体層と、を含む、メモリと、を備え、
前記ワイヤ及び前記対電極が、前記センサから前記電圧を受け取るように構成され、
前記電圧が、前記ワイヤと前記対電極との間に電流を生成し、
前記電流は、前記パラメータが前記所定の範囲外であるとき、前記ワイヤ、前記対電極、又はそれらの両方において電気化学反応を引き起こし、
前記電気化学反応が、前記ワイヤの腐食を引き起こし、それが、前記ワイヤのコンダクタンスを減少させ、
前記コンダクタンスの値は、前記パラメータが前記所定の範囲外であったときの前記発生の数に対応する、センサシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概して、センサ用のメモリに関し、より具体的には、所定の範囲外である、センサによる測定の過去及び現在の発生を記録することができるセンサ用の低電力メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器を用いたセンサの連続的な監視及び/又はロギングは、電力(典型的には、従来の低電力電子機器であっても10~100μA)を必要とする。結果として、連続的な監視を目的としたセンサ(本明細書ではセンサタグとも呼ばれる)は、電池又はエネルギーハーベスティング要素を含まなければならない。これは、センサのコスト及び複雑さを増加させ、そのため、センサの利用可能な用途を制限する。一方、近距離無線通信(near-field communication、NFC)センサ又は無線周波数識別(radio-frequency identification、RFID)センサなどの受動的に給電されるセンサは、バッテリなしで動作させることができる。しかしながら、これらのセンサは、現在のセンサ状態に関する情報を提供するのみである(すなわち、過去の測定値ではない)。
【発明の概要】
【0003】
以下は、本教示の1つ以上の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために、簡略化された概要を提示する。この概要は、広範な概略ではなく、本教示の主要な又は重要な要素を識別することも、本開示の範囲を明示することも意図していない。むしろ、その主要な目的は、単に、後に提示される詳細な説明の序文として、簡略化された形態で1つ以上の概念を提示するだけである。
【0004】
センサシステムが開示されている。センサシステムは、パラメータを測定するように構成されたセンサを含む。センサシステムはまた、パラメータが所定の範囲外であるときの1つ以上の発生を記録するように構成されたメモリを含む。メモリは、ワイヤ、対電極、及び電解質を含む。
【0005】
別の実施形態では、センサシステムは、パラメータを測定し、パラメータの関数である電圧を出力するように構成されたセンサを含む。パラメータは、温度、圧力、湿度、水分、振動、衝撃、光、酸素、濃度、pH、及び塩分からなる群から選択される。センサシステムはまた、センサに接続されたメモリを含む。メモリは、金属又は半導体を含むワイヤを含む。メモリはまた、酸化還元活性物質を含む対電極を含む。メモリはまた、ワイヤ及び対電極と接触する電解質を含む。ワイヤ及び対電極は、センサから電圧を受け取るように構成されている。電圧は、ワイヤと対電極との間に電流を生成する。電流は、パラメータが所定の範囲外であるとき、ワイヤ、対電極、又はそれらの両方における電気化学反応を引き起こす。電気化学反応は、ワイヤの特性を変化させる。特性は、抵抗、コンダクタンス、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス、及び色からなる群から選択される。
【0006】
別の実施形態では、センサシステムは、パラメータを測定し、パラメータの関数である電圧を出力するように構成されたセンサを含む。センサシステムはまた、センサに接続されたメモリを含む。メモリは、電気化学セルを含む。メモリは、パラメータの値を記録することなく、パラメータが所定の範囲外であるときの、1つ以上の過去の発生を記録するように構成されている。メモリは、銀を含むワイヤを含む。メモリはまた、ポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸を含む対電極を含む。メモリはまた、硝酸ナトリウムを含む電解質を含む。電解質は、ワイヤ及び対電極と接触している。メモリはまた、ワイヤと対電極との間に膜を含む。膜は、電解質の2つの別個の領域間のイオンの流れを許容する。メモリはまた、ワイヤ又は対電極の少なくとも一部分を電解質から絶縁するように構成された誘電体層を含む。ワイヤ及び対電極は、センサから電圧を受け取るように構成されている。電圧は、ワイヤと対電極との間に電流を生成する。電流は、パラメータが所定の範囲外であるとき、ワイヤ、対電極、又はそれらの両方において電気化学反応を引き起こす。電気化学反応は、ワイヤの腐食を引き起こし、それは、ワイヤのコンダクタンスを低下させる。コンダクタンスの値は、パラメータが所定の範囲外であったときの発生の数に対応する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は、本教示の実施形態を示し、説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【0008】
【
図1】実施形態による、センサシステムの概略図を描写する。
【0009】
【
図2】実施形態による、センサシステムのメモリの概略図を描写する。
【0010】
【
図3A】実施形態による、異なる入力電圧V
in値での、時間に対するワイヤを通る電流I
wireを示すグラフを描写する。
【0011】
【
図3B】実施形態による、より長い期間にわたって拡張された
図3Aのグラフを示すグラフを描写する。
【0012】
【
図4】実施形態による、異なる電圧値V
inでの、時間に対するワイヤを通る電流(I
wire)を示すグラフを描写する。
【0013】
【
図5A】実施形態による、異なる入力電圧V
inに対する電流I
wireを示すグラフを図示する。
【0014】
【
図5B】実施形態による、入力電圧V
inの関数としての電流I
wireの5%減少に必要とされる時間を示すグラフを図示する。
【0015】
【
図5C】実施形態による、入力電圧V
inに対する平均電流I
corrを示すグラフを図示する。
【0016】
【
図5D】実施形態による、入力電圧V
inに対するワイヤの完全腐食に必要とされる総電荷を示すグラフを図示する。
【0017】
【
図6A】実施形態による、センサ及びメモリを含む別のセンサシステムを図示する。
【0018】
【
図6B】実施形態による、別のセンサシステムを図示する。
【0019】
【
図6C】実施形態による、異なるオフセット電圧及び回路極性が使用されるときの、
図6Bのセンサシステムの総出力電圧を示すグラフを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
ここで、本教示の例示の実施形態を詳細に参照し、この実施例を添付図面に示す。可能な限り、同じ参照番号が、同じ、類似、又は同様の部分を指すように図面全体にわたって使用される。
【0021】
本開示は、所定の範囲の外側(例えば、極端なセンサ測定値)にあるセンサによる1つ以上の測定値の発生を記録することができる低電力、低コストセンサシステムに向けられている。これにより、ユーザは、例えば、測定装置(例えば、RFID読み取り機)で測定値を読み取り、個別の電池を必要とせずに電流センサ測定値及び過去のセンサ測定値の両方を得ることが可能になる。
【0022】
本明細書に開示されるセンサシステムは、能動センサシステム、受動センサシステム、及び非電気センサシステム(測定されたパラメータが閾値を横切るときに変化する特性を有する)の利点を提供し得る。例えば、センサシステムは、センサ測定値が所定の範囲外であった過去の発生を含むセンサ履歴の無線電子監視を可能にし得る。センサシステムはまた、既存のRFIDチップに既に存在するものを超えて、個別の電池又はエネルギーハーベスティング要素を必要としない。更に、センサシステムは、電圧を出力する任意のセンサとインターフェースすることができる(すなわち、カスタムセンサが、このセンサシステムと共に働くために特別に開発されなくてもよい)。そのうえ更に、センサシステムは、現在及び次世代の無線通信プロトコルの両方とインターフェースすることができる(すなわち、プロトコル非依存)。
【0023】
図1は、実施形態による、センサシステム100の概略図を描写する。センサシステム100は、例えば、医薬品サプライチェーン、電子製品及び/又は消費財、環境監視、壁内/ビル内漏れ検出、などに使用され得る。センサシステム100は、1つ以上のパラメータを測定するように構成されているセンサ110を含み得る。パラメータは、それと関連付けられた値を有する物理的属性であってもよく、又はそれを含んでもよい。より具体的には、パラメータは、温度、圧力、湿度、水分、振動、衝撃、光、酸素、気体の圧力又は濃度、pH、塩分、1つ以上の溶解イオンの濃度、1つ以上の小分子の濃度、又は1つ以上の生体分子(例えば、DNA、RNA、ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質)の濃度であってもよく、又はこれらを含んでもよい。パラメータは、物体130に関連し得る。一実施例では、物体130は、冷凍されたままであることを意図した食品のパッケージであってもよく、センサ110は、冷凍されたままであるかどうかを監視するために食品のパッケージの温度を測定するように構成され得る。
【0024】
センサシステム100はまた、センサ110に接続されたメモリ(メモリ要素とも呼ばれる)120を含み得る。メモリ120は、センサ110によって測定されたパラメータを記録する(例えば、記憶する)ように構成され得る。より具体的には、メモリ120は、センサ110によって測定されたパラメータが所定の範囲外であるときに、パラメータを記録するように構成されてもよい。あるいは、メモリ120は、偏倚の正確な値又は程度を記録してもしなくても、センサ偏倚(すなわち、センサ110によって測定されたパラメータが所定の範囲外であること)の発生を記録するように構成されてもよい。上記の例を続けると、メモリ120は、パラメータ(例えば、温度)が上側閾値(例えば、0℃)を超えるときを記録するように構成されてもよい。メモリ120はまた、又は代わりに、パラメータ(例えば、温度)が下側閾値を下回るときに記録するように構成されてもよい。少なくとも1つの実施形態では、複数のメモリ要素120を同じセンサ110に接続して、複数の上側及び/又は下側センサ制限を監視することができる。
【0025】
図2は、実施形態による、センサシステム100のメモリ120の概略図を描写する。メモリ120は、電気化学セルであってもよく、又は電気化学セルを含んでもよい。メモリ120は、ワイヤ210、対電極220、及び電解質230を含み得る。ワイヤ210は、長さを画定する導体であってもよく、又はそれを含んでもよく、長さは、閉じた周囲に形成可能であり得る。ワイヤ210は、ワイヤ210の特性を変化させる電気化学反応を起こすことができる。特性は、それと関連付けられた値を有するワイヤ210の物理的属性であってもよく、又はそれを含んでもよい。特性(その物理的属性)は、パラメータ(その物理的属性)と異なってもよい。例えば、特性は、抵抗/コンダクタンス、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス、色、又はこれらの組み合わせであってもよく、又はそれらを含んでもよい。ワイヤ210は、金属又は半導体であってもよく、金属、有機半金属、無機半金属、有機半導体、高分子半導体、及び無機半導体を含むことができる。より具体的には、ワイヤ210は、銀、銅、アルミニウム、シリコン、ニッケル、炭素、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。あるいは、ワイヤ210は、PEDOT:PSSを含んでもよい。本明細書で使用するとき、PEDOT:PSSは、2つのイオノマーの高分子混合物であるか、又はそれを含み得るポリ(3、4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸を指す。一実施例では、ワイヤ210は、約20μm~約500μmの幅を有する印刷された銀ワイヤであってもよく、又はそれを含んでもよい。ワイヤ210は、とりわけ、様々な印刷技法(例えば、インクジェット、グラビア、フレキソ、スクリーン、ゼログラフィ、レーザ、など)、電着、無電解堆積、スパッタリング、蒸着、及びラミネーションを含む、多種多様なアプローチを使用して、基材上に製造することができる。
【0026】
対電極220は、ボルタンメトリック分析又は電流が流れる他の反応用のマルチ(例えば、3つの)電気化学セル内の電極であってもよく、又はそれを含んでもよい。対電極220は、酸化又は還元され得る材料であってもよく、又はこれを含んでもよい。あるいは、対電極220は、電解質230又は電解質230に溶解された種が酸化又は還元されることを可能にする集電体として機能してもよい。対電極220は、フェリシアニド/フェロシアニド、ヨウ化物、三ヨウ化物、ビオロゲン及びその派生物、ビオロゲン及びその派生物、金属及びそれらの塩(例えば、銀、アルミニウム、金、銅、ニッケル)、酸化還元活性無機固体(例えば、プルシアンブルー、インターカレーション材料、金属酸化物、金属リン酸塩)を含む、広範囲の酸化還元活性物質を含み得る。一実施例では、対電極120は、印刷されたPEDOT:PSSであってもよく、又はこれを含んでもよい。
【0027】
電解質230は、イオンを含有し、電気分解によって分解することができる液体又はゲルであり得る。電解質230は、溶解塩(例えば、NaNO3、Na2SO4、NaCl、及びその他)を有する水、溶解塩を有する有機溶媒、溶解塩を有するポリマー、イオン伝導性無機固体、イオン性液体、又はこれらの混合物若しくは複合物であってもよく、又はそれらを含んでもよい。例えば、電解質230は、硝酸でpH約3に調整された水中の0.1MNaNO3であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0028】
一実施形態では、電解質230の導電率は、測定されたパラメータ(例えば、湿度、水分、温度、など)の関数であってもよく、腐食電流Icorrはまた、入力電圧Vinの変化の代わりに又はそれに加えて、電解質230の導電率の変化を介して制御されてもよい。腐食電流Icorr及び入力電圧Vinは、以下でより詳細に説明される。
【0029】
膜250は、ワイヤ210と対電極220との間に配置され得、電解質230の2つの別個の領域間の少なくともいくつかのイオンの流れを許容する。膜250は、薄い、軟質の、柔軟なシート又は層であってもよく、又はそれを含んでもよい。例えば、膜250は、イオン選択性膜、イオン伝導性ガラス、又はポリマー膜であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0030】
誘電体層260を使用して、電解質230からワイヤ210及び/又は対電極220のリード線を絶縁することができる。誘電体層260は、印加された電界によって分極され得る電気絶縁体であってもよく、又はそれを含んでもよい。誘電体層260は、電解質230がリード線に到達することを阻止する任意の好適な有機又は無機材料であってもよく、又はそれを含んでもよい。例えば、誘電体層260は、ワイヤ210のリード線を電解質230から絶縁するために使用されるテープであってもよく、又はこれを含んでもよい。別の実施例では、誘電体層260としてポリマーコーティング又はプラスチック積層体を使用することができる。
【0031】
センサ110は、測定されたパラメータ(例えば、温度)の関数であり得る電圧を出力してもよい。出力電圧は、パラメータに正比例するか、反比例するか、又はパラメータ上の非線形様式に依存してもよい。センサ110からの電圧は、
図2に示すように、入力電圧(V
in)としてメモリ120に受け取られ得る。上記実施例では、物体130の温度が上昇するにつれて、入力電圧V
inも上昇し、物体130の温度が低下するにつれて、入力電圧V
inも低下する。別の例では、物体130の温度が上昇するにつれて、入力電圧V
inが低下し、物体130の温度が低下するにつれて、入力電圧V
inが増加する。入力電圧V
inは、ワイヤ210及び対電極220に接続され得る(例えば、間に)。
【0032】
入力電圧Vinは、ワイヤ210と対電極220との間に電流(Icorr)を生じさせ得る。電流Icorrの少なくとも一部(例えば、電子の正味の流れ)は、ワイヤ210及び対電極220における電気化学反応に関与し得る。これらの電気化学反応は、抵抗/コンダクタンス、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス、色、又はこれらの組み合わせを含む、ワイヤ210の測定可能な特性を変化させ得る。電気化学反応の速度は、入力電圧Vin、したがって測定されたパラメータ(例えば、温度)に依存する。
【0033】
ワイヤ210及び対電極220で発生する半反応の任意の組み合わせについて、半反応の速度が無視できる入力電圧V
inの範囲が存在する。この範囲の負(例えば、ワイヤで発生する酸化反応の場合)又は正(例えば、ワイヤで発生する還元反応の場合)である入力電圧V
inでは、電気化学反応の速度は無視できないものであり、ワイヤの特性の変化が発生する。このため、この無視できない電圧範囲で入力電圧V
inをもたらす測定されたパラメータは、所定の範囲外であると定義される。所与のセンサ110及びメモリ120について、パラメータの所定の範囲は、センサ入力の極性を反転させることによって(すなわち、センサの正端子をV-inの負端子に接続する)、及び/又はセンサ110と直列に一定電圧源を加えることによって(以下に説明され、
図6B及び
図6Cに描写されるように)、パラメータの所定の範囲をシフトさせることができる。
【0034】
一実施形態では、第1の半反応は、金属の酸化(例えば、Ag=>Ag++e-又はCu=>Cu2++2e-)であってもよく、又はそれを含んでもよいワイヤ210で/において発生し得る。別の実施形態では、ワイヤ210で発生する半反応は、ワイヤ210内のキャリア移動度の不可逆的変化をもたらす酸化又は還元を含み得、例えばPEDOT:PSSの過酸化などである。更に別の実施形態では、ワイヤ210で発生する半反応は、ガス気泡を生成することができ、この気泡は、今度はワイヤ210を機械的に損傷し、その導電率を低減する。更に別の実施形態では、ワイヤ210で発生する反応は、ワイヤ210の特性を変化させる電気めっき又は電着反応であってもよい。加えて、いずれかの酸化又は還元反応であってもよく、又はそれを含んでもよい、第2の半反応が対電極220で/において発生する場合がある。例示的な還元反応は、PEDOTの還元(PEDOT++e-<==>PEDOT)と、それに続く還元されたPEDOTの酸素との不可逆的反応(酸性媒体において、4PEDOT+O2+4H+=>4PEDOT++2H2O及び2PEDOT+O2+2H+=>2PEDOT++H2O2)であり得、又はそれを含み得る。
【0035】
電流Icorr及び/又は半反応は、ワイヤ210内の金属腐食を引き起こし得る。ワイヤ210内の金属腐食は、メモリ120の1つ以上の特性を変化させ得る。例えば、ワイヤ210内の金属腐食は、ワイヤ210の1つ以上の特性を変化させ得る。変化するワイヤ210の特性は、例えば、抵抗、コンダクタンス、インピーダンス、キャパシタンス、インダクタンス、色、又はこれらの組み合わせであり得るか、又はそれらを含み得る。例えば、ワイヤ210の金属腐食が増加すると、ワイヤ210の抵抗が増加し、ワイヤ210のコンダクタンスが減少し得る。
【0036】
このため、測定されたパラメータが所定の範囲外(例えば、0℃超)であるとき、センサ110から受け取られる入力電圧Vinは、メモリ120内の1つ以上の半反応を引き起こす電流Icorrを生成し得る。半反応は、ワイヤ210を腐食させ得る。腐食は、ワイヤ210の特性を変える(例えば、抵抗を増加させる及び/又はコンダクタンスを減少させる)。
【0037】
次いで、ユーザは、メモリ120の特性を測定することができる。例えば、ユーザは測定装置(例えば、無線周波数識別(RFID)回路)240をワイヤ210に接続して、ワイヤ210を通る電流(Iwire)を測定して、ワイヤ210の抵抗及び/又はコンダクタンスを判定することができる。以下により詳細に記載されるように、測定された特性(例えば、抵抗及び/又はコンダクタンス)が、測定されたパラメータの現在及び/又は過去の発生が所定の範囲外であることを示し得る。
【0038】
より具体的には、
図3Aは、実施形態による、異なる入力電圧V
in値での、時間に対するワイヤ210を通る電流I
wireを示すグラフ300を描写する。
図3Aに示す例では、測定装置240は、対電極220に印加される入力電圧V
inが変化している間に、ワイヤ210を横切って10mVのバイアス電圧を印加する。ワイヤ210を通る電流I
wireは、V
in=0.0、V
in=-0.1、及びV
in=-0.5Vでは比較的一定のままである。しかしながら、ワイヤ210を通る電流I
wireは、V
in=-1.0Vで急速に減少した(例えば、0mAまで)。値V
in=0.0、V
in=-0.1、及びV
in=-0.5Vは、測定されたパラメータが所定の範囲内にあることに対応し、値V
in=-1.0Vは、測定されたパラメータが所定範囲外であることに対応する。
【0039】
図3Bは、実施形態による、より長い期間にわたって拡張された
図3Aのグラフ300を示すグラフ350を描写する。グラフ350は、電流I
wireが0mAに降下した後に、V
in=0V及びV
in=0.5Vの印加を含む。見られるように、V
in=0V及びV
in=0.5Vの印加は、電流I
wireが0mAのままであるため、ワイヤ210のコンダクタンスを増加させない。結果として、ユーザが測定装置240からの読み取り値を見るとき(例えば、グラフ350において)、ユーザは、ワイヤ210の低下したコンダクタンスにより、パラメータがセンサ110によって少なくとも1回所定の範囲外で測定されたと結論付けることができる。
【0040】
この例では、ワイヤ210のコンダクタンスの減少は、実質的に不可逆的である。ワイヤ210のコンダクタンスの不可逆的変化は、2つの方法、1)銀イオンと反応して、銀ワイヤ210から電気的に絶縁された酸化銀化合物を堆積させる電解質230を選択し、それにより後で金属銀に還元されるのを防止することによって、及び2)不可逆的対電極反応を使用して電圧反転中の逆方向電流を制限すること、で得ることができる。
【0041】
図4は、ワイヤ210のコンダクタンスの変化が可逆的である、異なる例の結果を示す。より具体的には、
図4は、実施形態による、異なる電圧値V
inでの、時間に対するワイヤ210を通る電流I
wireを示すグラフ400を描写する。
図4の例は、対電極220での可逆的酸化還元反応(例えば、3I
-<=>I
2+I
-+2e
-)を伴う。
【0042】
図示のように、V
in=-0.2Vの入力電圧が、時間=0分で印加されている。これは、
図3A及び
図3Bのように、ワイヤ210を通る電流I
wireを0mAに急速に減少させる。しかしながら、より高い入力電圧V
inが印加されるとき、ワイヤ210のコンダクタンスの減少は、少なくとも部分的に逆転され得る。より具体的には、時間=20分におけるV
in=+0.6Vの後続入力電圧は、電流I
wireを約0.6mAに増加させる。このため、
図3A及び
図3Bに示される例とは異なり、
図4のワイヤ210のコンダクタンスは、少なくとも部分的に可逆的である。V
in=-0.2Vの別の入力電圧が時間=40分で印加され、電流I
wireを再び0mAまで急速に減少させる。時間=80分でのV
in=+0.6Vの別の入力電圧は、電流I
wireを約0.3mAに増加させる。
【0043】
この例では、値Vin=+0.6Vは、測定されたパラメータが所定の範囲内であることに対応し、値Vin=-0.2Vは、測定されたパラメータが所定の範囲外であることに対応する。例えば、Vin=-0.2Vの入力電圧がコンダクタンス及び電流Iwireを減少させた後、Vin=+0.6Vの後続の入力電圧は、ワイヤ210上にめっきを発生させ得、これはコンダクタンス及び電流Iwireを増加させ得る。
【0044】
加えて、
図4に見られるように、対電極220での酸化還元反応が逆転するたびに、電流I
wireは増加するが、前の時間よりも小さい値になる。例えば、電流I
wireは、第1の酸化還元反応の反転後に約0.6mAまで増加し、第2の酸化還元反応の反転後に約0.3mAまで増加する。少なくとも1つの実施形態において、電流I
wireの値は、パラメータ(例えば、温度)が所定の範囲外(例えば、0℃を超える)で測定される回数に直接対応し得る。例えば、I
wire=0.6mAの値は、パラメータが所定の範囲外で1回測定されたことを示してもよく、I
wire=0.3mAの値は、パラメータが所定の範囲外で2回測定されたことを示してもよく、I
wire=0.2mAの値は、パラメータが所定範囲外で3回測定されたことを示してもよい、等々。
【0045】
図5A~
図5Dは、メモリ120の腐食速度及び電力消費の電圧依存性を示す。より具体的には、
図5Aは、実施形態による、異なる入力電圧V
inに対する電流I
wireを示すグラフ510を図示する。
図5Bは、実施形態による、入力電圧V
inの関数としての電流I
wireの5%減少に必要な時間を示すグラフ520を図示する。
図5Cは、実施形態による、入力電圧V
inに対する平均電流I
corrを示すグラフ530を図示する。
図5Dは、実施形態による、入力電圧V
inに対するワイヤ210の完全な腐食に必要とされる総電荷を示すグラフ540を図示する。
【0046】
図5A及び
図5Bに示されるように、腐食速度は入力電圧V
inの強い関数があり、銀ワイヤ210は、入力電圧V
in=-0.5Vで3,300秒内、及び入力電圧V
in=-0.75Vで340秒内にそのコンダクタンスの約5%を失った。この強い電圧依存性は、センサシステム100が高感度の不可逆閾値センサとして使用されるのを可能にし、適度のセンサ出力電圧はコンダクタンスの減少をほとんど又は全くもたらさず、わずかに極端なセンサ出力が、デバイスコンダクタンスの急速かつ不可逆的変化を引き起こす。スイッチング/腐食の相対的な速度は、入力電圧V
inと対電極220との間に抵抗器270を追加することによって、メモリ120の幾何学的形状を調整することによって、及び/又は伝導性電解質230を変更することによって、更に調整することができる。抵抗器270は、約10オーム~約10Mオームの抵抗を有し得る。
【0047】
更に、メモリ120の電流消費は、測定されたパラメータが所定の範囲内であったことを示す入力電圧V
inにおいて、極めて低く(例えば、<200nA)、そのため、抵抗の変化がほとんど発生しなかった。上記実施例では、これらの入力電圧V
inは、約0.0≧V
in≧-0.5V)である。入力電圧V
inが、ワイヤ210の腐食を可能にするために十分に負であった場合、消費電流は入力電圧V
inの減少と共に増加し、平均電流は5~50μAの範囲であった。
図5Dに示すように、銀ワイヤ120を完全に腐食させるために必要とされる総電荷は、適度の入力電圧V
in(例えば、-0.75V~-0.9V)について10~30μAhでほぼ一定であり、副反応による追加の電流消費のため、より負の入力電圧V
inで1mAhに近づいた。このため、電力消費は、最小及び/若しくは最大入力電圧V
inを制限することによって、及び/又は副反応を最小限に抑える電極材料及び電解質130を選択することによって、これらの副反応を制限するようにセンサシステム100を設計することによって制御することができる。アクティブ及び非アクティブ入力電圧の両方における電流消費の更なる改善は、デバイスの小型化を介して達成することができる。
【0048】
図6Aは、実施形態による、センサ610及びメモリ620を含む別のセンサシステム600Aを図示する。メモリ620は、電気化学セルであってもよく、又は電気化学セルを含んでもよい。メモリ620は、上述のメモリ120と同様であってもよい。メモリ620は、センサ610並びに測定及び通信回路612によって共有される共通接地に接続されている。センサメモリ620はまた、センサ610の出力電圧、V
out、に接続され得る入力電圧、V
in、を受け入れる。センサ610によって測定されているパラメータが所定の範囲外であるとき、センサメモリ620は、センサ610の測定及び通信回路612によって測定され得る電気特性の測定可能な変化を起こす。測定及び通信回路612は、センサメモリ620の特性を測定するために断続的に電源投入することができる。これは、センサメモリ620のV
meas端子に印加される電圧(AC又はDC)測定(Meas)を提供することによって達成される。センサメモリ620の電気的特性の変化は、測定(Meas)から流れる電流の変化、又は到達する充電/放電電圧のための時定数の変化から推定することができる。
【0049】
図6Bは、実施形態による、別のセンサシステム600Bを図示する。この実施形態では、センサシステム600Bは、任意選択の電圧オフセットセル630と直列に配置された1つ以上の電気化学セル(2つが示されている:620A及び620 B)を含み得る。電気化学セル620A、620Bは、刺激依存開回路電圧を呈するように具体的に選択されている。例えば、電気化学セル620A、620Bの一部として、高度に温度依存性の酸化還元電位を有する酸化還元対(例えば、フェロシアン化物/フェリシアン化物)を選択することによって、各セル620A、620Bの電圧は温度の関数であり得る。例えば、電気化学セル620A、620B Ag/AgCl/3M NaCl//10mM K
3FeCN
6、10mM K
4FeCN
6、0.1M NaCl/Ptは、254mV-(1.68mV/℃)(T-25℃)の開回路電圧を示し、Tは、℃の温度である。
【0050】
図6Cは、異なるオフセット電圧及び回路極性が使用されるときの、
図6Bのセンサシステム600Bの総出力電圧を示すグラフ650を図示する。例えば、線651は、10個の温度感知セル620A、620Bなど、接地に接続された負極、及びV
offset=-3.5Vのオフセット電圧を備えた回路の出力電圧を示す。
図2のメモリ120に接続されている場合、線651によって説明されるセンサは、T>約12℃で腐食を誘発する。
【0051】
より高い又は低い開始温度は、オフセット電圧V
offsetを変更することによって達成することができる。例えば、線652は、線651と同じセルに対応するが、-3.2Vのオフセット電圧を有する。これは、開始温度を約30℃に上昇させる。一方、下限温度に達したときに腐食を誘発するセンサはまた、温度感知セル(接地に接続された正極)の極性を反転させることによって調製することができる。例えば、線653及び654は、10個の温度感知セルで、それぞれ+2V及び+1.7Vのオフセット電圧で構成されたセンサ回路に対応する。
図2のメモリ120に接続された場合、これらのセンサは、それぞれ、T<約12℃及び<約30℃で腐食を誘発する。一実施形態では、線656の下のメモリ入力電圧は、抵抗の測定可能な変化につながる可能性がある。
【0052】
本教示の広い範囲を記載する数値範囲及びパラメータは近似値であるが、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。更に、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含される任意の及び全ての小範囲を包含すると理解されるべきである。例えば、「10未満」の範囲は、0の最小値と10の最大値との間の(0の最小値と10の最大値とを含む)任意の及び全てのサブ範囲、すなわち、0以上の最小値及び10以下の最大値を有する任意の及び全てのサブ範囲、例えば、1~5を含み得る。
【0053】
本教示は、1つ以上の実装態様に対して示されているが、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、示された実施例に対して変更及び/又は修正が行われ得る。例えば、プロセスが一連の行為又は事象として説明されているが、本教示は、そのような行為又は事象の順序によって限定されないことが理解され得る。いくつかの行為は、本明細書に記載されるものとは異なる順序で、及び/又は別の他の行為若しくは事象と同時に生じ得る。また、全てのプロセス段階が、本教示の1つ以上の態様又は実施形態に従う方法を実装するのに必要とされ得るわけではない。構造的物体及び/若しくは処理段階が追加され得るか、又は既存の構造的物体及び/若しくは処理段階が除去若しくは修正され得ることが理解され得る。更に、本明細書に描写される行為のうちの1つ以上は、1つ以上の別個の行為及び/又は局面において実行されてもよい。更に、用語「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」、又はこれらの変形が発明を実施するための形態及び特許請求の範囲のいずれかで使用される限りにおいて、そのような用語は、用語「含む(comprising)」と同様の手法での包含であることが意図される。「少なくとも1つの」という用語は、列挙された項目のうちの1つ以上が選択され得ることを意味するように使用される。更に、本明細書における説明及び特許請求の範囲において、2つの材料に対して使用される「上」という用語、他方「上」の一方は、材料間の少なくとも一部の接触を意味し、一方、「の上」は、材料が、近接しているが、場合によっては、接触が可能であるが必要とされないように、1つ以上の追加の介在材料に近接していることを意味する。「上(on)」又は「の上(over)」のいずれも、本明細書で使用される際に任意の指向性を暗示しない。「共形」という用語は、下にある材料の角度が共形材料によって維持される被覆材料を説明する。「約」という用語は、変更が、示された実施形態に対してプロセス又は構造の不適合とならない限り、列挙される値が少し変更され得ることを示す。「連結する」、「連結されている」、「接続する」、「接続」、「接続されている」、「接続して」、及び「接続している」という用語は、「直接接続する」又は「1つ以上の中間要素又は部材を介して接続する」ことを指す。最後に、「例示の」又は「例示的な」という用語は、説明が理想的であることを意味するのではなく一例として使用されることを示す。本教示の他の実施形態は、本明細書及び本明細書での本開示の慣行を考慮して当業者に明らかであり得る。本明細書及び実施例は、単に例示として見なされることが意図され、本教示の真の範囲及び趣旨は、以下の特許請求の範囲によって示される。