(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】ゴルフクラブ用シャフト及びこれを備えるゴルフクラブ
(51)【国際特許分類】
A63B 53/10 20150101AFI20240219BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20240219BHJP
【FI】
A63B53/10 A
A63B102:32
(21)【出願番号】P 2020214007
(22)【出願日】2020-12-23
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2019238675
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 禎志
【審査官】田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-245139(JP,A)
【文献】特開2002-240158(JP,A)
【文献】特開2003-052875(JP,A)
【文献】特開2000-093568(JP,A)
【文献】特開2012-095856(JP,A)
【文献】特開2005-271279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 53/00-53/14
A63B 102/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
強化繊維を一方向に引き揃えて合成樹脂を含浸させたプリプレグシートをマンドレルを用いて巻回して積層して形成した中空のゴルフクラブ用シャフトであって、
強化繊維を該シャフトの軸方向に対して同一方向に引き揃えた複数の一方向プリプレグシートを備え、
該複数の各一方向プリプレグシートは、少なくとも3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートを含み、該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、前記シャフトの周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置とは重なり、
該3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、該シャフトの基準位置から周方向に90度より大きく270度よりも小さい位置とする、又は該3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、該シャフトの基準位置から周方向に90度より小さく若しくは270度より大きい位置とする
ものであり、
前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、それぞれ135度、180度、225度の位置である、又は前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、それぞれ315度、0度(360度)、45度の位置である、又は前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、いずれも180度の位置又はいずれも0度(360度)の位置であることを特徴とするゴルフクラブ用シャフト。
【請求項2】
前記シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、前記シャフトの周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置とは一致する若しくは1mm重なる、請求項1に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項3】
前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、それぞれ225度、135度、180度の位置でこの順番に巻回される、請求項1又は2に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項4】
前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、それぞれ45度、315度、0度(360度)の位置でこの順番に巻回される、請求項1又は2に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項5】
前記シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、前記シャフトの周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置とは2mmから3mmの範囲で重なる、請求項1から
4までのいずれか1項に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項6】
前記少なくとも3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、4つ以上の該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートである、請求項1から
5までのいずれか1項に記載のゴルフクラブ用シャフト。
【請求項7】
請求項1から
6までのいずれか1項に記載のゴルフクラブ用シャフトと、
該ゴルフクラブ用シャフトの端部に取り付けられたゴルフクラブヘッドと、
を具備することを特徴とするゴルフクラブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフクラブ用シャフト及びこれを備えるゴルフクラブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、スイング時にシャフトの撓み考慮したゴルフクラブ用シャフトを備えるゴルフクラブ技術が提案されている。例えば、日本国特開2000-93568号公報には、炭素繊維等の繊維強化樹脂製のプリプレグシートを積層したゴルフクラブシャフトにおいて、軽量化しながら実用上十分な強度を持たせたシャフトが開示されている。
【0003】
また、軽量であり且つ剛性や弾発性が高く、打球の方向性も良好であるとするゴルフクラブシャフト技術も提案されている。例えば、日本国特開2000-317022号公報には、長手方向に対して直交する方向の中空部内壁面の少なくとも一部に長手方向に沿って平面が形成されている繊維強化された中空のゴルフクラブシャフトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-93568号公報
【文献】特開2000-317022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すゴルフクラブシャフトでは、軽量化と強度向上に配慮がなされているものの、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みにより打球に十分に力を伝えることが難しいという問題があった。他方、特許文献2に示すゴルフクラブでは、軽量で弾発性の高いゴルフクラブシャフトを提供することができても、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを回避し打球に十分に力を伝えることが考慮されているとは言い難いという問題があった。ここで、トウダウンとは、ティーアップしたゴルフボールの中心に対して、クラブヘッドのフェース面中心を位置合わせし、次いでゴルフクラブをスウィングした時にクラブヘッドにかかる遠心力と重力との作用からクラブシャフトが撓んで、クラブヘッドのフェース面中心が、ゴルフボールの中心に対して内側に移動、即ち、ゴルフクラブをスウィングした時に、クラブヘッドがプレーヤー側に引き寄せられる時の移動量(トウダウン量)を指す。
【0006】
本発明の実施形態は、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上を可能とするゴルフクラブ用シャフト及びこれを備えるゴルフクラブを提供することを目的の一つとする。本発明の実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトは、強化繊維を一方向に引き揃えて合成樹脂を含浸させたプリプレグシートをマンドレルを用いて巻回して積層して形成した中空のゴルフクラブ用シャフトであって、強化繊維を該シャフトの軸方向に対して同一方向に引き揃えた複数の一方向プリプレグシートを備え、該複数の各一方向プリプレグシートは、少なくとも3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートを含み、該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、前記シャフトの周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置とは重なり、該3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、該シャフトの基準位置から周方向に90度より大きく270度よりも小さい位置とする、又は該3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、該シャフトの基準位置から周方向に90度より小さく若しくは270度より大きい位置とするよう構成される。
【0008】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、前記シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、前記シャフトの周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置とは一致する若しくは1mm重なるよう構成される。
【0009】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、それぞれ135度、180度、225度の位置であるよう構成される。
【0010】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、それぞれ225度、135度、180度の位置でこの順番に巻回されるよう構成される。
【0011】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、それぞれ315度、0度(360度)、45度の位置であるよう構成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、前記3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、それぞれ45度、315度、0度(360度)の位置でこの順番に巻回されるよう構成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、該3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、いずれも180度の位置であるよう構成される。
【0014】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、該3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、いずれも0度(360度)の位置であるよう構成される。
【0015】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、前記シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、前記シャフトの周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置とは2mmから3mmの範囲で重なるよう構成される。
【0016】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトにおいて、前記少なくとも3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、4つ以上の該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートであるよう構成される。
【0017】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブは、上述のゴルフクラブ用シャフトと、該ゴルフクラブ用シャフトの端部に取り付けられたゴルフクラブヘッドと、を具備するよう構成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の様々な実施形態によって、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上を可能とするゴルフクラブ用シャフト及びこれを備えるゴルフクラブを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態に係るゴルフクラブ1の構成図を示すものである。
【
図2】一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフトを製造するためのマンドレル及びマンドレルに巻回する各プリプレグシートを展開した状態を示す概略図を示すものである。
【
図3】一実施形態におけるシャフト10を形成するプリプレグシートの巻回状態を示す概略図ものである。
【
図4】一実施形態におけるシャフト10を形成するプリプレグシートの巻回状態を示す概略図ものである。
【
図5】一実施形態におけるシャフト10を形成するプリプレグシートの巻回状態を示す概略図ものである。
【
図6】一実施形態におけるシャフト10を形成するプリプレグシートの巻回状態を示す概略図ものである。
【
図7】一実施形態におけるシャフト10を形成するプリプレグシートの巻回状態を示す概略図ものである。
【
図8】一実施形態におけるシャフト10を形成するプリプレグシートの巻回状態を示す概略図ものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の様々な実施形態について適宜図面を参照して説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブシャフト(以下、単に「シャフト」と言うことがある。)10を備えた本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ1の構成を概略的に示す構成図である。一実施形態におけるゴルフクラブ1は、図示するように、天然ゴム又は合成ゴム等によって形成されたゴルフクラブグリップ35と、このゴルフクラブグリップ35に結合し繊維強化樹脂又は金属材料等によって管状に形成された本発明の一実施形態に係るシャフト10と、このシャフト10にホーゼルHZを介して結合したゴルフクラブヘッド20とを備える。ここで、シャフト10の中心軸を軸Xとする。
【0022】
ここで、ゴルフクラブヘッド20は、ウッドクラブ及びそのヘッドとして構成されているが、本発明の様々な実施形態は、アイアンクラブ及びそのヘッドとして構成されたゴルフクラブ及びヘッドを含み、特定の態様に限定されるものではない。また、ゴルフクラブヘッド20(以下、クラブヘッド20という)は、例えば、ステンレス、チタン、又はチタン合金等の金属材料によって形成されている。
【0023】
次に、
図2を参照して、マンドレル40にプリプレグシート22、24、26、28、30、32、34を巻回して本発明の一実施形態に係るシャフト10を形成する基本的な方法についてまず簡単に説明する。
【0024】
ここで、マンドレル40の先端40aと末端40bとの間の外周は中心軸Cに対して例えば約1000分の8の傾きを有するテーパ面として形成されている。本発明の一実施形態に係るシャフト10を製造する場合、マンドレル40の先端40aに内側補強層31のプリプレグシート32の強化繊維の繊維方向を、マンドレル40の軸長方向(シャフト10の軸方向に略沿った方向)に合わせて巻回する。
【0025】
次に、マンドレル40の軸長方向に対して±45度傾斜したクロスタイプのプリプレグシート22を巻回し、シャフト10の第1層21を形成する。当該第1層21のプリプレグシート22は端部22a、22bが近接して重なり合った部分(以下、重なり代という)52が形成される(より詳細につき後述する)。
【0026】
その後、マンドレル40の軸長方向に対して90度傾斜した方向に強化繊維の繊維方向を有するプリプレグシート24を巻回し、シャフト10の第2層23を形成する。第2層23のプリプレグシート24は端部24a,24bが近接して重なり合った重なり代54(図示しない)が形成される。なお、第1層21の重なり代52(図示しない)及び第2層23の重なり代54(図示しない)は、ともに、これら重なり代52、54がシャフト10の中心軸Cに対して互いにずれた位置に配置されるように巻回するようにしてもよい。また、重なり代や隙間の対向位置に同様な重なり代や隙間が形成されないようにしてもよい。なお、プリプレグシート24は、上述のプリプレグシート22若しくは後述するプリプレグシート26と貼り合わせてから同時に巻回するようにすることもできる。
【0027】
次に、マンドレル40の軸長方向に沿って強化繊維の繊維方向を有するプリプレグシート26を巻回し、シャフト10の第3層25を形成する。このとき、マンドレル40の印(図示しない)にプリプレグシート26の端部26aを合わせた状態で巻回する。第3層25のプリプレグシート26は端部26a、26bが近接して重なり合った重なり代56(
図3参照)が形成され、すなわち、プリプレグシート26の端部26a、26bは近接した状態にある。
【0028】
次に、マンドレル40の軸長方向に沿って強化繊維の繊維方向を有するプリプレグシート28を巻回し、シャフト10の第4層27を形成する。このとき、マンドレル40の印(図示しない)にプリプレグシート28の端部28aを合わせた状態で巻回する。第4層27のプリプレグシート28は端部28a、28bが近接して重なり合った重なり代58(
図3参照)が形成され、すなわち、プリプレグシート28の端部28a、28bは近接した状態にある。
【0029】
次に、マンドレル40の軸長方向に沿って強化繊維の繊維方向を有するプリプレグシート30を巻回し、シャフト10の第5層29を形成する。このとき、マンドレル40の印46にプリプレグシート30の端部30aを合わせた状態で巻回する。第5層29のプリプレグシート30は端部30a,30bが近接して重なり合った重なり代60(
図3参照)が形成され、すなわち、プリプレグシート30の端部30a、30bは近接した状態にある。
【0030】
なお、第3層25、第4層27、第5層29の重なり代56、58、60の幅x(より詳細は後述する)は、それぞれ0mm(一致する)若しくは0から3mmの間で重なるようにすることができる。例えば、当該重なり代56、58、60の幅を、1mmから3mmの範囲若しくは2mmから3mmの範囲とすることができるが、これに限られない。また、当該当該重なり代56、58、60の幅は、マンドレル40の軸長方向の位置により異なるように形成してもよい。
【0031】
また、内側の第3層25の重なり代56に対して外側の第4層27の重なり代58の幅xの方が小さく、内側の第4層27の重なり代58に対して外側の第5層29の重なり代60の幅xの方が小さく、すなわち、内層から外層に向かって徐々に重なり代56、58、60の幅xを小さく若しくは大きくしてもよい。
【0032】
最後に、マンドレル40の先端40aに外側補強層33のプリプレグシート34の強化繊維の繊維方向を、マンドレル40の軸長方向に合わせて巻回する。このとき、シャフト10の断面は後述する
図3に示す状態にある(マンドレル40の図示は省略する)。
【0033】
そして、通常の成形と同様に、第5層29の外側からテーピングにより締め付け成型、マンドレル40及びシャフト10の加熱硬化、マンドレル40の除去、テーピングのテープの除去、研磨等により、シャフト10を形成する。
【0034】
次に、
図3-8を参照して、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブシャフト10について説明する。ここで、
図3-8に示すシャフト10の外観上の段差、隙間等は焼成時のテーピングのテープ圧やシートの流動等によりマンドレル40の外径に沿った形状になり、隙間も埋まる。すなわち、シャフト10の最終的な外形は、テーピングやシートの流動等により、
図3-8のように模式的に示した形状ではなく、横断面が円形リング状のように、内周及び外周が滑らかに形成される。
【0035】
図3-8は、いずれもゴルフクラブシャフト10の長手方向に垂直な断面を示している。各図では、トゥダウン方向の位置とは反対側の位置を基準位置(0度)とし、1周を8分割し、それぞれ45度、90度、135度、180度(トゥダウン方向の位置)、225度、270度(打球方向の位置)、315度、360度(基準位置:0度)の位置を示している。
【0036】
ここで、
図3-8は、
図2に示したプリプレグシートの内、説明の便宜上、3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートのみを示したものである。また、上述の各角度位置は、数学的に厳密な意味でのものではなく、略そのような角度位置であってもよいが、便宜上そのように表現する。
【0037】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10は、強化繊維を一方向に引き揃えて合成樹脂を含浸させたプリプレグシートをマンドレル40を用いて巻回して積層して形成した中空のゴルフクラブ用シャフト10であって、強化繊維を該シャフト10の軸方向に対して同一方向に引き揃えた複数の一方向プリプレグシート(例えば、プリプレグシート32、22、24、26、28、30、34)を備え、該複数の各一方向プリプレグシートは、少なくとも3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート(例えば、プリプレグシート26、28、30)を含み、該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート(例えば、プリプレグシート26、28、30)は、前記シャフト10の周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置とは重なり、該3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、該シャフトの基準位置から周方向に90度より大きく270度よりも小さい位置とする、又は該3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートの巻き始め位置と巻き終わり位置は、該シャフトの基準位置(0度の位置)から周方向に90度より小さく若しくは270度より大きい位置とするよう構成される。ここで、巻き始め位置と巻き終わり位置が重なるとは、重なり幅が0mmの場合、すなわち、巻き始め位置と巻き終わり位置が一致する場合も含むものとする。
【0038】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によれば、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上が可能となる。
【0039】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、当該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート(例えば、プリプレグシート26、28、30)は、前記シャフト10の周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置とは0mm(一致する)若しくは0から3mmの間で重なるよう構成される。ここで、例えば、3mm重なるとは、略3mm重なるようにすることを意味するものとする。また、当該巻き始め位置と巻き終わり位置とは1mmから3mmの間で重なるよう構成されるとより好ましい。
【0040】
次に、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、当該3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30の巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)は、135度、180度、225度の位置であるよう構成される。ここで、各角度位置は、数学的に厳密なものを必ずしも指すものではなく、略135度、略180度、略225度であってもよく、より具体的には当該角度±15度程度の範囲を含むものである(以下も同様とする)。
【0041】
また、
図3に示すように、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、当該3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30の巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)は、それぞれ225度、135度、180度の位置でこの順番に巻回されるよう構成される。
【0042】
同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較した場合、
図3に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブでは、そのヘッドスピード(HS)が向上することが判明した。ここで、当該クラブヘッドとしては、シャフト部分のみ着脱可能なヘッドを用い、当該シャフト以外の要素を限りなく省いて行った。また、シャフトとして、打球方向のシャフト硬さが±1cpmとなるよう管理して選定を行った。また、ヘッドスピードの測定には、トラックマンという弾道測定器を用いた(以下も同様である)。より具体的には、6人のプレーヤーが同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブをスイングした場合のヘッドスピード(HS)を計測したところ、平均で約39.33m/sとなった。他方で、同じ6人のプレーヤーが
図3に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブをスイングした場合のヘッドスピード(HS)を計測したところ、平均で約39.85m/sとなることが分かった。このことから、
図3に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブは、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較して、平均して約101.3%となり、ヘッドスピード(HS)が1.3%程度向上することが分かった。これは、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によりインパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減できたことから、
図3に示す打球方向へのエネルギーをより確実に集中させることができたためと考えられる。
【0043】
これについて、別途新たに追加試験を行ったため、その試験結果について以下説明する。比較の態様として、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブ(
図3に示す態様で、巻き始め位置及び巻き終わり位置の各位置をテイクバック方向、打球方向にそれぞれ90度ずらした位置)のヘッドスピード(HS)の平均と、
図3に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)について、11名の試験者による結果を以下に示す。なお、ヘッドスピードの単位は、m/sとする(以下同様)。
【表1】
【0044】
以上のように、上記試験結果から、比較の態様に対して、いずれの試験者においても、
図3に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)が向上することが確認でき、その平均は40.92m/sとなり、1.3%程度増加することが判った。
【0045】
このように、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によれば、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上が可能となる。
【0046】
次に、
図4に示すように、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、該3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30の巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)は、いずれも180度の位置であるよう構成される。
【0047】
同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較した場合、
図4に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブでは、そのヘッドスピード(HS)が向上することが判明した。より具体的には、
図4に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブは、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較して、平均して約101-103%程度となり、ヘッドスピード(HS)が1-3%程度向上することが分かった。これは、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によりインパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減できたことから、
図4に示す打球方向へのエネルギーをより確実に集中させることができたためと考えられる。
【0048】
これについて、別途新たに追加試験を行ったため、その試験結果について以下説明する。比較の態様として、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブ(
図4に示す態様で、巻き始め位置及び巻き終わり位置の各位置をテイクバック方向、打球方向にそれぞれ90度ずらした位置)のヘッドスピード(HS)の平均と、
図4に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)について、12名の試験者による結果を以下に示す。なお、ヘッドスピードの単位は、m/sとする(以下同様)。
【表2】
【0049】
以上のように、上記試験結果から、比較の態様に対して、いずれの試験者においても、
図4に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)が向上することが確認でき、その平均は40.78m/sとなり、1.8%程度増加することが判った。
【0050】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によれば、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上が可能となる。
【0051】
次に、
図5に示すように、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、当該3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30の巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)は、それぞれ225度、135度、180度の位置でこの順番に巻回されるよう構成される。この場合、当該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30は、当該シャフト10の周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)とは3mm重なるよう構成される。
【0052】
同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較した場合、
図5に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブでは、そのヘッドスピード(HS)が向上することが判明した。より具体的には、
図5に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブは、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較して、平均して約101-103%程度となり、ヘッドスピード(HS)が1-3%程度向上することが分かった。これは、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によりインパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減できたことから、
図5に示す打球方向へのエネルギーをより集中させることができたためと考えられる。
【0053】
これについて、別途新たに追加試験を行ったため、その試験結果について以下説明する。比較の態様として、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブ(
図5に示す態様で、巻き始め位置及び巻き終わり位置の各位置をテイクバック方向、打球方向にそれぞれ90度ずらした位置)のヘッドスピード(HS)の平均と、
図5に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)について、10名の試験者による結果を以下に示す。なお、ヘッドスピードの単位は、m/sとする(以下同様)。
【表3】
【0054】
以上のように、上記試験結果から、比較の態様に対して、いずれの試験者においても、
図5に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)が向上することが確認でき、その平均は40.19m/sとなり、1.2%程度増加した。
【0055】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によれば、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上が可能となる。
【0056】
次に、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、当該3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30の巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)は、それぞれ315度、0度(360度)、45度の位置であるよう構成される。
【0057】
図6に示すように、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、当該3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30の巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)は、それぞれ45度、315度、0度(360度)の位置でこの順番に巻回されるよう構成される。
【0058】
同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較した場合、
図6に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブでは、そのヘッドスピード(HS)が向上することが判明した。より具体的には、
図6に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブは、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較して、平均して約101-103%程度となり、ヘッドスピード(HS)が1-3%程度向上することが分かった。これは、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によりインパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減できたことから、
図6に示す打球方向へのエネルギーをより集中させることができたためと考えられる。
【0059】
これについて、別途新たに追加試験を行ったため、その試験結果について以下説明する。比較の態様として、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブ(
図6に示す態様で、巻き始め位置及び巻き終わり位置の各位置をテイクバック方向、打球方向にそれぞれ90度ずらした位置)のヘッドスピード(HS)の平均と、
図6に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)について、6名の試験者による結果を以下に示す。なお、ヘッドスピードの単位は、m/sとする(以下同様)。
【表4】
【0060】
以上のように、上記試験結果から、比較の態様に対して、いずれの試験者においても、
図6に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)が向上することが確認でき、その平均は41.28m/sとなり、1.8%程度増加した。
【0061】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によれば、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上が可能となる。
【0062】
次に、
図7に示すように、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、該3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30の巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)は、いずれも0度(360度)の位置であるよう構成される。
【0063】
同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較した場合、
図7に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブでは、そのヘッドスピード(HS)が向上することが判明した。より具体的には、
図7に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブは、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較して、平均して約101-103%程度となり、ヘッドスピード(HS)が1-3%程度向上することが分かった。これは、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によりインパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減できたことから、
図7に示す打球方向へのエネルギーをより集中させることができたためと考えられる。
【0064】
これについて、別途新たに追加試験を行ったため、その試験結果について以下説明する。比較の態様として、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブ(
図7に示す態様で、巻き始め位置及び巻き終わり位置の各位置をテイクバック方向、打球方向にそれぞれ90度ずらした位置)のヘッドスピード(HS)の平均と、
図7に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)について、7名の試験者による結果を以下に示す。なお、ヘッドスピードの単位は、m/sとする(以下同様)。
【表5】
【0065】
以上のように、上記試験結果から、比較の態様に対して、いずれの試験者においても、
図7に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)が向上することが確認でき、その平均は41.32m/sとなり、2.0%程度増加した。
【0066】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によれば、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上が可能となる。
【0067】
次に、
図8に示すように、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、当該3つの該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30の巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)は、それぞれ45度、315度、0度(360度)の位置でこの順番に巻回されるよう構成される。この場合、当該シャフト10の軸方向と平行な一方向プリプレグシート26、28、30は、当該シャフト10の周方向でみて、その巻き始め位置と巻き終わり位置(重なり代56,58,60)とは3mm重なるよう構成される。
【0068】
同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較した場合、
図8に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブでは、そのヘッドスピード(HS)が向上することが判明した。より具体的には、
図8に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブは、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブと比較して、平均して約101-103%程度となり、ヘッドスピード(HS)が1-3%程度向上することが分かった。これは、本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によりインパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減できたことから、
図8に示す打球方向へのエネルギーをより集中させることができたためと考えられる。
【0069】
これについて、別途新たに追加試験を行ったため、その試験結果について以下説明する。比較の態様として、同型の既存のシャフト及びクラブヘッドを備えたゴルフクラブ(
図8に示す態様で、巻き始め位置及び巻き終わり位置の各位置をテイクバック方向、打球方向にそれぞれ90度ずらした位置)のヘッドスピード(HS)の平均と、
図8に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)について、6名の試験者による結果を以下に示す。なお、ヘッドスピードの単位は、m/sとする(以下同様)。
【表6】
【0070】
以上のように、上記試験結果から、比較の態様に対して、いずれの試験者においても、
図8に示す本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10及び上記と同じクラブヘッドを備えたゴルフクラブのヘッドスピード(HS)が向上することが確認でき、その平均は40.42m/sとなり、1.5%程度増加した。
【0071】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10によれば、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上が可能となる。
【0072】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ用シャフト10において、当該少なくとも3つの該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートは、
図2の態様に限らず、4つ以上の該シャフトの軸方向と平行な一方向プリプレグシートとして構成されるようにしても構わない。
【0073】
本発明の一実施形態に係るゴルフクラブ1は、これらのゴルフクラブ用シャフト10と、該ゴルフクラブ用シャフト10の端部に取り付けられたゴルフクラブヘッド20と、を具備するよう構成される。このようなゴルフクラブ用シャフト10を備えたゴルフクラブ1によれば、インパクト付近でのトウダウン方向の撓みを低減し、打球方向に力をより集中させることでヘッドスピードの向上が可能となる。
【0074】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0075】
1 ゴルフクラブ
10 ゴルフクラブ用シャフト
20 ゴルフクラブヘッド
21 第1層
22 プリプレグシート
23 第2層
24 プリプレグシート
25 第3層
26 プリプレグシート
27 第4層
28 プリプレグシート
29 第5層
30 プリプレグシート
31 内側補強層
32 プリプレグシート
33 外側補強層
35 ゴルフクラブグリップ