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特許7438931住宅の浸水防止構造又はこの構造とする住宅の浸水防止工法若しくはこの構造とする住宅の浸水防止用セット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】住宅の浸水防止構造又はこの構造とする住宅の浸水防止工法若しくはこの構造とする住宅の浸水防止用セット
(51)【国際特許分類】
   E04H 9/14 20060101AFI20240219BHJP
   E04B 1/66 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
E04H9/14 Z
E04B1/66 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020217360
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022102552
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-08-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.試験日:2020年11月16日 2.試験場所:国立研究開発法人防災科学技術研究所・大型降雨実験施設(茨城県つくば市天王台3-1) 3.試験を行った者:エイチ・アール・ディー・シンガポール プライベート リミテッド 株式会社一条工務店 4.試験内容:エイチ・アール・ディー・シンガポール プライベート リミテッドが自ら、株式会社一条工務店の協力を得て、国立研究開発法人防災科学技術研究所・大型降雨実験施設にて、萩原浩が発明した住宅の浸水防止構造又はこの構造とする住宅の浸水防止工法若しくはこの構造とする住宅の浸水防止セットについて試験を行い、この試験を株式会社オルタスジャパンのディレクター 加藤伸、プロデューサー/ディレクター 堀江博文及び制作部 高橋幹太が取材した。この取材の内容は2021年2月16日頃にテレビ東京他において「ガイアの夜明け」という番組で放映の予定である。
(73)【特許権者】
【識別番号】502025473
【氏名又は名称】エイチ・アール・ディー・シンガポール プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】萩原 浩
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-151856(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0240138(US,A1)
【文献】特開2008-088791(JP,A)
【文献】登録実用新案第3189177(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 9/14
E04B 1/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に固定された複数の線状材支持部材と、
これらの線状材支持部材に支持されてなり該住宅の外周を囲むように配置されたロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、
この線状材に支持された複数のシート支持部材と、
これらのシート支持部材により上端側が支持され、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置され、両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合されてなる一又は複数の防水シートと、
下端側は上記住宅及び上記附属物から離間した地盤内に埋設されてなり、上面には外部に露出してなる止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、全体で上記附属物を含めた住宅全体を囲むように施工された地盤用止水部材と、
上記各地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に対して上記防水シートの下端側中途部を挟んだ状態で嵌合され可撓性を有する止水材と、
を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止構造。
【請求項2】
前記地盤用止水部材は、地中方向に長さを有する縦板部と、この縦板部の下端から折曲されてなる折曲部と、上記縦板部の上端の側部に固定され上面は地盤面に露出してなる止水部材本体と、を備え、前記止水材嵌合用凹部は、上記止水部材本体の上面に形成されてなることを特徴とする請求項1記載の住宅の浸水防止構造。
【請求項3】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に固定された複数の線状材支持部材と、
これらの線状材支持部材に支持されてなり該住宅の外周を囲むように配置されロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、
この支持ロープに支持された複数のシート支持部材と、
これらのシート支持部材により上端側が支持され、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置され、両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合されてなる一又は複数の防水シートと、
下面は上記住宅及び上記附属物から離間したコンクリート地盤面に固定されてなり、上面には止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、全体で上記附属物を含めた住宅全体を囲むように施工されたコンクリート地盤用止水部材と、
上記各コンクリート地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に対して上記防水シートの下端側中途部を挟んだ状態で嵌合され可撓性を有する止水材と、を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止構造。
【請求項4】
前記コンクリート地盤用止水部材は樹脂又は金属を素材とし、該コンクリート地盤用止水部材の上面には前記止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、該コンクリート地盤用止水部材は、前記コンクリート地盤面に対して接着剤及び/又は固定金具により固定されてなることを特徴とする請求項3記載の住宅の浸水防止構造。
【請求項5】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に固定された複数の線状材支持部材と、
これらの線状材支持部材に支持されてなり該住宅の外周を囲むように配置されたロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、
この線状材に支持された複数のシート支持部材と、
これらのシート支持部材により上端側が支持され、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置され、両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合されてなる一又は複数の防水シートと、
上記住宅の基礎部の外側面及び該住宅に併設された階段ポーチの外側面,給湯器又は空気調和機の室外機その他該住宅の附属物が設置される設備載置用基礎部の外側面に固定され、外側に露出した正面には止水材嵌合用凹部が形成されてなる複数の基礎用止水部材と、
上記各基礎用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に対して上記防水シートの下端側中途部を挟んだ状態で嵌合されてなる止水材と、
を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止構造。
【請求項6】
前記基礎用止水部材は樹脂又は金属を素材とし、該基礎用止水部材の正面には前記止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、該基礎用止水部材は前記基礎部の外側面に対して接着剤及び/又は固定金具により固定されてなることを特徴とする請求項5記載の住宅の浸水防止構造。
【請求項7】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に複数の線状材支持部材を固定する支持金具固定工程と、
上記住宅を囲むように上記それぞれの線状材支持部材にロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材の中途部を支持させる線状材支持工程と、
この線状材に複数のシート支持部材を支持させる支持部材配置工程と、
一又は複数の防水シートの上端側を、上記それぞれのシート支持部材により支持させるとともに、該一又は複数の防水シートの中途部により、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置し、該防水シートの両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合させる防水シート配置工程と、
上方には止水材嵌合凹部が形成された地盤用止水部材の上端側から下端を地盤内に埋設させ、該止水材嵌合凹部は地盤面に露出させるとともに、それぞれの地盤用止水部材の全体で上記附属物を含めた住宅全体を囲むように施工する止水部材埋設工程と、
上記防水シートの下端側中途部の上方から、上記各地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部内に可撓性を有する止水材を嵌合させる止水材嵌合工程と、
を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止工法。
【請求項8】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に複数の線状材支持部材を固定する支持金具固定工程と、
上記住宅を囲むように上記それぞれの線状材支持部材にロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材の中途部を支持させる線状材支持工程と、
この線状材に複数のシート支持部材を支持させる支持部材配置工程と、
一又は複数の防水シートの上端側を、上記それぞれのシート支持部材により支持させるとともに、該一又は複数の防水シートの中途部により、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置し、該防水シートの両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合させる防水シート配置工程と、
上記住宅及び上記附属物から離間した位置に形成されたコンクリート地盤面に、上面に止水材嵌合用凹部が形成された複数のコンクリート地盤用止水部材を、上記附属物を含めた住宅全体を囲むように施工する止水部材埋設工程と、
上記防水シートの下端側中途部の上方から、上記各コンクリート地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に可撓性を有する止水材を嵌合させる止水材嵌合工程と、
を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止工法。
【請求項9】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に複数の線状材支持部材を固定する支持金具固定工程と、
上記住宅を囲むように上記それぞれの線状材支持部材にロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材の中途部を支持させる線状材支持工程と、
この線状材に複数のシート支持部材を支持させる支持部材配置工程と、
一又は複数の防水シートの上端側を、上記それぞれのシート支持部材により支持させるとともに、該一又は複数の防水シートの中途部により、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置し、該防水シートの両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合させる防水シート配置工程と、
上記住宅の基礎部の外側面及び該住宅に併設された階段ポーチの外側面,給湯器又は空気調和機の室外機その他該住宅の附属物が設置される設備載置用基礎部の外側面に、外側に露出した正面には止水材嵌合用凹部が形成されてなる複数の基礎用止水部材を固定する止水部材固定工程と、
上記防水シートの下端側中途部の側方から、上記各基礎用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に可撓性を有する止水材を嵌合させる止水材嵌合工程と、
を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止工法。
【請求項10】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に複数の線状材支持金具が予め固定され、且つ、上端には止水材嵌合用凹部が形成されてなる地盤用止水部材が、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物から離間した地盤に所定間隔を隔てて全体で該住宅及び附属物を囲むように予め施工された状態において、作業者が使用する住宅の浸水防止用セットであって、
上記複数の線状材支持金具に支持され該住宅の外周を囲むように配置されるロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、
この線状材に支持される複数のシート支持部材と、
これらのシート支持部材により上端側が支持され、隣り合う両端又はその近傍は水密性を有した状態で接合されてなるとともに、上記住宅及び附属物が内側となるように配置される一又は複数の防水シートと、
上記防水シートの下端側中途部の上方から、上記各地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部にそれぞれ嵌合される可撓性を有する複数の止水材と、
を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止用セット。
【請求項11】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に複数の線状材支持金具が予め固定され、且つ、上面には止水材嵌合用凹部が形成されてなるコンクリート地盤用止水部材が、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物から離間した地盤に所定間隔を隔てて全体で該住宅及び附属物を囲むように予め施工された状態において、作業者が使用する住宅の浸水防止用セットであって、
上記複数の線状材支持金具に支持され該住宅の外周を囲むように配置されるロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、
この線状材に支持される複数のシート支持部材と、
これらのシート支持部材により上端側が支持され、隣り合う両端又はその近傍は水密性を有した状態で接合されてなるとともに、上記住宅及び附属物が内側となるように配置される一又は複数の防水シートと、
上記防水シートの下端側中途部の上方から、上記各コンクリート地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部にそれぞれ嵌合される可撓性を有する複数の止水材と、
を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止用セット。
【請求項12】
予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に複数の線状材支持金具が予め固定され、且つ、外側面には止水材嵌合用凹部が形成されてなる基礎用止水部材が、上記住宅の基礎部の外側面及び該住宅に併設された階段ポーチの外側面,給湯器又は空気調和機の室外機その他該住宅の附属物が設置される設備載置用基礎部の外側面に予め固定された状態において、作業者が使用する住宅の浸水防止用セットであって、
上記複数の線状材支持金具に支持され該住宅の外周を囲むように配置されるロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、
この線状材に支持される複数のシート支持部材と、
これらのシート支持部材により上端側が支持され、隣り合う両端又はその近傍は水密性を有した状態で接合されてなるとともに、上記住宅及び附属物が内側となるように配置される一又は複数の防水シートと、
上記防水シートの下端側中途部の側方から、上記各基礎用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部にそれぞれ嵌合される可撓性を有する複数の止水材と、
を備えてなることを特徴とする住宅の浸水防止用セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集中豪雨や台風又は津波等により既設の住宅の内部への浸水を防止するために、施工される住宅の浸水防止構造又はこの構造とする住宅の浸水防止工法若しくはこの構造とする住宅の浸水防止用セットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
集中豪雨や台風又は津波等により既設の住宅の内部(屋内)への浸水を防止する目的から、これまで家屋等への浸水防止工法その他の提案が幾つかされている。例えば、特開2013-151853号公報(特許文献1)や特開2013-151856号公報(特許文献2)には、浸水防止シートにより浸水防止領域に係る住宅の外周を覆うものである。同公報には、上記浸水防止シートは雨水等の水圧により住宅に密着されると記載され、該浸水防止シートの下端側は、金属チェーンや重錘等の比重の大きい部材を配置する旨が記載されている。また、特開2008-88791号公報(特許文献3)にも、住宅等を外側から覆う防水シートの上端側や下端側が係留金具により係留される浸水防御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-151853号公報
【文献】特開2013-151856号公報
【文献】特開2008-88791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記各特許文献に開示されたものは以下に説明するように様々な課題を有する。先ず、上記特許文献1,2に開示されたものでは、住宅の外周を覆う浸水防止シートの取付構造が極めて不安定であり、上記浸水防止シートの下端側から水が内側に侵入し、効果的に防水機能が発揮されない。とりわけ、防波堤の決壊や津波等のように流れがある場合には、金属製チェーン等の比重の大きな部材が浸水防止シートに作用したとき、これらが流され該浸水防止シートの下端側から内側に水が侵入してしまうことを避けることができない。
【0005】
また、上記特許文献3に開示された浸水防御装置は、その具体的構造を精査すると、住宅の基礎部や該基礎部から離れたコンクリート製の地盤の構造は複雑であり、既設の住宅に対して簡易に防水シートを施工することはできない。換言すれば、この浸水防止装置を施工することができる住宅は、該住宅を建設する際に、予めこの浸水防止装置が施工できる構造としなければならず、そうした構造が採用されていない既設の住宅に対して、台風や津波等により住宅の内部(屋内)への浸水を防止する措置を施すことは不可能であり、或いは、この浸水防止装置を施工することができるように、既設の住宅の基礎やその周囲を取り除き、新たに基礎や周辺のコンクリートを再度打設する等のように大がかりな工事が予め必要となり、高コストとなることは避けられない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した各特許文献に開示された浸水防止工法や浸水防御装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、防水シートの下端側から内部に水が侵入することを有効に防止することができ、また、既設の住宅の住人等であっても容易に集中豪雨等による屋内への浸水を比較的容易に且つ低コストで施工することができる新規な住宅の浸水防止構造等を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、住宅の浸水防止構造に係るものであって、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に固定された複数の線状材支持部材と、これらの線状材支持部材に支持されてなり該住宅の外周を囲むように配置されたロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、この線状材に支持された複数のシート支持部材と、これらのシート支持部材により上端側が支持され、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置され、両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合されてなる一又は複数の防水シートと、下端側は上記住宅及び上記附属物から離間した地盤内に埋設されてなり、上面には外部に露出してなる止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、全体で上記附属物を含めた住宅全体を囲むように施工された地盤用止水部材と、上記各地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に対して上記防水シートの下端側中途部を挟んだ状態で嵌合され可撓性を有する止水材と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0008】
この第1の発明に係る住宅の浸水防止構造は、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に固定された複数の線状材支持部材を構成要素とする。この線状材支持部材は、後述する線状材を支持するものである。したがって、これらの線状材支持部材は、少なくとも住宅の外壁に固定することができる機能と線状材を支持することができる機能を備えていれば良く、例えば、上記線状材の中途部が挿通される中空部又は下方から支持するフックと、ネジが螺刻された軸部とを備えたものであれば足り、そして、こうした線状材支持部材は住宅の住人が自ら、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に所定間隔を隔てて固定することも可能である。また、上記線状材は、その中途部が上記各線状材支持部材に支持されるものである。なお、この線状材は、単一のものであっても良いし、複数が端部で連結されているものであっても良い。また、上記シート支持部材は、上記線状材支持部材に支持されるものであるとともに、防水シートの上端又は上端側を支持するものである。したがって、このシート支持部材は、例えば文房具として使用されているダブルクリップであっても良い。また、上記防水シートは、その上端又は上端側が上記シート支持部材によって支持されるものであり、単一であっても良いし、複数からなるものであっても良い。この防水シートが単一である場合には、その長さが住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物が外側から被覆される長さとされている必要性がある。そして、こうした単一の防水シートの両側(又は両端)は、水密性を有した状態で接合される必要がある。他方、複数の防水シートを使用する場合には、それぞれの防水シートは水密性を有した状態で接合される必要があり、これらの防水シート全体で、上記住宅及び附属物が外側から被覆される長さとされている必要性がある。なお、このように防水シートを、水密性を有した状態で接合する方法は、接着剤により両端側を接着したり、両面接着テープを使用したりすることができる。例えば、互いに接合される防水シートの一方の端部近傍に、該防水シートの幅と同じ長さとされた両面接着テープの一方を貼付し、他方の防水シートの端部近傍を、上記両面接着テープの他方を貼付すれば良い。なお、この(又はこれらの)防水シートの幅は、少なくとも、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置から基礎部の周囲の地盤にまで及ぶものとされている必要がある。また、上記地盤用止水部材は、下端側が上記住宅及び上記附属物から離間した地盤に埋設されるものであり、上端にはそれぞれ止水材嵌合用凹部が形成されている。また、これらの地盤用止水部材の埋設位置は、それらの全体で上記住宅及び附属物を囲むように施工されている必要性がある。なお、これらの地盤用止水部材は、地盤を掘削することにより埋設されるものである。また、上記止水材は、上記防水シートの下端側を該防水シートの上方から、上記各地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に嵌合されてなるものである。すなわち、防水シートの下端側は、それぞれの地盤側止水部材と止水材とにより挟まれた状態とされている。
【0009】
したがって、第1の発明に係る住宅の浸水防止構造によれば、住宅全体は、上記附属物も含めて上記防水シートにより被覆された状態となり、且つ、該防水シートの下端側は、上記地盤側止水部材と止水材とにより挟まれた状態となり、効果的に止水された状態となることから、濁流その他の水の流れにより、該防水シートの下端側から内側に水が侵入するおそれも有効に回避することができる。また、この第1の発明に係る住宅の浸水防止構造では、既設の住宅の基礎部やその周囲に対して、大がかりな工事が予め必要となることはなく、低コストで浸水を防止することが可能となる。
【0010】
また、第2の発明は、上記第1の発明において、前記地盤用止水部材は、地中方向に長さを有する縦板部と、この縦板部の下端から折曲されてなる折曲部と、上記縦板部の上端の側部に固定され上面は地盤面に露出してなる止水部材本体と、を備え、前記止水材嵌合用凹部は、上記止水部材本体の上面に形成されてなることを特徴とするものである。
【0011】
この第2の発明に係る住宅の浸水防止構造は、前記地盤用止水部材の形状を限定したものであり、地中方向に長さを有する縦板部の下端には、該下端から折曲されてなる折曲部が形成されている。また、上記縦板部の上端には、該縦板部の上端の側部に固定され上面は地盤面に露出してなる止水部材本体を備えており、前記止水材嵌合用凹部は、上記止水部材本体の上面に形成されている。したがって、この第2の発明に係る住宅の浸水防止構造によれば、上記防水シートの下端側は上記地盤用止水部材と止水材とより強固に挟まれ、濁流等により防水シートに対してめくり上がる等の力が作用した場合であっても、該防水シートは当初の状態を維持することができ、該防水シートの内側に水が侵入することがないばかりか、地盤内に埋設された上記折曲部により、地盤用止水部材全体が引き抜かれる危険性も有効に防止することができる。また、集中豪雨等の発生が予想されず、防水シートの施工がされていない状態において、上記地盤用止水部材は、上記止水部材本体の上面のみが地盤面に露出されているに過ぎないことから、集中豪雨等により襲われる前に予め施工されている場合であっても、住宅やその敷地内における外観を損なったり通常の生活に支障を及ぼしたりすることも無い。
【0012】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1及び第2の発明と同じように、住宅の浸水防止構造に係るものであって、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に固定された複数の線状材支持部材と、これらの線状材支持部材に支持されてなり該住宅の外周を囲むように配置されロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、この支持ロープに支持された複数のシート支持部材と、これらのシート支持部材により上端側が支持され、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置され、両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合されてなる一又は複数の防水シートと、下面は上記住宅及び上記附属物から離間したコンクリート地盤面に固定されてなり、上面には止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、全体で上記附属物を含めた住宅全体を囲むように施工されたコンクリート地盤用止水部材と、上記各コンクリート地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に対して上記防水シートの下端側中途部を挟んだ状態で嵌合され可撓性を有する止水材と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第3の発明に係る住宅の浸水防止構造は、上記地盤用止水部材のように、地盤に配置されているのではなく、コンクリート用止水部材の下面が、上記住宅及び上記附属物から離間したコンクリート地盤面に固定されてなるものである。このコンクリート用止水部材は、止水材により防水シートの下端側中途部を挟む止水材嵌合用凹部が上面に形成されてなるとともに、全体で上記附属物を含めた住宅全体を囲むように施工されたものである。
【0014】
したがって、この第3の発明に係る住宅の浸水防止構造であっても、基本的には上記第1の発明に係る住宅の浸水防止構造と同様の作用効果を奏する。
【0015】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第3の発明において、前記コンクリート地盤用止水部材は樹脂又は金属を素材とし、該コンクリート地盤用止水部材の上面には前記止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、該コンクリート地盤用止水部材は、前記コンクリート地盤面に対して接着剤及び/又は固定金具により固定されてなることを特徴とするものである。
【0016】
この第4の発明に係る住宅の浸水防止構造は、前記コンクリート地盤用止水部材の構成を限定したものであり、コンクリート地盤用止水部材は樹脂又は金属を素材とする。また、このコンクリート地盤用止水部材の上面には前記止水材嵌合用凹部が形成されている。そして、このコンクリート地盤用止水部材は、前記コンクリート地盤面に対して接着剤及び/又は固定金具により固定されている。なお、上記固定金具により、コンクリート地盤用止水部材を固定する場合には、例えば、該コンクリート地盤用止水部材に、固定金具であるコンクリートビスが挿通される挿通穴を設け、この挿通穴に該コンクリートビスを挿通するとともに、該コンクリートビスの下端側をコンクリート地盤内に固定させる方法や、該コンクリート地盤面にビスを介してされる一方の固定板部と上記コンクリート地盤用止水部材の上面又は側面等にビスを介して固定される他方の固定板部とを備えて固定金具を用いて固定したものであっても良い。したがって、こうした構成に係る住宅の浸水防止構造によれば、住宅や上記附属物の周囲には、コンクリート地盤が形成されている場合であっても、該コンクリート地盤を取り除く等の大掛かりな工事が必要とすることなく、上記防水シートを確実に固定することができ、住宅やその敷地内における外観を損なったり生活に支障を及ぼしたりすることも無い。
【0017】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、住宅の浸水防止構造に係るものであって、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に固定された複数の線状材支持部材と、これらの線状材支持部材に支持されてなり該住宅の外周を囲むように配置されたロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、この線状材に支持された複数のシート支持部材と、これらのシート支持部材により上端側が支持され、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物の外側を被覆するように該住宅の周回り方向に配置され、両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合されてなる一又は複数の防水シートと、上記住宅の基礎部の外側面及び該住宅に併設された階段ポーチの外側面,給湯器又は空気調和機の室外機その他該住宅の附属物が設置される設備載置用基礎部の外側面に固定され、外側に露出した正面には止水材嵌合用凹部が形成されてなる複数の基礎用止水部材と、上記各基礎用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部に対して上記防水シートの下端側中途部を挟んだ状態で嵌合されてなる止水材と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0018】
この第5の発明に係る住宅の浸水防止構造は、防水シートの下端側が、基礎用止水部材の正面に形成された止水材嵌合用凹部に、間に該防水シートの下端側中途部を挟んだ状態で止水材が嵌合されてなるものである。上記基礎用止水部材は、上記住宅の基礎部の外側面及び該住宅に併設された階段ポーチの外側面,給湯器又は空気調和機の室外機その他該住宅の附属物が設置される設備載置用基礎部の外側面に固定されてなるものである。したがって、こうした構成に係る住宅の浸水防止構造であっても、基本的には、上記第1の発明又は第3の発明に係る住宅の浸水防止構造と同様の作用効果を奏することができる。特に、この第5の発明に係る住宅の浸水防止構造では、上記基礎用止水部材が、上記住宅の基礎部の外側面及び該住宅に併設された階段ポーチの外側面,給湯器又は空気調和機の室外機その他該住宅の附属物が設置される設備載置用基礎部の外側面に固定されるものであることから、第1の発明のように、地盤を掘削する作業は必要とされず、また、第3の発明のように、コンクリート地盤面にコンクリート地盤用止水部材が配置されるものではないことから、住宅やその周辺の外観を損なうことがなく、また日常生活に支障を来すおそれを緩和することができる。
【0019】
また、第6の発明(請求項6記載の発明)は、上記第5の発明において、前記基礎用止水部材は樹脂又は金属を素材とし、該基礎用止水部材の正面には前記止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、該基礎用止水部材は前記基礎部の外側面に対して接着剤及び/又は固定金具により固定されてなることを特徴とするものである。
【0020】
この第6の発明に係る住宅の浸水防止構造は、前記基礎用止水部材の構成を限定したものであり、該基礎用止水部材は樹脂又は金属を素材とする。また、この基礎用止水部材の正面(外側面)には前記止水材嵌合用凹部が形成されてなるとともに、該基礎用止水部材は前記基礎部の外側面に対して接着剤及び/又は固定金具により固定されている。そして、この基礎用止水部材は、前記住宅の基礎部の外側面に対して接着剤及び/又は固定金具により固定されている。なお、上記固定金具により、基礎用止水部材を固定する場合には、例えば、該基礎用止水部材に、固定金具であるコンクリートビスが挿通される挿通穴を設け、この挿通穴に該コンクリートビスを挿通するとともに、該コンクリートビスの先端側を基礎部内に固定させる方法や、該基礎部の外側面にビスを介してされる一方の固定板部と上記基礎用止水部材の正面又は側面等にビスを介して固定される他方の固定板部とを備えて固定金具を用いて固定したものであっても良い。したがって、こうした構成に係る住宅の浸水防止構造によれば、上記各基礎部に対して上記防水シートを確実に固定することができるばかりではなく、住宅やその敷地内における外観をより一層損なったり、日常生活に支障を来したりすることを相当程度緩和することができる。
【0021】
また、第7の発明(請求項7記載の発明)ないし第9の発明(請求項9記載の発明)は、上記第1の発明、第3の発明、第5の発明に係るそれぞれ住宅の浸水防止構造を、住宅の施工工法として記載したものであり、実質的に該第1の発明と同様であることから、その説明は省略する。
【0022】
また、第10の発明(請求項10記載の発明)は、住宅の浸水防止用セットに係る発明であり、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に複数の線状材支持金具が予め固定され、且つ、上端には止水材嵌合用凹部が形成されてなる地盤用止水部材が、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物から離間した地盤に所定間隔を隔てて全体で該住宅及び附属物を囲むように予め施工された状態において、作業者が使用する住宅の浸水防止用セットであって、上記複数の線状材支持金具に支持され該住宅の外周を囲むように配置されるロープ又は紐若しくはワイヤー等の線状材と、この線状材に支持される複数のシート支持部材と、これらのシート支持部材により上端側が支持され、隣り合う両端又はその近傍は水密性を有した状態で接合されてなるとともに、上記住宅及び附属物が内側となるように配置される一又は複数の防水シートと、上記防水シートの下端側中途部の上方から、上記各地盤用止水部材に形成された止水材嵌合用凹部にそれぞれ嵌合される可撓性を有する複数の止水材と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0023】
この第10の発明に係る住宅の浸水防止用セットでは、以下の二つの条件を満たすことが前提とされたものである。第1の条件は、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅の外壁に複数の線状材支持金具が予め固定されていることであり、第2の条件は、上端には止水材嵌合用凹部が形成されてなる地盤用止水部材が、上記住宅及び該住宅に併設された階段ポーチ,給湯器,空気調和機の室外機その他該住宅の附属物から離間した地盤に所定間隔を隔てて全体で該住宅及び附属物を囲むように予め施工されていることにある。換言すれば、この第10の発明に係る住宅の浸水防止用セットは、以上の二つの条件が満たされている場合において、作業者が使用するものであり、該住宅の浸水防止用セットに含まれるものは、少なくとも線状材、複数のシート支持部材、一又は複数の防水シート及び複数の止水材であり、例えば、段ボール箱その他所定の包材に収容されている。
【0024】
したがって、この第10の発明に係る住宅の浸水防止用セットによれば、台風や集中豪雨等の発生が報道された後に、この住宅の浸水防止用セットを構成する上記線状材を、予め外壁に固定されている複数の線状材支持部材に支持させ、該住宅の外周を囲むように配置する工程(第7の発明を構成する線状材支持工程)、この線状材にそれぞれのシート支持部材を支持させる工程(第7の発明を構成する支持部材配置工程)、これらのシート支持部材により一又は複数の防水シートの上端側を支持させる工程(第7の発明を構成する防水シート配置工程)、上記防水シートの下端側を各地盤用止水部材と止水材とにより挟んだ状態となるように該止水材を止水材嵌合用凹部に嵌合させる工程(第7の発明を構成する止水材嵌合工程)をそれぞれ実行し、自己の住宅に対して浸水防止措置を施すことが可能となる。
【0025】
なお、上記第10の発明に係る住宅の浸水防止用セットは、上記第1の発明に係る住宅の浸水防止構造又は第7の発明に係る住宅の浸水防止工法に対応するものである。また、第11の発明(請求項11記載の発明)に係る住宅の浸水防止用セットは、上記第3の発明に係る住宅の浸水防止構造又は第8の発明に係る住宅の浸水防止工法に対応するものであり、第12の発明(請求項12記載の発明)に係る住宅の浸水防止用セットは、上記第5の発明に係る住宅の浸水防止構造又は第9の発明に係る住宅の浸水防止工法に対応するものであることから、それぞれの説明は省略する。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る住宅の浸水防止構造、住宅の浸水防止工法によれば、防水シートの下端側から内部に水が侵入することを有効に防止することができ、また、既設の住宅の住人等であっても容易に集中豪雨等による屋内への浸水を比較的容易に且つ低コストで施工することができる。とりわけ、この発明に係る住宅の浸水防止用セットによれば、台風や集中豪雨等の発生が報道される等の後に、自己の住宅に対してその住人自ら極めて簡単に浸水防止措置を施すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】支持ロープを示す斜視図である。
図2】シート支持クリップを示す斜視図である。
図3】ロール状に巻回された防水シートを示す斜視図である。
図4】地盤用止水部材と止水材を示す斜視図である。
図5】ロープ支持用フックが壁面に固定された状態及びロープ支持用フックを示す斜視図である。
図6】地盤用止水部材が埋設された状態を示す平面図である。
図7】地盤用止水部材の出隅部分及び入隅部分を拡大して示す斜視図である。
図8】支持ロープにシート支持クリップが取り付けられた状態を示す斜視図である。
図9】住宅の浸水防止構造の一例を示す側面図である。
図10】温水器が位置する部位における住宅の浸水防止構造を示す側面図である。
図11】階段ポーチが位置する部位における住宅の浸水防止構造を示す側面図である。
図12】コンクリート地盤面に固定される地盤用止水部材を示すものであって、(A)は基本止水部材、(B)は出隅用止水部材、(C)は入隅用止水部材を示す斜視図である。
図13】基礎用止水部材が基礎等に固定された状態を示す平面図である。
図14】基礎用止水部材を示すものであって、(A)は基本止水部材、(B)は出隅用止水部材、(C)は入隅用止水部材を示す斜視図である。
図15】基礎止水部材を用いた部位における住宅の浸水防止構造を示す側面図である。
図16】温水器のタンクが位置する部位における住宅の浸水防止構造を示す側面図である。
図17】階段ポーチが位置する部位における住宅の浸水防止構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。先ず、第1の住宅の浸水防止用セットについて説明し、その後、この浸水防止用セットに含まれる各部材を用いて施工される住宅の浸水防止構造について説明し、その後住宅の浸水防止工法についても説明する。
【0029】
この第1の実施の形態に係る浸水防止用セットは、図示しない段ボール箱、樹脂製の袋その他の包材にそれぞれ収容されてなるものであり、本発明を構成する線状材としての支持ロープ、本発明を構成するシート支持部材としての複数のシート支持クリップ、一又は複数の防水シート、両面接着テープ及び複数の止水材が含まれている。上記支持ロープ1は、住宅の外壁に固定され後述する線状材支持部材に挿通されるものであり、図1に示すように、結束材2により結束されてなるものである。この支持ロープ1は、図示しない住宅の外周の長さよりも長尺とされている。また、図2に示すように、上記シート支持クリップ3は、上記図示しない包材内に多数収容されてなるものである。そして、個々のシート支持クリップ3は、金属又は樹脂を素材とするものであり、防水シートの上端側を挟持する一方の挟持板部3a及び他方の挟持板部3bと、これら一方及び他方の挟持板部3a,3bの基端側に形成され円弧状に折曲されてなる円弧状折曲部3cとからなるものである。なお、上記円弧状折曲部3cの内側に形成された空間(符号は省略する。)は、図2中一点鎖線で示す上記支持ロープ1の中途部が挿通されるロープ挿通空間である。また、上記一方の挟持板部3aと他方の挟持板部3bとは、通常時においてはそれらの先端側が近接してなる(閉状態とされている)とともに、これらの先端が互いに離間する方向に力を作用させることにより開く(開状態となる)。また、このシート支持クリップ3を構成する上記一方の挟持板部3aの内側面には、複数の凸部3dが他方の挟持板部3b側に突設され、また、上記他方の挟持板部3bには、上記凸部3dの先端が内部に臨む円形状の開口3eが形成されている。したがって、上記シート支持クリップ3は、上記閉状態から開状態となるよう撓ませ、該一方の挟持板部3aと他方の挟持板部3bとの間に後述する防水シートの上端側を挿入し、再びその弾性力により閉状態とさせることにより、上記それぞれの凸部3dは、該防水シートを挟んだ状態で上記開口3e内に臨む。したがって、こうした構成により、上記防水シートの上端側は、強固に支持(挟持)され、該防水シートに対して下方に力が作用した場合であっても、その支持状態が解除されることがない。
【0030】
また、図3に示すように、上記防水シート4は、長さ方向の中央で二つ折りにした状態で円筒状に巻回(ロール状と)されてなるものであり、その全長は図示しない住宅の外周の長さよりも長尺とされ、さらに該住宅の附属物として、図示しない階段ポーチ、空気調和機の室外機、或いは温水器等が施工され又は設置されている場合には、これらの附属物も含めて住宅の外周を被覆することができるのに十分な長さとされている。なお、この防水シート4は、上述したように、円筒状に巻回された状態ではなく、折り畳んだ状態で上記包材に収容されているものであっても良いし、また、この防水シートは、上記長さとされた単一のものである場合の他、それぞれ同じ幅とされた図示しない複数の防水シートが収容されていても良い。さらに、上記防水シート4は、上述したように、ロール状とされた場合であっても、二つ折りの状態ばかりではなく、三つ折り又は四つ折りの状態でロール状にされているものであっても良い。また、こうした防水シート4を複数である場合において、その内の特定の防水シート4が、他の防水シート4の幅よりも長尺であっても良い。こうした長尺な幅を備えた防水シート4が含まれている場合には、それらを玄関に形成された階段ポーチを余裕を以って被覆したり、附属物である温水器のタンクや室外機等に対しても余裕を以って被覆したりしることができる。また、上記両面接着テープは、上記単一の防水シート4の両端を接合するために使用されるものであって、両面に接着剤が塗布された接着面が形成された図示しない帯状の基材と、この基材の一方の接着面に貼付された一方の剥離シートと、該基材の他方の接着面に貼付された他方の剥離シートとから構成されている。したがって、上記防水シート4が単一である場合には、先に説明したように、上記附属物も含めて住宅の外周を被覆させた後に、該防水シート4の両端を、上記両面接着テープを用いて互いに十分な水密性を有するように接合することができ、また、複数の防水シート4が収容されている場合には、それぞれの防水シート4の両端側を、上記両面接着テープを用いて互いに十分な水密性を有するように接合することができる。
【0031】
また、図4に示すように、上記止水材5は、円柱状に成形されたゴム又は軟質樹脂からなるもの(ビード)であり、地盤用止水部材7を構成する止水部材本体7cに形成された止水材嵌合用凹部7dに対して、上記防水シート4の下端側中途部の上方から嵌合し、該防水シート4を固定するものである。なお、上記止水材嵌合用凹部7dは、開口(符号は省略する。)の幅よりも内部に幅が広い形状とされ、該開口は、上記止水材5の外径よりも短いものとされている。
【0032】
そして、上述した浸水防止用セットの構成要素を用いて住宅の浸水防止構造を完成する場合、該住宅には、予め図5に示すように、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅Hの外壁Wに予め複数のロープ支持用フック6が固定されている。これらのロープ支持用フック6は、本発明を構成する線状材支持部材である。そして、個々のロープ支持用フック6は、上記外壁Wに固定される一方のネジ8が挿通されるネジ穴6aが中央に形成された一方の固定部6bと、該外壁Wに固定される他方のネジ9が挿通されるネジ穴6cが中央に形成された他方の固定部6dと、上記一方の固定部6bと他方の固定部6dに連続し上記外壁Wとの間で閉塞空間(符号は省略する。)を形成する湾曲部6eとから構成されている。上記閉塞空間は、上述した支持ロープ1が挿通される部位である。
【0033】
また、図6に示すように、住宅Hから離間し上部には砕石(符号は省略する。)が敷設された地盤Gには、本発明を構成する複数の地盤用止水部材7が該住宅Hや図示しない空気調和機に接続された室外機AC1、温水器AのタンクT及びこのタンクTに管及び電気ケーブル等により接続された室外機AC2等の附属物を囲むように埋設されている(本発明を構成する止水部材埋設工程)。この地盤用止水部材7は、それぞれ先に説明したように、図4に示す構成からなるものである。すなわち、地盤用止水部材7は、地中方向に長さを有する縦板部7aと、この縦板部7aの下端から折曲されてなる折曲部7bと、上記縦板部7aの上端側の側面に固定され上面は地盤面に露出してなる止水部材本体7cとを備えており、上記止水部材本体7cの上面には止水材嵌合用凹部7dが形成されている。なお、上記止水部材本体7cはアルミニウム又はステンレススチール等の金属を素材とするものであっても良いが、本実施の形態においては、上記止水部材本体7cは樹脂により押し出し成形されてなるものであり、所定の角度で湾曲されるように成形されている。また、この実施の形態においては、図6に示すそれぞれ地盤用止水部材7の中で、出隅部分又は入隅部分は、図7の(A)又は(B)に示すように、上記折曲部7bを所定角度切断し、その上で上記縦板部7a及び止水部材本体7cが湾曲された状態で施工されている。
【0034】
そして、作業者は、先ず、上記それぞれロープ支持用フック6を構成する閉塞空間内に、住宅Hを囲むように、前記支持ロープ1を挿通させ、該支持ロープ1の端部を互いに縛る等して該支持ロープ1に所定の張力を持たせる(本発明を構成する線状材支持工程)。なお、この際、図8に示すように、上記支持ロープ1を、上記シート支持クリップ3に形成されたロープ挿通空間にも該支持ロープ1を挿通させ、それぞれのシート支持クリップ3を該支持ロープ1に支持させるか、或いは、上述した要領により支持ロープ1を上記ロープ支持用フック6に支持する工程が終了した後に、上記それぞれのシート支持クリップ3の一方の挟持板部3aと他方の挟持板部3bを離間させて該支持ロープ1に所定間隔を隔てて(例えば、1m間隔にて)支持させる(本発明を構成する支持部材配置工程)。そして、上記それぞれのシート支持クリップ3を上記支持ロープ1に支持させる工程が終了すると、次いで、上記円筒状に巻回(ロール状と)された防水シート4を広げ、該防水シート4の上端側をそれぞれのシート支持クリップ3に順次支持させながら、上記住宅H及び住宅の附属物として図示しない空気調和機の室外機AC1や温水器のタンクT等を被覆させ、両端を上記図示しない両面接着テープを用いて、該防水シート4の両端を、水密性を有した状態で接合(接着)する(本発明を構成する防水シート配置工程)。
【0035】
このように上記防水シート4の上端側がそれぞれ上記シート支持クリップ3に支持されると、上記温水器等の附属物を含めた住宅Hを囲むように施工された図6に示す各地盤用止水部材7の全ては、該防水シート4の下端側の中途部により上から覆われることとなる。そこで、上記それぞれの止水材5を止水材嵌合用凹部7dから取り除き、その後、上記防水シート4の上方から上記地盤用止水材7の止水部材本体7cに形成された止水材嵌合用凹部7dに嵌合させる(止水材嵌合工程)。このように、各止水材5を止水材嵌合用凹部7dに嵌合させることにより、上記防水シート4の下端側中途部は、該止水材5と地盤用止水部材7(の止水部材本体7c)との間に強固に挟持される。以上の作業により、住宅の浸水防止構造が完成する。
【0036】
そして、こうした一連の作業により完成した住宅の浸水防止構造を、住宅Hの幾つかの部位又は方向から説明すると、例えば、上記附属物が存在しない部位においては、図9に示す構造とされている。すなわち、この部位においては、予想される浸水高さよりも上方の高さ位置において住宅Hの外壁Wに線状材支持部材としてのロープ支持用フック6が複数固定され、これらのロープ支持用フック6には、該住宅Hの外周を囲むように配置された線状材としての支持ロープ1が支持されている。また、この支持ロープ1には、複数のシート支持部材としてのシート支持クリップ3が支持され、上記防水シート4の上端側は、これらのシート支持クリップ3により支持され、上記住宅Hの外側を被覆するように該住宅Hの周回り方向に配置されており、且つ、該防水シート4の両端又はその近傍が水密性を有した状態で互いに接合されている。また、上記防水シート4の下端側中途部は、上記各地盤用止水部材7に形成された止水材嵌合用凹部7dに対して該防水シート4の下端側中途部を挟んだ状態で可撓性を有する止水材5が嵌合されている。
【0037】
なお、上記附属物として、温水器等が住宅Hの近傍に設置されている場合には、該温水器の上端側の外壁Wに上記ロープ支持用フック6を固定しても良いが、予想される水位が温水器等の上端よりも低い場合には、例えば図10に示すように、該温水器Aの筐体B1の側面に該ロープ支持用フック6を固定しても良い。また、上記附属物として、図11に示すように、階段ポーチPが形成されている場合であって、予想される水位が玄関ドアDの上端より低い場合には、上記ロープ支持用フック6を該玄関ドアDの外側面に固定するとともに、上記防水シート4の中途部を、該階段ポーチP全体を上から覆い、該防水シート4の下端側中途部を上述した要領で止水材5により固定しても良い。
【0038】
また、上記住宅Hの近傍(基礎部の外側)にコンクリートが打設されている場合(土間又は犬走等のコンクリート地盤が形成されている場合)には、上記地盤用止水部材7に替えて、コンクリート地盤用止水部材17を該コンクリート地盤面Cに固定する。このコンクリート地盤用止水部材17の固定箇所は、概ね上記図6と同じように、上記附属物を含めた住宅Hが囲まれるように施工する。そして、このコンクリート地盤用止水部材17は、本実施の形態では、樹脂を素材とするものであって、図12の(A)に示す基本止水部材17aと、同図の(B)に示す出隅用止水部材17bと、同図の(C)に示す入隅用止水部材17cとから構成されている。上記基本止水部材17aは、長尺に成形されてなるものであって、その一側側には止水材嵌合用凹部17dが形成され、該止水材嵌合用凹部17dと他側との間には、コンクリート地盤面にこの基本止水部材17aを固定する図示しないコンクリート用ビスが挿通される複数の挿通穴17eが形成されている。また、上記出隅用止水部材17bと上記入隅用止水部材17cとは、それぞれ上記基礎止水部材17aの端面に接着剤を介して接合される一方の端面17f,17g及び他方の端面17h,17iを備え、全体の平面形状は湾曲されてなるものであり、上面には止水材5が嵌合する止水材嵌合用凹部17j,17kが円弧状に形成されている。また、上記出隅用止水部材17bと上記入隅用止水部材17cには、図示しないコンクリート用ビスが挿通される複数の挿通穴17l,17mが形成されている。したがって、上記各止水材嵌合用凹部17d、17j、17k内に上記防水シート4を挟んで止水材5が嵌合されること(本発明を構成する止水材嵌合工程)により、該防水シート4が固定され水密性が図られる。
【0039】
また、この発明に係る住宅の浸水防止構造は、上記防水シート4の下端側中途部が、上述した地盤Gに配置された地盤用止水部材7や、上記コンクリート地盤面Cに配置されたコンクリート地盤用止水部材17に固定されるもの以外に、該防水シート4の下端側を、図13に示すように、上記住宅Hの各基礎部Bの外側面等に固定された基礎用止水部材27に固定されたものであっても良い。この基礎用止水部材27は、それぞれ樹脂又は金属を素材とするものであり、背面が上記基礎部B等の外側面に接着剤及び複数のコンクリートビスにより固定されるものであって、図14の(A)に示す基本止水部材27aと、同図の(B)に示す出隅用止水部材27bと、同図の(C)に示す入隅用止水部材27cとから構成されている。上記基本止水部材27aは、正面の下方側に止水材嵌合用凹部27dが形成されている。なお、この基本止水部材27aの正面は、上記止水材嵌合用凹部27dよりも上方が下方よりも広い幅とされ、防水シート4に対して高い水圧が作用した場合であっても、該基本止水材27aの上記広い正面に該防水シート4が密着することにより、住宅Hの基礎部Bとの段差により、止水材5による防水シート4の固定状態が解除される事態が防止されている。なお、この基本止水材27aの(幅が広い)正面には、上記コンクリートビスが挿通される複数の挿通穴27eが形成されている。また、上記出隅用止水部材27bと上記入隅用止水部材27cとは、それぞれ上記基礎止水部材27aの端面に接着剤を介して接合される一方の端面27f,27g及び他方の端面27h,27iを備え、全体の平面形状は湾曲されてなるものであり、正面のやや下方には止水材5が嵌合する止水材嵌合用凹部27j,27kが円弧状に形成されている。また、上記出隅用止水部材27bと上記入隅用止水部材27cには、図示しないコンクリート用ビスが挿通される図示しない複数の挿通穴が形成されている。したがって、上記各止水材嵌合用凹部27d、27j、27k内に上記防水シート4を挟んで止水材5が嵌合されること(本発明を構成する止水材嵌合工程)により、該防水シート4が固定され水密性が図られる。なお、上述した基礎用止水部材27(基本止水部材27a、出隅用止水部材27b、入隅用止水部材27c)は、住宅Hの基礎部Bの外側面ばかりではなく、後述する附属物が設置され該基礎部Bと一体的又は該基礎部Bと離間して打設されたコンクリート製のベースや階段アプローチの下端側の周囲にも固定する。
【0040】
図15は、住宅Hの基礎部Bの外側面に固定された基礎用止水部材27(基本止水部材27a)と止水材5により防水シート4の下端側中途部が固定された状態(住宅の浸水防止構造)を示すものであり、図16は、上記住宅Hの附属物である温水器の貯水タンクT(図13参照)が設置されたコンクリート製の基礎部B2の外側面に固定された基礎用止水部材27(基本止水部材27a)と止水材5により防水シート4の下端側中途部が固定された状態(住宅の浸水防止構造)を示すものであり、また、図17は、上記住宅Hの附属物である階段ポーチP(図13)の最も下段の正面に固定された基礎用止水部材27(基本止水部材27a)と止水材5により防水シート4の下端側中途部が固定された状態(住宅の浸水防止構造)を示すものである。また、図13に示すように、図示しない空気調和機に接続された上記住宅Hの附属物である室外機AC1がコンクリート製の基礎部B3上に設置されている場合には、該基礎部B3の住宅H側を除いた周囲全体に基礎用止水部材27を固定する。換言すれば、上記基礎用止水部材27である上記基本止水部材27a、出隅用止水部材27b及び上記入隅用止水部材27cをそれぞれ選択して、それぞれが互いに連続させながら、上記附属物の基礎部B2,B3等を含めた住宅Hの基礎部Bに固定し、上記各止水材嵌合用凹部27d、27j、27k内に上記防水シート4を挟んで止水材5を嵌合させることにより、該防水シート4によって上記附属物を含めた住宅H全体を外側から被覆したものが、この発明に係る住宅の浸水防止構造の態様である。
【0041】
なお、上述した実施の形態の説明では、予めロープ支持用フック6が固定され、また、地盤Gには複数の地盤用止水部材7(又は上記コンクリート地盤用止水部材17、上記基礎用止水部材27)が予め埋設されていることを前提に、冒頭で説明した浸水防止用セットの構成物(構成要素)である支持ロープ1、シート支持クリップ3、防水シート4、両面接着テープ及び複数の止水材5を用いて、住宅の浸水防止構造とすることを各工程も含めて説明したが、本発明は、上記それぞれのロープ支持用フック6を外壁Wに固定する工程(本発明を構成する支持金具固定工程)や、上記それぞれの地盤用止水部材7を地盤Gに埋設する工程(本発明を構成する止水部材埋設工程)、上記それぞれのコンクリート地盤用止水部材17(又は上記コンクリート地盤用止水部材17、上記基礎用止水部材27)をコンクリート製地盤面C(又は上記コンクリート地盤C若しくは基礎部B等)に固定する工程を経て所定の浸水防止構造が完成される場合であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1 支持ロープ
3 シート支持クリップ
4 防水シート
5 止水材
6 ロープ支持用フック
7 地盤用止水部材
7a 縦板部
7b 折曲部
7c 止水部材本体
7d 止水材嵌合用凹部
17 コンクリート地盤用止水部材
17d 止水材嵌合用凹部
27 基礎用止水部材
27d,27j,27k 止水材嵌合用凹部
H 住宅
G 地盤
C コンクリート地盤面
B,B2,B3 基礎部
T 温水器の貯水タンク
AC1,AC2 室外機
P 階段ポーチ
図1
図2
図3
図4
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