(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】熱型検出器及び熱型検出器アレイ
(51)【国際特許分類】
G01J 1/02 20060101AFI20240219BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20240219BHJP
G01J 3/02 20060101ALI20240219BHJP
G02B 26/00 20060101ALI20240219BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
G01J1/02 R
G01J1/02 Q
G01J1/02 C
G01J3/26
G01J3/02 S
G02B26/00
B81B3/00
(21)【出願番号】P 2020512595
(86)(22)【出願日】2018-08-31
(86)【国際出願番号】 FI2018050619
(87)【国際公開番号】W WO2019043299
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-08-12
(32)【優先日】2017-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512068592
【氏名又は名称】テクノロギアン トゥトキムスケスクス ヴェーテーテー オイ
【氏名又は名称原語表記】TEKNOLOGIAN TUTKIMUSKESKUS VTT OY
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルプラ、アーポ
(72)【発明者】
【氏名】グオ、ビン
【審査官】平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-132115(JP,A)
【文献】特開2013-186038(JP,A)
【文献】特開2012-163913(JP,A)
【文献】特開2000-236482(JP,A)
【文献】特開2014-038092(JP,A)
【文献】特表平10-511772(JP,A)
【文献】特開2010-190618(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0163942(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102016122850(DE,A1)
【文献】特開2016-017794(JP,A)
【文献】特表2015-534642(JP,A)
【文献】特開2015-161511(JP,A)
【文献】国際公開第2015/064758(WO,A1)
【文献】特表2015-504373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 1/02- G01J 1/04
G01J 1/42
G01J 3/02
G01J 3/26- G01J 3/36
G01J 5/10- G01J 5/24
G01J 5/34- G01J 5/35
G01J 5/48
G02B 5/28
G02B 26/00
H01L 27/14- H01L 27/148
H01L 31/00- H01L 31/0248
H01L 31/08- H01L 31/119
H10K 30/60- H10K 30/65
H10K 39/30- H10K 39/34
B81B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合された第1のウェハ及び第2のウェハであって、前記第1のウェハは、
i)誘電体又は半導体の基板、
ii)前記基板の上に堆積されたウェハ幅の又はパターン形成された局所的な誘電体の犠牲層、
iii)前記誘電体又は半導体の犠牲層の上に堆積された支持層
であって、所定の厚さ、前記誘電体の犠牲層に対する第1の表面、前記第2のウェハに面する反対側の第2の表面、及び前記支持層の前記第1の表面から前記第2の表面に延伸する内面を有する貫通開口を有する支持層、
並びに
iv)前記支持層の前記所定の厚さより薄い第2の厚さを有する懸架アクティブ素子であって、前記懸架アクティブ素子の全てが、前記支持層の
前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記貫通開口内に設けられ
、前記支持層の前記貫通開口の前記内面に接続されている懸架アクティブ素子
を含む、第1のウェハ及び第2のウェハと、
前記懸架アクティブ素子の両側の第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞であって、前記第1の真空封止空洞は、前記懸架アクティブ素子の位置において前記犠牲層に延在し、前記第2の真空封止空洞は、前記接合された第2のウェハによって閉じられている、前記支持層の前記
貫通開口を含む、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞と、
外部から前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの一方に放射を入射するための前方光学装置と、
前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの他方に放射を反射するように構成された後方反射器と、
前記懸架アクティブ素子を読出し回路に接続するための電気接続部と
を備える、ウェハ・レベル集積熱型検出器。
【請求項2】
前記第1のウェハ及び前記第2のウェハは、フュージョン活性化接合、プラズマ活性化接合、熱圧着接合、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用してウェハ接合されている、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項3】
前記電気接続部は、熱圧着接合、別のタイプの金属ベースの接合、又はチップ接合によって、第3のウェハの上の集積読出し回路に接続されるように構成されている、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項4】
前記前方光学装置は、透過性基板、基板内の窓、反射防止コーティング、レンズ、フィルタ、前方ミラー、制御可能な移動式前方ミラー、ファブリ・ペロー干渉計、同調可能ファブリ・ペロー干渉計のうちの1つ以上を備える、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項5】
前記後方反射器は、後方ミラー、金属の後方ミラー、分布ブラッグ反射器、制御可能な移動式後方ミラー、ファブリ・ペロー干渉計、同調可能ファブリ・ペロー干渉計のうちの1つ以上を備える、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項6】
前記後方反射器は、前記第1のウェハ及び前記第2のウェハのうちの他方のウェハの内側面、透過性基板若しくは窓の後ろの、前記第1のウェハ及び前記第2のウェハのうちの他方のウェハの外側面、又は前記第1のウェハ及び前記第2のウェハのうちの他方のウェハに設けられた開口に設けられる、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項7】
前記所定の厚さを有する前記支持層は、前記懸架アクティブ素子の機械的連結及び電気的接続のために、前記
貫通開口の周辺部に、より薄い肩部分をさらに備え、前記より薄い肩部分の厚さは、前記支持層の前記所定の厚さより薄く、前記より薄い肩部分は、前記第1のウェハの接合表面からオフセットされている、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項8】
前記後方反射器は、前記第1のウェハ及び前記第2のウェハのうちの他方のウェハの内側面、透過性基板若しくは窓の後ろの、前記第1のウェハ及び前記第2のウェハのうちの他方のウェハの外側面、又は前記第1のウェハ及び前記第2のウェハのうちの他方のウェハに設けられた開口に設けられる、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項9】
前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの一方にファブリ・ペロー干渉計の可動反射器を備え、前記可動反射器の両側に真空の空間が存在する、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項10】
前記ファブリ・ペロー干渉計の固定反射器と前記可動反射器との両方が、前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの同じ前記一方に、前記懸架アクティブ素子の前側に配置されている、請求項9に記載の集積熱型検出器。
【請求項11】
前記可動反射器は、前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの前記一方に、前記懸架アクティブ素子の裏側に配置されている、請求項9に記載の集積熱型検出器。
【請求項12】
前記可動反射器は、前記後方反射器として機能するように構成されている、請求項11に記載の集積熱型検出器。
【請求項13】
前記ファブリ・ペロー干渉計の固定反射器は、前記懸架アクティブ素子の前側に配置されている、請求項11に記載の集積熱型検出器。
【請求項14】
前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの前記一方の内部に前記可動反射器を機械的に支持するように構成された支持構造体を備える、請求項9に記載の集積熱型検出器。
【請求項15】
前記ファブリ・ペロー干渉計を同調させるために前記可動反射器を作動制御装置に接続するように構成された電気接続部を備える、請求項9に記載の集積熱型検出器。
【請求項16】
前記可動反射器の前記電気接続部は1対の静電駆動電極を備える、請求項15に記載の集積熱型検出器。
【請求項17】
前記集積熱型検出器は、紫外(UV)光、可視光、赤外(IR)光、テラヘルツ(THz)放射、及びX線の波長範囲のうちの1つの電磁放射を吸収するように構成されている、請求項1に記載の集積熱型検出器。
【請求項18】
複数のウェハ・レベル集積熱型検出器を備える、ウェハ・レベル集積熱型検出器のアレイであって、各ウェハ・レベル集積熱型検出器は、
互いに接合された第1のウェハ及び第2のウェハであって、前記第1のウェハは、
i)誘電体又は半導体の基板、
ii)前記基板の上に堆積されたウェハ幅の又はパターン形成された局所的な誘電体の犠牲層、
iii)前記誘電体又は半導体の犠牲層の上に堆積された支持層
であって、所定の厚さ、前記誘電体の犠牲層に対する第1の表面、前記第2のウェハに面する反対側の第2の表面、及び前記支持層の前記第1の表面から前記第2の表面に延伸する内面を有する貫通開口を有する支持層、
並びに
iv)前記支持層の前記所定の厚さより薄い第2の厚さを有する懸架アクティブ素子であって、前記懸架アクティブ素子の全てが、前記支持層の
前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記貫通開口内に設けられ
、前記支持層の前記貫通開口の前記内面に接続されている懸架アクティブ素子
を含む、第1のウェハ及び第2のウェハと、
前記懸架アクティブ素子の両側の第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞であって、前記第1の真空封止空洞は、前記懸架アクティブ素子の位置において前記犠牲層に延在し、前記第2の真空封止空洞は、前記接合された第2のウェハによって閉じられている、前記支持層の前記
貫通開口を含む、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞と、
外部から前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの一方に放射を入射するための前方光学装置と、
前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの他方に放射を反射するように構成された後方反射器と、
前記懸架アクティブ素子を読出し回路に接続するための電気接続部と
を備える、ウェハ・レベル集積熱型検出器のアレイ。
【請求項19】
ウェハ・レベル集積熱型検出器、又はウェハ・レベル集積熱型検出器のアレイを製造するための事前製造された中間製品であって、各ウェハ・レベル集積熱型検出器は、
互いに接合された第1のウェハ及び第2のウェハであって、前記第1のウェハは、
i)誘電体又は半導体の基板、
ii)前記基板の上に堆積されたウェハ幅の又はパターン形成された局所的な誘電体の犠牲層、
iii)前記誘電体又は半導体の犠牲層の上に堆積された支持層
であって、所定の厚さ、前記誘電体の犠牲層に対する第1の表面、前記第2のウェハに面する反対側の第2の表面、及び前記支持層の前記第1の表面から前記第2の表面に延伸する内面を有する貫通開口を有する支持層、
並びに
iv)前記支持層の前記所定の厚さより薄い第2の厚さを有する懸架アクティブ素子であって、前記懸架アクティブ素子の全てが、前記支持層の
前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記貫通開口内に設けられ
、前記支持層の前記貫通開口の前記内面に接続されている懸架アクティブ素子
を含む、第1のウェハ及び第2のウェハと、
前記懸架アクティブ素子の両側の第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞であって、前記第1の真空封止空洞は、前記懸架アクティブ素子の位置において前記犠牲層に延在し、前記第2の真空封止空洞は、前記接合された第2のウェハによって閉じられている、前記支持層の前記
貫通開口を含む、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞と、
外部から前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの一方に放射を入射するための前方光学装置と、
前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの他方に放射を反射するように構成された後方反射器と、
前記懸架アクティブ素子を読出し回路に接続するための電気接続部と
を備え、
前記中間製品は、前記基板と、前記懸架アクティブ素子と、前記支持層と、前記懸架アクティブ素子を支持する前記誘電体の犠牲層とを含むように事前製造された前記第1のウェハを備え、前記第1のウェハは、前記第1のウェハの内側面にファブリ・ペロー干渉計、ファブリ・ペロー干渉計の固定反射器、又はファブリ・ペロー干渉計の可動反射器を含むようにさらに事前製造されている、中間製品。
【請求項20】
ウェハ・レベル集積熱型検出器、又はウェハ・レベル集積熱型検出器のアレイを製造するための事前製造された中間製品であって、各ウェハ・レベル集積熱型検出器は、
互いに接合された第1のウェハ及び第2のウェハであって、前記第1のウェハは、
i)誘電体又は半導体の基板、
ii)前記基板の上に堆積されたウェハ幅の又はパターン形成された局所的な誘電体の犠牲層、
iii)前記誘電体又は半導体の犠牲層の上に堆積された支持層
であって、所定の厚さ、前記誘電体の犠牲層に対する第1の表面、前記第2のウェハに面する反対側の第2の表面、及び前記支持層の前記第1の表面から前記第2の表面に延伸する内面を有する貫通開口を有する支持層、
並びに
iv)前記支持層の前記所定の厚さより薄い第2の厚さを有する懸架アクティブ素子であって、前記懸架アクティブ素子の全てが、前記支持層の
前記第1の表面と前記第2の表面との間の前記貫通開口内に設けられ
、前記支持層の前記貫通開口の前記内面に接続されている懸架アクティブ素子
を含む、第1のウェハ及び第2のウェハと、
前記懸架アクティブ素子の両側の第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞であって、前記第1の真空封止空洞は、前記懸架アクティブ素子の位置において前記犠牲層に延在し、前記第2の真空封止空洞は、前記接合された第2のウェハによって閉じられている、前記支持層の前記
貫通開口を含む、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞と、
外部から前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの一方に放射を入射するための前方光学装置と、
前記第1の真空封止空洞及び前記第2の真空封止空洞のうちの他方に放射を反射するように構成された後方反射器と、
前記懸架アクティブ素子を読出し回路に接続するための電気接続部と
を備え、
誘電体又は半導体の基板と、前記第2のウェハの内側面にファブリ・ペロー干渉計の可動反射器とを含むように事前製造された前記第2のウェハを備える中間製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱型センサ又は熱型検出器に関し、詳細には、抵抗ボロメータ又は熱電ボロメータなどの懸架式の熱型センサ又は熱型検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
熱型検出器では、断熱された検出器素子によって入射IR光子が吸収され、それによって素子の温度が変化する。結果として生じる温度上昇は、ボロメータに当たる放射エネルギーの関数になる。温度変化により、検出器の、温度に対して感度をもつ電気的特性が変化し、この電気的特性は、たとえば熱電性の温度検知原理、焦電性の温度検知原理、抵抗性の温度検知原理、又は他の温度検知原理を用いて外部から測定することができる。測定を実施するために使用される回路は読出し集積回路(ROIC:Read Out Integrated Circuit)として一般に知られており、通常はシリコン基板上に集積回路として製作される。熱型検出器は、紫外(UV:ultraviolet)光、可視光、赤外(IR:infrared)光、テラヘルツ(THz)放射、及びX線などの種々のタイプの電磁放射を吸収するように構成することができる。
【0003】
熱型検出器では信号を生成するために温度変化が必要とされ、また雑音を最小限に抑えるために冷却される光検出器とは対照的に、一般に冷却が必要とされない。これらの検出器は、入射する放射から生じる温度変化に依存するので、その周囲から断熱されていなければならず、放射に対して迅速に応答するために熱容量が小さくなければならない。
【0004】
従来の懸架検出器、たとえばマイクロボロメータの例示的な概略図が
図1に示してある。通常、電磁放射は吸収メンブレン10によって吸収され、この吸収メンブレン10は、アンカー点又は支持スタッド8を介して基板13に固定された断熱アーム9を用いて、反射金属層12の上に懸架され上に懸架されている。メンブレン10は、マイクロボロメータの感度を向上させるために基板から断熱されている。入射放射が吸収されると、断熱されたボロメータ・メンブレンは、その温度を上昇させる。温度変化は吸収された放射のエネルギーに相関し、またメンブレンのボロメータ・サーミスタ材料の電気抵抗など、測定可能な電気的パラメータの変化で測定される。メンブレン10と反射金属層12の間に共振空洞11が形成される。空洞11は、入射IR放射の吸収度を増幅させるとともに断熱を可能にするために使用される。
【0005】
マイクロボロメータ検出器アレイを使用して、入射放射(通常は赤外線)の焦点面を検知することができる。2次元アレイでの熱型検出器の集合体は、焦点面アレイ(FPA:focal plane array)と呼ばれる。画素として機能する各マイクロボロメータを用いて、各マイクロボロメータの抵抗の変化を、モニタに表示されるか又はコンピュータに記憶され得る時間多重化された電気信号に変換することにより、入射赤外放射の2次元の画像表現又は図形表現を生成することができる。この変換を実施するために使用される回路は一般に読出し集積回路(ROIC)として知られており、一般にシリコン基板上に集積回路として製作される。次いで、ROICの上にマイクロボロメータ・アレイを製作することができる。
【0006】
マイクロボロメータはいかなる冷却も受けないので、吸収材料は下部のROICから断熱されなければならず、懸架構造により、これを行うことが可能になる。画素のアレイが作られた後、マイクロボロメータは、装置の寿命を伸ばすために真空下でカプセル化される。場合によっては、製造プロセス全体が真空を破壊することなく実施される。MEMSベースのボロメータ・アレイの重要な利点は、この技術が低コストのウェハ・レベル真空パッケージングをもたらす可能性があることである。手法の1つは、ROIC基板ウェハの上に設けられたボロメータ画素又は画素アレイFPAの上にシリコンIR窓を備えた蓋を形成するウェハ・スケール・パッケージである。
【0007】
非特許文献1には、非冷却赤外ボロメータ技術の歴史的発展の概要、様々な技術概念、ボロメータの設計手法、及びボロメータ材料が示されている。
【0008】
非特許文献2には、微小電気機械システム(MEMS:microelectromechanical system)装置及び集積回路(IC:integrated circuit)構成要素を集積及びパッケージングするための様々な手法が開示されている。これらには、複数のチップのハイブリッド集積に基づく手法(マルチ・チップ・ソリューション)、並びにウェハ・レベルのモノリシックな集積技法及びヘテロジニアスな集積技法に基づくシステム・オン・チップ・ソリューションが含まれる。
【0009】
非特許文献3には、ウェハ直接接合プロセスが開示されている。
【0010】
非特許文献4には、MEMSファブリ・ペロー干渉計(FPI:Fabry-Perot interferometer)の概念、構造、及び製造プロセスの実例が開示されている。FPIは、同調可能な光学的バンド・パス・フィルタである。また、誘電体多層ミラー、分布ブラッグ反射器(DBR:distributed Bragg reflector)構造体が開示されており、具体的には、シリコン/空気複数層の特定のタイプのDBRをベースとして小型FPIを生産するための微小電気機械システム(MEMS)の使用法が略述されている。
【0011】
非特許文献5には、検出器又は撮像FPAにハイブリッド接合される同調可能なファブリ・ペロー空洞が開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】MEMS-Based Uncooled Infrared Bolometer Arrays - A Review, F Niklaus et al, MEMS/MOEMS Technologies and Applications III, Proc. of SPIE Vol. 6836, 68360D, (2007)
【文献】Review Article: Integrating MEMS and ICs, AC Fischer et al, Microsystems & Nanoengineering (2015) 1, 15005; doi:10.1038/micronano.2015.5; 28 May 2015
【文献】Direct wafer bonding for MEMS and microelectronics, Suni T., VTT Publications 609, Espoo 2006, ISBN 951-38-6851-6
【文献】Silicon-based surface micromachined interferometers for infrared wavelengths, Mikko Tuohiniemi, Aalto University publication series, Doctoral dissertations 54/2015, 18 March 2015, ISBN 978-952-60-6177-8
【文献】Suspended Large-Area Mems-Based Optical Filters, Tripathi et al, Journal of Microelectromechanical Systems, August 2015, p. 1102-1110
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、新規なウェハ・レベル集積懸架熱型検出器構造体を提供することである。本発明の態様には、独立請求項に記載のウェハ・レベル集積懸架熱型検出器、検出器アレイ、及び事前製造された中間製品が含まれる。本発明の好ましい実施例は、従属請求項に開示されている。
【0014】
本発明の一態様は、
互いに接合された第1のウェハ及び第2のウェハであって、第1のウェハが、誘電体又は半導体の基板と、基板上に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層と、誘電体又は半導体の犠牲層又は基板上に堆積された支持層と、支持層内の開口に設けられた懸架アクティブ素子とを含む、第1のウェハ及び第2のウェハと、
懸架アクティブ素子の両側の第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞であって、第1の真空封止空洞が、懸架アクティブ素子の位置において犠牲層へと延在しており、第2の真空封止空洞が、接合された第2のウェハによって閉じられた、支持層の開口を含む、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞と、
外部から第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞のうちの一方に放射を入射するための前方光学装置と、
第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞のうちの他方に放射を反射するように構成された後方反射器と、
懸架アクティブ素子を読出し回路に接続するための電気接続部と
を備える、ウェハ・レベル集積熱型検出器である。
【0015】
熱型検出器の一実施例では、第1のウェハと第2のウェハは、フュージョン活性化接合(fusion-activated bonding)若しくはプラズマ活性化接合(plasma-activated bonding)、又は熱圧着若しくは別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用してウェハ接合される。
【0016】
熱型検出器の一実施例では、電気接続部は、好ましくは熱圧着若しくは別のタイプの金属ベースの接合、又はチップ接合により、第3のウェハ上の集積読出し回路へと接続されるように構成される。
【0017】
熱型検出器の一実施例では、前方光学装置は、透過性基板、基板内の窓、反射防止コーティング、レンズ、フィルタ、前方ミラー、制御可能な移動式前方ミラー、ファブリ・ペロー干渉計、同調可能ファブリ・ペロー干渉計のうちの1つ又は複数を備える。
【0018】
熱型検出器の一実施例では、後方反射器は、後方ミラー、金属の後方ミラー、分布ブラッグ反射器、制御可能な移動式後方ミラー、ファブリ・ペロー干渉計、同調可能ファブリ・ペロー干渉計のうちの1つ又は複数を備える。
【0019】
熱型検出器の一実施例では、後方反射器は、第1のウェハ及び第2のウェハのうちの他方のウェハの内側面、又は透過性基板若しくは窓の後ろの、第1のウェハ及び第2のウェハのうちの他方のウェハの外側面、又は第1のウェハ及び第2のウェハのうちの他方のウェハに設けられた開口に提供される。
【0020】
熱型検出器の一実施例では、支持層は、懸架アクティブ素子の機械的連結及び電気的接続のために、開口の周辺部に、より薄い肩部分をさらに備え、好ましくは、より薄い肩部分は第1のウェハの接合表面からオフセットされる。
【0021】
熱型検出器の一実施例では、後方反射器は、第1のウェハ及び第2のウェハのうちの他方のウェハの内側面、又は透過性基板若しくは窓の後ろの、第1のウェハ及び第2のウェハのうちの他方のウェハの外側面、又は第1のウェハ及び第2のウェハのうちの他方のウェハに設けられた開口に提供される。
【0022】
熱型検出器の一実施例では、熱型検出器は、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞のうちの一方にファブリ・ペロー干渉計の可動反射器をさらに備え、可動反射器の両側に真空の空間が存在する。
【0023】
熱型検出器の一実施例では、ファブリ・ペロー干渉計の固定反射器と可動反射器の両方が、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞のうちの同じ一方の、懸架アクティブ素子の前側に配置される。
【0024】
熱型検出器の一実施例では、可動反射器は、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞のうちの一方の、懸架アクティブ素子の裏側にある方に配置される。
【0025】
熱型検出器の一実施例では、可動反射器は、前記後方反射器として機能するように構成される。
【0026】
熱型検出器の一実施例では、ファブリ・ペロー干渉計の固定反射器は、懸架アクティブ素子の前側に配置される。
【0027】
熱型検出器の一実施例では、熱型検出器は、第1の真空封止空洞及び第2の真空封止空洞のうちの一方の内部に可動反射器を機械的に支持するように構成された支持構造体をさらに備える。
【0028】
熱型検出器の一実施例では、熱型検出器は、ファブリ・ペロー干渉計を同調させるために可動反射器を作動制御装置に接続するように構成された電気接続部をさらに備える。
【0029】
熱型検出器の一実施例では、可動反射器の電気接続部は、1対の静電駆動電極を備える。
【0030】
熱型検出器の一実施例では、熱型検出器は、以下の波長範囲、すなわち紫外(UV)光、可視光、赤外(IR)光、テラヘルツ(THz)放射、及びX線のうちの1つの電磁放射を吸収するように構成される。
【0031】
本発明の一態様は、熱型検出器の任意の実施例に記載の複数の熱型検出器を備える集積熱型検出器アレイである。
【0032】
本発明の一態様は、集積熱型検出器の任意の実施例に記載の集積熱型検出器、又は集積熱型検出器アレイの任意の実施例に記載の集積熱型検出器アレイを製造するための事前製造された中間製品であって、基板と、懸架アクティブ装置と、支持層と、懸架アクティブ装置を支持する誘電体犠牲層とを含むように事前製造された第1のウェハを備える、事前製造された中間製品である。
【0033】
事前製造された中間製品の一実施例では、第1のウェハは、第1のウェハの内側面にファブリ・ペロー干渉計、ファブリ・ペロー干渉計の固定反射器、又はファブリ・ペロー干渉計の可動反射器を含むようにさらに事前製造される。
【0034】
本発明の一態様は、集積熱型検出器の任意の実施例に記載の集積熱型検出器、又は集積熱型検出器アレイの任意の実施例に記載の集積熱型検出器アレイを製造するための事前製造された中間製品であって、誘電体又は半導体の基板と、第2のウェハの内側面にファブリ・ペロー干渉計の可動反射器とを含むように事前製造された第2のウェハを備える、事前製造された中間製品である。
【0035】
以下では、添付図面を参照し、例示的な実施例を用いて、本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図2A】本発明の一態様による例示的な懸架検出器の概略図である。
【
図2B】本発明の一態様による例示的な懸架検出器の概略図である。
【
図3A】本発明の一態様による例示的な懸架検出器アレイの概略図である。
【
図3B】本発明の一態様による例示的な懸架検出器アレイの概略図である。
【
図3C】本発明の一態様による例示的な懸架検出器アレイの概略図である。
【
図4A】本発明の態様による熱型検出器又は熱型検出器アレイに提供され得る前方光学装置の実例を示す図である。
【
図4B】本発明の態様による熱型検出器又は熱型検出器アレイに提供され得る前方光学装置の実例を示す図である。
【
図4C】本発明の態様による熱型検出器又は熱型検出器アレイに提供され得る前方光学装置の実例を示す図である。
【
図4D】本発明の態様による熱型検出器又は熱型検出器アレイに提供され得る前方光学装置の実例を示す図である。
【
図4E】本発明の態様による熱型検出器又は熱型検出器アレイに提供され得る前方光学装置の実例を示す図である。
【
図4F】本発明の態様による熱型検出器又は熱型検出器アレイに提供され得る前方光学装置の実例を示す図である。
【
図5A】ウェハW1において懸架アクティブ熱型素子への電気接続部を実施する実例を示す図である。
【
図5B】ウェハW1において懸架アクティブ熱型素子への電気接続部を実施する実例を示す図である。
【
図5C】ウェハW1において懸架アクティブ熱型素子への電気接続部を実施する実例を示す図である。
【
図5D】ウェハW1において懸架アクティブ熱型素子への電気接続部を実施する実例を示す図である。
【
図6A】フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図である。
【
図6B】フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図である。
【
図6C】フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図である。
【
図7】ウェハW2の裏側に位置する後方反射器112を備えた例示的な懸架検出器を提供する概略図である。
【
図8A】後方反射器が分布ブラッグ反射器(DBR)として実施されている例示的な懸架検出器の概略図である。
【
図8B】後方反射器が分布ブラッグ反射器(DBR)として実施されている例示的な懸架検出器の概略図である。
【
図8C】後方反射器が分布ブラッグ反射器(DBR)として実施されている例示的な懸架検出器の概略図である。
【
図9A】熱圧着ウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図である。
【
図9B】熱圧着ウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図である。
【
図9C】熱圧着ウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図である。
【
図10】熱圧着ウェハ接合を使用した、本発明の一態様による別の例示的な懸架検出器20の概略図である。
【
図11】熱圧着ウェハ接合を使用した、本発明の一態様による本発明の態様による複数の熱型検出器を備える例示的な懸架検出器アレイの概略図である。
【
図12】熱圧着ウェハ接合を使用した、本発明の一態様による複数の熱型検出器を備える例示的な懸架検出器アレイの概略図である。
【
図13A】フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図である。
【
図13B】フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図である。
【
図14A】真空中に提供されたファブリ・ペロー干渉計(FPI)の可動反射器を有する、本発明の一態様による例示的なウェハ・レベル集積熱型検出器20の概略図である。
【
図14B】真空中に提供されたファブリ・ペロー干渉計(FPI)の可動反射器を有する、本発明の一態様による例示的なウェハ・レベル集積熱型検出器20の概略図である。
【
図15】フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用した、
図14Bの態様による例示的な懸架検出器20のより詳細な概略図である。
【
図16】熱圧着ウェハ接合を使用した、
図14Bの態様による例示的な懸架検出器20のより詳細な概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本明細書に提示されている概略図には、電気絶縁層、真空封止層、保護層、反射防止層、接合層などの、検出器に存在する場合がある種々の任意選択の特徴及び詳細、代替の特徴及び詳細、並びに好ましい特徴及び詳細が示されていない場合があることを理解されたい。こうした特徴の実例は、さらに以下の様々な実施例において示される。誘電体又は半導体の基板上にMEMS装置を製造し、ウェハ接合するための詳細な製造プロセス及び材料の実例は、上記の刊行物である、非特許文献4及び非特許文献3に示されており、これらの刊行物は参照により本明細書に援用される。本発明の実施例は、紫外(UV)光、可視光、赤外(IR)光、テラヘルツ(THz)放射、及びX線を含めた幅広い波長に適用することができる。誘電体基板材料の実例には、酸化ケイ素(SiO
2)及び酸化アルミニウム(Al
2O
3)が含まれる。SiO
2又はAl
2O
3は、特に4μm未満の波長に使用することができる。半導体基板材料の実例は、単結晶シリコン、又はポリシリコン若しくはポリSiとも呼ばれる多結晶シリコン、ゲルマニウム(Ge)、及びCdTe、ZnSe、ZnSなどの化合物半導体である。本発明の実施例は、半導体装置の電気的特性の温度依存性(たとえば電流電圧曲線)を使用して温度を検知する熱電素子、抵抗性熱型素子、又はアクティブ半導体構成要素をベースとする熱型素子など、任意のタイプの懸架アクティブ熱型素子に適用することができる。
図2A及び
図2Bには、本発明の一態様によるいくつかの基本原理を示す例示的な懸架検出器の概略図が示してある。ウェハ・レベル集積熱型検出器20は、互いに接合された第1のウェハW1と第2のウェハW2とを備える。第1のウェハW1は、基板100と、誘電体又は半導体の基板100上に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層102、又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層102の周りの基板100上に堆積された誘電体又は半導体の支持層104と、支持層104内の開口又は凹部106に設けられた懸架アクティブ熱型素子108とを含むことができる。
図2Aに概略的に示すように、懸架熱型素子108は、最初は、製造プロセス中に懸架熱型素子108を支持及び保護するウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層102の上に位置することができる。第2のウェハW2は、懸架熱型素子108に光を反射するように構成された後方反射器112を備えることができる。
【0038】
本発明の実施例では、ウェハW1及びW2のうちの少なくとも一方は、事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0039】
本発明の実施例によれば、ウェハW1は、誘電体又は半導体の基板100と、基板100上に少なくとも局所的に堆積された誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層上の懸架アクティブ熱型素子108とを少なくとも含み、好ましくは誘電体又は半導体の支持層104も含むように事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0040】
本発明の実施例では、ウェハW1は、外部から懸架アクティブ熱型素子108に放射を入射するのに適した前方光学装置120をさらに含むように事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0041】
本発明の実施例では、ウェハW2は、少なくとも後方反射器112を含むように事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0042】
図2Bに概略的に示すように、犠牲層102は、懸架アクティブ素子108の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前にアクティブ素子108をリリースするように設計され得る。犠牲層102へと延在するように第1の真空封止空洞110が設けられ、好ましくは、第1の真空封止空洞110は全体として、又は少なくとも部分的に、懸架アクティブ素子108の位置において犠牲層102の除去部分に画定される。第2の真空封止空洞が、たとえば接合された第2のウェハW2によって閉じられた、支持層104の開口又は凹部において、懸架アクティブ熱型素子108の反対裏側に提供され得る。前方光学装置120は、外部から第1の真空封止空洞110に放射を通過させるように構成され得る。後方反射器112は、第2の真空封止空洞106に光を反射するように構成され得る。
【0043】
さらに、読出し集積回路(ROIC)、又は別のタイプの読出し手段などの外部回路に懸架アクティブ素子108を接続するために、電気接続手段114を提供することができる。
図2A及び
図2Bに示す実例では、検出器チップ20はROICの上部にマウントされ、ROICに接続されている。
【0044】
図3A、
図3B、及び
図3Cには、本発明の一態様によるいくつかの基本原理を示す例示的な懸架検出器アレイの概略図が示してある。検出器アレイは、
図2A及び
図2Bに示した本発明の態様による検出器などの複数の熱型検出器を備えるものと考えることができる。したがって、ウェハ・レベル集積熱型検出器アレイ・チップ200は、互いに接合された第1のウェハW1と第2のウェハW2とを備えることができる。アレイ200は1次元又は2次元のM×Nアレイでもよく、M及びNは正の整数である。第1のウェハW1は、誘電体又は半導体の基板100と、基板100上に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層102又は基板100上に堆積された誘電体又は半導体の支持層104と、支持層104内の対応する開口又は凹部106のM×Nアレイに設けられた、懸架アクティブ熱型素子108のM×Nアレイとを含むことができる。第2のウェハW2は、懸架熱型素子108に光を反射するように構成された後方反射器112を備えることができる。
【0045】
本発明の実施例では、ウェハW1及びW2のうちの少なくとも一方は、事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0046】
本発明の実施例によれば、ウェハW1は、誘電体又は半導体の基板100と、基板100上に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層上の懸架アクティブ熱型素子108のM×Nアレイとを少なくとも含み、好ましくは誘電体又は半導体の支持層104も含むように事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0047】
本発明の実施例では、ウェハW1は、外部から懸架アクティブ熱型素子108に放射を入射するのに適した前方光学装置120をさらに含むように事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0048】
本発明の実施例では、ウェハW2は、後方反射器112の1次元又は2次元のM×Nアレイをさらに含むように事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0049】
図3Aに概略的に示すように、それぞれの懸架熱型素子108は、最初は、製造プロセス中に懸架熱型素子108を支持及び保護するウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層102の上に位置することができる。
図3Bに概略的に示すように、犠牲層102は、M×N個の懸架アクティブ素子108の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前にアクティブ素子108をリリースするように構成され得る。やはり犠牲層102に延在するように第1の真空封止空洞110を提供することができ、好ましくは、第1の真空封止空洞110は全体として、又は少なくとも部分的に、各懸架アクティブ素子108の位置において犠牲層102の除去部分に画定される。これにより、
図3Bに示すように、犠牲層102のうちの残された中間部分によって、又は基板上に堆積された支持層104によって互いから隔てられた、第1の真空封止空洞110の1次元又は2次元のM×Nアレイを提供することができる。別法として、犠牲層102は、真空封止空洞110が互いから隔てられるのではなく、
図3Cに示すように互いに連結して広幅の1つの真空封止空洞210を形成するように、懸架アクティブ素子108のアレイ全体にわたって除去されるように構成されてもよい。第2の真空封止空洞が、たとえば接合された第2のウェハW2によって閉じられた、支持層104の開口又は凹部106において、各懸架アクティブ熱型素子108の反対側に提供され得る。それにより、第2の真空封止空洞106の1次元又は2次元のM×Nアレイが提供される。第1のウェハW1には、外部からそれぞれの第1の真空封止空洞110に放射を入射するのに適した前方光学装置120も設けることができる。後方反射器112の1次元又は2次元のM×Nアレイは、それぞれの第2の真空封止空洞106に光を反射するように構成され得る。
【0050】
さらに、外部回路、こうした読出し集積回路(ROIC)、又は別のタイプの読出し手段に各懸架アクティブ素子108を別々に接続するために、電気接続手段114を提供することができる。
図3A、
図3B、及び
図3Cに示した実例では、検出器アレイ・チップ200はROICの上部にマウントされ、ROICに接続されている。
【0051】
本発明の任意の態様による熱型検出器又は熱型検出器アレイに設けることができる前方光学装置120の実例が、
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、
図4E、及び
図4Fに概略的に示してある。これらの概略図には、前方光学装置の種々の実装形態に存在する場合がある種々の任意選択の特徴及び詳細、代替の特徴及び詳細、並びに好ましい特徴及び詳細が示されていない場合があることを理解されたい。各実例には2つの熱型検出器からなるアレイ向けの前方光学装置が示されているが、同様の前方光学装置は、本発明の任意の態様及び実施例による任意の熱型検出器アレイ又は個々の熱型検出器に適用することができる。
【0052】
複数の実施例では、前方光学装置120は、反射を軽減するために、ウェハW1の前表面に反射防止コーティングを備えることができる。
図4Aには、単一膜400を備えた例示的な反射防止コーティングが示してある。
図4Bには、膜又は層402、404、及び406の積層を備えた例示的な反射防止コーティングが示してある。積層は、誘電体の膜又は層の積層によって分布ブラッグ反射器(DBR)が形成され得るように、屈折率が対照的な交互になる層(屈折率が低い材料、及び屈折率がより高い材料)を備えることができる。各膜又は層の厚みは、標的波長λの4分の1になり得ることが好ましい。IR波長に適した材料の実例には、Si、Ge、CdTe、ZnSe、及びZnSが含まれる。反射防止コーティングは、事前製造プロセス又は製造プロセス中の適した段階で、ウェハW1の前表面に堆積させることができる。
【0053】
複数の実施例では、前方光学装置120は、反射を軽減するために、ウェハW1の前表面に反射防止構造体を備えることができる。
図4Cに概略的に示すように、反射防止構造体の一実例は、交互になったポリSi層410、414と空気間隙412、416の多層構造をもつポリ/空気(poly-air)分布ブラッグ反射器である。
【0054】
図4Dに概略的に示すように、複数の実施例では、前方光学装置120は、懸架アクティブ素子108に放射を集束及び集中させるように構成された少なくとも1つのマイクロレンズ420を備えることができる。単一素子のレンズが存在する場合もあり、(マイクロレンチキュラ・アレイ又はレンズレット・アレイとも呼ばれる)マイクロレンズ・アレイが存在する場合もある。マイクロレンズ・アレイは、1次元又は2次元のアレイに形成された複数のレンズを含む。マイクロレンズは、事前製造プロセス又は製造プロセス中の適した段階で、ウェハW1の前表面に成長させ、又は配置することができる。
【0055】
複数の実施例では、前方光学装置120は、事前製造プロセス又は製造プロセス中の適した段階でウェハW1の前表面に提供される少なくとも1つの格子、たとえば溝又は他のエンボス加工のパターンを備えることができる。
【0056】
図4Eに概略的に示すように、複数の実施例では、前方光学装置120は、懸架アクティブ素子108に放射を集束及び集中させるように構成された少なくとも1つのフレネル・マイクロレンズを備えることができる。フレネル・マイクロレンズは、それぞれのゾーンが平滑な外形になった、分割された多くの環状ゾーン30、32、34、36及び38で構築することができる。フレネル・マイクロレンズは、格子(たとえば溝又は他のエンボス加工のパターン)と、事前製造プロセス又は製造プロセス中の適した段階でウェハW1の前表面に提供される事前製造された単一素子のレンズ又はマイクロレンズ・アレイとによって実施することができる。
【0057】
図4Fに概略的に示すように、複数の実施例では、前方光学装置120は少なくとも1つのファブリ・ペロー干渉計を備えることができる。ファブリ・ペロー干渉計(FPI)は、光周波数での電磁放射用のバンド・パス・フィルタであり、透過ピークとして知られている狭いパス・バンドを生じさせる。その動作は、光学的1次元共振器を形成する中間空洞454における、平行でしばしば平坦な、向き合った2つの反射器(ミラー)450と452の間の光学的干渉に基づく。共振波長、すなわち透過波長では、退出信号、すなわち透過信号が漏れ出し、透過ピークのスペクトルが入射信号の初期方向に伝搬する。入射信号が結合し、透過信号が出て行くために、反射器(ミラー)は、反射率が100%であることを特徴としないが透過率も限られている半透過性の反射器でもよい。透過ピーク又は透過波長の最も重要な設計要因は、向き合った反射器の間の間隔又は間隙である。複数の実施例では、同調可能なファブリ・ペロー干渉計を備えた前方光学装置が提供され、透過ピークのスペクトル位置を同調させるために、平行な反射器又はミラーのうちの一方を動かすことができる。
【0058】
図5A、
図5B、
図5C、及び
図5Dには、ウェハW1の懸架アクティブ熱型素子108から外部回路、こうした読出し集積回路(ROIC)、又は別のタイプの読出し手段への電気接続部114を提供する方式の実例が概略的に示してある。
【0059】
複数の実施例では、支持層104は、金属、又はポリシリコン若しくはポリSiとも呼ばれる多結晶シリコンなど、導電性材料又は半導電性材料で作製することができる。したがって、ウェハW1の電気接続部114は、個別配線の必要なしに支持層104によって作製され得る。次いで、ウェハW1の支持層104を、ウェハW2又はROICなどの外部回路の電気接続部に接続することができる。
【0060】
図5Aでは、ウェハW1は、反射防止層などの前方光学装置120と、誘電体又は半導体の基板100と、基板100上に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層102又は基板100上に堆積された誘電体又は半導体の支持層104と、支持層104内の開口又は凹部106に設けられた懸架アクティブ熱型素子108とを備えることができる。支持層104は、導電性材料、又はポリSiなどの半導体材料で作製することができる。支持層104は、懸架アクティブ素子108の機械的連結及び電気的接続のために、開口又は凹部106の周辺部に、より薄い肩部分104aをさらに備えることができる。このように、特にウェハW1とW2がフュージョン活性化ウェハ接合されているか又はプラズマ活性化ウェハ接合されているとき、肩部分104a及び支持層104により、懸架アクティブ熱型素子108からウェハW2への電気接続部114が提供されることになる。複数の実施例では、より薄い肩部分104aは第1のウェハW1の内側表面からオフセットされ得るのが好ましく、より好ましくは、支持層104は、開口106の底面で犠牲層102上に堆積され得る。オフセットしたより薄い肩部分104aを使用すると、ウェハW1の内側面の平滑性を損なうことなく、したがって、ウェハW2とのウェハ接合の質を損なうことなく、懸架素子108と支持層104を機械的に連結し電気的に接続することが可能になる。
【0061】
図5Bでは、懸架アクティブ熱型素子108は開口又は凹部106の直径と等しい外径を有することができ、それにより、懸架アクティブ熱型素子108を支持層104に直接連結することができる。支持層104は、導電性材料又は半導体材料、こうしたポリSiで作製することができる。したがって、特にウェハW1とW2がフュージョン活性化ウェハ接合されているか又はプラズマ活性化ウェハ接合されているとき、支持層104により、懸架アクティブ熱型素子108からウェハW2への電気接続部114が提供されることになる。
【0062】
図5Cには、より薄い肩部分104aの内側表面から懸架アクティブ熱型素子108の内側表面へと延在するように構成された別の導電性層又は配線502を除いて、
図5Aに示したものと同様であるウェハW1が示してある。導電性層又は配線502は、金属又は他の導電性材料、たとえばポリSiなどの任意の導電性材料で作製することができる。懸架素子108と支持層104の機械的連結及び電気的接続は、開口106の内側表面又はウェハW1の内側面に導電性材料を堆積させることなく行うことができる。したがって、ウェハW1の内側面の平滑性は損なわれず、したがってウェハW2とのウェハ接合の質も損なわれない。
【0063】
図5Dには、別の導電性層又は配線が開口又は凹部106の内側表面から懸架アクティブ熱型素子108の内側表面へと延在するように配置されていることを除いて、
図5Bに示したものと同様であるウェハW1が示してある。導電性層又は配線は、金属又は他の導電性材料若しくは半導電性材料、たとえばポリSiなど、任意の導電性材料で作製することができる。懸架素子108と支持層104の機械的連結及び電気的接続は、ウェハW1の内側面に材料を堆積させることなく行うことができる。したがって、ウェハW1の内側面の平滑性は損なわれず、したがってウェハW2とのウェハ接合の質も損なわれない。しかし、
図5に示した実施例と比較すると、ウェハW1の内側表面が影響を受けないように導電性層の堆積を制御することがより難しくなる。
【0064】
本発明の実施例では、フュージョン活性化接合若しくはプラズマ活性化接合、又は熱圧着若しくは別のタイプの金属ベースの接合を使用して、第1のウェハW1と第2のウェハW2をウェハ接合することができる。
【0065】
本発明の実施例では、好ましくは熱圧着若しくは別のタイプの金属ベースの接合、又はチップ接合により、好ましくは第3のウェハ上の集積読出し回路ROIC118に電気接続手段114を接続することができる。
【0066】
図6A、
図6B、及び
図6Cには、フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して、本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図が示してある。
【0067】
図6Aでは、第1のウェハW1と第2のウェハW2が互いに取り付けられ、接合される。第1のウェハW1は、誘電体又は半導体の基板100と、基板100の内側面に堆積されたウェハ大か又は局所的にパターン形成された誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層102の内側面又は基板100上に堆積された誘電体又は半導体の支持層104と、支持層104内の開口又は凹部106に設けられた懸架アクティブ熱型素子108とを含む。
図6Aに概略的に示すように、懸架熱型素子108は、最初は、製造プロセス中に懸架熱型素子108を支持及び保護するウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層102の上に位置することができる。第2のウェハW2は、誘電体又は半導体の基板116と、基板116の内側面に設けられた後方反射器112とを含むことができる。任意選択で、後方反射器112の位置を除く、基板116の内側面の誘電体犠牲層601。犠牲層601を利用して、後続のフュージョン・プロセスを円滑化するか若しくは改善し、且つ/又はウェハW1とウェハW2の間に電気的な絶縁を提供することができる。別法として、ウェハW2の犠牲層601の代わりに、又はウェハW2の犠牲層601に加えて、対応する犠牲層がウェハW1の支持層104の内側面に提供されてもよい。
【0068】
本発明の実施例では、支持層104は、懸架アクティブ素子108の機械的連結、及び任意選択で電気的接続のために、開口又は凹部106の周辺部に、より薄い肩部分104aをさらに備える。より薄い肩部分104aは、第1のウェハW1の内側表面からオフセットされ得るのが好ましく、より薄い肩部分104aは、開口106の底面で犠牲層102上に堆積され得ることがより好ましい。
【0069】
本発明の実施例では、支持層104は導電性又は半導電性の材料で作製することができ、したがって、より薄い肩部分104aを含めた支持層104により、個別配線の必要なしに、機械的連結と電気的接続の両方を懸架素子108に提供することができる。本発明の実施例では、支持層104の電気的に隔離された局所的領域を懸架素子108の周りに提供するために、1つ又は複数のトレンチ600を支持層104にエッチングし、又は残すことができる。
【0070】
次いで、
図6Aの矢印によって示されているように、フュージョン活性化ウェハ接合又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して、ウェハW1とウェハW2を互いに接合させることができる。図示の実例では、ウェハW1及びW2の内側面又は内側表面が互いに接合されて、
図4Bに示すような検出器チップ20を形成する。支持層104の内側表面が、犠牲層601の内側表面に接合され得る。
【0071】
犠牲層102は、少なくとも懸架アクティブ素子108の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前に、たとえば以下により詳細に述べる真空封止層605を堆積させる前にアクティブ素子108をリリースすることができる。真空空洞110及び106は、懸架アクティブ素子108を通るか又はバイパスする流体連通部を有することができる。したがって、検出器チップの裏側から犠牲層102をエッチングすることができ、アクティブ素子108のリリースと真空封止空洞106、110の形成とを1つのプロセスで行うことができる。アクティブ素子108のリリース・エッチングのために、ウェハW2の裏側にリリース穴がエッチングされてもよい。
【0072】
本発明の実施例では、電気接続部114は、基板116の外側表面から犠牲層601の内側表面へと延在するようにエッチングされ得る基板貫通ビア(TSV:through substrate via)606を備えることができる。基板貫通ビア605は、基板貫通ビアの長さにわたって実質的に一定の直径を有することができるのが好ましい。高い解像度が必要とされるとき、TSVの直径は小さくなければならない。TSVの直径と長さの比は約1:10であることが好ましく、これは、基板116も非常に薄くなければならないことを意味する。ウェハW2のハンドリングでは、ウェハを接合する前は基板116がより厚く、小画素(高解像度)用途において必要とされる小さい厚みを得るために、ウェハを接合した後に基板116の薄型化を行うことが必要とされる場合もある。
【0073】
複数の実施例では、導電性支持層104、又は支持層104に設けられた電気配線に電気的接続を与えるために、TSV606には導電性材料を充填、たとえば堆積させることができる。さらに、導電性層607をウェハW2の外側面又は裏側に堆積させることができる。さらに、真空封止層605をウェハW2の外側面又は裏側、たとえば導電性層607に堆積させることができる。真空封止層605は、たとえばリリース穴を封止するために、局所的に堆積されてもよい。
【0074】
本発明の実施例では、トレンチ604がウェハW2の裏側から犠牲層601へとエッチングされ、それにより、TSV606などのウェハW2の接続領域が、ウェハW2の残りの部分から電気的に隔離され得る。
【0075】
本発明の実施例では、トレンチ602がウェハW2の裏側又は真空封止層105から真空封止空洞106へとエッチングされ、それにより、TSVなどのウェハW2の接続領域が、互いから、且つ/又は基板116のうち後方反射器112を支持する部分から電気的に隔離され得る。
【0076】
本発明の実施例では、トレンチ608が導電性層406に、任意選択で真空封止層607に提供、たとえばエッチングされ、それにより、TSV606などのウェハW2の接続領域が互いから電気的に隔離され得る。
【0077】
本発明の実施例では、検出器チップ20は、集積読出し回路ROIC118にフリップ・チップ接合することができる。
図6Cの実例では、ウェハW2の接続領域606、607とROIC118との間に、シード層を備えたフリップ・チップ接合バンプ610が提供される。
【0078】
たとえば
図7に示すように、複数の実施例では、後方反射器112はウェハW2の裏側に位置してもよい。後方反射器112の配置を除き、懸架検出器20
図6C及び
図7の構造は互いに同様になり得る。
【0079】
本明細書に示す実例では、後方反射器112は後方ミラーとして示されている。しかし、後方反射器112は種々の様々な構造で実施され得ることを理解されたい。後方反射器の実例には、後方ミラー、金属の後方ミラー、分布ブラッグ反射器、制御可能な移動式後方ミラー、ファブリ・ペロー干渉計、同調可能ファブリ・ペロー干渉計のうちの1つ又は複数が含まれ得る。
【0080】
後方ミラーは、複数の材料、又はそれらの組合せで作製することができる。たとえば、後方ミラーは金属の後方ミラーでもよい。たとえば、金属ミラーは、窒化チタンTiN、アルミニウムAl、銀Ag、ウォルフラムW、チタンTi、チタン・タングステンTiW、又はモリブデンMoで作製することができる。金属ミラーは、酸化アルミニウムAl2O3、酸化ケイ素SiO2、又は窒化ケイ素SiNxなどの保護層によって保護されてもよい。後方ミラーは、単結晶又は多結晶のSiなどの、高濃度にドープされた半導体材料で作製することもできる。
【0081】
図8A、
図8B、及び
図8Cには、後方反射器812が分布ブラッグ反射器(DBR)として実施された、本発明の一態様によるいくつかの基本原理を示す例示的な懸架検出器の概略図が示してある。
【0082】
図8A、
図8B、及び
図8Cに示したウェハW1は、
図6A、
図6B、及び
図6Cに示したウェハW1と同様でもよい。
図8A~
図8Cの実例では、誘電体犠牲層601は、基板116の内側面ではなく、ウェハW1の支持層104の内側面に堆積させることができる。誘電体犠牲層601は、最初は開口又は凹部106の内側表面に沿って懸架熱型素子108へも延在することができる。
【0083】
後方反射器のタイプが異なることを除き、
図8A、
図8B、及び
図8Cに示したウェハW2は、
図6A、
図6B、及び
図6Cに示したウェハW2と同様になり得る。ウェハW1とウェハW2が互いに接合されたときに真空封止チャンバ106のための十分な空間が保証されるように、DBR後方反射器812は基板の凹部800に設けることができる。
【0084】
分布ブラッグ反射器(DBR)812は、屈折率が対照的な交互になる層(屈折率が低い材料、及び屈折率がより高い材料)の積層を備えることができる。各膜又は層の厚みは、標的波長λの4分の1になり得ることが好ましい。IR波長に適した材料の実例には、Si、Ge、CdTe、ZnSe、及びZnSが含まれる。DBR812は、事前製造プロセス又は製造プロセス中の適した段階で、内側表面ウェハW2に堆積させることができる。
【0085】
図8A~
図8Cに示す例示的な実施例では、後方反射器は、交互になったポリSi層805と空気間隙804の多層構造を有するポリ/空気分布ブラッグ反射器812でもよい。
図8A及び
図8Bに示すように、DBR812は、最初は交互になったポリSi層805と犠牲層802を備えることができる。犠牲層802により、製造プロセス中にブラッグ反射器構造体が支持及び保護される。犠牲層802は、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前に、たとえば真空封止層605を堆積させる前に除去されて、ポリ/空気分布ブラッグ反射器812をリリースする。真空空洞110及び106は、懸架アクティブ素子108を通るか又はバイパスする流体連通部を有することができる。したがって、検出器チップの裏側から犠牲層102をエッチングすることができ、アクティブ素子108及びポリ/空気分布ブラッグ反射器812のリリースと真空封止空洞106、110の形成とを1つのプロセスで行うことができる。また、犠牲層601のうち、真空封止チャンバ106へと延在する部分があれば、それも同時に除去することができる。アクティブ素子108及びDBR812のリリース・エッチングのために、ウェハW2の裏側にリリース穴がエッチングされてもよい。
【0086】
本発明の実施例では、電気接続部114は、基板116の外側表面から支持層104の内側表面へと延在するようにエッチングされ得る基板貫通ビア(TSV)606を備えることができる。複数の実施例では、導電性支持層104、又は支持層104に設けられた電気配線に電気的接続を与えるために、TSV606には導電性材料を充填、たとえば堆積させることができる。さらに、導電性層607をウェハW2の外側面又は裏側に堆積させることができる。さらに、真空封止層605をウェハW2の外側面又は裏側、こうした導電性層607に堆積させることができる。真空封止層605は、たとえばリリース穴を封止するために、局所的に堆積されてもよい。1つ又は複数のトレンチ602、604、及び608がウェハW2に裏側からエッチングされ、それにより、TSV606などのウェハW2の接続領域がウェハW2の残りの部分から、互いから、且つ/又は後方反射器構造体812から電気的に隔離され得る。検出器チップ20は、集積読出し回路ROIC118にフリップ・チップ接合することができる。
図80Cの実例では、ウェハW2の接続領域606、607とROIC118との間に、シード層を備えたフリップ・チップ接合バンプ610が示されている。
【0087】
図9A、
図9B、及び
図9Cには、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用して本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図が示してある。熱圧着は、力及び熱を同時に印加することにより、接合すべきウェハの表面の2つの特定の材料、通常は金属が原子接触するウェハ接合技法である。拡散には、原子の運動による表面間の原子接触が必要とされる。原子は、結晶格子振動に基づいて、一方の結晶格子から他方の結晶格子へと移動する。この原子の相互作用により、界面が互いに貼り付く。熱圧着に適した材料ペアの実例には、金/金(Au/Au)、銅/銅(Cu/Cu)、アルミニウム/アルミニウム(Al/Al)、銀/シリコン(Au/Si)、及び銅/スズ(Cu/Sn)が含まれる。銀/シリコン(Au/Si)の接合では、シリコン材料はシリコン基板又はポリSi基板自体でもよい。
【0088】
第1のウェハW1は、誘電体又は半導体の基板100と、基板100の内側面に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層102の内側面又は基板上に堆積された誘電体又は半導体の支持層104と、支持層104内の開口又は凹部106に設けられた懸架アクティブ熱型素子108とを含むことができる。
図9Aに概略的に示すように、懸架熱型素子108は、最初は、製造プロセス中に懸架熱型素子108を支持及び保護する犠牲層102の上に位置することができる。
【0089】
第2のウェハW2は、誘電体又は半導体の基板116と、基板116の内側面に設けられた後方反射器112と、基板116の内側面に堆積された絶縁層901(たとえばSiO2)とを含むことができる。絶縁層901により、ウェハW1とウェハW2の間に電気絶縁材が提供され得る。別法として、ウェハW2の絶縁層901の代わりに、又はウェハW2の絶縁層901に加えて、ウェハW1の支持層104の内側面に絶縁層が提供されてもよい。別法として、電気絶縁材は、適当に位置付けられたトレンチ、又はトレンチと絶縁層の組合せによって構成されてもよい。
【0090】
第1の接合材料のパターン形成された接合材料層をウェハW1の内側表面に設けることができ、対応する第2の接合材料のパターン形成された接合材料層をウェハW1の内側表面に設けることができる。たとえば、第1の複数の接合金属バンプ又はパッド又はリード902A、903AをウェハW1の内側表面に設けることができ、対をなす第2の複数の接合金属バンプ又はパッド又はリード902B、903BをウェハW2の内側表面に設けることができる。
図9A~
図9Cに示す例示的な実施例では異なる材料のパターン形成された接合材料層が示されているが、両方の接合材料層が同じ材料である場合もある。適した接合材料ペアの実例は上に示してある。
【0091】
本発明の実施例では、支持層104は、懸架アクティブ素子108の機械的連結、及び任意選択で電気的接続のために、開口又は凹部106の周辺部に、より薄い肩部分104aをさらに備える。より薄い肩部分104aは第1のウェハW1の内側表面からオフセットされ得るのが好ましく、開口又は凹部106の底面で犠牲層102上に堆積され得ることがより好ましい。
【0092】
本発明の実施例では、支持層104は導電性材料で作製することができ、したがって、より薄い肩部分104aを含めた支持層104により、個別配線の必要なしに、機械的連結と電気的接続の両方を懸架素子108に提供することができる。本発明の実施例では、支持層104の電気的に隔離された局所的領域を懸架素子108の周りに提供するために、1つ又は複数のトレンチ600を支持層104にエッチングし、又は残すことができる。
【0093】
次いで、
図9Aの矢印によって示されているように、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用して、ウェハW1とウェハW2を互いに接合させることができる。図示の実例では、ウェハW1及びW2の内側面又は内側表面が互いに接合されて、
図9Bに示すような検出器チップ20を形成する。内側表面ウェハW1のパターン形成された金属接合層、たとえば接合金属バンプ又はパッド又はリード902、903が、ウェハW2の内側表面の対応し一致する接合金属バンプ又はパッド又はリード902B、903Bに接合され得る。
【0094】
犠牲層102は、少なくとも懸架アクティブ素子108の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前に、たとえば真空封止層605を堆積させる前にアクティブ素子108をリリースすることができる。真空空洞110及び106は、懸架アクティブ素子108を通るか又はバイパスする流体連通部を有することができる。したがって、検出器チップの裏側から犠牲層102をエッチングすることができ、アクティブ素子108のリリースと真空封止空洞106、110の形成とを1つのプロセスで行うことができる。アクティブ素子108のリリース・エッチングのために、穴909などのリリース穴がウェハW2の裏側にエッチングされてもよい。
【0095】
本発明の実施例では、電気接続部114は、基板116の外側表面から絶縁層901の内側表面へと延在して接合金属バンプ902Bと接触するようにエッチングされ得る基板貫通ビア(TSV)906を備えることができる。
【0096】
複数の実施例では、基板貫通ビア(TSV)906に絶縁コーティングが堆積されてもよい。複数の実施例では、基板116の裏側に絶縁層908が堆積されてもよい。
【0097】
複数の実施例では、パターン形成された接合金属層、たとえば接合金属バンプ902に電気的接続を与え、それにより、導電性支持層104、又は支持層104に設けられた電気配線に電気的接続を与えるために、基板貫通ビア(TSV)906には導電性材料を充填、たとえば堆積させることができる。さらに、導電性層907をウェハW2の外側面又は裏側に、好ましくは絶縁層908上に堆積させることができる。さらに、真空封止層605をウェハW2の外側面又は裏側、こうした導電性層607に堆積させることができる。真空封止層605は、リリース穴909などのリリース穴を封止するために、局所的に堆積されてもよい。
【0098】
本発明の実施例では、検出器チップ20は、集積読出し回路ROIC118にフリップ・チップ接合することができる。
図9Cの実例では、ウェハW2の接続領域906、907とROIC118との間に、シード層を備えたフリップ・チップ接合バンプ610が示されている。
【0099】
複数の実施例では、後方反射器112は、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用する実施例においても、たとえば
図7に示したものと同様の方式でウェハW2の裏側に位置してもよい。後方反射器112の配置を除き、こうした検出器チップ20は、
図9A~
図9Cに示したものと同様になり得る。
【0100】
複数の実施例では、後方反射器は、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用する実施例においても、たとえば
図8A~
図8Cに示した分布ブラッグ反射器と同様の方式で分布ブラッグ反射器によって実施されてもよい。後方反射器のタイプが異なることを除き、こうした検出器チップ20は、
図9A~
図9Cに示したものと同様になり得る。
【0101】
各概略図には、電気絶縁層、真空封止層、保護層、反射防止層、接合層など、検出器に存在する場合がある種々の任意選択の特徴及び詳細、代替の特徴及び詳細、並びに好ましい特徴及び詳細が示されていない場合があることを理解されたい。
【0102】
図10には、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用した、本発明の一態様による別の例示的な懸架検出器20の概略図が示してある。この例示的な検出器は
図9Cに示したものと同様でもよいが、いくつかの修正が加えられる。反射を軽減するために、単一膜400を有する反射防止コーティングを備えた前方光学装置120をウェハW1の前表面に提供することができ、反射をさらに軽減するために、ウェハ大か又はパターン形成された局所的な別の反射防止コーティング1001を基板100の反対側と真空空洞110との間に提供することができる。さらに、支持層104は、ここでは、懸架アクティブ素子108の厚みとほぼ等しいか又はさらに薄い厚みをもつ導電性又は半導電性の膜の形をとることができる。懸架アクティブ素子108と後方反射器108の間の真空チャンバ1002は、パターン形成された接合材料層、たとえば接合金属バンプ、パッド又はリード902によって画定され得る。
【0103】
図11には、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用した、本発明の一態様による複数の熱型検出器(
図11には2つの検出器が示してある)を備える例示的な懸架検出器アレイの概略図が示してある。ウェハ接合。アレイの各検出器20は
図9Cに示したものと同様でもよいが、いくつかの修正が加えられる。反射を軽減するために、単一膜400を有する反射防止コーティングを備えた前方光学装置120をウェハW1の前表面に提供することができ、反射をさらに軽減するために、ウェハ大か又はパターン形成された局所的な別の反射防止コーティング1001を基板100の反対側と真空空洞110との間に提供することができる。
【0104】
図12には、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用した、本発明の一態様による複数の熱型検出器(
図12には2つの検出器が示してある)を備える例示的な懸架検出器アレイの概略図が示してある。アレイの各検出器20は、
図10に示したものと同様でもよい。
【0105】
図13A及び
図13Bには、フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して、本発明の一態様による例示的な懸架検出器20を提供する概略図が示してある。ウェハ・レベル集積熱型検出器20は、互いに接合された第1のウェハW1と第2のウェハW2とを備える。しかし、この例示的な実施例では、第2のウェハW2が検出器の前側を形成し、放射はそこから検出器に入る。第2のウェハW2は、誘電体又は半導体の基板116を備え、任意選択で誘電体犠牲層601を備えることができる。第2のウェハW2は、たとえば上述の例示的な実施例における第1のウェハW1と同様の方式で、前方光学装置120をさらに備えることができる。第1のウェハW1は、誘電体又は半導体の基板100と、基板100上に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層102、又はパターン形成された局所的な誘電体犠牲層102の周りの基板100上に堆積された誘電体又は半導体の支持層104と、支持層104内の開口又は凹部106に設けることができる懸架アクティブ熱型素子108とを含むことができる。
図13Aに概略的に示すように、懸架熱型素子108は、最初は、製造プロセス中に懸架熱型素子108を支持及び保護するウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層102の上に位置することができる。犠牲層601を利用して、後続のフュージョン・プロセスを可能にするか若しくは改善し、且つ/又はウェハW1とウェハW2の間に電気絶縁材を提供することができる。別法として、ウェハW2の犠牲層601の代わりに、又はウェハW2の犠牲層601に加えて、対応する犠牲層がウェハW1の支持層104の内側面に提供されてもよい。
【0106】
第1のウェハW1は、基板100の反対側又は裏側に事前製造された後方反射器112をさらに備えることができる。また、後方反射器112は、検出器の製造中に基板100の反対側又は裏側に製造されてもよい。基板116の材料は、放射を透過させることができる。複数の実施例では、検出器20の製造中に、後方反射器112の位置において基板116に開口が提供されてもよい。
【0107】
図13Aの矢印によって示されているように、ウェハW1とウェハW2は、フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して互いに接合され得る。図示の実例では、ウェハW1及びW2の内側面又は内側表面が互いに接合されて、
図13Bに示すような検出器チップ20を形成する。支持層104の内側表面が、犠牲層601の内側表面に接合され得る。
【0108】
犠牲層102は、少なくとも懸架アクティブ素子108の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前に、たとえば以下により詳細に述べる真空封止層605を堆積させる前にアクティブ素子108をリリースすることができる。また、第1の真空封止空洞110が懸架アクティブ素子108の位置で犠牲層102の除去部分に提供される。第2の真空封止空洞が、接合された第2のウェハW2によって閉じられた、支持層104の開口106において、懸架アクティブ熱型素子108の反対側に提供される。犠牲層601の一部を除去することにより、真空空洞106を拡大することができる。真空空洞110及び106は、懸架アクティブ素子108を通るか又はバイパスする流体連通部を有することができる。したがって、検出器チップの裏側から犠牲層102及び106をエッチングすることができ、アクティブ素子108のリリースと真空封止空洞106、110の形成とを1つのプロセスで行うことができる。アクティブ素子108のリリース・エッチングのために、ウェハW2の裏側にリリース穴がエッチングされてもよい。
【0109】
複数の実施例では、電気接続部は、基板100の外側表面から内側表面へと延在するようにエッチングされ得る基板貫通ビア(TSV)606を備えることができる。基板貫通ビア605は、基板貫通ビアの長さにわたって実質的に一定の直径を有することができるのが好ましい。高い解像度が必要とされるとき、TSVの直径は小さくなければならない。TSVの直径と長さの比は約1:10であることが好ましく、これは、基板100も非常に薄くなければならないことを意味する。ウェハW2のハンドリングでは、ウェハを接合する前は基板100がより厚く、小画素(高解像度)用途において必要とされる小さい厚みを得るために、ウェハを接合した後に基板100の薄型化を行うことが必要とされる場合もある。
【0110】
複数の実施例では、導電性支持層104、又は支持層104に設けられた電気配線に電気的接続を与えるために、TSV606には導電性材料を充填、たとえば堆積させることができる。さらに、導電性層607をウェハW1の外側面又は裏側に堆積させることができる。さらに、真空封止層605をウェハW1の外側面又は裏側、たとえば導電性層607に堆積させることができる。真空封止層605は、たとえばトレンチ又はリリース穴を封止するために、局所的に堆積されてもよい。
【0111】
本発明の実施例では、トレンチ604がウェハW1の裏側から犠牲層102へとエッチングされ、それにより、TSV606などのウェハW1の接続領域がウェハW1の残りの部分から電気的に隔離され得る。
【0112】
本発明の実施例では、トレンチ602がウェハW1の裏側又は真空封止層605から真空封止空洞110へとエッチングされ、それにより、TSVなどのウェハW1の接続領域が、互いから、且つ/又は基板100のうち後方反射器112を支持する部分から電気的に隔離され得る。
【0113】
本発明の実施例では、検出器チップ20は、集積読出し回路ROIC118にフリップ・チップ接合することができる。
図13Bの実例では、ウェハW1の接続領域606、607とROIC118との間に、シード層を備えたフリップ・チップ接合バンプ610が提供される。
【0114】
本発明の一態様によれば、ファブリ・ペロー干渉計(FPI)が熱型検出器に一体化される。前方光学装置120にファブリ・ペロー干渉計を設ける手法が、
図4Fに関連して上で論じられている。
【0115】
本発明の一態様によれば、ファブリ・ペロー干渉計(FPI)の可動反射器が、ウェハ・レベル集積熱型検出器チップ内部の真空中に設けられる。真空中に設けられた可動ミラーなどの可動反射器は、より迅速に移動及び動作することができ、それにより、ファブリ・ペロー干渉計(FPI)をより素早く同調させることが可能になる。
【0116】
図14A及び
図14Bには、真空中に提供されたファブリ・ペロー干渉計(FPI)の可動反射器を有する、本発明の一態様による例示的なウェハ・レベル集積熱型検出器20の概略図が示してある。ウェハ・レベル集積熱型検出器20は、たとえばFPIがない例示的な実施例に関して上に述べたのと同様の方式でフュージョン活性化ウェハ接合若しくはプラズマ活性化ウェハ接合、又は金属圧縮接合若しくはその他の金属ベースのウェハ接合がなされ得る第1のウェハW1と第2のウェハW2とを備えることができる。これらの概略図には、電気絶縁層、真空封止層、保護層、反射防止層、接合層など、検出器に存在する場合がある種々の任意選択の特徴及び詳細、代替の特徴及び詳細、並びに好ましい特徴及び詳細が示されていない場合があることを理解されたい。こうした特徴の実例は、本明細書の様々な実施例において与えられる。
図14A及び
図14Bには、前方光学装置120、具体的には反射防止層400が示してある。
【0117】
図14Aの実例では、ファブリ・ペロー干渉計(FPI)は、固定反射器1450及び可動反射器1452、並びに中間の真空空洞又は間隙1454を備える。FPIの可動反射器1452は、ウェハ・レベル集積熱型検出器20内部の懸架アクティブ素子108の前側の真空空洞に配置される。互いから離された可動FPI反射器1452と懸架アクティブ素子108との間に、真空空洞110が構成される。FPIの固定反射器1450は、ウェハ・レベル集積熱型検出器20内部の可動FPI反射器452の前側に、たとえばウェハW1の基板100の内側面に配置することができる。中間の真空FPI空洞又は間隙1454は、固定FPI反射器1450と可動FPI反射器の間に構成される。FPIの動作は、光学的1次元共振器を形成する中間真空空洞454における、反射器(ミラー)1450と反射器(ミラー)1452との間の光学的干渉に基づく。入射放射又は入射光は固定FPI反射器1450から共振器に入り、複数回の反射を経ることになり、共振器の共振波長では共振ピークが作り出され、この共振波長、すなわち透過波長では、透過放射又は透過光が可動FPI共振器1452を通って真空空洞110へと、さらには懸架アクティブ素子108へと、共振器から漏れ出る。入射信号が結合し、透過信号が出て行くために、反射器(ミラー)は、反射率が100%であることを特徴としないが透過率も限られている半透過性の反射器でもよい。FPI空洞1454の長さL、すなわちFPIミラー1450とFPIミラー1452の間の間隔は、半波長λ/2の整数、つまりL=mλ/2となり、λ=共振波長であり、mは正の整数である。ウェハW1は、ウェハW1に対して可動FPI反射器1452を機械的に支持する支持構造体と、集積読出し回路ROICなどの外部制御源から可動FPI反射器1452への同調信号又は動作信号を接続する電気接続部とを有することができる。同調信号又は動作信号により、FPI反射器1452の動き、及びFPI反射器1450とFPI反射器1452の間の間隔(空洞1454の長さL)が制御され、それにより、懸架アクティブ素子108へと透過する透過ピークのスペクトル位置が制御される。
【0118】
懸架アクティブ素子108は、ウェハW1の支持層104の開口又は凹部に設けることができ、また支持層104に電気的に接続され、且つ機械的に連結され得る。懸架アクティブ素子108、支持体104、並びに電気的接続及び機械的連結に関しては、ウェハW1は、たとえばFPIがないウェハ・レベル集積熱型検出器20の例示的な実施例に関して上に述べたのと実質的に同様の方式で実施することができる。可動FPI反射器1452も、支持体104、又は同様の構造体に電気的に接続され、且つ機械的に連結され得る。しかし、懸架アクティブ素子の電気接続部と可動FPI反射器1452の電気接続部は、互いから電気的に隔離されているものとする。
【0119】
懸架熱型素子108は、最初は、可動FPI反射器1452の裏側に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層(図示せず)の上に位置することができ、この犠牲層により、製造プロセス中に懸架熱型素子108が支持及び保護され、可動FPI反射器1452も支持及び保護される。同様に、可動FPI反射器1452は、最初は、固定FPI反射器1450の裏側に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層(図示せず)の上に位置することができ、この犠牲層により、製造プロセス中に可動FPI反射器1452が支持及び保護される。1つ又は複数の犠牲層は、少なくとも懸架アクティブ素子108の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前に、たとえば最終的な真空封止前に、アクティブ素子108、及び任意選択で可動FPI反射器1452をリリースすることができる。懸架アクティブ素子108と可動FPI反射器1452の間の犠牲層の除去部分に代わって、真空封止空洞110を設けることができる。同様に、可動FPI反射器1452と固定FPI反射器1450の間の人工層の除去部分に代わって、真空封止FPI空洞1454を設けることができる。
【0120】
第2のウェハW2は、誘電体又は半導体の基板116と、懸架熱型素子108に光を反射するように構成された後方反射器112とを備えることができる。第2のウェハW2は、たとえばFPIがないウェハ・レベル集積熱型検出器20の例示的な実施例に関して上に述べたのと実質的に同様の方式で構成されてもよい。さらに、集積読出し回路ROICなどの外部制御源からウェハW1へと、可動FPI反射器の同調信号又は動作信号を接続するための電気接続部が存在してもよい。
【0121】
FPIを備えた検出器チップ20は、たとえばFPIがない検出器チップ20の例示的な実施例に関して上に述べたのと同様の方式で、集積読出し回路ROICにフリップ・チップ接合されてもよく、その他の方法で接続されてもよい。しかし、懸架アクティブ素子108の電気接続部と可動FPI反射器1452の電気接続部は、互いから電気的に隔離されているものとする。
【0122】
図14Bの実例では、ファブリ・ペロー干渉計(FPI)の固定反射器1450は、ウェハ・レベル集積熱型検出器20内部の懸架アクティブ素子108の前側で、たとえばウェハW1の基板100の内側面で、真空空洞110に配置され得る。ファブリ・ペロー干渉計(FPI)の可動反射器1452は、ウェハ・レベル集積熱型検出器20内部の懸架アクティブ素子108の裏側で、たとえばウェハW2の内側面で、真空空洞106に配置され得る。真空空洞110と106は、一緒にFPIの真空FPI共振空洞1054を形成することができる。固定FPI反射器1450と可動FPI反射器1452の間でウェハ・レベル集積熱型検出器の内部に形成された真空FPI共振空洞1054に、懸架アクティブ素子108が配置されているとも言える。複数の実施例では、可動FPI反射器1452は懸架アクティブ素子108用の後方反射器112としても機能することができ、個別の後方反射器は省かれてもよい。別の真空空洞106bが、可動FPI反射器1452の裏側に、たとえば可動FPI反射器1452とウェハW2の基板116の間に構成されてもよい。
【0123】
FPIの動作は、光学的1次元共振器を形成する中間空洞1454(真空空洞110及び106)における、反射器(ミラー)1450と反射器(ミラー)1452との間の光学的干渉に基づく。入射放射又は入射光は固定FPI反射器1450から共振器に入り、複数回の反射を経ることになり、共振器の共振波長では放射又は光の共振ピークが作り出される。FPI空洞1454の長さL、すなわちFPIミラー1450とFPIミラー1452の間の間隔は、半波長λ/2の整数、つまりL=mλ/2になり、λ=共振波長、mは正の整数である。懸架アクティブ素子108は固定FPI反射器1450と可動FPI反射器1452の間のFPI共振空洞1054に配置されているので、懸架アクティブ素子108は、共振波長での放射又は光を検出することになる。懸架アクティブ素子108は放射エネルギーの一部を吸収することになるが、共振器空洞1454での損失が共振器空洞1454に入る放射エネルギーよりも小さいと、共振は継続されることになる。入射信号が共振器空洞1454に結合するために、固定FPI反射器(ミラー)1450は、反射率が100%であることを特徴としないが透過率も限られている半透過性の反射器でもよい。可動FPI反射器1452は、ほぼ100%の反射率をもつ非透過性の反射器でもよく、これは透過信号は必要とされず、可動FPI反射器でのエネルギー損失を最小限に抑えることが好ましい可能性があるからである。
【0124】
固定FPI反射器1450を除いて、ウェハW1は、たとえばFPIがないウェハ・レベル集積熱型検出器20の実施例に関して上に述べたように実施されてもよい。懸架アクティブ素子108は、ウェハW1の誘電体又は半導体の支持層104の開口又は凹部106に設けることができ、支持体104に電気的に接続され且つ機械的に連結され得る。懸架熱型素子108は、最初は、固定FPI反射器1450の裏側に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層(図示せず)の上に位置することができ、この犠牲層により、製造プロセス中に懸架熱型素子108が支持及び保護される。懸架アクティブ素子108と固定FPI反射器1450の間の犠牲層の除去部分に代わって、真空封止空洞110を設けることができる。
【0125】
第2のウェハW2は、誘電体又は半導体の基板116と、可動FPI反射器1452とを備えることができる。可動FPI反射器1452は、ウェハW2の内側面に設けられた支持構造体(図示せず)に電気的に接続し且つ機械的に連結することができ、それにより、真空空洞106bが可動FPI反射器の裏側に構成される。可動FPI反射器1452は、最初は、基板の裏側に堆積されたウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層(図示せず)の上に位置するように配置することができ、この犠牲層により、製造プロセス中に可動FPI反射器1452が支持及び保護される。犠牲層は、少なくとも可動反射器1452の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前に、たとえば最終的な真空封止前に、好ましくは懸架アクティブ素子108をリリースするのと同時に、可動FPI反射器1452をリリースすることができる。可動FPI反射器1452と基板116の間の犠牲層の除去部分に代わって、真空封止空洞106bを設けることができる。可動FPI反射器1452は懸架アクティブ素子108用の後方反射器112としても機能することができ、個別の後方反射器は省かれてもよい。可動FPI反射器1452が後方反射器の代わりとみなされるとき、第2のウェハW2は、たとえば、FPIがないウェハ・レベル集積熱型検出器20の例示的な実施例に関して上に述べたのと実質的に同様の方式で構成されてもよい。たとえば、懸架アクティブ素子108から集積読出し回路ROICなどの外部回路への電気接続部は、ウェハW2を通って同様の方式で配置されてもよい。さらに、集積読出し回路ROICなどの外部制御源から可動FPI反射器1452の同調信号又は動作信号を接続するための電気接続部が存在してもよい。懸架アクティブ素子108の電気接続部と可動FPI反射器1452の電気接続部は、互いから電気的に隔離されているものとする。
【0126】
FPIを備えた検出器チップ20は、FPIがない検出器チップ20の実施例に関して上に述べたのと同様の方式で、集積読出し回路ROICにフリップ・チップ接合されてもよく、その他の方法で接続されてもよい。懸架アクティブ素子108の電気接続部と可動FPI反射器1452の電気接続部は、互いから電気的に隔離されているものとする。
【0127】
図15には、フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用した、
図14Bの態様による例示的な懸架検出器20のより詳細な概略図が示してある。
【0128】
図15では、第1のウェハW1と第2のウェハW2が互いに取り付けられ、接合される。第1のウェハW1は、誘電体又は半導体の基板100と、基板100の内側面に設けられた半透過性の固定FPI反射器(ミラー)1450と、基板100の内側面に(また好ましくは、最初は固定FPI反射器1450の内側面にも)堆積されたウェハ大か又は局所的にパターン形成された誘電体犠牲層102と、誘電体犠牲層102の内側面、又は基板100に堆積された誘電体又は半導体の支持層104と、支持層104内の開口又は凹部106に設けられた懸架アクティブ熱型素子108とを含む。懸架熱型素子108は、最初は、製造プロセス中に懸架熱型素子108を支持及び保護するウェハ大か又はパターン形成された局所的な犠牲層102の上に位置することができる。本発明の実施例では、支持層104は、懸架アクティブ素子108の機械的連結、及び任意選択で電気的接続のために、開口又は凹部106の周辺部に、より薄い肩部分104aをさらに備える。より薄い肩部分104aは、第1のウェハW1の内側表面からオフセットされ得るのが好ましく、開口106の底面で犠牲層102上に堆積され得ることがより好ましい。
【0129】
本発明の実施例では、支持層104は導電性材料で作製することができ、したがって、より薄い肩部分104aを含めた支持層104により、個別配線の必要なしに、機械的連結と電気的接続の両方を懸架素子108に提供することができる。本発明の実施例では、支持層104の電気的に隔離された局所的領域を懸架素子108の周りに提供するために、1つ又は複数のトレンチ600を支持層104にエッチングし、又は残すことができる。
【0130】
第2のウェハW2は、誘電体又は半導体の基板116と、基板116の内側面に支持された可動SPI反射器(ミラー)1452とを含むことができる。
図15に示す例示的な実施例では、基板116の内側面から内向きに突出する導電性接続要素1502によって可動SPI反射器1452を支持することができ、それにより、真空空洞106bが可動FPI反射器の裏側と基板116の内側面の間に構成される。接続要素1502の下端部は基板116に接続され、突出している自由端部は、可動FPI反射器1452をその周辺区域で支持するように構成される。接続要素1502及び/又は可動FPI反射器1452は、最初は、基板の裏側に堆積されたパターン形成された局所的な犠牲層の上に位置するように配置することができ、この犠牲層により、製造プロセス中に接続要素1502及び可動FPI反射器1452が支持及び保護される。犠牲層は、少なくとも可動反射器1452の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前に、たとえば最終的な真空封止前に、好ましくは懸架アクティブ素子108をリリースするのと同時に、可動FPI反射器1452をリリースすることができる。可動FPI反射器1452と基板116の間の犠牲層の除去部分に代わって、真空封止空洞106bを設けることができる。支持構造体を補強するために、犠牲層1506の一部が接続要素1502の自由端部の下に残されてもよい。導電性の要素、又は層、又は配線は、金属又は他の導電性材料、たとえばポリSiなどの任意の導電性材料で作製することができる。接続要素1502は、可動FPI反射器1452を動かし、又は駆動するための第1の電極を提供することができる。複数の実施例では、駆動は静電駆動を含むことができる。しかし、圧電駆動などの別のタイプの駆動が代わりに使用されてもよい。
【0131】
図示の実例では、静電駆動のための別の接続層又は電極1504が、基板116の内側面に堆積され得る。別法として、基板116がポリSiなどの導電性又は半導電性の材料で作製されている場合、基板116が静電駆動のための下部電極として使用されてもよい。任意選択で、後続のフュージョン・プロセスを可能にするか若しくは改善し、且つ/又はウェハW1とウェハW2の間に電気絶縁材を提供するために、誘電体犠牲層601を基板116の内側面に堆積させてもよい。別法として、ウェハW2の犠牲層601の代わりに、又はウェハW2の犠牲層601に加えて、対応する犠牲層がウェハW1の支持層104の内側面に提供されてもよい。
【0132】
ウェハW1とウェハW2は、フュージョン活性化ウェハ接合、又はプラズマ活性化ウェハ接合を使用して互いに接合されて、検出器チップ20を形成することができる。支持層104の内側表面が、犠牲層601の内側表面に接合され得る。真空空洞110及び真空空洞106、また任意選択で真空空洞106bは、懸架アクティブ素子108を通るか又はバイパスし且つ任意選択で可動FPI反射器1502を通るか又はバイパスする流体連通部を有することができる。したがって、検出器チップの裏側から犠牲層102を、及び任意選択で可動FPI反射器1502をエッチングすることができ、アクティブ素子108のリリースと真空封止空洞106、110、及び任意選択で真空封止空洞106bの形成とを1つのプロセスで行うことができる。アクティブ素子108のリリース・エッチングのために、ウェハW2の裏側にリリース穴608がエッチングされてもよい。さらに、真空封止層605をウェハW2の外側面又は裏側に堆積させることができる。真空封止層605は、たとえばリリース穴608を封止するために、局所的に堆積されてもよい。
【0133】
本発明の実施例では、懸架アクティブ素子108への電気接続部は、基板116の外側表面から犠牲層601の内側表面へと延在するようにエッチングされ得る基板貫通ビア(TSV)606を備えることができる。同様に、基板貫通ビア(TSV)1508及び1509が、それぞれ作動電極1502及び1504に提供され得る。基板貫通ビアの寸法は、FPIがない実施例に関して上に述べたものと同様になり得ることが好ましい。複数の実施例では、導電性支持層104、若しくは支持層104に設けられた電気配線、又は電極1502及び1504に電気的接続を与えるために、TSVには導電性材料を充填、たとえば堆積させることができる。さらに、導電性層607をウェハW2の外側面又は裏側に堆積させることができる。
【0134】
複数の実施例では、トレンチ604がウェハW2の裏側から犠牲層601へとエッチングされ、それにより、TSV606などのウェハW2の接続領域が、ウェハW2の残りの部分から電気的に隔離され得る。
【0135】
複数の実施例では、トレンチ1510がウェハW2の裏側から犠牲層601へとエッチングされ、それにより、TSV606などの懸架アクティブ素子108の接続領域が、TSV1508及び1509などの作動電極1502及び1502の接続領域から電気的に隔離され得る。
【0136】
複数の実施例では、トレンチ602がウェハW2の裏側から真空封止空洞106bへとエッチングされ、それにより、TSV1508及び1509などの作動電極1502及び1502の接続領域が、互いから電気的に隔離され得る。
【0137】
FPIを備えた検出器チップ20は、集積読出し回路ROICにフリップ・チップ接合されてもよく、その他の方法で接続されてもよい。
図15の実例では、懸架アクティブ素子108を接続するために、ウェハW2の接続領域606、607とROIC118との間にシード層を備えたフリップ・チップ接合バンプ610が提供される。同様に、作動電極1502及び1504をそれぞれ接続するために、ウェハW2の接続領域1508及び1509とROIC118との間にシード層を備えたフリップ・チップ接合バンプ1512及び1514が提供される。
【0138】
可動FPI反射器1452の静電駆動においては、作動電極1502と作動電極1504の間に作動電位差が接続され得る。たとえば、電位差によって印加される静電引力により、可動FPI反射器が基板116に向かって、また固定FPI反射器1502から離れるように引き付けられ得る。FPIの間隙は拡大し、共振ピークのスペクトル位置はより長い波長へとシフトする。電位差によって印加される静電引力により、可動FPI反射器1504が基板116から離れるように、また固定FPI反射器1502に向かって逸らされる。FPIの間隙は縮小し、共振ピークのスペクトル位置はより短い波長へとシフトする。
【0139】
図16には、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用した、
図14Bの態様による例示的な懸架検出器20のより詳細な概略図が示してある。
【0140】
第1の接合材料のパターン形成された接合材料層をウェハW1の内側表面に設けることができ、対応する第2の接合材料のパターン形成された接合材料層をウェハW1の内側表面に設けることができることを除いて、ウェハW1は、
図15を参照して上に述べたものと実質的に同様でもよい。たとえば、第1の複数の接合金属バンプ又はパッド又はリード902A、903AをウェハW1の内側表面に設けることができ、対をなす第2の複数の接合金属バンプ又はパッド又はリード902B、903BをウェハW2の内側表面に設けることができる。
図9A~
図9Cに示した例示的な実施例では、異なる材料で作製された、パターン形成された接合材料層が示されているが、両方の接合材料層が同じ材料でもよい。適した接合材料ペアの実例は、
図9A~
図9Cに関連して上に示してある。
【0141】
第2のウェハW2は、基板116の内側面に絶縁層901(たとえばSiO2)が堆積されていることを除いて、
図15を参照して上に述べたものと実質的に同様でもよい。絶縁層901により、ウェハW1とウェハW2の間に電気絶縁材が提供され得る。別法として、ウェハW2の絶縁層901の代わりに、又はウェハW2の絶縁層901に加えて、ウェハW1の支持層104の内側面に絶縁層が提供されてもよい。別法として、電気絶縁材は、適当に位置付けられたトレンチ、又はトレンチと絶縁層の組合せによって構成されてもよい。第2のウェハW2は、誘電体又は半導体の基板116と、基板116の内側面に支持された可動SPI反射器(ミラー)1452とを含むことができる。
図16に示した例示的な実施例では、絶縁層901の内側面から内向きに突出する導電性接続要素1502によって可動FPI反射器1452を支持することができ、それにより、真空空洞106bが可動FPI反射器の裏側と基板116の内側面との間に構成される。接続要素1502及び/又は可動FPI反射器1452は、最初は、基板の裏側に堆積されたパターン形成された局所的な犠牲層の上に位置するように配置することができ、この犠牲層により、製造プロセス中に接続要素1502及び可動FPI反射器1452が支持及び保護される。犠牲層は、少なくとも可動反射器1452の位置では除去されて、すべてのウェハ・レベル製造プロセスが終了する前に、たとえば最終的な真空封止前に、好ましくは懸架アクティブ素子108をリリースするのと同時に、可動FPI反射器1452をリリースすることができる。可動FPI反射器1452と基板116の間の犠牲層の除去部分に代わって、真空封止空洞106bを設けることができる。支持構造体を補強するために、犠牲層1506の一部が接続要素1502の自由端部の下に残されてもよい。導電性の要素、又は層、又は配線は、金属又は他の導電性材料、たとえばポリSiなどの任意の導電性材料で作製することができる。接続要素1502は、可動FPI反射器1452を動かし、又は駆動するための第1の電極を提供することができる。複数の実施例では、駆動は静電駆動を含むことができる。図示の実例では、静電駆動のための別の接続層又は電極1504が、真空空洞106bの底面において基板116の内側面に堆積され得る。別法として、基板116がポリSiなどの導電性材料で作製されている場合、基板116が静電駆動のための下部電極として使用されてもよい。
【0142】
ウェハW1とウェハW2は、熱圧着、又は別のタイプの金属ベースのウェハ接合を使用して互いに接合され得る。図示の実例では、ウェハW1及びウェハW2の、対面する内側面又は内側表面の対をなす接合材料層が互いに接合されて、検出器チップ20を形成する。
【0143】
本発明の実施例では、懸架アクティブ素子108への電気接続部は、基板116の外側表面から絶縁層901の内側表面へと延在して接合材料パターン902Bと接触するようにエッチングされ得る基板貫通ビア(TSV)906を備えることができる。同様に、基板貫通ビア(TSV)1508及び1509が、それぞれ作動電極1502及び1504に提供され得る。複数の実施例では、基板貫通ビア(TSV)906、1508及び1509に絶縁コーティングが堆積されてもよい。複数の実施例では、基板116の裏側に絶縁層908が堆積されてもよい。
【0144】
複数の実施例では、パターン形成された接合材料層、たとえば接合金属バンプ902B、及び作動電極1502及び1504のそれぞれに電気的接続を与えるために、基板貫通ビア(TSV)906、1508、及び1509には導電性材料を充填、たとえば堆積させることができる。さらに、基板貫通ビア(TSV)906、1508、及び1509の位置では、導電性層接点907をウェハW2の外側面又は裏側に、好ましくは絶縁層908上に堆積させることができる。さらに、絶縁層908など、ウェハW2の外側面又は裏側に真空封止層605を堆積させることができる。真空封止層605は、穴909などのリリース穴を封止するために、局所的に堆積されてもよい。
【0145】
FPIを備えた検出器チップ20は、たとえば
図15の実例と同様の方式で、集積読出し回路ROIC118にフリップ・チップ接合されてもよく、その他の方法で接続されてもよい。
【0146】
複数の実施例では、FPIを備えた懸架検出器アレイが、たとえばFPIがない懸架検出器アレイに関して上に述べたものと同様の方式で提供されてもよい。
【0147】
本発明の実施例では、ウェハW1及びウェハW2のうちの少なくとも一方は、固定FPI反射器、可動FPI反射器、可動FPI反射器用の支持構造体、懸架アクティブ装置、懸架アクティブ装置用の支持構造体、及び懸架アクティブ装置を支持する犠牲層のうちの1つ又は複数を含め、事前製造された中間製品を備えてもよい。
【0148】
本発明及びその実施例は上述の実例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で様々でもよい。