(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、送信機、送信方法、受信機、受信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 8/22 20090101AFI20240219BHJP
H04W 76/10 20180101ALI20240219BHJP
【FI】
H04W8/22
H04W76/10
(21)【出願番号】P 2020522093
(86)(22)【出願日】2019-05-17
(86)【国際出願番号】 JP2019019624
(87)【国際公開番号】W WO2019230439
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-01
(31)【優先権主張番号】P 2018104247
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】奥村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】藤木 敏宏
(72)【発明者】
【氏名】中原 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠司
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-543381(JP,A)
【文献】国際公開第2018/011874(WO,A1)
【文献】特開2017-152766(JP,A)
【文献】進藤 智則,最大270km離れたロボットの位置を直接把握 驚異のソニーのLPWA無線通信,NIKKEI Robotics 第24号,日本,日経BP社,2017年06月10日,pp.12-15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの非共通の前記設定情報である非共通設定情報を、それぞれの前記送信機の識別情報と紐付けて保持する管理部と、
複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報を用いて前記送信機から送信された前記識別情報を受信した受信機
からネットワークを介して送信されてきた前記識別情報を受信し、受信した前記識別情報と紐付けられた前記非共通設定情報を、前記送信機が送信する情報を受信するために前記受信機において用いられる情報として
前記ネットワークを介して前記受信機に送信する通信部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記送信機による前記受信機に対する情報の送信は、片方向の無線通信により行われる
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの非共通の前記設定情報である非共通設定情報を、それぞれの前記送信機の識別情報と紐付けて保持する情報処理装置が、
複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報を用いて前記送信機から送信された前記識別情報を受信した受信機
からネットワークを介して送信されてきた前記識別情報を受信し、
受信した前記識別情報と紐付けられた前記非共通設定情報を、前記送信機が送信する情報を受信するために前記受信機において用いられる情報として
前記ネットワークを介して前記受信機に送信する
情報処理方法。
【請求項4】
情報を送信するための設定に用いる設定情報のうちの、複数の送信機との間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って自身の識別情報を受信機に対して送信し
、非共通の前記設定情報である非共通設定情報
に従って所定の情報を
前記受信機に対して送信する送信部を備え
、
前記受信機は、それぞれの前記送信機の前記識別情報と紐付けて前記非共通設定情報を保持する情報処理装置に対して、受信した前記識別情報をネットワークを介して送信し、前記情報処理装置から前記ネットワークを介して送信されてきた前記非共通設定情報を受信して、前記送信機が送信する情報を受信するために用いる装置である
送信機。
【請求項5】
前記送信部は、前記識別情報を予め決められた周期で繰り返し送信する
請求項
4に記載の送信機。
【請求項6】
前記送信部は、前記識別情報の送信周期を時間の経過に応じて長くする
請求項
5に記載の送信機。
【請求項7】
前記送信部は、前記識別情報を、前記共通設定情報により表される、前記送信機がそれぞれの前記識別情報を送信するときに用いる同期信号と同じ同期信号を付加して送信する
請求項
4乃至6のいずれかに記載の送信機。
【請求項8】
前記送信部は、前記識別情報を、前記共通設定情報により表される、前記送信機がそれぞれの前記識別情報を送信するときに用いる多重化方式と同じ方式で多重化して送信する
請求項
4乃至7のいずれかに記載の送信機。
【請求項9】
送信機が、
情報を送信するための設定に用いる設定情報のうちの、複数の送信機との間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って自身の識別情報を受信機に対して送信し、
非共通の前記設定情報である非共通設定情報
に従って所定の情報を
前記受信機に対して送信する
送信方法
であって、
前記受信機は、それぞれの前記送信機の前記識別情報と紐付けて前記非共通設定情報を保持する情報処理装置に対して、受信した前記識別情報をネットワークを介して送信し、前記情報処理装置から前記ネットワークを介して送信されてきた前記非共通設定情報を受信して、前記送信機が送信する情報を受信するために用いる装置である
送信方法。
【請求項10】
情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの、複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って前記送信機から送信された識別情報を受信する受信部と、
非共通の前記設定情報である非共通設定情報をそれぞれの前記送信機の前記識別情報と紐付けて保持する情報処理装置
に対して、前記受信部により受信された前記識別情報をネットワークを介して送信し、前記情報処理装置から前記ネットワークを介して送信されてきた前記非共通設定情報を
受信して取得する取得部と
を備え、
前記受信部は、前記送信機が送信する情報を、取得された前記非共通設定情報に基づいて受信する
受信機。
【請求項11】
前記受信部は、前記送信機が送信する情報を受信するための設定を前記非共通設定情報に従って行い、前記非共通設定情報と同じ情報を用いて前記送信機から送信されてきた所定の情報を受信する
請求項
10に記載の受信機。
【請求項12】
前記受信部は、前記共通設定情報により表される、複数の前記送信機がそれぞれの前記識別情報を送信するときに用いる同期信号と同じ同期信号を検出し、前記同期信号に付加して送信されてきた前記識別情報を受信する
請求項
10または11に記載の受信機。
【請求項13】
前記受信部は、前記共通設定情報により表される、複数の前記送信機がそれぞれの前記識別情報を送信するときに用いる多重化方式と同じ方式で多重化して送信されてきた前記識別情報を受信する
請求項
10乃至12のいずれかに記載の受信機。
【請求項14】
受信機が、
情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの、複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って前記送信機から送信された識別情報を受信し、
非共通の前記設定情報である非共通設定情報をそれぞれの前記送信機の前記識別情報と紐付けて保持する情報処理装置
に対して、受信した前記識別情報をネットワークを介して送信し、
前記情報処理装置から前記ネットワークを介して送信されてきた前記非共通設定情報を
受信して取得し、
前記送信機が送信する情報を、取得された前記非共通設定情報に基づいて受信する
受信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、情報処理装置、情報処理方法、送信機、送信方法、受信機、受信方法に関し、特に、それぞれの受信機に必要な設定情報を提供することができるようにした情報処理装置、情報処理方法、送信機、送信方法、受信機、受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LPWA(Low Power Wide Area)通信が注目されている。LPWA通信は、端末の消費電力を抑えながら、半径数10km程度の広い範囲でのデータ伝送を可能とする無線通信である。
【0003】
特許文献1には、LPWA通信を用いた片方向の通信システムが開示されている。特許文献1に記載の通信システムにおいては、送信機は予め決められた送信パラメータに従ってデータを送信し、受信機は、サーバから取得した各送信機の送信パラメータを用いて、各送信機から送信されてきたデータを受信するようになされている。サーバは、各受信機に対して、受信対象とする送信機の送信パラメータを予め提供(登録)しておく必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
送信パラメータの無駄な受信処理が発生しないようにするためには、各受信機の受信エリア内に存在する送信機の送信パラメータだけがサーバから提供されるようにすることが望ましい。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、それぞれの受信機に必要な設定情報を提供することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1の側面の情報処理装置は、情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの非共通の前記設定情報である非共通設定情報を、それぞれの前記送信機の識別情報と紐付けて保持する管理部と、複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報を用いて前記送信機から送信された前記識別情報を受信した受信機からネットワークを介して送信されてきた前記識別情報を受信し、受信した前記識別情報と紐付けられた前記非共通設定情報を、前記送信機が送信する情報を受信するために前記受信機において用いられる情報として前記ネットワークを介して前記受信機に送信する通信部とを備える。
【0008】
本技術の第2の側面の送信機は、情報を送信するための設定に用いる設定情報のうちの、複数の送信機との間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って自身の識別情報を受信機に対して送信し、非共通の前記設定情報である非共通設定情報に従って所定の情報を前記受信機に対して送信する送信部を備える。
【0009】
本技術の第3の側面の受信機は、情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの、複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って前記送信機から送信された識別情報を受信する受信部と、非共通の前記設定情報である非共通設定情報をそれぞれの前記送信機の前記識別情報と紐付けて保持する情報処理装置に対して、前記受信部により受信された前記識別情報をネットワークを介して送信し、前記情報処理装置から前記ネットワークを介して送信されてきた前記非共通設定情報を受信して取得する取得部とを備え、前記受信部は、前記送信機が送信する情報を、取得された前記非共通設定情報に基づいて受信する。
【0010】
本技術の第1の側面においては、情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの非共通の前記設定情報である非共通設定情報が、それぞれの前記送信機の識別情報と紐付けて保持される。また、複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報を用いて前記送信機から送信された前記識別情報を受信した受信機からネットワークを介して送信されてきた前記識別情報が受信され、受信された前記識別情報と紐付けられた前記非共通設定情報が、前記送信機が送信する情報を受信するために前記受信機において用いられる情報として前記ネットワークを介して前記受信機に送信される。
【0011】
本技術の第2の側面においては、情報を送信するための設定に用いる設定情報のうちの、複数の送信機との間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って自身の識別情報が受信機に対して送信され、非共通の前記設定情報である非共通設定情報に従って所定の情報が前記受信機に対して送信される。
【0012】
本技術の第3の側面においては、情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの、複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って前記送信機から送信された識別情報が受信され、非共通の前記設定情報である非共通設定情報をそれぞれの前記送信機の前記識別情報と紐付けて保持する情報処理装置に対して、前記受信部により受信された前記識別情報をネットワークを介して送信し、前記情報処理装置から前記ネットワークを介して送信されてきた前記非共通設定情報が受信して取得され、前記送信機が送信する情報が、取得された前記非共通設定情報に基づいて受信される。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、それぞれの受信機に必要な設定情報を提供することができる。
【0014】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本技術の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【
図9】
図8の制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図8のLPWA通信部の構成例を示すブロック図である。
【
図12】
図11の制御部の機能構成例を示すブロック図である。
【
図13】
図11のLPWA通信部の構成例を示すブロック図である。
【
図14】クラウドサーバの構成例を示すブロック図である。
【
図15】送信機の送信処理について説明するフローチャートである。
【
図16】受信機の個別パラメータ取得処理について説明するフローチャートである。
【
図17】受信機の受信処理について説明するフローチャートである。
【
図18】クラウドサーバの個別パラメータ提供処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本技術を実施するための形態について説明する。説明は以下の順序で行う。
1.通信システムの全体の動作
2.通信方式の例
3.各装置の構成例
4.各装置の動作
5.変形例
【0017】
<通信システムの全体の動作>
図1は、本技術の一実施形態に係る通信システムの構成例を示す図である。
【0018】
図1の通信システムは、LPWA(Low Power Wide Area)通信を用いた無線通信システムである。基地局としての受信機は、自身が管理する受信エリア内に存在する送信機が送信するデータを受信する。データの送信は、例えば日本国内においては920MHz帯を用いた片方向の通信によって行われる。
【0019】
図1の例においては、受信エリアA1を管理する受信機Aと、受信エリアA2を管理する受信機Bが示されている。受信エリアA1と受信エリアA2はそれぞれ例えば半径数10kmのエリアである。
【0020】
また、
図1の例においては、受信エリアA1内には送信機Aが存在し、受信エリアA2内には送信機Bが存在する。受信機Aは、送信機Aが送信するデータを受信する。また、受信機Bは、送信機Bが送信するデータを受信する。
【0021】
実際には、さらに多くの受信機が設けられるとともに、さらに多くの送信機がそれぞれの受信エリア内に存在することによって通信システムが構成される。
【0022】
なお、
図1の左端に示すように、送信機Cは受信エリアA1と受信エリアA2のいずれの受信エリアにも存在しない。送信機Cが送信するデータは、受信機Aと受信機Bには到達しない。
【0023】
受信機が建物の屋上や電柱などの所定の位置に固定的に設置される装置であるのに対して、送信機は、例えば、ユーザが携帯したり、自動車などの移動体に取り付けられたりする装置である。送信機の位置は、動く可能性があることになる。
【0024】
例えば、受信エリアA1内に存在する送信機Aは、あるタイミングでは
図1に示すように受信エリアA1内に存在することもあるし、他のタイミングでは受信エリアA2内や図示せぬ他の受信エリア内に存在することもある。
【0025】
このような通信システムは、例えば、それぞれの送信機の位置を管理する位置管理システムなどに用いられる。この場合、GPS(Global Positioning System)などを用いた測位機能が送信機には搭載される。
【0026】
それぞれの送信機は、測位を行うことによって得られた位置情報を例えばデバイスIDとともに周期的に送信する。デバイスIDは、それぞれの送信機に予め割り当てられた識別情報である。
【0027】
それぞれの受信機は、自身が管理する受信エリア内に存在する送信機から送信されてきた位置情報とデバイスIDを受信し、インターネット上の所定のサーバに送信する。サーバにおいては、それぞれの送信機のデバイスIDと対応付けて、各時刻の位置情報が管理される。サーバにおいて管理されている送信機の位置情報は、送信機の位置、すなわち、送信機を携帯しているユーザの位置を通知するサービスを提供するためなどに用いられる。
【0028】
送信機から送信されてきた送信データの送信先となるサーバが、クラウドサーバ1であってもよい。
【0029】
このような通信システムにおいて、それぞれの送信機は、個別の情報としてそれぞれの送信機に設定された送信パラメータを用いてデータの送信を行う。送信パラメータは、データを送信するための設定に用いられる設定情報である。
【0030】
送信パラメータには、例えば、時分割多重化パラメータ、周波数分割多重化パラメータ、同期パターン情報が含まれる。同期パターン情報は、フレームに付加される同期信号のパターンを表す情報である。
【0031】
位置情報などの送信データは、後述するように、時分割多重化パラメータと周波数分割多重化パラメータにより表される多重化方式に従って多重化するとともに、同期パターン情報により表されるパターンの同期信号を付加して送信される。
【0032】
図1の送信機Aは、自身の送信パラメータを用いてデータを送信する。受信機Aは、送信機Aが送信するデータを受信するためには、送信機Aがデータの送信に用いる送信パラメータと同じ送信パラメータを用いて設定を行っておく必要がある。
【0033】
同様に、送信機Bは、自身の送信パラメータを用いてデータを送信する。受信機Bは、送信機Bが送信するデータを受信するためには、送信機Bがデータの送信に用いる送信パラメータと同じ送信パラメータを用いて設定を行っておく必要がある。
【0034】
それぞれの送信機の送信パラメータは、クラウドサーバ1において管理されている。
【0035】
【0036】
図2に示すように、それぞれの送信機の送信パラメータは、例えばデバイスIDと紐付けて管理(保持)される。
図2の例においては、デバイスIDである「1111111111」、「1111111112」、「1111111113」と紐付けて、送信パラメータP1乃至P3がそれぞれ管理されている。
【0037】
クラウドサーバ1は、それぞれの受信機においてデータの受信に用いられる送信パラメータをそれぞれの受信機にインターネット2を介して送信し、登録(提供)する。
【0038】
【0039】
クラウドサーバ1は、矢印#1で示すように、受信機Aが受信対象とする送信機Aの送信パラメータを受信機Aに登録し、矢印#2で示すように、受信機Bが受信対象とする送信機Bの送信パラメータを受信機Bに登録する。
【0040】
クラウドサーバ1から送信されてきた送信機Aの送信パラメータを用いて設定を行うことにより、受信機Aは、送信機Aが送信するデータを受信することが可能となる。また、クラウドサーバ1から送信されてきた送信機Bの送信パラメータを用いて設定を行うことにより、受信機Bは、送信機Bが送信するデータを受信することが可能となる。
【0041】
このように、
図1の通信システムにおいては、送信機によるデータの送信が片方向の通信によって行われることから、データの受信前、受信対象とする送信機の送信パラメータをそれぞれの受信機に登録する処理がクラウドサーバ1により行われる。
【0042】
ここで、
図1のタイミングにおいては、受信機Aは、自身が管理する受信エリアである受信エリアA1内に存在する送信機Aの送信パラメータだけを知っていれば(登録されていれば)十分である。送信機B,Cが送信するデータは到達しないから、送信機B,Cの送信パラメータを受信機Aは知っておく必要がない。
【0043】
同様に、受信機Bは、自身が管理する受信エリアである受信エリアA2内に存在する送信機Bの送信パラメータだけを知っていれば十分である。送信機A,Cが送信するデータは到達しないから、送信機A,Cの送信パラメータを受信機Bは知っておく必要がない。
【0044】
送信パラメータの無駄な受信処理が発生しないようにするためにも、クラウドサーバ1が、それぞれの受信機が必要とする送信パラメータだけを登録することが好ましい。
【0045】
そこで、
図1の通信システムにおいては、それぞれの送信機は、自身が受信エリア内に存在することを受信機に通知するための情報である制御フレームを、予め決められた所定の周期で繰り返し送信するようになされている。
【0046】
【0047】
図4に示すように、制御フレームは、デバイスIDに同期信号を付加することによって構成される。制御フレームには、データフレームとフレーム構成を合わせるために0ビットのデータで埋める領域として0パディングも含まれる。
【0048】
このようなフレームフォーマットを有する制御フレームの送信は、全ての送信機に共通の送信パラメータを用いて行われる。共通の送信パラメータには、例えば、共通の時分割多重化パラメータ、共通の周波数分割多重化パラメータ、および、共通の同期パターン情報が含まれる。
【0049】
制御フレームは、位置情報などと同様に、共通の時分割多重化パラメータと共通の周波数分割多重化パラメータにより表される多重化方式に従って多重化するとともに、共通の同期パターン情報により表されるパターンの同期信号を付加して送信される。
【0050】
共通の時分割多重化パラメータにより、例えば、10秒毎に1秒間だけ、制御フレームを送信することが指定される。
【0051】
また、共通の周波数分割多重化パラメータにより、例えば、上記の1秒間、全てのチャネルを使って制御フレームを送信することが指定される。
【0052】
共通の同期パターン情報により、例えば、あらかじめ決められた4つのパターンの中からランダムに1つのパターンを選択することで得られた同期信号を付加した制御フレームを送信することが指定される。
【0053】
制御フレームの送信方式としてデータフレームと同様の通信方式(周波数帯や変調方式)が用いられるようにすることにより、制御フレームを受信できることが、データフレームをも受信できることを保証することになる。ここで、データフレームは、送信機が受信機に伝送したい任意の送信データを格納したペイロードを含むフレームである。
【0054】
全ての受信機は、共通の送信パラメータの情報を有している。それぞれの受信機は、共通の送信パラメータを用いて設定を行うことにより、自身の受信エリア内に存在する送信機であれば、どの送信機が送信する制御フレームをも受信できることになる。
【0055】
すなわち、送信パラメータには、制御フレームの送信に用いられる共通のパラメータと、位置情報などの送信データを含むデータフレームの送信に用いられる非共通(個別)のパラメータとがある。
【0056】
以下、適宜、制御フレームの送信に用いられる送信パラメータを、通信システムの全ての送信機に共通の送信パラメータという意味でシステム共通パラメータという。また、送信データを含むデータフレームの送信に用いられる送信パラメータを、個別パラメータという。
【0057】
それぞれの受信機は、システム共通パラメータを用いた制御フレームの受信処理を行い、所定の送信機から送信されてきた制御フレームを受信した場合、制御フレームに含まれるデバイスIDに基づいて、個別パラメータをクラウドサーバ1から取得する。
【0058】
受信機による制御フレームの受信処理は、個別パラメータを用いたデータフレームの受信処理と並行して行われるようにしてもよいし、通信システムにおいて決められたタイミングで行われるようにしてもよい。
【0059】
【0060】
矢印#11で示すように、送信機Aは、システム共通パラメータを用いて、自身のデバイスIDを含む制御フレームを送信する。
【0061】
送信機Aが送信する制御フレームをシステム共通パラメータを用いて受信した場合、受信機Aは、矢印#12で示すように、制御フレームに含まれるデバイスIDをインターネット2を介してクラウドサーバ1に送信する。
【0062】
クラウドサーバ1は、受信機Aから送信されてきたデバイスIDと紐付けて管理している送信機Aの個別パラメータを取得し、矢印#13で示すように、インターネット2を介して受信機Aに送信する。
【0063】
クラウドサーバ1から送信されてきた送信機Aの個別パラメータを受信した受信機Aにおいては、個別パラメータを用いた設定が行われる。これにより、受信機Aは、送信機Aが送信するデータフレームを受信することができる状態になる。
【0064】
受信エリアA2においても同様の処理が行われる。すなわち、矢印#21で示すように、送信機Bは、システム共通パラメータを用いて、自身のデバイスIDを含む制御フレームを送信する。
【0065】
送信機Bが送信する制御フレームをシステム共通パラメータを用いて受信した場合、受信機Bは、矢印#22で示すように、制御フレームに含まれるデバイスIDをインターネット2を介してクラウドサーバ1に送信する。
【0066】
クラウドサーバ1は、受信機Bから送信されてきたデバイスIDと紐付けて管理している送信機Bの個別パラメータを取得し、矢印#23で示すように、インターネット2を介して受信機Bに送信する。
【0067】
クラウドサーバ1から送信されてきた送信機Bの個別パラメータを受信した受信機Bにおいては、個別パラメータを用いた設定が行われる。これにより、受信機Bは、送信機Bが送信するデータフレームを受信することができる状態になる。
【0068】
このように、システム共通パラメータを用いることにより、送信機は、自身のデバイスIDを受信機に受信させ、受信エリア内に存在することを通知することが可能となる。
【0069】
また、受信機は、送信機の存在を知ることができ、自身が管理する受信エリア内に存在する送信機の個別パラメータだけをクラウドサーバ1から取得することができる。受信機は、クラウドサーバ1から取得した個別パラメータを用いることにより、自身が管理する受信エリア内に存在する送信機だけを対象とした受信処理を行うことが可能となる。
【0070】
クラウドサーバ1は、それぞれの受信機にとって必要十分な個別パラメータだけを提供することができるため、個別パラメータの無駄な送受信を抑えることができる。
【0071】
制御フレームを用いて送信される情報がデバイスIDであり、デバイスIDに基づいて個別パラメータが取得されるため、デバイスIDと比べてデータ量が大きい個別パラメータを登録するための処理を低ビットレートの通信方式によって実現することが可能となる。制御フレームを用いて個別パラメータ自体をそれぞれの送信機から送信することも可能であるが、この場合、デバイスIDだけを送信する場合と比べてデータ量が多くなり、低ビットレートの通信方式によっては処理が困難になる。
【0072】
なお、システム共通パラメータの数は1つに限られない。複数のシステム共通パラメータが予め用意されている場合、制御フレームの受信処理は、例えば、システム共通パラメータを切り替えて行われる。
【0073】
また、複数のシステム共通パラメータを用いた制御フレームの受信処理が、それぞれの受信機において並行して行われるようにしてもよい。この場合、パラメータ空間から、受信機が処理できる程度のシステム共通パラメータが割り当てられ、制御フレームの受信処理に用いられる。
【0074】
複数のシステム共通パラメータを用いて制御フレームの受信処理が行われるようにすることにより、制御フレームの通信衝突を低減することが可能となる。
【0075】
図1の通信システムにおける一連の処理についてはフローチャートを参照して後述する。
【0076】
<通信方式の例>
ここで、送信機と受信機の間で行われるLPWA通信の通信方式について説明する。ここで説明する通信方式の詳細については、上記特許文献1に記載されている。
【0077】
【0078】
送信機と受信機の間のLPWA通信にはチャープ変調が用いられる。
図6の横軸は時間を表し、縦軸は周波数を表す。
【0079】
上述したように、送信機と受信機の間の通信は920MHz帯を用いて行われる。920MHz帯には、所定の周波数帯域幅のチャネルが複数設定される。
【0080】
図6に示す主信号は、チャープ変調後の送信信号である。主信号の中心周波数は925MHzであり、時間は0.2秒である。また、主信号のチャープ幅(Chirp BW)は101.562KHzである。より詳細には、主信号のチャープレート(Chirp Rate)は6.348KHzである。79.98Hzの変化を6μs刻みの25.9stepで実現した場合、時間は157.7μsかかることになる。
【0081】
チャープ変調された複数の送信信号は、
図7に示すように、それぞれの送信タイミングを時間方向にずらすことによって、同一チャネル内において多重化される。
【0082】
チャープ変調されたそれぞれの送信信号の送信は、既知のタイミングで開始される。
図7に示すグリッド時間は、それぞれの送信信号の送信タイミングを表す。
【0083】
送信パラメータに含まれる周波数分割多重化パラメータにより、例えば、制御フレームやデータフレームの送信に用いられるチャネルが指定される。また、時分割多重化パラメータにより、例えば、チャープ変調されたそれぞれの送信信号の送信タイミングが指定される。
【0084】
図6に示されるように、チャープ変調された送信信号に対しては、狭帯域変調がさらに施される。狭帯域変調を用いることにより、主信号の帯域幅を10KHz以下とすることが可能となる。狭帯域変調として、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)などの位相変位変調が用いられる。GMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)などの最小偏移変調が用いられるようにしてもよい。
【0085】
送信機と受信機の間で行われるLPWA通信の通信方式として、チャープ変調を用いた通信方式以外の各種の通信方式を採用することが可能である。
【0086】
<各装置の構成例>
・送信機の構成
図8は、送信機の構成例を示すブロック図である。
【0087】
図8に示すように、送信機11は、送信データ生成部21、制御部22、LPWA通信部23、およびGPS受信部24から構成される。
【0088】
送信データ生成部21は、受信機に対して送信する送信データを生成する。例えば位置情報を送信する場合、送信データ生成部21は、GPS受信部24から供給された位置情報を含む送信データを生成する。
【0089】
画像、音声、気温、湿度、加速度、角速度、照度などの、位置情報以外の各種のデータが送信されるようにすることが可能である。この場合、送信データ生成部21は、送信機11に設けられたセンサにより検出されたこれらのデータを取得し、送信データを生成する。送信データ生成部21により生成された送信データは制御部22に出力される。
【0090】
制御部22は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などにより構成される。制御部22は、所定のプログラムをCPUにより実行し、送信機11の全体の動作を制御する。
【0091】
制御部22は、制御フレームやデータフレームを生成し、LPWA通信部23に出力する。また、制御部22は、送信パラメータをLPWA通信部23に出力し、データの送信に用いるパラメータとして設定する。
【0092】
LPWA通信部23は、制御部22から供給された送信パラメータを用いて制御フレームやデータフレームを送信する。
【0093】
GPS受信部24は、GPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報を制御部22に出力する。また、GPS受信部24は、GPS信号を処理することによって得られた1PPS(Pulse Per Second)信号をLPWA通信部23に出力する。GPS受信部24が出力する信号により、受信機との間での時間の同期が確立される。
【0094】
また、GPS受信部24は、GPS信号を受信することによって測位を行い、送信機11の位置情報を送信データ生成部21に出力される。
【0095】
図9は、
図8の制御部22の機能構成例を示すブロック図である。
【0096】
図9に示すように、制御部22においては、送信パラメータ設定部31、デバイスID記憶部32、制御フレーム生成部33、およびデータフレーム生成部34が実現される。これらの機能部のうちの少なくとも一部は、制御部22のCPUにより所定のプログラムが実行されることによって実現される。
【0097】
送信パラメータ設定部31は、送信パラメータをLPWA通信部23、制御フレーム生成部33、データフレーム生成部34に設定する。
【0098】
例えば、送信パラメータ設定部31は、制御フレームの送信時、システム共通パラメータに含まれる共通の時分割多重化パラメータと共通の周波数分割多重化パラメータをLPWA通信部23に設定し、共通の同期パターン情報を制御フレーム生成部33に設定する。
【0099】
また、送信パラメータ設定部31は、データフレームの送信時、個別パラメータに含まれる時分割多重化パラメータと周波数分割多重化パラメータをLPWA通信部23に設定し、同期パターン情報をデータフレーム生成部34に設定する。
【0100】
送信パラメータ設定部31には、システム共通パラメータと個別パラメータの情報が予め設定されている。送信パラメータ設定部31による送信パラメータの設定は、例えばGPS受信部24から供給された時刻情報を参照して行われる。
【0101】
デバイスID記憶部32は、送信機11の識別情報であるデバイスIDを記憶する。デバイスID記憶部32は、制御フレームの送信時、デバイスIDを制御フレーム生成部33に出力する。デバイスID記憶部32が記憶するデバイスIDは、適宜、データフレーム生成部34に供給され、データフレームに含められる。
【0102】
制御フレーム生成部33は、制御フレームの送信時、共通の同期パターン情報により表されるパターンの同期信号をデバイスIDに付加し、制御フレームを生成する。制御フレーム生成部33は、生成した制御フレームをLPWA通信部23に出力する。
【0103】
データフレーム生成部34は、送信データ生成部21から供給された送信データに同期信号を付加し、データフレームを生成する。データフレームに含まれる同期信号は、個別パラメータに含まれる同期パターン情報により表されるパターンの同期信号である。データフレーム生成部34は、生成したデータフレームをLPWA通信部23に出力する。
【0104】
図10は、
図8のLPWA通信部23の構成例を示すブロック図である。
【0105】
図10に示すように、LPWA通信部23は、タイミングコントローラ41、BPSK変調部42、チャープ信号生成部43、チャープ変調部44、PLL45、基準クロック生成部(TCXO)46、および増幅部47から構成される。
【0106】
制御部22から出力された時分割多重化パラメータはタイミングコントローラ41に入力され、周波数分割多重化パラメータはチャープ信号生成部43に入力される。制御部22から出力された時分割多重化パラメータにより、例えばデータの送信タイミングが指定される。また、周波数分割多重化パラメータにより、例えばデータの送信に用いるチャネルが指定される。周波数分割多重化パラメータにより、チャープ信号の傾きなどが指定されるようにしてもよい。制御部22から出力された制御フレームやデータフレームのデータはBPSK変調部42に入力される。
【0107】
タイミングコントローラ41は、制御部22から供給された時分割多重化パラメータに基づいて、BPSK変調部42、チャープ信号生成部43、増幅部47の各部における処理のタイミングを制御する。
【0108】
タイミングコントローラ41による処理により、制御フレームやデータフレームの送信タイミングが時分割多重化パラメータに従って制御されることになる。タイミングコントローラ41によるタイミングの制御は、GPS受信部24から供給された1PPS信号を基準として行われる。
【0109】
BPSK変調部42は、制御部22から供給されたフレームデータに対してBPSK変調を施し、BPSK変調後のフレームデータをチャープ変調部44に出力する。
【0110】
チャープ信号生成部43は、制御部22から供給された周波数分割多重化パラメータに基づいてチャープ信号を生成し、チャープ変調部44に出力する。チャープ信号生成部43による処理により、制御フレームやデータフレームの送信に用いるチャネルなどが、周波数分割多重化パラメータに従って制御されることになる。
【0111】
チャープ変調部44は、BPSK変調部42から供給されたフレームデータを、チャープ信号生成部43から供給されたチャープ信号を用いて変調(チャープ変調)する。チャープ変調部44は、チャープ変調後のフレームデータをPLL45に出力する。
【0112】
PLL45は、チャープ変調部44から供給されたフレームデータに応じた、所定の周波数の送信信号を生成し、増幅部47に出力する。
図10に示されるように、PLL45は、分周部51、位相比較部52、LPF53、およびVCO54を有する。基準クロック生成部46により生成された例えば26MHzの基準クロックは位相比較部52に入力される。
【0113】
増幅部47は、PLL45から供給された送信信号を増幅し、アンテナから送信する。
【0114】
・受信機の構成
図11は、受信機の構成例を示すブロック図である。
【0115】
図11に示すように、受信機12は、LPWA通信部111、GPS受信部112、制御部113、およびネットワーク通信部114から構成される。
【0116】
LPWA通信部111は、制御部113から供給された送信パラメータを用いて、送信機11から送信されてきた制御フレームやデータフレームを受信する。LPWA通信部111は、受信した制御フレームやデータフレームを制御部113に出力する。
【0117】
GPS受信部112は、GPS信号を受信し、GPS信号に含まれる時刻情報を制御部113に出力する。また、GPS受信部24は、GPS信号を処理することによって得られた1PPS信号をLPWA通信部111に出力する。GPS受信部112が出力する信号により、送信機との間で時間の同期が確立される。
【0118】
制御部113は、CPU、ROM、RAMなどにより構成される。制御部113は、所定のプログラムをCPUにより実行し、受信機12の全体の動作を制御する。
【0119】
制御部113は、送信パラメータをLPWA通信部111に出力し、データの受信に用いるパラメータとして設定する。また、制御部113は、LPWA通信部111から供給された制御フレームを解析することによってデバイスIDを取得するとともに、データフレームを解析することによって送信データを取得する。制御部113により取得されたデバイスIDと送信データはネットワーク通信部114に供給される。
【0120】
ネットワーク通信部114は、インターネット2のインタフェースである。ネットワーク通信部114は、クラウドサーバ1を含む、インターネット2に接続された各装置との間で通信を行う。
【0121】
例えば、ネットワーク通信部114は、制御部113から供給されたデバイスIDをクラウドサーバ1に送信する。ネットワーク通信部114は、デバイスIDを送信することに応じてクラウドサーバ1から送信されてきた個別パラメータを受信する。クラウドサーバ1から送信されてきた個別パラメータは、受信機12が管理する受信エリア内に存在する送信機が送信するデータの受信に用いられる送信パラメータである。ネットワーク通信部114は、クラウドサーバ1から送信されてきた個別パラメータを制御部113に出力する。
【0122】
また、ネットワーク通信部114は、制御部113から供給された位置情報などの送信データを、インターネット2を介して所定のサーバに送信する。
【0123】
図12は、
図11の制御部113の機能構成例を示すブロック図である。
【0124】
図12に示すように、制御部113においては、送信パラメータ取得部121、受信対象管理部122、送信パラメータ設定部123、制御フレーム解析部124、およびデータフレーム解析部125が実現される。これらの機能部のうちの少なくとも一部は、制御部113のCPUにより所定のプログラムが実行されることによって実現される。
【0125】
送信パラメータ取得部121は、制御フレーム解析部124から供給されたデバイスIDをネットワーク通信部114に出力し、クラウドサーバ1に送信させる。送信パラメータ取得部121は、クラウドサーバ1から送信され、ネットワーク通信部114により受信された個別パラメータを取得し、送信パラメータ設定部123に出力する。
【0126】
受信対象管理部122は、制御フレーム解析部124から供給されたデバイスIDを、受信対象とする送信機のデバイスIDとして管理する。受信対象管理部122により管理されるデバイスIDは、適宜、送信パラメータ設定部123に供給される。
【0127】
送信パラメータ設定部123は、送信パラメータをLPWA通信部111に設定する。送信パラメータ設定部123は、制御フレームの受信時、システム共通パラメータを設定し、データフレームの受信時、送信パラメータ取得部121により取得された個別パラメータを設定する。
【0128】
送信パラメータ設定部123には、システム共通パラメータの情報が予め設定されている。送信パラメータ設定部123による送信パラメータの設定は、例えばGPS受信部112から供給された時刻情報を参照して行われる。
【0129】
制御フレーム解析部124は、LPWA通信部111から供給された制御フレームを解析し、デバイスIDを取得する。制御フレーム解析部124は、制御フレームから取得したデバイスIDを送信パラメータ取得部121と受信対象管理部122に出力する。
【0130】
データフレーム解析部125は、LPWA通信部111から供給されたデータフレームを解析し、データフレームに格納されている送信データを取得する。データフレーム解析部125により取得された送信データはネットワーク通信部114に出力され、インターネット2を介して所定のサーバに送信される。
【0131】
図13は、
図11のLPWA通信部111の構成例を示すブロック図である。
【0132】
図13に示すように、LPWA通信部111は、増幅部131、BPF(Band Pass Filter)132、乗算部133、発振部134、LPF(Low Pass Filter)135、AD変換部136、同期信号生成部137を有する。また、LPWA通信部111は、相関演算部138、ANDゲート139、タイミングコントローラ140、デチャープ部141、LPF142、およびBPSK復調部143を有する。
【0133】
制御部113から出力された時分割多重化パラメータはタイミングコントローラ140に入力され、周波数分割多重化パラメータは発振部134に入力される。制御部113から出力された時分割多重化パラメータにより、例えばデータの受信タイミングが指定される。また、周波数分割多重化パラメータにより、例えばデータの受信に用いるチャネルが指定される。制御部113から出力された同期パターン情報は同期信号生成部137に入力される。
【0134】
増幅部131は、アンテナから供給された受信信号を増幅し、BPF132に出力する。
【0135】
BPF132は、受信信号から所定の周波数成分を除去し、所定の周波数成分を除去した受信信号を乗算部133に出力する。
【0136】
発振部134は、制御部113から供給された周波数分割多重化パラメータに従って発振し、送受信で用いる所定の周波数のキャリア信号を生成する。発振部134は、所定の周波数のキャリア信号を乗算部133に供給する。
【0137】
乗算部133は、BPF132から供給された受信信号と発振部134から供給されたキャリア信号を乗算し、乗算結果の受信信号をLPF135に供給する。
【0138】
LPF135は、乗算部133から供給された受信信号の高域成分を除去し、高域成分を除去した受信信号をAD変換部136に出力する。
【0139】
AD変換部136は、LPF135から供給された受信信号のAD変換を行い、AD変換を行うことによって得られたデジタルの受信信号を相関演算部138とデチャープ部141に出力する。
【0140】
同期信号生成部137は、制御部113から供給された同期パターン情報により指定されるパターンの同期信号を生成し、相関演算部138に出力する。同期信号生成部137は、制御フレームの受信時、共通の同期パターン情報により表されるパターンの同期信号を生成し、データフレームの受信時、個別パラメータに含まれる同期パターン情報により表されるパターンの同期信号を生成する。
【0141】
相関演算部138は、AD変換部136から供給された受信信号と同期信号生成部137から供給された同期信号とを比較し、比較結果を示す情報をANDゲート139に出力する。相関演算部138により、制御フレームの同期信号、またはデータフレームの同期信号が検出される。
【0142】
ANDゲート139は、タイミングコントローラ140から供給されたゲート信号と、相関演算部138から供給された比較結果を示す情報がともに真である場合、復調の開始を指示する制御信号をデチャープ部141に供給する。
【0143】
タイミングコントローラ140は、制御部113から供給された時分割多重化パラメータに基づいて、復調のタイミングを制御するゲート信号を生成し、ANDゲート139に出力する。
【0144】
タイミングコントローラ140による処理により、制御フレームやデータフレームの受信タイミングが時分割多重化パラメータに従って制御されることになる。タイミングコントローラ140によるタイミングの制御は、GPS受信部112から供給された1PPS信号を基準として行われる。
【0145】
デチャープ部141は、ANDゲート139から復調の開始が指示された場合、AD変換部136から供給された受信信号のデチャープ(チャープ変調の復調)を行い、デチャープを行うことによって得られた復調信号をLPF142に出力する。
【0146】
LPF142は、復調信号の高域成分を除去し、高域成分を除去した復調信号をBPSK復調部143に出力する。
【0147】
BPSK復調部143は、LPF142から供給された復調信号に対してBPSK復調を施し、復調結果としての制御フレームやデータフレームのフレームデータを制御部113に出力する。
【0148】
・クラウドサーバの構成
図14は、クラウドサーバ1の構成例を示すブロック図である。
【0149】
図14に示すように、クラウドサーバ1はコンピュータにより構成される。クラウドサーバ1が1台のコンピュータにより構成されるようにしてもよいし、複数台のコンピュータにより構成されるようにしてもよい。クラウドサーバ1が複数台のコンピュータにより構成される場合、それらのコンピュータは、インターネット2を介して協働した情報処理を行い、受信機に対する送信パラメータの登録などを行う。
【0150】
CPU201、ROM202、RAM203は、バス204により相互に接続される。CPU201においては、所定のプログラムが実行されることにより送信パラメータ管理部201Aが実現される。
【0151】
送信パラメータ管理部201Aは、デバイスIDと紐付けて、それぞれの送信機の個別パラメータを管理する。それぞれの送信機の個別パラメータは例えば記憶部208に記憶されている。
【0152】
また、送信パラメータ管理部201Aは、デバイスIDが受信機から送信され、通信部209により受信された場合、受信されたデバイスIDに紐付けられている個別パラメータを記憶部208から読み出して取得する。送信パラメータ管理部201Aは、記憶部208から取得した個別パラメータを通信部209に出力し、デバイスIDを送信してきた受信機に対して送信させる。
【0153】
バス204には、さらに、入出力インタフェース205が接続される。入出力インタフェース205には、キーボード、マウスなどよりなる入力部206、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部207が接続される。また、入出力インタフェース205には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部208、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部209、リムーバブルメディア211を駆動するドライブ210が接続される。
【0154】
<各装置の動作>
ここで、以上のような構成を有する各装置の動作について説明する。
【0155】
・送信機の動作
はじめに、
図15のフローチャートを参照して、送信機11の送信処理について説明する。
【0156】
ステップS1において、制御部22の送信パラメータ設定部31は、制御フレームの送信タイミングであるか否かを判定する。
【0157】
制御フレームの送信タイミングであるとステップS1において判定された場合、ステップS2において、制御フレーム生成部33は制御フレームを生成する。
【0158】
制御フレームの送信タイミングであると判定した場合、送信パラメータ設定部31は、システム共通パラメータに含まれる共通の時分割多重化パラメータと共通の周波数分割多重化パラメータをLPWA通信部23に設定する。また、送信パラメータ設定部31は、共通の同期パターン情報を制御フレーム生成部33に設定する。制御フレーム生成部33は、送信パラメータ設定部31により設定された共通の同期パターン情報により表されるパターンの同期信号をデバイスIDに付加することによって制御フレームを生成することになる。
【0159】
ステップS3において、LPWA通信部23は、制御フレーム生成部33により生成された制御フレームを送信する。制御フレームの送信は、送信パラメータ設定部31により設定されたシステム共通パラメータに含まれる共通の時分割多重化パラメータと共通の周波数分割多重化パラメータに従って行われる。
【0160】
制御フレームの送信タイミングではないとステップS1において判定された場合、ステップS2,S3の処理はスキップされる。
【0161】
ステップS4において、送信パラメータ設定部31は、データフレームの送信タイミングであるか否かを判定する。位置情報などの送信データは、例えば所定の周期で送信される。
【0162】
データフレームの送信タイミングであるとステップS4において判定された場合、ステップS5において、データフレーム生成部34はデータフレームを生成する。
【0163】
データフレームの送信タイミングであると判定した場合、送信パラメータ設定部31は、個別パラメータに含まれる時分割多重化パラメータと周波数分割多重化パラメータをLPWA通信部23に設定し、同期パターン情報をデータフレーム生成部34に設定する。データフレーム生成部34は、送信パラメータ設定部31により設定された同期パターン情報により表されるパターンの同期信号を送信データに付加することによってデータフレームを生成することになる。
【0164】
ステップS6において、LPWA通信部23は、データフレーム生成部34により生成されたデータフレームを送信する。データフレームの送信は、送信パラメータ設定部31により設定された個別パラメータに含まれる時分割多重化パラメータと周波数分割多重化パラメータに従って行われる。
【0165】
データフレームの送信が行われた後、または、データフレームの送信タイミングではないとステップS4において判定された場合、ステップS1に戻り、以上の処理が繰り返される。
【0166】
以上の処理が、それぞれの送信機11により行われる。
【0167】
これにより、それぞれの送信機11は、複数の他の送信機11がそれぞれの制御フレームを送信するときに用いる多重化方式と同じ多重化方式で多重化して制御フレームを送信することになる。また、それぞれの送信機11は、複数の他の送信機11がそれぞれの制御フレームを送信するときに用いる同期信号と同じ同期信号を付加して制御フレームを送信することになる。
【0168】
以上においては、制御フレームの送信が所定の周期で繰り返されるものとしたが、例えば送信機11の電源オンのタイミングを基準として、基準のタイミングからの時間経過に伴って、制御フレームの送信周期が長くなるようにしてもよい。制御フレームの送信周期の調整は、例えば制御フレーム生成部33による制御に従って行われる。
【0169】
これにより、受信機12において自身の個別パラメータが既に登録されている場合に、制御フレームが繰り返し送信される回数を抑えることが可能となる。制御フレームの送信周期が長くなるのではなく、基準のタイミングから所定の時間が経過した場合、それ以降の制御フレームの送信が停止されるようにしてもよい。
【0170】
・受信機の動作
次に、
図16のフローチャートを参照して、個別パラメータを取得する受信機12の処理について説明する。
【0171】
ステップS21において、送信パラメータ設定部123は、システム共通パラメータをLPWA通信部111に設定する。LPWA通信部111においては、システム共通パラメータに従って、制御フレームの受信処理が行われる。
【0172】
ステップS22において、制御フレーム解析部124は、制御フレームがLPWA通信部111により受信されたか否かを判定する。
【0173】
制御フレームが受信されたとステップS22において判定した場合、ステップS23において、制御フレーム解析部124は、LPWA通信部111から供給された制御フレームを解析し、デバイスIDを取得する。
【0174】
ステップS24において、ネットワーク通信部114は、制御フレーム解析部124により取得されたデバイスIDをクラウドサーバ1に送信する。クラウドサーバ1からは、デバイスIDに紐付けられた個別パラメータが送信されてくる。
【0175】
ステップS25において、送信パラメータ取得部121は、クラウドサーバ1から送信され、ネットワーク通信部114により受信された個別パラメータを取得する。取得された個別パラメータは、送信パラメータ設定部123に供給され、LPWA通信部111に設定される。
【0176】
ステップS26において、受信対象管理部122は、制御フレーム解析部124により取得されたデバイスIDを、受信対象とする送信機に関する情報として登録する。
【0177】
受信対象とする送信機に関する情報が登録された後、または、制御フレームを受信していないとステップS22において判定された場合、ステップS21に戻り、以上の処理が繰り返される。
【0178】
これにより、それぞれの受信機12は、複数の送信機11が制御フレームを送信するときに用いる多重化方式と同じ多重化方式で多重化して所定の送信機11から送信されてきた制御フレームを受信することになる。また、それぞれの受信機12は、複数の送信機11がそれぞれの制御フレームを送信するときに用いる同期信号と同じ同期信号を付加して所定の送信機11から送信されてきた制御フレームを受信することになる。
【0179】
制御フレームに含まれるデバイスIDが受信対象の送信機に関する情報として登録されているか否かが判定されるようにしてもよい。
【0180】
例えば、制御フレームに含まれるデバイスIDが既に登録されている場合、デバイスIDに基づいて個別パラメータをクラウドサーバ1から取得する処理が行われない。これにより、既に登録済みのデバイスIDをクラウドサーバ1から取得する処理が行われるのを防ぐことが可能となる。
【0181】
次に、
図17のフローチャートを参照して、受信機12の受信処理について説明する。
【0182】
図17の処理は、例えば、
図16の処理が行われることにより、所定の送信機の個別パラメータが取得された後に行われる。
【0183】
ステップS41において、送信パラメータ設定部123は、個別パラメータをLPWA通信部111に設定する。LPWA通信部111においては、個別パラメータに基づいて、データフレームの受信処理が行われる。
【0184】
ステップS42において、データフレーム解析部125は、データフレームがLPWA通信部111により受信されたか否かを判定する。
【0185】
データフレームが受信されたとステップS42において判定した場合、ステップS43において、データフレーム解析部125は、LPWA通信部111から供給されたデータフレームを解析し、送信データを取得する。データフレーム解析部125により取得された送信データは、例えばネットワーク通信部114に出力され、送信データを管理する所定のサーバに送信される。
【0186】
送信データが取得された後、または、データフレームを受信していないとステップS42において判定された場合、ステップS41に戻り、以上の処理が繰り返される。
【0187】
以上の処理が、それぞれの受信機12により行われる。
【0188】
・クラウドサーバの動作
次に、
図18のフローチャートを参照して、個別パラメータを提供するクラウドサーバ1の処理について説明する。
【0189】
ステップS61において、クラウドサーバ1の通信部209は、受信機12から送信されてきたデバイスIDを受信する。通信部209において受信されたデバイスIDは送信パラメータ管理部201Aに供給される。
【0190】
ステップS62において、送信パラメータ管理部201Aは、通信部209により受信されたデバイスIDに紐付けられている個別パラメータを記憶部208から読み出して取得する。
【0191】
ステップS63において、通信部209は、送信パラメータ管理部201Aにより取得された個別パラメータを、デバイスIDを送信してきた受信機12に対して送信する。
【0192】
以上の処理が、所定の受信機12からデバイスIDが送信されてくる毎に行われる。クラウドサーバ1に対してデバイスIDを送信した受信機12には、複数の送信機11の個別パラメータが登録される。
【0193】
以上の処理により、クラウドサーバ1は、それぞれの受信機12にとって必要十分な個別パラメータを提供することができる。これにより、個別パラメータの無駄な送受信を抑えることが可能となる。
【0194】
<変形例>
・変形例1
送信機と受信機の間の通信が片方向の通信であるとしたが、双方向の通信であってもよい。
【0195】
送信機と受信機の間の通信が例えば双方向の通信である場合、送信機が送信した制御フレームを受信した受信機は、制御フレームを送信してきた送信機に対してACKを返信するとともに、上述したようにして個別パラメータを取得する。
【0196】
送信機は、ACKが返信されてきた場合、それにより、自身の個別パラメータが受信機において登録されたことを確認することができる。送信機は、それ以降、制御フレームの送信を停止することができる。
【0197】
・変形例2
同期パターン情報が個別パラメータに含めてクラウドサーバ1から受信機に提供されるものとしたが、同期信号やデータに重畳する乱数パターン(暗号鍵)が提供されるようにしてもよい。これにより、通信の秘匿性を向上させることが可能となる。
【0198】
この場合、受信機は、クラウドサーバ1から提供された乱数パターンを同期信号およびデータに重畳し、送信機が送信するデータフレームに含まれる同期信号を検出し、データを取得する。送信機は、受信機に提供された乱数パターンと同じ乱数パターンを同期信号およびデータに重畳し、乱数パターンの重畳により暗号化された同期信号およびデータを含むデータフレームを送信することになる。
【0199】
・変形例3
データフレームの送信時、送信機から同じデータフレームが複数回繰り返し送信されるようにしてもよい。受信機においては、複数の受信信号が合成され、1つのデータフレームの受信信号が取得される。これにより、受信信号のS/N比を向上させることが可能となる。
【0200】
このとき、同じ内容のデータを複数回送信することにより、受信エリア内に存在する1台の送信機が通信帯域を占有する時間が長くなる。通信帯域を占有する時間が長くなると混信の発生頻度が高まるため、上記特許文献1に記載の通信システムにおいては、送信機毎に異なるパターンで周波数ホッピングを行うことにより、混信の発生を抑制するようになされている。この場合、個別の送信パラメータとして送信機と受信機の間で周波数ホッピングのパターンを共有しておき、受信機は、送信機と同じ周波数ホッピングのパターンの周波数の受信処理を行う。
【0201】
このように、データフレームについては、受信信号のS/N比を向上させることで、受信エリアを広げることが可能となる。
【0202】
一方、制御フレームについては、システム共通パラメータを用いて送信が行われるが、システム共通パラメータに含める周波数ホッピングのパターンの数が少ないと混信が発生しやすくなり、システム共通パラメータに含める周波数ホッピングのパターンの数が多いと受信機の受信処理の負荷が大きくなる。このため、混信の発生を抑制するためにデータフレームと同様に周波数ホッピングを行うことは難しい。
【0203】
このため、制御フレームについては、受信信号の合成によるS/N比向上が難しく、データフレームと制御フレームとで受信エリアに差が出てしまう。
【0204】
制御フレームに誤り訂正符号が含まれる場合、誤り訂正の性能を調整することにより、制御フレームの受信エリアを広げることが可能となる。このように、制御フレームに誤り訂正符号が含まれるようにしてもよい。なお、データフレームと制御フレームは同じフレームフォーマットであるため、誤り訂正符号については、データフレームと制御フレームの両方に付加されるようにしてもよい。
【0205】
誤り訂正の性能の調整例1
制御フレームのペイロードの情報量は、データフレームのペイロードの情報量よりも小さい。したがって、符号語のサイズをデータフレームの符号語と同じサイズにしたまま、制御フレームの情報語のサイズを小さくすることができ、結果として、制御フレームの誤り訂正符号の訂正ビット数を増加させることができる。
【0206】
これにより、制御フレームの受信エリアを広げることができ、データフレームと制御フレームの受信エリアの広さの差異を解消することが可能となる。
【0207】
誤り訂正の性能の調整例2
軟判定ビタビアルゴリズムのように、符号ビットの尤度を用いて誤り訂正が受信機において行われるようにしてもよい。この場合、制御フレームのペイロードの情報量がデータフレームのペイロードの情報量よりも小さいことを利用して、制御フレームのペイロード内の、使用しない部分には既知データが設定される。
【0208】
受信機における誤り訂正時に既知データの部分の尤度を最大値にすることで、制御フレームの誤り訂正能力を高めることができる。
【0209】
これによっても、制御フレームの受信エリアを広げることができ、データフレームと制御フレームの受信エリアの広さの差異を解消することが可能となる。
【0210】
・コンピュータの構成例
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行することもできるし、ソフトウェアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行する場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0211】
インストールされるプログラムは、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)や半導体メモリなどよりなる
図14に示されるリムーバブルメディア211に記録して提供される。また、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル放送といった、有線または無線の伝送媒体を介して提供されるようにしてもよい。プログラムは、ROM202や記憶部208に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0212】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0213】
本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0214】
本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、また他の効果があってもよい。
【0215】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0216】
例えば、本技術は、1つの機能をネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0217】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0218】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0219】
・構成の組み合わせ例
本技術は、以下のような構成をとることもできる。
【0220】
(1)
情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの非共通の前記設定情報である非共通設定情報を、それぞれの前記送信機の識別情報と紐付けて保持する管理部と、
複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報を用いて所定の前記送信機から送信された前記識別情報を受信した受信機に対して、前記受信機により受信された前記識別情報と紐付けられた前記非共通設定情報を送信する通信部と
を備える情報処理装置。
(2)
前記通信部は、前記受信機からネットワークを介して送信されてきた前記識別情報を受信し、受信した前記識別情報と紐付けられた前記非共通設定情報を前記ネットワークを介して送信する
前記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記設定情報は、前記送信機から送信された情報を受信するための設定に前記受信機において用いられる
前記(1)または(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記送信機による前記受信機に対する情報の送信は、片方向の無線通信により行われる
前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の情報処理装置。
(5)
情報処理装置が、
情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの非共通の前記設定情報である非共通設定情報を、それぞれの前記送信機の識別情報と紐付けて保持し、
複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報を用いて所定の前記送信機から送信された前記識別情報を受信した受信機に対して、前記受信機により受信された前記識別情報と紐付けられた前記非共通設定情報を送信する
情報処理方法。
(6)
情報を送信するための設定に用いる設定情報のうちの、複数の他の送信機との間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って自身の識別情報を送信し、非共通の前記設定情報である非共通設定情報に従って所定の情報を送信する送信部を備える
送信機。
(7)
前記送信部は、前記識別情報を予め決められた周期で繰り返し送信する
前記(6)に記載の送信機。
(8)
前記送信部は、前記識別情報の送信周期を時間の経過に応じて長くする
前記(7)に記載の送信機。
(9)
前記送信部は、前記識別情報を、前記共通設定情報により表される、前記他の送信機がそれぞれの前記識別情報を送信するときに用いる同期信号と同じ同期信号を付加して送信する
前記(6)乃至(8)のいずれかに記載の送信機。
(10)
前記送信部は、前記識別情報を、前記共通設定情報により表される、前記他の送信機がそれぞれの前記識別情報を送信するときに用いる多重化方式と同じ方式で多重化して送信する
前記(6)乃至(9)のいずれかに記載の送信機。
(11)
送信機が、
情報を送信するための設定に用いる設定情報のうちの、複数の他の送信機との間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って自身の識別情報を送信し、
非共通の前記設定情報である非共通設定情報に従って所定の情報を送信する
送信方法。
(12)
情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの、複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って所定の前記送信機から送信された識別情報を受信する受信部と、
非共通の前記設定情報である非共通設定情報をそれぞれの前記送信機の前記識別情報と紐付けて保持する情報処理装置から、受信された前記識別情報に紐付けられた前記非共通設定情報を取得する取得部と
を備える受信機。
(13)
前記取得部は、受信された前記識別情報をネットワークを介して前記情報処理装置に送信し、前記情報処理装置から前記ネットワークを介して送信されてきた前記非共通設定情報を受信して取得する
前記(12)に記載の受信機。
(14)
前記受信部は、前記送信機が送信する情報を受信するための設定を前記非共通設定情報に従って行い、前記非共通設定情報と同じ情報を用いて前記送信機から送信されてきた所定の情報を受信する
前記(12)または(13)に記載の受信機。
(15)
前記受信部は、前記共通設定情報により表される、複数の前記送信機がそれぞれの前記識別情報を送信するときに用いる同期信号と同じ同期信号を検出し、前記同期信号に付加して送信されてきた前記識別情報を受信する
前記(12)乃至(14)のいずれかに記載の受信機。
(16)
前記受信部は、前記共通設定情報により表される、複数の前記送信機がそれぞれの前記識別情報を送信するときに用いる多重化方式と同じ方式で多重化して送信されてきた前記識別情報を受信する
前記(12)乃至(15)のいずれかに記載の受信機。
(17)
受信機が、
情報を送信するための設定に送信機において用いられる設定情報のうちの、複数の前記送信機の間で共通の前記設定情報である共通設定情報に従って所定の前記送信機から送信された識別情報を受信し、
非共通の前記設定情報である非共通設定情報をそれぞれの前記送信機の前記識別情報と紐付けて保持する情報処理装置から、受信された前記識別情報に紐付けられた前記非共通設定情報を取得する
受信方法。
【符号の説明】
【0221】
1 クラウドサーバ, 11 送信機, 12 受信機, 21 送信データ生成部, 22 制御部, 23 LPWA通信部, 24 GPS受信部, 31 送信パラメータ設定部, 32 デバイスID記憶部, 33 制御フレーム生成部, 34 データフレーム生成部, 111 LPWA通信部, 112 GPS受信部, 113 制御部, 114 ネットワーク通信部, 121 送信パラメータ取得部, 122 受信対象管理部, 123 送信パラメータ設定部, 124 制御フレーム解析部, 125 データフレーム解析部