(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電気味覚計
(51)【国際特許分類】
A61N 1/20 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
A61N1/20
(21)【出願番号】P 2020537879
(86)(22)【出願日】2018-09-21
(86)【国際出願番号】 FR2018052303
(87)【国際公開番号】W WO2019058063
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-02
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520102473
【氏名又は名称】マイ ロボティクス
【氏名又は名称原語表記】MY ROBOTICS
【住所又は居所原語表記】8 rue Flatters, 75005 Paris, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バスティアン,ピエール・アントワーヌ
【審査官】高松 大
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-503779(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157178(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0337855(US,A1)
【文献】特表2007-521868(JP,A)
【文献】BANERJEE, Anirban,DEVELOPMENT OF AN AUTOMATED ELECTROGUSTOMETER,A University of Sussex DPhil thesis,2011年01月,p.35-57
【文献】MALCOLM LOUDON and JENNIFER A. STILLMAN,A computer-controlled electrogustometer for the estimation of evoked taste thresholds,Behavior Research Methods, Instruments, & Computers,1997年,29(3),358-363
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気味覚計であって、
刺激指示を受信することができるインタフェース(4)と、
刺激電流を生成するように構成された電流発生器(8)と、
を備え、
前記インタフェース(4)は、前記刺激指示からデジタルコマンドを取得するように構成され、
前記電気味覚計は、前記デジタルコマンドをDC電圧に変換するのに適したデジタル-アナログコンバータ(6)をさらに備え、異なる前記デジタルコマンドが、それぞれの離散電圧値を誘発し、
前記電流発生器(8)は、前記DC電圧を、前記離散電圧値に応じて0~250μAの範囲の強度を有する刺激電流に変換するように、および前記刺激電流は0.05μA~1μAの範囲の固定ステップで変化するように構成され、
前記インタフェース(4)は、
マイクロコントローラ(4)に接続された電子デバイス(10)を備え、
前記電子デバイス(10)は、前記電流発生器(8)によって生成された一連の刺激電流の印加に応答して1つまたは複数のフィードバックに基づいて、電気味覚しきい値を自動的に決定するためのプロセスを含み、
前記電子デバイス(10)は、ディクソンアルゴリズムに基づいて、電気味覚しきい値を自動的に決定するためのプロセスを含む、
電気味覚計。
【請求項2】
前記電流発生器(8)は、バイポーラトランジスタアセンブリを備える、
請求項1に記載の電気味覚計。
【請求項3】
前記電流発生器(8)によって生成された刺激電流を印加するための電極(12)をさらに備える、
請求項1または2に記載の電気味覚計。
【請求項4】
前記電子デバイス(10)は、二重盲検法を使用するように構成される、
請求項1に記載の電気味覚計。
【請求項5】
前記電子デバイス(10)は、前記電流発生器(8)によって生成された一連の刺激電流の印加に、一定時間の間、初期強度値から刺激電流が発信されることが含まれるようなプロセスを使用するように構成され、前記刺激電流の各々は、固定された強度値によって先行する発信から分離される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気味覚計。
【請求項6】
前記電子デバイス(10)は、二分法の進行に基づいて、電気味覚しきい値を自動的に決定するプロセスを含む、
請求項1に記載の電気味覚計。
【請求項7】
前記デジタル-アナログコンバータ(6)は、数字の形態でデジタルコマンドを受信し、前記離散電圧値の各々は、一意のデジタルコマンドに対応する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電気味覚計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、味覚検査の分野に関し、より詳細には、電気味覚検査の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
味覚は複雑な感覚であり、そのメカニズムはあまり知られていない。それにもかかわらず、味覚障害が定量化されると、例えば癌患者のフォローアップまたは喫煙の削減や禁煙治療のサポートなどの医学的なフォローアップ、およびアルツハイマー病やパーキンソン病などの特定の疾患の早期診断に非常に役立つ可能性がある。
【0003】
味覚検査は、被験者の嗅覚障害を排除して味覚に対する被験者の知覚を分析することで、味覚障害を分析することを目的としている。医師は、化学的味覚検査、電気味覚検査および味蕾組織を分析するための乳頭生検の3つの手順を利用することができる。
【0004】
化学的味覚検査は、患者の舌に1種または複数種の化学物質を付着させ、その反応を測定するステップを含む。電気味覚検査は、患者の舌に非常に低い電流を印加して、患者による味覚の検出を測定するステップを含む。その目的は、被験者が知覚することができる味覚を誘発する、可能な限り最小の電流を測定することである。
【0005】
患者の反応時間、患者の安静時間、投与の困難さ、および再現性のある手順の適用などを含む多くの理由から、化学的味覚検査は実用性が低い。これに加えて、化学実験室の必要性、長期にわたる準備期間、および使用制限化学物質の保管条件などもある。
【0006】
電気を利用した電気味覚検査は、一見すると、より多くの可能性を秘めているように見える。しかしながら、現在までに、本出願人は、商業生産の対象となった電気味覚検査装置として、Sensonics社によるTR-06Rionの1種類しか認識していない。
【0007】
これは、比較的初歩的な装置であり、印加される電流は、4μA~400μAの範囲で、20μAの平均離散化ステップで供給される。
【0008】
刺激の印加は手動で行われ、電流の発信を作動させるためにペダルアセンブリを介して制御され、患者に適用された刺激パラメータを作業者が紙に記してから、自身で電気味覚しきい値を計算する。患者には、刺激による酸味が消えるまでの一定の回復時間が与えられるが、この時間は、ユーザに依存する。同様に、刺激時間は、最大2秒の刺激時間でしかプログラムできないのに対して、患者の反応時間は広く可変である。TR-06Rionは、操作が複雑であり、重量が合計2.3kgもあるため重くてかさばり、運搬が困難な装置である。操作の複雑さと自動化の不足により、現在、TR-06Rionの使用は、純粋に臨床用および模索的なものに留まり、医師が患者に対して日常的に使用することを想定することができない。
【0009】
その尺度は、装置を非常に不正確にし、その大きさ、複雑な取り扱いおよび技術的限界は、実際に装置が臨床研究などで使用できないほど、装置を非常に非実用的なものにしている。これに関連して、McClure STらによる「A comparison of two electric taste stimulation devices」(Physiol Behav.、2007年11月23日、92(4):658-64)と題する論文の要約では、TR-06Rionを1.6Vのバッテリを搭載した簡易的な電気味覚計と比較すると、「バッテリ装置は、味覚の臨床試験で使用するための電気味覚計に代わる安価で携帯可能な代替品であり得る」と結論づけている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これらの理由から、電気味覚検査は、現在まで非常に発展途上にあり、上述した欠点を有するにも関わらず、化学的味覚検査に置き換えられることが多い。したがって、味覚に対する患者の知覚に対してフォローアップを可能にするプロトコルに関連して、および投与量の適応、予防、停止のためのサポートまたは疾患の診断に関連して、医師が患者に対して日常的に使用することができる医療用電気味覚計を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的のために、本発明は、刺激指示を受信することができるインタフェースと、刺激電流を生成するように構成された電流発生器と、を備える電気味覚計に関する。インタフェースは、刺激指示からデジタルコマンドを取得するように構成される。電気味覚計は、デジタルコマンドをDC電圧に変換するのに適したデジタル-アナログコンバータをさらに備える。異なるデジタルコマンドが、それぞれの離散電圧値を誘発する。電流発生器は、DC電圧を、離散電圧値に応じて0~250μAの範囲の強度を有する刺激電流に変換するように、および0.05μA~1μAの範囲の固定ステップで変化するように構成される。
【0012】
この電気味覚計は、信頼性の高い味覚検査プロトコルを実行することができるという利点を有する。さらに、その精度により、医療環境で日常的に使用することができる。実際、その特徴により、この電気味覚計は、非常に正確(ユーザが電流として発信するものに対して1%以内)であり、ユーザのニーズに合わせて変更可能であり、タイプIIaの医療機器として認定されるように規定上の制約に準拠することができる。そのため、患者の舌に電流を流しすぎたり、電気味覚しきい値測定の計算に誤りがあったりする危険性がなく、わずか数分で味覚感度試験を実行することができる。
【0013】
様々な別の実施形態において、本発明による電気味覚計は、以下の特徴を1つまたは複数有してもよい。
・ 電流発生器は、バイポーラトランジスタアセンブリを備える。
・ 電気味覚計は、電流発生器によって生成された刺激電流を印加するための電極をさらに備える。
・ インタフェースは、マイクロコントローラに接続されたオフセット電子デバイスを備える。
・ オフセット電子デバイスは、電流発生器によって生成された一連の刺激電流の印加に応答して、1つまたは複数のフィードバックに基づいて電気味覚しきい値を自動的に決定するためのプロセスを含む。
・ 電子デバイスは、ディクソンアルゴリズムに基づいて、電気味覚しきい値を自動的に決定するプロセスを含む。
・ 電子デバイスは、二重盲検法を使用するように構成される。
・ オフセット電子デバイスは、電流発生器によって生成された一連の刺激電流の印加に、一定時間の間、初期強度値から刺激電流が発信されることが含まれるようなプロセスを使用するように構成され、各刺激電流は、固定された強度値によって先行する発信から分離される。
・ 電子デバイスは、二分法の進行(dichotomic progression)に基づいて、電気味覚しきい値を自動的に決定するためのプロセスを含む。
・ デジタル-アナログコンバータは、数字の形態でデジタルコマンドを受信し、各離散電圧値は、デジタルコマンドに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら非限定的に図示する実施例に基づく以下の説明により、より明確になるであろう。
【
図1】本発明による医療用電気味覚計の模式図である。
【
図3】
図1の要素による関数の使用例を示す図である。
【
図4】別の実施形態における
図1の要素による関数の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
添付の図面および以下の説明には、本発明の特定の性質の要素が本質的に含まれる。したがって、これらは、本発明をよりよく理解するのに役立つだけでなく、その定義にも適宜貢献することができる。
【0016】
【0017】
電気味覚計2は、マイクロコントローラ4と、デジタル-アナログコンバータ6と、電流発生器8と、を備える。
【0018】
マイクロコントローラ4は、電話機10から刺激強度指示を受信し、電流発生器8は、それに応答して、電極12に電流を流す。このように、電話機10、電気味覚計2および電極12があれば、患者の舌の上に要素12を配置して、そこから刺激に対する反応を収集することで、電気味覚検査の手順を実行することができる。
【0019】
本明細書に記載する実施例において、マイクロコントローラ4は、Microchip社によるATMegal168である。マイクロコントローラ4は、電話機10から刺激指示を受信するように、およびそれらをデジタルコマンドに変換するように構成される。したがって、マイクロコントローラ4は、電気味覚計2が発信した電流の強度を制御するためのインタフェースとして機能する。本明細書に記載する実施例において、電話機10は、スマートフォンタイプのものであり、マイクロコントローラ4とBluetoothなどの無線プロトコルを介して通信するものである。他の無線プロトコルも使用することもでき、また、ケーブル(例えばUSB)を介して、電話機10をマイクロコントローラ4の入力に接続することもできる。電話機10を、以下に説明するようなアルゴリズムを実行するのに適した、且つ電気味覚計2のインタフェースと通信するのに適したタブレット端末または別のオフセット電子デバイスに置き換えることもできる。さらに代替的に、電話機10を電気味覚計2と一体にして、直接アクセスすることができるインタフェースを提供することもできる。刺激指示からデジタルコマンドへの変換は、対応する規則に基づいてもよく、ルックアップテーブル型の検索テーブルに基づいてもよく、フィードバックループを含む直接コマンドに基づいてもよい。
【0020】
図2は、デジタル-アナログコンバータ6の出力において発信される電圧を、電極12のための電流に変換するために電流発生器8が使用する電気回路図の一例を示す。
【0021】
図に示すように、デジタル-アナログコンバータ6の出力は、バイポーラトランジスタ20のベースに接続されている。トランジスタ20のエミッタは、レジスタ22と直列に接続されている。これは、電極12に接続されたときの患者の舌の抵抗を表す。また、トランジスタ20のコレクタは、接地されたレジスタ24と直列に接続されている。さらに、レジスタ22は、DC電圧源26と直列に接続された電極12の別の部分と直列に接続されている。刺激電流が発信されたときに回路を閉じるために、電極12を受ける人は、レジスタ24の下流で接地されたリストバンド(
図2に図示せず)を着用する。
【0022】
図によれば、レジスタ22を通過する強度は、トランジスタ20のコレクタのレベルにおいて強度icである。トランジスタ20のコレクタとエミッタとの間の電圧が正になると、強度icは、エミッタのレベルにおいて強度ieと実質的に等しい。
【0023】
このように、強度icは、デジタル-アナログコンバータ6の出力電圧と、トランジスタ20のコレクタ-ベース間の電圧との差をレジスタ24で除算した値に等しい。
【0024】
本明細書に記載する実施例において、デジタル-アナログコンバータ6は、Microchip社によるMCP4725である。アナログ-デジタルコンバータを使用することは、出力される電圧を正確に制御することが可能になるので、特に有利である。したがって、電流発生器8との組み合わせにより、0.1μAの精度で電極12に発信された電流の強度を制御することができる。
【0025】
また、代替的に、電流発生器8は、電界効果トランジスタ回路に基づくものであってもよく、適切な冷却手段によるオペアンプアセンブリに基づくものであってもよい。
【0026】
本出願人は、
図1および
図2に示す電気味覚計2が、迅速に且つ自動的に且つ正確性をもって、患者の電気味覚しきい値の分析に適したアルゴリズムを使用することができることが特に有利であることを見出した。
【0027】
このように、本出願人は、DixonとMasseyによる著書「Introduction to Statistical Analysis」(Mac Graw Hill、1960)に記載されたディクソンアルゴリズムが有利であることを見出した。過去に、ディクソンアルゴリズムは、選択された量の岩石を爆発させるための爆破物の量を正確に決定するために開発された。電気味覚検査との直接的な関連性はないが、本出願人は、ディクソンアルゴリズムを本発明による電気味覚検査に適用することで、極めて正確な結果が極めて迅速に且つ確実に得られることを見出した。
【0028】
図3は、電気味覚計2を用いたディクソンアルゴリズムの1バージョンの使用例を示す。動作300において、初期強度Int、ステップStpおよび刺激時間Tが設定される。これらのパラメータは、例えば電話機10によって実行され且つ電気味覚計2を制御するアプリケーションを介して導入されてもよい。電話機10は、刺激を知覚したかどうかを患者に確認するユーザによって把持されてもよい。これにより、患者への心理的な負担を回避することができ、患者が知覚に関して虚偽の申告をすることを抑止することができる。
【0029】
パラメータが設定された後に、刺激ループが実行される。動作310において、電話機10は、関数Stim()を実行する。関数Stim()は、時間Tの間、電極12に強度Intの直流電流を発信するように、電気味覚計2に指示する。
【0030】
動作320において、患者は、刺激に応答して、刺激を知覚したかどうかを示す。患者が刺激を知覚したことを示した場合、動作330において、ステップStpが強度Intを減少させる。患者が刺激を知覚していないことを示した場合、動作340において、ステップStpが強度を増加させる。
【0031】
次いで、動作350において、関数Sw()が実行される。この関数は、現在のループの結果と、先行するループの結果とを比較する。患者の応答が同じである場合、動作310でループが再開する。それ以外の場合、シフトが行われ、測定を特徴づけるために4回の追加測定が実行される。
【0032】
このように、動作360において、インデックスiは値1に設定される。次いで、ループのすべての実行においておよび関数の終了まで、関数Sw()は試験を実行せず、インデックスiをインクリメントする。これは、例えば関数Sw()によるシフトの検出時にフラグをアクティブにし、アクティブになったフラグが関数Sw()の試験のバイパスとインデックスiのインクリメントをトリガーにすることで、実行されてもよい。さらなる別の実施形態も可能であることは言うまでもない。
【0033】
最後に、動作370において、試験が実行され、シフトの検出に続く4つの動作が実行されたかどうかを判定する。実行されたと判定された場合、動作380において、関数Dxn()によって、最新の5つの測定に関するユーザの応答が、患者の味覚しきい値を計算するディクソンマトリクスと共に使用され、動作399において、関数は終了する。それ以外の場合、最新の測定を実行するために、動作310でループが再開する。
【0034】
図4も、ディクソンアルゴリズムが使用される
図3の別の実施形態における関数を示すが、これは、二重盲検試験に基づいている。このため、刺激および測定は、2つの刺激が毎回患者に提供され、そのうちの一方だけが実際のものであるという点で、わずかに異なる。患者に要求される応答は、2つの刺激のうちの実際に生じたものに関連する。
【0035】
このように、
図4の関数の動作は、
図3の関数の動作と類似するが、以下の点で異なる。
・ 強度Intはもはや関与しておらず、第1および第2の刺激の強度を受信するベクトルInt[]と、ベクトルT[]である時間Tとが関与する。Int[]の値は、Intと0のみであり、時間は、両方の刺激について同じである。
・ 動作410はもはや直接的な刺激ではなく、二重盲検関数を実行する関数Seq()によるシーケンスの実行である。すなわち、電話機10内のアプリケーションのみが、所与のループの実行に対して強度Intで第1の刺激または第2の刺激のどちらかが実行されたかを知っている。
・ 動作420は、患者の応答のみの基づくのではなく、患者の応答とアプリケーションが知っている現実との間の比較に基づいている。このように、患者が実行された刺激を正しく認識した場合、強度が減少し、逆の場合には、強度が増加する。
【0036】
さらなる試験アルゴリズムが、二分法に基づくアルゴリズムなどの電話機10上のアプリケーションを介して使用され得る。また、アプリケーションによって、アルゴリズムを介することなく、ユーザが電気味覚計2を直接制御することもできる。この場合、強度および時間は、他のプロトコルと同様に、電話機10上で直接指定され、その後、患者は、刺激を知覚したかどうかについてユーザから要求される。代替的に、患者は、簡易的な測定プロトコルを用いて、電気味覚計とアプリケーションのみを使用してもよい。この場合、携帯端末のアプリケーションの画面上に「停止」タイプのボタンが表示される。患者は、一方の手でこの携帯アプリケーションを持ち、他方の手で舌の上に配置された電極を持つ。患者が「停止」ボタンを押下しない限り、電流は電気味覚計上で徐々に増加して、常に同じ時間と同じ増分ステップを有する刺激を送信する。患者が「停止」を押下すると、アプリケーション上に結果が表示される。電流が最大強度に達すると、試験が停止され、スマートフォン上に警告メッセージが表示され、ユーザは、再開を促される場合がある。
【0037】
任意選択で、各プロトコルについて、電極が患者の舌から離れた場合、エラーメッセージが表示され、刺激が停止され、ユーザは、以前と同じ値で試験を再開することができる。
【0038】
本明細書に記載した電気味覚計2は、接続環境で自然に統合にすることができるため、特に有利である。実際、研究者が使用するプロトコルに従って手動で制御する必要がなく、最新の電子インタフェースによって制御可能であるため、接続環境において自然に統合され、患者の測定結果をすべての医療データに容易に統合することができる。これにより、味覚障害に関する最初のデータベースを作成することができ、最終的には、関連する健康記録や他の医療機器から取得された味覚障害や他の健康データをリンクさせ、味覚障害や治療と治療上の副作用の分析などとをリンクさせることができる。