(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】オリゴエステルを主成分とするバインダー組成物、その製造方法、及び有機ファイバー又はミネラルファイバーを結合するためのその使用
(51)【国際特許分類】
C08L 67/00 20060101AFI20240219BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20240219BHJP
D06M 13/207 20060101ALI20240219BHJP
C08K 5/053 20060101ALI20240219BHJP
C08K 3/32 20060101ALI20240219BHJP
C08G 63/02 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
C08L67/00
D06M13/224
D06M13/207
C08K5/053
C08K3/32
C08G63/02
(21)【出願番号】P 2020555235
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(86)【国際出願番号】 FR2019050879
(87)【国際公開番号】W WO2019202248
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-15
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100116975
【氏名又は名称】礒山 朝美
(72)【発明者】
【氏名】ピエール サロモン
(72)【発明者】
【氏名】エドワール オベール
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0152244(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0061554(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0038017(US,A1)
【文献】特開2018-003027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 67/00
D06M 13/224
D06M 13/207
C08K 5/053
C08K 3/32
C08G 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水及び水溶性オリゴマーエステルを含有する熱硬化性バインダー組成物であって、
前記水溶性オリゴマーエステルは、
- 還元糖、非還元糖、及び水素化糖から選択される少なくとも一種の糖であって、前記水素化糖が、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリイトール、及びデンプン又はリグノセルロース材料の加水分解物の水素化生成物からなる群から選択される、少なくとも一種の糖と、
- 少なくとも一種のポリカルボン酸と
のエステルであり、
前記熱硬化性バインダー組成物は、40重量%~80重量%の乾燥物質含量を有し、
前記水溶性オリゴマーエステルは、前記熱硬化性バインダー組成物の前記乾燥物質含量の少なくとも80重量
%を占め、かつ
前記熱硬化性バインダー組成物は、前記乾燥物質含量に対して、10重量%未満
の遊離ソルビトールを含有する、
熱硬化性バインダー組成物。
【請求項2】
前記還元糖が、単糖及び二糖から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のバインダー組成物。
【請求項3】
前記水素化糖が、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、及びデンプン又はリグノセルロース材料の加水分解物の水素化生成物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のバインダー組成物。
【請求項4】
前記ポリカルボン酸が、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びテトラカルボン酸から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項5】
前記ポリカルボン酸が、クエン酸であることを特徴とする、請求項請求項1~4のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項6】
前記糖/クエン酸の重量比が、25/75~55/45で
あることを特徴とする、請求項5に記載のバインダー組成物。
【請求項7】
70重量%の固体含量で、20℃で測定したブルックフィールド粘度が、0.25~4.0Pa・
sであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項8】
1~7のpHを示すことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項9】
前記乾燥物質含量に対して、10重量%未満
の残留遊離ポリカルボン酸を含有することを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項10】
強酸及びルイス酸から選択されるエステル化触媒をさらに含有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のバインダー組成物。
【請求項11】
次亜リン酸ナトリウムをさらに含有することを特徴とする、請求項5に記載のバインダー組成物。
【請求項12】
以下を含む、有機バインダーによって結合されるミネラルファイバー又は有機ファイバーをベースとする製品の製造方法:
(a)請求項1~11のいずれか一項に記載の熱硬化性バインダー組成物を、固体物質含量が2重量%~10重量%に低下するまで水で希釈することによってサイジング組成物を調製すること、
(b)前記サイジング組成物をミネラルファイバー又は有機ファイバーに適用すること、
(c)サイジングしたミネラルファイバー又は有機ファイバーの回収物を形成すること、及び
(d)前記サイジング組成物が硬化するまで、サイジングしたミネラルファイバー又は有機ファイバーの前記回収物を加熱すること。
【請求項13】
前記サイジング組成物を調製する工程(a)が、一つ又は複数の添加
剤を添加することを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ファイバーがミネラルファイバーであり、かつ前記ファイバーの前記回収物がミネラルウールであることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記サイジング組成物を前記ミネラルファイバー又は前記有機ファイバーに適用するときに、前記サイジング組成物が、全乾燥物質含量に対して少なくとも80重量%の水溶性オリゴマーエステルを含むことを特徴とする、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記サイジング組成物を前記ミネラルファイバー又は前記有機ファイバーに適用するときに、前記サイジング組成物が、全乾燥物質含量に対して、10重量%未満
の遊離ソルビトールを含むことを特徴とする、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭水化物とポリカルボン酸との間の反応によって得られた水溶性オリゴマーエステルを主成分とする水性熱硬化性バインダーに関する。
【0002】
本発明はまた、有機ファイバー又はミネラルファイバー、特にミネラルウールのファイバー、特にグラスウール又はロックウールを一緒に結合するためのそのようなバインダーの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ここ数年間、バイオベースの反応物質、特に糖類に基づく水性組成物を、ミネラルファイバーをベースとするミネラルウールや不織製品のための熱硬化性バインダーとして使用することが知られている。
【0004】
触媒、一般的にはジ亜リン酸ナトリウムの存在下に、水酸基を有する還元糖及び/又は非還元糖及び/又は水素化糖をポリカルボン酸と反応させることによって、熱硬化性ポリエステルを形成することが特に提案されている(国際公開第2009/080938号、国際公開第2010/029266号、国際公開第2013/014399号、国際公開第2013/021112号)。
【0005】
国際公開第2012/138723号は、オリゴマー及び/又はポリマーの炭水化物(デキストロース当量2~20)と、ポリカルボン酸から選択される架橋剤とをベースとするサイジング組成物を開示している。これらの組成物はまた、ポリカルボン酸とグリセロールとの反応によって得られた1500~5000の重量平均分子量を有するオリゴエステルを含有している。
【0006】
上述した文献に記載されているサイジング組成物は、モノマー反応物質の希薄な低粘度の水溶液である。これらを、通常、形成直後のまだ熱いままのミネラルファイバーに噴霧する。ファイバーへのサイジング組成物の適用直後に、水相が蒸発し始める。ファイバーを回収し、かつ回収ベルト上でマットの形態にするとき、ファイバーは粘着性があり、かつガラスファイバーを包むサイジング組成物の膜はまだ水を含んでいる。
【0007】
水の蒸発が完了し、かつ反応物質間のエステル化反応が開始するのは、サイジングしたミネラルウールのマットが、180℃を超え、さらには200℃を超える温度に典型的には温度調節された乾燥オーブンに入るときだけである。
【0008】
数十秒又は数百秒間、高温で、サイジングしたファイバーのマットを加熱することは、エステル化による反応系の架橋及び水不溶性バインダーの形成をもたらすだけでなく、いくつかの反応物質の熱分解及び生じた分解生成物の蒸発をもたらす。乾燥オーブン中で形成されたガス状成分は、排気筒を介して部分的に排出される。排出ガス又は燃焼ガスは、洗浄システムで処理され、次いで、水性の洗浄溶液が閉鎖システムで再利用される。
【0009】
サイジング組成物がクエン酸のようなカルボン酸を含むとき、燃焼ガスは多くの酸性化合物を含有し、これらの酸性化合物は塩基を添加することによって中和する必要があり、それによって、腐食による設備の劣化を防止するようになっている。しかしながら、塩基の添加は問題がある。なぜならば、グラスウールをベースとする絶縁製品を製造するための設備では、水性の洗浄溶液をシステムに再注入し、特に、バインダー組成物及びサイジング組成物の製造のために使用するからである。けれども、サイジング組成物中に多量の塩基又は塩が存在すると、pHが増加し、かつエステル化反応(架橋)を妨げる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本出願人は、糖アルコール及びクエン酸をベースとするバインダー系の排出ガスの水性洗浄溶液には、とりわけ、クエン酸、シトラコン酸、イタコン酸、プロピオン酸、酢酸、及び微量のギ酸が存在することに気付いた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリオール及びポリ酸をベースとする開始反応系を、本質的に無水の媒体中での重縮合(エステル化)によって予備的なオリゴマー化反応(プレオリゴマー化)させることによって、グラスウールの硬化オーブンの排気筒で、揮発性の酸性成分の放出を著しく制限できたことを見出したことに基づくものである。こうして調製されたオリゴマーエステルは、糖及び/又は糖アルコールと酸とをベースとするバインダーの反応物質と同じように使用することができる。このオリゴマーエステルは、水溶性でありかつ室温で水中において安定であり、ポンプで送り出すことができかつ無限に希釈可能な水溶液を形成し、かつサイジング組成物について通常使用される濃度(2重量%~6重量%)で、ノズル(噴霧リング)を用いて噴霧することによるサイジングのための一般的なシステムに完全に適合する粘度を有する。
【0012】
加えて、ポリオール及びポリ酸である反応物質の代わりにオリゴマーを使用することは、反応系の架橋開始温度を著しく低下させ、かつ/又は所与の乾燥オーブン温度についてバインダーの満足のいく硬化に必要とされる時間を短縮するという利点があり、これは、グラスウール製造ラインを高速化し、かつ/又はオーブンを加熱するためのエネルギーを節約することを可能にするものである。
【0013】
最後に、分解及び排気筒での燃焼ガスにおける放出によるクエン酸の損失を低減することは、ファイバーに噴霧したバインダー及び添加剤の固体の総量に対する、最終製品における硬化したバインダーの量の割合である工業ラインの効率(バインダーライン効率、BLE)の上昇をもたらす。
【0014】
本発明は、還元糖、非還元糖、及び水素化糖から選択される少なくとも一種の炭水化物(糖類)と、少なくとも一種のポリカルボン酸との水溶性オリゴマーエステル、並びに水を含有する熱硬化性バインダー組成物に関し、ここで、水素化糖は、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリイトール、及びデンプン又はリグノセルロース材料の加水分解物の水素化生成物からなる群から選択され、このバインダー組成物は、40重量%~80重量%の乾燥物質含量を有し、かつこの水溶性オリゴマーエステルは、熱硬化性バインダー組成物の乾燥物質含量の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%を占める。
【0015】
本願において、「糖」との用語は、通常よりも広い意味を有している。なぜならば、本願における「糖」は、厳密な意味での炭水化物、すなわち、少なくとも一つのアルデヒド又はケトン基(還元性基)を有する式Cn(H2O)p(式中、p=n(単糖)又はp=n-1(オリゴ糖及び多糖))の還元糖又は水和物だけでなく、このアルデヒド又はケトン基をアルコールに還元した、これら炭水化物の水素化生成物を包含するからである。これらの水素化生成物は、アルジトール、糖アルコール、又は水素化糖とも呼ばれる。「糖」との用語はまた、いくつかの炭水化物単位から構成される非還元糖であって、ヘミアセタールヒドロキシルを有する炭素が、この炭水化物単位を一緒に結合するグリコシド結合に含まれている非還元糖も含む。
【0016】
本願において、「バインダー組成物」及び「サイジング組成物」との用語は、同義語ではない。「バインダー組成物」との用語は、高濃度の水溶液を意味し、つまり、固体物質の高含量(数十パーセント)を有する水溶液を意味する。これらの組成物は、貯蔵しかつ輸送することができる。バインダー組成物は、ポンプで送り込むのに十分な流動性を有するが、粘性がありすぎて、ファイバーにそのまま噴霧することはできない。「サイジング組成物」との用語は、10重量%未満の乾燥物質含量を有する、それほど高濃度ではない水溶液を意味する。これらの組成物は、バインダー組成物を水で希釈することによって一般的には得られる。サイジング組成物は、ノズルを用いて噴霧することによって、グラスウールファイバーにこれらを適用できるように、十分に低い粘度を有している。
【0017】
本発明はまた、本質的に無水の媒体における反応物質のエステル化によってオリゴマーを合成する工程と、続いて、結果として得られた反応生成物を水で希釈する工程とを含むバインダー組成物を調製する方法を開示する。
【0018】
より詳細には、本発明のバインダー組成物を製造するための方法は、以下を含む:
- 還元糖、非還元糖、及び水素化糖から選択される少なくとも一種の糖と、少なくとも一種のポリカルボン酸と、少なくとも一種のエステル化触媒との混合物を、105℃~170℃、好ましくは120℃~150℃の温度で、5分~10時間、好ましくは20分~2時間加熱し、オリゴエステルを形成すること、及び
- このオリゴエステルのポンプ送り込み可能な水溶液を得るのに十分な所定量の水を添加すること。
【0019】
上記で説明したように、この塊状重縮合(バルク重縮合)の混合物は、好ましくは本質的に無水であり、つまり、好ましくは2%未満の水を含有し、好ましくは1%未満の水を含有する。ある特定の場合には、少量の水、通常は5重量%未満の水を添加する必要がある場合があり、それによって、反応混合物中の反応物質を均質化するようになっている。均質化のために必要なこの水は、加熱の影響下で蒸発する。
【0020】
オリゴエステルを合成するための方法の好ましい実施形態は、溶媒の不存在下で、完全に溶融するまで糖を加熱し、次いでクエン酸及び触媒を添加することを含む。反応時間は、合成時の媒体の粘度の変化に依存する。
【0021】
オリゴマー化反応の進行は、以下の様式の粘度測定によって観察することができる。反応媒体の一定量を抜き出し、かつ蒸留水で希釈して70%に等しい固体物質含量(固体含量)を有する溶液を得る。低粘度で高感度とすることを可能にした、50mmコーン/プレートの上部形状及び50mmプレートの下部形状を有するAnton Paar MCR302レオメーターにこの溶液を導入する。室温で、せん断速度を5s-1から1000s-1に上昇させ、次いで1000s-1から5s-1に再び低下させて、このオリゴマーの粘度を測定する。粘度はせん断速度に依存しないことが観察される。したがって、オリゴマー溶液はニュートン液体である。20℃、せん断速度100s-1で、粘度の値を読み取る。
【0022】
オリゴマー化反応の反応速度論を研究する目的は、一方では、許容できる粘度、すなわち、かなり高濃度のバインダー組成物をポンプで送り込むことが可能なままにする十分に低い粘度と、他方では、できる限り低い架橋開始温度との間の最良の妥協策を見出すことにある。
【0023】
架橋開始温度は、動的機械熱分析(DMTA)によって測定され、これは、ポリマー材料の粘弾性挙動を特徴付けることを可能にする。ガラスのマイクロファイバーでできた紙の2つのストリップを切り取って重ね合わせる。30%の固体物質含量を有するバインダー組成物の30mgを、ストリップの上に均一に堆積し、続いてRSAIII器具(Texas Instruments)の2つのクリップの間に水平に取り付ける。適用するひずみの関数として応力を測定するための装置を備えた振動成分が、試料の上部面に位置する。この装置は、弾性係数E’を測定することが可能である。試料を4℃/分の速度で、20℃から250℃まで変化する温度で加熱する。この測定から、温度(℃)の関数としての弾性係数E’(MPa)の変動曲線をプロットし、この曲線の全般的な様子が
図1に示されている。
【0024】
DMTA曲線は、以下の3つの直線区分を形作る:
(1)反応開始前の曲線の接線、
(2)反応時の弾性率の増加の間の直線の勾配、
(3)弾性率の増加の終了後の曲線の接線。
【0025】
架橋開始温度(CST)は、最初の2つの直線の交点の温度である。
【0026】
オリゴマー化が所望の程度に到達したとき、加熱を停止しかつ反応混合物に水を加えて、本発明のバインダー組成物を得る。
【0027】
70重量%の固体含量で、室温(20℃)で測定したバインダー組成物のブルックフィールド粘度は、有利には0.25~4.0Pa・sであり、好ましくは0.3~1.5Pa・s、特に0.35~1.0Pa・sである。
【0028】
上述した方法で測定した本発明のバインダー組成物の架橋開始温度は、有利には105℃~125℃である。
【0029】
本発明の熱硬化性バインダー組成物の調製のために、基本的には、還元糖、非還元糖、及び水素化糖から選択された任意の糖類のいかなるものも使用することができる。
【0030】
「水素化糖」は、単糖、二糖、オリゴ糖、及び多糖、並びにこれらの物質の混合物から選択される糖(炭水化物)の還元の結果として生じるすべての生成物を意図している。水素化糖は、糖アルコール、アルジトール、又はポリオールとも呼ばれる。これらは、糖の接触水素化によって得ることができる。水素化は、高い水素圧及び高温条件下で操作しながら既知の方法によって行うことができ、元素周期表のIb、IIb、IVb、VI、VII及びVIII族の元素から選択される触媒、好ましくは、ニッケル、白金、パラジウム、コバルト、及びモリブデン、並びにこれらの混合物を含む群から選択される触媒の存在下で実施することができる。好ましい触媒はラネーニッケルである。
【0031】
一つ又は複数の水素化糖は、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリイトール、及びデンプンの加水分解物又はリグノセルロース材料の加水分解物の水素化生成物からなる群から選択される。
【0032】
デンプン加水分解物は、デンプンの酵素による及び/又は酸による加水分解によって得られる生成物である。加水分解度は、一般的に、以下の関係によって定義されるデキストロース当量(DE)で特徴付けられる:
【数1】
【0033】
好ましいデンプン加水分解物は、水素化工程前に、5~99の、有利には、10~80のDEを有する。
【0034】
特に好ましいものは、マルチトール、キシリトール、ソルビトール、及びデンプン又はリグノセルロース材料の加水分解物の水素化生成物からなる群から選択される水素化糖を使用することで得られる。
【0035】
上述した水素化糖のうち、ソルビトールが最も容易に市場で入手可能であり、かつ最も安価である。しかしながら、ポリカルボン酸と水素化糖をベースとするバインダーを開発することを目的とした試験の間に、出願人である会社は、この水素化糖をそのまま使用したときに、満足のいく機械的特性(引張強度、厚みの回復、曲げ強度)を示す絶縁製品を容易に得ることができないことを発見した。結果として得られる絶縁製品にある一定の機械的強度を付与するためには、サイジング組成物の、ポリカルボン酸/ソルビトールの比率を著しく増加させる必要があった。しかしながら、このような増加は、以下の3つの内容からなる不利な点を示す。すなわち、特に、使用する酸が200℃未満の温度で熱劣化を受けるクエン酸であるときに、このことは、サイジング組成物の腐食性を増大させ、排気筒で酸性分解生成物の放出を促進し、かつ工業ラインの効率(バインダーライン効率)を低下させる。
【0036】
本発明は、水素化糖としてのソルビトールの使用と関連している上記の不利な点を回避することができる。これは、ポリカルボン酸の存在下での、無水媒体中でのソルビトールのプレオリゴマー化が、例えばキシリトール又はマルチトールをベースとするオリゴエステルと同等な特性を有するオリゴエステルを提供するからである。
【0037】
上記の観点から、ミネラルウールをベースとし、かつ満足のいく機械的特性を有する絶縁製品を得ることは、明らかに、エステル化工程の終了後に、バインダー組成物に遊離ソルビトールを全く添加しないか、又はごくわずかしか添加しないことを支持するものである。言い換えれば、本発明のバインダー組成物を希釈することによってサイジング組成物を調製するときに、遊離ソルビトールを過剰量で添加するとすれば、本発明によって得られる利点、すなわち、ソルビトールを使用するにもかかわらず、良好な機械的特性を得るという利点は失われることになる。
【0038】
このため、本発明のバインダー組成物及びサイジング組成物は、エステル化工程後に添加される遊離ソルビトール、又はエステル化の間に反応しなかった遊離ソルビトールを、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、さらにより有利には2重量%未満含有する。遊離ソルビトールのこれらの割合は、本発明のバインダー組成物又はサイジング組成物の全乾燥物質含量に対して表される割合である。
【0039】
還元糖は、好ましくは、グルコース、ガラクトース、マンノース、及びフルクトースのような単糖、ラクトース、マルトース、イソマルトース、及びセロビオースのような二糖、並びに上記したデンプン又はリグノセルロース材料の加水分解物から選択される。好ましくはグルコース及びフルクトース、特にグルコースが使用される。
【0040】
非還元糖は、好ましくは、トレハロース、イソトレハロース、スクロース、及びイソスクロースのような二糖である。スクロースが特に好ましい。
【0041】
本発明で使用する一つ又は複数のポリカルボン酸は、モノマーのポリカルボン酸である。言い換えれば、本発明において、この用語は、例えば、アクリル酸又はメタクリル酸のホモポリマー又はコポリマーのような、カルボン酸モノマーの重合によって得られるポリマーを包含しない。
【0042】
好ましくは、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びテトラカルボン酸からなる群から選択されるポリカルボン酸を使用する。特に好ましいポリカルボン酸は、クエン酸である。
【0043】
出願人の会社は、糖及びポリカルボン酸のそれぞれの割合を決定するために膨大な試験を行った。その結果、架橋状態にあるバインダーが、特に、湿潤条件下での促進老化後に、最終的なグラスウール製品に最も優れた機械的特性を付与することがわかった。
【0044】
これらの試験は、炭水化物(糖)/クエン酸の重量比が、有利には25/75~55/45、好ましくは30/70~50/50であることを示した。
【0045】
塊状オリゴマー化(バルクオリゴマー化)は、例えば、強酸から選択される既知のエステル化触媒の存在下で実施することができ、強酸は、例えば、硫酸、塩酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、及びエステル化反応の触媒のために一般的に使用されるルイス酸のような強酸である。
【0046】
クエン酸を使用するとき、塊状オリゴマー化反応は、次亜リン酸ナトリウムによっても触媒作用を受け、厳密には次亜リン酸ナトリウムはエステル化触媒ではないが、クエン酸無水物の形成を促進すると考えられる。クエン酸無水物は、三酸よりも反応性が高く、かつポリオールと反応することができる。
【0047】
したがって、熱硬化性バインダー組成物中には、これらの2つのタイプの触媒のいずれかが存在する。
【0048】
例えば強酸のようなエステル化触媒をオリゴマー化反応の触媒に使用するとき、サイジング組成物を得るために水で希釈する前又は後に、次亜リン酸ナトリウム又は次亜リン酸の有効量を、例えば、バインダー組成物の固体物質の重量に対して、0.5重量%~10重量%、好ましくは1.0重量%~5重量%の量を、バインダー組成物に添加することが望ましい。次亜リン酸ナトリウム及び対応する酸は、これまでで最も効果的にオリゴマーの硬化を触媒し、水不溶性の熱硬化性バインダーを与える化合物だからである。
【0049】
組成物の粘度及び架橋開始温度だけが、本発明のバインダー組成物の品質を評価するために考慮すべき基準となるわけではない。別の重要なパラメーターは、ポリカルボン酸の残留含有量、すなわち、反応混合物中に存在する糖と反応しなかった酸の量である。遊離ポリカルボン酸のこの残留含有量は、好ましくはできる限り低い。これは、導入部で説明したように、ポリカルボン酸、特にクエン酸は、乾燥オーブンへの進入時に又は乾燥オーブン内で熱分解を受け、望ましくない酸性ガスの放出をもたらすからである。
【0050】
ポリオール/ポリ酸の割合及びオリゴマー化反応の進行度が増加するにつれて、ポリ酸の残留含有量は低下する。
【0051】
本発明のバインダー組成物は、有利には、全固体物質含量に対して、20重量%未満の残留遊離ポリカルボン酸を含有し、好ましくは15重量%未満の、より好ましくは10重量%未満の、特に5重量%未満の、残留遊離ポリカルボン酸を含有する。
【0052】
本発明のバインダー組成物は、貯蔵しかつ輸送することができるものでなければならない。すなわち、本発明のバインダー組成物は、20重量%~50重量%の範囲であり得る比較的多量の水が存在するにもかかわらず、室温での貯蔵時に安定でなければならず、かつオリゴエステルの実質的な加水分解を被るものであってはならない。
【0053】
出願人の会社は、これらの組成物が中性又は酸性のpHを示すとき、好ましくは1~7、より好ましくは3~6のpHを示すときに、組成物の貯蔵時の良好な安定性が得られることを示した。
【0054】
最後に、本件特許出願は、本発明によるバインダー組成物を使った、不溶性の有機バインダーによって結合されるミネラルファイバー又は有機ファイバーをベースとする製品の製造方法に関する。この方法は、以下の連続的な工程を含む:
(a)上述した熱硬化性バインダー組成物を、固体物質含量が2重量%~10重量%に低下するまで水で希釈することによってサイジング組成物を調製すること、
(b)サイジング組成物をミネラルファイバー又は有機ファイバーに適用すること、
(c)サイジングしたミネラルファイバー又は有機ファイバーの回収物を形成すること、及び
(d)サイジング組成物が硬化するまで、サイジングしたミネラルファイバー又は有機ファイバーの得られた回収物を加熱すること。
【0055】
良好な品質の製品を得るためには、サイジング組成物が、良好な噴霧性を示し、かつファイバーの表面で薄膜の形態で堆積することができ、それによって、ファイバーを効果的に結合することが必要である。サイジング組成物の噴霧性は、高濃度のバインダー組成物を多量の水で希釈する可能性に直接関連する。希釈したサイジング組成物は、長時間にわたって安定であり、分離現象を生じない溶液である必要がある。
【0056】
希釈の能力は、「希釈性」によって特徴付けられ、これは、所与の温度で恒久的な混濁の外観が生じるまで、バインダー組成物の一つの容積単位に添加することができる脱イオン水の容積として定義される。バインダー組成物の希釈性が、20℃で1000%に等しいか又はこれを超えるとき、このバインダー組成物をサイズとして使用することができると一般的には見なされている。
【0057】
本発明のバインダー組成物は、2000%を超える希釈性を有する。
【0058】
むろん、高濃度の中間体溶液(バインダー組成物)を調製することなく、ポリ酸と炭水化物との塊状エステル化(バルクエステル化)によって得られたオリゴマー化生成物から直接、希釈した水性サイジング組成物を調製することによって、本発明のミネラルファイバー又は有機ファイバーに基づく製品の製造方法を実施することをもっぱら想定することができる。本発明の方法のこの変形は、ミネラルファイバー又は有機ファイバーに基づく最終製品の製造と同じ場所でオリゴマーエステルの合成を行うときに有用となり得る。これは、貯蔵及び/又は輸送を意図した高濃度の中間体溶液調製を含む方法と完全に等価なものと考えられる。
【0059】
サイジング組成物の調製工程は、有利には、ミネラルウールの技術分野で一般的に使用されている一つ又は複数の既知の添加剤の添加を含む。これらの添加剤は、例えば、防塵添加剤、シリコーン、及びカップリング剤から選択される。
【0060】
本発明の方法の特に好ましい実施形態では、バインダー組成物に、オリゴエステルと反応することができる多量のモノマーを、例えば、還元糖、非還元糖、水素化糖、又は他のポリオール若しくはアミン、特に、アルカノールアミンを添加することが回避される。
【0061】
このため、ミネラルファイバー又は有機ファイバーに適用するとき、サイジング組成物は、全固体物質含有量に対して、好ましくは少なくとも80重量%の、より好ましくは少なくとも85%重量の、さらに少なくとも90重量%の、水溶性オリゴマーエステルを含む。
【0062】
本発明の方法の有利な実施形態では、ファイバーがミネラルファイバーであり、かつファイバーの集合体はミネラルウールである。
【図面の簡単な説明】
【0063】
(原文に記載なし)
【実施例】
【0064】
キシリトール及びクエン酸のオリゴマーの合成
150℃に温度調節した反応器中で、70重量部のキシリトールを完全に溶融するまで加熱し、次いで30重量部のクエン酸と1重量部の次亜リン酸ナトリウムを攪拌しながらすべて同時にこれに加える。反応継続時間全体で攪拌を維持し、かつ150℃の温度を維持する。
【0065】
5分、10分、30分、60分、90分、及び120分後に、反応混合物の一定量を抜き取り、かつ固体物質の含量が70重量%に低下するまで水で希釈する。
【0066】
この高濃度のオリゴマー溶液を粘度の測定(Anton Paar MCR302レオメーター、20℃、せん断速度100s-1)及び動的機械熱分析(DMTA)による架橋開始温度の測定のために使用する。
【0067】
図2は、反応時間の関数としての粘度の変化及び架橋開始温度を示す。
【0068】
高濃度のオリゴマー溶液(70重量%の固体物質)の粘度は、反応を通して徐々に増加することがわかる。2時間後に粘度は1.6Pa・sを超えている。
【0069】
架橋開始温度は、最初の1時間の間に約115℃まで激しく低下し、次いで約110℃で横ばい状態に到達したと思われる。
【0070】
150℃でのオリゴマー化の60分後に得られた反応混合物を使用し、その架橋反応速度をキシリトール/クエン酸/SHP(次亜リン酸ナトリウム)混合物(70/30/1)の架橋反応速度と比較する。
【0071】
このために、20重量%の固体物質含有量を有する希釈溶液が得られるまで、反応混合物を水で希釈する。比較として、同じ固体物質含有量を有する、プレオリゴマー化していないキシリトール/クエン酸/SHP(次亜リン酸ナトリウム)混合物(70/30/1)の水溶液を調製する。
【0072】
これら2つの水性サイジング組成物で二組のガラス布をそれぞれ含浸し、次いで余剰な溶液を取り除くことができる吸引装置にこれらの布を通す。続いて、含浸したガラス布を220℃に温度調節した乾燥オーブン中で硬化させる。18秒、25秒、35秒、50秒、及び70秒間の硬化後に、試料を引張強度の測定に供する。このために、これらの布を帯(250mm×50mm)に切断し、かつその末端を引張試験装置のクリップの間に挿入する。
【0073】
図3は、キシリトール、クエン酸、及びSHPを含むサイジング組成物を含浸させたガラス布と比較した、キシリトールとクエン酸とのオリゴマー及びSHPを含有する本発明によるサイジング組成物を含浸させたガラス布の、220℃での硬化時間の関数としての引張強度の変化を示す。
【0074】
本発明によるサイジング組成物の架橋速度は、比較のプレオリゴマー化していない組成物の架橋速度よりも著しく速い。35秒後に、本発明による試料の破壊強度については、約80Nの引張強度を示したのに対して、比較の試料の引張強度はわずか20Nである。硬化の70秒後に、2つの曲線は一点に合流し、つまり、最終的な機械特性は、完全に硬化したバインダーによって結合した両者の布について同一である。
【0075】
これらの結果は、水素化糖とポリ酸とのプレオリゴマー化によって、バインダーの硬化時間を短縮することができ、すなわち、ラインを加速し、あるいは乾燥オーブンの寸法を短くすることができることを示すものであり、これは、いずれの場合もエネルギーの節約に相当するものである。
【0076】
同じ2つのサイジング組成物をパイロットラインのグラスウールを製造するために使用する。
【0077】
グラスウールを内部の遠心技術によって製造する。この技術では、溶融したガラス組成物を、遠心スピナーと呼ばれる工具を用いてファイバーに変換する。遠心スピナーは、溶融した組成物を受け取るためのチャンバーを形成する受け皿と、多数の孔が貫通した周囲ストリップとを含む。すなわち、スピナーは、その垂直に配置された対称軸の周りを回転し、遠心力の作用の下で組成物が孔から放出され、この孔から抜け出た材料が延伸ガス流を用いて引き延ばされて、ファイバーになる。
【0078】
一般的に、サイズ噴霧リングを繊維化スピナーの真下に置き、形成したばかりのグラスウールに均一にサイジング組成物を分布させるようになっている。
【0079】
こうしてサイジングしたミネラルウールを、内部吸引チャンバーを装着したベルトコンベヤー上に集める。内部吸引チャンバーは、コンベヤーの表面でフェルト又はラップの形態でミネラルウールを保持する。次いで、コンベヤーを200℃に維持した硬化オーブンの中に循環させ、ここでサイズの成分が重合してバインダーを形成する。得られた絶縁製品は、10.5kg/m3に等しい公称密度、約80mmの公称厚さ、及び5%程度の強熱減量を示す。
【0080】
下記の表1は、硬化タンクの入口に突き出している排気筒で捕獲したガス状放出物中で検出された異なる酸性化学種の量を示す。
【0081】
【0082】
反応物質のプレオリゴマー化が、酸性種の放出を実質的に低下させたことがわかる。
本明細書に開示される発明は以下の態様を含む:
[1]水及び水溶性オリゴマーエステルを含有する熱硬化性バインダー組成物であって、
前記水溶性オリゴマーエステルは、
- 還元糖、非還元糖、及び水素化糖から選択される少なくとも一種の糖であって、前記水素化糖が、エリトリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、マルチトール、イソマルチトール、ラクチトール、セロビトール、パラチニトール、マルトトリイトール、及びデンプン又はリグノセルロース材料の加水分解物の水素化生成物からなる群から選択される、少なくとも一種の糖と、
- 少なくとも一種のポリカルボン酸と
のエステルであり、
前記熱硬化性バインダー組成物は、40重量%~80重量%の乾燥物質含量を有し、
前記水溶性オリゴマーエステルは、前記熱硬化性バインダー組成物の前記乾燥物質含量の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%を占め、かつ
前記熱硬化性バインダー組成物は、前記乾燥物質含量に対して、10重量%未満の、好ましくは5重量%未満の遊離ソルビトールを含有する、
熱硬化性バインダー組成物。
[2]前記還元糖が、単糖及び二糖から選択されることを特徴とする、上記[1]に記載のバインダー組成物。
[3]前記水素化糖が、キシリトール、マルチトール、ソルビトール、及びデンプン又はリグノセルロース材料の加水分解物の水素化生成物からなる群から選択されることを特徴とする、上記[1]に記載のバインダー組成物。
[4]前記ポリカルボン酸が、ジカルボン酸、トリカルボン酸、及びテトラカルボン酸から選択されることを特徴とする、上記[1]~[3]のいずれか一つに記載のバインダー組成物。
[5]前記ポリカルボン酸が、クエン酸であることを特徴とする、上記[1]~[4]のいずれか一つに記載のバインダー組成物。
[6]前記糖/クエン酸の重量比が、25/75~55/45であり、好ましくは30/70~50/50であることを特徴とする、上記[5]に記載のバインダー組成物。
[7]70重量%の固体含量で、20℃で測定したブルックフィールド粘度が、0.25~4.0Pa・s、好ましくは0.3~1.5Pa・s、特に0.35~1.0Pa・sであることを特徴とする、上記[1]~[6]のいずれか一つに記載のバインダー組成物。
[8]1~7のpHを示すことを特徴とする、上記[1]~[7]のいずれか一つに記載のバインダー組成物。
[9]固体物質含量に対して、10重量%未満の、好ましくは5重量%未満の、残留遊離ポリカルボン酸を含有することを特徴とする、上記[1]~[8]のいずれか一つに記載のバインダー組成物。
[10]強酸及びルイス酸から選択されるエステル化触媒をさらに含有することを特徴とする、上記[1]~[9]のいずれか一つに記載のバインダー組成物。
[11]次亜リン酸ナトリウムをさらに含有することを特徴とする、上記[5]に記載のバインダー組成物。
[12]以下を含む、有機バインダーによって結合されるミネラルファイバー又は有機ファイバーをベースとする製品の製造方法:
(a)上記[1]~[11]のいずれか一つに記載の熱硬化性バインダー組成物を、固体物質含量が2重量%~10重量%に低下するまで水で希釈することによってサイジング組成物を調製すること、
(b)前記サイジング組成物をミネラルファイバー又は有機ファイバーに適用すること、
(c)サイジングしたミネラルファイバー又は有機ファイバーの回収物を形成すること、及び
(d)前記サイジング組成物が硬化するまで、サイジングしたミネラルファイバー又は有機ファイバーの前記回収物を加熱すること。
[13]前記サイジング組成物を調製する工程(a)が、一つ又は複数の添加剤、好ましくは、防塵添加剤、シリコーン、及びカップリング剤から選択される添加剤を添加することを含むことを特徴とする、上記[12]に記載の方法。
[14]前記ファイバーがミネラルファイバーであり、かつ前記ファイバーの前記回収物がミネラルウールであることを特徴とする、上記[12]又は[13]に記載の方法。
[15]前記サイジング組成物を前記ミネラルファイバー又は前記有機ファイバーに適用するときに、前記サイジング組成物が、全乾燥物質含量に対して少なくとも80重量%の水溶性オリゴマーエステルを含むことを特徴とする、上記[12]~[14]のいずれか一つに記載の方法。
[16]前記サイジング組成物を前記ミネラルファイバー又は前記有機ファイバーに適用するときに、前記サイジング組成物が、全乾燥物質含量に対して、10重量%未満の、好ましくは5重量%未満の遊離ソルビトールを含むことを特徴とする、上記[12]~[15]のいずれか一つに記載の方法。