(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20240219BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20240219BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H01L21/304 621B
H01L21/78 M
H01L21/60 311S
(21)【出願番号】P 2020558235
(86)(22)【出願日】2019-11-05
(86)【国際出願番号】 JP2019043200
(87)【国際公開番号】W WO2020110620
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2018221213
(32)【優先日】2018-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】四宮 圭亮
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-319656(JP,A)
【文献】特開2015-87131(JP,A)
【文献】特開2006-261245(JP,A)
【文献】特開2001-250902(JP,A)
【文献】特開2000-133669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/301
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバンプが形成されているバンプ付
ウエハのバンプ形成面に樹脂層を形成する工程と、
前記バンプ形成面の反対側の面にダイシングテープを貼り合わせる工程と、
前記樹脂層にバフ研磨を施して、
前記バンプおよび前記樹脂層からなる平面に凹凸が残るように、前記バンプの表面を覆っている前記樹脂層を除去する工程と、
ダイシングブレードにより前記バンプ付ウエハをダイシングする工程と、
前記樹脂層が除去され、表面が露出された前記バンプと、基板の電極とを電気的に接続する工程と、を備え
、
前記電気的に接続する工程では、前記バンプおよび前記樹脂層からなる平面にある凹凸の隙間に前記バンプ及び前記樹脂層を移動させつつ、前記バンプを押しつぶしながら接続する、
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項
1に記載の半導体装置の製造方法において、
前記バンプの平均高さは、500μm以下である半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項
1または請求項2に記載の半導体装置の製造方法において、
前記バンプの材質は、銅、銀、金、アルミニウム及びはんだ合金からなる群から選択される少なくとも一つである半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器の小型化、及び薄型化に伴い、半導体パッケージの薄型化、及び小型化に対する要求も高まっている。そのため、半導体素子の実装方式として、金属ワイヤを用いて接続する従来のワイヤーボンディング方式に代えて、チップの電極上にバンプと呼ばれる突起電極を形成し、基板の電極とチップの電極とをバンプを介して直接接続するフリップチップ接続方式の実装方法が提案されている。
このようなフリップチップ接続方式の実装方法では、様々な目的に応じて、バンプ付ウエハ、及びバンプ付チップなどのバンプを覆うように樹脂層が設けられる。このような樹脂層としては、例えば、バンプ付チップと基板とを接着するための接着剤層、バンプ付チップと基板との接続を補強するためのアンダーフィル層、バンプ付ウエハまたはバンプ付チップを保護するための保護層などが挙げられる。
【0003】
しかしながら、樹脂層がバンプを覆っている場合には、バンプ上の樹脂層を機械的に押しのけて、バンプと基板の電極との電気的な接続を確保しなければならない。そのため、バンプ付チップと基板との接続信頼性の点で問題があった。また、リフロー処理により、バンプ付チップと基板とを接続する場合には、バンプに由来する溶融はんだが樹脂層に覆われているため、セルフアライメント効果(チップ、及び基板の電極同士の位置合わせ精度が悪く、ずれを生じていてもリフロー時に正常な位置へ自動的に補正される現象)が得られないという問題があった。
【0004】
上記のような問題を解決するために、例えば、複数のバンプが形成されているバンプ付部材のバンプ形成面に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層にプラズマ処理を施して、前記バンプの表面を覆っている前記樹脂層を除去する工程と、を備えた方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、上記のような問題を解決するために、例えば、複数のバンプが形成されているバンプ付部材のバンプ形成面に樹脂層を形成する工程と、前記バンプの表面を覆っている前記樹脂層を研削により除去する工程を備えた方法も提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2016/194431号
【文献】特開2017-84903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の方法では、除去したい樹脂層の箇所だけでなく、照射面内全域に対してプラズマが照射される。すなわち、バンプ頭頂部を覆う樹脂層だけでなく、本来保護したい部分を覆う樹脂層にもプラズマが照射される。そのため、本来保護したい部分にもプラズマ照射の影響が及んで、劣化、及び損傷が生じるおそれがある。
また、特許文献2に記載の方法は、樹脂層を研削により除去する方法であるため、ダイサー、グラインダ、またはサーフェスプレーナがバンプを覆う樹脂層に接触し、バンプに対して機械的負荷が加わる。そのため、バンプの位置がずれたり、バンプが脱落したりして、接続信頼性が低下するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、バンプ付部材の本来保護したい部分の劣化、及び損傷を防止し、接続信頼性に優れた半導体装置を効率よく製造できる半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法は、複数のバンプが形成されているバンプ付部材のバンプ形成面に樹脂層を形成する工程と、前記樹脂層にバフ研磨を施して、前記バンプの表面を覆っている前記樹脂層を除去する工程と、を備える。
この構成によれば、バンプ付部材のバンプ形成面に、様々な目的に応じて、樹脂層を設けることができる。この樹脂層としては、例えば、バンプ付チップと基板とを接着するための接着剤層、バンプ付チップと基板との接続を補強するためのアンダーフィル層、バンプ付ウエハまたはバンプ付チップを保護するための保護層などが挙げられる。
そして、バンプの表面を覆っている樹脂層をバフ研磨により、簡便で効率よく除去できる。バフ研磨法では、バフと接触する部分が研磨されるため、バフと接触するバンプを覆う樹脂層を選択的に除去できるので、バンプ付部材の本来保護したい部分の劣化、及び損傷を防止できる。
また、研削法により樹脂層を除去する場合には、ダイサー、グラインダ、またはサーフェスプレーナなどがバンプを覆う樹脂層に接触するため、バンプに大きな機械的負荷が加わる。しかし、バフ研磨法によれば、樹脂層に接触するのは、比較的に柔らかいバフであるので、バンプに加わる機械的負荷を十分に小さくでき、バンプの位置ずれ、及び脱落を防止できる。
そして、バンプの表面を覆っている樹脂層が除去され、表面が露出されたバンプと、基板の電極とを電気的に接続することで、接続信頼性に優れた半導体装置を効率よく製造できる。
【0010】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法においては、前記バンプ形成面の反対側の面にダイシングテープを貼り合わせる工程を、さらに備えることが好ましい。
この構成によれば、バンプ付部材がダイシングテープに貼着されているため、バフ研磨時にバンプの位置ずれを抑制できる。
【0011】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法においては、前記樹脂層が除去され、表面が露出された前記バンプと、基板の電極とを電気的に接続する工程を、さらに備えることが好ましい。
この構成によれば、バンプの表面を覆っている樹脂層が除去され、表面が露出されたバンプと、基板の電極とを電気的に接続することで、接続信頼性に優れた半導体装置が得られる。
【0012】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法においては、前記バンプの平均高さは、500μm以下であることが好ましい。
バンプの平均高さが低いほど、研磨時にバンプが取れやすく、バンプ付部材が損傷しやすい傾向にある。しかし、バフ研磨法によれば、バンプの平均高さが、500μm以下であっても、バンプ付部材の損傷を防止しつつ、樹脂層を効率よく除去できる。
【0013】
本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法においては、前記バンプの材質は、銅、銀、金、アルミニウム及びはんだ合金からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
このように、バンプの材質が、銅、銀、金、アルミニウム及びはんだ合金からなる群から選択される少なくとも一つであれば、バフ研磨法により、バンプ付部材の損傷を防止しつつ、樹脂層を効率よく除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る樹脂層を形成するための接着シートを示す概略断面図である。
【
図2】本発明の第一実施形態に係るバンプ付部材(バンプ付ウエハ)を示す概略断面図である。
【
図3A】本発明の第一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図3B】本発明の第一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図3C】本発明の第一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図3D】本発明の第一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図3E】本発明の第一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図3F】本発明の第一実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図4】本発明の第一実施形態に係るバンプ付部材(バンプ付ウエハ)のバンプ形成面に樹脂層が形成された状態を示す概略図である。
【
図5】本発明の第一実施形態に係る樹脂研磨工程において、バンプ形成面の下方から見た、バフ研磨装置のホイール及びバフ並びにバンプ付ウエハを示す概略図である。
【
図7A】本発明の第二実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図7B】本発明の第二実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図7C】本発明の第二実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図7D】本発明の第二実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明するための説明図である。
【
図8】実施例1で得られた樹脂層形成バンプ付チップを示すSEM写真の一部を拡大した写真である。
【
図9】比較例1で得られた樹脂層形成バンプ付チップを示すSEM写真の一部を拡大した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第一実施形態]
以下、本発明について実施形態を例に挙げて、図面に基づいて説明する。本発明は実施形態の内容に限定されない。なお、図面においては、説明を容易にするために拡大または縮小をして図示した部分がある。
まず、本実施形態に用いる接着シート、及びバンプ付ウエハについて説明する。
【0016】
(接着シート)
図1には、本実施形態に用いる接着シート1が記載されている。
本実施形態に用いる接着シート1は、支持体層11と、粘着剤層12と、接着剤を含有する樹脂層13と、を備えている。なお、樹脂層13の表面は、ウエハに貼着されるまでの間、剥離フィルムなどにより保護されていてもよい。
【0017】
支持体層11としては、接着シートの支持体として公知の支持体を用いることができ、例えば、プラスチックフィルムなどを用いることができる。このような支持体層11は、被着体を加工している間に、被着体を支持する。
プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、及びフッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、単層フィルムであってもよく、積層フィルムであってもよい。また、積層フィルムの場合には、1種のフィルムを積層してもよく、2種以上のフィルムを積層してもよい。
【0018】
粘着剤層12は、接着シートの粘着剤として公知の粘着剤を用いて形成することができる。このような粘着剤層12により、被着体を加工している間は支持体層11と樹脂層13の間を強固に固定し、その後、樹脂層13を被着体に固着残存させて支持体層11から剥離することが容易となる。なお、粘着剤層12に、紫外線などのエネルギー線を照射することで硬化させて、樹脂層13との剥離が容易になるようにしてもよい。
粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、及びウレタン系粘着剤などが挙げられる。
【0019】
樹脂層13は、接着シートの接着剤として公知の接着剤を用いて形成することができる。このような接着剤を含有する樹脂層13により、後述するバンプ付チップ2aと基板4とを接着することができる。
接着剤としては、例えば、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂と、熱硬化剤とを含有する接着剤が挙げられる。また、接着剤は、硬化物の熱膨張係数を調整するという観点から、無機充填材をさらに含有していてもよい。無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、及び窒化ホウ素などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
(バンプ付ウエハ)
図2には、本実施形態に用いるバンプ付ウエハ2(バンプ付部材)が記載されている。
本実施形態に用いるバンプ付ウエハ2は、半導体ウエハ21と、バンプ22と、を備えている。なお、バンプ22は、半導体ウエハ21の回路のある側に形成される。本実施形態のバンプ付ウエハ2は、複数のバンプ22を備える。
バンプ付ウエハ2は、複数のバンプ22が形成されているバンプ形成面2Aと、バンプ22が形成されていない裏面2Bと、を有する。
【0021】
半導体ウエハ21としては、公知の半導体ウエハを用いることができ、例えば、シリコンウエハなどを用いることができる。
半導体ウエハ21の厚みは、通常、10μm以上1000μm以下であり、好ましくは、50μm以上750μm以下である。
【0022】
バンプ22の材料としては、公知の導電性材料を用いることができる。バンプ22の材料としては、例えば、銅、銀、金、アルミニウム、及びはんだ合金からなる群から選択されるいずれかの材料が挙げられる。はんだ合金としては、公知のはんだ材料を用いることができ、例えば、スズ、銀、及び銅を含有する鉛フリーはんだを用いることができる。
バンプ22の平均高さは、通常、5μm以上1000μm以下であり、好ましくは、50μm以上500μm以下であり、より好ましくは、50μm以上250μm以下である。バンプ22の平均高さが低いほど、研磨時にバンプ22が取れやすく、バンプ付部材が損傷しやすい傾向にある。しかし、本実施形態に係る半導体装置の製造方法によれば、バンプ22の平均高さが、例えば500μm以下であっても、バンプ付部材の損傷を防止しつつ、樹脂層を効率よく除去できる。
バンプ22の側方から見た断面形状は、特に限定されないが、半円形、半楕円形、円形、長方形または台形などであってもよい。
バンプ22の種類としては、特に限定されないが、ボールバンプ、マッシュルームバンプ、スタッドバンプ、コーンバンプ、シリンダーバンプ、ドットバンプ、キューブバンプ、及びピラーバンプなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0024】
図3A~
図3Fは、第一実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、先ず、複数のバンプ22が形成されているバンプ付ウエハ2のバンプ形成面2Aに樹脂層13を形成する。具体的には、
図3A、
図3B、及び
図3Cに示すように、接着シート1の樹脂層13をバンプ付ウエハ2のバンプ形成面2Aに貼り合わせる工程(接着シート貼着工程)と、ダイシングテープ3をバンプ付ウエハ2の裏面2Bに貼り合わせる工程(ダイシングテープ貼着工程)と、接着シート1の支持体層11、及び粘着剤層12を、樹脂層13から剥離する工程(支持体剥離工程)と、を備える方法により、複数のバンプ22が形成されているバンプ付ウエハ2のバンプ形成面2Aに樹脂層13を形成する。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、次に、
図3Dに示すように、樹脂層13にバフ研磨を施して、バンプ22の表面を覆っている樹脂層13を除去する(樹脂除去工程)。なお、本実施形態においては、樹脂層13とともにバンプ22の一部を除去しているが、樹脂層13のみを除去してもよい。
そして、
図3E、及び
図3Fに示すように、ダイシングブレードによりバンプ付ウエハ2をダイシングする工程(ダイシング工程)と、ダイシングにより個片化したバンプ付チップ2aをピックアップし、被着体としての基板4に接着固定する工程(ボンディング工程)と、を備える方法により、樹脂層13が除去され、表面が露出されたバンプ22と、基板4の電極42とを電気的に接続する。
【0025】
以下、接着シート貼着工程、ダイシングテープ貼着工程、支持体剥離工程、樹脂除去工程、ダイシング工程、及びボンディング工程について、より詳細に説明する。
【0026】
(接着シート貼着工程)
接着シート貼着工程においては、
図3Aに示すように、接着シート1の樹脂層13をバンプ付ウエハ2のバンプ22の形成されている面(バンプ形成面2A)に貼り合わせる。接着シート1の貼着後、バンプ22は、樹脂層13によって覆われる。
ここで、貼着方法としては公知の方法を採用でき、特に限定されないが、圧着による方法が好ましい。圧着は、通常、圧着ロールなどにより接着シート1を押圧しながら行われる。圧着の条件は特に限定されないが、圧着温度は、40℃以上120℃以下が好ましい。ロール圧力は、0.1MPa以上20MPa以下が好ましい。圧着速度は、1mm/sec以上20mm/sec以下が好ましい。
また、接着シート1の樹脂層13の厚みは、バンプ22の高さ寸法より小さくすることが好ましく、バンプ22の高さ寸法の0.8倍以下であることがより好ましく、バンプ22の高さ寸法の0.1倍以上0.7倍以下であることが特に好ましい。樹脂層13の厚みが前記上限以下であれば、バンプ22の表面を覆う樹脂層13を、より薄くすることができ、後述する樹脂除去工程で容易に除去できる。
【0027】
(ダイシングテープ貼着工程)
ダイシングテープ貼着工程においては、
図3Bに示すように、ダイシングテープ3をバンプ付ウエハ2のバンプ22の形成されていない面(裏面2B)に貼り合わせる。
ここで、貼着方法としては公知の方法を採用でき、特に限定されないが、圧着による方法が好ましい。圧着は、通常、圧着ロールなどによりダイシングテープ3を押圧しながら行われる。圧着の条件は、特に限定されず、適宜設定できる。また、ダイシングテープ3についても、公知のダイシングテープを用いることができる。
【0028】
(支持体剥離工程)
支持体剥離工程においては、
図3Cに示すように、接着シート1の支持体層11、及び粘着剤層12を、樹脂層13から剥離する。なお、この支持体剥離工程で得られる、バンプ形成面2Aに樹脂層13が形成されたバンプ付ウエハ2を、
図4に示す。また、樹脂層13は、バンプ22の形状に追従するように、形成されることが好ましい。このようにすれば、後述する樹脂除去工程で除去する樹脂層13を少なくでき、作業効率を向上できる。
粘着剤層12が紫外線硬化性を有する場合には、必要に応じて、支持体層11側から紫外線を照射する。これにより、粘着剤層12が硬化し、粘着剤層12と樹脂層13との界面の接着力が低下して、粘着剤層12を樹脂層13から剥離し易くなる。
【0029】
(樹脂除去工程)
樹脂除去工程においては、
図3Dに示すように、バンプ22の表面を覆っている樹脂層13及びバンプ22の一部をバフ研磨により除去する。
本明細書において、バフ研磨とは、砥粒及び媒体を含有する研磨剤を、バフに、浸み込ませ、または、付着させ、前記バフにより被処理物の表面を磨く研磨である。より具体的には、バフ研磨とは、
図5及び
図6で示すバフ研磨装置5を用いて、被処理物の表面を磨く研磨である。バフ研磨装置5は、回転可能なホイール51と、ホイール51に取り付けられたバフ52とを備えている。
樹脂層13は、その目的に応じて、除去できる。例えば、表面が露出されたバンプ22と、基板4の電極42との電気的な接続が目的であれば、電気的な接続ができる程度に除去すればよい。具体的には、接続信頼性と樹脂層13の機能の確保とのバランスの観点から、樹脂層13の除去量を調整できる。また、バンプ22の一部とは、バンプ22の先端部分のことである。このように、バンプ22の先端部分が研磨により除去されれば、バンプ22の表面が確実に露出されることになる。そして、バンプ22の高さを任意の高さに調整するという観点から、バンプ22の除去量を調整できる。
また、樹脂除去工程においては、バンプ22の表面を覆っている樹脂層13をバフ研磨により、簡便で効率よく除去できる。バフ研磨では、バフ52と接触する部分が研磨されるため、バフ52と接触するバンプ22の頭頂部を覆う樹脂層13を選択的に除去できるので、バンプ付部材の本来保護したい部分の劣化、及び損傷を防止できる。バンプ付部材の本来保護したい部分としては、例えば、バンプ22の根本部分、バンプ形成面2A、及び半導体ウエハ21の裏面2Bが挙げられる。
また、研削法により樹脂層13を除去する場合には、ダイサー、グラインダ、またはサーフェスプレーナなどがバンプ22を覆う樹脂層13に接触するため、バンプ22に大きな機械的負荷が加わるが、本実施形態の樹脂除去工程では、樹脂層13に接触するのは、比較的に柔らかいバフ52であるので、バンプ22に加わる機械的負荷を十分に小さくでき、バンプの位置ずれ、及び脱落を防止しつつ、樹脂層13を除去できる。
【0030】
樹脂除去工程においては、
図5及び
図6で示すように、バフ研磨装置5のホイール51及びバフ52を回転させながら、バンプ付ウエハ2のバンプ形成面2A側をバフ52に接触させて、バンプ22の表面を覆っている樹脂層13及びバンプ22の一部を研磨する。ここで、
図5は、バンプ形成面2Aの下方から見た、バフ研磨装置5のホイール51及びバフ52並びにバンプ付ウエハ2を示す概略図である。
図6は、
図5のVI-VI断面を示す断面図である。
このようにして、バンプ22の表面を覆っている樹脂層13及びバンプ22の一部をバフ研磨により除去できる。
【0031】
バフ52は、特に限定されず、公知のバフを用いることができる。バフ52としては、布、皮、ゴム及びブラシからなる群から選択されるいずれかが好ましい。これらの中でも、研磨剤の浸み込みやすさの観点から、布または皮がより好ましい。
バフ52には、砥粒及び媒体を含有する研磨剤を、浸み込ませ、または、付着させる。
砥粒は、特に限定されず、公知の砥粒を用いることができる。砥粒としては、アルミナ、シリカ、ダイヤモンド、炭化ケイ素、ジルコニア、及び窒化ホウ素からなる群から選択されるいずれかが好ましい。これらの中でも、研磨量の調整のしやすさの観点から、アルミナまたはシリカがより好ましい。
媒体は、特に限定されず、公知の砥粒を用いることができる。媒体としては、水、油、及び有機溶剤からなる群から選択されるいずれかが好ましい。これらの中でも、樹脂層13への影響が少ないという観点から、水が好ましい。また、媒体は、マイグレーションの発生を抑制するという観点から、ハロゲン化物などのイオン性の物質を含有しないことが好ましい。
また、バフ研磨装置5の条件は、特に限定されないが、例えば、以下のような条件を採用できる。
ホイール51の回転数は、バンプの位置ずれ、及び脱落を防止するという観点から、50rpm以上1000rpm以下であることが好ましく、100rpm以上500rpm以下であることがより好ましい。
バンプ付ウエハ2をバフ52に接触させる際の加重は、バンプの位置ずれ、及び脱落を防止するという観点から、0.1N以上10N以下であることが好ましく、0.5N以上5N以下であることがより好ましい。
なお、樹脂除去工程後には、
図3Dに示すように、バンプ22および樹脂層13からなる平面に凹凸が残ることが好ましい。このようにすれば、後述するボンディング工程において、バンプ付チップ2aを基板4の電極42上に接続する際には、上記の隙間にバンプ22や樹脂層13が移動する余裕があるため、バンプ22を押しつぶしながら接続できる。そのため、本実施形態においては、バンプ22および樹脂層13からなる平面が平滑なバンプ付チップ2aをボンディングする場合と比較して、接続信頼性を高めることができる。
【0032】
(ダイシング工程)
ダイシング工程においては、
図3Eに示すように、ダイシングブレードによりバンプ付ウエハ2をダイシングする。このようにして、バンプ付ウエハ2をバンプ付チップ2aに個片化できる。
ダイシング装置は、特に限定されず、公知のダイシング装置を用いることができる。また、ダイシングの条件についても、特に限定されない。なお、ダイシングブレードを用いたダイシング法の代わりに、レーザーダイシング法、及びステルスダイシング法などを用いてもよい。
【0033】
(ボンディング工程)
ボンディング工程においては、
図3Fに示すように、ダイシングにより個片化したバンプ付チップ2aをピックアップし、基材41と電極42とを備える基板4に接着固定する。バンプ付チップ2aのバンプ22は、樹脂層13が除去され、表面が露出されているため、バンプ22と、基板4の電極42とを電気的に接続することができる。
基板4としては、特に限定されないが、リードフレーム、配線基板、並びに、表面に回路が形成されたシリコンウエハ、及びシリコンチップなどを用いることができる。基材41の材質としては、特に限定されないが、セラミック、及びプラスチックなどが挙げられる。また、プラスチックとしては、エポキシ、ビスマレイミドトリアジン、及びポリイミドなどが挙げられる。
【0034】
ボンディング工程においては、必要に応じて、加熱処理を施して、樹脂層13の接着剤を硬化させてもよい。
加熱処理の条件は、接着剤の種類などに応じて、適宜設定できる。
ボンディング工程においては、必要に応じて、リフロー処理を施して、バンプ付チップ2aのバンプ22を溶融させて、バンプ付チップ2aと基板4とをはんだ接合させてもよい。
リフロー処理の条件は、はんだの種類などに応じて、適宜設定できる。
以上のようにして、半導体装置100を製造することができる。
【0035】
(第一実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、次のような作用効果を奏することができる。
(1)バンプ22の表面を覆っている樹脂層13をバフ研磨により、簡便で効率よく除去できる。また、バンプ22の側方から見た断面形状が半円形、半楕円形、円形、長方形または台形である場合でも、バンプ22の表面を覆っている樹脂層13を除去できる。
(2)バフ研磨法によれば、バフ52と接触する部分が研磨されるため、バフ52と接触するバンプ22の頭頂部を覆う樹脂層13を選択的に除去できるので、バンプ付ウエハ2の本来保護したい部分の劣化、及び損傷を防止できる。
(3)研削法により樹脂層13を除去する場合には、ダイサー、グラインダ、またはサーフェスプレーナなどがバンプ22を覆う樹脂層13に接触するため、バンプ22に大きな機械的負荷が加わるが、バフ研磨法によれば、樹脂層13に接触するのは、比較的に柔らかいバフ52であるので、バンプ22に加わる機械的負荷を十分に小さくでき、バンプの位置ずれ、及び脱落を防止しつつ、樹脂層13を除去できる。
(4)バンプ22の表面を覆っている樹脂層13が除去され、表面が露出されたバンプ22と、基板4の電極42とを電気的に接続することで、接続信頼性に優れた半導体装置100が得られる。
(5)バフ研磨により、樹脂層13だけでなく、バンプ22の一部も除去している。そのため、複数のバンプ22の高さを任意の高さに調整できる。また、複数のバンプ22の高さを均一な高さに揃えることができる。さらに、バンプ22の一部がバフ研磨されるために、バンプ22の表面を確実に露出させることができ、また、バンプ22の表面が露出する面積を大きくできる。そのため、表面が露出されたバンプ22により、バンプ付チップ2a及び基板4の電極同士をはんだ接合で接続できる。さらに、バンプ22の高さを任意の均一な高さで揃えれば、バンプ22の高さ及びそのバラツキにより生じ得る接続不良を防止できる。このようにして、接続信頼性に優れた半導体装置100が得られる。
(6)樹脂除去工程においては、バンプ付ウエハ2がダイシングテープ3に貼着された状態でバフ研磨が施されるため、バフ研磨時にバンプ22の位置がずれることを抑制できる。
(7)バンプ付チップ2aのバンプ形成面2Aに、バンプ付チップ2aと基板4とを接着するための接着剤層(樹脂層13)を設けることができる。
(8)バンプ付ウエハ2に樹脂層13を設け、バンプ22の表面を覆っている樹脂層13を除去した後に、バンプ付チップ2aに個片化しているので、複数のバンプ付チップ2aにまとめて樹脂層13を設けることができる。
【0036】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を図面に基づいて説明する。
なお、本実施形態の接着シート1、及び基板4は、前記第一実施形態における接着シート1、及び基板4とそれぞれ実質的に同様であるから、その詳細な説明は省略または簡略化する。
【0037】
図7A、
図7B、
図7C、及び
図7Dは、第二実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す説明図である。
前記第一実施形態では、バンプ付ウエハ2に樹脂層13を形成した後に、バフ研磨を施して樹脂層13を除去し、その後、ダイシングによりバンプ付チップ2aに個片化した。これに対し、第二実施形態では、予め個片化されたバンプ付チップ2aに樹脂層13を形成した後に、バフ研磨を樹脂層13に施す。
【0038】
本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、先ず、複数のバンプ22が形成されているバンプ付チップ2aのバンプ形成面2Aに樹脂層13を形成する。具体的には、
図7A、及び
図7Bに示すように、接着シート1の樹脂層13をバンプ付チップ2aのバンプ形成面2Aに貼り合わせる工程(接着シート貼着工程)と、接着シート1の支持体層11、及び粘着剤層12を、樹脂層13から剥離する工程(支持体剥離工程)と、を備える方法により、複数のバンプ22が形成されているバンプ付チップ2aのバンプ形成面2Aに樹脂層13を形成する。
本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、次に、
図7Cに示すように、樹脂層13にバフ研磨を施して、バンプ22の表面を覆っている樹脂層13を除去する(樹脂除去工程)。そして、
図7Dに示すように、バンプ付チップ2aをピックアップし、被着体である基板4に接着固定する(ボンディング工程)。樹脂除去工程とボンディング工程とを備える方法により、樹脂層13が除去され、表面が露出されたバンプ22と、基板4の電極42とを電気的に接続する。
【0039】
本実施形態における接着シート貼着工程、支持体剥離工程、樹脂除去工程、及びボンディング工程については、前記第一実施形態における接着シート貼着工程、支持体剥離工程、プラズマ処理工程、及びボンディング工程と同様の方法を採用できる。
本実施形態によれば、前記第一実施形態における作用効果(1)~(7)と同様の作用効果を奏することができる。
【0040】
[実施形態の変形]
本発明は前述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良などは本発明に含まれる。
例えば、前述の実施形態では、樹脂除去工程において、樹脂層13とともにバンプ22の一部をバフ研磨により除去する態様を例に挙げて説明したが、本発明は、このような態様に限定されない。すなわち、本発明の別の態様においては、樹脂除去工程において、樹脂層13のみをバフ研磨により除去してもよい。
【0041】
前述の実施形態では、樹脂層13は、バンプ付チップ2aと基板4とを接着するための接着剤層として設けられているが、これに限定されない。すなわち、本発明においては、樹脂層を、様々な目的に応じて、設けることができる。例えば、樹脂層13は、バンプ付チップ2aと基板4との接続を補強するためのアンダーフィル層として設けられてもよい。また、樹脂層13は、バンプ付ウエハ2またはバンプ付チップ2aを保護するための保護層として設けられてもよい。なお、このような場合、樹脂層13の材料としては、アンダーフィルまたは保護層の材料として公知の材料を用いることができる。
前述の実施形態では、樹脂層13は、バンプ付チップ2a、及び基板4の両方に接しているが、これに限定されない。例えば、樹脂層13がバンプ付チップ2aを保護するための保護層として設けられる場合には、樹脂層13はバンプ付チップ2aに接していればよく、基板4に接していなくともよい。
【0042】
前述の実施形態では、バンプ付部材として、バンプ付ウエハ2を用いているが、これに限定されない。例えば、バンプ付部材は、バンプを有するパッケージ(例えば、BGA(Ball grid array)、CSP(Chip size package)など)であってもよい。
【0043】
前述の実施形態では、接着シート1を用いて樹脂層13をバンプ形成面2Aに形成し、バンプ22を覆っているが、これに限定されない。例えば、樹脂組成物をバンプ形成面2Aに塗布し硬化させることにより樹脂層13を形成し、バンプ22を覆ってもよい。
【0044】
前述の実施形態では、支持体層11、粘着剤層12、及び樹脂層13を備える接着シート1を用いているが、これに限定されない。例えば、接着シート1は、支持体層11、及び樹脂層13を備え、粘着剤層12を備えない接着シートであってもよい。この場合、支持体剥離工程において、樹脂層13から支持体層11を剥離すればよい。
【0045】
前述の第二実施形態の樹脂除去工程においては、バンプ付チップ2aを固定するための固定部材(例えば、吸着テーブル、粘着シートなど)に固定した状態でバフ研磨を樹脂層13に施してもよい。樹脂層13を除去した後、固定部材からバンプ付チップ2aをピックアップして、ボンディング工程を実施してもよい。
【実施例】
【0046】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例に何ら限定されない。
【0047】
[保護膜形成用シート]
樹脂層としての保護膜形成用シートを以下の通り作製した。
まず、下記(a)、(b)、(c)、(d)、及び(e)成分を、下記配合比(固形分換算)で混合し混合物を得た。この混合物をメチルエチルケトンにより希釈し、固形分濃度が55質量%の保護膜形成フィルム用塗布剤を調製した。この保護膜形成フィルム用塗布剤を塗布し、乾燥して、厚さが30μmの保護膜形成用シートを得た。
【0048】
(a)バインダーポリマー(ポリビニルブチラール樹脂) 配合比:9.9質量%
(b)エポキシ樹脂 配合比:62.8質量%
(c)フェノール樹脂 配合比:18.1質量%
(d)硬化促進剤(イミダゾール系化合物) 配合比:0.2質量%
(e)シリカフィラー 配合比:9質量%
【0049】
[保護膜が貼付されたバンプ付チップの作製]
粘着剤層を備えた支持体層としての貼付テープと、樹脂層としての保護膜形成用シート(厚さ:30μm)とを積層させて、接着シートを作製した。貼付テープとして、リンテック株式会社製のE-8510HR(製品名)を用いた。
この接着シートを下記の貼付条件で、バンプ付部材としての下記バンプ付チップに貼付した。
【0050】
・貼付条件
装置:ローラー式ラミネータ
(リンテック株式会社製、製品名:RAD-3510F/12)
温度:90℃
圧力:0.5MPa
速度:2mm/sec
【0051】
・バンプ付チップ
バンプの種類:ボールバンプ
バンプ高さ :200μm
バンプ径 :250μm
バンプピッチ:600μm
【0052】
バンプ付チップに接着シートを貼付した後、リンテック株式会社製のRAD-2700(製品名)を用いて、接着シート側からUVを照射し、貼付テープのみを剥離し、保護膜形成用シートが貼付されたバンプ付チップを得た。その後、保護膜形成用シートが貼付されたバンプ付チップを、130℃、0.5MPa、2時間の条件で処理し、保護膜が貼付されたバンプ付チップを得た。
【0053】
[実施例1]
保護膜が貼付されたバンプ付チップのバンプ頭頂部に、下記の装置を用いて下記条件でバフ研磨を施して、バンプの保護膜(樹脂層に相当)を除去した。
【0054】
・バフ研磨の条件
装置:バフ研磨装置
(リファインテック社製、製品名:リファインポリッシャーHV)
バフ :リファインテック社製、研磨バフ、スウェードクロス
研磨剤 :武蔵ホルト社製、アルミナ粒子分散液MH159
バフ回転数 :200rpm
バフへの加重:1N
【0055】
バフ研磨後の保護膜が貼付されたバンプ付チップのバンプの表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、下記基準に従い、保護膜の除去性を評価した。得られた結果を表1に示す。また、SEM写真の一部を拡大した写真を
図8に示す。
A:バンプ頭頂部を覆う保護膜が除去され、頭頂部の露出を確認できた。
B:バンプ頭頂部を覆う保護膜が除去されずに残っている。
C:バンプ頭頂部を覆う保護膜だけでなく、本来保護したい部分の保護膜も除去された。
D:チップ上のバンプの位置がずれたり、脱落したりした。
【0056】
[実施例2及び3]
表1に示す条件に従い、バフ研磨の条件(バフ回転数及びバフへの加重)を変更した以外は実施例1と同様にして、バンプ頭頂部の保護膜を除去した。
バフ研磨後の保護膜が貼付されたバンプ付チップのバンプの表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、実施例1と同様の基準に従い、保護膜の除去性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0057】
[比較例1]
バフ研磨を施さなかった以外は実施例1と同様にして、保護膜が貼付されたバンプ付チップを得た。
保護膜が貼付されたバンプ付チップのバンプの表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、実施例1と同様の基準に従い、保護膜の除去性を評価した。得られた結果を表1に示す。また、SEM写真の一部を拡大した写真を
図9に示す。
【0058】
[比較例2]
バフ研磨を行わずに、下記条件にてプラズマ照射した以外は実施例1と同様にして、保護膜が貼付されたバンプ付チップを得た。
プラズマ照射後の保護膜が貼付されたバンプ付チップのバンプの表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、実施例1と同様の基準に従い、保護膜の除去性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0059】
・プラズマ照射の条件
処理ガス :SF6
処理ガスの流量:40cm3/min
処理圧力 :100Pa
出力 :250W
処理時間 :15分間
パージ :1回
【0060】
[比較例3]
バフ研磨を行わずに、保護膜が貼付されたバンプ付チップを両面テープにて治具へ固定して下記条件にてグラインダ研削によりバンプを覆う保護膜を除去した以外は実施例1と同様にして、保護膜が貼付されたバンプ付チップを得た。
グラインダ研削後の保護膜が貼付されたバンプ付チップのバンプの表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、実施例1と同様の基準に従い、保護膜の除去性を評価した。得られた結果を表1に示す。
【0061】
・グラインダ研削の条件
装置 リファインテック株式会社製 リファインポリッシャーHV
研磨紙:#120(リファインテック株式会社製 耐水研磨紙)
回転数:200rpm
加重 :2N
【0062】
【0063】
実施例1~3によれば、バンプ付部材としてのバンプ付チップの本来保護したい部分の劣化、及び損傷を防止し、バンプ頭頂部の保護膜を選択的に除去できた。さらに、実施例1~3によれば、チップ上のバンプの位置ずれ、及び脱落が発生しなかった。そのため、実施例1~3の方法により、樹脂層が除去され、表面が露出されたバンプと、基板の電極とを電気的に接続することで、接続信頼性に優れた半導体装置が製造できる。
比較例1に関しては、保護膜を除去できなかった。
比較例2に関しては、バンプ頭頂部を覆う保護膜だけでなく、本来保護したい部分の保護膜も除去された。
比較例3に関しては、グラインダによる機械的負荷がバンプに加わったため、バンプがチップから脱落した。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、半導体装置の製造方法に利用できる。
【符号の説明】
【0065】
13…樹脂層、2…バンプ付ウエハ(バンプ付部材)、22…バンプ、2a…バンプ付チップ(バンプ付部材)、4…基板、42…電極、100…半導体装置。