IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許-剥離フリー床システム 図1
  • 特許-剥離フリー床システム 図2
  • 特許-剥離フリー床システム 図3
  • 特許-剥離フリー床システム 図4
  • 特許-剥離フリー床システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】剥離フリー床システム
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20240219BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20240219BHJP
   C09D 9/04 20060101ALI20240219BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240219BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240219BHJP
   C11D 3/30 20060101ALI20240219BHJP
   C11D 1/52 20060101ALI20240219BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20240219BHJP
   B05D 3/12 20060101ALI20240219BHJP
   B05D 3/10 20060101ALI20240219BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240219BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
C09D201/00
C09D7/65
C09D9/04
C09D5/02
C09D7/63
C11D3/30
C11D1/52
C11D17/08
B05D3/12 B
B05D3/12 E
B05D3/10 F
B05D3/12 Z
B05D7/24 302E
B05D3/10 N
B05D7/00 K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020568725
(86)(22)【出願日】2019-06-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2019036248
(87)【国際公開番号】W WO2019241096
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】62/683,446
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/434,857
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500106743
【氏名又は名称】エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(72)【発明者】
【氏名】サバグリオ・カーマイン
(72)【発明者】
【氏名】クック・テレサ・エル
(72)【発明者】
【氏名】ロンゴリア・アナ・エフ
(72)【発明者】
【氏名】ケイ・ロバート・ケイ・エイチ
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-217878(JP,A)
【文献】特開2013-064112(JP,A)
【文献】特開昭53-039987(JP,A)
【文献】特表2004-530742(JP,A)
【文献】特開2000-234078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床仕上げ組成物であって、
(a)(i)前記床仕上げ組成物の全重量に基づいて35%から55%(w/w)及び(ii)前記床仕上げ組成物中の全固形分含有量に基づいて55%から75%の量の、少なくとも1つの重合体エマルションと、
(b)アクリル重合体を含む第1のアルカリ可溶性樹脂と、
(c)スチレン/アクリル重合体を含む第2のアルカリ可溶性樹脂と、
(d)前記床仕上げ組成物の全重量に基づいて5から10%(w/w)の量の少なくとも1つのワックスと、を含み、
前記少なくとも1つの重合体エマルション並びに前記第1及び第2のアルカリ可溶性樹脂は、前記少なくとも1つの重合体エマルションの量の、前記第1及び第2のアルカリ可溶性樹脂の全量に対する比率で存在し、その比率は、約2:1から約20:1の間であり、
オキサゾリン基含有化合物を含ま
前記第2のアルカリ可溶性樹脂は、(i)約3000から7500の間の平均分子量(Mw)を有し、(ii)180から260の間の酸価を有し、(iii)80から120℃の間のガラス転移温度を有する、床仕上げ組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の床仕上げ組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの溶媒をさらに含む、請求項1に記載の床仕上げ組成物。
【請求項4】
なくとも1つの界面活性剤と、少なくとも1つの香料と、をさらに含む、請求項1に記載の床仕上げ組成物。
【請求項5】
前記床仕上げ組成物中の前記第1及び第2のアルカリ可溶性樹脂の全含有量が、0.1%から15%(w/w)の間の量で存在する、請求項1に記載の床仕上げ組成物。
【請求項6】
前記第1のアルカリ可溶性樹脂及び前記第2のアルカリ可溶性樹脂が、5:1から1:1の間の重量比で存在する、請求項1に記載の床仕上げ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2019年6月7日に出願された米国特許出願第16/434,857号及び2018年6月11日に出願された米国特許出願第62/683,446号の優先権及び利益を主張し、これらはすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般に、工業用床材は通常、ビニール組成物タイル(VCT)、シートビニール、テラゾ、ゴム、リノリウム、研ぎ澄まされた大理石又は花崗岩、及び素焼きのセラミックで構成される。これらの材料は、耐久性とメンテナンスのしやすさから、非常に人気のある床材の選択肢であることが証明されている。しかし、審美的に魅力的で耐久性のある床を保持するために、これらの工業用床材は頻繁に洗浄し、適切に保持する必要がある。例えば、これらの各材料には、最初の塗布後に高い光沢が得られ、優れた引っかき傷、擦り傷、及び/又は薬品耐性が得られるように設計された保護被膜又は床仕上げが必要である。
【0003】
汚れや破片が床面上に放置されている場合、汚れや破片の研磨性は非常に高い。この研磨材と相まって一定の通行は、床の引っかき傷/えぐりにつながり、その結果、床はその光沢と全体的な視覚的魅力を失う。床材を保持するために、図1(先行技術)に示される過程などの従来の床ケア過程が頻繁に行われる。従来の床ケア過程は、通常、床が十分に損傷したときに開始される。床が十分に損傷している兆候には、床仕上げが表層まで磨耗している場合、床が欠けたり剥がれたりしている場合、又は床が通常の洗浄方法では除去できないほど十分に汚れている場合が含まれる。このとき、従来の床ケア過程は、床を「剥離する」ことによって開始できる。この過程では、低速機(175~350rpm)上での回転可能な研磨パッドと共に剥離液を使用して、床仕上げを完全に除去する。除去に続いて、新しい床仕上げが、床面に約4つ以上の初期コートで被覆され、多くの場合、モップとモップバケットのアプローチを使用して塗布される。
【0004】
その後、通常、毎日又は隔日で、スプレークリーナー又はスクラブ液を使用して洗浄過程を実行して、床から汚れや破片を除去する。洗浄に加えて、床は通常、床面から軽い擦り傷や汚れを除去するためにバフ研磨される。バフ研磨は通常、ナイロン又は天然のヘアパッド及び低速機又は高速機を使用して行われる。床はまた、床仕上げに光沢を取り戻すために毎日磨かれている。これは、ナイロンと天然のヘアパッドを使用した高速機又は超高速機(1000~3000rpm)を使用した乾式塗布で実行される。
【0005】
定期的に、深くスクラブと再被覆の過程を実行して、仕上げから重い擦り傷や軽い摩耗や汚れを除去することができる。この過程では通常、1~2つのコートの仕上げが除去され、これらのコートが交換される。これは、多くの場合、低速機、スプレー溶液、及びスクラブパッドを使用して実行される。上記の過程は、1年を通じて複数回繰り返すことができる。
【0006】
上記の過程は、コストと労働集約的である。さらに、剥離化学物質は強い臭気があり、潜在的に危険な物質(例えば、滑り落ちの危険性、目や皮膚への腐食性)であり、使用する床や機器に損傷を与える可能性がある。さらに、このような剥離は、ビジネスを中断させる可能性があり、病院はメンテナンスのために病室や廊下を閉鎖しなければならず、小売店は24時間通路を閉鎖しなければならない場合がある。
【0007】
現在、審美的に魅力的で耐久性のある床を保持するためのステップ及びコストを削減する新しい洗浄過程の開発が当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
いくつかの態様において、本開示は、審美的に魅力的で耐久性のある床を保持しながら、従来の床洗浄過程から多数のステップを排除する床の保護と洗浄システム(本明細書では「剥離フリー」システムとも呼ばれる)を提供することによって前述の欠点に対処する。説明するように、本開示は、従来の床のメンテナンスに関連する毎年の剥離ステップを有利に除去する組成物及び方法を提供する。これにより、工業用床材の耐久性と美的魅力を保持するための材料費と人件費が大幅に削減される。さらに、毎年の剥離ステップを排除することによって、ビジネスの中断が減り、労働者が潜在的に危険な剥離化学物質にさらされる回数が減る。いくつかの実施形態では、除去剤溶液は、有利には、低揮発性有機化合物(VOC)含有量を含むか、又は揮発性有機化合物を実質的に含まず、それにより、周囲の環境の大気質への影響が低減された環境に優しい製品を提供してもよい。
【0009】
いくつかの態様において、本開示は、特に、床仕上げ組成物と、除去剤溶液と、研磨パッドと、それらを含むキットとを提供する。
【0010】
一態様では、本開示は、少なくとも1つの重合体エマルションと、第1のアルカリ可溶性樹脂と、第2のアルカリ可溶性樹脂と、を含む床仕上げ組成物を提供し、少なくとも1つの重合体エマルション及び全量のアルカリ可溶性樹脂は、重合体エマルションの、全アルカリ可溶性樹脂に対する比率で存在し、この比率は約2:1から約20:1の間である。
【0011】
一態様では、本開示は、少なくとも1つの重合体エマルションと、第1のアルカリ可溶性樹脂と、第2のアルカリ可溶性樹脂と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの溶媒と、を含む床仕上げ組成物を提供する。床仕上げ組成物において、少なくとも1つの重合体エマルション及び全量のアルカリ可溶性樹脂は、重合体エマルションの、全アルカリ可溶性樹脂に対する比率が約3:1から約20:1の間であるように存在してもよい。床仕上げ組成物の1つのバージョンでは、この比率は、約4:1から約15:1の間であってもよく、この比率は、固形分パーセントに基づく。床仕上げ組成物の別のバージョンでは、比率は、約5:1から約10:1の間であってもよく、この比率は、床仕上げ組成物の固形分パーセントに基づく。床仕上げ組成物は、少なくとも1つのワックスと、少なくとも1つの界面活性剤と、少なくとも1つの香料と、フッ素系界面活性剤と、をさらに含んでもよい。第1のアルカリ可溶性樹脂及び第2のアルカリ可溶性樹脂は、固形分パーセントに基づいて、約4%から約16%の間の量で存在してもよい。少なくとも1つのアルカリ可溶性樹脂は、固形分パーセントに基づいて、約7%から約12%の量で存在してもよい。少なくとも1つのアルカリ可溶性樹脂は、アクリル重合体、180から260の間の酸価、4000から7500の間の分子量、及び80℃から120℃の間のガラス転移温度(Tg)を含んでもよい。少なくとも1つの可塑剤は、固形分パーセントに基づいて、約8%から約18%の間の量で存在してもよい。少なくとも1つの可塑剤は、全重合体固形分に基づいて、約10%から約30%の間の量で存在してもよい。全重合体固形分は、重合体エマルション固形分とアルカリ可溶性樹脂固形分の全量によって定義される。少なくとも1つの可塑剤は、安息香酸エステル、リン酸トリブトキシエチル、及びペンタンジオールジイソ酪酸トリメチルから選択してもよい。少なくとも1つの溶媒は、極性有機溶媒と、非極性有機溶媒と、水とを含んでもよい。極性有機溶媒は、全重合体固形分に基づいて、30%から45%の間の量で存在してもよい。極性有機溶媒は、ジエチレングリコールエチルエーテル及びプロピレングリコールプロピルエーテルから選択してもよい。非極性有機溶媒は、全重合体固形分に基づいて、5%から10%の間の量で存在してもよい。非極性有機溶媒は、エチレングリコールフェニルエーテル及びエチレングリコールヘキシルエーテルから選択してもよい。
【0012】
別の態様において、本開示は、表面から被膜の少なくとも一部を除去するために使用するための組成物を提供する。組成物は、少なくとも1つの有機官能性アミンと、式(I)を有する界面活性剤とを含む。
【化1】
式中、nは1から20であり、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素、アルキル、アルカノール、及びアルコキシ-アルキルから選択される。表面から被膜の少なくとも一部を除去するために使用するための組成物の1つのバージョンでは、組成物は、第1の有機官能性アミンと、第2の有機官能性アミンと、第2の界面活性剤とを含んでもよい。組成物のpHは、9より大きくあってもよい。組成物の別のバージョンでは、pHは、約9から約12.2の間であってもよい。組成物は、3重量%未満の揮発性有機化合物(VOC)含有量を有してもよい。組成物の別のバージョンでは、揮発性有機化合物(VOC)含有量は、約0.1%から約2.5%の間であってもよい。組成物の1つのバージョンでは、nは5から10の間であってもよい。組成物の別のバージョンでは、nは7であってもよい。R及びRは、各々独立に、水素、C-C-アルキル、C-C-アルカノール、及びC-C-アルコキシ-C-C-アルキルから選択される。R、R、及びRは、各々独立に、水素、ヒドロキシル、C-C-アルキル、C-C-アルカノール、及びC-C-アルコキシ-C-C-アルキルから選択される。組成物の別のバージョンは、第1の有機官能性アミンと第2の有機官能性アミンとを含む。第1の有機官能性アミンは、分岐又は非分岐のアミノ-C-C-アルコキシ-C-C-アルカノール、アミノ-C-C-アルキルアミノ-C-C-アルカノール、アミノ-C-C-アルカノール、C-C-アルキルアミノ-C-C-アルキルカノール、及び少なくとも1つの窒素原子を含む4~6員のヘテロシクロアルキルから選択してもよく、アミンは、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、エタノールアミン、メチルエタノールアミン、アミノエチルピペラジン、アミノエチルエタノールアミン、及びアンモニウムから選択される。第1の有機官能性アミンは、2-(2-アミノエトキシ)エタノールを含んでもよい。第2の有機官能性アミンは、分岐又は非分岐のアミノ-C-C-アルコキシ-C-C-アルカノール、アミノ-C-C-アルキルアミノ-C-C-アルカノール、アミノ-C-C-アルカノール、及びC-C-アルキルアミノ-C-C-アルキルカノールから選択されてもよく、第2のアミンはモノイソプロパノールアミンから選択されてもよい。界面活性剤は、N,N-ジメチル-9-デセンアミドを含んでもよい。組成物は、第1の有機官能性アミンと、第2の有機官能性アミンと、第2の界面活性剤とを含み、さらにプロピレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、及びベンジルアルコールから選択される溶媒を含む。第2の界面活性剤は、非イオン性界面活性剤であってもよい。表面から被膜を除去する方法は、基材から被膜の少なくとも一部を除去するために十分な量で、上記の組成物を表面に塗布するステップを含む。
【0013】
別の態様において、本開示は、表面から被膜の少なくとも一部を除去するために使用するための組成物を提供する。この組成物は、分岐又は非分岐のアミノ-アルコキシ-アルカノールから選択される少なくとも1つの有機官能性アミンと、少なくとも1つの界面活性剤とを含む。少なくとも1つの有機官能性アミンは、上記の組成物の50重量%から80重量%を構成してもよい。
【0014】
他の態様では、本開示は、表面から被膜を除去するために使用するための組成物を提供する。この組成物は、第1の有機官能性アミンと、第2の有機官能性アミンと、界面活性剤とを含む。複数の有機官能性アミンは、少なくとも第1の有機官能性アミンと、第2の有機官能性アミンとを含み、少なくとも第1の有機官能性アミン及び第2の有機官能性アミンは、上記の組成物中に、0.6から2の間の比率で存在してもよい。
【0015】
他の態様では、本開示は、研磨パッドと、上記の床仕上げ組成物を含むように構成された容器と、上記の組成物に記載されているような表面から、被膜の少なくとも一部を除去するために使用される組成物の少なくとも1つを含むように構成された容器と、を含むキットを提供する。
【0016】
他の態様では、本開示は、研磨パッドと、床仕上げ組成物と、除去剤溶液と、を含む床の保護と洗浄システムを提供する。床仕上げ組成物は、少なくとも1つの重合体エマルションと、第1のアルカリ可溶性樹脂と、第2のアルカリ可溶性樹脂と、少なくとも1つの可塑剤と、少なくとも1つの溶媒と、を含んでもよい。少なくとも1つの重合体エマルション及び全量のアルカリ可溶性樹脂は、重合体エマルションの、全アルカリ可溶性樹脂に対する比率で存在してもよい。その比率は、約3:1から約20:1の間であってもよい。除去剤溶液は、少なくとも1つの有機官能性アミンと、式(I)を有する界面活性剤と、を含んでもよい。
【化2】
式(I)において、nは1から20であり、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素、アルキル、アルカノール、及びアルコキシ-アルキルから選択される。研磨パッドは、約800又は1500グリットを有する研磨要素を含んでもよい。第1のアルカリ可溶性樹脂及び第2のアルカリ可溶性樹脂の少なくとも1つは、アクリル重合体を含んでもよく、分子量が4000から7500の間であってもよい。界面活性剤は、N,N-ジメチル-9-デセンアミドを含んでもよい。上記の床の保護と洗浄システムは、約3000グリットを有する研磨要素を含む第2の研磨パッドを含んでもよい。
【0017】
他の態様では、本開示は、床の保護と洗浄システムを使用して基材を洗浄する方法を説明する。この方法は、基材のコンディショニング及び/又は研磨ステップと、床仕上げ組成物を塗布して基材の少なくとも一部を被覆するステップと、床仕上げ組成物に除去剤溶液を適用するステップと、第1の研磨パッドで床仕上げ組成物をスクラブして床仕上げ組成物の少なくとも一部を除去するステップと、洗浄パッドで床仕上げ組成物を洗浄するステップと、を含んでもよい。洗浄パッドは、第1の研磨パッド又は第2の異なる研磨パッドであってもよい。床仕上げ組成物は、少なくとも1つの重合体エマルションと、第1のアルカリ可溶性樹脂と、第2のアルカリ可溶性樹脂と、少なくとも1つの可塑剤及び少なくとも1つの溶媒と、を含んでもよい。少なくとも1つの重合体エマルション及び全量のアルカリ可溶性樹脂は、重合体エマルションの、全アルカリ可溶性樹脂に対する比率で存在してもよく、この比率は、約3:1から約20:1の間であってもよい。この方法において、除去剤溶液は、少なくとも1つの有機官能性アミンと、式(I)を有する界面活性剤と、を含んでもよい。
【化3】
式(I)において、nは1から20であり、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素、アルキル、アルカノール、及びアルコキシ-アルキルから選択される。
【0018】
基材を洗浄する方法の1つのバージョンは、約800又は1500グリットを有する研磨要素を含む第1の研磨パッドを含んでもよい。第1のアルカリ可溶性樹脂及び第2のアルカリ可溶性樹脂の少なくとも1つは、アクリル重合体を含んでもよく、分子量が4000から7500の間であってもよい。界面活性剤は、N,N-ジメチル-9-デセンアミドを含んでもよい。第2の研磨パッドは、約3000グリットを有する研磨要素を含んでもよい。
【0019】
本開示の前述及び他の態様及び利点は、以下の説明から明らかになるであろう。説明において、その一部を形成し、例示として非限定的な例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照する。しかし、この実施形態は、必ずしも本発明の全範囲を表すわけではなく、従って、本発明の範囲を解釈するために、本明細書の開示全体が参照される。
【0020】
以下、本発明について、添付の図面を参照して説明する。ここで、同様の参照番号は、同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】(先行技術)従来の床洗浄過程を示す概略図である。
図2】本開示の一態様による剥離フリーシステムの概略図である。
図3】本開示の一態様による剥離フリー過程の概略図である。
図4】本開示の除去剤溶液を従来の床の剥離と洗浄組成物と比較するASTM D4488標準試験の結果を示す。
図5】本開示の除去剤溶液を従来の床の剥離と洗浄組成物と比較する修正ASTM D1792試験の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の任意の実施形態が詳細に説明される前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載されるか、又は以下の図面及び/又は例に示される構成要素の配置及び構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行してもよい。
【0023】
以下の議論は、当業者が本発明の実施形態を作成及び使用することを可能にするために提示される。図示の実施形態に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書の一般的な原理は、本発明の実施形態から逸脱することなく、他の実施形態及び用途に適用することができる。従って、本発明の実施形態は、示される実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理及び特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。以下の詳細な説明は、図を参照して読む必要がある。必ずしも一定の縮尺である必要はない図は、選択された実施形態を示しており、本発明の実施形態の範囲を限定することを意図していない。当業者はまた、本明細書で提供される例が多くの有用な代替物を有し、本発明の実施形態の範囲内にあることを認識し得る。
【0024】
図1(先行技術)に記載されている従来の床洗浄過程は、費用がかかり、労働集約的である。さらに、従来の床の洗浄過程で必要な複数の剥離ステップは、ビジネスを中断させる可能性があり(例えば、病室や小売店の通路を閉じる)、適切な塗布技術に従わないと、スタッフやインフラストラクチャに危険をもたらす可能性がある。前述の欠点を克服するために、本開示は、審美的に魅力的で耐久性のある床を保持しながら、従来の床洗浄過程から多数のステップを排除する床の保護と洗浄システム200(本明細書では「剥離フリー」システム200とも呼ばれる)を提供する。
【0025】
図2を参照すると、剥離フリーシステム200の概略図が、本開示の一態様に従って示されている。一般に、剥離フリーシステム200は、少なくとも1つの研磨パッド202(13、17、20、又は27インチの例示的なパッドサイズを有してもよい)と、床仕上げ組成物204と、除去剤溶液206とを含む。剥離フリーシステム200はさらに、任意選択に、洗浄液208と活性化剤溶液210(点線で示される任意選択の要素)を含んでもよい。一態様では、剥離フリーシステム200は、任意選択に、包括的なキット又はパッケージ(点線で示される任意選択の要素)に提供される。例えば、剥離フリーシステム200は、個々の要素として、又は個々の容器に提供されてもよく、例えば、床仕上げ容器に床仕上げ組成物204を提供し、除去容器に除去剤溶液206を提供し、容器又はパッケージに研磨パッド202を提供する。研磨パッド202は、パッドが市販の床緩衝剤、バーニッシャー、及びポリッシャーから着脱可能であるように構成してもよい。さらに説明するように、床仕上げ組成物204及び除去剤溶液206は、高光沢、化学的耐久性、耐摩耗性などの望ましい性能指標を保持しながら、従来の床洗浄過程で必要とされるステップの量を減らすように最適化されている。さらに、高光沢などの望ましい性能を保持するように、パッドの研磨力(例えば、800又は1500グリット及び3000グリット)を選択してもよい。
【0026】
いくつかの態様では、研磨パッド202は、複数の繊維と、複数の研磨粒子と、結合剤と、潤滑剤と、を含む。繊維はナイロンを含んでもよい。研磨粒子は炭化ケイ素を含んでもよく、結合剤を使用してパッド上の表面に付着されてもよい。適切な結合剤には、フェノール樹脂が含まれる。いくつかの態様において、潤滑剤はシリコーン潤滑剤であり、パッド中に存在する。
【0027】
図3を参照すると、本開示の一態様による剥離フリー過程300を示すために概略図が示されている。図1(従来技術)に記載された従来の床メンテナンス過程とは異なり、1年を通じて多数の剥離及び被覆塗布を必要とし、剥離フリー過程300は、従来の床仕上げ組成物を除去する(又は少なくとも部分的に除去する)ための単一の剥離ステップ302と、床仕上げ組成物204を適用するための単一の初期湿式洗浄ステップ304と、を含む。例えば、該過程の1つの非限定的な例示的なバージョンでは、最初の剥離ステップ302の後、床面は、次に、床面に溶液を塗布し、かつ低速回転機(例えば、150~600rpm)などの床洗浄機に結合された初期研磨パッド202を使用して床面を洗浄することによってコンディショニング(例えば、平滑化)される。ステップ304で使用するのに適した溶液は、洗浄液(例えば、中性、アルカリ性、又は酸性)又は除去剤溶液206を含んでもよい。初期研磨パッド202は、約500から3000の範囲のグリットを有してもよく、いくつかの態様において、最初の研磨パッド202は、約800又は1500のグリットを有してもよい。床面がコンディショニングされた後、高速バニシング機(例えば、700rpm以上)などの床洗浄機に結合された第2の研磨パッドは、所望の光沢が得られるまで床面を研磨するために使用してもよい。次に、床仕上げ組成物204が床面に塗布される。該過程の別の非限定的な例示的なバージョンでは、最初の剥離ステップ302の後、高速バニシング機(例えば、700rpm以上)などの床洗浄機に結合された研磨パッドを使用して、所望の光沢が得られるまで床面を仕上げる。次に、床仕上げ組成物204が床面に塗布される。いくつかの態様では、床仕上げ組成物204は、単一の初期コート、又は2つ以上の初期コート、又は3つ以上の初期コート、又は4つ以上の初期コートで床面に塗布される。いくつかの態様では、床仕上げ組成物204は、2~3つの初期コートで床面に塗布される。
【0028】
過程ブロック306によって示されるように、床仕上げ組成物204は、次に、床仕上げ組成物204を定期的に洗浄及び/又は活性化することによって(例えば、床面から汚れ及び破片を定期的に除去することによって)保持される。いくつかの態様では、ステップ306は、洗浄液(例えば、中性、アルカリ性、又は酸性)を床仕上げ組成物204に適用し、例えば、床洗浄機に結合されたモップ又は研磨パッド202を使用して床面をスクラブすることを含む。時々、除去剤溶液206を適用して、洗浄及び活性化ステップ306中に床仕上げ組成物204の少なくとも一部を除去する。洗浄及び活性化ステップ306中に使用するのに適した研磨パッド202は、500~3000の間のグリットを有してもよい。
【0029】
時間の経過と共に、床仕上げ組成物204は、重い摩耗及び/又は汚れの影響を受けやすくなる可能性がある。重い摩耗及び/又は汚れは、過程ブロック308によって示されるように、床仕上げ組成物204をスクラブかつ再被覆することによって除去してもよい。いくつかの態様では、ステップ308は、除去剤溶液206の適用するステップと、床仕上げ組成物204の少なくとも一部を除去するための床仕上げ組成物204をスクラブ/洗浄するステップと、を含む。床面のスクラブ/洗浄は、床洗浄機に結合された研磨パッド202の使用を含んでもよい。スクラブ/洗浄ステップ中に使用するのに適した研磨パッド202は、500~3000の間のグリットを有してもよい。床仕上げ組成物204の一部が除去された後、床仕上げ組成物204の1つ又は複数の新しいコートを床面に塗布してもよい。いくつかの態様では、再コートの数は、床仕上げ組成物204の単一のコートを含む。他の態様では、床仕上げ組成物の再コートの数は、2つのコート、又は3つのコート、又は4つのコートを含む。過程ステップ308は、1年を通じて何度も繰り返してもよく、例えば、床仕上げ組成物204をスクラブ/洗浄し、床面を再被覆するステップが、年に1回、又は年に2回、又は年に3回、又は年に4回、又は年に5回実施されてもよい。
【0030】
有利には、本開示の床仕上げ組成物204及び除去剤溶液206と組み合わせて方法300を使用することにより、床仕上げ組成物を毎年剥離する過程ステップを排除してもよい。これにより、工業用床材の耐久性と美的魅力を保持するための材料費と人件費が大幅に削減される。さらに、毎年の剥離ステップを排除することによって、ビジネスの中断が減り、労働者が潜在的に危険な剥離化学物質にさらされる回数が減る。
【0031】
研磨パッド202、床仕上げ組成物204、除去剤溶液206の説明に移る前に、以下の意味及び定義を有するように定義され得るいくつかの用語を参照する。
【0032】
本出願では、文脈から別段の明確でない限り、「a」、「and」、及び「the」という用語は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数形を含むと理解される場合がある(例えば、これらの用語は「少なくとも1つ」と同等である場合がある)。本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、「及び/又は」を意味すると理解され得る。
【0033】
本出願で使用されているように、「約」及び「およそ」という用語は、同等のものとして使用される場合がある。本出願で使用される数字は、約/およその有無にかかわらず、関連技術の当業者によって認められる通常の変動をカバーすることを意図している。特定の実施形態では、「およそ」又は「約」という用語は、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、又は特に明記しない限り、又は文脈から明らかでない限り、記載された参照値よりも小さい(又は大きい)値の範囲を指す。特定の実施形態では、「部分」という用語は、0%を超えて約100%又は100%までを指す。
【0034】
本出願で使用される場合、「アルキル」という用語は、線状又は分枝鎖の飽和ヒドロカルビル置換基(即ち、水素の除去によって炭化水素から得られる置換基)を指し得る。いくつかの態様において、直鎖又は分岐のヒドロカルビル置換基は、1~12、1~10、又は1~6の炭素原子であって、本明細書において各々C-C12アルキル、C-C10-アルキル、及びC-C-アルキルと呼ばれる。例えば、C~Cアルキルには、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、セクブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。他のアルキル基には、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシルなどが含まれるが、これらに限定されない。アルキルには、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、1~11、1~12、2~3、2~4、2~5、2~6、3~4、3~5、3~6、4~5、4~6及び5~6などの任意の数の炭素を含んでもよい。
【0035】
「アルキレン」という用語は、アルカンのジラジカルを指す。例示的なアルキレン基は-CHCH-である。本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、2~12、2~10、又は2~6の炭素原子の直鎖又は分岐基などの、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素を指し、本明細書では、各々、C-C12-アルケニル、C-C10-アルケニル、及びC-C-アルケニルと呼ばれる。
【0036】
「アルカノール」という用語は、ヒドロキシル(OH)基に結合した直鎖又は分岐鎖の飽和ヒドロカルビル置換基(即ち、水素を除去し、炭化水素中の少なくとも1つの炭素原子に結合した少なくとも1つのヒドロキシル基の付加することによって炭化水素から得られる置換基)を指してもよい。一態様では、アルキル置換基は、1~6の炭素原子を含む。そのような置換基の非限定的な例には、メタノール、エタノール、プロパノール(n-プロパノール及びイソプロパノールなど)、ブタノール(n-ブタノール、イソブタノール、sec-ブタノール及びtert-ブタノールなど)、ペンタノール、イソアミルアルコール、ヘキサノールなどが含まれる。
【0037】
「アルコキシ」という用語は、酸素ラジカルに結合した線状又は分枝鎖飽和のヒドロカルビル置換基(即ち、OHから水素を除去することによって炭化水素アルコールから得られる置換基)を指してもよい。一態様では、1~6の炭素原子を含む。そのような置換基の非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(n-プロポキシ及びイソプロポキシなど)、ブトキシ(n-ブトキシ、イソブトキシ、セク-ブトキシ及びtert-ブトキシなど)、ペントキシ、ヘキソキシなどが含まれる。
【0038】
本明細書で使用される「アルキルアミノ」という用語は、NH基を介して親分子部分に付加された、本明細書で定義されるようなアルキル基を意味する。アルキルアミノの代表的な例には、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、及びブチルアミノが含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される「アミノ」という用語は、-NH基を意味する。「アミン」及び「アミノ」という用語は当技術分野で認識されており、非置換アミン及び置換アミンの両方を指し、置換基には、例えば、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、及びアリールが含まれてもよい。
【0040】
本明細書で使用される「カルボニル」という用語は、-C(O)-ラジカルを指す。本明細書で使用される「カルボキサミド」という用語は、-C(O)NRR’ラジカルを指し、ここで、R及びR’は、同じであっても異なっていてもよい。R及びR’は、独立に、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、ホルミル、ハロアルキル、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルであってもよい。
【0041】
「アリール」という用語は、当技術分野で認識されており、炭素環式芳香族基を指す。代表的なアリール基には、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどが含まれる。「アリール」という用語は、2つ以上の炭素が2つの隣接する環に共通である2つ以上の炭素環を有する多環式環系を含み(環は「縮合環」であり)、環の少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、及び/又はアリールであってもよい。特に明記しない限り、芳香環は、1つ又は複数の環位置で、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、カルボン酸、-C(O)アルキル、-COアルキル、カルボニル、カルボキシル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、アリール又はヘテロアリール部分、-CF3、-CNなどで置換されてもよい。特定の実施形態において、芳香環は、1つ以上の環位置において、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、又はアルコキシルで置換されている。特定の他の実施形態において、芳香環は置換されていない、即ち、非置換である。特定の実施形態において、アリール基は、6~10員の環構造である。
【0042】
「ヘテロアリール」という用語は、指定された数の環原子を含み、環原子の少なくとも1つがヘテロ原子(即ち、酸素、窒素、又は硫黄)であり、残りの環原子が、独立に、炭素、酸素、窒素、硫黄からなる群から選択される芳香環構造を指す。適切なヘテロアリール置換基には、トリアゾリル、イミダゾリル、フラニル、チオフェニル、ピリジル、プリラジル、ピリミジニルなどの5員及び6員のヘテロアリール置換基が含まれる。ヘテロアリールは、本明細書で定義されるようにさらに置換してもよい。
【0043】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、4~6の環原子などの指定された数の原子の合計を含む飽和又は部分的に飽和した環構造から水素を除去することによって得られる置換基を指し、ここで、環原子の少なくとも1つはヘテロ原子(即ち、酸素、窒素、又は硫黄)であり、残りの環原子は、独立に、炭素、酸素、窒素、及び硫黄からなる群から選択される。
【0044】
「ヒドロキシ」又は「ヒドロキシル」という用語は、-OHを指す。別の用語と組み合わせて使用される場合、接頭辞「ヒドロキシ」は、接頭辞が付けられている置換基が1つ又は複数のヒドロキシ置換基で置換されていることを示す。化合物は1つ又は複数のヒドロキシ置換基が、例えば、アルコール、エノール、及びフェノールを含む炭素を有する。
【0045】
いくつかの例では、ヒドロカルビル置換基(即ち、アルキル、シクロアルキルなど)の炭素原子の数は、接頭辞「C-C-」又は「Cx-y」によって示され、ここで、xは最小であり、yは置換基の炭素原子の最大数である。従って、例えば、「C-C-アルキル」又は「C1-6アルキル」は、1~6の炭素原子を含むアルキル置換基を指し、C-Cシクロアルキル又はC3-6-シクロアルキルは、3~6の炭素環原子を含む飽和シクロアルキル基を指す。
【0046】
本明細書で使用される「重量パーセント」、「重量%」という用語、及びそれらの変形は、物質の濃度をその物質の重量(例えば、組成物又は組成物の特定の成分の重量である)を全重量で割って、100を掛けるものとして指す。本明細書で使用される場合、「パーセント」、「%」などは、「重量パーセント」、「重量%」と同義であり得ることが理解される。
【0047】
本明細書に記載の組成物は水を含む。「水」という用語は、限定されないが、脱イオン(DI)又は組成物に適した他の任意の水を含んでもよい。
【0048】
「揮発性有機化合物」(「VOC」)という用語は、米国環境保護庁によって40C.F.R.§51.100(s)で定義され、一酸化炭素、二酸化炭素、炭酸、金属炭化物又は炭酸塩、及び大気中の光化学反応に関与する炭酸アンモニウムを除く、任意の炭素の化合物を指す。通常、揮発性有機化合物の蒸気圧は0.1mmHg以上である。揮発性有機化合物含有量(w/w)は、特に、サンプル中の揮発性有機化合物の全重量を測定するための、爆発下限界(LEL)検出器(例えば、水素炎イオン化検出器)、固相マイクロ抽出(SPME)技術、直接注入質量分析計、を使用するなど、当業者に知られている技術を用いて測定できる。
【0049】
[床仕上げ組成物]
一態様では、本開示は、床仕上げ組成物204に関する。本開示の床仕上げ組成物204は、工業用床材などの基材に保護被膜を提供してもよく、優れた耐摩耗性及び/又は耐薬品性及び高光沢を提供してもよい。さらに、床仕上げ組成物204は、耐久性を損なうことなく、除去剤溶液206を使用して基材から容易かつ選択的に除去してもよい。一般に、床仕上げ組成物204は、1つ又は複数の重合体(例えば、少なくとも1つの重合体エマルション及び少なくとも1つのアルカリ可溶性樹脂)、可塑剤、及び溶媒を含む。いくつかの形態では、床仕上げ組成物204は、ワックス、界面活性剤、及び香料をさらに含んでもよい。
【0050】
一態様では、1つ又は複数の重合体は、床仕上げ組成物204に構造的性能属性を提供してもよい。1つ又は複数の重合体はまた、湿潤及び乾燥接着、レベリング、初期耐水性、耐食性及び耐薬品性、硬度、コート間接着、光沢、柔軟性、除去性、及び外装耐久性などの性能属性を床仕上げ組成物204に付与し得る。いくつかの実施形態では、床仕上げ組成物204に存在する重合体の全量は、約30%~約65%(w/w)、約35%~約55%、又は約40%~約50%の範囲であってもよい。いくつかの態様において、1つ以上の重合体は、床仕上げ組成物204中に、約30%(w/w)、又は約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、又は約65%(w/w)の量で存在する。いくつかの形態では、1つ又は複数の重合体が、床仕上げ組成物204中に、固形分パーセントに基づいて約50%から約80%、より詳しくは約55%から約75%の量で存在する。
【0051】
[重合体エマルション]
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中の1つ以上の重合体は、結合剤又は膜形成剤として作用し得る重合体エマルションを含む。いくつかの実施形態では、重合体エマルションの存在又は量は、床仕上げ組成物204のレベリング、耐摩耗性、耐衝撃性、及び光沢などの組成物の1つ又は複数の特性に影響を与える。
【0052】
いくつかの態様において、重合体エマルションは、アクリル重合体エマルションを含んでもよい。適切なアクリル重合体には、アクリル酸又はメタクリル酸とアクリル又はメタクリル酸のエステル、ヒドロキシエチルメタクリレートメタクリロニトリル、及びアクリロニトリルとの重合体、共重合体、又はター重合体が含まれてもよいが、これらに限定されない。追加の単量体を使用してもよい。例えば、追加の単量体には、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、及びアクリル酸2-エチルヘキシルが含まれてもよい。さらに、追加の不飽和酸単量体を部分的にメタクリル酸の代わりに使用してもよい。適切な不飽和酸単量体には、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、及びイタコン酸が含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0053】
重合体エマルションはまた、ビニル成分を含んでもよい。ビニル成分は、スチレン、又はメチルスチレン又はターシャリーブチルスチレンなどのモノアルケニル芳香族単量体であってもよい。特定の実施形態では、アクリル重合体エマルションはスチレンを含む。
【0054】
前述のように、重合体エマルションは、共重合体として提供されてもよい。適切な共重合体には、スチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸、スチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸、スチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸エチル、及びスチレン/アクリル酸ブチル/メタクリル酸エチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0055】
他の適切な重合体エマルションには、スチレン/アクリル酸ブチル/アクリレート/アクリル酸、スチレン/アクリル酸エチル/アクリル酸、及びメチル/スチレンスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸エチル/メタクリル酸/アクリル酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
他の態様では、重合体は酸官能性であり、亜鉛架橋スチレン-アクリル共重合体エマルションとして提供される。
【0057】
本明細書で使用してもよい市販の重合体エマルションの非限定的な例には、ダウケミカル社のDURAPLUS(商標)3、DURAPLUS(商標)3LO、RHOPLEX(商標)1531C、及びRHOPLEX(商標)E-3392、オムノバ・ソリューションズ(OMNOVA Solutions Inc.)のMor-Glo 8、及びBASF社のJoncryl(登録商標)8615が含まれる。
【0058】
いくつかの実施形態では、重合体エマルションは、アルキルフェノールエトキシレート(APE)及び揮発性有機化合物を含まないか、又は実質的に含まない場合がある。いくつかの実施形態では、重合体エマルションは、約3%(w/w)未満の揮発性有機化合物又はAPE化合物、及びいくつかの態様において、約2%未満、又は約1%、又は約0.5%(w/w)の揮発性有機化合物又はAPE化合物を有してもよい。
【0059】
重合体エマルションは、床仕上げ組成物204中に、組成物の全重量(w/w)に基づいて、約35%から約55%、より詳しくは約40%から約50%の量で存在してもよい。いくつかの実施形態では、重合体エマルションは、床仕上げ組成物204中に、約35%(w/w)、又は約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、又は約55%(w/w)の量で存在する。いくつかの形態では、1つ又は複数の重合体エマルションは、床仕上げ組成物204中に、固形分パーセントに基づいて、約55%から約75%、より詳しくは約60%から約70%の量で存在する。
【0060】
[アルカリ可溶性樹脂]
一態様では、床仕上げ組成物204中の1つ又は複数の重合体は、少なくとも1つのアルカリ可溶性樹脂を含んでもよい。アルカリ可溶性樹脂の存在又は量は、溶液(例えば、除去剤溶液206、クリーナー溶液、アルカリ性溶液)による除去の容易さ、耐食性及び耐薬品性、硬度、密着性、光沢、耐久性、など、床仕上げ組成物204中の1つ又は複数の性能特性に影響を及ぼし得る。いくつかの態様において、1つ以上のアルカリ可溶性樹脂は、床面への床仕上げ組成物204の被覆性又は広がり性に影響を及ぼし得る。例えば、従来の床仕上げ組成物に関連する課題の1つは、組成物が床面全体に組成物を広げるために使用されているパッド又はモップに凝集又は付着傾向である。アルカリ可溶性樹脂の材料特性を調整又は活用して、パッド又はモップへの凝集及び接着など、床面への床仕上げ組成物の堆積に関連する望ましくない結果を防止できることが、本開示の認識である。
【0061】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204にアルカリ可溶性樹脂を含めることは、組成物を被覆又は広げることに関連する床仕上げ組成物204の材料特性を改善して、パッド又はモップへの凝集又は付着に耐性のある形態にしてもよい。いくつかの態様において、本開示の床仕上げ組成物204は、床面上への堆積又は塗布中の抗力を低減し、それにより、凝集塊の形成を防止する。
【0062】
一態様では、アルカリ可溶性樹脂の分子量又は平均分子量は、本開示による床仕上げ組成物204に影響を及ぼして、堆積中の凝集抵抗及び低減された抗力などの改善された性能特性を達成し得る。いくつかの態様において、アルカリ可溶性樹脂の分子量は、約3000から約7500の間、より詳しくは4500から7000の間、さらにより詳しくは5000から6500の間の範囲に選択されてもよい。
【0063】
いくつかの態様において、アルカリ可溶性樹脂は、約3000、又は約3100、約3200、約3300、約3400、約3500、約3600、約3700、約3800、約3900、約4000、約4100、約4200、約4300、約4400、約4500、約4600、約4700、約4800、約4900、約5000、約5100、約5200、約5300、約5400、約5500、約5600、約5700、約5800、約5900、約6000、約6100、約6200、約6300、約6400、約6500、約6600、約6700、約6800、又は約7000の分子量を有してもよい。前述の分子量は、アルカリ可溶性樹脂の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、Z平均分子量(Mz)、又は粘度平均分子量(Mv)であってもよい。
【0064】
いくつかの態様において、アルカリ可溶性樹脂の酸価は、本開示に従って床仕上げ組成物204に影響を及ぼして、堆積中の凝集抵抗及び低減された抗力などの改善された性能特性を達成し得る。いくつかの形態において、適切なアルカリ可溶性樹脂は、180から260の間、より詳しくは200から240の間の酸価を含んでもよい。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中の少なくとも1つのアルカリ可溶性樹脂は、約180、又は約190、約200、約210、約220、約230、約240、約250、約260の酸価を有してもよい。酸価は、化学化合物中のカルボキシル基の数の尺度であり、水又はアルカリ溶液への樹脂の溶解度を予測するのに役立つ指標となる可能性がある。酸価は、当業者に知られている様々な方法を使用して決定することができ、例えば、酸価は、当業者によって容易に理解されるように、1グラムのアルカリ可溶性樹脂を中和するための水酸化カリウムの量と相関し得る。
【0065】
いくつかの態様において、アルカリ可溶性樹脂のガラス転移温度は、本開示に従って床仕上げ組成物204に影響を及ぼして、堆積中の凝集抵抗及び低減された抗力などの改善された性能特性を達成し得る。いくつかの形態において、適切なアルカリ可溶性樹脂は、約80から約120℃、さらにより詳しくは90から110℃の間のガラス転移温度(Tg)を有してもよい。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中のアルカリ可溶性樹脂の少なくとも1つは、約80℃、又は約85、約90、約95、約100、約105、約110、約115、又は約120℃のガラス転移温度を有する。
【0066】
いくつかの態様において、適切なアルカリ可溶性樹脂は、アクリル重合体及びスチレン/アクリル重合体、又はポリエステル重合体、ポリウレタン重合体、ポリエーテル重合体、ポリアルデヒド重合体、ポリカーボネート及びポリアミドを含むがこれらに限定されない天然樹脂又は合成樹脂を含んでもよい。
【0067】
本明細書で使用してもよい市販のアルカリ可溶性樹脂の非限定的な例には、例えば、BASF社のJoncryl(登録商標)ECO 75、BASF社のJoncryl(登録商標)ECO 675、及びダウケミカル社のRHOPLEX(商標)E-1531Cが含まれる。
【0068】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中のアルカリ可溶性樹脂の全量は、約0.1%から15%(w/w)、又はそれ以上の範囲であってもよい。いくつかの態様において、アルカリ可溶性樹脂の全量は、約1%(w/w)、又は約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、又は約15%(w/w)である。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中のアルカリ可溶性樹脂の全量は、10%(w/w)未満、又は9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満、又はそれ以下である。
【0069】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204は、第1のアルカリ可溶性樹脂及び第2のアルカリ可溶性樹脂を含む。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204が、分子量、酸価、及びガラス転移温度などの少なくとも1つの特性において、特に、第1のアルカリ可溶性樹脂が第2のアルカリ可溶性樹脂と異なることは有益であり得る。いくつかの態様において、第1のアルカリ可溶性樹脂と第2のアルカリ可溶性樹脂との比を使用して、床仕上げ組成物204のレベリング、抗凝集、及び低減された抗力特性を調節し得る。
【0070】
1つの非限定的な例では、第1のアルカリ可溶性樹脂はJoncryl(登録商標)ECO 75であり、第2のアルカリ可溶性樹脂はRHOPLEX(商標)E-1531Cである。
【0071】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204は、重量で、約5:1から約1:5の間の比率で、第1のアルカリ可溶性樹脂及び第2のアルカリ可溶性樹脂を含む。いくつかの態様において、第1のアルカリ可溶性樹脂と第2のアルカリ可溶性樹脂との比は、重量で、約5:1、又は約4:1、約3:1、約2:1、又は約1:1である。
【0072】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204における第1のアルカリ可溶性樹脂の全重量は、0.1%から7.5%(w/w)の範囲である。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中の第1のアルカリ可溶性樹脂の全重量は、約0.1%(w/w)、又は約1%、約1.5、約2%、約2.5、約3%、約3.5、約4%、約4.5、約5%、約5.5、約6%、約6.5、約7%、又は約7.5%(w/w)である。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中の第2のアルカリ可溶性樹脂の全重量は、0.1%から7.5%(w/w)の範囲である。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中の第2のアルカリ可溶性樹脂の全重量は、約0.1%(w/w)、又は約1%、約1.5、約2%、約2.5、約3%、約3.5、約4%、約4.5、約5%、約5.5、約6%、約6.5、約7%、又は約7.5%(w/w)である。
【0073】
いくつかの態様において、アルカリ可溶性樹脂は、低揮発性有機化合物含有量を有してもよい。例えば、アルカリ可溶性樹脂は、3%未満、2%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満のVOC含有量を有してもよいか、又はVOCを含まなくてもよい。
【0074】
いくつかの態様において、本開示の床仕上げ組成物204は、重合体エマルションの、全アルカリ可溶性樹脂に対する比率を含む。重合体エマルションの、全アルカリ可溶性樹脂に対する比率は、望ましい耐摩耗性及び/又は化学的耐性を保持しながら、床面からの床仕上げ組成物の除去を容易にし得る。床仕上げ組成物204は、約2:1から約20:1の間の重量比、より詳しくは、約3:1から約15:1の間の重量比で、重合体エマルションの、全アルカリ可溶性樹脂に対する比率を含んでもよい。いくつかの態様において、全重合体エマルションの、全アルカリ可溶性樹脂に対する重量比は、約2:1、又は約3:1、約4:1、約5:1、約6:1、約7:1、約8:1、約9:1、約10:1、約11:1、約12:1、約13:1、約14:1、約15:1、約16:1、約17:1、約18:1、約19:1、約20:1である。
【0075】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204は、1つ以上の可塑剤を含んでもよい。可塑剤は、床仕上げ組成物204の可塑性又は流動性を高めることができる。その結果、比較的高レベルの可塑剤は、柔らかくて弱い膜又は被膜をもたらす可能性がある。あるいは、比較的低レベルの可塑剤は、もろい被膜を作成する可能性がある。さらに、可塑剤はまた、床仕上げ組成物204の基材からの除去性、並びに耐久性、耐薬品性及び耐摩耗性に影響を及ぼし得る。
【0076】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204は、約0.1%から10%(w/w)の重量パーセント、より詳しくは、約1%及び5%(w/w)の重量パーセントで1つ以上の可塑剤を含む。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204は、約0.1%(w/w)、又は約1%、約1.5%、約2%、約2.5%、約3%、約3.5%、約4%、約4.5%、約5%、約5.5%、約6%、約6.5%、約7%、約7.5%、約8%、約8.5%、約9%、約9.5%、又は約10%の量の可塑剤を含む。いくつかの態様において、可塑剤は、床仕上げ組成物204中に、固形分パーセントに基づいて約8%から約18%の量で存在してもよい。別の形態では、可塑剤は、全重合体固形分に基づいて約10%から約30%の量で存在してもよく、ここで、全重合体固形分は、重合体エマルション固形分とアルカリ可溶性樹脂固形分の全量によって定義される。
【0077】
適切な可塑剤には、安息香酸エステル、リン酸トリブトキシエチル、及びトリメチルペンタンジオールジイソ酪酸塩が含まれてもよい。他の適切な可塑剤はまた、プロピレングリコールジ安息香酸塩、ジプロピレングリコールジ安息香酸塩、ポリプロピレングリコールジ安息香酸塩、エチレングリコールジ安息香酸塩、ジエチレングリコールジ安息香酸塩、ポリエチレングリコールジ安息香酸塩、ネオペンチルグリコールジ安息香酸塩、等、並びにイソデシル安息香酸塩、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル安息香酸塩、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソ酪酸塩及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、エチレン又はプロピレングリコールに基づくグリコールエーテルジ安息香酸塩を含んでもよい。
【0078】
一実施形態では、少なくとも1つの可塑剤は、安息香酸エステル可塑剤を含む。特定の実施形態において、安息香酸エステル可塑剤は、式:PhCO(O)Rを有し、ここで、Phは、フェニルラジカルを表し、Rは、6つ以下の炭素原子を含む線状又は分岐の炭化水素ラジカルを表す。
【0079】
一実施形態では、安息香酸エステル可塑剤は、ジエチレングリコールジ安息香酸塩である。例えば、安息香酸エステル可塑剤は、イーストマンケミカル社(Eastman Chemical Company)のBenzoflex(商標)2088であってもよい。
【0080】
適切な安息香酸エステル可塑剤は、モノ安息香酸塩をさらに含んでもよい。モノ安息香酸塩が完全にジ安息香酸塩に変換されていない場合、モノ安息香酸塩が組成物中に存在する可能性がある。特に、モノ安息香酸塩は、ジエチレングリコールモノ安息香酸塩、トリエチレングリコールモノ安息香酸塩、ジプロピレングリコールモノ安息香酸塩、及び/又はそれらの任意の2つ以上の組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0081】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204は、少なくとも1つの溶媒を含む。適切な溶媒は、極性有機溶媒、非極性有機溶媒、及び水などの水性溶媒を含んでもよい。いくつかの態様において、床仕上げ組成物204中の溶媒含有量は、30%から60%(w/w)の範囲である。
【0082】
いくつかの形態では、床仕上げ組成物204は、水、より詳しくは脱イオン水などの水溶液を組み込んでもよい。いくつかの態様において、水溶液は、床仕上げ組成物204中に、約30%から約50%(w/w)の量で存在する。例えば、水溶液は、床仕上げ組成物204中に、30%(w/w)、又は約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%(w/w)の量で存在してもよい。
【0083】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204は、ジエチレングリコールエチルエーテル及びプロピレングリコールプロピルエーテルなどの極性有機溶媒を含む。極性有機溶媒は、床仕上げ組成物204中に、0.1%から15%(w/w)の間の量で存在してもよい。いくつかの態様において、極性有機溶媒は、約0.1%(w/w)、又は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、又は約15%(w/w)の量で存在してもよい。
【0084】
適切な極性有機溶媒には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレン/ジエチレングリコール2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、及び/又はそれらのブレンドなどの、エチレングリコール又はプロピレングリコールに基づくグリコールエーテル系の溶媒が含まれてもよいが、これらに限定されない。疎水性グリコール溶媒はまた、ベンジルアルコール及び/又は他の同様のアルコールに基づくグリコールエーテルを含んでもよい。
【0085】
一態様では、非極性有機溶媒は、エチレングリコールフェニルエーテル及びエチレングリコールヘキシルエーテルなどの非極性グリコール溶媒から選択される。非極性有機溶媒は、床仕上げ組成物204中に、0.1%から15%(w/w)の間の量で存在してもよい。いくつかの態様において、極性有機溶媒は、約0.1%(w/w)、又は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、又は約15%(w/w)の量で存在してもよい。
【0086】
他の適切な非極性有機溶媒には、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジエチル、及び/又はそれらの組み合わせなどのフタル酸系の溶媒が含まれてもよいが、これらに限定されない。
【0087】
床仕上げ組成物204は、少なくとも1つのワックス又はワックスエマルションをさらに含んでもよい。適切なワックスには、植物、例えば、野菜、動物、昆虫、合成及び/又はミネラルワックスが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、ワックスは、床仕上げ組成物204中に、約0.1%から約10%(w/w)の量で存在する。いくつかの態様において、ワックスは、約0.1%(w/w)、又は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、又は約10%(w/w)の量で存在する。
【0088】
本開示で使用できる市販のワックスの例には、非イオン性ポリプロピレンエマルションとしてのマイケルマン社(Michelman company)によるE-43ワックス(Michem 94340)、高密度ポリエチレンワックスエマルションとしてのオムノバ・ソリューションズ(OMNOVA Solutions Inc.)によるAC-316ワックスエマルション(MorFlo-WE30)、及びZschimmer & SchwarzによるSyntran PA-1475(Zschimmer&Schwarz)が含まれるが、これらに限定されない。一態様では、床仕上げ組成物204中に存在するワックス又はワックスエマルションは、固形分パーセントに基づいて約9%から約11%の間の量で存在する。
【0089】
いくつかの態様において、床仕上げ組成物204は、少なくとも1つの湿潤剤を含む。いくつかの実施形態では、「湿潤剤」という用語は、その表面張力を低下させ、いくつかの例では、それを床面上に広げるのにより効果的にするために床仕上げ組成物に添加できる化学物質を指す。
【0090】
いくつかの態様において、湿潤剤は、0.001%から1%の間、より詳しくは0.01%から約0.1%(w/w)の間の量で床仕上げ組成物中に存在する。いくつかの態様において、湿潤剤は、床仕上げ組成物中に、約0.01%(w/w)、又は約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.5%、又は約1%の量で存在する。
【0091】
適切な湿潤剤には、界面活性剤又はフルオロ界面活性剤が含まれてもよいが、これらに限定されない。本明細書で使用される「界面活性剤」という用語は、2つの液体間の界面張力を低下させる化学化合物を指す。界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、及び/又は他の任意のタイプの界面活性剤であってもよい。例示的な界面活性剤には、DuPont(商標)から入手可能な、Capstone(登録商標)FS-60、Capstone(登録商標)FS-61、Capstone(登録商標)FS-64、Capstone(登録商標)FS-65、Capstone(登録商標)FS-34、及びCapstone(登録商標)FS-35などのブランド名Capstone(登録商標)のフッ素系界面活性剤が含まれてもよい。
【0092】
組成物は、約0.001%から約1%の範囲の量で、最も好ましくは約0.001%から約0.01%の範囲の量で、消泡剤又は脱泡剤をさらに含んでもよい。適切な消泡剤には、不溶性油、ポリジメチルシロキサンエマルション及び分散液、並びに他のシリコーン、特定のアルコール、ステアリン酸塩及びグリコールが含まれてもよいが、これらに限定されない。具体的には、適切な消泡剤には、Wacker Chemie AGから入手可能なWackerSilfoam(登録商標)SE-21、SE-24、及びSD-168、BYKから入手可能なBYK(登録商標)024、及びMUENZINGから入手可能なAGITAN(登録商標)786が含まれてもよい。
【0093】
組成物は、約0.001%から約1%の範囲の量で、最も好ましくは約0.001%から約0.01%の範囲の量で香料をさらに含んでもよい。本明細書で使用される「香料」という用語は、一般に、例えば花、ハーブ、開花又は植物の抽出によって得られるもの、例えば、天然油及び/又は油成分の混合物から人工的に誘導又は生成されたもの、及び合成的に生成された物質、例えば、臭気物質を含む、任意の水溶性香料物質又はそのような物質の混合物を指してもよい。適切な香料はまた、これらに限定されないが、市販の香料を含んでもよい。
【0094】
前述のように、本明細書に開示される床仕上げ組成物204は、優れた耐摩耗性及び/又は耐薬品性を提供すると同時に、床仕上げ組成物204を剥離フリー過程300に組み込み得るように容易に除去可能にする。
【0095】
[除去剤溶液]
一態様では、本開示は、被膜又は床仕上げ組成物206の少なくとも一部を基材又は床面から除去する際に使用するための除去剤溶液206を提供する。いくつかの態様において、本開示の除去剤溶液206は、非腐食性であり、効力を失うことなく揮発性有機化合物を実質的に含まないように有利に処方され得る床被膜除去溶液の新しいパラダイムを提供する。これは、床の被膜を除去する際に効果的な活性を提供するために、高い揮発性有機化合物含有量(例えば、5%を超える)及び腐食性アルカリ性(例えば、11.5を超えるpH)を必要とする従来の剥離剤又は洗浄液とは対照的である。
【0096】
一般に、本開示の除去剤溶液206は、少なくとも1つの有機官能性アミン及び少なくとも1つの界面活性剤を含む。いくつかの態様において、除去剤溶液206は、香料、pH調整剤、染料、及び任意の溶媒をさらに含む。特に、本開示は、有機官能性アミン及び界面活性剤が相乗的に作用して、床仕上げ組成物の少なくとも一部を効果的に除去するという認識を包含する。
【0097】
一般に、除去剤溶液206中の少なくとも1つの有機官能性アミンは、炭化水素基及びアミンを含む化合物を含んでもよい。除去剤溶液204中の少なくとも1つの有機官能性アミンは、床仕上げ組成物204の少なくとも一部を基材から除去するのに適した所望のpH又はアルカリ度を生成することを助けることができる。
【0098】
いくつかの態様において、1つ以上の有機官能性アミンは、除去剤溶液206中に、約10%から約90%(w/w)の間、より詳しくは約40%から約80%の間の量で存在する。いくつかの態様において、有機官能性アミンは、除去溶液206中に、約10%、又は約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%(w/w)の量で存在する。一例では、1つ又は複数の有機官能性アミンは、約65%(w/w)、又は約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約78%、約79%、又は約80%(w/w)の量で存在する。
【0099】
いくつかの態様において、本開示で使用するのに適切な有機官能性アミンには、分岐及び非分岐のアミノアルカノール部分及びアミノ-アルコキシ-アルカノール部分が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様において、除去剤溶液206は、床仕上げ組成物又は被膜の少なくとも一部を除去する効果を改善するために相乗的に作用する、第1の有機官能性アミン及び第2の有機官能性アミンを含む。
【0100】
いくつかの態様において、除去剤溶液206で使用するための第1の有機官能性アミンは、分岐又は非分岐のアミノ-C-C-アルコキシ-C-C-アルカノール、アミノ-C-C-アルキルアミノ-C-C-アルカノール、アミノ-C-C-アルカノール、C-C-アルキルアミノ-C-C-アルキルカノール、少なくとも1つの窒素原子を含む4~6員のヘテロシクロアルキル、などの分岐又は非分岐のアミノ-アルコキシ-アルカノール部分を含んでもよいが、これらに限定されない。第1の有機官能性アミンの非限定的な例には、2-(2-アミノエトキシ)エタノール、エタノールアミン、メチルエタノールアミン、アミノエチルピペラジン、アミノエチルエタノールアミン、及びアンモニウムが含まれてもよい。
【0101】
いくつかの態様において、第2の有機官能性アミンは、分岐又は非分岐のアミノ-C-C-アルコキシ-C-C-アルカノール、アミノ-C-C-アルキルアミノ-C-C-アルカノール、アミノ-C-C-アルカノール、及びC-C-アルキルアミノ-C-C-アルキルカノールなどの分岐又は非分岐のアミノ-アルコキシ-アルカノール部分を含んでもよい。第2の有機官能性アミンの非限定的な例には、モノイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンが含まれてもよい。
【0102】
1つの非限定的な例では、第1の有機官能性アミンは、2-(2-アミノエトキシ)エタノール(ジグリコールアミンとしても知られる)及び第2の有機官能性アミンはモノイソプロパノールアミンを含む。
【0103】
いくつかの態様において、除去剤溶液206は、除去剤溶液206の効力を相乗的に改善する比率で存在し得る第1の有機官能性アミン及び第2の有機官能性アミンを含んでもよい。第1の有機官能性アミンと第2の有機官能性アミンの比は、約0.5から4の範囲であってもよい。いくつかの態様において、第1の有機官能性アミンと第2の有機官能性アミンの比は、約0.5、又は約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.5、約3、約3.5、又は約4である。
【0104】
一態様では、第1の有機官能性アミンは、除去剤溶液206中に、約35重量%から約55重量%(w/w)の量で、より詳しくは、除去剤溶液206の40重量%から50重量%の間の量で存在してもよい。いくつかの態様において、第1の有機官能性アミンは、除去剤溶液206中に、約40%(w/w)、又は約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、又は約50%の量で存在する。
【0105】
一態様では、第2の有機官能性アミンは、除去剤溶液206中に、約20重量%から約35重量%(w/w)の量で、より詳しくは、除去剤溶液206の25重量%から30重量%の間の量で存在してもよい。いくつかの態様において、第2の有機官能性アミンは、除去剤溶液206中に、約20%(w/w)、又は約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、又は約30%(w/w)の量で存在する。
【0106】
除去剤溶液206は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、誘導体、及びそれらの混合物を含んでもよいがこれらに限定されない界面活性剤をさらに含んでもよい。いくつかの態様において、界面活性剤は、除去剤溶液中に、約0.1%から30%(w/w)、より詳しくは約5%から約25%(w/w)の量で存在する。いくつかの態様において、界面活性剤は、除去剤溶液206中に、約0.1%(w/w)、又は約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、又は約25%(w/w)の量で存在する。
【0107】
いくつかの態様において、適切な界面活性剤は、カルボキサミド-アルキレン-アルケン部分を含む。例えば、カルボキサミド-アルキル-アルケン部分は、式(I)を有してもよい。
【化4】
いくつかの態様において、nは1から20の間の整数であり、より詳しくはnは1から10の間の整数であってもよく、さらにより詳しくはnは7であってもよい。いくつかの態様において、R及びRは、各々独立に、水素、アルキル部分、アルカノール部分、及びアルコキシ-アルキル部分、例えば、分岐又は非分岐のC-C-アルキル、C-C-アルカノール、及びC-C-アルコキシ-C-C-アルキルから選択される。いくつかの態様において、R、R、及びRは、各々独立に、水素、ヒドロキシル、C-C-アルキル、C-C-アルカノール、及びC-C-アルコキシ-C-C-アルキルから選択される。1つの非限定的な例では、除去剤溶液206の界面活性剤は、N,N-ジメチル-9-デセンアミドを含んでもよい。いくつかの態様において、除去剤溶液206は、BASF社のLutensolXL 70、BASF社のTDA8エトキシル化イソトリデカノール、ShellGlobalのNeodol91-6 C9-11アルコールエトキシレート、Nease PerformanceChemicalsのHostapusSAS 30スルホン酸、C10-C18-Alkane、ナトリウム塩として市販の式:RO(CHCHO)H(R=C1021及びx=7)を有する非イオン性界面活性剤などの市販の界面活性剤を含んでもよいがこれらに限定されない第2の界面活性剤をさらに含んでもよい。除去剤溶液206中の界面活性剤の全量は、除去剤溶液206の約15重量%から約35重量%の量で、より詳しくは、20重量%から30重量%の間の量で存在してもよい。
【0108】
いくつかの態様において、除去剤溶液206は、有利には、低揮発性有機化合物(VOC)含有量を含んでもよい。例えば、除去剤溶液206は、3%(w/w)未満の揮発性有機化合物(VOC)含有量、より詳しくは、2%未満、1%未満、又は0.5%(w/w)未満のVOC含有量を含んでもよい。いくつかの実施形態では、除去溶液206は、有機溶媒などの溶媒を含まないか、又は実質的に含まない。
【0109】
[実施例]
以下の実施例は、本開示が使用又は実施され得る方法を詳細に説明し、当業者がその原理をより容易に理解することを可能にするであろう。以下の例は説明のために提示されたものであり、決して限定するものではない。
【0110】
[実施例1]
表1は、本開示による床仕上げ組成物の非限定的な例である。
【0111】
【表1】
いくつかの態様において、実施例1Aからのアルカリ可溶性アクリル樹脂(Joncryl ECO 75)は、分子量(Mw)が5,700、酸価が222、軟化点が141℃、及びガラス転移温度(Tg)が103℃のを有するアクリル樹脂を含む。ここで表2を参照すると、実施例1Aの床仕上げ組成物の数値エントリのリストが提供される。数値エントリには、以下に示すように、それぞれの組成物における特定の化学物質の相対的なパーセンテージ、比率、又は比が含まれる。
【0112】
【表2】
表3は、本開示による床仕上げ組成物の非限定的な例である。
【0113】
【表3】
いくつかの態様において、実施例1Bからのアルカリ可溶性アクリル樹脂(Joncryl ECO 75)は、分子量(Mw)が5,700、酸価が222、軟化点が141℃、及びガラス転移温度(Tg)が103℃のアクリル樹脂を含む。ここで表4を参照すると、実施例1Bの床仕上げ組成物の数値エントリのリストが提供される。数値エントリには、以下に示すように、それぞれの組成物における特定の化学物質の相対的なパーセンテージ、比率、又は比が含まれる。
【0114】
【表4】
表5は、本開示による床仕上げ組成物の非限定的な例である。
【0115】
【表5】
いくつかの態様において、実施例1Cからのアルカリ可溶性アクリル樹脂(Joncryl ECO 75)は、分子量(Mw)が5,700、酸価が222、軟化点が141℃、及びガラス転移温度(Tg)が103℃のアクリル樹脂を含む。ここで表6を参照すると、実施例1Cの床仕上げ組成物の数値エントリのリストが提供される。数値エントリには、以下に示すように、それぞれの組成における特定の化学物質の相対的なパーセンテージ、比率、又は比が含まれる。
【0116】
【表6】
表7は、本開示による床仕上げ組成物の非限定的な例である。
【0117】
【表7】
ここで表8を参照すると、実施例1Dの床仕上げ組成物の数値エントリのリストが提供される。数値エントリには、以下に示すように、それぞれの組成物における特定の化学物質の相対的なパーセンテージ、比率、又は比が含まれる。
【0118】
【表8】
[実施例2]
床仕上げクリーナー/除去剤溶液は、表9に示すように配合された。床仕上げクリーナー/除去剤は、濁った単相溶液であった。床仕上げクリーナー/除去剤は、水と混合しても2つの相に分離せず、放置する。床仕上げクリーナー/除去剤には溶媒が含まれていない。床仕上げクリーナー/除去剤にはグリコールエーテルは含まれていない。床仕上げクリーナー/除去剤にはアンモニアが含まれていない。床仕上げクリーナー/除去剤にはモノエタノールアミンは含まれていない。床仕上げクリーナー/除去剤には水酸化ナトリウムは含まれていない。
【0119】
【表9】
ここで表10を参照すると、実施例2Aの床仕上げクリーナー/除去剤溶液の数値エントリのリストが提供される。
【0120】
【表10】
別の床仕上げクリーナー/除去剤溶液は、表11に示すように処方された。床仕上げクリーナー/除去剤は、濁った単相溶液であった。床仕上げクリーナー/除去剤は、水と混合しても2つの相に分離せず、放置する。床仕上げクリーナー/除去剤には溶媒が含まれていない。
【0121】
【表11】
ここで表12を参照すると、実施例2Bの床仕上げクリーナー/除去剤溶液の数値エントリのリストが提供される。
【0122】
【表12】
[実施例3]
実施例1A、実施例1B、及び実施例1Cの床仕上げに匹敵する床仕上げの試験に基づいて、実施例1A、実施例1B、及び実施例1Cのいずれかの床仕上げの4つのコートは、実施例1A、実施例1B、及び実施例1Cの床仕上げの10回のバニシング後、10週間の期間にわたって市販の床仕上げの8つのコートと同等の光沢を有すると想定する。理論に拘束されることを意図することなく、特に、実施例1A、実施例1B、実施例1C、及び実施例1Dの床仕上げに使用されるJoncryl(登録商標)ECO 75などのアルカリ可溶性アクリル樹脂は、耐久性の高性能を保持しながら除去性を改善すると考えられる。また、実施例2の床仕上げクリーナー/除去剤でのN,N-ジメチル-9-デセンアミドと2-(2-アミノエトキシ)エタノールの使用には、実施例1A、実施例1B、及び実施例1Cの床仕上げを除去するという予期しない結果をもたらす関係があると想定している。
【0123】
実施例1A、実施例1B、実施例1C、及び実施例1Dの床仕上げは、良好な水、アルコール、過酸化物、及びクアット消毒剤クリーナー耐性を示した。
【0124】
実施例1A、実施例1B、実施例1C、及び実施例1Dの床仕上げは、洗浄試験において市販の床クリーナーと同等又はそれ以上である。
【0125】
実施例1A、実施例1B、実施例1C、及び実施例1Dの床仕上げ及び実施例2の床仕上げクリーナー/除去剤は、ビニール組成物タイル、シートビニール、テラゾ、ゴム、リノリウム、研ぎ澄まされた大理石又は花崗岩、及び素焼きセラミックなどの基材と互換性がある。
【0126】
[実施例4]
実施例2と同様の床仕上げクリーナー/除去剤は、図4に示すように、5%添加水(AMP-95(商標))、モノイソプロパノールアミン(MIPA)、及び2-(2-アミノエトキシ)エタノール(DGA)を含む様々なレベルの2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールで処方された。アルカリ性クリーナー/除去剤(水で1:64に希釈)は、仕上げの4つのコートを除去する場合は剥離剤(水で1:48に希釈)と同等であり、仕上げの10つのコートを除去する場合はわずかにダウンスケールする。カリフォルニア州大気資源局(CARB)の規制に基づいて、仕上げを除去する処方に3%を超えるVOCが含まれている場合、それは「剥離剤」と見なされる。
【0127】
図4を参照すると、実施例2Bの除去剤溶液は、都市土壌試験又はASTM D4488標準試験に従った洗浄試験を使用して、クリーナー及び剥離剤溶液と比較された。図4に示されるように、実施例2Bの除去溶液は、剥離剤と洗浄液との間で有効に機能する。有利なことに、除去剤溶液は、VOC含有量が低く、希釈時に非腐食性である。
【0128】
[実施例5]
図5を参照すると、実施例2Bの除去剤溶液は、修正ASTM D1792標準試験に従って修正された長期除去性床研磨試験を使用して、クリーナー及び剥離剤溶液と比較された。この試験は、現場での老化を刺激する処理期間後の床研磨剤の除去性を予測するために使用できる。それは、研磨剤の実際の除去性を唯一の変数として残して、均一な機械的及び洗剤作用を可能にする。
【0129】
ここで使用されているASTMD1792の修正バージョンでは、除去剤/クリーナー/剥離剤溶液を塗布する滞留時間が標準の1分から10秒に短縮され、各テストで30mLの溶液が使用され、塗布パッドは除去剤/クリーナー/剥離剤溶液に浸されてなく、硬化時間は、標準の48時間から100°Fで100時間に増加する。
【0130】
1:55希釈の実施例2Bの除去剤溶液は、1:128希釈のGP Forward、1:128希釈のBuckeye Blue、1:128希釈のSpartan Tribase、1:128希釈のUHS、及び1:128希釈のProminenceなど、テストした他の全ての床クリーナーよりも全てのテスト済み床仕上げで良好に機能する。
【0131】
本開示は、1つ以上の非限定的な例示的な実施形態を説明し、明示的に述べられたものを除いて、多くの同等物、代替物、変形例、及び修正が可能であり、本発明の範囲内であることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5