(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】水溶性単位用量物品を使用して布地を洗濯するプロセス
(51)【国際特許分類】
D06L 1/12 20060101AFI20240219BHJP
C11D 1/29 20060101ALI20240219BHJP
C11D 1/44 20060101ALI20240219BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20240219BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240219BHJP
D06L 1/20 20060101ALI20240219BHJP
C12N 9/54 20060101ALN20240219BHJP
【FI】
D06L1/12
C11D1/29 ZAB
C11D1/44 ZNA
C11D3/386 ZBP
C11D17/04
D06L1/20
C12N9/54
(21)【出願番号】P 2020569758
(86)(22)【出願日】2019-07-02
(86)【国際出願番号】 US2019040242
(87)【国際公開番号】W WO2020023189
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2020-12-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-13
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】シヴィク、マーク・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】デノーム、フランク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】スーター、フィリップ・フランク
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】久保 克彦
【審判官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-517989(JP,A)
【文献】特表2013-505375(JP,A)
【文献】特表2017-530268(JP,A)
【文献】特表2017-514852(JP,A)
【文献】特表2016-540701(JP,A)
【文献】特表2015-509147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06L 1/12, C11D 1/29, C11D 1/44, C11D 3/386, C11D 17/04, D06L 1/20, C12N 9/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地を洗浄するプロセスであって、
a.その上に付着した皮脂を含む布地を得る工程と、
b.洗浄工程において前記布地を処理する工程であって、前記洗浄工程が、前記布地を洗浄液と接触させることを含む、工程と、
を含み、
前記洗浄液が、水溶性単位用量を水で300~800倍に希釈することによって調製され、前記洗浄液が、8以上のpHからなり、
前記水溶性単位用量が、
10重量%~80
重量%のアルキルアルコキシル化サルフェートと、
1つ以上の塩基pH調整剤と、1つ以上のプロテアーゼ酵素と、
を含
み、
前記水溶性単位用量が、繊維構造体を含む、プロセス。
【請求項2】
c.すすぎ工程において工程bからの前記布地を処理する工程であって、前記すすぎ工程が、前記布地をすすぎ溶液と接触させることを含む、工程を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記アルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤が、好ましくは1~3.5、より好ましくは1~3、更により好ましくは1~2の平均エトキシル化度を有するアルキルエトキシル化界面活性剤である、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記1つ以上のプロテアーゼ酵素が、6.5~11.5の等電点を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記水溶性単位用量が、アルコキシル化アミンを更に含み、前記アルコキシル化アミンが、エトキシレート(EO)基、プロポキシレート(PO)基、又はこれらの組み合わせ、好ましくはエトキシレート(EO)基を含む、請求項
1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記塩基pH調整剤が、硫酸イオン、リン酸二水素イオン、フッ化物イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、硫化水素イオン、アンモニア、炭酸イオン、水酸化物イオン、及びこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記塩基pH調整剤が、水酸化物イオンを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記1つ以上のプロテアーゼ酵素が、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のプロテアーゼ酵素を含む群から選択される、請求項1~
7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記布地が、綿、ポリエステル、綿/ポリエステルブレンド、又はこれらの混合物から選択され、好ましくは綿である、請求項1~
8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記工程が、自動洗濯機、手洗い操作、又はこれらの混合、好ましくは自動洗濯機で行われる、請求項1~
9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記洗浄液が、5℃~90℃の温度である、請求項1~
10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記洗浄工程が、5分~50分かかる、請求項1~
11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記洗浄液が、水溶性単位用量を水で希釈することによって調製される、請求項1~
12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記水溶性単位用量が、1つ以上の非プロテアーゼ酵素を更に含み、前記1つ以上の非プロテアーゼ酵素が、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、キシログルカナーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~
13のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
水溶性繊維構造体と1つ以上の粒子とを含む水溶性単位用量物品の形態の、布地上に活性剤を送達する家庭用ケア組成物、並びにその作製方法が本明細書に記載される。
【背景技術】
【0002】
水溶性単位用量物品は、布地又は硬質表面処理組成物を投入する便利で、効率的で、かつ清潔な方法を提供するので、消費者に望まれている。水溶性単位用量物品は、一定投入量の処理組成物を提供し、それによって、過剰投入又は過少投入を回避する。繊維性水溶性単位用量物品に対する消費者の関心がますます高まってきている。このような物品に関連する技術は、消費者が達成しようとする作業を行うことを可能にする物品と共に、所望の活性剤を供給するという面から進化し続けている。消費者は、液体、粉末、及び水溶性フィルムで構成された単位用量物品などの従来の形態の布地処理組成物と同等以上の洗浄能力をもつ繊維性水溶性単位用量物品を望んでいる。従来の布地洗剤の配合者は、洗剤中にアルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤を組み込むことにより、特に特定の洗浄条件における及び特定の消費者に関連する染みに対する洗剤の洗浄性能を改善できることを理解している。しかし、多くの異なる種類の染みは、異なる洗浄条件及び洗浄組成物で異なる反応を示す。したがって、配合者は、より広範な洗浄条件でより広範な染みを処理するために、アルキルアルコキシル化サルフェート及びアルコキシル化脂肪族アルコール界面活性剤を直鎖状アルキルベンゼンスルホネートなどの他のアニオン性界面活性剤と組み合わせて組み込む場合もある。しかしながら、有効性は、洗浄条件及び単位用量中の他の成分に応じて変化し得る。更に、特定の洗浄条件は、例えば液体洗剤などのいくつかの形態の使用を通して作り出すことが困難である場合がある。除去するのが困難であり得る1つの具体的な種類の染みは、身体の油又は皮脂を原因とする染みである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、洗浄剤を機能させるのに適した環境を作り出すことによって、皮脂などの身体の油染みを除去することが可能な、繊維性水溶性単位用量を処方する必要がある。更に、衣類から皮脂の染みを除去する洗濯方法を有することも必要とされている。驚くべきことに、本明細書に記載されるように、プロテアーゼ及び塩基pH調整剤を含む水溶性単位用量物品は、身体汚れの染みの除去を改善することが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0004】
布地を洗浄するプロセスが開示される。方法は、その上に付着した皮脂を含む布地を得る工程と、洗浄工程において当該布地を処理する工程と、を含み、当該洗浄工程は、当該布地を洗浄液と接触させることを含む。洗浄液は、水溶性単位用量を水で300~800倍に希釈することによって調製される。洗浄液は、8以上のpHからなる。水溶性単位用量は、約10重量%~約80重量%のアルキルアルコキシル化サルフェート、1つ以上の塩基pH調整剤、及び1つ以上のプロテアーゼ酵素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】多プライ繊維構造体の例の断面図の概略図である。
【
図2】水溶性単位用量物品の例の断面図を示すマイクロCTスキャン画像である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
定義
本発明の特性及び利点は、本発明の幅広い表現を与えるように意図される例を含む以下の記述から明らかになる。様々な修正がこの記述及び本発明の実施から当業者には明白となるであろう。この範囲は開示される特定の形態に限定されるようには意図されず、本発明は、特許請求の範囲によって定義されるような本発明の趣旨及び範囲内に含まれる全ての修正、均等物、及び代替物を網羅する。
【0007】
本明細書で使用するとき、「the」、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲又は明細書において使用される場合、特許請求又は記載されているものの1つ以上のものを意味すると理解される。
【0008】
本明細書で使用するとき、用語「含む(include)」、「含む(includes)」及び「含んでいる(including)」は、非限定であることが意図される。
【0009】
「実質的に含まない」又は「実質的にない」という用語は、本明細書で使用するとき、その成分が完全に存在しないこと、又は単に不純物として若しくは別の成分の意図されない副産物として、その最少量であることのいずれかを指す。ある成分を「実質的に含まない」組成物とは、当該組成物が、当該組成物の約0.5重量%、0.25重量%、0.1重量%、0.05重量%、又は0.01重量%未満、又は更には0重量%しか当該成分を含まないことを意味する。
【0010】
用語「含む」は、用語「含む」が「からなる」又は「から本質的になる」ことを意味する実施形態も含むことを理解すべきである。
【0011】
本明細書で使用するとき、「皮脂」は、皮脂腺の油性分泌物、及び皮脂腺の油性分泌物を再現することを意図した任意の人工組成物を指す。例示的な皮脂としては、欧州特許第1482907号に記載されている人工皮脂、欧州特許第0142830(B1)号に記載されている人工皮脂、D4265-14による人工皮脂、CFT PCS-132として販売されている人工皮脂が挙げられるが、これらに限定されない。CFT PCS-132は、18%遊離脂肪酸、32%牛脂(ステアリン酸/オレイン酸トリグリセリド)、4%脂肪酸トリグリセリド、12%炭化水素混合物、18%ラノリン(ろう様エステル、C13~C24)、12%Cutina(ろう及びろうエステル)、及び4%コレステロールの推定組成を有する。
【0012】
引用される特許文献及びその他の文献は全て、関連部分において、あたかもそれが本明細書に完全に再び述べられているかのように参照により組み込まれる。いかなる特許文献又はその他の文献の引用も、引用される特許文献及びその他の文献が本発明に対する先行技術であると認めるものではない。
【0013】
本明細書において、別に指示がない限り、全ての濃度及び比率は、組成物の重量基準である。
【0014】
本明細書の全体をとおして与えられる全ての最大数値限定は、それよりも小さい全ての数値限定を、かかるより小さい数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含むものと理解すべきである。本明細書の全体をとおして与えられる全ての最小数値限定は、それよりも高い全ての数値限定を、かかるより高い数値限定があたかも本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書の全体をとおして与えられる全ての数値範囲は、かかるより広い数値範囲内に含まれるより狭い全ての数値範囲を、かかるより狭い数値範囲があたかも全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。
【0015】
繊維性水溶性単位用量物品
本明細書で使用するとき、語句「水溶性単位用量物品」、「水溶性繊維構造体」、及び「水溶性繊維要素」は、単位用量物品、繊維構造体、及び繊維要素が水と混和性であることを意味する。換言すれば、単位用量物品、繊維構造体、又は繊維要素は、周囲条件で水と均質な溶液を形成することができる。本明細書で使用するとき、「周囲条件」とは、23℃±1.0℃及び相対湿度50%±2%を意味する。水溶性単位用量物品は、水性洗浄条件で約20マイクロメートル未満又は約50マイクロメートル未満の懸濁平均粒径で分散可能である不溶性物質を含有していてもよい。
【0016】
繊維性水溶性単位用量物品は、参照によりその全体が組み込まれる、2018年1月26日に出願された米国特許出願公開第15/880,594号、2018年1月26日出願の米国特許出願公開第15/880,599号、及び2018年1月26日出願の米国特許出願公開第15/880,604号に見出される開示のいずれかを含んでいてよい。
【0017】
これら繊維性水溶性単位用量物品は、様々な洗浄条件下、例えば、低温、少ない水量及び/又は短い洗浄サイクル若しくは消費者が洗濯機に、特に高い吸水能を有する品目を入れすぎた場合のサイクルの下で溶解することができると同時に、(今日の液体製品と同様の性能で)対象とする消費者基材に対して、意図する効果を発揮するのに十分な活性剤を送達する。更に、本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、活性剤を含む繊維を紡糸することによって、経済的に製造することができる。本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、改善された洗浄性能も有する。
【0018】
繊維性水溶性単位用量物品の表面は、印刷領域を含んでいてもよい。印刷領域は、物品の表面の約10%~約100%を網羅していてよい。印刷領域は、インク、顔料、染料、青味剤、又はこれらの混合物を含んでいてよい。印刷領域は、不透明でも、半透明でも、透明でもよい。印刷領域は、単色を含んでいても、複数の色を含んでいてもよい。印刷領域は、物品の1つを超える側面上に存在してよく、説明の文章及び/又は図形を含んでいてよい。水溶性単位用量物品の表面は、嫌悪剤、例えば、苦味剤を含んでいてよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロース八酢酸、塩酸キニーネ、安息香酸デナトニウム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤を使用してよい。好適な濃度としては、1~5000ppm、又は更には100~2500ppm、又は更には250~2000ppmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書に開示される水溶性単位用量物品は、水溶性繊維構造体及び1つ以上の粒子を含む。水溶性繊維構造体は、複数の繊維要素、例えば複数のフィラメントを含んでいてよい。1つ以上の粒子、例えば1つ以上の活性剤含有粒子は、構造体全体にわたって分布し得る。水溶性単位用量物品は、相互に絡み合っているか、ないしは別の方法で互いに関連付けられて繊維構造体を形成する複数の2つ以上及び/又は3つ以上の繊維要素と、当該繊維構造体全体にわたって分布し得る1つ以上の粒子とを含んでいてよい。
【0020】
繊維性水溶性単位用量物品は、本明細書に記載の厚さ試験法によって測定したとき、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約100mm以下、及び/又は約50mm以下、及び/又は約20mm以下、及び/又は約10mm以下、及び/又は約5mm以下、及び/又は約2mm以下、及び/又は約0.5mm以下、及び/又は約0.3mm以下の厚さを呈し得る。
【0021】
繊維性水溶性単位用量物品は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定したとき、約500グラム/m2~約5,000グラム/m2、又は約1,000グラム/m2~約4,000グラム/m2、又は約1,500グラム/m2~約3,500グラム/m2、又は約2,000グラム/m2~約3,000グラム/m2の坪量を有し得る。
【0022】
繊維性水溶性単位用量物品は、水溶性繊維構造体と、当該構造体全体にわたって分布する複数の粒子とを含んでいてよく、当該水溶性繊維構造体は、組成上の観点から、同一又は実質的に同一の複数の繊維要素を含む。水溶性繊維構造体は、2つ以上の異なる繊維要素を含んでよい。繊維要素の相違点の非限定的な例は、直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性の違いなどの物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色、活性剤の濃度、坪量、フィラメント形成材料の濃度、繊維要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角などの化学的な違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素の形態が変化するかどうかの違い;及び意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその活性剤のうちの1つ以上を放出する速度の違いであり得る。繊維構造体内の2つ以上の繊維要素は、異なる活性剤を含んでいてよい。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤及びカチオン性ポリマーが互いに不適合であり得る場合であり得る。異なる繊維要素を使用するとき、得られる構造体は、異なる湿潤、吸水、及び溶解度の特徴を呈し得る。
【0023】
繊維性水溶性単位用量物品は、異なる領域、例えば坪量、密度、キャリパー(caliper)、及び/又は湿潤の特徴の異なる領域を呈し得る。繊維性水溶性単位用量物品は、端封点で圧縮されてもよい。繊維性水溶性単位用量物品は、その表面の1つ以上に織り目(texture)を含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品の表面は、非ランダムな反復パターンなどのパターンを含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品は、開口部を含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品は、構造体における繊維要素の他の領域とは異なる、繊維要素の離散領域を有する繊維構造体を含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品は、そのまま使用されてもよく、1つ以上の活性剤でコーティングされてもよい。
【0024】
繊維性水溶性単位用量物品は、1つ以上のプライを含んでいてよい。繊維性水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの、及び/又は少なくとも3つの、及び/又は少なくとも4つの、及び/又は少なくとも5つのプライを含んでいてよい。繊維性プライは、繊維構造体であり得る。各プライは、1つ以上の層、例えば、1つ以上の繊維要素層、1つ以上の粒子層、及び/又は1つ以上の繊維要素/粒子混合層を含んでいてよい。当該層は封止されてもよい。特に、粒子層及び繊維要素/粒子混合物層は、粒子が漏出しないように封止され得る。水溶性単位用量物品は、複数のプライを含んでいてよく、各プライは、1つの層が繊維要素層であり、1つの層が繊維要素/粒子混合層である2つの層を含み、複数のプライは一緒に封止される(例えば、縁部で)。封止は、粒子の漏出を阻止することに加えて、単位用量物品がその元の構造を維持するのに役立ち得る。しかしながら、水溶性単位用量物品を水に添加した際、単位用量物品は溶解して、粒子を洗浄液中に放出する。
【0025】
図2は、3つのプライを含む水溶性単位用量物品の例の断面図を示すマイクロCTスキャン画像であり、図中、各プライは、繊維状要素層及び繊維要素/粒子混合物層の2つの層で形成されている。3つのプライのそれぞれは、複数の繊維要素30、この場合フィラメントと、複数の粒子32とを含む。多プライの多層物品は、粒子が漏出しないように縁部200で封止される。物品202の外面は、繊維要素層である。
【0026】
繊維要素及び/又は粒子は、異なる活性剤を含む2つ以上の領域を水溶性単位用量物品に提供するように、当該物品内、単一プライ内、又は複数のプライ内に配置され得る。例えば、物品の1つの領域は、漂白剤及び/又は界面活性剤を含んでいてよく、物品の別の領域は、柔軟剤を含んでいてよい。
【0027】
繊維性水溶性単位用量物品は、消費者が水溶性物品と相互作用する形態から始まり、水溶性物品が作製される原材料、例えば、プライ、繊維構造体、及び粒子に向かって逆に作用するように階層的に見ることができる。繊維性プライは、繊維構造体であり得る。例えば、
図1は、第1のプライ10及び第1のプライ10に関連付けられている第2のプライ15を示し、第1のプライ10及び第2のプライ15はそれぞれ、複数の繊維要素30、この場合フィラメントと複数の粒子32とを含む。第2のプライ15では、粒子32は、x軸、y軸、及びz軸にランダムに分散しており、第1のプライでは、粒子32はポケット内にある。
【0028】
驚くべきことに、水溶性繊維構造体と、本明細書に記載のアルキルアルコキシル化サルフェートを含む1つ以上のレオロジー変性粒子とを含む繊維性水溶性単位用量物品は、改善された溶解及び洗浄を呈することが見出された。より具体的には、本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、水溶性繊維構造体と、(a)約10重量%~約80重量%のアルキルアルコキシル化サルフェート及び(b)約0.5重量%~約20重量%のレオロジー変性剤を含む1つ以上のレオロジー変性粒子とを含んでいてよい。本明細書に記載の粒子は、(上記の界面活性剤に加えて)1つ以上の追加の活性剤を含んでよい。
【0029】
レオロジー変性粒子は、
(a)約10重量%~約80重量%のアルキルアルコキシル化サルフェートと、
(b)約0.5重量%~約20重量%の、アルコキシル化アミン、好ましくはアルコキシル化ポリアミン、より好ましくは四級化又は非四級化アルコキシル化ポリエチレンイミンからなる群から選択されるレオロジー変性剤であって、当該アルコキシル化ポリアルキレンイミンが、ポリアルキレンイミンコアにおける少なくとも1つの窒素原子に結合している1以上のアルコキシ側鎖を有するポリアルキレンイミンコア、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマーであって、x1及びx2のそれぞれは約2~約140の範囲であり、yは約15~約70の範囲であるトリブロックコポリマー、及びこれらの混合物を有する、レオロジー変性剤とを含んでいてよい。
【0030】
本明細書で使用するとき、用語「レオロジー変性剤」は、濃縮界面活性剤の粘度及び弾性を実質的に低下させるように、濃縮界面活性剤、好ましくは中間状態の相構造を有する濃縮界面活性剤と相互作用する材料を意味する。好適なレオロジー変性剤としては、ソルビトールエトキシレート、グリセロールエトキシレート、ソルビタンエステル、タローアルキルエトキシル化アルコール、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマーであって、x1及びx2のそれぞれは約2~約140の範囲であり、yは約15~約70の範囲であるトリブロックコポリマー、アルコキシル化アミン、アルコキシル化ポリアミン、ポリエチレンイミン(polyethyleneimine、PEI)、PEIのアルコキシル化変異型、好ましくはエトキシル化PEI、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。レオロジー変性剤は、約2,000ダルトン~約8,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)と組み合わせて、上記のポリマーのうちの1つ、例えば、エトキシル化PEIを含んでいてよい。
【0031】
本明細書で使用するとき、用語「機能性レオロジー変性剤」は、追加の洗剤機能性を有するレオロジー変性剤を意味する。場合によっては、本明細書で以下に記載される分散剤ポリマーが、機能性レオロジー変性剤としても機能し得る。機能性レオロジー変性剤は、組成物の約0.5重量%~約20重量%、好ましくは約1重量%~約15重量%、より好ましくは約2重量%~約10重量%の濃度で本発明の洗剤粒子中に存在し得る。
【0032】
理論に束縛されるものではないが、機能性レオロジー変性剤は、中間相界面活性剤、特にアルコール系アニオン性サルフェート界面活性剤の分子構造と相互作用することができ、当該中間相は、固相界面活性剤よりも多くの水を有し、洗浄溶液に特有のミセル相よりも少ない水を有すると考えられる。換言すれば、中間相界面活性剤は、水溶性繊維構造体及び粒子を含む繊維性水溶性単位用量物品の成功使用において達成され得る、固体からミセル相への移行状態を表し、この中間状態のレオロジーが粘稠又は粘着性でありすぎる場合、不十分な局所希釈及び/又は不十分な剪断の状況下で、布地に望ましくない残渣が生じる場合がある。当該中間相の粘度及び弾性を実質的に低減することにより、レオロジー変性剤が分散を支援するので、布地に残渣が形成されるリスクが軽減する。更に、形成され得る任意の残渣、例えば、塊状ゲルについては、レオロジー変性剤がその持続性を低減することができる。正味の効果は、洗浄を通して布地に残存する界面活性剤残渣の発生を軽減することである。
【0033】
アルコキシル化アミン:アルコキシル化アミンは、濃縮界面活性剤混合物のpH範囲にわたって部分的に若しくは完全にプロトン化されていてもよく、プロトン化されていなくてもよい。あるいは、アルコキシル化アミンは、部分的に又は完全に四級化されていてもよい。アルコキシル化アミンは、四級化されていなくてもよい。アルコキシル化アミンは、エトキシレート(EO)基を含んでいてよい。
【0034】
アルコキシル化アミンは、直鎖状、分枝状、又はこれらの組み合わせであってよく、好ましくは分枝状であってよい。
【0035】
アルコキシル化アミンは、N,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(ヒドロキシアルキルアミンの種類としても記載される)などの2つ以上のアミン部分を含有していてよい。N,N,N’,N’-テトラ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミンは、キレート剤としても機能する。
【0036】
アルコキシル化アミンは、アルコキシル化ポリアルキレンイミンを含むアルコキシル化アミンを含んでいてよい(又はであってもよい)。アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、アルコキシル化ポリエチレンイミン(PEI)であってよい。
【0037】
典型的に、アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、ポリアルキレンイミン骨格鎖を含む。ポリアルキルイミンは、C2アルキル基、C3アルキル基、又はこれらの混合物、好ましくはC2アルキル基を含んでいてよい。アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、ポリエチレンイミン(「PEI」)骨格鎖を有していてよい。
【0038】
アルコキシル化PEIは、エトキシル化前に測定したとき、約400~約1000、又は約500~約750、又は約550~約650、又は約600の重量平均分子量を有するポリエチレンイミン骨格鎖を含んでいてよい。
【0039】
本明細書に記載のポリマーのPEI骨格鎖は、アルコキシル化前に、以下の一般実験式:
【0040】
【化1】
(式中、Bは、分岐によるこの構造の連続を表す)を有していてよい。いくつかの態様では、n+mは、8、又は10、又は12、又は14、又は18、又は22以上である。
【0041】
アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、アルコキシル化窒素基を含む。アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、独立して、アルコキシル化窒素1個当たり平均して、約50以下、又は約40以下、又は約35以下、又は約30以下、又は約25以下、又は約20以下のアルコキシレート基を含んでいてよい。アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、独立して、アルコキシル化窒素1個当たり平均して、少なくとも約5、又は少なくとも約10、又は少なくとも約15、又は少なくとも約20のアルコキシレート基を含んでいてよい。
【0042】
アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、好ましくはアルコキシル化PEIは、エトキシレート(EO)基、プロポキシレート(PO)基、又はこれらの組み合わせを含んでいてよい。アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、好ましくはアルコキシル化PEIは、エトキシレート(EO)基を含んでいてよい。アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、好ましくはアルコキシル化PEIは、プロポキシレート(PO)基を含んでいなくてよい。
【0043】
アルコキシル化アミン、好ましくはアルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、より好ましくはアルコキシル化PEIは、アルコキシル化窒素1個当たり平均して、約1~50のエトキシレート(EO)基及び約0~5のプロポキシレート(PO)基を含んでいてよい。アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、好ましくはアルコキシル化PEIは、アルコキシル化窒素1個当たり平均して、約1~50のエトキシレート(EO)基を含んでいてよく、かつプロポキシレート(PO)基を含まない。アルコキシル化ポリアルキレンイミンポリマー、好ましくはアルコキシル化PEIは、アルコキシル化窒素1個当たり平均して、約10~30のエトキシレート(EO)基、好ましくは約15~25のエトキシレート(EO)基を含んでいてよい。
【0044】
好適なポリアミンとしては、低分子量、水溶性、かつ軽度にアルコキシル化されたエトキシル化/プロポキシル化ポリアルキレンアミンポリマーが挙げられる。「軽度にアルコキシル化された」とは、本発明のポリマーが、窒素1個当たり平均して約0.5~約20、又は0.5~約10のアルコキシル化を生じさせることを意味する。ポリアミンは「実質的に非荷電」であってもよく、これはpH10又はpH7でポリアルキレンアミンポリマーの主鎖中に存在する約40個の窒素毎に約2個以下の正電荷が存在することを意味する。しかしながら、ポリマーの電荷密度はpHと共に変化し得ることが認識されている。
【0045】
PEI600 EO20などの好適なアルコキシル化ポリアルキレンイミンは、BASF(Ludwigshafen,Germany)から入手可能である。
【0046】
エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマー:エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマーにおいて、x1及びx2のそれぞれは約2~約140の範囲であり、yは約15~約70の範囲である。エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマーは、好ましくは、20~70、好ましくは30~60、より好ましくは45~55のプロピレンオキシド単位の平均プロピレンオキシド鎖長を有する。
【0047】
好ましくは、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマーは、約1000~約10,000ダルトン、好ましくは約1500~約8000ダルトン、より好ましくは約2000~約7000ダルトン、更により好ましくは約2500~約5000ダルトン、最も好ましくは約3500~約3800ダルトンの重量平均分子量を有する。
【0048】
好ましくは、各エチレンオキシドブロック又は鎖は、独立して、2~90、好ましくは3~50、より好ましくは4~20のエチレンオキシド単位の平均鎖長を有する。
【0049】
好ましくは、コポリマーは、コポリマーの10重量%~90重量%、好ましくは15重量%~50重量%、最も好ましくは15重量%~25重量%の複合エチレン-オキシドブロックを含む。最も好ましくは、総エチレンオキシド含量は、2つのエチレンオキシドブロックに等しく分けられる。本明細書において等しく分けられるとは、各エチレンオキシドブロックが平均でエチレンオキシド単位の総数の40%~60%、好ましくは45%~55%、更により好ましくは48%~52%、最も好ましくは50%を含み、両エチレンオキシドブロックの%が合計100%になることを意味する。いくつかのエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマー(式中、x1及びx2のそれぞれは、約2~約140の範囲であり、yは、約15~約70の範囲である)は、洗浄性を改善する。
【0050】
好ましくは、コポリマーは、約3500~約3800ダルトンの重量平均分子量、45~55のプロピレンオキシド単位のプロピレンオキシド含量、並びにエチレンオキシドブロック当たり4~20のエチレンオキシド単位のエチレンオキシド含量を有する。
【0051】
好ましくは、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマーは、1000~10,000ダルトン、好ましくは1500~8000ダルトン、より好ましくは2000~7500ダルトンの重量平均分子量を有する。好ましくは、コポリマーは、コポリマーの10重量%~95重量%、好ましくは12重量%~90重量%、最も好ましくは15重量%~85重量%の複合エチレン-オキシドブロックを含む。いくつかのエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマーであって、x1及びx2のそれぞれは約2~約140の範囲であり、yは約15~約70の範囲であるトリブロックコポリマーは、溶解を改善する。
【0052】
好適なエチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシドトリブロックコポリマーは、BASF社からPluronic PEシリーズとして又はDow Chemical社からTergitol Lシリーズとして市販されている。特に好適な材料は、Pluronic PE 9200である。
【0053】
アルキルアルコキシル化サルフェート:アルキルアルコキシル化サルフェート(alkylalkoxylated sulfate、AAS)は、アルキルエトキシル化サルフェート(alkylethoxylated sulfate、AES)、好ましくは約0.5~約3.0の平均エトキシル化度を有するエトキシル化C12~C18アルキルサルフェートであってよい。
【0054】
典型的に、アルキルアルコキシル化サルフェートのレオロジー変性剤に対する重量比は、4:1~40:1の範囲である。アルキルアルコキシル化サルフェートのレオロジー変性剤に対する重量比は、アルキルアルコキシル化サルフェートのアルコール前駆体の分子量、アルコキシル化度、及びブレンドされた界面活性剤系中のLAS/AESのブレンド比に依存し得る。例えば、約1.0(例えば、NaAE1S)のエトキシル化度、約1/3のNaLAS/NaAE1Sブレンド比、及び12個~15個の炭素鎖長ブレンドを有するAE1アルコール前駆体の場合、機能性レオロジー変性剤/NaAE1S質量比は、溶解を改善するために少なくとも約7%であり得、14個~15個の炭素鎖長ブレンドを有するより高MWのアルコール前駆体の場合、好ましい機能性レオロジー変性剤/NaAE1S質量比は、少なくとも約9%であり得る。機能性レオロジー変性剤の濃度は、広範囲の可能なアニオン性界面活性剤材料及びそのブレンド比にわたって製品の溶解を維持するように調整することができる。
【0055】
NaAES界面活性剤の質量に対するレオロジー変性剤(rheology modifier、RM)の質量は、以下の関係に従うことができる、RM/NaAES≧f(alc)/(a×(LAS/AES)+b)(式中、f(alc)は、AES界面活性剤を作製するために使用されるアルコールの構造及び分子量の関数であり、(LAS/AES)は、界面活性剤ペースト中のLASのAESに対するブレンド比であり、aは~30であり、bは~2である)。主にC12~C15の直鎖状アルコールエトキシレート(C25AE1)の基準ブレンドについては、f(alc)は~1.0であり、主にC14~C15の直鎖状アルコールエトキシレート(C45AE1)の基準ブレンドについては、f(alc)は~1.2である。上記指針は、エトキシル化度及びエトキシル化アルコール前駆体のAES界面活性剤への任意の分岐構造に更に依存する。上記指針は、ガイダンス比として表すことができ、≧1の値は、改善された溶解を示し得、<1の値は、より悪い溶解を示し得る。ガイダンス比は、(RM/NaAES)/(f(alc)/(30×(LAS/AES)+2))である。
【0056】
粒子は、約15重量%~約60重量%、若しくは20重量%~40重量%のアルキルアルコキシル化サルフェート、又は30重量%~80重量%、若しくは更には50重量%~70重量%のアルキルアルコキシル化サルフェートを含んでいてよい。
【0057】
粒子は、アルキルベンゼンスルホネート、例えば、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(linear alkylbenzene sulfonate、LAS)を含んでいてよい。粒子は、1重量%~50重量%のアルキルベンゼンスルホネート、又は5重量%~30重量%のアルキルベンゼンスルホネートを含んでいてよい。
【0058】
粒子は、D50が約150マイクロメートル超~約1700マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D50が約212マイクロメートル超~約1180マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D50が約300マイクロメートル超~約850マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D50が約350マイクロメートル超~約700マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D20が約150マイクロメートル超であり、D80が約1400マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D20が約200マイクロメートル超であり、D80が約1180マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D20が約250マイクロメートル超であり、D80が約1000マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D10が約150マイクロメートル超であり、D90が約1400マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D10が約200マイクロメートル超であり、D90が約1180マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D10が約250マイクロメートル超であり、D90が約1000マイクロメートル未満になるような粒径分布を有し得る。
【0059】
粒子は、ビーズ様洗剤又はその誘導体において使用され得る。粒子は、D50が約1mm超~約4.75mm未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D50が約1.7mm超~約3.5mm未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D20が約1mm超であり、D80が約4.75mm未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D20が約1.7mm超であり、D80が約3.5mm未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D10が約1mm超であり、D90が約4.75mm未満になるような粒径分布を有し得る。粒子は、D10が約1.7mm超であり、D90が約3.5mm未満になるような粒径分布を有し得る。
【0060】
粒径分布は、本出願人らの粒度分布試験法に従って測定される。
【0061】
粒子は、約10重量%~約80重量%、好ましくは約20重量%~約60重量%、好ましくは約30重量%~約50重量%の洗剤ビルダーを含んでいてよい。
【0062】
粒子は、約2重量%~約40重量%、好ましくは約5重量%~約30重量%、好ましくは約10重量%~約20重量%の緩衝剤を含んでいてよい。
【0063】
粒子は、約2重量%~約20重量%、好ましくは約5重量%~約10重量%のキレート剤を含んでいてよい。
【0064】
粒子は、約2重量%~約20重量%、好ましくは約5重量%~約10重量%の分散剤ポリマーを含んでいてよい。
【0065】
粒子は、0.5重量%~15重量%の可溶性フィルム又は繊維構造化ポリマーを含んでいてよい。可溶性フィルム又は繊維構造化ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピリリドン、ポリエチレンオキシド、変性デンプン又はセルロースポリマー、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。このようなポリマーは、可溶性繊維又はフィルム材料、例えば、パウチ材料を含む単位用量製品を含む製品リサイクル流に存在することがあり、この場合、当該リサイクル材料を本粒子に組み込むことが有利である。
【0066】
レオロジー変性粒子は、例えば米国特許出願公開第2007/0196502号に開示されているように、層組成物でコーティング又は少なくとも部分的にコーティングされていてよい。好ましくは、層組成物は、非界面活性剤活性物質を含む。より好ましくは、当該非界面活性剤活性物質は、ビルダー、緩衝剤、及び分散剤ポリマーからなる群から選択される。更により好ましくは、当該非界面活性剤活性物質は、ゼオライトA、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び可溶性ポリカルボキシレートポリマーからなる群から選択される。これは、活性物質(非限定的な例としてはAES)が冷水及び/又は高硬度洗浄水条件下で洗浄するのに好適である場合に特に有利である。層中に活性物質が存在すると、冷水及び/又は硬度耐性化学物質の初期溶解が促進される。理論に束縛されるものではないが、より早い順序で冷水及び硬度耐性化学物質が溶解すると、より多くの従来の洗浄活性物質(非限定的な例としてはLAS界面活性剤)を保護することができ、その結果、優れた全体的な洗浄性能をもたらすと仮定される。
【0067】
レオロジー変性粒子の作製プロセス
アルキルアルコキシル化サルフェートアニオン性洗浄界面活性剤とレオロジー変性剤、好ましくは機能性レオロジー変性剤との混合物を含む濃縮水性ペーストを使用して、ペースト凝集プロセスに従ってレオロジー変性洗剤粒子を作製することができる。ペースト凝集プロセスは、(a)粉末原材料を混合造粒機内に添加する工程であって、当該粉末原材料が、1つ以上の乾燥ビルダー、緩衝剤、分散剤ポリマー又はキレート剤成分、必要な粉末プロセス助剤、及び凝集プロセスからリサイクルされた微粉を含み得る、工程と、(b)濃縮界面活性剤と機能性レオロジー変性剤とのプレミックスを含むペーストを添加する工程と、(c)当該混合造粒機を稼働させて、当該ペーストに当該粉末を分散させ、凝集体を形成するのに好適な混合流れ場を提供する工程と、任意選択的に、(d)追加の粉末成分を添加して、凝集体を少なくとも部分的にコーティングし、その表面のべたつきを少なくする工程と、(e)任意選択的に、得られた凝集体を流動床乾燥機内で乾燥させて、過剰な水分を除去する工程と、(f)任意選択的に、流動床冷却器内で凝集体を冷却する工程と、(g)好ましくは、工程e及び/又はfの流動床から水簸(elutriation)することによって、凝集体の粒径分布から任意の過剰な微粒子を除去し、微粉を工程aに戻してリサイクルする工程と、(h)好ましくはふるい分類によって、凝集体の粒径分布から過剰なオーバーサイズ粒子を除去することと、(i)当該オーバーサイズ粒子を粉砕し、粉砕された粒子を工程a、e、又はfにリサイクルする工程とを含む。ペースト凝集プロセスは、バッチプロセス又は連続プロセスであってよい。
【0068】
上記の好ましい実施形態の変形例は、工程(b)の予混合界面活性剤ペーストとは別の流れに追加のLAS補助界面活性剤を添加することを含み得る。プロセスのオプションとしては、工程(a)において、予め中和されたLASを固体粉末として添加すること、工程(b)において、補助材料として中和又は部分的に中和されたLASペーストを添加すること、又は工程(b)において、補助材料として液体酸前駆体(HLAS)を添加することが挙げられる。後者の場合、凝集プロセス中にHLASを有効に中和するために、工程(a)で添加された粉末中に十分な遊離アルカリが存在しなければならない。あるいは、HLASの中和を別個の前処理工程で行ってもよく、まずHLASをアルカリバッファ粉末成分及び他の任意の固体キャリアと予混合して、粉末形態のLAS及びアルカリバッファ粉末の中和されたプレミックスを形成し、次いで、上記の工程(a)で当該プレミックスを添加する。
【0069】
あるいは、アルキルアルコキシル化サルフェートアニオン性洗浄界面活性剤とレオロジー変性剤との混合物を含む濃縮水性ペースト、押出プロセスを使用してもよい。押出プロセスは、当該技術分野において周知である。
【0070】
あるいは、レオロジー変性洗剤粒子を作製するために、レオロジー変性剤を凝集プロセスにおいて結合剤として使用してもよい。
【0071】
驚くべきことに、レオロジー変性粒子は、レオロジー変性剤を含まない同じ粒子と比較して、より微細かつより強力である。
【0072】
pH調整剤
単一単位用量は、洗浄液のpHをpH8超に上昇させる1つ以上の塩基pH調整剤を含んでいてよい。好適な塩基pH調整剤としては、硫酸イオン、リン酸二水素イオン、フッ化物イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、硫化水素イオン、アンモニア、炭酸イオン、水酸化物イオン、及びこれらの組み合わせを含む化合物が挙げられるが、これらに限定されない。塩基pH調整剤を含めることは、例えばクエン酸などの酸pH調整剤を含めることを除外しない。単一単位用量は、洗浄液の最終pHが8超、例えば、8.2、8.4、8.6、8.8、9、9.2、9.4、9.6、9.8、10、10.2、10.4、10.6、10.8、11、11.2、11.4、11.6、11.8、12、12.2、12.4、12.6、12.8又は13である限り、酸pH調整剤を含み得る。
【0073】
濃縮界面活性剤ペースト
濃縮界面活性剤ペーストは、他の成分と組み合わせてレオロジー変性粒子を形成することができる中間組成物である。濃縮界面活性剤組成物は、以下の成分:アルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤を含み得る界面活性剤系;本明細書に記載されるレオロジー変性剤;有機溶媒系、並びに水を含んでも、これらから本質的になるものであっても、又はこれらからなるものであってもよい。これら成分は、以下により詳細に記載される。
【0074】
濃縮界面活性剤組成物は、当該組成物の約70重量%~約90重量%の界面活性剤系であって、約50%から、又は約60%から、又は約70%から、又は約80%から約100%までのアルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤を含み得る、界面活性剤系と、当該組成物の約0.1重量%~約25重量%のレオロジー変性剤と、当該組成物の約5重量%未満の有機溶媒系と、水と、を含み得る。ペーストの界面活性剤系は、好ましくは、LAS補助界面活性剤を含む。LASが界面活性剤系に含まれる場合、LAS:AESの比は、約0~約1、好ましくは約0.2~約0.7、より好ましくは約0.25~約0.35であってよい。
【0075】
固体キャリア:好適な固体キャリアとしては、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物などの無機塩が挙げられる。他の好ましい固体キャリアとしては、ゼオライトなどのアルミノケイ酸塩、微粉末形態の乾燥分散剤ポリマー、及び吸収剤グレードのヒュームド又は沈降シリカ(例えば、Evonik Industries AGによって商標名SN340で市販されている沈降親水性シリカ)が挙げられる。固体キャリア材料の混合物を使用してもよい。
【0076】
繊維構造体
繊維状構造体は、1つ以上の繊維状要素を含む。繊維要素は、互いに関連付けられて構造体を形成することができる。繊維構造体は、構造体内及び又は構造体上に粒子を含み得る。繊維構造体は、均質、層状、単一、ゾーン形、又は他の点で望ましいとおりであってよく、異なる活性剤が様々な前述の部分を画定する。
【0077】
繊維構造体は、1つ以上の層を含んでいてよく、層は共にプライを形成する。
【0078】
繊維要素
繊維要素は、水溶性であってよい。繊維要素は、1つ以上のフィラメント形成材料及び/又は界面活性剤などの1つ以上の活性剤を含んでよい。1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が曝されたときなどに、繊維要素から放出可能であり得る。
【0079】
本発明の繊維要素は、好適な紡糸プロセス操作(例えばメルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡糸など)を介して、繊維要素形成組成物とも称されるフィラメント形成組成物から紡糸され得る。
【0080】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成組成物」及び/又は「繊維要素形成組成物」は、メルトブローイング及び/又はスパンボンディングなど、本発明の繊維要素を製造するのに好適な組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料であって、材料を繊維要素へと紡糸するのに好適なものにする特性を呈する材料を含む。フィラメント形成材料は、ポリマーを含み得る。1つ以上のフィラメント形成材料に加えて、フィラメント形成組成物は、1つ以上の活性剤、例えば、界面活性剤を含んでいてよい。更に、フィラメント形成組成物は、1種以上の極性溶媒(水など)を含んでもよく、この極性溶媒中に、1つ以上の、例えば全てのフィラメント形成材料及び/又は1つ以上の、例えば全ての活性剤が、繊維要素(フィラメント形成組成物に由来するフィラメントなど)を紡糸する前に、溶解及び/又は分散される。
【0081】
フィラメント形成組成物は、2つ以上の異なるフィラメント形成材料を含んでいてよい。したがって、繊維要素は、単成分(1種のフィラメント形成材料)、及び/又は二成分などの多成分であってよい。2つ以上の異なるフィラメント形成材料をランダムに組み合わせて繊維要素を形成してもよい。2つ以上の異なるフィラメント形成材料は、シースコア型の二成分繊維要素などのように規則正しく結合して繊維要素を形成してもよく、これは、本開示の目的において、異なるフィラメント形成材料のランダムな混合物であるとはみなされない。二成分繊維要素は、サイドバイサイド、シースコア、海島型などの任意の形態であってよい。
【0082】
繊維要素は、アルキルアルコキシル化サルフェートを実質的に含んでいなくてよい。各繊維要素は、乾燥繊維要素基準で、約0重量%、又は約0.1重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%から約0.2重量%、又は約1重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%、又は約50重量%のアルキルアルコキシル化サルフェートを含んでいてよい。繊維要素のそれぞれにおけるアルキルアルコキシル化サルフェートの量は、その加工安定性及びフィルム溶解性に影響を及ぼさないように十分に少量である。アルキルアルコキシル化サルフェートは、水に溶解すると、特定の濃度範囲、例えば30~60重量%で高度に粘稠な六角の相を経ることがあり、その結果、ゲル状物質が生じる。したがって、繊維要素に相当量組み込まれた場合、アルキルアルコキシル化サルフェートは、水溶性単位用量物品の水への溶解を著しく減速させ得、更により悪いことには、後で溶解していない固体が残る。それに対応して、このような界面活性剤の大部分は、粒子に配合される。
【0083】
繊維要素はそれぞれ、少なくとも1つのフィラメント形成材料及び活性剤、好ましくは界面活性剤を含有していてよい。界面活性剤は比較的低い親水性を有していてよいが、その理由は、このような界面活性剤は、希釈されたときに粘稠なゲル様の六方晶相を形成する可能性が低いためである。フィラメントの形成においてこのような界面活性剤を使用することにより、洗浄中のゲル形成を有効に低減することができ、ひいては、溶解がより速くなり得、洗浄における残渣が少なくなるか又はなくなり得る。界面活性剤は、例えば、非アルコキシル化C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルサルフェート(AS)、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。界面活性剤は、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)であってよい。LAS界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、市販の直鎖状アルキルベンゼンをスルホン化することによって容易に入手することができる。使用することができる例示的なC6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネートとしては、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムの塩、例えば、C11~C18又はC11~C14直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及び/又はアンモニウムの塩が挙げられる。C12直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、C12直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、すなわち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、第1の界面活性剤として使用してよい。
【0084】
繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも約5重量%、及び/又は少なくとも約10重量%、及び/又は少なくとも約15重量%、及び/又は少なくとも約20重量%、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満、及び/又は約65重量%未満、及び/又は約60重量%未満、及び/又は約55重量%未満、及び/又は約50重量%未満、及び/又は約45重量%未満、及び/又は約40重量%未満、及び/又は約35重量%未満、及び/又は約30重量%未満、及び/又は約25重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超、及び/又は少なくとも約35重量%、及び/又は少なくとも約40重量%、及び/又は少なくとも約45重量%、及び/又は少なくとも約50重量%、及び/又は少なくとも約55重量%、及び/又は少なくとも約60重量%、及び/又は少なくとも約65重量%、及び/又は少なくとも約70重量%、及び/又は約95重量%未満、及び/又は約90重量%未満、及び/又は約85重量%未満、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満の活性剤、好ましくは界面活性剤とを含み得る。繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約80重量%超の界面活性剤を含み得る。
【0085】
好ましくは、各繊維要素は、十分に高い総界面活性剤含有量、例えば、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%の第1の界面活性剤を特徴とし得る。
【0086】
繊維要素中に存在するフィラメント形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約5重量%~約80重量%未満であってよく、繊維要素中に存在する界面活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超~約95重量%であってよい。
【0087】
繊維要素の1つ以上は、他のアニオン性界面活性剤(すなわち、AS及びLAS以外)、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の界面活性剤を含んでいてよい。
【0088】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルスルホネート、C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルカルボキシレート、C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルホスフェート、C6~C20直鎖状又は分枝鎖状アルキルホスホネート、C6~C20アルキルN-メチルグルコースアミド、C6~C20メチルエステルスルホネート(MES)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。非イオン性界面活性剤は、式R(OC2H4)nOHのエトキシル化アルコール及びエトキシル化アルキルフェノールから選択され得、式中、Rは、約8個~約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素ラジカル、及びアルキル基が約8個~約12個の炭素原子を含有するアルキルフェニルラジカルからなる群から選択され、nの平均値は、約5~約15である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、C8~C18アルキルエトキシレート、例えば、Shell製のNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤、アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合物であり得る、C6~C12アルキルフェノールアルコキシレート、C12~C18アルコール、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC6~C12アルキルフェノール縮合物、例えば、BASF製のPluronic(登録商標)、C14~C22中鎖分枝状アルコール(branched alcohols、BA);C14~C22中鎖分枝状アルキルアルコキシレート(BAEx、式中、xは1~30である)、アルキル多糖類、具体的にはアルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、並びにエーテルキャップ化ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性洗浄性界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド及びアルキルアルコキシル化アルコールも挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としてはまた、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0090】
カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、これは26個以下の炭素原子を有し得、アルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;ポリアミンカチオン性界面活性剤;カチオン性エステル界面活性剤;及びアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤としてはまた、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0091】
好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、以下の一般式を有する、四級アンモニウム化合物であり、
(R)(R1)(R2)(R3)N+X-
式中、Rは、直鎖状又は分枝鎖状、置換又は非置換のC6~18アルキル又はアルケニル部分であり、R1及びR2は、独立して、メチル又はエチル部分から選択され、R3は、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル部分であり、Xは、電荷的中性を提供するアニオンであり、好適なアニオンとしては、例えばクロリドのようなハロゲン化物、硫酸塩、及びスルホン酸塩が挙げられる。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C6~18アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリドである。非常に好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C8~10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリド、モノ-C10~12アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリド、及びモノ-C10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリドである。
【0092】
双性イオン性界面活性剤の好適な例としては、複素環式二級及び三級アミンの誘導体を含む、二級及び三級アミンの誘導体;四級アンモニウム、四級ホスホニウム、又は三級スルホニウム化合物の誘導体;アルキルジメチルベタイン、ココジメチルアミドプロピルベタイン、並びにスルホ及びヒドロキシベタインを含むベタイン;C8~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド;N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート(アルキル基はC8~C18であってよい)が挙げられる。
【0093】
好適な両性界面活性剤としては、二級若しくは三級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族基が直鎖状若しくは分枝鎖状であってよく、脂肪族置換基のうちの1つが少なくとも約8個の炭素原子若しくは約8個~約18個の炭素原子を含有し、脂肪族置換基のうちの少なくとも1つがアニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する、複素環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、サルコシネート、グリコシネート、タウリネート、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0094】
繊維要素は、アニオン性界面活性剤のみを含有する界面活性剤系、例えば、単一のアニオン性界面活性剤又は2つ以上の異なるアニオン性界面活性剤の組み合わせのいずれかを含んでいてよい。あるいは、繊維要素は、例えば、1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の双性イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の両性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上のカチオン性界面活性剤との組み合わせ、又は上記の種類の界面活性剤の全て(すなわち、アニオン性、非イオン性、両性、及びカチオン性)の組み合わせを含有する複合界面活性剤系を含んでいてもよい。
【0095】
一般に、繊維要素は、長さが平均直径を大きく上回る、例えば、長さと平均直径との比が少なくとも約10である細長い微粒子である。繊維要素は、フィラメント又は繊維であり得る。フィラメントは、繊維よりも相対的に長い。フィラメントは、約5.08cm(2インチ)以上、及び/又は約7.62cm(3インチ)以上、及び/又は約10.16cm(4インチ)以上、及び/又は約15.24cm(6インチ)以上の長さを有し得る。繊維は、約5.08cm(2インチ)未満、及び/又は約3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は約2.54cm(1インチ)未満の長さを有し得る。
【0096】
1つ以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、約2.0以下、及び/又は約1.85以下、及び/又は約1.7未満、及び/又は約1.6未満、及び/又は約1.5未満、及び/又は約1.3未満、及び/又は約1.2未満、及び/又は約1未満、及び/又は約0.7未満、及び/又は約0.5未満、及び/又は約0.4未満、及び/又は約0.3未満、及び/又は約0.1超、及び/又は約0.15超、及び/又は約0.2超の、活性剤に対するフィラメント形成材料の総濃度の重量比で繊維要素中に存在し得る。1つ以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、約0.2~約0.7の活性剤に対するフィラメント形成材料の総濃度の重量比で繊維要素中に存在し得る。
【0097】
繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約10重量%~約80重量%未満のフィラメント形成材料、例えばポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマーと、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超~約90重量%の活性剤、例えば、界面活性剤とを含んでいてよい。繊維要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又は追加のpH調整剤(例えば、クエン酸)を更に含んでいてよい。繊維要素は、約2.0以下の、活性剤に対するフィラメント形成材料の重量比を有し得る。フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及び他の好適なポリマー、特にヒドロキシル含有ポリマー及びこれらの誘導体からなる群から選択され得る。フィラメント形成材料は、約100,000g/モル~約3,000,000g/モルの重量平均分子量の範囲であり得る。この範囲では、フィラメント形成材料は、繊維作製プロセスにおいて繊維の細径化が阻害されるほど弾性ではないように、伸長レオロジーを提供し得ると考えられる。
【0098】
1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が曝されたときに、放出可能であり得る及び/又は放出され得る。繊維要素中の1つ以上の活性剤は、界面活性剤、有機ポリマー化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0099】
繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、約300μm未満、及び/又は約75μm未満、及び/又は約50μm未満、及び/又は約25μm未満、及び/又は約10μm未満、及び/又は約5μm未満、及び/又は約1μm未満の直径を呈し得る。繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、約1μm超の直径を呈し得る。繊維要素の直径を使用して、繊維要素中に存在する1つ以上の活性剤の放出速度、及び/又は繊維要素の物理的構造の損失及び/又は変化の速度を制御することができる。
【0100】
繊維要素は、互いに適合性又は不適合である2つ以上の異なる活性剤を含んでいてよい。繊維要素は、繊維要素内の活性剤、及び繊維要素の外面上の活性剤、例えば繊維要素上の活性剤コーティングを含んでもよい。繊維要素の外面上の活性剤は、繊維要素内に存在する活性剤と同じであってもよく、又はこれと異なっていてもよい。異なる場合、活性剤は互いに相溶性であってもよく、又は非相溶性であってもよい。1つ以上の活性剤は、繊維要素全体に均一に分布又は実質的に均一に分布していてもよい。1つ以上の活性剤は、繊維要素内に離散領域として分布してもよい。
【0101】
活性剤
本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、1つ以上の活性剤を含有してもよい。活性剤は、(上述のように)繊維要素中に、(上述のように)粒子中に、又は物品中に、プレミックスとして存在してよい。プレミックスは、例えば、水性吸収剤と組み合わされた活性剤のスラリーであってよい。活性剤は、界面活性剤、構造化剤、ビルダー、有機ポリマー化合物、酵素、酵素安定剤、漂白系、増白剤、色相剤、キレート剤、抑泡剤、コンディショニング剤、保湿剤、香料、香料マイクロカプセル、充填剤又はキャリア、アルカリ性系、pH制御系、緩衝剤、アルカノールアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0102】
界面活性剤
界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。これら界面活性剤は、上により詳細に記載されている。
【0103】
酵素
好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、例えば、プロテアーゼ及び1つ以上の非プロテアーゼ酵素、例えば、アミラーゼ又は上記に列挙したもののいずれかと併用するリパーゼなどを含み得る酵素カクテルである。
【0104】
洗剤組成物中に存在するとき、前述の追加の酵素は、当該組成物の約0.00001重量%~約2重量%、約0.0001重量%~約1重量%、又は更には約0.001重量%~約0.5重量%の酵素タンパク質濃度で存在していてよい。本明細書に開示される組成物は、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、ペクチナーゼ、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る、約0.001重量%~約1重量%の酵素(補助剤として)を含み得る。
【0105】
プロテアーゼ
好ましくは、酵素組成物は、1つ以上のプロテアーゼを含む。好適なプロテアーゼとしては、メタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼが挙げられ、例えば、サブチリシン(EC 3.4.21.62)などの中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含む。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された突然変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであってよい。
【0106】
驚くべきことに、適切な洗浄アルカリ性下では、プロテアーゼを含む単一単位用量は、皮脂などの身体の汚れに対して改善された洗浄を示すことが見出された。理論に束縛されるものではないが、8以上のpHでは、プロテアーゼは皮脂の染み中のエステルを加水分解して、皮脂の染みの驚くべき除去をもたらし得ると考えられる。
【0107】
好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下が挙げられる。
【0108】
(a)米国特許第6,312,936(B1)号、同第5,679,630号、同第4,760,025号、同第7,262,042号、及び国際公開第09/021867号に記載されている、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・アルカロフィラス(B.alkalophilus)、バチルス・ズブチルス(B.subtilis)、バチルス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)及びバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)などのバチルス属由来のものを含むサブチリシン(EC 3.4.21.62)。
【0109】
(b)国際公開第89/06270号に記載されているフサリウム(Fusarium)プロテアーゼ、並びに国際公開第05/052161号及び同第05/052146号に記載されているセルロモナス(Cellumonas)に由来するキモトリプシンプロテアーゼを含む、トリプシン(例えば、ブタ又はウシ起源)などのトリプシン型又はキモトリプシン型のプロテアーゼ。
【0110】
(c)国際公開第07/044993(A2)号に記載されているバチルス・アミロリケファシエンスに由来するものを含むメタロプロテアーゼ。
【0111】
本発明のプロテアーゼは、スブチリシンファミリー(EC3.4.21.62)由来のセリンプロテアーゼであってよい。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。プロテアーゼは、約6.5~約11.5、好ましくは約8~約10.5、最も好ましくは約9~約10の等電点を有し得る。この等電点を有するプロテアーゼは、洗浄液中の良好な活性と、洗浄中にみられる織物基材、特に綿に対する好ましい付着プロファイルと、の良好なバランスを呈する。理論に束縛されるものではないが、正電荷すぎると、布地に対して「べとべとしたものがつきすぎ」るので、表面上を有効に移動することができない(脱着及び再付着又は「回転(roll)」)酵素が生じ、したがって、表面上のタンパク質と十分に相互作用して効果を発揮するのに十分な量を消化することができず、一方、負電荷すぎると、十分うまく付着しないため、十分な量の汚れが十分に到達して織物の表面上で当該汚れを効率的に消化することができない酵素が生じると考えられる。
【0112】
この命名法に従うと、例えば、位置195でグリシンの代わりにグルタミン酸に置換したものは、G195Eと示される。同じ位置でグリシンが欠失したものは、G195*と示され、追加のアミノ酸残基、例えばリジンを挿入したものは、G195GKと示される。特定の酵素が他の酵素と比較して「欠失」を含有し、このような位置で挿入が行われる場合、これは、位置36におけるアスパラギン酸の挿入については*36Dというように示される。複数の突然変異は、プラスにより分離され、すなわち、S99G+V102Nは、位置99と102における突然変異が、それぞれ、グリシンをセリンに、アスパラギンをバリンに置換することを表す。ある位置(例えば、102)のアミノ酸が、アミノ酸の群、例えば、N及びIからなる群から選択される別のアミノ酸により置換され得る場合、これは、V102N、I又はV102N/Iと示される。
【0113】
全ての場合において、一般に認められたIUPACの一文字又は三文字アミノ酸略記を用いる。
【0114】
プロテアーゼアミノ酸番号
本特許で使用する番号は、示した配列に対するものであり、BPN番号ではない。
【0115】
アミノ酸の同一性
2つのアミノ酸配列の間の関連性は、パラメータ「同一性」により説明される。本発明の目的上、2つのアミノ酸配列のアラインメントは、EMBOSSパッケージ(http://emboss.org)バージョン2.8.0からのNeedleプログラムを用いることによって割り出される。Needleプログラムは、Needleman,S.B.及びWunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48、443~453に記載のグローバルアラインメントアルゴリズムを実行する。用いられる置換マトリクスは、BLOSUM62であり、ギャップオープニングペナルティは、10であり、ギャップエクステンションペナルティは、0.5である。
【0116】
本明細書で使用される酵素のアミノ酸配列(「本配列」)と、異なるアミノ酸配列(「異質配列」)との間の同一性の度合いは、2つの配列のアラインメントにおける完全一致の数を「本配列」の長さ又は「異質配列」の長さのいずれか短い方で除算して、計算される。この結果を同一性(%)として表す。完全一致は、「本配列」及び「異質配列」に、同一のアミノ酸残基が重複部分の同じ位置に備わっている場合に発生する。配列の長さは、配列中のアミノ酸残基の数である。
【0117】
本明細書で使用するとき、用語「等電点」とは、酵素が、以下に記載する方法で算出される、正味電荷0を有するように、酵素の電気化学的性質を指す。
【0118】
等電点
本明細書で使用するとき、酵素の等電点(IEP又はpIと称される)は、以下のウェブアドレスでExPASyサーバから入手可能なオンラインpIツールに従って測定される、理論的等電点を指す。
http://web.expasy.org/compute_pi/
この部位で使用される方法は、以下の参照文献に記載されている:
Gasteiger E.,Hoogland C.,Gattiker A.,Duvaud S.,Wilkins M.R.,Appel R.D.,Bairoch A.;Protein Identification and Analysis Tools on the ExPASy Server;
(In)John M.Walker(ed):The Proteomics Protocols Handbook,Humana Press(2005)。
【0119】
本発明の組成物のプロテアーゼは、エンドプロテアーゼであり、「エンドプロテアーゼ」とは、本明細書において、末端からペプチド結合を分解するエキソプロテアーゼとは対照的に、非末端アミノ酸のペプチド結合を分解するプロテアーゼと理解される。
【0120】
好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された突然変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼである。好適なアルカリ性プロテアーゼの例としては、バチルス・レンタス(Bacillus lentus)、バチルス・アルカノフィルス(B. alkalophilus)、バチルス・ズブチリス(B. subtilis)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、及びバチルス・ギブソニイ(Bacillus gibsonii)などのバチルス属由来のスブチリシン(EC3.4.21.62)が挙げられる。
【0121】
好ましいプロテアーゼとしては、バチルス・ギブソニイ又はバチルス・レンタスに由来するものが挙げられる。
【0122】
好ましい態様では、酵素は、1つ以上の変異及び/又は挿入を含む。本明細書で使用するための変異体プロテアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を有するプロテアーゼに対して変異を有するプロテアーゼである。当該変異体プロテアーゼは、配列番号1のプロテアーゼと比較して、以下の位置:9、15、22、24、32、33、48~54、58~62、74、94~107、114、116、123~133、150、153、157、158~161、164、169、175~186、188、197、198、199、200、203~216、226、231、239、242、246、255及び/又は265のうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上に置換を含む。好ましくは、当該プロテアーゼは、以下の位置:9、15、22、24、32、66、74、94、97、99、101、102、114、116、126、127、128、150、152、157、161、182、183、188、200、203、211、212、216、226、239、242、及び/又は265のうちの1つ以上に置換を有する。
【0123】
好ましい置換及び挿入は、以下の位置:X3T、X4I、X9R、X15T、X22R/A、X24R、X66A、X74D、X85S、X97D、X97AD、X97A、S97SE、X99G、X99M、X101A、X102N/I、X114L、X116V、X116R、X126L、X127Q/E、X128A、X153D、X157D、X161A、X164S、X182D、X188P、X199I、X200L/D/E、X203W、X212D、X216S、X226V、X231H、X239R、X242D、X246K、X255D及び/又はX265Fのうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上を含む。
【0124】
好ましい置換及び挿入は、以下の位置:S3T、V4I、S9R、A15T、T22R/A、S24R、V66A、N74D、N85S、S97D、S97AD、S97A、S97SE、S99G、S99M、S101A、V102N/I、N114L、G116V、G116R、S126L、P127Q、S128A、G153D、G157D、Y161A、R164S、S182D、A188P、V199I、Q200L/D/E、Y203W、N212D、M216S、A226V、Q231H、Q239R、N242D、N246K、N255D及び/又はE265Fのうちの1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上を含む。
【0125】
好ましいプロテアーゼとしては、以下の変異を含む、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも70%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも99%、特に100%の同一性を有するプロテアーゼに対して変異を有するものが挙げられる:
S97SE;S97AD;N74D+S101A+V102I;S85N+S99G+V102N;V66A+S99G+V102N;G116V+S126L+P127Q+S128A;S3T+V4I+A188P+V193M+V199I+L211D;S3T+V4I+R99G+A188P+V193M+V199I+L211D;S3T+V4I+V193M+V199I+L211D;S9R+A15T+V66A+N212D+Q239R、任意選択でQ200L/D/E及びY203Wのうちの1つ以上を含む;S99N+G116V+S126L+P127Q+S128A;S99G+S101A+V102I、任意選択で、T22A、T22R、N144L、G157D、S182D、A226V、Q239R、及びE265Fのうちの1つ以上、好ましくは2つ以上を含む。
【0126】
好ましいプロテアーゼとしては、バチルス・ギブソニイ又はバチルス・レンタスに由来するものが挙げられる。
好適な市販のプロテアーゼ酵素としては、Novozymes A/S(Denmark)によってAlcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)及びEsperase(登録商標)の商品名で販売されているもの、Genencor InternationalによってMaxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)の商品名で販売されているもの、Solvay EnzymesによってOpticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)の商品名で販売されているもの、Henkel/Kemiraから入手可能なもの、すなわちBLAP(以下の突然変異:S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sを有する米国特許第5,352,604号の
図29に示されている配列、以下BLAPと称する)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)(いずれもHenkel/Kemira製)、並びに花王製のKAP(突然変異A230V+S256G+S259Nを有するバチルス・アルカロフィラスのサブチリシン)が挙げられる。
【0127】
ビルダー
好適なビルダーとしては、アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライトA、ゼオライトP及びゼオライトMAPなどのゼオライトビルダー)、ケイ酸塩、リン酸塩、例えば、ポリリン酸塩(例えば、トリ-ポリリン酸ナトリウム)、具体的にはそのナトリウム塩;炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、及び炭酸ナトリウム又はセスキ炭酸塩以外の炭酸塩鉱物;有機モノ-、ジ-、トリ-、及びテトラカルボキシレート、特に、酸、ナトリウム、カリウム、又はアルカノールアンモニウム塩形態の水溶性非界面活性剤カルボキシレート、並びに脂肪族及び芳香族型を含むオリゴマー又は水溶性低分子量ポリマーカルボキシレート、並びにフィチン酸が挙げられる。追加の好適なビルダーは、クエン酸、乳酸、脂肪酸、ポリカルボキシレートビルダー、例えば、アクリル酸のコポリマー、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマー、並びにアクリル酸及び/又はマレイン酸のコポリマー、並びに様々な種類の追加の官能基を有する他の好適なエチレン系モノマーから選択され得る。あるいは、組成物はビルダーを実質的に含まなくてもよい。
【0128】
ポリマー分散剤
好適なポリマーとしては、ポリアクリレート、ポリアクリル酸-マレイン酸コポリマー、及びそのスルホン化修飾物、例えば、疎水変性スルホン化アクリル酸コポリマーなどのポリマーカルボキシレートが挙げられるが、これらに限定されない。ポリマーは、セルロース系ポリマー、ポリエステル、ポリテレフタレート、ポリエチレングリコール、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EOx1POyEOx2)トリブロックコポリマーであって、式中、x1及びx2のそれぞれは、約2~約140の範囲であり、yは、約15~約70の範囲であるトリブロックコポリマー、ポリエチレンイミン、これらの任意の修飾された変異型、例えば、グラフト化ビニル及び/又はアルコール部分を有するポリエチレングリコール、並びにこれらの任意の組み合わせであってよい。場合によっては、分散剤ポリマーは、上記のとおりレオロジー変性剤としても機能し得る。
【0129】
好適なポリエチレンイミンポリマーとしては、プロポキシル化ポリアルキレンイミン(例えば、PEI)ポリマーが挙げられる。プロポキシル化ポリアルキレンイミン(例えば、PEI)ポリマーは、エトキシル化されてもよい。プロポキシル化ポリアルキレンイミン(例えば、PEI)ポリマーは、内側ポリエチレンオキシドブロックと外側ポリプロピレンオキシドブロックとを有し得、エトキシル化度及びプロポキシル化度は、特定の限界値を上回りも下回りもしない。ポリエチレンブロックのポリプロピレンブロックに対する比(n/p)は、約0.6から、又は約0.8から、又は約1から、最大約10、又は最大約5、又は最大約3であってよい。n/p比は、約2であり得る。プロポキシル化ポリアルキレンイミンは、約200g/モル~約1200g/モル、又は約400g/モル~約800g/モル、又は約600g/モルの重量平均分子量(アルコキシル化前に測定したとき)を有するPEI骨格鎖を有し得る。プロポキシル化ポリアルキレンイミンの分子量は、約8,000~約20,000g/モル、又は約10,000~約15,000g/モル、又は約12,000g/モルであってよい。
【0130】
好適なプロポキシル化ポリアルキレンイミンポリマーは、以下の構造の化合物を含み得る:
【0131】
【化2】
(式中、EOは、エトキシレート基であり、POは、プロポキシレート基である)。上に示す化合物は、EO:POのモル比が10:5(例えば、2:1)であるPEIである。他の同様の好適な化合物は、約10:5又は約24:16のモル比で存在するEO及びPO基を含んでいてよい。
【0132】
汚れ遊離ポリマー
好適な汚れ放出ポリマーは、以下の構造(I)、(II)、又は(III)のうちの1つによって定義される構造を有する:
(I)-[(OCHR1-CHR2)a-O-OC-Ar-CO-]d
(II)-[(OCHR3-CHR4)b-O-OC-sAr-CO-]e
(III)-[(OCHR5-CHR6)c-OR7]f
(式中、
a、b及びcは、1~200であり、
d、e及びfは、1~50であり、
Arは、1,4-置換フェニレンであり、
sArは、5位がSO3Meで置換されている1,3-置換フェニレンであり、
Meは、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、モノ-、ジ-、トリ-、若しくはテトラ-アルキルアンモニウム(ここで、アルキル基は、C1~C18アルキル又はC2~C10ヒドロキシアルキルである)、又はこれらの混合物であり、
R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、独立して、H又はC1~C18n-若しくはイソ-アルキルから選択され、
R7は、直鎖状若しくは分枝状C1~C18アルキル、又は直鎖状若しくは分枝状C2~C30アルケニル、又は5~9個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又はC8~C30アリール基、又はC6~C30アリールアルキル基である)。
【0133】
好適な汚れ遊離ポリマーは、Rhodiaによって供給されているRepel-o-tex SF、SF-2及びSRP6を含むRepel-o-texポリマーなどのポリエステル汚れ遊離ポリマーである。他の好適な汚れ放出ポリマーとしては、Clariantによって供給されているTexcare SRA100、SRA300、SRN100、SRN170、SRN240、SRN300及びSRN325を含むTexcareポリマーが挙げられる。他の好適な汚れ放出ポリマーは、Marloquestポリマー(例えば、Sasolにより供給されているMarloquest SLなど)である。
【0134】
セルロース系ポリマー
好適なセルロース系ポリマーとしては、アルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルキルカルボキシアルキルセルロースから選択されるものが挙げられる。セルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一態様では、カルボキシメチルセルロースは、0.5~0.9のカルボキシメチル置換度及び100,000Da~300,000Daの分子量を有する。
【0135】
アミン
アミンの非限定的な例としては、ポリエーテルアミン、ポリアミン、オリゴアミン、トリアミン、ジアミン、ペンタミン、テトラアミン、又はこれらの組み合わせを挙げることができるが、これらに限定されない。好適な追加のアミンの具体的な例としては、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0136】
漂白剤
漂白触媒以外の好適な漂白剤としては、光漂白剤、漂白活性剤、過酸化水素、過酸化水素源、予形成過酸、及びこれらの混合物が挙げられる。概して、漂白剤を用いる場合、本発明の洗剤組成物は、洗剤組成物の約0.1重量%~約50重量%、又は更には約0.1重量%~約25重量%の漂白剤を含み得る。
【0137】
漂白触媒
好適な漂白触媒としては、イミニウムカチオン及びポリイオン、イミニウム双性イオン、変性アミン、変性アミンオキシド、N-スルホニルイミン、N-ホスホニルイミン、N-アシルイミン、チアジアゾールジオキシド、ペルフルオロイミン、環状糖ケトン、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0138】
増白剤
本開示に好適な市販の蛍光増白剤は、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、ベンゾキサゾール、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチオフェン-5,5-ジオキシド、アゾール、5及び6員環の複素環、並びに他の様々な物質の誘導体を含むがこれらに限定されない、サブグループに分類することができる。
【0139】
蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(増白剤15、BASFによって商標名Tinopal AMS-GXとして市販されている)、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ビス-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(BASFによって商標名Tinopal UNPA-GXとして市販されている)、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ヒドロキシエチル-N-メチルアミノ)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(BASFによって商標名Tinopal 5 BM-GXとして市販されている)からなる群から選択され得る。より好ましくは、蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウムである。
【0140】
増白剤は、粒子の形態で、又は好適な溶媒、例えば非イオン性界面活性剤、プロパンジオールとのプレミックスとして添加されてもよい。
【0141】
布地色相剤
布地色相剤(時に補色剤、青味剤、又は白化剤とも称される)は、典型的には、青色又は紫色の色合いを布地に与える。色相剤は、単独又は組み合わせのいずれかで使用され、特定の色相の色合いを作り出し、かつ/又は異なる種類の布地に色合いを付けることができる。これは、例えば赤と緑-青の染料とを混合して青又は紫の色合いを生じさせることによりもたらされ得る。色相剤は、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンを含む)、アジン、前金属化した(premetallized)アゾを含むアゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン及びベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ及びニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない、任意の既知の染料の化学分類から選択され得る。
【0142】
好適な布地色相剤としては、染料、染料-粘土結合体、並びに有機及び無機顔料が挙げられる。また、好適な染料としては、小分子染料及びポリマー染料も挙げられる。好適な小分子染料としては、ブルー、バイオレット、レッド、グリーン又はブラックとして分類され、単独で又は組み合わせてのいずれかで所望の色合いをもたらす、例えばダイレクト染料、ベーシック染料、リアクティブ染料若しくは加水分解したリアクティブ染料、溶媒染料、又は分散染料のカラーインデックス(C.I.)分類に入る染料からなる群から選択される小分子染料が挙げられる。好適なポリマー染料としては、共有結合している(結合していると称されることもある)色原体(染料-ポリマー結合体)を含有するポリマー、例えば、ポリマーの主鎖に共重合した色原体を有するポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー染料が挙げられる。好適なポリマー染料としてはまた、Liquitint(登録商標)(Milliken、Spartanburg,South Carolina,USA)の名称で販売されている布地直接着色剤、少なくとも1種の反応染料と、ヒドロキシル部分、一級アミン部分、二級アミン部分、チオール部分、及びこれらの混合部分からなる群から選択される部分を含むポリマーからなる群から選択されるポリマーと、から形成される染料-ポリマー結合体からなる群から選択されるポリマー染料も挙げられる。好適なポリマー染料としては、Liquitint(登録商標)バイオレットCT、Megazyme(Wicklow,Ireland)によって商品名AZO-CM-CELLULOSE、商品コードS-ACMCとして販売されているC.I.リアクティブブルー19と共役されているCMCなどのリアクティブブルー、リアクティブバイオレット、又はリアクティブレッドの染料と結合体化しているカルボキシメチルセルロース(CMC)、アルコキシル化トリフェニル-メタンポリマー着色剤、アルコキシル化チオフェンポリマー着色剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるポリマー染料も挙げられる。
【0143】
前述の布地色相剤は、組み合わせて使用されてもよい(布地色相剤のいずれの混合物が使用されてもよい)。
【0144】
カプセル化剤
封入体は、コアと、内面及び外面を有するシェルとを含んでいてよく、当該シェルが当該コアを封入する。コアは、あらゆる洗濯ケア助剤を含むことができるが、典型的には、コアは、香料;増白剤;色調染料;防虫剤;シリコーン;ワックス;着香剤;ビタミン;布地柔軟化剤;スキンケア剤、一態様では、パラフィン;酵素;抗菌剤;漂白剤;感覚剤;及びこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよく、当該シェルは、ポリエチレン;ポリアミド;所望により他のコ-モノマーを含有するポリビニルアルコール;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアクリレート;アミノプラスト(一態様では、当該アミノプラストは、ポリ尿素、ポリウレタン、及び/又はポリ尿素ウレタンを含んでもよく、一態様では、当該ポリ尿素は、ポリオキシメチレン尿素及び/又はメラミンホルムアルデヒドを含んでもよい);ポリオレフィン;多糖類、(一態様では、当該多糖類は、アルギン酸塩及び/又はキトサンを含んでもよい);ゼラチン;セラック;エポキシ樹脂;ビニルポリマー;水不溶性無機材料;シリコーン;並びにこれらの混合物からなる群から選択される材料を含んでもよい。
【0145】
好ましい封入剤は、香料を含む。好ましい封入物は、メラミンホルムアルデヒド及び/又は架橋メラミンホルムアルデヒドを含んでいてもよいシェルを含む。他の好ましいカプセルは、ポリアクリレート系シェルを含む。好ましい封入剤は、コア材とシェルとを含み、当該シェルは、当該コア材を少なくとも部分的に取り囲むことが開示されている。当該封入剤の少なくとも75%、85%、又は更には90%は、0.2MPa~10MPaの破壊強度、及び封入された有益剤の初期総量に対して0%~20%、又は更には10%若しくは5%未満の有益剤漏出率を有し得る。当該封入体の少なくとも75%、85%、若しくは更には90%が、(i)1マイクロメートル~80マイクロメートル、5マイクロメートル~60マイクロメートル、10マイクロメートル~50マイクロメートル、若しくは更には15マイクロメートル~40マイクロメートルの粒径を有し得、及び/又は(ii)当該封入体の少なくとも75%、85%、若しくは更には90%が、30nm~250nm、80nm~180nm、又は更には100nm~160nmの粒子壁厚を有し得るものが好ましい。ホルムアルデヒドスカベンジャーは、封入剤と共に、例えばカプセルスラリー中で用いてもよく、及び/又は封入剤を組成物に添加する前、添加している間、若しくは添加した後に組成物に添加してもよい。
【0146】
好適なカプセルは、既知のプロセスを使用して作製することができる。あるいは、好適なカプセルは、Encapsys LLC(Appleton,Wisconsin USA)から購入することができる。好ましい態様では、組成物は、好ましくは封入剤に加えて、付着助剤を含んでもよい。好ましい付着助剤は、カチオン性及び非イオン性ポリマーからなる群から選択される。好適なポリマーとしては、カチオンデンプン、カチオン性ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルホルムアルデヒド、ローカストビーンガム、マンナン、キシログルカン、タマリンドガム、ポリエチレンテレフタレート、並びに任意にアクリル酸及びアクリルアミドを含む群から選択される1つ以上のモノマーと共にジメチルアミノエチルメタクリレートを含有するポリマーが挙げられる。
【0147】
香料
香料及び香料成分の非限定的な例としては、アルデヒド、ケトン、エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。他の例としては、様々な天然抽出物及び天然エキスが挙げられ、これらは、オレンジ油、レモン油、バラ抽出物、ラベンダー、ムスク、パチョリ、バルサムエキス、ビャクダン油、パイン油、シーダーなどの成分の複雑な混合物を含むことができる。仕上げた香料は、そのような成分の非常に複雑な混合物を含むことができる。仕上げた香料は、洗剤組成物の約0.01重量%~約2重量%の範囲の濃度で含まれ得る。
【0148】
移染防止剤
移染防止剤は、洗浄プロセス中のある布地から別の布地への染料の移動を阻害するのに有効である。概して、このような移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、並びにこれらの混合物を挙げることができる。使用する場合、これらの剤は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、いくつかの例では、組成物の約0.01重量%~約5重量%、他の例では、組成物の約0.05重量%~約2重量%の濃度で使用されてもよい。
【0149】
キレート剤
好適なキレート剤としては、銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。このようなキレート剤は、ホスホネート、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、スクシネート、多官能的に置換された芳香族キレート剤、2-ピリジノール-Nーオキシド化合物、ヒドロキサム酸、カルボキシメチルイヌリン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。キレート剤は、酸の形態、又は、アルカリ金属、アンモニウム、及びその置換アンモニウム塩、並びにこれらの混合物を含む、塩の形態で存在することができる。本明細書での使用に好適な他のキレート剤は、市販のDEQUESTシリーズ、並びにMonsanto製、Akzo-Nobel製、DuPont製、Dow製、BASFのTrilon(登録商標)シリーズ及びNalco製のキレート剤である。
【0150】
抑泡剤
泡の形成を低減又は抑制するための化合物を、水溶性単位用量物品に組み込んでもよい。抑泡性は、いわゆる「高濃度洗浄プロセス」において、また前側投入方式の洗濯機において、特に重要である場合がある。抑泡剤の例としては、モノカルボン脂肪酸及びその中の可溶性塩、パラフィンなどの高分子量炭化水素、脂肪酸エステル(例えば、脂肪酸トリグリセリド)、一価アルコールの脂肪酸エステル、脂肪族C18~C40ケトン(例えば、ステアロン)、N-アルキル化アミノトリアジン、好ましくは融点が約100℃未満であるワックス状炭化水素、シリコーン抑泡剤、並びに二級アルコールが挙げられる。
【0151】
更なる好適な消泡剤は、フェニルプロピルメチル置換ポリシロキサンに由来するものである。
【0152】
洗剤組成物は、シリコーン樹脂、及び変性シリカである一次充填剤と組み合わせたアリール又はアルキルアリール置換基を伴う有機変性シリコーンポリマーから選択される抑泡剤を含んでもよい。洗剤組成物は、組成物の約0.001重量%~約4.0重量%のこのような抑泡剤を含んでいてよい。
【0153】
洗剤組成物は、a)約80~約92%のエチルメチル、メチル(2-フェニルプロピル)シロキサン;ステアリン酸オクチル中約5~約14%のMQ樹脂、及び約3~約7%の変性シリカの混合物;b)約78~約92%のエチルメチル、メチル(2-フェニルプロピル)シロキサン;ステアリン酸オクチル中約3~約10%のMQ樹脂;約4~約12%の変性シリカの混合物;又はc)これらの混合物、から選択される抑泡剤を含み、百分率は、消泡剤の重量に対するものである。
【0154】
増泡剤
高起泡性が望ましい場合、C10~C16アルカノールアミドなどの増泡剤を使用してよい。いくつかの例としては、C10~C14モノエタノール及びジエタノールアミドが挙げられる。必要に応じて、MgCl2、MgSO4、CaCl2、CaSO4などの水溶性マグネシウム及び/又はカルシウム塩を、洗剤組成物の約0.1重量%~約2重量%の濃度で添加して、追加の泡をもたらし、脂除去性能を増強することもできる。
【0155】
コンディショニング剤
好適なコンディショニング剤としては、高融点脂肪族化合物が挙げられる。本明細書において有用な高融点脂肪族化合物は、25℃以上の融点を有し、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適なコンディショニング剤としては、非イオン性ポリマー及びコンディショニングオイル、例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステルも挙げられる。
【0156】
好適なコンディショニング剤としては、一般にシリコーン(例えば、シリコーンオイル、ポリオイル、カチオン性シリコーン、シリコーンガム、高屈折率のシリコーン、及びシリコーン樹脂)、有機コンディショニングオイル(例えば、炭化水素油、ポリオレフィン、及び脂肪酸エステル)、若しくはこれらの組み合わせを特徴とするコンディショニング剤、又は他の方法で本明細書の水性界面活性剤マトリックス中に液体の分散粒子を形成するコンディショニング剤が挙げられる。
【0157】
布地強化ポリマー
好適な布地強化ポリマーは、典型的には、カチオン性に帯電され、かつ/又は高分子量を有する。布地強化ポリマーは、ホモポリマーであってもよく、又は2つ以上の種類のモノマーから形成されてもよい。ポリマーのモノマー重量は、概して、5,000~10,000,000、典型的には少なくとも10,000、好ましくは100,000~2,000,000の範囲である。好ましい布地強化ポリマーは、組成物の意図される用途のpH(このpHは、概して、pH3~pH9、好ましくはpH4~pH8の範囲)において、少なくとも約0.2meq/gm、好ましくは少なくとも0.25meq/gm、より好ましくは少なくとも0.3meq/gmであり、ただしまた、好ましくは5meq/gm未満、より好ましくは3meq/gm未満、最も好ましくは2meq/gm未満でもある、カチオン電荷密度を有する。布地強化ポリマーは、天然起源のもであっても又は合成起源のものであってもよい。
【0158】
真珠光沢剤
真珠光沢剤の非限定的な例としては、以下が挙げられる:雲母、二酸化チタンコーティングした雲母、オキシ塩化ビスマス、魚のうろこ、アルキレングリコールのモノエステル及びジエステル。真珠光沢剤は、エチレングリコールジステアレート(EGDS)であってもよい。
【0159】
衛生及び悪臭
好適な衛生及び悪臭活性剤としては、リシノール酸亜鉛、チモール、Bardac(登録商標)などの四級アンモニウム塩、ポリエチレンイミン(BASF製のLupasol(登録商標)など)及びその亜鉛錯体、銀及び銀化合物、特に、Ag+又はナノ銀分散体をゆっくり放出するように設計されたものが挙げられる。
【0160】
緩衝系
本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、水性クリーニング操作において使用している間、洗浄水が約7.0~約12、いくつかの例では約7.0~約11のpHを有するように配合され得る。推奨される使用濃度でpHを制御する技法としては、緩衝剤、アルカリ、又は酸の使用が挙げられ、これらは当業者には公知である。これらの技術としては、炭酸ナトリウム、クエン酸若しくはクエン酸ナトリウム、乳酸若しくは乳酸塩、モノエタノールアミン若しくは他のアミン、ホウ酸若しくはホウ酸塩、及び当該技術分野において既知の他のpH調整化合物の使用が挙げられるが、これらに限定されない。
【0161】
本明細書の洗剤組成物は、動的な洗浄中pHプロファイルを含んでもよい。このような洗剤組成物では、(i)水と接触した約3分後に洗浄液のpHが10を超え、(ii)水と接触した約10分後に洗浄液のpHが9.5未満になり、(iii)水と接触した約20分後に洗浄液のpHが9.0未満になり、そして(iv)所望により、洗浄液の平衡pHが約7.0~約8.5の範囲になるように、ワックスで覆われたクエン酸粒子を他のpH制御剤と共に使用してもよい。
【0162】
作製方法
図3に例示するように、フィラメント形成組成物35の溶液が提供される。フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料と、所望により1つ以上の活性剤とを含んでいてよい。フィラメント形成組成物35は、複数の紡糸口金45を含む1つ以上のダイブロックアセンブリ40を通過して、1つ以上のフィラメント形成材料と所望により1つ以上の活性剤とを含む複数の繊維要素30を形成する。複数のダイブロック組立体40を用いて、繊維要素30の異なる層を紡糸することができ、異なる層の繊維要素30は互いに異なる組成を有するか、又は互いに同じである。所与のプライにおいて3つ、4つ、又は任意の他の整数の層を形成するために、直列接続された2つを超えるダイブロックアセンブリを提供することができる。機械方向MDに移動しているベルト50上に繊維要素30を堆積させて、第1のプライ10を形成することができる。
【0163】
ダイブロックアセンブリ40とベルト50との間の繊維要素30の流れに粒子を導入することができる。粒子受け部からベルトフィーダー41又は所望によりスクリューフィーダーに、粒子を供給することができる。所望の粒子塊をプロセスに送達するように、ベルトフィーダー41を設定及び制御することができる。ベルトフィーダーは、空気流中の粒子を繊維要素30内に懸濁させ、方向付けるエアナイフ42を供給して、その後ベルト50上に堆積する繊維要素30及び粒子が混合された粒子-繊維層を形成することができる。
【0164】
水溶性製品を形成するために、第1のプライ10を提供することができる。第2のプライ15は、第1のプライ10とは別個に提供され得る。第1のプライ10及び第2のプライ15は、互いに重ね合わせられる。重ね合わせられるとは、重ね合わせられたプライの間に追加のプライ又は他の材料、例えば活性剤が配置されていてもよいという条件で、一方が他方の上又は下に配置されることを意味する。第1プライ10の一部を第2のプライ15の一部に接合させて、水溶性製品5を形成することができる。各プライは1つ以上の層を含んでいてよい。
【0165】
粒子-繊維層
粒子-繊維層は、いくつかの方法で配置され得る。粒子のクラスタは、層内に分布したポケット内に分布し得、このようなポケットは、繊維要素の層の間に形成され得、粒子の各クラスタ内の接触ネットワーク及び多孔性は、従来の粒子パッキングの物理学によって支配されるが、クラスタは層内で実質的に拡張される。粒子は、繊維構造体全体にわたって比較的均質に分布してよく、局所的な粒子クラスタを実質的に含まず、パッキングは、個々の粒子のスケールで実質的に拡張され、粒子間接触がより少なく、粒子間孔が大きくなる。理論に束縛されるものではないが、繊維要素及び粒子を含む層を含む水溶性単位用量物品は、AESなどの粘着性界面活性剤が、拡張構造を有する粒子に隔離された場合、水の拡張構造への迅速な吸水及び粘着性界面活性剤を有する粒子間の接触の減少の両方によって単位用量物品の分散及び溶解を改善すると考えられる。
【0166】
パウチ。単一単位用量は、パウチの形態であってよい。当該組成物は、錠剤の形態、又は好ましくは、パウチ若しくはポッドとして知られているものにおいて水溶性フィルム内に保持されている液体/固体(任意選択で顆粒)/ゲル/ペーストの形態のいずれかの、単位化された用量の形態で提供され得る。当該組成物は、単一区画パウチに封入しても、又は多区画パウチに封入してもよい。多区画パウチは、欧州特許出願公開第2133410(A)号により詳細に記載されている。シェーディング若しくは非シェーディング染料若しくは顔料、又は他の審美剤を、1つ以上の区画で用いてもよい。
【0167】
パウチの形成に好適なフィルムは、水に可溶性又は分散性であり、好ましくは、20マイクロメートルの最大孔径を有するガラスフィルタを用いた後に本明細書に記載の方法によって測定したとき、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又は更には少なくとも95%の水溶性/水分散性を有する:
予め秤量した400mLビーカーに、50グラム±0.1グラムのパウチ材料を入れ、245mL±1mLの蒸留水を添加する。これを、600rpmに設定した電磁攪拌器で30分間激しく撹拌する。次いで、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の折り畳んだ定性分析用焼結ガラスフィルタにより濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散性の百分率を計算することができる。好ましいフィルム材料は、ポリマー材料である。フィルム材料は、例えば、当該技術分野において公知であるとおり、ポリマー材料を注型成形、吹込成形、押出成形又は吹込押出成形することによって得ることができる。パウチ材料として使用するのに好適な好ましいポリマー、コポリマー又はこれらの誘導体は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド、ポリビニルアセテート、ポリカルボン酸及び塩、ポリアミノ酸又はペプチド、ポリアミド、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸のコポリマー、デンプン及びゼラチンを含む多糖類、キサンタン及びカラゴムなどの天然ゴムから選択される。より好ましいポリマーは、ポリアクリレート及び水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレートから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、並びにこれらの組み合わせから選択される。好ましくは、パウチ材料中のポリマー、例えば、PVAポリマーの濃度は、少なくとも60%である。ポリマーは、任意の重量平均分子量を有してもよく、好ましくは、約1000~1,000,000、より好ましくは、約10,000~300,000、更により好ましくは、約20,000~150,000である。また、ポリマーの混合物をパウチ材料として使用してもよい。これは、その用途及び必要とされるニーズに応じて、区画又はパウチの機械的特性及び/又は溶解特性を制御するのに有益であり得る。好適な混合物としては、例えば、1つのポリマーの水溶解度が別のポリマーよりも高く、及び/又は1つのポリマーの機械的強度が別のポリマーよりも高い、混合物が挙げられる。また、異なる重量平均分子量を有するポリマーの混合物、例えば、約10,000~40,000、好ましくは20,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーと、約100,000~300,000、好ましくは150,000前後の重量平均分子量のPVA又はそのコポリマーとの混合物も好適である。また、ポリマーブレンド組成物、例えば、加水分解により分解可能な水溶性のポリマーブレンド(ポリラクチド及びポリビニルアルコールを混合することにより得られ、典型的には約1~35重量%のポリラクチドと、約65~99重量%のポリビニルアルコールとを含む、ポリラクチドとポリビニルアルコールとのポリマーブレンドなど)を含むポリマーブレンド組成物も、本明細書において好適である。本明細書において使用するのに好ましいものは、約60%~約98%加水分解され、好ましくは約80%~約90%加水分解され、材料の溶解特性が向上したポリマーである。
【0168】
当然のことながら、異なるフィルム材料及び/又は異なる厚さのフィルムを、本発明の区画の作製に用いてよい。異なるフィルムを選択する利点は、得られる区画が、異なる溶解性又は放出特性を示し得ることである。
【0169】
最も好ましいフィルム材料は、MonoSol照会番号M8630、M8900、H8779(出願人らの同時係属出願照会番号44528及び11599に記載)として公知のPVAフィルム、並びに米国特許第6,166,117号及び同第6,787,512号に記載のもの、並びに対応する溶解度及び変形特性を有するPVAフィルムである。
【0170】
また、本明細書のフィルム材料は、1つ以上の添加剤含有成分を含んでもよい。例えば、可塑剤(例えば、グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物)を添加することが有益な場合がある。他の添加剤としては、洗浄水に送達される機能性洗剤添加剤、例えば、有機ポリマー分散剤などが挙げられる。
【0171】
苦味剤は、パウチ内部の組成物に組み込むことによって、及び/又はフィルム上にコーティングすることによって、パウチ又はポッドに組み込まれ得る。
【0172】
洗濯方法
本発明はまた、本発明による物品を使用する洗濯方法であって、本発明による少なくとも1つの物品を、洗浄される洗濯物と一緒に洗濯機に入れる工程と、洗浄又はクリーニング操作を行う工程とを含む、洗濯方法を包含する。具体的には、当該方法は、その上に付着した皮脂を有する布地を得ることと、洗浄工程において当該布地を処理することと、を含み得、当該洗浄工程は、当該布地を洗浄液と接触させることを含む。当該洗浄液は、水溶性単位用量を水で300~800倍、好ましくは400~700倍希釈することによって調製され、当該洗浄液は、8以上のpHからなる。
【0173】
任意の好適な洗濯機が使用され得る。例としては、自動洗濯機、手洗い操作、又はこれらの混合、好ましくは自動洗濯機が挙げられる。
【0174】
当業者は、関連の洗浄操作に好適な機械を認識するであろう。本発明の物品は、布地添加剤、布地柔軟剤、すすぎ助剤などの他の組成物と共に使用され得る。
【0175】
洗浄温度は、例えば、30℃以下など、5℃~90℃であってよい。洗浄プロセスは、5~50分の持続時間を有する少なくとも1回の洗浄サイクルを含み得る。自動洗濯機は回転ドラムを含み得、少なくとも1回の洗濯サイクル中、ドラムは、15~40rpm、好ましくは20~35rpmの回転速度を有する。
【0176】
布地は、綿、ポリエステル、綿/ポリエステルブレンド、又はこれらの混合物、好ましくは綿であり得る。
【0177】
水溶性繊維構造体と、当該構造体全体にわたって分布している1つ以上のレオロジー変性粒子とを含む水溶性単位用量物品は、例えば、バター、牛肉、草、紅茶、スパゲティ、皮脂、ワイン、及び布地に付与され得る任意の他の種類の染みなどの1つ以上の種類の染みを除去することができる。
【0178】
驚くべきことに、水溶性繊維構造体と、当該構造体全体にわたって分布している1つ以上のレオロジー変性粒子とを含む水溶性単位用量物品は、例えば、水溶性フィルムで構築された単位用量物品などの他の種類の単一単位用量物品に対して固有の皮脂の染み除去特性を呈することが見出された。以下の表に示すように、液体を含有する単一単位用量と比較した場合、水溶性繊維構造体の単一用量は、著しく高い人工皮脂の染みを除去する能力を有するが、単一単位用量の酵素含量全体は増加しない。
【0179】
表1の以下の組成に従って、以下のサンプルを作製した。
【0180】
【表1】
*限定されないが、プロパンジオール、グリセロール、エタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールを挙げることができる。
【0181】
染みの付いた布地見本を作製した。洗浄試験の前に、比色計を用いて、試験染みの視認度を測定した。それぞれの染みを個々に測定した。これらの出発値を記録し、洗浄後のそれぞれ個々の試験染みの除去パーセンテージを算出した。染みの付いた布地(染み/サイクル当たり2枚)及び2.5kgの混合バラスト荷重(木綿及びポリコットン)を、PVA-フィルム(多区画)に封入した処方物A&Bで洗浄した(Kenmore洗濯機、ノーマル/レギュラーサイクル、32℃、水の硬度:1.5mmol/L)。洗浄サイクル後、染みの付いた布地をタンブル乾燥機で乾かした。毎回新しい染みを用いてこの洗浄プロセスを4回繰り返し、合計8枚/染みとした。洗浄試験後24時間以内に、布地の残りの染みの視認度を測定した。
【0182】
それぞれの染みの染み除去指数パーセンテージを、次式を用いて算出した。
%SRI=(色新しい染み-色洗浄後の染み)/(色新しい染み)×100%
A、B、及びC間の染み除去の差を算出するために、%SRIC-%SRIA及び%SRIC-%SRIBを計算した。正の値は、Cの染み除去性能がより優れていることを示す。
【0183】
【0184】
サンプルAは、Tide Podであり、好ましい酵素パッケージを有する水溶性フィルムで構築された単一単位用量物品を表す。サンプルBは、好ましい酵素パッケージを有さない繊維構造体単一用量を表す。サンプルCは、好ましい酵素パッケージを有する繊維構造体単一用量を表す。上記の表に示されたように、好ましい酵素パッケージを有する繊維構造体単位用量(サンプルC)は、Black Todd Clayの染み、草の染み、Lipton紅茶の染み、皮脂の染み、及び粉塵皮脂の染みについて、好ましい酵素パッケージを有する水溶性フィルムで構築された単一単位用量物品(サンプルA)よりも著しく優れた機能を発揮した。サンプルBと比較した場合、サンプルCは、皮脂の染みに対して著しく優れた機能を発揮した。好ましい酵素パッケージは、V42CWP、FN3、V445XWA、Termamyl Ultra、及びマンナナーゼの組み合わせであってもよい。
【0185】
上記の表に示されたように、本発明による組成物は、サンプルCで使用した酵素の全体的な重量がサンプルAよりも11.3%少ないにもかかわらず、皮脂の染みのより優れた染み除去を提供した。理論に束縛されるものではないが、繊維構造体単一用量は洗浄溶液のアルカリ性を増大させ得ると考えられる(サンプルB及びC)。得られた洗浄溶液は、例えば、8~14、9~12、9~11、又は10~12など、8以上のpHに達することができる。8を超えるpHでは、上記の酵素は皮脂の染みに対して増大した有効性を示すことができ、その結果、染み除去指数(Stain Removal Index、SRI)によって示されるように、染み除去が20~30%増加すると考えられる。具体的には、上記の表に示されたように、同様のmg/gの酵素濃度を有する水溶性フィルムで構築された単位用量物品(サンプルA)に対して、サンプルCは、他のサンプルに対して人工皮脂の除去についてのSRIの増加を示す。
【0186】
上記表によって示されたように、皮脂の染みに対する驚くべき効果を生み出すためには、プロテアーゼの存在及び洗浄液の適切なpH範囲の両方が必要である。負荷で使用される水の平均量に基づいて、単位用量の利用により、標的pH範囲に的中させることが可能になり、それにより、驚くべきことにプロテアーゼの好ましい環境であることが見出されている環境が生じる。高pHと上述のプロテアーゼを使用との組み合わせにより、単位用量を使用した皮脂の染みの洗浄プロセスの洗浄有効性を最大化することができる。
【0187】
試験方法
坪量試験法
±0.001gの感度限界の上皿化学天秤を使用して、12個の使用可能なユニットを積み重ねて繊維構造体の坪量を測定する。風防を使用して、天秤を気流及び他の外乱から保護する。3.500インチ±0.0035インチ×3.500インチ±0.0035インチと測定された精密切断ダイを使用して、全てのサンプルを調製する。
【0188】
精密切断用金型を用いて、サンプルを正方形に切断する。切断した正方形をまとめて、サンプル12個の厚さに積み重ねる。積み重ねたサンプルの質量を測定し、結果を0.001g単位で記録する。
【0189】
以下のように、lbs/3000ft2又はg/m2で坪量を計算する。
坪量=(積み重ねたサンプルの質量)/[(積み重ねたサンプル内の正方形1個の面積)×(積み重ねたサンプル内の正方形の数)]
例えば、
坪量(lbs/3000ft2)=[[積み重ねたサンプルの質量(g)/453.6(g/lbs)]/[12.25(in2)/144(in2/ft2)×12]]×3000
又は、
坪量(g/m2)=積み重ねたサンプルの質量(g)/[79.032(cm2)/10,000(cm2/m2)×12]
【0190】
結果を0.1lbs/3000ft2又は0.1g/m2単位で報告する。積み重ねたサンプルの面積の少なくとも100平方インチになるように、上述のものと同様の精密カッターを使用してサンプル寸法を変更又は変動させてもよい。
【0191】
厚さ試験法
各切断されたサンプルがVIR Electronic Thickness Tester Model II(Thwing- Albert Instrument Company(Philadelphia,PA)から入手可能)のロードフット搭載面よりも大きなサイズになるように、繊維構造体サンプルから5つのサンプルを切り取ることによって、繊維構造体の厚さを測定する。典型的に、ロードフット搭載面は、約3.14in2の円形表面積を有する。サンプルを水平な平面とロードフット搭載面との間に固定する。ロードフット搭載面は、15.5g/cm2の拘束圧をサンプルに印加する。各サンプルの厚みは、平面とロードフット搭載面との間に生じるギャップである。厚みは、5つのサンプルの平均の厚みとして計算される。結果をミリメートル(mm)で報告する。
【0192】
粒度分布試験法
粒度分布試験を実施して、粒子の特徴的なサイズを求める。これは、分析に使用される篩サイズ及び篩時間のための更なる規格と共に、1989年5月26日に承認されたASTM D 502-89「Standard Test Method for Particle Size of Soaps and Other Detergents」を使用して実施される。第7章「Procedure using machine-sieving method」に従って、本明細書で言及される粒径の範囲を網羅するために、米国標準(ASTM E 11)篩#4(4.75mm)、#6(3.35mm)、#8(2.36mm)、#12(1.7mm)、#16(1.18mm)、#20(850um)、#30(600um)、#40(425um)、#50(300um)、#70(212um)、#100(150um)を含む清潔な乾燥した篩の入れ子を必要とする。規定された機械篩い法が、上記の入れ子状の篩と共に使用される。好適な篩振盪機は、W.S.Tyler Company(Ohio,U.S.A.)から入手することができる。篩振盪試験サンプルは約100グラムであり、5分間振盪される。
【0193】
各篩のマイクロメートルサイズの開口部を対数横軸に対してプロットし、累積質量パーセント(Q
3)を線形縦軸に対してプロットする片対数プロット上に、データをプロットする。上記データ表現の例は、ISO 92761:1998、「Representation of results of particle size analysis-Part 1:Graphical Representation」の
図A.4に記載されている。特徴的な粒径(Dx)は、この発明の目的において、累積質量パーセントがxパーセントと等しい点における横軸値として定義され、以下の式を使用してx%値の直上(a)及び直下(b)のデータ点間の直線補間によって計算される。
Dx=10^[Log(Da)-(Log(Da)-Log(Db))×(Qa-x%)/(Qa-Qb)]
(式中、Logは、10を底とする対数であり、Qa及びQbは、それぞれx百分位数の直上及び直下の測定データの累積質量百分位数であり、Da及びDbは、これらデータに対応するマイクロメートル篩サイズ値である。)
【0194】
例のデータ及び計算:
【0195】
【0196】
D10(x=10%)の場合、CMPFが10%(Da)の直上にあるミクロン篩サイズ(Da)は300μmであり、直下にあるスクリーン(Db)は212μmである。10%の直上の累積質量(Qa)は15.2%であり、直下(Qb)は6.8%である。
D10=10^[Log(300)-(Log(300)-Log(212))×(15.2%-10%)/(15.2%-6.8%)]=242um
【0197】
D50(x=50%)の場合、CMPFが50%(Da)の直上にあるミクロン篩サイズ(Da)は1180μmであり、直下にあるスクリーン(Db)は850μmである。90%の直上の累積質量(Qa)は99.3%であり、直下(Qb)は89.0%である。
D50=10^[Log(600)-(Log(600)-Log(425))×(60.3%-50%)/(60.3%-32.4%)]=528um
【0198】
D90(x=90%)の場合、CMPFが90%(Da)の直上にあるミクロン篩サイズ(Da)は600μmであり、直下にあるスクリーン(Db)は425μmである。50%の直上の累積質量(Qa)は60.3%であり、直下(Qb)は32.4%である。
D90=10^[Log(1180)-(Log(1180)-Log(850))×(99.3%-90%)/(99.3%-89.0%)]=878um
【0199】
直径試験法
走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)又は光学顕微鏡、及び画像解析ソフトウェアを使用して、離散繊維要素又は繊維構造体内の繊維要素の直径を求める。繊維要素を測定のために適切に拡大するように、200~10,000倍の倍率を選択する。SEMを使用する場合には、電子ビーム中での繊維要素の帯電及び振動を避けるために、サンプルを金又はパラジウム化合物でスパッタリングする。SEM又は光学顕微鏡を用いて得られた画像(モニタースクリーン上)から繊維要素の直径を測定するにはマニュアルの手順を用いる。マウス及びカーソルツールを使用して、ランダムに選択された繊維要素の縁部を探し、その後、その幅(すなわち、その点における繊維要素の方向に対して垂直な)にわたって繊維要素の他方の縁部まで測定する。目盛り付きの較正された画像解析ツールにより、μm単位で実際の読取値を取得するための目盛りが提供される。繊維構造体内の繊維要素については、SEM又は光学顕微鏡を用いて、繊維構造体のサンプル全体からいくつかの繊維要素をランダムに選択する。繊維構造体の少なくとも2つの部分を切り取り、この方法で試験する。統計解析のために、このような測定を全部で少なくとも100回実施し、次いで、全てのデータを記録する。記録したデータを用いて、繊維要素の直径の平均値(平均)、繊維要素の直径の標準偏差、及び繊維要素の直径の中央値を計算する。
【0200】
別の有用な統計は、特定の上限よりも小さい繊維要素の集合の量の算出である。この統計値を決定するために、繊維要素の直径の結果のいくつが上限よりも小さいかをカウントするようにソフトウェアをプログラムし、そのカウント(データの合計数で除し、100%を掛ける)を、上限よりも小さいパーセント(例えば直径が1マイクロメートル未満のパーセント又はサブミクロン%)として、パーセントで記録する。本発明者らは、個々の円形繊維要素に関し測定された直径(μmで)をdiとして表す。
【0201】
繊維要素が非円形断面を有する場合、繊維要素の直径の測定値は、水力直径として求められ、水力直径と等しいものと設定される。水力直径とは繊維要素の断面積を4倍して、繊維要素の断面の周囲長さ(中空の繊維要素の場合は外周囲長さ)で除したものである。数-平均直径、あるいは平均直径は、以下のとおりに計算する:
【0202】
【0203】
QB02625のためのマイクロCT法
7μmの等方性空間分解能でデータセットを取得することができるマイクロCT X線走査機器を使用して、試験するサンプルを撮像する。好適な機器の一例は、以下の設定で作動するSCANCO システムモデル50マイクロCTスキャナ(Scanco Medical AG,Bruttisellen,Switzerland)である;エネルギーレベル:133μAにおいて45kVp;投影:3000;視野:35mm;積分時間:750ms;4回の平均;及びボクセルサイズ:7μm。
【0204】
一方の封止された縁部から他方の端部までの線を切断して、2つの完全な封止された縁部が交わる先端部の下が約20mmの三角形を形成することによって、分析する試験サンプルを調製し、得られた切断面は、長さ約28mmである。調製されたサンプルを、低減衰サンプル調製用取付発泡体の環の間に交互に重ねて平らに置き、走査のために直径35mmのプラスチック円筒管内に取り付ける。取り付けられた切断サンプル全ての体積全体がデータセットに含まれるように、サンプルの走査を取得する。
【0205】
サンプル内の繊維、粒子、及び空隙空間の体積百分率を確実にかつ繰り返し測定するために、粒子、繊維、及び空隙空間を定性的に評価することができる3Dスラブのデータを作成する製品の断面からサンプルの小さなサブボリュームを抽出する。この体積のデータを包含するマスクを作成する。マスクは、空隙体積測定値をバイアスする製品の外部に空隙要素を含んでいてはならない。更に、分析のために選択される製品の領域は、製品上の物理的ランドマークからの一定距離に基づく。
【0206】
体積の内部を3つの領域:1)粒子、2)繊維、及び3)空隙空間に分けるために、これら3つの領域を最適に分離する自動閾値化アルゴリズムを利用する。粒子は繊維よりも高密度であるので、セグメント化粒子のわずかな拡張の追加工程も実行すべきである。これにより、粒子の表面における予想される部分体積平均を考慮することができる。次いで、拡張されたセグメント化粒子は、計算された総体積を有することができる。次いで、下限閾値を使用して空気から繊維を分離する。繊維体積は、下限閾値を上回るボクセルの共通集合(intersection)であり、粒子領域の一部ではない。最後に、次いで、繊維及び粒子体積の和集合(union)から全体的なマスク体積を減じることによって空隙容積が得られる。
【0207】
この1つの実行は、2つのソフトウェアプラットフォーム:Avizo 9.2.0及びMatlab R2016b(いずれもWindows 64bitワークステーションで実行される)の使用をとおして行われる。この場合、Scanco mCT503D X線マイクロCTスキャナからデータを収集し、7マイクロメートルボクセルの解像度でデータを収集した。走査及び画像再構成が完了した後、スキャナは、ISQファイルと称される16ビットのデータセットを作成し、ここで、グレーレベルはX線減衰の変化を反映し、ひいては、材料密度に関連する。この場合、ISQはかなり大きく、5038×5038×1326の寸法である。
【0208】
ISQファイルを、Avizo 9.2.0に読み込む。0.15のスケーリング係数を用いて8ビットに変換する。11mmだけオフセットされた1つの角部に対して斜めであるサブボリュームを選択する。分析のために厚さ3.5mmのスラブを選択する。
【0209】
ロバストな自動閾値化スキームを適用するために、3つのサンプルのそれぞれからの断面スライスをMatlab R2016Bに読み込む。次いで、「multithresh()」と呼ばれる関数を使用して、セグメントをN個の異なる領域(この例ではN=2である)に分割する。この関数は、画像ヒストグラムの分布に基づいて最適なセグメント化を提供する、「大津の手法」と呼ばれる周知のアルゴリズムに基づく。次いで、3つのサンプルのこれらの閾値の平均値を選択した。この例では、繊維から粒子を分離する閾値は124であり、空気から繊維を分離する閾値は48であった。半径1の球状構造化要素を使用する更なる拡張を、セグメント化された粒子データにおいて使用して、部分体積平均を補償する。次いで、Avizoにおけるヒストグラム関数によって、繊維及び粒子及び総マスク体積に関連する総体積の計算が可能になる。次いで、総マスク体積から繊維及び粒子の体積を減じることから空隙体積が得られる。次いで、更なる分析又は可視化のために、これら結果をExcelに転送してもよい。
【0210】
洗浄残渣試験法
洗浄残留試験は、布地上の洗剤残渣を定性的に測定する。各試験は、4つの比較製品サンプルを含み、各製品サンプルについて4回繰り返す。試験には、50°F+/-1°Fに設定された水温制御システムに接続されたWhirlpool Duet洗濯機(型番WFW 9200 SQO2)を使用する。
【0211】
黒色のビロードポーチは、Equest U.K.(電話番号(01207)529920)から供給されている。
1.材料供給源:Denholme Velvets,Halifax Road,Denholme,Bradford,West Yorkshire,England BD134EZ(電話番号(01274)832646)。
2.材料の種類:150cmのC.R.Cotton Pile Velvet、品質8897、黒色、72%綿、28%モダール。
3.Equestの縫合説明書:23.5cm×47cmの黒色のビロードの矩形を切り取る。黒色のビロードの矩形を折り畳んで、内側がビロードの正方形を作る。オーバーロックステッチを使用し、正方形を2つの側面に沿って縫い付け、1つの開いた縁部を残す。ブランク識別ラベル(3×3cmの平らな綿)を片側に縫い付ける。
【0212】
試験準備:
1.1つの開いている縁部において、ビロードが外側に来るようにポーチを裏返す。
2.製品コード及び内部/外部複製をマジックインキで識別ラベルに書き込む。
3.通常/中程度の汚れ及び通常/中程度の水硬度に対する水溶性単位用量製品の推奨される用量を、黒色ビロードポーチの右後角部に置く。
4.黒色ポーチの開放端部を2cmの継ぎ目で折り畳み、開口部の全長に沿って幅2cmの継ぎ目の中央において縫い目で閉じる。
5.合計で試験製品当たり4つの複製物を有するように、これら工程を繰り返す。
6.黒色ポーチを洗濯機に入れ、以下のとおり洗浄する。
【0213】
黒色ポーチの洗浄:
4つの黒色ビロードポーチを、交互に、
図6に示すとおり、水溶性単位用量製品が全て互いに隣接するように互いに重ねて配置する。配置されたポーチをドラムの後部に置く。
【0214】
洗濯機をオンにし、デリケートな洗浄プログラムに設定し、50°F+/-1°F(水温制御システムを介して)及び硬度6gpgの混合水を使用し、追加のバラスト負荷は加えない。洗濯機で、洗浄サイクル全体を行う。洗浄サイクルの終了時に、ポーチを洗濯機から取り出し、確実に残渣を全くこぼさないように、3つの側面(折り畳まれた側を除いて全て)に沿って開ける。
【0215】
開けた直後にポーチを等級付けする。2人の独立した採点者の等級を記録する。データをラテン方格法として分析し、分析は、洗濯機及び製品位置を統計モデルに組み込む。最小二乗平均及び95%信頼上限区間を構築する。水溶性単位用量製品は、平均目盛り単位の周りの95%片側信頼上限区間が1未満である場合、試験に合格したとみなされる。
【0216】
洗浄後の袋の中/上に残っている残渣の目視観測によって等級付けを行う。
【0217】
以下の定性的尺度に従って黒色ポーチを等級付けする:
0=残渣なし
0.5=最大直径1cmの非常に小さいスポット
1=それぞれ最大直径2cmの最高3つの小さな拡散スポット、スポットは平坦(すなわちフィルム様)かつ半透明である。
2=それぞれ直径2cmの3つを超える小さな拡散スポット、最大で黒色のポーチ全体が平坦な半透明の残渣で覆われる。
2.5=直径1cm未満の小さな不透明残渣(すなわち、ゲル様)。
3=直径1cm~2cmの不透明残基(例えば、ゲル様)。
4=直径3cm~4cmの不透明残基(例えば、ゲル様)。
5=直径4~6cmの直径を有する厚いゲル様残渣。
6=直径>6cmの直径を有する厚いゲル様残渣。
7=製品は、実質的に溶解せず、残渣は、軟らかくゲル様である。
8=製品は、実質的に溶解せず、残渣は、硬く弾性であり(シリコーンのような感触)、グレード8は、製品が汚染されていた可能性があることを示すため、特別である。
【実施例】
【0218】
A.布地を洗浄するプロセスであって、
a.その上に付着した皮脂を含む布地を得る工程と、
b.洗浄工程において当該布地を処理する工程であって、当該洗浄工程が、当該布地を洗浄液と接触させることを含む、工程と、
を含み、
当該洗浄液が、水溶性単位用量を水で300~800倍に希釈することによって調製され、当該洗浄液が、8以上のpHからなり、
当該水溶性単位用量が、
約10重量%~約80重量%のアルキルアルコキシル化サルフェートと、
1つ以上の塩基pH調整剤と、1つ以上のプロテアーゼ酵素と、
を含む、プロセス。
【0219】
B.
c.すすぎ工程において工程bからの当該布地を処理する工程であって、当該すすぎ工程が、当該布地をすすぎ溶液と接触させる工程を含む、段落Aに記載のプロセス。
【0220】
C.当該アルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤が、好ましくは約1~約3.5、より好ましくは約1~約3、更により好ましくは約1~約2の平均エトキシル化度を有するアルキルエトキシル化界面活性剤である、段落A又はBに記載のプロセス。
【0221】
D.当該1つ以上のプロテアーゼ酵素が、約6.5~11.5の等電点を有する、段落A~Cのいずれか1つに記載のプロセス。
【0222】
E.当該アルコキシル化アミンが、エトキシレート(EO)基、プロポキシレート(PO)基、又はこれらの組み合わせ、好ましくはエトキシレート(EO)基を含む、段落Cに記載のプロセス。
【0223】
F.当該塩基pH調整剤が、硫酸イオン、リン酸二水素イオン、フッ化物イオン、亜硝酸イオン、酢酸イオン、炭酸水素イオン、硫化水素イオン、アンモニア、炭酸イオン、水酸化物イオン、及びこれらの組み合わせを含む群から選択される、段落A~Eのいずれか1つに記載のプロセス。
【0224】
G.当該塩基pH調整剤が、水酸化物イオンを含む、段落A~Fのいずれか1つに記載のプロセス。
【0225】
H.当該水溶性単位用量が、繊維構造体を含む、段落A~Gのいずれか1つに記載のプロセス。
【0226】
I.当該1つ以上のプロテアーゼ酵素が、メタロプロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のプロテアーゼ酵素を含む群から選択される、段落A~Hのいずれか1つに記載のプロセス。
【0227】
J.当該布地が、綿、ポリエステル、綿/ポリエステルブレンド、又はこれらの混合物から選択され、好ましくは綿である、段落A~Iのいずれか1つに記載のプロセス。
【0228】
K.当該工程が、自動洗濯機、手洗い操作、又はこれらの混合、好ましくは自動洗濯機で行われる、段落A~Jのいずれか1つに記載のプロセス。
【0229】
L.当該洗浄液が、5℃~90℃の温度である、段落A~Kのいずれか1つに記載のプロセス。
【0230】
M.当該洗浄工程が、5分~50分かかる、段落A~Lのいずれか1つに記載のプロセス。
【0231】
N.当該洗浄液が、水溶性単位用量を水で希釈することによって調製される、段落A~Mのいずれか1つに記載のプロセス。
【0232】
O.当該水溶性単位用量が、1つ以上の非プロテアーゼ酵素を更に含み、当該1つ以上の非プロテアーゼ酵素が、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、キシログルカナーゼ、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、段落A~Nのいずれか1つに記載のプロセス。
【0233】
(実施例1)
図3に示すように、第1の紡糸ビームを使用して繊維要素の第1の層を紡糸し、形成ベルト上に回収する。次いで、繊維の第1の層を有する形成ベルトを、粒子添加システムで改造された第2の紡糸ビームの下を通過させる。粒子添加システムは、第2の紡糸ビームから繊維要素の直下にある形成ベルト上のランディングゾーンに向かって粒子を実質的に注入することができる。好適な粒子添加システムは、振動、ベルト又はスクリューフィーダーなどの粒子フィーダー、及びエアナイフ又は他の流動化搬送システムなどの射出システムから組み立てられ得る。横断方向における粒子の一貫した分布を支援するために、好ましくは、粒子が複合構造体の全幅にわたって送達されることを確実にするために、粒子を紡糸ダイとほぼ同じ幅にわたって供給する。好ましくは、粒子フィーダーは、粒子供給材料の破壊を最小限に抑えるために、出口を除いて完全に取り囲まれる。第2の紡糸ビーム下の形成ベルト上において粒子及び繊維要素が共衝突することによって、粒子パッキングが拡張され、繊維が粒子間孔に実質的に浸透する複合構造体が作り出される。
【0234】
以下の表3に、繊維要素を作製するために使用される、本発明の乾燥した繊維組成物の非限定的な例を記載する。繊維要素を作製するために、好ましくは約45%~60%の固形分含有量を有する水溶液を、
図3に示すように1つ以上の紡糸ビームを通して加工する。好適な紡糸ビームは、細長化空気流を有するキャピラリーダイと、形成ベルト上で衝突する前に細長化した繊維を実質的に乾燥させるのに好適な乾燥空気流とを含む。
【0235】
【0236】
以下の表4に、本発明の粒子組成物の非限定的な例を記載する。粒子は、粉砕、噴霧乾燥、凝集、押出、造粒、封入、錠剤化、及びこれらの任意の組み合わせを含む様々な好適なプロセスによって作製され得る。添加前に1つ以上の粒子を一緒に混合してもよい。
【0237】
【0238】
得られた製品を表5に例示し、製品のための未希釈のシャーシ組成物を用いて、繊維及び粒子成分(それぞれ表3及び4から)による製品シャーシの構造の詳細を提供する。香料、酵素、抑泡剤、漂白剤などの他の製品補助材料をシャーシに添加してもよいことに留意されたい。
【0239】
各シャーシについての洗浄残渣試験等級を示す。シャーシは、かなりの比率のエトキシル化アニオン性界面活性剤(AES)を有する多様な洗剤製品を例示する。
【0240】
【0241】
実施例1の原材料
LASは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)又はHuntsman Corpによって供給されている、平均脂肪族炭素鎖長C11~C12を有する直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。HLASは、酸形態である。
【0242】
AESは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)又はShell Chemicals(Houston,TX,USA)によって供給されている、C12-14アルキルエトキシ(3)サルフェート、C14-15アルキルエトキシ(2.5)サルフェート、又はC12-15アルキルエトキシ(1.8)サルフェートである。
【0243】
ASは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)によって供給されているC12-14サルフェート、及び/又は中鎖分枝状アルキルサルフェートである。
【0244】
分散剤ポリマー(Disp.ポリマー)は、分子量70,000であり、アクリレート:マレアート比70:30である(BASF(Ludwigshafen,Germany)から供給される。
【0245】
PEG-PVAcポリマーは、ポリエチレンオキシド骨格鎖及び複数のポリ酢酸ビニル側鎖を有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド骨格鎖の分子量は、約6000であり、ポリエチレンオキシドのポリ酢酸ビニルに対する重量比は、約40~60であり、50のエチレンオキシド単位当たり1個以下のグラフト点である。BASF(Ludwigshafenm,Germany)から入手可能。
【0246】
エトキシル化ポリエチレンイミン(PE20)は、-NH当たり20のエトキシレート基を有する、600g/モル分子量のポリエチレンイミンコアである。BASF(Ludwigshafenm,Germany)から入手可能。
【0247】
本明細書において開示された寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法はそれぞれ、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図されている。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0248】
明瞭にする目的のために、総「重量%」値は、100重量%を超えない。
【0249】
相互参照される文書又は関連特許若しくは出願を含めた、本明細書に引用される全ての文書は、明示的に除外されるか又は特に限定されない限り、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0250】
本発明の特定の実施例及び/又は実施形態について図示し説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲に網羅することが意図されている。
【配列表】