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<図1>
  • 特許-加湿器 図1
  • 特許-加湿器 図2
  • 特許-加湿器 図3
  • 特許-加湿器 図4
  • 特許-加湿器 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】加湿器
(51)【国際特許分類】
   F24F 6/00 20060101AFI20240219BHJP
【FI】
F24F6/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020572241
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2020005083
(87)【国際公開番号】W WO2020166548
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2022-09-21
(31)【優先権主張番号】P 2019024277
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 勝義
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-164265(JP,A)
【文献】実開昭59-163821(JP,U)
【文献】特開平05-296505(JP,A)
【文献】特開2006-078370(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0051257(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に、貯水タンクへの給水を行うための給水口と、前記本体の上面に設けられた前記給水口以外の他の開口部とを有する加湿器であって、
前記給水口と前記貯水タンクとを連通する給水路と、
前記貯水タンクの水面の水位を検知する水位検知センサと、
前記水位検知センサの出力値に基づいて、前記貯水タンクへの給水を検出する制御部とを有しており、
前記給水路には、前記給水口からの給水が行われた場合に前記貯水タンク内の水面の揺れを抑制しながら給水させる整流機構が設けられており、
前記制御部は、前記水位検知センサの出力値の変化が前記給水口からの給水による水位上昇パターンと異なる水位上昇パターンである場合に、前記他の開口部からの給水が行われている旨の報知を行うことを特徴とする加湿器。
【請求項2】
請求項1に記載の加湿器であって、
前記他の開口部は、加湿空気を放出するための吹出口であり、
前記吹出口と連通する風路の内部には電極部が設けられており、
前記制御部は、前記吹出口からの給水が行われていることを検出した場合、前記吹出口からの給水が検出された時点で当該加湿器が運転中であれば、当該加湿器を停止させる、もしくは、前記吹出口からの給水が検出された時点で前記電極部が通電中であれば、通電を停止させることを特徴とする加湿器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加湿器であって、
前記制御部は、前記水位検知センサの出力値が増加せずに振動している場合には、前記他の開口部からの給水検出時とは異なる報知を行なうことを特徴とする加湿器。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の加湿器であって、
前記水位検知センサは、貯水タンクの上方に設けられ、水面までの距離を検知する測距センサであることを特徴とする加湿器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水口から水を注ぎ入れて給水を行うことが可能な構成の加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭などで使用される加湿器は、加湿器本体に対して着脱可能な貯水タンクを備えた構成が一般的である。加湿器に対する給水を行う場合には、貯水タンクを加湿器本体から取り外し、給水を終えた貯水タンクを再び加湿器本体に取り付ける。
【0003】
しかしながら、上記構成では、給水時に貯水タンクを加湿器本体から取り外して持ち運ぶ必要があり、手間が掛かる。また、貯水タンクの外面に付いた水滴が床に落ちるといった問題がある。上記問題を解消するために、加湿器本体に給水口を設け、該給水口からヤカンや水差しなどの容器を用いて水を注ぎ入れ、加湿器内部の貯水タンクへ直接給水を行う構成の加湿器が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-75285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
加湿器本体に給水口を設ける場合、該給水口は、ユーザにとって給水が容易となるように加湿器本体の上面に設けられる。また、加湿器本体の上面には、加湿空気の吹出口なども設けられる。このような場合、ユーザが誤って吹出口から給水を行ってしまうことが考えられる。
【0006】
吹出口からの給水が行われた場合、注がれた水が加湿器内部の電気系(モータや回路基板)などに掛かる虞がある。通常、加湿器などの水を使用する装置では、電気系においてある程度の防水対策は取られているものの、ユーザが気づかずに吹出口からの給水を継続して行うと、電気系に多量の水が掛かってしまい、故障が生じる可能性が無いとは言えない。しかしながら、従来の加湿器は、吹出口からの給水を検出する機能は無く、誤った給水を防止することはできなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、給水口以外からの誤った箇所(例えば吹出口)からの給水を検出可能とする加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、本体に、貯水タンクへの給水を行うための給水口と、前記給水口以外の他の開口部とを有する加湿器であって、前記給水口と前記貯水タンクとを連通する給水路と、前記貯水タンクの水面の水位を検知する水位検知センサと、前記水位検知センサの出力値に基づいて、前記貯水タンクへの給水を検出する制御部とを有しており、前記給水路には、前記給水口からの給水が行われた場合に前記貯水タンク内の水面の揺れを抑制しながら給水させる整流機構が設けられており、前記制御部は、前記水位検知センサが前記給水口からの給水による水位上昇パターンと異なる水位上昇パターンの出力値を検知した場合に、前記他の開口部からの給水が行われている旨の報知を行うことを特徴としている。
【0009】
上記の構成によれば、整流機構が設けられた給水口からの給水時には、水位検知センサ
の出力値は殆ど振動することなく増加し、他の開口部からの給水時には、水位検知センサの出力値は振動しながら増加する。このため、制御部は、水位検知センサが前記給水口からの給水による水位上昇パターンと異なる水位上昇パターンの出力値を検知した場合(例えば、水位検知センサの出力値が振動しながら増加している場合)には、他の開口部からの給水が行われている旨の報知を行うことができ、ユーザに対して給水の停止を促すことができる。
【0010】
また、上記加湿器では、前記他の開口部は、加湿空気を放出するための吹出口であり、前記吹出口と連通する風路の内部には電極部が設けられており、前記制御部は、前記吹出口からの給水が行われていることを検出した場合、前記吹出口からの給水が検出された時点で当該加湿器が運転中であれば、当該加湿器を停止させる、もしくは、前記吹出口からの給水が検出された時点で前記電極部が通電中であれば、通電を停止させる構成とすることができる。
【0011】
上記の構成によれば、吹出口からの給水が行われたときに水の掛かり易い位置にある電極部に対し、電極部が濡れた状態で通電することを抑制でき、電極部の故障や寿命低下を抑制することができる。
【0012】
また、上記加湿器では、前記制御部は、前記水位検知センサの出力値が増加せずに振動している場合には、前記他の開口部からの給水検出時とは異なる方法で報知を行なう構成とすることができる。
【0013】
上記の構成によれば、例えば、子供などが加湿器を揺らして貯水タンクの水面に揺れが生じた場合や、他の開口部から異物が投入された場合などに、他の開口部からの給水検出時とは異なる報知を行なうことで、ユーザに対して適切な対応を促すことができる。
【0014】
また、上記加湿器では、前記水位検知センサは、貯水タンクの上方に設けられ、水面までの距離を検知する測距センサである構成とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の加湿器は、給水口以外の他の開口部からの給水が行われていることを検出して、他の開口部からの給水が行われている旨の報知を行うことができ、ユーザに対して給水の停止を促すことができるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態を示すものであり、加湿器の構造を示す斜視図である。
図2】実施の形態1の加湿器において、給水路を通る箇所の縦断面図である。
図3】給水口からの給水が行われた場合の測距センサにおける出力値の変化の一例を示すグラフである。
図4】吹出口からの給水が行われた場合の測距センサにおける出力値の変化の一例を示すグラフである。
図5】実施の形態2の加湿器において、給水路を通る箇所の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。まずは、図1を参照して、本実施の形態1に係る加湿器10の構造を説明する。尚、加湿器10による加湿機能の実現は、公知の技術を用いて可能であるので、その説明は省略する。尚、加湿器とは、加湿機能を実現する構成を備えていればよく、加湿機能のみを実現するものに限られない。加湿機能付き空気清浄機、加湿機能付きエアコン、除加湿器なども加湿器に含ま
れる。
【0018】
図1は、加湿器10の斜視図である。尚、加湿器10のZ方向から見た面を加湿器10の上面、Y方向から見た面を前面、X方向から見た面を側面と呼ぶ。図1に示すように、加湿器10は、加湿器本体11、パネル12、および貯水タンク13により構成されている。加湿器本体11の上面には給水口111、吹出口112が設けられている。加湿器本体11の前面(パネル12が取付けられる面)には、2本のリブ114によって区画された上下方向に通る溝部113が設けられている。
【0019】
パネル12は、加湿器本体11の前面に取り外し可能に取り付けられるものである。そして、溝部113とパネル12とで形成される空間が、給水口111と貯水タンク13とを繋ぐ給水路20(図2参照)の一部、すなわち上部給水路201(図2参照)となる。尚、パネル12は取り外し可能なので、上部給水路201のメンテナンスを行う場合、パネル12を取り外し、溝部113を露出させて清掃などを行うことができる。
【0020】
貯水タンク13は、加湿器本体11の下部に格納される貯水可能なトレイである。貯水タンク13は、加湿器本体11に取り付けられたまま、給水口111からの給水が可能となっている。また、貯水タンク13は、加湿器本体11の前面から着脱可能となっており、加湿器本体11から外した貯水タンク13に水を入れ、水を入れた貯水タンク13を再び加湿器本体11に戻すといった給水も可能となっている。
【0021】
続いて、図2を参照して、加湿器10の内部構造を説明する。図2は、加湿器10において、給水路20を通る箇所の縦断面図(YZ断面図)である。図2に示すように、加湿器10は、その内部に貯水タンク13、ファン14および測距センサ15を備えている。
【0022】
貯水タンク13の内部には、蒸発フィルタ131が配置されるようになっている。蒸発フィルタ131は、貯水タンク13に貯められた水の少なくとも一部を含んでいる。
【0023】
ファン14は、加湿器10の内部の風路に配置され、吸気口(図示せず)から吹出口112へ向かう風を発生させる。加湿器10は、ファン14が発生させた風を蒸発フィルタ131に当てることで、蒸発フィルタ131に含まれる水を気化させる気化式の加湿器である。ただし、本開示の一態様に係る加湿器は、熱によって蒸気を発生させるスチーム式、または超音波振動によって水を微粒子化して放出する超音波式などの加湿器であってもよい。
【0024】
測距センサ15は、貯水タンク13に貯められた水の水位を検知するセンサであり、貯水タンク13の上方に設けられる。具体的には、測距センサ15は、鉛直下方に位置する水面までの距離を検知することにより、水位を検知する。
【0025】
測距センサ15が検出する距離が所定値以上になると、加湿器10は、貯水タンク13内の水が所定量より少なくなった、または無くなったと判定して、ユーザに対して報知する。また、測距センサ15が検出する距離が所定値未満になると、加湿器10は、貯水タンク13内の水が所定量より多いと判定して、ユーザに対して報知する。
【0026】
ユーザに対する報知は、例えば加湿器10が備えるLED(図示せず)などの発光によって行われてもよく、スピーカー(図示せず)などからの音声出力によって行われてもよい。また、ユーザに対する報知は、加湿器10以外の装置(例えばユーザが所有する携帯情報端末など)を介して行われてもよい。
【0027】
また、貯水タンク13の前面側の内部には、仕切り板132が設けられており、貯水タ
ンク13の前面側内壁と仕切り板132との間の空間が下部給水路202とされている。下部給水路202は上部給水路201と連通しており、上部給水路201および下部給水路202によって給水口111から貯水タンク13への給水路20が形成されている。仕切り板132の下端(貯水タンク13の底面と接する位置)には、少なくとも1つ(好適には複数)の通水孔133が形成されている。
【0028】
加湿器10では、例えばヤカンや水差しなどの容器を用いて給水口111からの給水を行うとき、給水口111に注水された水は、給水路20を通って貯水タンク13内に給水される。そして、下部給水路202から貯水タンク13へは、仕切り板132の下端に設けられた通水孔133を通じて水が流れ込む。このため、給水口111からの給水時、貯水タンク13ではトレイ底面付近から水が流れ込んで水位が上昇し、貯水タンク13内の水面の揺れが抑制される。すなわち、給水口111からの給水が行われた場合には、測距センサ15にて検知される水位に振動を生じさせることなく給水が可能となる。言い換えれば、給水路20には、水位の振動を生じさせることなく給水を行うための整流機構が設けられている。但し、図2の給水路20で示した整流機構は一例に過ぎず、給水口111からの正しい給水を行われた場合に貯水タンク13内の水面の揺れを抑制しながら給水することができるものであれば、整流機構の具体的構造は特に限定されるものではない。
【0029】
図3は、給水口111からの給水が行われた場合の測距センサ15における出力値の変化の一例を示すグラフである。図3に示されるように、給水口111からの給水時には、測距センサ15における出力値(タンク水位)は振動することなく増加する。
【0030】
一方、加湿器本体11の上面には吹出口112も設けられており、ユーザが加湿器10への給水を行うときに、誤って吹出口112から注水を行うことも考えられる。加湿器10においては、吹出口112も風路を通じて貯水タンク13と繋がっているため、吹出口112から注水が行われた場合も、風路を通って貯水タンク13へ水が流れ込む。但し、風路には給水路20のような整流機構は備わっておらず、吹出口112から給水が行われた場合には、貯水タンク13の水面に水が落下するため、貯水タンク13内の水面に揺れが生じ、測距センサ15にて検知される水位にも振動が生じる。
【0031】
図4は、吹出口112からの給水が行われた場合の測距センサ15における出力値の変化の一例を示すグラフである。図4に示されるように、吹出口112からの給水時には、測距センサ15における出力値は振動しながら増加する。そして、本実施の形態1に係る加湿器10において、制御部(図示せず)は、図3に示すグラフと図4に示すグラフとの違いに基づいて、吹出口112からの給水が行われた場合(すなわち、水位検知センサ15が給水口111からの給水による水位上昇パターンと異なる水位上昇パターンの出力値を検知した場合)にこれを検出することができる。
【0032】
具体例として、制御部は、測距センサ15における出力値が増減を繰り返している場合に、その振幅値A(図4参照)を閾値と比較し、振幅値Aが当該閾値以上となった場合に貯水タンク13内の水面に揺れが生じていると判断することができる。また、制御部は、振動のピーク点P(図4参照)を追跡し、これが時間経過に伴って増加していれば、貯水タンク13の水位が上昇していると判断することができる。そして、制御部は、貯水タンク13内の水面の揺れと貯水タンク13の水位の上昇との両方を検出した場合に、吹出口112からの給水が行われていることを検出することができる。
【0033】
制御部は、吹出口112からの給水が行われていることを検出した場合、ユーザにその旨を報知して給水の停止を促すことができる。この報知によってユーザが給水を直ちに停止すれば、仮に吹出口112からの給水によって加湿器10内部の電気系(モータや回路基板)に水が掛かったとしてもその量は僅かであり、故障などに繋がる可能性は殆ど無い
と考えられる。尚、ユーザに対する上記報知の方法は、本発明において特に限定されるものではない。
【0034】
〔実施の形態2〕
上記実施の形態1の加湿器10は、吹出口112からの給水が行われていることを検出した場合にユーザに報知を行うことを特徴としている。しかしながら、加湿器10が備える機能によっては、このような報知のみでは十分でなく、さらなる対策が必要となることもある。本実施の形態2では、そのような対策例について説明する。
【0035】
図5は、本実施の形態2に係る加湿器10Aにおいて、給水路20を通る箇所の縦断面図(YZ断面図)である。加湿器10Aは、空気浄化効果および消臭効果のあるイオンを空気中に放出するイオン発生機能を備えたものであり、イオンを生成するためのイオン発生部30を、吹出口112に連通する風路内に有している。尚、加湿器10Aは、イオン発生部30を備えている以外の構成は、実施の形態1における加湿器10と同じであるとする。また、イオン発生部30はイオンの放出効率を高めるため吹出口112の近くに配置されることが好ましい。
【0036】
加湿器10Aにおいて、イオン発生部30は、誤って吹出口112から給水が行われた場合に水の掛かりやすい場所にある。さらに、イオン発生部30は、放電によってイオンを生成するための電極を有している。当該電極に水が掛かった状態でイオン発生部30を通電させると、電極間で短絡を起こして著しく寿命を縮めたり、故障が発生したりする虞もある。
【0037】
このため、本実施の形態2に係る加湿器10Aは、吹出口112からの給水が検出された場合、以下の(a),(b)の対策を実行するものとする。
(a)吹出口112からの給水が検出された時点で加湿器10Aが運転中であれば、加湿器10Aを停止させる。もしくは、吹出口112からの給水が検出された時点でイオン発生部30が通電中であれば、通電を停止させる。
(b)上記(a)の後、ユーザに対してイオン発生部30に掛かった水を拭き取ることを促す報知を行なう。
【0038】
本実施の形態2に係る加湿器10Aでは、上記(a),(b)の対策により、イオン発生部30が濡れた状態で通電することを抑制でき、イオン発生部30の故障や寿命低下を抑制できる。
【0039】
また、本実施の形態2に係る加湿器10Aは、さらに以下の(c)の対策を実行してもよい。
(c)上記(a)の後、ユーザからの加湿器10A(もしくはイオン発生部30)の運転再開操作を受け付けないロック状態とする。当該ロック状態は、所定時間(濡れたイオン発生部30の自然乾燥に要する程度の時間)が経過するか、ユーザによる所定のロック解除操作によって終了するものとする。
【0040】
上記(c)の対策により、イオン発生部30が濡れた状態でユーザが運転を再開させることを抑制できる。
【0041】
尚、本実施の形態2に係る加湿器10Aは、イオン発生部30に代えて他の電極部を有する構成であってもよい。ここでの電極部とは、防水層などで覆われていない剥き出しの電極を有する機能部を指し、イオン発生部30以外にも、通電により放電させて放電生成因子を放出させる放電部が含まれる。このような放電部は、水がつくと清浄な通電が行えず、しいては放電不良となるため、本発明の適用が好適となる。
【0042】
〔実施の形態3〕
上記実施の形態1の加湿器10は、測距センサ15における出力値が振動しながら増加している場合に、吹出口112からの給水を検出する。一方、測距センサ15における出力値が増加せずに振動している場合は、単に加湿器10に振動が与えられ、貯水タンク13の水面に揺れが生じたと考えられる。あるいは、吹出口112から異物が投入され、当該異物が貯水タンク13内に落下して、水面に揺れが生じたとも考えられる。尚、加湿器10の吹出口112からは大きな異物は投入できないため、異物投入された場合の貯水タンク13の水面上昇は僅かであり、給水時の水位増加とは区別可能であるとする。
【0043】
本実施の形態3に係る加湿器10は、測距センサ15における出力値が増加せずに振動のみしていることが検出された場合に、吹出口112からの給水検出時とは異なる方法で報知を行なうことを特徴とする。
【0044】
例えば、子供などが加湿器10を揺らして貯水タンク13の水面に揺れが生じた場合、アラーム音などでの報知を行うことで、周囲の大人がこれに気づいて止めさせ、加湿器10の転倒事故などを防ぐことができると考えられる。
【0045】
あるいは、子供などが吹出口112から異物を投入した場合、異物によっては早急に貯水タンク13から取り出す必要がある。このような場合も、アラーム音などでの報知を行うことで、貯水タンク13に異物が入ったまま放置されることを防ぐことができると考えられる。
【0046】
(変形例)
上記実施の形態1~3では、貯水タンク13の水位を検知する水位検知センサとして測距センサ15を用いたが、本発明においては水位検知センサの種類は特に限定されるものではない。例えば、水位検知センサとしては、重量センサや磁気センサを用いることもできる。重量センサは、重量に基づいて貯水タンク13の貯水量(すなわち水位)を検出するが、給水口111からの給水が行われた場合と吹出口112からの給水が行われた場合との出力値の変化は測距センサ15とほぼ同様であり、測距センサ15に代えての使用が可能である。また、磁気センサは、貯水タンク13の水面にフロート(浮き)を備え、当該フロートに取り付けられたマグネットが磁気センサと対向する位置となったときに所定水位を検知するものである(所定水位付近での水面の揺れも検出可能)。磁気センサは、貯水タンク13の水面の揺れを検出できる検出範囲が限られるが、磁気センサの使用個数を増やせば、測距センサ15に代えての使用も可能である。
【0047】
また、上記実施の形態1~3では、測距センサ15の出力値に基づいて検出される誤った給水を、吹出口112からの給水とした。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、加湿器本体11にある給水口111以外の他の開口部からの給水を検出するものであればよい。この場合の他の開口部とは、貯水タンク13と連通しており、誤って給水が行われた場合に、貯水タンク13の水面に揺れを生じさせるような開口部を指し、吹出口112以外では例えば空気取入口などが考えられる。また、給水口111や他の開口部は、加湿器本体11の上面にあるものとは限らず、加湿器本体11の側面から上に向かって開口する形状のものであってもよい。
【0048】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0049】
〔援用の記載〕
本国際出願は、2019年2月14日に日本特許庁に出願された日本国特許出願第2019-024277号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2019-024277号の全内容を参照により本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0050】
10 加湿器
10A 加湿器
11 加湿器本体(本体)
111 給水口
112 吹出口(他の開口部)
12 パネル
13 貯水タンク
14 ファン
15 測距センサ(水位検知センサ)
20 給水路
201 上部給水路
202 下部給水路
30 イオン発生部
図1
図2
図3
図4
図5