(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/80 20180101AFI20240219BHJP
F24F 11/70 20180101ALI20240219BHJP
【FI】
F24F11/80
F24F11/70
(21)【出願番号】P 2021017207
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2022-01-21
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087985
【氏名又は名称】福井 宏司
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 裕記
【合議体】
【審判長】鈴木 充
【審判官】竹下 和志
【審判官】間中 耕治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-43848(JP,A)
【文献】特開2011-85289(JP,A)
【文献】特開2008-151460(JP,A)
【文献】特開2000-88318(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機と、室外機と、前記室内機に接続される換気装置と、制御装置とを備える空気調和機であって、
前記換気装置は、外気を取り入れて前記室内機に前記外気を案内する給気路と、前記給気路に設けられるヒータとを備え、
前記給気路は、前記室外機に設置される換気ユニットと前記室内機とを結ぶダクトを備え、前記ヒータは前記換気ユニットに設けられ、
前記制御装置は、
室内温度が室外温度よりも低く、かつ、前記室内温度と前記室外温度との温度差が所定値以上のとき、前記ダクトの結露を抑制するように、前記給気路内の空気を加熱する前記ヒータを運転する第1ヒータ運転と、前記外気に含まれる異物に作用するように前記ヒータを運転する第2ヒータ運転と、を行うように前記換気装置を制御し、
前記第1ヒータ運転および前記第2ヒータ運転において、前記室外温度に応じて前記ヒータに供給する電力を制御する、
空気調和機。
【請求項2】
前記第2ヒータ運転を開始させる入力を受け付けて、前記入力に基づく指令を前記制御装置に送信する操作装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記操作装置から指令を受信することに基づいて前記第2ヒータ運転を行う
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記第2ヒータ運転において、前記ヒータへの通電の比率が0.9以上である
請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記第1ヒータ運転における前記ヒータの第1出力の大きさは、前記第2ヒータ運転における前記ヒータの第2出力の大きさと異なる
請求項1~3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記第2出力は、前記第1出力よりも大きい
請求項4に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御装置は、前記室外温度が閾値よりも高いとき、前記ヒータに供給する電力を低下させる
請求項1~5のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項7】
室内機と、室外機と、前記室内機に接続される換気装置と、制御装置とを備える空気調和機であって、
前記換気装置は、外気を取り入れて前記室内機に前記外気を案内する給気路と、前記給気路に設けられるヒータとを備え、
前記給気路は、前記室外機に設置される換気ユニットと前記室内機とを結ぶダクトを備え、前記ヒータは前記換気ユニットに設けられ、
前記室内機は、風向きを調整する風向調整部を有し、
前記制御装置は、
前記ダクトの結露を抑制するように前記ヒータを運転する第1ヒータ運転と、前記外気に含まれる異物に作用するように前記ヒータを運転する第2ヒータ運転と、を行うように前記換気装置を制御し、
前記第1ヒータ運転において前記風向調整部を第1風向制御で制御し、
前記第2ヒータ運転において前記風向調整部を第2風向制御で制御し、
前記第1風向制御は
、通常空調時における風向制御と同じ制御であり、
前記第2風向制御は、前記室内機から吹き出される空気の風向を水平よりも下向きにする制御である、
空気調和機。
【請求項8】
前記制御装置は、
冷房運転時、風向の角度を第1風向範囲内で制御し、
冷房運転時、前記第2風向制御において風向の角度を前記第1風向範囲よりも下向きの第2風向範囲で制御し、
前記風向の角度は、前記室内機に設けられるルーバが最も下に傾いたときの角度を最小角度として定義されるときの、前記ルーバの角度として定義され、
前記第1風向範囲は、前記最小角度よりも大きい中間角度以上、最大角度以下の範囲である、
請求項7に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記制御装置は、室内温度が室外温度よりも低く、かつ、前記室内温度と前記室外温度との温度差が所定値以上のとき、前記第1ヒータ運転を実行する
請求項7または8に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記制御装置は、結露条件が成立することに基づいて前記第1ヒータ運転を実行し、前記第1ヒータ運転の実行中において結露解消条件が成立することに基づいて前記第1ヒータ運転を停止する
請求項1~9のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
加湿して外気を取り入れることができる空気調和機が知られている。特許文献1に記載の空気調和機は、加湿ユニットを備え、さらに、空気取り入れ口から取り入れた空気を加熱するヒータを備える。ヒータは、空気の加熱によって、空気に含まれる花粉のアレルギー性を低下させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、外気を取り入れるときに給気路内に結露が生じる虞がある。給気路内の結露は、給気路内に菌を繁殖させたり、給気路の強度を低下させたりする虞がある。また、外気の取り入れと、外気とともに菌およびウィルスなどの異物が室内に入ることもある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決する空気調和機は、室内機と、室外機と、前記室内機に接続される換気装置と、制御装置とを備える空気調和機であって、前記換気装置は、外気を取り入れて前記室内機に前記外気を案内する給気路と、前記給気路に設けられるヒータとを備え、前記制御装置は、前記給気路における結露を抑制するように前記ヒータを運転する第1ヒータ運転と、前記外気に含まれる異物に作用するように前記ヒータを運転する第2ヒータ運転と、を行うように前記換気装置を制御する。この構成によれば、給気路において結露の発生を抑止すること、および、外気に含まれる異物の活性を低下させることの2つの処理を行うことが出来る。
【0006】
上記空気調和機において、前記第2ヒータ運転を開始させる入力を受け付けて、前記入力に基づく指令を前記制御装置に送信する操作装置をさらに備え、前記制御装置は、前記操作装置から指令を受信することに基づいて前記第2ヒータ運転を行う。この構成によれば、ユーザによって行われる操作装置における入力に基づいて第2ヒータ運転を実行できる。
【0007】
上記空気調和機において、前記第2ヒータ運転において、前記ヒータへの通電の比率が0.9以上である。この構成によれば、第2ヒータ運転における通電の比率が0.9未満である場合に比べて、外気における異物の活性を効果的に低減できる。
【0008】
上記空気調和機において、前記第1ヒータ運転における前記ヒータの第1出力の大きさは、前記第2ヒータ運転における前記ヒータの第2出力の大きさと異なる。
この構成によれば、第1ヒータ運転に基づく効果と、第2ヒータ運転に基づく効果とを異ならせることが出来る。
【0009】
上記空気調和機において、前記第2出力は、前記第1出力よりも大きい。
この構成によれば、第2ヒータ運転における第2出力が、第1ヒータ運転における第1出力と等しい場合に比べて、第2ヒータ運転において異物の活性低下の効果を増大できる。
【0010】
上記空気調和機において、前記制御装置は、前記第1ヒータ運転および前記第2ヒータ運転において、室外温度に応じて前記ヒータに供給する電力を制御する。この構成によれば、ヒータの過熱を抑制できる。
【0011】
上記空気調和機において、前記制御装置は、前記室外温度が閾値よりも高いとき、前記ヒータに供給する電力を低下させる。
この構成によれば、ヒータの過熱を効果的に抑制できる。
【0012】
上記空気調和機において、前記室内機は、風向きを調整する風向調整部を有し、前記制御装置は、前記第1ヒータ運転において前記風向調整部を第1風向制御で制御し、前記第2ヒータ運転において前記風向調整部を第2風向制御で制御する。この構成によれば、室内機から出される空気の風向きを、ヒータの運転制御に応じた風向きにすることができる。
【0013】
上記空気調和機において、前記制御装置は、前記第2風向制御において、前記室内機から吹き出される空気の風向を水平よりも下向きに制御する。この構成によれば、異物の活性が低い空気を、中間空気層に供給できる。中間空気層は、例えば、上下方向において、人の呼吸によって吸われ易い位置の空気層である。
【0014】
上記空気調和機において、前記制御装置は、冷房運転時、風向の角度を第1風向範囲内で制御し、冷房運転時、前記第2風向制御において風向の角度を前記第1風向範囲よりも下向きの第2風向範囲で制御する。
【0015】
この構成によれば、異物の活性が低い空気を、中間空気層に供給できる。このように、ヒータの運転制御に応じて風向きを変えることによって、人に快適な空調を行うことができる。
【0016】
上記空気調和機において、前記制御装置は、室内温度が室外温度よりも低く、かつ、前記室内温度と前記室外温度との温度差が所定値以上のとき、前記第1ヒータ運転を実行する。この構成によれば、結露が生じ易いときに第1ヒータ運転が行われるため、結露の発生を効果的に抑制できる。
【0017】
上記空気調和機において、前記制御装置は、結露条件が成立することに基づいて前記第1ヒータ運転を実行し、前記第1ヒータ運転の実行中において結露解消条件が成立することに基づいて前記第1ヒータ運転を停止する。この構成によれば、結露が生じていないときに第1ヒータ運転を行うような事態を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1~
図4を参照して、空気調和機1を説明する。
図1に示されるように、空気調和機1は、室内機2と、室外機3と、室内機2に接続される換気装置4と、制御装置5とを備える。室内機2は、室内に置かれる。室外機3は、室外に置かれる。空気調和機1は、冷媒回路6を含む。冷媒回路6は、室内熱交換器11と、室外熱交換器12と、圧縮機13と、膨張弁14と、切換弁15と、これらを繋ぐ冷媒配管16とを備える。
【0020】
室内機2は、室内熱交換器11を有する。さらに、室内機2は、送風部17を有する。送風部17は、ファン17Aおよびファンモータ17Bを備える。さらに、室内機2は、風向きを調整する風向調整部18を有する。風向調整部18は、ルーバ18Aおよびルーバ18Aを回転させるモータを備える。風向調整部18は、ルーバ18Aの角度の変更によって、送風の向きを変える。ルーバ18Aは、室内機2の吸込口から吹出口までの空気の流通経路において、送風部17の下流に設けられる。ルーバ18Aは、ルーバ18Aの角度を変更することによって、風向きを変える。風向調整部18は、制御装置5から出される指令によって、ルーバ18Aの角度を変える。
【0021】
室外機3は、室外熱交換器12と、圧縮機13と、膨張弁14と、切換弁15と、を備える。圧縮機13は、冷媒を圧縮する。膨張弁14は、冷媒を膨張させる。さらに、空気調和機1は、操作装置19を備えてもよい。さらに、空気調和機1は、報知装置20を備えてもよい。
【0022】
圧縮機13は、モータと、インバータとを備える。インバータは、モータを運転させるためにモータに供給される電力の周波数(以下、「運転周波数」または「圧縮機13の運転周波数」という。)を変化させる。圧縮機13の回転数は、運転周波数の変化に応じて変わる。インバータは、制御装置5の指令に基づいて運転周波数を変化させる。
【0023】
切換弁15は、冷媒の流れの方向を切り換える。切換弁15の一例は、四路切換弁である。具体的には、冷房運転では、切換弁15は、制御装置5の指令に基づいて、圧縮機13から室外熱交換器12に冷媒が流れるように、室外熱交換器12から延びる冷媒配管16と圧縮機13の吐出口とを接続する。暖房運転では、切換弁15は、制御装置5の指令に基づいて、圧縮機13から室内熱交換器11に冷媒が流れるように、室内熱交換器11から延びる冷媒配管16と圧縮機13の吐出口とを接続する。
【0024】
換気装置4は、給気路21と、給気路21に設けられるヒータ25とを備える。ヒータ25は、電気ヒータによって構成される。電気ヒータの例として、ニクロム線ヒータ、セラミックヒータ、ハロゲンヒータ、および、カーボンヒータが挙げられる。給気路21は、外気を取り入れて室内機2に外気を案内する。給気路21は、給気路21の外気取入口に設けられる換気ユニット22と、換気ユニット22に接続されるダクト23とを備える。ダクト23は、断熱材で覆われる。
【0025】
本実施形態では、ヒータ25は、換気ユニット22内に設けられる。ヒータ25は、ダクト23内に設けられてもよい。ヒータ25は、給気路21において、外気取入口の近くに配置されることが好ましい。
【0026】
換気ユニット22内には、外気を取り入れるファン24が設けられる。ヒータ25は、換気ユニット22を通る空気の流れ方向において、ファン24よりも下流に設けられる。ヒータ25は、電熱線で構成される。ヒータ25の通電は、制御装置5によって制御される。ヒータ25は、通電部分の温度が所定温度まで上昇できるように、構成される。所定温度は、空気に含まれる菌またはウィルスの活性を低下させることができる温度である。
【0027】
操作装置19は、空気調和機1を遠隔で操作する。操作装置19は、第2ヒータ運転を開始させる入力を受け付けて、入力に基づく指令を制御装置5に送信する。一例では、操作装置19は、入力部19Aと、出力部19Bとを有する。入力部19Aは、ユーザの入力を受け付ける。入力の例として、空気調和機1を冷房運転させるための入力、空気調和機1を暖房運転させるための入力、第2ヒータ運転を実行させる入力、および、第2ヒータ運転の実行を停止させる入力が挙げられる。出力部19Bは、入力部19Aが受け付けた入力に基づく指令を無線信号として出力する。無線信号の例として、光信号、および電波信号が挙げられる。
【0028】
操作装置19の一例は、リモコンである。操作装置19は、携帯端末であってもよい。携帯端末の一例は、スマートホンである。スマートホンには、空気調和機1を操作するためのアプリケーションがインストールされる。他の例では、操作装置19は、音声を認識するように構成されてもよい。操作装置19は、所定の音声を認識することによって、所定の音声と関係づけられた指令を制御装置5に出力するように構成される。
【0029】
報知装置20は、音出力部20Aおよび表示部20Bの少なくとも一方を備える。
報知装置20は、第2ヒータ運転に関する運転関連情報を報知する。運転関連情報として、第2ヒータ運転を開始したことを示す情報、および、第2ヒータ運転を終了したことを示す情報が挙げられる。報知装置20は、室内機2に設けられてもよいし、操作装置19に設けられてもよい。
【0030】
音出力部20Aは、制御装置5の指令に基づいて運転関連情報を音として出力する。音出力部20Aは、スピーカを備える。音出力部20Aから出される音は、第2ヒータ運転の開始または終了を表す音声であってもよいし、予め決められた音またはメロディであってもよい。
【0031】
表示部20Bは、制御装置5の指令に基づいて運転関連情報を視覚的情報として出力する。表示部20Bは、モニタを備える。表示部20Bが表示する情報は、第2ヒータ運転の開始または終了を表す文字であってもよいし、予め決められた絵記号であってもよい。
【0032】
制御装置5は、圧縮機13および膨張弁14を制御する。
制御装置5は、操作装置19から出される指令を受信し、指令に応じて各種の制御を行う。制御装置5の制御の例として、冷房運転、暖房運転、ヒータの運転制御が挙げられる。
【0033】
制御装置5は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro-processor Unit)と、メモリとを有する。制御装置5は、メモリに記憶されたプログラムおよび各種の情報に基づいて各種の制御を行う。各種の情報としては、操作装置19から出される指令、および、空気調和機1に設けられる各種センサーから出される検出値が挙げられる。各種センサーとしては、室内温度センサー26、室外温度センサー27、および、室外湿度センサー28が挙げられる。
【0034】
室内温度センサー26は、室内温度に対応する情報を制御装置5に出力する。一例では、室内温度センサー26は、室内機2に設けられる。室外温度センサー27は、室外温度に対応する情報を制御装置5に出力する。一例では、室外温度センサー27は、室外機3に設けられる。室外湿度センサー28は、室外の相対湿度に対応する情報を制御装置5に出力する。一例では、室外湿度センサー28は、室外機3に設けられる。
【0035】
制御装置5は、室外機3に設けられる。制御装置5は、室内機2に設けられてもよい。制御装置5は、換気装置4に設けられてもよい。制御装置5は、複数のユニットによって構成されてもよく、複数のユニットは、室内機2および室外機3それぞれに設けられてもよい。制御装置5が使用するプログラムの一部は、ネットワーク上のサーバに記憶されてもよい。この場合、制御装置5は、必要に応じてネットワーク上のサーバと通信して、プログラムを使用する。
【0036】
他の例では、制御装置5において圧縮機13および膨張弁14を制御する部分は、室外機3に設けられる。制御装置5において風向調整部18を制御する部分および操作装置19から指令を受ける部分は、室内機2に設けられる。制御装置5においてヒータ25を制御する部分は、換気装置4に設けられる。制御装置5において、各装置に分散された部分を統括制御する統括部分は、室外機3に設けられ、または、室外機3から独立したサーバに設けられる。
【0037】
制御装置5は、第1ヒータ運転と第2ヒータ運転とを行うように、換気装置4を制御する。制御装置5は、第1ヒータ運転によって、給気路21における結露を抑制するようにヒータ25を運転する。制御装置5は、第1ヒータ制御によって、第1ヒータ運転を実行する。制御装置5は、第2ヒータ運転によって、空気に含まれる異物に作用するようにヒータ25を運転する。制御装置5は、第2ヒータ制御によって、第2ヒータ運転を実行する。
【0038】
第1ヒータ運転について説明する。
外気を取り入れると給気路21に結露が生じることがある。給気路21において室内機2に近い部分は、室内の空気によって暖められたり、冷やされたりする。夏場では、給気路21において室内機2の接続付近の部分の温度は、室外温度よりも低い温度に冷やされる。このような状況において、換気が行われると、給気路21に結露が生じる。結露は、ダクト23を劣化させたり、菌を繁殖させたりする虞がある。このような結露の抑制のため、結露が生じるような結露条件が成立するようなときに、第1ヒータ運転が行われる。結露条件は、結露するか否かを判定する条件である。
【0039】
制御装置5は、結露が生じる結露条件が成立する場合に、第1ヒータ運転を実行する。
結露条件は、室内温度が室外温度よりも低く、かつ、室内温度と室外温度との温度差が所定値以上であること、である。所定値は、予め設定される。所定値は、時期によって変更されてもよい。例えば、湿気が高い時期である5月および6月における所定値は、7月~10月における所定値と異なる値に設定されてもよい。この条件によれば、室内温度および室外温度によって結露条件が成立するか否かを判定できる。
【0040】
制御装置5は、結露条件の成立に基づいて、第1ヒータ運転を行う。
第1ヒータ運転の一例を説明する。第1ヒータ運転におけるヒータ25の第1出力の大きさは、第2ヒータ運転におけるヒータ25の第2出力の大きさと異なる。このため、第1ヒータ運転の実行による効果は、第2ヒータ運転の実行による効果と異なる。
【0041】
制御装置5は、結露条件が成立する場合、通電の比率が0.9未満の値となるように、ヒータ25を通電する。一例では、制御装置5は、ヒータ25を通電するオンと、ヒータ25を通電しないオフとによって、ヒータ25の温度を制御する。ヒータ25を通電するオンの場合、ヒータ25によって加熱された空気が給気路21を介して室内に供給される。ヒータ25を通電しないオフの場合、ヒータ25によって加熱されない空気が給気路21を介して室内に供給される。通電の比率は、オンとオフとを合わせた時間に対するオンの時間の比として定義される。通電の周期は、予め設定された周期であってもよい。制御装置5は、通電の周期を室外温度に応じて変更してもよい。制御装置5は、給気路21の出口付近を通る空気の温度に基づいて、通電の比率を変更してもよい。例えば、制御装置5は、通電開始前に、空気の目標温度を露点よりも高い温度に設定する。制御装置5は、給気路21の出口付近を通る空気の温度が目標温度になるように、通電の比率を変更する。
【0042】
制御装置5は、結露条件の成立後、第1ヒータ運転の通電を実行し、結露条件の成立後から所定時間の経過後、通電を停止する。通電停止後、所定時間の経過後、制御装置5は、結露条件が成立しているか否かを判定する。
【0043】
具体的には、制御装置5は、所定周期で、結露条件が成立しているか否かを判定する。制御装置5は、結露条件の成立に基づく通電を、所定時間にわたって実行する。所定時間の長さは、所定周期の期間の長さよりも短い。一例では、所定周期は、6分である。所定時間は、5分である。
【0044】
他の例では、制御装置5は、結露条件の成立後、第1ヒータ運転の通電を実行し、結露解消条件の成立に基づいて、通電を停止する。通電停止後、所定時間の経過後、制御装置5は、結露条件が成立しているか否かを判定する。
【0045】
結露解消条件は、結露が解消されているか否かを判定する条件である。結露解消条件の成否を判定する目的で、制御装置5は、第1湿度センサー41と、第2湿度センサー42とを備えることが好ましい(
図1参照)。第1湿度センサー41は、給気路21の外気取入口において、ヒータ25よりも下流に設けられる。第1湿度センサー41は、絶対湿度を測定し、測定値を第1絶対湿度として制御装置5に出力する。
【0046】
第2湿度センサー42は、給気路21の出口付近に設けられる。第2湿度センサー42は、給気路21と室内機2との接続部分に設けられてもよい。第2湿度センサー42は、室内機2に設けられてもよい。第2湿度センサー42は、絶対湿度を測定し、測定値を第2絶対湿度として制御装置5に出力する。
【0047】
通電期間中、給気路21を通る空気は、加熱によって乾燥する。給気路21に結露が生じていない場合、給気路21を通る空気の絶対湿度は殆ど変化しない。この場合、第1絶対湿度と第2絶対湿度との差は、所定範囲内にある。これに対して、給気路21に結露がある場合、加熱された乾燥空気によって結露が暖められて、水が蒸発し、空気の水分量が増大する。給気路21において下流の空気の水分量は、給気路21の外気取入口付近の空気の水分量よりも多くなる。このため、第2絶対湿度は、第1絶対湿度よりも大きい。したがって、結露が解消しているか否かは、通電期間中の第1絶対湿度と第2絶対湿度との差に基づいて、判定され得る。
【0048】
制御装置5は、結露条件の成立に基づいて第1ヒータ運転の通電を行っている期間中、結露解消条件が成立するか否かを判定してもよい。結露解消条件は、通電期間中において、第1絶対湿度と第2絶対湿度との差が設定値よりも小さいこと、である。第1絶対湿度と第2絶対湿度との差は、第2絶対湿度から第1絶対湿度を引いた値である。制御装置5は、結露解消条件の成立に基づいて、第1ヒータ運転の通電を停止する。
【0049】
次に、第2ヒータ運転について説明する。
換気によって、室内に外気が取り入れられる。しかし、外気には、菌またはウィルスなど人の健康に害を与える虞がある異物が含まれることがある。第2ヒータ運転は、このような異物の活性を低下させる目的で実行される。
【0050】
制御装置5は、操作装置19から指令を受信することに基づいて、第2ヒータ運転を実行する。操作装置19からの指令は、第2ヒータ運転の実行指令である。制御装置5は、第2ヒータ運転の実行中、操作装置19から停止指令を受信することに基づいて、第2ヒータ運転を停止する。操作装置19からの停止指令は、第2ヒータ運転の実行を停止する指令である。例えば、ユーザは、清浄な空気の供給を受けたい場合に、操作装置19の入力部19Aの操作によって空気調和機1に第2ヒータ運転を実行させる。ここで、清浄な空気とは、菌またはウィルスの活性が低下している空気を示す。
【0051】
制御装置5は、操作装置19から指令を受信することに基づいて、第2ヒータ運転を行う。一例では、制御装置5は、第2ヒータ運転において、常時、ヒータ25を通電する。ここで、「常時」は、通電の制御を連続的に行っていることを示す。通電の比率の制御によって、周期的にヒータ25が通電されない期間が生じるが、この状態は、通電制御が行われている通電状態であると看做す。第2ヒータ運転の一例を説明する。第2ヒータ運転におけるヒータ25の第2出力は、第1出力よりも大きい。具体的には、制御装置5は、菌またはウィルスの活性を低下させることができる温度まで空気を加熱できるように、ヒータ25を通電する。一例では、制御装置5は、通電の比率が0.9以上の値で、ヒータ25を通電する。
【0052】
一例では、制御装置5は、ヒータ25を通電するオンと、ヒータ25を通電しないオフとによって、ヒータ25の温度を制御する。通電の周期は、予め設定された周期であってもよい。制御装置5は、通電の周期を室外温度に応じて変更してもよい。制御装置5は、換気ユニット22から出る空気の温度に基づいて、通電の比率を変更してもよい。例えば、制御装置5は、換気ユニット22から出る空気が目標温度になるように、通電の比率を変更する。
【0053】
制御装置5は、第1ヒータ運転および第2ヒータ運転において、室外温度に応じてヒータ25に供給する電力を制御する。
第1例では、制御装置5は、ヒータ25を保護の目的で、室外温度に基づいて、第1ヒータ運転および第2ヒータ運転において通電を制限してもよい。例えば、制御装置5は、室外温度が閾値よりも高いとき、ヒータ25に供給する電力を低下させる。閾値は、ヒータ25の電熱線の特性に応じて予め設定される。一例では、制御装置5は、室外温度が閾値よりも高いとき、通電の比率を小さくする。
【0054】
第2例では、制御装置5は、室外温度に基づいて、第1ヒータ運転および第2ヒータ運転において通電を制御する。例えば、制御装置5は、室外温度の高さに応じて、ヒータ25に供給する電力を変更する。具体的には、制御装置5は、室外温度が高くなることに応じて、通電の比率を小さくし、制御装置5は、室外温度が低くなることに応じて、通電の比率を大きくする。これによって、室内に供給される空気の温度を、所定の温度範囲内の値にすることができる。この場合、空気調和機1にかかる負荷範囲の拡大を抑制できる。
【0055】
次に、空気調和機1における送風の風向制御について説明する。
制御装置5は、第1ヒータ運転における風向と、第2ヒータ運転における風向とを別々に制御する。具体的には、制御装置5は、第1ヒータ運転において風向調整部18を第1風向制御で制御する。制御装置5は、第2ヒータ運転において風向調整部18を第2風向制御で制御する。第1風向制御は、通常の空調時における風向制御と同じにしてもよい。制御装置5は、第2風向制御において、室内機2から吹き出される空気の風向を水平よりも下向きに制御する。
【0056】
一例では、制御装置5は、冷房運転時、風向の角度を第1風向範囲RA内で制御する。
制御装置5は、冷房運転時、第2風向制御において風向の角度を第1風向範囲RAよりも下向きの第2風向範囲RBで制御する。好ましくは、制御装置5は、第2風向制御において、室内機2から吹き出される空気の風向を水平よりも下向きに制御する。これによって、空気調和機1から出される新鮮でかつ清浄な空気を、上下方向において中間空気層に向けて出すことが出来る。中間空気層は、上下方向において、人の呼吸によって吸われ易い位置の空気層である。
【0057】
具体的には、
図2に示されるように、風向の角度は、ルーバ18Aの角度である。第1風向範囲RAおよび第2風向範囲RBは、ルーバ18Aの角度によって定義される。一例では、ルーバ18Aの角度は、ルーバ18Aが最も下に傾いたときの角度を最小角度A1(例えば、0度)として定義される。第1風向範囲RAは、中間角度A2以上、最大角度A3以下である。第1風向範囲RAには、ルーバ18Aが水平になるときのルーバ18Aの角度が含まれる。第2風向範囲RBは、最小角度A1以上、中間角度A2未満である。
【0058】
図3を参照して、ヒータ運転制御の第1例を説明する。
ヒータ運転制御は、第1ヒータ運転制御と、第2ヒータ運転制御との切り換えを行うための制御である。一例では、制御装置5は、ヒータ運転制御を周期的に実行する。例えば、制御装置5は、6分の間隔で、ヒータ運転制御を実行する。
【0059】
制御装置5は、ステップS11において、結露条件が成立しているか否かを判定する。
制御装置5は、ステップS11において結露条件が成立していると判定する場合、ステップS12において第2ヒータ運転の実行指令があるか否かを判定する。第2ヒータ運転の実行指令は、第2ヒータ運転の実行を開始させる開始指令、および、実行継続フラッグを含む。実行継続フラッグは、第2ヒータ運転の開始指令によって形成され、第2ヒータ運転の実行を停止させる指令によって消滅する。実行継続フラッグは、第2ヒータ運転を継続することを意味するフラッグである。実行継続フラッグの状態は、制御装置5によって記憶される。
【0060】
制御装置5は、ステップS12において第2ヒータ運転の実行指令があると判定する場合、ステップS13において、第1ヒータ運転および第2ヒータ運転を実行する。一例では、制御装置5は、第1ヒータ運転によるヒータ25の運転の後、第2ヒータ運転によるヒータ25の運転を実行する。
【0061】
制御装置5は、ステップS12において第2ヒータ運転の実行指令がないと判定する場合、制御装置5は、次の処理を行う。制御装置5は、第2ヒータ運転の実行中の場合、第2ヒータ運転を停止する。さらに、制御装置5は、ステップS14において、第1ヒータ運転を実行する。一例では、制御装置5は、第1ヒータ運転を所定時間にわたって実行する。例えば、所定時間は、5分である。
【0062】
制御装置5は、ステップS11において結露条件が成立していないと判定する場合、ステップS15において第2ヒータ運転の実行指令があるか否かを判定する。
制御装置5は、ステップS15において第2ヒータ運転の実行指令があると判定する場合、ステップS16において、第2ヒータ運転を実行する。一例では、制御装置5は、第2ヒータ運転を所定時間にわたって実行する。所定時間は、6分である。または、制御装置5は、ヒータ運転制御の周期に関係なく、第2ヒータ運転の実行の停止指令を受信するまでの期間にわたって、第2ヒータ運転を実行する。一例では、制御装置5は、第2ヒータ運転の実行の停止指令を受信する場合、ヒータ運転制御の周期的制御における割り込み処理によって、第2ヒータ運転を停止する。制御装置5は、ステップS15において第2ヒータ運転の実行指令がないと判定する場合、本フローを終了する。
【0063】
図4を参照して、ヒータ運転制御の第2例を説明する。
ヒータ運転制御は、第1ヒータ運転制御と、第2ヒータ運転制御との切り換えを行うための制御である。一例では、制御装置5は、第1所定時間をあけて、ヒータ運転制御を繰り返し実行する。具体的には、制御装置5は、ヒータ運転制御の終了後、第1所定時間の経過後、次のヒータ運転制御を実行する。
【0064】
制御装置5は、ステップS21において、結露条件が成立しているか否かを判定する。
制御装置5は、ステップS21において結露条件が成立していると判定する場合、ステップS22において第2ヒータ運転の実行指令があるか否かを判定する。第2ヒータ運転の実行指令は、第2ヒータ運転の実行を開始させる開始指令である。
【0065】
制御装置5は、ステップS22において第2ヒータ運転の実行指令があると判定する場合、ステップS23において、第1ヒータ運転を実行する。後述のように、制御装置5は、第1ヒータ運転の実行終了後、第2ヒータ運転を実行する。
【0066】
制御装置5は、第1ヒータ運転の実行開始後、第2所定時間の経過したとき、ステップS24において、結露解消条件が成立するか否かを判定する。制御装置5は、ステップS24において、結露解消条件が成立しないと判定する場合、第3所定時間の経過後、再度、ステップS24を実行する。ステップS24の実行の期間中、制御装置5は、第1ヒータ運転を実行し続ける。
【0067】
制御装置5は、ステップS24において、結露解消条件が成立すると判定する場合、ステップS25において、第1ヒータ運転の実行を停止する。続いて、制御装置5は、ステップS26において、第2ヒータ運転を実行する。
【0068】
制御装置5は、第2ヒータ運転の実行開始後、第4所定時間の経過したとき、ステップS27において、第2ヒータ運転の実行について、停止指令を受信しているか否かを判定する。制御装置5は、停止指令を受信していないと判定する場合、第5所定時間の経過後、再度、ステップS27を実行する。ステップS27の実行の期間中、制御装置5は、第2ヒータ運転を実行し続ける。
【0069】
制御装置5は、ステップS27において、停止指令を受信していると判定する場合、ステップS28において、第2ヒータ運転の実行を停止する。制御装置5は、第2ヒータ運転の実行の停止後、第1所定時間の経過後、ステップS21を実行する。
【0070】
次に、ステップS22の否定の場合を説明する。
制御装置5は、ステップS22において第2ヒータ運転の実行指令がないと判定する場合、ステップS31~ステップS33を実行する。ステップS31~ステップS33は、ステップS23~ステップS25と同じである。
【0071】
次に、ステップS21の否定の場合を説明する。
制御装置5は、ステップS21において結露条件が成立していないと判定する場合、ステップS34において第2ヒータ運転の実行指令があるか否かを判定する。
【0072】
制御装置5は、ステップS34において第2ヒータ運転の実行指令がないと判定する場合、本フローを終了する。制御装置5は、第2ヒータ運転の実行の停止後、第1所定時間の経過後、ステップS21を実行する。
【0073】
制御装置5は、ステップS34において第2ヒータ運転の実行指令があると判定する場合、ステップS35~ステップS37を実行する。ステップS35~ステップS37は、ステップS26~ステップS28と同じである。
【0074】
本実施形態の作用を説明する。
空気調和機1は、換気装置4を備える。換気装置4には、ヒータ25が設けられる。制御装置5は、要求または状況に応じて、ヒータ25の運転制御を切り換える。清浄な空気を室内に供給することが要求される場面において、操作装置19が操作される。この場合、第2ヒータ運転の運転指令が制御装置5に出される。制御装置5は、第2ヒータ運転の運転指令を受けると、第2ヒータ運転でヒータ25を運転する。制御装置5は、結露条件が成立すると、第1ヒータ運転でヒータ25を運転する。
【0075】
このように、制御装置5が、要求または状況に応じて、ヒータ25の運転制御を切り換える。これによって、1つのヒータ25で、2つの効果を奏することが出来る。結露抑制および清浄な空気の形成のために別々にヒータ25を用いる場合に比べて、換気装置4をコンパクトにできる。
【0076】
本実施形態の効果を説明する。
(1)空気調和機1の換気装置4は、室内機2に外気を案内する給気路21と、給気路21に設けられるヒータ25とを備える。制御装置5は、第1ヒータ運転と、第2ヒータ運転とを行うように換気装置4を制御する。第1ヒータ運転は、給気路21における結露を抑制するようにヒータ25を運転する。第2ヒータ運転は、外気に含まれる異物に作用するようにヒータ25を運転する。この構成によれば、給気路21において結露の発生を抑止すること、および、外気に含まれる異物の活性を低下させることの2つの処理を行うことが出来る。
【0077】
(2)制御装置5は、操作装置19から指令を受信することに基づいて第2ヒータ運転を行う。この構成によれば、ユーザによって行われる操作装置19における入力に基づいて第2ヒータ運転を実行できる。
【0078】
(3)第2ヒータ運転において、通電の比率は0.9以上である。この構成によれば、第2ヒータ運転における通電の比率が0.9未満である場合に比べて、外気における異物の活性を効果的に低減できる。
【0079】
(4)第1ヒータ運転におけるヒータ25の第1出力の大きさは、第2ヒータ運転におけるヒータ25の第2出力の大きさと異なる。
この構成によれば、第1ヒータ運転に基づく効果と、第2ヒータ運転に基づく効果とを異ならせることが出来る。
【0080】
(5)第1ヒータ運転におけるヒータ25の第2出力は、第2ヒータ運転におけるヒータ25の第1出力よりも大きい。この構成によれば、第2ヒータ運転における第2出力が、第1ヒータ運転における第1出力と等しい場合に比べて、第2ヒータ運転において異物の活性低下の効果を増大できる。
【0081】
(6)制御装置5は、第1ヒータ運転および第2ヒータ運転において、室外温度に応じてヒータ25に供給する電力を制御する。この構成によれば、ヒータ25の過熱を抑制できる。
【0082】
(7)制御装置5は、室外温度が閾値よりも高いとき、ヒータ25に供給する電力を低下させる。この構成によれば、ヒータ25の過熱を効果的に抑制できる。これによって、ヒータ25の故障を抑制できる。
【0083】
(8)制御装置5は、第1ヒータ運転において風向調整部18を第1風向制御で制御する。制御装置5は、第2ヒータ運転において風向調整部18を第2風向制御で制御する。この構成によれば、室内機2から出される空気の風向きを、ヒータ25の運転制御に応じた風向きにすることができる。
【0084】
(9)制御装置5は、第2風向制御において、室内機2から吹き出される空気の風向を水平よりも下向きに制御する。この構成によれば、異物の活性が低い空気を、中間空気層に供給できる。中間空気層は、上下方向において、人の呼吸によって吸われ易い位置の空気層である。
【0085】
(10)上記空気調和機1において、制御装置5は、冷房運転時、風向の角度を第1風向範囲RA内で制御し、冷房運転時、第2風向制御において風向の角度を第1風向範囲RAよりも下向きの第2風向範囲RBで制御する。
【0086】
この構成によれば、異物の活性が低い空気を、中間空気層に供給できる。このように、ヒータ25の運転制御に応じて風向きを変えることによって、人に快適な空調を行うことができる。
【0087】
(11)制御装置5は、室内温度が室外温度よりも低く、かつ、室内温度と室外温度との温度差が所定値以上のとき、第1ヒータ運転を実行する。この構成によれば、結露が生じ易いときに第1ヒータ運転が行われるため、結露の発生を効果的に抑制できる。
【0088】
(12)制御装置5は、結露条件が成立することに基づいて第1ヒータ運転を実行する。制御装置5は、第1ヒータ運転の実行中において結露解消条件が成立することに基づいて、第1ヒータ運転を停止する。この構成によれば、結露が生じていないときに第1ヒータ運転を行うような事態を抑制できる。この結果、消費電力を抑制できる。
【0089】
<変形例>
本開示の空気調和機1は、上記各実施形態以外に、例えば以下に示される変形例の形態としてもよく、また、相互に矛盾しない少なくとも二つの変形例を組み合わせた形態としてもよい。
【0090】
図5に示されるように、換気装置4は、加湿装置30を備えてもよい。
一例では、換気装置4は、換気ユニット22と、ダクト23と、加湿装置30とを備える。
【0091】
加湿装置30は、吸湿部材31を備える。吸湿部材31は、空気から水分を吸収する。吸湿部材31は、ヒータ25で加熱されることによって水分を放出する。加湿装置30の水分供給室33には、空気を取り込む給気管34と、吸湿部材31を通って乾いた空気を排気する排気管35とが接続されている。吸湿部材31は、水分供給室33に回転可能に設けられる。吸湿部材31は、第1部分31Aと、第2部分31Bとを有する。第1部分31Aおよび第2部分31Bは、吸湿部材31の回転によって、水分供給室33と、換気ユニット22の後部通路36とを移動する。第1部分31Aおよび第2部分31Bの一方は、水分供給室33に配置され、他方は、換気装置4の後部通路36に配置される。吸湿部材31の回転によって、第1部分31Aおよび第2部分31Bの位置は交代する。後部通路36の上流に、ヒータ25が設けられる。第1部分31Aまたは第2部分31Bは、水分供給室33において水を吸収し、ヒータ25で加熱されることによって、換気装置4の後部通路36において水分を放出する。このようにして、空気から吸収される水は、室内へ導かれる空気に供給される。
【0092】
この例では、ヒータ25が吸湿部材31の加熱の目的と第1ヒータ運転及び第2ヒータ運転の目的のそれぞれで用いられる。これによって、別のヒータを追加することがなく、より安価で、加湿、結露抑制および異物の低活性の効果を実現できる。一方、吸湿部材31の加熱の目的のヒータとは別に、第1ヒータ運転及び第2ヒータ運転の目的で使用される追加ヒータを備えてもよい。
【0093】
上記実施形態において、結露条件の一例として、「室内温度が室外温度よりも低く、かつ、室内温度と室外温度との温度差が所定値以上である」を挙げたが、結露条件は、これに限定されない。結露条件は、「室内温度が室外温度の露点よりも低いこと」であってもよい。
【0094】
上記実施形態において、結露解消条件の一例として、「結露解消条件は、通電期間中において、第1絶対湿度と第2絶対湿度との差が設定値よりも小さいこと、である」を挙げたが、結露解消条件は、これに限定されない。結露解消条件は、第1ヒータ運転の通電期間中において、給気路21の出口付近における相対湿度が所定の閾値よりも小さいことである、と定義してもよい。
【0095】
以上のように、空気調和機1の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された空気調和機1の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0096】
RA…第1風向範囲
RB…第2風向範囲
1…空気調和機
2…室内機
3…室外機
4…換気装置
5…制御装置
18…風向調整部
19…操作装置
21…給気路
25…ヒータ