(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント基板、フレキシブルプリント基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240219BHJP
H05K 3/28 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
H05K1/02 R
H05K3/28 B
(21)【出願番号】P 2021025103
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2022-04-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】清水 秀彦
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 智宏
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-185102(JP,A)
【文献】特開2014-143395(JP,A)
【文献】特開平07-336000(JP,A)
【文献】特開平01-122186(JP,A)
【文献】特開2001-007460(JP,A)
【文献】特表2008-524396(JP,A)
【文献】特開2013-149904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/28
H05K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルム上に、外周と内周とを有する穴あき形状の銅箔パターンを形成する工程と、
開口部を有するカバーレイを、前記銅箔パターンの内周を露出し、前記外周を覆う状態で前記ベースフィルムに接着する工程と、
を有し、
前記穴あき形状の銅箔パターンの全領域が前記ベースフィルムに接触していることを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
【請求項2】
光透過性を有するベースフィルムの第1面に外周と内周とを有する穴あき形状の銅箔パターンを形成する工程と、
開口部を有する第1面側カバーレイを、前記銅箔パターンの内周を露出し、前記外周を覆う状態で前記ベースフィルムの第1面に接着する工程と
前記銅箔パターンより大きな開口部が形成された第2面側カバーレイを、前記開口部内に、前記ベースフィルム越しに前記銅箔パターンが収まるように前記ベースフィルムの第2面に接着する工程と、
を有し、
前記穴あき形状の銅箔パターンの全領域が前記ベースフィルムに接触していることを特徴とするフレキシブルプリント基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板に関し、特に、フレキシブルプリント基板の認識マークに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に電子部品を自動実装する際の実装精度を高めるために、認識マークが広く用いられている。自動実装機は、プリント基板に付された認識マークをカメラで読み取って画像認識を行なうことで、プリント基板の位置を正確に把握することができる。
【0003】
図7(a)は、リジッドプリント基板700に付された認識マーク702の上面図とA-A断面図とを示している。なお、断面図の切断線は、以降も同様に、認識マークの中央部分を含んだ線とする。本図の例では、リジッド基板701上に銅箔パターンで認識マーク702が形成されており、上面から円形状が認識される。認識マーク702の周囲は、基板701が露出しており、さらにその周囲がレジスト703で覆われている。
【0004】
フレキシブルプリント基板に認識マークを付す場合も、同様の構造とすることが多い。
図7(b)は、フレキシブルプリント基板720に付された認識マーク722の上面図と断面図とを示している。本図の例では、ベースフィルム721上に銅箔パターンで認識マーク722が形成されており、上面から円形状が認識される。認識マーク722の周囲は、ベースフィルム721が露出しており、さらにその周囲において、カバーレイ723が接着剤724でベースフィルム721に貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、フレキシブルプリント基板720は可動部に用いられたり、屈曲して用いられることが多い。このような状況下では、特に、認識マーク722として用いている銅箔が、ベースフィルム721から剥がれ落ちて、導電性異物になってしまうことを防がなければならない。
【0007】
そこで、
図8(a)の断面図に示すように、ベースフィルム731上に形成された認識マーク732の全面をカバーレイ733で覆った状態で、カバーレイ733を接着剤734でベースフィルム731に貼り付けることが考えられる。これにより、認識マーク732として用いている銅箔がベースフィルム731から剥がれ落ちることを防ぐことができる。
【0008】
しかしながら、認識マーク732の全面をカバーレイ733で覆うと、カバーレイ733が銅箔パターンの厚みでわずかに湾曲することになる。この湾曲したカバーレイ733を介して認識マーク732を自動実装機のカメラで読み取ると、円形状の認識マーク732が、
図8(b)に示すように、六角形状のマーク732aに見えてしまい、認識精度が低下するという問題が生じた。
【0009】
そこで、本発明は、フレキシブルプリント基板において、認識マークとして用いる銅箔パターンのベースフィルムからの剥離を防ぐとともに、認識マークの認識精度の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様であるフレキシブルプリント基板は、ベースフィルムと、前記ベースフィルム上に形成された、外周と内周とを有する穴あき形状の、認識マークとして機能する銅箔パターンと、開口部が形成され、前記開口部の縁が前記銅箔パターンの外周と内周との間に位置するように前記銅箔パターンの外周を覆って前記ベースフィルムに接着されたカバーレイと、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第2の態様であるフレキシブルプリント基板は、光透過性を有するベースフィルムと、前記ベースフィルムの第1面に形成された、認識マークとして機能する銅箔パターンと、前記銅箔パターンを覆って前記ベースフィルムの第1面に接着された第1面側カバーレイと、前記銅箔パターンより大きな開口部が形成され、前記開口部内に、前記ベースフィルム越しに前記銅箔パターンが収まるように前記ベースフィルムの第2面に接着された第2面側カバーレイと、を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第3の態様であるフレキシブルプリント基板の製造方法は、ベースフィルム上に、外周と内周とを有する穴あき形状の銅箔パターンを形成する工程と、開口部を有するカバーレイを、前記銅箔パターンの内周を露出し、前記外周を覆う状態で前記ベースフィルムに接着する工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第4の態様であるフレキシブルプリント基板の製造方法は、光透過性を有するベースフィルムの第1面に銅箔パターンを形成する工程と、前記銅箔パターンを第1面側カバーレイで覆って前記ベースフィルムの第1面に接着する工程と、前記銅箔パターンより大きな開口部が形成された第2面側カバーレイを、前記開口部内に、前記ベースフィルム越しに前記銅箔パターンが収まるように前記ベースフィルムの第2面に接着する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フレキシブルプリント基板において、認識マークとして用いる銅箔パターンのベースフィルムからの剥離を防ぐとともに、認識マークの認識精度の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施例に係るフレキシブルプリント基板に付された認識マークを示す図である。
【
図2】第1実施例に係る認識マークの認識画像を示す図である。
【
図3】第1実施例に係る認識マークの形状の変形例である。
【
図4】第2実施例に係るフレキシブルプリント基板に付された認識マークを示す図である。
【
図5】第2実施例に係るフレキシブルプリント基板に付された認識マークの別例を示す図である。
【
図6】第3実施例に係るフレキシブルプリント基板に付された認識マークを示す図である。
【
図8】全面を覆った認識マークと認識画像とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態の第1実施例に係るフレキシブルプリント基板100に付された認識マーク102を示す断面図と上面図である。
【0017】
後述するように本実施例のフレキシブルプリント基板100は、部品実装時においては認識マークの認識精度を低下させることなく、また、使用時には、認識マークとして用いる銅箔パターンがベースフィルムから剥がれ落ちることを防ぐことができる。このため、特に、振動が与えられたり屈曲して配置される環境での使用、例えば、車載用のフレキシブルプリント基板等に効果的に適用することができる。他の実施例のフレキシブルプリント基板についても同様である。
【0018】
本図に示すように、第1実施例に係るフレキシブルプリント基板100は、ベースフィルム101上に銅箔パターンで認識マーク102が形成されている。認識マーク102は、外周102oと内周102iとを有する穴あき形状であり、本図の例では、外周102o、内周102iとも同心の円状となっている。
【0019】
認識方向の矢印で示すように、認識マーク102は、本断面図における上方から認識され、ベースフィルム101の認識側の面に形成されている。また、認識マーク102のベースフィルム101側の面は、全領域がベースフィルム101に接触している。
【0020】
外周102oは、全周にわたってカバーレイ103に覆われている。一方、内周102iは、全周にわたってカバーレイ103に覆われておらず、認識マーク102の内周部分が露出しており、内周102i内側の領域は、ベースフィルム101が露出している。すなわち、カバーレイ103には、内周102iを露出させるための開口部103aが形成されている。本図の例では、上面図において点線の円で示しているように、開口部103aは内周102iと同心の円状である。カバーレイ103は、接着剤104により、ベースフィルム101(および、認識マーク102の外周側領域)に貼り付けられている。
【0021】
本実施例の認識マーク102を自動実装機のカメラで読み取ると、
図2の認識画像に示すように認識される。本図において、カバーレイ103に覆われている外周102oは、六角形状102cのように見えてしまい、認識マークとしての認識精度が低下している。しかしながら、カバーレイ103に覆われていない内周102i部分では、明瞭な円102bを確認することができ、認識精度の高い認識マークして利用することができる。
【0022】
また、仮に、カバーレイ103に覆われていない部分で銅箔パターンの剥がれが生じたとしても、外周102oが全周にわたってカバーレイ103に覆われているため、銅箔がベースフィルム101から剥離することを防ぐことができる。
【0023】
ベースフィルム101、カバーレイ103は、ポリイミド、ポリエステル等の光透過性を有する合成樹脂を用いることが好ましい。認識マーク102は、フレキシブルプリント基板100の回路パターン形成と同時に銅エッチング等により形成するようにする。カバーレイ103の開口部103aは、ベースフィルム101との接着前にあらかじめレーザカッター等で形成しておくようにする。
【0024】
したがって、本実施例のフレキシブルプリント基板100は、ベースフィルム101上に、外周102oと内周102iとを有する穴あき形状の銅箔パターンを形成する工程と、開口部103aを有するカバーレイ103を、銅箔パターンの内周102iを露出し、外周102oを覆う状態でベースフィルム101に接着する工程と、により製造することができる。
【0025】
上述の例では、認識マーク102の内周102i、外周102oを同心の円状としていたが、内周102i、外周102oは、これに限られない。
図3に例示するように、円と4角形、5角形、6角形等の多角形とを組み合わせたり、多角形同士を組み合わせたものであってもよい(
図3(a)~(h))。また、凹凸を有した形状であってもよいし(
図3(i))、楕円等であってもよいし(
図3(j))、内周102iと外周102oとが偏心していてもよい(
図3(k))。
【0026】
いずれの形状とした場合であっても、カバーレイ103の開口部103aの形状を認識マークの形状に対応させて、カバーレイ103が、認識マークの外周を全周にわたって覆い、内周は全周にわたって覆わないようにする。
【0027】
次に、本発明の実施形態の第2実施例について説明する。
図4は、第2実施例に係るフレキシブルプリント基板200に付された認識マーク202を示す断面図と上面図である。本図に示すように、第2実施例に係るフレキシブルプリント基板100は、光透過性を有するベースフィルム201に銅箔パターンで認識マーク202が形成されている。認識マーク202は円状である。ただし、円状に限られず、多角形等であってもよい。
【0028】
フレキシブルプリント基板200の認識マークを認識する側の面を上面とすると、認識マーク202は、ベースフィルム201の下面側に形成されている。また、認識マーク202のベースフィルム201側の面は、全領域がベースフィルム201に接触している。
【0029】
認識マーク202は、全面が下面側カバーレイ204に覆われている。下面側カバーレイ204は、下面側接着剤206によりベースフィルム201の下面側に貼り付けられている。
【0030】
ベースフィルム201の上面側には、上面側カバーレイ203が、上面側接着剤205により貼り付けられている。また、図示していないが、ベースフィルム201の上面側には、回路パターンが形成されており、上面側カバーレイ203により保護されている。
【0031】
上面側カバーレイ203には、認識マーク202が、認識方向から上面側カバーレイ203を介さずに、ベースフィルム201越しに認識できるようにするために、認識マーク202より大きな開口部203aが形成されている。開口部203aは、ベースフィルム201越しに、認識マーク202が開口部203a内に完全に収まるように余白を持って形成されている。本図の例では開口部203aは矩形状に形成されているが、矩形状に限られず、円形、多角形等であってもよい。
【0032】
第2実施例では、認識マーク202が、認識面と反対側の面に形成され、認識方向から上面側カバーレイ203を介さずに、ベースフィルム201越しに認識できる。ベースフィルム201越しであっても、ベースフィルム201には銅箔パターンの厚みに起因する湾曲が発生しないため、明瞭に認識マーク202を認識することができ、認識精度の低下を防ぐことができる。また、ベースフィルム201に形成された認識マーク202は、下面側カバーレイ204に覆われているため、銅箔がベースフィルム101から剥離することを防ぐことができる。
【0033】
第2実施例では、ベースフィルム201、上面側カバーレイ203、下面側カバーレイ204は、ポリイミド、ポリエステル等の光透過性を有する合成樹脂を用いることができる。認識マーク202は、フレキシブルプリント基板200の回路パターン形成と同時に銅エッチング等により形成するようにする。上面側カバーレイ203の開口部203aは、ベースフィルム201との接着前にあらかじめレーザカッター等で形成しておくようにする。第2実施例では、認識側の面とは反対側の面に認識マーク202を形成するため、ベースフィルム201の両面に回路パターンを形成するフレキシブルプリント基板200に適している。
【0034】
第2実施例のフレキシブルプリント基板200は、ベースフィルム201の認識側の面とは反対側の面に認識マークとなる銅箔パターンを形成する工程と、この銅箔パターンを下面側カバーレイ204で覆う工程と、銅箔パターンより大きな開口部203aが形成された上面側カバーレイ203を、銅箔パターンが開口部203a内に収まる状態でベースフィルム201の認識側の面に接着する工程と、により製造することができる。
【0035】
上述の認識マーク202は、内周を有さず、外周のみを有していたが、第1実施例のように、内周と外周を有する穴あき形状としてもよい。
図5は、第2実施例の別例として、認識マーク212を内周212iと外周212oとを有する穴あき形状としたフレキシブルプリント基板210を示す図である。認識マーク212の形状以外は第2実施例のフレキシブルプリント基板200と同様である。
【0036】
すなわち、フレキシブルプリント基板210の認識マークを認識する側の面を上面とすると、認識マーク212は、ベースフィルム211の下面側に形成されている。認識マーク212は、外周212oと内周212iとを有する穴あき形状である。本図の例では、外周212o、内周212iとも同心の円状となっているが、第1実施例同様に、他の形状であってもよい。認識マーク212のベースフィルム211側の面は、全領域がベースフィルム211に接触している。
【0037】
認識マーク212は、全面が下面側カバーレイ214に覆われている。下面側カバーレイ214は、下面側接着剤216によりベースフィルム211の下面側に貼り付けられている。
【0038】
ベースフィルム211の上面側には、上面側カバーレイ213が、上面側接着剤215により貼り付けられている。上面側カバーレイ213には、認識マーク212より大きな開口部203aが形成され、認識マーク212が、認識方向から上面側カバーレイ213を介さずに、ベースフィルム211越しに認識できるようになっている。
【0039】
次に、本発明の実施形態の第3実施例について説明する。
図6は、第3実施例に係るフレキシブルプリント基板300に付された認識マーク302を示す断面図と上面図と下面図である。本図に示すように、第3実施例に係るフレキシブルプリント基板100は、光透過性を有するベースフィルム301に銅箔パターンで認識マーク302が形成されている。認識マーク302は、外周302oと内周302iとを有する穴あき形状である。
【0040】
認識マーク302は、本図の例では、外周302o、内周302iとも同心の円状となっているが、第1実施例同様に、他の形状であってもよい。認識マーク302のベースフィルム301側の面は、全領域がベースフィルム301に接触している。
【0041】
第3実施例に係るフレキシブルプリント基板300の認識マーク302は、上面側、下面側の両面から認識可能である。以下では、便宜的に、ベースフィルム301の認識マーク302が形成されている側の面を下面と称する。
【0042】
ベースフィルム301に下面には、下面側接着剤306により下面側カバーレイ304が貼り付けられている。下面側カバーレイ304には、認識マーク302の内周302iを露出させるための開口部303aが形成されている。この開口部303aにより、第1実施例同様に、認識マーク302の外周302oは、全周にわたって下面側カバーレイ304に覆われている。一方、内周302iは、全周にわたって下面側カバーレイ304に覆われていない。
【0043】
ベースフィルム301の上面には、上面側接着剤305により上面側カバーレイ303が貼り付けられている。上面側カバーレイ303には、認識マーク302が、上方向から上面側カバーレイ303を介さずに、ベースフィルム301越しに認識できるようにするために、認識マーク302より大きな開口部303aが形成されている。開口部303aは、ベースフィルム301越しに、認識マーク302が開口部303a内に完全に収まるように余白を持って形成されている。本図の例では開口部303aは矩形状に形成されているが、矩形状に限られず、円形、多角形等であってもよい。
【0044】
第3実施例のフレキシブルプリント基板300は、認識マーク302が形成されている下面側が第1実施例のフレキシブルプリント基板100の認識側の面と同様の構造となっている。このため、下面側から認識マーク302を認識する場合に、認識マーク302の下面側カバーレイ304に覆われていない内周302i部分で、明瞭な円を確認することができるため、認識精度の高い認識マークして利用することができる。また、認識マーク302の外周302oが全周にわたって下面側カバーレイ304に覆われているため、銅箔がベースフィルム301から剥離することを防ぐことができる。
【0045】
さらに、第3実施例では、フレキシブルプリント基板300の上面側が第2実施例のフレキシブルプリント基板200の認識側の面と同様の構造となっている。このため、上面側から認識マーク302を認識する場合に、上面側カバーレイ303を介さずに、ベースフィルム301越しに認識できる。したがって、明瞭に認識マーク302を認識することができ、認識精度の低下を防ぐことができる。
【0046】
第3実施例においても、ベースフィルム301、上面側カバーレイ303、下面側カバーレイ304は、ポリイミド、ポリエステル等の光透過性を有する合成樹脂を用いることができる。認識マーク302は、フレキシブルプリント基板300の回路パターン形成と同時に銅エッチング等により形成するようにする。上面側カバーレイ303の開口部303aおよび下面側カバーレイ304の開口部304aは、ベースフィルム301との接着前にあらかじめレーザカッター等で形成しておくようにする。第3実施例では、両面から認識マーク302を明瞭に認識することができるため、ベースフィルム301の両面に回路パターンを形成するフレキシブルプリント基板300に適している。
【0047】
第3実施例のフレキシブルプリント基板300は、ベースフィルム301の第1面に外周302oと内周302iとを有する穴あき形状の銅箔パターンを形成する工程と、開口部304aを有する第1面側カバーレイ304を、銅箔パターンの内周302iを露出し、外周302oを覆う状態でベースフィルム301の第1面に接着する工程と、銅箔パターンより大きな開口部303aが形成された第2側カバーレイ303を、銅箔パターンが開口部303a内に収まる状態でベースフィルム301の第2面に接着する工程と、により製造することができる。
【0048】
以上説明したように、本実施形態の各実施例のフレキシブルプリント基板は、認識マークの認識対象部分をカバーレイで覆わず、認識対象部分以外の領域をカバーレイで覆うようにしている。このため、認識マークとして用いる銅箔パターンのベースフィルムからの剥離を防ぐとともに、認識マークの認識精度の低下を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0049】
100 フレキシブルプリント基板
101 ベースフィルム
102 認識マーク
103 カバーレイ
104 接着剤
200 フレキシブルプリント基板
201 ベースフィルム
202 認識マーク
203 上面側カバーレイ
204 下面側カバーレイ
205 上面側接着剤
206 下面側接着剤
210 フレキシブルプリント基板
211 ベースフィルム
212 認識マーク
213 上面側カバーレイ
214 下面側カバーレイ
215 上面側接着剤
216 下面側接着剤
300 フレキシブルプリント基板
301 ベースフィルム
302 認識マーク
303 上面側カバーレイ
304 下面側カバーレイ
305 上面側接着剤
306 下面側接着剤