(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】育毛組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/506 20060101AFI20240219BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240219BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240219BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240219BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240219BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240219BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240219BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240219BHJP
A61P 17/14 20060101ALI20240219BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240219BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240219BHJP
A61Q 7/00 20060101ALI20240219BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240219BHJP
A61K 9/127 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/14 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/04 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240219BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240219BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K47/10
A61K47/14
A61K9/10
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/38
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/49
A61K8/73
A61P17/14
A61Q5/02
A61Q5/12
A61Q7/00
A61Q19/10
A61K9/127
A61K8/14
A61K8/04
A61K8/81
A61K8/86
(21)【出願番号】P 2021103977
(22)【出願日】2021-06-23
(62)【分割の表示】P 2018552647の分割
【原出願日】2016-12-22
【審査請求日】2021-06-23
(32)【優先日】2015-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ジェフリィ・エム
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-230710(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017573(WO,A1)
【文献】特開平11-092378(JP,A)
【文献】特表2002-512192(JP,A)
【文献】国際公開第2016/003970(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2008-0038710(KR,A)
【文献】特開平10-218736(JP,A)
【文献】特開2015-163633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61K 8/00- 8/99
A61P 1/00-43/00
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
育毛又は発毛組成物であって、
a.液体小胞であって、
i.ミノキシジル又はその薬学的に許容可能な塩と、
ii.合計で、前記育毛又は発毛組成物全体の約1.5重量%~約3重量%の、1種又は2種以上のC
12~C
15乳酸アルキル又は乳酸セチルと、
を含む、液体小胞と、
b.薬学的に許容される局所用担体であって、
i.21~約60重量%のエタノールと、
ii.10重量%以上かつ約40重量%以下のプロピレングリコールと、
iii.プロピレングリコールとは異なる多価アルコールと、
iv.水と、
を含む薬学的に許容される局所用担体と、
を含み、
エタノール及びプロピレングリコールの合計濃度は、前記育毛又は発毛組成物全体の31重量%~約80重量%であり、かつ、前記液体小胞は、前記薬学的に許容される局所用担体内に懸濁されている、育毛又は発毛組成物。
【請求項2】
前記多価アルコールがグリセリンである、請求項
1に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項3】
約0.1重量%~約15重量%のミノキシジル又は薬学的に許容されるその塩を含む、請求項1
又は2に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項4】
約0.5重量%~約10重量%のミノキシジル又は薬学的に許容されるその塩を含む、請求項
2に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項5】
前記薬学的に許容される局所用担体が、ミノキシジル又は薬学的に許容されるその塩を含む、請求項1~
4のいずれか一項に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項6】
乳酸セチルを含む、請求項1に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項7】
乳酸ミリスチルを含む、請求項1に記載
の育毛又は発毛の組成物。
【請求項8】
2種又は3種以上のC
12~C
15乳酸アルキルを含む、請求項1に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項9】
ポリオキシエチレンC
4~C
26脂肪エーテルを更に含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項10】
ポリオキシエチレンC
10~C
18脂肪エーテルを更に含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項11】
約0.1重量%~約15重量%の前記ポリオキシエチレンC
4~C
26脂肪エーテルを含む、請求項
9に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項12】
ポリマー性第四級アンモニウム塩、ポロキサマー、セルロース、天然若しくは合成のゴム、又はこれらの混合物から選択される、粘度調整剤を含む、請求項1~
11のいずれか一項に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項13】
Brookfield RVにより、スピンドル4、速度6RPMで測定すると、約50cps~約30000cpsの粘度を有する、請求項
12に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項14】
Brookfield RVにより、スピンドル4、速度6RPMで測定すると、約100cps~約10000cpsの粘度を有する、請求項
13に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項15】
TA Instruments ARES G2 Rheometerを使用して測定すると、約0.01Pa.s~約5Pa.sの降伏応力値を有する、請求項
13に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項16】
10以上のずり減粘指数を有する、請求項
13に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項17】
前記液体小胞が、非リン脂質の液体小胞である、請求項1~
16のいずれか一項に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項18】
貯蔵安定性である、請求項1~
17のいずれか一項に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項19】
1種若しくは2種以上の可溶化酸又はこれらの混合物を更に含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の育毛又は発毛組成物。
【請求項20】
明澄である、請求項1~
19のいずれか一項に記載の育毛又は発毛組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育毛活性物質、カルボン酸のC8~C24アルコールエステル、及び、一価アルコール及び任意に二価アルコールと、水とを含む薬学的に許容される局所用担体を含有する、脱毛を遅らせるか又は育毛を促進するための明澄な組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多様な形態の脱毛症、つまり脱毛は、人類及び動物を苦しめる進行中の問題である。男性、女性、及び子供は全て、遺伝因子、ホルモン因子、外科手術、外傷、化学療法、老化、特定の薬物の副作用及びストレスなどの要因のうちの1つ又はこれらの組み合わせの結果生じ得る脱毛症を患う可能性がある。脱毛症の発症の普遍性により、育毛を刺激しかつ脱毛を防止するための組成物を発見するため、歴史を通じて継続的な努力がもたらされた。
【0003】
薬草及び植物抽出物のみに基づいた、脱毛症のための多くの「自然」療法が提案されてきた。しかしながら、そうした化合物は、効果があるとしてもごくわずかであることが臨床的に証明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の一態様は、脱毛を低減させ育毛を促進し、かつ/又はより太く、より濃いか若しくはより豊かな被毛状態をもたらす方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の別の一態様は、少なくとも1つの育毛刺激剤と、少なくとも1つのカルボン酸のC8~C24アルコールエステルとを含む組成物を使用する方法に関する。
【0006】
本発明の別の一態様は、約0.1重量%~約20重量%の育毛又は発毛化合物(例えば、ミノキシジル又は薬学的に許容されるその付加塩)と、約0.5重量%~約10重量%の油相又は油性化合物と、約0%~約60%の二価アルコール(プロピレングリコールなど)と、約0~約65重量%のC2~C4アルコール(エタノールなど)とを含む、明澄な(又は濁度若しくは濁りが低減した)溶液又はゲル組成物を提供する。
【0007】
本開示の別の一態様は、哺乳類における育毛の成長期の開始を速めるために、本開示の組成物を使用することに関する。
【0008】
本開示のまた更に別の一態様は、哺乳類の皮膚に硬毛が出現する速度を増加させるために、本開示の組成物を使用することに関する。
【0009】
本発明の別の一態様は、薄毛化及び脱毛を低減するか又は防止する方法を提供することである。
【0010】
本開示の更なる他の態様及び利点は、以下の詳細な説明から当業者には容易に明らかになるであろうし、最良の形態の単に例示として、好ましい実施形態においてのみ示され、記述される。理解されるように、本開示は、他の異なる実施形態も可能であり、また、そのいくつかの詳細は、本開示の趣旨から逸脱せずに、種々の明らかな観点で変更が可能である。したがって、本説明は単なる例示に過ぎず、本発明をそれに限定するものではないものと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】以下に記載のオリンパスBX51顕微鏡を使用して得た顕微鏡視野の写真である。
【
図2】実施例I(後述)の組成物に含有される液体小胞の1つの部分断面図の凍結割断SEM(走査電子顕微鏡)写真である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特定の実施形態において、本発明は、明澄な組成物であって、
a.液体小胞であって、
i.式I又はII:
【0013】
【化1】
で表される、育毛又は発毛化合物及びこれらの混合物のうちの1つ又は2つ以上であって、
式中、R
1は水素又は-N(R
3)(R
4)であり、各R
3及びR
4は、個々に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アラルキル、及び低級シクロアルキルからなる群から選択され、R
3及びR
4は、一緒になって、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミノ、オクタメチレンイミノ、モルホリノ、及び4-低級アルキルピペラジニルからなる群から選択される複素環部分であってもよく、当該複素環部分のそれぞれは、炭素原子上の置換基として0~3個の低級アルキル基、ヒドロキシ、又はアルコキシに結合しており、R
2は、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシアルキル、低級シクロアルキル、低級アリール、低級アラルキル、低級アルカリル、低級アルカラルキル、低級アルコキシアラルキル、及び低級ハロアラルキル、これらの互変異性体、並びに薬理学的に許容されるこれらの酸付加塩からなる群から選択される、育毛又は発毛化合物及びこれらの混合物のうちの1つ又は2つ以上と、
ii.カルボン酸のC
8~C
24アルコールエステルと、
を含む、液体小胞と、
b.任意に、粘度調整剤と、
c.薬学的に許容される局所用担体であって、
i.約20~約65%の一価アルコールと、
ii.約0%~約60%の1つ又は2つ以上の二価アルコールと、
iii.水と、
を含む薬学的に許容される局所用担体と、
を含む明澄な組成物であって、
この一価アルコール及び二価アルコールの合計濃度は、この組成物は明澄であるように、総組成物の約40重量%~約80重量%であり、かつ、この液体小胞は、薬学的に許容される液体担体内に懸濁されている、明澄な組成物。
【0014】
特定の実施形態において、本発明は、育毛治療を必要とする対象における育毛方法に関し、対象の育毛が所望される領域に、上述の組成物を局所的に適用することを含む。
【0015】
発明の詳細な説明
本発明の組成物は、本明細書に記載される本発明の必須要素、工程及び制限事項、並びに本明細書に記載される追加若しくは任意の成分、構成要素、又は制限事項を含む、これらからなる、又はこれらから本質的になることができる。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「含む(comprising)」(及びその文法的変形)は、「有する(having)」又は「含む(including)」を包括する意味で用いられ、「のみからなる(consisting only of)」とする排他的な意味では用いられない。本明細書で使用するとき、用語「a」及び「the」は、単数に加えて複数も包含すると理解される。
【0017】
参照により全体が本明細書に組み込まれる全ての文書は、これらが本明細書に矛盾しない範囲においてのみ本明細書に組み込まれる。
【0018】
百分率、部及び比率は全て、特に指定しない限り、本発明の組成物の総重量に基づいている。列挙された成分に関連するこのような重量は全て活性レベルに基づいているので、特に指定しない限り、市販の物質に含まれることがある担体又は副産物を含まない。
【0019】
本明細書で毛髪に関して使用するとき、用語「成長する」又は「成長」は、育毛又は発毛を意味する。したがって、用語「育毛」及び「発毛」は、育毛に関して又は育毛用の活性物質に関して互換的に使用される。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「安全かつ有効な量」は、当業者の適切な判定範囲内で、明白な利益、例えば、育毛を有意に生じさせるのに十分な局所的又は全身活性であるが、深刻な副作用を回避するよう十分に少ない、すなわち合理的な利益対危険比をもたらす、化合物又は組成物の量を意味する。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「目視検査」又は「目視検査された」は、いずれの場合も、約0.25メートルの距離における標準75ワットの白熱光を発する白熱電球の照度に少なくとも等しい照明において、観察する人が肉眼で(近視、遠視、若しくは乱視を補うように適応した標準的な矯正レンズ、又は他の矯正視力を除く)、i)溶液中の固体若しくは液滴、又はii)毛髪若しくは育毛の存在を、視覚的に識別することができることを意味する。
【0022】
用語「薬学上許容される付加塩」は、薬学的に許容される酸又は塩基の付加塩を意味する。上で言及される薬学的に許容される酸又は塩基付加塩は、式(I及びII)の化合物により形成可能な、治療的に活性な非毒性酸及び非毒性塩基の付加塩形態を含むことが意図される。塩基性を有する式(I及びII)の化合物は、その塩基形態を適切な酸で処理することによって、薬学的に許容されるその酸付加塩に変換することができる。適切な酸としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸又は臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)、あるいは、有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸(すなわちブタン二酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エチルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p-アミノサリチル酸、パモ酸など)が含まれる。
【0023】
酸性を有する式(I及びII)の化合物は、その酸形態を適切な有機塩基又は無機塩基で処理することによって、薬学的に許容されるその塩基付加塩に変換することができる。適切な塩基塩形態としては、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩など)、有機塩基との塩(例えばベンザチン、N-メチル-D-グルカミン、ヒドラバミン塩)、及び、アミノ酸との塩(例えばアルギニン、リジンなど)が含まれる。
【0024】
用語「酸又は塩基の付加塩」は更に、式(I及びII)の化合物により形成可能な、水和物及び溶媒付加形態を含む。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコラートなどである。
【0025】
治療的使用のために、式(I及びII)の化合物の塩は、対イオンが薬学的に許容されるものである。
【0026】
特定の実施形態において、本明細書に述べる本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の化合物若しくは要素(又は、化合物群若しくは要素群)がなくとも実施し得るものである。
【0027】
本発明の組成物は、育毛に対して有用である。この組成物は、育毛活性物質及びカルボン酸のC8~C24アルコールエステルを含む。
【0028】
本発明の組成物はまた、脱毛及び薄毛化の防止にも有用である。
【0029】
育毛化合物
本発明の組成物は更に、式I又はII:
【0030】
【化2】
で表される、1つ又は2つ以上の育毛又は発毛化合物及びこれらの混合物を含む。
【0031】
R1は水素又は-N(R3)(R4)である。各R3及びR4は、個々に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アラルキル、及び低級シクロアルキルからなる群から選択され、R3及びR4は、一緒になって、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミノ、オクタメチレンイミノ、モルホリノ、及び4-低級アルキルピペラジニルからなる群から選択される複素環部分であってもよく、当該複素環部分のそれぞれは、炭素原子上の置換基として0~3個の低級アルキル基、ヒドロキシ、又はアルコキシに結合しており、R2は、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシアルキル、低級シクロアルキル、低級アリール、低級アラルキル、低級アルカリル、低級アルカラルキル、低級アルコキシアラルキル、及び低級ハロアラルキル、これらの互変異性体、並びに薬理学的に許容されるこれらの酸付加塩(例えばその硫酸塩)からなる群から選択される。
【0032】
上記式I及び/又は式IIの化合物の量は、育毛を促進するのに安全かつ有効な量である。特定の実施形態では、式I及び/又は式IIの化合物は、組成物の0.1重量%(又は約0.1重量%)~15重量%(又は約20.0重量%)の濃度、あるいは任意に、0.5重量%(又は約0.5重量%)~10%(又は約10重量%)の濃度、あるいは任意に、0.5重量%(又は約0.5重量%)~5重量%(又は約5重量%)の濃度で存在する。
【0033】
以下に列挙したのは、式I及び/又は式IIの化合物を記述するために使用される様々な用語の定義である。
【0034】
用語「低級アルキル」は、典型的には1~6個の炭素原子、より典型的には1~3個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素基を指す。
【0035】
好適な低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、及びプロピルが挙げられる。分枝状のアルキル基の例としては、イソプロピル及びt-ブチルが挙げられる。好適なアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、及びプロポキシである。
【0036】
「低級シクロアルキル」基は、典型的には、3~6個の炭素原子を有し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルを包含する。
【0037】
「低級アルケニル」基は、典型的には、2~6個の炭素原子を有し、エテニル、プロペニル、及びブテニルを包含する。「低級シクロアルケニル」基は、典型的には、3~6個の炭素原子を有し、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、及びシクロヘキセニルを包含する。
【0038】
用語「低級アリール」は、典型的には環部分に6~14個の炭素原子を有する単環式又は多環式芳香族炭化水素基を指し、例えばフェニル、2-ナフチル、1-ナフチル、4-ビフェニル、3-ビフェニル、2-ビフェニル、及びジフェニル基などである。
【0039】
ハロ基の例は、Cl、F、Br、及びIである。
【0040】
カルボン酸のC8~C24アルコールエステル
本発明の組成物はまた、1つ又は2つ以上のカルボン酸のC8~C24アルコールエステル、任意に1つ又は2つ以上のカルボン酸のC10~C22アルコールエステル、あるいは任意に1つ又は2つ以上のカルボン酸のC10~C18アルコールエステルも含む。下記は、カルボン酸のC8~C24アルコールエステルの非限定的な例である:C8~C24(任意にC10~C18)乳酸アルキル(例えばC12~C18乳酸アルキル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ステアリン酸乳酸グリセリル、C12~C15乳酸アルキルの混合物など;液体脂肪アルコール類(例えばオレイルアルコール)、化学構造C6H5-R(OH)(式中、Rは脂肪族基)を有するフェニルアルコールなどの芳香族アルコール(例えばベンジルアルコール及びフェネチルアルコール);エチレングリコールフェニルエーテルなどの芳香族グリコールエーテル;プロピレングリコールメチルエーテルなどのプロピレンオキシド又はブチレンオキシドベースのグリコールエーテル、並びに参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,133,967号に開示されているもの。特定の実施形態において、本発明のカルボン酸のC8~C24アルコールエステルは、C12~C18乳酸アルキルからなる群から選択される。特定の実施形態において、C8~C24アルコールは、ミリスチルアルコール又はセチルアルコールである。特定の実施形態において、カルボン酸は乳酸である。特定の実施形態において、本発明のカルボン酸のC8~C24アルコールエステルは、乳酸ミリスチル、乳酸セチル及びこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態において、カルボン酸のC8~C24アルコールエステルは、乳酸セチルである。特定の実施形態において、カルボン酸のC8~C24アルコールエステルは、乳酸ミリスチルである。特定の実施形態において、カルボン酸のC8~C24アルコールエステルは、C12~C15乳酸アルキルの混合物である。
【0041】
C12~C15乳酸アルキルの混合物とは、C12乳酸アルキル、C13乳酸アルキル、C14乳酸アルキル、及びC15乳酸アルキルを、C12乳酸アルキルのC13乳酸アルキルに対する比が約1:1~約1:2、C13乳酸アルキルのC14乳酸アルキルに対する比が約1:1~約1:2、及びC14乳酸アルキルのC15乳酸アルキルに対する比が約1:1~約1:2で含む組成物を指す(C12アルコール、C13アルコール、C14アルコール、及び/又はC15アルコールなどの他の成分が、任意にこの混合物に存在し得る)。このような混合物は、Ashland(NJ,USA)から入手することができる。
【0042】
特定の実施形態において、カルボン酸のC8~C24アルコールエステルは、組成物の0.5重量%(又は約0.5重量%)~10重量%(又は約10重量%)、任意に1.0重量%(又は約1.0重量%)~5重量%(又は約5重量%)、又は任意に1.5重量%(又は約1.5重量%)~3重量%(又は約3重量%)の量で組成物中に存在する。
【0043】
本発明の一実施形態において、育毛活性物質とカルボン酸のC8~C24アルコールエステルとの比は、10:1(又は約10:1)~1:1(又は約1:1)、任意に5:1(又は約5:1)~1:1(又は約1:1)、任意に3:1(又は約3:1)~1:1(又は約1:1)、あるいは任意に2:1(又は約2:1)であり、更に任意に、1:2(又は約1:2)~1:10(又は約1:10)、任意に5:2(又は約5:2)~1:5(又は約1:5)、任意に3:2(又は約3:2)~1:3(又は約1:3)、あるいは任意に1:2(又は約1:2)である。
【0044】
薬学的に許容される局所用担体
本発明で有用な組成物は、皮膚及び頭皮への局所適用に適した製剤を含有する。用語「局所」は、本明細書で使用される場合、組成物を好適な薬学的担体と共に使用し、局所作用を発揮させるために、脱毛、育毛低下、又は禿頭症の部位に本発明の方法に従って適用することを指す。したがって、本発明の方法に有用なこのような局所用組成物は、治療されるべき皮膚表面と直接接触させることによって化合物が外部から適用される薬学的に許容される形態を包含する。
【0045】
本明細書で使用するとき、「薬学的に許容される」というフレーズは、育毛活性物質を含む本明細書で意図する活性物質との適合性を示す。薬学的に許容される局所用担体はまた、皮膚、頭皮及び任意のケラチン基質と適合性がある。
【0046】
したがって、薬学的に許容される局所用担体は、カルボン酸のC8~C24アルコールエステルとの混合時に、結合した混合物が、1相を形成するカルボン酸のC8~C24アルコールエステルと、分離相を形成する薬学的に許容される局所用担体との多相混合物であるように配合される。特定の実施形態において、多相混合物は二相混合物である。
【0047】
「明澄な」組成物を得るために、一価及び二価のアルコール可溶化剤が、総組成物の約20重量%~約90重量%、任意に約30重量%~約80重量%、任意に約35重量%~約80重量%、任意に約40重量%~約75重量%、又は任意に約50重量%~約70重量%の合計濃度で組み込まれる。
【0048】
特定の実施形態において、一価アルコール可溶化剤は、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びこれらの混合物から選択される(又はこれらからなる群から選択される)。
【0049】
特定の実施形態において、二価アルコール可溶化剤は、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、及びこれらの混合物から選択される(又はこれらからなる群から選択される)。
【0050】
特定の実施形態において、一価アルコールは、組成物の5重量%(又は約5重量%)~65重量%(又は約65重量%)、任意に10重量%(又は約10重量%)~60重量%(又は約60重量%)、あるいは任意に20重量%(又は約20重量%)~40重量%(又は約40重量%)の量で存在する。
【0051】
特定の実施形態において、二価アルコールは、組成物の0重量%(又は約0重量%)~60重量%(又は約60重量%)、任意に5重量%(又は約5重量%)~50重量%(又は約50重量%)、あるいは任意に10重量%(又は約10重量%)~40重量%(又は約40重量%)の量で存在する。
【0052】
本発明の一実施形態において、一価アルコールの二価アルコールに対する比は、65:0(又は約65:0)~1:60(又は約1:60)、任意に20:1(又は約20:1)~1:20(又は約1:20)、任意に10:1(又は約10:1)~5:1(又は約1:5)、あるいは任意に3:1(又は約1:3)である。
【0053】
本明細書で使用するとき、用語「明澄な」は、2マイクロメートル(任意に1マイクロメートル)より大きい粒子又は液滴を含まない、又は実質的に含まない、溶液又はゲル組成物を意味する。2マイクロメートル(任意に1マイクロメートル)より大きい粒子又は液滴に関して、本明細書で使用するとき、用語「実質的に含まない」とは、高倍率顕微鏡(例えば、MXB-5000REZレンズを備えたHirox RH-2000E)で見た場合、0.5mm2視野当たり、2マイクロメートル(任意に1マイクロメートル)より大きい粒子又は液滴が20個未満、任意に10個未満、又は任意に5個未満である溶液又はゲル組成物を意味する。
【0054】
用語「明澄な」は更に、目視検査した場合に、濁りがないか又は実質的に濁りがない溶液又はゲル組成物を意味する。本明細書において使用するとき、用語「濁り」は通常肉眼で見えない個々の粒子(懸濁する固体又は液体)に起因する、流体の濁り又は曇りを意味する。流体は、種々の粒径からなる懸濁固体又は液体を含むことができる。多少の懸濁物質は、液体試料が静置されると容器の底に急速に沈む(又は異なる層に分離する)のに十分大きくまた重いであろうが、試料が定期的にかき混ぜられるか粒子がコロイド状態であると、非常に小さな粒子は徐々にしか又は全く沈まない(又は分離しない)。これらの小さい固体又は液体粒子が液体を不透明に見せる。
【0055】
これらの固体又は液体粒子の特性の1つは、これらに当たる光線を散乱することである。この光散乱効果は水中の濁度のよい尺度であると考えられる。これによる濁度の測定には、光線方向の横に設置した検出器を有する濁度計と呼ばれる機器を使用する。水中により多くの粒子が浮遊していると、より多くの光が検出器の方向に散乱され、検出光の値が高くなる。検出光のより低い値は、よりきれいな又はより低い濁りの溶液を意味する。校正済み濁度計(例えば、周辺温度[20℃]で作動するLaboratory Turbidimeter HACH Model 2100N)による濁度の単位は、比濁計濁度単位(NTU)と呼ばれる。明澄な製剤は、NTUが10(又は約10)未満、任意に8(又は約8)未満、あるいは任意に6(又は約6)未満の製剤として定義される。
【0056】
特定の実施形態において、この組成物がC12~C18乳酸アルキルを含む場合、組成物の透明度はC12~C18乳酸アルキルの濃度に依存する。この関係は、次の「比誘電率指数」(RI)の式で定義することができる。
RI=(D1/D2)/C12~C18乳酸アルキルの濃度%(総組成物に対する%として)
式中、
D1=全非水性溶媒の全体の比誘電率
D2=水性溶媒の全体の比誘電率/濃度
【0057】
本発明者らは、RI値が0.15より大きい組成物が、明澄な組成物であると判定されたことを見出した。
【0058】
本発明の薬学的に許容される局所用担体は更に、総組成物の約5重量%~約60重量%、任意に、約10重量%~約50重量%、又は任意に、約20重量%~約40重量%の水を含む。
【0059】
特定の実施形態において、薬学的に許容される局所用担体は、軟膏、ペースト、ゲル、ゼリー、血清、エアロゾル及び非エアロゾルのスプレー、発泡体、クリーム、ローション液、溶液、化粧液、懸濁液、リーブオンコンディショナーなどを含む任意の製品形態であり得る。用語「軟膏」は、油性基剤、吸収基剤、水溶性及び乳化基剤を有する製剤(クリームを含む)、例えば、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、及びこれらの混合物を包含する。本発明の組成物に有用である具体的な担体及び追加成分のより詳細な考察は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2008/0145331号(Bruningら)に見出すことができる。一実施形態において、薬学的に許容される局所用担体は、組成物の約50重量%~約99.99重量%、又は任意に、組成物の約80重量%~約95重量%を構成する。
【0060】
代替的に、シャンプー、クリームリンス、コンディショナー、クレンザー及び拭き取りローションなどの濯ぎ落としの担体形態も使用してよい。
【0061】
小胞
本発明の組成物はまた、1つ又は2つ以上の小胞も含む。特定の実施形態において、小胞は液体小胞である。特定の実施形態において、小胞は非リン脂質の小胞である。
図1は、オリンパスBX51顕微鏡(以下に記載)を使用して得た顕微鏡視野の写真であり、実施例1(以下)の組成物に含有される液体小胞を示している。
【0062】
特定の実施形態において、小胞は、約0.05μm~約20μm、任意に約0.1μm~約15μm、又は任意に約0.3μm~約10μmの平均直径を有する。本発明の小胞の平均直径の測定は、以下により詳細に記載する。特定の実施形態において、小胞は、多層(すなわち、少なくとも2層を有する)であり、この層は、約0.01μm~約2μm、好ましくは約0.05μm~約1μmの層厚さを有する。
【0063】
図1に示した顕微鏡視野における小胞の平均直径を決定するために、以下の手順を使用することができる:
従来のCCDカメラ技術を装備した透過顕微鏡(すなわち、オリンパスBX51顕微鏡、倍率100×)を使用して、拡大視野を得て、小胞の顕微鏡画像を取得した。顕微鏡の拡大視野内の小胞を検出し、顕微鏡に付随の画像解析ソフトウェア(すなわち、analySIS画像ソフトウェア、Olympus Soft Imaging Solutions GmbH)により、その対応する直径を測定した。
【0064】
上述の画像解析ソフトウェアを使用して得られた
図1の拡大視野に関する統計解析結果を、以下の表Aに示す。
図1の拡大視野の小胞の平均直径は、約0.7μm±0.83μmであることが見出された。
【0065】
【0066】
図1に示される小胞は、0.13μmの最小直径及び10.8μmの最大直径と共に0.7μmの平均直径を有する。
【0067】
図2は、実施例I(後述)の組成物に含有される液体小胞の1つの部分断面図の凍結割断SEM(走査電子顕微鏡)写真を示す。
【0068】
図2はまた、液体小胞の多層も示し、層厚さを「a」及び「b」で示す。
図2の写真の最下部に示す「2μm」測定スケールを使用して測定すると、層厚さ「a」は約0.4μmであり、層厚さ「b」は約0.2μmである。
【0069】
カルボン酸のC8~C24アルコールエステル及び/又は育毛化合物は、小胞か若しくは薬学的に許容される局所用担体のいずれかの中か、又は小胞と薬学的に許容される局所用担体の両方の中に存在し得る。
【0070】
任意成分
追加的な活性物質
特定の実施形態において、本発明の組成物は、任意に、追加的育毛活性物質、抗アクネ剤、抗菌剤、抗真菌剤、抗生物質又は消毒剤、乾癬治療剤、抗ウイルス剤、抗セボレア剤、フケ防止剤、毛孔性苔癬の治療用活性剤、抗炎症剤、血管拡張剤、UV吸収剤及び抗癌剤からなる群から選択される活性剤を更に含んでもよい。
【0071】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、追加的育毛活性物質を含む。特定の実施形態において、追加的育毛活性物質は、ジアゾキシド、ピナシジル、ビマトプロスト、フィナステリド、2 5型-アルファ-還元酵素阻害剤、及びデュタステリド、1-及び2-5型-アルファ-還元酵素阻害剤、並びにフルタミド、ビカルタミド、プレグナン誘導体、プロゲステロン誘導体、FCE 28260などの実験的薬剤などの、育毛を促進し、薬剤として入手可能であることが周知の化合物の群から選択される。症例によっては女性向けに指示されているため、スピロノラクトン及びその他の利尿薬もまた使用することができる(アルダクトン:アルドステロン受容体拮抗薬としても知られている)。育毛剤としても有用な薬剤は、以下に述べるアゾール抗真菌薬である。好適なアゾール抗真菌薬の例として、ミコナゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、イトラコナゾール、セルタコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、薬学的に許容されるこれらの塩及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0072】
特定の実施形態において、追加的育毛活性物質としてまた有用なのは、5-アルファ-還元酵素阻害作用を有し得る薬草剤、若しくはジヒドロテストステロン(DHT)に対する阻害活性を有する活性物質、又は別の方法で育毛を促すことができる活性物質であり、ノコギリヤシ、β-シトステロール及びアフリカプルーンを挙げることができる。そのような活性を有し得る他の追加的育毛活性物質は、β-システロール、セピコントロール及び甘草、γ-リノレン酸及びその他の不飽和脂肪酸、亜鉛、銅及びこれらの塩、ハグマノキ(Cotinus coggygria)抽出物、緑茶カテキン(-)-エピガロカテキン没食子酸塩(EGCG)、並びにその他のポリフェノールなどである。ブドウ種子、リンゴ種子、リンゴ果汁、ブラックベリー、アワ種子、マリオネ(marione)抽出物、システイン、コノテガシワ(Thuja orientalis)抽出物、ポリゴナムマルチフロラムツンベルグ(Polygonum multiflorum thunberg)抽出物、エスピノシーラ(Espinosilla)抽出物、ブッソウゲ(Hibiscus rosa sinensis)の花、オオバゲッキツ(murraya koenigii)、ヒノキチオール、及びオオムギ抽出物もまた、可能性のある追加的育毛活性物質であり得るが、これらは、良好な育毛結果を実現するうえで非常に一般的であり又は満足できるものとは考えられていない。
【0073】
追加的育毛活性物質はまた、バルプロ酸(VPA)、リチウム塩、ジヒドロクェルセチン-グルコシド(DHQG)、エピガロカテキンガラート-グルコシドなどのWnt経路又はベータ-カテニン経路を活性化するか又は阻害する薬剤又は天然抽出物、胎盤増殖因子(PIGF)、リフレクサ(C.reflexa)など、上皮増殖因子(EGF)、血管上皮増殖因子(VEGF)、FGF 5又はFGF9などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、6-(4-(2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)フェニル)-3-(ピリジン-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン、ドルソモルフィノール(dorsomorphinor)などのBMP(骨形成タンパク質)阻害剤などの毛嚢成長を促進することができる薬剤又は天然抽出物、これらの混合物も含んでもよい。フラボノイドからのプロシアニジンBのようなプロアントシアニジンなどのTGF-β阻害剤もまた、使用することができる。
【0074】
追加的育毛活性物質はまた、プロスタグランジンD2阻害剤、又は抗アンドロゲン特性を有する薬剤コルテキソロン17a-プロピオン酸を含んでもよい。
【0075】
他の追加的育毛活性物質は、プロスタグランジン類似体リックブスプロストール(licke vsprostol)、若しくはラタノプロスト、ビマトプロスト又はこれらの誘導体、アカシカの枝角、ホウライシダ(Adiantum capillus-veneris Linn.)(A. capillus-veneris)、ジンセノサイドF2)の抽出物及びこれらの混合物を含む。
【0076】
上述の追加的育毛活性物質の任意の混合物もまた、使用することができる。
【0077】
抗アクネ剤は、アクネの局所治療用に米国食品医薬品局により承認されている化合物である。好適な抗アクネ剤の例として、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、硫黄、レチノイン酸、カンジダボンビコーラ(candida bombicola)/グルコース/ラペセエド酸メチル発酵体、ピート水、レソルシノール、沈泥、ピート、ペルメチン、アゼライン酸、クリンダマイシン、アダパレン、エリスロマイシン、ナトリウムスルフアセトアミド、ミノサイクリン、テトラサイクリン、オキシサイクリン、ナトリウムスルフアセトアミド、ダプソン、イソトレチノイン、トレチノインなどのレチノイド、エチニルエストラジオール、ノルゲスチム酸、ニコチンアミド及びこれらの誘導体、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0078】
抗菌剤は、微生物を死滅させるか、又は微生物の成長若しくは繁殖を防止する若しくは阻害する化合物である。好適な抗菌剤の例として、エタノール、プロパノール、ベタイン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ラウリン酸アルギナイット(lauric arginayte)、糖クアット(sugarquat)、塩化ベンゼトニウムメチル、塩化セチピリジウニウム、2,4,4’-トリクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)、パラクロロメタキシレノール(PCMX)、ブチルカルバミン酸ヨードプロピニル、ジアゾリジニル尿素、ジグルコン酸クロルヘキシデン、酢酸クロルヘキシデン、イセチオン酸クロルヘキシデン、クロルヘキシデン塩酸塩、ヘキセチジン、クオタニウム15、トリクロ炭素、ポリヘキサメチレンビグアニド、塩化セチルピリジウム、イミダゾリジニル尿素、ジアゾリジニル尿素、3-ヨード-2-プロピニル-N-ブチルカルバミン酸、2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン、ジメチルジメチルヒダントイン、5-クロロ-2-(2,4-ジクロロフェノキシ)フェノール、ラウリン酸モノラウリングリセリル、チャノキ(camellia sinensis)、カンジダボンビコーラ(candida bombicola)/グルコース/ラペセエド酸メチル発酵体、過酸化水素、フェノール、ポロキサマー188、PVP-ヨウ素、チオ尿素、天然抗菌性剤(桂皮油、桂皮アルデヒド、レモングラス油、丁子油、ノコギリヤシ抽出物、タイム油ホワイト、タイム油レッド、チモール、ティートリー油、フランスカイガンショウ(pinus pinaster)の樹皮抽出物、ローズマリーの葉抽出物、ブドウの種子抽出物、及びキンマ油など)、銀含有化合物(硝酸銀、乳酸銀、クエン酸銀、及び銀ゼオライトなど)、多価アルコールの抗菌脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪エーテル、及びこれらのアルコキシル化誘導体、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
抗菌剤は、アゾールなどの抗真菌剤を含む。例として、ミコナゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、イトラコナゾール、セルタコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、クリオキノール、ビフォコナゾール、テルコナゾール、ブトコナゾール、チオコナゾール、オキシコナゾール、スルコナゾール、サペルコナゾール、クロトリマゾール、ウンデシレン酸、ハロプロジン、ブテナフィン、トルナフテート、ナイスタチン、シクロピロクスオラミン、テルビナフィン、アモロルフィン、ナフチフィン、エルビオール、グリセオフルビン、薬学的に許容されるこれらの塩及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
抗菌剤は、抗生物質又は消毒剤を含む。抗生物質又は消毒料の例として、ムピロシン、硫酸ネオマイシン、バシトラシン、ポリミキシンB、1-オフロキサシン、テトラサイクリン(クロルテトラサイクリン塩酸塩、オキシテトラサイクリン-10塩酸塩及びテトラサイクリン塩酸塩など)、リン酸クリンダマイシン、硫酸ゲンタマイシン、メトロニダゾール、ヘキシルレゾルシノール、塩化メチルベンゼトニウム、フェノール、第四級アンモニウム化合物、ティートリー油並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
乾癬治療剤の例として、コルチコステロイド(例えば、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、二酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸ハロベタゾール、トリアムシノニド、デキサメタゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ハルシノニド、酢酸トリアムシノロン、ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、ジプロピオン酸アルクロメタゾン(aclometasone dipropionte)、フルランドレノリド、フロ酸モメタゾン、及び酢酸メチルプレドニゾロン)、メトトレキサート、シクロスポリン、カルシポトリエン、アントラリン(anthraline)、シェール油、エルビオール、ケトコナゾール、石炭タール、サリチル酸、亜鉛ピリチオン、硫化セレン、ヒドロコルチゾン、硫黄、2,2’-スルファンジイルビス(4,6-ジクロロフェノール)(ビチオノール)、6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン(チオキソロン)、2,7-ジメチルチアントレン(メスルフェン)、メントール、及び塩酸プラモキシン、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
抗ウイルス剤の例として、イミキモド、ポドフィロックス、ポドフィリン、インターフェロンアルファ、アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、レチクロス(reticulos)及びシドホビルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
エルビオールなどの抗セボレア剤又は皮脂阻害剤。
【0084】
フケ防止剤の例として、亜鉛ピリチオン、エルビオール、石炭タール、サリチル酸又は硫化セレン、硫黄、ケトコナゾール、コルチコステロイド(フルオシノロンアセトニド、カフェインなど)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
毛孔性苔癬の治療用活性剤。毛孔性苔癬の治療用活性剤の例として、フルオラシル(fluoracil)、イミキモド、アミノレブリン酸及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
抗炎症剤の例として、ヒドロコルチゾンなどのコルチコステロイド、ヒドロキシルトリアムシノロン、アルファメチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクラロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレナロンアセトニド、メドリゾン、アムシアフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロルプレドニゾン、酢酸クロルプレドニゾン、クロコルテロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドネート、フルクロロニド、フルニソリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、二プロピオン酸ベタメタゾン、及びトリアムシノロン、並びにこれらの組み合わせなどの非ステロイド性及びステロイド性抗炎症剤が挙げられるが、これらに限定されない。非ステロイド性抗炎症剤の例として、COX阻害剤、LOX阻害剤、及びp38キナーゼ阻害剤、シクロスポリンなどの免疫抑制剤、並びにサイトカイン合成阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。他の天然抗炎症剤として、ナツシロギク(feverfew)、ボスウェリア(boswellia)、アロエベラ、カモミール、ラベンダー、大豆、又はカラス麦、ベータグルカン、及びトタロール(totarol)の抽出物が挙げられるが、これらに限定されない。他の活性剤として、創傷治癒増強剤(アルギン酸カルシウム、コラーゲン、ヒト組み換え血小板由来増殖因子(PDGF)、及び他の増殖因子など)、ケタンセリン、イロプロスト、プロスタグランジンE1及びヒアルロン酸(架橋ヒアルロン酸を含む);マンノース-6-リン酸などの瘢痕減少剤;鎮痛剤;デブリ除去剤(例えばパパイン、及び酵素デブリ除去剤);並びに麻酔剤(例えばリドカイン及びベンゾカイン)が挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態において、組成物は、1つ又は2つ以上のメントール、カンファー、抗ヒスタミン剤、又は局所麻酔剤(テトラカイン、リドカイン、プリロカイン、ベンゾカイン、ブピバカイン、メピバカイン、ジブカイン、エチドカイン、ブタカイン、シクロメチカイン、ヘキシルカイン、プロパラカイン、及びロピバカインなど)、カプサイシン、又はひき割りオート麦を含む。
【0087】
血管拡張剤の例として、メチルニコチン酸、アルギニン、ヘキシルニコチン酸、パパベリン、トラゾリン、アセチルコリン、ナトリウムニトロプルシド、ニトログリセリン、アデンソシン(adensosine)又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0088】
好適なUV吸収剤の例として、ベンゾフェノン、ボルネロン、ブチルパバ、塩化アンモニウムトリメチルシンアミドプロピル、ジスルホン酸ジスチリルビフェニル二ナトリウム、パバ、メトキシケイ皮酸カリウム及びこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
抗癌剤の例として、AG-490;アルデスロイキン;アレムツズマブ;アリトレチノイン;アロプリノール;アルトレタミン;アミホスチン;An-238;アナストロゾール;亜ヒ酸;アスパラギナーゼ;生菌BCG(カルメット-ゲラン菌);ベバジズマブ(bevazizumab);ベキサロテン;ブレオマイシン;ブスルファン;カルステロン;カペシタビン;カペシタビン;カルボプラチン;カルムスチン;セレコキシブ;セツキシマブ;クロラムブシル;シスプラチン;クラドリビン;シクロホスファミド;シクロホスファミド;シタラビン;ダクチノマイシン;ダルベポエチンアルファ;ダサチニブ;ダウノルビシン;ダウノルビシン、ダウノマイシン;デニロイキンジフチトクス;デクスラゾキサン;ドセタキセル;ドキソルビシン;プロピオン酸ドロモスタノロン;エリオットB溶液;エンドスタチン;エピルビシン;エポエチンアルファ;エストラムスチン;リン酸エトポシド;エトポシド、VP-16;エキセメスタン;フィルグラスチム;フロクスウリジン;フルダラビン;フルオロウラシル;FTI-2777;フルベストラント;ゲフィチニブ;ゲムシタビン;ゲムシタビン;ゲムツズマブオゾガマイシン;GGTI-298;酢酸ゴセレリン;ゴシポール;ヒドロキシ尿素;イブリツモマブ;イダルビシン;イダルビシン;イホスファミド;メシル酸イマチニブ;インターフェロンアルファ-2a;インターフェロンアルファ-2b;IL-2;IL-12;イリノテカン;レトロゾール;ロイコボリン;レバミソール;ロムスチン;メクロレタミン;ナイトロジェンマスタード;メゲストロール酢酸塩;メルファラン、L-PAM;メルカプトプリン、6-MP;メスナ;メトトレキサート;メトキサレン;マイトマイシンC;ミトタン;ミトキサントロン;フェンプロピオン酸ナンドロロン;ノフェツモマブ(nofetumomab);オプレルベキン;オキサリプラチン;パクリタキセル;パミドロネート;ペガデマーゼ;ペグアスパルガーゼ;ペグフィルグラスチム;ペントスタチン;ペントスタチン;ピポブロマン;プリカマイシン;ミスラマイシン;ポルフィマーナトリウム;PP2;プロカルバジン;キナクリン;ラスブリカーゼ;RC3095;リツキシマブ;サルグラモスチム;ストレプトゾシン;タルク;タモキシフェン;テモゾロマイド;テニポシド、VM-26;テストラクトン;チオグアニン、6-TG;チオテパ;トポテカン;トレミフェン;トシツモマブ;トラスツズマブ;トレチノイン、ATRA;UO126;ウラシルマスタード;バルルビシン;ビンブラスチン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ウォルトマンニン;及びゾレドロネートが挙げられる。
【0090】
特定の実施形態において、活性物質は、水溶性の活性物質である。好適な例として、例えば、硫酸ナトリウムなどのスルホン酸塩分子、チアミン、リボフラビン(B2)、ニコチン酸、ナイアシン、ビオチン(B7)、葉酸(B9)、コバラミン、パンテノール、パントテン酸、コリン、アスコルビン酸などの水溶性ビタミン(又はこれらの誘導体);ケラチン、コラーゲン、エラスチン、小麦胚芽タンパク質、小麦タンパク質、大豆タンパク質、プロテアーゼ、セラムタンパク質、毛髪タンパク質などの水溶性タンパク質;米国特許第6,419,913号に記載され、参照により本明細書に組み込まれるものなどのタンパク質加水分解により誘導されるアミノ酸などの水溶性ペプチド及びポリペプチド;ナツシロギク抽出物及び大豆抽出物などの水抽出プロセスから得られる植物抽出物;チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸カリウムなどの除毛剤及び外用鎮痛薬、並びにベンゾカインなどの局所麻酔剤を含むエタノール可溶性活性物質が挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
特定の実施形態において、活性物質は油溶性である。好適な例として、ビタミンE、ビタミンD3、ビタミンA、レチノール、レチノイドなどのビタミン若しくはこれらの誘導体又はメラトニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
上記追加的活性物質の混合物もまた、使用することができる。
【0093】
本発明のいくつかの実施形態は、色安定剤を更に含む。好適な色安定剤として、ブチル化ヒドロキシトルエン又はCiba-Geigy(Hawthorne、N.Y.、U.S.A.)から入手可能なヒンダードフェノールのIRGANOX(登録商標)1010が挙げられるが、これらに限定されない。IRGANOX(登録商標)1010は、テトラキス[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)]メタンである。特定の実施形態において、色安定剤は、本発明の組成物の総重量に基づいて約0.05重量%~約1.0重量%の量で使用される。
【0094】
非イオン性脂質
特定の実施形態において、本発明の組成物は、非イオン性脂質を更に含む。非イオン性脂質は、水中油型(o/w)、油中水型(w/o)シリコーン中の水中油型などの任意の型のエマルション中にミクロ小胞又はナノ小胞を形成することができる。
【0095】
特定の実施形態において、非イオン性脂質は、約3~約50個の炭素原子、及び任意に約10~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するグリセリルモノエステルなどの非イオン性脂質;約5個の炭素原子~約25個の炭素原子、及び任意に約10個の炭素原子~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するグリセリルジエステル;アルコキシル化アルコール;アルコキシル化アルキルフェノール;アルコキシル化酸;アルコキシル化アミド;アルコキシル化糖誘導体;天然油又はワックスのアルコキシル化誘導体;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー;約10個の炭素原子~約18個の炭素原子を含有する脂肪酸鎖を有するポリオキシエチレンエーテル脂肪酸;ステロイド;脂肪酸が約10個の炭素原子~約20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖であり、アルコールが1~10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖である、アルコールの脂肪酸エステル;及びこれらの組み合わせなどの1つ以上の非イオン性脂質を含み、任意に、このアルコキシル化脂質は、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドで、又は任意にエチレンオキシドでアルコキシル化されている。
【0096】
好適なグリセリルモノエステルの非限定的な例として、カプリン酸グリセリル、カプリル酸グリセリル、コク酸グリセリル、エルカ酸グリセリル、ヒドロキシステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ラノリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、グリセリルリノレート、ミリスチン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル、グリセリルPABA、パルミチン酸グリセリル、リシノール酸グリセリル、ステアリン酸グリセリル、グリセリルチグリコレート、及びこれらの混合物、任意にラウリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
好適なグリセリルジエステルの非限定的な例として、ジラウリン酸グリセリル、ジオレイン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、セスイオレイン酸グリセリル、ステアリン酸乳酸グリセリル、及びこれらの混合物、任意にジラウリン酸グリセリル、ジミリスチン酸グリセリル及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
好適なポリオキシエチレン脂肪エーテルの非限定的な例として、ポリオキシエチレンセチル/ステアリルエーテル、ポリオキシエチレンコレステロールエーテル、ラウリン酸又はジラウリン酸ポリオキシエチレン、ステアリン酸又はジステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンラウリル又はステアリルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、ポリオキシエチレンヘッド基は、約2~約100基の範囲である。特定の実施形態において、ポリオキシエチレン脂肪エーテルとして、約3~約10個のオキシエチレン単位を有するポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0099】
好適なステロイドの非限定的な例として、コレステロール、βシトステロール、ビサボロール、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
好適なアルコールの脂肪酸エステルの非限定的な例として、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪族n-酪酸イソプロピル、n-ヘキサン酸イソプロピル、n-デカン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチイドデシル及びこれらの混合物が挙げられる。
【0101】
特定の実施形態において、本発明の組成物の非イオン性脂質は、以下の式Iに示される構造を有する。
R5-(OCH2CH2)y-OH 式I
式中、R5は、約6~約22個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルキル基であり、yは約4~約100、好ましくは約10~約100である。好ましいアルコキシル化アルコールは、R5がラウリル基であり、yが平均値23を有する種であり、これはCTFA名「ラウレス23」で知られ、商品名「BRIJ 35」で、ICI Americas,Inc.(Wilmington,Del.)から入手可能である。
【0102】
他の実施形態において、アルコキシル化アルコールは、ラノリンアルコールのエトキシル化誘導体である。ラノリンアルコールは、ラノリンの加水分解から得られる有機アルコールの混合物である。ラノリンアルコールのエトキシル化誘導体の例はラネス-10であり、これは、平均エトキシル化値が10のラノリンアルコールのポリエチレングリコールエーテルである。
【0103】
一実施形態において、アルコキシル化アルコールは、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテルであり、その構造を以下の式II:
【0104】
【化3】
(式中、x:qは約2:2~約38:37である)に図式的に示す。この種の材料の例示的な要素は、CTFA名「PPG-12-Buteth-16」で知られる材料であり、上記構造IIと一致しており、式中、Rはブチル基であり、xは平均値12を有し、yは平均値16を有する。この材料は、商品名「UCON Fluid 50-HB-660」でAmerchol Corp.(Edison,N.J.)から入手可能である。
【0105】
他のタイプの非イオン性脂質は、一般に式IIIの構造に一致するアルコキシル化アルキルフェノールを含み、
【0106】
【化4】
式中、R
6は、約6~約22個の炭素原子を有する分枝状又は非分枝状アルキル基であり、zは約7~120、好ましくは約10~約120である。この種の材料の特に好ましい要素は、R
6がノニル基であり、zが平均値約14を有する種である。この材料は、CTFA名「nonoxynol-14」で知られ、商品名「MAKON 14」でStepan Company(Northfield、Ill.)から入手可能である。
【0107】
別の種類の非イオン性脂質として、アルコキシル化酸が挙げられ、これは、大半は一般的に脂肪酸である酸と、ポリアルキレングリコールとのエステルである。この種の例示的な材料は、CTFA名「PEG-8ラウレート」を有し、次の式IVで示される構造を有する。
【0108】
【0109】
他の種類の非イオン性脂質は、以下に示す構造V又はVIの一方又は両方に一致し得るアルコキシル化アミドを含む。
【0110】
【化6】
式中、nは約8~約100であり、m+bの和は約8~約100である。この種の例示的な要素は、CTFA名「PEG-6ココアミド」として知られ、一般的には構造Vに一致し、式中、R’COは、ココナッツ油由来の脂肪酸を表し、nは平均値が約6である。
【0111】
別の種類の非イオン性脂質として、アルコキシル化糖誘導体が挙げられる。この種の例示的な要素は、CTFA名「ポリソルベート20」として知られ、これは、ソルビトールのラウリン酸エステルとソルビトール無水物との混合物であり、約20モルのエチレンオキシドと縮合したモノエステルから主になる。この材料は、商品名「TWEEN 20」でICIアメリカ社(ICI Americas,Inc.,Wilmington,Del)から入手可能である。
【0112】
本発明の組成物に有用なアルコキシル化糖誘導体の別の例は、PEG-20セスキステアリン酸メチルグルコースであり、これは、メチルグルコースとステアリン酸とのセスキエステルのポリエチレングリコールエーテルであり、平均20モルのエチレンオキシドを含み、商品名「Glucamate SSE-20」で、Amerchol Corp.(Edison,N.J)から入手可能である。
【0113】
別の種類の非イオン性脂質としては、天然油及びワックスのアルコキシル化誘導体が挙げられる。この種の材料の例には、PEG-40ラノリン、PEG-40ヒマシ油、及びPEG-40硬化ヒマシ油が含まれる。
【0114】
別の種類の非イオン性脂質として、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーが挙げられる。これらの材料は、一般にCTFA名「ポロキサマー」として知られ、構造VIIに一致し、
【0115】
【化7】
式中、a:d:eは約2:16:2~約98:67:98である。本発明の組成物において有用なこの種の材料の例示的な要素は、「ポロキサマー101」及び「ポロキサマー182」であり、これらにおいて、a、d、eはそれぞれ、平均値が2、16、及び2、並びに8、30、及び8である。
【0116】
特定の実施形態において、非イオン性脂質として、ポリオキシエチレンC4~C26脂肪エーテル、グリセリルジエステル、及びこれらの混合物が挙げられる。任意に、非イオン性脂質として、ポリオキシエチレンステアリルエーテル(ステアレス-10)、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル、ジラウリン酸グリセリル、ジミスト酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリルなどのポリオキシエチレンC10~C18脂肪エーテル並びにこれらの混合物が挙げられ、任意に各エーテルは、約5~約10個のオキシエチレン単位を有する。任意に、非イオン性脂質はポリオキシエチレンステアリルエーテル(ステアレス-10)である。
【0117】
特定の実施形態において、非イオン性脂質は、組成物の約0.1重量%~約20重量%、任意に、約0.2重量%~約15重量%、又は任意に、約0.5重量%~約10重量%の量で組成物中に存在する。
【0118】
存在する場合、ポリオキシエチレンC4~C26脂肪エーテルの濃度は、組成物の約0.1重量%~約15重量%、任意に、約0.2重量%~約10重量%、又は任意に、約0.3重量%~約5重量%である。
【0119】
混和物
特定の実施形態において、本発明の組成物は更に、1)クレブス回路(Kreb cycle)の中間体、クレブス回路の中間体でない(non-Kreb cycle intermediate)α-ケト酸、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される酸;並びに/又は2)酸化防止剤、並びに3)飽和及び不飽和脂肪酸の混合物、又はそのような飽和及び不飽和脂肪酸の混合物の供給源、からなる混和物を含む。
【0120】
特定の実施形態において、混和物は、混和物の0.1重量%(又は約0.1重量%)~20重量%(又は約20重量%)、任意に0.1重量%(又は約0.1重量%)~30重量%(又は約30重量%)、任意に0.5重量%(又は約0.5重量%)~20重量%(又は約20重量%)、あるいは任意に0.5重量%(又は約0.5重量%)~10重量%(又は約10重量%)の濃度で組成物中に存在する。
【0121】
混和物の酸成分
特定の実施形態において、本発明の混和物の酸成分は、クレブス回路の中間体、クレブス回路でない(non-Kreb cycle)αケト酸、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0122】
本明細書で有用なクレブス回路(又はクエン酸回路)の中間体として、2-オキソグルタル酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、オキサロ酢酸塩、クエン酸塩、シスアコニット酸塩、イソクエン酸塩、オキサロコハク酸塩、α-ケトグルタル酸塩、L-リンゴ酸塩、これらのエステル、これらのエーテル、又はこれらの塩、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0123】
他の実施形態において、酸成分は、クレブス回路の中間体でないαケト酸(又は2-オキソ酸)である。αケト酸(又は2-オキソ酸)は、カルボン酸に隣接したケト基を有する。「クレブス回路の中間体でない」とは、本明細書で使用するとき、クレブス回路又はクエン酸回路で生成されない化学物質、化合物、又は中間体を意味する。特定の実施形態において、好適なクレブス回路でないαケト酸として、ピルビン酸(α-ケトプロピオン酸)、α-ケトイソ吉草酸、α-ケトイソカプロン酸、これらの塩、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、これらのαケト酸に加えて、非限定的用語「αケト酸」には、αケトグルタル酸が含まれるが、これに限定されないことを理解すべきである。
【0124】
特定の実施形態において、酸成分として有用なαケト酸はピルビン酸である。本発明における使用に適しているピルビン酸は、ピルビン酸、ピルビン酸の塩、ピルビン酸のプロドラッグ、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。特定の実施形態では、ピルビン酸の塩は、アルカリ塩及びアルカリ土類塩であり得る。特定の実施形態では、ピルビン酸は、ピルビン酸、ピルビン酸リチウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン、ピルビン酸メチル、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0125】
他の実施形態では、ピルビン酸は、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガンなど、及びこれらの混合物からなる塩の群から選択される。更に他の実施形態では、ピルビン酸はピルビン酸ナトリウムである。
【0126】
理論によって制限されないが、酸成分は、混和物のエネルギー源成分としての役割を果たすと考えられている。特定の実施形態では、酸は、混和物の0.01重量%(又は約0.01重量%)~99.98重量%(又は約99.98重量%)、あるいは任意に10重量%(又は約10重量%)~90重量%(又は約90重量%)、あるいは任意に20重量%(又は約20重量%)~70重量%(又は約70重量%)、あるいは任意に25重量%(又は約25重量%)~50重量%(又は約50重量%)、あるいは任意に30重量%(又は約30重量%)~40重量%(又は約40重量%)、あるいは任意に約33重量%の量で組成物中に存在する。
【0127】
混和物の酸化防止剤成分
酸化防止剤もまた、前述のように、本発明の混和物の構成成分として存在する。一般に、酸化防止剤は、酸化を防止する、又は酸素若しくは過酸化物によって促進される反応を抑制する物質である。理論によって制限されないが、酸化防止剤、又は任意に脂溶性酸化防止剤は、細胞膜に吸収されて酸素ラジカルを中和し、それによって酸化的損傷から毛嚢を保護することができると考えられている。特定の実施形態において、酸化防止剤成分は、リコピン、ルテイン、レチナール及び3,4-ジデヒドロレチナールなどのビタミンAの全ての形態、α-カロチン、β-カロチン(β,β-カロチン)、γ-カロチン、δ-カロチンなどのカロチンの全ての形態、ビタミンC(D-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸)の全ての形態、ビタミンE(α-トコフェロール、3,4-ジヒドロ-2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)-2H-1-ベンゾピラン-6-オール)、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、δ-トコフェロール、トコキノン、トコトリエノールなどのトコフェロールの全ての形態、及び酢酸ビタミンE及びコハク酸ビタミンEなどの容易に加水分解されてビタミンEになるビタミンEエステル、並びにリン酸ビタミンEなどのビタミンE塩、ビタミンA、カロチン、ビタミンC及びビタミンEのプロドラッグ、ビタミンA、カロチン、ビタミンC及びビタミンEの塩など、フラボノイド、並びにこれらの混合物からからなる群から選択され得る。本発明において有用なフラボノイドは、参照により本明細書に組み込まれる、Bissettに付与された米国特許第6,051,602号に見出すことができる。他の実施形態において、酸化防止剤は、ビタミンA、β-カロチン、トコフェロール、及びこれらの混合物からなる脂溶性酸化防止剤の群から選択される。更に他の実施形態において、酸化防止剤は、トコフェロールビタミンE又は酢酸ビタミンEである。更に他の実施形態において、酸化防止剤は、レスベラトロル又はエピガロカテキン没食子酸塩などのポリフェノールである。
【0128】
特定の実施形態において、酸化防止剤成分は、混和物の0.01重量%(又は約0.01重量%)~99.98重量%(又は約99.98重量%)、あるいは任意に10重量%(又は約10重量%)~90重量%(又は約90重量%)、あるいは任意に20重量%(又は約20重量%)~70重量%(又は約70重量%)、あるいは任意に25重量%(又は約25重量%)~50重量%(又は約50重量%)、あるいは任意に30重量%(又は約30重量%)~40重量%(又は約40重量%)、あるいは任意に約33%の量で組成物中に存在する。
【0129】
混和物の脂肪酸混合物成分又は脂肪酸混合物の供給源成分
本発明の混和物はまた、容易に入手可能な栄養源を毛嚢に提供するのに有用である、遊離又は結合している、飽和及び不飽和脂肪酸の混合物、又はこのような飽和及び不飽和脂肪酸の供給源もこれらの成分として含有する。
【0130】
飽和及び不飽和脂肪酸の好適な混合物は、動物性及び植物性脂肪及びワックス、哺乳類又は魚の卵物質、本発明の組成物に有用である飽和及び不飽和脂肪酸のプロドラッグ、並びにこれらの混合物から誘導され得る。脂肪酸混合物中の脂肪酸は、モノ-、ジ-、若しくはトリグリセリド、又は遊離脂肪酸、あるいはこれらの混合物の形態であり得る。
【0131】
一実施形態において、飽和及び不飽和脂肪酸の脂肪酸混合物は、ヒトの脂肪の組成と同様の組成を有し、以下の脂肪酸を含む:酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ジホモリノール酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸及びガドレイン酸。典型的には、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、及びガドレイン酸は、それぞれ、およそ以下の重量百分率で混合物中に存在する:約0.2%~0.4%の酪酸、約0.1%のカプロン酸、約0.3%~0.8%のカプリル酸、約2.2%~3.5%のカプリン酸、約0.9%~5.5%のラウリン酸、約2.8%~8.5%のミリスチン酸、約0.1%~0.6%のミリストレイン酸、約23.2%~24.6%のパルミチン酸、約1.8%~3.0%のパルミトレイン酸、約6.9%~9.9%のステアリン酸、約36.0%~36.5%のオレイン酸、約20%~20.6%のリノール酸、約7.5~7.8%のリノレン酸、約1.1%~4.9%のアラキジン酸、約2%~3%のジホモリノレイン酸、約7%~9%のアラキドン酸、約3%~4%のベヘン酸、約11%~13%のリグノセリン酸、及び約3.3%~6.4%のガドレイン酸。
【0132】
別の実施形態において、飽和及び不飽和脂肪酸の脂肪酸混合物は、ニワトリの脂肪と同様の組成を有し、以下の脂肪酸を含む:ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、及びガドレイン酸。任意に、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、及びガドレイン酸は、それぞれ、およそ以下の重量百分率で混合物中に存在する:約0.1%のラウリン酸、約0.8%のミリスチン酸、約0.2%のミリストレイン酸、約0.1%のペンタデカン酸、約25.3%のパルミチン酸、約7.2%のパルミトレイン酸、約0.1%のマルガリン酸、約0.1%のヘプタデセン酸、約6.5%のステアリン酸、約37.7%のオレイン酸、約20.6%のリノール酸、約0.8%のリノレン酸、約0.2%のアラキジン酸、及び約0.3%のガドレイン酸。
【0133】
他の特定の実施形態において、飽和及び不飽和脂肪酸の脂肪酸混合物は、レシチンと同様の組成を有する。レシチン(ホスファチジルコリン)は、全ての生きている生物(植物及び動物)において見出されるホスファチドであり、神経組織及び脳内物質の重要な成分である。レシチンは、リン酸のコリンエステルに結合した、ステアリン酸、パルミチン酸、及びオレイン酸のジグリセリドの混合物である。商業製品は、主として、大豆油の製造において副産物として得られる大豆レシチンである。大豆レシチンは、重量でパルミチン酸11.7%、ステアリン酸4.0%、パルミトレイン酸8.6%、オレイン酸9.8%、リノール酸55.0%、リノレン酸4.0%、C20~C22酸(アラキドン酸を含む)5.5%を含有する。レシチンは、式C8H17O5NR9R10(式中、R9及びR10はそれぞれ、独立して、ステアリン酸、パルミチン酸及びオレイン酸からなる群から選択される)により表され得る。
【0134】
他の特定の実施形態において、飽和及び不飽和脂肪酸の脂肪酸混合物は、卵黄と同様の組成を有する。卵黄中の最も一般的な脂肪酸混合物の組成物(重量で)は、次の重量に分けることができる:
A.オレイン酸(約47%)、リノール酸(約16%)、パルミトレイン酸(約5%)、及びリノレン酸(約2%)などの不飽和脂肪酸、並びに
B.パルミチン酸(約23%)、ステアリン酸(約4%)、及びミリスチン酸(約1%)などの飽和脂肪酸。
【0135】
卵黄はまた、レシチンの供給源でもある。
【0136】
上記脂肪酸混合物(又は脂肪酸混合物の供給源)及び様々な脂肪酸混合物(又はその供給源)中に存在する脂肪酸の割合は、一例として示されている。脂肪酸混合物(又は混合物の供給源)中に存在する脂肪酸の正確な種類及び脂肪酸混合物(又は混合物の供給源)中で用いられる脂肪酸の正確な量は、最終製品で望まれる結果が得られるように変えることができ、このような変更は、過度の実験を必要とすることなく当業者の能力の範囲内である。
【0137】
本発明の特定の実施形態において、脂肪酸混合物又は脂肪酸混合物の供給源は、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ガドレイン酸、ペンタデカン酸、マルガリン酸、マルガロレイン酸、ベヘン酸、ジホモリノレイン酸、アラキドン酸、及びリグノセリン酸からなる群から選択されるがこれらに限定されない、少なくとも7種、任意に少なくとも14種、及び任意に少なくとも22種の不飽和又は飽和脂肪酸を含む。他の有用な脂肪酸は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,874,794号(Adachiら)に見出すことができる。
【0138】
特定の実施形態において、混合物中の脂肪酸混合物は、油混合物から得られるか又は供給される。例えば、綿実油は、多価不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸とを2:1の比で有する。その脂肪酸プロフィールは、一般に、18%の単不飽和(オレイン酸の)脂肪酸と、52%の多価不飽和(リノール酸の)脂肪酸とを含む、70%の不飽和脂肪酸と、26%の飽和(主としてパルミチン酸及びステアリン酸の)脂肪酸とからなる。より詳細には、綿実油は、それぞれ、およそ以下の重量百分率で混合物中に存在する脂肪酸を有する:約0.5~2.0%のミリスチン酸、約17.0~29.0%のパルミチン酸、約1.5%未満のパルミトレイン酸、約1.0~4.0%のステアリン酸、約13.0~44.0%のオレイン酸、約40.0~63.0%のリノール酸、及び約0.1~2.1%のリノレン酸。
【0139】
ココアバターは、それぞれ、およそ以下の重量百分率で混合物中に存在する脂肪酸を有する:少なくとも約0.1%のミリスチン酸、約0.5~26.3%のパルミチン酸、少なくとも約0.4%のパルミトレイン酸、約0.5~33.8%のステアリン酸、約0.5~34.4%のオレイン酸、及び約0.5~3.1%のリノール酸。
【0140】
オリーブ油は、それぞれ、一研究において、およそ以下の重量百分率で混合物中に存在する脂肪酸を有することが決定された:約0.5~9.0%のパルミチン酸、少なくとも約0.4%のパルミトレイン酸、約0.5~2.7%のステアリン酸、約0.5~80.3%のオレイン酸、約0.5~6.3%のリノール酸、及び約0.5~0.7%のリノレン酸。
【0141】
脂肪酸混合物の供給源としての使用に好適な油として、バオバブ(Adansonla digitata)油、アプリコット(Prunus armeniaca)核油、アルガニアスピノサ油、アルゲモンメキシカーナ油、アボカド(Persea gratissima)油、ババス(Orbignya olelfera)油、バームミント(Melissa officinalis)種子油、ビターアーモンド(Prunus amygdalus amara)油、ビターチェリー(Prunus cerasus)油、ブラックカラント(Ribes nigrum)油、ルリヂサ(Borago officinalis)種子油、ブラジル(Bertholletia excelsa)ナッツ油、ゴボウ(Arctium lappa)種子油、バター、カロフィラムタカマハカ油、カメリアキッシ油、カメリアオレイフェラ種子油、キャノーラ油、ヒメウイキョウ(Carum carvi)種子油、ニンジン(Daucus carota sativa)油、カシュー(Anacardium occidentale)ナッツ油、ヒマシ油ベンゾエート、ヒマシ(Ricinus communis)油、セファリンズ、ダイフウシノキ(Taraktogenos kurzii)油、チーア(Salvia hispanica)油、ココア(Theobrama cocao)バター、ココナッツ(Cocos nucifera)油、タラ肝油、コーヒー(Coffea arabica)油、コーン(Zea mays)胚芽油、コーン(Zea mays)油、綿実(Gossypium)油、キュウリ(Cucumis sativus)油、ドッグローズ(Rosa canina)ヒップ油、卵油、エミュー油、エポキシ化大豆油、月見草(Oenothera biennis)油、魚肝油、ゲブイナアベラナ油、ゴートバター、ブドウ(Vitis vinifera)種子油、へーゼル(Croylus americana)ナッツ油、へーゼル(Corylus aveilana)ナッツ油、ヒト胎盤脂質、ハイブリッドベニバナ(Carthamus tinctorius)油、ハイブリッドひまわり(Helianthus annuus)種子油、ホソバタイセイ油、ジュズダマ(Coix lacryma-jobi)油、ホホバ油、キーウィ(Actinidia chinensis)種子油、ククイ(Aleurites moluccana)ナッツ油、ラード、亜麻仁(Linum usitatissiumum)油、ルーピン(Lupinus albus)油、マカダミアナッツ油、マカデミアターニフォリア種子油、マカデミアインテグリフォリア種子油、マレイン化大豆油、マンゴー(Mangifera Indica)種子油、マーモット油、メドウフォーム(Limnanthes fragraalba)種子油、メンハーデン油、乳脂質、ミンク油、ワサビノキ(moringa pterygosperma)油、モルティエラ油、ジャコウバラ(Rosa moschata)種子油、牛脚油、インドセンダン(Melia azadirachta)種子油、オート麦(Avena sativa)核油、オリーブ(Olea europaea)殻油、オリーブ(Olea europaea)油、大網脂質、オレンジラフィー油、ダチョウ油、酸化トウモロコシ油、パーム(Elaeis guineensis)核油、パーム(Elaeis guineensis)油、トウケイソウ(Passiflora edulis)油、杏(Prunus persica)核油、ラッカセイ(Arachis hypogaea)油、ペカン(Caiya illinoensis)油、タカワラビ(Cibotium barometz)油、ピスタチオ(Pistacia vera)ナッツ油、胎盤脂質、ケシ(Papaver orientale)油、カボチャ(Cucurbita pepo)種子油、キノア(Chenopodium quinoa)油、菜種(Brassica campestris)油、米(Oryza sativa)ぬか油、米(Oryza sativa)胚芽油、ベニバナ(Carthamus tinctorius)油、サーモン油、ビャクダン(Santalum album)種子油、沙棘(Hippophae rhamnoides)油、ゴマ(Sesamum indicum)油、サメ肝油、シアバター(Butyrospermum parkii)、カイコ脂質、皮膚脂質、大豆(Glycine soja)油、大豆脂質、スフィンゴ脂質、ヒマワリ(Helianthus annuus)種子油、甘扁桃(Prunus amygdalus dulcis)油、セイヨウミザクラ(Prunus avium)ピット油、ターリ油、獣脂、ティートリー(Melaleuca alternifolia)油、テルファリアペダータ油、トマト(Solanum lycopersicum)油、トリコデスマゼイラニカム油、マグロ油、植物油、クルミ(Juglans regia)油、ふすま脂質、及び小麦(Triticum vulgare)麦芽油、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
特定の実施形態において、油は、混和物の0.01重量%(又は約0.01重量%)~99.98重量%(又は約99.98重量%)、あるいは任意に10重量%(又は約10重量%)~90重量%(又は約90重量%)、あるいは任意に20重量%(又は約20重量%)~70重量%(又は約70重量%)、あるいは任意に25重量%(又は約25重量%)~50重量%(又は約50重量%)、あるいは任意に30重量%(又は約30重量%)~40重量%(又は約40重量%)、あるいは任意に約33重量%の総量で、本発明の組成物中に存在する。
【0143】
特定の実施形態において、脂肪酸混合物の供給源として使用される油混合物は、以下の脂肪酸組成物を提供するように選択される油から形成される:0.3%(又は約0.3%)のミリスチン酸、19%(又は約19%)のパルミチン酸、0.5%(又は約0.5%)のパルミトレイン酸、13%(又は約13%)のステアリン酸、44.4%(又は約44.4%)のオレイン酸、21.3%(又は約21.3%)のリノール酸、及び0.5%(又は約0.5%)のリノレン酸。特定の実施形態において、脂肪酸混合物の供給源として使用される油混合物は、カカオバター、オリーブ油、綿実油、及びこれらの混合物からなる群から選択される油から形成される。
【0144】
特定の実施形態において、脂肪酸混合物又は脂肪酸混合物の供給源は、混和物の0.01重量%(又は約0.01重量%)~99.98重量%(又は約99.98重量%)、あるいは任意に10重量%(又は約10重量%)~90重量%(又は約90重量%)、あるいは任意に20重量%(又は約20重量%)~70重量%(又は約70重量%)、あるいは任意に25重量%(又は約25重量%)~50重量%(又は約50重量%)、あるいは任意に30重量%(又は約30重量%)~40重量%(又は約40重量%)、あるいは任意に約33重量%の量で本発明の組成物中に存在する。
【0145】
特定の実施形態において、酸成分と脂肪酸混合物成分との重量比は、0.01:1(又は約0.01:1)~1:0.01(又は約1:0.01)、任意に1:1(又は約1:1)~1:0.1(又は約1:0.1)、任意に1:1(又は約1:1)~1:0.5(又は約1:0.5)、あるいは任意に1:1(又は約1:1)である。
【0146】
特定の実施形態では、脂肪酸混合物成分と酸化防止剤成分との重量比は、0.01:1(又は約0.01:1)~1:0.01(又は約1:0.01)、任意に1:1(又は約1:1)~1:0.1(又は約1:0.1)、任意に1:1(又は約1:1)~1:0.5(又は約1:0.5)である。
【0147】
特定の実施形態では、ピルビン酸成分又は脂肪酸混合物成分と酸化防止剤成分との重量比は、1:1(又は約1:1)~1:0.01(又は約1:0.01)である。
【0148】
粘度調整剤
特定の実施形態において、本発明の組成物は、粘度調整剤を更に含む。有用な粘度調整剤は、本発明の組成物にずり減粘特性も付与する。好適な粘度増強剤には、
(a)カチオン性ポリマー(例えば第四級アンモニウム化合物、ポリクオタニウム化合物、及びクオタニウムシリコーン化合物)と、アニオン性ポリマー(例えばカルボキシメチルセルロース(CMC))とを含む、イオン性ポリマーが挙げられる(又は次のものから選択される[又は次のものからなる群から選択される])が、これらに限定されない。
【0149】
好適な第四級アンモニウム化合物の例としては、ポリクオタニウム化合物、ジステアリルジモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムクロリド、ジオレイルエチルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジオレイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジリノールアミドプロピルジモニウムクロリド、ジオレイルエチルヒドロキシエチルモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルジモニウムクロリド、ココジモニウムヒドロキシプロピロキシエチルセルロース、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピロキシエチルセルロース、ステアリルジモニウムヒドロキシエチルセルロース、ステアリルジモニウムヒドロキシプロピルオキシエチルセルロース、クオタニウムタンパク質(例えば、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コラーゲン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ステアリルトリモニウムヒドロキシエチル加水分解コラーゲン、ステアリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解コラーゲン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解毛髪ケラチン、ココジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウムゼラチン、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解カゼイン)、第四級澱粉(例えば、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解小麦澱粉、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解コーン(トウモロコシ)澱粉、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ジャガイモ澱粉、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解アミロペクチン)、クオタニウム-33(第四級ラノリン)、第四級グアー誘導体(例えば、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド)、第四級天然及び植物由来活性物質(糖誘導体)(例えばコリン)、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
好適なポリクオタニウム化合物としては、ポリクオタニウム6、ポリクオタニウム7(ジアリルメチルアンモニウムクロリドの共重合体)、ポリクオタニウム10(四級化ヒドロキシエチルセルロースポリマー)、ポリクオタニウム11、ポリクオタニウム16、ポリクオタニウム22、ポリクオタニウム28、ポリクオタニウム29(第四級キトサン)、ポリクオタニウム37、ポリクオタニウム42、ポリクオタニウム44、ポリクオタニウム50、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。市販例としては、AmercholのPolymer JRタイプ(例えばポリクオタニウム10)、BASFのCosmedia Ultra 300又はCosmedia SP(ポリクオタニウム37)、又は、Ashlandの、商品名N-Hance及びAquatCatのカチオン性グアーガム(グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドとして知られる)が挙げられる。
【0151】
カチオン性ポリマーは更に、米国特許第5472689号及び同第5747016号に記述されているオルガノポリシロキサンとポリエチルオキサゾリンのグラフトポリマーの四級化生成物を更に含んでもよく、これらの特許は両方とも参照により本明細書に組み込まれる。
【0152】
カルボキシメチルセルロースに加えて、アニオン性ポリマーとしては、カルボキシメチルモノマーのホモポリマー及びコポリマー、詳細にはポリアクリル酸、アクリル酸/アクリル酸エチルのコポリマー、アクリル酸/ポリアリルスクロースのコポリマーなどの(メタ)アクリル酸のホモポリマー及びコポリマー並びにこれらの混合物;
(b)非イオン性ポリマー(例えば、多糖類又は多糖類誘導体などの)、具体的にはセルロース及びその誘導体(例えば、ヒドロキシアルキルセルロースポリマー及びアルキルヒドロキシアルキルセルロースポリマーであって、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セチルヒドロキシエチルセルロース);メチルセルロース及びその誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース誘導体であって、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及びヒドロキシブチルメチルセルロース);天然又は合成のゴム及びこれらの誘導体(特にキサンタンガム、グアーガム、及びペクチン);澱粉及びその誘導体;キチン(例えばキトサン);キシログルカン;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;又はこれらの誘導体、が含まれ得る。
【0153】
非イオン性ポリマーは更に、下記の式を有するポロキサマーを含む:
【0154】
【化8】
式中、「x」は、PEO単位の平均数を表し、約80~約140、任意で約90~約120、又は任意で約95~約110の整数であり;「y」は、PPO単位の平均数を表し、約40~80、又は任意で約50~約70の整数であり;「x」の「y」に対する比は、4:1(又は約4:1)、任意で3:1(又は約3:1)、任意で2.8:1(又は約2.8:1)、任意で2:1(又は約2:1)、あるいは任意で1:1(又は約1:1)以下であるが、「x」の「y」に対する比は、少なくとも2:1(又は約2:1)あるいは任意で3:1(又は約3:1)である。このようなポロキサマーの好適な例を以下に記載する:
【0155】
【0156】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、ポリクオタニウム-37などのカチオン性ポリマーである。このような粘度調整剤は、例えば、商品名Ultragel 300でCognisから、及び商品名SalcareでCibaから市販されている。
【0157】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、カルボキシメチルセルロースなどのアニオン性ポリマーである。このような粘度調整剤は、例えば、商品名FinnFixでCP Kelcoから、又は商品名Walocel(商標)でDow Chemicalから市販されている。
【0158】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、ポロキサマーなどの非イオン性ポリマーである。このような粘度調整剤は、例えば、商品名PluronicでBASFから市販されている。
【0159】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの非イオン性ポリマーである。このような粘度調整剤は、例えば、商標名Methocel E10M premium CR HPMCでDow Chemicalから市販されている。
【0160】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、ポリクオタニウム37、ポリクオタニウム7、ポリクオタニウム4、ポリクオタニウム10などのカチオン性ポリマー、カルボキシメチルセルロースなどのアニオン性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポロキサマー407などの非イオン性ポリマー、又はこれらの混合物から選択される(又はこれらからなる群から選択される)が、これらに限定されない。
【0161】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、本明細書に記載の非イオン性ポリマーと、本明細書に記載のカチオン性ポリマー及びアニオン性ポリマーを含むイオン性ポリマーとの混合物である。
【0162】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、ポリクオタニウム37、ポリクオタニウム7、ポリクオタニウム4、ポリクオタニウム10などのカチオン性ポリマー、カルボキシメチルセルロースなどのアニオン性ポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポロキサマー407などの非イオン性ポリマー、又はこれらの混合物から選択される(又はこれらからなる群から選択される)が、これらに限定されない2つ又は3つ以上のポリマーの混合物である。
【0163】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及びポロキサマー407のうちの2つ又は3つ以上の混合物である。
【0164】
粘度調整剤は、組成物を頭皮及び/又は毛髪に適用するときに、その組成物が液体のように頭皮又は毛髪の繊維から容易に垂れ落ちることがないような、また処置又は適用期間中に繊維をまとめることができるような粘度を、本発明の組成物に提供するのに十分な量で利用される。
【0165】
同時に、本発明の組成物の粘度は、均一に毛髪繊維に広げるか又は適用するのが容易であり、並びに毛髪を容易にくしで梳くのを可能にするようになっている。
【0166】
粘度調整剤は、組成物全体の約0.1重量%~約10.0重量%、任意に約0.5重量%~約5.0重量%、又は任意に約1.0重量%~5.0重量%の範囲の濃度で使用され得る。
【0167】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、Brookfield RV(スピンドル4、温度平衡25℃±1℃後1分で速度6RPM)を用いて測定すると、約50cps~約30000cps、任意に約100cps~約15000cps、又は任意に約500cps~約10000cpsの粘度を有する。
【0168】
特定の実施形態では、本発明の組成物は、Brookfield RV(スピンドル4、温度平衡25℃±1℃後1分で速度6RPM)を用いて測定すると、約10000cps以下、又は任意に約50cps~約8000cps、任意に約100cps~約6000cpsの粘度を有する。
【0169】
特定の実施形態において、この組成物は、約5重量%~約65重量%、任意に約10重量%~約60重量%、又は任意に約15重量%~約35重量%のアルコール(本明細書に記述されるように、特定の実施形態ではエタノール)と、約0~約40重量%、任意に約5重量%~約30重量%、あるいは任意に約10重量%~約20重量%のグリコール(例えばプロピレングリコール又はペンチレングリコール)と、約0.1~約20重量%、任意に約0.5重量%~約5重量%、又は任意に約1重量%~約3重量%の、カルボン酸のC8~C24アルコールエステル(本明細書に記述されるように、特定の実施形態では、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、又はこれらの混合物)と、約1重量%~約15重量%、任意に約2重量%~約10重量%、あるいは任意に約2重量%~約5重量%のミノキシジル(又は薬理学的に許容されるその酸付加塩)と、を含み、30℃超及び5℃未満の両方の温度でのこの組成物の貯蔵安定性は、非イオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロースと高分子量カルボキシメチルセルロースとを、非イオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロースの高分子量カルボキシメチルセルロースに対する比が1:1(又は約1:1)、任意に3:1(又は約3:1)を超える比で含む粘度調整剤を組み込むことにより達成することができる。特定の実施形態では、非イオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロースの高分子量カルボキシメチルセルロースに対する比は、10:1(又は約10:1)以下であり、このとき、非イオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロースと高分子量カルボキシメチルセルロースとの合計濃度は、総組成物に対して0.5重量%(又は約0.5重量%)~3重量%(又は約3重量%)、任意に0.85重量%(又は約0.85重量%)~1.25重量%(又は約1.25重量%)である。
【0170】
あるいは、この組成物が、約5重量%~約30重量%、任意に約10重量%~約25重量%、又は任意に約15重量%~約25重量%のアルコール(本明細書に記述されるものであり、特定の実施形態ではエタノール)と、約0~約40重量%、任意に約5重量%~約30重量%、又は任意に約10重量%~約20重量%のグリコール(例えばプロピレングリコール又はペンチレングリコール)と、約0.1~約10重量%、任意に約0.5重量%~約5重量%、又は任意に約1重量%~約3重量%の、カルボン酸のC8~C24アルコールエステル(本明細書に記述されるもの)と、約1重量%~約15重量%、任意に約2重量%~約10重量%、又は任意に約2重量%~約5重量%のミノキシジル(又は薬理学的に許容されるその酸付加塩)と、を含むとき、30℃超及び5℃未満の両方の温度で組成物の貯蔵安定性は、カルボン酸のC8~C24アルコールエステルとしてC12~C15乳酸アルキルと、少なくとも1つのセルロース又はセルロース誘導体(上述のアニオン性カルボキシメチルセルロース及び非イオン性セルロースを含む)とを組み合わせた混合物を組み込むことによって、達成することができる。特定の実施形態において、組成物に対して0.1重量%(又は約0.1重量%)~20重量%(又は約20重量%)、任意に0.5重量%(又は約0.5重量%)~15重量%(又は約15重量%)、あるいは任意に1重量%(又は約1重量%)~5重量%(又は約5重量%)のC12~C15乳酸アルキルの混合物が、組成物に対して0.01重量%(又は約0.01重量%)~5重量%(又は約5重量%)、あるいは任意に0.1重量%(又は約0.1重量%)~4重量%(又は約4重量%)、任意に1重量%(又は約1重量%)~3重量%(又は約3重量%)、あるいは任意に0.5重量%(又は約0.5重量%)~2重量%(又は約2重量%)の、少なくとも1つのセルロース又はセルロース誘導体と共に組み込まれる。
【0171】
理論に限定されるものではないが、約0.1重量%~約20重量%(任意に約0.5重量%~約15重量%、又は任意に約1重量%~約10重量%)の、式I又はIIの育毛又は発毛化合物の薬学的に許容される付加塩(特定の実施形態において、ミノキシジルの薬学的に許容される付加塩)と、約0.5重量%~約10重量%(任意に、約2重量%~約7.5重量%)の油相又は油性化合物と、約0~約25重量%(任意に約1重量%~約25重量%、又は任意に約5重量%~約20重量%)のC2~C4アルコール(任意にエタノール)とを含む、本発明の組成物の実施形態は、全体的に、貯蔵安定性を達成する困難さを高める。本発明者らは、所定の非イオン性ポリマーと所定のイオン性ポリマーとを、所定の比でかつ総組成物の重量に対する所定の合計濃度で含む粘度調整剤を、組み込むことにより、あるいは、少なくとも1つのセルロース又はセルロース誘導体(上述のアニオン性カルボキシメチルセルロース及び非イオン性セルロースを含む)と組み合わせて、カルボン酸のC8~C24アルコールエステルとしてC12~C15乳酸アルキルの混合物を組み込むことにより、保存安定性が促進されることを発見した。
【0172】
用語「油相」又は「油性相」は、水性液体と混和しない(すなわち非水溶性の)非極性液相を意味する。特定の実施形態において、油相は少なくとも1つの油性化合物、例えばカルボン酸のC8~C24アルコールエステル(例えば、乳酸セチル、乳酸ミリスチル)、及び任意に、ステアレス-10などの長鎖脂肪酸を含む。油相中に含まれ得る他の成分は、揮発性油及び非揮発性油である。本明細書で使用するとき、用語「油性」は、疎水性でかつ水と非混和性であることを意味する。
【0173】
用語「高分子量カルボキシメチルセルロース」は、i.)カルボキシメチル置換度(C.M.D.S.)(セルロース分子の繰り返しアンヒドログルコース鎖単位あたりのイオン化可能なカルボキシメチルエーテル基の平均数)が、0.4(又は約0.4)~1.5(又は約1.5)、任意に0.6(又は約0.6)~0.9(又は約0.9)、又は任意に0.7(又は約0.7)であり、ii.)平均重合度が約2000~約4000、任意に約2500~約3500、又は任意に3200(又は約3200)であり、かつ、iii)重量平均分子量が約600,000~約800,000、任意に約650,000~約750,000、任意に約675,000~約730,000である、カルボキシメチルセルロースを意味する。好適な高分子量カルボキシメチルセルロースは、Ashland(Wilmington,DE)から、商標名Aqualon(登録商標)CMC 7HF、Aqualon(登録商標)CMC-7H4、Aqualon(登録商標)CMC-7H3S、Aqualon(登録商標)CMC-7HOF、及びAqualon(登録商標)CMC-7Hとして供給される。特定の実施形態では、高分子量カルボキシメチルセルロースは、Aqualon(登録商標)CMC 7HFである。
【0174】
本発明の組成物に関して言及する場合、用語「貯蔵安定性の」又は「貯蔵安定性」は、組成物(例えば溶液、エマルション、又はマイクロエマルション)が、標準的な実験室用炉(例えば、Fisher Scientific Isotemp Oven、モデル655F(Wadesboro,North Carolina,USA)において40℃の一定温度で少なくとも1週間、任意に少なくとも7週間にわたって、更に標準的な実験用冷蔵庫(例えば、VWR冷蔵庫、モデルR411GA16、Kendro Laboratory Products(Asheville,NC,USA)製造)において5℃の一定温度で少なくとも3日間、密封された気密のガラス容器内に貯蔵した後に、目視検査により、均質及び均一であり、かつ2つ以上の別個の相に分離していないことを意味する。上記のような40℃及び5℃での組成物の貯蔵は、別々に又は逐次的に行うことができる。貯蔵が密封されたガラス容器中で行われており、この容器の壁及び密封は水蒸気を透過しないため、この貯蔵中に相対湿度は制御していない。
【0175】
ICH Harmonized Tripartite Guideline「Stability Testing of New Drug Substances and Products Q1A(R2)」によれば、一定期間25℃で貯蔵することは、5℃ではその期間の2倍、製剤又は治療薬が安定することを示す。Drug Stability,Principles and Practices,Third Edition,Jens T.Cartensen,Chris T.Rhodes,published by Marcel Dekkerも参照のこと。分解動態に関するアレニウス依存性を想定して、温度が10℃増加すると、貯蔵の有効期間が約2倍に加速される。このため、ICHガイドラインは、40℃での13週間は、室温(25℃)での2年間に相当すると推定している。よってこの換算により、40℃及び相対湿度60%での13週間貯蔵は、25℃での配合物の2年間貯蔵寿命と同様である。
【0176】
特定の実施形態において、粘度調整剤は、本発明の組成物にずり減粘特性も付与する。ずり減粘とは、レオロジーにおいて使用される用語であり、剪断歪を受けた場合に粘度が低下した非ニュートン性流体を表す。本明細書で使用するとき、本発明の組成物の「ずり減粘粘度」とは、ずり応力の適用時に(例えば、組成物の製造又は流通/適用中の、ポンプによる吸い上げ又は注入、分注から)、組成物の粘度が変化し、粘性が弱まり水のように流動するような組成物の擬塑性状の特性を表す。本明細書で使用するとき、「降伏応力値」とは、組成物の流動が開始する前に必要なずり応力の最小量(組成物のポンプによる吸い上げ、注入若しくは他の流通/適用による適用の結果としてなど)、又はあるいは、組成物の粘性弾性率G’’が貯蔵弾性率G’より大きくなる点を表す。特定の実施形態において、本発明の組成物は、この組成物が哺乳動物の皮膚、例えば頭皮に適用されたとき、適用動作(例えば、指又はローラ-若しくはスポイトなどのアプリケータ、又はブラシのいずれか)により生み出されたずりにより、組成物が処置表面にわたり均等に薄く広がることが可能となるようなずり減粘粘度及び降伏応力値を有する。いったん適用されると、組成物は頭皮又は顔上での垂れ及び流れを回避する、より高い粘度を取り戻す。
【0177】
本発明の組成物のずり減粘特性は、組成物のずり減粘指数(以下に記載)という用語でも記載され得る。
【0178】
ずり減粘測定手順
レオロジー測定を実施した(TA Instruments ARES G2 Rheometer)。1rad/sで歪掃引を実施することにより降伏応力値を測定し、振動性応力の増加時に、粘性弾性率G’’が貯蔵弾性率G’より大きくなる点として降伏応力値を捉えた。線形粘弾性域内における応力で、100~0.1rad/sで周波数掃引を実施した。剪断速度を0.1~1000s-1でステップさせ、各点においてトルクが一定値に到達することを可能にすることにより、流動曲線ステップを実施した。
【0179】
【数1】
式中、第1粘度は1s
-1の第1剪断速度から得られた測定値であり、第2粘度は450s
-1の第2剪断速度から得られた測定値である。
【0180】
実施例1の組成物に関する上述のレオロジー特性を、以下のように決定した:
【0181】
【0182】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、1s-1の剪断速度で、約0.1Pa.s~約15Pa.s、又は任意に約1Pa.s~約10Pa.sの粘度を有する。
【0183】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、450s-1の剪断速度で、約0.01Pa.s~約1Pa.s、又は任意に約0.1Pa.s~約0.5Pa.sの粘度を有する。
【0184】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、約0.01Pa.s~約5Pa.s、任意に約0.1Pa.s~約2.0Pa.s、又は任意に約0.1Pa.s~約0.95Pa.sの降伏応力値を有する。
【0185】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、10以上、任意に20以上、任意に約10~約500、任意に約20~約100、又は任意に約20~約50のずり減粘指数を有する。
【0186】
追加の薬学的に許容される局所用担体
特定の実施形態において、一価アルコール、二価アルコール及び水に加えて、本発明の薬学的に許容される局所用担体は、育毛化合物用の1つ又は2つ以上の可溶化剤を含む。好適な可溶化剤として、水、C1~C3アルコール(メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなど)、1-ブタノールなどのn-ブタノール、n-ヘキサンノール、2-エチル-1-ヘキサノール、多価アルコール(エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール[例えば、ポリエチレングリコール200(PEG 200)、ポリエチレングリコール400(PEG 400)]、ペンチレングリコール、ブタンジオール異性体、1,5-ペンタンジオール、1,2,6-トリヒドロキシヘキサン、1,2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、1,7-ヘパタンジオール、又はグリセリンなど);例えば、1-メトキシ-2-プロパノール、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール又はジプロピレングリコールなどのエーテルアルコール;キシレン、クロロベンゼン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル又は酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールエチルエーテル及び酢酸ジエチレングリコールブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、1-メトキシプロピル-2-酢酸、3-メトキシ-n-ブチル酢酸、プロピレングリコール二酢酸、N-メチルピロリドン及びN-メチルカプロラクタム、コハク酸トコフェリルポリエチレングリコール(TPGS)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)、カプリル-カプロイルマクロゴール8-グリセリド(Labrasol)などの可溶化剤又は上述の可溶化剤の任意の混合物を含むが、これらに限定されない一価又は多価の単純アルコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
特定の実施形態において、本発明の可溶化剤は、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノールなどの1つ又は2つ以上のC1~C3アルコール;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンチレングリコール、グリセリンなどの1つ又は2つ以上の多価アルコール;酢酸エチル及びこれらの混合物から選択される。特定の実施形態において、本発明の可溶化剤は、エタノール、イソプロパノール、ペンチレングリコール、プロピレングリコール、酢酸エチル、ポリエチレングリコール及びこれらの混合物を含む。C1~C3アルコール又は多価アルコールは、上述の一価アルコール及び二価アルコールと同じ又は異なるものである。
【0188】
特定の実施形態において、一価アルコールと二価アルコールの合計量が、総組成物の20重量%(又は約20%)超、任意に30重量%(又は約30%)超、任意に35重量%(又は約35%)超、任意に40重量%(又は約40%)超、任意に50重量%(又は約50%)超のままである限り、1つ又は2つ以上の可溶化剤は、総組成物の約0.1重量%~約60重量%、任意に、約0.1重量%~約50重量%、又は任意に、約0.1重量%~約40重量%の量で組成物中に存在する。
【0189】
特定の実施形態において、一価アルコールと二価アルコールの合計量が、総組成物の20重量%(又は約20%)超、任意に30重量%(又は約30%)超、任意に35重量%(又は約35%)超、任意に40重量%(又は約40%)超、任意に50重量%(又は約50%)超のままである限り、1つ又は2つ以上のC1~C3アルコールは、総組成物の約0.1重量%~約40重量%、任意に、約1重量%~約30重量%、又は任意に、約10重量%~約25重量%の量で組成物中に存在する。
【0190】
特定の実施形態において、一価アルコールと二価アルコールの合計量が、総組成物の20重量%(又は約20%)超、任意に30重量%(又は約30%)超、任意に35重量%(又は約35%)超、任意に40重量%(又は約40%)超、任意に50重量%(又は約50%)超のままである限り、1つ又は2つ以上の多価アルコールは、総組成物の約0.1重量%~約40重量%、任意に、約1重量%~約30重量%、又は任意に、約5重量%~約25重量%の量で組成物中に存在する。
【0191】
特定の実施形態では、本育毛化合物は、ミノキシジル(及び式I、IIの他の化合物)を溶解する1つ又は2つ以上の可溶化酸に溶解するか又は補助成分としてこれを含み、この可溶化酸は例えば、クエン酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、安息香酸、乳酸、酒石酸、バルビツール酸、プロトカテク酸、没食子酸、5-ニトロ-2-フロ酸、α-ケト酸、及びこれらの混合物である。特定の実施形態において、この可溶化酸は、クエン酸、乳酸、α-ケト酸、及びこれらの混合物から選択される。
【0192】
使用する場合、乳酸又は乳酸塩は、乳酸、乳酸の塩、乳酸のプロドラッグ、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。乳酸の塩としては、アルカリ塩及びアルカリ土類塩を挙げることができるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、乳酸塩は、乳酸、乳酸リチウム、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸亜鉛、乳酸マンガンなど、及びこれらの混合物からなる群から選択される。他の実施形態において、乳酸塩は、乳酸、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸マグネシウム、乳酸カルシウム、乳酸亜鉛、乳酸マンガン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。また更なる実施形態において、乳酸塩は乳酸である。追加的に又は代替的に、補助成分の酸としてαケト酸を使用してもよい。特定の実施形態において、αケト酸は、ピルビン酸、ピルビン酸リチウム、ピルビン酸ナトリウム、ピルビン酸カリウム、ピルビン酸マグネシウム、ピルビン酸カルシウム、ピルビン酸亜鉛、ピルビン酸マンガン、ピルビン酸メチル、これらの塩、これらのプロドラッグ、及びこれらの混合物からなる群から選択されるピルビン酸である。
【0193】
本発明の組成物中に存在する場合、1つ又は2つ以上の可溶化酸は、育毛化合物を溶解するのに好適な量で存在する。特定の実施形態において、1つ又は2つ以上の可溶化酸は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、任意に、約0.5重量%~約7.5重量%、又は任意に、約1.0重量%~約5.0重量%の量で組成物中に存在する。
【0194】
特定の実施形態において、本発明の薬学的に許容される局所用担体は、1つ又は2つ以上の乳化剤を含む。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、及び/又はポリマー性であってもよい。好適な乳化剤の例として、パーソナルケア及び化粧用製剤の技術分野などで典型的に確認されているもの、例えば、塩化ジステアリルジモニウムなどのカチオン性乳化剤、ステアレス-2、ステアレス-21、ステアリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリル、レシチン、ステアリン酸グリコール、ステアリン酸グリコールSE、ジステアリン酸グリコールなどの非イオン性乳化剤、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタンなどのソルビタンエステル、セテス-2、PEG-30ジポリヒドロキシステアリン酸、PEG-4ジラウリン酸、ラウレス-4、PEG-7ココ酸グリセリル、ポリソルビン酸85、PEG-100ステアリン酸、PEG-8ラウリン酸、PEG-8オレイン酸、ポリソルビン酸60、ポリソルビン酸80、セテアリルグルコシド、オレス-20、セテス-20、PEG-25水素化カストルオイルステアルアミドMEA、ステアリルアルコール、セチルアルコール;セチルリン酸カリウムなどのアニオン性乳化剤;アクリロイルジメチルタウリン酸/VPコポリマーなどのポリマー性乳化剤など及び任意の上記乳化剤の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0195】
特定の実施形態において、本発明の乳化剤は、ステアレス-2、ステアリン酸グリセリル、ポリソルビン酸60、ポリソルビン酸80、ステアリルアルコール、セチルアルコール及びこれらの混合物からなる群から選択される。特定の実施形態において、本発明の乳化剤は、ステアレス-2、ポリソルビン酸60及びこれらの混合物である。
【0196】
特定の実施形態において、1つ又は2つ以上の乳化剤は、総組成物の約0.1重量%~約15重量%、任意に、約0.1重量%~約10重量%、又は任意に、約0.1重量%~約5重量%の量で組成物中に存在する。
【0197】
他の材料
種々の他の材料もまた、本発明に有用な組成物中に存在してもよい。これらには、保湿剤、タンパク質及びポリペプチド、保存料、アルカリ性剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。本発明の組成物はまた、キレート剤(例えば、EDTA、クエン酸、フィチン酸)及び保存料(例えば、パラベン)を含んでもよい。これに加えて、本明細書で有用な局所用組成物は、従来の化粧用アジュバント、例えば、染料、日焼け止め剤(例えば、二酸化チタン)、顔料、及び香料などを含有し得る。これら及び他の材料のより詳細な考察は、先に組み込まれた米国特許出願公開第2008/0145331号(Bruningら)、並びに参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,658,956号(Martinら)に見出すことができる。
【0198】
上記保存料の混合物もまた、使用することができる。
【0199】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、4.0(又は約4.0)~7.0(又は約7.0)、任意に4.0(又は約4.0)~6.0(又は約6.0)、任意に4.5(又は約4.5)~5.5(又は約5.5)の見かけのpHを有する。特定のすすぎ落とし又は洗い落としの実施形態において、本発明の組成物は、3.0(又は約3.0)~8.0(又は約8.0)、任意に4.0(又は約4.0)~6.0(又は約6.0)の見かけのpHを有する。
【0200】
使用方法
本発明の組成物の局所適用によって哺乳類の育毛の成長期の開始を早める及び/又は皮膚上に硬毛が現れる速度を高めるための、本発明の組成物の使用は、以下に記載されるマウスの研究により判定された。
【0201】
特定の実施形態において、本発明の組成物は、哺乳類又はヒトの身体の所望の領域に、少なくとも11週間、任意に少なくとも9週間、又は任意に少なくとも7週間の間少なくとも1日1回、局所的に適用される必要がある。本発明の育毛メリットは、本発明の組成物の長期投与によって無期限に維持され得る。
【実施例】
【0202】
以下の実施例で示される本発明の組成物は、本発明の組成物の特定の実施形態を示すものであって、本発明を限定するものではない。その他の変更は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、当業者によって実行されることができる。
【0203】
(実施例1)
治療製剤#1(表1)を、従来の混合技術を使用して以下に記載するように調製する。
【0204】
【表4】
1 Symrise(Teterboro、NJ)から供給されるHydrolite5
2 BASF(Florham Park、NJ)から供給されるCosmedia Ultra 300
3 Croda(Edison、NJ)から供給される
4 Ashland Inc.(Covington、KY)から供給される
5 Brookfield RVを使用して測定(スピンドル4、温度平衡25℃±1℃後1分で速度6RPM)
【0205】
治療製剤#1を以下の手順に従って調製する:
(1)オーバーヘッドミキサーを装備した好適な大きさの第1ビーカーにエタノールを添加する。
(2)ペンチレングリコール、グリセリン、クエン酸(該当する場合)及び乳酸をビーカーに添加し、混合物を約2分間混合する。
(3)ミノキシジル及びBHTをビーカーに添加し、約10分間又は溶解するまで撹拌する。
(4)水をゆっくり添加し、混合物を約2分間混合する。
(5)ホットプレート及び磁気撹拌子を装備した別の第2ビーカー内で、ステアレス-10、ステアレス-2、乳酸セチル及び酢酸トコフェラールを予混合して、油相を形成する。
(6)予混合物を約60℃に加熱し、溶解するか又は融解し、かつ油相が均一になるまで磁気撹拌棒で撹拌する。
(7)予混合物を、第1ビーカー内のミノキシジル含有の水相に撹拌しながら添加し、約5分間混合する。
(8)ピルビン酸ナトリウムを、第1ビーカーに添加し、約3分間混合する。
(9)ポリクオタニウム37を第1ビーカーに添加し、第1ビーカー内の混合物を、Silverson L4RTホモジナイザー(Silverson(Birmingham、UK))を使用して7,000rpmで約5分間均質化する。
【0206】
(実施例2)
死亡したヒトの皮膚による、5%ミノキシジル組成物のインビトロでの皮膚浸透性。
【0207】
皮膚浸透性研究により、市販のWalgreenの5%ミノキシジル局所用溶液を比較治療製剤#2として使用した場合と対比して、実施例1の本発明の治療製剤#1に関して、異なる皮膚層へのミノキシジルの浸透性を評価した。Walgreenの5%ミノキシジル局所用溶液のpHは、測定して8.1であった。
【0208】
周知のフランツ拡散セル法(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願第20020006418(A1)号において教示されているとおり)を使用した。フランツセルは、直径0.5cm2及び液体受容器体積5mLを有した。ドナー用区画に磁気撹拌子を加えた。液体受容器を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液で満たした。ドナー用区画内の気泡を除去した。システムは、実験中の液体受容器の均一性を確実とするよう、37℃超で、磁気撹拌器で恒温にした。商業的な組織バンク(Ohio Valley Tissue and Skin Center(Cincinnati、OH)約0.4mmに皮膚採取)からの死体の皮膚試料をガラス製拡散セルに適合するよう切り取り、フランツセルに皮膚を固定した。20マイクロリットルの試験試料を皮膚表面に適用した。試料を、0、1、3及び6時間という計画した時間点において、受容器区画から採集した。
【0209】
研究の最後に、皮膚表面を液体受容器(PBS)の綿製スワブを用いて洗浄した。洗浄後、表皮及び真皮の皮膚全体又は分離した皮膚層のいずれかにて、皮膚抽出を実施した。Watersの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いて、以下に列挙した手順により、受容器区画から、及び皮膚抽出から採集した試料をミノキシジルレベルについて分析した。結果を表2に示す。異なる皮膚層における最終的な平均ミノキシジルレベルを、異なる三連についてマイクログラム(μg)で報告した。ミノキシジルの質量バランス研究も行い、ミノキシジルの回収率は、対照及び本発明の製剤の両方について、95%よりも良好であった。
【0210】
ミノキシジル定量化に関するHPLC手順
HPLCシステム(Waters Alliance(登録商標)HPLCシステム)を使用して、286nmのUV吸収応答を用いてミノキシジルを測定した。Luna 5μM C18(2)250×4.6-mm HPLCカラム(Phenomenex)を使用して、表面洗液、剥がしたテープ、表皮、真皮及び受容器溶液に関して、ミノキシジル被検物質と抽出した試料中の他の不純物とを分離した。移動相は、定組成80%(70:29:1水/メタノール/酢酸-pH3.3):20%メタノールとした。
【0211】
【0212】
局所ミノキシジル送達のための標的組織は、真皮深くに存在している毛嚢(又は毛「根」)であるので、真皮層に浸透し通過したミノキシジルしか毛嚢に到達せず、したがって、実際に重要である。表2の結果により実証されるように、乳酸セチル(又はカルボン酸のC8~C24アルコールエステル)を含有する本発明の治療製剤#1は、比較治療製剤#2と対比して、ヒトの皮膚内のより深くへ、特に皮膚組織内へ、著しく強化されたミノキシジル送達を提供した(すなわち、毛球が位置する場所である真皮内へ約400%)。その上、比較治療製剤#2はかなりの量の2つの周知の皮膚浸透強化剤、すなわち、エタノール(30%)及びプロピレングリコール(50%)を含有するにもかかわらず、本発明の治療製剤#1は、上述の、より高度な透過を提供した(Williams AC1、Barry BW、「Penetration enhancers」Adv Drug Deliv Rev.2004 May 27;56(5):603~18を参照されたい)。本発明の治療製剤#1は、対照的に、20%のエタノールと4%のグリコールのみを含有する。
【0213】
(実施例3)
以下に詳細を記述した本発明の育毛組成物を使用して、マウスの育毛研究を実施をした。
【0214】
手順:
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6419913(B1)号に記載されるものと同様のマウスモデルにおいて、インビボで育毛研究を行った。5匹の雌マウス(C3Hマウス、Charles River Breeding Laboratories(Kingston、NY))を各被験物質に含めた(すなわち、実施例1及び2の本発明の試験製剤及び比較試験製剤)。
【0215】
C3Hマウスにおける成長期の開始促進を決定するために、6~7週齢のC3H雌マウスをTaconic Farms(Germantown、N.Y.)から購入した。C3Hマウスの毛髪成長周期は、同様の成長期、退行期、及び休止期を有する。(Miyamoto I.;Hamada K.、Journal of Dermatological Science,Volume 10,Number 1,July 1995,pp.99~99(1))。毛髪成長周期を表3に示す。
【0216】
【0217】
各期は、ヒトにおける対応する期より短く、かつ同じ進行である。このため、C3Hマウスは、活性物質による発毛の誘発活性を研究するための有用なモデルとなる。C3Hマウスは、第7週から第15週までの間が長い休止時期となる。したがって、発毛研究は典型的には、第7週目に開始し、第15週目に終了する、すなわち、研究期間は約8週間である。
【0218】
マウスは、12時間明るく12時間暗くなる光周期の環境調節室内にある、適切に寸法設定されたケージに入れられ、餌と水は不断給餌された。動物の世話は、「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals」、NIH Publication No.85~23に基づいた。全てのマウスが毛髪成長周期の長期の休止期/休息期に入った時点で、背部領域約1.5×5cmを刈り込んだ(Wahl Clippers 8900 Series、Blade#1086)。群ごとに5匹の雌マウスを刈り込むと同時に、2%の誘発及び維持用のイソフルラン及び0.5Lの酸素で鎮静させた。データに表示されるマウスの実際の数は、研究中の1匹又は2匹以上のマウスの不慮の死により変化し得る。
【0219】
早められた成長期の開始の判定
マウスは、研究開始時に、目視検査により決定されるように、ショートヘアクリッパーで背中を無毛まで剃毛した(2×5cm2領域)被験物質を上述のように調製した。被験物質を、マウスの剃毛領域に、1日に投与当たり0.2mLで、毎日適用した。毛髪成長期及び毛髪被覆度の両方を目視検査により観察し、各マウスの毛髪状態を1週間に5日記録した(休止期:毛髪成長周期における休息期-剃毛した皮膚には黒い毛球/毛根が見られない;成長期:成長期毛嚢、すなわち毛髪成長周期で成長状態にある毛嚢-剃毛した皮膚には黒い毛球/毛根が見られる)。成長期(灰色の皮膚、新たな毛髪成長の最初の外観兆候)に入ったマウスの毎日の観察を記録した研究日誌(又は成長期日誌)が記録された。治療は8週間継続した。
【0220】
治療群及び治療製剤は、次のように選択された。
【0221】
【0222】
以下の表4に示すように、本発明の治療製剤#1は、毛嚢が休息状態(休止期)から成長状態(成長期)に変わるのが、比較治療製剤#2より約4日早いという結果をもたらした。
【0223】
【0224】
表5は、成長期日誌に記録されるように、未処置、比較治療製剤#2及び本発明の治療製剤#1に関する成長期開始を示す。
【0225】
【0226】
表5のデータにより、成長期の開始が、C群(試験製剤2)においてB群(試験製剤1)より4日早く起きたことが実証される。C群は未処置のA群より39日早い。
【0227】
各群におけるマウスの硬毛の平均被覆度は、週に1回撮影された画像の目視検査によって判定された。マウスの育毛段階記録において、毛髪被覆度指数を使用した。「硬毛の被覆度」というフレーズは、硬毛によって覆われた治療部位の観察されたおよその平均割合を意味する。
【0228】
「硬毛の平均被覆度が速い」というフレーズは、硬毛の被覆度が時間的により速く達成されることを意味する。用語「平均」とは、各群のマウス全体の平均を意味する。用語「観察」又は「目視観察」とは、目視検査を意味する。
【0229】
次に、以下の毛髪被覆度評価システムに従って、最も高い硬毛被覆度から最も低い硬毛被覆度の順番で、群をランク付けした。
【0230】
【0231】
表6は、異なる時間点で撮影された画像に基づいた、試験製剤1、試験製剤2及び未処置に対する硬毛被覆度の順位である。
【0232】
0週目(マウスを剃毛した日)に撮られた画像の目視観察は、研究のこの段階において、試験群の全てのマウスの全ての硬毛が除去されていたことを示した。
【0233】
【表11】
*第5週評価の後、組織診断のため、2匹の試験マウスを屠殺した
【0234】
表6の順位は、カルボン酸のC8~C24アルコールエステル(すなわち、乳酸セチル)を含有する本発明の治療製剤#1で治療されたマウスの皮膚は、比較治療製剤#2よりはるかに速い硬毛被覆度を示したことを示している。
【0235】
(実施例4)
本発明の育毛組成物を組み込んでいる組成物(例えば、水中油型エマルション)又はゲルを、従来の混合技術を使用して調製し、表7で比較製剤A(カルボン酸のC8~C24アルコールエステルを含まない)及び本発明の治療製剤B(カルボン酸のC8~C24アルコールエステルを含む)として説明する。
【0236】
【0237】
比較製剤A及び本発明の治療製剤Bを以下の手順に従って調製した:
(1)オーバーヘッドミキサーを備えた好適な大きさの第一ガラス容器にエチルアルコールを添加する。
(2)ペンチレングリコール、グリセリン、クエン酸及び乳酸を容器に添加し、混合物を約2分間混合する。
(3)ミノキシジル及びBHTをビーカーに添加し、約10分間又は溶解するまで撹拌する。
(4)水をゆっくり添加し、混合物を約2分間混合する。
(5)ホットプレート及び磁気撹拌子を装備した別の第2ビーカー内で、ステアレス-10及び乳酸酢酸セチルを予混合する。
(6)予混合物を約60℃に加熱し、完全に融解し、かつ均一な油相が形成されるまで磁気撹拌棒で撹拌する。
(7)予混合物を、第1容器内のミノキシジル含有の水相に撹拌しながら添加し、約5分間混合する。
(9)ポリクオタニウム37を第1容器に添加し、第1容器内の混合物を、Silverson L4RTホモジナイザー(Silverson(Birmingham、UK))を使用して7,000rpmで約5分間均質化する。
【0238】
(実施例5)
死亡したヒトの皮膚による、5%ミノキシジル組成物のインビトロでの皮膚浸透性。
【0239】
実施例2に記載される皮膚浸透性研究を使用して、本発明の治療製剤Bと比較製剤Aに関して、異なる皮膚層へのミノキシジルの浸透性を評価した。
【0240】
商業的な組織バンクからの死体の皮膚試料(Allosource(Centenia,CO)、約0.4mmに皮膚採取)をガラス製拡散セルに適合するよう切り取り、フランツセルに皮膚を固定した。20マイクロリットルの試験試料を皮膚表面に適用した。試料を、0、2、4及び6時間という計画した時間点において、受容器区画から採取した。
【0241】
研究の最後に、皮膚表面を液体受容器(PBS)の綿製スワブを用いて洗浄した。洗浄後、表皮及び真皮の皮膚全体又は分離した皮膚層のいずれかに関して、皮膚抽出を実施した。Watersの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いて、以下に列挙した手順により、受容器区画から及び皮膚抽出から採集した試料をミノキシジルレベルについて分析した。結果を表8に示す。異なる皮膚層における最終的な平均ミノキシジルレベルを、異なる三連についてマイクログラム(μg)で報告した。ミノキシジルの質量バランス研究も行い、ミノキシジルの回収率は、対照及び本発明の製剤の両方について、95%よりも良好であった。
【0242】
ミノキシジル定量化に関するHPLC手順
HPLCシステム(Waters Alliance(登録商標)HPLCシステム)を使用して、286nmのUV吸収応答を用いてミノキシジルを測定した。Luna 5μM C18(2)250×4.6mm HPLCカラム(Phenomenex)を使用して、表面洗液、剥がしたテープ、皮膚(表皮/真皮)、及び受容器溶液に関して、ミノキシジル被検物質と抽出した試料中の他の不純物とを分離した。移動相は、定組成80%(70:29:1水/メタノール/酢酸-pH3.3):20%メタノールとした。
【0243】
【0244】
局所ミノキシジル送達のための標的組織は、真皮深くに存在している毛嚢(又は毛「根」)であるので、皮膚層に浸透し通過したミノキシジルしか毛嚢に到達せず、したがって、実際に重要である。表8の結果により実証されるように、乳酸セチル(又はカルボン酸のC8~C24アルコールエステル)を含有する本発明の治療製剤Bは、比較治療製剤Aと対比して、ヒトの皮膚内のより深くへの著しく強化されたミノキシジル送達を提供した(すなわち、皮膚組織内へ約206%)。
【0245】
(実施例6)
比較製剤X(カルボン酸のC8~C24アルコールエステルを含まない)及び本発明の製剤Y(カルボン酸のC8~C24アルコールエステルを含む)のための組成物
【0246】
本発明の組成物を配合した組成物は、従来の混合技術を使用して調製することができ、表9では比較例X及び発明実施例Yとして例示される。
【0247】
【0248】
比較製剤X及び本発明の製剤Yを以下の手順に従って調製した:
(1)オーバーヘッドミキサーを備えた好適な大きさのガラス容器にエチルアルコールを添加する。
(2)ペンチレングリコール、グリセリン、クエン酸及び乳酸を工程(1)の容器に添加し、混合物を約2分間混合する。
(3)ミノキシジル及びBHTを容器に添加し、約10分間又は完全に溶解するまで撹拌する。比較製剤に関して、プロセス(5)及び(6)を省略する。
(4)上記混合用容器に水を添加する。次に、ポリクオタニウム-37を混合用容器にゆっくり添加し、完全に溶解するまで混合する。
(5)ホットプレートと磁気攪拌子を備えた別の第2のガラス容器において、乳酸セチルの予混合物を計り取って約45℃に加熱し、完全に溶融するまで磁気攪拌棒で攪拌する。
(6)予混合物を、第1容器内のミノキシジル含有の水相に撹拌しながら添加し、約5分間混合する。
【0249】
(実施例7)
死亡したヒトの皮膚による、5%ミノキシジル組成物のインビトロでの皮膚浸透性。
【0250】
皮膚浸透性研究を行い、比較製剤X及び本発明の製剤Yについて、異なる皮膚層へのミノキシジルの浸透性を評価した。
【0251】
実施例2に記載される皮膚浸透性研究を使用して、比較製剤X及び本発明の製剤Yについて、異なる皮膚層へのミノキシジルの浸透性を評価した。
【0252】
商業的な組織バンクからの死体の皮膚試料(Allosource(Centenia,CO)、約0.4mmに皮膚採取)をガラス製拡散セルに適合するよう切り取り、フランツセルに皮膚を固定した。20マイクロリットルの試験試料を皮膚表面に適用した。試料を、0、6及び24時間という計画した時間点において、受容器区画から採取した。
【0253】
研究の最後に、皮膚表面を液体受容器(PBS)の綿製スワブを用いて洗浄した。洗浄後、表皮及び真皮の皮膚全体又は分離した皮膚層のいずれかに関して、皮膚抽出を実施した。Watersの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いて、以下に列挙した手順により、受容器区画から及び皮膚抽出から採集した試料をミノキシジルレベルについて分析した。結果を表10に示す。異なる皮膚層における最終的な平均ミノキシジルレベルを、異なる三連についてマイクログラム(μg)で報告した。ミノキシジルの質量バランス研究も行い、ミノキシジルの回収率は、比較製剤及び本発明の製剤の両方について、92.5%よりも良好であった。
【0254】
ミノキシジル定量に関するHPLC手順
HPLCシステム(Waters Alliance(登録商標)HPLCシステム)を使用して、286nmのUV吸収応答を用いてミノキシジルを測定した。Luna 5μM C18(2)250×4.6-mm HPLCカラム(Phenomenex)を使用して、表面洗液、剥がしたテープ、表皮、真皮及び受容器溶液に関して、ミノキシジル被検物質と抽出した試料中の他の不純物とを分離した。移動相は、定組成80%(70:29:1水/メタノール/酢酸-pH3.3):20%メタノールとした。
【0255】
【0256】
局所ミノキシジル送達のための標的組織は、真皮深くに存在している毛嚢(又は毛「根」)であるので、皮膚層に浸透し通過した分のミノキシジルしか毛嚢に到達せず、したがって、実際に重要である。表10の結果により実証されるように、乳酸セチル(又はカルボン酸のC8~C24アルコールエステル)を含有する本発明の製剤Yは、比較製剤Xと対比して、ヒトの皮膚内深くへの著しく強化されたミノキシジル送達を提供した(すなわち、真皮内へ約470%)。
【0257】
(実施例8)
本発明の組成物を組み込んだ組成物は、従来の混合技術を用いて調製することができ、表11に例示される。
【0258】
【0259】
(実施例9)
比較治療製剤A’’及び本発明の治療製剤B’’(表15)が、従来の混合技術を用いて、以下のように調製される。
【0260】
【表17】
1 Symrise(Teterboro、NJ)から供給されるHydrolite5
2 BASF(Florham Park、NJ)から供給されるCosmedia Ultra 300
【0261】
比較治療製剤A’’及び本発明の治療製剤B’’を以下の手順に従って調製する:
(1)オーバーヘッドミキサーを装備した好適な大きさの第1ビーカーにエタノールを添加する。
(2)ペンチレングリコール、グリセリン、クエン酸及び乳酸、ミノキシジル、並びにBHTをビーカーに添加し、混合物を約10分間又は溶解するまで混合する。
(3)水をゆっくり添加し、混合物を約2分間混合する。
(4)ホットプレートと磁気攪拌子を備えた別の第2ビーカー内で、ステアレス-10、ステアレス-2、酢酸トコフェラール、植物油、又は乳酸セチルを予混合して、約60℃に加熱して油相を形成し、磁気攪拌子で攪拌して、溶解又は溶融し、油相が均一になるまで攪拌する。
(5)予混合物を、第1ビーカー内のミノキシジル含有の水相に撹拌しながら添加し、約5分間混合する。
(6)ピルビン酸ナトリウムを、第1ビーカーに添加し、約3分間混合する。
(7)ポリクオタニウム37を第1ビーカーに添加し、第1ビーカー内の混合物を、Silverson L4RTホモジナイザー(Silverson(Birmingham、UK))を使用して7,000rpmで約5分間均質化する。
【0262】
(実施例10)
死亡したヒトの皮膚による、5%ミノキシジル組成物のインビトロでの皮膚浸透性。
【0263】
実施例5に記載される皮膚浸透性研究を使用して、本発明の治療製剤B’’と比較製剤A’’に関して、異なる皮膚層へのミノキシジルの浸透性を評価した。
【0264】
商業的な組織バンクからの死体の皮膚試料(Allosource(Centenia,CO)、約0.4mmに皮膚採取)をガラス製拡散セルに適合するよう切り取り、フランツセルに皮膚を固定した。20マイクロリットルの試験試料を皮膚表面に適用した。試料を、6及び24時間という計画した時間点において、受容器区画から採取した。
【0265】
研究の最後に、皮膚表面を液体受容器(PBS)の綿製スワブを用いて洗浄した。洗浄後、表皮及び真皮の皮膚全体又は分離した皮膚層のいずれかに関して、皮膚抽出を実施した。Watersの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いて、以下に列挙した手順により、受容器区画から及び皮膚抽出から採集した試料をミノキシジルレベルについて分析した。結果を表13に示す。異なる皮膚層における最終的な平均ミノキシジルレベルを、異なる三連についてマイクログラム(μg)で報告した。ミノキシジルの質量バランス研究も行い、ミノキシジルの回収率は、対照及び本発明の製剤の両方について、95%よりも良好であった。
【0266】
ミノキシジル定量に関するHPLC手順
HPLCシステム(Waters Alliance(登録商標)HPLCシステム)を使用して、286nmのUV吸収応答を用いてミノキシジルを測定した。Luna 5μM C18(2)250×4.6-mm HPLCカラム(Phenomenex)を使用して、表面洗液、剥がしたテープ、表皮、真皮及び受容器溶液に関して、ミノキシジル被検物質と抽出した試料中の他の不純物とを分離した。移動相は、定組成80%(70:29:1水/メタノール/酢酸-pH3.3):20%メタノールとした。
【0267】
【0268】
局所ミノキシジル送達のための標的組織は、真皮深くに存在している毛嚢(又は毛「根」)であるので、皮膚層に浸透し通過したミノキシジルしか毛嚢に到達せず、したがって、実際に重要である。表13の結果により実証されるように、乳酸セチル(又はカルボン酸のC8~C24アルコールエステル)を含有する本発明の治療製剤Bは、比較治療製剤Aと対比して、ヒトの皮膚内深くへの著しく強化されたミノキシジル送達を提供した(すなわち、真皮内へ約150%)。
【0269】
(実施例11)
本発明の組成物を組み込んだ組成物は、従来の混合技術を用いて調製することができ、表14に例示される。
【0270】
【表19】
1 Symrise(Teterboro、NJ)から供給されるHydrolite5
2 BASF(Florham Park、NJ)から供給されるCosmedia Ultra 300
3 Croda(Edison、NJ)から供給される
4 Ashland Inc.(Covington、KY)から供給される
【0271】
上記製剤を以下の手順に従って調製する:
(1)オーバーヘッドミキサーを装備した好適な大きさの第1ビーカーにエタノールを添加する。
(2)ペンチレングリコール、グリセリン、及び乳酸をビーカーに添加し、混合物を約2分間混合する。
(3)ミノキシジル及びBHTをビーカーに添加し、約10分間又は溶解するまで撹拌する。
(4)水をゆっくり添加し、混合物を約2分間混合する。
(5)ホットプレート及び磁気撹拌子を装備した別の第2ビーカー内で、ステアレス-2、乳酸セチル及び酢酸トコフェラールを予混合して、油相を形成する。
(6)予混合物を約60℃に加熱し、溶解するか又は融解し、かつ油相が均一になるまで磁気撹拌棒で撹拌する。
(7)予混合物を、第1ビーカー内のミノキシジル含有の水相に撹拌しながら添加し、約5分間混合する。
(8)ピルビン酸ナトリウムを、第1ビーカーに添加し、約3分間混合する。
(9)ポリクオタニウム37を第1ビーカーに添加し、第1ビーカー内の混合物を、Silverson L4RTホモジナイザー(Silverson(Birmingham、UK))を使用して7,000rpmで約5分間均質化する。
【0272】
(実施例12)
比較治療製剤P及び本発明の治療製剤Q(表15)が、従来の混合技術を用いて、以下のように調製される。
【0273】
【表20】
1 Symrise(Teterboro、NJ)から供給されるHydrolite5
2 BASF(Florham Park、NJ)から供給されるCosmedia Ultra 300
3 Croda(Edison、NJ)から供給される
4 Ashland Inc.(Covington、KY)から供給される
【0274】
製剤P及びQを以下の手順に従って調製する:
(1)オーバーヘッドミキサーを装備した好適な大きさの第1ビーカーにエタノールを添加する。
(2)ペンチレングリコール、グリセリン、クエン酸(該当する場合)及び乳酸をビーカーに添加し、混合物を約2分間混合する。
(3)ミノキシジル及びBHTをビーカーに添加し、約10分間又は溶解するまで撹拌する。
(4)水をゆっくり添加し、混合物を約2分間混合する。
(5)ホットプレート及び磁気撹拌子を装備した別の第2ビーカー内で、ステアレス-10、ステアレス-2(該当する場合)、乳酸セチル(該当する場合)及び酢酸トコフェラールを予混合して、油相を形成する。
(6)予混合物を約60℃に加熱し、溶解するか又は融解し、かつ油相が均一になるまで磁気撹拌棒で撹拌する。
(7)予混合物を、第1ビーカー内のミノキシジル含有の水相に撹拌しながら添加し、約5分間混合する。
(8)ピルビン酸ナトリウムを、第1ビーカーに添加し、約3分間混合する。
(9)ポリクオタニウム37を第1ビーカーに添加し、第1ビーカー内の混合物を、Silverson L4RTホモジナイザー(Silverson(Birmingham、UK))を使用して7,000rpmで約5分間均質化する。
【0275】
(実施例13)
死亡したヒトの皮膚による、5%ミノキシジル組成物のインビトロでの皮膚浸透性。
【0276】
実施例10に記述される皮膚浸透性研究を使用して、市販のWalgreenの5%ミノキシジル局所用溶液を比較治療製剤Rとして使用した場合と対比して、実施例12の本発明の治療製剤Qに関して、異なる皮膚層へのミノキシジルの浸透性を評価した。Walgreenの5%ミノキシジル局所用溶液の見かけのpHは、測定して8.1であった。実施例10に記述される別の研究では、市販のWalgreenの5%ミノキシジル局所用溶液(比較治療製剤R)と対比して、実施例12の比較治療製剤Pに関して、異なる皮膚層へのミノキシジルの浸透性を評価した。
【0277】
商業的な組織バンクからの死体の皮膚試料(Allosourec(Centennial,CO)、約0.4mmに皮膚採取)をガラス製拡散セルに適合するよう切り取り、フランツセルに皮膚を固定した。20マイクロリットルの試験試料を皮膚表面に適用した。試料を、0、3、6及び24時間という計画した時間点において、受容器区画から採集した。
【0278】
研究の最後に、皮膚表面を液体受容器(PBS)の綿製スワブを用いて洗浄した。洗浄後、表皮及び真皮の皮膚全体又は分離した皮膚層のいずれかに関して、皮膚抽出を実施した。Watersの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いて、以下に列挙した手順により、受容器区画から及び皮膚抽出から採集した試料をミノキシジルレベルについて分析した。
【0279】
上述のように、本発明の治療製剤Qと比較治療製剤Rとを比較する試験を実施し、この試験を、商用の同じ皮膚組織バンクからの別の死体(Allosourec(Centennial,CO)、約0.4mmに皮膚採取)を使用して、比較治療製剤Pと比較治療製剤Rとを比較した。本発明の治療製剤Qと比較治療製剤Pとの比較を、記述された試験結果から推定する。
【0280】
試験の結果及び推定比較を表16及び17に示す。異なる皮膚層における最終的な平均ミノキシジルレベルを、異なる三連についてマイクログラム(μg)で報告した。ミノキシジルの質量バランス研究も行い、ミノキシジルの回収率は、対照及び本発明の製剤の両方について、95%よりも良好であった。
【0281】
ミノキシジル定量に関するHPLC手順
HPLCシステム(Waters Alliance(登録商標)HPLCシステム)を使用して、286nmのUV吸収応答を用いてミノキシジルを測定した。Luna 5μM C18(2)250×4.6-mm HPLCカラム(Phenomenex)を使用して、表面洗液、剥がしたテープ、表皮、真皮及び受容器溶液に関して、ミノキシジル被検物質と抽出した試料中の他の不純物とを分離した。移動相は、定組成80%(70:29:1水/メタノール/酢酸-pH3.3):20%メタノールとした。
【0282】
【0283】
【0284】
局所ミノキシジル送達のための標的組織は、真皮深くに存在している毛嚢(又は毛「根」)であるので、真皮層に浸透し通過したミノキシジルしか毛嚢に到達せず、したがって、実際に重要である。表17の結果により実証されるように、比較治療製剤P及び本発明の治療製剤Qは、比較治療製剤Rと対比して、ヒトの皮膚内深くへ、特に皮膚組織内への強化されたミノキシジル送達を提供した(すなわち、毛球が位置する場所である真皮内へ約480%[本発明の治療製剤Qに関して]及び160%[比較治療製剤Pに関して])。更に、本発明の治療製剤Qの比較治療製剤P(マイクログラム)に対する試験結果(マイクログラム)の比は、推定により、カルボン酸のC8~C24アルコールエステル(すなわち、乳酸セチル)を使用して、真皮及び表皮内へのミノキシジルのより高い浸透を実証している。
【0285】
(実施例14)
以下に詳細を記述した本発明の育毛組成物を使用して、マウスの育毛研究を実施をした。
【0286】
手順:
実施例3に記載されるものと同様のマウスモデルにおいて、インビボで育毛研究を行った。5匹の雌マウス(C3Hマウス、Charles River Breeding Laboratories(Kingston、NY))を各被験物質に含めた。
【0287】
C3Hマウスにおける成長期の開始促進を決定するために、6~7週齢のC3H雌マウスをTaconic Farms(Germantown、N.Y.)から購入した。C3Hマウスの毛髪成長周期は、同様の成長期、退行期、及び休止期を有する。(Miyamoto I.;Hamada K.、Journal of Dermatological Science,Volume 10,Number 1,July 1995,pp.99~99(1))。毛髪成長周期を表18に示す。
【0288】
【0289】
各期は、ヒトにおける対応する期より短く、かつ同じ進行である。このため、C3Hマウスは、活性物質による発毛の誘発活性を研究するための有用なモデルとなる。C3Hマウスは、第7週から第15週までの間が長い休止時期となる。したがって、発毛研究は典型的には、第7週目に開始し、第15週目に終了する、すなわち、研究期間は約8週間である。
【0290】
マウスは、12時間明るく12時間暗くなる光周期の環境調節室内にある、適切に寸法設定されたケージに入れられ、餌と水は不断給餌された。動物の世話は、「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals」、NIH Publication No.85~23に基づいた。全てのマウスが毛髪成長周期の長期の休止期/休息期に入った時点で、背部領域約1.5×5cmを刈り込んだ(Wahl Clippers 8900 Series、Blade#1086)。群ごとに5匹の雌マウスを刈り込むと同時に、2%の誘発及び維持用のイソフルラン及び0.5Lの酸素で鎮静させた。データに表示されるマウスの実際の数は、研究中の1匹又は2匹以上のマウスの不慮の死により変化し得る。
【0291】
早められた成長期の開始の判定
マウスは、研究開始時に、目視検査により決定されるように、ショートヘアクリッパーで背中を無毛まで剃毛した(2×5cm2領域)被験物質を上述の手順のように調製した。被験物質を、マウスの剃毛領域に、1日に投与当たり0.2mLで、毎日適用した。毛髪成長期及び毛髪被覆度の両方を目視検査により観察し、各マウスの毛髪状態を1週間に5日記録した(休止期:毛髪成長周期における休息期-剃毛した皮膚には黒い毛球/毛根が見られない;成長期:成長期毛嚢、すなわち毛髪成長周期で成長状態にある毛嚢-剃毛した皮膚には黒い毛球/毛根が見られる)。成長期(灰色の皮膚、新たな毛髪成長の最初の外観兆候)に入ったマウスの毎日の観察を記録した研究日誌(又は成長期日誌)が記録された。治療は8週間継続した。
【0292】
治療群及び治療製剤は、次のように選択された。
【0293】
【0294】
以下の表19に示すように、本発明の組成物製剤Qは、毛嚢が休息状態(休止期)から成長状態(成長期)に変わるのが、比較治療製剤Rより約3日早いという結果をもたらした。本発明の組成物製剤Qは、毛嚢が休息状態(休止期)から成長状態(成長期)に変わるのが、比較治療製剤Rより約4日早いという結果をもたらした。
【0295】
【0296】
表20は、成長期日誌に記録されるように、未処置、比較治療製剤R、比較治療製剤P及び本発明の治療製剤Qに関する成長期開始時間を示す。
【0297】
【0298】
表20のデータにより、成長期の開始が、B群(比較治療製剤R)より、C群(比較治療製剤P)において3日早く、D群(本発明の治療製剤Q)において4日早く起きたことが実証される。未処置のA群より、C群は38日早く、一方、D群は39日早い。
【0299】
各群におけるマウスの硬毛の平均被覆度は、週に1回撮影された画像の目視検査によって判定された。マウスの育毛段階記録において、毛髪被覆度指数を使用した。「硬毛の被覆度」というフレーズは、硬毛によって覆われた治療部位の観察されたおよその平均割合を意味する。
【0300】
「硬毛の平均被覆度が速い」というフレーズは、硬毛の被覆度が時間的により速く達成されることを意味する。用語「平均」とは、各群のマウス全体の平均を意味する。用語「観察」又は「目視観察」とは、目視検査を意味する。
【0301】
次に、以下の毛髪被覆度評価システムに従って、最も高い硬毛被覆度から最も低い硬毛被覆度の順番で、群をランク付けした。
【0302】
【0303】
表21は、異なる時間点で撮影された画像に基づいた、比較治療製剤P、比較治療製剤R、本発明の治療製剤Q及び未処置に対する硬毛被覆度の順位である。
【0304】
0週目(マウスを剃毛した日)に撮られた画像の目視観察は、研究のこの段階において、試験群の全てのマウスの全ての硬毛が除去されていたことを示した。
【0305】
【表28】
*第4週評価の後、組織診断のため、1匹の試験マウスを屠殺した
【0306】
表6の順位は、非イオン性脂質(ステアレス-10)とカルボン酸のC8~C24アルコールエステル(すなわち、乳酸セチル)を含有する本発明の治療製剤Qで治療されたマウスの皮膚は、非イオン性脂質(ステアレス-10)を含有しカルボン酸のC8~C24アルコールエステル(すなわち、乳酸セチル)を含まない比較治療製剤Rより、はるかに速い硬毛被覆度を示したことを示している。しかしながら、驚くべきことに、比較治療製剤Rの治療で新たに育毛された領域からは、毛髪の落脱が始まった。非イオン性脂質(ステアレス-10)に加え、カルボン酸のC8~C24アルコールエステル(すなわち、乳酸セチル)を含有する本発明の治療製剤Qは、この毛髪落脱効果を示さず、マウス毛髪の成長が最も速かった。
【0307】
(実施例15)
本発明の育毛組成物を組み込んだ組成物が、従来の混合技術を用いて調製された。実施例製剤I及びIIを表22に示す。
【0308】
【0309】
比較製剤I及び本発明の治療製剤IIを以下の手順に従って調製した:
(1)オーバーヘッドミキサーを備えた好適な大きさの第一ガラス容器にエチルアルコールを添加する。
(2)ペンチレングリコール、グリセリン、クエン酸及び乳酸を容器に添加し、混合物を約2分間混合する。
(3)ミノキシジル及びBHTをビーカーに添加し、約10分間又は溶解するまで撹拌する。
(4)水をゆっくり添加し、混合物を約2分間混合する。
(5)ホットプレート及び磁気撹拌子を装備した別の第2ビーカー内で、ステアレス-10及び乳酸酢酸セチルを予混合する。
(6)予混合物を約60℃に加熱し、完全に融解し、かつ均一な油相が形成されるまで磁気撹拌棒で撹拌する。
(7)予混合物を、第1容器内のミノキシジル含有の水相に撹拌しながら添加し、約5分間混合する。
(9)ポリクオタニウム37を第1容器に添加し、第1容器内の混合物を、Silverson L4RTホモジナイザー(Silverson(Birmingham、UK))を使用して7,000rpmで約5分間均質化する。
【0310】
(実施例16)
死亡したヒトの皮膚による、5%ミノキシジル組成物のインビトロでの皮膚浸透性。
【0311】
実施例5に記載される皮膚浸透性研究を使用して、本発明の治療製剤II対比較製剤Iに関して、異なる皮膚層へのミノキシジルの浸透性を評価した。
【0312】
商業的な組織バンクからの死体の皮膚試料(Allosource(Centenia,CO)、約0.4mmに皮膚採取)をガラス製拡散セルに適合するよう切り取り、フランツセルに皮膚を固定した。20マイクロリットルの試験試料を皮膚表面に適用した。試料を、0、2、4及び6時間という計画した時間点において、受容器区画から採取した。
【0313】
研究の最後に、皮膚表面を液体受容器(PBS)の綿製スワブを用いて洗浄した。洗浄後、表皮及び真皮の皮膚全体又は分離した皮膚層のいずれかに関して、皮膚抽出を実施した。Watersの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムを用いて、以下に列挙した手順により、受容器区画から及び皮膚抽出から採集した試料をミノキシジルレベルについて分析した。結果を表23に示す。異なる皮膚層における最終的な平均ミノキシジルレベルを、異なる三連についてマイクログラム(μg)で報告した。ミノキシジルの質量バランス研究も行い、ミノキシジルの回収率は、対照及び本発明の製剤の両方について、95%よりも良好であった。
【0314】
ミノキシジル定量に関するHPLC手順
HPLCシステム(Waters Alliance(登録商標)HPLCシステム)を使用して、286nmのUV吸収応答を用いてミノキシジルを測定した。Luna 5μM C18(2)250×4.6mm HPLCカラム(Phenomenex)を使用して、表面洗液、剥がしたテープ、皮膚(表皮/真皮)、及び受容器溶液に関して、ミノキシジル被検物質と抽出した試料中の他の不純物とを分離した。移動相は、定組成80%(70:29:1水/メタノール/酢酸-pH3.3):20%メタノールとした。
【0315】
【0316】
局所ミノキシジル送達のための標的組織は、真皮深くに存在している毛嚢(又は毛「根」)であるので、皮膚層に浸透し通過したミノキシジルしか毛嚢に到達せず、したがって、実際に重要である。表23の結果により実証されるように、乳酸セチル(又はカルボン酸のC8~C24アルコールエステル)を含有する本発明の治療製剤IIは、比較製剤Iと対比して、ヒトの皮膚内のより深くへの著しく強化されたミノキシジル送達を提供した(すなわち、皮膚組織内へ約206%)。
【0317】
(実施例17)
本発明の組成物を組み込んだ追加組成物は、従来の混合技術を用いて(又は、実施例1に記述されているように)調製することができ、これらは表24の例j~oに示される。
【0318】
【表31】
1 Ashland(NJ,US)により供給
【0319】
表24の例j及びkは、カルボキシメチルセルロースとC12~15乳酸アルキル混合物とを含む組成物が、最低4℃、最高40℃の温度でそれぞれ、1週間貯蔵後に、物理的安定性を示している(すなわち、相分離がない)。
【0320】
(実施例18)
所定の比で、非イオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と高分子量カルボキシメチルセルロース(CMC)とを組み込んだ、本発明の育毛組成物を、従来の混合技術を用いて調製した。これらの組成物は、上記のように(4℃及び40℃で)1週間貯蔵後に安定性を示した。表25に、本発明の治療製剤QQ、RR、及びSSとして詳細を示す。
【0321】
【0322】
本発明の治療製剤QQ、RR及びSSはそれぞれ、以下の手順で調製された。
(1)オーバーヘッドミキサーを備えた好適な大きさの第一ガラス容器にエチルアルコールを添加する。
(2)プロピレングリコール、グリセリン、クエン酸及び乳酸を容器に添加し、混合物を約2分間混合する。
(3)ミノキシジル及びBHTをビーカーに添加し、約10分間又は溶解するまで撹拌する。
(4)水をゆっくり添加し、混合物を約2分間混合する。
(5)ホットプレート及び磁気撹拌子を装備した別の第2ビーカー内で、ステアレス-2、ステアレス-10、及び乳酸酢酸ミリスチルを予混合する。
(6)予混合物を約60℃に加熱し、完全に融解し、かつ均一な油相が形成されるまで磁気撹拌棒で撹拌する。
(7)予混合物を、第1容器内のミノキシジル含有の水相に撹拌しながら添加し、約5分間混合する。
(9)CMC及びHPMCを第1容器に添加し、第1容器内の混合物を、Silverson L4RTホモジナイザー(Silverson(Birmingham、UK))を使用して7,000rpmで約5分間均質化する。
【0323】
(実施例19)
本発明の治療製剤QQ、RR、及びSSと、比較製剤TTとして市販のWalgreenの5%ミノキシジル局所用溶液を使用して、育毛組成物を用いたマウス育毛研究を行った。(Walgreenの5%ミノキシジル局所用溶液のpHは、測定して8.1であった。)
【0324】
手順:
参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6419913(B1)号に記載されるものと同様のマウスモデルにおいて、インビボで育毛研究を行った。5匹の雌マウス(C3Hマウス、Charles River Breeding Laboratories(Kingston、NY))を各被験物質に含めた(すなわち、実施例1及び2の本発明の試験製剤及び比較試験製剤)。
【0325】
C3Hマウスにおける成長期の開始促進を決定するために、6~7週齢のC3H雌マウスをTaconic Farms(Germantown、N.Y.)から購入した。C3Hマウスの毛髪成長周期は、同様の成長期、退行期、及び休止期を有する。(Miyamoto I.;Hamada K.、Journal of Dermatological Science,Volume 10,Number 1,July 1995,pp.99~99(1))。毛髪成長周期を表26に示す。
【0326】
【0327】
各期は、ヒトにおける対応する期より短く、かつ同じ進行である。このため、C3Hマウスは、活性物質による発毛の誘発活性を研究するための有用なモデルとなる。C3Hマウスは、第7週から第15週までの間が長い休止時期となる。したがって、発毛研究は典型的には、第7週目に開始し、第15週目に終了する、すなわち、研究期間は約8週間である。
【0328】
マウスは、12時間明るく12時間暗くなる光周期の環境調節室内にある、適切に寸法設定されたケージに入れられ、餌と水は不断給餌された。動物の世話は、「Guide for the Care and Use of Laboratory Animals」、NIH Publication No.85~23に基づいた。全てのマウスが毛髪成長周期の長期の休止期/休息期に入った時点で、背部領域約1.5×5cmを刈り込んだ(Wahl Clippers 8900 Series、Blade #1086)。群ごとに5匹の雌マウスを刈り込むと同時に、2%の誘発及び維持用のイソフルラン及び0.5Lの酸素で鎮静させた。データに表示されるマウスの実際の数は、研究中の1匹又は2匹以上のマウスの不慮の死により変化し得る。
【0329】
早められた成長期の開始の判定
マウスは、研究開始時に、目視検査により決定されるように、ショートヘアクリッパーで背中を無毛まで剃毛した(2×5cm2領域)被験物質を上述のように調製した。被験物質を、マウスの剃毛領域に、1日に投与当たり0.2mLで、毎日適用した。毛髪成長期及び毛髪被覆度の両方を目視検査により観察し、各マウスの毛髪状態を1週間に5日記録した(休止期:毛髪成長周期における休息期-剃毛した皮膚には黒い毛球/毛根が見られない;成長期:成長期毛嚢、すなわち毛髪成長周期で成長状態にある毛嚢-剃毛した皮膚には黒い毛球/毛根が見られる)。成長期(灰色の皮膚、新たな毛髪成長の最初の外観兆候)に入ったマウスの毎日の観察を記録した研究日誌(又は成長期日誌)が記録された。治療は8週間継続した。
【0330】
治療群及び治療製剤は、次のように選択された。
【0331】
【0332】
以下の表27に示すように、本発明の治療製剤QQ、RR、及びSSはそれぞれ、毛嚢が休息状態(休止期)から成長状態(成長期)に変わるのが、比較治療製剤TTより約4日早いという結果をもたらした。
【0333】
【0334】
表28は、成長期日誌に記録された、未処置、比較治療製剤TT、並びに本発明の治療製剤QQ、RR、及びSSに関する成長期開始を示す。
【0335】
【0336】
表28のデータにより、成長期の開始が、C群(試験製剤2)においてB群(試験製剤1)より4日早く起きたことが実証されている。C群は未処置のA群より39日早い。
【0337】
各群におけるマウスの硬毛の平均被覆度は、週に1回撮影された画像の目視検査によって判定された。マウスの育毛段階記録において、毛髪被覆度指数を使用した。「硬毛の被覆度」というフレーズは、硬毛によって覆われた治療部位の観察されたおよその平均割合を意味する。
【0338】
「硬毛の平均被覆度が速い」というフレーズは、硬毛の被覆度が時間的により速く達成されることを意味する。用語「平均」とは、各群のマウス全体の平均を意味する。用語「観察」又は「目視観察」とは、目視検査を意味する。
【0339】
次に、以下の毛髪被覆度評価システムに従って、最も高い硬毛被覆度から最も低い硬毛被覆度の順番で、群をランク付けした。
【0340】
【0341】
表29は、異なる時間点で撮影された画像に基づいた、試験製剤1、試験製剤2及び未処置に対する硬毛被覆度の順位である。
【0342】
0週目(マウスを剃毛した日)に撮られた画像の目視観察は、研究のこの段階において、試験群の全てのマウスの全ての硬毛が除去されていたことを示した。
【0343】
【0344】
乳酸ミリスチル(myristal)を含有する本発明の治療用製剤QQ、RR、SSで治療されたマウスの皮膚は、比較製剤TTよりはるかに速い硬毛被覆度を示したことを、表29の順位は示している。
【0345】
(実施例20)
製剤例p~vは、本発明の組成物を組み込んだ組成物である。例p~vの組成物は、所定の比で非イオン性ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)及び高分子量カルボキシメチルセルロース(CMC)を含有し、従来の混合技術を用いて(又は、実施例18に記述されているように)調製することができる。これらが表30に示されており、上述の貯蔵安定性の定義の項で述べたように1週間の貯蔵(4℃及び40℃)の後の安定性評価を示す。
【0346】
【表39】
*Brookfield RVを使用して測定(スピンドル4、温度平衡25℃±1℃後1分で速度6RPM)
1Aqualon CMC 7HF PH(Ashland(Wilmington,DE,USA))
2Methocel E 10M(Dow Chemical(Miland,MC,USA))
【0347】
表30は、例p~r及びvを示し、HPMCのCMCに対する比はそれぞれ3:1、2:1、及び1:1である。これらは、上述のように、最低4℃、最高40℃の温度でそれぞれ1週間貯蔵後に、物理的安定性を示す(すなわち、相分離がない)組成物を提供する。表30は更に、HPMCのCMCに対する比が1:1未満又は10:1超の場合を例s~u(HPMCのCMCに対する比がそれぞれ1:2、0:1、及び1:0)として示し、これらは、4℃と40℃の両方で、1週間貯蔵後に物理的安定性を示していない。
【0348】
(実施例21)
実施例20の製剤例p~vの組成物の安定性を、7週間貯蔵後に再び評価した。実施例20の例p~vの配合を表31に再掲する。この表には、上述の貯蔵安定性の定義の項で述べたように7週間の貯蔵(4℃及び40℃)の後の安定性評価が含まれる。
【0349】
【表40】
*Brookfield RVを使用して測定(スピンドル4、温度平衡25℃±1℃後1分で速度6RPM)
1Aqualon CMC 7HF PH(Ashland(Wilmington,DE,USA))
2Methocel E 10M(Dow Chemical(Miland,MC,USA))
【0350】
表31は、HPMCのCMCに対する比が3:1である例pが、上述のように、最低4℃、最高40℃の温度で7週間貯蔵後にそれぞれ、物理的安定性を示す(すなわち、相分離がない)組成物を提供することを示している。表31は更に、HPMCのCMCに対する比が3:1未満又は10:1超の場合(例q~vの場合)、4℃と40℃の両方で、7週間後に安定性を示していない。
【0351】
実施例22実施例22の製剤例i~ixは、本発明の組成物を組み込んだ組成物である。これらの例i~ixは、全組成物の36%(w/w)を超える合計濃度の一価アルコール及び二価アルコールを含み(乳酸アルキル濃度が高い[すなわち、全組成物の1重量%超である]ことによる)、これらは、従来の混合技術を用いて(又は、実施例1に記述されているように)調製することができる。これらの例i~ixは、表32及び33に詳述されている。
【0352】
【表41】
1 Ashland(NJ,US)により供給
【0353】
【0354】
表32は、例i~ivが「明澄」で「安定」であることを示している。表32は更に、例i~ivが6NTU未満の濁度を有することを示す。例vについて、表32は入り交じった結果を示している。すなわち、濁度が6よりも大きく、4℃と25℃で僅かな曇りと安定性を示し、40℃では物理的分離を示している。表33は、例vi~viiiが不安定でかつ曇りがあることを示し、いずれの場合も濁度が10NTUを超えている。例ixは安定かつ明澄であり、濁度は6NTU未満である。表33は更に、0.15を超えるRI(上記で定義)を有する組成物(すなわち、例vi~viii[RIはそれぞれ0.112、0.138、0.118に等しい]とは対照的に、実施例ix[RI=0.178])が「明澄な」組成物であることが観察されていることを示す。
【0355】
〔実施の態様〕
(1) 明澄な組成物であって、
a.液体小胞であって、
i.式I又はII:
【化9】
で表される育毛又は発毛化合物及びこれらの混合物のうちの1つ又は2つ以上であって、式中、R
1は水素又は-N(R
3)(R
4)であり、各R
3及びR
4は、個々に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アラルキル、及び低級シクロアルキルからなる群から選択され、R
3及びR
4は、一緒になって、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジノ、ヘキサヒドロアゼピニル、ヘプタメチレンイミノ、オクタメチレンイミノ、モルホリノ、及び4-低級アルキルピペラジニルからなる群から選択される複素環部分であってもよく、前記複素環部分のそれぞれは、炭素原子上の置換基として0~3個の低級アルキル基、ヒドロキシ、又はアルコキシに結合しており、R
2は、水素、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルコキシアルキル、低級シクロアルキル、低級アリール、低級アラルキル、低級アルカリル、低級アルカラルキル、低級アルコキシアラルキル、及び低級ハロアラルキル、これらの互変異性体、並びに薬理学的に許容されるこれらの酸付加塩からなる群から選択される、育毛又は発毛化合物及びこれらの混合物のうちの1つ又は2つ以上と、
ii.カルボン酸のC
8~C
24アルコールエステルと、
を含む、液体小胞と、
b.任意に、粘度調整剤と、
c.薬学的に許容される局所用担体であって、
i.約10~約60%の一価アルコールと、
ii.約0~約40%の1つ又は2つ以上の二価アルコールと、
iii.水と、
を含む薬学的に許容される局所用担体と、
を含み、
前記一価アルコール及び二価アルコールの合計濃度は、前記組成物が明澄であるように、前記総組成物の約20重量%~約80重量%であり、かつ、前記液体小胞は、前記薬学的に許容される液体担体内に懸濁されている、明澄な組成物。
(2) 一価アルコールが、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びこれらの混合物から選択される(又はこれらからなる群から選択される)、実施態様1に記載の組成物。
(3) 二価アルコールが、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、及びこれらの混合物から選択される(又はこれらからなる群から選択される)、実施態様1に記載の組成物。
(4) 前記組成物が、約0.1重量%~約15重量%のミノキシジル又は薬学的に許容されるその塩を含む、実施態様1に記載の組成物。
(5) 前記組成物が、約0.5重量%~約10重量%のミノキシジル又は薬学的に許容されるその塩を含む、実施態様3に記載の組成物。
【0356】
(6) 前記薬学的に許容される担体が、ミノキシジル又は薬学的に許容されるその塩を含む、実施態様1に記載の組成物。
(7) 前記組成物が、約0.1重量%~約15重量%の前記カルボン酸のC8~C24アルコールエステルを含む、実施態様1に記載の組成物。
(8) 前記カルボン酸のC8~C24アルコールエステルが、乳酸エステルである、実施態様7に記載の組成物。
(9) 前記カルボン酸のC8~C24アルコールエステルが、乳酸セチルである、実施態様8に記載の組成物。
(10) 前記カルボン酸のC8~C24アルコールエステルが、乳酸ミリスチルである、実施態様8に記載の組成物。
【0357】
(11) 前記カルボン酸のC8~C24アルコールエステルが、C12~C15乳酸アルキルの混合物である、実施態様8に記載の組成物。
(12) 前記組成物が、ポリオキシエチレンC4~C26脂肪エーテルを更に含む、実施態様1に記載の組成物。
(13) 前記組成物が、ポリオキシエチレンC10~C18脂肪エーテルを更に含む、実施態様1に記載の組成物。
(14) 前記組成物が、約0.1重量%~約15重量%の前記ポリオキシエチレンC4~C26脂肪エーテルを含む、実施態様12に記載の組成物。
(15) 前記粘度調整剤が、ポリマー性第四級アンモニウム塩、ポロキサマー、セルロース若しくはセルロース誘導体、天然若しくは合成のゴム、又はこれらの混合物から選択される、実施態様1に記載の組成物。
【0358】
(16) 前記組成物が、Brookfield RVにより、スピンドル4、速度6RPMで測定すると、約50cps~約30000cpsの粘度を有する、実施態様15に記載の組成物。
(17) 前記組成物が、Brookfield RVにより、スピンドル4、速度6RPMで測定すると、約100cps~約10000cpsの粘度を有する、実施態様16に記載の組成物。
(18) 前記組成物が、本明細書に記載される方法に従って、TA Instruments ARES G2 Rheometerを使用して測定すると、約0.01Pa.s~約5Pa.sの降伏応力値を有する、実施態様16に記載の組成物。
(19) 前記組成物が、10以上のずり減粘指数を有する、実施態様16に記載の組成物。
(20) 前記液体小胞が、非リン脂質の液体小胞である、実施態様1に記載の組成物。
【0359】
(21) 前記組成物が貯蔵安定性である、実施態様1に記載の組成物。
(22) 1つ若しくは2つ以上の可溶化酸又はこれらの混合物を更に含む、実施態様1に記載の組成物。