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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-16
(45)【発行日】2024-02-27
(54)【発明の名称】電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/267 20210101AFI20240219BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20240219BHJP
   H01M 10/04 20060101ALN20240219BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALN20240219BHJP
【FI】
H01M50/267
H01M50/209
H01M50/262 Z
H01M10/04 W
H01M10/0587
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021175741
(22)【出願日】2021-10-27
(65)【公開番号】P2023065119
(43)【公開日】2023-05-12
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂井 遼太郎
(72)【発明者】
【氏名】泉本 貴昭
【審査官】山下 裕久
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-022833(JP,A)
【文献】特表2015-510672(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/267
H01M 50/209
H01M 50/262
H01M 10/04
H01M 10/587
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配列された共通の形状のケースを有する複数のセルを拘束してなり、前記各セルは、前記ケース内に収容された電極体を備えるとともに、前記複数のセルとして、該各セルを配列方向から見た場合に、前記ケース内に収容された前記電極体の配置が互いに異なる複数種類の電極体異配置収容セルを備え
前記配列方向に隣り合う前記各セルについて、前記電極体異配置収容セルとしての種類が互いに異なる交差配列区画を備え、
前記各セルの配列全体を端部区画と中央区画とに区分した場合に、前記中央区画に前記交差配列区画が設けられた電池スタック。
【請求項2】
前記複数のセルとして、前記ケース内における前記電極体の占有率が互いに異なる複数種類の電極体異占有率セルを備える
請求項1に記載の電池スタック。
【請求項3】
前記各セルの配列全体を端部区画と中央区画とに区分した場合に、前記端部区画に配列された前記各セルとの比較において、前記中央区画に配列された前記各セルが、より前記占有率の低い前記電極体異占有率セルとしての構成を有する
請求項2に記載の電池スタック。
【請求項4】
前記電極体異配置収容セルとして、
前記電極体が前記ケースの上部に偏向して配置された上部配置セル、及び前記電極体が前記ケースの下部に偏向して配置された下部配置セルの少なくとも何れかを備える
請求項1~請求項3の何れか一項に記載の電池スタック。
【請求項5】
前記電極体異配置収容セルとして、
前記上部配置セルにおいて前記電極体が配置された上部位置と前記下部配置セルにおいて前記電極体が配置された下部位置との中間となる中間位置に前記電極体が配置された中間配置セルを備える請求項4に記載の電池スタック。
【請求項6】
前記各セルの配列全体を端部区画と中央区画とに区分した場合に、
前記端部区画には、前記中間配置セルが配列され、
前記中央区画には、前記上部配置セル及び前記下部配置セルの少なくとも一方が配列された請求項5に記載の電池スタック。
【請求項7】
前記上部配置セル及び前記下部配置セルが交互に並んで配列された交互配列区画を有する請求項4~請求項6の何れか一項に記載の電池スタック。
【請求項8】
前記電極体は、セパレータを挟んで積層された正負の電極シートを捲回してなる捲回体としての構成を有する請求項1~請求項7の何れか一項に記載の電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池スタックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一列に配列された複数のセルを拘束してなる電池スタック等の集電池においては、その発熱対策が重要な課題となっている。例えば、特許文献1には、集電池の外周部位等、この集電池を構成する各セルの温度が低くなりやすい部位に大きな蓄電容量を設定する構成が開示されている。そして、これにより、集電池の各セルに生ずる温度差を要因とした出力低下を抑制することが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-231911号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような発熱の問題は、電池の高性能化によって、より顕著になりやすい傾向がある。このため、上記従来技術の構成についてもまた、必ずしも、その進化する要求水準を満たしているとは言い切れないのが実情である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する電池スタックは、一列に配列された複数のセルを拘束してなり、前記各セルは、ケース内に収容された電極体を備えるとともに、前記複数のセルとして、該各セルを配列方向から見た場合に、前記ケース内に収容された前記電極体の配置が互いに異なる複数種類の電極体異配置収容セルを備える。
【0006】
即ち、ケース内に収容された電極体の配置が異なる電極体異配置収容セルは、その種類毎に、セルとしての発熱部位が相違することになる。従って、上記構成によれば、各セルの配列方向から見て、これらの各セルの発熱部位を分散して配置することができる。そして、これにより、高い放熱性能を確保することができる。つまりは、電池スタックを形成する各セルにおいて、その電極体の冷却性能を高めることができる。そして、これにより、各セルの性能低下を抑制し、及び高い安全性を確保することができる。その結果、その電池スタック、及び複数の電池スタックをパッケージ化した電池パックの電池性能を長期間に亘って好適に維持することができる。
【0007】
上記課題を解決する電池スタックは、前記配列方向に隣り合う前記各セルについて、前記電極体異配置収容セルとしての種類が互いに異なる交差配列区画を備えることが好ましい。
【0008】
上記構成によれば、その配列方向に隣り合う各セルの発熱部位がズレることになる。そして、これにより、その放熱性能を更に向上させることができる。
上記課題を解決する電池スタックは、前記各セルの配列全体を端部区画と中央区画とに区分した場合に、前記中央区画に前記交差配列区画が設けられることが好ましい。
【0009】
即ち、一列に並ぶ各セルの配列においては、その端部区画に比べて、中央区画に配列された各セルの方が高温になりやすい傾向がある。しかしながら、上記構成によれば、その中央区画に対して、より高い放熱性能を付与することができる。そして、これにより、配列された複数のセル間の温度ムラを抑制することができる。その結果、その電池スタック、及び複数の電池スタックをパッケージ化した電池パックの電池性能を長期間に亘って好適に維持することができる。
【0010】
上記課題を解決する電池スタックは、前記複数のセルとして、前記ケース内における前記電極体の占有率が互いに異なる複数種類の電極体異占有率セルを備えることが好ましい。
【0011】
即ち、電池スタックを形成する各セルの放熱量は、そのケース内における電極体の占有率が高いほど、より大きくなりやすい傾向がある。この点を踏まえ、各セルの配列において、そのセルが高温になりやすい位置には、より占有率の低い電極体異占有率セルを配列する。また、そのセルが高温になり難い位置には、より占有率の高い電極体異占有率セルを配列する。そして、これにより、その配列された複数のセル間の温度ムラを抑制することができる。その結果、その電池スタック、及び複数の電池スタックをパッケージ化した電池パックの電池性能を長期間に亘って好適に維持することができる。
【0012】
上記課題を解決する電池スタックは、前記各セルの配列全体を端部区画と中央区画とに区分した場合に、前記端部区画に配列された前記各セルとの比較において、前記中央区画に配列された前記各セルが、より前記占有率の低い前記電極体異占有率セルとしての構成を有することが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、高温になりやすい中央区画に配列された各セルに対して、より小さな発熱量を設定することができる。そして、これにより、効果的に、その配列された複数のセル間の温度ムラを抑制することができる。
【0014】
上記課題を解決する電池スタックは、前記電極体異配置収容セルとして、前記電極体が前記ケースの上部に偏向して配置された上部配置セル、及び前記電極体が前記ケースの下部に偏向して配置された下部配置セルの少なくとも何れかを備えることが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、各セルを配列方向から見た場合に、その発熱部位を上下方向にずらすことができる。そして、これにより、その放熱性能を向上させることができる。
上記課題を解決する電池スタックは、前記電極体異配置収容セルとして、前記上部配置セルにおいて前記電極体が配置された上部位置と前記下部配置セルにおいて前記電極体が配置された下部位置との中間となる中間位置に前記電極体が配置された中間配置セルを備えることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、電極体異配置収容セルの種類を増やして、より好適な発熱対策を行うことができる。特に、中間配置セルは、ケース内における電極体の配置に偏りがないことから、比較的大きな占有率を設定しやすいという特徴がある。更に、これを利用して、各セルの配列において、そのセルが高温になり難い位置に、より発熱量の大きな中間配置セルを配列する。そして、これにより、効果的に、その配列された複数のセル間の温度ムラを抑制することができる。
【0017】
上記課題を解決する電池スタックは、前記各セルの配列全体を端部区画と中央区画とに区分した場合に、前記端部区画には、前記中間配置セルが配列され、前記中央区画には、前記上部配置セル及び前記下部配置セルの少なくとも一方が配列されることが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、高温になりやすい中央区画に配列された各セルについては、小さな発熱量を設定し、高温になり難い端部区画に配列された各セルについては、比較的大きな発熱量を設定することができる。そして、これにより、効果的に、その配列された複数のセル間の温度ムラを抑制することができる。
【0019】
上記課題を解決する電池スタックは、前記上部配置セル及び前記下部配置セルが交互に並んで配列された交互配列区画を有することが好ましい。
上記構成によれば、高温になりやすい位置に配列される各セルに対して、より高い放熱性能を付与することができる。その結果、より効果的に、その配列された複数のセル間の温度ムラを抑制することができる。
【0020】
上記課題を解決する電池スタックは、前記各セルの前記ケースが互いに共通の形状を有することが好ましい。
上記構成によれば、ケース内に収容された電極体の配置を、その電極体異配置収容セルとしての種類毎に、容易且つ高精度に設定することができる。また、ケースが形成する収容空間において、その電極体が配置されない非占有領域、つまりは各セルの非発熱部位を容易に管理することができる。そして、これにより、その放熱性能を更に向上させることができる。
【0021】
また、例えば、充放電容量や出力電圧等、電源としての仕様が異なる用途についても、その電池スタックの外形を共通化することが可能になる。そして、これにより、生産管理を容易化して、その低コスト化を図ることができる。
【0022】
上記課題を解決する電池スタックは、前記電極体は、セパレータを挟んで積層された正負の電極シートを捲回してなる捲回体としての構成を有することが好ましい。
即ち、捲回体としての構成を有する電極体は、その充放電時に発熱しやすい傾向がある。従って、このような電極体を有する二次電池の電池スタックに適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、好適に発熱対策を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】セルの斜視図。
図2】電極体の分解図。
図3】セルの概略構成図。
図4】電池スタックの斜視図。
図5】一列に配列された複数のセルを示す電池スタックの模式図。
図6】上部配置セルの概略構成図。
図7】下部配置セルの概略構成図。
図8】第2の実施形態における各セルの配列を示す電池スタックの模式図。
図9】第3の実施形態における各セルの配列を示す電池スタックの模式図。
図10】別例の電極体異配置セルの概略構成図。
図11】別例の各セルの配列を示す電池スタックの模式図。
図12】別例の電極体異配置セルの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[第1の実施形態]
以下、電池スタックに関する第1の実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、二次電池1は、正極3、負極4、及びセパレータ5を一体化した電極体10と、この電極体10を収容するケース20と、を備えている。そして、本実施形態の二次電池1は、そのケース20内の電極体10に、図示しない非水性の電解液を含浸させたリチウムイオン二次電池としての構成を有している。
【0026】
詳述すると、本実施形態の二次電池1において、正極3、負極4、及びセパレータ5は、シート状の外形を有して積層される。そして、これら正極3、負極4、及びセパレータ5の積層体を捲回することにより、正極3と負極4との間にセパレータ5を挟み込む状態で、その径方向に正負の電極とセパレータ5とが交互に並ぶ電極体10が形成されている。
【0027】
また、本実施形態のケース20は、扁平略四角箱状のケース本体21と、このケース本体21の開口端21xを閉塞する蓋部材22と、を備えている。そして、本実施形態の電極体10は、径方向外側から押圧されることにより、そのケース20の箱形状に対応する扁平した外形を有するものとなっている。
【0028】
さらに詳述すると、図2に示すように、本実施形態の二次電池1において、正極3及び負極4は、それぞれ、シート状の外形を有した集電体31と、この集電体31上に積層された電極活物質層32と、を備えた電極シート35としての構成を有する。
【0029】
具体的には、アルミニウム等を素材とする正極集電体31P上に、正極活物質となるリチウム遷移金属酸化物を含んだスラリーを塗工することにより、その正極活物質層32Pを備えた正極3用の電極シート35Pが形成される。また、銅等を素材とする負極集電体31N上に、負極活物質となる炭素系材料を含んだスラリーを塗工することにより、その負極活物質層32Nを備えた負極4用の電極シート35Nが形成される。更に、本実施形態の二次電池1において、これら正負の電極シート35P,35Nは、帯状に整形される。そして、本実施形態の電極体10は、セパレータ5を挟んで積層された正負の電極シート35P,35Nが、その帯形状の幅方向(図2中、左右方向)に延びる捲回軸L周りに捲回された捲回体10Xとしての構成を有している。
【0030】
尚、図2中においては、その正極3を構成する電極シート35Pを内側に捲き込むかたちで、セパレータ5及び各電極シート35が捲回されている。但し、この図は、電極体10の構造を示す一例であり、その負極4を構成する電極シート35Nを内側に捲き込むかたちで、これらのセパレータ5及び各電極シート35が捲回される場合もある。そして、これにより、その電極体10の最外殻に配置される電極シート35が、正極3を構成する電極シート35Pであるか、又は負極4を構成する電極シート35Nであるかが決定される。
【0031】
また、図1に示すように、ケース20の蓋部材22には、ケース20の外側に突出する正極端子37及び負極端子38が設けられている。更に、図2に示すように、各電極シート35には、それぞれ、その集電体31上に電極活物質層32が形成されていない未塗工部39が形成されている。そして、本実施形態の二次電池1は、これらの未塗工部39を利用して、その正極3を構成する電極シート35Pと正極端子37とが電気的に接続され、及び、その負極4を構成する電極シート35Nと負極端子38とが電気的に接続される構成となっている。
【0032】
具体的には、図1及び図2に示すように、本実施形態の電極体10は、その捲回軸Lが長尺略矩形板状をなす蓋部材22の長手方向(図1中、左右方向)に沿う状態で、ケース本体21内に収容される。そして、この電極体10は、その捲回軸Lの一端側(図2中、左側の端部)に正極3を構成する電極シート35Pの未塗工部39Pを有し、他端側(同図中、右側の端部)に負極4を構成する電極シート35Nの未塗工部39Nを有している。
【0033】
また、本実施形態の二次電池1においては、この状態で、その正極3を構成する電極シート35Pの未塗工部39Pと正極端子37とが接続部材37xを介して接続される。更に、その負極4を構成する電極シート35Nの未塗工部39Nと負極端子38とが接続部材38xを介して接続される。そして、本実施形態の二次電池1は、これにより、その正極3と正極端子37、負極4と負極端子38とが電気的に接続された状態で、この電極体10をケース20内に封缶する構成となっている。
【0034】
尚、本実施形態の二次電池1において、ケース本体21及び蓋部材22は、例えば、アルミニウム合金やステンレス鋼等の金属材料を用いて形成される。そして、これらのケース本体21及び蓋部材22は、例えば、レーザー溶接等を用いて液密に接合される。
【0035】
また、図3に示すように、二次電池1は、その電極体10とともにケース20内に収容される絶縁フィルム41を備えている。更に、この絶縁フィルム41は、ケース本体21の開口端21x側に開口する袋形状を有してケース20内に収容される。そして、本実施形態の二次電池1は、この絶縁フィルム41の袋形状内に電極体10を配置することで、その電極体10とケース20とが絶縁される構成になっている。
【0036】
更に、図1に示すように、本実施形態の二次電池1においては、蓋部材22に設けられた注入口42を介して、そのケース20内に電解液が注入される。即ち、リチウムイオン二次電池としての構成を有する二次電池1の電解液には、有機溶媒中に支持塩となるリチウム塩を溶解させたものが用いられる。そして、本実施形態の二次電池1は、これにより、そのケース20内に封缶された電極体10に対して電解液が含浸される構成になっている。
【0037】
尚、本実施形態の二次電池1において、注入口42は、長尺略矩形板状をなす蓋部材22の長手方向略中央部分に形成された安全弁43の近傍に設けられている。そして、本実施形態の二次電池1は、電解液の注入後、例えば、レーザー溶接等によって、その注入口42が封止される構成となっている。
【0038】
また、図3に示すように、ケース20内には、その含浸により電極体10に保持させる液量を超えた余剰の電解液44が注入される。そして、本実施形態の二次電池1は、この余剰分の電解液44が、そのケース20の底部46に溜まる構成となっている。
【0039】
このように、本実施形態の二次電池1は、ケース20内に電極体10及び電解液を封入することで、その構成単位、つまりは一つのセル50が形成される。更に、本実施形態の二次電池1においては、このようなセル50が複数組み合わされる。そして、本実施形態の二次電池1は、これにより、その充放電容量及び出力電圧が高められた状態で、例えば、電動車両の電源等に用いられる構成となっている。
【0040】
(電池スタック)
次に、本実施形態の二次電池1が形成する電池スタックについて説明する。
図4に示すように、本実施形態の二次電池1は、一列に配列された複数のセル50を拘束してなる集電池としての電池スタック51を形成する。
【0041】
詳述すると、本実施形態の電池スタック51は、予め設定された所定数のセル50を有している。尚、図4及び以下に示す各図中の電池スタック51については、説明の便宜上、実際よりも、そのセル数が少なく記載されている。また、本実施形態の電池スタック51において、これら各セル50のケース20は、互いに共通の形状を有している。具体的には、これらの各セル50は、その扁平略四角箱状をなすケース20の寸法が互いに等しく設定されている。そして、本実施形態の電池スタック51は、これらの各セル50を、その扁平略四角箱状をなすケース20の厚み方向(図3参照、同図中、紙面に直交する方向)に並べた構成となっている。
【0042】
尚、本実施形態の電池スタック51は、これら各セル50の間に介在された略平板状のスペーサ52を有している。また、この電池スタック51は、その各セル50の整列方向両端位置に配置された一対のエンドプレート53,53を備えている。更に、この電池スタック51は、これら一対のエンドプレート53,53間に架け渡された拘束部材54,54を備えている。そして、本実施形態の電池スタック51は、これら拘束部材54,54の拘束力に基づいて、その一列に配列された各セル50が、これら各セル50の配列方向両端に設けられた一対のエンドプレート53,53に挟まれる状態で一体化される構成となっている。
【0043】
また、図5図7に示すように、本実施形態の電池スタック51は、この電池スタック51を形成する各セル50を配列方向から見た場合に、そのケース20内に収容された電極体10の配置が互いに異なる複数種類の電極体異配置収容セル60を備えている。
【0044】
詳述すると、本実施形態の電池スタック51は、電極体異配置収容セル60として、その電極体10がケース20の上部20aに偏向して配置された上部配置セル61を備えている。また、この電池スタック51は、電極体異配置収容セル60として、その電極体10がケース20の下部20bに偏向して配置された下部配置セル62を備えている。尚、図5は、電池スタック51を形成する複数のセル50のみを記載し、各スペーサ52、エンドプレート53,53、及び拘束部材54,54については、その記載を省略した模式図となっている。更に、図5図7中、その上下方向が、電池スタック51を形成する各セル50の上下方向となっている。そして、本実施形態の電池スタック51は、この電池スタック51を形成する各セル50の配列方向において、その上部配置セル61及び下部配置セル62が、交互に並んで配列された構成を有している。
【0045】
換言すると、図5に示すように、本実施形態の電池スタック51においては、各セル50の配列全体が、その配列方向に隣り合う各セル50について、その電極体異配置収容セル60としての種類が互いに異なる交差配列区画α1となっている。そして、この交差配列区画α1は、各セル50の配列方向において、その種類が異なる電極体異配置収容セル60として設けられた上部配置セル61及び下部配置セル62が、交互に並んで配列された交互配列区画α2としての構成を有している。
【0046】
さらに詳述すると、図6に示すように、本実施形態の上部配置セル61において、電極体10は、その上下方向の中央位置、つまりは捲回体10Xとしての捲回軸Lが、ケース20内における上下方向の中間位置Pcよりも上方に配置されている。更に、この上部配置セル61において、電極体10は、ケース20が形成する収容空間20xの上端となる蓋部材22までの間隔Waと、その収容空間20xの下端となる底部46までの間隔Wbとの比率が、例えば「1:2」~「1:4」程度に設定されている。そして、本実施形態の上部配置セル61は、これにより、そのケース20内における電極体10の占有率、つまりは、その収容空間20xに占める電極体10の体積比率が、例えば75%以下となるように設計されている。
【0047】
また、図7に示すように、本実施形態の下部配置セル62において、電極体10は、その上下方向の中央位置、つまりは捲回体10Xとしての捲回軸Lが、ケース20内における上下方向の中間位置Pcよりも下方に配置されている。更に、この下部配置セル62において、電極体10は、収容空間20xの上端となる蓋部材22までの間隔Waと、その収容空間20xの下端となる底部46までの間隔Wbとの比率が、例えば「2:1」~「4:1」程度に設定されている。そして、本実施形態の下部配置セル62もまた、これにより、そのケース20内における電極体10の占有率が、例えば75%以下となるように設計されている。
【0048】
尚、上部配置セル61については、例えば、ケース20の底部46に溜まった余剰分の電解液44を吸い上げて、そのケース20の上部に配置された捲回体10Xとしての電極体10に供給する機能を有している(図示略)。そして、本実施形態の電池スタック51は、これにより、電極体異配置収容セル60としての種類に依らず、各セル50の電池性能が担保される構成となっている。
【0049】
次に、本実施形態の作用について説明する。
即ち、上部配置セル61は、ケース20の上部側に発熱部位を有し、下部配置セル62は、そのケース20の下部側に発熱部位を有する。また、これにより、これらの上部配置セル61及び下部配置セル62を、その複数のセル50として備える電池スタック51においては、その配列された各セル50の発熱部位が、配列方向から見て上下方向に分散される。更に、各セル50の配列方向において、これらの上部配置セル61及び下部配置セル62が、交互に並んで配列されることにより、その配列方向に隣り合う各セル50の発熱部位が上下方向にズレることになる。そして、これにより、電池スタック51としての放熱性能が向上する。
【0050】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)電池スタック51は、一列に配列された複数のセル50を拘束することにより形成される。また、各セル50は、ケース20内に収容された電極体10を備える。そして、電池スタック51は、複数のセル50として、これらの各セル50を配列方向から見た場合に、そのケース20内に収容された電極体10の配置が互いに異なる複数種類の電極体異配置収容セル60を備える。
【0051】
即ち、ケース20内に収容された電極体10の配置が異なる電極体異配置収容セル60は、その種類毎に、セル50としての発熱部位が相違することになる。従って、上記構成によれば、各セル50の配列方向から見て、これらの各セル50の発熱部位を分散して配置することができる。そして、これにより、高い放熱性能を確保することができる。つまりは、電池スタック51を形成する各セル50において、その電極体10の冷却性能を高めることができる。そして、これにより、各セル50の性能低下を抑制し、及び高い安全性を確保することができる。その結果、その電池スタック51、及び複数の電池スタック51をパッケージ化した電池パックの電池性能を長期間に亘って好適に維持することができる。
【0052】
(2)電池スタック51は、配列方向に隣り合う各セル50について、その電極体異配置収容セル60としての種類が互いに異なる交差配列区画α1を備える。
上記構成によれば、その配列方向に隣り合う各セル50の発熱部位がズレることになる。そして、これにより、その放熱性能を更に向上させることができる。
【0053】
(3)電池スタック51は、電極体異配置収容セル60として、その電極体10がケース20の上部に偏向して配置された上部配置セル61と、その電極体10がケース20の下部に偏向して配置された下部配置セル62と、を備える。
【0054】
即ち、上部配置セル61は、ケース20の上部側に発熱部位を有し、下部配置セル62は、そのケース20の下部側に発熱部位を有する。従って、上記構成によれば、その配列方向から見て、各セル50の発熱部位が上下方向に分散される。そして、これにより、その放熱性能を更に向上させることができる。
【0055】
(4)電池スタック51においては、各セル50の配列方向において、その上部配置セル61及び下部配置セル62が、交互に並んで配列される。
上記構成によれば、その配列方向に隣り合う各セル50の発熱部位が上下方向にズレることになる。そして、これにより、その放熱性能を更に向上させることができる。
【0056】
(5)各セル50のケース20が、互いに共通の形状を有する。
上記構成によれば、ケース20内に収容された電極体10の配置を、その電極体異配置収容セル60としての種類毎に、容易且つ高精度に設定することができる。また、ケース20が形成する収容空間20xにおいて、その電極体10が配置されない非占有領域、つまりは各セル50の非発熱部位を容易に管理することができる。そして、これにより、その放熱性能を更に向上させることができる。
【0057】
また、例えば、充放電容量や出力電圧等、電源としての仕様が異なる用途についても、その電池スタック51の外形を共通化することが可能になる。そして、これにより、生産管理を容易化して、その低コスト化を図ることができる。
【0058】
(6)電極体10は、セパレータ5を挟んで積層された正負の電極シート35を捲回してなる捲回体10Xとしての構成を有する。
即ち、捲回体10Xとしての構成を有する電極体10は、その充放電時に発熱しやすい傾向がある。従って、このような電極体10を有する二次電池1の電池スタック51に適用することで、より顕著な効果を得ることができる。
【0059】
[第2の実施形態]
以下、電池スタックに関する第2の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第1の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0060】
図8に示すように、本実施形態の電池スタック51Bは、電極体異配置収容セル60として、上記第1の実施形態における電池スタック51と同様、複数の上部配置セル61及び下部配置セル62を備えている。そして、この電池スタック51Bは、これらの上部配置セル61及び下部配置セル62に加え、その電極体10が、ケース20の中間位置に配置された複数の中間配置セル63を備えている。
【0061】
詳述すると、図3に示すように、本実施形態の電池スタック51Bにおいて、この中間配置セル63は、ケース20内における上下方向の中間位置Pcに、その電極体10の上下方向中央位置、即ち捲回体10Xとしての捲回軸Lが配置された構成を有している。つまり、この中間配置セル63においては、上部配置セル61の電極体10が配置された上部位置Paと、下部配置セル62の電極体10が配置された下部位置Pbとの中間となる中間位置Pcに、その電極体10が配置されている(図6及び図7参照)。
【0062】
また、本実施形態の中間配置セル63は、そのケース20内における電極体10の占有率が、例えば80%以上となるように設計されている。そして、本実施形態の電池スタック51Bは、これにより、図8に示すように、一列に配列された複数のセル50として、そのケース20内における電極体10の占有率が互いに異なる複数種類の電極体異占有率セル70を備える構成となっている。
【0063】
即ち、図3図6及び図7に示すように、中間配置セル63を基準占有率セル71として、その電極体異占有率セル70としての種類分けを行った場合、上部配置セル61及び下部配置セル62は、より占有率の低い低占有率セル72に位置付けられる。
【0064】
また、図8に示すように、本実施形態の電池スタック51Bは、各セル50の配列全体を端部区画R1,R1と中央区画R2とに区分した場合、これらの各区画に対し、それぞれ、異なる種類の電極体異占有率セル70が配列されている。尚、本実施形態の電池スタック51Bにおいては、その端部区画R1,R1及び中央区画R2に対して、それぞれ、この電池スタック51Bを形成するセル数の「1/3」が配列されている。具体的には、本実施形態の電池スタック51Bにおいて、端部区画R1,R1には、基準占有率セル71としての構成を有した中間配置セル63が配列されている。更に、中央区画R2には、低占有率セル72としての構成を有した上部配置セル61及び下部配置セル62が配列されている。そして、本実施形態の電池スタック51Bは、これにより、その端部区画R1,R1に配列された各セル50との比較において、その中央区画R2に配列された各セル50が、より占有率の低い電極体異占有率セル70としての構成を有するものとなっている。
【0065】
即ち、一列に並ぶ各セル50の配列においては、その端部区画R1,R1に比べて、中央区画R2に配列された各セル50の方が高温になりやすい傾向がある。この点を踏まえ、本実施形態の電池スタック51Bにおいては、その中央区画R2に発熱量の小さな低占有率セル72が配列されている。更に、端部区画R1,R1には、より発熱量の大きな基準占有率セル71が配列されている。そして、本実施形態の電池スタック51Bは、これにより、その配列された複数のセル50間の温度ムラを抑制する構成になっている。
【0066】
さらに詳述すると、本実施形態の電池スタック51Bにおいては、その中央区画R2が、交差配列区画α1及び交互配列区画α2としての構成を有している。即ち、本実施形態の電池スタック51Bにおいては、各セル50の配列方向において、この中央区画R2に設けられた上部配置セル61及び下部配置セル62が、交互に並んで配列されている。そして、本実施形態の電池スタック51Bは、これにより、その中央区画R2に対して、より高い放熱性能が付与される構成となっている。
【0067】
以上、本実施形態によれば、より好適な発熱対策を行うことができる。
(1)電池スタック51Bは、複数のセル50として、ケース20内における電極体10の占有率が互いに異なる複数種類の電極体異占有率セル70を備える。
【0068】
即ち、電池スタック51Bを形成する各セル50の放熱量は、そのケース20内における電極体10の占有率が高いほど、より大きくなりやすい傾向がある。この点を踏まえ、各セル50の配列において、そのセル50が高温になりやすい位置には、より占有率の低い電極体異占有率セル70を配列する。また、そのセル50が高温になり難い位置には、より占有率の高い電極体異占有率セル70を配列する。そして、これにより、その配列された複数のセル50間の温度ムラを抑制することができる。その結果、その電池スタック51B、及び複数の電池スタック51Bをパッケージ化した電池パックの電池性能を長期間に亘って好適に維持することができる。
【0069】
(2)各セル50の配列全体を端部区画R1,R1と中央区画R2とに区分した場合に、端部区画R1,R1に配列された各セル50との比較において、中央区画R2に配列された各セル50が、より占有率の低い電極体異占有率セル70としての構成を有する。
【0070】
即ち、一列に並ぶ各セル50の配列においては、その端部区画R1,R1に比べて、中央区画R2に配列された各セル50の方が高温になりやすい傾向がある。この点、上記構成によれば、その中央区画R2に配列された各セル50に対して、より小さな発熱量を設定することができる。そして、これにより、効果的に、その配列された複数のセル50間の温度ムラを抑制することができる。
【0071】
(3)電池スタック51Bは、電極体異配置収容セル60として、上部配置セル61及び下部配置セル62に加え、中間配置セル63を備える。そして、この中間配置セル63は、上部配置セル61において電極体10が配置された上部位置Paと下部配置セル62において電極体10が配置された下部位置Pbとの中間となる中間位置Pcに配置された電極体10を有する。
【0072】
上記構成によれば、電極体異配置収容セル60の種類を増やして、より好適な発熱対策を行うことができる。特に、中間配置セル63は、ケース20内における電極体10の配置に偏りがないことから、上部配置セル61及び下部配置セル62よりも、大きな占有率を設定しやすいという特徴がある。更に、これを利用して、各セル50の配列において、そのセル50が高温になり難い位置に、より発熱量の大きな中間配置セル63を配列する。そして、これにより、効果的に、その配列された複数のセル50間の温度ムラを抑制することができる。
【0073】
(4)電池スタック51Bは、端部区画R1,R1に中間配置セル63が配列されるとともに、中央区画R2に上部配置セル61及び下部配置セル62が配列された構成を有する。
【0074】
上記構成によれば、高温になりやすい中央区画R2に配列された各セル50については、小さな発熱量を設定し、高温になり難い端部区画R1,R1に配列された各セル50については、比較的大きな発熱量を設定することができる。そして、これにより、効果的に、その配列された複数のセル50間の温度ムラを抑制することができる。
【0075】
(5)電池スタック51Bは、各セル50の配列方向において、中央区画R2に設けられた上部配置セル61及び下部配置セル62が交互に並んで配列されている。
上記構成によれば、中央区画R2に配列された上部配置セル61及び下部配置セル62によって、この中央区画R2に交差配列区画α1及び交互配列区画α2が形成される。そして、これにより、中央区画R2に対して、より高い放熱性能を付与することができる。その結果、より効果的に、その配列された複数のセル50間の温度ムラを抑制することができる。
【0076】
[第3の実施形態]
以下、電池スタックに関する第3の実施形態を図面に従って説明する。尚、説明の便宜上、上記第2の実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0077】
図9に示すように、本実施形態の電池スタック51Cは、上記第2の実施形態における電池スタック51Bと同様、その端部区画R1,R1に配列された複数の中間配置セル63を備えている。更に、これらの各中間配置セル63もまた、基準占有率セル71としての構成を有している。そして、本実施形態の電池スタック51Cにおいて、中央区画R2には、低占有率セル72としての構成を有した下部配置セル62のみが配列されている。
【0078】
即ち、本実施形態の電池スタック51Cにおいてもまた、端部区画R1,R1に配列された各セル50との比較において、中央区画R2に配列された各セル50が、より占有率の低い電極体異占有率セル70としての構成を有している。そして、本実施形態の電池スタック51Cは、その中央区画R2が、交差配列区画α1及び交互配列区画α2ではない点において、上記第2の実施形態における電池スタック51Bと相違する。
【0079】
但し、本実施形態の電池スタック51Cにおいて、その中央区画R2に配列された各下部配置セル62は、その電極体10が、ケース20の底部46に溜まった余剰分の電解液44(図3参照)に浸かりやすいという特徴がある。このため、上部配置セル61や中間配置セル63よりも、そのケース20内に収容された電極体10の冷却性能に優れている。そして、本実施形態の電池スタック51Cは、これにより、その中央区画R2に対して、高い放熱性能を付与することが可能になっている。
【0080】
以上、本実施形態の構成を採用しても、効果的に、その配列された複数のセル50間の温度ムラを抑制することができる。
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0081】
・上記各実施形態において、その電池スタック51を形成するセル50の数は、任意に変更してもよい。そして、上記第2及び第2の実施形態において、その端部区画R1,R1に区分されるセル50の数、及び中央区画R3に区分されるセル50の数についてもまた、任意に設定してもよい。
【0082】
・上記各実施形態では、電極体異配置収容セル60として、上部配置セル61及び下部配置セル62、並びに中間配置セル63を例示した。更に、上記第2及び第2の実施形態では、電極体異占有率セル70として、その上部配置セル61及び下部配置セル62が低占有率セル72を構成する。そして、その中間配置セル63が、この低占有率セル72よりも電極体10の占有率が高い基準占有率セル71を構成することとした。
【0083】
しかし、これに限らず、例えば、図10及び図11に示すように、その電池スタック51Dが、低占有率セル72としての構成を有する中間配置セル63Dを備える構成としてもよい。尚、この場合についてもまた、そのケース20内における電極体10の占有率は、例えば75%以下とするとよい。そして、この中間配置セル63Dを含めて、その配列方向に隣り合う各セル50について、それぞれ、電極体異配置収容セル60としての種類が互いに異なる交差配列区画α1を形成する構成としてもよい。
【0084】
・また、交差配列区画α1は、必ずしも交互配列区画α2でなくともよい。更に、配列方向に隣り合う各セル50について、その各電極体異配置収容セル60としての配列パターンもまた、任意に変更してもよい。そして、交差配列区画α1において、その配列方向に隣り合う各セル50の各電極体異配置収容セル60としての種類が、ランダムに異なる構成であってもよい。
【0085】
・上記第2及び第3の実施形態における中間配置セル63と上記別例の中間配置セル63Dとの関係のように、上部配置セル61及び下部配置セル62についてもまた、その占有率が異なる複数種類の電極体異占有率セル70を有していてもよい。
【0086】
・上記第3の実施形態では、中央区画R2には、下部配置セル62のみが配列されることとした。しかし、これに限らず、例えば、上部配置セル61のみ、或いは、上記別例のような低占有率セル72としての構成を有する中間配置セル63Dのみを、その中央区画R2に配列する構成としてもよい。このような構成を採用しても同様の効果を得ることができる。
【0087】
・また、上記各実施形態及び別例では、電極体異配置収容セル60として、ケース20内に収容された電極体10の配置が、各セル50の配列方向から見て、上下方向に異なる上部配置セル61及び下部配置セル62、並びに中間配置セル63,63Dを例示した。
【0088】
しかし、これに限らず、図12に示すように、各セル50の配列方向から見て、ケース20内に収容された電極体10の配置が横方向にずれた横方向配置セル65を、その電極体異配置収容セル60として備える構成であってもよい。尚、この横方向配置セル65としては、同図中の例に示すものの他、例えば、その電極体10の偏向方向が、横方向に異なるものが考えられる。例えば、図12に示す例では、同図中、右側に電極体10が偏向しているのに対し、左側に電極体10が偏向した構成であってもよい。そして、このような横方向配置セル65の形態に準ずるかたちで、低占有率セル72としての構成を有する中間配置セル63を有するものであってもよい。
【0089】
・一つの電池スタック51が備える電極体異配置収容セル60の種類については、その数を任意に変更してもよい。例えば、3つ以上の種類を有していてもよい。そして、その電極体異占有率セル70の種類についてもまた、その数を任意に変更してもよい。
【0090】
・上記各実施形態では、電池スタック51を構成する二次電池1は、リチウムイオン二次電池としての構成を有する。そして、その電極体10は、セパレータ5を挟んで積層された正負の電極シート35を捲回してなる捲回体10Xとしての構成を有することとした。
【0091】
しかし、これに限らず、電池スタック51を構成する二次電池1としての種類については、例えば、ニッケル水素二次電池等、任意に変更してもよい。即ち、非水性二次電池には限らない。そして、電極体10についてもまた、必ずしも捲回体10Xとしての構成を有するものでなくともよい。
【0092】
・上記各実施形態では、電池スタック51は、複数のセル50として、これらの各セル50を配列方向から見た場合に、そのケース20内に収容された電極体10の配置が互いに異なる複数種類の電極体異配置収容セル60を備えることとした。しかし、これに限らず、電極体異配置収容セル60の如何を問わず、複数のセル50として、そのケース20における電極体10の占有率が互いに異なる複数種類の電極体異占有率セル70を備える構成としてもよい。
【0093】
・上記各実施形態では、各セル50のケース20は、互いに共通の形状を有することとした。しかし、これに限らず、例えば、電極体異配置収容セル60としての種類毎、或いは電極体異占有率セル70としての種類毎に、そのケース20の形状が異なる構成であってもよい。但し、一列に配列された複数のセル50を拘束することから、その形状の差異は小さいことが望ましい。
【0094】
次に、上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
(イ)一列に配列された複数のセルを拘束してなり、前記各セルは、ケース内に収容された電極体を備えるとともに、前記複数のセルとして、前記ケース内における前記電極体の占有率が互いに異なる複数種類の電極体異占有率セルを備える電池スタック。
【0095】
即ち、電池スタックを形成する各セルの放熱量は、そのケース内における電極体の占有率が高いほど、より大きくなりやすい傾向がある。この点を踏まえ、各セルの配列において、そのセルが高温になりやすい位置には、より占有率の低い電極体異占有率セルを配列する。また、そのセルが高温になり難い位置には、より占有率の高い電極体異占有率セルを配列する。そして、これにより、その配列された複数セル間の温度ムラを抑制することができる。その結果、その電池スタック、及び複数の電池スタックをパッケージ化した電池パックの電池性能を長期間に亘って好適に維持することができる。
【符号の説明】
【0096】
10…電極体
20…ケース
50…セル
51…電池スタック
60…電極体異配置収容セル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12